JP2004307555A - 孔版印刷用w/o型エマルションインキ - Google Patents
孔版印刷用w/o型エマルションインキ Download PDFInfo
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Abstract
【課題】環境に配慮されており、さらに長期保存に対して乳化安定性が高く、印刷機上で長期放置されてもスクリーン目詰りを起さない、孔版印刷用W/O型エマルションインキを提供する。
【解決手段】油相10〜90重量%および水相90〜10重量%によって構成される孔版印刷用W/O型エマルションインキであって、前記油相のオイル成分中に中鎖脂肪酸トリグリセリドを含有することを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】油相10〜90重量%および水相90〜10重量%によって構成される孔版印刷用W/O型エマルションインキであって、前記油相のオイル成分中に中鎖脂肪酸トリグリセリドを含有することを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、孔版印刷用W/O型エマルションインキに関し、詳しくは、印刷材上で長期放置されてもスクリーン目詰まりをおこさない孔版印刷用W/O型エマルションインキに関する。
【0002】
【従来の技術】
孔版印刷方法は周知のように、孔版印刷原紙を用い、この原紙の穿孔部を介して原紙の一方の側より他方の側ヘインキを移動させることにより、紙などの被印刷物面に印刷を行なうものである。従来より用いられているインキは、揮発性溶剤、不揮発性溶剤、樹脂、着色剤、界面活性剤、水、凍結防止剤、電解質、防腐剤等により構成された油中水型(W/O型)のエマルションインキである。
【0003】
近年、環境に配慮して植物油を含有したインキが使用されてきている。しかし、植物油は基本的に不飽和脂肪酸を有し、ヨウ素価100を超え、半乾性油・乾性油であるため、この植物油を孔版印刷用インキに含有した場合、印刷機上で長期放置することで不飽和脂肪酸の酸化が起こり、インキが固化し、印刷機のスクリーン目詰まりを引き起こし、安定性に欠けるという問題がある。
【0004】
この問題を解決するものとして、油相中にヨウ素価110〜150の植物油を含有し、かつ、この植物油に対して一定量の酸化防止剤を含有させたW/O型エマルションインキが提案されている(特許文献1)。しかしながら、この発明によれば、1ヶ月程度の放置期間に対しては印刷機上のスクリーンに目詰まりが発生しないものの、更なる放置(2ヶ月以上)に対しては、ヨウ素価の高い植物油の酸化による目詰まりが抑えきれず、効果が不足である。実際のユーザーの使用状況により、数ヶ月に一回しか印刷を行わないユーザーもおり、目詰まりによって画像が印刷されなくなることは、致命的な問題となり得る可能性がある。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−220560号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記従来技術の欠点が除去され、環境に配慮されており、長期保存に対して乳化安定性が高く、このため輪転孔版印刷機上に長期放置されてもスクリーン目詰まりをおこさない、孔版印刷用エマルションインキを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明はこの課題を解決する為になされたものであり、すなわち請求項1記載の発明は、油相10〜90重量%および水相90〜10重量%によって構成される孔版印刷用W/O型エマルションインキにおいて、前記油相のオイル成分中に中鎖脂肪酸トリグリセリドを含有することを特徴とするものである。
本発明はこの手段により、中鎖脂肪酸トリグリセリドを使用することで、環境と人体に安全であり、且つ長期保存に対して目詰まりを生じないインキを提供することができる。
【0008】
中鎖脂肪酸トリグリセリドは、やし油等の植物油を原料としていることから環境に配慮されており、また、細菌の耐熱性を低下させる特徴があり、細菌の繁殖による乳化系の破壊(W/Oエマルション自体の安定性)に対しても効果があり、安定性や安全性にも優れている。
更に飽和酸のみから構成されていることから、酸化重合による目詰まりを起こさず、長期間の放置に対しても目詰まりを生じにくい孔版印刷用W/O型エマルションインキを得ることが可能となった。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記油相のオイル成分として、中鎖脂肪酸トリグリセリドと不飽和脂肪酸を有するオイルとを混合して用いることである。本発明はこの手段により、不飽和脂肪酸を有する植物油単独と比較し、格段に酸化重合を抑えることが可能となることから、従来の植物油が使用できるようになることに加え、環境に更に良好且つ安価な孔版印刷用W/O型エマルションインキを得ることが可能となった。
【0010】
また、請求項3記載の発明は、中鎖脂肪酸トリグリセリドと不飽和脂肪酸を有するオイルとを混合して用いる場合に、前記油相成分中に油溶性酸化防止剤を含有することを特徴とすることである。本発明はこの手段により、長期放置による印刷機上のスクリーンの目詰まりに対する効果が向上する他、中鎖脂肪酸トリグリセリドが酸化防止剤、特にビタミン類の溶剤として優れることから、少量の添加でも効果があり、安全性とコストの面で有効である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
前記エマルションの水相は、水、電解質、防黴剤、水蒸発防止剤、凍結防止剤、水溶性高分子、水中油型樹脂エマルション、着色剤、着色剤分散剤など、また前記油相は、油成分、着色剤分散剤、着色剤、体質顔料、樹脂、乳化剤等から構成される。これらの構成成分は、エマルションの形成を阻害しない公知のものが使用される。
【0012】
本発明に用いられる中鎖脂肪酸トリグリセリド(以下、MCTという)はグリセリンの中鎖脂肪酸エステルであり、ここでの中鎖脂肪酸とは炭素数が6〜12の脂肪酸、特に飽和脂肪酸(カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸等が挙げられる)をいう。本発明ではMCTとしては、特にトリカプリル酸グリセリン、トリカプリン酸グリセリン、トリラウリン酸グリセリン等が好ましく用いられるが、これに限定させるものではない。
油相のオイル成分に占めるMCTの量は100重量%以下、好ましくは30〜100重量%である。
【0013】
本発明に用いられる、不飽和脂肪酸を有するオイルは、大豆油、コーン油、ヒマワリ油、なたね油、サフラワー油、ごま油、ひまし油、脱水ひまし油、つばき油、オリーブ油、やし油、米油、綿実油、パーム油、あまに油、パーム核油、桐油等が挙げられるが、これに限定させるものではない。
オイル成分に占める不飽和脂肪酸を有するオイルの量は、70重量%以下、好ましくは10〜50重量%であるが、MCTとの関係においてはMCT100重量部に対して10〜200重量部の割合で配合されるのが好ましい。
【0014】
また、その他オイルとして、本発明の効果を損なわない範囲で公知の鉱物油、石油系溶剤、流動パラフィン、スピンドル油等の公知のものを併用しても良い。
パラフィン系オイルはモービル石油社のガーゴオイルアークティックシリーズ、日本石油社の日石スパーオイルシリーズ、出光興産社のダイアナプロセスオイル、ダイアナフレシアシリーズ等があげられる。
ナフテン系オイルとしては、環分析によるナフテン成分の炭素含有量(CN)が30%以上、かつ芳香族成分の炭素の含有量(CA)が20%以下かつパラフィン成分の炭素含有量(CP)が55%以下である鉱物油モービル石油社のガーゴオイルアークティックオイル155および300ID、ガーゴオイルアークティックオイルライト及びガーゴオイルアークティックオイルCヘビー、出光興産社のダイアナプロセスオイル、ダイアナフレシアシリーズ、日本サン石油社のサンセンオイルシリーズ等が挙げられる。
【0015】
安全性の高い石油系溶剤としてはエクソン化学社のアイソパーシリーズ及びエクソール、新日本石油社のAFソルベントシリーズ等があげられる。これらの油成分は安定性を考慮した場合、3環以上の縮合芳香族環を含む芳香族炭化水素である多環芳香族成分が3質量%未満のものを使用することが望ましい。さらに、変異原性指数MIが1.0未満、アロマ分(%CA)が20〜55%、アニリン点が100℃以下であって、かつオイル全重量基準でベンゾ[a]アントラセン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[j]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、ベンゾ[a]ピレン、ジベンゾ[a,j]アクリジン等の多環芳香族の含有量がそれぞれ個々に10重量ppm以下であり、含有量の合計量が50重量ppm以下である、安全性の高いアロマ系オイル(特開平11−80640)も必要であれば使用しても良い。これらのオイルは単独でも複数混合して添加しても良い。
オイル成分に占める、この“その他オイル”の量は、0〜60重量%、好ましくは0〜30重量%である。
【0016】
また、オイル成分は油相の10〜90重量%、好ましくは50〜80重量%が適当である。
【0017】
本発明で用いられる着色剤は各種色調の公知の顔料、分散染料等が用いることができ、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラック類、アルミニウム粉、ブロンズ粉などの金属粉、弁柄、黄鉛、群青、酸化クロム、酸化チタン等の無機顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料などのアゾ系顔料、無金属フタロシアニン顔料や銅フタロシアニン顔料などのフタロシアニン系顔料、アントラキノン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ジオキサンジン系、スレン系、ベリレン系、ペリノン系、チオインジゴ系、キノフタロン系、金属錯体、などの縮合多環系顔料、酸性または塩基性染料のレーキ等の有機顔料、ジアゾ染料、アントラキノン系染料等の油溶性染料、蛍光顔料;等が挙げられる。
【0018】
蛍光顔料としては、合成樹脂を塊状重合する際または重合した後に、様々な色相を発色する蛍光染料を溶解または染着し、えられた着色塊状樹脂を粉砕して微細化した、所謂、合成樹脂固溶体タイプのもので、染料を担持する合成樹脂としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、スルホンアミド樹脂、アルキド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等を染料に担持する蛍光顔料等が挙げられる。
【0019】
これらの染顔料類は、単独でも2種以上混合して添加しても良い。油相に分散された不溶性着色剤の平均粒径は10〜0.1μm、好ましくは1〜0.1μmであることが望ましい。その使用量は必要量に応じて添加することが可能であるが、通常2〜15重量%である。
【0020】
着色剤は一般には油相に分散あるいは添加されるが、必要に応じて水相に添加されていてもよい。また、着色剤は他の系に悪影響しない範囲で2種類以上の着色剤を同相あるいは他相に添加しても良い。着色剤の添加剤はインキ重量に対して、通常2〜15重量%、好ましくは4〜10重量%である。
なお、カーボンブラックに関しては油相に添加する場合にはpH5未満の酸性のカーボンブラックを使用することが望ましい。代表的なカーボンブラックとしてはMA−100、MA−7、MA−77、MA−11、#40、#44(三菱化学社製)Raven ll00、Raven l080、Raven 1255、Raven 760、Raven 410(コロンビヤンカーボン社製)などが挙げられる。
【0021】
本発明で用いられる乳化剤は、油中水型のエマルションを形成する目的で使用され、好ましくは非イオン系界面活性剤であり、たとえば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油及び高級アルコール等があげられる。
【0022】
これらは、単独あるいはこれらのHLBの異なるものを2種類以上あわせて安定性の高いエマルションを調整する。添加量はインキ重量の1〜8重量%、好ましくは2〜5.5重量%とすればよい。
【0023】
油相に添加される樹脂は、ロジン、重合ロジン、水素化ロジン、ロジンエステル、ロジンポリエステル樹脂、水素化ロジンエステル等のロジン系樹脂,ロジン変性アルキド樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂;ロジン変性フェノール樹脂、等のロジン変性樹脂;マレイン酸樹脂;フェノール樹脂;石油樹脂;環化ゴムなどのゴム誘導体樹脂;テルペン樹脂;アルキド樹脂;重合ひまし油;等を1種または2種以上を混合して添加して良い。
【0024】
また、油相中に樹脂を添加する場合の樹脂使用量は、インキのコストおよび印刷適性から油相の2〜50重量%、より好ましくは5〜20重量%である。樹脂の重量平均分子量が低い場合及び添加量が少ない場合には定着性への効果が小さいこと、また重量平均分子量が高すぎたり、樹脂の添加量が多い場合にはインキの塑性粘度が高くなり、ドラム後端からインキが漏れるなどの印刷適性の問題が生じる。
【0025】
アルキド樹脂は油脂と多塩基酸と多価アルコールから構成されるが、油脂としてはヤシ油、パーム油、オリーブ油、ひまし油、米糠油、綿実油等のヨウ素か80以下の不乾性油あるいは半乾性油およびこれらの脂肪酸が挙げられるが、大豆油、アマニ油、キリ油等の乾性油もアルキド樹脂のヨウ素価が80以下の範疇では一部使用しても良い。多塩基酸としては無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、テトラヒドロフタル酸等の飽和多塩基酸、およびマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和多塩基酸があげられる。
【0026】
多価アルコールとしては、エレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ネオベンチルグリコール、ジグリセリン、トリグリセリン、ペンタエリスリット、ジペンタエリスリット、マンニット、ソルビット等があげられる。アルキド樹脂の油長は油脂中の脂肪酸がトリグリセライドで存在したときの樹脂中の重量%で示される。
【0027】
アルキド樹脂は分散安定性、および皮膜形成による版銅スクリーンの目詰まり等の問題から、油長60〜90、ヨウ素価80以下であることが好ましい。アルキド樹脂の重量平均分子量は好ましくは3万未満、より好ましくは1万以下のものが好ましい。
【0028】
油相に使用する着色剤の着色剤分散剤としてはエマルションの形成を阻害しない物が使用でき、前記の乳化剤用非イオン性界面店性剤及び水溶性高分子も使用することができる。
【0029】
着色剤分散剤としてはアルキルアミン系高分子化合物、アルミニウムキレート系化合物、スチレン−無水マレイン酸系共重合高分子化合物、ポリカルボン酸エステル型高分子化合物、脂肪族系多価カルボン酸、高分子ポリエステルのアミン塩類、エステル型アニオン界面活性剤、高分子量ポリカルボン酸の長鎖アミン塩類、長鎖ポリアミノアミドと高分子酸ポリエステルの塩、ホリアミド系化合物、燐酸エステル系界面活性剤、アルキルスルホカルボン酸塩類、α−オレフィンスルホン酸塩類、ジオクチルスルホコハク酸塩類、ポリエチレンイミン、アルキロールアミン塩、及びアルキド樹脂などの不溶性着色剤分散能を有する樹脂なども挙げられる。
【0030】
この他にもインキの保存安定性を阻害しない範囲であればイオン性界面活性剤、両性界面活性剤なども挙げられる。これらの分散剤は単独または2種類以上混合して添加すれば良く、高分子及び樹脂以外の着色剤分散剤の添加量は着色剤重量の40重量%以下、好ましくは2〜35重量%とすれば良い。アルキド樹脂は高分子量の樹脂を添加するときに不溶性着色剤の分散安定性に特に効果があるが、アルキド樹脂を単独または他の分散剤と併用して使用する場合の樹脂の添加量は重量にして不溶性着色剤1に対して0.05以上であることが好ましい。
【0031】
ゲル化剤は、油相に含まれる樹脂をゲル化してインキの保存安定性、定着性、流動性を向上させる役割をもち、本発明のインキに添加されるゲル化剤としては、油相中の樹脂と配位結合する化合物が好ましい。このような化合物を例示すると、Li、Na、K、Al、Ca、Co、Fe、Mn、Mg、Pb、Zn、Zr等の金属を含む有機酸塩、有機キレート化合物、金属石鹸オリゴマー等であり、具体的には、オクチル酸アルミニウム等のオクチル酸金属塩、ナフテン酸マンガン等のナフテン酸金属塩、ステアリン酸亜鉛等のステアリン酸塩、アルミニウムジイソプロポキシドモノエチルアセトアセテート等の有機キレート化合物等が挙げられる。これらのゲル化剤は、1種または2種類以上を油相に添加すれば良く、その添加量は油相中の樹脂の15%以下、好ましくは5〜10重量%である。
【0032】
本発明で用いる酸化防止剤としては、ノルジヒドログアヤレチック酸(NDGA)、グアヤク脂、クエン酸エステル、抽出トコフェロール、トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、L−アスコルビン酸モノステアレート、没食子酸等の公知のものが使用でき、その添加量はインキ中の油の2重量%以下、好ましくは0.01〜1.0重量%である。
なお、酸化防止剤は単独でも2種類以上を混合して使っても良い。
【0033】
またインキ中には惨み防止、あるいは粘度調整のために体質顔料も添加できる。インキ中に添加される体質顔料としては白土、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナホワイト、ケイソウ土、カオリン、マイカ、水酸化アルミニウム等の無機微粒子およびポリアクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリシロキサン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、等の有機微粒子またはこれらの共重合体からなる微粒子が挙げられる。これらは油相、水相また両相に添加しても良く、添加量はインキに対して0.1〜50重量%が好ましく、より好ましくは1〜5重量%である。
【0034】
水相に添加される電解質は、エマルションの保存安定性を高めるために添加されるものである。従って、電解質により影響を受ける材料が水相に存在しない場合に使用するのが望ましい。その添加量は水相の0.1から2重量%、好ましくは0.5〜1.5重量%である。電解質はクエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン等の陰イオンあるいはアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンなどを含む電解質であることが好ましい。従って添加される電解質としては、硫酸マグネシウム以外に、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、等が好ましい。これらの電解質は単独でも2種類以上混合して添加しても良い。
【0035】
エマルションインキの水相には保湿や増粘及び不溶性着色剤、体質顔料の分散および固着のために水溶性高分子やO/W樹脂エマルションを添加しても良い。これら水溶性高分子O/W樹脂エマルションはインキに含まれる水の25重量%以下、好ましくは0.5〜15重量%が添加される。
【0036】
水溶性高分子としては具体的には下記の天然または合成高分子が添加される。
例えば、デンプン、マンナン、アルギン酸ソーダ、ガラクタン、トラガントガム、アラビアガム、ブルラン、デキストラン、キサンタンガム、ニカワ、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン等の天然高分子;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン等の半合成高分子;アクリル酸樹脂およびポリアクリル酸ナトリウムなどの中和物、ポリビニルイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、ポリN−アクリロイルピロリジンやポリN−イソプロピルアクリルアミドなどのポリN−アルキル置換アクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルメチルエーテル、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体及びこれらをアルキル基で部分的に疎水した高分子、またアクリルアミド系ポリマーおよびアクリル系のポリマーに関しては置換基を部分的にアルキル基で疎水化した共重合タイプのポリマーでも良い。またポリエチレンとポリプロピレンまたはポリブチレンのブロックコポリマー用いることができる。これらの水溶性高分子は単独でも2種類以上混合しても良い。
【0037】
O/W樹脂エマルションとしては合成高分子でも天然高分子でもよい。
高分子としては酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタン等が挙げられる。
天然のものとしては油相に添加できる高分子等が挙げられる。これらは油中水型エマルションインキの安定性を阻害しない範囲であれば2種類以上を併用してもよく、また分散方法も分散剤、保護コロイド、界面活性剤を添加していてもよく、またソープフリー乳化重合によって合成した物でも良い。これらのO/W樹脂エマルションの最低造膜温度は40℃以下であることが望ましい。
【0038】
水相に添加される防腐・防かび剤は、エマルション内で細菌やかびが繁殖するのを防ぐために添加され、エマルションを長期保存する場合は防腐・防かび剤を添加するのが望ましい。その添加量は、インキ中に含まれる水の3重量%以下、好ましくは0.1〜1.2重量%とするのが良い。また防腐・防かび剤としてはサリチル酸、フェノール類、P−オキシ安息香酸メチル、P−オキシ安息香酸エチル等の芳香族ヒドロキシ化合物およびその塩素化合物のほか、ソルビン酸やデヒドロ酢酸等が使用され、これらは単独でも2種類以上混合して使っても良い。
【0039】
水の蒸発防止剤と凍結防止剤は兼用可能であり、これらの目的で添加される薬品はエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブイタノール、イソブタノール等の低級飽和一価アルコール;グリセリンやソルビトール等の多価アルコール;等である。これらの薬品は1種または2種以上を添加すれば良く、その添加量はインキ中の水重量の15重量%以下、好ましくは4〜12重量%である。
水相に添加されるpH調整剤は、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウム、トリアミルアミン等であり、必要時にはこれらのpH調整剤を添加して水相のpHを6〜8に保つことができる。水相のpHが前記範囲からはずれると、増粘剤用水溶性高分子が添加されている場合にはその効果が損なわれる等の問題がある。
【0040】
上記のほか、本発明の孔版印刷用油中水型エマルションインキには、印刷時に印刷用紙と印刷ドラムとの分離を良くするため、或いは印刷用紙の巻き上がり防止のために油相にワックスを添加することができる。また、水相にはトリエタノールアミンや水酸化ナトリウム等を添加して、水溶性高分子添加による高粘度化を更に増進させることができる。さらに、水相に防錆剤や消泡剤を添加して印刷の際に印刷機がインキによって錆びたり、インキが泡立つことを防止することができる。これらの添加剤は、孔版印刷用インキに添加されている公知品を必要に応じて添加すれば良く、その添加量は従来品の場合と同程度でよい。
【0041】
本発明のエマルションインキは、従来のエマルションインキ製造時と同様にして油相及び水相液を調整し、この両方を公知の乳化機内で乳化させてインキとすればよい。すなわち、着色剤、乳化剤及び必要に応じて添加される樹脂等の添加物を良く分散させた油相を調整し、これに防腐・防かび剤や水溶性高分子等が必要に応じて添加されている水溶液を徐々に添加して乳化すれば良い。
【0042】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。
なお、以下に記す部は重量部である。
【0043】
本発明のW/O型エマルションインキは、顔料、オイル、顔料分散剤を3本ロールで練肉することで顔料分散体の調整を行い、この顔料分散体に乳化用界面活性剤、オイルと樹脂等のワニスを加え油相とし、これに水、凍結防止剤、抗菌剤、電解質あるいは水溶性樹脂などからなる水相を加え乳化することにより孔版印刷機用エマルションインキとした。必要に応じ体質顔料などの他の成分を加えても良い。インキの粘度は攪拌条件によっても調節可能であり、システムにあった粘度であれば良く特に規定はないが、ずり速度20s−1の時の粘度が3〜40Pa・sが望ましく、好ましくは10〜30Pa・sであることが望ましい。
【0044】
実施例及び比較例で使用している材量として、カーボンブラックはコロンビヤンカーボン社製RAVENll00、顔料分散剤は味の素社製プレーンアクトAL−M、乳化剤(ソルビタンセスキオレート)は日光ケミカルズ社製SO−15、MCTとしては、花王株式会社製ココナードML、大豆油は日清製油社製大豆白絞油、鉱物油はエクソンモービル社製ガーゴイルアークテイックライト、酸化防止剤は市販のセザモール系、エチレングリコール、硫酸マグネシウムは市販品、水は水道水を使用した。
実施例1〜3及び比較例1〜2の処方を表1に示した。
【0045】
【表1】
【0046】
(エマルションインキの評価)
インキの評価に関しては、機上放置安定性/乳化安定性の視点で、以下3種の評価を実施した。
評価▲1▼
東北リコー製プリポートVT3950に、該当インキを十分いきわたらせた後に、ドラムを60℃のオーブンで1ヶ月放置した後、再び印刷を行い、画像が全面に出ているかどうかを目視により、以下4段階で評価した。
◎:画像が全面に速やかに出る。
○:立ち上がりに数枚要するものの、全面立ち上がっている。
△:僅かに画像が立ち上がらない部分がある。
×:立ち上がらない個所が多く、実使用に耐えない。
【0047】
評価▲2▼
東北リコー製プリポートVT3950に、該当インキを十分いきわたらせた後に、トラムを室温で3ヶ月放置した後、再び印刷を行い、画像が全面に出ているかどうかを目視により、以下4段階で評価した。
◎:画像が全面に速やかに出る。
○:立ち上がりに数枚要するものの、全面立ち上がっている。
△:僅かに画像が立ち上がらない部分がある。
×:立ち上がらない個所が多く、実使用に耐えない。
【0048】
評価▲3▼
インキパックにて、60℃のオーブンで3ヶ月放置した後、パック口部の通電抵抗を測定した。抵抗値が高いとW/Oの状態を維持しており、抵抗が下がってくるとエマルションの合一等の影響で乳化系が破壊されてきていることを示している。
【0049】
実施例1〜3及び比較例1〜2の評価結果を表2に示した。
【表2】
【0050】
表2の評価から明らかなように、
▲1▼環境に配慮されていることは、
表1の処方より、比較例2はオイル成分中鉱物油が100%であるのに対し、実施例1〜3では100%が植物油を原料としたものであることが分かり、本発明は環境に配慮されていることが分かる。
▲2▼長期保存に対して乳化安定性が高いことは、
表2より、実施例1〜3は、評価▲3▼において良好な乳化安定性を示しているのに対し、比較例1及び2では、多少通電抵抗の低下が見られ、防腐剤を添加していない水相では、乳化安定性が弱いことが分かる。
▲3▼長期保存等に対してスクリーン目詰まりをおこさないことは、
実施例1〜3では評価▲1▼及び▲2▼において、ほぼ画像立ち上がりに問題が無いことに対し、比較例1では目詰まりを生じており、使用上問題があることが分かる。
【0051】
【発明の効果】
本発明の孔版印刷用エマルションインキは、環境に配慮されており、長期保存に対して乳化安定性が高く、さらに印刷機上での長期放置等に対してスクリーン目詰まりをおこさない等の効果がある。
【発明の属する技術分野】
本発明は、孔版印刷用W/O型エマルションインキに関し、詳しくは、印刷材上で長期放置されてもスクリーン目詰まりをおこさない孔版印刷用W/O型エマルションインキに関する。
【0002】
【従来の技術】
孔版印刷方法は周知のように、孔版印刷原紙を用い、この原紙の穿孔部を介して原紙の一方の側より他方の側ヘインキを移動させることにより、紙などの被印刷物面に印刷を行なうものである。従来より用いられているインキは、揮発性溶剤、不揮発性溶剤、樹脂、着色剤、界面活性剤、水、凍結防止剤、電解質、防腐剤等により構成された油中水型(W/O型)のエマルションインキである。
【0003】
近年、環境に配慮して植物油を含有したインキが使用されてきている。しかし、植物油は基本的に不飽和脂肪酸を有し、ヨウ素価100を超え、半乾性油・乾性油であるため、この植物油を孔版印刷用インキに含有した場合、印刷機上で長期放置することで不飽和脂肪酸の酸化が起こり、インキが固化し、印刷機のスクリーン目詰まりを引き起こし、安定性に欠けるという問題がある。
【0004】
この問題を解決するものとして、油相中にヨウ素価110〜150の植物油を含有し、かつ、この植物油に対して一定量の酸化防止剤を含有させたW/O型エマルションインキが提案されている(特許文献1)。しかしながら、この発明によれば、1ヶ月程度の放置期間に対しては印刷機上のスクリーンに目詰まりが発生しないものの、更なる放置(2ヶ月以上)に対しては、ヨウ素価の高い植物油の酸化による目詰まりが抑えきれず、効果が不足である。実際のユーザーの使用状況により、数ヶ月に一回しか印刷を行わないユーザーもおり、目詰まりによって画像が印刷されなくなることは、致命的な問題となり得る可能性がある。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−220560号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記従来技術の欠点が除去され、環境に配慮されており、長期保存に対して乳化安定性が高く、このため輪転孔版印刷機上に長期放置されてもスクリーン目詰まりをおこさない、孔版印刷用エマルションインキを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明はこの課題を解決する為になされたものであり、すなわち請求項1記載の発明は、油相10〜90重量%および水相90〜10重量%によって構成される孔版印刷用W/O型エマルションインキにおいて、前記油相のオイル成分中に中鎖脂肪酸トリグリセリドを含有することを特徴とするものである。
本発明はこの手段により、中鎖脂肪酸トリグリセリドを使用することで、環境と人体に安全であり、且つ長期保存に対して目詰まりを生じないインキを提供することができる。
【0008】
中鎖脂肪酸トリグリセリドは、やし油等の植物油を原料としていることから環境に配慮されており、また、細菌の耐熱性を低下させる特徴があり、細菌の繁殖による乳化系の破壊(W/Oエマルション自体の安定性)に対しても効果があり、安定性や安全性にも優れている。
更に飽和酸のみから構成されていることから、酸化重合による目詰まりを起こさず、長期間の放置に対しても目詰まりを生じにくい孔版印刷用W/O型エマルションインキを得ることが可能となった。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記油相のオイル成分として、中鎖脂肪酸トリグリセリドと不飽和脂肪酸を有するオイルとを混合して用いることである。本発明はこの手段により、不飽和脂肪酸を有する植物油単独と比較し、格段に酸化重合を抑えることが可能となることから、従来の植物油が使用できるようになることに加え、環境に更に良好且つ安価な孔版印刷用W/O型エマルションインキを得ることが可能となった。
【0010】
また、請求項3記載の発明は、中鎖脂肪酸トリグリセリドと不飽和脂肪酸を有するオイルとを混合して用いる場合に、前記油相成分中に油溶性酸化防止剤を含有することを特徴とすることである。本発明はこの手段により、長期放置による印刷機上のスクリーンの目詰まりに対する効果が向上する他、中鎖脂肪酸トリグリセリドが酸化防止剤、特にビタミン類の溶剤として優れることから、少量の添加でも効果があり、安全性とコストの面で有効である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
前記エマルションの水相は、水、電解質、防黴剤、水蒸発防止剤、凍結防止剤、水溶性高分子、水中油型樹脂エマルション、着色剤、着色剤分散剤など、また前記油相は、油成分、着色剤分散剤、着色剤、体質顔料、樹脂、乳化剤等から構成される。これらの構成成分は、エマルションの形成を阻害しない公知のものが使用される。
【0012】
本発明に用いられる中鎖脂肪酸トリグリセリド(以下、MCTという)はグリセリンの中鎖脂肪酸エステルであり、ここでの中鎖脂肪酸とは炭素数が6〜12の脂肪酸、特に飽和脂肪酸(カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸等が挙げられる)をいう。本発明ではMCTとしては、特にトリカプリル酸グリセリン、トリカプリン酸グリセリン、トリラウリン酸グリセリン等が好ましく用いられるが、これに限定させるものではない。
油相のオイル成分に占めるMCTの量は100重量%以下、好ましくは30〜100重量%である。
【0013】
本発明に用いられる、不飽和脂肪酸を有するオイルは、大豆油、コーン油、ヒマワリ油、なたね油、サフラワー油、ごま油、ひまし油、脱水ひまし油、つばき油、オリーブ油、やし油、米油、綿実油、パーム油、あまに油、パーム核油、桐油等が挙げられるが、これに限定させるものではない。
オイル成分に占める不飽和脂肪酸を有するオイルの量は、70重量%以下、好ましくは10〜50重量%であるが、MCTとの関係においてはMCT100重量部に対して10〜200重量部の割合で配合されるのが好ましい。
【0014】
また、その他オイルとして、本発明の効果を損なわない範囲で公知の鉱物油、石油系溶剤、流動パラフィン、スピンドル油等の公知のものを併用しても良い。
パラフィン系オイルはモービル石油社のガーゴオイルアークティックシリーズ、日本石油社の日石スパーオイルシリーズ、出光興産社のダイアナプロセスオイル、ダイアナフレシアシリーズ等があげられる。
ナフテン系オイルとしては、環分析によるナフテン成分の炭素含有量(CN)が30%以上、かつ芳香族成分の炭素の含有量(CA)が20%以下かつパラフィン成分の炭素含有量(CP)が55%以下である鉱物油モービル石油社のガーゴオイルアークティックオイル155および300ID、ガーゴオイルアークティックオイルライト及びガーゴオイルアークティックオイルCヘビー、出光興産社のダイアナプロセスオイル、ダイアナフレシアシリーズ、日本サン石油社のサンセンオイルシリーズ等が挙げられる。
【0015】
安全性の高い石油系溶剤としてはエクソン化学社のアイソパーシリーズ及びエクソール、新日本石油社のAFソルベントシリーズ等があげられる。これらの油成分は安定性を考慮した場合、3環以上の縮合芳香族環を含む芳香族炭化水素である多環芳香族成分が3質量%未満のものを使用することが望ましい。さらに、変異原性指数MIが1.0未満、アロマ分(%CA)が20〜55%、アニリン点が100℃以下であって、かつオイル全重量基準でベンゾ[a]アントラセン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[j]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、ベンゾ[a]ピレン、ジベンゾ[a,j]アクリジン等の多環芳香族の含有量がそれぞれ個々に10重量ppm以下であり、含有量の合計量が50重量ppm以下である、安全性の高いアロマ系オイル(特開平11−80640)も必要であれば使用しても良い。これらのオイルは単独でも複数混合して添加しても良い。
オイル成分に占める、この“その他オイル”の量は、0〜60重量%、好ましくは0〜30重量%である。
【0016】
また、オイル成分は油相の10〜90重量%、好ましくは50〜80重量%が適当である。
【0017】
本発明で用いられる着色剤は各種色調の公知の顔料、分散染料等が用いることができ、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラック類、アルミニウム粉、ブロンズ粉などの金属粉、弁柄、黄鉛、群青、酸化クロム、酸化チタン等の無機顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料などのアゾ系顔料、無金属フタロシアニン顔料や銅フタロシアニン顔料などのフタロシアニン系顔料、アントラキノン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ジオキサンジン系、スレン系、ベリレン系、ペリノン系、チオインジゴ系、キノフタロン系、金属錯体、などの縮合多環系顔料、酸性または塩基性染料のレーキ等の有機顔料、ジアゾ染料、アントラキノン系染料等の油溶性染料、蛍光顔料;等が挙げられる。
【0018】
蛍光顔料としては、合成樹脂を塊状重合する際または重合した後に、様々な色相を発色する蛍光染料を溶解または染着し、えられた着色塊状樹脂を粉砕して微細化した、所謂、合成樹脂固溶体タイプのもので、染料を担持する合成樹脂としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、スルホンアミド樹脂、アルキド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等を染料に担持する蛍光顔料等が挙げられる。
【0019】
これらの染顔料類は、単独でも2種以上混合して添加しても良い。油相に分散された不溶性着色剤の平均粒径は10〜0.1μm、好ましくは1〜0.1μmであることが望ましい。その使用量は必要量に応じて添加することが可能であるが、通常2〜15重量%である。
【0020】
着色剤は一般には油相に分散あるいは添加されるが、必要に応じて水相に添加されていてもよい。また、着色剤は他の系に悪影響しない範囲で2種類以上の着色剤を同相あるいは他相に添加しても良い。着色剤の添加剤はインキ重量に対して、通常2〜15重量%、好ましくは4〜10重量%である。
なお、カーボンブラックに関しては油相に添加する場合にはpH5未満の酸性のカーボンブラックを使用することが望ましい。代表的なカーボンブラックとしてはMA−100、MA−7、MA−77、MA−11、#40、#44(三菱化学社製)Raven ll00、Raven l080、Raven 1255、Raven 760、Raven 410(コロンビヤンカーボン社製)などが挙げられる。
【0021】
本発明で用いられる乳化剤は、油中水型のエマルションを形成する目的で使用され、好ましくは非イオン系界面活性剤であり、たとえば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油及び高級アルコール等があげられる。
【0022】
これらは、単独あるいはこれらのHLBの異なるものを2種類以上あわせて安定性の高いエマルションを調整する。添加量はインキ重量の1〜8重量%、好ましくは2〜5.5重量%とすればよい。
【0023】
油相に添加される樹脂は、ロジン、重合ロジン、水素化ロジン、ロジンエステル、ロジンポリエステル樹脂、水素化ロジンエステル等のロジン系樹脂,ロジン変性アルキド樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂;ロジン変性フェノール樹脂、等のロジン変性樹脂;マレイン酸樹脂;フェノール樹脂;石油樹脂;環化ゴムなどのゴム誘導体樹脂;テルペン樹脂;アルキド樹脂;重合ひまし油;等を1種または2種以上を混合して添加して良い。
【0024】
また、油相中に樹脂を添加する場合の樹脂使用量は、インキのコストおよび印刷適性から油相の2〜50重量%、より好ましくは5〜20重量%である。樹脂の重量平均分子量が低い場合及び添加量が少ない場合には定着性への効果が小さいこと、また重量平均分子量が高すぎたり、樹脂の添加量が多い場合にはインキの塑性粘度が高くなり、ドラム後端からインキが漏れるなどの印刷適性の問題が生じる。
【0025】
アルキド樹脂は油脂と多塩基酸と多価アルコールから構成されるが、油脂としてはヤシ油、パーム油、オリーブ油、ひまし油、米糠油、綿実油等のヨウ素か80以下の不乾性油あるいは半乾性油およびこれらの脂肪酸が挙げられるが、大豆油、アマニ油、キリ油等の乾性油もアルキド樹脂のヨウ素価が80以下の範疇では一部使用しても良い。多塩基酸としては無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、テトラヒドロフタル酸等の飽和多塩基酸、およびマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和多塩基酸があげられる。
【0026】
多価アルコールとしては、エレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ネオベンチルグリコール、ジグリセリン、トリグリセリン、ペンタエリスリット、ジペンタエリスリット、マンニット、ソルビット等があげられる。アルキド樹脂の油長は油脂中の脂肪酸がトリグリセライドで存在したときの樹脂中の重量%で示される。
【0027】
アルキド樹脂は分散安定性、および皮膜形成による版銅スクリーンの目詰まり等の問題から、油長60〜90、ヨウ素価80以下であることが好ましい。アルキド樹脂の重量平均分子量は好ましくは3万未満、より好ましくは1万以下のものが好ましい。
【0028】
油相に使用する着色剤の着色剤分散剤としてはエマルションの形成を阻害しない物が使用でき、前記の乳化剤用非イオン性界面店性剤及び水溶性高分子も使用することができる。
【0029】
着色剤分散剤としてはアルキルアミン系高分子化合物、アルミニウムキレート系化合物、スチレン−無水マレイン酸系共重合高分子化合物、ポリカルボン酸エステル型高分子化合物、脂肪族系多価カルボン酸、高分子ポリエステルのアミン塩類、エステル型アニオン界面活性剤、高分子量ポリカルボン酸の長鎖アミン塩類、長鎖ポリアミノアミドと高分子酸ポリエステルの塩、ホリアミド系化合物、燐酸エステル系界面活性剤、アルキルスルホカルボン酸塩類、α−オレフィンスルホン酸塩類、ジオクチルスルホコハク酸塩類、ポリエチレンイミン、アルキロールアミン塩、及びアルキド樹脂などの不溶性着色剤分散能を有する樹脂なども挙げられる。
【0030】
この他にもインキの保存安定性を阻害しない範囲であればイオン性界面活性剤、両性界面活性剤なども挙げられる。これらの分散剤は単独または2種類以上混合して添加すれば良く、高分子及び樹脂以外の着色剤分散剤の添加量は着色剤重量の40重量%以下、好ましくは2〜35重量%とすれば良い。アルキド樹脂は高分子量の樹脂を添加するときに不溶性着色剤の分散安定性に特に効果があるが、アルキド樹脂を単独または他の分散剤と併用して使用する場合の樹脂の添加量は重量にして不溶性着色剤1に対して0.05以上であることが好ましい。
【0031】
ゲル化剤は、油相に含まれる樹脂をゲル化してインキの保存安定性、定着性、流動性を向上させる役割をもち、本発明のインキに添加されるゲル化剤としては、油相中の樹脂と配位結合する化合物が好ましい。このような化合物を例示すると、Li、Na、K、Al、Ca、Co、Fe、Mn、Mg、Pb、Zn、Zr等の金属を含む有機酸塩、有機キレート化合物、金属石鹸オリゴマー等であり、具体的には、オクチル酸アルミニウム等のオクチル酸金属塩、ナフテン酸マンガン等のナフテン酸金属塩、ステアリン酸亜鉛等のステアリン酸塩、アルミニウムジイソプロポキシドモノエチルアセトアセテート等の有機キレート化合物等が挙げられる。これらのゲル化剤は、1種または2種類以上を油相に添加すれば良く、その添加量は油相中の樹脂の15%以下、好ましくは5〜10重量%である。
【0032】
本発明で用いる酸化防止剤としては、ノルジヒドログアヤレチック酸(NDGA)、グアヤク脂、クエン酸エステル、抽出トコフェロール、トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、L−アスコルビン酸モノステアレート、没食子酸等の公知のものが使用でき、その添加量はインキ中の油の2重量%以下、好ましくは0.01〜1.0重量%である。
なお、酸化防止剤は単独でも2種類以上を混合して使っても良い。
【0033】
またインキ中には惨み防止、あるいは粘度調整のために体質顔料も添加できる。インキ中に添加される体質顔料としては白土、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナホワイト、ケイソウ土、カオリン、マイカ、水酸化アルミニウム等の無機微粒子およびポリアクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリシロキサン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、等の有機微粒子またはこれらの共重合体からなる微粒子が挙げられる。これらは油相、水相また両相に添加しても良く、添加量はインキに対して0.1〜50重量%が好ましく、より好ましくは1〜5重量%である。
【0034】
水相に添加される電解質は、エマルションの保存安定性を高めるために添加されるものである。従って、電解質により影響を受ける材料が水相に存在しない場合に使用するのが望ましい。その添加量は水相の0.1から2重量%、好ましくは0.5〜1.5重量%である。電解質はクエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン等の陰イオンあるいはアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンなどを含む電解質であることが好ましい。従って添加される電解質としては、硫酸マグネシウム以外に、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、等が好ましい。これらの電解質は単独でも2種類以上混合して添加しても良い。
【0035】
エマルションインキの水相には保湿や増粘及び不溶性着色剤、体質顔料の分散および固着のために水溶性高分子やO/W樹脂エマルションを添加しても良い。これら水溶性高分子O/W樹脂エマルションはインキに含まれる水の25重量%以下、好ましくは0.5〜15重量%が添加される。
【0036】
水溶性高分子としては具体的には下記の天然または合成高分子が添加される。
例えば、デンプン、マンナン、アルギン酸ソーダ、ガラクタン、トラガントガム、アラビアガム、ブルラン、デキストラン、キサンタンガム、ニカワ、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン等の天然高分子;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン等の半合成高分子;アクリル酸樹脂およびポリアクリル酸ナトリウムなどの中和物、ポリビニルイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、ポリN−アクリロイルピロリジンやポリN−イソプロピルアクリルアミドなどのポリN−アルキル置換アクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルメチルエーテル、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体及びこれらをアルキル基で部分的に疎水した高分子、またアクリルアミド系ポリマーおよびアクリル系のポリマーに関しては置換基を部分的にアルキル基で疎水化した共重合タイプのポリマーでも良い。またポリエチレンとポリプロピレンまたはポリブチレンのブロックコポリマー用いることができる。これらの水溶性高分子は単独でも2種類以上混合しても良い。
【0037】
O/W樹脂エマルションとしては合成高分子でも天然高分子でもよい。
高分子としては酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタン等が挙げられる。
天然のものとしては油相に添加できる高分子等が挙げられる。これらは油中水型エマルションインキの安定性を阻害しない範囲であれば2種類以上を併用してもよく、また分散方法も分散剤、保護コロイド、界面活性剤を添加していてもよく、またソープフリー乳化重合によって合成した物でも良い。これらのO/W樹脂エマルションの最低造膜温度は40℃以下であることが望ましい。
【0038】
水相に添加される防腐・防かび剤は、エマルション内で細菌やかびが繁殖するのを防ぐために添加され、エマルションを長期保存する場合は防腐・防かび剤を添加するのが望ましい。その添加量は、インキ中に含まれる水の3重量%以下、好ましくは0.1〜1.2重量%とするのが良い。また防腐・防かび剤としてはサリチル酸、フェノール類、P−オキシ安息香酸メチル、P−オキシ安息香酸エチル等の芳香族ヒドロキシ化合物およびその塩素化合物のほか、ソルビン酸やデヒドロ酢酸等が使用され、これらは単独でも2種類以上混合して使っても良い。
【0039】
水の蒸発防止剤と凍結防止剤は兼用可能であり、これらの目的で添加される薬品はエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブイタノール、イソブタノール等の低級飽和一価アルコール;グリセリンやソルビトール等の多価アルコール;等である。これらの薬品は1種または2種以上を添加すれば良く、その添加量はインキ中の水重量の15重量%以下、好ましくは4〜12重量%である。
水相に添加されるpH調整剤は、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウム、トリアミルアミン等であり、必要時にはこれらのpH調整剤を添加して水相のpHを6〜8に保つことができる。水相のpHが前記範囲からはずれると、増粘剤用水溶性高分子が添加されている場合にはその効果が損なわれる等の問題がある。
【0040】
上記のほか、本発明の孔版印刷用油中水型エマルションインキには、印刷時に印刷用紙と印刷ドラムとの分離を良くするため、或いは印刷用紙の巻き上がり防止のために油相にワックスを添加することができる。また、水相にはトリエタノールアミンや水酸化ナトリウム等を添加して、水溶性高分子添加による高粘度化を更に増進させることができる。さらに、水相に防錆剤や消泡剤を添加して印刷の際に印刷機がインキによって錆びたり、インキが泡立つことを防止することができる。これらの添加剤は、孔版印刷用インキに添加されている公知品を必要に応じて添加すれば良く、その添加量は従来品の場合と同程度でよい。
【0041】
本発明のエマルションインキは、従来のエマルションインキ製造時と同様にして油相及び水相液を調整し、この両方を公知の乳化機内で乳化させてインキとすればよい。すなわち、着色剤、乳化剤及び必要に応じて添加される樹脂等の添加物を良く分散させた油相を調整し、これに防腐・防かび剤や水溶性高分子等が必要に応じて添加されている水溶液を徐々に添加して乳化すれば良い。
【0042】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。
なお、以下に記す部は重量部である。
【0043】
本発明のW/O型エマルションインキは、顔料、オイル、顔料分散剤を3本ロールで練肉することで顔料分散体の調整を行い、この顔料分散体に乳化用界面活性剤、オイルと樹脂等のワニスを加え油相とし、これに水、凍結防止剤、抗菌剤、電解質あるいは水溶性樹脂などからなる水相を加え乳化することにより孔版印刷機用エマルションインキとした。必要に応じ体質顔料などの他の成分を加えても良い。インキの粘度は攪拌条件によっても調節可能であり、システムにあった粘度であれば良く特に規定はないが、ずり速度20s−1の時の粘度が3〜40Pa・sが望ましく、好ましくは10〜30Pa・sであることが望ましい。
【0044】
実施例及び比較例で使用している材量として、カーボンブラックはコロンビヤンカーボン社製RAVENll00、顔料分散剤は味の素社製プレーンアクトAL−M、乳化剤(ソルビタンセスキオレート)は日光ケミカルズ社製SO−15、MCTとしては、花王株式会社製ココナードML、大豆油は日清製油社製大豆白絞油、鉱物油はエクソンモービル社製ガーゴイルアークテイックライト、酸化防止剤は市販のセザモール系、エチレングリコール、硫酸マグネシウムは市販品、水は水道水を使用した。
実施例1〜3及び比較例1〜2の処方を表1に示した。
【0045】
【表1】
【0046】
(エマルションインキの評価)
インキの評価に関しては、機上放置安定性/乳化安定性の視点で、以下3種の評価を実施した。
評価▲1▼
東北リコー製プリポートVT3950に、該当インキを十分いきわたらせた後に、ドラムを60℃のオーブンで1ヶ月放置した後、再び印刷を行い、画像が全面に出ているかどうかを目視により、以下4段階で評価した。
◎:画像が全面に速やかに出る。
○:立ち上がりに数枚要するものの、全面立ち上がっている。
△:僅かに画像が立ち上がらない部分がある。
×:立ち上がらない個所が多く、実使用に耐えない。
【0047】
評価▲2▼
東北リコー製プリポートVT3950に、該当インキを十分いきわたらせた後に、トラムを室温で3ヶ月放置した後、再び印刷を行い、画像が全面に出ているかどうかを目視により、以下4段階で評価した。
◎:画像が全面に速やかに出る。
○:立ち上がりに数枚要するものの、全面立ち上がっている。
△:僅かに画像が立ち上がらない部分がある。
×:立ち上がらない個所が多く、実使用に耐えない。
【0048】
評価▲3▼
インキパックにて、60℃のオーブンで3ヶ月放置した後、パック口部の通電抵抗を測定した。抵抗値が高いとW/Oの状態を維持しており、抵抗が下がってくるとエマルションの合一等の影響で乳化系が破壊されてきていることを示している。
【0049】
実施例1〜3及び比較例1〜2の評価結果を表2に示した。
【表2】
【0050】
表2の評価から明らかなように、
▲1▼環境に配慮されていることは、
表1の処方より、比較例2はオイル成分中鉱物油が100%であるのに対し、実施例1〜3では100%が植物油を原料としたものであることが分かり、本発明は環境に配慮されていることが分かる。
▲2▼長期保存に対して乳化安定性が高いことは、
表2より、実施例1〜3は、評価▲3▼において良好な乳化安定性を示しているのに対し、比較例1及び2では、多少通電抵抗の低下が見られ、防腐剤を添加していない水相では、乳化安定性が弱いことが分かる。
▲3▼長期保存等に対してスクリーン目詰まりをおこさないことは、
実施例1〜3では評価▲1▼及び▲2▼において、ほぼ画像立ち上がりに問題が無いことに対し、比較例1では目詰まりを生じており、使用上問題があることが分かる。
【0051】
【発明の効果】
本発明の孔版印刷用エマルションインキは、環境に配慮されており、長期保存に対して乳化安定性が高く、さらに印刷機上での長期放置等に対してスクリーン目詰まりをおこさない等の効果がある。
Claims (3)
- 油相10〜90重量%および水相90〜10重量%によって構成される孔版印刷用W/O型エマルションインキであって、前記油相のオイル成分中に中鎖脂肪酸トリグリセリドを含有することを特徴とする孔版印刷用W/O型エマルションインキ。
- 油相のオイル成分として、中鎖脂肪酸トリグリセリドと不飽和脂肪酸を有するオイルとを混合して用いることを特徴とする請求項1記載の孔版印刷用W/O型エマルションインキ。
- 油相成分中に油溶性酸化防止剤を含有することを特徴とする請求項2記載の孔版印刷用W/O型エマルションインキ。
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-
2003
- 2003-04-02 JP JP2003099379A patent/JP2004307555A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US8168708B2 (en) | 2006-08-25 | 2012-05-01 | Sun Chemical Corporation | Sheet-fed offset printing inks and varnishes comprising new solvents |
US8657945B2 (en) | 2006-08-25 | 2014-02-25 | Sun Chemical Corporation | Sheet-fed offset printing inks and varnishes comprising new solvents |
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CN105946382A (zh) * | 2016-05-12 | 2016-09-21 | 上海大学 | 采用丝网印刷术制备金属屏蔽零件的方法 |
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