JP4080121B2 - 孔版印刷用油中水型エマルションインキ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、孔版印刷用エマルションインキに関し、詳しくは臭気が少なく、コロ跡汚れが少なく、且つ保存安定性、機上放置性、長期機上放置性、定着性、べた埋り等に優れた孔版印刷用油中水型エマルションインキに関する。
【0002】
【従来の技術】
孔版印刷方法は、周知のように孔版印刷原紙を用い、この原紙の穿孔部を介して原紙の一方の側より他方の側ヘインキを移動させることにより、紙などの被印刷物面に印刷を行うものである。
従来より用いられているインキは油中水(W/O)型のエマルションインキであるが、揮発性溶剤、不揮発性溶剤、樹脂、着色剤、界面活性剤、水、凍結防止剤、電解質、防腐剤等より構成されている。
【0003】
近年、輪転孔版印刷機もマイクロコンピューター等による自動化が進み、操作も簡単になり、これに伴って孔版印刷の利用が増加している。しかし、孔版印刷の乾燥は浸透乾燥と蒸発乾燥のみであり、また機上でインキが固化しないように反応性の樹脂を使用することができないことから、インキの紙への定着性に対する要求が高まっている。また、印刷が事務室で行われるようになり、臭気が少ないインキの要求も高まってきている。更にまた、環境問題から両面印刷の需要が高まってきており、短時間での両面印刷の要求も高まってきている。
【0004】
これらの要求に対し、これまで、特開平6−107998号公報には、芳香族成分の少ない溶剤と液状のアルキド樹脂を使用したインキが提案されている。しかし、ここで用いられている溶剤は揮発性が高いため、機上で放置した場合比較的短期間でインキが乾燥し、スクリーンが目詰まりするという問題がある。
【0005】
また、特開平9−268268号公報には、ロジン変性フェノール樹脂の様な固形成分の樹脂を使用し、オイルにモーターオイルを使用したインキが提案されている。更に、特開平9−31384号公報には、水相に不溶性着色剤を含有するインキが提案されているが、そこでもモーターオイルが使用されている。これらのモーターオイルは一般的に臭気が強く、また温度変化に対するオイルの粘度変化が大きいなどの問題がある。
【0006】
また、これらのインキは不溶性着色剤が油相又は水相にのみ添加されているため、不溶性着色剤を含まない相が付着した紙繊維に不溶性着色剤が付着せず、ベタ埋まりが不十分であり、また不溶性着色剤が効率的に使用されないなどの問題もある。
【0007】
そのため、臭気が無く、短時間での両面印刷で問題となるコロ跡汚れがなく、機上で乾燥せず、定着性に優れ、ベタ埋まりに優れたインキが望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、前記従来技術の欠点を除去し、輪転孔版印刷機において、臭気が少なく、コロ跡汚れが少なく、且つ保存安定性、機上放置性、長期機上放置性等に優れ、しかも定着性に優れ、更にベタ埋まりにも優れた孔版印刷用エマルションインキを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、第一に、油相10〜90重量%及び水相90〜10重量%によって構成される油中水型エマルションインキにおいて、動粘度が6〜10mm2/s(40℃下)で、環分析によるナフテン成分の炭素の含有量(CN)が34%CN以上で、且つ芳香族成分の炭素の含有量(CA)が2〜20%CAで、しかもパラフィン成分の炭素の含有量(Cp)が55%未満である石油系溶剤を含有することを特徴とする孔版印刷用油中水型エマルションインキが提供される。
【0010】
第二に、更に、動粘度が10mm2/s(40℃下)を越える鉱物油を含有することを特徴とする上記第一に記載した孔版印刷用油中水型エマルションインキが提供される。
【0011】
第三に、前記鉱物油の含有量が油成分の30重量%以上90重量%以下であること特徴とする上記第二に記載した孔版印刷用油中水型エマルションインキが提供される。
【0012】
第四に、前記鉱物油が、環分析によるナフテン成分の炭素の含有量(CN)が34%CN以上で、且つ芳香族成分の炭素の含有量(CA)が20%CA以下であることを特徴とする上記第二又は第三に記載した孔版印刷用油中水型エマルションインキが提供される。
【0013】
第五に、更に、ロジン変性フェノール樹脂、ロジンポリエステル樹脂及び/又はアルキド樹脂を含有することを特徴とする上記第一〜第四のいずれかに記載した孔版印刷用油中水型エマルションインキが提供される。
【0014】
第六に、油相と水相の両相に不溶性着色剤を含有することを特徴とする上記第一〜第五のいずれかに記載した孔版印刷用油中水型エマルションインキが提供される。
【0015】
第七に、水相に水不溶性着色剤を含有することを特徴とする上記第一〜第五のいずれかに記載した孔版印刷用油中水型エマルションインキが提供される。
【0016】
即ち、本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、動粘度が6〜10mm2/s(40℃下)で、環分析によるナフテン成分の炭素の含有量(CN)が34%CN以上、芳香族成分の炭素の含有量(CA)が2〜20%CA、且つパラフィン成分の炭素の含有量(CP)が55%CP未満である石油系溶剤を含有させることにより、臭気が少なく、コロ跡汚れが少なく、保存安定性に優れ、且つ機上放置性に優れたものとなること、更に動粘度が10mm2/s(40℃下)を越える鉱物油、好ましくは該鉱物油を油成分の30〜90重量%含有させることにより、更に長期機上放置性及びコロ跡汚れに対し優れたものになること、特に上記鉱物油として、環分析によるナフテン成分の炭素の含有量(CN)が34%CN以上で且つ芳香族成分の炭素の含有量(CA)が20%CA以下であるものを使用することにより、臭気がより少なく、保存安定性に更に優れたものとなること、また更にロジン変性フェノール樹脂又はロジンポリエステル樹脂を含有させることにより、定着性に優れたものとなること、また、更にアルキド樹脂を含有させることにより、不溶性着色剤の分散安定性に優れたものとなること、また、油相と水相の両相に不溶性着色剤を含有させることにより、べた埋まりに優れたものとなること、並びに水相に水不溶性着色剤を含有させることにより、更にコロ跡汚れが少ないものとなることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】
本発明の孔版印刷用油中水型エマルションインキがこれらの効果を奏する理由は定かではないが、以下のように考えれる。即ち、石油系溶剤の粘度は揮発性と関係があるため、動粘度を6mm2/s(40℃下)以上にすることで短期間の機上放置性の乾燥に対し効果が有るものと思われる。また、該動粘度を10mm2/s(40℃下)以下にすることで、印刷後インキ成分中の低粘度成分が速やかに紙に浸透してコロ跡汚れを少なくし、また芳香族成分が20%CAを越えると臭気の問題が生じ、芳香族成分を適度に含有することで保存安定性に作用しているものと思われる。
【0018】
さらに動粘度が10mm2/s(40℃下)を越える鉱物油を含有し、また量を規定することにより、インキに不揮発性成分が存在することで、更に長期に及ぶ機上の放置性に優れる効果を有するものと思われる。また、鉱物油の相溶性に関係するナフテン成分と芳香族成分の含有量を規定することにより、インキの安定性を阻害しない効果が有るものと思われる。
【0019】
油相に樹脂を添加することで、不溶性着色剤の紙への固着を促進し、定着性が向上するものと思われる。
また、油相と水相の両相に不溶性着色剤を含有することにより、紙繊維に付着した水相部と油相部の両領域を着色することができるため、ベタ埋まりが向上するものと思われる。また、この効果はインキ中の不溶性着色剤濃度に対し画像濃度を高くする効果に対しても期待できる。
不溶性着色剤を水相に添加することで、外相である油相に色材が存在しないため、ロールヘの色材の付着を防ぐ効果があり、コロ跡汚れが更に良くなるものと思われる。
【0020】
なお、本発明における環分析は、潤滑ハンドブックp.344(日本潤滑学会編、養賢堂版)に記載されているn−d−M法に準拠して実施したものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を更に詳細に説明する。
前記W/O型エマルションインキの水相は、水、電解質、防徽剤、水蒸発防止剤、水溶性高分子、水中油型樹脂エマルション、不溶性着色剤、不溶性着色剤分散剤、体質顔料などから構成される。また前記W/O型エマルションインキの油相は、油成分、不溶性着色剤分散剤、不溶性着色剤、体質顔料、樹脂、乳化剤等から構成される。着色剤に関しては、必要であれば溶性の着色剤を添加してもよい。これらの構成成分は、エマルションの形成を阻害しない公知のものが使用される。
【0022】
本発明で用いる着色剤としては、各種色調の公知の顔料、分散染料等が用いられ、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラック類;アルミニウム粉、ブロンズ粉などの金属粉;弁柄、黄鉛、群青、酸化クロム、酸化チタン等の無機顔料;不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料などのアゾ系顔料;無金属フタロシアニン顔料や銅フタロシアニン顔料などのフタロシアニン系顔料;アントラキノン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ジオキサンジン系、スレン系、ペリレン系、ペリノン系、チオインジゴ系、キノフタロン系、金属錯体などの縮合多環系顔料;酸性又は塩基性染料のレーキ等の有機顔料;ジアゾ染料;アントラキノン系染料等の油溶性染料;蛍光顔料等が挙げられる。
【0023】
蛍光顔料としては、合成樹脂を塊状重合する際または重合した後に、様々な色相を発色する蛍光染料を溶解または染着し、得られた着色魂状樹脂を粉砕して微細化した、所謂、合成樹脂固溶体タイプのものである。ここで染料を担持する合成樹脂としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、スルホンアミド樹脂、アルキド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等があげられる。
【0024】
これらの染顔料類は油相、水相または両相に添加しても良く、単独でも2種以上混合して添加しても良い。
【0025】
油相及び水相に分散された不溶性着色剤の体積平均粒径は10〜0.1μm、好ましくは1〜0.1μmであることが望ましい。
その使用量は必要量に応じて添加することが可能であるが、通常2〜15重量%である。また、不溶性着色剤は油相及び水相に分散あるいは添加されるが、性質の近い不溶性着色剤は2種類以上の不溶性着色剤を同相に添加しても良い。
【0026】
カーボンブラックに関しては、油相に添加する場合にはpH5未満の酸性のカーボンブラックを使用するのが望ましく、また、水相に添加する場合にはpH5以上、好ましくはpH6〜10、より好ましくはpH7〜9のアルカリ性のカーボンブラックを使用することが望ましい。
代表的なカーボンブラックとしては、MA−100、MA−7、MA−77、MA−11、#40、#44(三菱化学社製)Raven1100、Raven1080、Raven1255、Raven760、Raven410(コロンビヤンカーボン社製)などが挙げられる。
【0027】
本発明で使用される油成分は、動粘度が6〜10mm2/s(40℃下)で、環分析によるナフテン成分の炭素の含有量(CN)が34%CN以上で、且つ芳香族成分の炭素の含有量(CA)が2〜20%CAである石油系溶剤として、出光興産社製のダイアナフレシアシリーズ(G−6、F−9)などが挙げられる。これらの石油系溶剤は保存安定性の点から、パラフィン成分の炭素の含有量(CP)が55%CP未満であることが望ましい。
【0028】
動粘度が10mm2/s(40℃下)を越え、且つ環分析によるナフテン成分の炭素の含有量(CN)が34%CN以上で、且つ芳香族成分の炭素の含有量(CA)が20%CA以下である不揮発性の鉱物油としては、出光興産社製のダイアナプロセスオイル(NP−24、NR−26、NR−68、NS−90S、NM−280など)、ダイアナフレシアシリーズ(N−28、N−90、N−150、U−46、U−56、U−68、U−130、U−170、U−260)、サン石油社製のサンセンオイルシリーズ(310、410、、415、420、430、450、380、480、3125、4130、4240)、モービル石油社製のガーゴイルアークティックオイル155及び300ID、ガーゴイルアークティックオイルライト及びガーゴイルアークティックオイルCヘビー等が挙げられる。
【0029】
また、その他の動粘度が10mm2/s(40℃下)を越える鉱物油としては、日石三菱社製の日石スーパーオイルシリーズ(B、C、D、Eなど)及びモービル石油社製のガーゴイルアークティックシリーズ(1010、1022、1032、1046、1068、1100など)及びバキュオリンエキストラヘビー、DTEエキストラヘビー、サン石油社製のサンパーオイルシリーズ(110、115、120、130、150、2100、2280など)、出光興産社製のダイアナプロセスオイル(PW−32、PW−90、PW−150、PS−32、PS−90など)、ダイアナフレシア(S−32、S−90、P−32、P−90、P−150、P−180、P−430など)などがある。そして、これらの油は単独でも2種類以上混合して使用しても良い。
【0030】
動粘度が10mm2/s(40℃下)を越える鉱物油成分は、油成分の30〜90重量%、好ましくは40〜70重量%である。また、これらの油成分は安全性を考慮した場合、3環以上の縮合芳香族環を含む芳香族炭化水素である多環芳香族成分が3重量%未満のものを使用することが望ましい。
さらに、変異原性指数MIが1.0未満、アロマ分(%CA)が20〜55%、アニリン点が100℃以下であって、かつオイル全重量基準でベンゾ[a]アントラセン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[j]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、ベンゾ[a]ピレン、ジベンゾ[a,j]アクリジン等の多環芳香族の含有量がそれぞれ個々に10重量ppm以下であり、含有量の合計量が50重量ppm以下である、安全性の高いアロマー系オイル(特開平11−80640号公報に記載)も必要であれば使用しても良い。
【0031】
本発明に使用される油は上記オイル以外に臭気、保存安定性、樹脂の溶解性などを阻害しない範囲で他のオイルを併用してもよい。例えば、石油系溶剤、流動パラフィン、スピンドル油、マシン油、潤滑油、鉱物油;あまに油、トール油、とうもろこし油、オリーブ油、ナタネ油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、大豆油、やし油等の植物油等が使用される。
また、本発明においては安全性、保存安定性、樹脂の溶解性などを阻害しない範囲で合成油も併用できる。
【0032】
なお、安全性の高い石油系溶剤としては、エクソン化学社製のアイソパーシリーズ(C、E、G、H、L、Mなど)及びエクソール(D30、D40、D80、D110、D130など)、日石三菱社製のAFソルベントシリーズ(4号、5号、6号、7号)等が挙げられる。
【0033】
本発明で用いられる乳化剤は、油中水型のエマルションを形成する目的で使用され、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤のいずれでも良く、安定性に効果が有れば低分子でも高分子でもまた併用しても良い。この中でも好ましいのは非イオン界面活性剤であり、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリルモノステアレート、デカグリセリルトリオレエート、ヘキサグリセリンポリリシノレートなどの(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン植物油脂肪酸エステルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン、硬化ヒマシ油及び高級アルコール等が挙げられ、単独あるいは2種類以上あわせて保存安定性の高いエマルションを調製する。添加量は通常インキ重量の0.5〜15重量%、好ましくは2〜8重量%とすれば良い。
【0034】
以上のほか、油相にはエマルションの形成を妨害しない範囲で樹脂、着色剤の分散剤、体質顔料、ゲル化剤及び酸化防止剤等を添加することができる。なお、前記の乳化剤も油相に含まれる。また、水相にはエマルションの形成を妨害しない範囲で不溶性着色剤分散剤、水溶性高分子、防腐・防かび剤、水の蒸発抑制剤、凍結防止剤、pH調整剤、電解質、体質顔料等を添加できる。
【0035】
油相に添加される樹脂としては、ロジン;重合ロジン、水素化ロジン、ロジンエステル、ロジンポリエステル樹脂、水素化ロジンエステル等のロジン系樹脂;ロジン変性アルキド樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂;ロジン変性フェノール樹脂等のロジン変性樹脂;マレイン酸樹脂;フェノール樹脂;石油樹脂;環化ゴムなどのゴム誘導体樹脂;テルペン樹脂;アルキド樹脂;重合ひまし油などを1種又は2種以上を混合して添加して良い。中でも、ロジン変性フェノール樹脂、ロジンポリエステル樹脂、アルキド樹脂の使用が好ましい。これら樹脂の代表的な樹脂としては、荒川化学社製のタマノル353、タマノル403、タマノル361、タマノル387、タマノル340、タマノル400、タマノル396、タマノル354、KG836、KG846、KG1834、KG1801等のロジン変性フェノール樹脂などが挙げられる。
【0036】
樹脂の重量平均分子量は定着性及び印刷適性から3万〜15万が好ましく、より好ましくは5.5万〜15万であり、更にこれらの樹脂は日石三菱0号ソルベントに対し溶解性を有するトレランスが1g/g以上(1gの樹脂に1g以上の0号ソルベントが相溶可能である)の樹脂が好ましい。また、油相中の樹脂使用量は、インキのコスト及び印刷適性から油相の2〜50重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
樹脂の重量平均分子量が低い場合及び添加量が少ない場合には定着性への効果が小さいこと、また重量平均分子量が高すぎたり、樹脂の添加量が多い場合にはインキの粘度が高くなり、ドラム後端からインキが漏れるなどの印刷適性の問題が生じる。
【0037】
本発明に使用されるアルキド樹脂は、油脂と多塩基酸と多価アルコールから構成される。油脂としては、ヤシ油、パーム油、オリーブ油、ひまし油、米糠油、綿実油等のヨウ素価80以下の不乾性油あるいは半乾性油及びこれらの脂肪酸が挙げられるが、大豆油、アマニ油、キリ油等の乾性油もアルキド樹脂のヨウ素価が80以下の範疇では一部使用しても良い。
【0038】
上記多塩基酸としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、テトラヒドロフタル酸等の飽和多塩基酸、及びマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和多塩基酸が使用できる。
【0039】
また、上記多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ジグリセリン、トリグリセリン、ペンタエリスリット、ジペンタエリスリット、マンニット、ソルビット等が使用できる。
【0040】
アルキド樹脂の油長は、油脂中の脂肪酸がトリグリセライドで存在したときの樹脂中の重量%で示される。アルキド樹脂は分散安定性、及び皮膜形成による版胴スクリーンの目詰まり等の問題から、油長60〜90、ヨウ素価80以下であることが好ましい。アルキド樹脂の重量平均分子量は、好ましくは3万未満、より好ましくは1万以下のものが好ましい。
【0041】
油相及び水相に分散する着色剤の着色剤分散剤としては、エマルションの形成を阻害しない物が使用でき、前記の乳化剤用非イオン界面活性剤及び水溶性高分子も使用することができる。
この分散剤には、ソルビタンセスキオレエートなどのソルビタン脂肪酸エステル、ヘキサグリセリンポリリシノレートなどのポリグリセリン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤、アルキルアミン系高分子化合物、アルミニウムキレート系化合物、スチレンー無水マレイン酸系共重合高分子化合物、ポリカルボン酸エステル型高分子化合物、脂肪族系多価カルボン酸、高分子ポリエステルのアミン塩類、エステル型アニオン界面活性剤、高分子量ポリカルボン酸の長鎖アミン塩類、長鎖ポリアミノアミドと高分子酸ポリエステルの塩、ポリアミド系化合物、燐酸エステル系界面活性剤、アルキルスルホカルボン酸塩類、α−オレフインスルホン酸塩類、ジオクチルスルホコハク酸塩類、ポリエチレンイミン、アルキロールアミン塩、及びアルキド樹脂などの不溶性着色剤分散能を有する樹脂などが挙げられる。この他にも、インキの保存安定性を阻害しない範囲であれば、イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
【0042】
これらの分散剤は単独又は2種類以上混合して添加すれば良く、高分子及び樹脂以外の着色剤分散剤の添加量は着色剤重量の40重量%以下、好ましくは2〜35重量%とすれば良い。アルキド樹脂は高分子量の樹脂を添加するときに不溶性着色剤の分散安定性に特に効果があるが、アルキド樹脂を単独又は他の分散剤と併用して使用する場合の樹脂の添加量は、不溶性着色剤1重量部に対して0.05重量部以上であることが好ましい。
【0043】
ゲル化剤は、油相に含まれる樹脂をゲル化してインキの保存安定性、定着性、流動性を向上させる役割をもち、本発明のインキに添加されるゲル化剤としては、油相中の樹脂と配位結合する化合物が好ましい。このような化合物を例示すると、Li、Na、K、Al、Ca、Co、Fe、Mn、Mg、Pb、Zn、Zr等の金属を含む有機酸塩、有機キレート化合物、金属石鹸オリゴマー等であり、具体的にはオクチル酸アルミニウム等のオクチル酸金属塩、ナフテン酸マンガン等のナフテン酸金属塩、ステアリン酸亜鉛等のステアリン酸塩、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等の有機キレート化合物等が挙げられる。
これらのゲル化剤は、1種又は2種類以上を油相に添加すれば良く、その添加量は油相中の樹脂の15重量%以下、好ましくは5〜10重量%である。
【0044】
油相に添加される酸化防止剤は、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール等であり、これらの添加によって油相中のバインダー樹脂等の酸化を防ぎ、これによってインキの粘度の上昇等が防止される。また、その添加量はインキ中の油の2重量%以下、好ましくは0.1〜1.0重量%である。なお、酸化防止剤は単独でも2種類以上を混合して使っても良い。
【0045】
また、インキ中には滲み防止あるいは粘度調整のために、体質顔料も添加できる。インキ中に添加される体質顔料としては、白土、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナホワイト、ケイソウ土、カオリン、マイカ、水酸化アルミニウム等の無機微粒子及びポリアクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリシロキサン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの有機微粒子又はこれらの共重合体からなる微粒子が挙げられる。
【0046】
体質顔料の具体的な例としては、アエロジル200、アエロジルR972等(日本アエロジル社製)、NEW D ORBEN(白石工業社製)、BEN−GEL、S−BEN、ORGANITEなど(豊順洋行社製)、TIXOGELシリーズ(VP、DS、GB、VG、EZ−100など)、OPTIGEL(日産ガードラー触媒社製)などが挙げられる。
これらは油相、水相また両相に添加しても良く、添加量はインキに対して0.1〜50重量%が好ましく、より好ましくは1〜5重量%である。
【0047】
エマルションインキの水相には保湿や増粘及び不溶性着色剤、体質顔料の分散及び固着のために水溶性高分子や水中油型樹脂エマルションを添加しても良い。
【0048】
水溶性高分子としては、具体的には下記の天然又は合成高分子が添加される。例えば、デンプン、マンナン、アルギン酸ソーダ、ガラクタン、トラガントガム、アラビアガム、ブルラン、デキストラン、キサンタンガム、ニカワ、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン等の天然高分子;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン等の半合成高分子;アクリル酸樹脂及びポリアクリル酸ナトリウムなどの中和物、ポリビニルイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、ポリN−アクリロイルピロリジンやポリN−イソプロピルアクリルアミドなどのポリN−アルキル置換アクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルメチルエーテル、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体及びこれらをアルキル基で部分的に疎水化した高分子、またアクリルアミド系ポリマー及びアクリル系のポリマーに関しては、置換基を部分的にアルキル基で疎水化した共重合タイプのポリマーでも良い。また、ポリエチレンとポリプロピレン又はポリブチレンのブロックコポリマーを用いることができる。これらの高分子を分散剤として使用する場合は、1g/dLの水溶液の表面張力が65mN/m以下を示すような界面活性能を有する水溶性の合成高分子等を用いるのが望ましい。
これらの水溶性高分子は単独でも2種類以上混合しても良く、インキに含まれる水の25重量%以下、好ましくは0.5〜15重量%が添加される。
【0049】
水中油型樹脂エマルションとしては、合成高分子でも天然高分子でもよい。高分子としては、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタン等が挙げられる。天然のものとしては、油相に添加できる高分子等が挙げられる。これらは油中水型エマルションインキの安定性を阻害しない範囲であれば2種類以上を併用してもよく、また分散方法も分散剤、保護コロイド、界面活性剤を添加していてもよく、またソープフリー乳化重合によって合成した物でも良い。これらの水中油型樹脂エマルションの最低造膜温度は40℃以下であることが望ましい。
【0050】
水相に添加される防腐・防かび剤は、エマルション内で細菌やかびが繁殖するのを防ぐために添加され、エマルションを長期保存する場合は防腐・防かび剤を添加するのが望ましい。その添加量は、インキ中に含まれる水の3重量%以下、好ましくは0.1〜1.2重量%とするのが良い。また、防腐・防かび剤としては、サリチル酸、フェノール類、p−オキシ安息香酸メチル、p−オキシ安息香酸エチル等の芳香族ヒドロキシ化合物及びその塩素化合物のほか、ソルビン酸やデヒドロ酢酸等が使用され、これらは単独でも2種類以上混合して使っても良い。
【0051】
水の蒸発防止剤と凍結防止剤は兼用可能であり、これらの目的で添加される薬品はエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等の低級飽和一価アルコール;グリセリンやソルビトール等の多価アルコール;等である。
これらの薬品は1種又は2種以上を添加すれば良く、その添加量はインキ中の水重量の15重量%以下、好ましくは4〜12重量%である。
【0052】
水相に添加されるpH調整剤は、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウム、トリアミルアミン等であり、必要時にはこれらのpH調整剤を添加して水相のpHを6〜8に保つことができる。水相のpHが前記範囲からはずれると、増粘剤用水溶性高分子が添加されている場合にはその効果が損なわれる等の問題がある。
【0053】
水相に添加される電解質は、エマルションの保存安定性を高めるために添加されるものである。従って、電解質により影響を受ける材料が水相に存在しない場合に使用するのが望ましい。
電解質はクエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン等の陰イオンあるいはアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンなどを含む電解質であることが好ましい。従って、ここで添加される電解質としては、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、等が好ましく、その添加量は水相の0.1から2重量%、好ましくは0.5〜1.5重量%である。
【0054】
上記のほか、本発明の孔版印刷用油中水型エマルションインキには、印刷時に印刷用紙と印刷ドラムとの分離を良くするため、あるいは印刷用紙の巻き上がり防止のために、油相にワックスを添加することができる。また、水相にはトリエタノールアミンや水酸化ナトリウム等を添加して、水溶性高分子添加による高粘度化を更に増進させることができる。更に、水相に防錆剤や消泡剤を添加して印刷の際に印刷機がインキによって錆びたり、インキが泡立つことを防止することができる。これらの添加剤は、孔版印刷用インキに添加されている公知品を必要に応じて添加すれば良く、その添加量は従来品の場合と同程度でよい。
【0055】
本発明のエマルションインキは、従来のエマルションインキ製造時と同様にして油相及び水相液を調製し、この両方を公知の乳化機内で乳化させてインキとすればよい。即ち、着色剤、乳化剤及び必要に応じて添加される樹脂等の添加物を良く分散させた油相を調製し、これに着色剤、防腐・防かび剤や水溶性高分子等が必要に応じて添加されている水溶液を徐々に添加して乳化すれば良い。
【0056】
インキの粘度は撹拌条件によっても調節可能であり、システムにあった粘度であれば良く特に規定はないが、ずり速度20s-1の時の粘度が3〜40Pa・sであることが望ましく、より好ましくは10〜30Pa・sである。また、油相に不溶性着色剤、樹脂、体質顔料などを添加した時のずり速度20s-1の油相の粘度は0.01〜20Pa・s、好ましくは0.1〜3Pa・sであることが望ましい。
【0057】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。なお、以下に記す部は重量部である。
【0058】
〈孔版印刷用W/O型エマルションインキの製造〉
▲1▼油相に不溶性着色剤を含有するW/O型エマルションインキ
表2〜5に示した各成分を用い、先ず着色剤、オイル、不溶性着色剤分散剤、を3本ロールで練肉することで不溶性着色剤分散体を調製した。この不溶性着色剤分散体(以後、不溶性着色剤分散体)に乳化用界面活性剤、オイルと樹脂等のワニスを加え油相とし、これに水、凍結防止剤、防腐・防かび剤、電解質あるいは水溶性樹脂などからなる水相を加え乳化することにより、孔版印刷機用エマルションインキとした。表2〜5に示す組成に応じ、体質顔料などの他の成分を加えた。
【0059】
▲2▼水相に不溶性着色剤を含有するW/O型エマルションインキ
表2〜5に示した各成分を用い、先ず不溶性着色剤、水溶性高分子、水を加えボールミルを用いて24時間撹拌し、不溶性着色剤水相分散液を作成、これに凍結防止剤、防腐・防かび剤を加え水相とした。あらかじめ作成しておいたオイル、乳化用界面活性剤、ワニス、などからなる油相に水相を撹拌混合し乳化することで、孔版印刷用エマルションインキとした。表2〜5に示す組成に応じ体質顔料などの他の成分を加えた。
【0060】
▲3▼油相と水相の両相に不溶性着色剤を含有するインキ
表2〜5に示した各成分を用い、先ず油相、水相のそれぞれの不溶性着色剤分散液を作成し、そして油相に水相を撹拌混合し乳化することで、孔版印刷用エマルションインキとした。表2〜5に示す組成に応じ体質顔料などの他の成分を加えた。
【0061】
なお、使用したアルキド樹脂はヤシ油76部、ペンタエリスリット7部、イソフタル酸17部から合成した。
また、AFソルベント5[動粘度4.2(mm2/s at40℃)、ナフテン成分76.8%、芳香族成分0.2%]は日石三菱社製;ロジンポリエステル(ペンセルPL、Mw=1万)及びロジン変性フェノール樹脂は荒川化学社製;カーボンブラックMA−77(pH=3.0)は三菱化学社製;Raven760(pH=7.4)はコロンビヤンカーボン社製;銅フタロシアニンブルーは東洋インキ社製Lionol Blue;FG−7330、アエロジルR972は日本アエロジル社製;ポリアクリル酸ナトリウムはBF Goodrich社製;カーボポール940、ポリビニルピロリドンはBASF社製K30をそれぞれ使用した。アルミニウムキレートはプレンアクトAL−M、味の素社製を使用した。また、ソルビタンセスキオレエートは日光ケミカルズ社製SO−15を使用した。
【0062】
実施例及び比較例で用いたオイルの粘度と環分析の成分を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
[実施例1]
【0065】
[実施例2〜11及び比較例1〜4]
実施例2〜11及び比較例1〜4の処方を、実施例1の処方と併せて、表2〜5に示す。
【0066】
〈エマルションインキの評価〉
これらのインキを用い、市販のリコー社製孔版印刷機(プリポートVT3920)で十分印刷を行ってインキを印刷機内にいきわたらせた後、印刷した。この際の印刷物の印刷濃度は、反射式光学濃度計(マクベス社製RD914)によって測定した。
【0067】
臭気は、臭覚によって評価した。臭気のひどい物を×、臭気が少ない物を○として評価した。
【0068】
コロ跡汚れは、表面を印刷後、2分後に裏面を印刷した時の給紙コロによる汚れを評価し、汚れのひどいものを×、汚れの少ないものを◎とし、×△○◎の4段階で評価した。
【0069】
インキの保存安定性は、1年間室温で保存し分離の多いものを1とし、少ないものを10として評価した。
【0070】
機上放置性に関しては、インキをガラス板上にバーコーターで薄く塗り、そのインキの乾燥性を評価し、1ヶ月以内に放置によりインキが固まったものを×、3ヶ月以内に放置により固まったものを△、6ヶ月以内に放置により固まったものを○、乾かなかったものを◎とした。
【0071】
定着性は、印刷部分を消しゴムで擦ったときの印刷濃度の変化を評価し、変化量の多い物を×、少ない物を◎とし、×△○◎の4段階で評価した。
【0072】
ベタ埋まりの評価は、印刷サンプルを光学顕微鏡で観察し、繊維の着色にムラがあるものを△、ムラのないものを○とした。
【0073】
これらの結果を、表6にまとめて示す。
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】
【表5】
【0078】
【表6】
【0079】
表6の実施例1、2と比較例1から、請求項1の動粘度が10mm2/s(40℃下)以下によるコロ跡汚れに対する効果が明らかになる。また、実施例3と比較例3から、請求項1の芳香族成分が2%CA以上で、動粘度が6mm2/s(40℃下)以上による保存安定性と機上放置性に優れる効果が明らかになる。更に、実施例6と比較例4から、請求項1の芳香族成分が20%CA以下の臭いを少なくする効果と、動粘度が10mm2/s(40℃下)以下によるコロ跡汚れに対する効果が明らかとなる。
【0080】
また、実施例3と4から、請求項2の動粘度が10mm2/s(40℃下)を越える鉱物油を含有することの効果が、実施例4と6及び実施例7と比較例1から、請求項3の動粘度が10mm2/s(40℃下)を越える鉱物油の含有量が油成分の30重量%以上90重量%以下であることの効果が、実施例5と6から、請求項4の動粘度が10mm2/s(40℃下)を越える鉱物油の環分析によるナフテン成分(CN)が34%CN以上含有し、且つ芳香族成分(CA)の含有量が20%CA以下であることの効果が、夫々明らかとなる。
【0081】
また、実施例7、8及び9から、請求項5の樹脂の添加による定着性への効果が、実施例7と10から、請求項6の両相への不溶性着色剤の添加によるベタ埋まりへの効果が、実施例7と11から、請求項7の水相に不溶性着色剤を添加することによるコロ跡への効果が、夫々明らかになる。
【0082】
【発明の効果】
請求項1の孔版印刷用油中水型エマルションインキは、前記した特定の動粘度、(CN)、(CA)、(CP)を有する石油系溶剤を含有したことから、臭気が少なく、コロ跡汚れが少なく、機上放置性に優れ、また安定性に優れている。
【0083】
請求項2の孔版印刷用油中水型エマルションインキは、更に前記した特定の動粘度の鉱物油を含有したことから、更に請求項3の孔版印刷用エマルションインキは、上記特定の動粘度の鉱物油を特定量含有したことから、長期機上放置性及びコロ跡汚れに対し優れるという効果が加わる。
【0084】
請求項4の孔版印刷用油中水型エマルションインキは、更に上記鉱物油として前記した特定の(CN)、(CA)を有するものを含有したことから、より保存安定性が向上するという効果が加わる。
【0085】
請求項5の孔版印刷用油中水型エマルションインキは、更にロジン変性フェノール樹脂又はロジンポリエステル樹脂を含有したことから、定着性に優れるという効果が加わる。また、アルキド樹脂は不溶性着色剤の分散安定性に効果が加わる。
【0086】
請求項6の孔版印刷用油中水型エマルションインキは、油相と水相の両相に不溶性着色剤を含有したことから、べた埋まりに優れるという効果が加わる。
【0087】
請求項7の孔版印刷用油中水型エマルションインキは、水相に水不溶性着色剤を含有したことから、更にコロ跡汚れが少なくなるという効果が加わる。
Claims (6)
- 油相10〜90重量%及び水相90〜10重量%によって構成される油中水型エマルションインキにおいて、
動粘度が6〜10mm2/s(40℃下)で、環分析によるナフテン成分の炭素の含有量(CN)が49〜54%C N で、且つ芳香族成分の炭素の含有量(CA)が8〜11%CAで、しかもパラフィン成分の炭素の含有量(CP)が43%CP以下である石油系溶剤を、全油相中、20.0〜59.6質量%含有することを特徴とする孔版印刷用油中水型エマルションインキ。 - 更に動粘度が10mm2/s(40℃下)を越える鉱物油を含有すること特徴とする請求項1に記載の孔版印刷用油中水型エマルションインキ。
- 前記鉱物油の含有量が油成分の30重量%以上90重量%以下であること特徴とする請求項2に記載の孔版印刷用油中水型エマルションインキ。
- 更に、ロジン変性フェノール樹脂、ロジンポリエステル樹脂及び/又はアルキド樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の孔版印刷用油中水型エマルションインキ。
- 油相と水相の両相に不溶性着色剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の孔版印刷用油中水型エマルションインキ。
- 水相に水不溶性着色剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の孔版印刷用油中水型エマルションインキ。
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