JP5315781B2 - 孔版印刷用エマルションインキ - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、指触乾燥性改善の目的で、油相に高分子量ロジン変性フェノール樹脂を含有させたW/O型エマルションインクが提案されている。
前記特許文献1及び特許文献2によれば、指触乾燥性についての効果が認められるが、インキの乾燥速度、開放状態でのインキ固化防止の点では効果が不十分である。
しかし、特許文献3で用いられるインキは、油性インキであり、孔版印刷で紙への印刷を行った場合、W/O型エマルションインキと比べて、インキの乾燥が遅いという問題がある。
<1> 油相10質量%〜90質量%及び水相90質量%〜10質量%を含んでなり、前記油相が樹脂と、乾性油及びその加工油の少なくともいずれかを含有することを特徴とする孔版印刷用エマルションインキである。前記<1>に記載の孔版印刷用エマルションインキにおいては、油相が樹脂と、乾性油及びその加工油の少なくともいずれかを含有することにより、樹脂と酸化重合性を有する桐油が着色剤の定着に寄与し、樹脂を含有することでインキ中の溶剤成分が選択的に紙に浸透し、桐油の酸化重合反応を促進し、その結果、紙への着色剤の定着性と乾燥速度が向上する。
<2> 乾性油のヨウ素価が150以上である前記<1>に記載の孔版印刷用エマルションインキである。
<3> 乾性油が桐油である前記<1>から<2>のいずれかに記載の孔版印刷用エマルションインキである。前記<3>に記載の孔版印刷用エマルションインキにおいては、乾性油として桐油を用いることにより、桐油を構成するα-エレオステアリン酸の特異な立体構造により定着性が更に向上する。
<4> 加工油が桐油を加熱処理した重合桐油である前記<1>から<3>のいずれかに記載の孔版印刷用エマルションインキである。前記<4>に記載の孔版印刷用エマルションインキにおいては、桐油を加熱処理することで桐油が適度に重合し重合桐油となり、揮発しにくくなって臭気が改善される。
<5> 乾性油及びその加工油の少なくともいずれかの含有量が、インキ全量に対し1質量%〜9質量%である前記<1>から<4>のいずれかに記載の孔版印刷用エマルションインキである。前記<5>に記載の孔版印刷用エマルションインキにおいては、乾性油及びその加工油の少なくともいずれかの含有量をインキ全量に対し1質量%〜9質量%にすることで、インキの乾燥速度と開放時及び開放状態でのインキ固化防止が図られる。
<6> 乾性油及びその加工油の少なくともいずれかの含有量が、インキ全量に対し2質量%〜6質量%である前記<5>に記載の孔版印刷用エマルションインキである。前記<6>孔版印刷用エマルションインキにおいては、乾性油及びその加工油の少なくともいずれかの含有量をインキ全量に対し2質量%〜6質量%することで、耐水性と開放状態でのインキ固化防止が図られる。
<7> 樹脂の質量平均分子量が、40,000〜160,000である前記<1>から<6>のいずれかに記載の孔版印刷用エマルションインキである。前記<7>に記載の孔版印刷用エマルションインキにおいては、樹脂の質量平均分子量が、40,000〜160,000であるので、着色剤への吸着力が高くなり、皮膜形成能が高くなって定着性が更に向上する。
<8> 樹脂の含有量が、インキ全量に対し3質量%〜9質量%である前記<1>から<7>のいずれかに記載の孔版印刷用エマルションインキである。前記<8>に記載の孔版印刷用エマルションインキにおいては、樹脂の含有量が、インキ全量に対し3質量%〜9質量%であることにより、着色剤の定着性の向上とコスト低下が図られる。
<9> 水相が着色剤を含有する前記<1>から<8>のいずれかに記載の孔版印刷用エマルションインキである。前記<9>に記載の孔版印刷用エマルションインキにおいては、水相が着色剤を含有するので、油相の粘度を低くすることが可能になり、結果として油相成分の浸透速度を速めることができ、溶剤成分と着色剤成分が共存していないため着色剤からの溶剤成分の離脱が速くなり、更に乾燥速度が向上する。
前記油相の混合割合が10質量%未満であると、充分なインキ保形性を有さないことがあり、90質量%を超えると、物性的にW/O型エマルションとすることの効果が不足してしまうことがあるため好ましくない。
前記油相は樹脂と乾性油及びその加工油の少なくともいずれかとを含有してなり、更に必要に応じて酸化防止剤、相乗剤、酸化重合促進剤、着色剤、着色剤の分散剤、乳化剤、体質顔料、ゲル化剤、鉱物油、石油系溶剤などのその他の成分を含有してなる。
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばロジン、重合ロジン、水素化ロジン、ロジンエステル、ロジンポリエステル樹脂、水素化ロジンエステル等のロジン系樹脂;ロジン変性アルキド樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性石油樹脂等のロジン変性樹脂、マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、石油樹脂、環化ゴムなどのゴム誘導体樹脂、テルペン樹脂、アルキド樹脂、重合ひまし油などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルキド樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、環化ゴムが特に好ましい。
前記環化ゴムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばコロンビヤンカーボン日本社製のALSYNOL RS47、ALSYNOL RS44、SYNTEX 800;日本サイテック社製のALPEX CK450、ALPEX CK514などが挙げられる。前記環化ゴムは、天然ゴムあるいは合成ゴムから合成されるが、天然ゴムの場合には、脱タンパク質処理を行ったものを材料とすることが好ましい。
前記質量平均分子量の測定方法としては、例えばゲル浸透クロマトグラフィー法などがある。
前記樹脂の含有量は、インキ全量に対して3質量%〜9質量%が好ましく、4質量%〜6質量%がより好ましい。前記含有量が、3質量%未満であると、定着への樹脂の効果が不充分となることがあり、9質量%を超えると、インキコストが高すぎることがある。
前記乾性油としては、例えばあまに油、オイチシカ油、脱水ひまし油、大豆油、桐油などが挙げられる。これらの中でも、着色剤の定着性の観点からは、桐油が特に好ましい。着色剤の定着性が向上するのは、桐油を構成する成分にα-エレオステアリン酸があり、この特異な立体構造のため反応が速くなることが考えられる。
前記加工油としては、臭気、安定性、定着性の観点から、桐油を加熱処理した加工油である重合桐油が好ましい。これは桐油を加熱処理することで桐油中の低分子成分が適度に重合し揮発成分が少なくなっているためであると考えられる。前記重合桐油としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば東新油脂社製の支那桐4号、支那桐7号などが挙げられる。また、前記重合桐油以外の加工油としては、例えば日清オイリオ社製の8号ボイル油、アマニ焚油、OOB−DN−H、OOB−DN−Wなどが挙げられる。
前記乾性油のヨウ素価が150未満であると、定着性及び乾燥速度の効果が小さくなることがある。ヨウ素価は、例えばJIS K 0070に基づいて測定することができる。
前記乾性油及びその加工油の少なくともいずれかの含有量は、インキ全量に対し1質量%〜9質量%が好ましく、2質量%〜6質量%がより好ましく、2質量%〜4質量%が更に好ましい。前記含有量が、1質量%未満であると、定着性及び乾燥速度の効果が小さくなることがあり、9質量%を超えると、インキの開放保存性が悪くなることがある。
前記植物油としては、特に制限はなく、一般に公知のものが使用でき、例えばナタネ油、コーン油、ゴマ油、トール油、綿実油、ひまわり油、サフラワー油、ウォルナッツオイル、ポピーオイル、リンシードオイルなどが挙げられる。前記植物油は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、メチル、ブチル、イソプロピル、プロピルなどでエステル化した植物油も使用することができる。
前記植物油は、本発明で使用する乾性油又は加工油と合わせて使用することができ、印刷後のインキ乾燥性を考慮すると、ヨウ素価が100以上の一般に半乾性油と呼ばれるものを使用するのが好ましい。
ヨウ素価が高い乾性油又は半乾性油を使用すると空気中の酸素と酸化反応を起こし、それによって油の乾燥(固化)が進行し、前記植物油を含有している孔版印刷用エマルションインキも固化してしまう。インキが固化するとスクリーンの目詰まりや画像立ち上がりが悪化してしまうなどの不具合が生じることがあるため、ヨウ素価が高い(不飽和結合が多く含まれる)植物油を使用する際には植物油中の脂肪酸(リノレン酸、リノール酸、オレイン酸など)の酸化を防ぐために後述する酸化防止剤を油相中及び水相中のいずれかに含有することが好ましい。
前記石油系溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばエクソンモービル社製のアイソパーシリーズ(C,E,G,H,L,Mなど)及びエクソール(D30、D40,D80,D110,D130など);日石三菱社製のAFソルベントシリーズ(4号、5号、6号、7号など)が挙げられる。これらの油成分は安全性を考慮した場合、3環以上の縮合芳香族環を含む芳香族炭化水素である多環芳香族成分が3質量%未満のものを使用することが好ましい。
前記酸化防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばジフェニルフェニレンジアミン、イソプロピルフェニルフェニレンジアミンなどのアミン系化合物;トコフェロール、ジブチルメチルフェノールなどのフェノール系化合物;メルカプトメチルベンゾイミダゾールなどの硫黄系化合物;ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソールなどが挙げられる。前記酸化防止剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記酸化防止剤の含有量は、インキ中の油相に対し2質量%以下が好ましく、0.1〜1.0質量%がより好ましい。前記酸化防止剤の添加によって油相中のバインダー樹脂などの酸化を防ぎ、これによってインキの粘度の上昇などが防止される。ただし、植物油含有量に対して極めて少量の酸化防止剤を添加した場合、適切な酸化防止効果は期待できず、逆に植物油含有量に対して多量の酸化防止剤を一度に添加してしまうと酸化促進剤として作用してしまう場合もある。よって、少量の酸化防止剤の添加でも油成分の酸化を抑えるために相乗剤を加えることが好ましい。
前記相乗剤とは、それ自身酸化防止作用はほとんど持たないが、酸化防止剤と併用するとその作用を増強するものである。前記相乗剤は通常酸性物質であり、いくつかの水酸基又はカルボキシル基を持っている多官能性化合物である。
前記相乗剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばメチオニン、アスコルビン酸、トレオニン、ロイシン、牛乳タンパク質加水分解物、ノルバリン、パルミチン酸アスコルビン、フェニルアラニン、シスチン、トリプトファン、プロリン、アラニン、グルタミン酸、バリン、膵臓タンパクのペプシン消化液、アスパラギン、アルギニン、バルビツール酸、アスフェナミン、ニンヒドリン、プロパニジン、ヒスチジン、ノルロイシン、グリセロリン酸、カゼインのトリプシン加水分解液、カゼインの塩酸加水分解液などが挙げられる。これら前記相乗剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合してもよい。前記相乗剤の含有量は、酸化防止剤100質量部に対して50質量部〜150質量部が好ましい。
前記酸化重合促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばコバルト、マンガン、稀土類元素の有機酸、例えばナフテン酸、オクチル酸、樹脂酸による金属塩などが挙げられる。これらの中でもナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガンなどが特に好ましい。
酸化重合促進剤の含有量は油相全量に対して0.1質量%〜5質量%が好ましく、0.3質量%〜1.0質量%がより好ましい。
前記乳化剤としては、油中水型のエマルションを形成する目的で使用され、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン界面活性剤のいずれでもよく、安定性に効果が有れば低分子界面活性剤でも高分子界面活性剤でもよく、また併用してもよい。これらの中でも、非イオン系界面活性剤が特に好ましい。前記乳化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノステアレートなどのソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;グリセリルモノステアレート、デカグリセリルトリオレエート、ヘキサグリセリンポリリシノレートなどの(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン植物油脂肪酸エステルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、高級アルコールなどが挙げられる。前記乳化剤は、1種単独又は2種類以上をあわせて保存安定性の高いエマルションを調製することができる。前記乳化剤の含有量は、インキ全量に対して0.5質量%〜15質量%が好ましく、1質量%〜6質量%がより好ましい。
前記ゲル化剤としては、油相に含まれる樹脂をゲル化してインキの保存安定性、定着性、及び流動性を向上させる役割を持ち、前記ゲル化剤としては油相中の樹脂と配位結合する化合物が好ましい。
前記ゲル化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばLi、Na、K、Al、Ca、Co、Fe、Mn、Mg、Pb、Zn、Zrなどの金属を含む有機酸塩;有機キレート化合物、金属石鹸オリゴマーなどが挙げられる。具体的には、オクチル酸アルミニウムなどのオクチル酸金属塩;ナフテン酸マンガンなどのナフテン酸金属塩;ステアリン酸亜鉛などのステアリン酸塩;アルミニウムジイソプロポキシドモノエチルアセトアセテートなどの有機キレート化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゲル化剤の含有量は、前記油相中の樹脂100質量部に対し15質量部以下が好ましく、5質量部〜10質量部がより好ましい。
前記インキ中には、粘度調整のために体質顔料も添加できる。インキ中に添加される前記体質顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば白土、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、有機ベントナイト、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナホワイト、ケイソウ土、カオリン、マイカ、水酸化アルミニウムなどの無機微粒子及びポリアクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリシロキサン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの有機微粒子又はこれらの共重合体からなる微粒子が挙げられる。具体的な例としては、日本アエロジル社製のアエロジル200、アエロジルR972など;白石工業社製の白艶化TDD、白艶化O、NEW D ORBEN;豊順洋行社製のBEN−GEL、S−BEN、ORGANITEなど;日産ガードラー触媒社製のTIXOGELシリーズ(VP、DS、GB、VG、EZ−100など)、OPTIGELなどが挙げられる。
前記体質顔料は、油相、水相又は両相に添加してもよい。前記体質顔料の含有量は、インキ全量に対して0.1質量%〜50質量%が好ましく、1質量%〜5質量%がより好ましい。
前記水相は、水、着色剤を含有してなり、更に必要に応じて着色剤の分散剤、O/W樹脂エマルション、水性高分子、電解質、水の蒸発抑制剤、凍結防止剤、防腐又は防かび剤、pH調整剤、及び体質顔料などのその他の成分を含有してなる。
本発明に使用される水としては、清浄であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水道水、イオン交換水、蒸留水などが挙げられる。
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばアセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラック類;アルミニウム粉、ブロンズ粉などの金属粉;弁柄、黄鉛、群青、酸化クロム、酸化チタンなどの無機顔料;不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料などのアゾ系顔料;無金属フタロシアニン顔料、銅フタロシアニン顔料などのフタロシアニン系顔料、アントラキノン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ジオキサンジン系、スレン系、ペリレン系、ペリノン系、チオインジゴ系、キノフタロン系、金属錯体などの縮合多環系顔料;酸性及び塩基性染料のいずれかのレーキなどの有機顔料;ジアゾ染料、アントラキノン系染料などの油溶性染料;蛍光顔料などが挙げられる。
油相、水相に分散された不溶性着色剤の平均粒径は0.05μm〜10μmが好ましく、0.1μm〜1.0μmがより好ましい。
前記不溶性着色剤の含有量は、インキ全量に対し2質量%〜15質量%が好ましい。
カーボンブラックを油相に添加する場合には、pH5未満の酸性のカーボンブラックが好ましい。水相に添加する場合には、pH5以上が好ましく、pH6〜pH10がより好ましく、pH7〜pH9が更に好ましい。ただし、油相にpH6〜pH10のカーボンブラック、水相にpH5未満のカーボンブラックを添加してもよく、pHの異なるカーボンブラックを2種類以上併用してもよい。
前記カーボンブラックとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば三菱化学社製のMA−100、MA−7、MA−70、MA−77、MA−11、♯40、♯44など;コロンビヤンカーボン社製のRaven1100、Raven1080、Raven1255、Raven760、Raven410などが挙げられる。
前記着色剤分散剤としては、エマルションの形成を阻害しない物が使用でき、前記乳化剤用非イオン性界面活性剤及び水溶性高分子も使用することができる。
前記着色剤分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばソルビタンセスキオレエートなどのソルビタン脂肪酸エステル;ヘキサグリセリンポリリシノレートなどのポリグリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミドなどの非イオン性界面活性剤;アルキルアミン系高分子化合物、アルミニウムキレート系化合物、スチレン-無水マレイン酸系共重合高分子化合物、ポリカルボン酸エステル型高分子化合物、脂肪族系多価カルボン酸、高分子ポリエステルのアミン塩類、エステル型アニオン界面活性剤、高分子量ポリカルボン酸の長鎖アミン塩類、長鎖ポリアミノアミドと高分子酸ポリエステルの塩、ポリアミド系化合物、燐酸エステル系界面活性剤、アルキルスルホカルボン酸塩類、スルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩類、ジオクチルスルホコハク酸塩類、ポリエチレンイミン、アルキロールアミン塩などの不溶性着色剤分散能を有する樹脂などが挙げられる。この他にもインキの保存安定性を阻害しない範囲であればイオン性界面活性剤、両性界面活性剤なども挙げられる。
前記着色剤分散剤の市販品としては、日本ルーブリゾール社製のソルスパーズシリーズ(S3000、S5000、S9000、S13240、S13940、S16000、S17000、S2000、S24000、S26000、S27000、S28000、S31845、S31850、S32550、S34750、S41090、S53095など);味の素ファインテクノ社製のプレーンアクトAL−M、アジスパーシリーズ(PB711、PM821、PB821、PB811、PN411、PA111など);Air Products社製のSurfynolシリーズ(GA、TG、CT−221、CT−121など);日信化学工業社製のオルフィンPDシリーズ(001、002W、003、004、005など);日光ケミカルズ社製のTMGS−15、TMGO−15、Decaglynシリーズ(1−L、1−M、1−Oなど)、TL−10、TP−10、TO−10、TI−10、BL−21、BC−15TX、BC−23、BC−30TX、BC−40TX、BS−20、BO−10TX、TAMNS−10、TAMNS−15、TAMNO−5、TAMNO−15、TDMNS−8、OTP−100、OTP−75などが挙げられる。
前記着色剤分散剤は1種単独で使用してもよく、2種類以上混合してもよい。
高分子及び樹脂以外の前記着色剤分散剤の含有量は、着色剤の含有量に対して40質量%以下が好ましく、2質量%〜35重量%がより好ましい。
また、着色剤の分散あるいは乳化に使用される高分子量の界面活性剤はインキの乳化安定性を向上させる効果があるので、油相に着色剤を含有しない場合においても必要に応じて油相に添加してもよい。前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば味の素ファインテクノ社製のアジスパーPN411;クローダ社製のハイパマーB246;ルーブリゾール社製のソルスパーズ16000などが挙げられる。
前記界面活性剤の含有量は、インキ全量に対して0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.1質量%〜1.0質量%がより好ましい。
本発明に使用されるO/W樹脂エマルションとしては、合成高分子でも天然高分子でもよい。前記合成高分子としては、例えば、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタンなどが挙げられる。前記天然高分子としては、油相に添加できる高分子などが挙げられる。前記O/W樹脂エマルションは、油中水型エマルションインキの安定性を阻害しない範囲であれば2種類以上を併用してもよく、また分散方法も分散剤、保護コロイド、界面活性剤を添加していてもよい。また合成方法は乳化重合法、懸濁重合法あるいはソープフリー乳化重合によって合成することができる。前記O/W樹脂エマルションの最低造膜温度は40℃以下であることが好ましい。
また、前記O/W樹脂エマルションの粒子径は、0.1μm〜30μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましい。
前記水溶性高分子化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばデンプン、マンナン、アルギン酸ソーダ、ガラクタン、トラガントガム、アラビアガム、ブルラン、デキストラン、キサンタンガム、ニカワ、ゼラチン、コラーゲン、カゼインなどの天然高分子;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプンなどの半合成高分子;アクリル酸樹脂及びポリアクリル酸ナトリウムなどの中和物、アルキル変性アクリル酸樹脂、ポリビニルイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンとビニルアセテートのコポリマー、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、ポリN-アクリロイルピロリジンやポリN−イソプロピルアクリルアミドなどのポリN-アルキル置換アクリルアミド;ポリエチレンオキサイド、ポリビニルメチルエーテル、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体及びこれらをアルキル基で部分的に疎水した高分子;アクリルアミド系ポリマー及びアクリル系のポリマーに関しては置換基を部分的にアルキル基で疎水化した共重合タイプのポリマー、ポリエチレンとポリプロピレン又はポリブチレンのABやABAタイプのブロックコポリマー、BASF社製のPVP K−30などが挙げられる。これらの前記高分子は1種単独で使用もよく、2種類以上混合してもよい。
前記水溶性高分子の含有量は、インキに含まれる水の含有量に対して25質量%以下が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
前記水溶性高分子化合物の質量平均分子量は、2,000〜1,000,000が好ましく、5,000〜300,000がより好ましく、10,000〜150,000が更に好ましい。
前記電解質のイオンとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属などの陽イオンと、陰イオンとしてはクエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン、塩素イオン、ホウ酸イオンなどが挙げられる。しかし、水相に添加されている水不溶性顔料、体質顔料、及びO/W樹脂エマルションなどの凝集防止とエマルションの安定性を両立させるための陽イオンとしては1価のリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどが好ましい。従って、前記電解質としては、例えば、硫酸リチウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウムなどが好ましい。
電解質の前記水相における含有量は、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.1質量%〜2.0質量%がより好ましい。
また、エマルションの安定性と粉体の分散安定性に影響しない範囲では2価の陽イオンの電解質を併用してもよい。
水の蒸発防止剤と凍結防止剤は兼用可能であり、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールなどの低級飽和一価アルコール;グリセリン、ソルビトールなどの多価アルコールなどが挙げられる。前記蒸発防止剤と凍結防止剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水の蒸発防止剤と凍結防止剤の前記水相における含有量は、15質量%以下が好ましく、4質量%〜12質量%がより好ましい。
前記防腐又は防かび剤としては、エマルション内で細菌やかびが繁殖するのを防ぐために添加され、エマルションを長期保存する場合は、防腐防かび剤を添加するのが好ましい。
前記防腐剤又は防かび剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばサリチル酸、フェノール類、p−オキシ安息香酸メチル、p−オキシ安息香酸エチルなどの芳香族ヒドロキシ化合物;又はその塩素化合物;ソルビン酸、デヒドロ酢酸、MIT(メチルイソチアゾリン)、BIT(ブチルイソチアゾリン)、OIT(オクチルイソチアゾリン)などのチアゾリン系のものなどが挙げられる。前記防腐剤又は防かび剤は、1種単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記防腐剤又は防かび剤の前記水相における含有量は、3質量%以下が好ましく、0.1質量%〜1.2質量%がより好ましい。
前記pH調整剤としては、アンモニア、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウム、トリアミルアミン、水酸化ナトリウムなどであり、必要時にはこれらのpH調整剤を添加して水相のpHを6〜8に保つことができる。水相のpHが前記範囲からはずれると、増粘剤用水溶性高分子が添加されている場合にはその効果が損なわれるなどの問題がある。
またpHを一定に保つため緩衝剤を添加してもよく、前記緩衝剤としては、例えばエチレンジアミン四酢酸、Aldrich社製のTrizma base、4−モルホリノエタンスルホン酸(MES)、4−モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)などが挙げられる。また、前記緩衝剤の前記水相における含有量は、0.05質量%〜0.1質量%が好ましい。
前記のほか、本発明の孔版印刷用油中水型エマルションインキには、印刷時に印刷用紙と印刷ドラムとの分離を良くするため、或いは印刷用紙の卷き上がり防止のために油相にワックスを添加することができる。また、水相にはトリエタノールアミンや水酸化ナトリウムなどを添加して、水溶性高分子添加による水相の高粘度化を更に増進させることができる。更に、水相に防錆剤や消泡剤を添加して印刷の際に印刷機がインキによって錆たり、インキが泡立つことを防止することができる。これらの添加剤の添加量は従来品の場合と同程度でよい。
本発明の孔版印刷用エマルションインキの粘度としては、特に制限はなく、攪拌条件等により適宜調製することができるが、ずり速度20sec−1のときの粘度は、2Pa・s〜40Pa・sが好ましく、10Pa・s〜30Pa・sがより好ましい。
ヨウ素価は、JIS K 0070に基づき測定した。
樹脂の質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法により測定し、ポリスチレンに換算して求めた。
−孔版印刷用エマルションインキの作製−
表1〜表3に示すインキ処方(単位は質量%)を、従来のエマルションインキの製造と同様にして油相及び水相を調製し、この両相を公知の乳化機内で乳化させて、実施例1〜16、参考例17〜19及び比較例1〜10の各孔版印刷用エマルションインキを作製した。
具体的には、実施例16及び比較例6、7においては、着色剤、オイル、及び不溶性着色剤分散剤を3本ロールで練肉することで不溶性着色剤分散体の調製を行い、この不溶性着色剤分散体(以後、不溶性着色剤分散体)に乳化用界面活性剤、オイル、乾性油又は加工油と樹脂などのワニスを加え油相とし、これに水、凍結防止剤、抗菌剤、電解質あるいは水溶性樹脂などからなる水相を加え乳化することにより孔版印刷機用エマルションインキを作製した。
また、実施例1〜15、参考例17〜19並びに比較例1〜5及び8〜10においては、不溶性着色剤、水溶性高分子、凍結防止剤、抗菌剤、水を加えプレミキシング後ビーズミルを用い分散し、水相とした。あらかじめ作製しておいたオイル、乾性油又は加工油、乳化用界面活性剤、ワニスなどからなる油相に水相を攪拌混合し乳化することで孔版印刷用エマルションインキを作製した。
*顔料:MA−70 三菱化学社製
*顔料分散液:AL−M 味の素ファインテクノ社製
*オイル:サンセン310 サンオイル社製
*石油系溶剤:AF−5 新日本石油社製
*植物油系溶剤:大豆メチルエステル 当栄ケミカル社製
*樹脂:T−361(重量平均分子量20,000) 荒川化学工業社製
*樹脂:KG−836(重量平均分子量40,000) 荒川化学工業社製
*樹脂:KG−846(重量平均分子量80,000) 荒川化学工業社製
*樹脂:KG−1847(重量平均分子量150,000) 荒川化学工業社製
*樹脂:T−407(重量平均分子量200,000) 荒川化学工業社製
*加工油:支那桐4号 東新油脂社製
*乾性油:桐油(ヨウ素価155〜175) 日清オイリオ社製
*乾性油:亜麻仁油(ヨウ素価179〜180) カネダ社製
*乾性油:大豆油(ヨウ素価114〜138) 日清オイリオ社製
*酸化重合促進剤:ナフテン酸マンガン 昭和化学社製
*酸化防止剤:理研Eオイル1000(d−δ−トコフェノール) 理研ビタミン社製
*乳化剤:ソルビタンモノオレエート 花王社製
*顔料:Raven760 コロンビアン社製
*水溶性高分子:PVP K−30 BASF社製
*凍結防止剤:グリセリン 花王社製
*抗菌剤:p−オキシ安息香酸メチル 関東化学社製
*電解質:硫酸マグネシウム 関東化学社製
*水:イオン交換水
LTテスター(谷口インキ社製、自動展色機Type LT−2)にインキを0.5g
載せ、10秒間練った後、用紙(リコー社製、Type6200PPC)に20mm×20mmの黒ベタ画像を印刷しサンプルを得た。24時間経過後にクロックメーター(東洋精機製作所製、摩擦堅ろう度試験機)にサンプルをセットし、10往復させた時のサンプルの汚れ具合で評価した。汚れ具合は、X−Rite(X−Rite社製、分光濃度計)を使用し、サンプルの白色部と白色部のうちの汚れ部分のLabの色差から下記基準により4段階に評価した。
〔判断基準〕
◎:色差が0.80未満
○:色差が1.10未満
△:色差が1.40未満
×:色差が1.40以上
LTテスター(谷口インキ社製、自動展色機Type LT−2)にインキを0.5g
載せ、10秒間練った後、用紙(リコー社製、Type6200PPC)に20mm×20mmの黒ベタ画像を印刷しサンプルを得た。1時間経過後のサンプルの黒ベタ画像部にマスキング用の紙テープ(日東電工社製)を貼り付け、圧を加えた後剥がしたときのテープへの着色剤の転移量をマクベス濃度計(GretagMacbeth社製)による濃度で測定し下記基準により4段階で評価した。
〔評価基準〕
◎:濃度が0.15未満
○:濃度が0.25未満
△:濃度が0.35未満
×:濃度が0.35以上
市販の孔版印刷機(リコー社製、Satelio A650)でインキを用紙(リコー社製、Type6200PPC)に20mm×20mmのベタ画像を印刷しサンプルを得る。24時間後に印刷サンプルを水で濡らした指でなぞったときのインキのにじみ(汚れ)部分をマクベス濃度計(GretagMacbeth社製)で測定し、にじみ(汚れ)部分の濃度から下記基準により4段階で評価した。
〔評価基準〕
◎:濃度が0.10未満
○:濃度が0.12未満
△:濃度が0.16未満
×:濃度が0.16以上
インキをガラス板上に薄く塗布後、室温(25℃)環境下で放置したときのインキ表面の変化を下記基準により4段階で評価した。
〔評価基準〕
◎:1週間放置後変化なし
○:5日後までに皮膜形成
△:3日後までに皮膜形成
×:1日後までに皮膜形成
インキのコストは、コストに大きく影響する油相の比率を下記基準により4段階で評価した。
〔評価基準〕
◎:油相が30質量%未満
○:油相が30質量%以上40質量%未満
△:油相が40質量%以上50質量%未満
×:油相が50質量%以上
Claims (6)
- 油相10質量%〜90質量%及び水相90質量%〜10質量%を含んでなり、前記油相が樹脂と、桐油を加熱処理した重合桐油と、を含有することを特徴とする孔版印刷用エマルションインキ。
- 桐油を加熱処理した重合桐油の含有量が、インキ全量に対し1質量%〜9質量%である請求項1に記載の孔版印刷用エマルションインキ。
- 桐油を加熱処理した重合桐油の含有量が、インキ全量に対し2質量%〜6質量%である請求項2に記載の孔版印刷用エマルションインキ。
- 樹脂の質量平均分子量が、40,000〜160,000である請求項1から3のいずれかに記載の孔版印刷用エマルションインキ。
- 樹脂の含有量が、インキ全量に対し3質量%〜9質量%である請求項1から4のいずれかに記載の孔版印刷用エマルションインキ。
- 水相が着色剤を含有する請求項1から5のいずれかに記載の孔版印刷用エマルションインキ。
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