JP5526550B2 - 孔版印刷用油中水型エマルションインキの製造方法及び孔版印刷用油中水型エマルションインキ - Google Patents
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Description
しかし、これらの従来の技術では、ある程度の定着強度は得られるものの、孔版印刷特有のインキ転移量の多さから、指触乾燥性が得られるまでに時間がかかり、紙折り、裁断、二色刷り、両面印刷等の次行程処理を行なうために、長期の乾燥時間を必要とする問題がある。
しかし、特許文献4に記載の孔版印刷用エマルションインキにおいては、高級脂肪酸を分散工程において前添加すると、油相粘度が高くなり、紙上での浸透速度の低下を伴うため、紙上定着強度が十分でなく、早期に十分な乾燥性を得ることが難しいという問題がある。
したがって、孔版印刷機において、紙上定着強度に加えて、早期乾燥性に優れた孔版印刷用油中水型エマルションインキの製造方法としては、満足できるものが存在しないというのが現状である。
<1> 油相10質量%〜90質量%及び水相90質量%〜10質量%を含んでなり、アルミニウムキレート、樹脂、高級脂肪酸、及び着色剤を含有する孔版印刷用油中水型エマルションインキの製造方法において、前記油相に、前記アルミニウムキレート、前記樹脂、及び前記着色剤を分散させる分散工程と、前記油相を希釈する希釈工程と、前記油相と前記水相を混合し乳化する乳化工程と、を含み、少なくとも、前記分散工程後、かつ、前記乳化工程前に、前記高級脂肪酸を前記油相に混合することを特徴とする孔版印刷用油中水型エマルションインキの製造方法である。
該<1>の孔版印刷用油中水型エマルションインキの製造方法によると、前記分散工程において前記アルミニウムキレート、前記樹脂、及び前記着色剤が油相に分散され、前記希釈工程において前記油相が希釈され、前記乳化工程において前記油相と前記水相が混合、乳化され、少なくとも、前記分散工程後、かつ、前記乳化工程前に、前記高級脂肪酸が油相に混合されるため、印刷後30分以内において、印刷紙への定着率が85%以上となる孔版印刷用油中水型エマルションインキが得られる。
前記孔版印刷用油中水型エマルションインキが、このような作用を有する理由としては、インキが紙に浸透する際、樹脂の残留官能基がアルミニウムキレートによって架橋されてゲル化する反応を、高級脂肪酸が促進しているものと考えられる。また、ゲル化した樹脂が複数の着色剤に吸着し、着色剤の凝集を強くしていることや、着色剤に吸着した樹脂が紙にも吸着し、着色剤の紙への固着に寄与していることが考えられる。
しかし、インキ製造の際に高級脂肪酸を分散工程時に配合してしまうと、ゲル化反応によってワニスが極端に高粘度化してしまい、乳化処理が極めて困難になることや、乳化処理後のインキもまた極端に高粘度化してしまう問題があることから、高級脂肪酸は分散工程時には配合せず、乳化工程前に添加することによってインキ製造時の不必要なゲル化反応を意図的に回避している。そのことによって、孔版印刷機による印刷適性が高いエマルションインキの粘度を維持し、紙上でのみゲル化反応を起こして着色剤の固着力を高め、更には早期の乾燥性を実現できる状態になったものと考えられる。
なお、本明細書において、定着率とは、クロックメータを用い、9N・cmの強さでMONO消しゴム(MONO:登録商標、株式会社トンボ鉛筆)を10往復擦過させた後の残留画像濃度を、擦過前の印刷画像濃度で割った百分率の値を意味する。
<2> アルミニウムキレートの含有量が、着色剤の質量に対して4質量%〜15質量%である前記<1>に記載の孔版印刷用油中水型エマルションインキの製造方法である。
<3> 樹脂の油相における含有量が、10質量%〜30質量%である前記<1>から<2>のいずれかに記載の孔版印刷用油中水型エマルションインキの製造方法である。
<4> 高級脂肪酸の油相における含有量が、3質量%〜15質量%である前記<1>から<3>のいずれかに記載の孔版印刷用油中水型エマルションインキの製造方法。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の孔版印刷用油中水型エマルションインキの製造方法により製造されることを特徴とする孔版印刷用油中水型エマルションインキである。
本発明の孔版印刷用水中水型エマルションインキの製造方法は、分散工程と、希釈工程と、乳化工程とを含む。さらに必要に応じて適宜選択されたその他の工程を含む。
また、前記孔版印刷用油中水型エマルションインキは、油相10質量%〜90質量%及び水相90質量%〜10質量%を含んでなり、アルミニウムキレート、樹脂、高級脂肪酸、及び着色剤を含有する。
前記分散工程は、前記油相(油成分)に、前記アルミニウムキレート、前記樹脂、及び前記着色剤を分散させる工程であり、必要に応じて、その他の成分を分散させてもよい。
該分散工程において分散させるその他の成分としては、分散助剤、体質顔料、ワックス等が挙げられる。なお、前記体質顔料、前記ワックスは、公知の手段を用いて添加することが出来る。
前記分散の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、
各成分を混合して、3本ロールミルなどの分散機を用いて分散処理を行うことにより製造する方法などが挙げられる。
前記高級脂肪酸を分散工程時に配合してしまうと、ゲル化反応によってワニスが極端に高粘度化してしまい、前記乳化工程における処理が極めて困難になることや、乳化処理後のインキもまた極端に高粘度化してしまう問題がある。
前記希釈工程は、前記油相を希釈する工程である。
前記希釈の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、
前記分散体を撹拌機で撹拌しながら各成分を混合した希釈液を少量ずつ混合することにより製造する方法などが挙げられる。
前記乳化工程は、前記油相と前記水相を混合し乳化する工程である。
前記孔版印刷用エマルションインキにおける、前記油相と前記水相との混合の割合としては、上述のように、油相10質量%〜90質量%及び水相90質量%〜10質量%の範囲内であればよいが、油相20質量%〜50質量%及び水相50質量%〜80質量%の範囲内であるのが好ましい。
前記油相の混合割合が、10質量%未満であると、充分なインキ保形性を有さないことがあり、90質量%を超えると、物性的に油中水型エマルションとすることの効果が不足してしまうことがある。
前記乳化の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、調製済みの前記油相に前記水相を徐々に添加し、公知の乳化機内で乳化させることが挙げられる。
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記水相の調製工程が挙げられる。前記水相の構成成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、水溶性高分子、防腐・防かび剤、蒸発防止剤、凍結防止剤、pH調整剤、電解質、増粘剤、防錆剤などが挙げられる。
前記水相の調製方法としては、特に制限はなく、目的応じて、適宜選択することができ、例えば、水に各成分を添加し、公知の攪拌機などを用いてよく撹拌混合すればよい。
前記油相における成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、油成分、前記着色剤、着色剤の分散剤としての前記アルミニウムキレート、前記樹脂、前記高級脂肪酸、前記乳化剤、体質顔料、ワックスなどが挙げられる。これらの成分は、エマルションの形成を阻害しない公知のものが使用される。
ロジン変性フェノール樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
該ロジン変性フェノール樹脂としては、特に制限はなく、例えば、荒川化学社製のKG−836、KG−846、KG−1829、KG−1804、KG−1808−1、タマノル371、タマノル394などが挙げられる。
また、該アルキド樹脂としては、特に制限はなく、例えば、油脂と多塩基酸と多価アルコールから構成されるアルキド樹脂を挙げることができる。
前記アルキド樹脂は分散安定性、および皮膜形成による版胴スクリーンの目詰まり等の問題から、油長60〜90、ヨウ素価100以下であることが好ましい。
前記アルキド樹脂の分子量としては、3万未満が好ましく、1万以下がより好ましい。
また、油相中の全樹脂の添加量としては、インキのコスト及び印刷適性から、油相の50質量%以下が好ましく、2質量%〜50質量%がより好ましく、10質量%〜30質量%が更により好ましく、15質量%〜25質量%が特に好ましい。
前記樹脂の添加量が2質量%未満であると、本発明における早期乾燥性や高定着強度の諸効果が得られにくく、また、50質量%を超えると、インキの粘度が高くなり、ドラム上の版からインキが出にくくなることで文字がかすれたり、均一なベタ印刷が出来ないなどの印刷適性の問題が生じる。
これらの分散剤は、1種単独で用いてもよく、また、2種類以上を併用してもよい。
前記アルミニウムキレートの添加量としては、着色剤質量に対して、4質量%〜15質量%以下が好ましく、5質量%〜15質量%がより好ましく、6質量%〜10質量%が特に好ましい。
また、前記油相における前記高級脂肪酸の総添加量としては、インキのコスト及び印刷適性から、油相の20質量%以下が好ましく、3質量%〜15質量%がより好ましく、5質量%〜10質量%が特に好ましい。
3質量%未満であると、本発明における早期乾燥性や高定着強度の諸効果が得られにくく、また、20質量%を超えると、エマルションの安定性が悪くなり、印刷機上放置でインキが緩むなどの印刷適性の問題が生じる。
前記着色剤の孔版印刷用油中水型エマルションインキにおける添加量としては、2質量%〜10質量%が好ましい。
2質量%未満であると、印刷濃度が不足し、また、10質量%を超えると、それ以上添加しても印刷濃度は上がらず、コストの点で不利となる。
前記鉱物油としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、各種工業用溶剤、モーター油、ギヤー油、軽油、灯油、スピンドル油、マシン油、パラフィン系オイル、ナフテン系オイルなどが挙げられる。
このようなナフテン系オイルとしては、例えば、モービル石油社製のガーゴオイルアークティックオイル155及び300ID、ガーゴオイルアークティックオイルライト、ガーゴオイルアークティックオイルCヘビー;出光興産株式会社製のダイアナプロセスオイル、ダイアナフレシアシリーズ;日本サン石油株式会社製のサンセンオイルシリーズなどが挙げられる。
これらの鉱物油は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記エステル化植物油としては、メチルエステル化大豆油が特に好ましい。
前記非イオン界面活性剤としては、特に制限はなく、例えば、ソルビタン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジグリセリド、及び高級アルコール、アルキルフェノール、脂肪酸等の酸化エチレン付加物等があげられる。これらは1種単独用いてもよく、HLBの異なる2種類以上を併用して安定性の高いエマルションを調製することとしてもよい。
前記乳化剤の孔版印刷用油中水型エマルションインキにおける添加量としては、通常、0.5質量%〜15質量%であるが、2質量%〜5.5質量%が好ましい。
2質量%未満であると、安定した乳化状態を維持することが出来ず、5.5質量%を超えると、これもまた安定した乳化状態を維持することが出来ないばかりか、コストの点で不利となる。
以上のほか、油相にはエマルションの形成を阻害しない範囲で分散助剤や酸化防止剤等を添加することができる。
前記水相中の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、水、水溶性高分子、防腐・防かび剤、蒸発防止剤、凍結防止剤、pH調整剤、電解質、増粘剤、防錆剤などが挙げられる。これらの成分は、エマルションの形成を阻害しない公知のものが使用される。
例えば、デンプン、マンナン、アルギン酸ソーダ、ガラクタン、トラガントガム、アラビアガム、プルラン、デキストラン、キサンタンガム、ニカワ、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン等の天然高分子;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン等の半合成高分子;アクリル酸樹脂及びポリアクリル酸ナトリウムなどの中和物、また、ポリビニルイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリN−アルキル置換アクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルメチルエーテル、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、及びこれらをアルキル基で部分的に疎水した高分子、また、アクリルアミド系ポリマー及びアクリル系のポリマーが挙げられる。前記アクリルアミド系ポリマー及び前記アクリル系のポリマーにとしては、置換基を部分的にアルキル基で疎水化した共重合タイプのポリマーでもよい。
また、ポリエチレンと、ポリプロピレン又はポリブチレンのブロックコポリマーも用いることができる。
これらの水溶性高分子は、1種単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記水溶性高分子の水相における添加量としては、特に制限はないが、25質量%以下が好ましく、0.5質量%〜15質量%がより好ましい。
0.5質量%未満であると、目的とする効果が十分に得られず、25質量%を超えると、 過度に増粘して紙上インキの乾燥性が低下することがある。
前記天然高分子としては、特に制限はなく、前記油相に添加できる前記高分子等が挙げられる。
これらは、前記孔版印刷用油中水型エマルションインキの安定性を阻害しない範囲であれば、2種類以上を併用してもよく、また、分散剤、保護コロイド、界面活性剤を添加して分散させたものでもよく、また、ソープフリー乳化重合によって合成したものでもよい。
前記防腐・防かび剤の前記水における添加量としては、特に制限はないが、3質量%以下が好ましく、0.1質量%〜1.2質量%がより好ましい。
0.1質量%未満であると、目的とする効果が十分に得られず、3質量%を超えると、 安定した乳化状態を維持できなくなることがある。
前記蒸発防止剤と前記凍結防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等の低級飽和一価アルコール;グリセリンやソルビトール等の多価アルコール;等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記蒸発防止剤と前記凍結防止剤の総量としての前記水における添加量としては、特に制限はなく、15質量%以下が好ましく、4質量%〜12質量%が好ましい。
4質量%未満であると、目的とする効果が十分に得られず、15質量%を超えると、それ以上の添加量では目的とする効果が高まらず、コストの点で不利となる。
前記pH調整剤としては、特に制限はなく、例えば、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウム、トリアミルアミン等が挙げられる。
離液順列の高い陰イオンとしては、クエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン等であり、離液順列が高い陽イオンとしては、アルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンであることから、ここで添加される電解質としては、少なくとも陰イオンか陽イオンの一方が前記イオンよりなる塩が好ましい。
このような電解質としては、特に制限はないが、例えば、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、等が好ましい。
前記電解質の水相における添加量としては、特に制限はなく、0.1質量%〜2質量%が好ましく、0.2質量%〜1質量%がより好ましい。
0.1質量%未満であると目的とする効果が十分に得られず、2質量%を超えると、安定した乳化状態を維持できなくなる場合がある。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、体質顔料、ワックス、増粘剤、防錆剤などが挙げられる。
前記体質顔料としては、特に制限はなく、例えば、白土、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナホワイト、ケイソウ土、カオリン、マイカ、水酸化アルミニウム等の無機微粒子およびポリアクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリシロキサン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、等の有機微粒子またはこれらの共重合体からなる微粒子が挙げられる。
具体的な例としては、例えば、アエロジル200、アエロジルR972等(日本アエロジル社)、NEW D ORBEN(白石工業社)、BEN−GEL、S−BEN、ORGANITEなど(豊川洋行社)、TIXOGELシリーズ(VP、DS、GB、VG、EZ−100など)、OPTIGEL(日産ガードラー社)などが挙げられる。
これらは油相、水相または両相に添加してもよい。
前記体質顔料の孔版印刷用油中水型エマルションインキにおける添加量としては、特に制限はなく、0.01質量%〜50質量%が好ましく、0.1質量%〜10質量%がより好ましい。
0.01質量%未満であると、目的とする効果が十分に得られず、50質量%を超えると、 安定した乳化状態を維持できなくなる場合がある。
前記増粘剤は、水溶性高分子添加による高粘度化を更に増進させるため、水相に添加される。
前記増粘剤としては、特に制限はなく、例えば、トリエタノールアミンや水酸化ナトリウム等が挙げられる。
前記防錆剤は、印刷の際に印刷機がインキによって錆びたり、インキが泡立つことを防止するため、水相に添加される。
前記防錆剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ワックス、前記増粘剤、前記防錆剤としては、孔版印刷用インキに添加されている公知品を必要に応じて添加すればよく、その添加量としては、従来品の場合と同程度でよい。
本発明の孔版印刷用油中水型エマルションインキは、本発明の前記孔版印刷用油中水型エマルションインキの製造方法により製造されることとしてなり、本発明の前記孔版印刷用油中水型エマルションインキの製造方法として説明したすべての事項を適用することができる。
−分散工程−
下記表1に示す組成のうち、油成分(SUNTHEN380、日本サン石油社製)54質量部と、分散剤(プレンアクトAL−M、味の素ファインテクノ社製)6質量部と、分散助剤(アジスパーPN411、味の素ファインテクノ社製)12質量部と、樹脂として、ロジン変性フェノール樹脂(KG−846、荒川化学社製)40質量部、及び大豆油変性アルキド樹脂(アラキード251、荒川化学社製)40質量部と、着色剤(RAVEN1100、コロンビアカーボン社製)72質量部とを混合した後、3本ロールミル装置(株式会社井上製作所社製)により練肉して、これらの分散体を調製した。
下記表1に示す組成のうち、油成分として、大豆メチルエステル(Vertecbio Gold #4、Vertec Biosolvents社製)50質量部、及びα−オレフィン油(リニアレン18、出光興産社製)36質量部、高級脂肪酸(オレイン酸、関東化学社製)30質量部、乳化剤(Crill4、クローダ社製)36質量部とを混合して、希釈液を調製した。
この希釈液と、前記分散工程で調製された前記分散体とを混合して、希釈された油相を調製した。
前記希釈された油相を、攪拌機で攪拌して油相を調製した。
また、下記表1に示す組成のうち、水(イオン交換水)524質量部、凍結防止剤(グリセリン、日本油脂社製)43.5質量部、水溶性樹脂PVP(Luvitec K−30 30%aq.BASF社製)49.5質量部、電解質(硫酸マグネシウム(7水和物)、関東化学社製)3質量部を混合させて、水相を調製した。
前記油相を乳化試験機ET−3A型(日光ケミカルズ株式会社製)に仕込み、400rpmの速度で撹拌しながら、徐々に前記水相を添加し乳化させることにより、実施例1の孔版印刷用油中水型エマルションインキを製造した。
実施例1において、各組成の添加量を、表1に示す添加量に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜3の孔版印刷用油中水型エマルションインキを製造した。
実施例1において、各組成の添加量を、表1に示す添加量に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1〜7の孔版印刷用油中水型エマルションインキを製造した。
(比較例8)
実施例1において、希釈工程において高級脂肪酸を添加することに代えて、分散工程において高級脂肪酸を添加すること以外は、実施例1と同様にして比較例8の孔版印刷用油中水型エマルションインキを製造した。
定着率(%)は、後述する印刷濃度(Id)及び残留濃度(Id)により、以下の式で算出した。
式:(残留濃度/印刷濃度)×100 (%)
実施例1〜3及び比較例1〜8の孔版印刷用油中水型エマルションインキを用い、市販の(株)リコー製孔版印刷機(サテリオA650)で十分に予備印刷を行ってインキを印刷機内にいきわたらせた後、リコー製上質紙(T6200)に印刷した。その後、30分及び60分経過後の印刷画像濃度を反射式光学濃度計(マクベス社製RD914)によって測定した。
印刷後30分及び60分経過後の印刷画像を、クロックメータ(東洋精機社製)を用い、9N・cmの強さでMONO消しゴム(MONO:登録商標、株式会社トンボ鉛筆)を10往復擦過させ、薄くなった画像濃度を反射式光学濃度計(マクベス社製RD914)を用いて測定し、残留濃度とした。
印刷適性の評価は、製造した各エマルションインキを市販の(株)リコー製孔版印刷機(サテリオA650)に充填した状態において、機械的な不具合の有無を確認するものである。
比較例1、8においては、エマルションインキの粘度が高すぎ、孔版印刷原紙よりインキが紙に十分に供給されず、ベタ画像(紙に形成された画像における塗り潰し部分)が完全に塗り潰せていない状態が確認された。
また、比較例6においては、印刷から24時間放置後、印刷ドラムに巻き付いた印刷原紙の端部から低粘度化したインキが漏洩した。
前記定着率の測定結果に基づき、以下の基準により定着率の評価を行った。
−評価基準−
○:30分後と60分後の定着率が85%以上となる。
×:30分後と60分後の定着率が85%未満となる。
前記印刷適正、及び前記定着率の各評価結果をもとに、以下の基準の総合評価を行った。
−評価基準−
○:課題を解決している、且つ印刷適性の問題が見られない
×:課題を解決できない、または印刷適正の問題がある
Claims (3)
- 油相10質量%〜90質量%及び水相90質量%〜10質量%を含んでなり、アルミニウムキレート、樹脂、高級脂肪酸、及び着色剤を含有し、前記アルミニウムキレートの含有量が、前記着色剤の質量に対して6質量%〜10質量%であり、前記樹脂の前記油相における含有量が、15質量%〜25質量%であり、前記高級脂肪酸の前記油相における含有量が、5質量%〜10質量%である孔版印刷用油中水型エマルションインキの製造方法において、
前記油相に、前記アルミニウムキレート、前記樹脂、及び前記着色剤を分散させる分散工程と、
前記油相を希釈する希釈工程と、
前記油相と前記水相を混合し乳化する乳化工程と、を含み、
少なくとも、前記分散工程後、かつ、前記乳化工程前に、前記高級脂肪酸を前記油相に混合することを特徴とする孔版印刷用油中水型エマルションインキの製造方法。 - 希釈工程が、油成分を含有する希釈液で油相を希釈する請求項1に記載の孔版印刷用油中水型エマルションインキの製造方法。
- 請求項1から2のいずれかに記載の孔版印刷用油中水型エマルションインキの製造方法により製造されることを特徴とする孔版印刷用油中水型エマルションインキ。
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