JPH09328645A - 孔版印刷用w/o型エマルションインキ - Google Patents

孔版印刷用w/o型エマルションインキ

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JPH09328645A
JPH09328645A JP16836096A JP16836096A JPH09328645A JP H09328645 A JPH09328645 A JP H09328645A JP 16836096 A JP16836096 A JP 16836096A JP 16836096 A JP16836096 A JP 16836096A JP H09328645 A JPH09328645 A JP H09328645A
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JP16836096A
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Minoru Koizumi
実 小泉
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Tohoku Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 裏移りが少なく、良質の画像が得られるとと
もに、高温での保存安定性にすぐれた孔版印刷用W/O
エマルションインキを提供する。 【解決手段】 油相15〜90重量%と水相10〜85
重量%のW/O型エマルションからなり、かつ、該油相
中に顔料がインキに対して5.0〜12重量%含有され
ていることを特徴とする孔版印刷用W/O型エマルショ
ンインキ。インキの紙への付着量は4.0〜5.5g/
2であるのが望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は孔版印刷用W/O型
エマルションインキに関し、詳しくは、印刷物の画像に
おけるインキ処方及び環境にかかわらず、裏移りが少な
く良好な画像品質である低インキ付着量範囲において
も、画像の濃度及び耐摩耗性を良好なままに維持し、且
つ高温でのインキ安定性が良好である、特に孔版印刷用
輪転印刷機の使用に適した黒色用W/O型エマルション
インキに関する。
【0002】
【従来の技術】近時、印刷技術の進歩は目ざましく、良
質の印刷物が迅速に得られるようになってきた。これは
孔版印刷原紙に製版を施して形成された穿孔部を通して
原紙の一方の側より他方の側にインキを移動させること
により、紙などの被印刷物面に印刷を行う孔版印刷方式
の分野にも言えることである。ところで、この孔版印刷
方式においては、他の印刷方式と比較して、インキの紙
(被印刷物)への付着量が多く、このことはインキ乾燥
時間の遅延、排紙状態悪化につながり、その結果、排紙
された画像上のインキが次に排紙された画像の裏面に付
着し汚してしまう、いわゆる裏移りとなり、印刷物とし
ての品質の大幅な劣化につながっている。
【0003】孔版印刷インキの乾燥方式は、インキの紙
への浸透のみに頼っており、分散剤、ワニスの添加等に
よるインキの降伏値低減など、紙への浸透力を上げよう
とする試みがなされてきた。しかし、裏移り防止に効果
があるほどインキの浸透力を上げると、更に孔版印刷の
印圧を高くする試みもなされているが、ユーザーが許容
する裏移り防止のレベルまでには達していない。その
他、孔版印刷インキにおいては、沸点180〜270
℃の溶剤をエマルションの水相に含有させる(特開昭6
1−255967号)、油相中に樹脂固型分の総量に
対して20〜70重量%の環化ゴムを含有させる(特開
平5−247397号)、油相にアルミニウムキレー
ト化合物を含有させる(特開平6−293873号)な
どがインキの裏移り防止を目的の一つとしたものとして
提案されている。しかし、これらによっても本発明が期
待する程度の効果は得られていないのが実状である。
【0004】孔版印刷における裏移り防止を有効ならし
めるためには、良好な画像品質及び安定性を有するイン
キ処方の開発が必要であるが、これに加え、裏移りを改
善できる適正なインキ付着量を割り出すことも必要であ
る。しかし、紙へのインキ付着量は、画像濃度(ID)
に影響するため、裏移り防止に効果がでる範囲までイン
キ付着量を低減すると、画像濃度は大幅に低下する。そ
れ故、良好な画像濃度を維持するためには、顔料濃度を
高くする必要がある。また、紙へのインキ付着量と顔料
濃度は、重要な画像品質の1つである画像上のインキ耐
摩耗性に影響し、インキ付着量を低減し、インキにおけ
る顔料濃度を高くすると耐摩耗性が大幅に劣化すること
も知られている。このため、良好な画像の耐摩耗性を維
持出来、且つ画像濃度を維持できるような顔料濃度範囲
の検討が必要となる。
【0005】前記の安定性については、顔料濃度を高く
した孔版印刷インキは高温において急激な粘度上昇の見
られるのが一般的で、特に顔料にカーボンを多く使う孔
版印刷黒色用W/O型エマルションインキでは顕著であ
る。従って、この種のインキは、例えば夏期の船舶等の
コンテナ輸送、倉庫での保存では、かなり高温にさらさ
れることが予想され、高温でのインキ粘度の急激な上昇
はインキポンプの負荷増大やパックのインキ残量、及び
画像品質劣化につながるため、高温でのインキ粘度の上
昇は、極力抑えなければならない。黒色W/O型エマル
ションインキの処方及び環境にかかわらず、裏移りの少
ない良好な画像品質の低いインキ付着量範囲においても
十分な画像濃度及び耐摩耗性を維持し、更に高温でも安
定な孔版印刷インキの開発は強く望まれるところであ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、孔版
印刷機(輪転印刷機を含む)で使用される場合、インキ
処方、環境にかかわらず、裏移りの少ない良好な画像品
質の低インキ付着量範囲において、画像濃度、耐摩耗
性、高温でのインキの保存安定性を良好なままに維持で
きる孔版印刷用W/O型エマルションインキを提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、(1)
油相15〜90重量%と水相10〜85重量%のW/O
型エマルションからなり、かつ、該油相中に顔料がイン
キに対して5.0〜12重量%含有されていることを特
徴とする孔版印刷用W/O型エマルションインキ、
(2)前記(1)において、インキ油相中に、アルキッ
ド樹脂がインキ水相重量に対して3.5〜20重量%添
加されていることを特徴とする孔版印刷用W/O型エマ
ルションインキ、(3)前記(1)又は(2)におい
て、水相重量と顔料重量との和が全体の72重量%より
小さいことを特徴とする孔版印刷用W/O型エマルショ
ンインキ、が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明のW/O型エマルションインキは、油相1
5〜90重量%と水相85〜10重量%とからなり、そ
の油相中に顔料をインキに対して5.0〜12重量%含
有することを特徴としている。油相は顔料をはじめとし
て、油溶性染料、分散剤、樹脂、油、乳化剤、ゲル化剤
などからなり、また、水相は水、水溶性樹脂、防腐剤、
水蒸発抑制剤、凍結防止剤、pH調整剤、酸化防止剤、
電解質などからなっている。
【0009】本発明で使用できる顔料としては、主とし
て、カーボンブラックであるが、色味調整のために、カ
ーボンブラックと任意の割合で、公知の青色顔料、緑色
顔料を含ませることが出来る。顔料(青色及び/又は緑
色顔料を含む)の添加量は、既述のとおり、インキに対
して5.0〜12重量%である。ここで、顔料の添加量
がインキに対して5.0〜12重量%が適当であるとし
たのは次の理由による。すなわち、インキの裏移り現象
とインキ付着量との関係を孔版印刷機(VT3820、
リコー社製)を使用して調べた結果、紙へのインキ付着
量が5.5g/m2以下であれば、インキ処方環境にか
かわらず、ほとんど裏移りのない良好な画像を供給出来
ることが判った。また、更にインキ付着量を低減してい
くと4.0g/m2未満ではインキ付着不足による、い
わゆる白抜けや画像端部かすれ等の不具合が発生しはじ
めた。これらから、インキ裏移りの少ない画像品質向上
には、インキ付着量を4.0〜5.5g/m2まで低減
する必要があり、このインキ付着量範囲において、より
良好な画像品質及びインキ安定性を有するインキ処方を
模索した。その結果、顔料をインキ油相中に、インキ重
量に対して5.0〜12重量%含ませるのが効果的であ
るのをつきとめたことによる。この場合インキ付着量
4.0〜5.5g/m2の範囲において、顔料が5.0
重量%より少ないと画像濃度が薄くなり、逆に12重量
%より多いと耐摩耗性が著しく低くなり不都合である。
【0010】油溶性染料としては、モノ又はジスアゾ系
の黒色、茶色の或いはアントラキノン系の青色の染料な
どがあげられる。
【0011】W/O型エマルションを構成するための乳
化剤には、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン
脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステ
ル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシ
エチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレ
ンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリ
セリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸
エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリ
オキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレン
ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエ
チレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン
ひまし油、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエ
チレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンラノリン、ポ
リオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチ
レンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミ
ド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデ
ヒド縮合物等のノニオン系界面活性剤があげられる。こ
れらは、顔料分散剤としても使用でき、また単独である
いは複数での使用も可能であり、その添加量はインキ重
量の1〜8重量%、好ましくは2.2〜5.5重量%で
ある。
【0012】油には、公知の鉱物油、植物油、炭化水素
系合成油を単独で、あるいは複数で使用できる。鉱物油
としては、石油系溶剤、スピンドル油、流動パラフィ
ン、モーター油、ギヤー油マシン油などが、また植物油
としては、あまに油、トール油、とうもろこし油、大豆
油、ひまし油、脱水ひまし油など、いずれも公知のもの
が例示でき、これらは単独であるいは複数でも使用でき
る。油使用量はインキに対して5〜30重量%が好まし
い。
【0013】樹脂はインキと紙との固着性、インキの経
時安定性、油相中の顔料の分散性等の向上を目的として
使用されるが、その例としてはロジン、重合ロジン、水
素化ロジン、ロジンエステル、水素化ロジンエステル、
ロジン変性フェノール、アルキッド樹脂、重合ひまし油
等があげられる。これらは単独あるいは複数でも使用で
きる。樹脂の使用量は、インキ中1〜15重量%が好ま
しい。
【0014】カーボンブラック等顔料の分散剤には、前
記の乳化剤用非イオン界面活性剤を使うことができる。
この他、アルキルアミン系高分子化合物、アルミニウム
キレート系化合物、スチレン/無水マレイン酸共重合
体、ポリアクリル酸の部分アルキルエステル、ポリアル
キレンポリアミン、脂肪族多価カルボン酸、ポリエーテ
ル、エステル型アニオン界面活性剤、高分子ポリカルボ
ン酸の長鎖アミン塩、ポリアミド、燐酸エステル系界面
活性剤、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィン
スルホン酸塩、ジオクチルスルホコハク酸塩等も使用可
能である。これらの分散剤は単独又は2種以上混合して
添加すれば良く、その添加量は顔料重量の40重量%以
下、好ましくは2〜35重量%である。
【0015】ゲル化剤は、油相に含まれる樹脂をゲル化
してインクの保存安定性、定着性、流動性等を向上させ
る役割を持ち、本発明のインクに添加されるゲル化剤と
しては油相中の樹脂と配位結合する化合物が好ましい。
このような化合物を例示すると、Li、Na、K、A
l、Ca、Co、Fe、Mn、Mg、Pb、Zn、Zr
等の金属を含む有機酸塩、有機キレート化合物、金属石
鹸オリゴマー等であり、具体的にはオクチル酸アルミニ
ウム等のオクチル酸金属塩、ナフテン酸マンガン等のナ
フテン酸金属塩、ステアリン酸亜鉛等のステアリン酸
塩、アルミニウムジイソプロポキシドモノエチルアセト
アセテート等の有機キレート化合物等が挙げられる。こ
れらのゲル化剤は、1種又は2種以上を油相に添加すれ
ば良く、その添加量は油相中の樹脂の15重量%以下、
好ましくは5〜10重量%である。
【0016】油相に添加される酸化防止剤は、ジブチル
ヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ブチルヒドロ
キシアニソール等であり、これらの添加によって油相中
のバインダー樹脂等の酸化を防ぎ、これによってインク
粘度の上昇等が防止される。また、その添加量はインク
中の油の2重量%以下、好ましくは0.1〜1.0重量
%である。なお、酸化防止剤は単独でも2種類以上を混
合して使っても良い。
【0017】一方、エマルションインキの水相に添加さ
れる水溶性高分子は、補湿や増粘のためのものであり、
具体的には下記の天然又は合成高分子が添加される。デ
ンプン、マンナン、アルギン酸ソーダ、ガラクタン、ト
ラガントガム、アラビアガム、プルラン、デキストラ
ン、キサンタンガム、ニカワ、ゼラチン、コラーゲン、
カゼイン等の天然高分子;カルボキシメチルセルロー
ス、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、
ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロース、ヒドロキシメチルデンプン、カルボキ
シメチルデンプン、ジアデヒドデンプン等の半合成高分
子;ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ
アクリル酸トリエタノールアミン等のアクリル酸樹脂誘
導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、
ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビ
ニルメチルエーテル等の合成高分子など。これらの水溶
性高分子は単独でも2種類以上混合して添加しても良
く、インクに含まれる水の25重量%以下、好ましくは
0.5〜15重量%添加される。
【0018】水相に添加される防腐・防かび剤は、エマ
ルション内で細菌やかびが繁殖するのを防ぐために添加
され、エマルションを長期間保存する場合は防腐・防か
び剤としての添加が普通である。その添加量はインク中
に含まれる水の3重量%以下、好ましくは0.1〜1.
2重量%とするのが良い。また、防腐・防かび剤として
はサリチル酸、フェノール類、p−オキシ安息香酸メチ
ル、p−オキシ安息香酸エチル等の芳香族ヒドロキシ化
合物及びその塩素化合物のほか、ソルビン酸やデヒドロ
酢酸等が使用され、これらは単独でも2種以上混合して
使っても良い。
【0019】水の蒸発抑制剤と凍結防止剤は兼用可能で
あり、これらの目的で添加される薬品はエチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等
のグリコール;メタノール、エタノール、イソプロパノ
ール、ブタノール、イソブタノール等の低級飽和一価ア
ルコール;グリセリンやソルビトール等の多価アルコー
ル等である。これらの薬品は1種又は2種以上を添加す
れば良く、その添加量はインク中の水重量の15重量%
以下、好ましくは4〜12重量%である。
【0020】水相に添加されるpH調整剤は、トリエタ
ノールアミン、酢酸ナトリウム、トリアミルアミン等で
あり、必要時にはこれらのpH調整剤を添加して水相の
pHを6〜8に保つことができる。水相のpHが前記範
囲からはずれると、増粘剤用水溶性高分子が添加されて
いる場合にその効果が損なわれる等の問題がある。
【0021】水相に添加される電解質は、エマルション
の安定性を高めるために添加されるものである。従っ
て、その電解質にはエマルションの安定度向上に有効な
離液順列が高いイオンで構成された電解質を添加するの
が良い。離液順列が高い陰イオンは、クエン酸イオン、
酒石酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン等等であり、離
液順列が高い陽イオンは、アルカリ金属イオンやアルカ
リ土類金属イオンであるから、ここで添加される電解質
としては少なくとも陰イオンか陽イオンの一方が前記イ
オンよりなる塩が好ましい。従って、ここで添加される
電解質としては、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、
クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ホウ酸ナ
トリウム、酢酸ナトリウム等が好ましく、その添加量は
水相の0.1〜2重量%、好ましくは0.5〜1.5重
量%である。
【0022】ところで、孔版印刷においては、画像濃度
は0.9以上、耐摩耗性は定着率で60%以上であるの
が望ましい。また前記のように、インキ付着量は4.0
〜5.5g/m2の範囲がよく、この範囲において画像
濃度が0.9以上、耐摩耗性は定着率で60%以上であ
るのが、インキに対する顔料濃度5.0〜12重量%の
範囲で達成できる。ところが、インキに対する顔料濃度
が5.0〜12重量%である孔版印刷黒色用W/O型エ
マルションインキは、高温保存時に急激な粘度上昇を示
す。これは低インキ付着量で画像濃度を維持するため
に、従来の孔版印刷黒色用W/O型エマルションインキ
と比較すると、インキ重量に対する顔料濃度が高く、高
温保存によって顔料粒子同士あるいは顔料−水相粒子と
の間になんらかの相互作用が生じる、あるいは、顔料表
面からの分散剤剥離等による、顔料の急激な凝集の影響
等が顕著になったことが考えられる。
【0023】しかし、こうした粘度上昇は、本発明者の
検討したところによれば、W/O型エマルションインキ
油相中にアルキッド樹脂を、インキ水相重量に対して
3.5〜20重量%添加することで低減できるが明らか
になった。先に触れたように、W/O型エマルションイ
ンキの油相中にアルキッド樹脂をインキ水相重量に対し
て3.5〜20重量%添加したことで、顔料同士あるい
は顔料−水相粒子間の相互作用、あるいは、顔料の急激
な凝集が緩和されていると考えられる。アルキッド樹脂
添加量が3.5重量%以下であると高温保存での粘度上
に効果はなく、20重量%以上であると、油相粘度が高
くなり、インキの粘度調整が難しくなる上に、コスト的
にも高くなってしまう。アルキッド樹脂は、版におい
て、固化しないような乾性油の油脂から合成されたもの
を使用するのが有利である。アルキッド樹脂が3.5〜
20重量%添加されたときは、その他の樹脂は、インキ
の目的とする粘度を考慮した上で、インキ重量に対して
10重量%以下、好ましくは1〜7重量%とすればよ
い。
【0024】また、孔版印刷用W/O型エマルションイ
ンキは黒色のものが多く、その際、使用される顔料とし
てはカーボンの比率が高い。このカーボン表面は活性で
あるため、水相粒子や顔料同士での相互作用をもちやす
いと考えられ、そのために、高温でのインキ粘度上昇も
黒色で顕著になっているものと考えられる。これは、水
相粒子とカーボンとの和を72重量%以下とすること
で、この高温保存下のインキ粘度上昇を効果的に低減す
ることができる。
【0025】上記のほか、本発明の孔版印刷用W/O型
エマルションインクには、印刷時に印刷用紙と印刷ドラ
ムとの分離を良くするため、或いは印刷用紙の巻き上が
り防止等のために油相にワックスを添加することができ
る。また、水相にはトリエタノールアミンや水酸化ナト
リウム等を添加して、水溶性高分子添加による高粘度化
を更に増進させることができる。さらに、水相に防錆剤
や消泡剤を添加して印刷の際に印刷機がインキによって
錆びたり、インキが泡立つのを防止することができる。
これらの添加剤は、孔版印刷用インキに添加されている
公知品を必要に応じて添加すれば良く、その添加量は従
来品の場合と同程度で良い。本発明のエマルションイン
キは、従来のエマルションインキ製造時と同様にして油
相及び水相液を調製し、この両者を公知の乳化機内で乳
化させてインクとすれば良い。すなわち、着色剤、乳化
剤及び必要に応じて添加される樹脂等の添加物を良く分
散させた油を常法で調製し、これに防腐・防かび剤や水
溶性高分子等が必要に応じて添加されている水溶液を徐
々に添加して乳化させれば良い。
【0026】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいてさらに具体
的に説明する。実施例中の部は重量基準である。
【0027】実施例1 (油相組成) 着色剤1 ファーネスカーボン 4.4部 着色剤2 フタロシアニンブルー 0.6部 分散剤 アルミキレート化合物 1.6部 オイル 流動パラフィン 21.0部 樹脂 アルキッド樹脂 2.4部 界面活性剤 ソルビタンセスキオレエート 4.0部 (水相組成) 水 イオン交換水 58.0部 電解質 硫酸マグネシュウム 3.0部 凍結防止剤 グリセリン 5.0部 顔料分散体の調製は、ファーネスカーボン、フタロシア
ニンブルーの顔料、アルミキレート化合物等の分散剤、
流動パラフィン等の油を三本ロールで練肉することで行
い、この顔料分散体にアルキッド樹脂の他、必要に応じ
て、オイル、及び溶剤、ワニス等を加え、混合し、油相
とする。これに水相を徐々に加え、乳化を行うことによ
って、孔版印刷黒色用W/O型エマルションインキを得
た。
【0028】実施例2、3及び比較例1〜5 実施例1と同組成の処方において、顔料のファーネスブ
ラックとフタロシアニンブルーの重量比、顔料とアルミ
キレート化合物の重量比、及びソルビタンセスキオレエ
ートのインキに対する4重量%を一定とし、流動パラフ
ィン、アルキッド樹脂、水相重量の調製によって、表1
のような処方から実施例1と同様な方法で孔版印刷用W
/O型エマルションインキを得た。
【0029】
【表1】
【0030】上記8種のうち5種のインキ(実施例1、
実施例2、実施例3、比較例1、比較例2)を用い、V
T3820(リコー社製)にて、べた面積100cm2
を有する原稿で製版し、印刷環境23℃、65%RHの
もとで王子上質紙55Kに100枚を孔版印刷し、その
印刷前後の印刷グラム重量を測り、その差をインキの紙
への付着量(g/m2)とし、その時、印刷画像の10
0枚目のべた部を反射式光学濃度計(マクベス社製RD
914)でベタ部10点のIDを測定し、その平均を画
像濃度とした。また、画像濃度計測後、その画像面を消
しゴムを取り付けたクロックメーターで10往復こす
り、(消去後の濃度/印刷濃度)×100を定着率と
し、これを画像面上のインキ耐摩耗性の代用特性とし
た。
【0031】結果は図1(インキ付着量に対する画像濃
度)および図2(インキ付着量に対する定着率)に示し
たとおりである。実施例1〜3では、インキ付着量範囲
4.0〜5.5g/m2においては、インキに対する顔
料濃度が5.0〜12重量%であるインキ処方によっ
て、IDを0.9以上、定着率60%以上の良好な画像
を提供できる。これに対して、インキ付着量4.0〜
5.5g/m2においては、比較例1(インキ重量に対
する顔料濃度4.5重量%)では、IDが0.9以下と
なる付着量範囲があり、また、比較例2(インキに対す
る顔料濃度12.5重量%)は、定着率が60%以下ま
で低下する付着量範囲がある。
【0032】更に、実施例1〜3、比較例3〜5のイン
キを60℃、65%RHの条件下で一週間保存し、保存
前後でのインキ粘度を測定し、その粘度差を評価し、こ
れを表2に示す。なお、粘度測定には、コーンプレート
型粘度計(CV20、センサーPK30−0.5、HA
AKE社製)を使用し、20℃のシェア20(1/s)
の1分値を測定した。その結果、表2にみられるよう
に、比較例3〜5のインキは60℃、65%RHの保存
前後でその粘度差が大きく、実用性にいささかの問題が
残る。
【0033】
【表2】
【0034】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、画像濃度が高
く、定着性の良好な孔版印刷用W/O型エマルションイ
ンキが得られる。請求項2及び3の発明によれば、高温
保存による粘度上昇が抑えられる孔版印刷用W/O型エ
マルションインキが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】組成を異にした孔版印刷用W/O型エマルショ
ンインキを使用して印刷したときの、インキ付着量と画
像濃度(ID)との関係を表わしたグラフである。
【図2】組成を異にした孔版印刷用W/O型エマルショ
ンインキを使用して印刷したときの、インキ付着量と定
着率との関係を表わしたグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油相15〜90重量%と水相10〜85
    重量%のW/O型エマルションからなり、かつ、該油相
    中に顔料がインキに対して5.0〜12重量%含有され
    ていることを特徴とする孔版印刷用W/O型エマルショ
    ンインキ。
  2. 【請求項2】 油相中に、アルキッド樹脂が水相重量に
    対して3.5〜20重量%添加されていることを特徴と
    する請求項1記載の孔版印刷用W/O型エマルションイ
    ンキ。
  3. 【請求項3】 水相重量と顔料重量との和が全体の72
    重量%より小さいことを特徴とする請求項1又は2記載
    の孔版印刷用W/O型エマルションインキ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6758888B2 (en) 2000-04-06 2004-07-06 Riso Kagaku Corporation Emulsion ink for stencil printing
JP2005330461A (ja) * 2004-04-20 2005-12-02 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷用エマルションインキ

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US6758888B2 (en) 2000-04-06 2004-07-06 Riso Kagaku Corporation Emulsion ink for stencil printing
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