JP4322391B2 - 孔版印刷用w/oエマルションインキ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、孔版印刷用W/Oエマルションインキに関し、詳しくはインキ中の顔料凝集体の成長を抑え、目詰まりを防ぐ孔版印刷用W/Oエマルションインキに関する。
【0002】
【従来の技術】
孔版印刷方法は、周知のように孔版印刷用原紙を用い、この原紙の穿孔部を介して原紙の一方の側より他方の側ヘインキを移動させることにより、紙などの被印刷物面に印刷を行うものである。孔版印刷においては、インキは微細な隙間であるスクリーンを通過して印刷機内から紙へと転移していくため、顔料等のインキ内の固形分が大きいと通過できない場合がある。
【0003】
この問題を解決する手段としてアルミニウムキレート類で顔料を分散させる方法(特開平6−128518号公報)が提案されている。しかし、比較的分散安定性がよいカーボンブラックの顔料に対しては、この方法は効果はあるものの、黄顔料は構造粘性(凝集性)が強く、長時間放置された揚合は顔料凝集が進んで二次粒子径が大きくなり、目詰まりが生じ、黄顔料に対しては効果が不十分であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、前記従来技術の欠点を解消し、インキ中の顔料凝集が進むのを抑え、目詰まりが生じるのを防ぐ孔版印刷用エマルションインキを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、第一に、油相及び水相からなるW/Oエマルションインキにおいて、前記油相中に黄顔料と、アルミニウムキレート化合物と、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有し、
前記黄顔料がアセト酢酸アニリド系ジスアゾであり、
前記アルミニウムキレート化合物が下記構造式で示されることを特徴とする孔版印刷用W/Oエマルションインキが提供される。
【化2】
(式中、R 1 はイソプロピル基、sec−ブチル基又はイソブチル基を表し、R 2 はオレイル基又はオクタデシル基を表し、nは1又は2を表す。)
【0006】
第二に、前記アルミニウムキレート化合物の含有量が、顔料に対して10〜100重量%であることを特徴とする上記第一に記載した孔版印刷用W/Oエマルションインキが提供される。
【0007】
第三に、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が、顔料に対して1〜100重量%であることを特徴とする上記第一又は第二に記載した孔版印刷用W/Oエマルションインキが提供される。
【0008】
第四に、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンが、重合モル数2〜14であることを特徴とする上記第一〜第三のいずれかに記載した孔版印刷用W/Oエマルションインキが提供される。
【0009】
第五に、環分析による炭素分布におけるナフテン成分の含有量が35%Cn以上、且つパラフィン成分の炭素の含有量が50%Cp以下である不揮発性の鉱物油を、単独又は他のオイルと併用して含有させたことを特徴とする上記第一〜第四のいずれかに記載した孔版印刷用W/Oエマルションインキが提供される。
【0010】
第六に、前記鉱物油が40度時の動粘度が50mm2/s以上のものであることを特徴とする上記第五に記した孔版印刷用W/Oエマルションインキが提供される。
【0011】
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、アルミニウムキレート化合物とポリグリセリン脂肪酸エステルを含有させることで、インキ中の顔料凝集体の成長を抑え、目詰まりを防ぐ孔版印刷用W/Oエマルションインキが得られること、更に環分析による炭素分布におけるナフテン成分の含有量が35%Cn以上、且つパラフィン成分の炭素の含有量が50%Cp以下である不揮発性の鉱物油を単独又は他のオイルと併用して含有させることで、より効果が向上することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明の孔版印刷用エマルションインキがこのような効果を有する理由としては、顔料表面に対して吸着性の優れるアルミニウムキレート化合物が顔料粒子の分散細分化をにない、同時に立体障害効果の強いポリグリセリン脂肪酸エステルが流動性を保持したまま厚い界面膜を形成する為、顔料粒子の再凝集を防ぎ、目詰まりを防ぐと考えられる。ナフテン成分の炭素の含有量が35%Cn以上、且つパラフィン成分の炭素の含有量が50%Cp以下である不揮発性の鉱物油を用いることにより、上記分散系に対して良溶媒で相溶性が良いためか、更に上記の分散及び分散安定化効果が向上するようになると考えることができる。
【0013】
本発明の孔版印刷用W/Oエマルションインキに添加されるアルミニウムキレート化合物の含有量は、顔料に対して10〜100重量%であることが好ましく、効果とコストを考慮すると20〜60重量%であることが更に好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が、顔料に対して1〜100重量%であることが好ましく、効果とコストを考慮すると5〜15重量%であることが更に好ましい。アルミニウムキレート化合物の添加量は、顔料に対して10重量%未満では分散が不十分であり、また100重量%を超えると顔料の分散性が変わらずコストが高くなるので、添加量としては顔料に対して10〜100重量%が望ましい。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルの添加量が顔料に対し1重量%未満では分散安定化効果が十分ではなく、100重量%を超えるとインキ粘度が高すぎるなどの問題があるため、添加量としては顔料に対して1〜100重量%が望ましい。
【0014】
また、黄顔料はアセト酢酸アニリド系ジスアゾを用いると定着率が良い画像が得られる。また、ナフテン成分の炭素の含有量が35%Cn以下、且つパラフィン成分の炭素の含有量が50%Cp以上のオイルではやや相溶性が劣るためか、ナフテン成分の炭素の含有量が35%Cn以上、且つパラフイン成分の炭素の含有量が50%Cp以下のオイルを用いたときほど分散及び分散安定性効果が無いため、ナフテン成分の炭素の含有量が35%Cn以上、且つパラフィン成分の炭素の含有量が50%Cp以下のオイルを用いることが望ましい。また、40度時における粘度値が50mm2/s以上にすると更に分散安定化が向上する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を更に詳細に説明する。
本発明のエマルションインキに使用するアルミニウムキレート化合物は、顔料の分散剤として用いられるものであり、該化合物はアルミニウムアルコラートとアセト酢酸エステルとを原料とし、下記構造式に示される。
【化1】
(式中、R1はイソプロピル基、sec−ブチル基又はイソブチル基を表し、R2はオレイル基又はオクタデシル基を表し、nは1又は2を表す。)
【0016】
上記アルミニウムキレート化合物の市販品としては、川研ファインケミカル(株)製アルミキレートM、味の素(株)製プレンアクトALM等が挙げられる。なお、該アルミキレート化合物は油相成分として用いられる。
【0017】
本発明のエマルションインキに使用するポリグリセリン脂肪酸エステルは、高分子系顔料分散剤であり、構成するポリグリセリンは、重合モル数2〜14のもの、例えばジグリセリン、トリグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン等がある。市販品としては、味の素(株)製アジスパーPN411等が挙げられる。
【0018】
本発明のエマルションインキに使用される油は、鉱物油や植物油等があり、鉱物油としては、例えば石油系溶剤、流動パラフイン、スピンドル油、軽油、灯油、マシン油、ギヤー油、潤滑油、モーター油等が、また植物油としては、あまに油、トール油、とうもろこし油、オリーブ油、ナタネ油、ヒマシ油、大豆油、脱水ひまし油等が挙げられる。また、ポリイソブチレン類、水素化ポリデセン類、トリメチロールプロパンエステル類、ネオペンチルエステル類、ペンタエリスリトールエステル類、シロキサン類、シリコーン類、フロロカーボン類、アルキル置換ジフェニルエーテル類、フタル酸エステル類、リン酸エステル類等の合成油も使用可能である。なお、石油系溶剤としてはエクソン社のアイソパーや日本石油社のAFソルベントシリーズ等のソルベント類等の混合溶剤を使用しても良い。
【0019】
そして、これらの油は単独でも2種以上混合して使用しても良く、好ましくはナフテン成分の炭素の含有量が35%Cn以上、且つパラフイン成分の炭素の含有量が50%Cp以下で、更に40度時の動粘度が50mm2/s以上のオイルを用いることが望ましい。市販品としては、サン石油社製のサンセンオイル430、サンセンオイル450等が挙げられる。
【0020】
本発明で用いる黄顔料としては、従来公知の物が任意に使用でき、例えば、アセト酢酸アニリド系アゾレーキ、アセト酢酸アニリド系モノアゾ、アセト酢酸アニリド系ジスアゾ、アセト酢酸アニリド系縮合アゾ、イソインドリノン、アントラピリミジン、フラバントロン、ペリノン、アシルアミノイエロー、金属鎖体、キノフタロン、イソインドリン等が挙げられる。これらの顔料類は、単独でも2種以上混合して添加しても良く、インキ内への顔料添加量は1〜15重量%、好ましくは2〜10重量%とするのが良い。市販品としては、東洋インキ社製のLionol yellow GRL、 Lionol yellow K-5G等が挙げられる。
【0021】
その他、本発明で黄顔料と併用可能な黄色以外の着色剤としては、従来公知のものが任意に使用でき、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、ニトロソ系顔料、ニトロ系顔料、建染染料系顔料、媒染染料系顔料、塩基性染料系顔料、酸性染料系顔料、及び天然染料系顔料等の顔料などが挙げられる。
【0022】
本発明で用いる乳化剤としては、非イオン性界面活性剤が好ましく、具体的には、ソルビタン脂肪酸エステルとして、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が例示される。その他、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物等が例示される。これらは、効果を損なわない範囲で、単独又は2種以上混合してインキに添加してもよく、添加量はインキ重量の1〜20重量%とすればよい。
【0023】
本発明においては、以上の他、油相にはエマルションの形成を妨害しない範囲で、樹脂、ゲル化剤、及び酸化防止剤等を添加することができる。また、水相にはエマルシヨンの形成を妨害しない範囲で、水溶性高分子、防腐・防かび剤、水の蒸発抑制剤、凍結防止剤、pH調整剤、電解質等を添加することができる。
なお、水に関しては清浄であれば良く、具体的には、水道水、イオン交換水、蒸留水等を用いれば良い。
【0024】
油相に添加される樹脂は、顔料と被印刷物との固着、顔料の分散及びインキの経時安定性向上等のために従来から添加されているバインダー樹脂である。従って、従来から添加されている樹脂を添加すれば良く、具体的にはロジン、重合ロジン、水素化ロジン、ロジンエステル、水素化ロジンエステル等のロジン系樹脂、ロジン変性フェノール樹脂等のロジン変性樹脂、フェノール樹脂、石油樹脂、アルキド樹脂、ゴム誘導体、重合ひまし油等を1種又は2種以上混合して添加すれば良い。また、添加量はインキ重量の20重量%以下、好ましくは1〜7重量%とすれば良い。
【0025】
ゲル化剤は、油相に含まれる樹脂をゲル化してインキの保存安定性、定着性等を向上させる役割を持ち、本発明のインキに添加されるゲル化剤としては、油相中の樹脂と配位結合する化合物が好ましい。このような化合物を例示すると、Li、Na、K、Al、Ca、Co、Fe、Mn、Mg、Pb、Zn、Zr等の金属を含む有機酸塩、有機キレート化合物、金属石鹸オリゴマー等であり、具体的にはオクチル酸アルミニウム等のオクチル酸金属塩、ナフテン酸マンガン等のナフテン酸金属塩、ステアリン酸亜鉛等のステアリン酸塩、アルミニウムジイソプロポキシドモノエチルアセトアセテート等の有機キレート化合物等が挙げられる。これらのゲル化剤は、1種又は2種以上を油相に添加すればよく、その添加量は油相中の樹脂の15重量%以下、好ましくは5〜10重量%である。
【0026】
油相に添加される酸化防止剤は、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール等であり、これらの添加によって油相中のバインダー樹脂等の酸化を防ぎ、これによってインキ粘度の上昇等が防止される。また、その添加量はインキ中の油の2重量%以下、好ましくは0.1〜1.0重量%である。なお、酸化防止剤は単独でも2種以上混合して使用しても良い。
【0027】
エマルションインキの水相に添加される水溶性高分子は、補湿や増粘の為に添加されるものであり、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。具体的には下記の天然又は合成高分子が添加される。
【0028】
でん粉、マンナン、アルギン酸ソーダ、ガラクタン、トラガントガム、アラビアガム、プルラン、デキストラン、キサンタンガム、ニカワ、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン等の天然高分子、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン等の半合成高分子、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸トリエタノールアミン等のアクリル樹脂誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド及びN−エチルアクリルアミド等のN−アルキル置換アクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルメチルエーテル、ポリ酢酸ビニル、等の合成高分子、及び2種類以上の異なるモノマーから合成された水溶性の合成高分子、その他。これらの水溶性高分子は、単独でも2種以上混合して添加しても良く、インキに含まれる水の25重量%以下、好ましくは0.5〜15重量%添加される。
【0029】
水相に添加される防腐・防かび剤は、エマルション内で細菌やかびが繁殖するのを防ぐために添加され、エマルションを長期間保存する場合は防腐・防かび剤の添加が普通である。その添加量は、インキ中に含まれる水の3重量%以下、好ましくは0.1〜1.2重量%とするのが良い。また、防腐・防かぴ剤としては、サリチル酸、フェノール類、p−オキシ安息香酸メチル、p−オキシ安息香酸エチル等の芳香族ヒドロキシ化合物及びその塩素化合物の他、ソルビン酸やデヒドロ酢酸等が使用され、これらは単独でも2種以上混合して使用しても良い。
【0030】
水の蒸発抑制剤と凍結防止剤は兼用可能であり、これらの目的で添加される薬品は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等の低級飽和一価アルコール、グリセリンやソルビトール等の多価アルコール、等である。これらの薬品は1種又は2種以上添加すれば良く、その添加量はインキ中の水重量の15重量%以下、好ましくは4〜12重量%である。
【0031】
水相に添加されるpH調整剤は、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウム、トリアミルアミン等であり、必要時にはこれらのpH調整剤を添加して水相のpHを6〜8に保つことができる。水相のpHが前記範囲からはずれると、増粘剤用水溶性高分子が添加されている場合にその効果が損なわれる等の問題がある。
【0032】
水相に添加される電解質はエマルションの安定性を高めるために添加されるものであり、クエン酸、酒石酸、SO4、CH3CO2、Cl、Br、NO3、ClO3、I、SCNなどの陰イオンと、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Alなどの陽イオンからなる電解質が使用できる。従って、ここで添加される電解質としては、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、硫酸アルミニウムなどが好ましく、その添加量は水相の0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜2重量%、さらに好ましくは0.5〜1.5重量%である。
【0033】
上記の他、本発明の孔版印刷用油中水滴型エマルションインキには、印刷時に印刷用紙と印刷ドラムとの分離を良くするため、あるいは印刷用紙の巻き上がり防止等のために、油相にワックスを添加することができる。また、水相にはトリエタノールアミンやアンモニア、水酸化ナトリウム等を添加して水溶性高分子添加による高粘度化を更に増進させることができる。更に、水相に防錆剤や消泡剤を添加して、印刷の際に印刷機がインキによって錆びたり、インキが泡立つことを防止することができる。これらの添加剤は孔版印刷用インキに添加されている公知品を必要に応じて添加すれば良く、その添加量は従来品と同程度で良い。
【0034】
本発明のエマルションインキは、従来のエマルションインキ製造時と同様にして油相及び水相液を調整し、それぞれを攪拌機や三本ロールミル、ボールミル等で攪拌、分散した後、この両者を公知の乳化機内で乳化させてインキとすれば良い。
【0035】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。尚、以下に示す部は、重量基準である。
【0036】
以下の実施例及び比較例のインキ作製手順としては、下記の各原材料成分を用い、ミルベースの作製は着色剤とオイルと顔料分散剤を三本ロールミルで練肉することで行い、このミルベースに乳化剤とオイル等を加えて油相とし、これに水、凍結防止剤、防腐・防かび剤、電解質等からなる水相を加え、乳化することにより孔版印刷用エマルションインキを得た。
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
<エマルションインキの評価>
これらの実施例及び比較例のインキを用い、市販のリコー社製孔版印刷機(プリポートJP5500)で十分に印刷し、インキを印刷機内にいきわたらせた後印刷画像を得た。その後、30℃の環境で1ヶ月放置後再び刷画像を得た。それぞれの画像に関し、ベタ埋まりを1〜10の10段階でランクづけした。(良:10〜1:悪)そして、ベタの埋まっていない部分を目詰まり発生箇所として評価した。なお、本実験で使用したスクリーンメッシュは#420を使用した。
【0047】
また、定着率は初期の画像濃度とその画像を消しゴムで10往復後の画像濃度をそれぞれ測定し、濃度の変化量から求めた。
(消しゴムで10往復後の画像濃度)/(初期の画像濃度)×100=%
【0048】
これらの評価結果を表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】
実施例1は、請求項1〜6の全てを満足しているインキである。
実施例2は、請求項2のみ満たしていないインキである。
実施例3は、請求項3のみ満たしていないインキである。
実施例4は、請求項4のみ満たしていないインキである。
実施例5は、請求項5のみを満たしていないインキである。
実施例6は、請求項6のみを満たしていないインキである。
【0051】
比較例1は、請求項1からポリグリセリン脂肪酸エステルを除いたインキである。
比較例2は、請求項1からアルミニウムキレート化合物を除いたインキである。
比較例3は、請求項1からアルミニウムキレート化合物とポリグリセリン脂肪酸エステルを除いたインキである。
【0052】
(1)実施例1〜6と比較例1〜3から、請求項1のアルミニウムキレート化合物とポリグリセリン脂肪酸エステルを併用することによる、顔料粒子の凝集防止の作用が明らかである。
【0053】
(2)実施例1と2から、請求項2のアルミニウムキレート化合物の含有量が、顔料に対して10〜100重量%であることによる、ベタ埋まりや定着率の効果が明らかである。
【0054】
(3)実施例1と3から、請求項3のポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が、顔料に対して1〜100重量%にすることにより、経時による顔料粒子の凝集防止が更に優れることが明らかである。
【0055】
(4)実施例1と4から、請求項1の黄顔料をアセト酢酸アニリド系ジスアゾにすることにより、定着率の良い画像が得られることが明らかである。
【0056】
(5)実施例1と5から、請求項5の環分析による炭素分布におけるナフテン成分の含有量が35%Cn以上、且つパラフイン成分の炭素の含有量が50%Cp以下である不揮発性の鉱物油を、単独又は他のオイルと併用して含有させることにより、ベタ埋まりや定着率の効果が更に優れることが明らかである。
【0057】
(6)実施例1と6から、請求項6の40度時の動粘度が50mm2/s以上にすることにより、経時による顔料粒子の凝集防止が更に優れることが明らかである。
【0058】
【発明の効果】
請求項1〜3の黄顔料を含有する孔版印刷用エマルションインキは、アルミニウムキレート化合物とポリグリセリン脂肪酸エステルを併用したことから、立体障害効果による顔料粒子の凝集防止の作用を奏し、それによって、目詰まりを防止することができる。
【0059】
請求項1の黄顔料を含有する孔版印刷用エマルションインキは、前記顔料にアセト酢酸アニリド系ジスアゾを用いたことから、定着率の高い画像が得ることができるという効果が加わる。
【0060】
請求項5〜6の黄顔料を含有する孔版印刷用エマルションインキは、ナフテン成分の含有量が35%Cn以上、且つパラフィン成分の炭素の含有量が50%Cp以下であるオイルや40度時における動粘度が50mm2/s以上であるオイルを用いたことから、目詰まりに対して更に優れた顔料粒子の凝集防止効果を奏し、且つ定着率の良い画像が得られれるという効果が加わる。
Claims (6)
- 前記アルミニウムキレート化合物の含有量が、顔料に対して10〜100重量%であることを特徴とする請求項1記載の孔版印刷用W/Oエマルションインキ。
- 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が、顔料に対して1〜100重量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の孔版印刷用W/Oエマルションインキ。
- 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンが、重合モル数2〜14であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の孔版印刷用W/Oエマルションインキ。
- 環分析による炭素分布におけるナフテン成分の含有量が35%Cn以上、且つパラフィン成分の炭素の含有量が50%Cp以下である不揮発性の鉱物油を、単独又は他のオイルと併用して含有させたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の孔版印刷用W/Oエマルションインキ。
- 前記鉱物油が40度時の動粘度が50mm2/s以上のものであることを特徴とする請求項5記載の孔版印刷用W/Oエマルションインキ。
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