JP2015224292A - 孔版印刷用油中水型エマルションインキ及びその製造方法 - Google Patents

孔版印刷用油中水型エマルションインキ及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水不溶性着色剤の凝集・結晶化による経時での定着率低下、及び印刷機用ドラムのスクリーンやマスタの目詰まりによる画像かすれを防止できるW/Oエマルションインキの提供。
【解決手段】(1)油相中に、電解質を含有する水相と電解質を含有しない水相が分散されており、電解質を含有しない水相に水不溶性着色剤を含有する孔版印刷用油中水型エマルションインキ。
(2)前記電解質を含有しない水相が、2種以上の水不溶性着色剤を含有し、水不溶性着色剤ごとに水相を分ける(1)記載の孔版印刷用油中水型エマルションインキ。
【選択図】なし

Description

本発明は、孔版印刷用油中水型エマルションインキ(以下、W/Oエマルションインキということもある)、及びその製造方法に関する。
孔版印刷方式は、孔版印刷用原紙を用い、この原紙に製版を施して形成された穿孔部を通して孔版印刷版の一方の側から他方の側へインキを移動させることにより紙等の被印刷物表面に印刷を行うものである。
孔版印刷用インキとしては、一般にW/Oエマルションインキが使用されている。このインキは、紙等の被印刷体に印刷されると、まずエマルションの外相である油相成分が紙等に浸透し、次いで内相である水相成分が紙等の内部に浸透及び/又は飛散する。
油相中に着色成分を含有するW/Oエマルションインキの場合、油相の紙等への浸透に伴い着色成分も浸透し、その結果、着色成分が紙等の内部まで浸透してしまい、裏抜けが発生しやすいという問題がある。この浸透現象は紙表面でも同じであり、インキが紙表面で拡がり、滲みの原因になることがある。
このような問題を解決するため、例えば特許文献1では、W/Oエマルションインキの水相中に着色剤を含有させることが提案されている。このインキでは、まず油相が紙等に浸透し、次いで水相が浸透するため、水相中の着色成分は、油相によって紙等に深く浸透することが防止される。その結果、印刷濃度が高くインキの滲み及び裏抜けの少ない画像を得ることができる。
一方、W/Oエマルションインキの水相にはエマルションの安定性を高めるために硫酸マグネシウム等の電解質が添加されるが、同一水相内に水不溶性着色剤を含有させた場合には、電解質が水不溶性着色剤の分散安定性に影響を及ぼすことが報告されている。
例えばパック内や印刷機用ドラム内でW/Oエマルションインキを長期保存した場合、水不溶性着色剤の分散不良や再凝集による二次粒子の生成により、画像上の定着率が低下したり、印刷機用ドラム上のスクリーンやマスタ版の目詰まりが発生することがある。
そこで、特許文献2では、レーキレッドCのレーキ金属であるバリウムと電解質の硫酸イオンから硫酸バリウムの針状結晶が生成するのを防止する手段として、ストロンチウムレッド2BとジスアゾオレンジPMPを用いる方法を提案している。
また、特許文献3では、目詰まりを防止するため、水相中にキレート剤を添加し、アゾ顔料のレーキ金属由来の遊離金属イオンを封鎖して、金属イオンと水相中の硫酸イオンが結合して塩となるのを防止している。
また、特許文献4には、印刷濃度及びマット感が良好な印刷画質を得るため、着色剤を含有する第1水相と、着色剤を含有しない第2水相を有するW/Oエマルションインキが開示されている。
本発明は、水不溶性着色剤の凝集・結晶化による経時での定着率低下、及び印刷機用ドラムのスクリーンやマスタの目詰まりによる画像かすれを防止できるW/Oエマルションインキの提供を目的とする。
上記課題は、次の1)の発明によって解決される。
1) 油相中に、電解質を含有する水相と電解質を含有しない水相が分散されており、電解質を含有しない水相に水不溶性着色剤を含有することを特徴とする孔版印刷用油中水型エマルションインキ。
本発明によれば、水不溶性着色剤の凝集・結晶化による経時での定着率低下、及び印刷機用ドラムのスクリーンやマスタの目詰まりによる画像かすれを防止できるW/Oエマルションインキを提供できる。また、このインキは、水相に着色剤を含有するので、紙上にインキを付与した際に裏抜けが発生せず、にじみも発生しない。
孔版印刷装置の全体斜視図である。 図1における孔版印刷装置の印刷機用ドラム外方のインキ供給装置を90度移動して示す一部断面正面図である。
以下、上記本発明1)について詳しく説明する。なお、本発明1)の実施の形態には、次の2)〜5)も含まれるので、これらについても併せて説明する。
2) 前記電解質を含有しない水相が、2種以上の水不溶性着色剤を含有し、水不溶性着色剤ごとに水相を分けることを特徴とする1)記載の孔版印刷用油中水型エマルションインキ。
3) 前記水不溶性着色剤がレーキ顔料であることを特徴とする1)又は2)記載の孔版印刷用油中水型エマルションインキ。
4) 前記電解質を含有しない水相がポリアクリル酸樹脂を含有することを特徴とする1)〜3)のいずれかに記載の孔版印刷用油中水型エマルションインキ。
5) 前記油相に対し、まず前記電解質を含有する水相を乳化し、次いで、前記電解質を含有せず水不溶性着色剤を含有する水相を乳化することを特徴とする1)〜4)のいずれかに記載の孔版印刷用油中水型エマルションインキの製造方法。
本発明は、水相中に水不溶性着色剤を含有させることにより、紙上での裏抜けとにじみの問題を解決した従来のW/Oエマルションインキを更に改良したものである。
即ち、本発明のW/Oエマルションインキは、油相を連続相とし、水相が、電解質を含有する水相と電解質を含有しない水相からなり、これらの二つの水相が別々に内相としてエマルションを形成しているものである。そして、電解質を含有する水相によってインキの安定性を維持し、電解質を含有しない水相中に水不溶性着色剤を含有させることにより、水不溶性着色剤、分散剤、増粘剤などへの電解質の影響を防止して、水不溶性着色剤の凝集・結晶化による経時での定着率低下や印刷機用ドラムのスクリーンやマスタの目詰まりによる画像かすれを防止する。
本発明のW/Oエマルションインキは、油相約10〜90質量%と水相約90〜10質量%からなる。
前記水相は、少なくとも、水と電解質又は水不溶性着色剤を含有する。
前記水は清浄であれば良く、例えば水道水、イオン交換水、蒸留水等が挙げられる。
前記電解質は、エマルションの安定性を高めるために添加するので、安定性向上に有効な離液順列が高いイオンで構成されたものが良い。離液順列が高い陰イオンは、クエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン等であり、離液順列が高い陽イオンは、アルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンであるから、前記電解質としては陰イオンと陽イオンの少なくとも一方が前記イオンよりなる塩が好ましい。具体例としては、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等が挙げられる。
電解質の添加量は、水相全体の0.01〜3.0質量%が好ましく、より好ましくは、0.3〜2.0質量%である。
前記水不溶性着色剤としては、フタロシアニン顔料やレーキ顔料が好ましい。フタロシアニン顔料としては、銅フタロシアニン顔料が好ましく、α型、β型、ε型のいずれでもよい。レーキ顔料は水溶性の有色物質(染料)を電離させ、担体の金属イオンと電気的に結合させたものであり、例えば−SOH、−COOHなどの水可溶性基を有するアゾ色素に、Ca2+、Ba2+、Mn2+、CO3+などの水溶性金属塩類を加え、水に不溶性とした有機顔料である。
前記顔料の他に、アゾ系顔料、カ−ボンブラック、ニトロソ系顔料、ニトロ系顔料、建染染料系顔料、媒染染料系顔料、塩基性染料系顔料、酸性染料系顔料、天然染料系顔料等の顔料;ジアゾ染料、アントラキノン系染料等の油溶性染料を用いてもよい。
これらの水不溶性着色剤は、単独で用いても2種以上を併用しても良く、2種以上を併用する際には、水不溶性着色剤ごとに水相を分けても良い。なお、これらの水不溶性着色剤は、適宜、油相中に添加することもできる。
水不溶性着色剤の含有量は、インク全体の0.5〜15質量%が好ましく、2〜12質量%がより好ましい。
また、水相には、必要に応じて、前記水不溶性着色剤の分散剤を添加してもよい。
その例としては、アルキルアミン系高分子化合物、アルミニウムキレート系化合物、スチレン−水マレイン酸系共重合高分子化合物、ポリカルボン酸エステル型高分子化合物、脂肪族系多価カルボン酸、高分子ポリエステルのアミン塩類、エステル型アニオン界面活性剤、高分子量ポリカルボン酸の長鎖アミン塩類、長鎖ホリアミノアミドと高分子酸ポリエステルの塩、ポリアミド系化合物、燐酸エステル系界面活性剤、アルキルスルホカルボン酸塩類、ポリビニルピロリドン、ポリイソプロピルアクリルアミドなどのN−アルキル置換アクリルアミド系のポリマー及び共重合体、α−オレフィンスルホン酸塩類、ジオクチルスルホコハク酸塩類、ポリエチレンイミン、アルキロールアミン塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物、及びアルキド樹脂などの不溶性着色剤の分散能を有する樹脂などが挙げられる。その他にも、インキの保存安定性を阻害しない範囲でイオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを用いてもよい。
これらの分散剤は単独で用いても2種類以上混合して用いても良い。
分散剤の添加量は、着色剤質量の40質量%以下が好ましく、より好ましくは1〜35質量%である。
水相には、前記材料の他に、エマルションの形成を妨害しない範囲で、水溶性高分子化合物、防腐防黴剤、水の蒸発抑制剤、凍結防止剤、pH調整剤等を添加してもよい。
前記水溶性高分子化合物は、補湿や増粘、場合によっては着色剤の分散補助のために添加するものであり、具体例としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸トリエタノールアミン等のアクリル酸樹脂誘導体が挙げられる。
更に下記の天然又は合成高分子化合物を併用してもよい。
デンプン、マンナン、アルギン酸ソーダ、ガラクタン、トラガントガム、アラビアガム、プルラン、デキストラン、キサンタンガム、ニカワ、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン等の天然高分子化合物;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン等の半合成高分子化合物;ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルメチルエーテル等の合成高分子化合物など。
これらの水溶性高分子化合物は、単独で用いても2種以上混合して用いても良い。
水溶性高分子化合物の添加量は、インキ中の水分の25質量%以下が好ましく、より好ましくは0.2〜15質量%である。
前記防腐防黴剤はエマルション内で細菌や黴が繁殖するのを防ぐために添加する。エマルションを長期間保存する場合は、通常、防腐防黴剤を添加する。その例としてはサリチル酸、フェノール類、p−オキシ安息香酸メチル、p−オキシ安息香酸エチル等の芳香族ヒドロキシ化合物及びその塩素化合物、ソルビン酸やデヒドロ酢酸等が挙げられる。
これらの防腐防黴剤は、単独で用いても2種以上混合して用いても良い。
防腐防黴剤の添加量は、インキ中の水分の3質量%以下が好ましく、より好ましくは、0.1〜1.2質量%である。
前記水の蒸発抑制剤と凍結防止剤は兼用可能であり、これらの目的で添加する化合物はエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等の低級飽和一価アルコール;グリセリン、ソルビトール等の多価アルコール;等である。
これらの化合物は、1種又は2種以上添加するが、その添加量はインキ中の水分の15質量%以下が好ましく、より好ましくは2〜12質量%である。
前記pH調整剤の例としては、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウム、トリアミルアミン等が挙げられる。必要時に応じてこれらのpH調整剤を添加し、水相のpHを6〜8に保つ。水相のpHが前記範囲を外れると、増粘剤用水溶性高分子化合物が添加されている場合に、その効果が損なわれる等の問題が生じることがある。
更に、水相に防錆剤や消泡剤を添加して印刷の際に印刷機がインキによって錆びたり、インキが泡立つことを防止することができる。これらは従来孔版印刷用インキに用いられている公知のものを公知の添加量で使用すれば良い。
前記油相は、少なくとも油と界面活性剤を含有する。
油相用の油は公知の鉱物油や植物油等である。その具体例としては、石油系溶剤、スピンドル油、流動パラフィン、軽油、灯油、マシン油、ギヤー油、潤滑油、モーター油等の鉱物油;あまに油、トール油、大豆油、とうもろこし油、オリーブ油、なたね油、ひまし油、脱水ひまし油等の植物油;等が挙げられる。また、ポリイソブチレン類、水素化ポリデセン類、トリメチロールプロパンエステル類、ネオペンチルエステル類、ペンタエリスリトールエステル類、シロキサン類、シリコーン類、フロロカーボン類、アルキル置換ジフェニルエーテル類、フタル酸エステル類、リン酸エステル類等の合成油も使用可能である。なお、前記石油系溶剤としてエクソン社製のアイソパーや日本石油社製の日石ソルベント等の混合溶剤を使用しても良い。
これらの油は、単独で用いても、2種以上混合して用いても良い。
前記界面活性剤は乳化剤として添加する。
その具体例としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物等が挙げられる。これらの界面活性剤は単独で用いても2種以上混合して用いても良い。
界面活性剤の添加量は、インキ全体の1〜8質量%が好ましく、より好ましくは1.5〜5.5質量%である。
油相には、上記材料の他に、エマルションの形成を妨害しない範囲でバインダー樹脂、ゲル化剤、着色剤の分散剤、酸化防止剤等を添加しても良い。
前記バインダー樹脂は、着色剤と被印刷物との固着、着色剤の分散及びインキの経時安定性向上等の目的で添加する。これらは従来公知のものでよく、具体例としては、ロジン;重合ロジン、水素化ロジン、ロジンエステル、水素化ロジンエステル等のロジン系樹脂;ロジン変性フェノール樹脂等のロジン変性樹脂;フェノール樹脂;石油樹脂;アルキッド樹脂;ゴム誘導体;重合ひまし油;等が挙げられる。
これらバインダー樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を混合して用いても良い。
バインダー樹脂の添加量は、インキ全体の10質量%以下が好ましく、より好ましくは0.3〜7質量%である。
前記ゲル化剤は、油相に含まれるバインダー樹脂をゲル化し、インキの保存安定性、定着性、流動性等を向上させる役割を有する。
ゲル化剤としては油相中のバインダー樹脂と配位結合する化合物が好ましく、例えば、Li、Na、K、Al、Ca、Co、Fe、Mn、Mg、Pb、Zn、Zr等の金属を含む有機酸塩、有機キレート化合物、金属石鹸オリゴマー等が挙げられる。
具体例としては、オクチル酸アルミニウム等のオクチル酸金属塩、ナフテン酸マンガン等のナフテン酸金属塩、ステアリン酸亜鉛等のステアリン酸塩、アルミニウムジイソプロポキシドモノエチルアセトアセテート等の有機キレート化合物等が挙げられる。
これらのゲル化剤は、1種又は2種以上を添加すれば良いが、その添加量は、油相中のバインダー樹脂の15質量%以下が好ましく、より好ましくは5〜10質量%である。
前記着色剤の分散剤には前述した乳化剤用非イオン界面活性剤を用いることができる。また、アルキルアミン系高分子化合物、アルミニウムキレート系化合物、スチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸の部分アルキルエステル、ポリアルキレンポリアミン、脂肪族多価カルボン酸、ポリエーテル、エステル型アニオン界面活性剤、高分子量ポリカルボン酸の長鎖アミン塩、ポリアミド、燐酸エステル系界面活性剤、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジオクチルスルホコハク酸塩等も使用可能である。これらの分散剤は、単独で用いても2種以上を混合して用いても良く、その添加量は、着色剤質量の40質量%以下が好ましく、より好ましくは1〜35質量%である。
前記酸化防止剤は、油相中のバインダー樹脂等の酸化を防ぎ、インキの粘度の上昇等を防止するために添加する。その例としては、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール、トコフェロ−ル類、亜硫酸塩類、チオ硫酸塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、アスコルビン酸誘導体等が挙げられる。
これらの酸化防止剤は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。その添加量は、インキ中の油の2質量%以下が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0質量%である。
上記の他に、油相には、印刷時に印刷用紙と印刷機用ドラムとの分離を良くするため、或いは印刷用紙の巻き上がり防止等のためワックスを添加しても良い。ワックスとしては従来孔版印刷用インキに用いられている公知のものを公知の添加量で使用すれば良い。
本発明のW/Oエマルションインキは、油相、電解質を含有する水相(水相1)及び、電解質を含有せず水不溶性着色剤を含有する水相(水相2)を別々に調製し、これらを公知の乳化機内で乳化させてインキとすれば良い。例えば、まず乳化剤及び必要に応じて添加する着色剤、バインダー樹脂等の添加物を油に良く分散させた油相を常法で調製する。次いで、得られた油相に水相1を混合し乳化する。この乳化操作は、水相1がより微細に乳化されるように高速攪拌が好ましく、例えば攪拌エンペラーを使用し周速6m/s以上で行う。続いて水相2を混合し乳化する。この乳化操作は低速攪拌で良く、例えば攪拌エンペラーを使用し周速0.5〜2.5m/sで行う。
このように、水相1と水相2を別々に乳化すると、2種類の水相が混じることがなく、顔料分散系の安定性を維持できる。
また、水相1の乳化時に高速攪拌を行うと水相1が微細に乳化されるので、W/Oエマルションの安定性が向上する。
更に、水相1を乳化した後で、水相2を低速攪拌で乳化すると、水不溶性着色剤の分散剤剥離による凝集や他水相への混合がなく、顔料分散性の安定性を維持できる。
なお、油相に対し水相1と水相2を同時に徐々に混合し乳化することも可能であるが、前述した水相1と水相2を順に混合し乳化する場合に比べて、得られるW/Oエマルションの特性がやや劣る。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、例中の「部」は「質量部」である。
実施例1
〔1〕下記油相処方の材料をディゾルバ−で攪拌し、均一に混合して油相を得た。

(油相処方)
・油 :潤滑油〔コスモオルパス(グレード460)〕 25.000部
(コスモ石油ルブリカンツ社製)
・界面活性剤:ソルビタンモノオレエート 3.000部
(日光ケミカルズ社製:NIKKOL SO−10V)

〔2〕下記水相1処方の材料を水に良く溶解させて水相1を得た。

(水相1処方)
・電解質 :硫酸マグネシウム 1.000部
・水 :イオン交換水 49.950部
・保湿剤 :グリセリン 3.000部
・防腐防黴剤:パラオキシ安息香酸メチル 0.050部

〔3〕下記水相2処方の材料を使用し、着色剤以外の材料を水に良く溶解させて調製した水溶液に、着色剤を、高速ディゾルバ−を用いて周速10m/secで攪拌しながら添加し、次いでビ−ズミルを用いて「ジルコニア製ビ−ズ径;1.2mm、周速;12m/s、流速;0.7L/min.」の条件で分散処理して水相2を得た。

(水相2処方)
・着色剤 :フタロシアニンブルー 3.000部
(大日精化工業社製:クロモファインPB−15)
・分散剤 :50%ポリビニルピロリドン水溶液 2.000部
・水 :イオン交換水 9.950部
・保湿剤 :グリセリン 3.000部
・防腐防黴剤:パラオキシ安息香酸メチル 0.050部

〔4〕乳化機として高速ディゾルバ−を使用し、周速15m/secで油相を撹拌しながら、水相1を徐々に添加してエマルションを得た。次いで、該エマルションを周速2m/secで攪拌しながら水相2を徐々に添加して、W/Oエマルションインキを得た。
実施例2
下記水相2処方<1>と<2>の材料を併用した点以外は、実施例1と同様にしてW/Oエマルションインキを得た。なお、処方<1>と<2>の材料は、水相2として同時に添加した。

(水相2処方<1>)
・着色剤 :フタロシアニンブルー 1.500部
(大日精化工業社製:クロモファインPB−15)
・分散剤 :50%ポリビニルピロリドン水溶液 1.000部
・水 :イオン交換水 4.975部
・保湿剤 :グリセリン 1.500部
・防腐防黴剤:パラオキシ安息香酸メチル 0.025部

(水相2処方<2>)
・着色剤 :レーキレッド 1.500部
(トーヨーカラー社製:LIONOL RED TT−4801G)
・分散剤 :50%ポリビニルピロリドン水溶液 1.000部
・水 :イオン交換水 4.975部
・保湿剤 :グリセリン 1.500部
・防腐防黴剤:パラオキシ安息香酸メチル 0.025部
実施例3
水相2を下記処方の材料に変えた点以外は、実施例1と同様にして、W/Oエマルションインキを得た。

(水相2処方)
・着色剤 :フタロシアニンブルー 3.000部
(大日精化工業社製:クロモファインPB−15)
・分散剤 :50%ポリビニルピロリドン水溶液 2.000部
・水溶性高分子化合物:ポリアクリル酸樹脂(カーボポール940)0.100部
(B.F.Goodrich Chemica Company)
・pH調整剤:トリエタノールアミン 0.100部
・水 :イオン交換水 9.750部
・保湿剤 :グリセリン 3.000部
・防腐防黴剤:パラオキシ安息香酸メチル 0.050部
実施例4
下記水相2処方<1>と<2>の材料を併用した点以外は、実施例1と同様にしてW/Oエマルションインキを得た。なお、処方<1>と<2>の材料は、水相2として同時に添加した。

(水相2処方<1>)
・着色剤 :フタロシアニンブルー 1.500部
(大日精化工業社製:クロモファインPB−15)
・分散剤 :50%ポリビニルピロリドン水溶液 1.000部
・水溶性高分子化合物:ポリアクリル酸樹脂(カーボポール940)0.050部
(B.F.Goodrich Chemica Company)
・pH調整剤:トリエタノールアミン 0.050部
・水 :イオン交換水 4.875部
・保湿剤 :グリセリン 1.500部
・防腐防黴剤:パラオキシ安息香酸メチル 0.025部

(水相2処方<2>)
・着色剤 :レーキレッド 1.500部
(トーヨーカラー社製:LIONOL RED TT−4801G)
・分散剤 :50%ポリビニルピロリドン水溶液 1.000部
・水溶性高分子化合物:ポリアクリル酸樹脂(カーボポール940)0.050部
(B.F.Goodrich Chemica Company)
・pH調整剤:トリエタノールアミン 0.050部
・水 :イオン交換水 4.875部
・保湿剤 :グリセリン 1.500部
・防腐防黴剤:パラオキシ安息香酸メチル 0.025部
実施例5〜8
乳化機として高速ディゾルバ−を使用し、周速15m/secで油相を撹拌しながら、水相1と水相2を同時に徐々に添加した点以外は、実施例1〜4と同様にして、W/Oエマルションインキを得た。
比較例1
下記水相1処方の材料を水に良く溶解させて水相1を得た。次いで、乳化機として高速ディゾルバ−を使用し、周速15m/secで実施例1と同じ油相を撹拌しながら、徐々に水相1を添加して、W/Oエマルションインキを得た。

(水相1処方)
・着色剤 :フタロシアニンブルー 3.000部
(大日精化工業社製:クロモファインPB−15)
・分散剤 :50%ポリビニルピロリドン水溶液 2.000部
・電解質 :硫酸マグネシウム 1.000部
・水 :イオン交換水 59.900部
・保湿剤 :グリセリン 6.000部
・防腐防黴剤:パラオキシ安息香酸メチル 0.100部
比較例2
水相1処方を下記のように変えた点以外は、比較例1と同様にしてW/Oエマルションインキを得た。

(水相1処方)
・着色剤 :フタロシアニンブルー 1.500部
(大日精化工業社製:クロモファインPB−15)
・着色剤 :レーキレッド 1.500部
(トーヨーカラー社製:LIONOL RED TT−4801G)
・分散剤 :50%ポリビニルピロリドン水溶液 2.000部
・電解質 :硫酸マグネシウム 1.000部
・水 :イオン交換水 59.900部
・保湿剤 :グリセリン 6.000部
・防腐防黴剤:パラオキシ安息香酸メチル 0.100部
比較例3
〔1〕下記水相1処方の材料を使用し、着色剤以外の材料を水に良く溶解させて調製した水溶液に、着色剤を、高速ディゾルバ−を用いて周速10m/secで攪拌しながら添加し、次いでビ−ズミルを用いて「ジルコニア製ビ−ズ径;1.2mm、周速;12m/s、流速;0.7L/min.」の条件で分散処理して水相1を得た。

(水相1処方)
・着色剤 :フタロシアニンブルー 3.000部
(大日精化工業社製:クロモファインPB−15)
・電解質 :硫酸マグネシウム 1.000部
・水 :イオン交換水 49.950部
・保湿剤 :グリセリン 3.000部
・防腐防黴剤:パラオキシ安息香酸メチル 0.050部

〔2〕下記水相2処方の材料を水に良く溶解させて水相2を得た。

(水相2処方)
・分散剤 :50%ポリビニルピロリドン水溶液 2.000部
・水 :イオン交換水 9.950部
・保湿剤 :グリセリン 3.000部
・防腐防黴剤:パラオキシ安息香酸メチル 0.050部

〔3〕乳化機として高速ディゾルバ−を使用し、周速15m/secで油相を撹拌しながら、水相1を徐々に添加してエマルションを得た。次いで、該エマルションを周速2m/secで攪拌しながら水相2を徐々に添加して、W/Oエマルションインキを得た。
比較例4
水相1の着色剤を「フタロシアニンブルー3.000部」から「フタロシアニンブルー1.500部と、比較例2で用いたレーキレッド1.500部の混合物」に変えた点以外は比較例3と同様にして、W/Oエマルションインキを得た。
上記実施例1〜8及び比較例1〜4の、油相、水相1、水相2、水相2<1>、水相2<2>の処方を纏めて表1に示す。
Figure 2015224292
実施例及び比較例の各インキについて、印刷機用ドラム放置後の目詰まりによる画像かすれと、50℃で保存した後の定着率を、下記のようにして調べた。結果を表2に示す。
なお、評価用画像の印刷にはリコー社製印刷機:JP5500を使用した。

<放置後の目詰まりによる画像かすれ>
実施例及び比較例の各インキを用いて印刷した印刷機用ドラムを、機上で常温常湿下、1ヵ月間放置した後、印刷を実施し、印刷機用ドラムの目詰まりによる印刷画像の画像かすれの有無を調べ、目詰まりによる画像かすれが無い場合には画像が完全に立ち上がった枚数を記録した。

<放置後の定着率>
常温保存に関する加速試験として、実施例及び比較例の各インキを充填したインキパックを、50℃の恒温槽に1ヶ月間保存した。
その後、インキパックを常温常湿に戻し、インキが常温常湿状態となったところで印刷を実施して、印刷画像の定着率を評価した。
即ち、まず印刷物の印刷濃度を反射式光学濃度計(マクベス社製:RD914)で測定した。次いで、印刷濃度を測定した部分を、消しゴムを取り付けたクロックメーターにより5往復で消去した後の濃度を測定し、「(消去後の濃度/印刷濃度)×100(%)」を算出して定着率とした。
Figure 2015224292
上記表中の「*」は、ドラムの目詰まり部分の画像が出てこない状態(放置後は立ち上がらない状態)を示す。
印刷後に印刷機用ドラムを放置すると、版銅、スクリーン、マスタにおいて顔料凝集を主因とするインキ固化が生じ目詰まり気味となってその部分のインキ吐出が乏しくなる。そのため、放置後の印刷当初は画像の一部がかすれの状態となるが、印刷が進むと固化インキも吐出され正常なインキが吐出される状態に戻り、画像が立ち上がる(復帰する)。このインキ固化が進行し易いと、画像立ち上がり(復帰)までの印刷枚数が多くなる。
一方、インキが完全に固化し解消不能な目詰まり状態になると、目詰まり部分は何枚印刷しても画像が復帰せず、欠損部分が残ってしまう。この状態が比較例2〜4である。
1 印刷機本体
2 印刷機用ドラムユニット
3 インキパック
4 インキパックホルダー
5 (内側より)版銅、スクリーン、マスタ
特許第3386870号公報 特許第4878088号公報 特開2005−232333号公報 特開2010−111849号公報

Claims (5)

  1. 油相中に、電解質を含有する水相と電解質を含有しない水相が分散されており、電解質を含有しない水相に水不溶性着色剤を含有することを特徴とする孔版印刷用油中水型エマルションインキ。
  2. 前記電解質を含有しない水相が、2種以上の水不溶性着色剤を含有し、水不溶性着色剤ごとに水相を分けることを特徴とする請求項1記載の孔版印刷用油中水型エマルションインキ。
  3. 前記水不溶性着色剤がレーキ顔料であることを特徴とする請求項1又は2記載の孔版印刷用油中水型エマルションインキ。
  4. 前記電解質を含有しない水相がポリアクリル酸樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の孔版印刷用油中水型エマルションインキ。
  5. 前記油相に対し、まず前記電解質を含有する水相を乳化し、次いで、前記電解質を含有せず水不溶性着色剤を含有する水相を乳化することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の孔版印刷用油中水型エマルションインキの製造方法。
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