JPH10245516A - 孔版印刷用w/o型エマルションインキ - Google Patents

孔版印刷用w/o型エマルションインキ

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JPH10245516A
JPH10245516A JP6554597A JP6554597A JPH10245516A JP H10245516 A JPH10245516 A JP H10245516A JP 6554597 A JP6554597 A JP 6554597A JP 6554597 A JP6554597 A JP 6554597A JP H10245516 A JPH10245516 A JP H10245516A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印刷時のインキ検知を良好に維持し、且つ高
画像濃度を得ることができ、更にはインキ安定性の優れ
た孔版印刷用W/O型エマルションインキを提供するこ
と。 【解決手段】 油相30〜50重量%と水相70〜50
重量%によって構成されるW/O型エマルションにおい
て、ヨウ素価が100以下で且つ凝固点が0℃以下であ
る植物油の少なくとも1種を油相中に該油相の5重量%
以上含有してなるものとし、更に好ましくは水相中に該
水相の0.1〜2.0重量%の電解質を含有してなるも
のとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、孔版印刷用W/O
型エマルションインキに関し、詳しくは印刷時のインキ
検知を良好に維持し、且つ高画像濃度、インキ安定性向
上を可能にした孔版印刷用W/O型エマルションインキ
に関する。
【0002】
【従来の技術】孔版印刷方法は、周知のように孔版印刷
原紙を用い、この原紙の穿孔部を介して原紙の一方の側
より他方の側ヘインキを移動させることにより、紙など
の被印刷物面に印刷を行なうものである。
【0003】輪転孔版印刷機には、例えばドラムユニッ
ト内にインキ練りローラーを配置し、その間にインキ供
給されたインキが貯留され、このインキに接するように
電極が備えられている。そして、この電極とインキロー
ラー間に存在するインキの静電容量によって、インキの
存在有無を検知する方法が採られている。この為、貯留
されるインキの静電容量の大小によって、インキ貯留部
に供給されるインキ量が左右される。
【0004】また、実験によりW/O型エマルションイ
ンキの静電容量は、インキの油相量及び水相処方に依存
していることが分かっており、インキに対する油相量が
多いほど、水相に電解質を添加するとW/O型エマルシ
ョンインキのインキ検知に不利となり、貯留インキは増
える。この貯留インキが多いとインキ貯留部から外へ漏
れだし、印刷機内を汚す。また、印刷機の非使用時に貯
留部のインキの水相成分は蒸発し、インキ油相に近づい
ていく。その結果、粘度は低く、顔料濃度は高くなり、
貯留インキが多いと放置後画像の濃度ムラ、裏移りの原
因となる。よって、インキローラー上の貯留インキ量
は、インキ検知によって調整された最少量になることが
望ましい。
【0005】しかし、画像濃度を向上するには着色剤量
upが必要であり、その為には着色剤量upに見合う油
相量up、及びインキ安定性の向上には水相への電解質
の添加が必須であることが分かっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、前記
従来技術の欠点を除去し、輪転孔版印刷機において、印
刷時のインキ検知を良好に維持し、且つ高画像濃度、イ
ンキ安定性向上を可能にした、孔版印刷用W/O型エマ
ルションインキを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決し得るW/O型エマルションインキ処方を提供すべ
く、鋭意研究を重ねた結果、油相中に特定のヨウ素価及
び凝固点を有する植物油の特定量を添加することによ
り、輪転孔版印刷機のインキ貯留部のインキ量を低減で
きることを見い出し、本発明に到達した。
【0008】即ち、本発明によれば、第一に、油相30
〜50重量%と水相70〜50重量%によって構成され
るW/O型エマルションにおいて、ヨウ素価が100以
下で且つ凝固点が0℃以下である植物油の少なくとも1
種を油相中に該油相の5重量%以上含有してなることを
特徴とする孔版印刷用W/O型エマルションインキが提
供される。第二に、前記水相中に該水相の0.1〜2.
0重量%の電解質を含有してなることを特徴とする上記
第一に記載した孔版印刷用W/O型エマルションインキ
が提供される。
【0009】本発明の孔版印刷用W/O型エマルション
インキは、ヨウ素価が100以下で且つ凝固点が0℃以
下である植物油の少なくとも1種を油相中に該油相の5
重量%以上含有してなるものとしたことから、油相量3
0〜50重量%の油相量の多い系においても、インキ貯
留部のインキ量を低減することが出来るものとなり、そ
の結果、印刷時のインキ検知を良好に保持し、且つ高画
像濃度を得ることが可能となる。また、水相への電解質
添加は、W/O型エマルションインキの安定性のために
必須であるが、電解質添加によりインキ貯留部のインキ
量は増大するという欠点がある。しかし、本エマルショ
ンインキにおいては、油相への植物油の添加により、イ
ンキ貯留部のインキ量増大化を抑制できるようになり、
その結果、印刷時のインキ検知を良好に保持し、且つイ
ンキ安定性に優れたものとなる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の孔版印刷用W/O型エマルションインキは、前
述したように、油相30〜50重量%と水相70〜50
重量%によって構成されるW/O型エマルションにおい
て、ヨウ素価が100以下で且つ凝固点が0℃以下であ
る植物油の少なくとも1種を油相中に該油相の5重量%
以上含有してなることを特徴とする。
【0011】前記した輪転孔版印刷機におけるインキ貯
蔵部のインキ量低減の効果は、植物油がパラフィン系鉱
油等と比較してその極性が高く、且つ誘電率も比較的高
いため、植物油を添加することでW/O型エマルション
インキの静電容量が上がるからであると考えられる。但
し、使用する植物油のヨウ素価が100を超える場合に
は、不飽和酸の酸化によりインキが固化し、印刷機のス
クリーン、版胴の目詰まり、あるいはインキの保存によ
る粘度up等の不具合が発生する。従って、本発明にお
いてはヨウ素価100以下、好ましくは65〜100の
植物油が用いられる。また、凝固点が0℃より高い植物
油を使用すると、低温での粘性が増し、低温における画
像の立ち上がりが遅くなるので、本発明においては凝固
点0℃以下、好ましくは−15〜0℃のものが用いられ
る。
【0012】本発明のW/O型エマルションインキに用
いられる上記植物油としては、例えばヒマシ油、茶種
油、ツバキ油等が挙げられる。なお、上記植物油は油相
中の濃度が5重量%以上、好ましくは5〜85重量%、
となるように添加される。5重量%未満では、インキ貯
蔵部のインキ量低減効果が不充分である。更に、植物油
を添加することにより、インキ製造業者や印刷オペレー
ターがインキを扱う際の安全性を向上させるという効果
も加わる。
【0013】また、本発明の孔版印刷用W/O型エマル
ションインキは、水相中に該水相の0.1〜2.0重量
%の電解質を含有してなることが好ましい。前述したよ
うに、水相への電解質添加はW/O型エマルションイン
キの安定性のために必須であるが、電解質添加によりイ
ンキ貯留部のインキ量は増える。これは、水相への電解
質添加によるW/O型エマルションインキの静電容量の
低下によるものと思われるが、本発明においては植物油
が存在しているため、インキの貯蔵部のインキ量増大が
抑制され、印刷時のインキ検知を良好に保持すると共に
インキの安定性を高く保持することができる。電解質は
水相中の濃度が0.1〜2.0重量%、好ましくは0.
5〜1.5重量%、となるように添加される。0.1重
量%未満ではインキの安定性が不充分となるし、逆に
2.0重量%を超えるとインキ安定性への更なる効果は
ない上にインキ貯留部のインキ量は増え、コストも上が
り好ましくない。
【0014】本発明のエマルションの油相は、着色剤
(顔料)、油成分、樹脂、顔料分散剤、乳化剤等から構
成される。また、水相は、水、電解質、防黴剤、水蒸発
防止剤、水溶性高分子、水中油型樹脂エマルション(疎
水性高分子)等から構成される。これらの構成成分は、
エマルションの形成を阻害しない公知のものが使用され
る。
【0015】本発明で用いられる着色剤は、カーボンブ
ラック、酸化チタン;アゾ系顔料、フタロシアニン系顔
料、ニトロソ系顔料、ニトロ系顔料、建染染料系顔料、
媒染染料系顔料、塩基性染料系顔料、酸性染料系顔料及
び天然染料系顔料;ジアゾ染料、アントラキノン系染料
等の油溶性染料;等が挙げられる。これらの染顔料類
は、単独でも2種以上混合して添加してもよい。その使
用量は通常インキ重量に対し3.0〜12重量%であ
る。通常油相に分散あるいは添加されるが、水相に分散
あるいは添加して使用してもよい。
【0016】本発明では、油成分として前述したように
ヨウ素価100以下、凝固点0℃以下の植物油が使用さ
れる。上記植物油以外で併用される油としては、公知の
鉱物油、炭化水素系合成油を単独あるいは複数で使用で
きる。鉱物油には、例えば、石油系溶剤、流動パラフイ
ン、スピンドル油等の公知のものが挙げられる。
【0017】本発明で油相に添加される樹脂としては、
ロジン;重合ロジン、水素化ロジン、ロジンエステル、
水素化ロジンエステル等のロジン系樹脂;ロジン変性フ
ェノール樹脂等のロジン変性樹脂;フェノール樹脂;石
油樹脂;環化ゴム;アルキド樹脂;重合ひまし油;等が
挙げられる。これらの樹脂は単独でも又は2種以上を混
合して添加してもよい。添加量はインキ重量の10重量
%以下、好ましくは1〜7重量%とすればよい。
【0018】W/O型エマルションを構成するための乳
化剤には、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン
脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステ
ル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシ
エチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレ
ンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリ
セリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸
エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリ
オキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレン
ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエ
チレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン
ひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキ
シエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアル
コール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキ
シエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキル
フェニルホルムアルデヒド縮合物等のノニオン系界面活
性剤が挙げられる。これらは、顔料分散剤としても使用
出来、また単独、あるいは複数での使用も可能であり、
添加量は、インキ重量の1〜8重量%、好ましくは、
2.2〜5.5重量%である。
【0019】以上のほか、油相にはエマルションの形成
を妨害しない範囲で樹脂、着色剤の分散剤、ゲル化剤及
び酸化防止剤を添加することができる。なお、前記の着
色剤や乳化剤も油相に含まれる。
【0020】着色剤分散剤としては、エマルションの形
成を阻害しないものが使用でき、前記の乳化剤用非イオ
ン性界面活性剤を使用することができる。このほか、ア
ルキルアミン系高分子化合物、アルミニウムキレート系
化合物、スチレンー無水マレイン酸系共重合高分子化合
物、ポリカルボン酸エステル型高分子化合物、脂肪族系
多価カルボン酸、高分子ポリエステルのアミン塩類、エ
ステル型アニオン界面活性剤、高分子量ポリカルボン酸
の長鎖アミン塩類、長鎖ポリアミノアミドと高分子酸ポ
リエステルの塩、ポリアミド系化合物、燐酸エステル系
界面活性剤、アルキルスルホカルボン酸塩類、α−オレ
フインスルホン酸塩類、ジオクチルスルホコハク酸塩
類、アルキド樹脂、及び重量平均分子量2.5万未満の
樹脂などの顔料分散能を有する樹脂などが挙げられる。
これらの分散剤は単独又は2種類以上混合して添加すれ
ばよく、樹脂以外の着色剤分散剤の添加量は着色剤重量
の40重量%以下、好ましくは2〜35重量%とすれば
よい。
【0021】ゲル化剤は、油相に含まれる樹脂をゲル化
してインキの保存安定性、定着性、流動性を向上させる
役割をもち、本発明のインキに添加されるゲル化剤とし
ては、油相中の樹脂と配位結合する化合物が好ましい。
このような化合物を例示すると、Li,Na,K,A
l,Ca,Co,Fe,Mn,Mg,Pb,Zn,Zr
等の金属を含む有機酸塩、有機キレート化合物、金属石
鹸オリゴマー等であり、具体的にはオクチル酸アルミニ
ウム等のオクチル酸金属塩、ナフテン酸マンガン等のナ
フテン酸金属塩、ステアリン酸亜鉛等のステアリン酸
塩、アルミニウムジイソプロポキシドモノエチルアセト
アセテート等の有機キレート化合物等が挙げられる。こ
れらのゲル化剤は、1種又は2種以上を油相に添加すれ
ばよく、その添加量は油相中の樹脂の15%以下、好ま
しくは5〜10重量%である。
【0022】油相に添加される酸化防止剤は、ジブチル
ヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ブチルヒドロ
キシアニソール等であり、これらの添加によって油相中
のバインダー樹脂等の酸化を防ぎ、これによってインキ
の粘度の上昇等が防止される。また、その添加量はイン
キ中の油の2重量%以下、好ましくは0.1〜1.0重
量%である。なお、酸化防止剤は単独でも2種類以上を
混合して使ってもよい。
【0023】また、水相にはエマルションの形成を妨害
しない範囲で水溶性高分子、防腐・防かび剤、水の蒸発
抑制剤、凍結防止剤、pH調整剤、電解質等を添加する
ことができる。
【0024】エマルションインキの水相に添加される水
溶性高分子は、保湿や増粘のために添加されるものであ
り、具体的には下記の天然又は合成高分子が添加され
る。例えば、デンプン、マンナン、アルギン酸ソーダ、
ガラクタン、トラガントガム、アラビアガム、ブルラ
ン、デキストラン、キサンタンガム、ニカワ、ゼラチ
ン、コラーゲン、カゼイン等の天然高分子;カルボキシ
メチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロ
キシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルデン
プン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプ
ン等の半合成高分子;アクリル酸樹脂及びポリアクリル
酸ナトリウムなどの中和物、ポリビニルアルコール、ポ
リビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリN−ア
ルキル置換アクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、
ポリビニルメチルエーテルなどの合成高分子等が用いら
れる。また、アクリルアミド系ポリマー及びアクリル系
のポリマーに関しては、置換基を部分的にアルキル基で
疎水化した共重合タイプのポリマーでもよい。また、ポ
リエチレンとポリプロピレン又はポリブチレンのブロッ
クコポリマーを用いることができる。これらの水溶性高
分子は単独でも2種類以上混合してもよく、インキに含
まれる水の25重量%以下、好ましくは0.5〜15重
量%が添加される。
【0025】水相に添加される水中油型樹脂エマルショ
ンは、合成高分子でも天然高分子でよい。高分子として
は、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エ
ステル、塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
酢酸ビニルーアクリル酸エステル共重合体、スチレンー
アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン−アクリ
ル酸エステル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、ウレタン等が挙げられる。天然のものとしては、油
相に添加できる高分子等が挙げられる。これらは油中水
型エマルションインキの安定性を阻害しない範囲であれ
ば2種類以上を併用してもよく、また分散方法も分散
剤、保護コロイド、界面活性剤を添加していてもよく、
またソープフリー乳化重合によって合成したものでもよ
い。
【0026】水相に添加される防腐・防かび剤は、エマ
ルション内で細菌やかびが繁殖するのを防ぐために添加
され、エマルションを長期保存する場合は防腐・防かび
剤の添加が普通である。その添加量は、インキ中に含ま
れる水の3重量%以下、好ましくは0.1〜1.2重量
%とするのがよい。また、防腐・防かび剤としては、サ
リチル酸、フェノール類、p−オキシ安息香酸メチル、
p−オキシ安息香酸エチル等の芳香族ヒドロキシ化含物
及びその塩素化合物のほか、ソルビン酸やデヒドロ酢酸
等が使用され、これらは単独でも2種類以上混合して使
ってもよい。
【0027】水の蒸発防止剤と凍結防止剤は兼用可能で
あり、これらの目的で添加される薬品は、エチレングリ
コール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール
等のグリコール;メタノール、エタノール、イソプロパ
ノール、ブタノール、イソブタノール等の低級飽和一価
アルコール;グリセリンやソルビトール等の多価アルコ
ール;等である。これらの薬品は1種又は2種以上を添
加すればよく、その添加量はインキ中の水重量の15%
以下、好ましくは4〜12重量%である。
【0028】水相に添加されるpH調整剤は、トリエタ
ノールアミン、酢酸ナトリウム、トリアミルアミン等で
あり、必要時にはこれらのpH調整剤を添加して水相の
pHを6〜8に保つことができる。水相のpHが前記範
囲からはずれると、増粘剤用水溶性高分子が添加されて
いる場合には、その効果が損なわれる等の問題がある。
【0029】水相に添加される電解質は、エマルション
の安定性を高めるために添加されるものである。従っ
て、該電解質にはエマルションの安定度向上に有効な離
液順列が高いイオンで構成された電解質を添加するのが
よい。離液順列の高い陰イオンは、クエン酸イオン、酒
石酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン等であり、離液順
列が高い陽イオンは、アルカリ金属イオンやアルカリ土
類金層イオンであることから、ここで添加される電解質
としては、少なくとも陰イオンか陽イオンの一方が前記
イオンよりなる塩が好ましい。従ってここで添加される
電解質としては、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、
クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ホウ酸ナ
トリウム、酢酸ナトリウム等が好ましく、その添加量は
水相の0.1〜2.0重量%、好ましくは0.5〜1.
5重量%である。
【0030】上記のほか、本発明の孔版印刷用W/O型
エマルションインキには、印刷時に印刷用紙と印刷ドラ
ムとの分離を良くするため、或いは印刷用紙の巻き上が
り防止のために、油相にワックスを添加することができ
る。また、水相にはトリエタノールアミンや水酸化ナト
リウム等を添加して、水溶性高分子添加による高粘度化
を更に増進させることができる。更に、水相に防錆剤や
消泡剤を添加して、印刷の際に印刷機がインキによって
錆びたり、インキが泡立つことを防止することができ
る。これらの添加剤は、孔版印刷用インキに添加されて
いる公知品を必要に応じて添加すればよく、その添加量
は従来品の場合と同程度でよい。
【0031】本発明のエマルションインキは、従来のエ
マルションインキ製造時と同様にして油相及び水相液を
調整し、この両方を公知の乳化機内で乳化させてインキ
とすればよい。即ち、着色剤、乳化剤、樹脂及び必要に
応じて添加される添加物をよく分散させた油を常温で調
整し、これに防腐・防かび剤や水溶性高分子等が必要に
応じて添加されている水溶液を徐々に添加して乳化すれ
ばよい。
【0032】
【実施例】次に、本発明を実施例によって更に具体的に
説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるも
のではない。なお、以下に記す部は重量部である。
【0033】 実施例1 〈油相組成〉 着色剤 ファーネスカーボン 6.5部 フタロシアニンブルー 0.5部 分散剤 アルミニウムキレート化合物 1.5部 オイル 流動パラフィン 17.5部 ヒマシ油(ヨウ素価;86、凝固点;−14℃) 5.0部 界面活性剤 ソルビタンセスキオレエート 4.0部
【0034】 〈水相組成〉 水 イオン交換水 58.8部 電解質 硫酸マグネシューム 1.2部 凍結防止剤 グリセリン 5.0部
【0035】顔料分散体の調製は、ファーネスカーボ
ン、フタロシアニンブルーの顔料、アルミニウムキレー
ト化合物等の分散剤と流動パラフィン等の油を三本ロー
ルで練肉することで行い、この顔料分散体にオイルを加
え混合し、油相とする。次に、これに水相を徐々に加
え、乳化を行うことによって、孔版印刷用W/O型エマ
ルションインキを得た。
【0036】実施例2 下記組成の油相及び水相を調製し、実施例1と同様にし
て孔版印刷用W/O型エマルションインキを得た。
【0037】 〈油相組成〉 着色剤 ファーネスカーボン 6.5部 フタロシアニンブルー 0.5部 分散剤 アルミニウムキレート化合物 1.5部 オイル 流動パラフィン 12.5部 ヒマシ油(ヨウ素価;86、凝固点;−14℃) 10部 界面活性剤 ソルビタンセスキオレエート 4.0部
【0038】 〈水相組成〉 水 イオン交換水 58.8部 電解質 硫酸マグネシューム 1.2部 凍結防止剤 グリセリン 5.0部
【0039】比較例1 下記組成の油相及び水相を調製し、実施例1と同様にし
て孔版印刷用W/O型エマルションインキを得た。
【0040】 〈油相組成〉 着色剤 ファーネスカーボン 3.0部 フタロシアニンブルー 0.5部 分散剤 アルミニウムキレート化合物 0.8部 オイル 流動パラフィン 16.7部 界面活性剤 ソルビタンセスキオレエート 4.0部
【0041】 〈水相組成〉 水 イオン交換水 68.8部 電解質 硫酸マグネシューム 1.2部 凍結防止剤 グリセリン 5.0部
【0042】比較例2 下記組成の油相及び水相を調製し、実施例1と同様にし
て孔版印刷用W/O型エマルションインキを得た。
【0043】 〈油相組成〉 着色剤 ファーネスカーボン 6.5部 フタロシアニンブルー 0.5部 分散剤 アルミニウムキレート化合物 1.5部 オイル 流動パラフィン 22.5部 界面活性剤 ソルビタンセスキオレエート 4.0部
【0044】 〈水相組成〉 水 イオン交換水 58.8部 電解質 硫酸マグネシューム 1.2部 凍結防止剤 グリセリン 5.0部
【0045】比較例3 下記組成の油相及び水相を調製し、実施例1と同様にし
て孔版印刷用W/O型エマルションインキを得た。
【0046】 〈油相組成〉 着色剤 ファーネスカーボン 6.5部 フタロシアニンブルー 0.5部 分散剤 アルミニウムキレート化合物 1.5部 オイル 流動パラフィン 17.5部 オリーブ油(ヨウ素価;83、凝固点;3℃) 5.0部 界面活性剤 ソルビタンセスキオレエート 4.0部
【0047】 〈水相組成〉 水 イオン交換水 58.8部 電解質 硫酸マグネシューム 1.2部 凍結防止剤 グリセリン 5.0部
【0048】比較例4 下記組成の油相及び水相を調製し、実施例1と同様にし
て孔版印刷用W/O型エマルションインキを得た。
【0049】 〈油相組成〉 着色剤 ファーネスカーボン 6.5部 フタロシアニンブルー 0.5部 分散剤 アルミニウムキレート化合物 1.5部 オイル 流動パラフィン 17.5部 大豆油(ヨウ素価;126、凝固点;−8℃) 5.0部 界面活性剤 ソルビタンセスキオレエート 4.0部
【0050】 〈水相組成〉 水 イオン交換水 58.8部 電解質 硫酸マグネシューム 1.2部 凍結防止剤 グリセリン 5.0部
【0051】比較例5 下記組成の油相及び水相を調製し、実施例1と同様にし
て孔版印刷用W/O型エマルションインキを得た。
【0052】 〈油相組成〉 着色剤 ファーネスカーボン 6.5部 フタロシアニンブルー 0.5部 分散剤 アルミニウムキレート化合物 1.5部 オイル 流動パラフィン 21.5部 ヒマシ油(ヨウ素価;86、凝固点;−14℃) 1.0部 界面活性剤 ソルビタンセスキオレエート 4.0部
【0053】 〈水相組成〉 水 イオン交換水 58.8部 電解質 硫酸マグネシューム 1.2部 凍結防止剤 グリセリン 5.0部
【0054】実施例3 下記組成の油相及び水相を調製し、実施例1と同様にし
て孔版印刷用W/O型エマルションインキを得た。
【0055】 〈油相組成〉 着色剤 ファーネスカーボン 6.5部 フタロシアニンブルー 0.5部 分散剤 アルミニウムキレート化合物 1.5部 オイル 流動パラフィン 17.5部 ヒマシ油(ヨウ素価;86、凝固点;−14℃) 5.0部 界面活性剤 ソルビタンセスキオレエート 4.0部
【0056】 〈水相組成〉 水 イオン交換水 60.0部 凍結防止剤 グリセリン 5.0部
【0057】〈評価〉実施例1〜3及び比較例1〜5の
孔版印刷用W/O型エマルションインキについて、下記
評価を行った。それらの結果を表1にまとめて示す。
【0058】(イ)ID 展色機(谷口インキ社製)を使用し、インキの紙への付
着量5g/m2時のIDを反射式光学濃度計(マクベス
社製RD914)にて測定した。
【0059】(ロ)インキ貯留量 23℃、65%において孔版印刷機プリポートVT38
20(リコー社製)を使用し、ドラム上のインキローラ
ーを洗浄した後にドラムをマシンにセットしインキを吸
引させ、インキ検知した時点でのインキローラー上のイ
ンキ量を測定した。プリポートVT3820(リコー社
製)ではドラム内のインキローラー上にインキ検知針が
位置し、約14gのインキで検知針に達する。
【0060】(ハ)脇漏れ 30℃、90%においてプリポートVT3820(リコ
ー社製)を使用し、無製版にて5000枚通紙後にドラ
ムのスクリーン及び版胴を外し、版胴及びインキローラ
ー脇を目視した。インキローラー脇より外側に位置する
版胴部やインキローラー脇部までインキが漏れている場
合を×とし、漏れていない場合を○とした。
【0061】(ニ)放置後画像 プリポートVT3820(リコー社製)を使用し、ある
画像にて印刷後に常温常湿に1ケ月放置後に同じ版にて
印刷を行い、印刷画像に支障の無いときを○、画像が立
ち上がらない箇所があるときを×とした。
【0062】(ホ)印刷立ち上り 5℃、20%においてプリポートVT3820(リコー
社製)を使用し、ある原紙で製版後に連続して印刷を行
った。完全に立ち上がるまでの枚数をカウントした。
【0063】(ヘ)高温保存 実施例1〜3及び比較例1〜5のインキを60℃に保存
し、2ケ月経過後取り出し、インキの外観を目視した。 ○;油及び水分離なし、 △;若干の油分離が観察されるが、実印刷上は支障な
し、 ×;完全に相分離を起こし、印刷に支障をきたす状態。
【0064】
【表1】
【0065】
【発明の効果】請求項1の孔版印刷用W/O型エマルシ
ョンインキは、ヨウ素価が100以下で且つ凝固点が0
℃以下である植物油の少なくとも1種を油相中に該油相
の5重量%以上含有してなるものとしたことから、油相
量30〜50重量%の油相量の多い系においても、イン
キ貯留部のインキ量を低減することが出来るものとな
り、その結果、印刷時のインキ検知を良好に保持し、且
つ高画像濃度を得ることが可能になる。更に、本インク
によると、植物油を含有させたことから、インキ製造業
者や印刷オペレーターがインキを扱う際の安全性を向上
させるという効果も生じる。
【0066】請求項2の孔版印刷用W/O型エマルショ
ンインキは、更に水相中に該水相の0.1〜2.0重量
%の電解質を含有してなるものとしたことから、印刷時
のインキ検知を良好に保持しながら、インキ安定性が向
上するという効果が加わる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油相30〜50重量%と水相70〜50
    重量%によって構成されるW/O型エマルションにおい
    て、ヨウ素価が100以下で且つ凝固点が0℃以下であ
    る植物油の少なくとも1種を油相中に該油相の5重量%
    以上含有してなることを特徴とする孔版印刷用W/O型
    エマルションインキ。
  2. 【請求項2】 前記水相中に該水相の0.1〜2.0重
    量%の電解質を含有してなることを特徴とする請求項1
    記載の孔版印刷用W/O型エマルションインキ。
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