JP2005298922A - 成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 良好なヘム曲げ加工性を有しかつ曲げ異方性も少なく、さらに塗装焼付硬化性に優れ、室温での経時変化も少なく、耐リジングマーク性も良好な成形加工用アルミニウム合金板が低コストで得られるようにする。
【解決手段】 Al−Mg−Si系合金、Al−Mg−Si−Cu系合金よりなり、板表面から板厚方向に1/10、1/4、1/2の各位置のキューブ方位密度をC1/10、C1/4、C1/2とし、(C1/10+C1/4)/2>C1/2、30<(C1/10+C1/4)<500の各条件を満たし、かつ板厚の1/10〜1/4の領域の{001}<210>方位密度が2〜50の範囲内で、0°、90°耳率が5%以上であるAl合金板。またその製造方法として、鋳造条件、熱間圧延条件を厳密に規定した。さらに中間製品としての鋳造スラブの組織条件、熱間圧延後の組織条件を規定した。
【選択図】 なし

Description

この発明は、自動車ボディシート、ボディパネルの如く各種自動車、船舶、航空機等の部材・部品、あるいは建築材料、構造材料、そのほか各種機械器具、家電製品やその部品等の素材として、成形加工および塗装焼付を施して使用されるAl−Mg−Si系もしくはAl−Mg−Si−Cu系のアルミニウム合金板およびその製造方法に関するものであり、成形性、特にヘム曲げ性が良好であるとともに、塗装焼付後の強度が高く、かつ室温での経時変化が少ない成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法に関するものである。またこの発明は、最終的な成形加工用アルミニウム合金板のみならず、成形加工用アルミニウム合金板向けの中間製品としての鋳造スラブおよび熱間圧延板とその製造方法に関するものである。
従来自動車のボディシートとしては、主として冷延鋼板を使用することが多かったが、最近では車体軽量化等の観点から、アルミニウム合金圧延板を使用することが多くなっている。ところで自動車のボディシートはプレス加工を施して使用するところから、成形加工性が優れていること、また成形加工時におけるリューダースマークやリジングマークが発生しないことが要求され、また高強度を有することも必須であって、塗装焼付を施して使用するのが通常であるため、塗装焼付後に高強度が得られることが要求される。そしてまた成形性が良好であることが要求されるのはもちろんであるが、自動車用ボディシートとしては、アウターパネルとインナーパネルとを接合して一体化させるためなどにヘム曲げ加工を施して使用することが多いところから、成形性のうちでも特にヘム曲げ性が優れていることが強く要求される。
従来このような自動車用ボディシート向けのアルミニウム合金としては、Al−Mg系合金のほか、時効性を有するAl−Mg−Si系合金もしくはAl−Mg−Si−Cu系合金が主として使用されている。これらの時効性Al−Mg−Si系合金、時効性Al−Mg−Si−Cu系合金は、塗装焼付前の成形加工時においては比較的強度が低くて成形性が優れている一方、塗装焼付時の加熱によって時効されて塗装焼付後の強度が高くなる利点を有するほか、リューダースマークが発生しにくい等の長所を有する。
なお、ヘム曲げ性などの曲げ加工性向上に関する従来技術としては、Mg2Si化合物の粒径と数、あるいは粒界析出物、第2相粒子の分散密度などを制御する特許文献1、特許文献2の技術、また結晶粒界の方位差が15°以下あるいは20°以下の結晶粒界の割合を規制する特許文献3、特許文献4の技術、さらに集合組織の{200}面あるいは{400}面の積分強度を規制する特許文献5、特許文献6等がある。また本発明者等も既に特許文献7に示される提案を行なっている。
特開2003−105471 特開2003−268472 特開2003−171726 特開2003−166029 特開2003−226926 特開2003−226927 特開2003−268475
前述のような自動車用ボディシート向けの時効性Al−Mg−Si系、Al−Mg−Si−Cu系合金板についての従来の製造方法により得られた板では、最近の自動車用ボディシートに要求される特性を充分に満足させることは困難であった。
すなわち、最近ではコストの一層の低減や材質の一層の向上等のために、自動車用ボディシートについては、従来よりも高性能でありながら低コストで製造する技術の開発が強く要求されている。しかしながら低コストを図りながらも、強度ならびに成形性(特にヘム曲げ性)、時効硬化性(焼付硬化性、すなわちBH性)、室温経時変化の抑制性能、リジングマーク発生の抑制、耐食性などの種々の要求性能を満足させる点については、従来の一般的な製造方法によって得られたAl−Mg−Si系、Al−Mg−Si−Cu系合金板では未だ不充分であった。
ここで、低コスト化の方策としては製造工程の一部を省くことが最も簡単であるが、従来の製造プロセスの一部を単純に省略しただけでは、低コストは図られても上記の諸性能のうちのいくつかの性能の低下が懸念されることは当然である。
またここで、成形加工、特にヘム曲げ加工は、曲げ内径が1mm以下の180°曲げという過酷な曲げ加工であるため、良好なヘム曲げ性と時効硬化性とを両立させることが困難であるという問題があり、特に他の性能を損なわずにかつ低コストで良好なヘム曲げ性と焼付硬化性(BH性)とを両立させることはきわめて困難であった。
さらに従来の製造方法では、熱間圧延後から溶体化処理までの間に何らかの熱処理によって材料を再結晶させなければ、成形加工によってリジングマークと称される表面欠陥が生じるおそれがあり、そのため再結晶のための熱処理が必須で、このこともコスト低減の障害となっていた。
また塗装焼付については、省エネルギおよび生産性の向上、さらには高温に曝されることが好ましくない樹脂等の材料との併用などの点から、従来よりも焼付温度を低温化し、また焼付時間も短時間化する傾向が強まっている。しかしながら従来の一般的な製法により得られた時効性Al−Mg−Si系、Al−Mg−Si−Cu系合金板の場合、低温・短時間の塗装焼付処理では、塗装焼付時の硬化(焼付硬化)が不足し、塗装焼付後に充分な高強度が得難くなる問題があった。
ここで、従来の一般的な製法により得られた時効性Al−Mg−Si系、Al−Mg−Si−Cu系合金板では、塗装焼付後に高強度を得るために焼付硬化性を高めようとすれば、素材の延性と曲げ加工性(特にヘム曲げ性)が低下し、また板製造後に室温に放置した場合に自然時効により硬化が生じやすくなり、そのため成形性、特にヘム曲げ性が阻害されがちとなるという問題が生じている。
また前記各特許文献のうち、特許文献1、特許文献2では、500℃以上の高温での均質化処理とその後の冷却速度などの規制によって、化合物分散状態、特にMg2Siの粒径と数、あるいは粒界析出物、第2相粒子の分散状態などを調整することにより曲げ加工性などを改善することが提案されているが、これらの文献1、2の方法では、言い換えれば、500℃以上の高温での均質化処理を行なわなければ、化合物分散状態の上述のような調整が困難となって、優れた成形性、良好な曲げ性を確保することが困難となると解される。またこれらの文献1、2に記載されているような化合物の分散状態の調整だけでは、良好なヘム曲げ性と時効硬化性(BH性)とを両立させるには不充分であった。
一方特許文献3、特許文献4においては、結晶粒間の方位差が15°以下あるいは20°以下である結晶粒界の割合を規制することにより曲げ加工性などを改善することが提案されており、また特許文献5、特許文献6においては、圧延集合組織制御として、{200}面と{400}面の積分強度を規制してフラットヘム加工性を改善することが提案されており、さらに本願出願人等による特許文献7では、キューブ方位密度、ND回転キューブ方位密度と耳率を規制してヘム曲げ性を改善することを提案している。確かにこれらの提案の方法では、曲げ加工性についてはある程度の改善効果が図られるが、本発明者らが実験・検討を重ねた結果、いずれの方法の場合も、圧延板のあらゆる方向の曲げ性がすべて改善されるわけではないことが判明した。例えば、圧延方向に対し平行な方向、あるいは圧延方向に対し直交する方向の曲げ性の改善が図られても、圧延方向に対し45°をなす方向の曲げ性は改善されず、いわゆる曲げ異方性という問題が生じてしまうことが判明した。
さらに、Al−Mg−Si−Cu系合金板は、粒界腐食しやすい問題もあるが、従来の方法ではこの点の改善効果も不充分であった。
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、焼付硬化性が優れていて、塗装焼付時における強度上昇が大きく、しかも板製造後の室温での経時的な変化が少なくて、長期間放置した場合でも自然時効による硬化に起因する成形性の低下も少なく、さらには良好な成形加工性、特に良好な曲げ加工性(ヘム曲げ性)を有すると同時に、曲げ異方性も少なく、また成形加工によって板表面にリジングマークが発生するおそれも少なく、さらには耐粒界腐食性も良好な成形加工用アルミニウム合金板を提供するとともに、そのような優れた性能を有する成形加工用アルミニウム合金板を量産的規模で確実かつ安定して低コストで製造し得る方法を提供することを目的とするものである。
またこの発明は、上述のように優れた性能を有する成形加工用アルミニウム合金板を製造する過程の中間製品である鋳造スラブおよび熱間圧延板と、その製造方法を提供することをも目的としている。
前述のような課題を解決するべく本発明者等が種々実験・検討を重ねた結果、Al−Mg−Si系もしくはAl−Mg−Si−Cu系合金の鋳造スラブ組織、熱間圧延板組織を適切に制御して、最終板の組織として、特定の方位、特にキューブ方位(立方体方位)の結晶方位密度を高めると同時にそのキューブ方位密度分布を板厚方向に適切に規制し、しかもキューブ方位のみならず{001}<210>方位の結晶方位密度をも適切に規制することによって、プレス加工性を損なうことなく、曲げ加工性、特にヘム曲げ性を向上させ得ると同時に、その異方性(曲げ異方性)を小さくすることができ、また良好な焼付硬化性、耐室温経時変化性を得ることができるばかりでなく、耐粒界腐食性、耐リジングマーク性能をも向上させ得ることを見出した。そしてまたこのような優れた性能を有する成形加工用アルミニウム合金板と、その中間製品としてのアルミニウム合金鋳造スラブ、アルミニウム合金熱間圧延板を、量産的規模で確実かつ安定して低コストで製造し得るプロセス条件を見出し、この発明をなすに至ったのである。
具体的には、請求項1の発明の成形加工用アルミニウム合金板は、Al−Mg−Si系もしくはAl−Mg−Si−Cu系合金からなるアルミニウム合金が素材とされ、板表面から板厚方向に板厚の1/10に位置におけるキューブ方位密度をC1/10、板表面から板厚方向に板厚の1/4の位置におけるキューブ方位密度をC1/4、板表面から板厚方向に板厚の1/2の位置におけるキューブ方位密度をC1/2として、次の(1)式および(2)式
(C1/10+C1/4)/2>C1/2 ・・・(1)
30<(C1/10+C1/4)<500 ・・・(2)
を満たし、かつ板厚方向に板厚の1/10の位置から板厚の1/4の位置までの領域における{001}<210>方位密度がランダム結晶方位を有する試料の2〜50倍の範囲内にあり、さらに0、90°耳率が5%以上であることを特徴とするものである。
また請求項2の発明の成形加工用アルミニウム合金板は、Mg0.2〜1.5%、Si0.3〜2.0%を含有し、かつMn0.03〜0.6%、Cr0.01〜0.4%、Zr0.01〜0.4%、Fe0.03〜0.5%、Ti0.005〜0.2%、Zn0.03〜2.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、さらにCuが2%以下に規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金が素材とされ、板表面から板厚方向に板厚の1/10に位置におけるキューブ方位密度をC1/10、板表面から板厚方向に板厚の1/4の位置におけるキューブ方位密度をC1/4、板表面から板厚方向に板厚の1/2の位置におけるキューブ方位密度をC1/2として、次の(1)式および(2)式
(C1/10+C1/4)/2>C1/2 ・・・(1)
30<(C1/10+C1/4)<500 ・・・(2)
を満たし、かつ板厚方向に板厚の1/10の位置から板厚の1/4の位置までの領域における{001}<210>方位密度がランダム結晶方位を有する試料の2〜50倍の範囲内にあり、さらに0、90°耳率が5%以上であることを特徴とするものである。
さらに請求項3の発明では、請求項1もしくは請求項2で規定する成形加工用アルミニウム合金板の製造方法に使用される鋳造スラブ、換言すれば請求項1もしくは請求項2で規定する成形加工用アルミニウム合金板の製造過程における中間製品に相当する鋳造スラブを規定している。
すなわち請求項3の発明の成形加工用アルミニウム合金板向け鋳造用スラブは、請求項1もしくは請求項2に記載の成形加工用アルミニウム合金板向けの鋳造スラブにおいて、結晶粒内、セル内、もしくはデンドライト境界内の第2相粒子の最大径が円換算直径10μm以下であり、結晶粒界上、セル境界上、もしくはデンドライト境界上の第2相粒子の面積率がマトリックスの全面積に対して3%以下であり、導電率が52%以下であることを特徴とするものである。
また請求項4の発明では、請求項1もしくは請求項2で規定する成形加工用アルミニウム合金板の製造に使用される熱間圧延板、換言すれば請求項1もしくは請求項2で規定する成形加工用アルミニウム合金板の製造過程における中間製品に相当する熱間圧延板を規定している。
すなわち請求項4の発明の成形加工用アルミニウム合金板向け熱間圧延板は、請求項1もしくは請求項2に記載の成形加工用アルミニウム合金板向けの熱間圧延板において、その金属組織の90%以上が未再結晶組織であり、かつ圧延方向と平行な断面の未再結晶繊維状組織における繊維のうち90%以上の個々の繊維のアスペクト比が1/5以下であり、さらに円換算直径5μm以上の第2相粒子分布密度が2000個/mm2以下であることを特徴とするものである。
また請求項5の発明では、請求項3で規定する成形加工用アルミニウム合金板向け鋳造スラブの製造方法を規定している。
すなわち請求項5の発明の成形加工用アルミニウム合金板向け鋳造スラブの製造方法は、請求項3に記載の成形加工用アルミニウム合金板向け鋳造スラブを製造するにあたり、鋳造過程における液相から固相までの凝固時の平均冷却速度を、スラブ表面で2℃/min以上、スラブ厚さ方向中央部で0.1℃/min以上に制御するとともに、凝固終了後550〜350℃の温度範囲における平均冷却速度を、スラブ表面で10℃/min以上、スラブ厚さ方向中央部で3℃/min以上に制御することを特徴とするものである。
また請求項6および請求項7の発明では、請求項4で規定する成形加工用アルミニウム合金板向け熱間圧延板の製造方法を規定している。
すなわち請求項6の発明の成形加工用アルミニウム合金板向け熱間圧延板の製造方法は、請求項4に記載の成形加工用アルミニウム合金板向け熱間圧延板を製造するにあたり、鋳造スラブを300〜450℃の範囲内の温度に加熱して熱間圧延を開始し、熱間圧延中途の板厚150〜15mmの段階における材料温度を270〜400℃の範囲内に制御し、かつ板厚15mm以降、熱間圧延終了直前パスまでの段階における材料温度を250〜380℃の範囲内に制御し、さらに熱間圧延終了温度を180〜350℃の範囲内に制御し、続いて熱間圧延終了直後の材料温度から100℃までの平均冷却速度を100℃/hr以下に制御することを特徴とするものである。
また請求項7の発明の成形加工用アルミニウム合金向け熱間圧延板の製造方法は、請求項4に記載の成形加工用アルミニウム合金板向け熱間圧延板を製造するにあたり、鋳造過程における液相から固相までの凝固時の平均冷却速度を、スラブ表面で2℃/min以上、スラブ厚さ方向中央部で0.1℃/min以上に制御するとともに、凝固終了後550〜350℃の温度範囲における平均冷却速度を、スラブ表面で10℃/min以上、スラブ厚さ方向中央部で3℃/min以上に制御して鋳造スラブを得、さらにその鋳造スラブを300〜450℃の範囲内の温度に加熱して熱間圧延を開始し、熱間圧延中途の板厚150〜15mmの段階における材料温度を270〜400℃の範囲内に制御し、かつ板厚15mm以降、熱間圧延終了直前パスまでの段階における材料温度を250〜380℃の範囲内に制御し、さらに熱間圧延終了温度を180〜350℃の範囲内に制御し、続いて熱間圧延終了直後の材料温度から100℃までの平均冷却速度を100℃/hr以下に制御することを特徴とするものである。
さらに請求項8および請求項9においては、請求項1もしくは請求項2で規定される成形加工用アルミニウム合金板の製造方法の全体的なプロセスを規定している。
すなわち請求項8の発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法は、請求項1もしくは請求項2に記載の成形加工用アルミニウム合金板を製造するにあたって、素材合金の鋳造に際し、鋳造過程における液相から固相までの凝固時の平均冷却速度を、スラブ表面で2℃/min以上、スラブ厚さ方向中央部で0.1℃/min以上に制御するとともに、凝固終了後550〜350℃の温度範囲における平均冷却速度を、スラブ表面で10℃/min以上、スラブ厚さ方向中央部で3℃/min以上に制御して鋳造スラブを得、さらにその鋳造スラブを300〜450℃の範囲内の温度に加熱して熱間圧延を開始し、熱間圧延中途の板厚150〜15mmの段階における材料温度を270〜400℃の範囲内に制御し、かつ板厚15mm以降、熱間圧延終了直前パスまでの段階における材料温度を250〜380℃の範囲内に制御し、さらに熱間圧延終了温度を180〜350℃の範囲内に制御し、続いて熱間圧延終了直後の材料温度から100℃までの平均冷却速度を100℃/hr以下に制御し、得られた熱間圧延板に対して、圧延率30%以上の冷間圧延を施して所要の板厚とした後、480℃以上の温度で溶体化処理を行なってから直ちに100℃/min以上の平均冷却速度で50℃以上150℃未満の温度域まで冷却し、続いてその温度域内で安定化処理を行なうことを特徴とするものである。
また請求項9の発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法は、請求項8に記載のアルミニウム合金板の製造方法において、前記安定化処理の後、170〜280℃の範囲内の温度で復元処理を行なうことを特徴とするものである。
なおこの発明においてキューブ方位密度とは、キューブ理想方位である(100)<001>方位の結晶方位密度を意味する。すなわち、一般の工業用材料では、上記のキューブ理想方位を中心に15°まで回転させた範囲内の結晶方位密度をキューブ方位密度と称することが多いが、この発明ではキューブ方位密度が板の性能に及ぼす影響を正確かつ厳密に把握するため、キューブ理想方位の方位密度をもってキューブ方位密度と称することとしている。
またこの発明において、キューブ方位密度に関する数値(式(2)の右辺、左辺の数値)は、ランダム方位試料に対する倍数であらわしている。
この発明による成形加工用アルミニウム合金板は、成形性、特にヘム曲げ性が優れていると同時に、曲げ異方性も少なく、しかも塗装焼付硬化性が良好で塗装焼付後の強度が高く、また室温での経時変化も少なく、さらには耐粒界腐食性も優れているとともに、リジングマークの発生も少なく、したがって塗装後にプレス加工やヘム曲げ加工を施して使用される自動車用ボディシート等に最適である。またこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法によれば、上述のように優れた性能を有する成形加工用アルミニウム合金板を、量産的規模で確実かつ安定して低コストで製造することができる。さらには、この発明の成形加工用アルミニウム合金板向け鋳造スラブ、あるいは成形加工用アルミニウム合金板向け熱間圧延板を用いれば、上述のような優れた性能を有するアルミニウム合金板を低コストで確実に製造することができる。
この発明の成形加工用アルミニウム合金板と、その成形加工用アルミニウム合金板向けの鋳造スラブおよび熱間圧延板に使用される素材合金は、基本的にはAl−Mg−Si系合金もしくはAl−Mg−Si−Cu系合金であれば良く、その具体的な成分組成は特に制約されるものではないが、通常は請求項2で規定するような成分組成の合金、すなわちMg0.2〜1.5%、Si0.3〜2.0%を含有し、かつMn0.03〜0.6%、Cr0.01〜0.4%、Zr0.01〜0.4%、Fe0.03〜0.5%、Ti0.005〜0.2%、Zn0.03〜2.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、さらにCuが2%以下に規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりなる合金を素材とすることが好ましい。
このような請求項2で規定する素材合金の成分組成の限定理由について説明する。
Mg:
Mgはこの発明で対象としている系の合金で基本となる合金元素であって、Siと共同して強度向上に寄与する。Mg量が0.2%未満では塗装焼付時に析出硬化によって強度向上に寄与するG.P.ゾーンの生成量が少なくなるため、充分な強度向上が得られず、一方1.5%を越えれば、粗大なMg−Si系の金属間化合物が生成され、キューブ方位密度を高めるために不利となり、成形性、特に曲げ加工性が低下するから、Mg量は0.2〜1.5%の範囲内とした。なお請求項3で規定する鋳造スラブ組織、請求項4で規定する熱間圧延板組織を、より安定して得るとともに、最終板の成形性、特に曲げ加工性を、より良好にするためには、Mg量は0.3〜0.9%の範囲内が好ましい。
Si:
Siもこの発明の系の合金で基本となる合金元素であって、Mgと共同して強度向上に寄与する。またSiは、鋳造時に金属Siの晶出物として生成され、その金属Si粒子の周囲が加工によって変形されて、溶体化処理の際に再結晶核の生成サイトとなるため、再結晶組織の微細化にも寄与する。Si量が0.3%未満では上記の効果が充分に得られず、一方2.0%を越えれば粗大なSi粒子や粗大なMg−Si系の金属間化合物が生じてキューブ方位密度を高めるために不利となり、成形性、特に曲げ加工性の低下を招く。したがってSi量は0.3〜2.0%の範囲内とした。なお請求項3で規定する鋳造スラブ組織、請求項4で規定する熱間圧延板組織を、より安定して得るとともに、プレス成形性と曲げ加工性とのより良好なバランスを得るためには、Si量は0.5〜1.3%の範囲内が好ましい。
Mn、Cr、Zr、Fe、Ti、Zn:
これらの元素は、強度向上や結晶粒微細化、あるいは時効性(焼付硬化性)の向上や表面処理性の向上に有効であり、いずれか1種または2種以上を添加する。これらのうちMn、Cr、Zrは強度向上と結晶粒の微細化および組織の安定化に効果がある元素であるが、Mnの含有量が0.03%未満、もしくはCrの含有量が0.01%未満、またはZrの含有量が0.01%未満では、上記の効果が充分に得られず、一方Mnの含有量が0.6%を越えるか、あるいはCr、Zrの含有量がそれぞれ0.4%を越えれば、上記の効果が飽和するばかりでなく、多数の金属間化合物が生成されて成形性、特にヘム曲げ性に悪影響を及ぼすおそれがあり、したがってMnは0.03〜0.6%の範囲内、Cr、Zrはそれぞれ0.01〜0.4%の範囲内とした。またFeも強度向上と結晶粒微細化に有効な元素であるが、その含有量が0.03%未満では充分な効果が得られず、一方0.5%を越えれば、キューブ方位密度を高める上において不利となって、成形性、特に曲げ加工性が低下するおそれがあり、したがってFe量は0.03〜0.5%の範囲内とした。さらにTiも強度向上と鋳塊組織の微細化に有効な元素であるが、その含有量が0.005%未満では充分な効果が得られず、一方0.2%を越えればTi添加の効果が飽和するばかりでなく、粗大な晶出物が生じるおそれがあるから、Ti量は0.005〜0.2%の範囲内とした。またZnは時効性向上を通じて強度向上に寄与するとともに表面処理性の向上に有効な元素であるが、Znの添加量が0.03%未満では上記の効果が充分に得られず、一方2.5%を越えれば成形性が低下するから、Zn量は0.03〜2.5%の範囲内とした。
Cu:
Cuは強度向上および成形性向上のために添加されることがある元素であるが、その量が2.0%を越えれば耐食性(耐粒界腐食性、耐糸錆性)が劣化するから、Cuの含有量は2.0%以下に規制することとした。なお、より耐食性の改善を図りたい場合はCu量は1.0%以下が好ましく、さらに特に耐食性を重視する場合は、Cu量は0.05%以下に規制することが望ましい。
以上の各元素のほかは、基本的にはAlおよび不可避的不純物とすれば良い。
なお上記のMn、Cr、Zr、Fe、Ti、Znの含有量範囲は、それぞれ積極的に添加する場合の範囲として示したものであり、いずれも下限値より少ない量を不純物として含有する場合を排除するものではない。特に0.03%未満のFeは、通常のアルミ地金を用いれば不可避的に含有されるのが通常である。
また時効性Al−Mg−Si系合金、時効性Al−Mg−Si−Cu系合金においては、高温時効促進元素あるいは室温時効抑制元素であるAg、In、Cd、Be、あるいはSnを微量添加することがあるが、この発明の場合も微量添加であればこれらの元素の添加も許容され、それぞれ0.3%以下であれば特に所期の目的を損なうことはない。
なおまた、一般のAl合金においては、鋳塊組織の微細化のために前述のTiと同時にBを添加することもあり、BをTiとともに添加することによって、鋳塊組織の微細化と安定化の効果が一層顕著となる。そしてこの発明の場合、Tiとともに500ppm以下のBを添加することは許容される。
更に、鋳塊組織の微細化にはV、Scの添加も効果があるとされており、この発明の場合も微量のVもしくはScを添加しても良く、V0.03〜0.3%、Sc0.01〜0.2%の範囲内であれば特に支障はない。
さらにこの発明の成形加工用アルミニウム合金板において、良好な曲げ加工性、特に良好なヘム曲げ性を得ると同時に、曲げ異方性を小さく抑制するためには、合金の成分組成を前述のように調整するばかりではなく、鋳造スラブの金属組織、熱間圧延板の金属組織を適切に制御して、最終板であるアルミニウム合金板の集合組織、特に結晶方位密度を適切に制御することが極めて重要である。
ここで、この発明において最終板の結晶方位密度を規制しているのは、粒界の性質(小角か大角か)を制御するためだけではなく、アルミニウム合金の塑性変形に伴う結晶のすべり変形全体を制御することを主目的としている。そして特に曲げ加工中に交差すべりが生じやすいような結晶方位の集積度を高めることが極めて重要であり、そのようにすることによって、加工による転位密度の増加を抑えて、加工硬化を抑制することが可能となるのである。さらにその結果、ヘム曲げ加工の際において、加工硬化の抑制により割れ限界強度に達するまで材料の大歪変形が可能となる。ここで、すべり変形挙動を、比較的ランダムな結晶方位を有する従来の材料、言い換えれば比較的交差すべりが生じ難い従来材料と大きく異ならしめるためには、結晶方位の集積が必要である。一方実際の材料では、種々の結晶方位が存在するが、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、種々の結晶方位のうちでも特にキューブ方位の方位密度、すなわちキューブ方位の理想方位である(001)<100>方位の方位密度を高めることによって、すべり変形挙動を、従来材料とは大きく異ならしめることができることを見出した。すなわち、キューブ方位密度を高めることによって、加工変形中における交差すべりが活発となり、加工硬化が抑制され、曲げ加工性が改善されるのである。
ここで、単純にキューブ方位密度を高めるだけでは、むしろ曲げ異方性が顕著となって材料特性のバランスが低下するおそれがある。そこで本発明者等がさらに実験・検討を重ねたところ、キューブ方位密度を単純に高めるのではなく、板厚方向におけるキューブ方位密度分布を適切に規制し、さらにそれに加えてキューブ方位以外の特に{001}<210>方位の結晶方位密度をも適切に規制することによって、曲げ加工性を向上させると同時に、曲げ異方性を確実かつ安定して小さくし得ることを見出した。
すなわち、板表面から板厚方向に板厚の1/10の位置におけるキューブ方位密度をC1/10、板表面から板厚方向に板厚の1/4の位置におけるキューブ方位密度をC1/4、板表面から板厚方向に板厚の1/2の位置におけるキューブ方位密度をC1/2とすして、次の(1)および(2)式
(C1/10+C1/4)/2>C1/2 ・・・(1)
30<(C1/10+C1/4)<500 ・・・(2)
を満たすと同時に、{001}<210>方位密度をランダム結晶方位を有する試料の2〜50倍の範囲内に規制することによって、曲げ加工性を向上させると同時に曲げ異方性を確実に小さくし得るのであり、そこでこれらの(1)式、(2)式、および{001}<210>方位密度を規定した。
ここで(1)式は、板表面から板厚の1/10の位置のキューブ方位密度と板表面から板厚の1/4の位置のキューブ方位密度との平均値が、板表面から板厚の1/2の位置(板厚方向中心位置)のキューブ方位密度より高いことを意味する。したがってこの(1)式は、板表面と板厚方向中心との間の中間部分のキューブ方位密度が、板厚方向中心のキューブ方位密度より高いことを意味する。また(2)式は、板表面から板厚方向中心までの間の中間部分の代表的な2ヶ所の平均キューブ方位密度がランダム方位試料の30倍を越え、500倍未満であることを意味する。そしてこの(1)式、(2)式の二つのキューブ方位密度条件、さらに{001}<210>方位密度をランダム方位試料の2〜50倍の範囲内とするとの条件の全てが満たされない場合には、曲げ加工性、曲げ異方性のいずれかが悪くなって、バランスの良い材料が得られなくなる。
なお(2)式に関しては、よりバランスの良好な最終板を得るためには、次の(2’)式の条件を満たすことが望ましい。
60<(C1/10+C1/4)<400 ・・・(2’)
さらに{001}<210>方位密度に関しても、よりバランスの良好な材料を得るためには、ランダム方位試料の5〜50倍の範囲内に規制することが望ましい。
なおここで、(1)式、(2)式((2’)式)によってキューブ方位密度を規制するのみならず、{001}<210>方位の方位密度をも規制している理由は、キューブ方位によってもたらされた曲げ異方性、機械的性質の異方性を低減するためである。
さらにこの発明による成形加工用アルミニウム合金板では、板全体にわたって0°耳、90°耳の耳率が5%以上であることも重要である。すなわち、前述のようにこの発明では、良好な曲げ加工性を確保しかつ曲げ異方性を抑制するために、キューブ方位密度および{001}<210>方位密度を規定しているが、それ以外の結晶方位の方位密度もある程度は曲げ加工性に影響を与える。しかしながら実際上は、これらの方位以外のすべての結晶方位の方位密度を厳密に規定することは困難である。一方、板のカッピング試験で絞ったカップの耳率によれば、材料の結晶方位をマクロ的に評価することができる。そこでこの発明では、キューブ方位や{001}<210>方位以外の結晶方位の方位密度の影響を、0°耳、90°耳で評価、規制することとした。具体的には、圧延方向を基準にカップの0°、90°耳率が5%未満では、たとえ前述のキューブ方位密度および{001}<210>方位密度の条件が満足されていても、良好な曲げ加工性、曲げ異方性が得られないおそれがある。そこでこの発明では耳率に関して前述のように規制することとした。なお0°、90°耳率は、上記の範囲内でも特に10%以上が望ましい。
さらに、最終板の成形加工用アルミニウム合金板の組織として前述のような組織を得て、良好な最終板性能を確実かつ安定して得るために、この発明ではその成形加工用アルミニウム合金板の製造過程中の中間製品である鋳造スラブの組織や、熱間圧延板の組織も制御することとしている。
すなわち先ず、鋳造凝固したスラブ(鋳造スラブ)の金属組織条件として、次のA、Bの2条件が満たされる必要がある。
A:結晶粒内もしくはセル内またはデンドライト境界内の第2相粒子、換言すれば結晶粒界、セル境界、デンドライト境界(以下これらを総称して単に“境界”と称することがある)にかからない第2相粒子の最大径が、円換算直径にして10μm以下であること。
B:結晶粒界もしくはセル境界上、あるいはデンドライト境界上の第2相粒子の面積率が、マトリックスの全面積に対して3%以下であること。
このようなスラブ組織の条件を規定した理由は次の通りである。
すなわち、鋳造凝固したスラブ(鋳造スラブ)の組織における結晶粒内あるいはセル内、あるいはデンドライト境界内には、主として析出物からなる第2相粒子が存在するのが通常であるが、このような結晶粒内、セル内、デンドライト境界内の第2相粒子の径が大きければ、その第2相粒子はその後の短時間の溶体化処理において充分に溶けきることができず、その結果焼付硬化性、曲げ加工性の低下を招くおそれがある。
このような境界内の主として析出物からなる第2相粒子の最大径が円換算直径で10μm以下であれば、焼付硬化性、曲げ加工性の低下を抑制することができ、そこで前述のAの条件を規定した。なおこのような境界内の第2相粒子の最大径(円換算直径の最大径)は、望ましくは5μm以下、より望ましくは2μm以下に規制することが好ましい。
一方、鋳造スラブ段階では、結晶粒界上、あるいはセル境界上やデンドライト境界上に、主として晶出物からなる第2相粒子が存在するのが通常であるが、このような主として晶出物からなる境界上の第2相粒子は、そのサイズが大きくなりやすいため、最終的に製品板の焼付硬化性、曲げ加工性、プレス成形性の低下を招く原因となることがある。一般には、これらの粗大な第2相粒子は、高温均質化処理を施すことにより、かなりの程度まで母相Al中に固溶させることが可能である。しかしながらこの発明では、エネルギーの無駄を省きかつ工程を短縮することを目的として、480℃以上の高温の均質化処理を行なわずに最終板の各種特性を確保しようとしており、そのため、特に何らかの手段を講じなければ、上述のような境界上の第2相粒子の悪影響が生じやすい。そして鋳造スラブにおける境界上の第2相粒子の面積率がマトリックスの全面積に対して3%を越えれば、製品板の焼付硬化性、曲げ加工性、プレス成形性の低下を招くおそれがあり、そこで前述のBの条件を規定している。このように鋳造スラブにおける境界上の第2相粒子の面積率がマトリックスの全面積に対して3%以下であれば、480℃以上の高温の均質化処理を行なわなくても、その第2相粒子が製品板の諸性能に悪影響を及ぼすことを抑制できる。なおこのような境界上の第2相粒子の面積率は、上述の効果をより確実に発揮させるためには、2%以下が好ましく、さらにより望ましくは1%以下に規制する。
以上のように、鋳造スラブの組織をA、Bの条件で規制しておけば、高温の均質化処理を行なわずかつ溶体化処理を短時間で行なった場合でも、第2相粒子を熱間圧延、冷間圧延で分断させて、最終的に溶体化処理で固溶させることができ、その結果第2相粒子が最終板の諸性能に及ぼす悪影響を小さくすることが可能となるのである。
さらに鋳造スラブの段階では、前記A、Bにより第2相粒子を規制するばかりでなく、導電率を52%IACS以下に規制する必要がある。
導電率は固溶元素の固溶量の指標となり、したがって導電率は焼付硬化性に影響を与える。ここでスラブの導電率が52%IACSを越えれば、固溶しているMgとSiの量が少ないため、最終板において時効析出硬化量が充分に得られず、塗装焼付後に充分な高強度が得難くなるから、スラブ導電率が52%IACS以下であることを規定した。ここで、導電率の下限は特に規制しないが、通常この系の合金では、導電率を40%IACS以下としても、焼付硬化性向上の効果が飽和し、また工業的にこれを実現することが困難となる。なお焼付硬化性の充分な向上のためには、鋳造スラブの導電率は、49%IACS以下に規制することが望ましい。ここで、一般には、高温均質化処理などによってスラブの導電率を調整することが可能であるが、この発明の場合は、前述のようにエネルギーの無駄を省きかつ工程を短縮することを目的として、480℃以上での高温の均質化処理を行なわないこととしているため、鋳造が終わった段階のスラブの導電率を52%IACS以下、好ましくは49%IACS以下に規制することとしている。
次に熱間圧延板の段階での組織については、次のC、D、Eの3条件で規制することとした。
C:熱間圧延板の金属組織の90%以上が未再結晶組織であること。
D:圧延方向と平行な断面組織における未再結晶繊維組織を構成している繊維のうち、90%以上の個々の繊維のアスペクト比が1/5以下であること、好ましくは1/10以下であること。
E:円換算直径5μm以上の第2相粒子の分布密度が2000個/mm2以下であること、好ましくは円換算直径2μm以上の第2相粒子の分布密度が1500個/mm2以下であること。
なおDの条件において、アスペクト比とは繊維の幅(厚さ)/繊維の長さの比を意味する。
このように熱間圧延板の組織を規定した理由は次の通りである。
すなわち、熱間圧延板に多数の粗大な第2相粒子が存在すれば、短時間の溶体化処理ではこれらの粒子を充分に固溶させることができないため、最終製品板の焼付硬化性、曲げ加工性、プレス成形性の低下を招くおそれがある。そこで第2相粒子についてEの条件で規制することとした。また熱間圧延板の段階では、第2相粒子を前記Eの条件で規制するのみならず、未再結晶状態を確保することも最終板の結晶方位の制御のために極めて重要であり、熱間圧延板の段階で未再結晶組織が90%以上であって、好ましくは完全未再結晶組織ですべて繊維状組織となっていることにより、最終板の結晶方位を既に述べたように制御するために有利となる。ここで、未再結晶の加工組織は繊維状の形となっているが、その組織の加工度を表わす指標としては繊維アスペクト比(繊維の幅(厚さ)/繊維の長さ)を使用することができる。そしてこのようなアスペクト比が1/5以下、好ましくは1/10以下でなければ、最終板において所要の結晶方位密度と分布が得られなくなるおそれがある。そこで熱間圧延板においてその組織条件として前記のC、D、Eの条件を規定した。
次にこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法について説明する。なおこの発明では、最終板である成形加工用アルミニウム合金板のみならず、その中間製品に相当する鋳造スラブおよび熱間圧延板についても規定しているが、これらの鋳造スラブの製造方法、熱間圧延板の製造方法は、以下の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法についての説明中に含ませて説明するものとする。
まず前述のような成分組成の合金を常法に従って溶製し、DC鋳造法等によってスラブに鋳造する。この鋳造法においては、鋳造後のスラブの金属組織として第2相粒子に関して前記A、Bの条件が満たされかつ導電率が52%IACS以下の条件が満たされるように、凝固−冷却過程を制御する必要がある。
すなわち、液相から固相となる凝固時の平均冷却速度を、スラブ表面では2℃/min以上、好ましくは10℃/min以上、より好ましくは30℃/min以上に、またスラブ厚み方向中央では0.1℃/min以上、好ましくは0.5℃/min以上、より好ましくは2℃/min以上に制御し、さらに凝固終了後の550〜350℃の範囲内の温度での平均冷却速度を、スラブ表面では10℃/min以上、好ましくは60℃/min以上、より好ましくは300℃/min以上に、またスラブ厚み方向中央では3℃/min以上、好ましくは20℃/min以上、より好ましくは100℃/min以上に制御する。
このように鋳造段階の冷却速度を規制した理由は次の通りである。すなわち、凝固時の冷却速度を大きくすることによって、結晶内あるいはセル内、あるいはデンドライト境界内に生じる第2相粒子(主として晶出物)を減らすことができるばかりでなく、そのサイズを小さくすることができ、また凝固後の冷却過程における高温域(550〜350℃)での冷却速度を大きくすることによって、結晶粒界上あるいはセル境界上とデンドライト境界上の第2相粒子(主として析出物)の生成量を減らすとともにそのサイズを小さくして、前述の鋳造スラブ組織条件を満たすスラブを得ることが可能となるのであり、これらの条件のいずれか一つが満たされなくても、所要の組織条件を満たすことが困難となって、最終板に求められる諸特性にも悪影響を及ぼす。またこのように冷却速度を大きくすることにより、固溶量を高める効果も得られ、導電率を確保するためにも不可欠である。
ここで、上述のような高い冷却速度を容易に得るためには、スラブ厚みを550mm以下、好ましくは350mm以下とすることが望ましい。また第2相粒子の微細化を図るためには、鋳造時にTiを添加するばかりでなく、適量のBを併用添加することが望ましい。
以上のようにして、既に述べた鋳造スラブ組織条件を満たすスラブが得られた後には、そのスラブに対して、480℃以上の高温の均質化処理を行なうことなく、熱間圧延開始温度、すなわち300〜450℃の範囲内の温度に加熱して熱間圧延を開始する。このように熱間圧延前に480℃以上の高温での均質化処理を行なわないことによって、省エネルギーと工程数の減少による製造時間の短縮化を図ることができる。
ここで、熱間圧延の条件は、既に述べたC、D、Eの3条件を満たす組織を有する熱間圧延板を得るために重要であり、スラブを300〜450℃の範囲に加熱して熱間圧延を開始し、熱間圧延中途の150mm厚から15mm厚までの段階における材料の温度を270〜400℃の範囲内、好ましくは300〜380℃の範囲内に制御し、さらに15mm厚以降、熱間圧延終了直前のパスまでの段階における材料温度を250〜380℃、好ましくは280〜370℃の範囲内に制御し、その後の熱間圧延終了温度を180〜350℃、好ましくは220〜300℃の範囲内に制御し、さらに熱間圧延終了直後の材料温度から100℃までの平均冷却速度を100℃/hr以下に制御することが必要である。
以上のように熱間圧延条件を定めている理由は次の通りである。すなわち、前述のC〜Eで規定するような未再結晶繊維状組織の条件を満たす熱間圧延板を得るためには、熱間圧延の開始温度と終了温度のみならず、熱間圧延中途の温度も厳密に制御する必要がある。熱間圧延開始温度・終了温度と同時に熱間圧延過程中途の温度も厳密に制御しなければ、熱間圧延の中途で再結晶が生じて、所要の繊維状組織、すなわちC〜Eの条件を満たす組織が得られなくなるおそれがあり、それに伴って最終板でも所要の結晶方位密度条件を満たす組織が得られなくなるおそれがある。また熱間圧延後の材料の平均冷却速度を規制することも、最終板の結晶方位密度を制御するために欠かせない。
さらに上述のような熱間圧延における温度制御によって、熱間圧延過程で粗大な結晶粒組織が生じることを防止して、最終板の耐リジングマーク性を向上させる効果も得られる。そしてまた、スラブに対して高温での均質化処理を行なわないことにより、鋳塊組織中の溶質原子の偏析は見られるものの、逆にそれによって熱間圧延中の再結晶が抑制されるため、所要の繊維アスペクト比(前記Dの条件)が容易に得られる。そしてまた熱間圧延中途の温度が低いために、熱間圧延過程中における第2相粒子の凝集化が生じにくくなり、最終板での焼付硬化性を高める効果も得られる。
ここで、上述のような熱間圧延条件のうち、いずれか一つの条件でも外れれば、前述のような熱間圧延板組織条件を満たす熱間圧延板を得ることが困難となり、それに伴って所要の結晶方位密度条件を満たす最終板が得難くなり、最終板の諸特性が低下するおそれがある。
上述のようにして熱間圧延を行なってコイルに巻取った後には、通常は中間焼鈍を行なわずに圧延率30%以上で冷間圧延を施して所要の板厚(製品板厚)とする。但し、完全再結晶させない温度、時間の範囲内の熱処理、例えば300℃×2hr以下の熱処理であれば、そのような熱処理を熱間圧延後、30%以上の冷間圧延前に施しても、特にこの発明の効果を損なうものではない。
上述のように30%以上の圧延率で冷間圧延することにより、既に述べたような結晶方位密度条件を有する製品板を得ることができる。またここで、冷間圧延率を30%以上にすることによって、材料に高い歪みエネルギーが蓄積され、熱間圧延後の溶体化処理−焼入れ時に形成された結晶粒が微細となって、成形加工後に良好な表面外観品質を得ることが可能となる。冷間圧延率が30%未満では、成形時に肌荒れ等の表面欠陥が発生するおそれがある。なお特に外観品質を重視する場合には、冷間圧延率は50%以上とすることが好ましい。
上述のようにして所要の製品板厚とした後には、480℃以上の温度で溶体化処理を行なう。この溶体化処理は、MgSi、単体Si等をマトリックスに固溶させ、これにより焼付硬化性を付与して塗装焼付後の強度向上を図るために重要な工程である。またこの工程は、MgSi、単体Si粒子等の固溶により第2相粒子の分布密度を低下させて、延性と曲げ性を向上させるためにも寄与し、さらには再結晶により最終的に所要の結晶方位を得て、良好な成形性(曲げ加工性、曲げ異方性、プレス成形性)を得るためにも重要な工程である。
溶体化処理温度が480℃未満の場合、室温での経時変化の抑制に対しては有利と考えられるが、その場合Mg2Si、Siなどの固溶量が少なくなって、充分な焼付硬化性が得られなくなるばかりでなく、延性と曲げ性も著しく悪化するから、溶体化処理温度は480℃以上とする必要がある。なお特に溶体化効果を重視する場合は、溶体化処理温度は500℃以上とすることが好ましい。一方溶体化処理温度の上限は特に規定しないが、共晶融解の発生のおそれや再結晶粒粗大化等を考慮して、通常は580℃以下とすることが望ましい。また溶体化処理の時間は特に規制しないが、通常は5分を越えれば溶体化効果が飽和し、経済性を損なうばかりではなく、結晶粒の粗大化のおそれもあるから、溶体化処理の時間は5分以内が望ましい。
溶体化処理後には、100℃/min以上の冷却速度で、50℃以上150℃未満の温度域まで冷却(焼入れ)する。ここで、溶体化処理後の冷却速度が100℃/min未満では、冷却中にMg2Siあるいは単体Siが粒界に多量に析出してしまい、成形性、特にヘム曲げ性が低下すると同時に、焼付硬化性が低下して塗装焼付時の充分な強度向上が望めなくなる。
上述のように480℃以上の温度での溶体化処理を行なって100℃/min以上の冷却速度で50℃以上150℃未満の温度域内まで冷却(焼入れ)した後には、50℃未満の温度域(室温)まで温度降下しないうちに、この温度範囲内(50〜150℃未満)で安定化処理を行なう。この安定化処理における50〜150℃未満の温度域での保持時間は特に限定しないが、通常は1時間以上保持することが望ましく、またその温度範囲内で1時間以上かけて冷却(徐冷)しても良い。
このように溶体化処理して50〜150℃未満の温度域に焼入れた後、50℃未満の温度域まで冷却することなくそのまま50〜150℃未満の温度で安定化処理を行なう理由は次の通りである。すなわち、溶体化処理後、特に100℃/min以上の平均冷却速度で50℃未満の室温に冷却した場合には、室温クラスターが生成される。この室温クラスターは強度に寄与するG.P.ゾーンに移行しにくいため、塗装焼付硬化性に不利となる。一方、溶体化処理後に150℃以上の温度範囲に冷却してそのまま保持した場合には、G.P.ゾーンあるいは安定相が生成され、成形前の素材強度が高くなり過ぎて、ヘム曲げ性やプレス加工等の成形性が劣化する。したがってヘム曲げ性、プレス加工性と塗装焼付硬化性、および耐室温経時変化性のバランスの観点から、溶体化処理−焼入れ−安定化処理が上記の条件を満たすことが必要である。
安定化処理の後の板は、これをそのまま塗装焼付けおよび成形加工に供しても良いが、場合によっては焼付硬化性の一層の向上を図るため、170〜280℃の範囲内の温度に加熱する復元熱処理を行なっても良い。ここで、復元熱処理の温度が170℃未満では、焼付硬化性向上の効果が得られず、一方280℃を越えれば室温経時変化が生じやすくなる。この復元熱処理の時間は特に限定しないが、5分を越えれば、塗装焼付け硬化性向上の効果が飽和するばかりでなく、場合によっては長時間の時効によって成形前の素材強度が高くなり過ぎ、成形性が劣化するおそれがあるから、通常は5分以内とすることが望ましい。
なお安定化処理と復元熱処理の間の条件について特に規制しないが、通常は復元熱処理まで材料を室温に放置するのが通常であり、またその放置時間については、一般的な材料の室温経時変化などの要素を考慮して、1ヶ月以内とすることが好ましい。
なおまた、曲げ加工性を向上させるとともに、プレス成形時の肌荒れ(外観欠陥)を防止するためには、結晶粒度を細かくする必要があることが知られているが、この発明の最終板の結晶粒度は、ASTMナンバーで4以上であることが望ましい。
以下にこの発明の実施例を比較例とともに記す。なお以下の実施例は、この発明の効果を説明するためのものであり、実施例記載のプロセスおよび条件がこの発明の技術的範囲を制限するものではない。
表1に示すこの発明の成分組成範囲内の合金記号A1〜A5の合金について、それぞれ常法に従って溶製し、表2に示す条件により厚み350mmのスラブに鋳造し、得られたスラブに対して表3中に示す種々の温度に加熱して、同じく表3中に示す条件で熱間圧延を行なった。なおここで表3における製造番号7、8の場合は、熱間圧延前の加熱は480℃以上の高温での均質化処理に相当し、その他の場合は480℃以上の高温の均質化処理を行なわずに熱間圧延を開始した例に相当する。熱間圧延では、スラブ厚(350mm)から3〜5mmまで圧延した。またこの熱間圧延においては、その中途の板厚150mm〜15mmの段階の代表板厚として板厚100mmのときの材料温度の測定を行ない、また板厚15mm以降、最終パス直前までの段階の代表板厚として板厚11mmのときの材料温度の測定を行ない、さらに熱間圧延終了温度および熱間圧延終了後の100℃までの冷却速度を測定した。熱間圧延終了後コイルに巻取り、その後、冷間圧延途中に中間焼鈍を施すことなく、1mmの板厚まで冷間圧延し、さらに溶体化処理を行なった。溶体化処理は、加熱により種々の溶体化処理温度に到達した後、保持時間なしで直ちに100℃/min以上の冷却速度で種々の温度まで冷却(焼入れ)し、引き続いて種々の安定化処理を行ない、さらに一部については復元処理を行なった。これらの製造プロセスの詳細な条件を表2〜表4の製造番号1〜13に示す。
なお表4において、製造番号1〜3、5〜13は、安定化処理を一定温度保持で行なったもの、一方製造番号4は、安定化処理として、一定温度の保持を行なう代りに80℃から60℃までの間を冷却速度5℃/hで徐冷したものである。また製造番号3、9は、安定化処理の後、さらに復元熱処理を行なったものである。
以上のような各製造過程において、鋳造スラブの段階での組織、および熱間圧延板の段階での組織を、光学顕微鏡および画像解析処理装置を用いて調べた。
すなわち、鋳造スラブの組織については、鋳造後のスラブからスライスして試験片を切出し、スラブ中央部におけるスラブ厚さの1/4に相当する部位の組織を光学顕微鏡で観察するとともに、画像解析装置により第2相粒子のサイズと面積率を調べた。
また熱間圧延後の組織については、板の圧延方向と平行な断面を、光学顕微鏡および画像解析装置を用いて解析し、未再結晶組織の面積率、繊維状組織のアスペクト比、および第2相粒子の分布密度を調べた。
一方、最終的に得られたアルミニウム合金板(製品板)については、次のようにして集合組織(結晶方位密度)を調べた。
すなわち、厚さ1mmの板について、10%NaOH水溶液で表面から板厚中央に向けて種々の深さまでエッチングしたものをそれぞれ測定サンプルとした。そして板表面から100μmの位置のキューブ方位密度(C1/10)、250μmの位置のキューブ方位密度(C1/4)、500μmの位置のキューブ方位密度(C1/2)を求めた。測定装置としては、リガク(株)のX線回折装置を用い、X線回折のシェルツ反射法により、{200}、{220}、{111}の不完全極点図を測定し、これらを元に三次元結晶方位解析(ODF)を行なって調べた。またこれらの解析においては、アルミニウム粉末から作られたランダム結晶方位を有する試料を測定して得たデータを{200}、{220}、{111}極点図の解析の際に使う規格化ファイルとし、これによりランダム方位を有する試料に対する倍数としてキューブ方位密度を求めた。なおこの発明において、結晶方位密度は全て三次元結晶方位解析(ODF)に基づくものである。なおまた、キューブ方位密度は、理想方位である{100}<001>方位の方位密度を求めた。また板表面から板厚方向に1/10の位置から1/4の位置までの領域における{001}<210>方位密度として、板厚表面から100μm、150μm、200μm、250μmの各位置における{001}<210>方位密度を前記同様にして調べ、その平均値を上記領域における{001}<210>方位密度とした。
さらに前述のようにして得られた各板について、室温経時変化を考慮して室温に6ヶ月放置した後、それぞれ2%ストレッチ後、170℃×20分の塗装焼付(ベーク)処理を施し、かつその焼付前と後の各板について引張試験を行なって、機械的強度として0.2%耐力値を測定した。また同じく焼付前の板について、カップ絞り試験による耳率と、導電率、粒界腐食深さを調べるとともに、ヘム曲げ試験によるヘム曲げ加工性評価と、ポンチ張出し試験によるリジングマーク発生評価、張出し高さの測定、および粒界腐食試験を行なった。これらの結果を表5〜表8に示す。
各試験の具体的手法を次に示す。
耳率測定:
板に潤滑油を塗布した後、ポンチ径φ32mm、ブランク径φ62mm、しわ押さえ100kgの条件でカップに絞り、そのカップの耳率を調べた。なおここで耳率の方向は、圧延方向を基準にした0°方向、90°方向で示す。
導電率(%IACS):
渦電流式導電率測定装置を用いて銅、黄銅を基準試料として測定を行なった。
ヘム加工性の評価:
材料の圧延方向に対して板面内0°、45°、90°三方向に曲げ試験片を採取し、10%ストレッチしてから、180°に密着曲げを行ない、目視により割れの発生の有無を観察した。ここで○印は割れ無しを、また×印は割れ有りを示す。
リジング・マークの発生評価:
直径100mmの球頭ポンチで高さ30mmまで張出成形を行ない、表面に形成される圧延方向に沿う筋(凹凸)を目視で判定した。○印は筋なしあるいは筋が弱い状態を示し、×印は筋が強い状態を示す。ここで筋が強ければ、自動車用外板の外観として不適当となる。
張出し試験:
200mm×200mmの大きさの1mm板の両面にマスキングフィルムを貼り、さらに潤滑を高めるため、ワックスを塗った状態で張出し試験に供し、最大張出し高さを調べた。なおポンチとしては球頭ポンチ径100mmのものを使用した。
粒界腐食試験:
ISO・B法に従い、NaClとHClの混合液に24時間浸漬した後、試料の断面組織を光学顕微鏡で観察し、その粒界腐食の最大深さを調べた。
Figure 2005298922
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製造番号1〜5、10、12は、いずれも合金の成分組成がこの発明で規定する範囲内であって、かつ製造プロセス条件もこの発明で規定する範囲内であり、鋳造スラブの組織条件、熱間圧延後の組織条件、最終板の結晶方位密度条件等もすべてこの発明で規定する条件を満たしたものであるが、これらの場合は、ヘム加工性が優れ、また焼付硬化性が高く、塗装焼付時に充分な焼付硬化性を示し、さらに耐リジング性、耐粒界腐食性、張出し成形性も良好であった。そしてまた6ヶ月の室温放置後の耐力がいずれも150MPa以下であることから、室温経時変化も少ないことが判明した。
これに対し製造番号6〜9、11、13は、合金の成分組成はこの発明で規定する範囲内であるが、製造プロセス条件のいずれかがこの発明の範囲外であって、鋳造スラブの組織条件、熱間圧延板の組織条件、最終板の結晶方位密度条件等のいずれかがこの発明で規定する条件を満たさなかったものでり、これらの場合は、上記性能のうちいずれかが劣っていた。

Claims (9)

  1. Al−Mg−Si系もしくはAl−Mg−Si−Cu系合金からなるアルミニウム合金が素材とされ、板表面から板厚方向に板厚の1/10に位置におけるキューブ方位密度をC1/10、板表面から板厚方向に板厚の1/4の位置におけるキューブ方位密度をC1/4、板表面から板厚方向に板厚の1/2の位置におけるキューブ方位密度をC1/2として、次の(1)式および(2)式
    (C1/10+C1/4)/2>C1/2 ・・・(1)
    30<(C1/10+C1/4)<500 ・・・(2)
    を満たし、かつ板厚方向に板厚の1/10の位置から板厚の1/4の位置までの領域における{001}<210>方位密度がランダム結晶方位を有する試料の2〜50倍の範囲内にあり、さらに0、90°耳率が5%以上であることを特徴とする、成形加工用アルミニウム合金板。
  2. Mg0.2〜1.5%(mass%、以下同じ)、Si0.3〜2.0%を含有し、かつMn0.03〜0.6%、Cr0.01〜0.4%、Zr0.01〜0.4%、Fe0.03〜0.5%、Ti0.005〜0.2%、Zn0.03〜2.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、さらにCuが2%以下に規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金が素材とされ、板表面から板厚方向に板厚の1/10に位置におけるキューブ方位密度をC1/10、板表面から板厚方向に板厚の1/4の位置におけるキューブ方位密度をC1/4、板表面から板厚方向に板厚の1/2の位置におけるキューブ方位密度をC1/2として、次の(1)式および(2)式
    (C1/10+C1/4)/2>C1/2 ・・・(1)
    30<(C1/10+C1/4)<500 ・・・(2)
    を満たし、かつ板厚方向に板厚の1/10の位置から板厚の1/4の位置までの領域における{001}<210>方位密度がランダム結晶方位を有する試料の2〜50倍の範囲内にあり、さらに0、90°耳率が5%以上であることを特徴とする、成形加工用アルミニウム合金板。
  3. 請求項1もしくは請求項2に記載の成形加工用アルミニウム合金板向けの鋳造スラブにおいて、
    結晶粒内、セル内、もしくはデンドライト境界内の第2相粒子の最大径が円換算直径10μm以下であり、結晶粒界上、セル境界上、もしくはデンドライト境界上の第2相粒子の面積率がマトリックスの全面積に対して3%以下であり、導電率が52%以下であることを特徴とする、成形加工用アルミニウム合金板向け鋳造スラブ。
  4. 請求項1もしくは請求項2に記載の成形加工用アルミニウム合金板向けの熱間圧延板において、
    その金属組織の90%以上が未再結晶組織であり、かつ圧延方向と平行な断面の未再結晶繊維状組織における繊維のうち90%以上の個々の繊維のアスペクト比が1/5以下であり、さらに円換算直径5μm以上の第2相粒子分布密度が2000個/mm2以下であることを特徴とする、成形加工用アルミニウム合金板向け熱間圧延板。
  5. 請求項3に記載の成形加工用アルミニウム合金板向け鋳造スラブを製造するにあたり、
    鋳造過程における液相から固相までの凝固時の平均冷却速度を、スラブ表面で2℃/min以上、スラブ厚さ方向中央部で0.1℃/min以上に制御するとともに、凝固終了後550〜350℃の温度範囲における平均冷却速度を、スラブ表面で10℃/min以上、スラブ厚さ方向中央部で3℃/min以上に制御することを特徴とする、成形加工用アルミニウム合金板向け鋳造スラブの製造方法。
  6. 請求項4に記載の成形加工用アルミニウム合金板向け熱間圧延板を製造するにあたり、
    鋳造スラブを300〜450℃の範囲内の温度に加熱して熱間圧延を開始し、熱間圧延中途の板厚150〜15mmの段階における材料温度を270〜400℃の範囲内に制御し、かつ板厚15mm以降、熱間圧延終了直前パスまでの段階における材料温度を250〜380℃の範囲内に制御し、さらに熱間圧延終了温度を180〜350℃の範囲内に制御し、続いて熱間圧延終了直後の材料温度から100℃までの平均冷却速度を100℃/hr以下に制御することを特徴とする、成形加工用アルミニウム合金板向け熱間圧延板の製造方法。
  7. 請求項4に記載の成形加工用アルミニウム合金板向け熱間圧延板を製造するにあたり、
    鋳造過程における液相から固相までの凝固時の平均冷却速度を、スラブ表面で2℃/min以上、スラブ厚さ方向中央部で0.1℃/min以上に制御するとともに、凝固終了後550〜350℃の温度範囲における平均冷却速度を、スラブ表面で10℃/min以上、スラブ厚さ方向中央部で3℃/min以上に制御して鋳造スラブを得、さらにその鋳造スラブを300〜450℃の範囲内の温度に加熱して熱間圧延を開始し、熱間圧延中途の板厚150〜15mmの段階における材料温度を270〜400℃の範囲内に制御し、かつ板厚15mm以降、熱間圧延終了直前パスまでの段階における材料温度を250〜380℃の範囲内に制御し、さらに熱間圧延終了温度を180〜350℃の範囲内に制御し、続いて熱間圧延終了直後の材料温度から100℃までの平均冷却速度を100℃/hr以下に制御することを特徴とする、成形加工用アルミニウム合金板向け熱間圧延板の製造方法。
  8. 請求項1もしくは請求項2に記載の成形加工用アルミニウム合金板を製造するにあたって、
    素材合金の鋳造に際し、鋳造過程における液相から固相までの凝固時の平均冷却速度を、スラブ表面で2℃/min以上、スラブ厚さ方向中央部で0.1℃/min以上に制御するとともに、凝固終了後550〜350℃の温度範囲における平均冷却速度を、スラブ表面で10℃/min以上、スラブ厚さ方向中央部で3℃/min以上に制御して鋳造スラブを得、さらにその鋳造スラブを300〜450℃の範囲内の温度に加熱して熱間圧延を開始し、熱間圧延中途の板厚150〜15mmの段階における材料温度を270〜400℃の範囲内に制御し、かつ板厚15mm以降、熱間圧延終了直前パスまでの段階における材料温度を250〜380℃の範囲内に制御し、さらに熱間圧延終了温度を180〜350℃の範囲内に制御し、続いて熱間圧延終了直後の材料温度から100℃までの平均冷却速度を100℃/hr以下に制御し、得られた熱間圧延板に対して、圧延率30%以上の冷間圧延を施して所要の板厚とした後、480℃以上の温度で溶体化処理を行なってから直ちに100℃/min以上の平均冷却速度で50℃以上150℃未満の温度域まで冷却し、続いてその温度域内で安定化処理を行なうことを特徴とする、成形加工用アルミニウム合金板の製造方法。
  9. 請求項8に記載のアルミニウム合金板の製造方法において、
    前記安定化処理の後、170〜280℃の範囲内の温度で復元処理を行なうことを特徴とする、成形加工用アルミニウム合金板の製造方法。
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