JP4200082B2 - 成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、自動車ボディシートやそのほか各種自動車部品、各種機械器具、家電製品やその部品等の素材として、成形加工および塗装焼付を施して使用されるAl−Mg−Si系のアルミニウム合金板およびその製造方法に関するものであり、成形性、特にヘム曲げ性が良好であるとともに、塗装焼付後の強度が高く、かつ室温での経時変化が少ない成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法に関するものである。
従来自動車のボディシートとしては、主として冷延鋼板を使用することが多かったが、最近では車体軽量化等の観点から、アルミニウム合金圧延板を使用することが多くなっている。ところで自動車のボディシートはプレス加工を施して使用するところから、成形加工性が優れていること、また成形加工時におけるリューダースマークが発生しないことが要求され、また高強度を有することも必須であって、塗装焼付を施して使用するのが通常であるため、塗装焼付後に高強度が得られることが要求される。そしてまた成形性が良好であることが要求されるのはもちろんであるが、自動車用ボディシートとしては、アウターパネルとインナーパネルとを接合して一体化させるためなどにヘム曲げ加工を施して使用することが多いところから、成形性のうちでも特にヘム曲げ性が優れていることが強く要求される。
従来このような自動車用ボディシート向けのアルミニウム合金としては、Al−Mg系合金のほか、時効性を有するAl−Mg−Si系合金が主として使用されている。この時効性Al−Mg−Si系合金は、塗装焼付前の成形加工時においては比較的強度が低くて成形性が優れている一方、塗装焼付時の加熱によって時効されて塗装焼付後の強度が高くなる利点を有するほか、リューダースマークが発生しない等の利点を有する。
なお、ヘム曲げ性などの曲げ加工性向上に関する従来技術としては、MgSi化合物の粒径と数、あるいは粒界析出物、第2相粒子の分散密度などを制御する特許文献1、特許文献2の技術、また結晶粒界の方位差が15°以下あるいは20°以下の結晶粒界の割合を規制する特許文献3、特許文献4の技術、さらに集合組織の{200}面あるいは{400}面の積分強度を規制する特許文献5、特許文献6等がある。また本発明者等も既に特許文献7に示される提案を行なっている。
特開2003−105471 特開2003−268472 特開2003−171726 特開2003−166029 特開2003−226926 特開2003−226927 特開2003−268475
前述のような自動車用ボディシート向けの時効性Al−Mg−Si系合金板についての従来の製造方法により得られた板では、最近の自動車用ボディシートに要求される特性を充分に満足させることは困難であった。
すなわち、最近ではコストの一層の低減や自動車車体の軽量化等のために、自動車用ボディシートについてさらに薄肉化することが強く要求されており、そのため薄肉でも充分な強度が得られるように、一層の高強度化が求められると同時に、成形性、特にヘム曲げ性の改善が強く要求されているが、これらの性能をバランスよく満足させる点について従来の一般的な製造方法によって得られたAl−Mg−Si系合金板では不充分であった。特にヘム曲げ加工は、曲げ内径が1mm以下の180°曲げという過酷な曲げ加工であるため、良好なヘム曲げ性と強度とを両立させることが困難であるという問題があった。
また塗装焼付については、省エネルギおよび生産性の向上、さらには高温に曝されることが好ましくない樹脂等の材料との併用などの点から、従来よりも焼付温度を低温化し、また焼付時間も短時間化する傾向が強まっている。しかしながら従来の一般的な製法により得られた時効性Al−Mg−Si系合金板の場合、低温・短時間の塗装焼付処理では、塗装焼付時の硬化(焼付硬化)が不足し、塗装焼付後に充分な高強度が得難くなる問題があった。
ここで、従来の一般的な製法により得られた時効性Al−Mg−Si系合金板では、塗装焼付後に高強度を得るために焼付硬化性を高めようとすれば、素材の延性と曲げ加工性(特にヘム曲げ性)が低下し、また板製造後に室温に放置した場合に自然時効により硬化が生じやすくなり、そのため成形性、特にヘム曲げ性が阻害されがちとなるという問題が生じている。
また前記各特許文献のうち、特許文献1、特許文献2では、化合物分散状態、特にMgSiの粒径と数、あるいは粒界析出物、第2相粒子の分散状態などを規制することにより曲げ加工性などを改善することが提案されているが、その効果は未だ充分ではなかった。
一方特許文献3、特許文献4においては、結晶粒間の方位差が15°以下あるいは20°以下である結晶粒界の割合を規制することにより曲げ加工性などを改善することが提案されており、確かにこの方法では、曲げ加工性についてある程度の改善効果が図られるが、本発明者らが実験・検討を重ねた結果、結晶粒間の方位差が15°以下あるいは20°以下である結晶粒界の割合が20%を越えても、圧延板のあらゆる方向の曲げ性がすべて改善されるわけではないことが判明した。例えば、圧延方向に対し平行な方向、あるいは圧延方向に対し直交する方向の曲げ性の改善が図られても、圧延方向に対し45°をなす方向の曲げ性は改善されず、所謂、曲げ異方性という問題が生じてしまうことが判明した。
さらに特許文献5、特許文献6においては、圧延集合組織制御として、{200}面と{400}面の積分強度を規制してフラットヘム加工性を改善することが提案されており、また本願出願人等による特許文献7では、キューブ方位密度、ND回転キューブ方位密度と耳率を規制してヘム曲げ性を改善することを提案している。これらの方法でも確かに曲げ性の一定の改善効果が得られるが、本発明者等がさらに実験・検討を重ねた結果、これらの方法では、ヘム曲げ性は改善されても、深絞り性の指標とされるランクフォード値(r値;塑性ひずみ値)が板面内各方向で不均一となるという異方性(以下このような塑性ひずみ値についての板面内での異方性を“面内異方性”と称することとする)が顕著となり、その結果プレス成形性が低下するおそれがあることが判明した。このような面内異方性の問題は、特許文献5〜7では全く考慮されていなかったが、自動車用ボディシート等においては、ヘム曲げ性で代表される曲げ加工性が良好であっても、深絞りを伴なうプレス加工における加工性が低下すれば、加工用素材としての価値が低くなり、したがって面内異方性を小さくすることも自動車用ボディシート等においては極めて重要である。
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、焼付硬化性が優れていて、塗装焼付時における強度上昇が大きく、しかも板製造後の室温での経時的な変化が少なくて、長期間放置した場合でも自然時効による硬化に起因する成形性の低下も少なく、さらには良好な成形加工性、特に良好な曲げ加工性を有すると同時に、曲げ異方性、および面内異方性も少ない成形加工用アルミニウム合金板を、量産的規模で確実かつ安定して製造し得る方法を提供することを目的とするものである。
前述のような課題を解決するべく本発明者等が種々実験・検討を重ねた結果、Al−Mg−Si系合金の成分組成を適切に調整するばかりでなく、結晶組織として、特定の方位、特にキューブ方位(立方体方位)の結晶方位密度を高めると同時にそのキューブ方位密度分布を板厚方向に適切に規制し、しかもキューブ方位周辺の結晶方位、特に圧延方向軸(RD軸)、板面法線軸(ND軸)を基準に小角度回転させた方位の結晶方位密度を適切に規制することによって、曲げ加工性、特にヘム曲げ性を向上させ得ると同時に、その異方性(曲げ異方性)を小さくすることができ、また良好な焼付硬化性、室温での経時変化性を得ることができるばかりでなく、特に面内異方性を小さくして良好なプレス加工性を得ることができることを見出した。そしてまたこのような優れた性能を有する成形加工用アルミニウム合金板を、量産的規模で安定して製造し得るプロセス条件を見出し、この発明をなすに至ったのである。
具体的には、請求項1の発明の成形加工用アルミニウム合金板は、Mg0.3〜1.5%、Si0.3〜2.0%を含有し、かつMn0.03〜0.4%、Cr0.01〜0.4%、Fe0.03〜0.5%、Ti0.005〜0.2%、Zn0.03〜2.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、さらにCuが2.0%以下に規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりなる合金が素材とされ、板表面のキューブ方位密度をC、板表面から板厚方向に板厚の1/10の位置におけるキューブ方位密度をC1/10、板表面から板厚方向に板厚の3/10の位置におけるキューブ方位密度をC3/10、板表面から板厚方向に板厚の1/2の位置におけるキューブ方位密度をC1/2として、次の(1)〜(3)式
<C1/10 ・・・(1)
3/10>C1/2 ・・・(2)
20<{(C+C1/10+C3/10+C1/2)/4}<200 ・・・(3)
を満たし、かつ板表面から板厚の1/10の位置において圧延方向軸RDを基準としてキューブ理想方位を5°回転させた結晶方位密度が、同じ位置において板面法線軸NDを基準としてキューブ理想方位を5°回転させた結晶方位の方位密度よりも高く、さらに0°、90°耳率が5%以上で、しかも圧延方向と平行な方向のランクフォード値をr、板面内において圧延方向に対し45°をなす方向のランクフォード値をr45、板面内において圧延方向に対し直交する方向のランクフォード値をr90として、次の(4)式により規定されるΔr値
Δr=(r+r90)/2−r45 ・・・(4)
が1.2未満であり、さらに導電率が54%IACS以下であることを特徴とするものである。
また請求項2の発明の成形加工用アルミニウム合金板は、請求項1に記載の成形加工用アルミニウム合金板において、隣接粒界の角度が5°以上の結晶粒の粒度がASTMナンバーで3.5以上であることを特徴とするものである。
さらに請求項3の発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法は、請求項1もしくは請求項2に記載の成形加工用アルミニウム合金板を製造する方法において、Mg0.3〜1.5%、Si0.3〜2.0%を含有し、かつMn0.03〜0.4%、Cr0.01〜0.4%、Fe0.03〜0.5%、Ti0.005〜0.2%、Zn0.03〜2.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、さらにCuが2.0%以下に規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりなる合金の鋳塊に対して、490〜590℃の範囲内の温度で均質化処理を行なって、450℃以下の温度に平均冷却速度3℃/min以上で冷却し、その後熱間圧延を行なうにあたり、
(1)熱間圧延温度を300〜450℃の範囲内、
(2)1パス当りの最大圧下量を80mm以下、
(3)各パスの歪み速度を350/秒以下、
(4)熱間圧延中途の板厚が50mmの段階から熱間圧延終了直前までの段階の熱間圧延板の温度を200〜400℃の範囲内、
(5)熱間圧延終了温度を180〜330℃の範囲内、
(6)熱間圧延終了温度から100℃までの平均冷却速度を5℃/min以下、
にそれぞれ制御し、熱間圧延終了後、熱間圧延板に対し圧延率30%以上の冷間圧延を施して製品板厚とし、さらに480℃以上の温度で溶体化処理を行ない、直ちに100℃/min以上の平均冷却速度で50℃以上150℃未満の温度域まで冷却し、続いてその温度域内で1時間以上の安定化処理を行なうことを特徴とするものである。
さらにまた請求項4の発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法は、請求項3に記載の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法において、前記安定化処理の後、さらに最終熱処理として、100℃/min以上の加熱速度で170〜280℃の範囲内の温度に加熱して、5分以内の保持を行なった後、100℃/min以上の冷却速度で100℃以下に冷却する熱処理を行なうことを特徴とするものである。
なおこの発明においてキューブ方位密度とは、キューブ理想方位である(100)<001>方位の結晶方位密度を意味する。すなわち、一般の工業用材料では、上記のキューブ理想方位を中心に15°まで回転させた範囲内の結晶方位密度をキューブ方位密度と称することが多いが、この発明では上述のようにキューブ理想方位の方位密度と、そのキューブ理想方位の周辺方位の方位密度(圧延方向軸RDを基準としてキューブ理想方位を10°回転させた結晶方位の方位密度、および板面法線軸NDを基準としてキューブ理想方位を10°回転させた結晶方位の方位密度)とを明確に区別するため、キューブ理想方位の方位密度をもってキューブ方位密度と称することとしている。
またこの発明において、キューブ方位密度の数値(式(3)の右辺、左辺の数値)は、ランダム方位試料に対する倍数であらわしている。
この発明の成形加工用アルミニウム合金板は、成形性、特にヘム曲げ性が優れていると同時に、曲げ異方性、面内異方性も少なく、さらには塗装焼付硬化性が良好で塗装焼付後の強度が高く、また室温での経時変化も少なく、したがってプレス加工やヘム曲げ加工の後に塗装を施して使用される自動車用ボディシート等に最適である。またこの発明の製造方法によれば、上述のように優れた性能を有する成形加工用アルミニウム合金板を、量産的規模で確実かつ安定して得ることができる。
先ずこの発明の成形加工用アルミニウム合金板における成分組成の限定理由について説明する。
Mg:
Mgはこの発明で対象としている系の合金で基本となる合金元素であって、Siと共同して強度向上に寄与する。Mg量が0.3%未満では塗装焼付時に析出硬化によって強度向上に寄与するG.P.ゾーンの生成量が少なくなるため、充分な強度向上が得られず、一方1.5%を越えれば、粗大なMg−Si系の金属間化合物が生成され、キューブ方位密度を高めるために不利となり、成形性、特に曲げ加工性が低下するから、Mg量は0.3〜1.5%の範囲内とした。なお成形性、特に曲げ加工性をより重視する場合は、Mg量は0.3〜0.9%の範囲内が好ましい。
Si:
Siもこの発明の系の合金で基本となる合金元素であって、Mgと共同して強度向上に寄与する。またSiは、鋳造時に金属Siの晶出物として生成され、その金属Si粒子の周囲が加工によって変形されて、溶体化処理の際に再結晶核の生成サイトとなるため、再結晶組織の微細化にも寄与する。Si量が0.3%未満では上記の効果が充分に得られず、一方2.0%を越えれば粗大なSi粒子や粗大なMg−Si系の金属間化合物が生じてキューブ方位密度を高めるために不利となり、成形性、特に曲げ加工性の低下を招く。したがってSi量は0.3〜2.0%の範囲内とした。なお特に強度と曲げ加工性とのバランスを重視する場合は、Si量は0.5〜1.3%の範囲内が好ましい。
Mn、Cr、Fe、Ti、Zn:
これらの元素は、強度向上や結晶粒微細化、あるいは時効性の向上や表面処理性の向上に有効であり、いずれか1種または2種以上を添加する。これらのうちMn、Crは強度向上と結晶粒の微細化および組織の安定化に効果がある元素であるが、Mnの含有量が0.03%未満、もしくはCrの含有量が0.01%未満では、上記の効果が充分に得られず、一方Mn、Crの含有量がそれぞれ0.4%を越えれば、上記の効果が飽和するばかりでなく、多数の金属間化合物が生成されて成形性、特にヘム曲げ性に悪影響を及ぼすおそれがあり、したがってMnは0.03〜0.4%の範囲内、Crは0.01〜0.4%の範囲内とした。またFeも強度向上と結晶粒微細化に有効な元素であるが、その含有量が0.03%未満では充分な効果が得られず、一方0.5%を越えれば、キューブ方位密度を高める上において不利となって、成形性、特に曲げ加工性が低下するおそれがあり、したがってFe量は0.03〜0.5%の範囲内とした。さらにTiも強度向上と鋳塊組織の微細化に有効な元素であるが、その含有量が0.005%未満では充分な効果が得られず、一方0.2%を越えればTi添加の効果が飽和するばかりでなく、粗大な晶出物が生じるおそれがあるから、Ti量は0.005〜0.2%の範囲内とした。またZnは時効性向上を通じて強度向上に寄与するとともに表面処理性の向上に有効な元素であるが、Znの添加量が0.03%未満では上記の効果が充分に得られず、一方2.5%を越えれば成形性が低下するから、Zn量は0.03〜2.5%の範囲内とした。
Cu:
Cuは強度向上および成形性向上のために添加されることがある元素であるが、その量が2.0%を越えれば耐食性(耐粒界腐食性、耐糸錆性)が劣化するから、Cuの含有量は2.0%以下に規制することとした。なお、より耐食性の改善を図りたい場合はCu量は1.0%以下が好ましく、さらに特に耐食性を重視する場合は、Cu量は0.05%以下に規制することが望ましい。
以上の各元素のほかは、基本的にはAlおよび不可避的不純物とすれば良い。
なお上記のMn、Cr、Fe、Ti、Znの含有量範囲は、それぞれ積極的に添加する場合の範囲として示したものであり、いずれも下限値より少ない量を不純物として含有する場合を排除するものではない。特に0.03%未満のFeは、通常のアルミ地金を用いれば不可避的に含有されるのが通常である。
また時効性Al−Mg−Si系合金においては、高温時効促進元素あるいは室温時効抑制元素であるAg、In、Cd、Be、あるいはSnを微量添加することがあるが、この発明の場合も微量添加であればこれらの元素の添加も許容され、それぞれ0.3%以下であれば特に所期の目的を損なうことはない。
なおまた、一般のAl合金においては、鋳塊組織の微細化のために前述のTiと同時にBを添加することもあり、この発明の場合もTiとともに500ppm以下のBを添加することは許容される。
さらにこの発明の成形加工用アルミニウム合金板において、良好な曲げ加工性、特に良好なヘム曲げ性を得ると同時に、曲げ異方性、面内異方性を小さく抑制するためには、合金の成分組成を前述のように調整するばかりではなく、板の集合組織、特に結晶方位密度を適切に制御することが極めて重要である。
すなわちこの発明において、結晶方位密度を規制しているのは、粒界の性質(小角か大角か)を制御するためだけではなく、アルミニウム合金の塑性変形に伴う結晶のすべり変形全体を制御することを主目的としている。そして特に曲げ加工中に交差すべりが生じやすいような結晶方位の集積度を高めることが極めて重要であり、そのようにすることによって、加工による転位密度の増加を抑えて、加工硬化を抑制することが可能となるのである。さらにその結果、ヘム曲げ加工の際において、加工硬化の抑制により割れ限界強度に達するまで材料の大歪変形が可能となる。ここで、すべり変形挙動を、比較的ランダムな結晶方位を有する従来の材料、言い換えれば比較的交差すべりが生じ難い従来材料と大きく異ならしめるためには、結晶方位の集積が必要である。一方実際の材料では、種々の結晶方位が存在するが、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、種々の結晶方位のうちでも特にキューブ方位の方位密度、すなわちキューブ方位の理想方位である(001)<100>方位の方位密度を高めることによって、すべり変形挙動を、従来材料とは大きく異ならしめることができることを見出した。すなわち、キューブ方位密度を高めることによって、加工変形中における交差すべりが活発となり、加工硬化が抑制され、曲げ加工性が改善されるのである。
ここで、単純にキューブ方位密度を高めるだけでは、むしろ曲げ異方性、面内異方性が顕著となって材料特性のバランスが低下するおそれがある。そこで本発明者等がさらに実験・検討を重ねたところ、キューブ方位密度を単純に高めるのではなく、板厚方向におけるキューブ方位密度分布を適切に規制することによって、曲げ加工性を向上させると同時に、曲げ異方性および面内異方性の両者を確実かつ安定して小さくし得ることを見出した。
すなわち、板表面の位置におけるキューブ方位密度をC、板表面から板厚方向に板厚の1/10の位置におけるキューブ方位密度をC1/10、板表面から板厚方向に板厚の3/10の位置におけるキューブ方位密度をC3/10、板表面から板厚方向に板厚の1/2の位置におけるキューブ方位密度をC1/2とすれば、次の(1)〜(3)式
<C1/10 ・・・(1)
3/10>C1/2 ・・・(2)
20<{(C+C1/10+C3/10+C1/2)/4}<200 ・・・(3)
を満たすことによって、曲げ加工性を向上させると同時に曲げ異方性、面内異方性の両者を確実に小さくし得るのであり、そこでこれらの(1)〜(3)式を規定した。
ここで(1)式は、板表面のキューブ方位密度よりも板表面から板厚の1/10の位置のキューブ方位密度が高いことを意味し、また(2)式は板表面から板厚の3/10の位置のキューブ方位密度よりも板表面から板厚の1/2の位置のキューブ方位密度が低いことを意味し、したがってこれらの(1)式、(2)式は、板表面側および板厚方向中心部側よりもその中間部分の方がキューブ方位密度が高いことを意味する。また(3)式は、板厚方向の平均キューブ方位密度がランダム方位試料の20倍を越え、200倍未満であることを意味する。これらの(1)〜(3)式が満たされない場合には、曲げ加工性、曲げ異方性、面内異方性のいずれかが悪くなって、バランスの良い材料が得られなくなる。
さらに、曲げ異方性を改善するためには、圧延方向と平行な方向(0°方向)、板面内において圧延方向に対し直交する方向(90°方向)の曲げ加工性を低下させることなく、特に圧延方向に対して板面内で45°の方向の曲げ性を向上させることが必要であり、そのためには、板表面から板厚方向に板厚の1/10の位置において、キューブ理想方位(001)<100>から圧延方向軸(RD軸)を基準として5°回転させた方位(以下“RD5方位”と記す)の方位密度が、同じくキューブ理想方位から板面法線軸(ND軸)を基準として5°回転させた方位(以下“ND5方位”と記す)の方位密度よりも高いことが必要である。すなわち板表面から板厚の1/10の位置において、
RD5方位密度>ND5方位密度
となることが必要である。
ここで、既に述べたように一般的に実用的な工業材料においては、ある結晶方位の方位密度を表わす場合、理想方位に対して15°回転した方位まで含めてその方位の方位密度と称することが多く、キューブ方位の方位密度の場合も、キューブ理想方位(001)<100>から15°までずれる方位を含ませることが多いが、本発明者らはこのようなキューブ理想方位から15°以内の範囲内でずれた方位について、曲げ性に及ぼす影響を詳細に検討した結果、板表面から板厚の1/10の位置においてRD5方位密度をND5方位密度より高くすることにより、圧延方向と平行な方向(0°方向)、あるいは圧延方向に対し直交する方向(90°方向)の曲げ性を低下させることなく、圧延方向に対し45°をなす方向(45°方向)の曲げ性を改善して、曲げ異方性をより小さくし得ることを見出し、上記の条件を規定した。
さらにこの発明による成形加工用アルミニウム合金板では、板全体にわたって0°耳、90°耳の耳率が5%以上であることも重要である。すなわち、前述のようにこの発明では良好な曲げ加工性を確保しかつ曲げ異方性、面内異方性を抑制するためにキューブ方位密度およびその周辺方位密度(RD5方位密度、ND5方位密度)を規定しているが、それ以外の結晶方位の方位密度もある程度は曲げ加工性に影響を与える。しかしながら実際上は、これらの方位以外のすべての結晶方位の方位密度を厳密に規定することは困難である。一方、板のカッピング試験で絞ったカップの耳率によれば、材料の結晶方位をマクロ的に評価することができる。そこでこの発明では、キューブ方位やその周辺方位以外の結晶方位の方位密度の影響を、0°耳、90°耳で評価、規制することとした。具体的には、圧延方向を基準にカップの0°、90°耳率が5%未満では、たとえ前述のキューブ方位密度およびその周辺方位密度の条件が満足されていても、良好な曲げ加工性、曲げ異方性、面内異方性が得られないおそれがある。そこでこの発明では耳率に関して前述のように規制することとした。なお0°、90°耳率は、上記の範囲内でも特に10%以上が望ましい。
そしてまたこの発明の成形加工用アルミニウム合金板においては、面内異方性の指標として、製品板のランクフォード値(r値)の異方性(Δr値)を規定している。すなわち圧延方向と平行な方向のランクフォード値をr、板面内において圧延方向に対し45°をなす方向のランクフォード値をr45、板面内において圧延方向に対し直交する方向のランクフォード値をr90として、次の(4)式により規定されるΔr値が、
Δr=(r+r90)/2−r45 ・・・(4)
であることを規定している。すなわちΔr<1.2であることが必要である。このようにΔr値<1.2を規定した理由は次の通りである。
(4)式で表わされるΔr値は、塑性ひずみ値(r値)の板面内各方向でのばらつき、すなわち面内異方性を表わす指標であって、Δr値が大き過ぎれば、面内異方性が強くなり、プレス加工などの深絞り時において板面内各方向での塑性変形に差が生じて、プレス加工性などが低下するおそれがあり、材料の特性バランスにとっては好ましくない。ここで、r値は材料の結晶方位と密接な関係があり、r値の板面内での異方性を表わすΔr値も、材料の結晶方位と密接な関係がある。しかしながらあらゆる方位密度をすべて細かく規定することが現実に非常に困難である以上、Δr値を適切に制御することも重要となる。そしてΔr値が1.2以上となれば、たとえ前述のようなキューブ方位密度の条件、その周辺方位密度(RD5、ND5)の条件、あるいは耳率の規定が満足されていても、良好なプレス成形性などが得られないおそれがあることが本発明者等の実験・検討によって見出された。そこでこの発明ではΔr<1.2の条件を規定したのである。
また以上のほか、この発明による成形加工用アルミニウム合金板では、導電率が54%IACS以下であることも必要である。すなわち、導電率は固溶元素の固溶量の指標となり、したがって導電率は焼付硬化性に影響を与える。ここで導電率が54%IACSを越えれば、固溶しているMgとSiの量が少なくないため、時効析出硬化量が充分に得られず、塗装焼付後に充分な高強度が得難くなるから、導電率が54%IACS以下であることを規定した。なお導電率の下限は特に規制しないが、通常この系の合金では、導電率を40%IACS以下としても、塗装焼付硬化性の効果が飽和し、また工業的にこれを実現するには困難となる。
さらにこの発明の成形加工用アルミニウム合金板においては、隣接粒界の角度(方位差)が5°以上の結晶粒について、その結晶粒サイズがASTMナンバーで3.5以上であることを規定している。すなわち、隣接粒界における方位差が5°未満である場合にその粒界を無視して同一の結晶粒が続いているとみなしたときの結晶粒の平均粒径がASTMナンバーで3.5以上であることを規定している。このように規定した理由は次の通りである。
曲げ加工性の向上、プレス成形時の肌荒れ(外観欠陥)を防止するためには、結晶粒度を細かくする必要があることが知られているが、ここで一般的にいう結晶粒度は、隣接粒界角度15°以上の結晶粒をさすのが通常である。しかるに本発明者等が実験・検討を重ねた結果、隣接粒界15°以上の結晶粒にこだわらず、隣接粒界の角度5°以上の結晶粒の粒度についてASTMナンバー3.5以上にすれば、曲げ加工性の向上や肌荒れ(外観欠陥)を防止する効果があることを見出し、その条件を規定したのである。
次にこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法について説明する。
先ず前述のような成分組成の合金を常法に従って溶製し、DC鋳造法等の通常の鋳造法によって鋳造する。
得られた鋳塊に対しては、490〜590℃の範囲内の温度で均質化処理を行なった後、450℃以下の温度域まで3℃/min以上の冷却速度で冷却する。このように均質化処理条件およびその後の冷却条件を規定した理由は次の通りである。
すなわち均質化処理は、鋳塊の添加元素の偏析を除去したり、鋳塊のセル・結晶粒の境界に存在する粗大な第2相粒子、晶出物などを母相に固溶させる効果があり、製品板の性能のばらつきの低減、さらには熱間圧延工程、冷延工程、溶体化工程と有機的に結び付けて所要の結晶方位を得るにも重要な工程である。この均質化処理の温度が490℃未満では、上述の効果が不充分であり、一方590℃を越えれば、共晶融解のおそれがあるため、均質化処理温度は490〜590℃の範囲内とした。
また均質化処理後、450℃以下の温度域まで3℃/min以上の冷却速度で冷却することは、高い焼付け硬化性を得るために不可欠である。450℃以下の温度域への冷却速度が3℃/minより遅ければ、冷却過程において析出物の粗大化が起こり、その後の450℃以下で開始される熱間圧延では、その粗大化の解消にならず、それに伴ない、熱間圧延−冷間圧延後の短時間の溶体化処理工程では、充分なMgとSiの固溶量を確保できず、その結果高い焼付け硬化性を得ることが困難となる。
上述のように均質化処理後に450℃以下の温度域に3℃/min以上で冷却した後には、後述するように300〜450℃の範囲内の温度で熱間圧延を開始するが、この場合、均質化処理後300〜450℃の温度範囲内まで3℃/min以上の冷却速度で冷却して、直ちにその300〜450℃の温度範囲内で熱間圧延を開始しても、あるいは均質化処理後に300℃以下まで3℃/min以上の冷却速度で冷却した後、改めて300〜450℃の範囲内の温度に予備加熱して、その温度範囲内で熱間圧延を開始しても良く、これらのいずれを選択しても特に性能面に影響はない。
なお均質化処理後の鋳塊の組織は可及的に微細であることが望ましく、具体的には鋳塊結晶粒度がASTMナンバー00以上であることが望ましい。すなわち、鋳塊組織の微細化は、製品板の成形時における板表面の筋状の外観欠陥(リジング)の発生防止、すなわち耐リジング性の改善に有効であり、そのためには鋳塊組織微細化剤として既に述べたように、Ti、もしくはTiおよびBを添加しておくことが望ましい。
均質化処理後には、前述のように熱間圧延を行なうが、この熱間圧延は、次の(1)〜(6)の条件を満たすように行なう必要がある。
(1)熱間圧延温度を300〜450℃の範囲内の温度
(2)1パス当りの最大圧下量を80mm以下
(3)各パスの歪み速度を350/秒以下
(4)熱間圧延中途の板厚が50mmの段階から熱間圧延終了直前(具体的には熱間圧延最終パスの入口)までの段階の熱間圧延板の温度を200〜400℃の範囲内
(5)熱間圧延終了温度を180〜330℃の範囲内
(6)熱間圧延終了温度から100℃までの平均冷却速度を5℃/min以下
これらの熱間圧延条件を規定した理由は次の通りである。
すなわち先ず(1)の条件、すなわち熱間圧延開始温度を300〜450℃の範囲内とすることは、熱間圧延中の材料の再結晶を抑制して、所要の結晶方位密度を得ると同時に、耐リジング性の改善を図るために不可欠な条件である。熱間圧延開始温度が300℃以下では、熱間圧延自体が困難となり、一方450℃を越える高温で熱間圧延を開始すれば、耐リジング性の改善が得られなくなるから、熱間圧延開始温度は300〜450℃の範囲内とした。
さらに前記(2)〜(6)の条件、すなわち1パス当りの最大圧下量を80mm以下とし、各パスの歪み速度を350/秒以下とし、熱間圧延中途で板厚が50mm以下となる段階での熱間圧延板の温度を200〜400℃の範囲内に制御し、熱間圧延終了温度を180〜330℃の範囲内に制御し、さらに熱間圧延終了温度から100℃までの平均冷却速度を5℃/min以下にすることも、結晶方位密度の適切な制御とリジング性の改善に必要である。すなわち本発明者等が実験・検討を重ねた結果、熱間圧延の開始温度の制御だけでは、結晶方位密度の適切な制御とリジング性の改善が図れないことが判明した。そしてさらに鋭意実験・検討を重ねたところ、熱間圧延過程の再結晶を抑制して所要の結晶方位密度を得るとともに耐リジング性の改善を図るためには、熱間圧延開始温度のほかに、各パスの最大圧下量、各パスの歪み速度、板厚50mmから熱間圧延終了直前までの段階での熱間圧延板の温度、さらには熱間圧延終了温度も適切に規制する必要があることを見出し、また板厚方向に所定の結晶方位密度分布を安定的に得るためには、熱間圧延終了温度からその後の100℃までの平均冷却速度を5℃/min以下にする必要があることを見出し、これらの(2)〜(6)の条件を規定したのである。これらの(2)〜(6)の条件のいずれかが満たされなければ、所要の結晶方位密度条件が満たされなくなるかまたは耐リジング性の充分な改善を図ることが困難となる。
なおここで、均質化処理後の鋳塊の結晶粒サイズをASTMナンバー00以上にすることと、上述のような熱間圧延条件(1)〜(6)とが有機的に結びついて初めて耐リジング性の改善に大きな効果を得ることができる。
上述のようにして熱間圧延を行なってコイルに巻取った後には、中間焼鈍を行なわずに圧延率30%以上で冷間圧延を施して所要の板厚(製品板厚)とする。このように30%以上の圧延率で冷間圧延することにより、既に述べたような結晶方位密度条件を有する製品板を得ることができる。またここで、冷間圧延率を30%以上にすることによって、材料に高い歪みエネルギーが蓄積され、熱間圧延後の溶体化処理−焼入れ時に形成された結晶粒が細かくなって、成形加工後に良好な表面外観品質を得ることが可能となる。冷間圧延率が30%未満では、成形時に肌荒れ等の表面欠陥が発生するおそれがある。なお特に外観品質を重視する場合には、冷間圧延率は50%以上とすることが好ましい。
上述のようにして所要の製品板厚とした後には、480℃以上の温度で溶体化処理を行なう。この溶体化処理は、MgSi、単体Si等をマトリックスに固溶させ、これにより焼付硬化性を付与して塗装焼付後の強度向上を図るために重要な工程である。またこの工程は、MgSi、単体Si粒子等の固溶により第二相粒子の分布密度を低下させて、延性と曲げ性を向上させるためにも寄与し、さらには再結晶により最終的に所要の結晶方位を得て、良好な成形性(曲げ加工性、曲げ異方性、面内異方性)を得るためにも重要な工程である。
溶体化処理温度が480℃未満の場合、室温での経時変化の抑制に対しては有利と考えられるが、その場合MgSi、Siなどの固溶量が少なくなって、充分な焼付硬化性が得られなくなるばかりでなく、延性と曲げ性も著しく悪化するから、溶体化処理温度は480℃以上とする必要がある。なお特に溶体化効果を重視する場合は、溶体化処理温度は500℃以上とすることが好ましい。一方溶体化処理温度の上限は特に規定しないが、共晶融解の発生のおそれや再結晶粒粗大化等を考慮して、通常は580℃以下とすることが望ましい。また溶体化処理の時間は特に規制しないが、通常は5分を越えれば溶体化効果が飽和し、経済性を損なうばかりではなく、結晶粒の粗大化のおそれもあるから、溶体化処理の時間は5分以内が望ましい。
溶体化処理後には、100℃/min以上の冷却速度で、50℃以上150℃未満の温度域まで冷却(焼入れ)する。ここで、溶体化処理後の冷却速度が100℃/min未満では、冷却中にMgSiあるいは単体Siが粒界に多量に析出してしまい、成形性、特にヘム曲げ性が低下すると同時に、焼付硬化性が低下して塗装焼付時の充分な強度向上が望めなくなる。
上述のように480℃以上の温度での溶体化処理を行なって100℃/min以上の冷却速度で50℃以上150℃未満の温度域内まで冷却(焼入れ)した後には、50℃未満の温度域(室温)まで温度降下しないうちに、この温度範囲内(50〜150℃未満)で1時間以上の安定化処理を行なう。この安定化処理は、50〜150℃未満の温度範囲内の一定温度で1時間以上保持しても、あるいはその温度範囲内で1時間以上かけて冷却(徐冷)しても良い。
このように溶体化処理して50〜150℃未満の温度域に焼入れた後、50℃未満の温度域まで冷却することなくそのまま50〜150℃未満の温度で安定化処理を行なう理由は次の通りである。すなわち、溶体化処理後、特に100℃/min以上の平均冷却速度で50℃未満の室温に冷却した場合には、室温クラスターが生成される。この室温クラスターは強度に寄与するG.P.ゾーンに移行しにくいため、塗装焼付硬化性に不利となる。一方、溶体化処理後に150℃以上の温度範囲に冷却してそのまま保持した場合には、G.P.ゾーンあるいは安定相が生成され、成形前の素材強度が高くなり過ぎて、ヘム曲げ性とその他の成形性が劣化する。したがってヘム曲げ性、成形性と塗装焼付硬化性とのバランスの観点からは、溶体化処理−焼入れ−安定化処理が上記の条件を満たすことが好ましい。
安定化処理の後の板は、これをそのまま成形加工および塗装焼付けに供しても良いが、場合によっては塗装焼付け硬化性(ベークハード性)の一層の向上を図るため、最終熱処理を行なっても良い。この場合の最終熱処理は、100℃/min以上の加熱速度で1770〜280℃の範囲内の温度に加熱してその温度範囲内で5分以内保持した後、100℃/min以上の冷却速度で冷却する条件とする。ここで、最終熱処理の温度が170℃未満では、塗装焼付け硬化性向上の効果が得られず、一方280℃を越えれば室温経時変化が生じやすくなるとともにプレス成形性が低下する。また最終熱処理の時間が5分を越えれば、塗装焼付け硬化性向上の効果が飽和するばかりでなく、場合によっては長時間の時効によって成形前の素材強度が高くなり過ぎ、成形性が劣化する。また最終熱処理温度への加熱速度が100℃/min未満では、時効が進んで、成形性が劣化し、また冷却速度が100℃/min未満でも時効が進み、粒界析出が起こり、成形性、ヘム曲げ性が低下する。
なお安定化処理と最終熱処理の間の条件について特に規制しないが、通常は最終熱処理まで材料を室温に放置するのが通常であり、またその放置時間については、一般的な材料の室温経時変化などの要素を考慮して、1ヶ月以内とすることが好ましい。
表1に示すこの発明の成分組成範囲内の合金記号A1〜A5の合金について、それぞれ常法に従って溶製し、DC鋳造法によりスラブに鋳造し、得られたスラブに対して種々の条件で均質化処理を施した。均質化処理後は、一部のもの(製造番号2)については370℃まで冷却してから熱間圧延に供し、その他のものいついては水冷により種々の冷却速度で150℃以下まで冷却してから、2℃/hr以上の加熱速度で種々の温度に再加熱して、その温度で熱間圧延を開始した。熱間圧延では、スラブ厚(250mm以上)から、5mm(製造番号1、2、3、5、6、7)もしくは3mm(製造番号4、8、9)まで圧延した。またこの熱間圧延においては、中間板厚50mm以下の各段階の代表板厚45mm、25mmで材料温度の測定を行ない、さらに熱間圧延終了温度を測定した。熱間圧延終了後コイルに巻取り、その後、冷間圧延途中に中間焼鈍を施すことなく、1mmの板厚まで冷間圧延し、さらに溶体化処理を行なった。溶体化処理は、加熱により種々の溶体化処理温度に到達した後、保持時間なしで直ちに100℃/min以上の冷却速度で種々の温度まで冷却(焼入れ)し、引き続いて種々の安定化処理を行なった。これらの製造プロセスの詳細な条件を表2、表3の製造番号1〜9に示す。
なお表2、表3において、製造番号1〜3,8,9は、安定化処理を一定温度保持で行なったもの、一方製造番号4〜7は、安定化処理として、一定温度の保持を行なう代りに80℃から60℃までの間を冷却速度2〜15℃/hの範囲で徐冷したものである。またこれらのうち製造番号5は、安定化処理の後、さらに最終熱処理を行なったものである。
以上のようにして得られた各板について、室温に6ヶ月放置したのち、それぞれ2%ストレッチ後、170℃×20分の塗装焼付(ベーク)処理を施し、かつその焼付前の板について引張試験を行なって、面内異方性としてΔr値を調べるとともに、機械的強度として0.2%耐力値を測定した。また同じく焼付前の板について、板厚方向各位置における集合組織(結晶方位密度)を調べ、さらにカップ絞り試験による耳率と、角筒絞り高さ、導電率、結晶粒度を調べるとともに、ヘム曲げ試験によるヘム曲げ加工性評価と、ポンチ張出し試験によるリジングマーク発生評価を行なった。また塗装焼付後の板についても、引張試験を行なって、0.2%耐力を調べたこれらの結果を表4〜表6に示す。
各測定、試験の具体的手法を次に示す。
引張試験(Δr値、耐力):
板の圧延方向に対し板面内0°、45°、90°の3方向にJIS5号引張試験片を採取し、それぞれについて引張試験に供した。そして0°方向の0.2%耐力値を調べるとともに、ランクフォード値(r値)として、各方向とも伸びが7.5%となるときのr値を求め、各方向のr値(r、r45、r90)から前記(4)式に従ってΔr値を求めた。
集合組織(結晶方位密度)の測定:
厚さ1mmの板について、10%NaOH水溶液で表面から板厚中央に向けて種々の深さまでエッチングしたもの、およびエッチングしないものをそれぞれ測定サンプルとした。そして板表面のキューブ方位密度(C)、板表面から100μmの位置のキューブ方位密度(C1/10)、300μmの位置のキューブ方位密度(C3/10)、500μmの位置のキューブ方位密度(C1/2)を求めた。測定装置としては、リガク(株)のX線回折装置を用い、X線回折のシェルツ反射法により、{200}、{220}、{111}の不完全極点図を測定し、これらを元に三次元結晶方位解析(ODF)を行なって調べた。またこれらの解析においては、アルミニウム粉末から作られたランダム結晶方位を有する試料を測定して得たデータを{200}、{220}、{111}極点図の解析の際に使う規格化ファイルとし、これによりランダム方位を有する試料に対する倍数としてキューブ方位密度を求めた。なおこの発明において、結晶方位密度は全て三次元結晶方位解析(ODF)に基づくものである。なおまた、キューブ方位密度は、理想方位である{100}<001>方位の方位密度を求めた。また板表面から板厚方向に100μmの位置(板厚の1/10の位置)におけるキューブ理想方位の周辺方位密度として、その位置におけるRD5方位密度およびND5方位密度を測定した。ここでRD5方位密度、ND5方位密度は、それぞれキューブ理想方位からRD軸で5°、ND軸で5°回転した方位を示す。
耳率:
板に潤滑油を塗布した後、ポンチ径φ32mm、ブランク径φ62mm、しわ押さえ100kgの条件でカップに絞り、そのカップの耳率を調べた。なおここで耳率の方向は、圧延方向を基準にした0°方向、90°方向で示す
導電率(%IACS):
渦電流式導電率測定装置を用いて銅、黄銅を基準試料として測定を行なった。
ヘム加工性の評価:
材料の圧延方向に対して板面内0°、45°、90°三方向に曲げ試験片を採取し、10%ストレッチしてから、180°に密着曲げを行ない、目視により割れの発生の有無を観察した。ここで○印は割れ無しを、また×印は割れ有りを示す。
リジング・マークの発生評価:
直径100mmの球頭ポンチで高さ30mmまで張出成形を行ない、表面に形成される圧延方向に沿う筋(凹凸)を目視で判定した。○印は筋なしあるいは筋が弱い状態を示し、×印は筋が強い状態を示す。ここで筋が強ければ、自動車用外板の外観として不適当となる。
角頭絞り高さ:
板に防錆油を塗布した後、寸法200mm×300mm・コーナーR10mmの角頭ポンチを用いて、しわ押さえ5tonにより角頭絞り試験を行ない、成形高さ(成形性)を評価した。
最終板の結晶粒度:
板の圧延方向と平行な断面において表面から板厚中心までの領域をEBSP(Electron Backscatter Diffraction Pattern)法で500μm×500μmの大きさの視野で合計10視野の結晶粒のマッピング画像を取り、これらの画像から隣接粒界5°以上の平均結晶粒度(ASTMナンバー)を求めた。
鋳塊組織の結晶粒度:
鋳塊のボトムから300mm離れた位置で鋳塊全幅のスライス採取し、さらにそのスライスの真中部分から測定用サンプルを切出し、EBSP法で500μm×500μmの大きさの視野で合計50視野の結晶粒のマッピング画像を取り、これらの画像から隣接粒界15°以上の平均結晶粒度(ASTMナンバー)を求めた。
Figure 0004200082
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製造番号1〜5は、いずれも合金の成分組成がこの発明で規定する範囲内であって、かつ製造プロセス条件もこの発明で規定する範囲内であり、最終板の結晶方位密度条件等もすべてこの発明で規定する条件を満たしたものであるが、これらの場合は、ヘム加工性が優れ、また焼付硬化性が高く、塗装焼付時に充分な焼付硬化性を示し、さらにΔr値で表わされる面内異方性も小さく、またリジングマークの発生も認められなかった。
これに対し製造番号6〜9は、合金の成分組成はこの発明で規定する範囲内であるが、製造プロセス条件のいずれかがこの発明の範囲外であって、結晶方位密度条件等のいずれかがこの発明で規定する条件を満たさなかったものである。これらのうち、製造番号6の場合は耐リジング性が悪く、またヘム曲げ性、焼付け硬化性が劣った。製造番号7の場合はヘム曲げ性と焼付け硬化性が劣った。また製造番号8の場合はΔr値で表わされる面内異方性が大きく、角筒絞り高さが低く、さらに45°方向のヘム加工性が劣っていた。さらに製造番号9の場合は45°方向のヘム曲げ性が劣るとともに、、塗装焼付け硬化性が劣っていた。
なお以上の実施例は、この発明の効果を説明するためのものであり、実施例記載のプロセスおよび条件がこの発明の技術的範囲を制限するものではない。

Claims (4)

  1. Mg0.3〜1.5%(mass%、以下同じ)、Si0.3〜2.0%を含有し、かつMn0.03〜0.4%、Cr0.01〜0.4%、Fe0.03〜0.5%、Ti0.005〜0.2%、Zn0.03〜2.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、さらにCuが2.0%以下に規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりなる合金が素材とされ、板表面のキューブ方位密度をC、板表面から板厚方向に板厚の1/10の位置におけるキューブ方位密度をC1/10、板表面から板厚方向に板厚の3/10の位置におけるキューブ方位密度をC3/10、板表面から板厚方向に板厚の1/2の位置におけるキューブ方位密度をC1/2として、次の(1)〜(3)式
    <C1/10 ・・・(1)
    3/10>C1/2 ・・・(2)
    20<{(C+C1/10+C3/10+C1/2)/4}<200 ・・・(3)
    を満たし、かつ板表面から板厚の1/10の位置において圧延方向軸RDを基準としてキューブ理想方位を5°回転させた結晶方位密度が、同じ位置において板面法線軸NDを基準としてキューブ理想方位を5°回転させた結晶方位の方位密度よりも高く、さらに0°、90°耳率が5%以上で、しかも圧延方向と平行な方向のランクフォード値をr、板面内において圧延方向に対し45°をなす方向のランクフォード値をr45、板面内において圧延方向に対し直交する方向のランクフォード値をr90として、次の(4)式により規定されるΔr値
    Δr=(r+r90)/2−r45 ・・・(4)
    が1.2未満であり、さらに導電率が54%IACS以下であることを特徴とする、成形加工用アルミニウム合金板。
  2. 請求項1に記載の成形加工用アルミニウム合金板において、
    隣接粒界の角度が5°以上の結晶粒の粒度がASTMナンバーで3.5以上であることを特徴とする、成形加工用アルミニウム合金板。
  3. 請求項1もしくは請求項2に記載の成形加工用アルミニウム合金板を製造する方法において、
    Mg0.3〜1.5%(mass%、以下同じ)、Si0.3〜2.0%を含有し、かつMn0.03〜0.4%、Cr0.01〜0.4%、Fe0.03〜0.5%、Ti0.005〜0.2%、Zn0.03〜2.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、さらにCuが2.0%以下に規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりなる合金の鋳塊に対して、490〜590℃の範囲内の温度で均質化処理を行なって、450℃以下の温度に平均冷却速度3℃/min以上で冷却し、その後熱間圧延を行なうにあたり、
    (1)熱間圧延温度を300〜450℃の範囲内、
    (2)1パス当りの最大圧下量を80mm以下、
    (3)各パスの歪み速度を350/秒以下、
    (4)熱間圧延中途の板厚が50mmの段階から熱間圧延終了直前までの段階の熱間圧延板の温度を200〜400℃の範囲内、
    (5)熱間圧延終了温度を180〜330℃の範囲内、
    (6)熱間圧延終了温度から100℃までの平均冷却速度を5℃/min以下、
    にそれぞれ制御し、熱間圧延終了後、熱間圧延板に対し圧延率30%以上の冷間圧延を施して製品板厚とし、さらに480℃以上の温度で溶体化処理を行ない、直ちに100℃/min以上の平均冷却速度で50℃以上150℃未満の温度域まで冷却し、続いてその温度域内で1時間以上の安定化処理を行なうことを特徴とする、成形加工用アルミニウム合金板の製造方法。
  4. 請求項3に記載の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法において、
    前記安定化処理の後、さらに最終熱処理として、100℃/min以上の加熱速度で170〜280℃の範囲内の温度に加熱して、5分以内の保持を行なった後、100℃/min以上の冷却速度で100℃以下に冷却する熱処理を行なうことを特徴とする、成形加工用アルミニウム合金板の製造方法。
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