JP4634249B2 - 成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法 Download PDF

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この発明は、自動車のボディシートやボディパネルなどの自動車用の部材、部品、その他船舶、航空機等の部材、部品、さらには各種建築材料、構造材料、そのほか各種機械器具、家電製品やその部品等の素材として、成形加工および塗装焼付けを施して使用されるAl−Mg−Si系もしくはAl−Mg−Si−Cu系のアルミニウム合金板およびその製造方法に関するものであり、成形性、特にヘム加工性(ヘム曲げ性)が良好であるとともに、塗装焼付け後に適度の強度が付与され、かつ室温(常温)での経時変化が少ない成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法に関するものである。
従来自動車のボディシートとしては、主として冷延鋼板を使用することが多かったが、最近では車体軽量化等の観点から、アルミニウム合金圧延板を使用することが多くなっている。ところで自動車のボディシートはプレス加工を施して使用するところから、成形加工性が優れていること、また成形加工時におけるリューダースマークが発生しないことが要求され、また適度な強度を有することも不可欠で、塗装焼付けを施して使用するのが通常であるため、塗装焼付け後に適度な強度が得られることが要求される。そしてまた成形性が良好であることが要求されるのはもちろんであるが、自動車用ボディシートとしては、アウターパネルとインナーパネルとを接合して一体化させるためなどに、ヘム加工(曲げ加工の一種)を施して使用することが多いところから、成形性のうちでも特にヘム加工性が優れていることが強く望まれる。
従来このような自動車用ボディシート向けのアルミニウム合金としては、Al−Mg系合金のほか、時効性を有するAl−Mg−Si系合金もしくはAl−Mg−Si−Cu系合金が主として使用されている。これらの時効性Al−Mg−Si系合金、時効性Al−Mg−Si−Cu系合金は、塗装焼付け前の成形加工時においては比較的強度が低くて成形性が優れている一方、塗装焼付け時の加熱によって時効されて塗装焼付け後の強度が高くなる利点を有するほか、リューダースマークが発生しにくい等の長所を有する。
なお、ヘム加工性などの曲げ加工性向上に関する従来技術としては、Mg2Si化合物の粒径と数、あるいは粒界析出物、第2相粒子の分散密度などを制御する特許文献1や特許文献2の技術、また結晶粒界の方位差が15°以下あるいは20°以下の結晶粒界の割合を規制する特許文献3や特許文献4の技術、さらには集合組織の{200}面あるいは{400}面の積分強度を規制する特許文献5や特許文献6等がある。また発明者等も既に特許文献7、8に示される提案を行っている。
特開2003−105471 特開2003−268472 特開2003−171726 特開2003−166029 特開2003−226926 特開2003−226927 特開2003−268475 特開2004−323952
前述のような自動車ボディシート向けの時効性Al−Mg−Si系、Al−Mg−Si−Cu系合金板を用いた従来の製造方法により得られた板では、最近の自動車用ボディシートに要求される特性を充分に満足させることは困難であった。
すなわち、最近ではコストの一層の低減や材質の一層の向上等のために、自動車用ボディシートについては、従来よりも高性能でありながら低コストで製造する技術の開発が強く要求されている。しかしながら低コストを図りながらも、適度な強度と成形性(特にヘム加工性)、室温経時変化の抑制性能などの種々の要求性能を満足させる点については、従来の一般的な製造方法によって得られたAl−Mg−Si系、Al−Mg−Si−Cu系合金板では未だ不充分であった。
ここで、低コスト化の方策としては製造工程の一部を省くことが最も簡単であるが、従来の製造プロセスの一部を単純に省略しただけでは、低コストは図られても上記の諸性能のうちのいくつかの性能の低下が懸念されることは当然である。
またここで、成形加工、特にヘム加工は、曲げ内径が1mm以下の180°曲げという苛酷な曲げ加工であるため、良好なヘム加工性とプレス成形性とを両立させることが困難であるという問題があり、特に他の性能を損なわずにかつ低コストで良好なヘム加工性とプレス成形性とを両立させることは極めて困難であった。
さらに従来の製造方法では、熱間圧延後から溶体化処理までの間に結晶粒微細化などのために冷間圧延を行なうことが必須であり、このこともコスト低減の障害となっていた。
また塗装焼付けについては、省エネルギおよび生産性の向上、さらには高温に曝されることが好ましくない樹脂等の材料との併用などの観点から、最近では従来よりも焼付け温度を低温化し、また焼付け時間も短時間化する傾向が強まっている。しかしながら塗装焼き付け後の強度を重視する場合、従来の一般的な製法により得られた時効性Al−Mg−Si系、Al−Mg−Si−Cu系合金板の場合、低温・短時間の塗装焼付け処理では、塗装焼付け時の硬化(焼付け硬化)が不足し、塗装焼付け後に充分な高強度が得難くなる問題があった。
一方、自動車のインナーパネルに使用されるアルミニウム合金板については、塗装焼付け後の高強度を必ずしも必要としないことがあり、この場合には高強度の代わりに、一層の高成形性が求められることがあるが、従来の一般的な製法により得られた時効性Al−Mg−Si系、Al−Mg−Si−Cu系合金板の場合、このような高成形性の要求を満足し得ない問題がある。
すなわち従来の一般的な製法により得られた時効性Al−Mg−Si系、Al−Mg−Si−Cu系合金板では、板製造後に室温に放置した場合に自然時効により硬化が生じやすくなり、そのため成形性、特にヘム加工性が阻害されがちとなるという問題が生じている。
また前記各特許文献のうち、特許文献1、特許文献2では、均質化処理とその後の冷却速度などの規制によって、化合物分散状態、特にMg2Siの粒径と数、あるいは粒界析出物、第2相粒子の分散状態などを調整することにより曲げ加工性などを改善することが提案されているが、これらの特許文献1、2の方法では、化合物分散状態について上述のような調整を行ったとしても、最近の曲げ性に対する厳しい要求を充分に満足させることは困難であった。またいずれの場合も冷間圧延工程が必要であり、製造コストが割高とならざるを得ない。
一方特許文献3、特許文献4においては、結晶粒間の方位差が15°以下あるいは20°以下である結晶粒界の割合を規制することにより曲げ加工性などを改善することが提案されており、また特許文献5、特許文献6においては、集合組織制御として、{200}面と{400}面の積分強度を規制してフラットヘム加工性を改善することが提案されており、さらに本願出願人等による特許文献7では、キューブ方位密度、ND回転キューブ方位密度と耳率を規制してヘム加工性を改善することを提案している。確かにこれらの提案の方法では、曲げ加工性についてはある程度の改善効果が図られるが、本発明者等が、さらに実験・検討を重ねた結果、いずれの方法の場合も、圧延板のあらゆる方向の曲げ性がすべて改善されるわけではないことが判明した。例えば、圧延方向に対し平行な方向、あるいは圧延方向に対し直交する方向の曲げ性の改善が図られても、圧延方向に対し45°をなす方向の曲げ性は改善されず、いわゆる曲げ異方性という問題が生じてしまうことが判明した。
上記の曲げ異方性に関しては、本願出願人等による特許文献8においては、板厚方向でのキューブ方位密度を制御することにより改善する方法を提案している。この改善方法は確かに効果はあるが、未だ充分とは言えないのが実情であり、また冷間圧延工程が必要であるため、製造コストが割高となる欠点がある。
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、適度な焼付け硬化性を有し、塗装焼付け時における強度上昇が適切な範囲内にあり、しかも板製造後の室温での経時的な変化が少なく、長期間放置した場合でも自然時効による硬化に起因する成形性の低下も少なく、さらには良好な成形加工性、特に良好な曲げ加工性(とりわけヘム加工性)を有すると同時に、曲げ異方性も少ない成形加工用アルミニウム合金板を提供するとともに、そのような優れた性能を有する成形加工用アルミニウム合金板を、量産的規模で確実かつ安定して低コストで製造し得る方法を提供することを目的とするものである。
前述のような課題を解決するべく本発明者等が種々実験・検討を重ねた結果、Al−Mg−Si系もしくはAl−Mg−Si−Cu系合金の最終板の組織として、特定の方位、特にキューブ方位(立方体方位)の結晶方位密度を高めると同時に、キューブ方位のみならず、{011}<211>方位密度と、{123}<634>方位密度と、{112}<111>方位密度との合計をも適切に規制することによって、プレス加工性を損なうことなく、曲げ加工性、特にヘム加工性を向上させ得ると同時に、その異方性(曲げ異方性)を小さくすることができ、また適切な焼付け硬化性、耐室温経時変化性を得ることができることを見出した。そしてまたこのような優れた性能を有する成形加工用アルミニウム合金板を量産的規模で確実かつ安定して低コストで製造し得るプロセス条件を見出し、この発明をなすに至ったのである。
具体的には、請求項1の発明の成形加工用アルミニウム合金板は、熱間圧延上がりの板厚のままで成形加工に供される成形加工用アルミニウム合金板において、Mg0.2〜1.5%、Si0.3〜2.0%を含有し、かつMn0.03〜0.6%、Cr0.01〜0.4%、Zr0.01〜0.4%、Fe0.03〜0.5%、Ti0.005〜0.2%、Zn0.03〜2.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、さらにCuが2.0%以下に規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金が素材とされ、キューブ方位密度が、ランダム結晶方位を有する試料の10倍以上で、かつ{011}<211>方位と{123}<634>方位と{112}<111>方位の各方位密度の合計が、ランダム結晶方位を有する試料の4倍以上であり、さらに0°、90°耳率が5%以上、結晶粒度がASTMナンバーで4以上であることを特徴とするものである。
さらに請求項2の発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法は、請求項1に記載の成形加工用アルミニウム合金板を製造するにあたり、鋳塊に対し、480℃以上で均質処理を施した後、冷却し、次いで300℃以上の温度で熱間圧延を開始し、最終製品板の板厚まで熱間圧延を行なって100〜350℃の範囲内の温度で熱間圧延を終了させ、得られた熱間圧延板に対し、480℃以上の温度で溶体化処理を施して100℃/min以上の平均冷却速度で室温まで冷却することを特徴とするものである。
またさらに請求項3の発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法は、請求項2に記載の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法において、前記溶体化処理の後、100℃/min以上の平均冷却速度で50℃以上150℃未満の温度まで冷却し、続いてこの温度範囲内で1時間以上の安定化処理を行うことを特徴とするものである。
そしてまた請求項4の発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法は、請求項2に記載の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法において、前記溶体化処理の後、100℃/min以上の平均冷却速度で50℃未満の温度まで冷却し、続いて室温で放置した後、50℃以上150℃未満の温度範囲内で1時間以上の安定化処理を行うことを特徴とするものである。
この発明による成形加工用アルミニウム合金板は、成形性、特にヘム加工性が優れていると同時に、曲げ異方性も少なく、しかも塗装焼付け後の強度を適切に調整でき、また室温での経時変化も少なく、したがって塗装後にプレス加工やヘム加工を施して使用される自動車用ボディシート等に最適である。またこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法によれば、上述のように優れた性能を有する成形加工用アルミニウム合金板を、量産的規模においても低コストで確実かつ安定して製造することができる。
この発明の成形加工用アルミニウム合金板としては、Al−Mg−Si系合金もしくはAl−Mg−Si−Cu系合金、具体的には、請求項1で規定するような成分組成の合金、すなわちMg0.2〜1.5%、Si0.3〜2.0%を含有し、かつMn0.03〜0.6%、Cr0.01〜0.4%、Zr0.01〜0.4%、Fe0.03〜0.5%、Ti0.005〜0.2%、Zn0.03〜2.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、さらにCuが2.0%以下に規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金を素材とする。
このような請求項1で規定する素材合金の成分組成の限定理由について説明する。
Mg:
Mgはこの発明で対象としている系の合金で基本となる合金元素であって、Siと共同して強度向上に寄与する。Mg量が0.2%未満では塗装焼付け時に析出硬化によって強度向上に寄与するG.P.ゾーンの生成量が少なくなるため、充分な強度向上が得られず、一方1.5%を越えれば、粗大なMg−Si系の金属間化合物が生成され、キューブ方位密度を高めるために不利となり、成形性、特に曲げ加工性が低下するから、Mg量は0.2〜1.5%の範囲内とした。なお最終板の成形性、特に曲げ加工性をより良好にするためには、Mg量は0.3〜0.9%の範囲内が好ましい。
Si:
Siもこの発明の系の合金で基本となる合金元素であって、Mgと共同して強度向上に寄与する。またSiは、鋳造時に金属Siの晶出物として生成され、その金属Si粒子の周囲が加工によって変形されて、溶体化処理の際に再結晶核の生成サイトとなるため、再結晶組織の微細化にも寄与する。Si量が0.3%未満では上記の効果が充分に得られず、一方2.0%を越えれば粗大なSi粒子や粗大なMg−Si系の金属間化合物が生じて、キューブ方位密度を高めるために不利となり、成形性、特に曲げ加工性の低下を招く。したがってSi量は0.3〜2.0%の範囲内とした。なおプレス成形性と曲げ加工性とのより良好なバランスを得るためには、Si量は0.5〜1.3%の範囲内が好ましい。
Mn、Cr、Zr、Fe、Ti、Zn:
これらの元素は、強度向上や結晶粒微細化、あるいは時効性(焼付け硬化性)の向上や表面処理性の向上に有効であり、いずれか1種または2種以上を添加する。これらのうちMn、Cr、Zrは強度向上と結晶粒の微細化および組織の安定化に効果がある元素であるが、Mnの含有量が0.03%未満、もしくはCrの含有量が0.01%未満、またはZrの含有量が0.01%未満では、上記の効果が充分に得られず、一方Mnの含有量が0.6%を越えるか、あるいはCr、Zrの含有量がそれぞれ0.4%を越えれば、上記の効果が飽和するばかりでなく、多数の金属間化合物が生成されて成形性、特にヘム加工性に悪影響を及ぼすおそれがあり、したがってMnは0.03〜0.6%の範囲内、Cr、Zrはそれぞれ0.01〜0.4%の範囲内とした。またFeも強度向上と結晶粒微細化に有効な元素であるが、その含有量が0.03%未満では充分な効果が得られず、一方0.5%を越えれば、キューブ方位密度を高める上において不利となって、成形性、特に曲げ加工性が低下するおそれがあり、したがってFe量は0.03〜0.5%の範囲内とした。さらにTiも強度向上と鋳塊組織の微細化に有効な元素であるが、その含有量が0.005%未満では充分な効果が得られず、一方0.2%を越えればTi添加の効果が飽和するばかりでなく、粗大な晶出物が生じるおそれがあるから、Ti量は0.005〜0.2%の範囲内とした。またZnは時効性向上を通じて強度向上に寄与するとともに表面処理性の向上に有効な元素であるが、Znの添加量が0.03%未満では上記の効果が充分に得られず、一方2.5%を越えれば成形性が低下するから、Zn量は0.03〜2.5%の範囲内とした。
Cu:
Cuは強度向上および成形性向上のために添加されることがある元素であるが、その量が1.5%を越えれば耐食性(耐粒界腐食性、耐糸錆性)が劣化するから、Cuの含有量は2.0%以下に規制することとした。なお、より耐食性の改善を図りたい場合はCu量は1.0%以下が好ましく、さらに特に耐食性を重視する場合は、Cu量は0.05%以下に規制することが望ましい。
以上の各元素のほかは、基本的にはAlおよび不可避的不純物とすれば良い。
なお上記のMn、Cr、Zr、Fe、Ti、Znの含有量範囲は、それぞれ積極的に添加する場合の範囲として示したものであり、いずれも下限値より少ない量を不純物として含有する場合を排除するものではない。特に0.03%未満のFeは、通常のアルミ地金を用いれば不可避的に含有されるのが通常である。
また時効性Al−Mg−Si系合金、時効性Al−Mg−Si−Cu系合金においては、高温時効促進元素あるいは室温時効抑制元素であるAg、In、Cd、Be、あるいはSnを微量添加することがあるが、この発明の場合も微量添加であればこれらの元素の添加も許容され、それぞれ0.3%以下であれば特に所期の目的を損なうことはない。
なおまた、一般のAl合金においては、鋳塊組織の微細化のために前述のTiと同時にBを添加することもあり、BをTiとともに添加することによって、鋳塊組織の微細化と安定化の効果が一層顕著となる。そしてこの発明の場合、Tiとともに500ppm以下のBを添加することは許容される。
さらに、鋳塊組織の微細化にはV、Scの添加も効果があるとされており、この発明の場合も微量のVもしくはScを添加しても良く、V0.03〜0.3%、Sc0.01〜0.2%の範囲内であれば特に支障はない。
さらにこの発明の成形加工用アルミニウム合金板において、良好な曲げ加工性、特に良好なヘム加工性を得ると同時に、曲げ異方性を小さく抑制するためには、合金の成分組成を前述のように調整するばかりでなく、最終板であるアルミニウム合金板の集合組織、特に結晶方位密度を適切に抑制することが極めて重要である。
ここで、この発明において最終板の結晶方位密度を規制しているのは、粒界の性質(小角か大角か)を制御するためばかりでなく、アルミニウム合金の塑性変形に伴なう結晶のすべり変形全体を制御することを主目的としている。そして特に曲げ加工中に交差すべりが生じやすいような結晶方位の集積度を高めることが極めて重要であり、そのようにすることによって、加工による転位密度の増加を抑えて、加工硬化を抑制することが可能となるのである。さらにその結果、ヘム加工の際において、加工硬化の抑制により割れ限界強度に達するまで材料の大歪変形が可能となる。ここで、すべり変形挙動を、比較的ランダムな結晶方位を有する従来の材料、言い換えれば比較的交差すべりが生じ難い従来材料と大きく異ならしめるためには、結晶方位の集積が必要である。一方実際の材料では、種々の結晶方位が存在するが、本発明者等が鋭意検討を重ねた結果、種々の結晶方位のうちでも特にキューブ方位の方位密度、すなわちキューブ方位の理想方位である(001)<100>方位の方位密度を高めることによって、すべり変形挙動を、従来材料とは大きく異ならしめることができることを見出した。すなわち、キューブ方位密度を高めることによって、加工変形中における交差すべりが活発となり、加工硬化が抑制され、曲げ加工性が改善されるのである。
一方、単純にキューブ方位密度を高めるだけでは、むしろ曲げ異方性が顕著となって材料特性のバランスが低下するおそれがある。そこで本発明者等がさらに実験・検討を重ねたところ、キューブ方位密度を高めるだけではなく、キューブ方位以外の特に{011}<211>方位、{123}<634>方位、および{112}<111>方位、以上3方位の各結晶方位密度の合計をも適切に規制することによって、曲げ加工性を向上させると同時に、曲げ異方性を確実かつ安定して小さくし得ることを見出した。
すなわち、上記の{011}<211>方位、{123}<634>方位、{112}<111>方位の合計を、ランダム結晶方位を有する試料の4倍以上とすることにより、曲げ加工性と曲げ異方性とを同時に改善し得るのである。
ここでこの発明において、キューブ方位密度を規制するのみならず、{011}<211>方位、{123}<634>方位、{112}<111>方位の各方位密度の合計をも規制している理由は、キューブ方位によってもたらされた曲げ異方性を低減するためである。
さらにこの発明による成形加工用アルミニウム合金板では、板全体にわたって0°耳、90°耳の耳率が5%以上であることも重要である。すなわち、前述のようにこの発明では、良好な曲げ加工性を確保しかつ曲げ異方性を抑制するために、キューブ方位密度および{011}<211>方位、{123}<634>方位、{112}<111>方位の各方位密度の合計を規定しているが、それ以外の結晶方位の方位密度もある程度は曲げ加工性に影響を与える。しかしながら実際上は、これらの方位以外のすべての結晶方位の方位密度を厳密に規定することは困難である。一方、板のカッピング試験で絞ったカップの耳率によれば、材料の結晶方位をマクロ的に評価することができる。そこでこの発明では、キューブ方位や前述の3方位以外の結晶方位の方位密度の影響を、0°耳、90°耳で評価、規制することとした。具体的には、圧延方向を基準にカップの0°、90°耳率が5%未満では、たとえ前述のキューブ方位密度および前述の3方位の方位密度の合計の条件が満足されていても、良好な曲げ加工性、曲げ異方性が得られないおそれがある。そこでこの発明では耳率に関して前述のように規制することとした。なお0°、90°耳率は、上記の範囲内でも特に10%以上が望ましい。
さらにこの発明の成形加工用アルミニウム合金板では、結晶粒度をASTMナンバーで4.0以上とする必要があり、好ましくはASTMナンバーで6.0以上とする。すなわち、曲げ加工性を向上させるとともに、プレス成形時の肌荒れ(外観欠陥)を防止するためには、結晶粒度を細かくする必要があり、結晶粒度をASTMナンバーで4.0以上、好ましくは6.0以上とすることにより、曲げ加工性を向上させるとともに、プレス成形時における肌荒れによる外観不良の発生を防止することが可能となる。
次にこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法について説明する。
先ず前述のような成分組成の合金を常法にしたがって溶製し、DC鋳造法等の通常の鋳造法によって鋳造する。
得られた鋳塊に対しては、480℃以上の温度で均質化処理を施す。このように均質化処理条件を規定した理由は次の通りである。
すなわち均質化処理は、鋳塊の添加元素の偏析を除去したり、鋳塊のセル・結晶粒の境界に存在する粗大な第2相粒子、晶出物などを母相に固溶させる効果があり、製品板の性能のばらつきの低減、さらには熱間圧延工程、溶体化処理工程と有機的に結び付けて所要の結晶方位を得るにも重要な工程である。この均質化処理の温度が480℃未満では、上述の効果が不充分となる。なお均質化処理温度の上限は特に規制しないが、共晶融解を避けるために、590℃以下での処理が好ましい。なおまた均質化処理の時間は特に規定しないが、通常は1〜24hが望ましい。
均質化処理後には熱間圧延を行なうが、この熱間圧延は、次の(1)〜(3)の条件を満たすように行なう必要がある。
(1) 熱間圧延開始温度が300℃以上の温度であること。
(2) 熱間圧延終了温度が100〜350℃の範囲内であること。
(3) 熱間圧延により所要の最終板厚(製品板の板厚)まで圧延すること。したがって熱間圧延の後に冷間圧延を行なわないこと。
先ず(1)の条件、すなわち熱間圧延開始温度を300℃以上にすることは、熱間圧延の生産性確保とエッジ割れ防止を図るために不可欠な条件である。熱間圧延開始温度が300℃未満では、熱間圧延自体が困難となり、生産性の低下ばかりでなく、エッジ割れのおそれもある。なお熱間圧延開始温度の上限は特に規制しないが、共晶融解を避けるため、通常は590℃以下の温度とすることが望ましい。なおまた、表面品質、熱間圧延組織の微細化を重視する場合は、熱間圧延の開始温度を340〜550℃の範囲内とすることが好ましい。
(2)の条件は、(1)の条件と合わせて熱間圧延中の材料の再結晶を制御し、所要の結晶方位密度を得るために不可欠な条件である。さらに、冷間圧延工程を実施しないこの発明のプロセスにおいては、熱間圧延終了温度を低く抑えて熱間ひずみを蓄えることが、溶体化処理時の結晶粒微細化を図る上で極めて重要である。熱間圧延終了温度が100℃未満では、板表面品質の劣化を招き、一方350℃を越えれば、溶体化処理時に結晶粒の粗大化を招くおそれがあるから、熱間圧延終了温度は100〜350℃の範囲内とした。なお板表面品質と結晶粒微細化を重視する場合は、熱間圧延終了温度を180〜280℃の範囲内とすることが好ましい。
(3)の条件もこの発明にとって極めて重要である。この発明のプロセスでは、熱間圧延により所要の最終板厚(製品板厚)を得ることを前提に、冷間圧延なしで熱間圧延の後に直ちに溶体化処理を行なって最終板を得ることが重要である。また、熱間圧延板を冷間圧延なしで直接溶体化処理することにより、容易に所定のキューブ方位密度と前記3方位の合計方位密度を得ることが可能となる。そしてまた、冷間圧延工程を必要としないため、生産性が高く、材料の製造コストの低減が得られる。
ここで、上述のような熱間圧延条件のうちいずれか一つの条件でも外れれば、所要の結晶方位密度条件を満たす最終板が得難くなり、最終板の諸特性が低下するおそれがある。
上述のようにして所要の板厚とした後には、冷間圧延を行なうことなく直ちに480℃以上の温度で溶体化処理を行なう。この溶体化処理は、Mg2Si、単体Si等をマトリックスに固溶させ、これにより焼付け硬化性を付与して塗装焼付け後の強度向上を図るために重要な工程である。またこの工程は、Mg2Si、単体Si粒子等の固溶により第2相粒子の分布密度を低下させて、延性と曲げ性を向上させるためにも寄与し、さらには再結晶により最終的に所要の結晶方位を得て、良好な成形性(曲げ加工性、曲げ異方性、プレス成形性)を得るためにも重要な工程である。
溶体化処理温度が480℃未満の場合、室温での経時変化の抑制に対しては有利と考えられるが、その場合Mg2Si、Siなどの固溶量が少なくなって、充分な焼付け硬化性が得られなくなるばかりでなく、延性と曲げ性も悪化するから、溶体化処理温度は480℃以上とする必要がある。なお特に溶体化効果を重視する場合は、溶体化処理温度は500℃以上とすることが好ましい。一方溶体化処理温度の上限は特に規定しないが、共晶融解のおそれや再結晶粒粗大化等を考慮して、通常は580℃以下とすることが望ましい。また溶体化処理の時間は特に規制しないが、通常は5分を越えれば溶体化効果が飽和し、経済性を損なうばかりではなく、結晶粒粗大化のおそれもあるから、溶体化処理の時間は5分以内が望ましい。
溶体化処理後には、100℃/min以上の冷却速度で冷却(焼入れ)する。ここで、溶体化処理後の冷却速度が100℃/min未満では、冷却中にMg2Siあるいは単体Siが粒界に多量に析出してしまい、成形性、特にヘム加工性が低下すると同時に、焼付け硬化性が低下して塗装焼付け時の充分な強度向上が望めなくなる。
上述のような480℃以上の温度での溶体化処理の後の100℃/min以上の冷却速度での冷却は、常温(室温;通常は50℃未満)まで行なっても良い。すなわち、特に塗装焼付け後の強度および室温での耐経時変化性をそれほど厳しく要求しない用途において、製造コストを重視する場合には、溶体化処理後、100℃/min以上の冷却速度で常温(室温)まで冷却するという簡素なプロセスを適用して低コスト化を図れば良い。
しかしながら通常は、請求項3で規定しているように、480℃以上の温度での溶体化処理の後には、100℃/min以上の冷却速度で50℃以上150℃未満の温度域内まで冷却(焼入れ)して、50℃未満の温度域(室温)まで温度降下しないうちに、その温度範囲内(50〜150℃未満)で安定化処理を行うことが望ましい。この安定化処理における50〜150℃未満の温度域での保持時間は、通常は1時間以上保持することが望ましく、またその温度範囲内で1時間以上かけて冷却(徐冷)してもよい。
このように溶体化処理して50〜150℃未満の温度域に焼入れた後、50℃未満の温度域まで冷却することなくそのまま50〜150℃未満の温度で安定化処理を行う理由は次の通りである。
すなわち、溶体化処理後、特に100℃/min以上の平均冷却速度で50℃未満の室温に冷却した場合には、室温クラスターが生成される。この室温クラスターは強度に寄与するG.P.ゾーンに移行しにくいため、塗装焼付け硬化性に不利となる。一方、溶体化処理後に150℃以上の温度範囲に冷却してそのまま保持した場合には、G.P.ゾーンあるいは安定相が生成され、成形前の素材強度が高くなり過ぎて、ヘム曲げ性やプレス加工等の成形性が劣化する。したがってヘム加工性、プレス加工性と塗装焼付け硬化性、および耐室温経時変化性のバランスの観点から、上述のような条件の溶体化処理−焼入れ−安定化処理を行なうことが望ましい。
なお塗装焼付け硬化性を特に必要としない用途や、塗装焼付け硬化性を積極的に抑制する一方で耐経時変化性とプレス成形性の向上を重視する用途においては、溶体化処理後、100℃/min以上の冷却速度で50℃未満の温度域まで焼入れてから、室温(常温)で保持した後、改めて50〜150℃未満の温度域で1時間以上の安定化処理を行っても良い。なおこの場合の安定化処理前の室温保持期間は特に規定しないが、生産性の観点から通常は15日以内であることが好ましい。
以下にこの発明の実施例を比較例とともに記す。なお以下の実施例は、この発明の効果を説明するためのものであり、実施例記載のプロセスおよび条件がこの発明の技術的範囲を制限するものではない。
表1に示すこの発明の成分組成範囲内の合金記号A1〜A4の合金について、それぞれ常法にしたがって溶製し、DC鋳造によりスラブに鋳造した。
得られた各スラブに対して550℃、6hの条件で均質化処理を施した。均質化処理後は、熱間圧延に供した。熱間圧延条件について、表2の製造プロセス番号1〜8に示す。また得られた各熱間圧延板について、そのミクロ組織を光学顕微鏡により調べたので、その結果も表2中に示す。
さらに各熱間圧延板について、表3に示す処理を行なった。すなわち熱間圧延板に対して冷間圧延を施すことなくそのまま溶体化処理を施すか、または冷間圧延を行なってから溶体化処理を施し、さらに溶体化処理後は安定化処理を施した(但し一部のものは安定化処理なし)。なお溶体化処理後の冷却(焼入れ)の速度は、いずれも約220℃/minである。ここで、製造プロセス番号1、8は、溶体化処理後の焼入れを50℃未満の温度(室温)まで行なって、その後に安定化処理を行なわなかった例、また製造プロセス番号2、3、5、6は、溶体化処理後の焼入れを50℃以上150℃未満の温度域にとどめ、引続いて安定化処理を行なった例、さらに製造プロセス番号4、7は、溶体化処理後の焼入れを50℃未満の温度まで行なって、室温放置後、改めて安定化処理を行なった例である。
以上のようにして最終的に得られた各アルミニウム合金板(製品板)について、次のようにして集合組織(結晶方位密度)を調べた。
すなわち、厚さ1mmの板について、NaOH水溶液で表面から板厚中央に向けて板厚1/4の深さまでエッチングしたものを測定サンプルとした。X線回折のシェルツ反射法により、{100}、{110}、{111}の不完全極点図を測定し、これらをもとに三次元結晶方位解析(ODF)行なって調べた。またこれらの解析においては、アルミニウム粉末から作られたランダム結晶方位を有する試料を測定して得たデータを{100}、{110}、{111}極点図の解析の際に使う規格化ファイルとし、これによりランダム方位を有する試料に対する倍数としてキューブの理想方位{001}<100>、圧延集合組織に属する{011}<211>、{123}<634>、{112}<111>方位密度を求めた。なお、通常は上記方位を中心に一定角度を持つ方位分散が存在するため、この発明では、上記方位廻りの15°回転範囲の中にある最大方位密度を採ってそれぞれ上記方位密度の代表値とした。なおまた、この発明において結晶方位密度は全て三次元結晶方位解析(ODF)に基くものである。
さらに前述のようにして得られた各最終板について、室温経時変化を考慮して製造後30日、180日室温放置した後、それぞれ2%ストレッチ後、170℃×20分の塗装焼付け(ベーク)処理を施し、かつその焼付け前と後の各板について圧延方向(RD)に対する0°、45°、90°の各方向につき引張試験を行なって、機械的強度として各方向の0.2%耐力値を測定した。また同じく焼付け前の板について、カップ絞り試験による耳率を調べるとともに、ヘム加工試験によるヘム加工性評価と、ポンチ張出し試験による張出し高さの測定を行なった。
ここで各試験の具体的手法を次に示す。
最終板の結晶粒度:
板の圧延方向と平行な断面においてEBSP(EBSD)法によってマッピングした画像をもとにASTMナンバーを測定した。なおこの判定にあたっては、ミスオリエンテーション5°以上の境界線を結晶粒界とみなした。
耳率測定:
板に潤滑油を塗布した後、ポンチ径φ32mm、ブランク径φ62mm、シワ押さえ100kgの条件でカップに絞り、そのカップの耳率を調べた。なおここで耳率の方向は、圧延方向を基準にした0°方向、90°方向で示す。
ヘム加工性の評価:
材料の圧延方向(RD)に対して板面内0°、45°、90°3方向に曲げ試験片を採取し、7%ストレッチしてから、180°に密着曲げを行ない、目視により割れの発生の有無を観察した。ここで○印は割れ無しを、また×印は割れ有りを示す。
張出し試験:
200mm×200mmの大きさの1mm板の両面にマスキングフィルムを貼り、さらに潤滑を高めるため、ワックスを塗った状態で張出し試験に供し、最大張出し高さを調べた。なおポンチとしては球頭ポンチ径100mmのものを使用した。
以上の各測定結果、試験結果を表4、表5に示す。
Figure 0004634249
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製造プロセス番号1〜5は、いずれも合金成分組成がこの発明で規定する範囲内であって、かつ製造プロセス条件もこの発明で規定する範囲内であり、最終板の結晶方位密度条件等も全てこの発明で規定する条件を満たしたものであるが、これらの場合は、ヘム加工性が優れ、適切な焼付け硬化性が得られ、さらに張出し高さが高く、曲げ異方性も小さいことが確認された。
これに対し製造プロセス番号6〜8は、合金の成分組成はこの発明で規定する範囲内であるが、製造プロセス条件のいずれかがこの発明の範囲外であって、結晶方位密度、結晶粒度条件等のいずれかがこの発明で規定する条件を満たさなかったものである。これらのうち、製造プロセス番号6の場合は、結晶粒度が粗く、ヘム加工性が劣るとともに、張出し高さも低かった。製造プロセス番号7の場合は、曲げ異方性があって、45°方向のヘム加工性が劣り、張出し高さも低かった。また製造プロセス番号8の場合は、冷間圧延を実施したため微細な結晶粒が得られたが、耐リジング性が悪いばかりでなく、ヘム加工性が劣っており、さらに張出し高さも低かった。

Claims (4)

  1. 熱間圧延上がりの板厚のままで成形加工に供される成形加工用アルミニウム合金板において、
    Mg0.2〜1.5%(mass%、以下同じ)、Si0.3〜2.0%を含有し、かつMn0.03〜0.6%、Cr0.01〜0.4%、Zr0.01〜0.4%、Fe0.03〜0.5%、Ti0.005〜0.2%、Zn0.03〜2.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、さらにCuが2.0%以下に規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金が素材とされ、キューブ方位密度が、ランダム結晶方位を有する試料の10倍以上で、かつ{011}<211>方位と{123}<634>方位と{112}<111>方位の各方位密度の合計が、ランダム結晶方位を有する試料の4倍以上であり、さらに0°、90°耳率が5%以上、結晶粒度がASTMナンバーで4以上であることを特徴とする、成形加工用アルミニウム合金板。
  2. 請求項1に記載の成形加工用アルミニウム合金板を製造するにあたり、
    鋳塊に対し、480℃以上で均質処理を施した後、冷却し、次いで300℃以上の温度で熱間圧延を開始し、最終製品板の板厚まで熱間圧延を行なって100〜350℃の範囲内の温度で熱間圧延を終了させ、得られた熱間圧延板に対し、480℃以上の温度で溶体化処理を施して100℃/min以上の平均冷却速度で室温まで冷却することを特徴とする、成形加工用アルミニウム合金板の製造方法
  3. 請求項2に記載の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法において、
    前記溶体化処理の後、100℃/min以上の平均冷却速度で50℃以上150℃未満の温度まで冷却し、続いてこの温度範囲内で1時間以上の安定化処理を行うことを特徴とする、成形加工用アルミニウム合金板の製造方法。
  4. 請求項2に記載の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法において、
    前記溶体化処理の後、100℃/min以上の平均冷却速度で50℃未満の温度まで冷却し、続いて室温で放置した後、50℃以上150℃未満の温度範囲内で1時間以上の安定化処理を行うことを特徴とする、成形加工用アルミニウム合金板の製造方法。
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