JP4164437B2 - 成形加工用アルミニウム合金板の製造方法 - Google Patents
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Mgはこの発明で対象としている系の合金で基本となる合金元素であって、Siと共同して強度向上に寄与する。Mg量が0.3%未満では塗装焼付時に析出硬化によって強度向上に寄与するG.P.ゾーンの生成量が少なくなるため、充分な強度向上が得られず、一方1.5%を越えれば、粗大なMg−Si系の金属間化合物が生成され、キューブ方位密度を高めるために不利となり、成形性、特に曲げ加工性が低下するから、Mg量は0.3〜1.5%の範囲内とした。
Siもこの発明の系の合金で基本となる合金元素であって、Mgと共同して強度向上に寄与する。またSiは、鋳造時に金属Siの晶出物として生成され、その金属Si粒子の周囲が加工によって変形されて、溶体化処理の際に再結晶核の生成サイトとなるため、再結晶組織の微細化にも寄与する。Si量が0.3%未満では上記の効果が充分に得られず、一方2.0%を越えれば粗大なSi粒子や粗大なMg−Si系の金属間化合物が生じてキューブ方位密度を高めるために不利となり、成形性、特に曲げ加工性の低下を招く。したがってSi量は0.3〜2.0%の範囲内とした。
これらの元素は、強度向上や結晶粒微細化、あるいは時効性の向上や表面処理性の向上に有効であり、いずれか1種または2種以上を添加する。これらのうちMn、Crは強度向上と結晶粒の微細化および組織の安定化に効果がある元素であるが、Mnの含有量が0.03%未満、もしくはCrの含有量が0.01%未満では、上記の効果が充分に得られず、一方Mn、Crの含有量がそれぞれ0.4%を越えれば、上記の効果が飽和するばかりでなく、多数の金属間化合物が生成されて成形性、特にヘム曲げ性に悪影響を及ぼすおそれがあり、したがってMnは0.03〜0.4%の範囲内、Crは0.01〜0.4%の範囲内とした。またFeも強度向上と結晶粒微細化に有効な元素であるが、その含有量が0.03%未満では充分な効果が得られず、一方0.5%を越えれば、キューブ方位密度を高める上において不利となって、成形性、特に曲げ加工性が低下するおそれがあり、したがってFe量は0.03〜0.5%の範囲内とした。さらにTiも強度向上と鋳塊組織の微細化に有効な元素であるが、その含有量が0.005%未満では充分な効果が得られず、一方0.2%を越えればTi添加の効果が飽和するばかりでなく、粗大な晶出物が生じるおそれがあるから、Ti量は0.005〜0.2%の範囲内とした。またZnは時効性向上を通じて強度向上に寄与するとともに表面処理性の向上に有効な元素であるが、Znの添加量が0.03%未満では上記の効果が充分に得られず、一方2.5%を越えれば成形性が低下するから、Zn量は0.03〜2.5%の範囲内とした。
Cuは強度向上および成形性向上のために添加されることがある元素であるが、その量が1.0%を越えれば耐食性(耐粒界腐食性、耐糸錆性)が劣化するから、Cuの含有量は1.0%以下に規制することとした。なお特に耐食性を重視する場合は、Cu量は0.05%以下に規制することが望ましい。
RD10方位密度>ND10方位密度
となることが必要である。
Δσ45>Δσ0
Δσ45>Δσ90
70MPa≧Δσ45−Δσ0≧5MPa
70MPa≧Δσ45−Δσ90≧5MPa
を満たすことを規定している。
板の圧延方向に対し板面内0°、45°、90°の3方向にJIS5号引張試験片を採取し、それぞれについて引張試験に供した。そして各方向の0.2%耐力値を調べるとともに、ランクフォード値(r値)として、各方向とも伸びが7.5%となるときのr値を求めた。
厚さ1mmの板について、10%NaOH水溶液で表面から板厚中央に向けて100μmずつエッチングしたものを測定サンプルとした。そして表面から板厚方向にそれぞれ100μm、200μm、300μmの各位置でそれぞれ測定したキューブ方位密度の平均値を求めた。測定装置としては、リガク(株)のX線回折装置を用い、X線回折のシェルツ反射法により、{200}、{220}、{111}の不完全極点図を測定し、これらを元に三次元結晶方位解析(ODF)を行なって調べた。またこれらの解析においては、アルミニウム粉末から作られたランダム結晶方位を有する試料を測定して得たデータを{200}、{220}、{111}極点図の解析の際に使う規格化ファイルとし、これによりランダム方位を有する試料に対する倍数としてキューブ方位密度を求めた。なおこの発明において、結晶方位密度は全て三次元結晶方位解析(ODF)に基づくものである。なおまた、キューブ方位密度は、理想方位である{100}<001>方位の方位密度を求めた。またキューブ理想方位の周辺方位密度として、RD10方位密度およびND10方位密度を測定した。ここでRD10方位密度、ND10方位密度は、それぞれキューブ理想方位からRD軸で10°、ND軸で10°回転した方位を示す。
板に潤滑油を塗布した後、ポンチ径φ32mm、ブランク径φ62mm、しわ押さえ200kgの条件でカップに絞り、そのカップの耳率を調べた。なおここで耳率の方向は、圧延方向を基準にした0°方向、90°方向で示す
導電率(%IACS):
渦電流式導電率測定装置を用いて銅、黄銅を基準試料として測定を行なった。
板の圧延方向に対し0°方向、45°方向、90°方向の各方向に沿って試験片を採取して、それぞれの方向に80%の冷間圧延を加えた後、その試験片冷間圧延方向に引張試験片を切出して、それぞれ0.2%耐力値の上昇分を調べ、これにより各方向の加工硬化性を評価した。ちなみに耐力値上昇分=(80%冷間加工後の耐力値)−(冷間加工前の耐力値)である。
材料の圧延方向に対して板面内0°、45°、90°三方向に曲げ試験片を採取し、10%ストレッチしてから、180°に密着曲げを行ない、目視により割れの発生の有無を観察した。ここで○印は割れ無しを、また×印は割れ有りを示す。
直径100mmの球頭ポンチで高さ30mmまで張出成形を行ない、表面に形成される圧延方向に沿う筋(凹凸)を目視で判定した。○印は筋なしあるいは筋が弱い状態を示し、×印は筋が強い状態を示す。ここで筋が強ければ、自動車用外板の外観として不適当となる。
Claims (2)
- Mg0.3〜1.5%(mass%、以下同じ)、Si0.3〜2.0%を含有し、かつMn0.03〜0.4%、Cr0.01〜0.4%、Fe0.03〜0.5%、Ti0.005〜0.2%、Zn0.03〜2.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、さらにCuが1%以下に規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりなる合金を素材とし、DC鋳造法によりスラブに鋳造するにあたり、凝固後の冷却過程においてスラブ表面の600℃から400℃までの温度降下速度が30℃/min以上でかつスラブ厚中央部の600℃から400℃までの温度降下速度が5℃/min以上となるように鋳造し、その後300〜450℃の範囲内の温度に加熱して熱間圧延を開始し、かつその熱間圧延過程において熱間圧延開始板厚から100mmの中間板厚までの間における材料温度の降下量が150℃以内となるように制御するとともに、熱間圧延終了温度を200〜330℃の範囲内に制御し、熱間圧延終了後圧延率30%で冷間圧延を施した後、480℃以上の温度で溶体化処理を行ない、直ちに100℃/min以上の平均冷却速度で50℃以上150℃未満の温度域まで冷却し、続いてその温度域内で1時間以上の安定化処理を行ない、これによりキューブ方位密度がランダム結晶方位を有する試料の30〜250倍の範囲内にあり、かつ圧延方向軸RDを基準としてキューブ理想方位を10°回転させた結晶方位の方位密度が、板面法線軸NDを基準としてキューブ理想方位を10°回転させた方位の方位密度より高く、さらに0°、90°耳率が5%以上で、しかも圧延方向と平行な方向のランクフォード値r0が0.50〜1.50の範囲内、板面内において圧延方向に対し45°をなす方向のランクフォード値r45が0.01〜0.45の範囲内、板面内において圧延方向に対し直交する方向のランクフォード値r90が0.60〜3.50の範囲内にあり、さらに導電率が54%IACS以下であるアルミニウム合金板を得ることを特徴とする、成形加工用アルミニウム合金板の製造方法。
- 請求項1に記載の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法において、
圧延方向に対し板面内で0°、45°、90°の3方向にそれぞれ圧延率80%の冷間圧延を加えたときに、45°方向の0.2%耐力値の上昇分が0°方向の0.2%耐力値の上昇分および90°方向の0.2%耐力値上昇分よりも大きく、かつその45°方向0.2%耐力値上昇分と、0°方向耐力値上昇分および90°方向0.2%耐力値上昇分との差がそれぞれ5〜70MPaの範囲内にあるアルミニウム合金板を得ることを特徴とする、成形加工用アルミニウム合金板の製造方法。
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