JP4771791B2 - 成形加工用アルミニウム合金板の製造方法 - Google Patents

成形加工用アルミニウム合金板の製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、成形加工用アルミニウム合金板の製造方法に関し、特に用途に応じて成形加工や塗装焼付を施して使用されるAl−Mg−Si系もしくはAl−Mg−Si−Cu系の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法に関するものである。本願発明によって得られる成形加工用アルミニウム合金板は、各種自動車、船舶、航空機等の部材・部品、あるいは建築材料、構造材料、そのほか各種機械器具、家電製品やその部品等の素材として用いられ、特に自動車ボディシート、ボディパネルに好適に用いられる。
従来自動車のボディシートとしては、主として冷延鋼板を使用することが多かったが、最近では車体軽量化等の観点から、アルミニウム合金圧延板を使用することが多くなっている。ところで自動車のボディシートはプレス加工を施して使用するところから、成形加工性が優れていること、また成形加工時におけるリューダースマークやリジングマークが発生しないことが要求される。
また高強度を有することも必須であって、通常は塗装焼付を施して使用されるため、塗装焼付後に高強度が得られる特性(焼付硬化性、すなわちBH性)が要求される。そしてまた成形性(プレス成形性、形状凍結性、ヘム加工性など)が良好であることが要求されるのはもちろんであるが、これらの要求をバランスよく満足させるためには、素材を製造してから成形するまでの材料の室温(常温)経時変化(「室温時効」「常温時効」「自然時効」とも呼ぶ)を抑制することがとても重要である。
従来このような自動車用ボディシート向けのアルミニウム合金としては、Al−Mg系合金のほか、時効性を有するAl−Mg−Si系合金もしくはAl−Mg−Si−Cu系合金が主として使用されている。これらの時効性Al−Mg−Si系合金、時効性Al−Mg−Si−Cu系合金は、塗装焼付前の成形加工時においては比較的強度が低くて成形性が優れている一方、塗装焼付時の加熱によって時効されて塗装焼付後の強度が高くなる利点を有するほか、リューダースマークが発生しにくい等の長所を有する。
なお、焼付硬化性や室温経時変化の抑制が得られる従来技術としては、特許文献1に示されるように溶体化(高温)処理後ある温度域(50〜130℃)に焼入れてそのまま保持する熱処理、また特許文献2に示されるように溶体化処理後できるだけ短時間の室温時効を経てからある温度域(50℃〜150℃)に保持する熱処理が提案されている。さらに特許文献3に示されるように溶体化処理後50℃〜80℃と85℃〜150℃の2段熱処理が提案されている。
また、特許文献4には保持処理もしくは再加熱処理によって安定なクラスターが形成されやすくなり、クラスターの安定性を向上させ、板製造後の経時変化を抑制して、良好な成形加工性を確保するとともに充分な焼付硬化性を得る安定化処理を施すことによって板製造後の室温での経時変化が少なくなるとともに、塗装焼付でのG.P.ゾーンが細かくなり、焼付硬化性を向上させたアルミニウム合金板の製造方法が開示された。
この特許文献4に開示された方法における安定なクラスターの形成量を増やすことが、溶質元素の過飽和度の減少を意味し、G.P.ゾーンの形成量を減少させてしまうという問題に着目し、特許文献5には、溶体化処理・空冷後の放置時間中の自然時効により形成されるクラスターを再固溶させて溶質元素量を再度確保させるための復元処理を放置時間に応じた温度範囲で行い、成形加工性および塗装焼付硬化性に優れた、自動車ボディ用として好適なアルミニウム合金板が開示された。
特許第2613466号(特開平02−205660) 特許第3207413号(特開平04−147951) 特許第3359428号(特開平08−049052) 特開平6−272000号公報 特開平9−143645号公報
前述のような自動車用ボディシート向けの時効性Al−Mg−Si系、Al−Mg−Si−Cu系合金板についての従来の特許文献1〜特許文献3に開示された製造方法により得られた板では、最近の自動車用ボディシートに要求される特性を充分に満足させることは困難であった。
すなわち、最近では材料の室温経時変化による成形性(プレス成形性、形状凍結性、ヘム加工性など)の劣化を防ぐために、Al−Mg−Si系、Al−Mg−Si−Cu系自動車用ボディシート材については、材料の『賞味期限』が設定され、材料の使用自由度が制限されている。自動車用ボディシート材の他の性能を損なうことなく、室温経時変化を一層抑制して材料の『賞味期限』を最大限に延長させる点については、従来の一般的な製造方法によって得られたAl−Mg−Si系、Al−Mg−Si−Cu系合金板では未だ不充分であった。
また塗装焼付については、省エネルギおよび生産性の向上、さらには高温に曝されることが好ましくない樹脂等の材料との併用などの点から、従来よりも焼付温度を低温化し、また焼付時間も短時間化する傾向が強まっている。しかしながら従来の一般的な製法により得られた時効性Al−Mg−Si系、Al−Mg−Si−Cu系合金板の場合、低温・短時間の塗装焼付処理では、塗装焼付時の硬化(焼付硬化)が不足し、塗装焼付後に充分な高強度が得難くなる問題があった。
ここで、従来の一般的な製法により得られた時効性Al−Mg−Si系、Al−Mg−Si−Cu系合金板では、塗装焼付後に高強度を得るために焼付硬化性を高めようとすれば、素材の延性と曲げ加工性が低下し、また板製造後に室温に放置した場合に室温時効により硬化が生じやすくなり、そのため成形性、特にヘム加工性が阻害されがちとなるという問題が生じている。
また特許文献1〜特許文献3に開示された製造方法により得られた板では、高い塗装焼付硬化性を得ようとすれば、室温経時変化の抑制が不十分になったり、室温経時変化の抑制が強くなれば、高い焼付け硬化性を損なったりするという問題点がある。すなわち、焼付硬化性(BH性)と室温経時変化の抑制を両立させるには不充分であった。
この点で、特許文献4、特許文献5に開示された製法では、アルミニウム合金マトリックスに生成されるクラスターに着目した検討が行われてはいるものの、合理的なコストで適切な特性を実現するという要請を十分満足するものではなかった。
すなわち、自動車用ボディシート向け等の用途に対応するためには、焼付硬化性(BH性)と成形性(延性)という相反する特性および室温経時変化の抑制という要請に関し、合理的なコストで最適な性能バランスを実現することが求められる。
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、焼付硬化性が優れ、製造後の室温での経時的な変化が少ないという要件に対応でき、これらの性能バランスを最適に構築できる成形加工用アルミニウム合金板を合理的に製造し得る成形加工用アルミニウム合金板の製造方法を提供することを目的とするものである。
前述のような課題を解決するべくこの発明者等が種々実験・検討を重ねた結果、Al−Mg−Si系もしくはAl−Mg−Si−Cu系合金の最終板の組織として、室温クラスターあるいは室温クラスター構造に近い構造を有してなるクラスター(これをこの発明において以後「クラスターI」とする)と60℃〜130℃の高温クラスターであってクラスターIの生成温度域よりも高い温度域で生成されるクラスター(これをこの発明において以後クラスターIに対する呼称として「クラスターII」とする)の複合構造とすることにより優れた焼付け硬化性、耐室温経時変化性、成形性(延性)とを同時に得ることができ、また用途に応じて熱処理の条件を変えてクラスターIとクラスターIIの生成順番と生成量を適切に制御することによってこれら特性のバランスを調整することができる。そしてまたこのような優れた性能を有する成形加工用アルミニウム合金板を量産的規模で確実かつ安定して製造し得るプロセス条件を見出し、この発明をなすに至ったのである。
すなわちこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法は、Al−Mg−Si系もしくはAl−Mg−Si−Cu系合金からなるアルミニウム合金鋳塊から圧延工程と昇温と冷却を含む熱処理工程を経て所要の板厚の圧延板とし、その圧延板に対し、480℃以上の温度で溶体化処理後、クラスターI生成処理(下記(1))とクラスターII生成処理(下記(2))とを交互に施すにあたりクラスターII生成処理を2回以上行うことを特徴とする。
(1)60℃未満の温度域で5sec(秒)以上30min以下滞留させるクラスターI(室温クラスターあるいは室温クラスター構造に近い構造を有してなるクラスター)生成処理
(2)60℃以上130℃以下の温度域で1min以上の所定時間滞留させるクラスターII(高温クラスターであってクラスターIの生成温度域よりも高い温度域で生成されるクラスター)生成処理
この発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法によれば、溶体化処理後、まず(2)クラスターII生成処理を行うことによって特に高品質の自動車ボディシート用アルミニウム合金板を製造できる。
前記第一のクラスターII生成処理が130℃以下の温度域に100℃/min(分)以上の冷却速度で冷却して行われ、前記所定時間を30min以下とすることができる。
さらにクラスターI生成処理後に前記所定時間を1h(時間)以上とするクラスターII生成処理を行うことができる。
またこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法は、Mg0.2〜1.5%(mass%、以下同じ)、Si0.3〜2.0%を含有し、かつMn0.03〜0.6%、Cr0.01〜0.4%、Zr0.01〜0.4%、Fe0.03〜0.5%、Ti0.005〜0.2%、Zn0.03〜2.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、さらにCuが1.5%以下に規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金が素材とされ、鋳塊から圧延工程と昇温と冷却を含む熱処理工程を経て所要の板厚の圧延板とし、その圧延板に対し、480℃以上の温度で溶体化処理を行ってから130℃以下の温度域に100℃/min以上の冷却速度で冷却し、引き続き60℃以上130℃以下の温度域で1min以上30min以下滞留させてから、一旦60℃未満の温度域で5sec以上30min以下滞留させ、再び60℃以上130℃以下の温度域で1h以上安定化処理を行うことを特徴とする。
さらにこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法によって得られる成形加工用アルミニウム合金板は、製造直後(製造後の常温放置中に生成するクラスターなどを除く)においてクラスターIとクラスターIIとの複合構造を有する。ここで製造直後においてクラスターIとクラスターIIとの複合構造を有する点が重要であって、製造中に生成したクラスターIIと製造後の常温放置中に生成するクラスターIの複合構造では、耐室温時効性の効果を得ることができない。
そしてこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法によって得られる成形加工用アルミニウム合金板は、クラスターII、クラスターI、クラスターIIの生成順番で生成された複合構造を有することを特徴とする。
[作用]
この発明の成形加工用アルミニウム合金板によれば、(1)クラスターI生成処理と(2)クラスターII生成処理とを交互に施すこと、および、(2)クラスターII生成処理を2回以上行って複合クラスター構造を作り上げることによってその用途に応じた特性が実現される様に調整するので、例えば480℃以上の温度で溶体化処理を行ってから130℃以下の温度域に100℃/min以上の冷却速度で冷却し、引き続き60℃以上130℃以下の温度域で1min以上30min以下滞留させてクラスターII生成処理を行い、さらに一旦60℃未満の温度域で5sec以上30min以下滞留させてクラスターI生成処理を施し、再び60℃以上130℃以下の温度域で1h以上安定化処理を行うクラスターII生成処理を施すこととすれば、まず一定量のクラスターIIを先に生成させてから、焼付け硬化性、耐室温経時変化性、成形性(延性)のバランスを最適にするために一定割合のクラスターIを組織に混ぜることが可能となり、さらに再び60℃以上130℃以下の温度域で安定化処理を行うことによって『クラスターII→クラスターI→クラスターII』のような複合クラスター構造を作り上げることができ、これによって焼付け硬化性、耐室温経時変化性、成形性(延性)のバランスの最適化が実現される。
この発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法によって製造された成形加工用アルミニウム合金板は、成形性(延性)が優れていると同時に焼付硬化性が良好で塗装焼付後の強度が高く、また室温での経時変化も少なく、したがってプレス加工やヘム加工を施してから塗装焼付けを行って使用される自動車用ボディシート等に最適である。またこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法によれば、上述のように優れた性能を有する成形加工用アルミニウム合金板を、量産的規模で確実かつ安定して低コストで製造することができる。
またこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法におけるアルミニウム合金板は、基本的にはAl−Mg−Si系合金もしくはAl−Mg−Si−Cu系合金であれば良く、その具体的な成分組成は特に制約されるものではない。通常はMg0.2〜1.5%、Si0.3〜2.0%を含有し、かつMn0.03〜0.6%、Cr0.01〜0.4%、Zr0.01〜0.4%、Fe0.03〜0.5%、Ti0.005〜0.2%、Zn0.03〜2.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、さらにCuが1.5%以下に規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりなる合金を素材とすることが好ましい。
以下にこのように規定する素材合金の成分組成の限定理由について説明する。
Mg:
Mgはこの発明で対象としている系の合金で基本となる合金元素であって、Siと共同して強度向上に寄与する。Mg量が0.2%未満では塗装焼付時に析出硬化によって強度向上に寄与するG.P.ゾーンの生成量が少なくなるため、充分な強度向上が得られず、一方1.5%を越えれば、粗大なMg−Si系の金属間化合物が生成され、成形性、特に曲げ加工性が低下するから、Mg量は0.2〜1.5%の範囲内とした。最終板の成形性、特に曲げ加工性をより良好にするためには、Mg量は0.3〜0.9%の範囲内が好ましい。
Si:
Siもこの発明の系の合金で基本となる合金元素であって、Mgと共同して強度向上に寄与する。またSiは、鋳造時に金属Siの晶出物として生成され、その金属Si粒子の周囲が加工によって変形されて、溶体化処理の際に再結晶核の生成サイトとなるため、再結晶組織の微細化にも寄与する。Si量が0.3%未満では上記の効果が充分に得られず、一方2.0%を越えれば粗大なSi粒子や粗大なMg−Si系の金属間化合物が生じて、成形性、特に曲げ加工性の低下を招く。したがってSi量は0.3〜2.0%の範囲内とした。プレス成形性と曲げ加工性とのより良好なバランスを得るためには、Si量は0.5〜1.3%の範囲内が好ましい。
Mn、Cr、Zr、Fe、Ti、Zn、Cu:
これらの元素は、強度向上や結晶粒微細化、あるいは時効性(焼付硬化性)の向上や表面処理性の向上に有効であり、いずれか1種または2種以上を添加する。これらのうちMn、Cr、Zrは強度向上と結晶粒の微細化および組織の安定化に効果がある元素であるが、Mnの含有量が0.03%未満、もしくはCrの含有量が0.01%未満、またはZrの含有量が0.01%未満では、上記の効果が充分に得られず、一方Mnの含有量が0.6%を越えるか、あるいはCr、Zrの含有量がそれぞれ0.4%を越えれば、上記の効果が飽和するばかりでなく、多数の金属間化合物が生成されて成形性、特にヘム曲げ性に悪影響を及ぼすおそれがあり、したがってMnは0.03〜0.6%の範囲内、Cr、Zrはそれぞれ0.01〜0.4%の範囲内とした。
またFeも強度向上と結晶粒微細化に有効な元素であるが、その含有量が0.03%未満では充分な効果が得られず、一方0.5%を越えれば、成形性、特に曲げ加工性が低下するおそれがあり、したがってFe量は0.03〜0.5%の範囲内とした。さらにTiも強度向上と鋳塊組織の微細化に有効な元素であるが、その含有量が0.005%未満では充分な効果が得られず、一方0.2%を越えればTi添加の効果が飽和するばかりでなく、粗大な晶出物が生じるおそれがあるから、Ti量は0.005〜0.2%の範囲内とした。
またZnは時効性向上を通じて強度向上に寄与するとともに表面処理性の向上に有効な元素であるが、Znの添加量が0.03%未満では上記の効果が充分に得られず、一方2.5%を越えれば成形性と耐食性が低下するから、Zn量は0.03〜2.5%の範囲内とした。
Cuは強度向上および成形性向上のために添加されることがある元素である。この強度向上および成形性向上の目的から0.05%以上添加される。しかし、その量が1.5%を越えれば耐食性(耐粒界腐食性、耐糸錆性)が劣化するから、Cuの含有量は1.5%以下に規制することとした。なお、より耐食性の改善を図りたい場合はCu量は1.0%以下が好ましく、さらに特に耐食性を重視する場合は、さらに特に耐食性を重視する場合は、Cu量は0.05%以下に規制することが望ましい。この場合、強度と成形性は他の元素の添加量あるいは製造工程の調整で達成する。
以上の各元素のほかは、基本的にはAlおよび不可避的不純物とすれば良い。
なお上記のMn、Cr、Zr、Fe、Ti、Zn、Cuの含有量範囲は、それぞれ積極的に添加する場合の範囲として示したものであり、いずれも下限値より少ない量を不純物として含有する場合を排除するものではない。特に0.03%未満のFeは、通常のアルミ地金を用いれば不可避的に含有されるのが通常である。
また時効性Al−Mg−Si系合金、時効性Al−Mg−Si−Cu系合金においては、高温時効促進元素あるいは室温時効抑制元素であるAg、In、Cd、Be、あるいはSnを微量添加することがあるが、この発明の場合も微量添加であればこれらの元素の添加も許容され、それぞれ0.3%以下であれば特に所期の目的を損なうことはない。
なおまた、一般のAl合金においては、鋳塊組織の微細化のために前述のTiと同時にBを添加することもあり、BをTiとともに添加することによって、鋳塊組織の微細化と安定化の効果が一層顕著となる。そしてこの発明の場合、Tiとともに500ppm以下のBを添加することは許容される。
更に、鋳塊組織の微細化にはV、Scの添加も効果があるとされており、この発明の場合も微量のVもしくはScを添加しても良く、V0.03〜0.3%、Sc0.01〜0.2%の範囲内であれば特に支障はない。
次にこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法について説明する。
先ずこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法では前述のような成分組成の合金を常法に従って溶製し、DC鋳造法等の通常の鋳造法によって鋳造する。
次にこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法では得られた鋳塊に対して、例えば下記のいずれかの工程で熱処理、圧延が施され、所要の板厚とされる。
1.均質化処理工程⇒熱間圧延工程⇒冷間圧延工程⇒中間焼鈍工程⇒冷間圧延工程
2.均質化処理工程⇒熱間圧延工程⇒焼鈍工程⇒冷間圧延工程
3.均質化処理工程⇒熱間圧延工程⇒冷間圧延工程
4.熱間圧延工程⇒冷間圧延工程⇒中間焼鈍工程⇒冷間圧延工程
5.熱間圧延工程⇒焼鈍工程⇒冷間圧延工程
6.熱間圧延工程⇒冷間圧延工程
7.均質化処理工程⇒熱間圧延工程
8.熱間圧延工程
すなわちこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法は、得られる成形加工用アルミニウム合金板の用途に応じた特性の調整を可能にする柔軟性が骨子であり、したがって、鋳塊を所要の板厚とする工程については、その条件が特に限定されるものではない。
一般的には、均質化処理温度480℃以上、保持時間1h以上48h以下、熱間圧延の開始温度300℃以上590℃以下、中間焼鈍温度300℃以上保持0h〜24hなどの工程が実施される。
以上に関し、商品としての自動車に関してはその製造原価、売価、求められる性能・品質はきわめて多様であって、自動車車体用成形加工用アルミニウム合金板については使用車種のデザイン等で要求性能レベルは異なる。この発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法はその異なる要求性能レベルに対応して適切な特性の調整が可能な点に眼目があり、その点から鋳塊を所要の板厚とする前工程も、要求性能レベルとの兼ね合いで適切に設定することができる。また後述するように、この発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法では溶体化処理が高温で行われることから最終的に得られる成形加工用アルミニウム合金板の塗装焼き付け硬化性や成形性への前工程の影響は非常に少なくなる。
次にこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法では、鋳塊を所要の板厚とした後、480℃以上の温度で溶体化処理を行なう。この溶体化処理は、MgSi、単体Si等をマトリックスに固溶させ、これにより焼付硬化性を付与して塗装焼付後の強度向上を図るために重要な工程である。またこの工程は、MgSi、単体Si粒子等の固溶により第2相粒子の分布密度を低下させて、延性と曲げ性を向上させるためにも寄与し、さらには再結晶により最終的に所要の結晶方位を得て、良好な成形性を得るためにも重要な工程である。
溶体化処理温度が480℃未満の場合、室温での経時変化の抑制に対しては有利と考えられるが、その場合MgSi、Siなどの固溶量が少なくなって、充分な焼付硬化性が得られなくなるばかりでなく、延性と曲げ性も著しく悪化するから、溶体化処理温度は480℃以上とする必要がある。なお特に溶体化効果を重視する場合は、溶体化処理温度は500℃以上とすることが好ましい。一方溶体化処理温度の上限は特に規定しないが、共晶融解の発生のおそれや再結晶粒粗大化等を考慮して、通常は580℃以下とすることが望ましい。また溶体化処理の時間は特に規制しないが、通常は5minを越えれば溶体化効果が飽和し、経済性を損なうばかりではなく、結晶粒の粗大化のおそれもあるから、溶体化処理の時間は5min以内が望ましい。
この発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法では、溶体化処理後にクラスターI生成処理とクラスターII生成処理とを交互に施す。
ここでこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法におけるクラスターI生成処理とクラスターII生成処理におけるクラスターIおよびクラスターIIにつき説明する。
(1)クラスターI
室温で生成されるクラスターあるいは室温で生成されるクラスターに類似するものをクラスターI(別名:G.P.ゾーンIと呼ぶこともある)と称する。その特徴として示差走査熱量計(DSC:Differential Scanning Calorimetry)測定により、昇温速度10℃/min〜50℃/minのレンジにおいて150℃〜300℃の温度範囲でクラスターの溶解に相当する吸熱ピークが明確に認められる。この室温クラスターは強度に寄与するG.P.ゾーンに移行しにくいため、塗装焼付硬化性には不利となるがクラスターIIとの複合形態で耐室温時効性と成形性(延性)には有利となる。
(2)クラスターII
クラスターII(別名:G.P.ゾーンIIと呼ぶこともある)はクラスターIと比較して、より高温域で生成し、構造的に安定性が増し、強度に寄与するG.P.ゾーンに移行しやすいため、塗装焼付硬化性に有利である。
その特徴として示差走査熱量計(DSC:Differential Scanning Calorimetry)測定により、昇温速度10℃/min〜50℃/minのレンジにおいて150℃〜300℃の温度範囲でクラスターの溶解に相当する吸熱ピークが明確には認められない。
この発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法では溶体化処理後に以上のクラスターI生成処理とクラスターII生成処理とを交互に施すことによって、焼付け硬化性と成形性(延性)のバランスをはかることが可能となる。
すなわち、クラスターI生成処理によって得られるクラスターIは強度に寄与するG.P.ゾーンに移行しにくいため、塗装焼付硬化性には不利となる反面、クラスターIIとの複合形態で耐室温時効性と成形性(延性)には有利であるという特性を備える。
一方、クラスターII生成処理によって得られるクラスターIIは構造的に安定性が増し、強度に寄与するG.P.ゾーンに移行しやすいため、塗装焼付硬化性に有利であるという特性を備える。
そこで溶体化処理後にクラスターI生成処理とクラスターII生成処理とを交互に施すことによって、その条件を用途に応じて設定して、クラスターIとクラスターIIとの複合構造を得るようにすることによって焼付け硬化性と成形性(延性)のバランスを用途に応じて最適化した成形加工用アルミニウム合金板を製造することができる。
またこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法では、クラスターI生成処理とクラスターII生成処理とを交互に施すにあたってクラスターII生成処理を2回以上行うことがその条件とされる。この様にクラスターI生成処理とクラスターII生成処理とを交互に施し、かつクラスターII生成処理を2回以上行う態様として、
(a)溶体化処理→クラスターI生成処理→クラスターII生成処理→クラスターI生成処理→クラスターII生成処理
(b)溶体化処理→クラスターII生成処理→クラスターI生成処理→クラスターII生成処理
以上の(a)プロセスまたは(b)プロセスが必ず履行されることになる。
このようにクラスターII生成処理を2回以上行う理由は塗装焼付硬化性に有利なクラスターIIの生成量を増やし、焼付け硬化性と成形性(延性)のバランスの最適化が実現されると共に特に塗装焼付硬化性が重要な特性となる自動車ボディシート用の成形加工用アルミニウム合金板においてクラスターIの生成処理による塗装焼付硬化性の低下を防ぐことができる。またクラスターII生成処理を2回以上行った複合クラスター構造を作り上げることによって製造後の室温放置によって生成するクラスターIの量が減り、室温経時変化が抑制できる。
なお、以上の様にクラスターII生成処理を2回以上行うとしても、係るクラスターII生成処理の履行回数の上限は、この発明の成形加工用アルミニウム合金板を素材として用いる商品、例えば自動車の製造原価、売価、求められる性能・品質等に応じて決定される。
一般的にはクラスターII生成処理を3回以上行うという実施態様は特性の点からは好ましい場合もあるが、製造原価の増大を伴うので工業的には採用しにくい。
次にこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法では上述のように480℃以上の温度での溶体化処理を行なった後には、まずクラスターII生成処理を行なう。
この場合に、(a)プロセスを実施し、溶体化処理後、特に100℃/min以上の平均冷却速度で60℃未満の温度域あるいは室温に冷却し、クラスターI生成処理を行った場合には、このクラスターI生成処理によって得られる室温クラスターは強度に寄与するG.P.ゾーンに移行しにくいため、塗装焼付硬化性に不利となる。したがって前記(a)のプロセスは塗装焼付硬化性が重視される用途には適しない。
一方、溶体化処理後に130℃を越える温度範囲に冷却してそのまま保持した場合には、G.P.ゾーンあるいは安定相が生成され、成形前の素材強度が高くなり過ぎて、ヘム加工性やプレス加工等の成形性が劣化する。したがって、ヘム加工性やプレス加工等の成形性が劣化することを防止し、かつ塗装焼付硬化性が重視される用途には前記(b)のプロセスが極めて好適であり、この(b)のプロセスを履行するためには溶体化処理を行なった後にまずクラスターII生成処理を行なうことが必要となる。
またこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法では、溶体化処理後100℃/min以上の冷却速度で、130℃以下の温度域に冷却する。ここで、溶体化処理後の冷却速度が100℃/min未満では、冷却中にMgSiあるいは単体Siが粒界に多量に析出してしまい、成形性(延性)、特にヘム加工性が低下すると同時に、焼付硬化性が低下して塗装焼付時の充分な強度向上が望めなくなる。
さらにこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法では上述のように480℃以上の温度での溶体化処理を行なって100℃/min以上の冷却速度で130℃以下の温度域内まで冷却(焼入れ)した後にクラスターII生成処理として60℃以上130℃以下の温度域で1min〜30minの時効処理を行なう。
クラスターII生成処理として60℃〜130℃温度域で1min未満の滞留では、針状G.P.ゾーンに移行しやすいクラスターIIの生成量が不足で、その後、60℃未満の温度域に滞留させるクラスターI生成処理を施した場合には焼付け硬化性が低下するおそれがある。一方、30min以上では、クラスターIIの生成量が飽和するばかりではなく、生産性と経済性を損なう。したがって、溶体化処理後に行なわれる第一次のクラスターII生成処理は30min以下とした。なお、生産性と経済性をより重視する場合は、溶体化処理後に行なわれる第一次のクラスターII生成処理は5min以下の処理が望ましい。
次にこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法では上記のクラスターII生成処理後、一旦60℃未満の温度域で5sec以上30min以下滞留させるクラスターI生成処理としての時効処理を行う。その理由は次の通りである。
すなわち、この発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法では前述した様に塗装焼付硬化性向上を主たる目的として前記(b)のプロセスすなわち溶体化処理を行なった後にまずクラスターII生成処理を行なう。
しかし、このクラスターII生成処理によって得られたクラスターIIのみの組織では、焼付け硬化性の向上に有利ではあるが、成形性(延性)の向上、製造後の室温経時変化の抑制に不利である。そこで、まず一定量のクラスターIIを先に生成させてから、焼付け硬化性と成形性(延性)のバランスを最適にするために一定割合のクラスターIを組織に混ぜることが必要となる。
そこで係る目的でこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法では上記のクラスターII生成処理後クラスターI生成処理としての時効処理を行う。
このクラスターI生成処理としての時効処理が5sec未満では、クラスターIの生成量が不足であり、30minを越えると、クラスターIが多量に生成され、焼付け硬化性の大きな低下を招くおそれがある。焼付け硬化性の低下を最小限に抑えるには、5min以内の保持時間が望ましい。
なお、クラスターI生成処理の温度範囲である60℃未満の温度域である「室温」は通常の意味に用いられ、自動車用ボディシート向け等の用途に対応するため室温経時変化を抑制するという要請との関係では自動車用ボディシートの保管温度である「常温」として理解することも可能でこの発明では特に厳密に限定されない。しかし、その上限温度はこの発明の目的からクラスターII生成処理温度とは自ずと区別され、したがって上限温度は60℃未満であって、好ましくは35℃以下とされる。一方、下限温度も特には規定しないが、生産コストを低減するという必要上からは、5℃以上とするのが有利である。
この発明では、さらにクラスターII生成処理として再び60℃以上130℃以下の温度域で1h以上保持する安定化処理を行う。
このクラスターII生成処理としての安定化処理を行う理由はクラスターIIの生成量を増やし、『クラスターII→クラスターI→クラスターII』のような複合クラスター構造を作り上げることによってはじめて焼付け硬化性と成形性(延性)のバランスの最適化が実現されることにある。しかも、このような複合クラスターの存在によって、より有効に空孔をトラップすることができ、製造後の室温放置によって生成するクラスターIの量が減り、室温経時変化が抑制できる。
ここで、同じくクラスターII生成処理であっても、クラスターI生成処理前の第一次のクラスターII生成処理では60℃以上130℃以下の温度域で30min以下の時効処理を行うのに対して、クラスターI生成処理後の第二次のクラスターII生成処理では60℃以上130℃以下の温度域で1h以上保持する安定化処理とするのは、次の理由による。
すなわち、第一次のクラスターII生成処理後にクラスターI生成処理を行うことによって得られるアルミニウム合金板は、その限りにおいてのクラスターIIとクラスターIとの複合構造になっているが、このような短時間熱処理だけでは、その後の室温放置した場合の経時変化の抑制に不十分である。従ってクラスターI生成処理後に仕上げのクラスターII生成処理としての比較的長い時間の安定化処理では、クラスターIおよびクラスターIIの生成量を適切に制御することによって特性のバランスを調整しクラスターIIとクラスターIとの複合構造を完成させて、その後室温に放置した場合の経時変化の余地を極力少なくするという意味で、60℃以上130℃以下の温度域で1h以上の保持が行われる。
なお、曲げ加工性を向上させるとともに、プレス成形時の肌荒れ(外観欠陥)を防止するためには、結晶粒度を細かくする必要があることが知られているが、この発明の最終板の結晶粒度は、ASTMナンバーで4以上であることが望ましい。
以下にこの発明の実施例を比較例とともに記す。なお以下の実施例は、この発明の効果を説明するためのものであり、実施例記載のプロセスおよび条件がこの発明の技術的範囲を制限するものではない。すなわちこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法はクラスターI生成処理とクラスターII生成処理を交互に施すことによって得られる成形加工用アルミニウム合金板であって、以下の実施例はその効果を示す一例である。
表1に示すこの発明成分組成範囲内の合金記号A1〜A4の合金について、それぞれ常法に従って溶製し、DC鋳造法によりスラブに鋳造した。
Figure 0004771791
得られた各スラブに対して530℃、5hの条件で均質化処理を施した。均質化処理後、熱間圧延工程、冷間圧延工程で1mm厚さの板とした。その後、得られた素材に対して表2に示す製造条件でこの発明の処理を施した。なお、表2に示す溶体化処理後の60〜130℃温度域に冷却する平均冷却速度は500℃/minである。
表2に示す製造条件においては製造番号1、製造番号2、製造番号3、製造番号4、製造番号5に関してクラスターII生成処理として、60℃〜130℃の温度域で1min以上30min以下滞留させる時効処理1が行われる。
またクラスターI生成処理として、製造番号1〜製造番号5に関して5〜60℃の温度域で5sec以上30min以下(10sec以上10min以下)滞留させる時効処理2が行われる。
さらに表2に示す製造条件においては製造番号1〜製造番号5に関してクラスターII生成処理として、クラスターI生成処理後に60℃以上130℃以下の温度域で1h以上滞留させる安定化処理が行われる。
Figure 0004771791
以上のようにして得られた各板について、各種特性評価を行った。
最終板の結晶粒度:
板の圧延方向と平行な断面においてEBSP(EBSD)法によってマッピングした画像をもとにASTMナンバーを判定した。ミスオリエンテーション5°以上の境界線を結晶粒界と見なした。
さらに以上のようにして得られた各板について、安定化処理後の室温経時変化を考慮して室温(25℃)に20日放置した後、引張試験を行なって、機械的強度として0.2%耐力値を測定した(YS1)。さらにその後、室温(25℃)に270日放置した後、機械的強度として0.2%耐力値を測定し(YS2)、YS2−YS1によって経持変化評価の指標とした。
さらにその室温(25℃)に270日放置した各板につき、ヘム曲げ試験によるヘム加工性評価と、張出し高さを測定した。
ヘム加工性の評価:
材料の圧延方向に対して板面内0°、45°、90°三方向に曲げ試験片を採取し、5%ストレッチしてから、180°に密着曲げを行ない、目視により割れの発生の有無を観察した。ここで○印は割れ無しを、また×印は割れ有りを示す。
張出し試験:
200mm×200mmの大きさの1mm板の両面にマスキングフィルムを貼り、さらに潤滑を高めるため、ワックスを塗った状態で張出し試験に供し、最大張出し高さを調べた。なおポンチとしては球頭ポンチ径100mmのものを使用した。
さらにその後、室温(25℃)に270日放置した各板につき、それぞれ2%ストレッチ後、170℃×20minの塗装焼付(ベーク)処理を施し、その焼付後の各板について引張試験を行なって、機械的強度として0.2%耐力値を測定し焼付硬化性(BH性)評価の指標とした。
以上の各種評価の結果を表3に示す。
Figure 0004771791
表1〜表3に示される様に、製造番号1〜製造番号5は、いずれも合金の成分組成がこの発明で規定する範囲内であって、かつ製造プロセス条件もこの発明で規定する範囲内に設定されて、まず第一のクラスターII生成処理として時効処理1が行われ、次にクラスターI生成処理として時効処理2が行われて、さらに第二のクラスターII生成処理としての安定化処理が順次行われた。係る製造プロセスは前述した(b)プロセスの実施に該当する。
その結果、これによって得られた製造番号1〜製造番号5の成形加工用アルミニウム合金板はヘム加工性が優れ、また焼付硬化性が高く、塗装焼付時に充分な焼付硬化性を示し、さらに9ヶ月の材料強度(耐力)の経時変化も最大で製造番号1の21MPaであって小さい。したがってこれらの製造番号1〜製造番号5のものは焼き付け硬化性(BH)やヘム加工性および成形性が重視される自動車ボディシート用に好適に利用することができる。
具体的には製造番号1では溶体化処理後の時効処理1の滞留時間は61secであって60℃〜130℃の温度域で1min以上30min以下滞留させるという条件でのクラスターII生成処理が履行された。
さらに時効処理1後の時効処理2も滞留時間が10secとされて5℃〜60℃の温度域で5sec以上30min以下滞留させるという条件でのクラスターI生成処理が履行された。したがって、クラスターII生成処理とクラスターI生成処理相互のバランスも良く、その後さらにクラスターII生成処理として、100℃で1h滞留させる安定化処理が行われた。
したがって製造番号1はこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法の実施に該当する。
その結果、焼き付け硬化性(BH)が199MPaと大ききく、またヘム加工性の目視結果も良好であった。さらに張り出し高さが39.1mmであり十分な成形性を示した。したがって、この製造番号1は焼き付け硬化性(BH)やヘム加工性および成形性が重視される自動車ボディシート用に好適に利用できる。
また製造番号2では溶体化処理後の時効処理1の滞留時間は93secであって60℃〜130℃の温度域で1min以上30min以下滞留させるという条件でのクラスターII生成処理が履行された。さらに時効処理1後の時効処理2も滞留時間が65secとされて5℃〜60℃の温度域で5sec以上30min以下滞留させるという条件でのクラスターI生成処理が履行された。また、クラスターII生成処理とクラスターI生成処理のバランスも良く、その後さらにクラスターII生成処理として、90℃で6h保持する安定化処理が行われた。
したがって製造番号2はこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法の実施に該当する。
その結果、焼き付け硬化性(BH)が218MPaと大きく、またヘム加工性の目視結果も良好であった。さらに張り出し高さが38.3mmであり十分な成形性を示した。また室温(25℃)に20日放置した後、引張試験を行なって0.2%耐力値を測定した(YS1)と、室温(25℃)に270日放置した後0.2%耐力値を測定した(YS2)として得られた数値によって経持変化評価の指標とした(YS2−YS1)値が14MPaと極めて小さく経時変化性が良好であった。したがって、この製造番号2は焼き付け硬化性(BH)やヘム加工性および成形性が重視され、いわゆる「賞味期限」が長いという特性を示す経時変化性が重視される自動車ボディシート用に好適に利用できる。
なお以上の製造番号1、製造番号2では最初のクラスターII生成処理における滞留時間がその後のクラスターI生成処理における滞留時間よりも過長にされた。
さらに製造番号3では溶体化処理後の時効処理1の滞留時間は88secであって60℃〜130℃の温度域で1min以上30min以下滞留させるという条件でのクラスターII生成処理が履行された。さらに時効処理1後の時効処理2も滞留時間が126secとされて5℃〜60℃の温度域で5sec以上30min以下滞留させるという条件でのクラスターI生成処理が履行された。その後さらにクラスターII生成処理として、90℃から2℃/hの速度で除冷する安定化処理が行われた。
係る 製造番号3はこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法の実施に該当する。
その結果、焼き付け硬化性(BH)が222MPaと大きく、またヘム加工性の目視結果も良好であった。さらに張り出し高さが38.6mmであり十分な成形性を示した。また(YS2−YS1)値が14MPaと小さく経時変化性も良好であった。
したがって、この製造番号3は焼き付け硬化性(BH)やヘム加工性および成形性、経時変化性が総合的に重視される自動車ボディシート用に好適に利用できる。
なお以上の製造番号3では最初のクラスターII生成処理における滞留時間よりもその後のクラスターI生成処理における滞留時間が過長にされた。
さらに製造番号4では溶体化処理後の時効処理1の滞留時間は180secであって60℃〜130℃の温度域で1min以上30min以下滞留させるという条件でのクラスターII生成処理が履行された。さらに時効処理1後の時効処理2も滞留時間が189secとされて5℃〜60℃の温度域で5sec以上30min以下滞留させるという条件でのクラスターI生成処理が履行された。その後さらにクラスターII生成処理として、70℃に8h保持する安定化処理が行われた。
この製造番号4はこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法の実施に該当する。
その結果、焼き付け硬化性(BH)が209MPaと大きく、またヘム加工性の目視結果も良好であった。さらに張り出し高さが40.1mmであり極めて高い成形性を示した。また(YS2−YS1)値も17MPaと小さく経時変化性も良好であった。
したがって、この製造番号4は焼き付け硬化性(BH)やヘム加工性および成形性、経時変化性が総合的に重視される自動車ボディシート用に好適に利用できる。
なお以上の製造番号4では最初のクラスターII生成処理における滞留時間よりもその後のクラスターI生成処理における滞留時間が過長にされてはいるがほぼ滞留時間は同程度とされた。
さらに製造番号5では溶体化処理後の時効処理1の滞留時間は300secであって60℃〜130℃の温度域で1min以上30min以下滞留させるという条件でのクラスターII生成処理が履行された。さらに時効処理1後の時効処理2は滞留時間が600secとされて5℃以上60℃未満の温度域で5sec以上30min以下滞留させるという条件でのクラスターI生成処理が履行された。その後さらにクラスターII生成処理として、120℃から5℃/hの速度で除冷する安定化処理が行われた。
係る製造番号5はこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法の実施に該当する。
その結果、焼き付け硬化性(BH)が226MPaと大きく、またヘム加工性の目視結果も良好であった。さらに張り出し高さが37.2mmであり成形性に不足はなく、また(YS2−YS1)値も18MPaと小さく経時変化性も良好であった。
したがって、この製造番号5は焼き付け硬化性(BH)やヘム加工性および成形性、経時変化性が総合的に重視される自動車ボディシート用に好適に利用できる。
なお以上の製造番号5では最初のクラスターII生成処理における滞留時間は5minであり、その後のクラスターI生成処理における滞留時間は10minと、それぞれが以上の製造番号1〜製造番号4よりも過長にされた。その様にCu入り合金成分でクラスターII生成処理における滞留時間が長くされた結果、高い焼き付け硬化性(BH)が得られ、YS2も152MPaと大きくなった。その結果、張り出し高さが製造番号1〜製造番号4に比べ若干低いものの不具合なほどの成形性の悪化は認められない。
これに対し、製造番号6、製造番号7についても合金の成分組成がこの発明で規定する範囲内であって、かつ製造プロセス条件も、クラスターII生成処理として時効処理1が行われ、次にクラスターI生成処理として時効処理2が行われて、さらにクラスターII生成処理としての安定化処理が順次行われた。
ただし、製造番号6では溶体化処理後の時効処理1の滞留時間が5secであって60℃〜130℃の温度域で1min以上30min以下滞留させるという条件でのクラスターII生成処理は履行されておらず、また時効処理1後の時効処理2の滞留時間は1900secで31minあまりとなって過剰なクラスターI生成処理が行われた。したがって製造番号6はこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法実施には該当しない。
したがって、事前に十分なクラスターII生成処理が履行されていないことからも、バランスを失ってクラスターIが多量に生成され、その後クラスターII生成処理として、100℃で4h滞留させる安定化処理が行われて焼き付け硬化性(BH)が163MPaと大きな低下を生じている。またヘム加工性が不良であった。したがって、焼き付け硬化性(BH)やヘム加工性が重視される自動車ボディシート用には必ずしも適切であるとは言えない。
一方、製造番号7では溶体化処理後の時効処理1の滞留時間は75secであって60℃〜130℃の温度域で1min以上30min以下滞留させるクラスターII生成処理が履行されてはいる。しかし時効処理1後の時効処理2の滞留時間は2400secで40min程度となって過剰なクラスターI生成処理が行われた。その結果、事前に行われたクラスターII生成処理とのバランスが失われてクラスターIが多量に生成され、その後クラスターII生成処理として、90℃で6h滞留させる安定化処理が行われても、焼き付け硬化性(BH)が166MPaと大きな低下を生じている。またヘム加工性が不良であった。したがって、この製造番号7も焼き付け硬化性(BH)やヘム加工性が重視される自動車ボディシート用には適切でない。

製造番号8は、合金の成分組成はこの発明で規定する範囲内であるが、製造プロセス条件においてクラスターII生成処理、クラスターI生成処理を交互に実施するというこの発明の条件を充足していない。
具体的には製造番号8の場合は溶体化処理後の時効処理1の滞留時間が3secであって60℃〜130℃の温度域で1min以上30min以下滞留させるというクラスターII生成処理が履行されておらず、また時効処理1後の時効処理2の滞留時間は0すなわち時効処理2が行われずクラスターI生成処理が行われずに、再度クラスターII生成処理として、120℃で1h滞留させる安定化処理が行われているのみである。その結果として、製造番号8は(YS2−YS1)値が44MPaと経時変化が極めて劣悪であり、ヘム加工性も劣り、張出し高さも低く成形性が不十分である事実が認められた。
この発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法によって製造される成形加工用アルミニウム合金板は、自動車ボディシート、ボディパネルの如く各種自動車、船舶、航空機等の部材・部品、あるいは建築材料、構造材料、そのほか各種機械器具、家電製品やその部品等の素材として適用することができる。

Claims (4)

  1. Al−Mg−Si系もしくはAl−Mg−Si−Cu系合金からなるアルミニウム合金鋳塊から圧延工程と昇温と冷却を含む熱処理工程を経て所要の板厚の圧延板とし、その圧延板に対し、480℃以上の温度で溶体化処理後、クラスターI生成処理(下記(1))とクラスターII生成処理(下記(2))とを交互に施すにあたりクラスターII生成処理を2回以上行うことを特徴とする成形加工用アルミニウム合金板の製造方法。
    (1)60℃未満の温度域で5sec(秒)以上30min以下滞留させるクラスターI(室温クラスターあるいは室温クラスター構造に近い構造を有してなるクラスター)生成処理
    (2)60℃以上130℃以下の温度域で1min以上の所定時間滞留させるクラスターII(高温クラスターであってクラスターIの生成温度域よりも高い温度域で生成されるクラスター)生成処理
  2. 前記第一のクラスターII生成処理が130℃以下の温度域に100℃/min(分)以上の冷却速度で冷却して行われ、前記所定時間を30min以下とする請求項1記載の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法。
  3. クラスターI生成処理後に前記所定時間を1h(時間)以上とするクラスターII生成処理を行う請求項1又は請求項2に記載の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法。
  4. Mg0.2〜1.5%(mass%、以下同じ)、Si0.3〜2.0%を含有し、かつMn0.03〜0.6%、Cr0.01〜0.4%、Zr0.01〜0.4%、Fe0.03〜0.5%、Ti0.005〜0.2%、Zn0.03〜2.5%、Cu0.05〜1.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金が素材とされ、鋳塊から圧延工程と昇温と冷却を含む熱処理工程を経て所要の板厚の圧延板とし、その圧延板に対し、480℃以上の温度で溶体化処理を行ってから130℃以下の温度域に100℃/min以上の冷却速度で冷却し、引き続き60℃以上130℃以下の温度域で1min以上30min以下滞留させてから、一旦60℃未満の温度域で5sec以上30min以下滞留させ、再び60℃以上130℃以下の温度域で1h以上安定化処理を行うことを特徴とする成形加工用アルミニウム合金板の製造方法。
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