JPH0874014A - 高成形性と良好な焼付硬化性を有するアルミニウム合金板の製造方法 - Google Patents

高成形性と良好な焼付硬化性を有するアルミニウム合金板の製造方法

Info

Publication number
JPH0874014A
JPH0874014A JP6213576A JP21357694A JPH0874014A JP H0874014 A JPH0874014 A JP H0874014A JP 6213576 A JP6213576 A JP 6213576A JP 21357694 A JP21357694 A JP 21357694A JP H0874014 A JPH0874014 A JP H0874014A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum alloy
treatment
temperature
range
subjected
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP6213576A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukio Sasaki
行雄 佐々木
Masao Kikuchi
正夫 菊池
Iwao Shu
岩 朱
Mamoru Matsuo
守 松尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sky Aluminium Co Ltd
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sky Aluminium Co Ltd
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sky Aluminium Co Ltd, Nippon Steel Corp filed Critical Sky Aluminium Co Ltd
Priority to JP6213576A priority Critical patent/JPH0874014A/ja
Publication of JPH0874014A publication Critical patent/JPH0874014A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Shaping Metal By Deep-Drawing, Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、合金成分範囲と溶体化処理後の熱
処理条件を規制することにより、室温での経時変化が少
なくかつ成形性および焼付硬化性に優れた6000系ア
ルミニウム合金板の製造方法を提供するものである。 【構成】 Mg:0.3%〜1.5wt%,Si:0.
4%〜2.0wt%,Cu:0.1%〜0.4wt%を
含有した圧延板を、480℃以上の温度で10分以内の
溶体化処理を行ってから100℃/分以上の冷却速度で
45〜75℃の温度範囲に巻き取り、その温度範囲で下
限が10秒以上、上限は耐力が105N/mm2 以下に
なるような時間範囲で予備時効処理を行い、続いて80
〜140℃の温度範囲で1〜50時間の安定化処理を行
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車のボディシート
や部品、各種機械器具、家電部品等の素材として、成形
加工および塗装焼き付けを施して使用されるアルミニウ
ム合金板の製造方法に関するものであり、特に成形性が
良好であるとともに塗装焼き付け後の強度が高く、かつ
室温での経時変化が少ない成形加工用アルミニウム合金
板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車のボディシートには、従来は主と
して冷延鋼板を使用することが多かったが、最近では車
体の軽量化の観点から、アルミニウム合金圧延板を使用
することが進められている。自動車のボディシートはプ
レス加工を施して使用するところから、成形加工性が優
れていること、また成形加工時におけるリューダースマ
ークが発生しないことが要求され、また高強度を有する
こと、特に焼き付け塗装を施すことから、塗装焼き付け
後に高強度が得られることが要求される。
【0003】従来、このような自動車用ボディシート向
けのアルミニウム合金としては時効性を有するJIS6
000番系合金、すなわちAl−Mg−Si系合金が主
として使用されている。この時効性Al−Mg−Si系
合金では、塗装焼き付け前の成形加工時においては比較
的強度が低く、成形性が優れており、一方塗装焼き付け
時の加熱によって時効されて塗装焼き付け後の強度が高
くなる利点を有するほか、リューダースマークが発生し
ない等の利点を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで塗装焼き付け
時における時効硬化を期待したAl−Mg−Si系合金
板の製造方法としては、鋳塊を均質化処理した後、熱間
圧延および冷間圧延を行って所定の板厚とし、かつ必要
に応じて熱間圧延と冷間圧延との間あるいは冷間圧延の
中途において中間焼鈍を行い、冷間圧延後に溶体化処理
を行って焼き入れるのが通常である。しかしながらこの
ような従来の一般的な製造方法では、最近の自動車用ボ
ディシートに要求される特性を十分に満足させることは
困難である。すなわち、最近ではコストの一層の低減の
ためにさらに薄肉化することが強く要求されており、そ
のため薄肉でも充分な強度が得られるように、一層の高
強度化が求められているが、この点で従来の一般的な製
造方法によって得られたAl−Mg−Si系合金板では
強度が充分ではない。
【0005】また塗装焼き付け条件についても、省エネ
ルギーおよび生産性の向上、さらには高温にさらされる
ことが好ましくない樹脂等の材料との併用などの点から
従来よりも焼き付け温度を低温化し、また焼き付け時間
も短時間化する傾向が強まっている。そのため従来の一
般的な製法により得られたAl−Mg−Si系合金板で
は、塗装焼き付け時の硬化(焼き付け硬化)が不足し、
塗装焼き付け後に充分な高強度が得難くなる問題が生じ
ていた。本発明は以上の事情を背景としてなされたもの
で、良好な成形加工性を有すると同時に、焼き付け硬化
性が優れていて、塗装焼き付け時における強度上昇が高
く、しかも板製造後の室温での経時的な変化が少なく、
長期間放置した場合でも自然時効による硬化に起因する
成形性の低下が少ない成形加工用アルミニウム合金板の
製造方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前述のような課題を解決
するべく、本発明者等が実験・検討を重ねた結果、Al
−Mg−Si系合金の成分組成を適切に選択すると同時
に、板製造プロセスにおいて、溶体化処理後に適切な熱
処理を行うことによって、前述の課題を解決し得る事を
見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、重量%
でMg:0.3%〜1.5%、Si:0.4%〜2.0
%、Cu:0.1%〜0.4%未満を含有量し、さら
に、Zn:0.03%〜1.5%、Mn:0.03%〜
0.4%、Cr:0.03%〜0.4%、Zr:0.0
3%〜0.4%V :0.03%〜0.4%Fe:0.
03%〜0.5%Ti:0.005%〜0.2%のうち
の1種または2種以上を含有し、残部はAl及び不可避
的不純物よりなるアルミニウム合金を素材とし、鋳塊に
均質化処理、熱間圧延および冷間圧延を行って所要の板
厚の圧延板とし、その圧延板に対し、連続焼鈍炉(CA
L)で480℃以上の温度で10分以内の溶体化処理を
行ってから100℃/分以上の冷却速度で板を冷却し、
45〜75℃の温度範囲でコイルに巻き取り、この温度
範囲で少なくとも10秒以上保持を行い、合金の耐力
(σ0.2 )が105N/mm2以下になるように保持時
間の上限を規制し、続いて80〜140℃の範囲内の温
度に加熱して、この温度範囲に1〜50時間保持する安
定化処理を行うことを特徴とする室温での経時変化が少
なくかつ成形性および焼付硬化性に優れたアルミニウム
合金板の製造方法である。
【0007】
【作用】以下に本発明の合金組成、製造条件等の限定理
由を具体的に説明する。 Mg:Mgは本発明で対象としている系の合金で基本と
なる合金元素であってSiと共同して強度の向上に寄与
する。Mg量が0.3%未満では塗装焼き付け時に析出
硬化によって強度の向上に寄与するMg2 Siの生成量
が少なくなるため充分な強度が得られず、一方1.5%
を越えれば成形性が低下することから、Mg量は0.3
〜1.5%の範囲内とした。塗装焼き付け硬化性と成形
性のバランスからは0.6%超〜1.3%が好ましい。
【0008】Si:Siも本発明の系の合金で基本とな
る合金元素であって、Mgと共同して強度の向上に寄与
する。またSiは、鋳造時に金属Siの晶出物として生
成され、その金属Si粒子の周囲が加工によって変形さ
れて、溶体化処理の際に再結晶核の生成サイトとなるた
め、結晶粒の微細化にも寄与する。Siが0.4%未満
では上記の効果が充分に得られず、一方2.0%を越え
れば粗大Siが生じて合金の延性低下を招く。従ってS
iは0.4〜2.0%の範囲内とした。 Cu:Cuは時効硬化を促進し、合金の強度を高める元
素である。0.1%未満ではその硬化が充分に得られ
ず、一方0.4%以上では耐蝕性が低下するから、Cu
添加量は0.1〜0.4%未満の範囲内とした。
【0009】Zn,Mn,Cr,Zr,V,Ti,F
e:これらの元素は強度の向上や結晶粒の微細化のため
に1種または2種以上添加される。これらのうち、Zn
は合金の時効性の向上を通じて強度の向上に寄与する元
素であり、その含有量が0.03%未満では上記の効果
が不十分であり、一方1.5%を越えれば成形性および
耐蝕性が低下するから、Znを添加する場合のZn量は
0.03〜1.5%の範囲内とした。さらにMn,C
r,Zr,Vはいずれも強度の向上と結晶粒の微細化お
よび組織の安定化に効果がある元素であり、いずれも含
有量が0.03%未満では上記の効果が充分に得られ
ず、一方それぞれ0.4%を越えれば、上記効果が飽和
するばかりでなく、巨大金属間化合物が生成されて成形
性に悪影響を及ぼすおそれがある。従ってMn,Cr,
Zr,Vはいずれも0.03〜0.4%の範囲内とし
た。
【0010】また、Tiも強度の向上と鋳塊組織の微細
化に有効な元素であり、その含有量が0.005%未満
では充分な効果が得られず、一方0.2%を越えれば、
Ti添加の効果が飽和するばかりでなく、巨大晶出物が
生じるおそれがあるから、Ti量は0.005〜0.2
%の範囲内とした。そしてまたFeも強度の向上と結晶
粒の微細化に有効な元素であり、その含有量が0.03
%未満では充分な効果が得られず、一方0.5%を越え
れば成形性が低下するおそれがあり、従ってFe量は
0.03〜0.5%の範囲内とした。なお、0.03%
未満のFeは、通常のアルミ地金を用いれば不可避的に
含有される。また、これらのCu,Zn,Mn,Cr,
Zr,V,Ti,Feの範囲は、積極的な添加元素とし
てこれらの元素を含む場合に示したものであり、いずれ
もその下限値よりも少ない量を不純物として含有してい
ることは特に支障ない。
【0011】以上の各元素のほかは、基本的にはAlお
よび不可避的不純物とすれば良い。但し、一般にMgを
含有する系の合金においては溶湯の酸化防止のために微
量のBeを添加することがあり、本発明合金の場合も
0.0001〜0.05%程度のBeの添加は許容され
る。また、一般に結晶粒の微細化のために前述のTiと
同時にBを添加することもあり、本発明の場合もTiと
ともに500ppm以下のBを添加することは許容され
る。
【0012】つぎに、本発明における製造プロセスにつ
いて説明する。溶体化処理前までの工程、すなわち所要
の製品板厚の圧延板とするまでの工程は、従来の一般的
なJIS6000番系のAl−Mg−Si系合金と同様
であればよい。すなわち、DC鋳造法等によって鋳造し
た後、均質化処理を施し、熱間圧延および冷間圧延を行
って所要の板厚とすれば良く、また、熱間圧延と冷間圧
延との間、あるいは冷間圧延の中途において必要に応じ
て中間焼鈍を行っても良い。
【0013】溶体化処理は、MgやSi等をマトリック
スに固溶させ、これにより塗装焼き付け処理後にGPゾ
ーン等の析出相を析出させて強度の向上を図るために必
要な工程であり、また再結晶させて良好な成形性を得る
ための工程でもある。溶体化処理温度が480℃未満で
はMgやSiの固溶量が少なく、充分な焼き付け硬化性
が得られない。溶体化処理温度の上限は特に規定しない
が、共晶融解の発生のおそれや再結晶の粗大化等を考慮
して、通常は580℃以下とすることが望ましい。ま
た、溶体化処理の時間が10分を越えても焼き付け硬化
性の顕著な改善が認められなかったこと、また長時間の
保持は生産性の低下を招くことから、保持時間を10分
以内とする。
【0014】溶体化処理後には、100℃/分以上の冷
却速度で板を冷却し、巻き取ったコイルの温度を45〜
75℃の温度範囲にコントロールする。ここで、溶体化
処理後の冷却速度が100℃/分未満では、冷却中にM
2 Siが多量に析出してしまい、成形性が低下すると
同時に、焼き付け硬化性が低下して塗装焼き付け処理後
に充分な強度の向上が望めなくなる。溶体化処理後、特
に100℃/分以下の冷却速度でコイル温度を45℃以
下の室温に冷却すると、室温クラスターが生成し、その
室温クラスターは焼き付け塗装後の強度の向上に寄与す
るGPゾーンに移行しにくいため、塗装焼き付け硬化性
に不利である。一方75℃以上に冷却し、そのまま保持
する場合は室温クラスターが生成しないため塗装焼き付
け硬化性に有利であるが、安定化処理後の自然時効によ
る耐力の上昇(室温の経時変化)が大きく、成形性が低
下する。
【0015】そこで成形性と塗装焼き付け硬化性のバラ
ンスの観点から、コイルの巻き取り温度と巻き取った直
後の温度を45〜75℃にコントロールし、この温度で
一段目の予備時効を行う。また、この一段目の予備時効
の時間は、10秒未満では効果が不十分で、逆に長時間
保持して合金板の耐力が105N/mm2 以上になれば
GPゾーンが過剰に生成し、塗装焼き付け後の強度の向
上が低下する。このため、45〜75℃の温度範囲での
保持時間は10秒以上、合金の耐力が105N/mm2
以下になるように上限を規制する。
【0016】溶体化処理後の冷却速度は高成形性を得る
ためにはできるだけ速やかに45〜75℃の温度範囲に
冷却することが望ましい。そのために溶体化処理後に板
を温湯槽中に通板して冷却することも考えられるが、そ
の場合板に歪みが生じやすくまた乾燥工程が必要となり
所定の温度範囲での保持時間を確保することも困難とな
る。そこで、好ましい冷却方法としては、乾燥を必要と
しない乾式の冷媒を介して行うことが望ましい。例え
ば、材料の温度に合わせて乾燥した空気やガス等を板に
吹きつけながら冷却する方法を適用するとよい。あるい
は、表面温度を制御した金属ロールに接触させて冷却温
度を制御することが望ましい。もし過冷却のおそれがあ
る場合には、巻き取り直前にインラインで加熱できる直
火方式または間接加熱方式、赤外線方式、誘導加熱方
式、直接通電式などの様な加熱設備を設置しておけば正
確に材料温度を目的とする温度範囲で巻き取ることがで
きる。
【0017】巻き取り後安定化処理までのコイルの温度
を所定の温度範囲内で確保する方法として、巻き取り時
の自己の顕熱を活用することが有効である。しかし、こ
の方法ではコイルの位置(外周,中心部分、内周)によ
って温度差が発生し、以降の熱処理でGPゾーンの析出
状態に差が生じ、機械的性質のばらつきの原因となるこ
とがある。そこで、コイル全体を一定の保熱状態で保持
するためには、コイルを断熱材で覆う方法や積極的には
45〜75℃に制御した保熱炉で保持する方法等も適用
するとよい。ところで、この保持を温水等の液槽中で保
持する方法も考えられるが、その場合保持後安定化処理
工程へ速やかに移送しないと水分蒸発時の温度低下がコ
イルの温度ムラにつながり、機械的性質のばらつきの原
因となる可能性があり、また長時間コイルの状態で水に
浸漬させると表面腐食により表面品質が低下する危険性
が高く、かつ工程の連続性が要求されるため、工業生産
的には有利ではない。
【0018】安定化処理は、最終的に析出硬化に寄与す
る析出物の安定性を向上させ板製造後の経時変化を抑制
して、充分な焼き付け硬化性を確保するとともに良好な
成形加工性を得るために必要な工程であり、この安定化
処理は、80〜140℃の範囲内の温度に1〜50時間
保持する必要がある。安定化処理の温度が80℃未満で
は上記の硬化が充分に得られず、一方140℃を越えれ
ば高温時効によって素材強度が高くなり、成形性が低下
してしまう。また安定化処理における80〜140℃の
範囲内の温度での保持時間が1時間未満では、その後の
室温での経時変化が速くなって成形性と焼き付け硬化性
が悪くなり、一方50時間を越えれば、時効によって素
材強度が高くなり、成形性が低下してしまうとともに、
生産性も阻害される。
【0019】80〜140℃の温度範囲で安定化処理を
行う方法として、温湯を用いる方法も考えられるが、そ
の場合100℃以上で保持することは通常困難であり処
理できる温度範囲が限られ工業的に不利である。また、
連続焼鈍炉を用いる方法も考えられるが、保持時間が1
〜50時間と長く適当ではない。そこで、バッチ式の加
熱炉を用いるのが適当である。安定化処理の条件として
は、成形性と焼き付け硬化性のバランスから、好ましく
は100℃以上140℃以下の範囲で、2時間超〜45
時間の保持とするのが望ましい。
【0020】以上のように、本発明では合金の成分組成
を適切に調整するとともに、製造プロセス中において、
480℃以上の溶体化処理、コイル温度を二段で45〜
75℃、80〜140℃の条件で予備時効、安定化処理
を施すことにより、板製造後の室温での経時変化、すな
わち室温での自然時効を阻止することが可能となり、そ
の結果板製造後に長期間放置されてから成形加工、塗装
焼き付け処理を施す場合でも良好な成形性、優れた焼き
付け硬化性を充分に確保することが可能となった。
【0021】
【実施例】次に実施例に基づいて、本発明例並びに比較
例によって本発明を具体的に説明する。表1に示すアル
ミニウム合金(Al〜A6,B1〜B2)について、そ
れぞれ常法に従ってDC鋳造法により鋳造し、得られた
鋳塊に530℃×5hrの均質化処理を施してから熱間
圧延および冷間圧延を行って、厚さ1mmの圧延板とし
た。次いで各圧延板に対して540℃×10secの溶
体化処理を行ってから、表2に示す条件で冷却、安定化
処理を行った。以上のようにして得られた圧延板を、さ
らに室温に1日もしくは40日放置してそれぞれ180
℃×30分の塗装焼き付け処理に相当する加熱を行い、
その焼き付け処理前の機械的性質および成形性を、そし
て焼き付け処理後の機械的性質を調べた。その結果を表
3に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】No.1〜6はいずれも合金の成分組成が
本発明で規定する範囲内で、かつ製造条件も本発明で規
定する条件を満たした例である。これらの場合は、いず
れも塗装焼き付け前の伸びおよびエリクセン値が充分に
高く、成形性に優れ、かつ焼き付け硬化性が高く塗装焼
き付け時に大きな強度の上昇が生じている。さらに板製
造後40日室温に放置した場合においても、伸びおよび
エリクセン値の低下が少なく成形性の低下は見られな
い。かつ、充分な焼き付け硬化性を示している。
【0026】これに対してNo.7〜9は、合金の成分
組成が本発明で規定する範囲内であるが製造条件が本発
明で規定する条件を満たさなかった。すなわち、No.
7は溶体化処理後室温(28℃)に冷却したため、N
o.1と比較して焼き付け硬化性が劣った。またNo.
8は溶体化処理〜冷却後57℃での保持時間が長すぎた
ため耐力が105N/mm2 を越えNo.2と比べて焼
き付け硬化性が劣った。またNo.9は溶体化処理後の
コイルの巻き取り温度が高く、No.3と比較して伸
び、エリクセン値等の成形指標が低く、また、製造後の
室温時効による経時変化が大きく、成形性が劣った。
【0027】No.10,11はいずれも成分組成が本
発明で規定する範囲を外れた合金について、本発明で規
定する範囲内の条件で製造したものである。これらの合
金板はいずれも素材強度が低いばかりでなく、焼き付け
硬化性も低く、塗装焼き付け後の強度も充分に得られな
かった。
【0028】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば成形性が優れるとともに焼き付け硬化性が優れて
いて、塗装焼き付け後の強度が高くしかも室温での経時
変化が少ないために、板製造後に室温で長期間放置した
場合にも成形性の低下が少ないとともに焼き付け硬化性
の変化も少ない、安定な成形加工用アルミニウム合金板
を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 朱 岩 東京都中央区日本橋室町四丁目3番18号 スカイアルミニウム株式会社内 (72)発明者 松尾 守 東京都中央区日本橋室町四丁目3番18号 スカイアルミニウム株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で Mg:0.3%〜1.5%、 Si:0.4%〜2.0%、 Cu:0.1%〜0.4%未満を含有し、さらに、 Zn:0.03%〜1.5%、 Mn:0.03%〜0.4%、 Cr:0.03%〜0.4%、 Zr:0.03%〜0.4%、 V :0.03%〜0.4%、 Fe:0.03%〜0.5%、 Ti:0.005%〜0.2%のうちの1種または2種
    以上を含有し、残部はAl及び不可避的不純物よりなる
    アルミニウム合金を素材とし、鋳塊に均質化処理、熱間
    圧延および冷間圧延を行って所要の板厚の圧延板とし、
    その圧延板に対し、連続焼鈍炉(CAL)で480℃以
    上の温度で10分以内の溶体化処理を行ってから100
    ℃/分以上の冷却速度で板を冷却し、45〜75℃の温
    度範囲でコイルに巻き取り、この温度範囲で少なくとも
    10秒以上保持を行い、合金の耐力(σ0.2 )が105
    N/mm2以下になるように保持時間の上限を規制し、
    続いて80〜140℃の範囲内の温度に加熱して、この
    温度範囲に1〜50時間保持する安定化処理を行うこと
    を特徴とする高成形性と良好な焼付硬化性を有するアル
    ミニウム合金板の製造方法。
  2. 【請求項2】 重量%でMg:0.6%〜1.3%、S
    i:0.4%超〜2.0%である請求項1記載のアルミ
    ニウム合金板の製造方法。
  3. 【請求項3】 安定化処理が、100℃〜140℃の温
    度範囲で、2時間超〜45時間の保持である請求項1又
    は2記載のアルミニウム合金板の製造方法。
  4. 【請求項4】 安定化処理の方法として、バッチ式の加
    熱炉を用いる請求項1,2又は3記載のアルミニウム合
    金板の製造方法。
  5. 【請求項5】 溶体化処理後の冷却方法として、乾式冷
    媒を介して行う請求項1,2,3又は4記載のアルミニ
    ウム合金板の製造方法。
JP6213576A 1994-09-07 1994-09-07 高成形性と良好な焼付硬化性を有するアルミニウム合金板の製造方法 Withdrawn JPH0874014A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6213576A JPH0874014A (ja) 1994-09-07 1994-09-07 高成形性と良好な焼付硬化性を有するアルミニウム合金板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6213576A JPH0874014A (ja) 1994-09-07 1994-09-07 高成形性と良好な焼付硬化性を有するアルミニウム合金板の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0874014A true JPH0874014A (ja) 1996-03-19

Family

ID=16641496

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6213576A Withdrawn JPH0874014A (ja) 1994-09-07 1994-09-07 高成形性と良好な焼付硬化性を有するアルミニウム合金板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0874014A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0881744A (ja) * 1994-09-13 1996-03-26 Sky Alum Co Ltd 成形性および焼付硬化性に優れたアルミニウム合金板の製造方法およびその製造装置
KR20040084497A (ko) * 2003-03-28 2004-10-06 현대자동차주식회사 알루미늄-마그네슘-실리콘 합금 판재의 자연시효 억제방법
JP2007131881A (ja) * 2005-11-08 2007-05-31 Furukawa Sky Kk 成形加工用アルミニウム合金板の製造方法および成形加工用アルミニウム合金板
JP2009024187A (ja) * 2007-07-17 2009-02-05 Mazda Motor Corp 塑性加工部材の製造方法
JP2009041045A (ja) * 2007-08-06 2009-02-26 Nippon Steel Corp 塗装焼付け硬化性に優れたアルミニウム合金板及びその製造方法
WO2012043836A1 (ja) * 2010-09-30 2012-04-05 株式会社神戸製鋼所 プレス成形品およびその製造方法
JP2016020527A (ja) * 2014-07-14 2016-02-04 新日鐵住金株式会社 高強度高延性アルミニウム合金板の製造方法
JP2016522320A (ja) * 2013-04-19 2016-07-28 北京有色金属研究総院General Research Institute for Nonferrous Metals 自動車車体パネルの製造に好適なアルミニウム合金材料およびその生成方法
CN106906435A (zh) * 2015-12-22 2017-06-30 北京有色金属研究总院 一种汽车车身用铝合金板材的高效制备工艺
EP3400316B1 (en) 2016-01-08 2020-09-16 Arconic Technologies LLC New 6xxx aluminum alloys, and methods of making the same

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0881744A (ja) * 1994-09-13 1996-03-26 Sky Alum Co Ltd 成形性および焼付硬化性に優れたアルミニウム合金板の製造方法およびその製造装置
KR20040084497A (ko) * 2003-03-28 2004-10-06 현대자동차주식회사 알루미늄-마그네슘-실리콘 합금 판재의 자연시효 억제방법
JP2007131881A (ja) * 2005-11-08 2007-05-31 Furukawa Sky Kk 成形加工用アルミニウム合金板の製造方法および成形加工用アルミニウム合金板
JP2009024187A (ja) * 2007-07-17 2009-02-05 Mazda Motor Corp 塑性加工部材の製造方法
JP2009041045A (ja) * 2007-08-06 2009-02-26 Nippon Steel Corp 塗装焼付け硬化性に優れたアルミニウム合金板及びその製造方法
WO2012043836A1 (ja) * 2010-09-30 2012-04-05 株式会社神戸製鋼所 プレス成形品およびその製造方法
JP2016522320A (ja) * 2013-04-19 2016-07-28 北京有色金属研究総院General Research Institute for Nonferrous Metals 自動車車体パネルの製造に好適なアルミニウム合金材料およびその生成方法
US11313016B2 (en) 2013-04-19 2022-04-26 General Research Institute For Nonferrous Metals Aluminum alloy materials suitable for the manufacture of automotive body panels and methods for producing the same
JP2016020527A (ja) * 2014-07-14 2016-02-04 新日鐵住金株式会社 高強度高延性アルミニウム合金板の製造方法
CN106906435A (zh) * 2015-12-22 2017-06-30 北京有色金属研究总院 一种汽车车身用铝合金板材的高效制备工艺
CN106906435B (zh) * 2015-12-22 2018-11-30 北京有色金属研究总院 一种汽车车身用铝合金板材的高效制备工艺
EP3400316B1 (en) 2016-01-08 2020-09-16 Arconic Technologies LLC New 6xxx aluminum alloys, and methods of making the same

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4577218B2 (ja) ベークハード性およびヘム加工性に優れたAl−Mg−Si合金板の製造方法
JP2007031819A (ja) アルミニウム合金板の製造方法
JPH0874014A (ja) 高成形性と良好な焼付硬化性を有するアルミニウム合金板の製造方法
JP4086350B2 (ja) 成形加工用アルミニウム合金板の製造方法
JPH06240424A (ja) 成形性および焼付硬化性に優れたアルミニウム合金板の製造方法
JP3845312B2 (ja) 成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法
JPH083702A (ja) 成形性と加熱硬化性に優れたアルミニウム合金板材の製造方法
JPH09249950A (ja) 成形性および塗装焼付硬化性に優れたアルミニウム合金板の製造方法
JP2000160310A (ja) 常温時効性を抑制したアルミニウム合金板の製造方法
JPH08176764A (ja) 成形加工用アルミニウム合金板の製造方法
JP2626958B2 (ja) 成形性および焼付硬化性に優れたアルミニウム合金板の製造方法
EP3765647A1 (en) Method of manufacturing an almgsi alloy sheet product
JPH11350058A (ja) 成形性及び焼き付け硬化性に優れるアルミニウム合金板及びその製造方法
JPH04365834A (ja) 低温焼付による硬化性に優れたプレス成形用アルミニウム合金板及びその製造方法
JP3686146B2 (ja) 成形加工用アルミニウム合金板の製造方法
JPH0881744A (ja) 成形性および焼付硬化性に優れたアルミニウム合金板の製造方法およびその製造装置
WO2000034544A2 (en) High strength aluminium alloy sheet and process
JPH062092A (ja) 高強度高成形性アルミニウム合金の熱処理法
JPH0941062A (ja) 経時変化の小さい焼付け硬化性に優れる自動車ボディーシート用Al−Mg−Si系Al合金板材とその製造方法
JPH07228957A (ja) 成形性および焼付硬化性に優れたアルミニウム合金板の製造方法
JP3359428B2 (ja) 成形加工用アルミニウム合金板の製造方法
JPH0860314A (ja) 成形加工用アルミニウム合金板の製造方法
JPH04304339A (ja) 強度・延性バランス及び焼付硬化性に優れたプレス成形用アルミニウム合金板、並びにその製造方法
JPH10330897A (ja) 深絞り成形用アルミニウム基合金板の製造方法
JPH0565587A (ja) 成形加工用アルミニウム合金圧延板およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20011120