JP2005041795A - 凹凸補正用油性化粧料 - Google Patents

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Tomoko Toda
知子 戸田
Yoshinobu Saito
吉信 斎藤
Takaya Okuda
隆弥 奥田
Tetsuo Nishina
哲夫 仁科
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Abstract

【課題】小じわや毛穴などを目立たなくする凹凸補正効果に優れ、しかも素肌感や透明感が損なわれず自然な仕上がりとすることができ、使用感や効果持続性も非常に良好な化粧料を提供する。
【解決手段】シリコーン油及びシリコーンゲル化剤を基材とし、(A)架橋型シリコーン・網状型シリコーンブロック共重合体からなるシリコーン粉末と、(B)架橋型ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粉末とを含有することを特徴とする油性化粧料。シリコーン粉末(A):PMMA粉末(B)は質量比で7:3〜4:1であることが好適である。また、さらに(C)微粒子酸化チタンを化粧料中0.01〜4質量%含有することが好適である。前記シリコーンゲル化剤としては、架橋型オルガノポリシロキサンが好適である。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油性化粧料、特に小皺や毛穴を、自然に素肌感を損なわずに目立たなくする補正効果に優れ、使用感や効果の持続性も良好な凹凸補正用油性化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
肌には様々な凹凸が存在する。凸部では光が当たって明るく見えるが、凹部では光が当たりにくかったり、反射が少なくなるために、暗く見えてしまう。そのため、毛穴や小じわのような深くて大きく、しかも不規則な凹凸はこの明暗の差が大きく、またその境界がはっきりとしているために、目立ちやすい。
このような毛穴や小じわを目立たないようにしたいというニーズは高い。しかしながら、隠蔽力の高い酸化チタンのような粉体を配合して凹凸補正効果を得ようとすれば、肌本来の素肌感や透明感が損なわれ、不自然な仕上がりになってしまう。最近のナチュラル指向の高まりの中で、小じわや毛穴に対するカバー力があっても、仕上がりが不自然になるような製品は、受け入れられない。また、使用感や効果の持ちも非常に重要であるが、これらを全て満足させるような化粧料は、未だ得られていないのが現状である。
【0003】
このような中で、近年、下記(a)〜(e)を含む凹凸補正化粧料が報告されている(特許文献1)。
(a)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物1〜10質量%、
(b)部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物0.05〜1質量%、
(c)屈折率1.3〜1.5の粉末10〜30質量%、
(d)シリコーン油、
(e)水。
【0004】
上記特許文献1では、(a)〜(b)のシリコーンゲル化剤により、肌への密着性や水の分散性が高まって使用感が向上し、且つ(c)屈折率1.3〜1.5の粉体(例えば、無水ケイ酸、ポリアクリル酸アルキルパウダー等)により小皺や毛穴をぼかすことができると記載されている。
【特許文献1】
特開2002−322030号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記化粧料では仕上がりの自然さはあるものの、カバー力において十分とは言えず、また、使用感や効果持続性の点でも満足のいくものではなかった。
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、小じわや毛穴などを目立たなくする凹凸補正効果に優れ、しかも素肌感や透明感が損なわれず自然な仕上がりとすることができ、使用感や効果持続性も非常に良好な化粧料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等が鋭意検討を行った結果、シリコーンゲル基材中に、特定の粉体を分散させた油性化粧料が、前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明にかかる油性化粧料は、シリコーン油及びシリコーンゲル化剤を基材とし、且つ
(A)架橋型シリコーン・網状型シリコーンブロック共重合体からなるシリコーン粉末と、
(B)架橋型ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粉末と、
を含有することを特徴とする。
【0007】
本発明の化粧料において、前記シリコーン粉末(A)と前記PMMA粉末(B)との質量比が7:3〜4:1であることが好適である。
また、本発明の化粧料において、さらに、(C)微粒子酸化チタンを化粧料中0.01〜4質量%含有することが好適である。
また、本発明の化粧料において、前記シリコーンゲル化剤が架橋型オルガノポリシロキサンであることが好適である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の化粧料は、シリコーンゲル基材を連続相とし、これに粉体が分散した油性化粧料である。
本発明で用いるシリコーン粉末(A)は、架橋型シリコーン・網状型シリコーンブロック共重合体[INCI名:Vinyl Dimethicone/Methicone Silsesquioxane Crosspolymer、表示名:(ジメチコン/ビニルジメチコン/メチコン)クロスポリマー]からなり、形状としては、球状のものが効果や使用感の点で好適である。市販品では、例えば、信越化学工業(株)製のKSP−100、KSP−101、KSP−102、KSP−105等が好適に用いられる。平均粒子径としては、1〜50μm、特に好ましくは1〜5μmである。
上記シリコーン粉末(A)は、シリコーンゴム表面に3次元網目状のシリコーン樹脂を結合させて被覆した複合粉末であり、シリコーン油中で膨潤せず、シリコーン油をゲル化させるものではない。この点で、後述するシリコーンゲル化剤とは異なる。
【0009】
本発明で用いる架橋型PMMA粉末(B)は、通常化粧料に用いられているものであれば特に制限されないが、形状としては球状粉末が好ましく、またポーラスなものを用いれば、軽い感触でありまた伸びも良好である。
平均粒子径は、1〜50μmのものを使用することができるが、特に好ましくは1〜10μmである。市販品としては、例えばガンツパールGMP−820が好適に用いられる。
これら粉体(A)、(B)はいずれも、伸びやさらさら感を与える粉体として化粧料に使用されているものであるが、本発明においては、この両者をシリコーンゲル基材中で併用することで、シワ・毛穴等を目立たなくする補正効果に優れ、しかも仕上がりの自然さ、素肌感、透明感も高い化粧料とすることができる。
【0010】
このような効果を発揮するためには、(A):(B)の比率は、質量比で7:3〜1:4とすることが好適であり、特に3:2〜1:4が好ましい。PMMA粉末(B)が多くなると、素肌感や透明感が損なわれ、自然な仕上がりが得られない。一方、シリコーン粉末(A)が多すぎると、小じわや毛穴などのカバー力が十分でない。
シリコーン粉末(A)とPMMA粉末(B)との粉末合計量は、化粧料中5〜40質量%の範囲であり、特に10〜30質量%であることが好ましい。粉体量が少なすぎると本発明の効果が十分に発揮されず、多すぎる場合には、化粧料ののびが重くなり、使用感が損なわれることがある。
【0011】
また、本発明においては、上記粉末(A)、(B)の他に、さらに微粒子酸化チタン(C)を配合することが特に好適である。微粒子酸化チタンの配合により、素肌感、透明感を損なわずに、補正効果のみを向上させることが可能である。このような効果を得るためには、微粒子酸化チタンを化粧料中0.01質量%以上、さらには0.5質量%以上配合することが好適である。ただし、微粒子酸化チタンが多すぎると、素肌感、透明感が低下し、自然な仕上がりが得られない。よって、微粒子酸化チタンの配合量は、化粧料中4質量%以下、さらには3質量%以下とすることが好適である。なお、微粒子酸化チタンの平均粒子径は200nm以下、特に100nm以下のものが好適である。粒子径が大きな顔料級酸化チタンでは素肌感や透明感を損なわずに、補正効果のみを高めることはできない。
なお、本発明において用いる粉体は、本発明の効果を損なわない限り、常法により表面処理を施して使用することも可能である。例えば、アルミニウム処理、シリコーン処理、脂肪酸石鹸処理、デキストリン脂肪酸エステル処理、フッ素処理等が挙げられる。また、その他公知の被覆処理、内包処理したものでもよい。
【0012】
上記シリコーン粉末(A)、PMMA粉体(B)、さらには微粒子酸化チタン(C)をシリコーンゲル基材中に分散させたものを肌に塗布した際の塗布膜は、ほとんど透明で隠蔽性がなく、素肌のような自然な仕上がりである。にもかかわらず、小じわや毛穴が目立たなくなり、きめの整った美しい肌のように仕上げることができる。これは、化粧塗膜を透過した光が、粉末(A)〜(C)により拡散され、下地(肌)の明暗の境界線をぼかして見えにくくするためと推察される。
【0013】
本発明の基材であるシリコーンゲルは、シリコーン油とシリコーンゲル化剤とを含む。シリコーン油としては、常温で液体の、直鎖、分岐、あるいは環状構造を有するオルガノポリシロキサンであり、通常化粧料に配合可能なものであれば特に制限されない。例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどの鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状ポリシロキサンの他、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサンなどが挙げられる。本発明においては、これらシリコーンの2種以上を用いてもよい。このうち、粘度が50cs以下の低粘度シリコーン油が好ましく、中でもオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ジメチルポリシロキサン(6〜10cs)等の揮発性シリコーンは、特にのびがよく、べたつきがないので好適である。
シリコーン油は粉体の分散媒であり、分散性や使用感の点で、その配合量は化粧料中50質量%以上、好ましくは60質量%以上である。
【0014】
シリコーンゲル化剤としては、シリコーン油をゲル化するものであれば何れも使用可能であるが、本発明においては、架橋型メチルポリシロキサン[INCI名:Dimethicone/Vinyl Dimethicone Crosspolymer、表示名:(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー]、あるいは架橋型メチルフェニルポリシロキサン[INCI名:Dimethicone/Phenyl Vinyl Dimethicone Crosspolymer、表示名:(ジメチコン/フェニルジメチコン)クロスポリマー]などの架橋型オルガノポリシロキサンが特に好適である。これらの架橋型ポリシロキサンは、オルガノポリシロキサンの架橋重合体で、一部あるいは全部に三次元構造を有するものである。架橋型ポリシロキサンは、シリコーン油中で膨潤してゲル化する能力が高く、また、使用感の点でも優れる。
【0015】
これらの架橋型ポリシロキサンを、50cs以下の低粘度シリコーン油と混合し、ペースト状としたものが市販されており、簡便に使用できる。市販品としては、例えば、信越化学工業(株)のKSG−15(架橋型メチルポリシロキサン4〜10%とデカメチルシクロペンタシロキサン90〜96%の混合物)、KSG−16(架橋型メチルポリシロキサン20〜30%とメチルポリシロキサン70〜80%の混合物)、KSG−18(架橋型メチルフェニルポリシロキサン10〜20%とメチルフェニルポリシロキサン80〜90%の混合物)などが挙げられる。
架橋型ポリシロキサンをゲル化剤としたシリコーンゲル基材は、粉末成分を良好に分散することができ、経時安定性に優れる。また、油性化粧料ではあるが、肌に塗布した際にはべたつきや油っぽさがなく、のびがよい。また、肌への密着感もあり、使用感が非常によい。
【0016】
本発明においては、効果の点で架橋型メチルポリシロキサン(KSG−15、KSG−16など)が好ましく、ゲル化剤有効成分を高濃度に含有するKSG−16が特に好適に用いられる。
ゲル化剤配合量は、本発明の化粧料の最終組成において、シリコーン油中10〜30質量%、特に15〜20質量%であることが好ましい。ゲル化剤の配合量が少ない場合には、粉体の分散安定性が悪くなったり、使用感が低下することがある。一方、ゲル化剤が多すぎる場合には、化粧料の伸びが重くなったり、製剤化が困難になることがある。
【0017】
また、本発明においては、粉体成分を肌上に固定し、化粧塗膜の耐水性や耐油性を高めて効果を持続させるために、油性皮膜形成剤を配合することが好適である。このような皮膜形成剤としては、他の成分との相溶性や、補正効果や仕上がりへの影響、持続性付与効果等の点で、有機シリコーン樹脂、特にトリメチルシロキシケイ酸が好適である。トリメチルシロキシケイ酸を配合することにより、本発明の効果を損なわずに、肌への密着性、補正効果や仕上がり感の持続性を向上させることができる。
【0018】
本発明の化粧料は、シリコーンゲルを基材とする油性化粧料であるが、シリコーン油以外の油分を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合してもよい。このような油分としては、例えば、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、フッ素系油分などが挙げられる。
また、その他の通常化粧料に配合可能な成分を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。例えば、紫外線吸収剤、保湿剤、香料、界面活性剤、各種薬効成分、防腐剤、酸化防止剤、粉体、色素、水等が挙げられる。
【0019】
本発明の化粧料は、常法により製造することができ、シリコーンゲル基材中に粉体及びその他成分を良好に分散できる方法であれば特に制限されない。一例を挙げれば、シリコーンゲル化剤にシリコーン油を添加して十分に混合し、他の成分を混合後、粉末を添加して十分に分散させることにより、製造することができる。
本発明の化粧料は、シワや毛穴を隠して肌をきれいに見せる効果があるので、それだけでノーメーク感覚の補正化粧料として使用できるが、本発明の化粧料を化粧下地として塗布後、さらにファンデーション等でメークアップを行うこともできる。また、メークアップ後に使用することも可能である。
【0020】
【実施例】
以下、具体例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。なお、配合量については、特に指定のない限り、質量%で示す。
試験例1 シリコーン粉末(A)とPMMA粉末(B)
下記表1に示すように、シリコーンゲル基材中に、シリコーン粉末(A)、ならびにアクリル樹脂球状粉体(B)を種々の割合で配合し、ゲル状化粧料を調製した。各試料について、小じわ・毛穴補正効果、ならびに仕上がりの自然さ(素肌感)について、調べた。試験方法は、女性パネル10名の片方の頬に試料約0.5gを塗布し、未塗布側の頬と比較して、「小じわ・毛穴が目立たなくなった」、「仕上がりが素肌のように自然である」との有効評価をした人数により、判定した。
【0021】
(判定基準)
◎:有効評価した人数が9人以上
○:有効評価した人数が6〜8人
△:有効評価した人数が4〜5人
×:有効評価した人数が3人以下
【0022】
【表1】
Figure 2005041795
*シリコーンゲル化剤:KSG−16(信越化学工業(株))
シリコーン粉末(A):平均粒子径2μm
(KSP−105、信越化学工業(株))
PMMA粉末(B):平均粒子径8μm
(ガンツパールGMP−820、ガンツ化成(株))
【0023】
表1からわかるように、PMMA粉末(B)を配合せず、シリコーン粉末(A)のみを配合した場合(試料1)には素肌感はあるものの、補正効果が低い。
また、シリコーン粉末(A)を配合せずに、PMMA粉末(B)のみを配合した場合(試料5)には、補正効果はあるものの、素肌感が低かった。
これらに対し、両者を併用した場合(試料2〜4)には、素肌感があり自然な仕上がりでありながら、小じわ・毛穴の補正効果も発揮された。シリコーン粉末(A):PMMA粉末(B)の配合比としては7:3〜1:4が好適であり、特に3:2〜1:4では全体としての肌の美しさに優れていた。
【0024】
試験例2 全透過率、拡散透過率
図1のように、一般的に、化粧塗膜に照射された入射光1は、その一部は塗膜表面で反射されるが、透明性の高い塗膜では、ほとんどは透過光になると考えられる。
塗膜を透過した透過光は、入射光と同一の角度で直進する直進透過光3と、塗膜の拡散効果により様々な角度に拡散された拡散透過光4に分けられる。直進透過光3と、拡散透過光4を合わせたものが全透過光5である。これに基づき、全透過率、拡散透過率が次式により算出できる。
全透過率(%)=全透過光強度/入射光強度
拡散透過率(%)=拡散透過光強度/入射光強度
【0025】
全透過率が高いほど、塗膜の透明性は高いといえる。全透過率が低い場合には、下地が全く見えないため、肌は不自然に見える。
一方、透明性が高くても、塗膜の拡散透過性が低く、全透過光のほとんどが直進透過光である場合には、肌をそのまま見ているのと変わりがなく、凹凸がはっきりと見えるが、拡散透過性が高い場合には、凹凸による明暗の境界がぼやけて見え、視覚的な補正効果が高くなると考えられる。
【0026】
そこで、前記試験例1の試料について、全透過率と拡散透過率を測定した。
具体的には、ドクターブレードで透明ポリプロピレンフィルムにサンプルを厚さ5μmに塗布し、室温で15分間放置後、分光光度計(島津製作所製 UV−3150)にて550nmの全透過率、及び拡散透過率を測定した。各測定値は、透明フィルム(サンプル無塗布)の全透過率又は拡散透過率を用いて次式により補正し、補正後の値をサンプル塗膜の全透過率、拡散透過率として評価した。
全透過率=(サンプル塗布時の全透過率/フィルムの全透過率)×100
拡散透過率=サンプル塗布時の拡散透過率−フィルムの拡散透過率
【0027】
各サンプル塗膜の全透過率ならびに拡散透過率を図2に示す。
図2からわかるように、シリコーン粉末(A)の割合が高い程全透過率は高くなるが、拡散透過率は低くなり、逆に、PMMA粉末(B)の割合が高くなるほど、拡散透過率は高くなるが、全透過率が低下してしまう。
この結果は、シリコーン粉末(A)のみを配合した場合(試料1)には素肌感はあるものの、補正効果が低くなり、PMMA粉末(B)のみを配合した場合(試料5)には、補正効果はあるものの、素肌感が低くなるという試験例1の実使用試験結果に、よく合致している。
【0028】
従って、本発明の補正効果と仕上がり効果は、シリコーン粉末(A)とPMMA粉末(B)との併用で、比較的高い全透過率と、拡散透過率とすることで発揮されているものと考えられる。そして、実使用試験での効果の高かった領域から見て、全透過率が96%以上、拡散透過率が50%以上であることが重要であることが示唆された。
【0029】
試験例3 微粒子酸化チタン(C)
さらに、他の粉体の配合効果についても検討を行った。結果を表2、図3に示す。
【表2】
Figure 2005041795
*微粒子酸化チタン(C):平均粒子径20〜30nm
(SPD−T1V、信越化学工業(株)製)
その他の成分は、表1と同じ。
【0030】
表2からわかるように、微粒子酸化チタンの配合により、補正効果、素肌感の何れも向上させることができる。これは、図3のように、微粒子酸化チタンを配合すると、全透過率を下げることなく拡散透過率のみを向上させることができるためであると考えられる。このような効果を得るためには、微粒子酸化チタンを0.01質量%以上、さらには1質量%以上配合することが好適である。
一方、微粒子酸化チタンの配合量が多すぎると却って補正効果、素肌感が低下する。これは、図3のように、過剰の微粒子酸化チタンの配合では、全透過率が低下してしまうためであると考えられる。また、拡散透過率も配合に見合うような増加は認められない。従って、微粒子酸化チタンの配合量は、化粧料中4質量%以下、さらには3質量%以下であることが好適である。
【0031】
試験例4
上記試料3あるいは試料7において、粉末(A)〜(C)を他の粉末に置き換えたサンプルを調製し、同様に試験を行った。結果を表3に示す。
【表3】
Figure 2005041795
*シリカ:平均粒子径2μm
ポリスチレン粉末:平均粒子径8μm
酸化チタン:平均粒子径280nm
【0032】
表3からわかるように、シリコーン粉末(A)やPMMA粉末(B)を球状シリカ(a)やポリスチレン球状粉末(b)に置き換えた場合には、補正効果や仕上がりにおいて十分な効果が発揮されなかった。
また、微粒子酸化チタン(C)を顔料級酸化チタン(c)に置き換えた場合には、素肌感・透明感が著しく損なわれて不自然な仕上がりとなった。これは、粒径の大きな酸化チタンの場合には拡散透過率は高くなるものの、全透過率が著しく低下してしまうためと考えられる。また、酸化チタン(c)では、拡散透過率が高い割には、補正効果も低かった。
従って、酸化チタンの平均粒子径は200nm以下の微粒子であることが好適である。
【0033】
処方例1 ゲル状化粧料
(1)シリコーンゲル化剤(KSG−16) 42%
(2)メチルポリシロキサン(6cs) 15
(3)デカメチルシクロペンタシロキサン 15
(4)シリコーン粉末(A)(KSP−105) 9
(5)PMMA粉末(B)(ガンツパールGMP−820) 10
(6)トリメチルシロキシケイ酸 3
(7)イソノナン酸イソノニル 2
(8)ベヘニル変性アクリレートシリコーン 2
(9)疎水性シリカ粉末 1
(10)微粒子酸化チタン(20〜30nm) 1
【0034】
(製法)
成分(1)〜(6)を減圧下、良く混合分散し、これに成分(7)及び(8)を添加して、さらに混合分散した。得られた分散液を攪拌しながら、成分(9)〜(10)を添加し、十分に混合後、容器に充填して、油性ゲル状化粧料を得た。
【0035】
処方例2 W/O乳化系化粧料
(1)ポリエーテル変性シリコン 7%
(2)シリコーンゲル化剤(KSG−16) 11
(3)メチルポリシロキサン(6CS) 15
(4)デカメチルシクロペンタシロキサン 5
(5)シリコーン粉末(A)(KSP−105) 5
(6)PMMA粉末(B)(ガンツパール GMP−820) 15
(7)トリメチルシロキシケイ酸 5
(8)疎水性シリカ粉末 3
(9)ジプロピレングリコール 3
(10)グリセリン 2
(11)エタノール 5
(12)グルタミン酸ナトリウム 1
(13)クエン酸ナトリウム 0.5
(14)微粒子酸化チタン 2
(15)ヤシ脂肪酸アミドプロピルジメチル酢酸ベタイン 0.5
(16)メチルパラベン 0.3
(17)精製水 to100
【0036】
(製法)
成分(1)〜(9)を減圧下、良く混合分散し、これに成分(10)〜(12)を添加して、さらに混合分散した。得られた分散液を攪拌しながら、成分(13)〜(17)を添加し、十分に混合後、容器に充填して、乳化型化粧料を得た。
【0037】
上記化粧料は何れも、試験例1の実使用試験で、補正効果、素肌感ともに優れるものであった。また、べたつきがなく、のびや肌への密着性も良好で、効果の持ちも優れるものであった。また、50℃×1ヶ月の保存でも変化は認められなかった。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、シリコーンゲル基材中、シリコーン粉末(A)と、PMMA粉末(B)とを用いることにより、小じわや毛穴を目立たなくし、しかも素肌感を損なわず自然な仕上がりの化粧料とすることができる。さらに、微粒子酸化チタン(C)を配合すれば、これらの効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において測定した全透過率、拡散透過率を説明するための図である。
【図2】シリコーンゲル基材中におけるシリコーン粉末(A)とPMMA粉末粉末(B)の配合量を変えた場合の、化粧塗膜の全透過率ならびに拡散透過率の変化を示す図である。
【図3】微粒子酸化チタン配合量による、化粧塗膜の全透過率ならびに拡散透過率の変化を示す図である。

Claims (4)

  1. シリコーン油及びシリコーンゲル化剤を基材とし、且つ
    (A)架橋型シリコーン・網状型シリコーンブロック共重合体からなるシリコーン粉末と、
    (B)架橋型ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粉末と、
    を含有することを特徴とする油性化粧料。
  2. 請求項1記載の化粧料において、前記シリコーン粉末(A)と前記PMMA粉末(B)との質量比が7:3〜4:1であることを特徴とする油性化粧料。
  3. 請求項1又は2記載の化粧料において、さらに、(C)微粒子酸化チタンを化粧料中0.01〜4質量%含有することを特徴とする油性化粧料。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の化粧料において、前記シリコーンゲル化剤が架橋型オルガノポリシロキサンであることを特徴とする油性化粧料。
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