JP2007078644A - 化粧料評価方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 評価対象である化粧料で所定膜厚の試料を作成する試料作成工程と、前記試料に対し、可視光領域の光に対する全透過率および拡散透過率を測定する透過率測定工程と、を含み、測定した全透過率および拡散透過率の値に基き、前記化粧料の視覚的な効果を評価することを特徴とする化粧料評価方法。
Description
そこで透明性の高い化粧料に対してその視覚的な効果を評価するには、個々の化粧料を実際に皮膚上に塗布して目視により判断するしか方法がなかった。しかし、実際に皮膚に塗布して評価することは手間がかかり、また客観的な評価が難しい。そのため、光学的特性と視覚的な効果の関連性を明らかにし、より簡単に化粧料を評価する方法が望まれていた。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は視覚的評価を簡便かつ客観的に評価することが可能な化粧料の評価方法を提供することにある。
すなわち本発明の化粧料評価方法は、評価対象である化粧料で所定膜厚の試料を作成する試料作成工程と、前記試料に対し、可視光領域の光に対する全透過率および拡散透過率を測定する透過率測定工程と、を含み、測定した全透過率および拡散透過率の値に基き、前記化粧料の視覚的な効果に対する評価を行うことを特徴とする。
上記の化粧料評価方法において、前記試料に対し、波長550nmのときの全透過率が85〜98%、拡散透過率が20%以上であるとき、肌がきれいに見える効果を有すると判断することが好適である。
上記の化粧料評価方法において、前記試料は保持板上に前記化粧料を2.5〜20μm厚みのアプリケーターでひいたものであることが好適である。さらに5〜10μmの厚みのアプリケータでひいたものであることがさらに好適である。
ここで全透過光とは、直線透過光と拡散透過光を合わせたものである。直線透過光とは、測定試料に垂直に光を入射した際に、その入射光に対して方向を変えずにまっすぐに透過する光の透過光のことをいう。
そこで本発明者らは、肌をきれいに見せる効果と化粧膜の光透過特性、特に全透過率および拡散透過率との関係を調べた。後述する試験結果から、透明性が高い化粧料において、全透過率と拡散透過率で規定される所定の範囲内にある化粧料が肌をきれいに見せる効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
全透過率(%)=(測定試料の全透過光量/石英板の全透過光量)×100
拡散透過率(%)=((測定試料の拡散透過光量−ブランク測定時の拡散透過光量)/石英板の全透過光量)×100
また、測定で使用する光の波長領域は可視光領域であれば問題なく、また可視光領域全体に渡った積分値により評価を行ってもよい。しかし、化粧料が特に着色されてない場合(外観色が透明から白色の範囲である場合)、特定の波長(例えば波長550nm)での測定で十分に評価を行うことができる。
同じく、全透過率が98%以上の化粧料は、色ムラ隠し効果が少ないために、凹凸は見えにくくなるものの、色ムラのある見え方となることを見出した。
また、全透過率が85〜98%であっても、拡散透過率が20%を下回る場合、色ムラは隠れるが、凹凸隠し効果に欠ける見え方となることを見出した。
このように、本実施形態の化粧料評価方法によれば、簡単にかつ客観的に化粧料の視覚的な効果に関する評価を行うことができる。また、求める化粧料の対象となる皮膚(肌)に、色ムラと凹凸の双方があるのか、色ムラのみがあるのか、凹凸のみがあるのか、といった条件によって、本評価方法の評価結果を化粧料の処方設計に役立てることができる。
試料作成
表1に示した処方(表中の数値は質量%)で化粧料試料を製造した。ここで、粉末部としては、顔料級酸化チタン(0.5μm、塊状)、シリコーンレジン被覆シリコーンゴムパウダー(5μm、球状)を用い、これらの配合比率を変えて幾つかの化粧料試料を製造した(表2、3参照)。これらの化粧料試料をアプリケータとしてドクターブレード(10μm)を用い、石英板(サイズ:60mm×50mm×3mm、全透過率:92%、拡散透過率:0.02%)に塗布し、測定試料を作成した。
表2、3の試料1〜8に対し、図2に示すようなダブルビーム型の分光光度計を用いた装置構成で波長550nmでの全透過率、拡散透過率を測定した。分光光度計として日立分光光度計U−3500を用いた。図2に示す装置では、サンプル側とリファレンス側のタングステンランプから交互に光が出射され、サンプル側のランプから出射する光は測定試料に照射する測定光とされ、一方リファレンス側のランプからの光は参照光として利用される。サンプル側からの測定光は測定試料(化粧膜+石英板)に照射され、積分球を介してホトマル(光電子増倍管)にて検知される。リファレンス側の光は測定試料を介さずに開口部から積分球に導光され、同様にホトマル(光電子増倍管)で検知される。参照光を測定したときの検出強度に対する、測定光による測定を行ったときの検出強度の割合(参照光を測定したときの検出強度を100とする)が測定値となる。
標準白色板A,Bにより積分球を閉じた状態で、測定試料を通過した光のすべて(直線透過光+拡散透過光)を積分球で集光し、ホトマル(光電子増倍管)にて光を検出することで全透過光量を測定する。リファレンス側の測定も同様に行い、これらの結果から上述した式を用いて化粧膜の全透過率を算出した。
・拡散透過率測定
直線透過光が通る部分の標準白色板Bを外し、積分球のこの部分が穴あきの状態で測定する。つまり、測定試料を透過した光のうち、直線透過光は積分球の穴あきの部分から逃げるため、拡散透過光のみが積分球で集められ、ホトマルで検知される。ブランク測定や、リファレンス側の測定(この場合は標準白色板Bを取り付け、標準白色板Aを外した状態で測定を行う)も同様に行い、上述した式を用いて化粧膜の拡散透過率を算出した。
また、上記の全透過率、拡散透過率の測定は測定試料の作成から(ドクターブレードにより化粧料試料を石英板に塗布してから)15分後に行った。
表2、3に示した化粧料試料1〜8に対し、化粧肌のきれいさの官能評価を行った。まず、顔にシミ・そばかすなどの色むらと、毛穴などの凹凸がある女性パネル1名に、パール2粒分の化粧料試料を全顔に塗布してもらう。その後、視感判定専門パネル10名が、測定試料を塗布したパネルの顔に対し、色むらが適正に隠れているか、そうでないか、凹凸が隠れているか、そうでないか、肌がきれいに見えるか、そうでないかを判定する。判定基準は次の通りである。
・色むらが適正に隠れている
◎:専門パネル10名中、9〜10名が適正に隠れていると答えた。
○:専門パネル10名中、6〜8名が適正に隠れていると答えた。
△:専門パネル10名中、3〜5名が適正に隠れていると答えた。
×:専門パネル10名中、0〜2名が適正に隠れていると答えた。
・凹凸の隠し効果
◎:専門パネル10名中、9〜10名があると答えた。
○:専門パネル10名中、6〜8名があると答えた。
△:専門パネル10名中、3〜5名があると答えた。
×:専門パネル10名中、0〜2名があると答えた。
・肌のきれいさ
◎:専門パネル10名中、9〜10名がきれいと答えた。
○:専門パネル10名中、6〜8名がきれいと答えた。
△:専門パネル10名中、3〜5名がきれいと答えた。
×:専門パネル10名中、0〜2名がきれいと答えた。
また、色むらの適正な隠し効果と凹凸隠し効果の双方が満足された場合に、肌がきれいに見えることがわかった。つまり、全透過率および拡散透過率の値が所定範囲にあるときにその化粧料が肌をきれいに見せる効果を有することが分かった。さらに多くの測定試料に対し、全透過率および拡散透過率と、官能評価との関係を調べたところ、全透過率が85〜98%、拡散透過率が20%以上の領域内の化粧料が肌がきれいに見える効果を有することが分かった。また、全透過率が93〜95%、拡散透過率が40%以上の領域であれば、さらに著しく肌をきれいに見せる効果を有することも分かった。
Claims (3)
- 評価対象である化粧料で所定膜厚の試料を作成する試料作成工程と、
前記試料に対し、可視光領域の光に対する全透過率および拡散透過率を測定する透過率測定工程と、
を含み、測定した全透過率および拡散透過率の値に基き、前記化粧料の視覚的な効果を評価することを特徴とする化粧料評価方法。 - 請求項1に記載の化粧料評価方法において、
前記試料に対し、波長550nmのときの全透過率が85〜98%、拡散透過率が20%以上であるとき、肌がきれいに見える効果を有すると判断することを特徴とする化粧料評価方法。 - 請求項2に記載の化粧料評価方法において、前記試料は保持板上に前記化粧料を2.5〜20μm厚みのアプリケーターでひいたものであることを特徴とする化粧料評価方法。
Priority Applications (1)
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JP2005270480A JP2007078644A (ja) | 2005-09-16 | 2005-09-16 | 化粧料評価方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010175264A (ja) * | 2009-01-27 | 2010-08-12 | Shiseido Co Ltd | 角層細胞間脂質構造の評価方法及び装置 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH03100120A (ja) * | 1989-09-13 | 1991-04-25 | Brother Ind Ltd | 高疲労強度を有するマルエージング鋼の製造方法 |
JP2005041795A (ja) * | 2003-07-24 | 2005-02-17 | P & P F:Kk | 凹凸補正用油性化粧料 |
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2005
- 2005-09-16 JP JP2005270480A patent/JP2007078644A/ja active Pending
Patent Citations (2)
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JP2010175264A (ja) * | 2009-01-27 | 2010-08-12 | Shiseido Co Ltd | 角層細胞間脂質構造の評価方法及び装置 |
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