JP2004518767A - 広域スペクトルの2−(置換−アミノ)−ベンゾチアゾールスルホンアミドhivプロテアーゼインヒビター - Google Patents

広域スペクトルの2−(置換−アミノ)−ベンゾチアゾールスルホンアミドhivプロテアーゼインヒビター Download PDF

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Abstract

【化1】
Figure 2004518767

本発明は式(I)を有する化合物、それらの−オキシド、塩、立体異性体、ラセミ混合物、プロドラッグ、エステルおよび代謝産物に関し、式中、RおよびRはそれぞれH、場合により置換されたC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C3−7シクロアルキル、アリール、Het、Hetであり;Rは式(R11a11b)NC(R10a10b)CRの基であることもでき;tは0、1または2であり;RはHまたはC1−6アルキルであり;Lは−C(=O)−、−O−C(=O)−、−NR−C(=O)−、−O−C1−6アルカンジイル−C(=O)−、−NR−C1−6アルカンジイル−C(=O)−、−S(=O)−、−O−S(=O)−、−NR−S(=O)であり;RはC1−6アルキル、アリール、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキルまたはアリールC1−4アルキルであり;RはH、C1−4アルキルOC(=O)、カルボキシル、アミノC(=O)、モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノC(=O)、C3−7シクロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、または場合により置換されたC1−6アルキルであり;AはC1−6アルカンジイル、−C(=O)−、−C(=S)−、−S(=O)−、C1−6アルカンジイル−C(=O)−、C1−6アルカンジイル−C(=S)−またはC1−6アルカンジイル−S(=O)−であり;RはH、OH、C1−6アルキル、Het1−6アルキル、Het1−6アルキル、場合により置換されたアミノC1−6アルキルであり;RはC1−6アルキルO、Het、HetO、Het、HetO、アリール、アリールO、C1−6アルキルオキシカルボニルアミノまたはアミノであり;そして−A−がC1−6アルカンジイル以外である場合、RはC1−6アルキル、Het1−4アルキル、HetOC1−4アルキル、Het1−4アルキル、HetOC1−4アルキル、アリールC1−4アルキル、アリールOC1−4アルキルまたはアミノC1−4アルキルでもあることもでき;これによりRの定義における各アミノ基は場合により置換されることができ;Rおよび−A−Rはそれらが結合している窒素原子と一緒にHetまたはHetを形成することもできる。さらにそれらの広域スペクトルHIVプロテアーゼインヒビターとしての使用、それらの調製法ならびにそれらを含んでなる製薬学的組成物および診断キットに関する。また他の抗−レトロウイルス剤とそれらの組み合わせ物、およびアッセイ中の参照化合物または試薬としての使用に関する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は2−(置換−アミノ)−ベンゾチアゾールスルホンアミド、それらのアスパラギン酸プロテアーゼインヒビターとして、特に広域スペクトルHIVプロテアーゼインヒビターとしての使用、それらの調製法ならびにそれらを含んでなる製薬学的組成物および診断用キットに関する。また本発明はこの2−(置換−アミノ)−ベンゾチアゾールスルホンアミドと別の抗−レトロウイルス剤との組み合わせ物に関する。さらにアッセイにおける参照化合物としてまたは試薬としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
後天的免疫不全症候群(AIDS)を引き起こすウイルスは、T−リンパ球ウイルスIII(HTLV−III)またはリンパ節症随伴ウイルス(LAV)またはAIDS−関連ウイルス(ARV)またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)を含む様々な名前で知られている。今まで、2つの明確なファミリー、すなわちHIV−1およびHIV−2が同定された。今後、HIVはこれらのウイルスを包括的に表すために使用する。
【0003】
レトロウイルスの生活環において重要な経路の1つは、アスパラギン酸プロテアーゼによるポリタンパク質前駆体のプロセッシングである。例えばHIVウイルスではgag−polタンパク質はHIVプロテアーゼによりプロセッシングされる。アスパラギン酸プロテアーゼによる前駆体ポリタンパク質の正確なプロセッシングには感染性ビリオンの集成が必要であり、すなわちアスパラギン酸プロテアーゼを抗ウイルス療法の誘引標的(atrractive target)とする。特にHIV処置に関しては、HIVプロテアーゼが誘引標的である。
【0004】
HIVプロテアーゼインヒビター(PI)は通常、例えばヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NRTI)、非−ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NNRTI)または他のプロテアーゼインヒビターのような他の抗−HIV化合物と組み合わせてAIDS患者に投与される。これらの抗レトロウイルス剤は大変有用であるという事実にもかかわらず、それらは共通する限界、すなわちHIVウイルス中の標的とする酵素は既知の薬剤の効果が低くなるように、さらにはこれら突然変異したHIVウイルスに対しては効果が無くなるように突然変異することができるという限界を有する。すなわち換言すると、HIVウイルスは利用可能な薬剤に対して永遠に上昇する耐性を生じる。
【0005】
レトロウイルスそして特にHIVウイルスのインヒビターに対する耐性は、治療の失敗の主要な理由である。例えば抗−HIV併用療法を受けた患者の半分は、主に使用した1以上の薬剤に対するウイルスの耐性により処置に完全には応答しない。さらに耐性ウイルスは新たに感染した個体に運ばれることが示され、これらの薬剤に感受性の患者には治療の選択が極めて限られる。それゆえに当該技術分野ではレトロウイルス療法、より詳細にはAIDS療法のための新規化合物が必要である。当該技術分野における必要性は、野生型HIVウイルスに活性であるだけでなく益々増えるより多くの耐性HIVウイルスにも活性である化合物について特に急がれる。
【0006】
併用療法で投与されることが多い既知の抗レトロウイルス剤は、最終的には上記の耐性を生じるだろう。このことはしばしば突然変異したHIVウイルスに対して該抗レトロウイルス剤を効果的に処方するために、活性薬剤の血漿レベルを追加刺激(boost)することを医師に強いるかもしれない。この結果、薬剤の負荷量(pill burden)は望ましくなく高度に上昇する。血漿レベルを追加刺激することも処方された治療に従わない危険性の上昇を導くかもしれない。すなわち広い範囲のHIV突然変異体に関する活性を表す化合物を有することが重要であるだけではなく、広い範囲の突然変異HIV株にわたり突然変異HIVウイルスに対する活性と野生型HIVウイルスに対する活性との間の比(ホールドレジスタンス(fold resistance)またはFRとも定義される)に変動がほとんど無いか、または無いことも重要である。このように突然変異HIVウイルスが有効成分に対して感受性となる機会が上昇するので、患者は同じ併用療法を長期間受けることができる。
【0007】
野生型および広い多様な突然変異体に対して高い効力を有する化合物を見いだすことも、治療的レベルが最少に維持される場合、薬剤負荷量を下げることができるので重要である。この薬剤負荷量を下げる1つの方法は、毎日の用量を最少にすることができ、そして結果として摂取する薬剤の数も最少にすることができるように、良好な生物学的利用性、すなわち好ましい薬物動態学的および代謝的プロフィールをもつ抗−HIV化合物を見いだすことである。
【0008】
良好な抗−HIV化合物の別の重要な特徴は、インヒビターの血漿タンパク質への結合が最少であるか、またはインヒビターの効力に影響を及ぼさないことである。
【0009】
このようにホールドレジスタンスにおける変動がほとんど無く広域スペクトルのHIVウイルスの突然変異体を防除することができ、良好な生物学的利用性、および血漿タンパク質の結合によりインヒビターの効力に影響を及ぼすことがほとんど無いか、または無い経験を持つプロテアーゼインヒビターについて高度な医学的必要性が存在する。
【0010】
今まで幾つかのプロテアーゼインヒビターが市場に出ているか、または開発中である。1つの特定の中心構造(以下に示す)が特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6および特許文献7のような多数の技術文献に開示された。それらに開示されている化合物は、レトロウイルスプロテアーゼインヒビターとして記載されている。
【0011】
【化1】
Figure 2004518767
【0012】
特許文献8は多剤耐性(multi−drug resistant)レトロウイルスプロテアーゼを阻害することができる4−置換−フェニルスルホンアミドを開示する。
【0013】
【化2】
Figure 2004518767
【発明の開示】
【0014】
驚くべきことに、本発明の2−(置換−アミノ)−ベンゾチアゾールスルホンアミドが好ましい薬理学的および薬物動態学的プロフィールを有することが見いだされている。それらは野生型HIVウイルスに対して活性であるだけでなく、既知のプロテアーゼインヒビターに対して耐性を現す種々の突然変異HIVウイルスに対しても広域のスペクトル活性を示す。
【0015】
本発明の2−(置換−アミノ)−ベンゾチアゾールスルホンアミドの中には上記に引用した幾つかの特許公報の一般的記載の中に見られるものもあるが、それらはその中で具体的に開示、示唆または特許請求されず、また当業者が広域スペクトルのプロテアーゼインヒビターを設計しようと動機付けらることもなかった。
【0016】
本発明は、式
【0017】
【化3】
Figure 2004518767
【0018】
式中、
およびRはそれぞれ独立して水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、
アリールC1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−6アルキル、アリール、Het、Het1−6アルキル、HetまたはHet1−6アルキルであり;
は式
【0019】
【化4】
Figure 2004518767
【0020】
の基であることもでき、
式中、
、R10aおよびR10bはそれぞれ独立して水素、C1−4アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、アミノカルボニル、モノ−もしくはジ−(C1−4アルキル)アミノカルボニル、C3−7シクロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、またはアリール、Het
Het、C3−7シクロアルキル、C1−4アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、アミノカルボニル、モノ−もしくはジ−(C1−4アルキル)アミノカルボニル、アミノスルホニル、
1−4アルキルS(O)、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲンまたは場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノ[ここで置換基はC1−4アルキル、アリール、アリールC1−4アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキル、Het、Het、Het1−4アルキルおよびHet1−4アルキルから選択される]で場合により置換されたC1−4アルキルであり;これによりR、R10aおよびそれらが結合している炭素原子はC3−7シクロアルキル基を形成することもでき;Lが−O−C1−6アルカンジイル−C(=O)−または−NR−C1−6アルカンジイル−C(=O)である時、R9はオキソであることもでき;
11aは水素、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキル、アリール、アリールC1−4アルキル、場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノカルボニル、場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノC1−4アルキルカルボニルオキシ、C1−4アルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、Hetオキシカルボニル、Hetオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル−C1−4アルキル、アリールC1−4アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキルカルボニル、C3−7シクロアルキルカルボニル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキルオキシカルボニル、C3−7シクロアルキルカルボニルオキシ、カルボキシルC1−4アルキルカルボニルオキシ、C1−4アルキルカルボニルオキシ、アリールC1−4アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、Hetカルボニル、Hetカルボニルオキシ、Het1−4アルキルオキシカルボニル、Hetカルボニルオキシ、Het1−4アルキルカルボニルオキシ、Het1−4アルキルオキシカルボニルオキシ、またはアリール、アリールオキシ、Het、ハロゲンまたはヒドロキシで場合により置換されたC1−4アルキルであり;ここでアミノ基上の置換基はそれぞれC1−4アルキル、アリール、アリールC1−4アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキル、Het、Het、Het1−4アルキルおよびHet1−4アルキルから独立して選択され;
11bは水素、C3−7シクロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、C1−6アルキルオキシカルボニル、Het、Het、またはハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキルS(=O)、アリール、C3−7シクロアルキル、Het、Het、場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノ[ここで置換基はC1−4アルキル、アリール、アリールC1−4アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキル、Het、Het、Het1−4アルキルおよびHet1−4アルキルから選択される]で場合により置換されたC1−4アルキルであり;
これによりR11bは分子の残りの部分とスルホニル基を介して連結することができ;
tはそれぞれ独立してゼロ、1または2であり;
は水素またはC1−6アルキルであり;
Lは−C(=O)−、−O−C(=O)−、−NR−C(=O)−、−O−C1−6アルカンジイル−C(=O)−、−NR−C1−6アルカンジイル−C(=O)−、−S(=O)−、−O−S(=O)−、−NR−S(=O)であり、これによりC(=O)基またはS(=O)基のいずれかはNR部分に付くことができ;そしてこれによりアルカンジイル部分はアリール、アリールC1−4アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキル、Het、Het、Het1−4アルキルおよびHet1−4アルキルで場合により置換され;
はC1−6アルキル、アリール、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキルまたはアリールC1−4アルキルであり;
は水素、C1−4アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、アミノカルボニル、モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル、C3−7シクロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、またはアリール、Het、Het、C3−7シクロアルキル、C1−4アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、アミノカルボニル、モノ−もしくはジ−(C1−4アルキル)アミノカルボニル、アミノスルホニル、C1−4アルキルS(=O)、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲンまたは場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノ[ここで置換基はC1−4アルキル、アリール、アリールC1−4アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキル、Het、Het、Het1−4アルキルおよびHet1−4アルキルから選択される]で場合により置換されたC1−6アルキルであり;
AはC1−6アルカンジイル、−C(=O)−、−C(=S)−、−S(=O)−、C1−6アルカンジイル−C(=O)−、C1−6アルカンジイル−C(=S)−またはC1−6アルカンジイル−S(=O)−であり;これにより窒素原子に対する結合点は該基を含むそれらの部分のC1−6アルカンジイル基であり;
は水素、ヒドロキシ、C1−6アルキル、Het1−6アルキル、Het1−6アルキル、アミノC1−6アルキルであり、これによるアミノ基はC1−4アルキルで場合によりモノ−もしくはジ−置換されることができ;
はC1−6アルキルオキシ、Het、Hetオキシ、Het、Hetオキシ、アリール、アリールオキシまたはアミノであり;そして−A−がC1−6アルカンジイル以外である場合、RはC1−6アルキル、Het1−4アルキル、HetオキシC1−4アルキル、Het1−4アルキル、HetオキシC1−4アルキル、アリールC1−4アルキル、アリールオキシC1−4アルキルまたはアミノC1−4アルキルでもあることもでき;これによるRの定義における各アミノ基はC1−4アルキル、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニル、アリール、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、Het、Het、アリールC1−4アルキル、Het1−4アルキルまたはHet1−4アルキルから選択される1以上の置換基で場合により置換されることができ;そして
および−A−Rはそれらが結合している窒素原子と一緒にHetまたはHetを形成することもできる、
を有する2−(置換−アミノ)−ベンゾチアゾールプロテアーゼインヒビター、ならびにれらの−オキシド、塩、立体異性体、ラセミ混合物、プロドラッグ、エステルおよび代謝産物に関する。
【0021】
一つの態様に従い、本発明は式(I)の2−(置換−アミノ)−ベンゾチアゾールプロテアーゼインヒビター、およびそれらの−オキシド、塩、立体異性体、ラセミ混合物、プロドラッグ、エステルおよび代謝産物に関し、式中、
およびRがそれぞれ独立して水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、
アリールC1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−6アルキル、アリール、Het、Het1−6アルキル、Het、Het1−6アルキルであり;
が式
【0022】
【化5】
Figure 2004518767
【0023】
の基であることもでき、
式中、
、R10aおよびR10bがそれぞれ独立して水素、C1−4アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、アミノカルボニル、モノ−もしくはジ−(C1−4アルキル)アミノカルボニル、C3−7シクロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、またはアリール、Het
Het、C3−7シクロアルキル、C1−4アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、アミノカルボニル、モノ−もしくはジ−(C1−4アルキル)アミノカルボニル、アミノスルホニル、
1−4アルキルS(O)、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲンまたは場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノ[ここで置換基はC1−4アルキル、アリール、アリールC1−4アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキル、Het、Het、Het1−4アルキルおよびHet1−4アルキルから選択される]で場合により置換されたC1−4アルキルであり;これによりR、R10aおよびそれらが結合している炭素原子はC3−7シクロアルキル基を形成することもでき;
11aが水素、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキル、アリール、場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノカルボニル、場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノC1−4アルキルカルボニルオキシ、C1−4アルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、Hetオキシカルボニル、Hetオキシカルボニル、アリールオキシカルボニルC1−4アルキル、アリールC1−4アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキルカルボニル、C3−7シクロアルキルカルボニル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキルオキシカルボニル、C3−7シクロアルキルカルボニルオキシ、カルボキシルC1−4アルキルカルボニルオキシ、C1−4アルキルカルボニルオキシ、アリールC1−4アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、Hetカルボニル、Hetカルボニルオキシ、Het1−4アルキルオキシカルボニル、Hetカルボニルオキシ、Het1−4アルキルカルボニルオキシ、Het1−4アルキルオキシカルボニルオキシ、またはアリール、アリールオキシ、Hetまたはヒドロキシで場合により置換されたC1−4アルキルであり;ここでアミノ基上の置換基はそれぞれC1−4アルキル、アリール、アリールC1−4アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキル、Het、Het、Het1−4アルキルおよびHet1−4アルキルから独立して選択され;
11bが水素、C3−7シクロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、Het、Het、またはハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキルS(=O)、アリール、C3−7シクロアルキル、Het、Het、場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノ[ここで置換基はC1−4アルキル、アリール、アリールC1−4アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキル、Het、Het、Het1−4アルキルおよびHet1−4アルキルから選択される]で場合により置換されたC1−4アルキルであり;
これによりR11bは分子の残りの部分とスルホニル基を介して連結することができ;
tはそれぞれ独立してゼロ、1または2であり;
が水素またはC1−6アルキルであり;
Lが−C(=O)−、−O−C(=O)−、−NR−C(=O)−、−O−C1−6アルカンジイル−C(=O)−、−NR−C1−6アルカンジイル−C(=O)−、−S(=O)−、−O−S(=O)−、−NR−S(=O)であり、これによりC(=O)基またはS(=O)基のいずれかがNR部分に結合し;
がC1−6アルキル、アリール、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキルまたはアリールC1−4アルキルであり;
が水素、C1−4アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、アミノカルボニル、モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル、C3−7シクロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、またはアリール、Het、Het、C3−7シクロアルキル、C1−4アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、アミノカルボニル、モノ−もしくはジ−(C1−4アルキル)アミノカルボニル、アミノスルホニル、C1−4アルキルS(=O)、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲンまたは場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノ[ここで置換基はC1−4アルキル、アリール、アリールC1−4アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキル、Het、Het、Het1−4アルキルおよびHet1−4アルキルから選択される]で場合により置換されたC1−6アルキルであり;
AがC1−6アルカンジイル、−C(=O)−、−C(=S)−、−S(=O)−、C1−6アルカンジイル−C(=O)−、C1−6アルカンジイル−C(=S)−またはC1−6アルカンジイル−S(=O)−であり;これにより窒素原子に対する結合点は該基を含むこそれら部分のC1−6アルカンジイル基であり;
が水素、ヒドロキシ、C1−6アルキル、Het1−6アルキル、Het1−6アルキル、アミノC1−6アルキルであり、これによるアミノ基はC1−4アルキルで場合によりモノ−もしくはジ−置換されることができ;
がC1−6アルキルオキシ、Het、Hetオキシ、Het、Hetオキシ、アリール、アリールオキシまたはアミノであり;そして−A−がC1−6アルカンジイル以外である場合、RはC1−6アルキル、Het1−4アルキル、HetオキシC1−4アルキル、Het1−4アルキル、HetオキシC1−4アルキル、アリールC1−4アルキル、アリールオキシC1−4アルキルまたはアミノC1−4アルキルであることもでき;これによるRの定義における各アミノ基はC1−4アルキル、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニル、アリール、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、Het、Het、アリールC1−4アルキル、Het1−4アルキルまたはHet1−4アルキルから選択される1以上の置換基で場合により置換されることができ;そして
および−A−Rがそれらに結合している窒素原子と一緒にHetまたはHetを形成することもできる。
【0024】
本発明はまた、本発明の化合物の窒素原子の四級化も想定している。塩基性窒素は例えば低級アルキルハライド、ジアルキルスルフェート、長鎖ハライドおよびアラルキルハライドを含む当業者に既知の任意の試薬で四級化することができる。
【0025】
式(I)の化合物の定義に用語「置換された」を使用する時はいつでも、「置換された」を使用した表現で示す原子上の1以上の水素が示した基から選択された基に置き換えられることを示すことを意味するが、ただし示した原子の基準の原子価を越えず、そして置換は化学的に安定な化合物、すなわち反応混合物から有用な程度の純度までの単離、そして治療薬への配合に残存する(survive)ために十分に強固な化合物をもたらす。
【0026】
本明細書で使用するように、基または基の一部として用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フロオロ、クロロ、ブロモまたはヨードの総称である。
【0027】
基または基の一部として用語「C1−4アルキル」は、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチルおよび2−メチル−プロピル等のような1〜4個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状の飽和炭化水素基と定義する。
【0028】
基または基の一部として用語「C1−6アルキル」は、C1−4アルキルについて定めた基およびペンチル、ヘキシル、2−メチルブチル、3−メチルペンチル等のような1〜6個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状の飽和炭化水素基と定義する。
【0029】
基または基の一部として用語「C1−6アルカンジイル」は、例えばメチレン、エタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、ペンタン−1,5−ジイル、ヘキサン−1,6−ジイル、2−メチルブタン−1,4−ジイル、3−メチルペンタン−1,5−ジイル等のような1〜6個の炭素原子を有する二価の直鎖状および分枝鎖状の飽和炭化水素基と定義する。
【0030】
基または基の一部として用語「C2−6アルケニル」は、例えばエテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル等のような少なくとも1つの二重結合を含む2〜6個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状の炭化水素基と定義する。
【0031】
基または基の一部として用語「C2−6アルキニル」は、例えばエチニル、プロピニル、ブチニル、ペチテニル、ヘキシニル等のような少なくとも1つの三重結合を含む2〜6個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状の炭化水素基と定義する。
【0032】
基または基の一部として用語「C3−7シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルの総称である。
【0033】
基または基の一部としての用語「アリール」は、両方ともC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノ、ニトロ、シアノ、ハロC1−6アルキル、カルボキシル、C1−6アルコキシカルボニル、C3−7シクロアルキル、Het、場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノカルボニル、場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノC1−6アルキル、メチルチオ、メチルスルホニルから独立して選択される1以上の置換基で場合により置換され得るフェニルおよびナフチル、ならびにC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノ、ニトロ、シアノ、ハロC1−6アルキル、カルボキシル、C1−6アルコキシカルボニル、C3−7シクロアルキル、Het、場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノカルボニル、メチルチオおよびメチルスルホニルから選択される1以上の置換基で場合により置換されるフェニルを含むことを意味し:これによるアミノ官能基上の任意の置換基はC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルキルオキシ−A−、Het−A−、Het1−6アルキル、Het1−6アルキル−A−、Hetオキシ−A−、HetオキシC1−4アルキル−A−、フェニル−A−、フェニル−オキシ−A−、フェニルオキシC1−4アルキル−A−、フェニルC1−6アルキル−A−、C1−6アルキルオキシカルボニルアミノ−A−、アミノ−A−、アミノC1−6アルキルおよびアミノC1−6アルキル−A−[これによる各アミノ基はC1−4アルキルで場合によりモノ−もしくは可能ならばジ−置換されることができ、これによるAは上記に定義した通りである]から独立して選択される。
【0034】
基または基の一部として用語「ハロC1−6アルキル」は、1以上のハロゲン原子、好ましくはクロロもしくはフルオロ原子、より好ましくはフルオロ原子で置換されたC1−6アルキルと定義する。好適なハロC1−6アルキルには例えばトリフルオロメチルおよびジフルオロメチルを含む。
【0035】
基または基の一部として用語「Het」は、好ましくは3〜14個の環の員、より好ましくは5〜10個の環の員、そしてより好ましくは5〜8個の環の員を有する飽和もしくは部分的に不飽和の単環式、二環式または三環式複素環、これは窒素、酸素または硫黄から選択される1以上のヘテロ原子の環の員を含み、そして1以上の炭素原子上でC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、場合によリモノ−もしくはジ置換されたアミノ、ニトロ、シアノ、ハロC1−6アルキル、カルボキシル、C1−6アルコキシカルボニル、C3−7シクロアルキル、場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノカルボニル、場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノC1−6アルキル、メチルチオ、メチルスルホニル、アリール、および窒素、酸素または硫黄から選択される1以上のヘテロ原子の環の員を含む3〜14個の環の員を有する飽和もしくは部分的に不飽和の単環式、二環式または三環式複素環で場合により置換されると定義し、そしてこれによるアミノ官能基上の任意の置換基はC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルキルオキシ−A−、Het−A−、Het1−6アルキル、Het1−6アルキル−A−、Hetオキシ−A−、HetオキシC1−4アルキル−A−、アリール−A−、アリールオキシ−A−、アリールオキシC1−4アルキル−A−、アリールC1−6アルキル−A−、C1−6アルキルオキシカルボニルアミノ−A−、アミノ−A−、アミノC1−6アルキルおよびアミノC1−6アルキル−A−[これによる各アミノ基はC1−4アルキルで場合によりモノ−もしくは可能ならばジ−置換されることができ、これによるAは上記に定義した通りである]から独立して選択される。
【0036】
基または基の一部として用語「Het」は、好ましくは3〜14個の環の員、より好ましくは5〜10個の環の員、そしてより好ましくは5〜6個の環の員を有する芳香族の単環式、二環式または三環式複素環、これは窒素、酸素または硫黄から選択される1以上のヘテロ原子の環の員を含み、そして1以上の炭素原子上でC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、場合によリモノ−もしくはジ置換されたアミノ、ニトロ、シアノ、ハロC1−6アルキル、カルボキシル、C1−6アルコキシカルボニル、C3−7シクロアルキル、場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノカルボニル、場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノC1−6アルキル、メチルチオ、メチルスルホニル、アリール、Het、および3〜14個の環の員を有する芳香族の単環式、二環式または三環式複素環で場合により置換されると定義し;これによるアミノ官能基上の任意の置換基はC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルキルオキシ−A−、Het−A−、Het1−6アルキル、Het1−6アルキル−A−、Hetオキシ−A−、HetオキシC1−4アルキル−A−、アリール−A−、アリールオキシ−A−、アリールオキシC1−4アルキル−A−、アリールC1−6アルキル−A−、C1−6アルキルオキシカルボニルアミノ−A−、アミノ−A−、アミノC1−6アルキルおよびアミノC1−6アルキル−A−[これによる各アミノ基はC1−4アルキルで場合によりモノ−もしくは可能ならばジ−置換されることができ、そしてこれによるAは上記に定義した通りである]から独立して選択される。
【0037】
本明細書で使用する用語(=O)は、これが結合している炭素原子とカルボニル部分を形成する。
【0038】
本明細書中で以前に使用したように用語「1以上」は、すべての利用可能なC−原子の可能性を網羅し、適当ならば好ましくは1、2または3回置換される。
【0039】
任意の可変(variable)(例えばハロゲンまたはC1−4アルキル)が任意の構成要素で生じる時、各々の定義は独立している。
【0040】
本明細書を通して使用する用語「プロドラッグ」は、インビボで生じる誘導体の生物変換産物(biotransformation products)が式(I)の化合物で定義する活性薬剤となるようなエステル、アミドおよびホスフェートのような薬理学的に許容されうる誘導体を意味する。プロドラッグを記載するグッドマン アンド ギルマン(Goodman and Gilman)による参考文献[治療薬の薬理学的基礎(The Pharmacological Basis of Therapeutics)、第8版、マグローヒル(MaGraw−Hill)社編集、1992、「薬剤の生物変換(Biotransformation of Drugs)、第13〜15頁]は引用により包括的に本明細書に編入する。本発明の化合物のプロドラッグは、修飾が日常的な操作により、またはインビボで元の化合物に開裂するように、化合物中に存在する官能基を修飾することにより調製される。プロドラッグには、ヒドロキシ基、例えば不斉炭素原子上のヒドロキシ基、またはアミノ基がプロドラッグが患者に投与された時に開裂して遊離ヒドロキシルまたは遊離アミノをそれぞれ形成する任意の基に結合している本発明の化合物を含む。
【0041】
プロドラッグの典型的な例は例えば国際公開第99/33795号、同第99/33815号、同第99/33793号および同第99/33792号パンフレットに記載され、すべて引用により本明細書に編入する。
【0042】
プロドラッグは優れた溶解性、上昇した生物学的利用性およびインビボで活性なインヒビターに容易に代謝されることが特徴である。
【0043】
治療的使用には、式(I)の化合物の塩は対イオンが製薬学的または生理学的に許容され得る化合物である。しかし製薬学的に許容されない対イオンを有する塩も、例えば式(I)の製薬学的に許容され得る化合物の調製または精製に用途を見いだすことができる。製薬学的に許容されてもされなくてもすべての塩が本発明の範囲に含まれる。
【0044】
本発明の化合物が形成することができる製薬学的または生理学的に許容され得る付加塩形態は、例えばハロ化水素酸、例えば塩酸または臭化水素酸;硫酸;硝酸;リン酸等のような無機酸;あるいは例えば酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、−アミノ−サリチル酸、パモ(pamoic)等の酸の有機酸のような適当な酸を使用して都合よく調製することができる。
【0045】
逆に該酸の付加塩形態は適当な塩基を用いた処理により遊離塩基形態に転換することができる。
【0046】
酸性プロトンを含む式(I)の化合物は適当な有機および無機塩基を用いた処理により、それらの非毒性金属またはアミン付加塩形態に転換することもできる。適当な塩基の塩形態は例えば、アンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩等、有機塩基との塩、例えばベンザチン、N−メチル、−D−グルカミン、ヒドラバミン塩、および例えばアルギニン、リシン等のようなアミノ酸との塩を含んでなる。
【0047】
逆に該塩基付加塩形態は、適当な酸を用いた処理により遊離酸の形態に転換することができる。
【0048】
用語「塩」には、本発明の化合物が形成することができる水和物および溶媒付加形態も含んでなる。そのような形態の例は、例えば水和物、アルコラート等である。
【0049】
本発明の化合物の−オキシド形態は、1または幾つかの窒素原子がいわゆる−オキシドに酸化された式(I)の化合物を含んでなることを意味する。
【0050】
本発明の化合物はそれらの互変異性体形で存在することもできる。上記式では具体的に示さないが、そのような形態も本発明の範囲内に含まれることを意図する。
【0051】
これまで使用した本発明の化合物の立体化学的異性体という用語は、同じ結合の配列により結合した同じ原子により作られているが、相互変換することができない異なる三次元的構造を有する本発明の化合物が保有し得るすべての可能な化合物と定義する。特に言及または示さない限り、化合物の化学的名称は該化合物が保有し得るすべての可能な立体異性体の混合物を包含する。該混合物は該化合物の基本的分子構造のすべてのジアステレオマーおよび/またはエナンチオマーを含むことができる。本発明の化合物のすべての立体化学的異性体は、純粋な形態または互いの混合物の両方で本発明の範囲内に入るものとする。
【0052】
本明細書で挙げた化合物および中間体の純粋な立体化学的異性体は、該化合物または中間体の同じ基本的分子構造の他のエナンチオマーまたはジアステレオマーを実質的に含まない異性体と定義する。特に用語「立体化学的に純粋」とは少なくとも80%の立体異性体過剰(stereoisomeric excess)(すなわち最低90%の1つの異性体と最大10%のもう1つの可能な異性体)から100%の立体異性体過剰(すなわち100%の1つの異性体ともう1つの異性体無し)を有する化合物または中間体、より詳細には90%〜100%の立体異性体過剰、さらにより特別には94%〜100%の立体異性体過剰、そして最も特別には97%〜100%の立体異性体過剰を有する化合物または中間体に関する。「エナンチオマー的に純粋」および「ジアステレオマー的に純粋」という用語も同様に理解されるべきであるが、それぞれ問題の混合物中にエナンチオマー過剰、ジアステレオマー過剰の関係がある。
【0053】
本発明の化合物および中間体の純粋な立体化学的異性体は、技術的に知られている手順を応用することにより得ることができる。例えばエナンチオマーはそれらのジアステレオマー塩を場合により活性な酸を用いて選択的に晶出することにより互いに分離することができる。あるいはエナンチオマーはキラルな固定相を使用してクロマトグラフィー技法により分離することができる。このような純粋な立体化学的異性体は、反応が立体特異的に(stereospecifically)起こるならば、適当な出発材料の対応する純粋な立体化学的異性体から誘導することもできる。好ましくは特別な立体異性体を望む場合、該化合物は立体特異的な調製法により合成される。これらの方法にはエナンチオマー的に純粋な出発材料を有利に使用する。
【0054】
式(I)のジアステレオマーラセミ化合物は、常法により分離して得ることができる。有利に採用できる適当な物理的分離法は、例えば選択的晶出法およびクロマトグラフィー、例えばカラムクロマトグラフィーである。
【0055】
当業者には式(I)の化合物が少なくとも1つの不斉中心を含み、そしてこれにより異なる立体異性体として存在できることが明白である。この不斉中心は以下の式でアスタリスク(*)を用いて示す。
【0056】
【化6】
Figure 2004518767
【0057】
式(I)の化合物に存在し得る各不斉中心の絶対配置は、立体異性体の表示RおよびSにより示すことができ、このRおよびS表記はPure Appl.Chem.1976,45,11−30に記載された法則に対応する。アスタリスク(*)を用いて示した炭素原子は好ましくはR立体配置を有する。
【0058】
また本発明は本発明の化合物に存在する原子のすべての同位体を含むことも意図する。同位体には同じ原子番号を有するが異なる質量数を有する原子を含む。一般例として限定するわけではないが水素の同位体にはトリチウムおよびジュウテリウムを含む。炭素の同位体にはC−13およびC−14を含む。
【0059】
今後使用する時はいつでも、用語「式(I)の化合物」または「本発明の化合物」または類似の用語は一般式(I)の化合物、それらの−オキシド、塩、立体異性体、ラセミ混合物、プロドラッグ、エステルおよび代謝産物ならびにそれらの四級化窒素同族体を含むことを意味する。
【0060】
化合物の特別な群は、1以上の以下の限定を適用する式(I)の化合物である:
が水素、Het、Het、アリール、Het1−6アルキル、Het1−6アルキル、アリールC1−6アルキルであり、より特別にはRが水素、5〜8個の環の員を有し、窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1以上のヘテロ原子の環の員を含み、そして場合により置換された飽和もしくは部分的に不飽和の単環式もしくは二環式複素環、場合により1以上の置換基で置換されたフェニル、5〜6個の環の員を有し、窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1以上のヘテロ原子の環の員を含み、そして場合により1以上の炭素原子上で置換された芳香族の単環式複素環、または5〜6個の環の員を有し、窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1以上のヘテロ原子の環の員を含み、そして場合により1以上の炭素原子上で置換された芳香族の単環式複素環で置換されたC1−6アルキルであり;
11aがH、アルキルオキシカルボニルであり;
11bが場合によりアリールで置換されたC1−4アルキルであり;
が水素であり;
Lが−C(=O)−、−O−C(=O)−、−O−C1−6アルカンジイル−C(=O)−、−NR−C1−6アルカンジイル−C(=O)であり、より特別にはLが−C(=O)−、−O−C(=O)−、−O−CH−C(=O)−であり、これにより各々の場合でC(=O)基はNR部分に結合し;
がアリールC1−4アルキル、特にアリールメチル、より特別にはフェニルメチルであり;
が場合により置換されたC1−6アルキル、特にアリール、Het、Het、C3−7シクロアルキル、または場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノ[ここで置換基はC1−4アルキル、アリール、HetおよびHetから選択される]で場合により置換されたC1−6アルキルであり;
AがC1−6アルカンジイル、−C(=O)−またはC1−6アルカンジイル−C(=O)−であり、特にAがメチレン、1,2−エタンジイル、1,3−プロパンジイル、−C(=O)−または−CH−C(=O)−であり;
が水素、C1−6アルキル、Het1−6アルキル、アミノHet1−6アルキル[これによるアミノ基はC1−4アルキルで場合によりモノ−もしくはジ−置換されてもよい]であり;
がC1−6アルキルオキシ、Het、アリール、アミノであり;そして−A−がC1−6アルカンジイル以外の場合、RがC1−6アルキル、Het1−4アルキル、アリールオキシC1−4アルキルまたはアミノC1−4アルキルであることもでき;これによる各アミノ基は場合により置換されることができ;あるいは
および−A−Rはそれらが結合している窒素原子と一緒にHetを形成することもできる。
【0061】
化合物の特別な群は、RがHet、アリール、Het1−6アルキルであり;Rが水素であり;Lが−C(=O)−、−O−C(=O)−、−O−CH−C(=O)−であり、これにより各々の場合でC(=O)基がNR部分に結合し;Rがフェニルメチルであり;そしてRがC1−6アルキルである式(I)の化合物である。
【0062】
化合物の特別な群は、AがC1−6アルカンジイルまたは−C(=O)−であり;Rが水素、メチル、Het1−6アルキル、アミノHet1−6アルキル[これによるアミノ基はC1−4アルキルで場合によりモノ−もしくはジ−置換されてもよい]であり;RがC1−6アルキルオキシ、Het、アミノであり;そして−A−がC1−6アルカンジイル以外の場合、RがC1−6アルキル、Het1−4アルキルまたはアミノC1−4アルキルであることもでき;これによる各アミノ基は場合により置換されることができる式(I)の化合物である。
【0063】
化合物の興味深い群は、−A−がカルボニルであり、そしてRがアリール、Het1−4アルキル、アリールオキシC1−4アルキルまたはアミノC1−4アルキル[これによるアミノ基は場合により置換されることができる]であり;あるいは−A−がカルボニルであり、RがC1−4アルキルであり、そしてRがHet1−6アルキルまたはアミノC1−6アルキル[これによるアミノ基はC1−4アルキルで場合によりモノ−もしくはジ−置換されることができる]である、式(I)の化合物である。
【0064】
化合物の別の興味深い群は、−A−がC1−6アルカンジイルであり、そしてRがアミノおよびHetであり;これによるアミノ基はC1−4アルキルで場合によりモノ−もしくはジ−置換されることができる式(I)の化合物である。
【0065】
化合物の別の興味深い群は、Rが水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、アリールC1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−6アルキル、アリール、Het、Het1−6アルキル、Het、Het1−6アルキルであり;ここでHetは、5〜6個の環の員を有し、窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1以上のヘテロ原子の環の員を含み、そして場合により1以上の炭素原子上で置換された飽和もしくは部分的に不飽和の単環式複素環である式(I)の化合物である。
【0066】
化合物の別の興味深い群は、Lが−O−C1−6アルカンジイル−C(=O)−である式(I)の化合物である。
【0067】
化合物の別の興味深い群は、
AがC1−6アルカンジイル、−C(=O)−またはC1−6アルカンジイル−C(=O)−であり;これにより窒素原子に対する結合点が該基を含有するそれらの部分中のC1−6アルカンジイル基であり;
が水素、C1−6アルキル、Het1−6アルキル、Het1−6アルキル、アミノC1−6アルキル[これによるアミノ基はC1−4アルキルで場合によりモノ−もしくはジ−置換されることができる]であり;そして
−A−が−C(=O)−である場合、RがC1−6アルキルオキシ、Het、HetオキシまたはHetオキシ、アリール、Het1−4アルキル、HetオキシC1−4アルキル、Het1−4アルキル、HetオキシC1−4アルキル、アリールC1−4アルキル、アリールオキシC1−4アルキルまたはアミノC1−4アルキルであり;そして
−A−がC1−6アルカンジイルである場合、Rがアミノ、C1−6アルキルオキシ、Het、HetオキシまたはHetオキシであり;そして
−A−がC1−6アルカンジイル−C(=O)−である場合、RはC1−6アルキルオキシ、Het、HetオキシまたはHetオキシ、アリール、C1−6アルキル、Het1−4アルキル、HetオキシC1−4アルキル、Het1−4アルキル、HetオキシC1−4アルキル、アリールC1−4アルキル、アリールオキシC1−4アルキルまたはアミノC1−4アルキルであり;
これによりRの定義における各アミノ基は、C1−4アルキル、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニル、アリール、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、Het、Het、アリールC1−4アルキル、Het1−4アルキルまたはHet1−4アルキルから選択される1以上の置換基で場合により置換されることができ;そして
およびRがそれらに結合している窒素原子と一緒にHetを形成することもでき、これによるHetは少なくとも1つのオキソ基で置換されている式(I)の化合物である。
【0068】
興味深い化合物は、Lが−O−C1−6アルカンジイル−C(=O)−または−NR−C1−6−アルカンジイル−C(=O)−であり、そしてRが式
【0069】
【化7】
Figure 2004518767
【0070】
式中、
がオキソであり;
10aおよびR10bがそれぞれ独立して水素、またはアリール、Het、Het、C1−4アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、アミノカルボニル、ヒドロキシまたはモノ−もしくはジ−置換されたアミノ[ここで置換基はC1−4アルキルから選択される]で場合により置換されたC1−4アルキルであり;
11aがアリールC1−4アルキル、またはアリールまたはハロゲンで場合により置換されたC1−4アルキルであり、そして
11bが水素またはC1−6アルキルオキシカルボニルである、
の基である化合物である。
【0071】
また興味深い化合物は、Lが−O−C1−6アルカンジイル−C(=O)−または−NR−C1−6−アルカンジイル−C(=O)−であり、そしてRが式
【0072】
【化8】
Figure 2004518767
【0073】
式中、
がオキソであり;
10aおよびR10bが水素であり;
11aがアリールC1−4アルキルであり、ここでアリール基はハロゲンで置換され、そして
11bが水素またはC1−6アルキルオキシカルボニルである、
の基である化合物である。
【0074】
他の興味深い化合物は、Lが−O−C1−6アルカンジイル−C(=O)−または−NR−C1−6−アルカンジイル−C(=O)−であり、そしてRが式
【0075】
【化9】
Figure 2004518767
【0076】
式中、Rがオキソであり、R10aおよびR10bが水素であり、R11a−フルオロベンジルであり、そしてR11bが水素またはC1−6アルキルオキシカルボニルである、
の基である化合物である。
【0077】
さらに他の興味深い化合物は、Lが−O−C1−6アルカンジイル−C(=O)−または−NR−C1−6−アルカンジイル−C(=O)−であり、そしてRが式
【0078】
【化10】
Figure 2004518767
【0079】
式中、Rがオキソであり、R10aおよびR10bが水素であり、R11a−フルオロベンジルであり、そしてR11bが水素である、
の基である化合物である。
【0080】
他の興味深い化合物は、Lが−O−C1−6アルカンジイル−C(=O)−または−NR−C1−6−アルカンジイル−C(=O)−であり、そしてRが式
【0081】
【化11】
Figure 2004518767
【0082】
式中、Rがオキソであり、R10aおよびR10bが水素であり、R11a−フルオロベンジルであり、そしてR11bがtert−ブチルオキシカルボニルである、
の基である化合物である。
【0083】
興味深いことには、本発明の化合物は該化合物が上昇した組織滞留(tissue retention)および半減期を有するように、局在化した部位への共有結合を形成することができる化学的に反応性の部分を含んでなることができる。本明細書で使用する用語「化学的に反応性の基」とは、共有結合を形成することができる化学基を称する。反応性の基は一般的に水性の環境で安定であり、そして通常はカルボキシ、ホスホリルまたはエステルもしくは混合無水物のいずれかとして都合の良いアシル基、またはイミデートまたはマレイミデートであり、これらにより例えば血液成分上の標的部位のアミノ基、ヒドロキシまたはチオールのような官能基と共有結合を形成することができる。
【0084】
投与が必要な個体に投与すると、本発明の該化合物は上昇した組織滞留および半減期を有するように、該化合物は例えば血液成分を用いて局在化部位と共有結合を形成することができる。通常、形成される共有結合はそれを放出部位としない限り、血液成分の存在期間(life−time)中、維持され得る。このような新規化合物の主な利点は有効な効果を提供するために必要な化合物が少量である点である。この利点の理由は、送達の標的化、反応性物体Yと反応性反応基との間の反応の高収率および反応後に形成される結合の不可逆的な性質により説明される。さらにいったん膜または組織に結合すれば、本発明の該化合物は肝臓による代謝、腎臓による濾過および排出を受け難く、そして通常は活性の損失および加速される排除を導くプロテアーゼ(エンドペプチダーゼを含む)活性からも保護され得る。
【0085】
本明細書で使用する「血液成分」とは、固定または移動性の血液成分のいずれかを称する。固定された血液成分は非移動性の血液成分であり、そして組織、膜受容体、腸タンパク質、フィブリンタンパク質、コラーゲン、血小板、内皮細胞、上皮細胞およびそれらに会合している膜および膜受容体、体細胞(somatic body cell)、骨格筋および平滑筋細胞、神経成分、骨細胞および破骨細胞、ならびにすべての体組織、特に循環およびリンパ系に関係する組織である。移動性の血液成分は長期間、一般には5、より通常には1分を越えてその場に固定されない血液成分である。これらの血液成分は膜に会合せず、そして血液中に長期間存在し、そして少なくとも0.1μg/mlの最少濃度で存在する。移動性の血液成分には血清アルブミン、トランスフェリン、フェリチンおよびIgMおよびIgGのような免疫グロブリンを含む。移動性の血液成分の半減期は少なくとも約12時間である。
【0086】
式(I)の化合物は一般に国際公開第95/06030号、同第96/22287号、同第96/28418号、同第96/28463号、同第96/28464号、同第96/38465号および同第97/18205号パンフレットに記載されている手順に準じた手順を使用して調製することができる。
【0087】
本発明の化合物を作成するための特定の反応手順を以下に記載する。以下に記載する調製では、反応生成物は媒質から単離することができ、必要ならば例えば抽出、結晶化、トリチュレーションおよびクロマトグラフィーのような当該技術分野で一般に知られている方法論に従いさらに精製することができる。
【0088】
【化12】
Figure 2004518767
【0089】
2−アセトアミド−6−クロロスルホニルベンゾチアゾール(中間体a−2)は、欧州特許出願公開第0,445,926号明細書に記載されている手順に従い調製した。中間体a−4は国際公開第97/18205号パンフレットに記載され、そしてスキームFにも表されている手順に従い調製した中間体a−3を、中間体a−2とジクロロメタンのような反応に不活性な溶媒中、そしてトリエチルアミンのような塩基の存在下で、そして低温、例えば0℃で反応させることにより調製した。中間体a−3のBoc基は保護的なtert−ブチルオキシカルボニル基である。これはフタルイミドまたはベンジルオキシカルボニルのような別の適当な保護基に都合よく置き換えることができる。出発材料として中間体a−4を使用して、中間体a−5はトリフルオロ酢酸のような酸をジクロロメタンのような適当な溶媒中で使用して脱保護した。生成した中間体は、トリエチルアミンのような塩基の存在下で、そして場合により1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド 塩酸(EDC)またはtert−ブタノールのようなアルコールの存在下で、そしてジクロロメタンのような適当な溶媒中でさらに式R−L−(脱離基)と反応させることができ:これにより中間体a−6を形成する。特に式R−C(=O)−OHの中間体は中間体a−5とさらに反応させるために適している。
【0090】
あるいは中間体a−4はイソプロパノール中の塩酸のような強酸を用いて、エタノールおよびジオキサンの混合物のような適当な溶媒中で脱保護することができ;これにより中間体a−7を調製する。中間体a−8は中間体a−6の調製について記載した手順に準じて調製することができる。
【0091】
【化13】
Figure 2004518767
【0092】
中間体 b−5はスキームAに記載した手順に従い調製することができる。アミノベンゾチアゾール誘導体b−5は例えばリン酸と組み合わせて亜硝酸ナトリウムを用いて処理し、そして続いて硫酸銅および塩化ナトリウムを用いて処理することにより脱アミノ化することができ、これにより中間体b−6を得る。次いで中間体b−6を式R−L−(脱離基)の中間体とトリエチルアミンのような塩基の存在下、および場合によりEDCまたはt−ブタノールのようなアルコールの存在下で、そしてジクロロメタンのような適当な溶媒中で反応させることができ、このようにして中間体b−8を得る。中間体b−8はさらに式HN−A−Rのアミンを用いてアセトニトリルのような適当な溶媒中でさらに誘導化して中間体b−9を得ることができる。あるいは中間体b−6を最初にHN−A−Rと反応させ、そして次いで式R−L−(脱離基)とスキームBに示すように反応させることができる。中間体b−9は最後にさらにRCOClまたはそれらの機能的均等物とトリエチルアミンのような塩基の存在下、およびジクロロメタンのような適当な溶媒中で反応させることができる。該反応は不活性な雰囲気下で都合よく行う。
【0093】
【化14】
Figure 2004518767
【0094】
式(I)の化合物を調製する別の方法をスキームCに例示する。米国特許第6,140,505号明細書に記載されている手順に従い調製した中間体c−1をチオカルボニルジイミダゾールとテトラヒドロフランのような反応に不活性な溶媒中で反応させ、そして生じた中間体をさらに例えばジメチルエチルアミンのようなアミンと反応させ、これによりチオウレア誘導体c−2を得る。次いで該中間体c−2は臭素を用いて酢酸のような酸の存在下で環化し、これによりベンズチアゾール誘導体c−3を得る。反応スキームCにおける続く2工程はスキームAで中間体a−5およびa−6を調製するために記載した工程に準じる。所望により中間体c−5は例えばメタクロロペル安息香酸をジクロロメタン中で使用して−オキシド化することができる。
【0095】
アセトアミド置換ベンゾチアゾールを調製する特定の方法をスキームDに表す。
【0096】
【化15】
Figure 2004518767
【0097】
スキームAに記載された手順に従い調製した中間体d−1は、式d−2のアミドを得るためにクロロアセチルクロライドまたは機能的同族体と、トリエチルアミンのような塩基の存在下、そして1,4−ジオキサンのような溶媒中で反応させることができる。該中間体d−2はさらに式NRaRbのアミンと反応させることができる(これによるRaおよびRbは可変のRにおけるアミノ基上の可能な置換基と定める)。
【0098】
アセトアミド置換ベンゾチアゾールを調製するための別の特定の方法をスキームEに表す。
【0099】
【化16】
Figure 2004518767
【0100】
中間体e−2は、スキームAに記載した手順に従い調製した中間体e−1を炭酸ナトリウムのような塩基を用いて水ジオキサン混合物のような水性媒質中で処置することにより調製することができる。中間体e−6を得るためスキームEに表す合成工程は、上記合成スキームに記載した反応手順にすべて準じる。
【0101】
前述の調製で使用した多くの中間体および出発材料は既知の化合物であり、一方その他は該および類似化合物の技術的に知られている調製法に従い調製することができる。
【0102】
【化17】
Figure 2004518767
【0103】
スキームAの中間体a−3に対応する中間体f−2は、式HN−Rのアミンをイソプロパノールのような適当な溶媒中の中間体f−1に加えることにより調製することができる。
【0104】
本発明の化合物はスキームGに表す方法に従い調製することもできる。
【0105】
【化18】
Figure 2004518767
【0106】
ベンゾトリアゾール誘導体g−1をクロロスルホン酸と反応させ、そして続いてチオニルクロライドで処理して中間体g−2を得ることができる。該中間体g−2をさらに中間体g−3と反応させて中間体g−4を得、ここでPGは例えばBocのような適当な保護基を意味する。該反応は例えば2−メチルテトラヒドロフランのような適当な溶媒中、そして場合によりトリエチルアミンのような適当な塩基の存在下で行ってもよい。
【0107】
次いで中間体g−4はメタ−クロロペルオキシ安息香酸(mCPBA)またはモノペルオキシフタル酸マグネシウム6水和物(MMPP)のような適当な試薬と、エタノール中の2−メチルテトラヒドロフランのような適当な溶媒の存在下で反応させ、これにより中間体g−5およびg−6を生成することができる。
【0108】
中間体g−5およびg−6はさらに式HN(R)A−Rの化合物を用いて誘導化して、脱保護反応後に中間体g−7を得ることができる。次いで中間体g−7は、式R−L−(脱離基)とトリエチルアミンのような塩基の存在下、そして場合によりEDCまたはt−ブタノールのようなアルコールの存在下、そしてジクロロメタンのような適当な溶媒中で反応させ、これにより式(I)の化合物である化合物g−8を得ることができる。
【0109】
幾つかの本発明の化合物を調製する別の特定の方法をスキームHに表す。
【0110】
【化19】
Figure 2004518767
【0111】
PGがBoc基である時、イソプロパノール中のHClのような当該技術分野で既知の方法を使用してh−1の保護基を脱保護した後、遊離アミンをEDCおよびHOBtのようなカップリン グ試薬の存在下、ジクロロメタンのような有機溶媒中でカルボン酸と反応させてh−2を得る。
【0112】
1つの好適な態様では、カルボン酸はBoc−保護L−tert−ロイシンである。
【0113】
次いでh−2はすでに記載したように脱保護し、そしてクロロ酢酸とEDCおよびHOBtの存在下、ジクロロメタン中で反応させて中間体h−3を得、これをさらにジメチルホルムアミド(DMF)のような有機溶媒中で加熱条件下で1級アミンにより置換し、次いでBocのような十分な保護基により保護して中間体h−4を得る。
【0114】
中間体h−4をメタ−クロロペルオキシ安息香酸とジクロロメタン中で反応させてスルフォキシドh−5を得、さらにアセトニトリルのような有機溶媒中、加熱条件下で式NHRのアミンにより置換する。最終化合物h−6はすでに記載したように保護基を除去した後に得られる。
【0115】
式(I)の化合物は、例えばスキームCにおける中間体c−6について表すように、三価の窒素をその−オキシドに転換するための技術的に知られている手順に従い対応する−オキシド形に転換することもできる。該−オキシド化反応は一般に式(I)の出発材料を適当な有機または無機ペルオキシドと反応させることにより行うことができる。適当な無機ペルオキシドは例えば過酸化水素、アルカリ金属またはアルカリ土類金属ペルオキシド、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムを含んでなり;適当な有機ペルオキシドは例えばベンゼンカルボペルオキソ酸またはハロ置換ベンゼンカルボペルオキソ酸、例えば3−クロロ−ベンゼンカルボペルオキソ酸、ペルオキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸のようなペルオキシ酸、アルキルヒドロペルオキシド、例えばtert−ブチルヒドロペルオキシドを含んでなることができる。適当な溶媒は、例えば水、低級アルカノール、例えばエタノール等、炭化水素、例えばトルエン、ケトン、例えば2−ブタノン、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタンおよびそのような溶媒の混合物である。
【0116】
中間体の興味深い群は、−A−Rが水素である式a−8、b−9またはd−1の中間体である。該中間体は式(I)の化合物の薬理学的特性に類似する薬理学的特性も有することができる。
【0117】
本化合物は、すなわち動物、好ましくは哺乳動物に、そして特にヒトにそれ自体医薬品として、別の医薬品との混合物として、または製薬学的調製物の状態で使用することができる。
【0118】
さらに本発明は通例の製薬学的に無害な補形剤および補助剤に加えて、活性成分として少なくとも1つの式(I)の化合物の有効な用量を含む製薬学的調製物に関する。製薬学的調製物は通常、0.1〜99重量%の式(I)の化合物を含む。製薬学的調製物は、それ自体は当業者に既知の様式で調製することができる。この目的のために、少なくとも1つの式(I)の化合物を1以上の固体または液体の製薬学的補形剤および/または補助剤と一緒に、そして所望するならば他の製薬学的に活性な化合物と組み合わせて、ヒトの薬剤または獣医学用薬剤に医薬品として使用することができる適当な投与形または剤形にする。
【0119】
本発明の化合物を含む医薬品は、経口で、非経口で、例えば静脈内に、直腸に、吸息により、または局所に投与することができ、好適な投与は個々の症例、例えば処置する障害の特定の経過に依存する。経口投与が好ましい。
【0120】
当業者は専門的知識に基づき、所望する製薬学的製剤に適する補助剤に熟知している。溶媒の他に、ゲル−形成剤、座薬基剤、錠剤補助剤および他の活性化合物担体、酸化防止剤、分散剤、乳化剤、消泡剤、風味矯正剤、保存剤、可溶化剤、沈積効果を達成する作用剤、緩衝物質または着色剤も有用である。
【0121】
本発明の化合物の好ましい薬理学的特性、特に多剤耐性HIVプロテアーゼ酵素に対するそれらの活性により、本発明の化合物はHIVに感染した個体の処置に、およびこれらの個体の予防に有用である。一般に本発明の化合物は存在がプロテアーゼ酵素に媒介されるか、または依存するウイルスに感染した温血動物の処置に有用となり得る。本発明の化合物で防止または処置され得る状態、特にHIVおよび他の病原性レトロウイルスに関連する状態には、AIDS、AIDS−関連複合体(ARC)、進行性全身性リンパ腫(PGL)、ならびに例えばHIVが媒介する痴呆および多発性硬化症のようなレトロウイルスにより引き起こされる慢性CNS疾患を含む。
【0122】
したがって本発明の化合物またはそれらのサブグループは、上に挙げた状態に対して薬剤として使用することができる。薬剤として該使用または処置法にはHIV−感染した個体にHIVおよび他の病原性レトロウイルス、特にHIV−1に関連する状態を防除するために有効な量を全身投与することを含んでなる。したがって本発明の化合物はHIVおよび他の病原性レトロウイルスに関連する状態を処置するために有用な薬剤、特に多剤耐性HIVウイルスに感染した患者を処置するために有用な薬剤の製造に使用することができる。
【0123】
好適な態様では、哺乳動物における多剤耐性レトロウイルス感染、特にHIV−1感染に関係する感染または疾患を処置または防除するための薬剤の製造における、本発明の式(I)の化合物またはそれらの任意のサブグループの使用に関する。すなわち本発明はレトロウイルス感染、または多剤耐性レトロウイルス感染に関係する疾患の処置法にも関し、この方法は必要な哺乳動物に有効量の式(I)の化合物またはそれらのサブグループを投与することを含んでなる。
【0124】
別の好適な態様では、本発明は多剤耐性レトロウイルス、特にHIV−1レトロウイルスに感染した哺乳動物における該レトロウイルスのプロテアーゼを阻害するための薬剤の製造における、式(I)またはそれらの任意のサブグループの使用に関する。
【0125】
別の好適な態様では、本発明は多剤耐性レトロウイルス複製、特にHIV−1複製を阻害するための薬剤の製造における、式(I)またはそれらの任意のサブグループの使用に関する。
【0126】
本発明の化合物はHIVを含むかまたはHIVに暴露されたと予測されるサンプルをエクスビボで阻害するための用途を見いだすこともできる。したがって本化合物はHIVを含むか、またはHIVを含むかまたはそれに暴露されたと疑われる体液サンプル中に存在するHIVを阻害するために使用することができる。
【0127】
また抗レトロウイルス化合物と本発明の化合物との組み合わせ物も薬剤として使用することができる。すなわち本発明は、レトロウイルス感染の処置、特に多剤耐性レトロウイルスの感染の処置に同時に、別個にまたは順次に使用する組み合わせ調製物として、(a)本発明の化合物、および(b)別の抗レトロウイルス化合物を含む製品に関する。このようにHIV感染、または後天的免疫不全症候群(AIDS)またはAIDS関連複合体(ARC)のようなHIV感染に関係する感染および疾患を防除または処置するために、本発明の化合物は例えば硫酸デキストラン、スラミン、ポリアニオン、可溶性CD4のような結合インヒビターと;例えばT20、T1249、SHC−C、PRO542のような融合インヒビターと;例えばAMD3100(ビシクラムズ:Bicyclams)、TAK779のようなコ−レセプター(co−receptor)結合インヒビターと;例えばホスカルネット(foscarnet)およびプロドラッグ、MIV−310のようなRTインヒビターと;例えばAZT、3TC、DDC、DDI、D4T、アバカビル(Abacavir)、FTC、DAPD、dOTCのようなヌクレオシドRTIと;例えばPMEA、PMPA、テノホビル(tenofovir)のようなヌクレオチドRTIと;例えばネビラピン(nevirapine)、デラビルジン(delavirdine)、エファビレンズ(efavirenz)、8および9−Cl TIBO(チビラピン:tivirapine)、ロビリド(loviride)、TMC−125、TMC−120、MKC−442、UC781、カプラビリン(Capravirine)、DPC961、DPC963、DPC082、DPC083、カラノライド(calanolide)A、SJ−3366、TSAO、4”−脱アミノ化TSAOのようなNNRTIと;例えばSP1093V、PD126338のようなRNAse Hインヒビターと;例えばRO−5−3335、K12、K37のようなTATインヒビターと;例えばL 708906、L 731988のようなインテグラーゼインヒビターと;例えばアンプレナビル(amprenavir)、リトナビル(ritonavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、サキナビル(saquinavir)、インジナビル(indinavir)、ロピナビル(lopinavir)、BMS 232632、BMS 186316、DPC 681、DPC 684、チプラナビル(tipranavir)、AG1776、DMP 450、L 756425、PD178390、PNU 140135のようなプロテアーゼインヒビターと;例えばカスタノスペルミン(castanospermine)、デオキシノジリマイシン(deoxynojirimycine)のようなグリコシル化インヒビターと組み合わせて同時投与(co−administered)することができる。
【0128】
組み合わせは相乗的効果を提供し、これによりウイルス感染性およびそれに関連する症状が防止され、実質的に減り、または完全に排除され得る。
【0129】
本発明の化合物はHIV感染およびその症状を改善、防除または排除するために、免疫調節物質(immunomodulator)(例えばブロピリミン(bropirimine)、抗−ヒトアルファインターフェロン抗体、IL−2,メチオニンエンケファリン、インターフェロンアルファおよびナルトレキソン(naltrexone))、抗生物質(例えばペンタミジン イソチオレート)、ワクチンまたはホルモン(例えば成長ホルモン)と組み合わせて投与することもできる。
【0130】
経口投与形態には、本発明の化合物を補形剤、安定化剤または不活性な希釈剤のような適当な添加剤と混合し、そして常法の手段により錠剤、コート錠剤、硬質カプセル、水性、アルコール性または油性溶液のような適当な投与形態にする。適当な不活性担体の例は、アラビアゴム、マグネシア、炭酸マグネシウム、リン酸カリウム、ラクトース、グルコースまたは澱粉、特にコーンコターチである。この場合、調製は乾燥および浸潤粒子の両方で行うことができる。適当な油性補形剤または溶媒は、ヒマワリ油またはタラの肝油のような植物または動物油である。水性またはアルコール性溶液の適当な溶媒は水、エタノール、糖溶液またはそれらの混合物である。ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールも他の投与形態のためのさらなる補助剤として有用である。
【0131】
皮下または静脈内投与には、活性化合物を所望により可溶化剤、乳化剤またはさらなる補助剤のようなそれらのための通例の物質を用いて溶液、懸濁液または乳液とする。式(I)の化合物は凍結乾燥することもでき、そして得られた凍結乾燥物は例えば注射または注入用の調製物の製造に使用される。適当な溶媒は例えば水、生理食塩水またはアルコール、例えばエタノール、プロパノール、グリセロール、加えてまたグルコースまたはマンニトール溶液のような糖溶液、あるいは挙げた種々の溶媒の混合物である。
【0132】
エーロゾルまたはスプレーの形態で投与するために適当な製薬学的製剤は、エタノールまたは水、またはそのような溶媒の混合物のような製薬学的に許容される溶媒中の式(I)の化合物またはそれらの生理学的に許容される塩の、例えば溶液、懸濁液または乳液である。必要ならば製剤は表面活性剤、乳化剤および安定化剤ならびに噴射剤のような他の製薬学的補助剤をさらに含むこともできる。そのような調製物は通例、約0.1〜50%、特に約0.3〜3重量%の濃度の活性化合物を含む。
【0133】
製薬学的組成物中の式(I)の化合物の溶解性および/または安定性を強化するために、α−、β−またはγ−シクロデキストリンまたはそれらの誘導体を使用することが有利となり得る。アルコールのような補助溶剤も、製薬学的組成物中の式(I)の化合物の溶解性および/または安定性を向上させることができる。水性組成物の調製では、主題の化合物の付加塩がそれらの上昇した水溶性により明らかにより適当である。
【0134】
適当なシクロデキストリンは、α−、β−またはγ−シクロデキストリン(CD)またはそれらのエーテルおよび混合エーテルであり、ここでシクロデキストリンの無水グルコース単位の1以上のヒドロキシ基がC1−6アルキル、特にメチル、エチルまたはイソプロピル(例えば無作為にメチル化されたβ−CD);ヒドロキシC1−6アルキル、特にヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルまたはヒドロキシブチル;カルボキシC1−6アルキル、特にカルボキシメチルまたはカルボキシエチル;C1−6アルキルカルボニル、特にアセチル;C1−6アルキルオキシカルボニルC1−6アルキルまたはカルボキシC1−6アルキルオキシC1−6アルキル、特にカルボキシメトキシプロピルまたはカルボキシエトキシプロピル;C1−6アルキルカルボニルオキシC1−6アルキル、特に2−アセチルオキシプロピルで置換される。コンプレクサント(complexant)および/または可溶化剤として特に注目すべきはβ−CD、無作為にメチル化されたβ−CD、2,6−ジメチル−β−CD、2−ヒドロキシエチル−β−CD、2−ヒドロキシエチル−γ−CD、2−ヒドロキシプロピル−γ−CDおよび(2−カルボキシメトキシ)プロピル−β−CD、そして特に2−ヒドロキシプロピル−β−CD(2−HP−β−CD)である。
【0135】
混合エーテルという用語は、少なくとも2つのシクロデキストリンのヒドロキシ基が、例えばヒドロキシ−プロピルおよびヒドロキシエチルのような異なる基でエーテル化されているシクロデキストリン誘導体を表す。
【0136】
本発明の化合物をシクロデキストリンまたはそれらの誘導体と組み合わせて配合する興味深い方法が、欧州特許出願公開第721,331号明細書に記載された。そこに記載された製剤は抗菌・カビ性の有効成分であるが、それらは本発明の化合物を配合するために等しく興味深い。そこに記載されている製剤は特に経口投与に適し、そして有効成分として抗菌・カビ剤、可溶化剤として十分な量のシクロデキストリンまたはそれらの誘導体、嵩のある(balk)液体担体として水性の酸性媒質および組成物の調製を大いに容易にするアルコール性補助溶媒を含んでなる。該製剤は製薬学的に許容される甘味剤および/または風味剤を加えることによりさらに味を良くすることもできる。
【0137】
製薬学的組成物中の本発明の化合物の溶解性を強化するために他の都合がよい方法は、国際公開第94/05263号パンフレット、PCT出願第PCT/EP98/01773号明細書、欧州特許出願公開第499,299号明細書および国際公開第97/44014号パンフレットに記載され、これらはすべて引用により本明細書に編入する。
【0138】
より特別には本化合物は、(a)式(I)の化合物、および(b)1以上の製薬学的に許容される水溶性ポリマーを含んでなる固体分散物からなる治療に有効量の粒子を含んでなる製薬学的組成物に配合することができる。
【0139】
「固体分散物(solid dispersion)」という用語は、少なくとも2つの成分を含んでなる固体状(液体またはガス状とは異なって)の系と定義し、ここで1つの成分がもう1つの成分(1つまたは複数)全体にわたり事実上均一に分散している。成分の該分散物は系が全体的に化学的および物理的に単一または均質であるか、または熱力学的に定める1相からなるような時、そのような固体分散物を「固体溶液(solid solution)」と称する。固体溶液は、中の成分が通常、それらが投与される生物に対して容易に生物利用可能となることから好適な物理的系である。
【0140】
「固体分散物」という用語は、固体溶液よりも全体的に均一性が低い分散物も含んでなる。そのような分散物は全体的に化学的および物理的に単一ではないか、または1相より多い相を含んでなる。
【0141】
粒子中の水溶性ポリマーは20℃溶液で2%の水溶液に溶解した時、1〜100mPa.sの見掛粘度を有する都合がよいポリマーである。
【0142】
好適な水溶性ポリマーはヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはHPMCである。約0.8〜約2.5のメトキシ置換度(methoxy degree of substitution)を有し、そして約0.05〜約3.0のヒドロキシプロピルのモル置換(hydroxypropyl molar substituion)を有するHPMCは一般に水溶性である。メトキシ置換度とはセルロース分子中の無水グルコース単位あたりに存在するメチルエーテル基の平均数を称する。ヒドロキシ−プロピルのモル置換とは、セルロース分子中の各無水グルコース単位と反応したプロピレンオキシドの平均モル数を称する。
【0143】
上記に定める粒子は、最初に成分の固体分散物を調製し、そして次いで場合によりその分散物を粉砕(grinding)または挽く(milling)ことにより調製することができる。
【0144】
固体分散物を調製するためには、溶融押出し、噴霧乾燥および溶液蒸発を含む種々の技術が存在するが、溶融押出しが好適である。
【0145】
さらに本化合物を、1000nm未満の効果的な平均粒子サイズを維持するために十分な量で、粒子の表面に吸着する表面改質剤(surface modifier)を有するナノ粒子の状態に製剤することが都合がよい。有用な表面改質剤は抗レトロウイルス剤の表面に物理的に吸着するが抗レトロウイルス剤に化学的に結合しないものを含むと考える。
【0146】
適当な表面改質剤は好ましくは既知の有機および無機の製薬学的補形剤から選択することができる。そのような補形剤には種々のポリマー、低分子量オリゴマー、天然産物および表面活性剤を含む。好適な表面改質剤には非イオン性およびアニオン性表面活性剤を含む。
【0147】
本化合物を配合するためのさらに別の興味深い方法には、本化合物が親水性ポリマーに包含され、そしてこの混合物を多数の小さいビーズ上にコートフィルムとして適用する製薬学的組成物を含み、このようにして都合よく製造することができ、しかも経口投与用の製薬学的剤形を調製するために適する良好な生物学的利用性を持つ組成物を生成する。
【0148】
該ビーズは(a)中央の、丸みがある、または球状の芯、(b)親水性ポリマーのコートフィルムおよび抗レトロウイルス剤、および(c)シール−コートポリマー層を含んでなる。
【0149】
ビーズ中の芯として使用するために適する材料は、該材料が製薬学的に許容され、そして適当な寸法および堅さを有するならばマニホールド(manifold)である。そのような材料の例は、ポリマー、無機物質、有機物質およびサッカライドおよびそれらの誘導体である。
【0150】
本発明の別の観点は、HIVプロテアーゼ、HIV成長またはその両方を阻害するために有力な医薬品の能力を決定するために、試験またはアッセイに標準または試薬として使用するために有効な量で式(I)の化合物を含んでなるキットまたは容器に関する。本発明のこの観点では、製薬学的研究プログラムにおいて式(I)の化合物の用途を見いだすことができる。
【0151】
本発明の化合物は、HIV処置における該化合物の効力を測定するためのような高処理量の標的−アナライト(analyte)アッセイで使用することができる。
【0152】
本発明の化合物はHIVのような耐性発生疾患の臨床的管理において、既知の組換えアッセイのように表現型の耐性を監視するアッセイに使用することができる。特に有用な耐性監視システムはAntivirogram(商標)として知られている組換えアッセイである。Antivirogram(商標)は本発明の化合物に対する感受性、特にウイルス感受性を測定することができる高度に自動化された高処理量の第2世代の組換えアッセイである。(Hertogs K,de Bethune MP,Miller V et al.,Antimicrob Agents Chemother, 1998;42(2):269−276、引用により本明細書に編入)。
【0153】
投与すべき本発明の化合物またはそれらの生理学的に許容されうる塩(1つまたは複数)の用量は個々の症例に依存し、そして通例として最適な効果のために個々の症例の条件に適合される。このように用量はもちろん治療または予防について各々の症例で投与頻度および使用する化合物の効力および作用期間に依存するが、感染および症状の性質および重篤度、ならびに性別、年齢、体重および処置されるヒトまたは動物の個別の応答、および治療が緊急であるかまたは予防的であるかどうかにも依存する。通例は体重約75kgの患者に投与する場合、式(I)の化合物の毎日の用量は1mg〜1g、好ましくは3mg〜0.5gである。用量は1単位の用量で、または数回、例えば2、3または4回に分割した1単位の用量の状態で投与することができる。
実施例の部
式(I)の化合物およびそれらの中間体の調製
【実施例1】
【0154】
化合物29の調製
【0155】
【化20】
Figure 2004518767
【0156】
1.56gの中間体a−3(R=HそしてR=−CH−CH−NH−(2−ピリジニル))および0.59gのトリエチルアミンの混合物(50mlのジクロロメタン中)を0℃で撹拌した。次いで1.25gの2−(アセチルアミノ)−6−ベンゾチアゾールスルホニルクロライドを加え、そして反応混合物を室温で一晩撹拌した。水で洗浄した後、有機層を分離し、乾燥させ、そして溶媒を蒸発させた。得られた茶色い固体を70℃でメタノールに再度溶解し、冷却し、そして濾過して1.9g(75%)の中間体a−4(R=H、R=−CH−CH−NH−(2−ピリジニル)、そして−A−R=H)を得た。
【0157】
6gの中間体a−4(R=H、R=−CH−CH−NH−(2−ピリジニル)、そして−A−R=H)の混合物(50mlのジクロロメタン中)に、7.3mlのトリフルオロ酢酸を加えた。反応混合物を室温で6時間撹拌した。過剰なジクロロメタンを加え、そしてNaHCO溶液で洗浄した。有機層を乾燥させ、そして溶媒を減圧下で蒸発させて4.1g(81%)の中間体a−5(R=H、R=−CH−CH−NH−(2−ピリジニル)、そして−A−R=H)を得た。
【0158】
0.60gの中間体a−5(R=H、R=−CH−CH−NH−(2−ピリジニル)、そして−A−R=H)、0.29gの1−[[[[(3S,3aR,6aS)+(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イル]オキシ]カルボニル]オキシ]−2,5−ピロリジンジオン(国際公開第9967417号パンフレットに記載されている手順に準じて調製した)および0.33gのトリエチルアミンの混合物(15mlのジクロロメタン中)を、室温で24時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、そして得られた固体を70℃でメタノールに再度溶解し、冷却し、そして濾過して0.53g(69%)の化合物29を得た。マススペクトルデータ:m/z=711(M+H)
【実施例2】
【0159】
化合物31の調製
【0160】
【化21】
Figure 2004518767
【0161】
540mgの中間体a−5(R=H、R=−CH−(2−ピリジニル)、そして−A−R=H)、135mgのtert−ブタノール、192mgのEDCおよび101mgのトリエチルアミンの混合物(5mlのジクロロメタン中)を室温で一晩撹拌した。反応混合物をNaCO溶液そしてブラインで洗浄した。有機層を分離し、乾燥させ、そして溶媒を蒸発させた。残渣を調製用HPLCにより精製して、184mg(26%)の化合物31を得た。マススペクトルデータ:m/z=702(M+H)
【実施例3】
【0162】
化合物33の調製
【0163】
【化22】
Figure 2004518767
【0164】
540mgの中間体a−5(R=H、R=−CH−(2−ピリジニル)、そして−A−R=H)、271mgの1−[[[[(3S,3aR,6aS)+(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イル]オキシ]カルボニル]オキシ]−2,5−ピロリジンジオンおよび101mgのトリエチルアミンの混合物(5mlのジクロロメタン中)を、室温で24時間撹拌した。次いで反応混合物をNaCO溶液そしてブラインで洗浄した。有機層を分離し、乾燥させ、そして溶媒を蒸発させた。残渣を調製用HPLCにより精製して、161mg(23%)の化合物33を得た。マススペクトルデータ:m/z=696(M+H)
【実施例4】
【0165】
化合物2の調製
【0166】
【化23】
Figure 2004518767
【0167】
0.3gのラセミ中間体a−8(R=H、R=イソブチル、−A−R=H、そして−L−R=[[ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イル]オキシ]カルボニル)、および0.061gのトリエチルアミンの混合物(無水ジオキサン中)に、0.18gのエチルクロロホルメートを数部に分けて加えた。反応混合物を60℃で一晩加熱した。この混合物に10mlの水および0.4gの炭酸カリウムを加え、続いて2時間撹拌した。ジオキサンを真空下で除去した。水性相をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を濃縮し、そして得られた残渣をクロマトグラフィーにより精製して0.23g(68%)の化合物2を得た。
【実施例5】
【0168】
化合物56の調製
【0169】
【化24】
Figure 2004518767
【0170】
19.66gの[2R−ヒドロキシ−3−[(2−メチルプロピル)アミノ]−1S−(フェニルメチル)−プロピル]−カルバミン酸、1,1−ジメチルエチルエステル(国際公開第97/18205号パンフレットに記載されている)および17.76gのトリエチルアミンの混合物(200mlのジクロロメタン中)を、不活性な雰囲気下で0℃にて20分間撹拌する。18.72gの2−(アセチルアミノ)−6−ベンゾチアゾールスルホニルクロライドを少量づつ加え、そして混合物を室温で2時間撹拌した。5%HCl溶液、飽和重炭酸ナトリウム溶液、そしてブラインで洗浄した後、有機層を乾燥させ、そして溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルで精製し、ジクロロメタン中の4%メタノールで溶出して30.82g(90%)の中間体b−4(R=H、そしてR=イソブチル)を得た。
【0171】
13.75gの中間体b−4(R=H、そしてR=イソブチル)の混合物(130mlのエタノール/ジオキサン(1:1)中)に65mlのHCl(イソプロパノール中5〜6N)を加えた。反応物を50℃で22時間撹拌した。蒸発後、塩を飽和重炭酸ナトリウム溶液で処理し、そしてジクロロメタンで抽出した。有機層を乾燥させ、溶媒を蒸発させ、そして残渣をシリカゲルで精製し、ジクロロメタン中の3%メタノールで溶出して18.36g(72%)の中間体b−5(R=H、そしてR=イソブチル)を得た。
【0172】
1.81gの亜硝酸ナトリウム溶液(10mlの水中)を、40分間にわたり−10℃に維持した9.80gの中間体b−5(R=H、そしてR=イソブチル)の混合物(180mlの85%リン酸中)に加えた。1.5時間撹拌した後、混合物を10.90gの硫酸銅5水和物および12.67gの塩化ナトリウムの撹拌した溶液(80mlの水中)に−10℃で加えた。混合物を1.5時間撹拌し、室温に暖め、そして次いで冷却しながら水酸化アンモニウム溶液でアルカリ性(pH=8)とした。生成した溶液を酢酸エチルで抽出した。乾燥させ、そして溶媒を蒸発させた後、7.59g(74%)の中間体b−6(R=H、そしてR=イソブチル)を得た。
【0173】
1.63gの中間体b−6(R=H、そしてR=イソブチル)、0.80gの1−[[[[(3S)−テトラヒドロ−3−フラニル]オキシ]カルボニル]オキシ]−2,5−ピロリジンジオンおよび0.53gのトリエチルアミンの混合物(50mlのジクロロメタン中)を、室温で5時間撹拌した。減圧下でジクロロメタンを蒸発させた後、粗生成物をシリカゲルで精製し、ジクロロメタン中3%のメタノールで溶出して、0.58g(29%)の中間体b−8(R=H、R=イソブチル、R−L−=[[(3S)−テトラヒドロ−3−フラニル]オキシ]カルボニル)を得た。
【0174】
0.23gの中間体b−8(R=H、R=イソブチル、R−L−=[[(3S)−テトラヒドロ−3−フラニル]オキシ]カルボニル)の溶液(30mlのアセトニトリル中)に、0.20gの−ジメチルエチレンジアミンを加えた。この溶液を80℃で4時間撹拌した。減圧下でアセトニトリルを蒸発させた後、粗生成物をシリカゲルで精製し、ジクロロメタン中2%のメタノールで溶出して0.12g(50%)の化合物56を得た。マススペクトルデータ:m/z=634(M+H)
【実施例6】
【0175】
化合物44の調製
【0176】
【化25】
Figure 2004518767
【0177】
0.90gの中間体b−6(R=H、そしてR=イソブチル)の溶液(20mlのアセトニトリル中)に、0.85gの−ジメチルエチレンジアミンを加えた。この溶液を80℃で3時間撹拌した。減圧下でアセトニトリルを蒸発させた後、生成物を2%炭酸ナトリウムで洗浄し、そして酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させ、そしてシリカゲルで精製し、ジクロロメタン中1%のアンモニアで溶出して0.57g(58%)の中間体b−7(R=H、R=イソブチル、そして−A−R=CHCHN(CH)を得た。
【0178】
0.65gの(±トランス)−4−(ジメチルアミノ)テトラヒドロ−3−フラノール(米国特許第3,265,711号明細書に記載された合成)、3.78gのジスクシンイミジルカルボネートおよび1.50gのトリエチルアミンの混合物(30mlのジクロロメタン中)を室温で24時間撹拌した。生成した溶液を飽和重炭酸ナトリウムで洗浄した後、有機層を乾燥させ、そして溶媒を減圧下で蒸発させて0.52g(38%)の(±トランス)−1−[[[[4−(ジメチルアミノ)−テトラヒドロ−フラン−3−イル]オキシ]−カルボニル]オキシ]−2,5−ピロリジンジオンを得た。
【0179】
0.25gの中間体b−7(R=H、R=CHCHN(Me))、01.3gの(±トランス)−1−[[[[4−(ジメチルアミノ)−テトラヒドロ−フラン−3−イル]オキシ]−カルボニル]オキシ]−2,5−ピロリジンジオンおよび0.07gのトリエチルアミンの混合物(15mlのジクロロメタン中)を、室温で24時間撹拌した。減圧下でジクロロメタンを蒸発させた後、粗生成物をシリカゲルで精製し、ジクロロメタン中4%のアンモニアで溶出して0.14g(43%)の化合物44を得た。マススペクトルデータ:m/z=677(M+H)
【実施例7】
【0180】
化合物19の調製
【0181】
【化26】
Figure 2004518767
【0182】
0.83gの中間体b−6(R=H、そしてR=イソブチル)の溶液(20mlのアセトニトリル中)に、0.40gのN−(2−アミノエチル)−ピロリジンを加えた。この溶液を80℃で4時間撹拌した。アセトニトリルを減圧下で蒸発させた後、生成物を2%炭酸ナトリウムで洗浄し、そして酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥させ、減圧下で蒸発させ、そしてシリカゲルで精製し、ジクロロメタン中の1%アンモニアで溶出して0.47g(49%)の中間体b−7(R=H、R=イソブチル、そして−A−R=CHCH−(1−ピロリジニル)を得た。
【0183】
0.47gの中間体b−7(R=H、R=イソブチル、そして−A−R=CHCH−(1−ピロリジニル))、0.24gの1−[[[[(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イル]オキシ]カルボニル]オキシ]−2,5−ピロリジンジオンおよび0.10gのトリエチルアミンの混合物(20mlのジクロロメタン中)を、室温で24時間撹拌した。減圧下でジクロロメタンを蒸発させた後、粗生成物をシリカゲルで精製し、ジクロロメタン中2%のアンモニアで溶出して、0.54g(88%)の中間体b−9(R=H、R=イソブチル、−A−R=CHCH−(1−ピロリジニル)、そして−L−R=[[(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イル]オキシ]カルボニル)を得た。
【0184】
0.54gの中間体b−9(R=H、R=イソブチル、−A−R=CHCH−(1−ピロリジニル)、そして−L−R=[[(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イル]オキシ]カルボニル)および0.16gのトリエチルアミンの溶液(40mlのジクロロメタン中)に、不活性雰囲気下で0.22gのアセチルクロライドを加えた。室温で2時間撹拌し、そして水で洗浄した後、有機層を乾燥させ、そして減圧下で蒸発させて0.50g(87%)の化合物19を得た。マススペクトルデータ:m/z=744(M+H)
【実施例8】
【0185】
化合物16の調製
【0186】
【化27】
Figure 2004518767
【0187】
4.91gの[(1S,2R)−3−[[(4−アミノフェニル)スルホニル](2−メチルプロピル)アミノ]−2−ヒドロキシ−1−(フェニルメチル)−プロピル]−カルバミン酸、1,1−ジメチルエチルエステル(米国特許第6,140,505号明細書に記載されているように調製した)の溶液(40mlの無水テトラヒドロフラン中)に、1.78gの1,1’−チオカルボニルジイミダゾールを加えた。この溶液を4時間還流した。25℃に冷却した後、0.88gのN,N−ジメチルエチルアミンを加え、そして次いでこの溶液を再度16時間還流した。25℃に冷却し、減圧下でテトラヒドロフランを蒸発させた後、ジクロロメタンを加え、水で洗浄し、有機層を乾燥さて、そして濃縮した。この粗生成物をシリカゲルで精製し、ジクロロメタン中の5%メタノールで溶出して3.8g(62%)の中間体c−2(R=H、R=イソブチル)を得た。マススペクトルデータ:m/z=622(M+H),566,532.
2.5gの中間体c−2(R=H、R=イソブチル)の溶液(10mlの酢酸中)に、0.64gの臭素溶液(10mlの酢酸中)を加えた。2時間後、この粗生成物を濃縮し、ジクロロメタンを加え、そして有機相を飽和重炭酸カリウム溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾液し、そして濃縮して中間体c−3(R=H、R=イソブチル)を得た。マススペクトルデータ:m/z=620(M+H),564,520,261.
中間体c−3(R=H、R=イソブチル)を20mlのジクロロメタンで希釈し、そして5mlのトリフルオロ酢酸を加えた。溶液を1時間撹拌し、そして次いで濃縮した。この残渣を炭酸カリウム溶液で洗浄し、そしてジクロロメタンで抽出した。この粗材料をシリカゲルで精製し、ジクロロメタン中5%のメタノールで溶出して、1.5g(72%)の中間体c−4(R=H、R=イソブチル)を得た。
【0188】
1.5gの中間体c−4(R=H、R=イソブチル)、0.81gの1−[[[[(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イル]オキシ]カルボニル]オキシ]−2,5−ピロリジンジオン0.67gのトリエチルアミン(5mlのジクロロメタン中)を、室温で4時間撹拌した。この粗生成物を直接シリカゲルで精製し、ジクロロメタン中5%のメタノールで溶出して、0.80g(39%)の化合物16を得た。
【実施例9】
【0189】
化合物27の調製
【0190】
【化28】
Figure 2004518767
【0191】
0.34gの化合物16(5mlのジクロロメタン中)に、0.08gの重炭酸ナトリウムおよび0.15g(75%)のメタ クロロペル安息香酸を加えた。この溶液を室温で2時間撹拌した。水を加え、そして残渣をジクロロメタンで抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして濃縮した。この粗材料をシリカゲルで精製し、ジクロロメタン中5%のメタノールで溶出して、0.09g(26%)の化合物27を得た。マススペクトルデータ:m/z=692(M+H)
【実施例10】
【0192】
化合物11の調製
【0193】
【化29】
Figure 2004518767
【0194】
2.32gの2−アミノ−N−[(2R,3S)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブチル]−N−(2−メチルプロピル)−6−ベンゾチアゾールスルホンアミドおよび1.0gのトリエチルアミンの混合物(ジクロロメタン中)に、1.47gの1−[[[[(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イル]オキシ]カルボニル]オキシ]−2,5−ピロリジンジオンを加えた。一晩撹拌した後、反応物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして濃縮した。得られた残渣をカラムにより精製して(ジクロロメタン:メタノール 95:5)、2.76gの中間体d−1(R=H、R=イソブチル、−A−R=H、そして−L−R=[[(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イル]オキシ]カルボニル)(88%)を得た。
【0195】
中間体d−1(R=H、R=イソブチル、−A−R=H、そして−L−R=[[(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イル]オキシ]カルボニル)(2.0g:3,3ミリモル)およびトリエチルアミン(1.16g;11.5ミリモル)の混合物(乾燥1,4−ジオキサン中)に、クロロアセチルクロライド(429mg;3.8ミリモル)を加える。生成した混合物を室温で3時間撹拌した。別にクロロアセチルクロライド(180mg;1.5ミリモル)を加え、そして撹拌を3時間続行した。溶媒を蒸発させた後、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して(ジクロロメタン:メタノール 98:2)、1.57g(70%)の中間体d−2(R=H、R=イソブチル、−A−R=H、そして−L−R=[[(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イル]オキシ]カルボニル)を得た。マススペクトルデータ:(ES+):681/683(M+H).
中間体d−2(R=H、R=イソブチル、−A−R=H、そして−L−R=[[(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イル]オキシ]カルボニル)(0.45g;0.66ミリモル)の溶液(テトラヒドロフラン中)に、4.6mlの40重量%ジメチルアミン水溶液を加えた。2時間撹拌した後、テトラヒドロフランを蒸発させた。水性層をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。真空下で濃縮して0.42g(92%)の化合物11を得た。マススペクトルデータ:(ES+):690(M+H),560.
【実施例11】
【0196】
化合物12の調製
【0197】
【化30】
Figure 2004518767
【0198】
中間体d−2(R=H、R=イソブチル、−A−R=H、そして−L−R=[[(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イル]オキシ]カルボニル)の溶液(ジクロロメタン中)に、1.5当量のピロリジンを塩基として炭酸ナトリウムと一緒に加えた。室温で一晩撹拌した後、溶媒を真空下で除去した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して(ジクロロメタン:メタノール)、76%の化合物12を得た。マススペクトルデータ:(ES+)715(M+H)
【実施例12】
【0199】
化合物43の調製
【0200】
【化31】
Figure 2004518767
【0201】
6.13gの中間体e−1(R=H、R=イソブチル、そして−A−R=H)および10g炭酸ナトリウムの混合物(水/ジオキサン(1/2)中)を、80℃で48時間加熱した。ジオキサンを真空下で除去した。生じた水性相を酢酸エチルで2回抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、そして濾過した後、合わせた有機相を濃縮して5.08gの中間体e−2(R=H、R=イソブチル、そして−A−R=H)を得た。マススペクトルデータ:(ES+)549(M+H),449.
3.0gの2−アミノベンゾチアゾール中間体e−2(R=H、R=イソブチル、そして−A−R=H)および1.1gのトリエチルアミンの混合物(乾燥1,4−ジオキサン中)に、0.77gのクロロアセチルクロライドを加えた。生成した混合物を一晩撹拌した。溶媒を蒸発させた後、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して(ジクロロメタン:メタノール 98:2)、2.7g(78%)の中間体e−3(R=H、R=イソブチル、そして−A−R=H)を得た。マススペクトルデータ(ES+):625/627(M+H).
0.8gの中間体e−3(R=H、R=イソブチル、そして−A−R=H)の溶液(テトラヒドロフラン中)に、8mlの40重量%ジメチルアミン水溶液を加えた。3時間撹拌した後、テトラヒドロフランを蒸発させた。水性層をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。真空下で濃縮して0.58g(85%)の中間体e−4(R=H、R=イソブチル、−A−R=H、そしてR=R=CH)を得た。マススペクトルデータ(ES+):634(M+H),534.
中間体e−4(R=H、R=イソブチル、−A−R=H、そしてR=R=CH)の溶液(ジクロロメタン中)に、トリフルオロ酢酸(10当量)を加えた。一晩撹拌した後、有機相を飽和重炭酸ナトリウムおよびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして濃縮して中間体e−5(R=H、R=イソブチル、−A−R=H、そしてR=R=CH)を得た。
【0202】
0.35gの4−アミノ−2−メチル安息香酸の溶液(ジクロロメタン中)に、0℃で0.09gの1−ヒドロキシベンゾトリアゾールおよび0.13gのEDCを加えた。1時間半撹拌した後、温度を室温に上げ、そして撹拌をさらに1時間続行した。中間体e−5(R=H、R=イソブチル、−A−R=H、そしてR=R=CH)を加えた後、反応混合物を室温で2日間撹拌した。次いで溶媒を真空下で除去し、そして得られた残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して(ジクロロメタン:メタノール 97:3)、0.12g(29%)の化合物43を得た。マススペクトルデータ(ES+):667(M+H).
【実施例13】
【0203】
中間体f−2(R =H、そしてR =−CH −(2−ピリジニル))の調製
【0204】
【化32】
Figure 2004518767
【0205】
25gの2−ピリジルメチルアミンを400mlのイソプロパノール中で還流しながら撹拌した。次いで21gの2S,3S−1,2−エポキシ−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−フェニルブタン(市販されている)の溶液(200mlのイソプロパノール中)を滴下した。反応混合物を還流で一晩撹拌した。溶媒を除去した後、残渣をジクロロメタンに再度溶解し、そして水で4回洗浄した。有機層を乾燥させ、そして蒸発させた。得られた残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して(ジクロロメタン:メタノール中7NのNH、98:2)、24g(84%)の中間体f−2(R=H、そしてR=−CH−(2−ピリジニル))を得た。
【実施例14】
【0206】
化合物20の調製
化合物20はスキームGに表す方法に従い調製することもできる。具体的な方法を以下のスキームIで具体的に説明する。
【0207】
【化33】
Figure 2004518767
【0208】
クロロスルホン酸(0.193kg;1.65モル)を10℃で窒素下にて撹拌した。i−1を慎重に加えた。反応混合物を90℃で3時間撹拌した。加熱を止め、そしてチオニルクロライド(0.079kg;0.66モル)をゆっくり加えた。反応混合物を90℃でさらに1時間撹拌した。反応混合物を35℃まで冷却し、そして次に200mlの酢酸エチルをゆっくり加えた。さらに200mlの酢酸エチルを生成物の沈殿が始まった後に素早く加えた。沈殿を濾過し、そして200mlの酢酸エチルで2回、そして1000mlの冷水で2回洗浄した。次いで沈殿をNaHCO溶液中でpH=7まで撹拌した。混合物を濾過し、そして白色固体i−2を真空オーブン中、50℃で乾燥させた。(0.123kg、80%)。(LC/MS MW;280,282)
0.120kg(0.36モル)の中間体i−3および0.073kg(0.72モル)のトリエチルアミンの混合物(2−メチルテトラヒドロフラン(1.150kg)中)を35℃で反応物が溶解するまで撹拌した。次いで0.100kg(0.36モル)の中間体i−2を加え、そして反応物混合物を55℃で1.5時間撹拌した。反応混合物を水(0.500kg)で洗浄した後、有機層を分離し、そして0.500kgの1.5N HCl溶液で洗浄した。次いで有機層を分離し、乾燥させ、そして蒸発させてi−4を得た:0.208kg(100%)。(LC/MS MW;480,481,482)
0.208kg(0.36モル)の中間体i−4を、1kgの2−メチルテトラヒドロフラン、0.060kgのHOおよび0.110kgのエタノールの混合物中で40℃にてすべての反応物が溶解するまで撹拌した。次いでモノペルオキシフタル酸マグネシウム6水和物0.200kg(0.4モル)を加えた。混合物を撹拌し、そして60℃で15分間加熱した。反応混合物は0.400kgのNaCOを用いてpH=10になるまでアルカリ性とした。中間体i−5およびi−6(約70%のi−5および30%のi−6)。(LC/MS MWi−5;496,497,498 MWi−6;511,513)
この反応混合物に60℃で0.050kg(0.43モル)のN−(2−アミノエチルピロリジンを加えた。混合物を70℃で20時間撹拌した。次いでスラリーを40℃に冷却し、そして濃HCl(12N)を、pH=7〜8になるまで滴下した。ついで相の沈殿が観察された。有機層を分離し、蒸発させ、そして真空オーブン中で50℃にて乾燥させて、Boc N−保護されたi−7を得た;0.217kg(93%)。(LC/MS MW;646,647,648)
0.217kg(0.36モル)の中間体Boc N−保護されたi−7を、50℃で1.4kgのイソプロパノールに溶解した。次いで0.370L HCl 5 a 6N(2モル)を加え、そして混合物を加熱し、そして70℃で2.5時間撹拌した。この熱い反応混合物を0.50kgの冷(0℃〜15℃)イソプロパノールに滴下した。沈殿を濾過し、そしてジイソプロピルエーテルで洗浄した。わずかに茶色い固体をDIPE/トルエン(50/50)混合物でトリチュレートし、そして次いで濾過し、そして真空オーブン中で50℃にて乾燥させて、0.170kg(76%)のi−7 HCl−塩を得た。(LC/MS MW;546,547,548)
1.3gの中間体i−7、0.774gの1−[[[[(3S,3aR,6aS)+(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イル]オキシ]カルボニル]オキシ]−2,5−ピロリジンジオン(国際公開第9967417号パンフレットに記載されている手順に準じて調製した)および0.33gのトリエチルアミンの混合物(100mlのジクロロメタン中)を、室温で24時間撹拌した。粗生成物をNaHCO3溶液で洗浄した。有機層を乾燥させ、そして溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲルで精製して、0.74g(45%)の化合物20を得た。マススペクトルデータ:m/z=702(M+H).
【実施例15】
【0209】
化合物85およびその中間体(R=イソブチル)の調製
【0210】
【化34】
Figure 2004518767
【0211】
この化合物はスキームHに表す手順に従い調製した。
【0212】
11gの中間体h−1(PG=Boc、R=イソブチル)[(1S,2R)−2−ヒドロキシ−3−[(2−メチルプロピル)[[2−(メチルチオ)−ベンゾチアゾール−6−イル]スルホニル]アミノ]−1−(フェニルメチル)プロピル]カルバミン酸、1,1−ジメチルエチルエステルを、300mlのHCl(イソプロパノール中)および100mLのジクロロメタンに溶解し、そして溶液を室温で一晩撹拌した。次いで反応混合物を濃縮し、そしてジクロロメタンおよび水酸化ナトリウム混合物(水中)で処理した。次いで有機層をMgSO上で乾燥させ、そして蒸発させて8.8g(97%)の脱保護された中間体N−[(2R,3S)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブチル]−N−(2−メチルプロピル)[2−(メチルチオ)−ベンゾチアゾール−6−イル]スルホンアミドを遊離塩基として得た。マススペクトルデータ:m/z=480(M+H).
4.15gの前の中間体、2gのBoc−L−tert−ロイシン、1.17gのHOBtおよび1.66gのEDCを150mlのジクロロメタンに溶解し、そして室温で一晩撹拌した。次いで反応混合物をNaHCO3水溶液、ブラインで連続して洗浄し、MgSOで乾燥させ、そして蒸発させて6g(100%)の中間体h−2[(1S)−1−[[[(1S,2R)−2−ヒドロキシ−3−[(2−メチルプロピル)[(2−メチルチオ)−ベンゾチアゾール−6−イル)スルホニル]アミノ]−1−(フェニルメチル)プロピル]アミノ]カルボニル]−2,2−ジメチルプロピル]カルバミン酸、1,1−ジメチルエチルエステルを得た。マススペクトルデータ:m/z=693(M+H).
6gの中間体h−2を100mLのHCl(イソプロパノール中)に溶解し、そして室温で2時間撹拌した。次いで反応混合物を濃縮し、そしてジクロロメタンおよび炭酸ナトリウム水溶液の混合物で処理した。次いで有機相をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、そして蒸発させて3.9g(76%)の脱保護された中間体を遊離塩基として得た。マススペクトルデータ:m/z=593(M+H).
3.9gの前の中間体、0.69gのクロロ酢酸、0.98gのHOBtおよび1.38gのEDCを100mlのジクロロメタンに溶解し、そして室温で一晩撹拌した。次いで反応混合物をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、そして蒸発させた。粗化合物をシリカゲルで精製して、0〜5%メタノール(ジクロロメタン中)で溶出して、3.72g(85%)の所望する中間体h−3 2−[(クロロアセチル)アミノ]−3,3−ジメチル−N−[(1S,2R)−2−ヒドロキシ−3−[(2−メチルプロピル)[(2−メチルチオ)−ベンゾチアゾール−6−イル]スルホニル]アミノ]−1−(フェニルメチル)プロピル]−(2S)−ブタンアミドを得た。マススペクトルデータ:m/z=669(M+H).
3.72gの中間体h−3および1.27mLのメタ−フルオロベンジルアミンをDMFに溶解し、そして60℃で2時間撹拌した。次いで反応混合物を濃縮し、そしてジクロロメタンおよび炭酸ナトリウム水溶液の混合物で処理した。次いで有機相をMgSOで乾燥させ、そして蒸発させて4.3g(100%)の所望する中間体N’−[(3−フルオロフェニル)メチル]グリシル−N−[(1S,2R)−2−ヒドロキシ−3−[(2−メチルプロピル)[[2−(メチルチオ)ベンゾチアゾール−6−イル]スルホニルアミノ]−1−(フェニルメチル)プロピル]−3−メチル−L−バリンアミドを得た。マススペクトルデータ:m/z=758(M+H).
4.2gの前の中間体、1.2gのBocOおよび0.77mLのトリエチルアミンを50mLのジクロロメタンに溶解した。反応混合物を室温で一晩撹拌し、そして1.2gのBocOを加えた。5時間後、反応混合物を炭酸ナトリウム水溶液、ブラインで連続して洗浄し、MgSOで乾燥させ、そして蒸発させた。粗化合物をシリカゲルで精製して、2〜5%メタノール(ジクロロメタン中)で溶出して、3.2g(67%)の所望する中間体h−4 N’−[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]−N’−[(3−フルオロフェニル)メチル]グリシル−N−[(1S,2R)−2−ヒドロキシ−3−[(2−メチルプロピル)[[2−(メチルチオ)ベンゾチアゾール−6−イル]スルホニル]アミノ]−1−(フェニルメチル)プロピル]−3−メチル−L−バリンアミドを得た。マススペクトルデータ:m/z=858(M+H).
3.2gの中間体h−4および0.92gのメタ−クロロペルオキシ安息香酸(mCPBA)を100mLのジクロロメタン中で室温にて1時間30分間反応させた。次いで反応混合物を炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させ、そして蒸発させて3.45g(100%)の所望する中間体h−5 N’−[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]−N’−[(3−フルオロフェニル)メチル]グリシル−N−[(1S,2R)−2−ヒドロキシ−3−[(2−メチルプロピル)[[2−(メチルスルフィニル)ベンゾチアゾール−6−イル]スルホニル]アミノ]−1−(フェニルメチル)プロピル]−3−メチル−L−バリンアミドを得た。マススペクトルデータ:m/z=874(M+H).
0.5gの中間体h−5を0.16mLのN−(2−アミノエチル)ピロリジンと10mLのアセトニトリル中で60℃にて1時間30分間反応させた。次いで反応混合物を蒸発させ、シリカゲルで精製し、5〜10%メタノール(ジクロロメタン中)で溶出して0.24g(46%)の所望する中間体 N’−[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]−N’−[(3−フルオロフェニル)メチル]グリシル−N−[(1S,2R)−2−ヒドロキシ−3−[(2−メチルプロピル)[[2−[2−(ピロリジン−1−イル)エチルアミノ]ベンゾチアゾール−6−イル]スルホニル]アミノ]−1−(フェニルメチル)プロピル]−3−メチル−L−バリンアミドを得た。マススペクトルデータ:m/z=924(M+H).
0.15gの前の中間体を5mLのHCl(イソプロパノール中)に溶解した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、次いで蒸発させた。粗化合物を調製用HPLCにより精製し、60mgの所望する最終化合物85 N’−[(3−フルオロフェニル)メチル]グリシル−N−[(1S,2R)−2−ヒドロキシ−3−[(2−メチルプロピル)[[2−[2−(ピロリジン−1−イル)エチルアミノ]ベンゾチアゾール−6−イル]スルホニル]アミノ]−1−(フェニルメチル)プロピル]−3−メチル−L−バリンアミド、ビス−トリフルオロアセテートをTFA塩として得た。マススペクトルデータ:m/z=824(M+H).
【実施例16】
【0213】
化合物86 (R =イソブチル)の調製
【0214】
【化35】
Figure 2004518767
【0215】
0.5gの中間体h−5を0.16mLの3−(ジメチルアミノ)プロピルアミンと10mLのアセトニトリル中で60℃にて2時間反応させた。次いで反応混合物を蒸発させ、0.54g(100%)の所望する中間体 N’−[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]−N’−[(3−フルオロフェニル)メチル]グリシル−N−[(1S,2R)−2−ヒドロキシ−3−[[[(2−[3−(ジメチルアミノ)プロピルアミノ]ベンゾチアゾール−6−イル]スルホニル](2−メチルプロピル)アミノ]−1−(フェニルメチル)プロピル]−3−メチル−L−バリンアミドを得た。マススペクトルデータ:m/z=912(M+H).
0.54gの前の中間体を10mLのHCl(イソプロパノール中)に溶解した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、次いで蒸発させた。粗化合物を調製用HPLCにより精製し、83mgの所望する最終化合物86 N’−[(3−フルオロフェニル)メチル]グリシル−N−[(1S,2R)−2−ヒドロキシ−3−[[[2−[3−(ジメチルアミノ)プロピルアミノ]ベンゾチアゾール−6−イル]スルホニル](2−メチルプロピル)アミノ]−1−(フェニルメチル)プロピル]−3−メチル−L−バリンアミド、ビス−トリフルオロアセテートをTFA塩として得た。マススペクトルデータ:m/z=812(M+H).
【実施例17】
【0216】
化合物87 (R =イソブチル)の調製
【0217】
【化36】
Figure 2004518767
【0218】
0.5gの中間体h−5を0.18mLの−メチル,−(2−モルホリン−4−イルエチル)アミンと10mLのアセトニトリル中で60℃にて一晩反応させた。0.9gの−メチル,−(2−モルホリン−4−イルエチル)アミンを再度、反応混合物に加え、これをさらに2日間撹拌した。次いで反応混合物を蒸発させ、そしてシリカゲルで精製して5%メタノール(ジクロロメタン中)で溶出して、0.6g(100%)の所望する中間体 N’−[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]−N’−[(3−フルオロフェニル)メチル]グリシル−N−[(1S,2R)−2−ヒドロキシ−3−[[[(2−[−メチル,−(2−モルホリン−4−イルエチル)アミノ]ベンゾチアゾール−6−イル]スルホニル](2−メチル プロピル)アミノ]−1−(フェニルメチル)プロピル]−3−メチル−L−バリンアミドを得た。マススペクトルデータ:m/z=954(M+H).
0.6gの前の中間体を100mLのHCl(イソプロパノール中)に溶解した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、次いで蒸発させ、そしてジクロロメタンおよび炭酸ナトリウム水溶液の混合物で処理した。次いで有機相をMgSOで乾燥させ、そして蒸発させた。粗化合物を調製用HPLCにより精製し、424mg(60%)の所望する最終化合物87 N’−[(3−フルオロフェニル)メチル]グリシル−N−[(1S,2R)−2−ヒドロキシ−3−[[[2−[N−メチル,N−(2−モルホリン−4−イルエチル)アミノ]ベンゾチアゾール−6−イル]スルホニル](2−メチルプロピル)アミノ]−1−(フェニルメチル)プロピル]−3−メチル−L−バリンアミド、ビス−トリフルオロアセテートをTFA塩として得た。マススペクトルデータ:m/z=854(M+H).
以下の表では上記反応スキームの1つに従い調製した式(I)の化合物を掲げる。
【0219】
【表1】
Figure 2004518767
【0220】
【表2】
Figure 2004518767
【0221】
【表3】
Figure 2004518767
【0222】
【表4】
Figure 2004518767
【0223】
【表5】
Figure 2004518767
【0224】
【表6】
Figure 2004518767
【0225】
【表7】
Figure 2004518767
【0226】
【表8】
Figure 2004518767
【0227】
【表9】
Figure 2004518767
【0228】
表6
以下の化合物も調製した。化合物は以下に記載する方法に従い評価した。カラム3は野生型ウイルス(IIIB)に対するpEC50として結果を表す。カラム4は野生型ウイルス株F(R13025)に対するpEC50として結果を表す。カラム5は野生型ウイルス株S(R13080)に対するpEC50として結果を表す。
【0229】
【表10】
Figure 2004518767
【0230】
【表11】
Figure 2004518767
【0231】
【表12】
Figure 2004518767
【0232】
【表13】
Figure 2004518767
【0233】
【表14】
Figure 2004518767
【0234】
【表15】
Figure 2004518767
【0235】
【表16】
Figure 2004518767
【0236】
【表17】
Figure 2004518767
【0237】
抗体ウイルス分析:
本発明の化合物を抗−ウイルス活性について細胞アッセイで調査した。アッセイはこれらの化合物が野生型の研究用HIV株(HIV−1株LAI)に対して有力な抗−HIV活性を現したことを示した。細胞アッセイは以下の手順に従い行った。
細胞アッセイの実験法:
HIV−またはmock−感染したMT4細胞を、種々の濃度のインヒビターの存在下で5日間インキューベーションした。インキューベーション期間の終わりに、すべてのHIV−感染細胞はウイルスをインヒビターの不存在下で対照培地で複製させることにより殺した。細胞の生存率は、生きている細胞のミトコンドリアでのみ紫色の水不溶性ホルマザンに転換するMTT、黄色い水溶性のテトラゾリウム色素の濃度を測ることにより測定する。生成したホルマザン結晶をイソプロパノールで可溶化すると、溶液の吸収は540nmで測られる。この値は5日間のインキューベーションの完了時にカルチャー中に残る生きている細胞数と直接相関する。化合物の阻害活性はウイルスが感染した細胞について監視し、そしてEC50およびEC90で表す。これらの値はウイルスの細胞病原的効果から細胞をそれぞれ50%および90%保護するために必要な化合物の量を表す。化合物の毒性はmock−感染した細胞について測定し、そしてCC50として表し、これは細胞の成長を50%まで阻害するために必要な化合物の濃度を表す。選択指数(selectivitiy index:SI)(CC50/EC50比)は、インヒビターの抗−HIV活性の選択性の指標である。
【0238】
化合物1−4、7、9−19、21、24−26、28、33−35、37−43、45、46、49、50、56、61−64、66、68、70、71、75、79−83および88−93はすべて、HIV−1株LAIに対して50nM未満のEC50値を有する。これらの化合物に関するSIは約400と47000以上の間の範囲である。
【0239】
化合物5、6、20、22、23、29、36、44、47、48、51−55、58、59、69、72−74、76−78および84はすべて、HIV−1株LAIに対して50nMから500nMの間のEC50値を有した。これら化合物に関するSIは、約26から1900以上の間である。
【0240】
化合物27、30、31、57および60は、HIV−1株LAIに対して500nMより高いEC50値を有する。これら化合物に関するSIは13から183以上の間の範囲である。
抗ウイルススペクトル:
薬剤耐性HIV株の出現の増加から、本発明の化合物は幾つかの突然変異を有する臨床的に単離されたHIV株に対するそれらの効力について試験された。これらの突然変異はプロテアーゼインヒビターに対する耐性に関連し、そして例えばサキナビル(saquinavir)、リトナビル(ritonavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、インジナビル(indinavir)およびアンプレナビル(amprenavir)のような現在市販されている薬剤に対して、様々な程度の表現型の交差耐性を現すウイルスをもたらす。
結果:
本化合物の広いスペクトル活性の測定結果として、ホールドレジスタンス(fold resistance:FR)は、FR=EC50(突然変異株)/EC50(HIV−1株LAI)と定めた。表7はホールドレジスタンスという点で抗ウイルス試験の結果を示す。 この表から分かるように、本化合物は広い範囲の突然変異株の阻害に効果的である。
【0241】
【表18】
Figure 2004518767
【0242】
【表19】
Figure 2004518767
【0243】
【表20】
Figure 2004518767
【0244】
【表21】
Figure 2004518767
【0245】
株に関して使用した符号は以下の通りである
【0246】
【表22】
Figure 2004518767
【0247】
生物学的利用性:
本化合物の生物学的利用性はラットで測定した。化合物は経口でまたは腹腔内に投与した。動物を投与後、異なる時点で屠殺し、全血を集め、そして標準法により血清を分離した。血清中の化合物濃度は、上記の手順に従いサンプル中に存在する抗−HIV活性を滴定することにより決定した。血清濃度はHPLC−MSでも測定した。
タンパク質結合分析:
ヒト血清タンパク質様アルブミン(HSA)またはアルファ−1酸性 糖タンパク質(AAG)は多くの薬剤に結合することが知られており、このような化合物の効力の低下をもたらす可能性がある。本化合物がこの結合により逆の影響を受けかどうかを決定するために、化合物の抗−HIV活性をヒト血清の存在下で測定し、これによりプロテアーゼインヒビターがこれらタンパク質に結合する効果を評価する。
薬物動態学的データ
化合物20、88および90の薬物動態学的特性をラットおよびイヌで試験した。化合物はウィスター(Whistar)ラット、イファ クレド(Iffa Credo)供給、約350gで評価した。動物は投与前に一晩絶食させた(約12時間の絶食期間)。化合物をDMSOに溶解した。表に表す結果は化合物の経口投与からの結果に関する。血液は30分、1時間、2時間、3時間に採取し、投与前のサンプルは採取しなかった。生物学的サンプル中の化合物の量は、LC−MSを使用して決定した。以下の表において、“or”は経口投与を意味し、“mpk”はキログラムあたりのmgを意味する。
【0248】
結果を表8で具体的に説明する。
【0249】
【表23】
Figure 2004518767
【0250】
高血漿レべルがこれらの化合物について観察され、そしてより詳細には化合物20のような化合物について観察され、これは該化合物の水中への良好な溶解性による。

Claims (51)

  1. 式(I)
    Figure 2004518767
    式中、
    およびRはそれぞれ独立して水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、
    アリールC1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−6アルキル、アリール、Het、Het1−6アルキル、Het、Het1−6アルキルであり;
    は式
    Figure 2004518767
    の基であることもでき、
    式中、
    、R10aおよびR10bはそれぞれ独立して水素、C1−4アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、アミノカルボニル、モノ−もしくはジ−(C1−4アルキル)アミノカルボニル、C3−7シクロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、またはアリール、Het
    Het、C3−7シクロアルキル、C1−4アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、アミノカルボニル、モノ−もしくはジ−(C1−4アルキル)アミノカルボニル、アミノスルホニル、
    1−4アルキルS(O)、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲンまたは場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノ[ここで置換基はC1−4アルキル、アリール、アリールC1−4アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキル、Het、Het、Het1−4アルキルおよびHet1−4アルキルから選択される]で場合により置換されたC1−4アルキルであり;これによりR、R10aおよびそれらが結合している炭素原子はC3−7シクロアルキル基を形成することもでき;Lが−O−C1−6アルカンジイル−C(=O)−または−NR−C1−6アルカンジイル−C(=O)である時、R9はオキソであることもでき;
    11aは水素、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキル、アリール、アリールC1−4アルキル、場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノカルボニル、場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノC1−4アルキルカルボニルオキシ、C1−4アルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、Hetオキシカルボニル、Hetオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル−C1−4アルキル、アリールC1−4アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキルカルボニル、C3−7シクロアルキルカルボニル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキルオキシカルボニル、C3−7シクロアルキルカルボニルオキシ、カルボキシルC1−4アルキルカルボニルオキシ、C1−4アルキルカルボニルオキシ、アリールC1−4アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、Hetカルボニル、Hetカルボニルオキシ、Het1−4アルキルオキシカルボニル、Hetカルボニルオキシ、Het1−4アルキルカルボニルオキシ、Het1−4アルキルオキシカルボニルオキシ、またはアリール、アリールオキシ、Het、ハロゲンまたはヒドロキシで場合により置換されたC1−4アルキルであり;ここでアミノ基上の置換基はそれぞれC1−4アルキル、アリール、アリールC1−4アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキル、Het、Het、Het1−4アルキルおよびHet1−4アルキルから独立して選択され;
    11bは水素、C3−7シクロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、C1−6アルキルオキシカルボニル、Het、Het、またはハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキルS(=O)、アリール、C3−7シクロアルキル、Het、Het、場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノ[ここで置換基はC1−4アルキル、アリール、アリールC1−4アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキル、Het、Het、Het1−4アルキルおよびHet1−4アルキルから選択される]で場合により置換されたC1−4アルキルであり;
    これによりR11bは分子の残りの部分とスルホニル基を介して連結することができ;
    tはそれぞれ独立してゼロ、1または2であり;
    は水素またはC1−6アルキルであり;
    Lは−C(=O)−、−O−C(=O)−、−NR−C(=O)−、−O−C1−6アルカンジイル−C(=O)−、−NR−C1−6アルカンジイル−C(=O)−、−S(=O)−、−O−S(=O)−、−NR−S(=O)であり、これによりC(=O)基またはS(=O)基のいずれかはNR部分に結合し;そしてこれによりアルカンジイル部分はアリール、アリールC1−4アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキル、Het、Het、Het1−4アルキルおよびHet1−4アルキルで場合により置換され;
    はC1−6アルキル、アリール、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキルまたはアリールC1−4アルキルであり;
    は水素、C1−4アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、アミノカルボニル、モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル、C3−7シクロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、またはアリール、Het、Het、C3−7シクロアルキル、C1−4アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、アミノカルボニル、モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル、アミノスルホニル、C1−4アルキルS(=O)、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲンまたは場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノ[ここで置換基はC1−4アルキル、アリール、アリールC1−4アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキル、Het、Het、Het1−4アルキルおよびHet1−4アルキルから選択される]で場合により置換されたC1−6アルキルであり;
    AはC1−6アルカンジイル、−C(=O)−、−C(=S)−、−S(=O)−、C1−6アルカンジイル−C(=O)−、C1−6アルカンジイル−C(=S)−またはC1−6アルカンジイル−S(=O)−であり;これにより窒素原子に対する結合点は該基を含むそれらの部分のC1−6アルカンジイル基であり;
    は水素、ヒドロキシ、C1−6アルキル、Het1−6アルキル、Het1−6アルキル、アミノC1−6アルキルであり、これによるアミノ基はC1−4アルキルで場合によりモノ−もしくはジ−置換されることができ;
    はC1−6アルキルオキシ、Het、Hetオキシ、Het、Hetオキシ、アリール、アリールオキシまたはアミノであり;そして−A−がC1−6アルカンジイル以外である場合、RはC1−6アルキル、Het1−4アルキル、HetオキシC1−4アルキル、Het1−4アルキル、HetオキシC1−4アルキル、アリールC1−4アルキル、アリールオキシC1−4アルキルまたはアミノC1−4アルキルでもあることもでき;これによるRの定義における各アミノ基はC1−4アルキル、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニル、アリール、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、Het、Het、アリールC1−4アルキル、Het1−4アルキルまたはHet1−4アルキルから選択される1以上の置換基で場合により置換されることもでき;そして
    および−A−Rはそれらが結合している窒素原子と一緒にHetまたはHetを形成することもできる、
    を有する化合物ならびにれらの−オキシド、塩、立体異性体、ラセミ混合物、プロドラッグ、エステルおよび代謝産物。
  2. およびRがそれぞれ独立して水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、
    アリールC1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−6アルキル、アリール、Het、Het1−6アルキル、Het、Het1−6アルキルであり;
    が式
    Figure 2004518767
    の基であることもでき、
    式中、
    、R10aおよびR10bがそれぞれ独立して水素、C1−4アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、アミノカルボニル、モノ−もしくはジ−(C1−4アルキル)アミノカルボニル、C3−7シクロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、またはアリール、Het
    Het、C3−7シクロアルキル、C1−4アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、アミノカルボニル、モノ−もしくはジ−(C1−4アルキル)アミノカルボニル、アミノスルホニル、
    1−4アルキルS(O)、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲンまたは場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノ[ここで置換基はC1−4アルキル、アリール、アリールC1−4アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキル、Het、Het、Het1−4アルキルおよびHet1−4アルキルから選択される]で場合により置換されたC1−4アルキルであり;これによりR、R10aおよびそれらが結合している炭素原子はC3−7シクロアルキル基を形成することもでき;
    11aが水素、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキル、アリール、場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノカルボニル、場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノC1−4アルキルカルボニルオキシ、C1−4アルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、Hetオキシカルボニル、Hetオキシカルボニル、アリールオキシカルボニルC1−4アルキル、アリールC1−4アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキルカルボニル、C3−7シクロアルキルカルボニル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキルオキシカルボニル、C3−7シクロアルキルカルボニルオキシ、カルボキシルC1−4アルキルカルボニルオキシ、C1−4アルキルカルボニルオキシ、アリールC1−4アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、Hetカルボニル、Hetカルボニルオキシ、Het1−4アルキルオキシカルボニル、Hetカルボニルオキシ、Het1−4アルキルカルボニルオキシ、Het1−4アルキルオキシカルボニルオキシ、またはアリール、アリールオキシ、Hetまたはヒドロキシで場合により置換されたC1−4アルキルであり;ここでアミノ基上の置換基はそれぞれC1−4アルキル、アリール、アリールC1−4アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキル、Het、Het、Het1−4アルキルおよびHet1−4アルキルから独立して選択され;
    11bが水素、C3−7シクロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、Het、Het、またはハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキルS(=O)、アリール、C3−7シクロアルキル、Het、Het、場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノ[ここで置換基はC1−4アルキル、アリール、アリールC1−4アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキル、Het、Het、Het1−4アルキルおよびHet1−4アルキルから選択される]で場合により置換されたC1−4アルキルであり;
    これによりR11bは分子の残りの部分とスルホニル基を介して連結することができ;
    tがそれぞれ独立してゼロ、1または2であり;
    が水素またはC1−6アルキルであり;
    Lが−C(=O)−、−O−C(=O)−、−NR−C(=O)−、−O−C1−6アルカンジイル−C(=O)−、−NR−C1−6アルカンジイル−C(=O)−、−S(=O)−、−O−S(=O)−、−NR−S(=O)であり、これによりC(=O)基またはS(=O)基のいずれかがNR部分に結合し;
    がC1−6アルキル、アリール、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキルまたはアリールC1−4アルキルであり;
    が水素、C1−4アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、アミノカルボニル、モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル、C3−7シクロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、またはアリール、Het、Het、C3−7シクロアルキル、C1−4アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、アミノカルボニル、モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル、アミノスルホニル、C1−4アルキルS(=O)、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲンまたは場合によりモノ−もしくはジ−置換されたアミノ[ここで置換基はC1−4アルキル、アリール、アリールC1−4アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキル、Het、Het、Het1−4アルキルおよびHet1−4アルキルから選択される]で場合により置換されたC1−6アルキルであり;
    AがC1−6アルカンジイル、−C(=O)−、−C(=S)−、−S(=O)−、C1−6アルカンジイル−C(=O)−、C1−6アルカンジイル−C(=S)−またはC1−6アルカンジイル−S(=O)−であり;これにより窒素原子に対する結合点は該基を含むこそれら部分のC1−6アルカンジイル基であり;
    が水素、ヒドロキシ、C1−6アルキル、Het1−6アルキル、Het1−6アルキル、アミノC1−6アルキルであり、これによるアミノ基はC1−4アルキルで場合によりモノ−もしくはジ−置換されることができ;
    がC1−6アルキルオキシ、Het、Hetオキシ、Het、Hetオキシ、アリール、アリールオキシまたはアミノであり;そして−A−がC1−6アルカンジイル以外である場合、RはC1−6アルキル、Het1−4アルキル、HetオキシC1−4アルキル、Het1−4アルキル、HetオキシC1−4アルキル、アリールC1−4アルキル、アリールオキシC1−4アルキルまたはアミノC1−4アルキルであることもでき;これによるRの定義における各アミノ基はC1−4アルキル、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニル、、アリール、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、Het、Het、アリールC1−4アルキル、Het1−4アルキルまたはHet1−4アルキルから選択される1以上の置換基で場合により置換されることもでき;そして
    および−A−Rがそれらに結合している窒素原子と一緒にHetまたはHetを形成することもできる、
    の請求項1に記載の化合物。
  3. が水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、アリールC1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−6アルキル、アリール、Het、Het1−6アルキル、Het、Het1−6アルキルであり;ここでHetは5もしくは6個の環の員を有する飽和または部分的に不飽和の単環式複素環であり、窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1以上のヘテロ原子の環の員を含み、そして場合により1以上の炭素原子上で置換される、請求項1または2のいずれかに記載の化合物。
  4. Lが−O−C1−6アルカンジイル−C(=O)−である請求項1ないし3のいずれかに記載の化合物。
  5. Lが−O−C(=O)−である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の化合物。
  6. Lが−NR−C1−6アルカンジイル−C(=O)−であり、これによるアルカンジイル部分がアリール、アリールC1−4アルキル、Het、Het、Het1−4アルキルおよびHet1−4アルキルで場合により置換されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の化合物。
  7. がHet、Het1−6アルキル、HetまたはHet1−6アルキルである請求項1ないし6のいずれか1項に記載の化合物。
  8. がHetまたはHetである請求項7に記載の化合物。
  9. がHetである請求項8に記載の化合物。
  10. がヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]−フラニルである請求項9に記載の化合物。
  11. がテトラヒドロフラニルである請求項10に記載の化合物。
  12. Lが−O−C1−6アルカンジイル−C(=O)−または−NR−C1−6アルカンジイル−C(=O)−であり、そしてRが式
    Figure 2004518767
    式中、
    がオキソであり、
    10aおよびR10bがそれぞれ独立して水素、またはアリール、Het、Het、C1−4アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、アミノカルボニル、ヒドロキシまたは場合によりモノ−もしくはジ置換されたアミノ[ここで置換基はC1−4アルキルから選択される]で場合により置換されたC1−4アルキルであり、
    11aがアリールC1−4アルキル、またはアリールもしくはハロゲンで場合により置換されたC1−4アルキルであり、そして
    11bが水素またはC1−6アルキルオキシカルボニルである、
    の基である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の化合物。
  13. Lが−O−C1−6アルカンジイル−C(=O)−または−NR−C1−6アルカンジイル−C(=O)−であり、そしてRが式
    Figure 2004518767
    式中、
    がオキソであり、
    10aおよびR10bが水素であり、
    11aがアリールC1−4アルキルであり、ここでアリール基はハロゲンで場合により置換され、そして
    11bが水素またはC1−6アルキルオキシカルボニルである、
    の基である請求項12に記載の化合物。
  14. Lが−O−C1−6アルカンジイル−C(=O)−または−NR−C1−6アルカンジイル−C(=O)−であり、そしてRが式
    Figure 2004518767
    式中、
    がオキソであり、R10aおよびR10bが水素であり、R11a−フルオロベンジルであり、そしてR11bが水素またはC1−6アルキルオキシカルボニルである、
    の基である請求項13に記載の化合物。
  15. Lが−O−C1−6アルカンジイル−C(=O)−または−NR−C1−6アルカンジイル−C(=O)−であり、そしてRが式
    Figure 2004518767
    式中、
    がオキソであり、R10aおよびR10bが水素であり、R11a−フルオロベンジルであり、そしてR11bが水素である、
    の基である請求項14に記載の化合物。
  16. Lが−O−C1−6アルカンジイル−C(=O)−または−NR−C1−6アルカンジイル−C(=O)−であり、そしてRが式
    Figure 2004518767
    式中、
    がオキソであり、R10aおよびR10bが水素であり、R11a−フルオロベンジルであり、そしてR11bがtert−ブチルオキシカルボニルである、
    の基である請求項14に記載の化合物。
  17. がアリールC1−4アルキルである請求項1ないし16のいずれか1項に記載の化合物。
  18. がアリールCH−である請求項17に記載の化合物。
  19. がベンジルである請求項18に記載の化合物。
  20. がC1−6アルキルである請求項1ないし19のいずれか1項に記載の化合物。
  21. がブチルである請求項20に記載の化合物。
  22. がイソブチルである請求項21に記載の化合物。
  23. AがC1−6アルカンジイル、−C(=O)−またはC1−6アルカンジイル−C(=O)−であり;これにより窒素原子に対する結合点は該基を含む部分のC1−6アルカンジイル基であり;
    が水素、C1−6アルキル、Het1−6アルキル、Het1−6アルキル、アミノC1−6アルキルであり、これによるアミノ基はC1−4アルキルで場合によりモノ−もしくはジ−置換されることができ;そして
    −A−が−C(=O)−である場合、RがC1−6アルキルオキシ、Het、HetオキシまたはHetオキシ、アリール、Het1−4アルキル、HetオキシC1−4アルキル、Het1−4アルキル、HetオキシC1−4アルキル、アリールC1−4アルキル、アリールオキシC1−4アルキルまたはアミノC1−4アルキルであり;そして
    −A−がC1−6アルカンジイルである場合、Rがアミノ、C1−6アルキルオキシ、Het、HetオキシまたはHetオキシであり;そして
    −A−がC1−6アルカンジイル−C(=O)−である場合、RがC1−6アルキルオキシ、Het、HetオキシまたはHetオキシ、アリール、C1−6アルキル、Het1−4アルキル、HetオキシC1−4アルキル、Het1−4アルキル、HetオキシC1−4アルキル、アリールC1−4アルキル、アリールオキシC1−4アルキルまたはアミノC1−4アルキルであり;
    これによるRの定義における各アミノ基はC1−4アルキル、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニル、アリール、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、Het、Het、アリールC1−4アルキル、Het1−4アルキルまたはHet1−4アルキルから選択される1以上の置換基で場合により置換されることができ;そして
    および−A−Rがそれらに結合している窒素原子と一緒にHetを形成することもでき、これによるHetは少なくとも1つのオキソ基で置換される、請求項1ないし22のいずれか1項に記載の化合物。
  24. が水素またはC1−6アルキルである請求項23に記載の化合物。
  25. が水素である請求項24に記載の化合物。
  26. がメチルまたはエチルである請求項24に記載の化合物。
  27. がメチルである請求項26に記載の化合物。
  28. AがC1−6アルカンジイルである請求項23に記載の化合物。
  29. Aがエチレンジイルである請求項28に記載の化合物。
  30. がHetである請求項1ないし29のいずれか1項に記載の化合物。
  31. がHet1−4アルキルである請求項30に記載の化合物。
  32. がピロリジニルまたはピロリジニルC1−4アルキルである請求項30に記載の化合物。
  33. がピロリジニルエチルである請求項32に記載の化合物。
  34. がアミノであり;これによる各アミノ基がC1−4アルキル、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニル、アリール、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、Het、Het、アリールC1−4アルキル、Het1−4アルキルまたはHet1−4アルキルから選択される1以上の置換基で場合により置換されることができる、請求項1ないし29のいずれか1項に記載の化合物。
  35. がアミノであり;これにより各アミノ基がC1−4アルキルから選択される2個の置換基で置換される請求項34に記載の化合物。
  36. がジメチルアミノである請求項35に記載の化合物

  37. (1−ベンジル−3−{[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−ベンゾチアゾール−6−スルホニル]−イソブチル−アミノ}−2−ヒドロキシ−プロピル)−カルバミン酸ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−イル エステル、
    (1−ベンジル−3−{[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−ベンゾチアゾール−6−スルホニル]−イソブチル−アミノ}−2−ヒドロキシ−プロピル)−カルバミン酸トラヒドロ−フラン−3−イル エステル、
    1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−{イソブチル[2−(2−ピロリジン−1−イル−エチルアミノ)−ベンゾチアゾール−6−スルホニル]−アミノ}−プロピル)−カルバミン酸ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−イル エステル、
    [1−ベンジル−3−({2−[(3−ジメチルアミノ−プロピル)−メチル−アミノ]−ベンゾチアゾール−6−スルホニル}−イソブチル−アミノ)−2−ヒドロキシ−プロピル]−カルバミン酸ヘキサヒドロ フロ[2,3−b]−フラン−3−イル エステル、
    [1−ベンジル−3−({2−[(1−エチル−ピロリジン−2−イルメチル)−アミノ]−ベンゾチアゾール−6−スルホニル}−イソブチル−アミノ)−2−ヒドロキシ−プロピル]−カルバミン酸ヘキサヒドロ フロ[2,3−b]−フラン−3−イル エステル、
    を有する請求項1に記載の化合物。
  38. Figure 2004518767
    に従い、
    a)ベンゾチアゾール誘導体g−1をクロロスルホン酸と、そして続いてチオニルクロライドと反応させて中間体g−2を生成し、
    b)該中間体g−2を中間体g−3と反応させて中間体g−4を生成し、ここでPGは保護基であり、
    c)中間体g−4を中間体g−5およびg−6へと反応させ、
    d)中間体g−5およびg−6を式HN(R)A−Rの化合物を用いて誘導化し、続いて脱保護して中間体g−7を生成し、
    e)ついでg−7を式R−L−(脱離基)の中間体と反応させて化合物g−8を生成することができる工程を含んでなる、請求項1に記載の化合物の製造方法。
  39. 保護基がBocである請求項38に記載の方法。
  40. 工程(c)がメタクロロペルオキシ安息香酸またはモノペルオキシフタル酸マグネシウム6水和物を含んでなる群から選択される適当な試薬を用いて行われる、請求項38または39のいずれか1項に記載の方法。
  41. 有効量の請求項1ないし37のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物および製薬学的に許容されうる補形剤を含んでなる製薬学的組成物。
  42. プロテアーゼを阻害する量の請求項1ないし37のいずれか1項に記載の化合物を、それらが必要な哺乳動物に投与することを含んでなる、多剤耐性レトロウイルスに感染した哺乳動物において該レトロウイルスのプロテアーゼを阻害する方法。
  43. 有効量の請求項1ないし37のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物を哺乳動物に投与することを含んでなる、哺乳動物における多剤耐性レトロウイルス感染に関連する感染または疾患を処置または防除する方法。
  44. レトロウイルスを有効量の請求項1ないし37のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物と接触させることを含んでなる多剤耐性レトロウイルスの複製を阻害する方法。
  45. レトロウイルスがヒト免疫不全ウイルス(HIV)である請求項42、43または44に記載の方法。
  46. 薬剤として使用するための請求項1ないし37のいずれか1項に記載の化合物。
  47. 哺乳動物における多剤耐性レトロウイルス感染に関連する感染または疾患を処置または防除するための薬剤の製造における請求項1ないし37のいずれか1項に記載の化合物の使用。
  48. 多剤耐性レトロウイルスに感染した哺乳動物の該レトロウイルスのプロテアーゼを阻害するための薬剤の製造における請求項1ないし37のいずれか1項に記載の化合物の使用。
  49. 多剤耐性レトロウイルスの複製を阻害するための薬剤の製造における請求項1ないし37のいずれか1項に記載の化合物の使用。
  50. レトロウイルスがヒト免疫不全ウイルス(HIV)である請求項47ないし49のいずれか1項に記載の使用。
  51. 化合物が表8に掲げられている請求項1に記載の化合物。
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