JP2004352046A - タイヤグリップ度推定装置及び方法、走行状態制御方法 - Google Patents

タイヤグリップ度推定装置及び方法、走行状態制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】車両に前後方向又は横方向に力が作用した場合にグリップ度を精度よく推定する。
【解決手段】SAT推定器16は路面とタイヤ間で発生するSATを推定する。スリップ角演算器18は、前輪スリップ角を推定する。横力演算器180は、車輪に発生する横力を演算する。SATモデル演算器22は、スリップ角推定値と横力値からSATモデル値を演算する。前後方向状態量演算器240は、車輪に発生する前後方向状態量を演算する。グリップ度推定器26は、SAT推定器16により推定されたSAT、SATモデル演算器22により演算されたSATモデル値、及び前後方向状態量演算器240により推定された前後方向状態量から、グリップ度を推定する。
【選択図】 図13

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、グリップ度推定装置等に係り、より詳細には、車輪のグリップ度を推定するグリップ度推定装置等に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、セルフアライニングトルクを利用してグリップ状態を推定する装置が提案されている(特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−12160号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の装置では、セルフアライニングトルクを利用してグリップ状態を推定する際は、車両を制駆動する制駆動輪に発生する制駆動力や横力等を考慮していない。従って、制動状態や駆動状態のときのグリップ度を精度よく推定することができない。
【0005】
本発明は、上記事実に鑑み成されたもので、車両に前後方向又は横方向に力が作用した場合にグリップ度を精度よく推定することの可能なグリップ度推定装置等を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため請求項1記載の発明に係るタイヤグリップ度推定装置は、車輪の接地面に発生するセルフアライニングトルクを推定または検出するセルフアライニングトルク推定・検出手段と、前記車輪に発生する横方向状態量を演算する横方向状態量演算手段と、前記車輪に発生する前後方向状態量を演算する前後方向状態量演算手段と、前記横方向状態量及びタイヤパラメータに基づいてセルフアライニングトルクモデル値を演算するセルフアライニングモデル値演算手段と、前記セルフアライニングトルク推定・検出手段で推定または検出されたセルフアライニングトルクと、前記セルフアライニングモデル値演算手段で演算されたセルフアライニングトルクモデル値との比であるセルフアライニング比を演算する比演算手段と、前記セルフアライニング比及び前記前後方向状態量に基づいてタイヤのグリップ度を推定するグリップ度推定手段と、を備えている。
【0007】
セルフアライニングトルク推定・検出手段は、車輪の接地面に発生するセルフアライニングトルクを推定または検出する。
【0008】
横方向状態量演算手段は、前記車輪に発生する横方向状態量を演算し、前後方向状態量演算手段は、前記車輪に発生する前後方向状態量を演算する。
【0009】
セルフアライニングモデル値演算手段は、横方向状態量演算手段により演算された横方向状態量及びタイヤパラメータに基づいてセルフアライニングトルクモデル値を演算する。比演算手段は、セルフアライニング比を演算する。セルフアライニング比は、セルフアライニングトルク推定・検出手段で推定または検出されたセルフアライニングトルクと、前記セルフアライニングモデル値演算手段で演算されたセルフアライニングトルクモデル値との比である。
【0010】
そして、グリップ度推定手段は、セルフアライニング比及び前後方向状態量に基づいてタイヤのグリップ度を推定する。
【0011】
このように、横方向状態量及びタイヤパラメータに基づいてセルフアライニングトルクモデル値を演算し、セルフアライニングトルクとセルフアライニングトルクモデル値との比(セルフアライニング比)を演算し、セルフアライニング比及び前後方向状態量に基づいてタイヤのグリップ度を推定するので、グリップ度を精度よく推定することができる。
【0012】
請求項2記載の発明に係るタイヤグリップ度推定装置は、車輪の接地面に発生するセルフアライニングトルクを推定または検出するセルフアライニングトルク推定・検出手段と、前記車輪に発生する横方向状態量を演算する横方向状態量演算手段と、前記車輪に発生する前後方向状態量を演算する前後方向状態量演算手段と、前記横方向状態量、前記前後方向状態量、及びタイヤパラメータに基づいてセルフアライニングトルクモデル値を演算するセルフアライニングモデル値演算手段と、前記セルフアライニングトルク推定・検出手段で推定または検出されたセルフアライニングトルクと、前記セルフアライニングモデル値演算手段で演算されたセルフアライニングトルクモデル値との比であるセルフアライニング比を演算する比演算手段と、前記セルフアライニング比に基づいてタイヤのグリップ度を推定するグリップ度推定手段と、を備えている。
【0013】
セルフアライニングトルク推定・検出手段は、車輪の接地面に発生するセルフアライニングトルクを推定または検出する。横方向状態量演算手段は、車輪に発生する横方向状態量を演算する。前後方向状態量演算手段は、車輪に発生する前後方向状態量を演算する。
【0014】
セルフアライニングモデル値演算手段は、横方向状態量、前後方向状態量、及びタイヤパラメータに基づいてセルフアライニングトルクモデル値を演算する。
【0015】
比演算手段はセルフアライニング比を演算し、グリップ度推定手段は、セルフアライニング比に基づいてタイヤのグリップ度を推定する。
【0016】
このように、車輪に発生する横方向状態量・前後方向状態量、及びタイヤパラメータに基づいてセルフアライニングトルクモデル値を演算して、セルフアライニング比を演算し、セルフアライニング比に基づいてタイヤのグリップ度を推定するので、グリップ度を精度良く推定することができる。
【0017】
請求項2記載の発明では、請求項3のように、グリップ度推定手段は、セルフアライニングトルク比に加え、前後方向状態量を用いてタイヤのグリップ度を推定するようにしてもよい。これにより、グリップ度をより精度良く推定することができる。
【0018】
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の発明においては、請求項4のように、前記横方向状態量をスリップ角、前記前後方向状態量を前後力又は前後力を前輪コーナリングパワーで除算した商、前記タイヤパラメータをタイヤ接地長及びタイヤ剛性としてもよい。
【0019】
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の発明においては、請求項5のように、前記横方向状態量を横力、前記前後方向状態量を前後力、前記タイヤパラメータをタイヤ接地長及びタイヤ剛性としてもよい。
【0020】
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の発明においては、請求項6のように、前記横方向状態量を横力、前記前後方向状態量を、前後力を前輪コーナリングパワーで除算した商、前記タイヤパラメータをタイヤ接地長であるとしてもよい。
【0021】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の発明において、車速を検出する車速検出手段と、操舵角を検出する舵角検出手段とを更に含み、前記横方向状態量演算手段を、前記車速と前記操舵角とから車両線形モデルに基づいて、タイヤに発生する横力を推定する推定手段と、前記横力推定手段で推定された横力にハイパスフィルタ処理を施すハイパスフィルタと、車両状態量からタイヤに発生する横力を演算する横力演算手段と、前記横力演算手段で演算された横力にローパスフィルタ処理を施すローパスフィルタと、前記ハイパスフィルタによりハイパスフィルタ処理が施された横力と、前記ローパスフィルタによりローパスフィルタ処理が施された横力との和を横方向状態量として演算する演算手段と、により構成している。
【0022】
請求項8記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の発明において、前記前後方向状態量演算手段を、エンジン出力及びブレーキ油圧に基づいて、制駆動力を推定する制駆動力推定手段と、前記制駆動力を前輪コーナリングパワーで除算して前後方向状態量を演算する除算器と、により構成している。
【0023】
なお、その他の発明として以下の発明が提案される。
【0024】
即ち、第1に、車輪の接地面に発生するセルフアライニングトルクを推定または検出するセルフアライニングトルク推定・検出手段と、前記車輪に発生する横方向状態量を演算する横方向状態量演算手段と、前記横方向状態量及びタイヤパラメータに基づいてセルフアライニングトルクモデル値を演算するセルフアライニングモデル値演算手段と、前記セルフアライニングトルク推定・検出手段で推定または検出されたセルフアライニングトルクと、前記セルフアライニングモデル値演算手段で演算されたセルフアライニングトルクモデル値との比であるセルフアライニング比を演算する比演算手段と、前記セルフアライニング比及びタイヤパラメータに基づいてタイヤのグリップ度を推定するグリップ度推定手段と、を含むタイヤグリップ度推定装置。
【0025】
第2に、車輪の接地面に発生するセルフアライニングトルクを推定または検出するセルフアライニングトルク推定・検出手段と、前記車輪に発生する横方向状態量を演算する横方向状態量演算手段と、前記車輪に発生する前後方向状態量を演算する前後方向状態量演算手段と、前記横方向状態量、前記前後方向状態量、及び所定のパラメータに基づいてセルフアライニングトルクモデル値を演算するセルフアライニングモデル値演算手段と、前記セルフアライニングトルク推定・検出手段で推定または検出されたセルフアライニングトルクと、前記セルフアライニングモデル値演算手段で演算されたセルフアライニングトルクモデル値との比であるセルフアライニング比を演算する比演算手段と、前記セルフアライニング比、前記前後方向状態量、及びタイヤパラメータに基づいてタイヤのグリップ度を推定するグリップ度推定手段と、を含むタイヤグリップ度推定装置。
【0026】
請求項9にかかるグリップ度推定装置は、車輪の接地面に発生するセルフアライニングトルクを推定するセルフアライニングトルク推定手段と、前記車輪に発生するスリップ角を演算するスリップ角演算手段と、前記スリップ角演算手段により演算されたスリップ角、前記車輪の接地長及び剛性に基づいて、セルフアライニングトルクモデル値を演算するセルフアライニングトルクモデル値演算手段と、前記セルフアライニングトルク推定手段により推定されたセルフアライニングトルクと、前記セルフアライニングトルクモデル値演算手段により演算されたセルフアライニングトルクモデル値と、の比であるセルフアライニングトルク比を演算するセルフアライニングトルク比演算手段と、前記車両を制駆動する制駆動輪に発生する制駆動力を推定する制駆動力推定手段と、前記セルフアライニングトルク比演算手段により演算されたセルフアライニングトルク比と、前記制駆動力推定手段により推定された制駆動力と、に基づいて、前記操舵輪のグリップ度を推定するグリップ度推定手段と、を備えている。
【0027】
本発明のセルフアライニングトルク推定手段は、車輪の接地面に発生するセルフアライニングトルクを推定する。なお、車輪は、請求項14のように、車両の前輪の場合もあり、請求項15のように、車両に取付けられた全ての車輪である場合もある。なお、車輪が車両の後輪の場合もある。なお、車輪は操舵輪の場合もあり、非操舵輪の場合もある。
【0028】
スリップ角演算手段は、車輪に発生するスリップ角を演算する。なお、スリップ角演算手段は、請求項13のように、車速と操舵角から車両線形モデルに基づいてスリップ角を推定するスリップ角推定手段と、前記スリップ角推定手段により推定されたスリップ角にハイパスフィルタ処理を施すハイパスフィルタと、前記車輪の横力を演算する横力演算手段と、前記横力演算手段により演算された横力を前記車輪のコーナリングパワーで除算することにより、横力から換算されたスリップ角を演算するスリップ角換算手段と、前記スリップ角換算手段により換算されたスリップ角にローパスフィルタ処理を施すローパスフィルタと、前記ハイパスフィルタによりハイパスフィルタ処理されたスリップ角と、前記ローパスフィルタによりフィルタ処理されたスリップ角と、を加算することにより、前記車輪に発生するスリップ角を演算する加算手段と、により構成するようにしてもよい。
【0029】
セルフアライニングトルクモデル値演算手段は、スリップ角演算手段により演算されたスリップ角、車輪の接地長及び剛性に基づいて、セルフアライニングトルクモデル値を演算する。セルフアライニングトルク比演算手段は、セルフアライニングトルク推定手段により推定されたセルフアライニングトルクと、セルフアライニングトルクモデル値演算手段により演算されたセルフアライニングトルクモデル値と、の比であるセルフアライニングトルク比を演算する。
【0030】
制駆動力推定手段は、車両を制駆動する制駆動輪に発生する制駆動力を推定する。
【0031】
そして、グリップ度推定手段は、セルフアライニングトルク比演算手段により演算されたセルフアライニングトルク比と、制駆動力推定手段により推定された制駆動力と、に基づいて、車輪のグリップ度を推定する。なお、グリップ度推定手段は、請求項10のように、セルフアライニングトルク比、制駆動力、及びグリップ度の関係を予め記憶する記憶手段を備え、セルフアライニングトルク比演算手段により演算されたセルフアライニングトルク比及び制駆動力推定手段により推定された制駆動力と、記憶手段により記憶された上記関係と、に基づいて、車輪のグリップ度を推定するようにしてもよい。
【0032】
このように、セルフアライニングトルク比と、制駆動力推定手段により推定された制駆動力と、に基づいて、車輪のグリップ度を推定するので、車両が制駆動状態のときのグリップ度を精度よく推定することができる。
【0033】
ところで、請求項11のように、車輪の接地長及び剛性は予め定められた値としてもよい。しかしながら、車両が制駆動状態のときは、車輪への荷重状態が変化する場合がある。そこで、請求項12のように、車輪への荷重状態を推定する荷重状態推定手段を更に備え、車輪の接地長さ及び剛性を、荷重状態推定手段により推定された車輪への荷重状態に基づいて定めるようにしてもよい。
【0034】
このように、車輪の接地長さ及び剛性を、車輪への荷重状態に基づいて定めて、セルフアライニングトルクモデル値を演算し、車輪のグリップ度を推定するので、車両が制駆動状態のときのグリップ度をより精度よく推定することができる。
【0035】
また、請求項16記載の発明は、操舵状況より求めたセルフアライニングトルク推定値、車両状況から求めたセルフアライニングトルクモデル値、及び制駆動力に基づいて、グリップ度を推定する。よって、制駆動力の影響なくグリップ度が正確に検出できる。
【0036】
この場合、請求項17のように、タイロッド軸力とナックルアーム長さよりキングピン周りのトルクを演算してセルフアライニングトルク推定値とするようにしてもよい。よって、正確にセルフアライニングトルク推定値が演算できる。
【0037】
上記請求項16又は請求項17においては、請求項18のように、各輪毎のグリップ度を推定するようにしてもよい。即ち、各輪毎のグリップ度が得られる。
【0038】
請求項19記載の発明は、請求項18にて推定された各輪のグリップ度を用いて、走行状態を制御する。
【0039】
このように、精度よく推定された各輪のグリップ度を用いて、走行状態を制御するので、走行状態を精度よく制御することができる。
【0040】
この場合、請求項20のように、前記走行状態が安定するように、走行状態を制御するようにしてもよい。
【0041】
具体的に、走行状態の制御は、請求項21のように、旋回制動時に4輪のグリップ度が均一となるように制動力を調整すること、駆動輪のグリップ度を推定し、グリップ度が低い場合にはグリップ度の低下を抑制すること、後輪のグリップ度が所定以下となった場合にはスピン抑制制御を行うこと、前輪のグリップ度が所定以下となった場合にはドリフトアウト抑制制御を行うこと、全輪のグリップ度が所定以下となった場合には減速を行うこと、後輪のグリップ度が所定以下となったら前輪操舵角を切り戻すこと、及び、後輪のグリップ度が所定以下となったら前輪のスタビライザの剛性を高めることの少なくとも1つとしてもよい。
【0042】
ここで、上記のように、旋回制動時に4輪のグリップ度が均一となるように制動力を調整すると、角輪のグリップ余裕度が均一になり最適な制動力配分とすることができる。
【0043】
また、駆動輪のグリップ度を推定し、グリップ度が低い場合にはグリップ度の低下を抑制すると、過剰なスリップ以前の早い段階でトラクション制御ができる。
【0044】
更に、後輪のグリップ度が所定以下となった場合にはスピン抑制制御を行ったり、行うと、前輪のグリップ度が所定以下となった場合にはドリフトアウト抑制制御を行うと、旋回挙動を良好にできる。
【0045】
また、全輪のグリップ度が所定以下となった場合には減速を行うと、4輪ドリフトの検出及び対応が可能となる。
【0046】
更に、後輪のグリップ度が所定以下となったら、即ち、オーバーステア傾向になった場合には前輪操舵角を切り戻すと、横力を低下させてバランスさせることができる。
【0047】
また、後輪のグリップ度が所定以下となったら、即ち、オーバーステア傾向となったら、前輪のスタビライザの剛性を高めると、前輪荷重の左右差を大きくし後輪荷重の左右差を小さくして後輪のグリップ度を高めることができる。
【0048】
【発明の実施の形態】
〔第1の実施の形態〕
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施の形態を詳細に説明する。
【0049】
図1に示すように、本実施の形態にかかるグリップ度推定装置は、ドライバが図示しない操舵系(ステアリング)を操舵する際の操舵トルクを検出する操舵トルク検出器12と、図示しないパワーステアリング(以下、パワステという)によるアシストトルクを検出するアシストトルク検出器14と、操舵トルク検出器12により検出された操舵トルクと、アシストトルク検出器14により検出されたアシストトルクと、から操舵系の摩擦を除去して路面とタイヤ間で発生するSATを推定するSAT推定器16と、を備えている。
【0050】
また、グリップ度推定装置は、車速と操舵角などから前輪スリップ角を推定するスリップ角演算器18と、車両の前後加速度信号などから制駆動に伴う操舵輪の荷重変化を推定する荷重変化推定器20と、スリップ角推定値と荷重変化からSATのスリップ角に対する原点勾配をスリップ角に乗じてSATの線形モデル出力、すなわちSATモデル値を演算するSATモデル演算器22と、を備えている。
【0051】
更に、グリップ度推定装置は、車両を制駆動する制駆動輪に発生する制駆動力を推定する制駆動力推定器24と、SAT推定器16により推定されたSAT、SATモデル演算器22により演算されたSATモデル値、及び制駆動力推定器24により推定された制駆動力から、グリップ度を推定するグリップ度推定器26と、を備えている。
【0052】
図2に示すように、グリップ度推定器26は、SAT推定器16により推定されたSATと、SATモデル演算器22により演算されたSATモデル値と、から、SATのSATモデル値に対する比をSATモデル比として演算するSATモデル比演算器28と、SATモデル比、制駆動力、及びグリップ度の関係を示す3次元マップであるグリップ度マップを記憶するメモリ32と、SATモデル比演算器28により演算されたSATモデル比及び制駆動力推定器24により推定された制駆動力と、メモリ32に記憶されたSATモデル比、制駆動力、及びグリップ度の関係を示すグリップ度マップと、に基づいて、グリップ度を演算出力するグリップ度出力器30と、を備えている。
【0053】
図3に示すように、スリップ角演算器18は、車速と操舵角から車両線形モデルに基づいてスリップ角推定値を演算するスリップ角推定器34と、横加速度及びヨーレートを入力し、車両運動状態量から前輪の横力を演算する横力演算器38と、横力演算値を前輪コーナリングパワーで除算し横力演算値のスリップ角換算値を演算するスリップ角換算器40と、スリップ角推定値をハイパス処理するハイパスフィルタ36と、スリップ角換算値をローパス処理するローパスフィルタ42と、ハイパスフィルタおよびローパスフィルタ処理後のスリップ角を加算し統合スリップ角を演算する加算器44と、を備えている。
【0054】
次に、本実施の形態におけるグリップ度の推定原理を説明する。
前後スリップ、横スリップを
【0055】
【数1】
Figure 2004352046
【0056】
ただし、s:スリップ率、β:スリップ角、Kβ:スリップ角に対する横力の剛性、K:スリップ率に対する前後力の剛性と定義することによって、ブラッシュモデルによるタイヤ発生力は、次式のように簡素化されて記述できる。
【0057】
【数2】
Figure 2004352046
【0058】
ただし、
【0059】
【数3】
Figure 2004352046
【0060】
である。ここで、μ:路面摩擦係数(路面μ)、F:タイヤ発生力、F:制駆動力、F:横力、F:接地力であり、タイヤ発生力の方向はすべりの方向と一致すると仮定すると、
【0061】
【数4】
Figure 2004352046
【0062】
となる。ここでは、以上の関係を用いて制駆動時のSAT記述の整理を行う。まず、準備として(6)、(9)式を整理し、
【0063】
【数5】
Figure 2004352046
【0064】
を、また、(3)、(4)式を整理し、
【0065】
【数6】
Figure 2004352046
【0066】
を得る。さらに、(6)、(8)、(11)式から、
【0067】
【数7】
Figure 2004352046
【0068】
を得る。
【0069】
ところで、制動時のSATは、次式のように記述できることが知られている(自動車の運動と制御、37/39、山海堂(1992))。
【0070】
【数8】
Figure 2004352046
【0071】
また、同様に駆動時のSATは、次式によって記述される。
【0072】
【数9】
Figure 2004352046
【0073】
(13)、(14)式より、制駆動時のSATは、スリップ角とスリップ率および路面μの複雑な関数であることがわかる。図4及び図5は、(13)、(14)式などからSATを演算した結果を示したものである。これらの図4及び図5に示すように、SATは制駆動の影響を受けて変化し、例えばスリップ角=0.1radの状態では、駆動力の増加に伴ってSATは初め増加するもののその後減少するというように非単調な複雑な特性を示すことがわかる。このように、SATと制駆動力の間には複雑な関係が存在する。
【0074】
一方、FF車への展開やアクティブブレーキ制御によって車両運動の安定化を図るVSCへの応用を考えた場合には、グリップ度推定の制駆動状態への拡張は不可欠と考えられる。このため、本発明者は、次に説明するように、SATのモデルを再整理するとともに、非制駆動状態の解析で利用した線形モデル比(SATと線形モデル出力との比)とグリップ度(1−μ利用率)の関連(非制駆動状態では一致)などに着目して解析を行い、制駆動時のグリップ度の推定の可能性について検討した。
【0075】
最初に、タイヤ単体での制駆動力と車輪のz軸(鉛直方向)周りのSATに関して検討した。即ち、スリップ率、スリップ角を前後スリップ、横スリップに置き換えて記述すると、(13)、(14)式は、何れも
【0076】
【数10】
Figure 2004352046
【0077】
と記述できる。さらに、(15)式に(10)、(11)、(12)式を用いて整理すると、
【0078】
【数11】
Figure 2004352046
【0079】
となる。ここで、グリップ度(1−μ利用率)εは、
【0080】
【数12】
Figure 2004352046
【0081】
となることから、結局SATは、横スリップと制駆動力およびグリップ度を用いて、
【0082】
【数13】
Figure 2004352046
【0083】
と記述することができる。
【0084】
SATは、横スリップと制駆動力およびグリップ度によって記述できることがわかった。これは、横スリップと制駆動力、SATが検出できる場合のグリップ度推定の可能性を示すものである。ここでは、非制駆動状態での解析に利用したSATの線形モデル比(SATとSAT線形モデル出力の比)を利用してグリップ度との関連を整理し、グリップ度推定の検討を行う。
SATの線形モデルを、
【0085】
【数14】
Figure 2004352046
【0086】
とすると、SATの線形モデル比(セルフアライニングトルク比)γは
【0087】
【数15】
Figure 2004352046
【0088】
となり、(16)式より
【0089】
【数16】
Figure 2004352046
【0090】
という関係が成立することがわかる。したがって、線形モデル比γと前後方向状態量である制駆動力F(又はF/Kβ)から(20)式に基づいてグリップ度
【0091】
【数17】
Figure 2004352046
【0092】
を導出することができる。
【0093】
なお、上記のように、線形モデルTk0は、横方向状態量としての横スリップ(スリップ角)κと、タイヤパラメータとしての上記剛性K及び接地長lと、により、求められる。
【0094】
図6は、(20)式からグリップ度を解いた、すなわち制駆動力と線形モデル比からグリップ度を求めて3次元マップとして示した結果である。この図より、制駆動力、線形モデル比とグリップ度の間には、平面に近い単調な関係が存在しており、精度の良いグリップ度推定が期待できる。
【0095】
次に、キャスタートレール、荷重移動(変化)を考慮して検討した。
【0096】
即ち、制駆動に伴う荷重移動の影響を受けるとともにグリップ度推定で使用される信号は、キングピン周りのトルクの左右輪和(ハンドル軸換算値)であることを考慮する必要がある。
【0097】
ところで、荷重変化時には、接地長は荷重の平方根に比例して長くなるとともに、コーナリングパワー、ブレーキングスティッフネスは荷重に比例して大きくなる、すなわち、
【0098】
【数18】
Figure 2004352046
【0099】
と記述できる。ただし、0は非制駆動状態の値を表している。
【0100】
また、z軸周りのSATとキングピン周りのトルクの間には、キャスタートレールやキングピンオフセットの影響が、次式のように記述される。
【0101】
【数19】
Figure 2004352046
【0102】
ただし、T:キングピン周りのトルク、l:キャスタートレール、l:キングピンオフセットであり、キングピンオフセットの影響は左右輪で符号が異なる性質を有している。ここで左右輪の制駆動力が一致すると仮定する場合、ハンドル軸に伝達されるトルクTは、
【0103】
【数20】
Figure 2004352046
【0104】
と記述される。ただし、ここでは、タイヤ剛性と前後力に関しては、左右2輪分の値を改めてK、Kβ、Fと記述している。また、gはハンドルギヤ比である。この場合、荷重移動による接地長、コーナリングスティッフネス変化の影響を考慮した線形モデルTs0(ハンドル軸換算値)は、
【0105】
【数21】
Figure 2004352046
【0106】
であることから線形モデル比γは、
【0107】
【数22】
Figure 2004352046
【0108】
と演算される。したがって、タイヤ単体で考えた場合と同様、キャスタートレールを考慮したハンドル周りのトルクで考察した場合も、線形モデル比γと制駆動力Fから(27)式に基づいてグリップ度
【0109】
【数23】
Figure 2004352046
【0110】
を導出することができる。
【0111】
なお、上記のように、線形モデルTk0は、横方向状態量としての横スリップ(スリップ角)κと、タイヤパラメータとしての上記剛性K及び接地長lと、により、求められる。
【0112】
図7は、(27)式からグリップ度を解いた、すなわち制駆動力と線形モデル比からグリップ度を求めて3次元マップとして示した結果である。図6と比較することにより、キャスタートレールの存在により、制駆動力のグリップ度に及ぼす影響は小さくなることがわかる。
【0113】
次に、前述した原理に基づいた本実施の形態に係るグリップ度推定装置の作用を説明する。
【0114】
操舵トルク検出器12は、ハンドルに取り付けられたトルクセンサによってドライバの操舵する操舵トルクを検出する。アシストトルク検出器14は、電動パワステの電流値にトルク定数を乗じてパワステのアシストトルクを算出する。
【0115】
SAT推定器16は、操舵トルクとアシストトルクの和から操舵系の摩擦を除去して路面とタイヤ間で発生するSATを推定する。摩擦除去の演算は、以下のロジックによって行う。
【0116】
図8(A)に示す2本の直線の幅は、操舵系の摩擦によって生じたヒステリシスの大きさを表したものであり、それぞれの直線の傾きは1である。図8(B)は、摩擦除去演算の方法を示すものである。操舵トルクとアシストトルクの和、スリップ角ともに0となる直進状態では、ヒステリシス特性は発生しておらず、このときのSAT推定値は0を出力する。つぎに操舵が行われ、SATが発生した場合、SAT推定値は、操舵トルクとアシストトルクの和に対しKの傾きで演算される。コンピュータ内では、離散化されたロジックにより、
【0117】
【数24】
Figure 2004352046
【0118】
と演算される。ただし、TSATは、SAT推定値、TDAは、操舵トルクとアシストトルクの和である。この傾きKは、1に比較して小さく設定されており、クーロン摩擦などによって操舵トルクとアシストトルクの和が変動してもSAT推定値の変動は小さいことを表現するものである。さらに、操舵が行われ、(1)によるSAT推定値の演算値が図8(B)におけるA点まで達し、さらに操舵トルクとアシストトルクの和が増加する場合には、モデルの下限に沿って次式に従って増加する。
【0119】
【数25】
Figure 2004352046
【0120】
また、さらに操舵が行われてB点まで達したところで切り増しが終了し、操舵トルクとアシストトルクの和が減少し始めた場合には、傾きKで(28)式に従ってSAT推定値は減少する。この領域では、操舵トルクとアシストトルクの和の変動に対し、SAT推定値の変動は小さくなるように設定されている。これは、旋回時の保舵状態においてドライバの操舵力を多少変化させてもパワステシステムのクーロン摩擦などの影響によってSAT推定値には影響が現れないことを表現したものである。なお、B点からSATの減少によって到達したC点において再び操舵トルクとアシストトルクの和が増加する場合には、(28)式に従いB点に向かってSAT推定値は増加する。また、切戻しによりC点からさらにSAT操舵トルクとアシストトルクの和が減少し、モデル上限に達した場合には、SAT推定値は上限に沿って(29)式に従って減少する。このような2種類の傾きの設定によって図8(B)に示すヒステリシス特性が除去される。
【0121】
図9(A)及び図9(B)は、高μ路面走行時の操舵トルクとアシストトルクの和とこの値から(1)、(2)式に基づいてヒステリシス特性を除去したSAT推定値を示したものである。摩擦除去の効果によって、クーロン摩擦などの影響と考えられる保舵時の変動がほぼ補償されていることがわかる。
【0122】
また、図10(A)及び図10(B)は、高μ路、低μ路の走行時のスリップ角と操舵トルクとアシストトルクの和、およびスリップ角とSAT推定値の関係を示したものである。ヒステリシス特性が除去されていることがわかる。
【0123】
次に、スリップ角演算器18(図3参照)によるスリップ角の演算を説明する。スリップ角推定器34は、車速と操舵角から車両線形モデルに基づき前輪スリップ角を推定する。スリップ角演算器18における前輪スリップ角の推定は、車両運動の動特性を利用し、次式の状態方程式によって推定するものである。
【0124】
【数26】
Figure 2004352046
【0125】
ただし、v:横速度(m/s)、r:ヨーレート(rad/s)、α:前輪スリップ角推定値(rad)、u:車速(m/s)、c:前後輪コーナリングパワー(N/rad)、L:前後軸重心間距離(m)、M:車両質量(kg)、I:ヨー慣性(kgm)、g:ハンドル実舵間ギヤ比、θ:ハンドル角である。なお、前輪のグリップ度を推定する本実施の形態においては、cは前述のKβと同じものである。 (30)、(31)式をサンプル時間τで離散化し、車速の関数として表現すると、
【0126】
【数27】
Figure 2004352046
【0127】
ただし、
【0128】
【数28】
Figure 2004352046
【0129】
という形式で表現される。
横力演算器38は、車両運動状態量から前輪の横力を演算する。前輪横力は、車体の運動方程式
【0130】
【数29】
Figure 2004352046
【0131】
ただし、F:前輪横力、F:後輪横力を変形することによって、以下のように記述することができる。
【0132】
【数30】
Figure 2004352046
【0133】
ただし、
【0134】
【数31】
Figure 2004352046
【0135】
である。
【0136】
スリップ角換算器18は、横力演算値を前輪コーナリングパワーで除算し、横力演算値のスリップ角換算値を演算する。すなわち、
【0137】
【数32】
Figure 2004352046
【0138】
ただし、α:スリップ角換算値である。
【0139】
ハイパスフィルタ36は1次の離散フィルタによって構成される。ところで、連続時間でのフィルタは、次式の伝達関数によって記述される。
【0140】
【数33】
Figure 2004352046
【0141】
ただし、ω:フィルタの折れ点周波数である。この式をTustin変換などの手法を用いて変換することにより、離散時間のフィルタを設計することができる。Tustin変換は、サンプリング時間をT、時間進みオペレータをzとした場合、
【0142】
【数34】
Figure 2004352046
【0143】
を(38)式に代入することによって演算でき、このときの離散時間フィルタは、
【0144】
【数35】
Figure 2004352046
【0145】
と記述される。また、ローパスフィルタ42はハイパスフィルタ36と同じ折れ点周波数をもつ1次の離散フィルタとして構成される。連続時間でのフィルタは、
【0146】
【数36】
Figure 2004352046
【0147】
と記述され、これをTustin変換すると、
【0148】
【数37】
Figure 2004352046
【0149】
と記述される。ここで設計されるハイパスフィルタ36とローパスフィルタ42の和は、1となる。これは、同一の信号をハイパスフィルタ36とローパスフィルタ42に入力し、これらの出力を加算した場合、元の信号が復元されることを意味している。ここでは、低周波数領域にドリフト誤差を含むスリップ角推定値にハイパスフィルタ処理を行いドリフト誤差を除去するとともに、高周波数領域にノイズや位相の遅れを含むスリップ角換算値にローパスフィルタ処理を行い高周波領域の変動成分を除去し、これらのフィルタ処理後の信号を加算することによってドリフト誤差やノイズなどの影響を受けないスリップ角を演算することができる。ここでの折れ点周波数は、スリップ角換算値に含まれる路面外乱などに伴うノイズを除去するとともに、バンク路進入時などの路面カント変化速度に適応できるような値に設定されるものである。ハイパスフィルタおよびローパスフィルタ処理後のスリップ角は、加算され、統合スリップ角としてグリップ度演算に用いられる。すなわち、
【0150】
【数38】
Figure 2004352046
【0151】
ただし、α:統合スリップ角である。
【0152】
荷重変化推定器20(図1参照)は、車両の前後加速度信号gから操舵輪である前輪の荷重変化後の接地荷重Fを次式に基づいて推定演算する。
【0153】
【数39】
Figure 2004352046
【0154】
ただし、hは重心高、Fz0は前輪の静止荷重であり、
【0155】
【数40】
Figure 2004352046
【0156】
である。
【0157】
SATモデル値演算器22は、統合スリップ角と荷重移動後の接地荷重からSATのスリップ角に対する原点勾配をスリップ角に乗じてSATの線形モデル出力、すなわちSATモデル値を(21)−(23)式および(26)式に基づき演算する。
【0158】
グリップ度推定器26のSATモデル比演算器28(図2参照)は、SAT推定値とSATモデル値からSAT推定値のSATモデル値に対する比をSATモデル比として演算する。グリップ度マップは、図7に示すSATモデル比と制駆動力からグリップ度を出力する3次元マップであり、グリップ度はSATモデル比に関して単調増加で、制駆動力(駆動力を正)に関して単調減少となることを特徴としている。
【0159】
図11は、低μ路における制動時と非制動時のSAT線形モデル値(統合スリップ角から演算)とSAT推定値の比較を行ったものである。制動によってSAT推定値が小さくなることが確認される。
【0160】
図12(A)〜図12(C)は、低μ路における制動時のグリップ度推定値の真値比較を示したものである。グリップ度真値は、路面μを一定(0.35)と仮定し、前輪で発生している前後力と横力を荷重で基準化した実績μ値から「グリップ度真値=1−μ利用率=1−実績μ値/路面μ」として演算した値である。また、グリップ度推定値は、図6のマップに基づき、制動力と線形モデル比から演算した値である。この図より、1.7s以前の非制動時、1.7s以降の制動中ともにグリップ度推定が正確に実施できていることがわかる。
【0161】
本実施の形態では、セルフアライニングトルク比と、制駆動力推定器により推定された制駆動力と、に基づいて、操舵輪のグリップ度を推定するので、車両が制駆動状態のときのグリップ度を精度よく推定することができる。
【0162】
また、本実施の形態では、操舵輪の接地長さ及び剛性を、操舵輪への荷重状態に基づいて定めて、セルフアライニングトルクモデル値を演算し、操舵輪のグリップ度を推定するので、車両が制駆動状態のときのグリップ度をより精度よく推定することができる。
【0163】
なお、上記実施の形態では、操舵輪の接地長さ及び剛性を、操舵輪への荷重状態に基づいて定めて、セルフアライニングトルクモデル値を演算((21)−(23)、(26)式)しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、操舵輪の接地長及び剛性は予め定められた値として、セルフアライニングトルクモデル値を演算((19)式等)するようにしてもよい。この場合には、荷重変化推定器20を省略するようにしてもよい。
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の本実施の形態を説明する。前述した第1の実施の形態では、操舵輪を前2輪とし、前輪の左右2輪の操舵トルクからグリップ度を推定していたが、本実施の形態では、各輪毎にグリップ度を推定するものである。なお、本例における構成は前述した実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0164】
最初に、本実施の形態における各輪毎にグリップ度を推定する原理を説明する。
【0165】
左右2輪の操舵トルクからグリップ度を推定する場合には、左右輪に働くキングピンオフセットに基づくトルクは相殺していたためグリップ度推定時にはこの影響を考慮する必要はなかった。しかし、各輪ごとにSATを推定し、このSATとスリップ角から各輪毎のグリップ度を推定する場合には、キングピンオフセットに基づくトルクの影響を除去する必要がある。すなわち、ブラッシュモデルにおいて導出されるz軸周りのSATとキングピン周りのトルクの間には、
【0166】
【数41】
Figure 2004352046
【0167】
ただし、T:キングピン周りのトルク、l:キャスタートレール、l:キングピンオフセットという関係が存在しており、キングピンオフセットと制駆動力は既知であると仮定すると、(101)式における右辺第3項を除去することが可能である。すなわち、キングピンオフセットに基づくトルクの影響を除去したキングピン周りトルクTkcは、
【0168】
【数42】
Figure 2004352046
【0169】
と記述できる。なお、接地長、コーナリングパワー、ブレーキングスティッフネスは荷重の関数として、
【0170】
【数43】
Figure 2004352046
【0171】
と記述される。ただし、0は静止荷重状態の値を表している。ここで、荷重移動による接地長、コーナリングスティッフネス変化の影響を考慮した線形モデルTk0を、
【0172】
【数44】
Figure 2004352046
【0173】
とすると線形モデル比γは、
【0174】
【数45】
Figure 2004352046
【0175】
と演算される。したがって、各輪単位で考察した場合も、線形モデル比γと制駆動力Fから(107)式に基づいてグリップ度
【0176】
【数46】
Figure 2004352046
【0177】
を導出することができる。
【0178】
なお、上記のように、線形モデルTk0は、横方向状態量としての横スリップ(スリップ角)κと、タイヤパラメータとしての上記剛性K及び接地長lと、により、求められる。
【0179】
次に、本実施の形態における作用を説明する。
【0180】
SAT推定器16は、操舵輪のタイロッド部に貼られた歪みゲージ出力、すなわちタイロッド軸力にナックルアーム長を乗じてキングピン周りのトルクをSAT推定値として出力する。
【0181】
スリップ角演算器18のスリップ角推定器34は、車速と前後輪の実舵角から車両線形モデルに基づき前後輪スリップ角を推定する。スリップ角演算器18における前輪スリップ角の推定は、車両運動の動特性を利用し、次式の状態方程式によって推定するものである。
【0182】
【数47】
Figure 2004352046
【0183】
ただし、v:横速度(m/s)、r:ヨーレート(rad/s)、αfE:前輪スリップ角推定値(rad)、αrE:後輪スリップ角推定値(rad)、u:車速(m/s)、c:前後輪コーナリングパワー(N/rad)、L:前後軸重心間距離(m)、M:車両質量(kg)、I:ヨー慣性(kgm)、θ:前輪実舵角、θ:後輪実舵角である。 (108)、(109)、(110)式をサンプル時間τで離散化し、車速の関数として表現すると、
【0184】
【数48】
Figure 2004352046
【0185】
ただし、
【0186】
【数49】
Figure 2004352046
【0187】
という形式で表現される。
【0188】
横力演算器38は、車両運動状態量から前後輪における左右2輪分の横力を演算する。前後輪横力は、車体の運動方程式
【0189】
【数50】
Figure 2004352046
【0190】
ただし、F:前輪横力(前2輪分の横力)、F:後輪横力(後2輪分の横力)を変形することによって、以下のように記述することができる。
【0191】
【数51】
Figure 2004352046
【0192】
ただし、
【0193】
【数52】
Figure 2004352046
【0194】
である。
【0195】
スリップ角換算器40は、横力演算値を前後輪コーナリングパワーで除算し、横力演算値のスリップ角換算値を演算する。すなわち、
【0196】
【数53】
Figure 2004352046
【0197】
ただし、α:スリップ角換算値である。
【0198】
ハイパスフィルタ36は1次の離散フィルタによって構成される。ところで、連続時間でのフィルタは、次式の伝達関数によって記述される。
【0199】
【数54】
Figure 2004352046
【0200】
ただし、ω:フィルタの折れ点周波数である。この式をTustin変換などの手法を用いて変換することにより、離散時間のフィルタを設計することができる。Tustin変換は、サンプリング時間をT、時間進みオペレータをzとした場合、
【0201】
【数55】
Figure 2004352046
【0202】
を(120)式に代入することによって演算でき、このときの離散時間フィルタは、
【0203】
【数56】
Figure 2004352046
【0204】
と記述される。また、ローパスフィルタ42はハイパスフィルタ36と同じ折れ点周波数をもつ1次の離散フィルタとして構成される。連続時間でのフィルタは、
【0205】
【数57】
Figure 2004352046
【0206】
と記述され、これをTustin変換すると、
【0207】
【数58】
Figure 2004352046
【0208】
と記述される。ここで設計されるハイパスフィルタ36とローパスフィルタ42の和は、1となる。これは、同一の信号をハイパスフィルタとローパスフィルタに入力し、これらの出力を加算した場合、元の信号が復元されることを意味している。ここでは、低周波数領域にドリフト誤差を含むスリップ角推定値にハイパスフィルタ処理を行いドリフト誤差を除去するとともに、高周波数領域にノイズや位相の遅れを含むスリップ角換算値にローパスフィルタ処理を行い高周波領域の変動成分を除去し、これらのフィルタ処理後の信号を加算することによってドリフト誤差やノイズなどの影響を受けないスリップ角を演算することができる。ここでの折れ点周波数は、スリップ角換算値に含まれる路面外乱などに伴うノイズを除去するとともに、バンク路進入時などの路面カント変化速度に適応できるような値に設定されるものである。ハイパスフィルタおよびローパスフィルタ処理後のスリップ角は、加算され、統合スリップ角としてグリップ度演算に用いられる。すなわち、
【0209】
【数59】
Figure 2004352046
【0210】
ただし、αfI:前輪統合スリップ角、αrI:後輪統合スリップ角である。なお、本実施例では、左右輪のスリップ角は、一致していると仮定して前輪2輪のスリップ角および後輪2輪のスリップ角を導出したが、左右輪の位置の違いを考慮して4輪独立にスリップ角を推定しても良い。
【0211】
荷重変化推定器20は、車両の前後加速度信号gおよび車両の横加速度信号gから各輪の荷重変化後の接地荷重Fzi (i=1、2、3、4、1:左前輪、2:右前輪、3:左後輪、4:右後輪)を次式に基づいて推定演算する。各輪の静止荷重
【0212】
【数60】
Figure 2004352046
【0213】
からの荷重変動をΔFziとすると、車体姿勢の釣り合いから
【0214】
【数61】
Figure 2004352046
【0215】
ただし、h:重心高、γrall:ロール剛性配分(前輪の負担率)、T:前輪トレッド、T:後輪トレッドという関係が存在する。したがって、各輪の荷重変動は、(128)−(131)式を解くことによって、
【0216】
【数62】
Figure 2004352046
【0217】
として求められる。
【0218】
SATモデル値演算器22は、統合スリップ角と荷重移動後の接地荷重からSATのスリップ角に対する原点勾配をスリップ角に乗じてSATの線形モデル出力、すなわちSATモデル値Tk0を(103)−(106)式に基づき演算する。
【0219】
グリップ度推定器26のSATモデル比演算器28は、キングピン周りのトルクであるSAT推定値Tからキングピンオフセットに基づくトルクの影響を(102)式のように制駆動力を利用して除去し、このキングピンオフセットに基づくトルクの影響を除去したSAT推定値TkcのSATモデル値Tk0に対する比をSATモデル比として演算する。
【0220】
グリップ度マップは、SATモデル比と制駆動力からグリップ度を出力する2次元マップであり、グリップ度はSATモデル比に関して単調増加で、制駆動力(駆動力を正)に関して単調減少となることを特徴としている。
【0221】
なお、本実施例では、左右輪が同じ角度で操舵される4輪操舵車両を示したが、本技術は4輪が独立に操舵される車両でもスリップ角を各輪毎に推定演算するなどによって応用が可能である。また、後輪の取り付けられている複数のサスペンションリンクに歪みゲージを貼り、後輪で発生するz軸周りのトルクを推定することによって後輪に操舵機構を有しない車両への応用も可能である。
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態を説明する。
【0222】
図13に示すように、本実施の形態にかかるグリップ度推定装置は、前述した第1の実施の形態(図1参照)の構成と同一の部分があるので、同一部分には同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。即ち、本実施の形態にかかるグリップ度推定装置は、第1の実施の形態(図1参照)におけるスリップ角演算器18に代えて横力検出器180を備え、荷重変化推定器20を備えておらず、前後方向状態量演算器240を備え、前後方向状態量演算器240は、グリップ度推定器26ばかりではなく、SATモデル値演算器22にも接続されている。
【0223】
図14に示すように、前後方向状態量演算器240は、エンジン出力及びブレーキ油圧に基づいて、制駆動力を推定する制駆動力推定器42と、制駆動力推定器42から出力された制駆動力を前輪コーナリングパワーで除算して前後方向状態量(F/ Kβ)を演算する除算器244と、を備えて構成されている。
【0224】
次に、本実施の形態にかかる制駆動時のグリップ度の演算原理を説明する。
【0225】
前述した実施の形態では、タイヤ単体での制駆動力と車輪のz軸(鉛直方向)周りのSATに関する議論を行ったが、実際の車両では、制駆動に伴う荷重移動の影響を受けるとともにグリップ度推定で使用される信号は、キングピン周りのトルクの左右輪和(ハンドル軸換算値)であることを考慮する必要がある。
【0226】
まず、横力は、
【0227】
【数63】
Figure 2004352046
【0228】
と表され、この横力を用いると、(16)式は、
【0229】
【数64】
Figure 2004352046
【0230】
となる。
z軸周りのSATとキングピン周りのトルクの間には、キャスタートレールやキングピンオフセットの影響が、次式のように記述される。
【0231】
【数65】
Figure 2004352046
【0232】
ただし、T:キングピン周りのトルク、l:キャスタートレール、l:キングピンオフセットであり、キングピンオフセットの影響は左右輪で符号が異なる性質を有している。ここで左右輪の制駆動力が一致すると仮定する場合、ハンドル軸に伝達されるトルクTは、
【0233】
【数66】
Figure 2004352046
【0234】
と記述される。ただし、gはステアリングギヤ比であり、また以降の記述では対象となる前輪の左右2輪分の制駆動力、横力をそれぞれF、 Fと記述する。なお、ここでは、左右の制駆動力が一致するものと仮定したが、左右の制駆動力に差が生じた場合には、制駆動力差によって生じるトルクをあらかじめ補償することによって制駆動力差補償後のハンドルトルクとして(204)式のハンドルトルクを導出することができる。また、ここでは、キャスタートレールによって生じるトルクを含めたハンドルトルクを導出しているが、キャスタートレールによって生じるトルクは横力に比例するものであり、グリップ状態に関わらずこの値を推定することが可能である。このため、キャスタートレール分のトルクをあらかじめ補償してもよい。この場合には、キャスタートレール補償後のハンドルトルクTscは、
【0235】
【数67】
Figure 2004352046
【0236】
と記述できる。
【0237】
また、ここでは、(204)式において、グリップ度=1を仮定した値
【0238】
【数68】
Figure 2004352046
【0239】
をSATモデル値とする。ここで、(204)式と(206)式の比をSATモデル比γ、すなわち、
【0240】
【数69】
Figure 2004352046
【0241】
とすると、
【0242】
【数70】
Figure 2004352046
【0243】
という関係が成立する。したがって、(208)式の関係を利用することによってSATモデル比γとF/ Kβからグリップ度
【0244】
【数71】
Figure 2004352046
【0245】
を導出することができる。
【0246】
なお、上記のように、SATモデル値は、横方向状態量としての横力Fと前後方向状態量(F/ Kβ)とを用いて求められる。
【0247】
図15は、(208)式をグリップ度ε=ξについて解いた結果をSATモデル比γとF/ Kβの3次元マップとして示したものである。このような3次元マップを予め用意しておけば、(208)式を解く必要ななく、γとF/ Kβから容易にグリップ度を求めることができる。また、このマップは、SATモデル比に関して単調増加、F/ Kβに関して単調減少であり、さらにF/ Kβに関する単調減少の勾配はSATモデル比が大きいほど小さくなりSATモデル比が1のときには勾配=0、すなわち増加も減少もしないという特徴をもっている。また、F/ Kβに関する変化を無視すれば、すなわち図15においてF/ Kβ=0の軸上の値を利用することにより、SATモデル比のみからグリップ度を概略推定することも可能である。
【0248】
次に、前述した原理に基づいた本実施の形態に係るグリップ度推定装置の作用を説明する。
【0249】
前述したように、操舵トルク検出器12はドライバの操舵する操舵トルクを検出し、アシストトルク検出器14はアシストトルクを算出し、SAT推定器16は、本実施の形態では、操舵トルクとアシストトルクの和からハンドル軸に伝達されるトルクTを(204)式より推定する。横力検出器180は横力を検出する。
【0250】
前後方向状態量演算器240の制駆動力推定器42は、エンジン出力及びブレーキ油圧に基づいて、制駆動力を推定し、除算器244は、制駆動力推定器42から出力された制駆動力を前輪コーナリングパワーで除算して前後方向状態量(F / Kβ)を演算する。
【0251】
SATモデル値演算器22は、前後方向状態量演算器240から出力された前後方向状態量(F / Kβ)、横力検出器180により検出された横力Fy、ステアリングギア比gh、キャスタートレールl、接地長lを用いて上記(206)式より、SATモデル値Ts0を演算する。
【0252】
本実施の形態にかかるグリップ度推定器26は、SAT推定器16により推定されたトルクT((204)式)と、SATモデル値演算器22 により推定されたSATモデル値Ts0((206)式)と、の比であるSATモデル比γを、上記(207)式より演算する。
【0253】
そして、グリップ度推定器26は、演算したSATモデル比γ及び前後方向状態量演算器240から出力された前後方向状態量(F / Kβ)を用いて、上記マップ(図15参照)から、グリップ度ε=ξを推定する。なお、マップに代えて、データテーブルや関係式を記憶して用いるようにしてもよい。
【0254】
ところで、前述して例では、キャスタートレール補償前のハンドルトルクT
を用いてグリップ度を推定しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、キャスタートレール補償後のハンドルトルクTscを利用して推定することも可能である。この場合、キャスタートレール補償後のハンドルトルクを記述した(205)式において、グリップ度=1を仮定した値
【0255】
【数72】
Figure 2004352046
【0256】
をSATモデル値とする。ここで、(205)式と(209)式の比をSATモデル比γ、すなわち、
【0257】
【数73】
Figure 2004352046
【0258】
とすると、
【0259】
【数74】
Figure 2004352046
【0260】
という関係が成立する。したがって、この場合も(211)式の関係を利用することによってSATモデル比γとF/ Kβからグリップ度を導出することができる。
【0261】
図16は、(211)式をグリップ度ε=ξについて解いた結果をSATモデル比γとF/ Kβの3次元マップとして示したものである。図15と同様、このような3次元マップをあらかじめ用意しておけば、(211)式を解く必要ななく、γとF/ Kβから容易にグリップ度を求めることができる。なお、図16はSATモデル比=1、F/ Kβ=−0.25で常にグリップ度=1となり、この値からSATモデル比が小さくなるのに、またF/ Kβが大きくなるのにしたがってグリップ度は小さくなる、即ち、グリップ度はSATモデル比に関して単調増加し、かつF/Kβに関して単調減少であるという特徴をもっている。さらに、図16は、接地長などの車両パラメータを含んでおらず、キャスタートレール補償後のハンドルトルクを利用してグリップ推定を行う場合、車両諸元が変更された場合にも常に同一の3次元マップを使用できるという特徴がある。
【0262】
ところで、SATモデル値は、(206)式、(207)式から求められるが、上記例では、スリップ角に対する横力の剛性Kβを含めて、前後方向状態量(F/Kβ)として求めているので、SATモデル値は、横力、前後方向状態量(F/Kβ)、及び接地長から演算することになる。しかし、スリップ角に対する横力の剛性Kβをパラメータとして扱えば、横力、制駆動力F、パラメータとしてのKβ、接地長からセルフアライニングトルクモデル値を演算することになる。
〔第4の実施の形態〕
次に、第4の実施の形態を説明する。
【0263】
図17に示すように、本実施の形態にかかるグリップ度推定装置は、前述した第3の実施の形態(図13参照)の構成と同一の部分があるので、同一部分には同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。即ち、本実施の形態にかかるグリップ度推定装置は、第3の実施の形態(図13参照)における横力演算器180に代えてスリップ角演算器18を備えている。
【0264】
次に、本実施の形態にかかる制駆動時のグリップ度の演算原理を説明する。
ハンドル軸に伝達されるトルクTは、横スリップと制駆動力およびξを用いて、
【0265】
【数75】
Figure 2004352046
【0266】
と記述することができる。また、ここでは、(301)式において、グリップ度=1を仮定した値
【0267】
【数76】
Figure 2004352046
【0268】
(302)
をSATモデル値とする。即ち、SATモデル値は、前後方向状態量としてのF/Kβ(又は制駆動力F)、及び横方向状態量としてのスリップ角κからも求められる。
【0269】
ここで、(301)式と(302)式の比をSATモデル比γ、すなわち、
【0270】
【数77】
Figure 2004352046
【0271】
とすると、
【0272】
【数78】
Figure 2004352046
【0273】
という関係が成立する。したがって、(304)式の関係を利用することによってSATモデル比γとF/ Kβからグリップ度
【0274】
【数79】
Figure 2004352046
【0275】
を導出することができる。
【0276】
次に、本実施の形態の方法を説明する。なお、前述した実施の形態と同様な作用部分について省略し、異なる作用部分について説明する。
【0277】
SATモデル値演算器22は、前後方向状態量演算器240から出力された前後方向状態量(Fx/ Kβ)、スリップ角演算器18により検出されたスリップ角κy、ステアリングギア比gh、キャスタートレールl、接地長lを用いて上記(302)式より、SATモデル値Ts0を演算する。
【0278】
本実施の形態にかかるグリップ度推定器26は、SAT推定器16により推定されたハンドル軸に伝達されるトルクT((301)式)と、SATモデル値演算器22により推定されたSATモデル値Ts0((302)式)と、の比であるSATモデル比γを、上記(303)式より演算する。
【0279】
そして、グリップ度推定器26は、演算したSATモデル比γ、前後方向状態量演算器240から出力された前後方向状態量(F/ Kβ)、及びキャスタートレールl、接地長lを用いて、(304)式から、グリップ度ε=ξを推定する。なお、この場合も、(304)式に代えて、グリップ度εと、SATモデル比γ及び前後方向状態量(F/ Kβ)と、の関係を示すマップ、データテーブル、及び関係式を予め求めておき、グリップ度ε=ξを推定するようにしてもよい。
〔第5の実施の形態〕
次に、第5の実施の形態を説明する。
【0280】
図18に示すように、本実施の形態にかかるグリップ度推定装置は、前述した第3の実施の形態(図13参照)の構成と略同一なので、同一部分には同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。即ち、本実施の形態にかかるグリップ度推定装置においては、前後方向状態量演算器240はSATモデル値演算器22にのみ接続されている。
【0281】
次に、本実施の形態にかかる制駆動を伴わない領域におけるグリップ度の演算原理を説明する。
制駆動を伴わない領域では、ハンドル軸に伝達されるトルクTは、横力およびξを用いて、
【0282】
【数80】
Figure 2004352046
【0283】
と記述することができる。また、ここでは、(311)式において、グリップ度=1を仮定した値
【0284】
【数81】
Figure 2004352046
【0285】
をSATモデル値とする。即ち、SATモデル値は、横方向状態量としての横力Fと所定のタイヤパラメータ(接地長l)を用いて求められる。
【0286】
ここで、(311)式と(312)式の比をSATモデル比γ、すなわち、
【0287】
【数82】
Figure 2004352046
【0288】
とすると、
【0289】
【数83】
Figure 2004352046
【0290】
という関係が成立する。したがって、(314)式の関係を利用することによってSATモデル比γからグリップ度
【0291】
【数84】
Figure 2004352046
【0292】
を導出することができる。
【0293】
次に、本実施の形態の方法を説明する。なお、前述した実施の形態と同様な作用部分について省略し、異なる作用部分について説明する。
【0294】
SATモデル値演算器22は、横力検出器180により検出された横力Fy、ステアリングギア比gh、キャスタートレールl、接地長lを用いて上記(312)式より、SATモデル値Ts0を演算する。
【0295】
本実施の形態にかかるグリップ度推定器26は、SAT推定器16により推定されたSAT(T(311)式)と、SATモデル値演算器22 により推定されたSATモデル値Ts0((312)式)と、の比であるSATモデル比γを、上記(313)式より演算する。
【0296】
そして、グリップ度推定器26は、演算したSATモデル比γ、キャスタートレールl、接地長lを用いて、(314)式から、グリップ度ε=ξを推定する。なお、この場合も、(314)式に代えて、グリップ度εとSATモデル比γとの関係を示すマップ、データテーブル、及び関係式を予め求めておき、グリップ度ε=ξを推定するようにしてもよい。
〔第6の実施の形態〕
次に、第6の実施の形態を説明する。なお、本実施の形態にかかるグリップ度推定装置は、前述した第1の実施の形態(図1参照)の構成と同一なので、その説明を省略する。
【0297】
次に、本実施の形態におけるグリップ度の演算原理を説明する。
【0298】
まず、左右輪の制駆動力が一致すると仮定する場合、ハンドル軸に伝達されるトルクTは、
【0299】
【数85】
Figure 2004352046
【0300】
と記述される。ただし、接地長、タイヤ剛性に関するl、rの添え字は、左右輪を意味している。また、Fz0は、前軸の静止荷重(前輪2輪分の静止荷重)、Fは、前後荷重移動を考慮した前軸荷重(前輪2輪分の荷重)、ΔFは、前輪左右輪の荷重変動量である。ただし、ΔFは、前輪左右輪の荷重変動量であり、横加速度信号gとロール剛性配分(前輪の負担率)γrollおよび前輪トレッドTから
【0301】
【数86】
Figure 2004352046
【0302】
と近似することができる。ただし、|g|はgの絶対値をあらわしている。この場合、線形モデルTs0は、
【0303】
【数87】
Figure 2004352046
【0304】
と記述できる。即ち、線形モデルTs0は、横方向状態量としてのスリップ角κ、左右荷重変化量ΔFを用いて求める。
【0305】
このとき、線形モデル比γは、
【0306】
【数88】
Figure 2004352046
【0307】
と演算される。したがって、線形モデル比γと制駆動力Fから(404)−(407)式に基づいてグリップ度
【0308】
【数89】
Figure 2004352046
【0309】
を導出することができる。
【0310】
次に、本実施の形態に係るグリップ推定装置の作用を説明する。なお、本実施の形態に係るグリップ推定装置の作用は、前述した第1の実施の形態の作用と同一の部分があるので、異なる部分を説明する。
【0311】
SATモデル値演算器22は、スリップ角演算器18により演算されたスリップ角κと荷重変化推定器20により推定された左右荷重変化量ΔFからSATの線形モデル出力、すなわちSATモデル値を(403)式に基づき演算する。
【0312】
グリップ度推定器26のSATモデル比演算器28は、SAT推定値とSATモデル値からSAT推定値のSATモデル値に対する比γを(404)式からSATモデル比として演算する。そして、グリップ度出力器30は、線形モデル比γと制駆動力Fから(404)−(407)式に基づいてグリップ度を演算する。なお、この場合も、(404)−(407)式に代えて、グリップ度εと、SATモデル比γ及び前後方向状態量(制駆動力F)と、の関係を示すマップ、データテーブル、及び関係式を予め求めておき、グリップ度を推定するようにしてもよい。
【0313】
図19(A)及び図19(B)は、SATモデル値(図19(B)参照)を(403)式に基づき横荷重移動ΔFを考慮して設定したときのドライ路旋回時のグリップ度推定結果(図19(A)参照)をグリップ度真値と比較して示したものである。
【0314】
図20(A)及び図20(B)は、横荷重移動の影響を考慮せず、SATモデル値(図20(B)参照)を
【0315】
【数90】
Figure 2004352046
【0316】
と設定したときのドライ路旋回時のグリップ度推定結果(図20(A)参照)をグリップ度真値と比較して示したものである。グリップ度真値は、路面μを一定(0.9)と仮定し、前輪で発生している前後力と横力を荷重で基準化した実績μ値から「グリップ度真値=1−μ利用率=1−実績μ値/路面μ」として演算した値である。
【0317】
図19(A)及び図19(B)と図20(A)及び図20(B)との比較から、横荷重移動の影響を考慮することによってグリップ度推定の精度が向上していることがわかる。
〔第7の実施の形態〕
次に、第7の実施の形態を説明する。
本実施の形態にかかるグリップ度推定装置は、前述した第3の実施の形態(図13参照)の構成と同一の部分があるので、同一部分には同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。即ち、図21に示すように、本実施の形態にかかるグリップ度推定装置の横力演算器180は、車速と操舵角から車両線形モデルに基づいて前輪の横力推定値を演算する横力推定器340と、横力推定値をハイパス処理するハイパスフィルタ360と、車両運動状態量から前輪の横力を演算する横力演算器380と、横力換算器400と、横力演算値をローパス処理するローパスフィルタ420と、ハイパスフィルタおよびローパスフィルタ処理後の横力を加算し統合横力を演算する加算器440と、を備えている。
次に、本実施の形態に係るSATモデル値の演算原理を説明する。
接地長は荷重の平方根に比例して長くなるとともに、各輪のコーナリングパワー、横力は荷重に比例して大きくなる、すなわち、
【0318】
【数91】
Figure 2004352046
【0319】
と記述できる。ただし、添え字の0は非荷重移動状態をl、rはそれぞれ左輪、右輪の値であることを表している。このため、このような荷重移動の影響をSATモデル値演算時に考慮することによってグリップ度推定の精度向上が期待できる。
【0320】
ここでは、(500)−(502)式の仮定に加え、左右輪の制駆動力は一致する、すなわち
【0321】
【数92】
Figure 2004352046
【0322】
と仮定すると、左右2輪分のSATの合計であるSATモデル値(高グリップ状態の操舵トルク)は、
【0323】
【数93】
Figure 2004352046
【0324】
と記述できる。また、キャスタートレールを補償した後の操舵軸トルクを利用する場合には、SATモデル値は、
【0325】
【数94】
Figure 2004352046
【0326】
と記述できる。(504)または(505)式のようにSATモデル値の導出の際に荷重移動の影響を考慮することによって、グリップ度推定の精度向上が期待できる。
【0327】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
SAT推定器16は、操舵トルクとアシストトルクの和から操舵系の摩擦を除去して路面とタイヤ間で発生するSATを推定する。なお、左右輪の制駆動力に差がある場合には、制駆動力差によって生じるトルクを減じる補償を実施後に摩擦除去を行う。すなわち、摩擦除去前のSATを
【0328】
【数95】
Figure 2004352046
【0329】
に基づき演算し、求められたTfricに対して摩擦除去演算(第1の実施の形態と同様)を実施し、SAT推定値Tを求める。ここで、Tfricは摩擦除去前のSAT、Tswは操舵トルク、Tmaはアシストトルク、ΔFは制駆動力左右輪差、lはキングピンオフセットである。
横力演算器180における横力推定器340は、車速と操舵角から車両線形モデルに基づき前輪横力を推定する。ここで、前輪横力の推定は、車両運動の動特性を利用し、次式の状態方程式によって推定するものである。
【0330】
【数96】
Figure 2004352046
【0331】
ただし、v:横速度(m/s)、r:ヨーレート(rad/s)、FyE:前輪横力推定値(N)、u:車速(m/s)、c:前後輪コーナリングパワー(N/rad)、L:前後軸重心間距離(m)、M:車両質量(kg)、I:ヨー慣性(kgm)、g:ハンドル実舵間ギヤ比、θ:ハンドル角である。なお、前輪コーナリングパワーcは、前述のKβと同じものである。 (507)、(508)式をサンプル時間τで離散化し、車速の関数として表現すると、
【0332】
【数97】
Figure 2004352046
【0333】
という形式で表現される。
横力演算器380は、車両運動状態量から前輪の横力を演算する。前輪横力は、車体の運動方程式
【0334】
【数98】
Figure 2004352046
【0335】
ただし、Fyf:前輪横力、Fyr:後輪横力を変形することによって、以下のように記述することができる。
【0336】
【数99】
Figure 2004352046
【0337】
である。横力換算器400は、(513)式に基づいて横力を演算し、横力演算値FyCとして出力する。
ハイパスフィルタ360は1次の離散フィルタによって構成される。ところで、連続時間でのフィルタは、次式の伝達関数によって記述される。
【0338】
【数100】
Figure 2004352046
【0339】
ただし、ω:フィルタの折れ点周波数である。この式をTustin変換などの手法を用いて変換することにより、離散時間のフィルタを設計することができる。Tustin変換は、サンプリング時間をT、時間進みオペレータをzとした場合、
【0340】
【数101】
Figure 2004352046
【0341】
を(514)式に代入することによって演算でき、このときの離散時間フィルタは、
【0342】
【数102】
Figure 2004352046
【0343】
と記述される。また、ローパスフィルタ420はハイパスフィルタ360と同じ折れ点周波数をもつ1次の離散フィルタとして構成される。連続時間でのフィルタは、
【0344】
【数103】
Figure 2004352046
【0345】
と記述され、これをTustin変換すると、
【0346】
【数104】
Figure 2004352046
【0347】
と記述される。ここで設計されるハイパスフィルタ360とローパスフィルタ420の和は、1となる。これは、同一の信号をハイパスフィルタ360とローパスフィルタ420に入力し、これらの出力を加算した場合、元の信号が復元されることを意味している。ここでは、低周波数領域にドリフト誤差を含む横力推定値にハイパスフィルタ処理を行いドリフト誤差を除去するとともに、高周波数領域にノイズや位相の遅れを含む横力演算値にローパスフィルタ処理を行い高周波領域の変動成分を除去し、これらのフィルタ処理後の信号を加算することによってドリフト誤差やノイズなどの影響を受けない横力を演算することができる。ここでの折れ点周波数は、横力演算値に含まれる路面外乱などに伴うノイズを除去するとともに、バンク路進入時などの路面カント変化速度に適応できるような値に設定されるものである。ハイパスフィルタおよびローパスフィルタ処理後の横力は、加算され、統合横力としてグリップ度演算に用いられる。すなわち、
【0348】
【数105】
Figure 2004352046
【0349】
ただし、FyI:統合横力である。
【0350】
前後方向状態量演算器240は、エンジン出力トルクTengにギヤ比g、デフ比gを乗じるとともにタイヤ有効半径rで除算して求めた駆動力とブレーキ油圧Pに定数kbrakeを乗じて求めた制動力を加えて前輪で発生する制駆動力F
【0351】
【数106】
Figure 2004352046
【0352】
と求め、さらに前輪コーナリングパワー基準値で除算し、前後方向状態量F/ Kβとして出力する。
【0353】
SATモデル値演算器22は、横方向状態量FyI、状態量前後方向状態量F/ Kβに基づきSATモデル値を以下のように演算する。
【0354】
【数107】
Figure 2004352046
【0355】
である。
【0356】
グリップ度推定器26のSAT比演算器28は、SAT推定値TとSATモデル値Ts0の比を次式のように演算し、SATモデル比γとして出力する。
【0357】
【数108】
Figure 2004352046
【0358】
グリップ度出力器30は、SATモデル比γと前後方向状態量F/ Kβから2次元マップ等(前述した第3の実施の形態参照)に基づいてグリップ度を演算する。
【0359】
図22は、路面μ=0.45の人工低μ路において旋回加速実験を行ったときのグリップ度推定結果を示したものである。この実験では、図22において2sの時に操舵し、3sの時に0.1G相当の加速を行っており、加速度と既知の路面μ値(=0.45)から求めたグリップ度真値と推定値は、良い一致が見られる。
ことがわかる。
〔第8の実施の形態〕
次に、第8の実施の形態を説明する。
本実施の形態にかかるグリップ度推定装置は、前述した第3の実施の形態(図13参照)の構成と同一の部分があるので、同一部分には同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。即ち、図23に示すように、本実施の形態にかかるグリップ度推定装置は、第3の実施の形態(図13参照)における、操舵トルク検出器12、アシストトルク検出器14、SAT推定器16、前輪の横力を演算する横力演算器180、前輪の前後方向状態量を演算する前後方向状態量演算器240、SATモデル値演算器22、及び前輪のグリップ度を推定するグリップ度推定器26を備えている。また、本実施の形態にかかるグリップ度推定装置はさらに、路面摩擦係数(路面μ)を演算する路面摩擦係数演算器100、後輪の制駆動力を演算する制駆動力演算器540、後輪の横力を演算する横力演算器182、及び後輪のグリップ度を推定するグリップ度推定器126を備えている。
【0360】
次に、本実施の形態における作用を説明する。なお、本実施の形態における作用は、前述した第3の実施の形態の作用と同一の作用部分があるので、同様な作用部分について省略し、異なる作用部分について主として説明する。
【0361】
前述した第3の実施の形態のように、グリップ度推定器26は、前輪のグリップ度を推定する。路面摩擦係数演算器100は、路面摩擦係数(路面μ)を次にようにして演算する。即ち、路面μを、前輪のグリップ度εと前輪の制駆動力Fxf、横力Fyfおよび前輪荷重Wから
【0362】
【数109】
Figure 2004352046
【0363】
から演算する。なお、前輪の制駆動力Fxfは、前後方向状態量演算器240における制駆動力推定器42(図14参照)から求められる。
制駆動力演算器540は、後輪の制駆動力Fxrを演算し、横力演算器182は、後輪の横力Fyrを演算する。そして、グリップ度推定器126は、本実施の形態では、前後輪の路面μが同一と仮定して、路面摩擦係数演算器100により演算した路面摩擦係数μ、後輪の制駆動力Fxr、横力Fyrおよび後輪荷重Wから
【0364】
【数110】
Figure 2004352046
【0365】
から演算する。
〔第9の実施の形態〕
次に、第9の実施の形態を説明する。
本実施の形態にかかるグリップ度推定装置は、前述した第8の実施の形態(図23参照)の構成と同一の部分があるので、同一部分には同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。即ち、図24に示すように、本実施の形態にかかるグリップ度推定装置は、第8の実施の形態(図23参照)における、路面摩擦係数演算器100を省略し、横力演算器180、前後方向状態量演算器240における制駆動力推定器42(図14参照)、及びグリップ度推定器26は、グリップ度推定器126に接続されている。
【0366】
次に、本実施の形態における作用を説明する。なお、本実施の形態における作用は、前述した第8の実施の形態の作用と同一の作用部分があるので、同一の作用部分の説明を省略し、異なる作用部分について主として説明する。
【0367】
グリップ度推定器126は、以下のように後輪のグリップ度を推定する。即ち、前後輪の路面μが同一という仮定に加え、前後輪の横力の比が前後輪の荷重の比に一致する、すなわち
【0368】
【数111】
Figure 2004352046
【0369】
と仮定すると、
【0370】
【数112】
Figure 2004352046
【0371】
となり、このときの後輪グリップ度は、
【0372】
【数113】
Figure 2004352046
【0373】
と表される。即ち、グリップ度推定器126は、前輪のグリップ度ε、前輪の制駆動力Fxf、前輪の横力Fyfおよび前輪荷重W、後輪荷重W、後輪の制駆動力Fxr、及び、後輪の横力Fyrから、後輪グリップ度εを(605)式より演算する。
〔第10の実施の形態〕
次に、第10の実施の形態を説明する。
本実施の形態にかかるグリップ度推定装置は、前述した第9の実施の形態(図24参照)の構成と同一の部分があるので、同一部分には同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。即ち、図25に示すように、本実施の形態にかかるグリップ度推定装置は、第9の実施の形態(図23参照)における、後左輪、後右輪についてそれぞれ、横力演算器182R、182L、制駆動力推定器52R、52L、及びグリップ度推定器126R、126Lを備えている。
【0374】
次に、本実施の形態における作用を説明する。なお、本実施の形態における作用は、前述した第10の実施の形態の作用と同一の作用部分があるので、同一の作用部分の説明を省略し、異なる作用部分について主として説明する。
【0375】
左右輪の路面μが一致していると仮定すると、各輪毎のグリップ度εfl、εfr、εrl、εrr(添え字fl、fr、rl、rrは、それぞれ左前、右前、左後、右後を表している)は、各輪の制駆動力(前後力)Fxfl、 Fxfr、 Fxrl、 Fxrr、横力Fyfl、 Fyfr、 Fyrl、 Fyrr、荷重Wfl、 Wfr、 Wrl、 Wrrを用いて、
【0376】
【数114】
Figure 2004352046
【0377】
と記述できる。ところで、各輪毎のグリップ度を推定するためには、(606)−(609)式から明らかなように各輪毎の制駆動力、横力が必要となる。駆動力は左右同一と仮定できるとともに、制動力は各輪のホイール油圧から各輪ごとに推定することか可能である。一方、横力に関しては、車両運動からは左右輪の合計値のみ推定が可能であり、各輪毎の値を導出することはできない。このためここでは、タイヤで発生する横力は、各輪の荷重に概ね比例するという性質に着目し、1輪ごとの横力を左右合計の横力によって次式のように記述する。
【0378】
【数115】
Figure 2004352046
【0379】
したがって、(606)−(609)式に(601)、(610)−(613)式を代入すると
【0380】
【数116】
Figure 2004352046
【0381】
また、前後輪のグリップ度推定同様、前後輪の横力の比が前後輪の荷重の比に一致すると仮定する場合には、
【0382】
【数117】
Figure 2004352046
【0383】
となり、後左右輪のグリップ度は、
【0384】
【数118】
Figure 2004352046
【0385】
と記述される。
【0386】
即ち、後左輪のグリップ度推定器126Lは、前輪のグリップ度ε、前輪荷重W、後左輪荷重Wrl、前輪制駆動力Fxf、前輪横力Fyf、及び後左輪制駆動力Fxrl、を用いて、(620)式から、後左輪のグリップ度εrlを求める。
【0387】
同様に、後右輪のグリップ度推定器126Rは、前輪のグリップ度ε、前輪荷重W、後右輪荷重Wrr、前輪制駆動力Fxf、前輪横力Fyf、及び後右輪制駆動力Fxrr、を用いて、(622)式から、後左輪のグリップ度εrrを求める。
【0388】
このように、前述した第2の実施の形態及び第8の実施の形態乃至第10の実施の形態では、後輪のグリップ度を推定することができる。この結果、たとえば、制動中の前後輪のグリップ度をフィードバックして、グリップ度を均等化するような製動力の配分制御を行うことが可能となる。この場合、制度中の各輪のグリップ余裕度が向上する結果、車両運動の安定性が向上する。
【0389】
また、第9の実施の形態における(605)式に基づいた後輪のグリップ度の推定では、後輪横力推定の位相を前輪横力発生と一致させることにより、第8の実施の形態における(602)式に基づいた後輪のグリップ度の推定に比較して、位相の早い推定が可能となる。
【0390】
第1の実施の形態乃至第10の実施の形態における応用例を説明する。
【0391】
制動力配分制御(含むABS)
旋回制動時の制動力配分をする際に、4輪のグリップ度が均一になるよう制動力を決定する。これにより、4輪の限界摩擦力μW(路面μ×荷重)の推定誤差に対してロバスト性が高まる。また、グリップ度の推定が不可な領域は推定μW、可能な領域はグリップ度を用いる方法を切り替えて用いる。従来最適制動力配分を実行する場合、各輪のμは一定と仮定し、荷重は、あらかじめ設定された静止荷重に車体加速度の補正を行って推定し、この推定された荷重配分に基づいた制動力配分が行われてきた。しかし、この手法では積載量変化などに伴う荷重配分の変化や、またぎ路面など路面μのばらつきには適応できず、必ずしも最適な配分にはならないという問題点がある。これに対し、制動中の4輪のグリップ度をそれぞれ推定する本発明のグリップ度推定値に基づく制動力配分、すなわち4輪のグリップ度が均一になるように制動力を決定する場合、限界摩擦力に対するグリップ余裕度が均一になるように制御することになり、常に最適な制動力配分を確保することが可能となる。
【0392】
ABS作動前の旋回制動時にグリップ低下を検出した場合、ABSの開始感度を浅めに設定し、ABS開始前の車輪速落ち込みを防止する。ABSの制御開始感度は、路面外乱などによる誤作動を防止する必要があることから、従来深めに設定してある。このため、制御開始時に車輪速が落ち込み(車輪ロック傾向)、この落ち込みを回復させるために、制御開始時にホイールシリンダ油圧を大きく減圧する必要が生じていた。しかし、制御開始時の大きな減圧は、タイヤで発生する制動力を減少させることになり、望ましいことではない。SATに基づくグリップ度推定値は、制動力を反映する車輪の挙動(車輪ロック)が発生する以前にグリップ低下を検出できるという特徴があり、グリップ低下が判定された場合にABSの開始感度を浅めに設定することによって、制御開始時の車輪速落ち込みを防止できる。なお、従来から車輪速に基づいてグリップ余裕を検出し、これをABS制御開始判定に用いる技術(特開平10−71943)があるが、車輪速に基づいてグリップ余裕を推定するこの従来技術に比べ、本発明は、SATを利用していることからより速く(まだ余裕のある領域で)グリップ低下を精度良く検出できることからABS制御開始感度をより適切に設定できるという特徴がある。
【0393】
旋回ABS制動中に低μから高μに乗り移った場合、グリップ度の回復を見てフロントの増圧速度を上げる、またリヤについては予見増圧を行う。
【0394】
駆動力配分制御(含むTRC、エンジン制御、4駆)
旋回加速時、駆動輪が加速スリップする前にμ推定値を元にスロットル制御を行う。SATに基づくグリップ度推定値は、駆動力を反映する車輪の挙動(加速スリップ)が発生する以前にグリップ低下を検出できるという特徴があることから、グリップ度低下の時点でスロットルを絞り気味にするなどの制御を行うことによって、車輪の加速スリップを未然に防止することができる。
【0395】
駆動輪のグリップ度推定を左右独立で行い、グリップ度が低下した場合にはその輪にブレーキをかける。これによってグリップ低下輪の駆動力を抑え、グリップの回復を図り、左右の駆動力配分の最適化が実現できる。また、両輪とも落ちた場合にはエンジントルクを低下させる。
【0396】
VSC(OS、US、プリチャージ)
OS(オーバーステア)の時
後輪のグリップ度がある閾値以下となったら、外輪にブレーキをかける。ブレーキの強さはμによるマップとする。また、リヤグリップ度があるところまで回復したら制御を終了する。また、後輪のグリップ度が閾値以下となったら外輪のブレーキをプリチャージし、VSC制御の開始遅れを防止する応用も考えられる。従来のVSCは、横力を反映したヨーレート変化からオーバーステアを検出して制御開始を判断していた。これに対し、本グリップ推定を利用することにより、ヨーレート変化が生じる前にオーバーステア発生を予測することが可能となり、外輪にブレーキをかけることによってオーバーステアを未然に防止したり、プリチャージによって開始遅れを防止することが可能となる。オーバーステアは、後輪のグリップ度が前輪に比較して低下し、前後輪の横力バランスが崩れることによってヨーレートの変化が生じるものであり、従来のVSCは結果として生じるヨーレート変化をフィードバックするものであったのに対し、本手法は、原因である後輪グリップ度の低下を直接推定し、これに基づく車両制御をフィードフォワード的に行うものである。このため、オーバーステアの発生を未然に防止することが可能となる。
【0397】
US(アンダーステア)の時
前輪グリップが限界に近づいたら、ブレーキ制御によりドリフトアウト制御を行う。従来のVSCでは、アンダーステアの検出も横力を反映したヨーレート変化から行われていたのに対し、本グリップ推定を利用することにより、ヨーレート変化が生じる前にアンダーステア発生を予測することが可能となり、ブレーキ制御によって内向きモーメントを発生させたり、車速を減速させることによってアンダーステア発生を未然に防止することが可能となる。アンダーステアは、前輪のグリップ度が後輪に比較して低下し、前後輪の横力バランスが崩れることによってヨーレートの変化が生じるものであり、従来のVSCは結果として生じるヨーレート変化をフィードバックするものであったのに対し、本手法は、原因である前輪グリップ度の低下を直接推定し、これに基づく車両制御をフィードフォワード的に行うものである。このため、アンダーステアの発生を未然に防止することが可能となる。
【0398】
4輪ドリフト時
前後輪独立グリップ推定を用いて、4輪ドリフトを検出する。従来のVSCでは、前後輪の横力バランスのずれによって生じるヨーレート変化を検出してOSまたはUS制御を行うものであるため、4輪のグリップが同時に低下してヨーレート変化を生じることなく限界に至る場合、すなわち4輪ドリフトの状態では制御開始が遅れるという問題点がある。これに対し、前後輪独立にグリップ推定を行う場合、4輪ドリフトの発生原因である4輪同時のグリップ低下を直接推定することが可能であるため、従来問題であった制御開始遅れを生じることなく適切に4輪ドリフトを防止することが可能である。
【0399】
検出したら減速するよう制御する。4輪ドリフト時には、前後輪ともにグリップが低下していることからグリップを回復させるためには、車両を減速させる必要がある。
【0400】
4輪同時にグリップ回復するよう、各輪のタイヤ負担率を均一にしながら減速する。各輪のグリップ度がバランスするように各輪の制動力配分を行うことによって、前後輪の横力のバランスを保ちながら、すなわち車両の挙動変化を起こすことなくグリップ回復を図ることができる。
【0401】
後輪が先にグリップ回復するように前輪のグリップ度が後輪のグリップ度に比べて小さい値になるように制動力配分制御を行う。この制御によって、車両挙動はドリフトアウト傾向を示すが、安定性を重視した運動を実現することができる。
【0402】
前後輪ともステア制御は横力を最大化するよう制御する。4輪ドリフトが生じる状況では、前後輪ともに横力限界を超えた状態となっている。このため、舵角を適切に切り戻すことによってスリップ角を横力が最大となる角度まで減少させる。
【0403】
ステア角
後輪のグリップ度がある閾値以下となったら、前輪の操舵角を切り戻すことによって、オーバーステアの発生を未然に防止する。後輪のグリップ度が低下した場合、前後輪の横力のバランスが崩れることによってオーバーステアが発生する恐れが生じる。このため、前輪の操舵角を切り戻すことによって前輪の横力を低下させることによって横力のバランス化が図られ、オーバーステアの発生を防止することができる。この場合も、ヨーレート変化などからオーバーステアを検出して、これに基づいて前輪の操舵角を切り戻す制御と比較すると、オーバーステア発生の原因である前輪グリップ度を直接検出することから車両制御のフィードフォワード的な制御が実現され、オーバーステアの発生を未然に防止することが可能となる。
【0404】
サスペンション制御
後輪のグリップ度がある閾値以下となったら、前輪のスタビライザの剛性を高め、前輪荷重の左右差を大きくするように設定し、後輪荷重の左右差を減少させることによって後輪のグリップを増加させ、オーバーステアを未然に防止する。また、逆に前輪のグリップ度がある閾値以下となったら、前輪のスタビライザの剛性を下げて、前輪荷重の左右差を減少させることによって前輪のグリップを増加させ、アンダーステアを未然に防止する。また、前後輪ともにグリップ度が減少している場合には、後輪のグリップ回復を優先させ、前輪のスタビライザの剛性を高めることによって安定性を重視した車両挙動を実現する。
【0405】
前後輪いずれかのグリップ度が低下した場合に、スカイフックダンパのダンパ定数を小さく設定し、接地性重視のサスペンション特性を実現する。(特開平2001−3540020のμ勾配推定をSAT利用グリップ推定に置き換えたもの)。
【0406】
【発明の効果】
請求項1記載の発明は、横方向状態量及びタイヤパラメータに基づいてセルフアライニングトルクモデル値を演算し、セルフアライニングトルクとセルフアライニングトルクモデル値との比(セルフアライニング比)を演算し、セルフアライニング比及び前後方向状態量に基づいてタイヤのグリップ度を推定するので、グリップ度を精度よく推定することができる、という効果を有する。
【0407】
請求項2記載の発明は、車輪に発生する横方向状態量・前後方向状態量、及びタイヤパラメータに基づいてセルフアライニングトルクモデル値を演算して、セルフアライニング比を演算し、セルフアライニング比に基づいてタイヤのグリップ度を推定するので、グリップ度を精度良く推定することができる、という効果を有する。
【0408】
請求項9記載の発明は、セルフアライニングトルク比と、制駆動力推定手段により推定された制駆動力と、に基づいて、車輪のグリップ度を推定するので、車両が制駆動状態のときのグリップ度を精度よく推定することができる、という効果を有する。
【0409】
請求項16記載の発明は、操舵状況より求めたセルフアライニングトルク推定値、車両状況から求めたセルフアライニングトルクモデル値、及び制駆動力に基づいて、グリップ度を推定するので、制駆動力の影響なくグリップ度が正確に検出できる、という効果を有する。
【0410】
請求項19記載の発明は、各輪毎のグリップ度を推定し、推定された各輪のグリップ度を用いて、走行状態を制御するので、走行状態を精度よく制御することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態にかかるグリップ度推定装置のブロック図である。
【図2】グリップ度推定器のブロック図である。
【図3】スリップ各演算着のブロック図である。
【図4】スリップ角、スリップ率に対するSATの特性を示した図である。
【図5】スリップ角を一定としたときの制駆動力とSATの関係を示したグラフである。
【図6】制駆動力、線形モデル比とグリップ度の関係を示した図である。
【図7】キャスタートレールを考慮した場合の制駆動力、線形モデル比とグリップ度の関係を示した図である。
【図8】(A)は、SAT推定値の上下限を示した図であり、(B)は、SAT推定値の演算方法を説明する図である。
【図9】ヒステリシス特性除去の効果を説明する説明図である。
【図10】(A)は、スリップ角と操舵及びアシストトルクとの関係を示した図であり、(B)は、スリップ角とSAT推定値の関係を示した図である。
【図11】SAT推定値の制動による影響を説明する説明図である。
【図12】制動時のグリップ度推定値の真値比較した図である。
【図13】第3の実施の形態にかかるグリップ度推定装置のブロック図である。
【図14】前後方向状態量演算器のブロック図である。
【図15】グリップ度εのSATモデル比γとF/ Kβとの2次元マップである。
【図16】グリップ度εのSATモデル比γとF/ Kβとの他の2次元マップである。
【図17】第4の実施の形態にかかるグリップ度推定装置のブロック図である。
【図18】第5の実施の形態にかかるグリップ度推定装置のブロック図である。
【図19】(A)及び(B)は、横荷重移動の影響を考慮した場合の、SATモデル値(B)、ドライ路旋回時のグリップ度推定結果(A)をグリップ度真値と比較して示したグラフである。
【図20】(A)及び(B)は、横荷重移動の影響を考慮しない場合の、SATモデル値(B)と、ドライ路旋回時のグリップ度推定結果(A)をグリップ度真値と比較して示したグラフである。
【図21】横力演算器のブロック図である。
【図22】路面μ=0.45の人工低μ路において旋回加速実験を行ったときのグリップ度推定結果を示したグラフである。
【図23】第8の実施の形態にかかるグリップ度推定装置のブロック図である。
【図24】第9の実施の形態にかかるグリップ度推定装置のブロック図である。
【図25】第10の実施の形態にかかるグリップ度推定装置のブロック図である。
【符号の説明】
16 SAT推定器
18 スリップ角演算器
20 荷重変化推定器
22 SATモデル値演算器
24 制駆動力推定器
26 グリップ度推定器
180 横力演算器
240 前後方向状態量演算器
100 路面摩擦係数演算器
52 制駆動力演算器
182 横力演算器
126 グリップ度推定器

Claims (21)

  1. 車輪の接地面に発生するセルフアライニングトルクを推定または検出するセルフアライニングトルク推定・検出手段と、
    前記車輪に発生する横方向状態量を演算する横方向状態量演算手段と、
    前記車輪に発生する前後方向状態量を演算する前後方向状態量演算手段と、
    前記横方向状態量及びタイヤパラメータに基づいてセルフアライニングトルクモデル値を演算するセルフアライニングモデル値演算手段と、
    前記セルフアライニングトルク推定・検出手段で推定または検出されたセルフアライニングトルクと、前記セルフアライニングモデル値演算手段で演算されたセルフアライニングトルクモデル値との比であるセルフアライニング比を演算する比演算手段と、
    前記セルフアライニング比及び前記前後方向状態量に基づいてタイヤのグリップ度を推定するグリップ度推定手段と、
    を含むタイヤグリップ度推定装置。
  2. 車輪の接地面に発生するセルフアライニングトルクを推定または検出するセルフアライニングトルク推定・検出手段と、
    前記車輪に発生する横方向状態量を演算する横方向状態量演算手段と、
    前記横方向状態量、前記前後方向状態量、及びタイヤパラメータに基づいてセルフアライニングトルクモデル値を演算するセルフアライニングモデル値演算手段と、
    前記セルフアライニングトルク推定・検出手段で推定または検出されたセルフアライニングトルクと、前記セルフアライニングモデル値演算手段で演算されたセルフアライニングトルクモデル値との比であるセルフアライニング比を演算する比演算手段と、
    前記セルフアライニング比に基づいてタイヤのグリップ度を推定するグリップ度推定手段と、
    を含むタイヤグリップ度推定装置。
  3. 前記グリップ度推定手段は、前記セルフアライニングトルク比に加え、前記前後方向状態量を用いてタイヤのグリップ度を推定する請求項2記載のタイヤグリップ度推定装置。
  4. 前記横方向状態量はスリップ角、前記前後方向状態量は前後力又は前後力を前輪コーナリングパワーで除算した商、前記タイヤパラメータはタイヤ接地長及びタイヤ剛性である請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のタイヤグリップ度推定装置。
  5. 前記横方向状態量は横力、前記前後方向状態量は前後力、前記タイヤパラメータはタイヤ接地長及びタイヤ剛性である請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のタイヤグリップ度推定装置。
  6. 前記横方向状態量は横力、前記前後方向状態量は前後力を前輪コーナリングパワーで除算した商、前記タイヤパラメータはタイヤ接地長である請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のタイヤグリップ度推定装置。
  7. 車速を検出する車速検出手段と、
    操舵角を検出する舵角検出手段とを更に含み、
    前記横方向状態量演算手段は、
    前記車速と前記操舵角とから車両線形モデルに基づいて、タイヤに発生する横力を推定する推定手段と、
    前記横力推定手段で推定された横力にハイパスフィルタ処理を施すハイパスフィルタと、
    車両状態量からタイヤに発生する横力を演算する横力演算手段と、
    前記横力演算手段で演算された横力にローパスフィルタ処理を施すローパスフィルタと、
    前記ハイパスフィルタによりハイパスフィルタ処理が施された横力と、前記ローパスフィルタによりローパスフィルタ処理が施された横力との和を横方向状態量として演算する演算手段と、
    により構成されている請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のタイヤグリップ度推定装置。
  8. 前記前後方向状態量演算手段は、
    エンジン出力及びブレーキ油圧に基づいて、制駆動力を推定する制駆動力推定手段と、
    前記制駆動力を前輪コーナリングパワーで除算して前後方向状態量を演算する除算器と、
    により構成されている請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のタイヤグリップ度推定装置。
  9. 車輪の接地面に発生するセルフアライニングトルクを推定または検出するセルフアライニングトルク推定・検出手段と、
    前記車輪に発生するスリップ角を演算するスリップ角演算手段と、
    前記スリップ角演算手段により演算されたスリップ角、前記車輪の接地長及び剛性に基づいて、セルフアライニングトルクモデル値を演算するセルフアライニングトルクモデル値演算手段と、
    前記セルフアライニングトルク推定手段により推定されたセルフアライニングトルクと、前記セルフアライニングトルクモデル値演算手段により演算されたセルフアライニングトルクモデル値と、の比であるセルフアライニングトルク比を演算するセルフアライニングトルク比演算手段と、
    前記車両を制駆動する車輪に発生する制駆動力を推定する制駆動力推定手段と、
    前記セルフアライニングトルク比演算手段により演算されたセルフアライニングトルク比と、前記制駆動力推定手段により推定された制駆動力と、に基づいて、前記車輪のグリップ度を推定するグリップ度推定手段と、
    を備えたグリップ度推定装置。
  10. 前記グリップ度推定手段は、
    セルフアライニングトルク比、制駆動力、及びグリップ度の関係を予め記憶する記憶手段を備え、
    前記セルフアライニングトルク比演算手段により演算されたセルフアライニングトルク比及び前記制駆動力推定手段により推定された制駆動力と、前記記憶手段により記憶された前記関係と、に基づいて、前記車輪のグリップ度を推定する、
    ことを特徴とする請求項9に記載のグリップ度推定装置。
  11. 前記車輪の接地長及び剛性は予め定められた値であることを特徴する請求項9記載のグリップ度推定装置。
  12. 前記車輪への荷重状態を推定・または検出する荷重状態推定・検出手段を更に備え、
    前記車輪の接地長さ及び剛性は、前記荷重状態推定・検出手段により推定された前記車輪への荷重状態に基づいて定められる、
    ことを特徴する請求項9記載のグリップ度推定装置。
  13. 前記スリップ角演算手段は、
    車速と操舵角から車両線形モデルに基づいてスリップ角を推定するスリップ角推定手段と、
    前記スリップ角推定手段により推定されたスリップ角にハイパスフィルタ処理を施すハイパスフィルタと、
    前記車輪の横力を演算する横力演算手段と、
    前記横力演算手段により演算された横力を前記車輪のコーナリングパワーで除算することにより、横力から換算されたスリップ角を演算するスリップ角換算手段と、
    前記スリップ角換算手段により換算されたスリップ角にローパスフィルタ処理を施すローパスフィルタと、
    前記ハイパスフィルタによりハイパスフィルタ処理されたスリップ角と、前記ローパスフィルタによりフィルタ処理されたスリップ角と、を加算することにより、前記車輪に発生するスリップ角を演算する加算手段と、
    により構成されたことを特徴する請求項9乃至請求項12の何れか1項に記載のグリップ度推定装置。
  14. 前記車輪は、前記車両の前輪であることを特徴する請求項9乃至請求項13の何れか1項に記載のグリップ度推定装置。
  15. 前記車輪は、前記車両に取付けられた全ての車輪であることを特徴する請求項9乃至請求項13の何れか1項に記載のグリップ度推定装置。
  16. 操舵状況より求めたセルフアライニングトルク推定値、車両状況から求めたセルフアライニングトルクモデル値、及び制駆動力に基づいて、グリップ度を推定するグリップ度推定方法。
  17. タイロッド軸力とナックルアーム長さよりキングピン周りのトルクを演算してセルフアライニングトルク推定値とする請求項16記載のグリップ度推定方法。
  18. 各輪毎のグリップ度を推定する請求項16又は請求項17記載のグリップ度推定方法。
  19. 請求項18にて推定された各輪のグリップ度を用いて、走行状態を制御する走行状態制御方法。
  20. 前記走行状態が安定するように、走行状態を制御することを特徴とする請求項19記載の走行状態制御方法。
  21. 前記走行状態の制御は、旋回制動時に4輪のグリップ度が均一となるように制動力を調整すること、駆動輪のグリップ度を推定し、グリップ度が低い場合にはグリップ度の低下を抑制すること、後輪のグリップ度が所定以下となった場合にはスピン抑制制御を行うこと、前輪のグリップ度が所定以下となった場合にはドリフトアウト抑制制御を行うこと、全輪のグリップ度が所定以下となった場合には減速を行うこと、後輪のグリップ度が所定以下となったら前輪操舵角を切り戻すこと、及び、後輪のグリップ度が所定以下となったら前輪のスタビライザの剛性を高めることの少なくとも1つである請求項19又は請求項20記載の走行状態制御方法。
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