JP2001354020A - サスペンション制御装置 - Google Patents

サスペンション制御装置

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JP2001354020A
JP2001354020A JP2000175473A JP2000175473A JP2001354020A JP 2001354020 A JP2001354020 A JP 2001354020A JP 2000175473 A JP2000175473 A JP 2000175473A JP 2000175473 A JP2000175473 A JP 2000175473A JP 2001354020 A JP2001354020 A JP 2001354020A
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gradient
suspension
control
damper
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JP2000175473A
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English (en)
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Hidekazu Ono
英一 小野
Tsuguharu Matsunaga
継春 松永
Akira Tanaka
亮 田中
Yoshiyuki Yasui
由行 安井
Mamoru Sawada
護 沢田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
Denso Corp
Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両における乗り心地と車輪の接地性の双方
を最適化することができるサスペンション制御装置を得
る。 【解決手段】 グリップ度推定手段10により、車輪速
度に基づいて路面と車輪との間の滑り易さに関する物理
量である路面μ勾配を推定した後に該路面μ勾配に基づ
いてグリップ度を推定し、制御パラメータ変更手段20
により、上記グリップ度が小さいときは車輪の接地性を
向上するようにサスペンション制御における制御パラメ
ータを設定し、上記グリップ度が大きいときには乗り心
地を向上するように上記制御パラメータを設定して、サ
スペンション制御手段26により、上記制御パラメータ
に基づくサスペンションの制御を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サスペンション制
御装置に係り、より詳しくは、車両における乗り心地と
車輪の接地性の双方を向上することができるサスペンシ
ョン制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車体の上下振動を抑制し、乗り心
地を改善するための技術として、セミアクティブサスペ
ンションにおけるスカイフック制御技術があった。この
技術は、可変ダンパを利用して、見かけ上、空中に吊り
下げられたダンパ(スカイフックダンパ)によって得ら
れる減衰特性を実現しようとするサスペンション制御方
式である。一例として図13に示されるように、スカイ
フックダンパのダンパ定数が大きく設定されるほど、路
面外乱から車体加速度までの伝達特性が、人間が特に感
じる周波数帯域であるおおよそ3Hz〜8Hzの乗り心
地領域において小さくなり、乗り心地特性が向上する。
【0003】一方、上述のようなスカイフック制御技術
においては、一例として図14に示される路面変位から
タイヤ変位までの伝達特性が示すように、スカイフック
ダンパのダンパ定数が大きく設定されるほど、おおよそ
10Hzのばね下共振周波数のゲインが大きくなり、車
輪の接地性が劣化する。接地性が劣化する場合、タイヤ
で発生する駆動力、制動力、横力に影響を及ぼし、十分
な路面摩擦力が発揮できない場合がある。特に路面摩擦
係数(路面μ)が小さく、タイヤのグリップ状態が落ち
ている場合には、接地性の劣化はタイヤ発生力(駆動
力、制動力、横力)特性に大きく影響を及ぼし、ドライ
バの意図するタイヤ発生力が得られない場合、車両性能
を十分に発揮できない可能性がある。
【0004】そこで、従来は、乗り心地と車輪の接地性
との双方において、ある程度満足できる中間の値にダン
パ定数を設定しており、接地性の問題が発生しないグリ
ップ度(車輪と路面との間のグリップ状態を表す指標)
の大きな走行領域においては十分な乗り心地特性が得ら
れず、逆に接地性が極めて重要となるグリップ度の小さ
な走行領域においては十分な接地性が確保できない、と
いう問題があった。
【0005】この問題を解決するために適用し得る技術
として、特開平11−5421号公報に記載の技術で
は、接地性を向上するように作用する制動制御の継続及
び解除をスリップ量に応じて切り替えることにより、制
動制御の実行性が少ない場合における車両の乗り心地を
確保していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平11−5421号公報に記載の技術では、スリップ
量に応じて上記制動制御の継続及び解除を切り替えてい
るので、該切り替えを適切に行えない場合がある、とい
う問題点があった。
【0007】すなわち、スリップ量は車体速度と車輪速
度の差に応じて増減するものであるので、一定速度走行
時等のように車体速度と車輪速度とが略同一である場合
にはスリップ量は小さな値で固定されてしまい、上記切
り替えが適切に行えない。
【0008】例えば、ダート路など、グリップ度が減少
する路面を一定速度で走行する場合には、安定走行のた
めに本来接地性を確保する必要があるにもかかわらず、
上記従来の技術では、十分な接地性を確保するための制
御が行われない。
【0009】本発明は上記問題点を解消するために成さ
れたものであり、車両における乗り心地と車輪の接地性
の双方を高精度に最適化することができるサスペンショ
ン制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載のサスペンション制御装置は、車輪速
度を検出する検出手段と、前記検出手段により検出され
た車輪速度に基づいて、路面と車輪との間の滑り易さに
関する物理量である路面μ勾配を推定する推定手段と、
前記推定手段により推定された路面μ勾配に応じてサス
ペンション制御のパラメータを乗り心地優先及び接地性
優先との間で切り替えてサスペンションを制御する制御
手段と、を備えている。
【0011】請求項1記載のサスペンション制御装置に
よれば、検出手段によって車輪速度が検出され、検出さ
れた車輪速度に基づいて、路面と車輪との間の滑り易さ
に関する物理量である路面μ勾配が推定手段によって推
定される。なお、上記路面μ勾配の推定には、特開平1
1−78843号公報に記載の技術や、特願平10−2
81660号の技術等を適用することができる。また、
路面μ勾配と等価的に扱うことのできる物理量として、
特開平10−114263号公報や特願平10−290
855号に記載されている、スリップ速度に対する制動
トルクの勾配(制動トルク勾配)、スリップ速度に対す
る駆動トルクの勾配(駆動トルク勾配)等を適用するこ
ともできる。
【0012】また、請求項1記載のサスペンション制御
装置では、制御手段により、上記推定手段によって推定
された路面μ勾配に応じてサスペンション制御のパラメ
ータが乗り心地優先及び接地性優先との間で切り替えら
れてサスペンションが制御される。すなわち、上記路面
μ勾配が滑り易い状態を示す値である場合には上記パラ
メータが接地性優先に切り替えられてサスペンションが
制御され、逆に上記路面μ勾配が滑り難い状態を示す値
である場合には上記パラメータが乗り心地優先に切り替
えられてサスペンションが制御される。なお、上記パラ
メータには、サスペンションに用いられるダンパのダン
パ定数や、サスペンション制御装置のモデルとして接地
性向上のための重みが設定可能なモデルを適用した場合
の上記重み等を含めることができる。
【0013】ここで、上記路面μ勾配は、限界付近の制
駆動時や低μ路面走行時、ハイドロプレーニング現象発
生時、荷重減少時等において路面と車輪との間が滑り易
い状態を示す量となり、このときは車輪の摩擦状態が限
界に近く、タイヤ発生力に余裕がないことを示してい
る。また、上記路面μ勾配は接地性にも依存して変化
し、十分な接地性が得られるほど路面と車輪との間が滑
り難い状態を示す量となり、逆に接地性の劣化に伴って
滑り易い状態を示す量に移行する性質を有している。本
発明では、このような性質を有する上記路面μ勾配をサ
スペンション制御の切り替えタイミングを示す値として
適用することによって、適切にサスペンション制御の切
り替えを行うことができるようにしている。
【0014】このように、請求項1に記載のサスペンシ
ョン制御装置によれば、車輪速度に基づいて路面と車輪
との間の滑り易さに関する物理量である路面μ勾配を推
定すると共に、この路面μ勾配に応じてサスペンション
制御のパラメータを乗り心地優先及び接地性優先との間
で切り替えてサスペンションを制御しているので、サス
ペンション制御のパラメータを適切に切り替えることが
でき、如何なる走行状態においても車両における乗り心
地と車輪の接地性の双方を高精度に最適化することがで
きる。
【0015】また、請求項2記載のサスペンション制御
装置は、請求項1記載の発明における制御手段により、
前記路面μ勾配が第1の所定値以下となったときに乗り
心地優先から接地性優先への切り替えを行うと共に、前
記路面μ勾配が前記第1の所定値より大きな第2の所定
値以上となったときに接地性優先から乗り心地優先への
切り替えを行うこと、すなわち、切り替えにヒステリシ
ス特性を持たせたことを特徴とするものである。
【0016】このように、請求項2に記載のサスペンシ
ョン制御装置によれば、請求項1記載の発明と同様の効
果を奏することができると共に、路面と車輪との間の滑
り易さに関する物理量である路面μ勾配が第1の所定値
以下となったときに乗り心地優先から接地性優先への切
り替えを行うと共に、前記路面μ勾配が前記第1の所定
値より大きな第2の所定値以上となったときに接地性優
先から乗り心地優先への切り替えを行っているので、上
記切り替えが頻繁に行われるハンチング現象を防ぐこと
ができる。
【0017】なお、請求項3記載のサスペンション制御
装置のように、請求項1又は請求項2記載の発明におけ
る前記路面μ勾配は、車両が直進かつ一定速度で走行し
かつ振動レベルが低い高μ路を走行している場合の路面
μ勾配で基準化した物理量であることが好ましい。
【0018】高μ路を走行している場合の路面μ勾配は
本発明に係る路面μ勾配の最大値であるので、上記基準
化により、本発明に係る路面μ勾配の最大値を‘1’と
することができ、その後の制御手段による制御を簡易化
することができる。
【0019】一方、上記目的を達成するために、請求項
4記載のサスペンション制御装置は、車輪速度を検出す
る検出手段と、前記検出手段により検出された車輪速度
に基づいて、路面と車輪との間の滑り易さに関する物理
量である路面μ勾配を推定する推定手段と、前記推定手
段により推定された路面μ勾配が示す滑り易さの程度が
高いほど車輪の接地性を高め、前記滑り易さの程度が低
いほど乗り心地が向上するようにサスペンションを制御
する制御手段と、を備えている。
【0020】請求項4記載のサスペンション制御装置に
よれば、検出手段によって車輪速度が検出され、検出さ
れた車輪速度に基づいて、路面と車輪との間の滑り易さ
に関する物理量である路面μ勾配が推定手段によって推
定される。なお、上記路面μ勾配の推定には、特開平1
1−78843号公報に記載の技術や、特願平10−2
81660号の技術等を適用することができる。また、
路面μ勾配と等価的に扱うことのできる物理量として、
特開平10−114263号公報や特願平10−290
855号に記載されている、スリップ速度に対する制動
トルクの勾配(制動トルク勾配)、スリップ速度に対す
る駆動トルクの勾配(駆動トルク勾配)等を適用するこ
ともできる。
【0021】また、請求項4記載のサスペンション制御
装置では、制御手段により、上記推定手段によって推定
された路面μ勾配が示す滑り易さの程度が高いほど車輪
の接地性を高め、上記滑り易さの程度が低いほど乗り心
地が向上するようにサスペンションが制御される。
【0022】このように、請求項4に記載のサスペンシ
ョン制御装置によれば、車輪速度に基づいて路面と車輪
との間の滑り易さに関する物理量である路面μ勾配を推
定すると共に、この路面μ勾配が示す滑り易さの程度が
高いほど車輪の接地性を高め、逆に上記滑り易さの程度
が低いほど乗り心地が向上するようにサスペンションを
制御しているので、如何なる走行状態においても車両に
おける乗り心地と車輪の接地性の双方を高精度に最適化
することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
実施の形態に係るサスペンション制御装置を詳細に説明
する。 〔第1実施形態〕本第1実施形態では、本発明をセミア
クティブサスペンションのスカイフック制御を行う形態
として適用した場合の一例について説明する。なお、こ
こでは、図3に示されるように、車体及び車輪の双方に
対して制振作用が得られるように、空(スカイ)と車体
との間にスカイフックダンパを設け、車体と車輪との間
にダンパ定数が変更可能なサスペンション可変ダンパ
(以下、単に「可変ダンパ」という)を設けたモデルを
想定して説明する。
【0024】まず、図1を参照して、本実施の形態に係
るサスペンション制御装置の構成について説明する。
【0025】同図に示すように、本第1実施形態に係る
サスペンション制御装置は、車輪速度に基づいて路面と
車輪との間の滑り易さに関する物理量である路面μ勾配
を推定し、該路面μ勾配に基づいてグリップ度Gを推定
するグリップ度推定手段10と、推定されたグリップ度
に基づいてスカイフックダンパのダンパ定数をサスペン
ション制御における制御パラメータとして演算する制御
パラメータ変更手段20と、制御パラメータ変更手段2
0によって演算されたスカイフックダンパのダンパ定数
に基づいてセミアクティブサスペンションの可変ダンパ
を制御するサスペンション制御手段26と、を含んで構
成されている。なお、本実施の形態における上記路面μ
勾配は、限界付近の制駆動時や低μ路面走行時、ハイド
ロプレーニング現象発生時、荷重減少時等において小さ
くなる、タイヤのグリップ状態を表す指標である。
【0026】また、図2に示すようにグリップ度推定手
段10は、所定のサンプル時間毎に各車輪の車輪速度を
検出する車輪速検出手段12と、該車輪速検出手段12
により検出された車輪速度に基づいて路面μ勾配を推定
する路面μ勾配推定手段14と、該路面μ勾配推定手段
14で推定された路面μ勾配に基づいてグリップ度Gを
算出するグリップ度演算手段16と、を含んで構成され
ている。
【0027】なお、路面μ勾配推定手段14には、車輪
速検出手段12によって検出された各車輪の全ての車輪
速度が入力されるように構成されており、路面μ勾配推
定手段14では全ての車輪に対する路面μ勾配が推定さ
れ、グリップ度演算手段16では全ての車輪に対するグ
リップ度Gが演算されるように構成されている。
【0028】次に、図4を参照して、本第1実施形態に
係るサスペンション制御装置の作用を説明する。
【0029】まず、グリップ度推定手段10の路面μ勾
配推定手段14では、車輪速検出手段12によって検出
された車輪速度を用いて各車輪の路面μ勾配を推定する
(ステップ200)。なお、この路面μ勾配の推定に
は、特開平11−78843号公報に記載の技術や、特
願平10−281660号の技術等を適用することがで
きる。また、路面μ勾配と等価的に扱うことのできる物
理量として、特開平10−114263号公報や特願平
10−290855号に記載されている、スリップ速度
に対する制動トルクの勾配(制動トルク勾配)、スリッ
プ速度に対する駆動トルクの勾配(駆動トルク勾配)等
を適用することもできる。
【0030】グリップ度演算手段16では、路面μ勾配
推定手段14出力に基づいて各車輪のグリップ度Gを演
算する(ステップ202)。なお、本実施の形態では、
路面μ勾配推定手段14によって推定された各車輪の路
面μ勾配を、高μ路面を定常走行しているようなタイヤ
が十分グリップしているときの路面μ勾配(路面μ勾配
の最大値)で除算することによりグリップ度Gを得てい
る。この演算によって、グリップ度Gは最大値が1の無
次元の値となり、小さいほどタイヤの摩擦状態が限界に
近く、タイヤ発生力に余裕が少ないことを表している。
また、グリップ度Gは接地性にも依存して変化し、十分
な接地性が得られるほど大きく、逆に接地性の劣化に伴
って小さくなる、という性質を有している。
【0031】制御パラメータ変更手段20では、グリッ
プ度演算手段16によって得られた各車輪のグリップ度
Gに基づいて、対応する車輪のスカイフックダンパのダ
ンパ定数Cskyを以下に示すように演算する。
【0032】上述したように、グリップ度推定手段10
によって推定されたグリップ度Gが小さい場合、タイヤ
の摩擦状態は限界に近く、タイヤ発生力の余裕は少な
い。このような状態では、ドライバの意図するタイヤ発
生力が得られないので、制動距離が延びたり、車両が不
安定化し、スピンに陥ったりする可能性がある。
【0033】そこで、ここでは、グリップ度Gが小さ
く、タイヤ発生力の余裕が少ない場合にはスカイフック
ダンパのダンパ定数を比較的小さく、乗り心地よりも接
地性を優先するような設定を行う。このような設定によ
ってグリップ度Gは大きくなり、タイヤ発生力に余裕を
持たせることができる。この結果、ドライバの意図する
タイヤ発生力が得られ、制動距離が延びたり、車両が不
安定化してスピンに陥ったりする状況を回避することが
できる。
【0034】一方、推定されたグリップ度Gが大きい場
合には、タイヤ発生力に余裕があるため、接地性を優先
する必要はなく、スカイフックダンパのダンパ定数は比
較的大きな値に設定する。この場合、乗り心地特性が優
先されることになる。
【0035】以上の点から、本実施の形態では、各車輪
のグリップ度Gから対応する車輪のスカイフックダンパ
のダンパ定数Cskyを求める演算を次の(1)式に基づ
いて行う(ステップ204)。
【0036】 Csky=Csmin+(Csmax−Csmin)×G (1) ただし、Csmax及びCsminは各々スカイフックダンパの
ダンパ定数設定値の上限値及び下限値を表している。な
お、ここでは、ダンパ定数Cskyをグリップ度Gに応じ
て連続的に変更しているが、本発明はこれに限定される
ものではなく、複数段階に切り替える形態とすることも
できる。
【0037】サスペンション制御手段26では、制御パ
ラメータ変更手段20によって演算された各車輪に対す
るスカイフックダンパのダンパ定数Cskyに基づいてセ
ミアクティブサスペンションの可変ダンパを用いたスカ
イフック制御を行う。
【0038】すなわち、スカイフック制御は、サスペン
ションに設けられた可変ダンパを用いて、見かけ上、空
中に吊り下げられたダンパ(スカイフックダンパ)によ
って得られる減衰特性を得ようとするものである。スカ
イフックダンパによって得られる力F1は次の(2)式
によって得られる。
【0039】 F1=−Csky×v2 (2) ただし、v2は車体の上下速度を表している。また、セ
ミアクティブサスペンションの可変ダンパによって得ら
れる力F2は次の(3)式によって得られる。
【0040】 F2=Ccont×(v2−v1) (3) ただし、v1は車輪の上下速度を、Ccontは可変ダンパ
のダンパ定数を、各々表している。スカイフックダンパ
によって得られる力F1を可変ダンパによって実現する
ためには、可変ダンパを次の(4)式に従って制御すれ
ばよく、これによって望ましい特性が得られる。
【0041】 Ccont=−Csky×v2/(v2−v1) (4) そこで、サスペンション制御手段26では、制御パラメ
ータ変更手段20において得られたスカイフックダンパ
のダンパ定数Cskyに基づいて、各車輪の可変ダンパの
ダンパ定数Ccontを上記(4)式によって演算する(ス
テップ206)。
【0042】なお、現実には可変ダンパの操作量は有界
であるので、上限を超える操作量が演算された場合は上
限の値が、下限を下まわる操作量が演算された場合には
下限の値が、各々適用される。
【0043】そしてサスペンション制御手段26では、
以上のように得られた各車輪の可変ダンパのダンパ定数
contに従って各車輪の可変ダンパを制御する(ステッ
プ208)。本実施の形態に係る可変ダンパの内部には
油が充填されると共に絞り弁が設けられており、該絞り
弁の開度を変化させることによってダンパ定数が変化す
るように構成されている。より具体的には、上記絞り弁
を開けるとダンパ定数が小さくなり、絞るとダンパ定数
が大きくなる。従って、サスペンション制御手段26に
よる各車輪の可変ダンパの制御は、上記絞り弁の開度を
ダンパ定数Cco ntに相当する度合いとなるように制御す
ることによって為される。
【0044】以上の処理により、グリップ度推定手段1
0によって推定されたグリップ度Gが小さい場合には、
スカイフックダンパのダンパ定数は小さく設定される。
この場合、図13に示すように、おおよそ3Hz〜8H
zの乗り心地領域における車体の制振効果は小さいもの
の、図14に示すように、おおよそ10Hzのバネ下共
振周波数における車輪振動は小さく、十分な接地性能が
確保されることがわかる。この結果、グリップ度の改善
や、これに伴う操縦安定性の向上が期待できる。
【0045】また、グリップ度推定手段10によって推
定されたグリップ度Gが大きい場合は、スカイフックダ
ンパのダンパ定数は大きく設定される。この場合は、タ
イヤ発生力特性に十分な余裕があるため、たとえ接地性
が多少劣化しても操縦安定性に支障をきたすことはな
い。このため、図14に示すように、おおよそ10Hz
のバネ下共振周波数における車輪振動は大きく、接地性
能を犠牲にした制御が行われる。この結果、図13に示
すように、おおよそ3Hz〜8Hzの乗り心地領域にお
ける車体の制振効果は大きくなり、非常に乗り心地のよ
い車両特性が実現できる。
【0046】以上詳細に説明したように、本第1実施形
態に係るサスペンション制御装置では、車輪速度に基づ
いて路面と車輪との間の滑り易さに関する物理量(グリ
ップ度)を推定すると共に、この物理量が示す滑り易さ
の程度が高いほど車輪の接地性を高め、逆に上記滑り易
さの程度が低いほど乗り心地が向上するようにスカイフ
ックダンパのダンパ定数を制御しているので、如何なる
走行状態においても車両における乗り心地と車輪の接地
性の双方を高精度に最適化することができる。
【0047】また、本第1実施形態に係るサスペンショ
ン制御装置では、グリップ度を、路面μ勾配を高μ路を
走行している場合の路面μ勾配で基準化したものとして
求めているので、グリップ度の最大値を‘1’とするこ
とができ、その後のサスペンションの制御を簡易化する
ことができる。
【0048】なお、本第1実施形態では、各車輪につい
て個別にグリップ度を推定し、各車輪毎にサスペンショ
ンの制御を行う場合について説明したが、本発明はこれ
に限定されるものではなく、例えば、各車輪のグリップ
度Gの平均値を平均的なグリップ度として算出し、該グ
リップ度を上記(1)式に代入することによりスカイフ
ックダンパの平均的なダンパ定数Cskyを求め、該ダン
パ定数Cskyを上記(4)式に代入することによって可
変ダンパの平均的なダンパ定数Ccontを求めて、各車輪
の可変ダンパを上記平均的なダンパ定数Ccontに従って
制御する形態とすることもできる。この場合は、本実施
の形態に比較して演算量を削減することができ、サスペ
ンション制御を高速に行うことができる。 〔第2実施形態〕本第2実施形態は、本発明をサスペン
ションのダンパ定数を切り換える制御に適用したもので
ある。まず、図5を参照して、本第2実施形態に係るサ
スペンション制御装置の構成について説明する。なお、
同図における図1と同様のブロックには図1と同一の符
号を付して、その説明を省略する。
【0049】同図に示すように、本第2実施形態に係る
サスペンション制御装置は、上記第1実施形態に係るサ
スペンション制御装置の制御パラメータ変更手段20に
代えて、グリップ度推定手段10によって推定された各
輪のグリップ度Gに基づいてサスペンションのダンパ定
数の切り替えを決定する制御パラメータ変更手段20’
を用いると共に、サスペンション制御手段26に代え
て、サスペンションのダンパ定数を制御パラメータ変更
手段20’において決定されたダンパ定数に切り替える
ように制御するサスペンション制御手段26’を用いた
点が異なっている。
【0050】次に、図6を参照して、本第2実施形態に
係るサスペンション制御装置の作用を説明する。なお、
図6における図4と同様の処理を行うステップについて
は図4と同一のステップ番号を付して、その説明を省略
する。
【0051】制御パラメータ変更手段20’では、グリ
ップ度推定手段10によって上記第1実施形態と同様に
推定された各車輪のグリップ度Gに基づいて各車輪に対
するサスペンションのダンパ定数を決定する(ステップ
204’)。本実施の形態では、グリップ度Gが予め定
めた基準値K1以下となった場合にダンパ定数を予め定
めた大きな値D1とし、グリップ度Gが予め定めた基準
値K2以上となった場合にダンパ定数を予め定めた小さ
な値D2とする。ここで、基準値K1は基準値K2より
小さな値に設定されており、ダンパ定数の切り替えにヒ
ステリシス特性を持たせているので、ダンパ定数が頻繁
に切り替わるようなハンチング現象を防ぐことができ
る。なお、上記値D1及び値D2としては、予め実験や
コンピュータ・シミュレーション等によって、接地性が
十分に確保できる値及び接地性をある程度確保しつつ乗
り心地を向上することができる値を得ておき、この値を
各々適用することができる。
【0052】サスペンション制御手段26’では、制御
パラメータ変更手段20’によって得られたダンパ定数
となるようにサスペンションのダンパを制御する(ステ
ップ208’)。
【0053】以上の処理により、グリップ度推定手段1
0によって推定されたグリップ度Gが小さい場合は、サ
スペンションのダンパ定数は大きく設定される。この場
合、図7に示すように、おおよそ3Hz〜8Hzの乗り
心地領域における車体の制振効果は小さいものの、図8
に示すように、おおよそ10Hzのバネ下共振周波数に
おける車輪振動は小さく、十分な接地性能が確保されて
いることがわかる。この結果、グリップ度Gの改善や、
これに伴う操縦安定性の向上が期待できる。
【0054】また、グリップ度推定手段10によって推
定されたグリップ度Gが大きい場合には、サスペンショ
ンのダンパ定数は小さく設定される。この場合、タイヤ
発生力特性に十分な余裕があるため、たとえ接地性が多
少劣化しても操縦安定性に支障をきたすことはない。こ
のため、図8に示すように、おおよそ10Hzのバネ下
共振周波数における車輪振動は大きく、接地性能を犠牲
にした制御が行われる。この結果、図7に示すように、
おおよそ3Hz〜8Hzの乗り心地領域における車体の
制振効果が大きくなり、非常に乗り心地のよい車両特性
が実現できる。
【0055】以上詳細に説明したように、本第2実施形
態に係るサスペンション制御装置では、車輪速度に基づ
いて路面と車輪との間の滑り易さに関する物理量(グリ
ップ度)を推定すると共に、この物理量に応じてサスペ
ンション制御のパラメータ(ダンパ定数)を乗り心地優
先及び接地性優先との間で切り替えてサスペンションを
制御しているので、サスペンション制御のパラメータを
適切に切り替えることができ、如何なる走行状態におい
ても車両における乗り心地と車輪の接地性の双方を高精
度に最適化することができる。
【0056】また、本第2実施形態に係るサスペンショ
ン制御装置では、グリップ度が基準値K1以下となった
ときに接地性を優先するように制御の切り替えを行うと
共に、グリップ度が上記基準値K1より大きな基準値K
2以上となったときに乗り心地を優先するように制御の
切り替えを行っているので、上記切り替えが頻繁に行わ
れるハンチング現象を防ぐことができる。
【0057】なお、本第2実施形態では、各車輪につい
て個別にグリップ度を推定し、各車輪毎にサスペンショ
ンの制御を行う場合について説明したが、本発明はこれ
に限定されるものではなく、例えば、各車輪のグリップ
度Gの平均値を平均的なグリップ度として算出し、該グ
リップ度に基づいて単一のダンパ定数を求め、該単一の
ダンパ定数に従って各車輪のサスペンションのダンパを
制御する形態とすることもできる。この場合は、本実施
の形態に比較して演算量を削減することができ、サスペ
ンション制御を高速に行うことができる。 〔第3実施形態〕本第3実施形態は、本発明をアクティ
ブ−セミアクティブ統合サスペンションの制御に適用し
たものである。
【0058】図9には、本実施の形態に係るサスペンシ
ョン制御装置の一モデルが示されている。同図に示すよ
うに、本実施の形態に係るサスペンション制御装置は、
アクチュエータであるシリンダ80及びピストン82を
備えており、シリンダ80が車体62に連結され、ピス
トン82がホイール64を介してタイヤ66に連結され
る。このシリンダ80内部には、オイル給排部74から
のオイルがアクティブ制御弁72を通過して供給され
る。このオイル供給によってアクチュエータが固定され
た位置における車高が高くされ、オイルの排出によって
車高が低くされる。また、シリンダ80内部はダイヤフ
ラムにより仕切られたオイル室とガス室から形成される
ガスばね68に連通されており、ガスばね68とシリン
ダ80との間にはセミアクティブ制御弁70が設けられ
ている。
【0059】上記ガスばね68及びセミアクティブ制御
弁70によってセミアクティブサスペンション側の駆動
部を構成すると共に、オイル給排部74及びアクティブ
制御弁72によってアクティブサスペンション側の駆動
部を構成している。これらセミアクティブ制御弁70及
びアクティブ制御弁72は後述するサスペンション制御
手段26’’に接続されている。
【0060】図10には、本実施の形態に係るサスペン
ション制御装置のブロック構成が示されている。なお、
同図における図1と同様のブロックには図1と同一の符
号を付して、その説明を省略する。
【0061】同図に示すように、本実施の形態に係るサ
スペンション制御装置は、上記第1実施形態に係るサス
ペンション制御装置の制御パラメータ変更手段20に代
えて、グリップ度推定手段10によって推定された各輪
のグリップ度Gに基づいて後述する接地性向上のための
重みW01を決定する制御パラメータ変更手段20’’を
用いると共に、サスペンション制御手段26に代えて、
制御パラメータ変更手段20’’において決定された重
みW01に基づいて制御流量を調整するアクティブ制御弁
72と減衰係数を調整するセミアクティブ制御弁70の
制御を行うサスペンション制御手段26’’を用いた点
が異なっている。
【0062】図11に示すように、本実施の形態のサス
ペンション制御装置のサスペンション制御手段26’’
は、状態量検出手段40と、アクティブ制御ゲイン42
と、セミアクティブ制御ゲイン44と、セミアクティブ
弁通過流速演算手段46と、アクティブ制御手段48
と、セミアクティブ制御手段50とを含んでおり、CP
Uを有するマイクロコンピュータにより構成される。
【0063】状態量検出手段40は、セミアクティブ制
御弁70の追加流速に応じて定まる状態量を検出する。
なお、本実施の形態では、車体変位とホイールやタイヤ
の変位の相対変位速度、セミアクティブ制御弁70の絞
り部分の差圧、またはセミアクティブ制御弁70の流速
の少なくとも1つが検出可能になっており、この検出値
が状態量に含まれる。アクティブ制御ゲイン42及びセ
ミアクティブ制御ゲイン44は、後述するリッカチ(R
iccati)方程式に基づいて導出されるアクティブ
制御ゲイン及びセミアクティブ制御ゲインが予め設定さ
れている。セミアクティブ弁通過流速演算手段46は、
状態量検出手段40で検出した状態量からセミアクティ
ブ弁の通過流速を演算する。アクティブ制御手段48
は、状態量検出手段40で検出した状態量にアクティブ
制御ゲイン42を乗じたアクティブ制御信号に応じてア
クティブ制御弁72を操作する。セミアクティブ制御手
段50は、状態量検出手段40で検出した状態量にセミ
アクティブ制御ゲイン44とセミアクティブ弁通過流速
とを乗じたセミアクティブ制御信号に応じてセミアクテ
ィブ制御弁70を操作する。
【0064】ここで、オイルの非圧縮性とアクティブ制
御弁72およびガスばね68のばね特性の線形性を仮定
すると、サスペンション制御装置のモデル化は可能であ
り、次に示す(5)〜(8)式で表現できる。
【0065】(車輪、車体運動) m1・x1''=kt・x01−ap・pc ・・・(5) m2・x2''=ap・pc ・・・(6) (アクティブ制御弁) qi''=−ωa 2i−2ηaωai+ωa 2aa ・・・(7) (シリンダ圧力)
【0066】
【数1】
【0067】ただし、 x0:路面変位 x1:ホイール変位 x2:車体変位 x1''は、x1を2回微分したことを表す x01≡x0−x112≡x1−x2c:シリンダ圧力 qi:アクティブ制御流量(シリンダ流入流量) vi≡∫qi dt φ=ap(x1'−x2')+qi:セミアクティブ制御弁通
過流量(セミアクティブ制御弁の絞り部分の差圧から推
定したり、流速計によって測定してもよい) x1'は、x1を1回微分したことを表す x1'−x2':相対変位速度 ua:アクティブ制御弁指令信号(線形操作量) us:セミアクティブ制御弁指令信号(非線形操作量) ap:シリンダ断面積 cg0:セミアクティブ部減衰係数基準値 ka:アクティブ制御弁ゲイン kg:ガスばね定数 kt:タイヤばね定数 m1:ホイール質量 m2:車体質量 ωa:アクティブ制御弁応答周波数 ηa:アクティブ制御弁減衰係数 ここで、(5)〜(8)式を整理すると状態方程式であ
る次式が得られる。
【0068】 Xp'=App+Bp1w+Bpaa+φ・Bpssp =Cpp+φDps ただし、 Xp= [x0112i1' x2' qii']T :サスペンションの動特性を表す状態 w = x0' :外乱(路面変位速度) zp= x2'' :出力(車体上下加速度)
【0069】
【数2】
【0070】 Cp=[0 a7891011 0] Dp=b3
【0071】
【数3】
【0072】なお、ここで示したXpはサスペンション
の動特性を記述する状態量の例であり、これに限定する
必要はない。ただし、他の状態量を設定する場合、その
状態量に応じてAp,Bp1,Bpa,Bps,Cp,Dpの設
定を変更する必要がある。また、ここでは、人間が特に
敏感になる周波数帯域において車体上下加速度を抑制す
るために、この周波数帯域を強調するような次式の周波
数重み(フィルタ)を導入し、重み付けされた車体上下
加速度信号を抑制する制御を考える。
【0073】Xw'=Aww +Bw +Zpw =Cww ただし、 zw:重み付けされた車体上下加速度 Aw,Bw,Cw:周波数重みを表す定数行列 このような人間特性に関連した周波数重み付けのほか、
タイヤの接地性、姿勢や操作量に関する評価を考慮し
て、ここでは次の(9)式に示す拡大系を設定し、この
システムに対する制御系設計を行う。
【0074】 X’=AX+B1w+Baa+φ・Bss ・・・(9)
【0075】
【数4】
【0076】ただし、
【0077】
【数5】
【0078】z:評価量ベクトル w01:接地性向上のための重み w12:姿勢維持のための重み Wac:アクティブ操作量に対する重み Wse:セミアクティブ操作量に対する重み 上記の重みWac,Wseは、それぞれアクティブセミアク
ティブの操作量の増大を防ぐためのものであり、評価量
ベクトルzは抑制したい出力を表すこととなる。
【0079】本実施の形態では、外乱wから上記zによ
って定まる評価量までの伝達特性(L2ゲイン、または
2誘導ノルム、H∞ノルムともよばれる伝達特性)を
小さく抑制(γ以下に設定)するための制御則を次の定
理に基づいて導出する。
【0080】(定理)外乱wからzまでのL2ゲインを
γ以下に設定し、かつ閉ループ系を大域的に安定化する
ための制御則が存在するための十分条件は、次に示す
(10)式のリッカチ(Riccati)方程式に安定
化解(P≧0)が存在することである。
【0081】
【数6】
【0082】ただし、ATは転置を表し、Pはリッカチ
方程式の解を表す。
【0083】また、このとき制御則の一つは、次に示す
(11)、(12)式のように記述される。
【0084】 ua=kaX ・・・(11) us=φ・ksX ・・・(12) ただし、
【0085】
【数7】
【0086】この定理において、制御性能を考慮すると
γは、なるべく小さく設定することが望まれる。しかし
ながら、γをあまり小さく設定してしまうと、(10)
式を満足する安定解P≧Oが存在しなくなってしまうた
め、γは解が存在する範囲内で小さく設定することが望
まれる。なお、状態量Xは全てが観測される必要はな
く、そのうち一部はオブザーバー等によって推定しても
よい。
【0087】従って、本実施の形態のサスペンション制
御装置のサスペンション制御手段26’’は、図11に
示すように、路面変位、ホイール変位や車体変位を検出
し演算することによって上記(9)式に対応する状態量
を検出する状態量検出手段と、(10)式のリッカチ方
程式に基づいて導出される(13)式により予め設定さ
れるアクティブ制御ゲイン42(ka)および(14)
式により予め設定されるセミアクティブ制御ゲイン44
(ks)、状態量からセミアクティブ弁の通過流量φを
演算するセミアクティブ弁通過流速演算手段46、状態
量Xにアクティブ制御ゲインkaを乗じたアクティブ制
御信号に応じてアクティブ制御弁を操作するアクティブ
制御手段48、および状態量Xにセミアクティブ制御ゲ
インksとセミアクティブ弁通過流量φとを乗じたセミ
アクティブ制御信号(操作量us)に応じてセミアクテ
ィブ制御弁を操作するセミアクティブ制御手段50とか
ら構成されることになる。
【0088】また、ここでは、セミアクティブ制御則を
決定するにあたって、入出力間の伝達特性を抑制すると
いうH∞制御理論に基づいた設計を行い、セミアクティ
ブ制御則の1つであるセミアクティブ制御ゲインを決め
たが、最適レギュレータなど他の理論に基づく設計へも
拡張することができる。さらに、ここでは制御系を状態
フィードバックによって構成しているが、出力フィード
バックによる構成も可能である。この場合、状態量X
は、サスペンションの動特性を表す変数のうちの一部の
変数でよく、またアクティブ制御ゲインka及びセミア
クティブ制御ゲインksは定数ではなく、動特性を含む
制御則に置き換えられる。この場合、セミアクティブ制
御則は前記動特性を含む制御則となる。
【0089】次に、図12を参照して、本第3実施形態
に係るサスペンション制御装置の作用を説明する。な
お、図12における図4と同様の処理を行うステップに
ついては図4と同一のステップ番号を付して、その説明
を省略する。
【0090】制御パラメータ変更手段20’’では、グ
リップ度推定手段10によって上記第1実施形態と同様
に推定されたグリップ度Gに基づいて接地性向上のため
の重みW01を決定する(ステップ204’’)。
【0091】本実施の形態では、グリップ度Gが予め定
めた基準値K1以下となった場合に重みW01を予め定め
た大きな値D3となるように設定し、グリップ度Gが予
め定めた基準値K2以上となった場合に重みW01を予め
定めた小さな値D4となるように設定する。
【0092】ここで、基準値K1は基準値K2より小さ
な値に設定されており、重みW01の切り替えにヒステリ
シス特性を持たせているので、これによって制御則の切
り替えが頻繁に行われるようなハンチング現象を防ぐこ
とができる。なお、上記値D3及び値D4としては、予
め実験やコンピュータ・シミュレーション等によって、
接地性が十分に確保できる値及び接地性をある程度確保
しつつ乗り心地を向上することができる値を得ておき、
この値を各々適用することができる。
【0093】サスペンション制御手段26’’では、制
御パラメータ変更手段20’’において決定された重み
01を適用した場合の制御則を導出し(ステップ20
6’’)、更に導出した制御則に基づいて制御流量を調
整するアクティブ制御弁72と減衰係数を調整するセミ
アクティブ制御弁70の制御を行う(ステップ20
8’’)。
【0094】すなわち、前述のように、本第3実施形態
に係るサスペンション制御装置では、接地性向上のため
の重みがW01と定義されており、この重みW01を大きく
設定してコントローラを求めると、接地性の向上が優先
された制御則が導出される。また、重みW01を小さく設
定してコントローラを求めると、乗り心地を優先させた
制御則が導出される。本実施の形態では、2種類の重み
01について制御則を導出して適用することにより、グ
リップ度Gが小さい場合は接地性を優先した制御則に、
グリップ度Gが大きい場合には乗り心地を優先した制御
則に、各々切り替えている。
【0095】このように2つの制御則をグリップ度Gに
基づいて切り替えることにより、従来、トレードオフの
関係にあった接地性と乗り心地の両立を高いレベルで達
成することができる。
【0096】なお、グリップ度推定手段10が本発明の
推定手段に、車輪速検出手段12が本発明の検出手段
に、制御パラメータ変更手段20、20’、20’’及
びサスペンション制御手段26、26’、26’’が本
発明の制御手段に、各々相当する。
【0097】
【発明の効果】請求項1乃至請求項3記載のサスペンシ
ョン制御装置によれば、車輪速度に基づいて路面と車輪
との間の滑り易さに関する物理量である路面μ勾配を推
定すると共に、この路面μ勾配に応じてサスペンション
制御のパラメータを乗り心地優先及び接地性優先との間
で切り替えてサスペンションを制御しているので、サス
ペンション制御のパラメータを適切に切り替えることが
でき、如何なる走行状態においても車両における乗り心
地と車輪の接地性の双方を高精度に最適化することがで
きる、という効果が得られる。
【0098】また、請求項4記載のサスペンション制御
装置によれば、車輪速度に基づいて路面と車輪との間の
滑り易さに関する物理量である路面μ勾配を推定すると
共に、この路面μ勾配が示す滑り易さの程度が高いほど
車輪の接地性を高め、逆に上記滑り易さの程度が低いほ
ど乗り心地が向上するようにサスペンションを制御して
いるので、如何なる走行状態においても車両における乗
り心地と車輪の接地性の双方を高精度に最適化すること
ができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係るサスペンション制御装置の
構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係るサスペンション制御装置にお
けるグリップ度推定手段の構成を示すブロック図であ
る。
【図3】第1実施形態に係るサスペンション制御装置の
モデルを示すブロック図である。
【図4】第1実施形態に係るサスペンション制御装置に
おいて実行される処理の流れを示すフローチャートであ
る。
【図5】第2実施形態に係るサスペンション制御装置の
構成を示すブロック図である。
【図6】第2実施形態に係るサスペンション制御装置に
おいて実行される処理の流れを示すフローチャートであ
る。
【図7】第2実施形態に係るサスペンション制御装置の
効果の説明に供する図であり、ダンパ切り替えサスペン
ションにおける路面変位から車体上下加速度までのゲイ
ンを示すゲイン線図である。
【図8】第2実施形態に係るサスペンション制御装置の
効果の説明に供する図であり、ダンパ切り替えサスペン
ションにおける路面変位からタイヤ変位までのゲインを
示すゲイン線図である。
【図9】第3実施形態に係るサスペンション制御装置の
モデルを示すブロック図である。
【図10】第3実施形態に係るサスペンション制御装置
の構成を示すブロック図である。
【図11】第3実施形態に係るサスペンション制御装置
におけるサスペンション制御手段の構成を示すブロック
図である。
【図12】第3実施形態に係るサスペンション制御装置
において実行される処理の流れを示すフローチャートで
ある。
【図13】従来技術の問題点及び第1実施形態に係るサ
スペンション制御装置の効果の説明に供する図であり、
スカイフック制御時の路面変位から車体上下加速度まで
のゲインを示すゲイン線図である。
【図14】従来技術の問題点及び第1実施形態に係るサ
スペンション制御装置の効果の説明に供する図であり、
スカイフック制御時の路面変位からタイヤ変位までのゲ
インを示すゲイン線図である。
【符号の説明】
10 グリップ度推定手段(推定手段) 12 車輪速検出手段(検出手段) 14 路面μ勾配推定手段 16 グリップ度演算手段 20、20’、20’’ 制御パラメータ変更手段
(制御手段) 26、26’、26’’ サスペンション制御手段
(制御手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 000004260 株式会社デンソー 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 (72)発明者 小野 英一 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 松永 継春 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 田中 亮 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 安井 由行 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 沢田 護 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 Fターム(参考) 3D001 AA02 BA01 DA17 EA02 EB22 EB26 EB32 ED03 ED21

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪速度を検出する検出手段と、 前記検出手段により検出された車輪速度に基づいて、路
    面と車輪との間の滑り易さに関する物理量である路面μ
    勾配を推定する推定手段と、 前記推定手段により推定された路面μ勾配に応じてサス
    ペンション制御のパラメータを乗り心地優先及び接地性
    優先との間で切り替えてサスペンションを制御する制御
    手段と、 を備えたサスペンション制御装置。
  2. 【請求項2】 前記制御手段は、前記路面μ勾配が第1
    の所定値以下となったときに乗り心地優先から接地性優
    先への切り替えを行うと共に、前記路面μ勾配が前記第
    1の所定値より大きな第2の所定値以上となったときに
    接地性優先から乗り心地優先への切り替えを行うことを
    特徴とする請求項1記載のサスペンション制御装置。
  3. 【請求項3】 前記路面μ勾配は、車両が直進かつ一定
    速度で走行しかつ振動レベルが低い高μ路を走行してい
    る場合の路面μ勾配で基準化した物理量であることを特
    徴とする請求項1又は請求項2記載のサスペンション制
    御装置。
  4. 【請求項4】 車輪速度を検出する検出手段と、 前記検出手段により検出された車輪速度に基づいて、路
    面と車輪との間の滑り易さに関する物理量である路面μ
    勾配を推定する推定手段と、 前記推定手段により推定された路面μ勾配が示す滑り易
    さの程度が高いほど車輪の接地性を高め、前記滑り易さ
    の程度が低いほど乗り心地が向上するようにサスペンシ
    ョンを制御する制御手段と、 を備えたサスペンション制御装置。
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