JP2009502621A - 車両の操舵方向の制御方法 - Google Patents
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Abstract
Description
具体的には、本発明は、少なくとも2つのステアリングホイールを備える車両の操舵方向を駆動中に制御する方法に関し、これらのステアリングホイールの各々の方向は、他のホイールから独立して固有の方向角度に調整することができ、これらのホイールは車両のアクスルアセンブリに属する。この方法は、横方向加速度設定ポイントを収集するステップ、及び前記横方向加速度設定ポイントの関数として各ステアリングホイールの方向設定ポイントを計算するステップとを含む。
この車両のこのようなステアリングホイールの方向付けを可能にする上述の種類の制御方法は、例えば欧州特許第1147960号に記載されている。
これに関連して、本発明の目的は、車両の運転者によって決定される設定ポイントに応じて車両の複数のホイールに荷重を動的に分散させるための別の解決方法を可能にする、操舵方向の制御方法を提供することである。
本発明によって、同一のアクスルアセンブリのホイール群に加わる荷重を良好に分散することができ、よってこのアクスルアセンブリのホイール群の各々のグリップ性能をより効果的に利用することができる。
つまり、本発明では、運転者が要求する横方向加速度設定ポイントを、ステアリングホイールの角度設定ポイントに変換することにより、フロントアクスルアセンブリの2つのタイヤに第1の均等なグリップ力を伝達する。同一のアクスルアセンブリのホイール群のグリップ力を均等化するこのような試みにより、本発明は、運転者により決定される走行軌跡設定ポイントに従いながら、車両の安定性及びハンドル操作性を向上させることができる。
−フロントアクスルアセンブリのホイール群の各々の方向設定ポイントを、路面に対するこれらのホイールのグリップ力の差が第1限界値よりも小さくなるように計算すること、及び
−リアアクスルアセンブリのホイール群の各々の方向設定ポイントを、路面に対するこれらのホイールのグリップ力の差が第2限界値よりも小さくなるように計算すること
を特徴とする。
この実施形態によって、同一のアクスルアセンブリに含まれるホイール群のグリップ力は、最小化される限界値(第1及び第2限界値)内で互いにほぼ等しくなる。各アクスルアセンブリ、即ちフロントアクスルアセンブリ及びリアアクスルアセンブリのグリップ力は、車両の各アクスルアセンブリに固有の要件に応じて調整され、このために、フロントアクスルアセンブリ及びリアアクスルアセンブリのグリップ力は、必ずしも互いに等しくならない。
また、種々の事項を考慮して、ホイールのグリップ力μを、式μ=Fy/Fzを適用することにより計算することができる。この場合、Fyは路面によりこのホイールに加わる車幅方向の力を表わし、Fzは路面によりこのホイールに加わる垂直方向の力を表わす。
また、種々の事項を考慮して、ホイールに加わる垂直方向の力を、少なくとも車両の縦方向加速度と車幅方向加速度とに基づいて、車両の静的荷重と、長さ方向及び車幅方向の動的荷重の移動とを考慮に入れることにより、推定することができる。
長さ方向及び車幅方向加速度信号は、車両に取り付けられる一つ以上の加速度計から出力できるか、又は例えば、車両に取り付けられる一つ以上の速度センサから出力される信号を分離することにより出力できる。
また、種々の事項を考慮して、車両の車幅方向加速度を、車両の瞬間速度の測定値、及びこの車両のステアリングホイールの回転角度の測定値に基づいて推定することができる。瞬間速度の測定値をステアリングホイールの回転角度の測定値と一緒に使用することにより、測定速度を運転者が希望する走行軌跡に関する合図と相関させることができ、よって時間の経過と共に車両の実際の速度に近似することが可能になり、且つ近似速度から、車幅方向加速度及び縦方向加速度を推定することができる。
を使用して計算することができる。上の式において、Fz11は、路面によってフロントアクスルアセンブリのこの第1ホイール(R11)に加わる垂直方向の力を表わし、Fz12は、路面によってこのフロントアクスルアセンブリの第2ホイール(R12)に加わる垂直方向の力を表わし、Mfrontは、このフロントアクスルアセンブリに分配される車両の総質量を表わし、γtは、この車両の重心(G)で測定又は評価される車両の横方向加速度を表わし、L1は、車両のフロントアクスルアセンブリと重心(G)の間の距離を表わし、ψは、車両のヨー運動の加速度を表わす。
また、車両のリアアクスルアセンブリの第1ホイールのグリップ力μ2を、関数
を使用して計算することができる。上の式において、Fz21は、路面によってリアアクスルアセンブリのこの第1ホイール(R21)に加わる垂直方向の力を表わし、Fz22は、路面によってこのリアアクスルアセンブリの第2ホイール(R22)に加わる垂直方向の力を表わし、Mrearは、このリアアクスルアセンブリに分配される車両の総質量を表わし、γtは、この車両の重心(G)で測定又は評価される車両の横方向加速度を表わし、L2は、車両のリアアクスルアセンブリと重心Gの間の距離を表わし、ψは、車両のヨー運動の加速度を表わす。
また、各ステアリングホイールの方向の設定ポイントを、基準計算モデルを反転することにより計算することができ、前記モデルは、ホイールに加わる車幅方向の力を、このホイールの方向、及び車両の動的挙動のパラメータの関数として計算することからなる処理を含む。このモデルの詳細な実施例は、後述の詳細な説明に記載する。
これにより、例えば車両に加わる車幅方向加速度が大きく、且つ縦方向加速度が小さい場合の、車両の安定性を高めることができる。
本発明は特に、互いに独立して方向付けすることができるホイールの切れ角とも記載する4つの方向角度を持つことを可能にするシステムに適合される(このようなシステムは、「ステアバイワイヤ」と表現される技術分野において既知である)。
本発明では、運転者が要求する横方向加速度設定ポイントを4つの角度設定ポイントに変換し、これらの角度設定ポイントを、フロントアクスルアセンブリの2つのタイヤの第1グリップ力が常に均等となり、且つリアアクスルアセンブリの2つのタイヤの第2グリップ力が常に均等となるようにステアリングホイールに分配する。
この方式は、ホイールにおける推定垂直方向荷重を考慮する。従って、カーブでは、横方向荷重が伝達されることにより、切れ角が外側で大きくなり、内側で小さくなる。
・M(kg):車両総質量
・Mfront(kg):フロントアクスルアセンブリの合計質量
・Mrear(kg):リアアクスルアセンブリの合計質量
・Iz(N.m):車両の重心Gを通る垂直軸の周りの車両の慣性
・h(m):重心Gにおける車両の高さ
・L1(m):Gからフロントアクスルまでの距離
・L2(m):Gからリアアクスルまでの距離
・e1:フロントトラック
・e2:リアトラック
・L(m):車両のホイールベース(フロントアクスルアセンブリとリアアクスルアセンブリの間の距離)
・D1(N/rad):フロントアクスルアセンブリの横剛性
・D2(N/rad):リアアクスルアセンブリの横剛性
・Dij(N/rad):ホイールijの横剛性
・H1(N/rad):フロントキャンバ剛性
・H2(N/rad):リアキャンバ剛性
・Bal(m):フロント旋回半径
・Dem(s.u.):ステアリングホイールの切れ角からホイールの切れ角への縮小割合
・α(1、2)(rad):(フロント/リア)アクスルアセンブリの平均切れ角
・αij cond(rad):運転者が要求するホイールijの切れ角(αi、jとも表記する)
・αij(rad):方式によって必要になるホイールijの切れ角
・V(m/s):車両の速度
・ψ(rad/s):ヨーレート(yaw_rate_mとも表記する)、垂直軸に沿った車両の重心を中心とする車両の旋回速度
・ψ(rad/s2):ヨー加速度(yaw_accel_mとも表記する)、垂直軸に沿った車両の重心を中心とする車両の旋回加速度
・γt(m/s2):横方向加速度(gammaT_mとも表記する)、重心Gで測定される(gammaTとも表記する)
・γL(m/s2):縦方向加速度、重心Gで測定される(gammaLとも表記する)
・d(rad):横滑り角、車両の速度ベクトルが車両の縦軸となす角度
・dij(rad):ホイールijの横滑り角
・FYij:横方向の力、又はホイールに対する車幅方向の力:ホイールの横軸に沿って路面からホイールが受ける反作用の予測値
・FZij:ホイールに対する垂直方向の力:ホイールの縦軸に沿って路面からホイールが受ける反作用の予測値
・μ=Fy/FZ:横方向性能
例えば、1、1はフロントの左ホイールを表わし、2、1はリアの左ホイールを表わし、2、2はリアの右ホイールを表わし、1、2はフロントの右ホイールを表わす。
−入力信号(ブロック番号2−図1)
−垂直方向荷重Fzの推定値(ブロック番号3−図1)
−基準モデル(ブロック番号4−図1)
−横方向荷重FYijの分配、即ち計算上のLFD(ブロック番号5−図1)
−基準モデルを反転させることによる所望の角度αijの計算(ブロック番号6−図1)
1−入力信号(ブロック番号2−図1)
本発明の方法を実施するために、次の測定値又は信号が必要である:
・車両の速度:この信号は、例えばアクスル/アクスルアセンブリのホイールの速度ABSの平均を取ることにより得られる。
・4つのホイールの切れ角αij:この信号は、例えば、センサによって得られる。
・車両の縦方向加速度γL:この信号は、例えば、センサによって又は推定によって得られる。
・車両の車幅方向加速度γt:この信号は、例えば、センサによって又は推定によって得られる。
縦方向加速度は、観測器(センサを装備するシステム)によって、車両の速度、及び運転者の制動要求に基づき、次の原理に従って推定される:
運転者の要求によって、加速度の第1推定値γLが与えられる。モデルの誤差をモデル化する、次式により表わされるモデル化誤差(質量誤差など)dが導入される。
上式中、(ν)は車両の測定速度を表わし、
は車両の推定速度を表わし、k1、k2はそれぞれ、フロントアクスルアセンブリ及びリアアクスルアセンブリに対する観測器の収束利得を表わす。
(導出速度)/(ノイズの影響)の妥協点は、パラメータk1及びk2を操作することにより調整される。
車幅方向加速度は、例えば車両の2ホイールモデル(以下の方程式1を参照)により推定される。
具体的には、フロントホイールの平均切れ角の測定値、車両速度Vの測定値、並びに縦方向加速度及び車幅方向加速度の測定値を利用できる場合、加速度計の信号と、2ホイールモデルによって、且つ観測器によって推定される加速度とを比較することにより、複数のセンサの間の一貫性を検証することができる。
上記で詳述したブロック2で得られた縦方向加速度γL及び車幅方向加速度は、各ホイールの垂直方向荷重FZijの計算機能を有するブロック3に送信される。
これらの垂直方向荷重は、次の方程式により、縦方向及び横方向の動的荷重伝達特性、及び静的荷重を考慮することにより推定される。
方程式2:垂直方向荷重を推定する手順
上の式では、K1及びK2は車両のサスペンションに関連する係数である。
ブロック番号3と並行して、ブロック番号4の機能は、車両のヨー加速度ψに加えて、車両の車幅方向加速度gammaT又はγt、及びヨーレート
を、ブロック番号2で得られるデータ、即ち車両の速度及びステアリングホイールの切れ角の測定値を使用して計算することである。
これらの計算は、例えば次の方程式によって定義することができる基準モデルを使用して行なわれる。
方程式3:基準モデルの例
このモデルでは、「s」は、一時的な過渡的現象を考慮することを可能にするラプラス変換を表わす。
ブロック番号5では、ブロック番号3及び4で計算されるデータ、即ち各ホイールでの垂直方向荷重FZ、ヨー加速度、車幅方向加速度gammaT、及びヨーレートを使用して、各ステアリングホイールに加える必要のある荷重を求める。
横方向荷重の分配は、次の目標に叶うものでなければならない。
・所定のアクスルアセンブリの各ホイールijに関して、垂直方向荷重に対する横方向荷重の比によって定義される横方向性能がμに等しい(フロント又はリア)。
・運転者が要求する横方向加速度を達成する必要がある。
従って、分配は次の方程式を満たす必要がある。
方程式4:分配の方程式
これらの方程式を解くことにより、横方向荷重を分配できる。
方程式5:問題を解決する横方向荷重の分配
このブロック5の基本図は図3に詳細に描かれており、図3では、
−ブロック5の入力はブロック3から得られる4つの荷重FZijと、ブロック4から得られる車幅方向加速度gammaT_m、ヨーレートyaw_rate_mである。
−ブロック5の出力は路面から各ホイールに加わる車幅方向荷重である。
ブロック5は、フロントアクスルアセンブリのホイールに加わる車幅方向荷重を計算するサブブロック、及びリアアクスルアセンブリのホイールに加わる車幅方向荷重を計算するサブブロックから成る。
次に、この第5の結果にフロントアクスルアセンブリの一のホイールに加わる垂直方向荷重を乗算し、このホイールに加わる車幅方向荷重を確認する。
次に、ブロック5においてこのようにして得られたデータはブロック6に送信される。
このブロックの目的は、考察対象の基準モデル(例えば、ブロック番号4について説明したパート3、及びその基準モデルを参照)を反転して、車両に適用するべきホイールの角度を求めることである。
ブロック番号5について説明したパート4で計算された横方向荷重、並びにブロック番号2で得られる車両速度、車幅方向加速度gammaT及びヨーレートが、ブロック番号6のこの反転モデルの入力の一部を形成する。
−方程式Gに基づき、且つこの方程式の他の要素の全てが既知であることにより、
が得られ、
−次に、
を積分してdが得られ、
−これらの方程式の他の全ての要素が既知であるので、次いで、d11、d12、d21、d22が方程式Hによって得られ、
−次に、それぞれの方程式C、D、E、Fにおいて、d11、d12、d21、d22及びdにこれらの値を代入することにより、各ステアリングホイールに付与される角度方向αijの値を得ることができる。
この変形例では、ホイールに加わる4つの横方向荷重Fyi、jをセンサによって測定する。
Claims (10)
- 各々が他のホイールから独立して固有の方向角度に方向付けることが可能な、車両のアクスルアセンブリに接続された少なくとも2つのステアリングホイールを備える駆動状態の車両の操舵方向の制御方法であって、横方向加速度設定ポイントを収集するステップ、及び前記横方向加速度設定ポイントの関数として各ステアリングホイールの方向設定ポイントを計算するステップを含み、ステアリングホイールの方向設定ポイントを計算する処理の間に、前記アクスルアセンブリのホイールの路面に対するグリップ力μの差が限界値よりも小さくなるように、これらホイールの各々について方向設定ポイントを計算することを特徴とする、方法。
- 各々が他のホイールから独立して固有の方向角度に方向付けることが可能な4つのステアリングホイールを備える車両であって、これらホイールの内、2つが車両のフロントアクスルアセンブリに接続され、他の2つが車両のリアアクスルアセンブリに接続されている車両に対して実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法であって、更に、ステアリングホイールの方向設定ポイントを計算する処理の間に、
−フロントアクスルアセンブリのホイールの路面に対するグリップ力の差が前記第1限界値よりも小さくなるように、これらホイールの各々について方向設定ポイントを計算し、且つ
−リアアクスルアセンブリのホイールの路面に対するグリップ力の差が第2限界値よりも小さくなるように、これらホイールの各々について方向設定ポイントを計算すること
を特徴とする方法。 - 式μ=Fy/Fzを適用することによりホイールのグリップ力μを計算し、ここでFyは路面によってこのホイールに加わる車幅方向の力を表わし、Fzは路面によってこのホイールに加わる垂直方向の力を表わすことを特徴とする、請求項1又は2に記載の制御方法。
- ホイールに加わる垂直方向の力を、車両の縦方向加速度及び車幅方向加速度に少なくとも基づいて、車両の静的荷重、並びに長さ方向及び車幅方向の動的荷重の伝達を考慮することにより推定することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
- 車両の縦方向加速度及び車幅方向加速度の内の少なくとも一方を、少なくとも一つのセンサから供給される測定信号により構成するか、又は当該測定信号から導出することを特徴とする、請求項4記載の方法。
- 車両の縦方向加速度を、車両の瞬間速度の少なくとも一つの測定値に基づいて取得することを特徴とする、請求項4又は5に記載の制御方法。
- 車両の車幅方向加速度を、車両の瞬間速度の測定値、及びこの車両のステアリングホイールの回転角度の測定値に基づいて推定することを特徴とする、請求項4ないし6のいずれか一項に記載の制御方法。
- 車両のフロントアクスルアセンブリの第1ホイールのグリップ力μ1を、関数
を使用して計算し、ここでFz11は、路面によりフロントアクスルアセンブリのこの第1ホイールに加わる垂直方向の力を表わし、Fz12は、路面によりこのフロントアクスルアセンブリの第2ホイールに加わる垂直方向の力を表わし、Mfrontは、このフロントアクスルアセンブリに分配される車両総質量を表わし、γtは、この車両の重心(G)で測定又は評価される車両の横方向加速度を表わし、L1は、車両のフロントアクスルアセンブリと重心Gの間の距離を表わし、ψは、車両のヨー運動の加速度を表わすことを特徴とする、請求項2と組み合わせた前記請求項のいずれか一項に記載の制御方法。 - 車両のリアアクスルアセンブリの第1ホイールのグリップ力μ2を、関数
を使用して計算し、ここでFz21は、路面によってリアアクスルアセンブリのこの第1ホイールに加わる垂直方向の力を表わし、Fz22は、路面によってこのリアアクスルアセンブリの第2ホイールに加わる垂直方向の力を表わし、Mrearは、このリアアクスルアセンブリに分配される車両総質量を表わし、γtは、この車両の重心(G)で測定又は評価される車両の横方向加速度を表わし、L2は、車両のリアアクスルアセンブリと重心(G)の間の距離を表わし、ψは、車両のヨー運動の加速度を表わすことを特徴とする、請求項2と組み合わせた前記請求項のいずれか一項に記載の方法。 - 各ステアリングホイールの方向の設定ポイントを、基準計算モデルを反転することにより計算し、前記モデルが、ホイールに加わる車幅方向の力を、このホイールの方向、及び車両の動的挙動のパラメータの関数として計算する演算を含むことを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の方法。
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