JP2001322557A - 車両の複数輪独立操舵装置 - Google Patents

車両の複数輪独立操舵装置

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JP2001322557A
JP2001322557A JP2000145630A JP2000145630A JP2001322557A JP 2001322557 A JP2001322557 A JP 2001322557A JP 2000145630 A JP2000145630 A JP 2000145630A JP 2000145630 A JP2000145630 A JP 2000145630A JP 2001322557 A JP2001322557 A JP 2001322557A
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JP
Japan
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steering
wheel
wheels
abnormality
vehicle
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JP2000145630A
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English (en)
Inventor
Takahiro Shiraki
崇裕 白木
Kozo Fujita
耕造 藤田
Katsuya Hara
克哉 原
Osamu Takeda
修 武田
Takahiro Furuhira
貴大 古平
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Steering-Linkage Mechanisms And Four-Wheel Steering (AREA)
  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 4輪独立操舵車両などの複数輪独立操舵車両
において、アクチュエータ、センサなどに異常が発生し
た場合に的確に対処する。 【解決手段】 マイクロコンピュータ47は、ハンドル
舵角及び車速に応じて各車輪Wf1,Wf2,Wr1,Wr2の
目標舵角をそれぞれ計算する。そして、車輪舵角センサ
42a〜42dによりそれぞれ検出された各車輪舵角を
用いて、操舵機構15a〜15dを制御して、各車輪W
f1,Wf2,Wr1,Wr2をそれぞれ独立して目標舵角に設
定する。操舵機構15a〜15d及び車輪舵角センサ4
2a〜42dの一部に異常が生じたとき、異常の発生し
た機構又はセンサに対応する車輪の操舵による影響を左
右反対側の車輪などにより打ち消して、前後反対側の左
右輪による操舵を続けたり、制動力油圧制御装置などを
制御して車両を強制的に停止させたりする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば四輪独立操
舵装置のような複数輪を独立に操舵可能な車両の複数輪
独立操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、例えば特開平8−16104
8号公報及び特開平6−47388号公報に示されてい
るように、タイヤの横滑りを最小限に抑えてタイヤの摩
耗を少なくしたり、車両の旋回性能を向上させたりする
ために、車両の4輪をそれぞれ独立に操舵可能とする四
輪独立操舵装置は知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した四輪
独立操舵装置にあっては、各車輪を操舵するためのアク
チュエータ、各車輪の舵角を検出するためのセンサなど
に異常が発生した場合について何ら対処されておらず、
車両の走行上において問題がある。
【0004】
【発明の概略】本発明は、上記問題に対処するためにな
されもので、その目的は、アクチュエータ、センサなど
に異常が発生した状態をも考慮した車両の複数輪独立操
舵装置を提供することにある。
【0005】上記目的を達成するために、本発明の構成
上の特徴は、複数の車輪にそれぞれ対応した複数の操舵
機構及び舵角検出手段を備え、操舵ハンドルの回動操作
に応答し検出舵角を用いて操舵機構を制御することによ
り同複数の車輪を独立して操舵する車両の複数輪独立操
舵装置において、前記複数の舵角検出手段の異常を検出
する異常検出手段と、前記異常検出手段により前記複数
の舵角検出手段のうちのいずれかの舵角検出手段の異常
が検出されたとき、同異常の検出された舵角検出手段に
対応した車輪の舵角を、同異常の検出された舵角検出手
段以外の舵角検出手段によって検出された舵角及び車両
の運動状態に基づいて推定する舵角推定手段とを設け、
前記推定した舵角を前記操舵制御手段による車輪の操舵
制御に用いることにある。
【0006】この場合、例えば、前記車両は左右前後の
4輪を独立に操舵可能な車両であるとともに、前記操舵
機構及び舵角検出手段をそれぞれ四つずつ設けており、
前記舵角推定手段は、前記四つの舵角検出手段のうちの
一つの舵角検出手段の異常が検出されたとき同異常の検
出された舵角検出手段に対応した車輪の舵角を推定する
ものである。
【0007】前記のように構成した本発明によれば、複
数の舵角検出手段の一部に異常が発生しても、同異常の
発生した舵角検出手段により検出されるべき舵角が推定
され、この推定舵角を他の検出舵角と共に用いることに
より、複数の車輪を独立して操舵可能となる。これによ
り、複数の舵角検出手段の一部に異常が発生しても、複
数の車輪を独立して操舵可能な車両の複数輪独立操舵装
置の機能を享受できるようになる。
【0008】また、本発明の他の構成上の特徴は、左右
前後の4輪を独立して操舵可能な四つの操舵機構と、前
記4輪の舵角をそれぞれ検出する四つの舵角検出手段
と、操舵ハンドルの回動操作に応答し前記検出された各
舵角を用いて四つの操舵機構をそれぞれ制御することに
より前記4輪を独立して操舵する操舵制御手段とを備え
た車両の複数輪独立操舵装置において、前記四つの舵角
検出手段の異常を検出する異常検出手段と、前記異常検
出手段によって前記四つの舵角検出手段のうちのいずれ
か一つの舵角検出手段の異常が検出されたとき、同一つ
の舵角検出手段に対応した車輪及び同車輪の左右反対側
の車輪を中立位置に復帰させる中立復帰制御手段とを設
けたことにある。
【0009】前記のように構成した本発明の他の構成上
の特徴によれば、異常が発生した舵角検出手段に対応し
た車輪及びその左右反対側の車輪が中立位置に復帰する
ので、同異常の発生した舵角検出手段に対応する車輪に
よる車両偏向の影響を受けないとともに、同異常の発生
した舵角検出手段によって検出される車輪舵角を用いな
いでも、車両を走行させることができる。
【0010】この場合、例えば、前記異常検出手段によ
って前記四つの舵角検出手段のうちのいずれか一つの舵
角検出手段の異常が検出されたとき、操舵ハンドルの回
動操作に応答し、前記異常の検出された一つの舵角検出
手段に対応した車輪と前後反対側の左右2輪を、同前後
反対側の左右2輪に対応した舵角検出手段によって検出
された舵角を用いて操舵制御する2輪操舵制御手段を設
けるとよい。
【0011】これによれば、異常の発生した舵角検出手
段に対応した車輪と前後反対側の左右2輪が操舵ハンド
ルの回動操作に応じて操舵されるので、車両の進行方向
を操舵ハンドルの回動操作により自由に指定でき、舵角
検出手段の一つに異常が生じても2輪操舵車と同等な感
覚で車両を走行させることができる。
【0012】また、本発明の他の構成上の特徴は、前記
のような複数の操舵機構、複数の舵角検出手段及び操舵
制御手段を備えた車両の複数輪独立操舵装置において、
前記複数の舵角検出手段の異常を検出する異常検出手段
と、前記異常検出手段により前記複数の舵角検出手段の
うちのいずれか二つ以上の舵角検出手段の異常が検出さ
れたとき、車両を停止制御する停止制御手段とを設けた
ことにある。
【0013】この場合も、例えば、前記車両は左右前後
の4輪を独立に操舵可能な車両であり、前記操舵機構及
び舵角検出手段をそれぞれ四つずつ設けたものである。
【0014】前記のように構成した本発明の他の構成上
の特徴によれば、車両の進行方向を操舵ハンドルの回動
操作により自由に指定できなくなるような状態では、停
止制御手段により、車両は強制的に停止制御される。そ
の結果、車両の進行方向を操舵ハンドルの回動操作に応
じて制御できなくなった車両においても、最低限の安全
性だけは確保されるようになる。
【0015】また、本発明の他の構成上の特徴は、複数
の車輪を独立して操舵可能な複数の操舵機構と、操舵ハ
ンドルの回動操作に応答し複数の操舵機構をそれぞれ制
御することにより同複数の車輪を独立して操舵する操舵
制御手段とを備えた車両の複数輪独立操舵装置におい
て、前記複数の操舵機構の異常を検出する異常検出手段
と、前記異常検出手段により前記複数の操舵機構のうち
のいずれかの操舵機構の異常が検出されたとき、同異常
の検出された操舵機構以外の操舵機構を制御して、前記
操舵機構の異常による車両の偏向を修正する偏向修正手
段とを設けたことにある。
【0016】この場合も、例えば、前記車両は左右前後
の4輪を独立に操舵可能な車両であり、前記操舵機構を
四つ設けたものである。
【0017】前記のように構成した本発明の他の構成上
の特徴においては、操舵機構の異常による車両の偏向が
偏向修正手段により修正されるので、異常が発生した操
舵機構に対応した車輪の意図しない操舵があっても、車
両の進行方向が前記異常の発生した操舵機構によって左
右に偏向されることがなくなる。これにより、車両の最
低限の安全性が確保される。
【0018】また、前記偏向修正手段は、例えば、前記
異常検出手段により前記複数の操舵機構のうちの一つの
操舵機構の異常が検出されたとき、同異常の検出された
操舵機構に対応した車輪の左右反対側の車輪に対応した
操舵機構を制御して、同左右反対側の車輪を前記異常の
検出された操舵機構に対応した車輪と左右反対方向に修
正操舵するもので構成される。
【0019】これによれば、異常の検出された操舵機構
に対応した車輪による左右への車両の偏向が同車輪と左
右反対側の車輪によって修正される。また、この場合、
タイヤの摩擦力は大きくなるものの、車両の進行方向が
車体の前後方向と一致するように修正されるので、運転
者は車両の進行方向に対する違和感を感じなくてもす
む。
【0020】また、この場合、前記偏向修正手段による
車輪の操舵制御中には、前記異常の検出された操舵機構
に対応した車輪に対するブレーキ操作に伴う制動力の配
分に比べて、同車輪以外に対するブレーキ操作に伴う制
動力の配分を大きくする第1制動力制御手段を設けると
よい。
【0021】これによれば、異常の発生した操舵機構に
対応した車輪が意図しない方向に大きく操舵されていて
も、ブレーキ操作時における前記車輪による制動力が小
さく抑えられて、ブレーキ操作に伴って車両の挙動が異
常になることを防止できて、車両の走行安定性を良好に
できる。
【0022】さらに、この場合、前記異常の検出された
操舵機構に対応した車輪と前後反対側の左右2輪を操舵
ハンドルの回動操作に応じて操舵制御する2輪操舵制御
手段を設けるとよい。
【0023】これによれば、異常の発生していない二つ
の操舵機構を用いて、左右前輪又は左右後輪を操舵ハン
ドルの回動に応じて操舵できるので、車両を運転者の意
図する方向に2輪操舵車の感覚で誘導できるようにな
る。
【0024】また、この場合、前記2輪操舵制御手段に
よる車輪の操舵制御中には、ハンドルの回動操作に応じ
て操舵される左右2輪に対するブレーキ操作に伴う制動
力の配分を、同左右2輪と前後反対側の左右2輪に対す
るブレーキ操作に伴う制動力の配分に比べて大きくする
第2制動力制御手段を設けるようにするとよい。
【0025】これによれば、異常の発生した操舵機構に
対応した車輪が意図しない方向に大きく操舵されていて
も、ブレーキ操作時における前記車輪による制動力が小
さく抑えられて、前記2輪操舵制御手段による左右2輪
の操舵走行時に、ブレーキ操作に伴って車両の挙動が異
常になることを防止できて、車両の走行安定性を良好に
できる。
【0026】また、前記偏向修正手段は、例えば、前記
異常検出手段により前記複数の操舵機構のうちの一つの
操舵機構の異常が検出されたとき、同異常の検出された
操舵機構以外の操舵機構を制御して、同異常の検出され
た操舵機構以外の操舵機構に対応した各車輪を前記異常
の検出された操舵機構に対応した車輪と同一方向に修正
操舵するもので構成される。
【0027】これによれば、異常の検出された操舵機構
に対応した車輪による左右への車両の偏向が同車輪以外
の車輪によって修正される。また、車両の進行方向が車
体の前後方向と不一致なるものの、タイヤの摩擦力を小
さく抑えることができる。
【0028】この場合も、前記のような第1制動力制御
手段を設ければ、前記と同様に、ブレーキ操作に伴って
車両の挙動が異常になることを防止できて、車両の走行
安定性を良好にできる。
【0029】また、この場合も、前記のような2輪操舵
制御手段を設ければ、車両を運転者の意図する方向に2
輪操舵車の感覚で誘導できるようになる。
【0030】また、この場合も、前記のような第2制動
力制御手段を設ければ、車両の走行安定性を良好にでき
る。
【0031】さらに、この場合、操舵ハンドルを回転駆
動するハンドルアクチュエータと、前記ハンドルアクチ
ュエータを駆動制御して操舵ハンドルの中立位置を前記
異常の検出された操舵機構に対応した車輪の舵角方向に
修正するハンドル中立位置補正手段とを設けるとよい。
これによれば、車両の直進時の方向に操舵ハンドルの中
立位置が合わされるので、運転者の違和感を軽減でき
る。
【0032】この場合、操舵ハンドルの回動可能な角度
を所定の範囲内に制限するハンドル操作制限手段を設け
るようにしたり、前記2輪操舵制御手段による左右2輪
の操舵量を所定の範囲内に制限する操舵量制限手段を設
けるようにするとよい。
【0033】これらによれば、操舵ハンドルの回動操作
により操舵される左右2輪の中立舵角が大きく車体の前
後方向からずれていても、同左右2輪が操舵ハンドルの
回動操作に応じて大きく操舵されることがなくなる。し
たがって、左右2輪が車体の前後方向から極端に左右に
操舵されることがなくなって、同極端な左右2輪の操舵
によって車両の挙動が異常になることがなくなり、車両
の走行安定性が確保される。
【0034】また、前記偏向修正手段は、例えば、前記
異常検出手段により前記複数の操舵機構のうちの左右2
輪に対応した二つの操舵機構の異常が検出されたとき、
同異常の検出された操舵機構に対応した車輪と前後反対
側の左右2輪に対応した各操舵機構を制御して、同前後
反対側の左右2輪を前記異常の検出された二つの操舵機
構に対応した左右2輪の操舵角の平均値に修正操舵する
もので構成される。
【0035】これによっても、異常の検出された操舵機
構に対応した車輪による左右への車両の偏向が同車輪以
外の車輪によって修正される。また、車両の進行方向が
車体の前後方向と不一致なるものの、タイヤの摩擦力を
小さく抑えることができる。
【0036】また、この場合も、前記のような2輪操舵
制御手段を設ければ、車両を運転者の意図する方向に2
輪操舵車の感覚で誘導できるようになる。
【0037】また、この場合も、前記のような第2制動
力制御手段を設ければ、車両の走行安定性を良好にでき
る。
【0038】また、この場合も、前記ハンドルアクチュ
エータ及び前記ハンドル中立位置補正手段を設ければ、
車両の直進時の方向に操舵ハンドルの中立位置が合わさ
れるので、運転者の違和感を軽減できる。
【0039】また、この場合も、前記ハンドル操作制限
手段又は操舵量制限手段を設ければ、極端な左右2輪の
操舵によって車両の挙動が異常になることがなくなり、
車両の走行安定性が確保される。
【0040】また、本発明の他の構成上の特徴は、前記
偏向修正手段を、前記異常検出手段により前記複数の操
舵機構のうちの前後2輪に対応した二つの操舵機構の異
常が検出されたとき、同異常の検出された操舵機構に対
応した各車輪と左右反対側の前後2輪に対応した各操舵
機構を制御して、同左右反対側の前後2輪を前記異常の
検出された二つの操舵機構に対応した前後2輪と左右反
対方向に操舵するもので構成したことにある。
【0041】これによれば、異常の発生した二つの操舵
機構に対応した前後2輪による左右への車両の偏向が同
前後2輪とそれぞれ左右反対側の車輪によって修正さ
れ、車両の左右への偏向が打ち消されて直進可能となる
ので、車両の最低限の走行安定性が確保される。
【0042】また、前記偏向修正手段は、前記異常検出
手段により前記複数の操舵機構のうちの前後2輪に対応
した二つの操舵機構の異常が検出されたとき、同異常の
検出された操舵機構に対応した各車輪と左右反対側の前
後2輪に対応した各操舵機構を制御して、同左右反対側
の前後2輪を前記異常の検出された二つの操舵機構に対
応した前後2輪の各舵角の平均値にそれぞれ操舵するも
ので構成される。
【0043】これによっても、車両の進行方向と車体の
前後方向とのずれが生じるものの、車両の左右への偏向
が打ち消されて車両が直進可能となるので、車両の最低
限の走行安定性が確保される。
【0044】また、前記偏向修正手段は、前記異常検出
手段により前記複数の操舵機構のうちの三つの操舵機構
の異常が検出されたとき、同異常の検出された三つの操
舵機構以外の操舵機構を制御して、同三つの操舵機構以
外の操舵機構に対応した車輪を前記三つの操舵機構に対
応した車輪による車両の偏向量を打ち消す方向に操舵す
るもので構成される。
【0045】これによっても、車両の左右への偏向が打
ち消されて直進可能となるので、車両の最低限の走行安
定性が確保される。
【0046】また、本発明の他の構成上の特徴は、前記
異常検出手段により前記複数の操舵機構のうちのいずれ
か三つ以上の操舵機構又は前後2輪に対応した二つの操
舵機構の異常が検出されたとき、車両を停止制御する停
止制御手段を備えたことにある。
【0047】これによれば、車両の進行方向を操舵ハン
ドルの回動操作によって制御することが難しい状況下に
おいては、車両は強制的に停止されるので、車両の最低
限の安全性が確保される。
【0048】また、本発明の他の構成上の特徴は、左右
前後の4輪を独立して操舵可能な四つの操舵機構と、操
舵ハンドルの回動操作に応答して前記四つの操舵機構を
それぞれ制御することにより前記4輪を独立して操舵す
る操舵制御手段とを備えた車両の複数輪独立操舵装置に
おいて、前記四つの操舵機構の異常を検出する異常検出
手段と、前記4輪に独立して制動力を付与することが可
能な制動力付与手段と、前記異常検出手段によって前記
四つの操舵機構のうちのいずかの異常が検出されたと
き、前記制動力付与手段を制御して前記4輪に対する制
動力の付与を調整することにより、前記操舵機構の異常
による車両の偏向を修正する偏向修正手段とを設けたこ
とにある。
【0049】これによれば、操舵機構の異常により車両
が偏向するとともに、操舵ハンドルの回動操作によって
車両の進行方向が制御できなくなっても、偏向修正制御
手段が各輪に対する制動力の付与を調整して、前記操舵
機構の異常による車両の偏向を修正する。したがって、
前記車両を少なくともほぼ直進させることが可能にな
り、車両の最低限の走行安全性が確保される。また、前
記制動力の付与により、車両は停止制御されるので、進
行方向が運転者により制御されない車両が走行し続ける
ことがなくなり、これによっても、車両の最低限の安全
性だけは確保される。
【0050】また、本発明の他の構成上の特徴は、複数
の車輪を独立して操舵可能な複数の操舵機構を備えた車
両の複数輪独立操舵装置において、前記複数の操舵機構
の異常をそれぞれ検出する異常検出手段と、前記異常検
出手段により異常の検出された操舵機構に対応した車輪
のタイヤ摩擦力を減少させる摩擦力制御手段とを設けた
ことにある。
【0051】この場合、前記摩擦力制御手段を、例え
ば、前記異常検出手段により異常の検出された操舵機構
に対応した車輪のタイヤ空気圧を他の車輪のタイヤ空気
圧よりも高めるタイヤ空気圧制御手段で構成できる。こ
れによれば、異常の発生した操舵機構に対応した車輪の
タイヤの接地面積を他の車輪のタイヤの接地面積に比べ
て小さくすることができて、前記異常の発生した操舵機
構に対応した車輪のタイヤ摩擦力を他の車輪のタイヤ摩
擦力に比べて減少させることができる。
【0052】また、前記摩擦力制御手段を、例えば、前
記異常検出手段により異常の検出された操舵機構に対応
した車輪位置の車高に対して他の車輪位置の車高を高め
る車高制御手段で構成できる。これによれば、異常の発
生した操舵機構に対応した車輪位置の接地荷重が他の車
輪の接地荷重よりも小さくなり、前記異常の発生した操
舵機構に対応した車輪のタイヤ摩擦力を他の車輪のタイ
ヤ摩擦力に比べて減少させることができる。
【0053】このように、異常の発生した操舵機構に対
応した車輪のタイヤ摩擦力を他の車輪のタイヤ摩擦力に
比べて減少させた結果、同異常の発生した操舵機構に対
応した車輪が左右に操舵されていても、車両の進行方向
に与える影響を小さくすることができ、車両の走行安定
性の悪化を防止できる。
【0054】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明すると、図1は、同実施形態に係る四輪
独立操舵車両の全体を概略的に示している。この車両
は、左右前輪Wf1,Wf2及び左右後輪Wr1,Wr2をそれ
ぞれ独立して操舵するための操舵機構10A,10B,
10C,10Dを備えている。
【0055】操舵機構10A,10B,10C,10D
は、左右前輪Wf1,Wf2及び左右後輪Wr1,Wr2にそれ
ぞれ組み付けられるとともに一体的に垂直軸回りに回動
して、各輪Wf1,Wf2,Wr1,Wr2をそれぞれ操舵する
ナックル11a,11b,11c,11dを備えてい
る。各ナックル11a〜11dは、各内側端にて車体に
組み付けられた支持アーム12a,12b,12c,1
2dの各外側端にて、ピン13a,13b,13c,1
3dを介して垂直軸回りに回動可能にそれぞれ支持され
ている。左右前輪Wf1,Wf2のナックル11a,11b
は後方に延設され、各ナックル11a,11bの各後端
部には、ピン14a,14bが垂直方向を軸線方向にし
てそれぞれ立設固定されている。左右後輪Wr1,Wr2の
ナックル11c,11dは前方に延設され、各ナックル
11a,11bの各前端部には、ピン14c,14dが
垂直方向を軸線方向にしてそれぞれ立設固定されてい
る。
【0056】各ピン14a,14b,14c,14d
は、操舵アクチュエータ15a,15b,15c,15
dにより駆動アーム16a,16b,16c,16dを
介して車両幅方向に駆動されるようになっている。操舵
アクチュエータ15a,15b,15c,15dは、電
動モータ及び同モータの回転を直線運動に変換してピン
15a1,15b1,15c1,15d1を車両幅方向
に駆動する変換機構をハウジング15a2,15b2,
15c2,15d2内にそれぞれ収容している。ピン1
5a1,15b1,15c1,15d1は、ハウジング
15a2,15b2,15c2,15d2に車幅方向に
沿って設けたガイド孔15a3,15b3,15c3,
15d3から突出していて、同ガイド孔15a3,15
b3,15c3,15d3に沿って車幅方向に変位す
る。駆動アーム16a,16b,16c,16dは、各
内側端にてピン15a1,15b1,15c1,15d
1の軸線回りに回動可能に組み付けられているととも
に、各外側端にてピン14a,14b,14c,14d
の軸線回りに回動可能に組み付けられていて、ピン15
a1,15b1,15c1,15d1の車幅方向の変位
により、水平面内を揺動しながらピン14a,14b,
14c,14d及びナックル11a,11b,11c,
11dを介して各輪Wf1,Wf2,Wr1,Wr2をそれぞれ
操舵する。
【0057】また、この車両は、各輪Wf1,Wf2,Wr
1,Wr2に対して制動力をそれぞれ付与するためのホイ
ールシリンダ21a,21b,21c,21dに対し
て、ブレーキ油の給排をそれぞれ制御する制動力油圧制
御装置22を備えている。制動力油圧制御装置22は、
ブレーキペダル23の踏み込み操作に応じた前記ブレー
キ油の給排を制御するとともに、電気的に制御されてブ
レーキペダル23の踏み込み操作に関係して又はブレー
キペダル23の踏み込み操作とは無関係に前記ブレーキ
油の給排を制御する。
【0058】さらに、この車両は、操舵アクチュエータ
15a,15b,15c,15d及び制動力油圧制御装
置22を制御するための電気制御装置40を備えてい
る。電気制御装置40は、ハンドル舵角センサ41、車
輪舵角センサ42a,42b,42c,42d、車速セ
ンサ43、ヨーレートセンサ44、横加速度センサ4
5、ブレーキスイッチ46及びマイクロコンピュータ4
7からなる。
【0059】ハンドル舵角センサ41は、上端にて操舵
ハンドル31に接続された操舵軸32に組み付けられ
て、同ハンドル31の回転角θh(以下、ハンドル舵角
θhという)を検出する。なお、操舵ハンドル31及び
操舵軸32は、一体的に軸線回りに回転するもので、回
転時には多少の摩擦力及び中立復帰力が作用する。車輪
舵角センサ42a,42b,42c,42dは、操舵ア
クチュエータ15a,15b,15c,15dに組み込
まれて、各車輪Wf1,Wf2,Wr1,Wr2の車輪舵角θf
1,θf2,θr1,θr2(以下、単に舵角θf1,θf2,θr
1,θr2という)を検出する。なお、これらのハンドル
舵角θh及び舵角θf1,θf2,θr1,θr2は、通常時に
車両が直進する中立位置を「0」とし、左方向の舵角を
正で表すとともに、右方向の舵角を負で表す。
【0060】車速センサ43は、車速Vを検出する。ヨ
ーレートセンサ44は、車両に作用するヨーレートγを
検出する。横加速度センサ45は、車両の横加速度Gx
を検出する。ブレーキスイッチ46は、ブレーキペダル
23の踏み込み操作を検出する。マイクロコンピュータ
47は、CPU,ROM,RAM,タイマ及びその他の
周辺回路からなり、図4〜7のフローチャートに対応し
たプログラムを実行して操舵アクチュエータ15a,1
5b,15c,15d及び制動力油圧制御装置22を制
御する。
【0061】上記のように構成した実施形態の動作をフ
ローチャートに沿って説明する。イグニッションスイッ
チ(図示しない)の投入後、マイクロコンピュータ47
は、操舵制御プログラムを所定の短時間毎に繰り返し実
行する。この操舵制御プログラムの実行は、図4のステ
ップ100にて開始され、ステップ102にて、各セン
サ41,42a〜42d,43〜45による検出値を入
力し、ステップ104にて操舵アクチュエータ15a〜
15d及び車輪舵角センサ42a〜42dの異常を判定
する。なお、本明細書においては、ハンドル舵角センサ
41、車速センサ43、ヨーレートセンサ44及び横加
速度センサ45の異常時の説明は省略し、これらの各セ
ンサ41,43〜45は正常に作動しているものとして
説明する。
【0062】前記ステップ104における車輪舵角セン
サ42a〜42dの異常判定においては、所定の範囲内
の信号値が各車輪舵角センサ42a〜42dから入力さ
れているかを判定することにより、各車輪舵角センサ4
2a〜42dの異常をそれぞれ判定する。例えば、各車
輪舵角センサ42a〜42d及びその配線のいずれかの
箇所が断線、ショートなどしていれば、各車輪舵角セン
サ42a〜42dからの信号値は電源電圧を示したり、
アース電位を示したりして、所定の範囲外になり、それ
ぞれ異常と判定される。また、各車輪舵角センサ42a
〜42dからの信号値が所定の範囲内にあれば、それぞ
れ正常と判定される。
【0063】一方、操舵アクチュエータ15a〜15d
の異常判定においては、車輪舵角センサ42a〜42d
が正常であることを条件に、車輪舵角センサ42a,4
2b,42c,42dによって検出された各舵角θf1,
θf2,θr1,θr2と後述する各車輪Wf1,Wf2,Wr1,
Wr2の目標舵角θf1*,θf2*,θr1*,θr2*との各差の
絶対値|θf1−θf1*|,|θf2−θf2*|,|θr1−θ
r1*|,|θr2−θr2*|が所定値以上に所定時間以上保
たれるとき、それぞれ異常と判定される。また、それ以
外のときには、各操舵アクチュエータ15a〜15dは
それぞれ正常と判定される。
【0064】前記ステップ104の処理後、前記異常の
判定処理結果に基づいて、ステップ106にて操舵アク
チュエータ15a〜15dのいずれかに異常が発生して
いるか否かを判定するとともに、ステップ108にて車
輪舵角センサ42a〜42dのいずれかに異常が発生し
ているか否かを判定する。操舵アクチュエータ15a〜
15d及び車輪舵角センサ42a〜42dのいずれにも
異常が発生していなければ、ステップ106,108に
て共に「NO」と判定して、プログラムをステップ11
0に進める。
【0065】ステップ110においては、ハンドル舵角
θh、車速Vなどの車両の運動状態、走行状態などに応
じて、各車輪Wf1,Wf2,Wr1,Wr2の目標舵角θf1
*,θf2*,θr1*,θr2*を計算する。この目標舵角θf1
*,θf2*,θr1*,θr2*の計算方法の一例を、車両旋回
時のタイヤの横滑りを最小限に抑えた場合を例にして説
明する。マイクロコンピュータ47は、図2(A)(B)に
示すように、ハンドル舵角θhの絶対値|θh|及び車
速Vに応じて変化する旋回内側の前後輪の目標舵角θfi
*,θri*(いずれも正の値)をテーブルとして予め記憶
しており、前記入力したハンドル舵角θh及び車速Vに
対応した前輪目標舵角θfi*及び後輪目標舵角θri*をテ
ーブルを参照して計算する。
【0066】まず、操舵ハンドル31が左方向に回動さ
れてハンドル舵角θhが正である場合について説明す
る。この場合、前記計算した前輪目標舵角θfi*をその
まま旋回内側の前輪に相当する左前輪Wf1の目標舵角θ
f1*として設定するとともに、前記計算した後輪目標舵
角θri*を負に変換した値−θri*を旋回内側の後輪に相
当する左後輪Wr1の目標舵角θr1*として設定する。
【0067】次に、図3に示すように、車両の旋回中心
Oから左前輪Wf1及び左後輪Wr1の各中心までの距離ρ
f1,ρr1を計算する。この場合、左前輪Wf1及び左後輪
Wr1の各水平直径方向と、車両の旋回中心Oから左前輪
Wf1及び左後輪Wr1の各中心とを結ぶ線は直角をなすよ
うに設定されている。したがって、下記数1,2の方程
式が成立し、同方程式を解くことにより前記距離ρf1,
ρr1を計算できる。なお、下記数2中のLは、ホイール
ベースに相当する予め決められた値である。
【0068】
【数1】ρf1・cos|θf1*|=ρr1・cos|θr1*|
【0069】
【数2】ρf1・sin|θf1*|+ρr1・sin|θr1*|=L
【0070】次に、旋回外側の前後輪である右前輪Wf2
及び右後輪Wr2の目標舵角θf1*,θr1*を計算する。こ
の場合、左右前輪Wf1,Wf2の操舵方向は共にほぼ同じ
方向であるとともに、左右後輪Wr1,Wr2の操舵方向も
共にほぼ同じ方向であるので、左右前輪Wf1,Wf2の目
標舵角θf1*,θf2*の正負の符号は同一になるととも
に、左右後輪Wr1,Wr2の目標舵角θr1*,θr2*の正負
の符号も同一になる。また、右前輪Wf2及び右後輪Wr2
の各水平直径方向と、車両の旋回中心Oから右前輪Wf2
及び右後輪Wr2の各中心とを結ぶ線は直角をなすように
設定されている。したがって、車両の旋回中心Oから右
前輪Wf2及び右後輪Wr2の各中心までの距離をρf2,ρ
r2とするとともに、前記計算した距離ρf1,ρr1を用い
れば、下記数3〜6の方程式が成立し、同方程式を解く
ことにより右前輪Wf2及び右後輪Wr2の各目標舵角θf2
*,θr2*を計算できる。
【0071】
【数3】ρf1・sin|θf1*|=ρf2・sin|θf2*|
【0072】
【数4】ρr1・sin|θr1*|=ρr2・sin|θr2*|
【0073】
【数5】ρf2・cos|θf2*|=ρr2・cos|θr2*|
【0074】
【数6】ρf2・sin|θf2*|+ρr2・sin|θr2*|=L
【0075】これにより、操舵ハンドル31が左方向に
回動されて、車両が左旋回する場合における各車輪Wf
1,Wf2,Wr1,Wr2の目標舵角θf1*,θf2*,θr1*,
θr2*が計算される。
【0076】次に、操舵ハンドル31が右方向に回動さ
れて、車両が右旋回する場合における各車輪Wf1,Wf
2,Wr1,Wr2の目標舵角θf1*,θf2*,θr1*,θr2*
を計算する方法について説明する。まず、前記入力した
ハンドル舵角θhの絶対値|θh|及び車速Vに対応し
た前輪目標舵角θfi*及び後輪目標舵角θri*を前記テー
ブルを参照して計算する。次に、前記計算した前輪目標
舵角θfi*を負に変換した値−θfi*を旋回内側の前輪に
相当する右前輪Wf2の目標舵角θf2*として設定すると
ともに、前記計算した後輪目標舵角θri*をそのまま旋
回内側の後輪に相当する右後輪Wr2の目標舵角θr2*と
して設定する。
【0077】そして、前記数1〜6の方程式と同様な方
程式により、旋回外側の前後輪に相当する左前輪Wf1及
び左後輪Wr1の各目標舵角θf1*,θr1*を計算する。た
だし、この場合、前記数1〜6の方程式においては、目
標舵角θf1*,θf2*の関係と目標舵角θr1*,θr2*の関
係をそれぞれ逆にするとともに、各目標舵角θf1*,θr
1*はそれぞれ負及び正の値として計算される。
【0078】なお、本実施形態においては、ハンドル舵
角θh及び車速Vに応じてテーブルを用いて旋回内側の
前後輪の目標舵角θfi*,θri*を計算した後に、旋回中
心Oを想定して旋回外側の前後輪の目標舵角を計算する
ようにした。しかし、これに代えて、ハンドル舵角θh
及び車速Vに応じて変化する左右前輪Wf1,Wf2の目標
舵角θf1*,θf2*をテーブルに記憶しておき、ハンドル
舵角θh及び車速Vに応じて前記目標舵角θf1*,θf2*
を計算した後、旋回中心Oを想定して左右後輪Wr1,W
r2の目標舵角θr1*,θr2*を計算するようにしてもよ
い。また、ハンドル舵角θh及び車速Vに応じて変化す
るいずれか一輪の目標舵角と同一輪から旋回中心Oまで
の距離をテーブルに記憶しておき、ハンドル舵角θh及
び車速Vに応じて前記目標舵角及び距離を計算した後、
これらを用いて他の車輪の目標舵角をそれぞれ計算する
ようにしてもよい。
【0079】さらに、前記のような各車輪Wf1,Wf2,
Wr1,Wr2の目標舵角θf1*,θf2*,θr1*,θr2*を検
出ヨーレート、横加速度、その他の車両の運動状態量に
応じて修正した値を、目標舵角θf1*,θf2*,θr1*,
θr2*として決定するようにしてもよい。
【0080】前記ステップ110における目標舵角θf1
*,θf2*,θr1*,θr2*の計算後、ステップ112にて
操舵アクチュエータ15a,15b,15c,15dを
それぞれ駆動制御して、各車輪Wf1,Wf2,Wr1,Wr2
の各実舵角θf1,θf2,θr1,θr2を目標舵角θf1*,
θf2*,θr1*,θr2*にそれぞれ設定する。すなわち、
ステップ112においては、車輪舵角センサ42a,4
2b,42c,42dによって検出された舵角θf1,θ
f2,θr1,θr2を入力しながら、前記計算した目標舵角
θf1*,θf2*,θr1*,θr2*と前記入力した舵角θf1,
θf2,θr1,θr2との各偏差θf1*−θf1,θf2*−θf
2,θr1*−θr1,θr2*−θr2に応じて操舵アクチュエ
ータ15a,15b,15c,15dをフィードバック
制御することにより、各車輪Wf1,Wf2,Wr1,Wr2を
目標舵角θf1*,θf2*,θr1*,θr2*にそれぞれ設定す
る。
【0081】前記ステップ112の処理後、一旦この操
舵制御プログラムの実行を終了する。このようにして、
各車輪Wf1,Wf2,Wr1,Wr2が目標舵角θf1*,θf2
*,θr1*,θr2*にそれぞれ独立して操舵される結果、
例えばタイヤの横滑りを最小限に抑えるなど、車両の走
行性能を良好にできる。
【0082】次に、車輪舵角センサ42a〜42dのい
ずれかに異常が発生した場合について説明する。この場
合、前記ステップ104の判定結果に基づいて、ステッ
プ108にて「YES」と判定されて、プログラムはス
テップ116以降に進められる。ステップ116におい
ては、運転席近傍に設けられているランプ(図示しな
い)などを点灯することにより、車輪舵角センサ42a
〜42dのいずれかに異常が発生したことが運転者に知
らされる。なお、この場合、前記ランプを各車輪舵角セ
ンサ42a〜42dにそれぞれ対応して設けておき、異
常の発生した車輪舵角センサ42a〜42dを特定でき
るようにしておくとよい。
【0083】前記ステップ116の処理後、ステップ1
18にて、前記ステップ104の判定結果に基づいて車
輪舵角センサ42a〜42dのうちの一つのみに異常が
発生しているのか、同車輪舵角センサ42a〜42dの
うちの二つ以上に異常が発生しているのかを判定する。
一つのみに異常が発生している場合には、ステップ11
8にて「YES」と判定してプログラムをステップ12
0に進める。一方、二つ以上に異常が発生している場合
には、ステップ118にて「NO」と判定してプログラ
ムをステップ122に進める。
【0084】ステップ120においては、車輪舵角セン
サ42a〜42dのうちで異常の発生していない車輪舵
角センサによって検出された舵角及び車両の運動状態を
用いて、異常の発生している車輪舵角センサに対応した
一つの車輪の舵角を推定する。この舵角の推定方法を説
明する前に、車両旋回時の運動方程式について説明す
る。下記数7,8に示すように、左右前輪Wf1,Wf2の
各舵角θf1,θf2の平均値を前輪舵角θfとするととも
に、左右後輪Wr1,Wr2の各舵角θr1,θr2の平均値を
後輪舵角θrとすると、下記数9の式が成立する。
【0085】
【数7】
【0086】
【数8】
【0087】
【数9】
【0088】ただし、R(S),Y(S),Δf(S),Δr
(S)は、検出されたヨーレートγ、横加速度Gy、前輪
舵角θf及び後輪舵角θrの時間変化を表す値γ(t),
Gy(t),θf(t),θf(t)をラプラス変換したもので
ある。また、前記数9の各係数及びスタビリティファク
タKは下記数10〜22により計算されるものである。
ただし、スタビリティファクタKは予め与えられた定数
であってもよい。
【0089】
【数10】
【0090】
【数11】
【0091】
【数12】
【0092】
【数13】
【0093】
【数14】
【0094】
【数15】
【0095】
【数16】
【0096】
【数17】
【0097】
【数18】
【0098】
【数19】
【0099】
【数20】
【0100】
【数21】
【0101】
【数22】
【0102】ただし、前記数10〜22においては、C
fは左右前輪Wf1,Wf2の各タイヤのコーナリングパワ
ーの和、Crは左右後輪Wr1,Wr2の各タイヤのコーナ
リングパワーの和、aは車両の重心から左右前輪Wf1,
Wf2の車軸までの距離、bは車両の重心から左右後輪W
r1,Wr2の車軸までの距離、Lはホイールベース、ζは
車体の横運動の減衰係数、ωnは車体の横運動の固有振
動数、mは車体の質量、Izは車体のヨー慣性モーメン
トであり、予め与えられた定数である。
【0103】そして、ステップ120の車輪舵角推定ル
ーチンにおいては、各車輪Wf1,Wf2,Wr1,Wr2の舵
角θf1,θf2,θr1,θr2のうちで異常な車輪舵角セン
サによって検出された舵角を除く正常な3車輪分の舵角
と、検出された車速Vと、検出されたヨーレートγ又は
横加速度Gyとを用いて、前記数7〜9の方程式を解く
ことにより、前記異常な舵角センサによって検出される
べき車輪の舵角が推定される。
【0104】なお、本実施形態においては、前記数7〜
9の方程式を解くことにより異常な車輪舵角センサによ
って検出されるべき車輪舵角を推定するようにしたが、
オブザーバを用いて同舵角を推定するようにしてもよ
い。この場合、車両の旋回運動モデルを想定し、検出さ
れたハンドル舵角θh、舵角θf1,θf2,θr1,θr2の
うちで正常な3車輪分の舵角、車速V、ヨーレートγ、
横加速度Gyなどを用いて異常な車輪舵角センサによっ
て検出されるべき舵角を推定すればよい。
【0105】そして、ステップ112においては、この
推定した舵角を正常な車輪舵角センサよって検出された
3車輪の舵角を加えて、操舵アクチュエータ15a〜1
5dを前記と同様に駆動制御する。したがって、この場
合も、各車輪Wf1,Wf2,Wr1,Wr2の舵角θf1,θf
2,θr1,θr2は、前記ステップ110により決定され
た目標舵角θf1*,θf2*,θr1*,θr2*に設定される。
【0106】一方、ステップ118にて「NO」すなわ
ち車輪舵角センサ42a〜42dのうちでいずれか二つ
以上の車輪舵角センサに異常が発生された場合について
説明する。この場合、ステップ122にて、運転席近傍
に設けた警報ランプなどを点灯させて、運転者に車両を
強制的に停止させることを知らせる。前記ステップ12
2の処理後、マイクロコンピュータ47は、ステップ1
24にて、制動力油圧制御装置22を制御して、ブレー
キペダル23の踏み込み操作とは無関係に、各ホイール
シリンダ21a〜21dにブレーキ油を徐々に供給して
各車輪Wf1,Wf2,Wr1,Wr2に制動力を徐々に付与す
る。これにより、車両は強制的に徐々に停止制御される
ので、車両の走行安全性が確保される。
【0107】なお、前記ステップ124の強制的な制動
制御においては、検出されたヨーレートγ又は横加速度
Gyを用いて、各ホイールシリンダ21a〜21dに対
するブレーキ油圧を調整することにより、車両がほぼ直
進走行できるようにするとよい。前記ステップ124の
処理後、ステップ126にてこの操舵制御プログラムの
実行を終了する。この場合、操舵制御プログラムは再度
実行されることはなく、また車両が一度停止した後には
停止し続ける。
【0108】次に、操舵アクチュエータ15a〜15d
のいずれかに異常が発生した場合について説明する。こ
の場合、ステップ106にて「YES」と判定されて、
ステップ128にて、運転席近傍に設けた警報ランプな
どを点灯させて、操舵アクチュエータ15a〜15dの
いずれかに異常が発生したことを運転者に知らせる。
【0109】次に、ステップ130にて、前述したステ
ップ108の場合と同様にして、車輪舵角センサ42a
〜42dのいずれかに異常が発生しているか否かを判定
する。車輪舵角センサ42a〜42dのいずれにも異常
が発生していなければ、ステップ130にて「NO」と
判定して、プログラムを後述するステップ132のアク
チュエータ異常処理ルーチンに進める。また、車輪舵角
センサ42a〜42dのいずれかに異常が発生していれ
ば、ステップ130にて「YES」と判定し、プログラ
ムをステップ134に進める。ステップ134において
は、前記ステップ116の処理と同様に、運転席近傍に
設けられているランプ(図示しない)などを点灯するこ
とにより、車輪舵角センサ42a〜42dのいずれかに
異常が発生したことを運転者に知らせる。
【0110】次に、ステップ136にて、前記ステップ
118の処理と同様に、車輪舵角センサ42a〜42d
のうちの一つのみに異常が発生しているのか、同車輪舵
角センサ42a〜42dのうちの二つ以上に異常が発生
しているのかを判定する。一つのみに異常が発生してい
る場合には、ステップ136にて「YES」と判定し、
ステップ138にて、4車輪Wf1,Wf2,Wr1,Wr2の
うちで異常が発生している車輪舵角センサ42a〜42
dに対応した一つの車輪の舵角を推定して、前記ステッ
プ132のアクチュエータ異常処理ルーチンを実行す
る。
【0111】一方、二つ以上の車輪舵角センサ42a〜
42dに異常が発生している場合には、ステップ136
にて「NO」と判定し、前述したステップ122,12
4の処理により、運転者に車両を強制停止させることを
知らせるとともに、車両を強制的に停止させて、ステッ
プ126にてこの操舵制御プログラムの実行を終了す
る。
【0112】次に、前記ステップ132のアクチュエー
タ異常処理ルーチンについて説明する。このアクチュエ
ータ異常処理ルーチンの実行は図5のステップ200に
て開始され、ステップ202にて、前記ステップ104
の判定結果に基づいて操舵アクチュエータ15a〜15
dのうちの一つのみに異常が発生しているのか、同操舵
アクチュエータ15a〜15dのうちの二つ以上に異常
が発生しているのかを判定する。一つのみに異常が発生
している場合には、ステップ202にて「YES」と判
定してプログラムをステップ204に進める。一方、二
つ以上に異常が発生している場合には、ステップ202
にて「NO」と判定してプログラムをステップ214に
進める。
【0113】ステップ204においては、操舵アクチュ
エータ15a〜15dの異常が新たなものであるか、す
なわち操舵アクチュエータ15a〜15dが前回の操舵
制御プログラムの実行時まで正常であって今回初めて異
常になったか否かを判定する。操舵アクチュエータ15
a〜15dの異常が新たなものである場合には、ステッ
プ204における「YES」との判定のもとに、ステッ
プ206にて、異常の発生した操舵アクチュエータに対
応した車輪(以下、失陥輪という)と左右反対側の車輪
の目標舵角を、失陥輪の実舵角(失陥輪に対応した車輪
舵角センサによって検出された舵角)の逆相値に設定す
る。逆相値とは、一方の舵角に対して、絶対値が等しく
正負の符号を逆にした値、すなわち一方の車輪に対して
他方の車輪を左右反対方向に対称に操舵する値をいう。
【0114】例えば、失陥輪が左前輪Wf1(又は右前輪
Wf2)であり、その舵角がθf1(又はθf2)であれば、
右前輪Wf2(又は左前輪Wf1)の目標舵角θf2*(又は
θf1*)を−θf1(又は−θf2)に設定する。また、失
陥輪が左後輪Wr1(又は右後輪Wr2)であり、その舵角
がθr1(又はθr2)であれば、右後輪Wr2(又は左後輪
Wr1)の目標舵角θr2*(又はθr1*)を−θr1(又は−
θr2)に設定する。一方、操舵アクチュエータ15a〜
15dの異常が新たなものでない場合には、ステップ2
04における「NO」との判定のもとに、ステップ20
6の処理を実行しないで、プログラムをステップ208
に進める。
【0115】ステップ208においては、失陥輪と前後
反対側の左右2輪の目標舵角をハンドル舵角θh、車速
Vなどの車両の走行状態に応じてそれぞれ計算する。例
えば、失陥輪が左前輪Wf1又は右前輪Wf2であれば、左
後輪Wr1及び右後輪Wr2の各目標舵角θr1*,θr2*がそ
れぞれ計算される。また、失陥輪が左後輪Wr1又は右後
輪Wr2であれば、左前輪Wf1及び右前輪Wf2の各目標舵
角θf1*,θf2*がそれぞれ計算される。
【0116】この目標舵角の計算方法の一具体例を説明
すると、マイクロコンピュータ47は、図2(C)(D)に
示すように、ハンドル舵角θhの絶対値|θh|及び車
速Vに応じて変化する旋回内側の前後輪の目標舵角θfi
*,θri*(いずれも正の値)をテーブルとして予め記憶
しており、前記入力したハンドル舵角θh及び車速Vに
対応した前輪目標舵角θfi*又は後輪目標舵角θri*をテ
ーブルを参照して計算する。
【0117】まず、失陥輪が左後輪Wr1又は右後輪Wr2
であれば、図2(C)のテーブルが参照されて、旋回内側
の左前輪Wf1又は右前輪Wf2の目標舵角θf1*又はθf2*
が計算される。操舵ハンドル31が左方向に回動されて
いる場合には、テーブルから読み出した前輪目標舵角θ
fi*を左前輪Wf1の目標舵角θf1*としてそのまま設定す
るとともに、前記前輪目標舵角θfi*から予め定めた正
の微小値Δθfを減算した値θfi*−Δθfを右前輪Wf
2の目標舵角θf2*として設定する。また、操舵ハンドル
31が右方向に回動されている場合には、テーブルから
読み出した前輪目標舵角θfi*を負に変換した値−θfi*
を右前輪Wf2の目標舵角θf2*として設定するととも
に、前記前輪目標舵角θfi*を負に変換した値−θfi*に
予め定めた正の微小値Δθfを加算した値−θfi*+Δ
fを左前輪Wf1の目標舵角θf1*として設定する。
【0118】また、失陥輪が左前輪Wf1又は右前輪Wf2
であれば、図2(D)のテーブルが参照されて、旋回内側
の左後輪Wr1又は右後輪Wr2の目標舵角θr1*又はθr2*
が計算される。操舵ハンドル31が左方向に回動されて
いる場合には、テーブルから読み出した後輪目標舵角θ
ri*を負に変換した値−θri*を左後輪Wr1の目標舵角θ
r1*として設定するとともに、前記負に変換した値−θr
i*に予め定めた正の微小値Δθfを加算した値−θri*
+Δθrを右後輪Wr2の目標舵角θr2*として設定す
る。また、操舵ハンドル31が右方向に回動されている
場合には、テーブルから読み出した後輪目標舵角θri*
を右後輪Wr2の目標舵角θr2*としてそのまま設定する
とともに、前記後輪目標舵角θri*から予め定めた正の
微小値Δθrを減算した値θri*−Δθrを左後輪Wr1
の目標舵角θr1*として設定する。
【0119】次に、ステップ210にて、前記ステップ
112の処理と同様にして、操舵アクチュエータ15
a,15b,15c,15dのうちで失陥輪に対応した
操舵アクチュエータを除く三つの操舵アクチュエータを
それぞれ駆動制御し、各車輪Wf1,Wf2,Wr1,Wr2の
うちの失陥輪を除く3車輪の各実舵角を前記設定した各
目標舵角にそれぞれ設定する。そして、ステップ212
にてこのアクチュエータ異常処理ルーチンの実行を一旦
終了して、プログラムを図4のステップ114に進め、
同ステップ114にて操舵制御プログラムの実行を一旦
終了する。
【0120】これによれば、失陥輪と左右反対側の車輪
の舵角が失陥輪の舵角の逆相値に設定すなわち同左右反
対側の車輪が失陥輪に対して左右方向反対側に対称に操
舵されるので、失陥輪の舵角による車両偏向への影響が
同左右反対側の車輪の修正操舵により打ち消される。そ
して、失陥輪と前後反対側の左右輪(左右前輪Wf1,W
f2又は左右後輪Wr1,Wr2)が操舵ハンドル31の回動
操作に応じて操舵されるので、操舵ハンドル31を回動
操作しながら、車両を自由に所望の方向に誘導して走行
させることができる。
【0121】一方、ステップ214においては、前記ス
テップ104の判定結果に基づいて操舵アクチュエータ
15a〜15dのうちの二つの操舵アクチュエータに異
常が発生しているのか、三つ以上の操舵アクチュエータ
に異常が発生しているのかを判定する。二つの操舵アク
チュエータに異常が発生している場合には、ステップ2
14にて「YES」と判定して、ステップ216にて異
常が発生している操舵アクチュエータは前後輪に関する
ものである否かを判定する。すなわち、左右前輪Wf1,
Wf2のいずれか一方に対応する操舵アクチュエータに
も、左右後輪Wr1,Wr2のいずれか一方に対応する操舵
アクチュエータにも異常が発生しているか否かを判定す
る。
【0122】いま、操舵アクチュエータ15a〜15d
の異常が前後輪に関するものでなけば、ステップ216
にて「NO」と判定して、ステップ218にて前記二つ
の操舵アクチュエータの異常が新たなものであるか否
か、すなわち前回の操舵制御プログラムの実行時まで二
つの操舵アクチュエータに同時に異常が発生していない
か否かを判定する。前記二つの操舵アクチュエータの異
常が新たなものであれば、ステップ218における「Y
ES」との判定のもとに、ステップ220にて、失陥2
輪と前後反対側の左右2輪の中立舵角(初期において
「0」に設定されている)を失陥2輪の各実舵角の平均
値に変更する。
【0123】例えば、失陥2輪が左右前輪Wf1,Wf2で
あり、それらの舵角がθf1,θf2であれば、左右後輪W
r1,Wr2の中立舵角θr10,θr20を(θf1+θf2)/2に
それぞれ変更する。また、失陥2輪が左右後輪Wr1,W
r2であり、それらの舵角がθr1,θr2であれば、左右前
輪Wf1,Wf2の中立舵角θf10,θf20を(θr1+θr2)/
2にそれぞれ変更する。一方、二つの操舵アクチュエー
タの異常が新たなものでなければ、前記ステップ218
における「NO」との判定のもとに、ステップ220の
処理を実行しないで、プログラムをステップ222に進
める。
【0124】ステップ222においては、失陥2輪と前
後反対側の左右2輪の中立舵角に対する目標舵角をハン
ドル舵角θh、車速Vなどの車両の走行状態に応じてそ
れぞれ計算する。例えば、失陥2輪が左右前輪Wf1,W
f2であれば、左右後輪Wr1,Wr2の各目標舵角θr1*,
θr2*がそれぞれ計算される。また、失陥2輪が左右後
輪Wr1.Wr2であれば、左右前輪Wf1,Wf2の各目標舵
角θf1*,θf2*がそれぞれ計算される。これらの目標舵
角θf1*,θf2*,θr1*,θr2*の計算方法は、前述した
ステップ208の処理と同じである。
【0125】前記ステップ222の処理後、ステップ2
24にて、前記計算した目標舵角θf1*,θf2*を中立舵
角θf10,θf20分だけ補正するか、又は目標舵角θr1
*,θr2*を中立舵角θr10,θr20分だけ補正する。すな
わち、失陥2輪が左右後輪Wr1.Wr2であれば、前記計
算した目標舵角θf1*,θf2*に前記変更した中立舵角θ
f10,θf20をそれぞれ加算して、左右前輪Wf1.Wf2の
新たな目標舵角θf1*,θf2*として設定する。また、失
陥2輪が左右前輪Wf1.Wf2であれば、前記計算した目
標舵角θr1*,θr2*に中立舵角θr10,θr20をそれぞれ
加算して、左右後輪Wr1.Wr2の新たな目標舵角θr1
*,θr2*として設定する。
【0126】次に、ステップ226にて、前記ステップ
112の処理と同様にして、操舵アクチュエータ15
a,15b,15c,15dのうちで失陥2輪に対応し
た操舵アクチュエータを除く左右前輪Wf1,Wf2の操舵
アクチュエータ15a,15b又は左右後輪Wr1,Wr2
の操舵アクチュエータ15c,15dをそれぞれ駆動制
御し、左右前輪Wf1,Wf2を前記新たな目標舵角θf1
*,θf2*に操舵し、又は左右後輪Wr1,Wr2を前記新た
な目標舵角θr1*,θr2*に操舵する。そして、この場合
も、ステップ212にてこのアクチュエータ異常処理ル
ーチンの実行を一旦終了して、プログラムを図4のステ
ップ114に進め、同ステップ114にて操舵制御プロ
グラムの実行を一旦終了する。
【0127】これによれば、失陥2輪と前後反対側の左
右2輪の中立舵角の変更により、失陥2輪の舵角による
影響が打ち消される。すなわち、操舵ハンドル31が中
立位置にあれば、失陥2輪と前後反対側の左右2輪は失
陥2輪の舵角の平均値に修正操舵されるので、車両は同
平均値の方向に直進する。ただし、この場合には、車体
の前後方向と車両の進行方向との間にはずれが生じる。
【0128】また、失陥2輪と前後反対側の左右2輪
(左右前輪Wf1,Wf2又は左右後輪Wr1,Wr2)の目標
舵角が操舵ハンドル31の回動操作に応じて決定される
とともに、同決定された目標舵角は前記中立舵角分だけ
補正されるので、失陥していない左右前輪Wf1,Wf2又
は左右後輪Wr1,Wr2が操舵ハンドル31の回動操作に
応じて操舵される。したがって、操舵ハンドル31を回
動操作しながら、車両を自由に所望の方向に誘導して走
行させることができる。
【0129】一方、操舵アクチュエータ15a〜15d
の異常が前後輪に関するものであれば、すなわち左右前
輪Wf1,Wf2に対応した操舵アクチュエータ15a,1
5bのいずれか一方及び左右後輪Wr1,Wr2に対応した
操舵アクチュエータ15c,15dのいずれか一方に異
常が発生していれば、ステップ216にて「YES」と
判定して、プログラムをステップ228に進める。
【0130】ステップ228においては、左右前輪Wf
1,Wf2に対応した操舵アクチュエータ15a,15b
のうちの失陥していない側に対応した車輪を失陥輪の実
舵角と逆位相に修正操舵するとともに、左右後輪Wr1,
Wr2に対応した操舵アクチュエータ15c,15dのう
ちの失陥していない側に対応した車輪を失陥輪の実舵角
と逆位相に修正操舵する。
【0131】具体的には、左前輪Wf1(又は右前輪Wf
2)に対応した操舵アクチュエータ15a(又は操舵ア
クチュエータ15b)が失陥していれば、右前輪Wf2
(又は左前輪Wf1)の目標舵角θf2*(又は目標舵角θf
1*)を、検出された左前輪Wf1(又は右前輪Wf2)の実
舵角θf1(又は実舵角θf2)の逆相値−θf1(又は−θ
f2)に設定する。また、左後輪Wr1(又は右後輪Wr2)
に対応した操舵アクチュエータ15c(又は操舵アクチ
ュエータ15d)が失陥していれば、右後輪Wr2(又は
左後輪Wr1)の目標舵角θr2*(又は目標舵角θr1*)
を、検出された左後輪Wr1(又は右後輪Wr2)の実舵角
θr1,θr2の逆相値−θr1(又は−θr2)に設定する。
そして、前記ステップ112の処理と同様に、操舵アク
チュエータ15b(又は操舵アクチュエータ15a)を
駆動制御して、右前輪Wf2(又は左前輪Wf1)を目標舵
角θf2*(又は目標舵角θf1*)に修正操舵するととも
に、操舵アクチュエータ15d(又は操舵アクチュエー
タ15c)を駆動制御して、右後輪Wr2(又は左後輪W
r1)を目標舵角θr2*(又は目標舵角θr1*)に修正操舵
する。
【0132】前記ステップ228の処理後、上記ステッ
プ122,124の処理と同様なステップ230,23
2の処理により、運転者に車両を強制的に停止させるこ
とを知らせるとともに、車両を強制停止させて、ステッ
プ234にてこのアクチュエータ異常処理ルーチンの実
行を終了する。このアクチュエータ異常処理ルーチンの
実行は、操舵制御プログラムの実行の終了をも意味し、
その後に操舵制御プログラムが再開されることもない。
【0133】この場合、前記ステップ228の操舵制御
により、失陥が生じた操舵アクチュエータに対応した前
後の車輪による操舵の影響が、それらの各左右反対側の
車輪の修正操舵により打ち消されるので、車両がほぼ直
進走行して左右に移動することが防止され、車両の最低
限の安全性が確保される。そして、強制的に車両は停止
されるので、操舵不能となった車両を走行させ続けるこ
とがなくなる。
【0134】なお、前記ステップ228の処理に代え
て、失陥していない操舵アクチュエータに対応した前後
2輪を、失陥した操舵アクチュエータに対応した前後2
輪の操舵角の平均値に操舵するようにしてもよい。この
場合も、失陥していない操舵アクチュエータに対応した
前後2輪の目標舵角を失陥した操舵アクチュエータに対
応した前後2輪の操舵角の平均値にそれぞれ設定すると
ともに、失陥していない操舵アクチュエータを駆動制御
して同操舵アクチュエータに対応した前後2輪を前記平
均値に操舵する。これによっても、失陥が生じた操舵ア
クチュエータに対応した前後の車輪による操舵の影響
が、失陥してない前後の車輪の修正操舵により打ち消さ
れて、車両をほぼ直進走行させることができる。ただ
し、この場合には、車両の進行方向と車体の前後方向と
の間にはずれが生じる。
【0135】さらに、操舵アクチュエータ15a〜15
dのうちの三つ以上の操舵アクチュエータに異常が発生
した場合について説明する。この場合、図5のステップ
214にて「NO」と判定して、プログラムを図6のス
テップ236に進める。ステップ236においては、三
つの操舵アクチュエータに異常が発生しているか、四つ
の操舵アクチュエータに異常が発生しているかを判定す
る。三つの操舵アクチュエータに異常が発生している場
合には、ステップ236にて「YES」と判定して、プ
ログラムをステップ238に進める。
【0136】ステップ238においては、失陥した三つ
の操舵アクチュエータに対応した3車輪分の実舵角(前
記ステップ138の処理によって計算した推定舵角も含
む)に基づいて、同3車輪による車両の偏向量を計算す
る。次に、ステップ240にて、失陥していない操舵ア
クチュエータに対応した車輪の目標舵角であって、前記
計算した偏向量を打ち消すための目標舵角を計算する。
前記ステップ240の処理後、ステップ242にて、前
記偏向量を打ち消すことが可能か否か、すなわち前記偏
向量を打ち消すことが可能な目標舵角が存在するか否か
を判定する。これは、各車輪Wf1,Wf2,Wr1,Wr2の
操舵量には限界があり、失陥した三つの操舵アクチュエ
ータに対応した3車輪の舵角が大きいために、一つの車
輪では前記3車輪による車両の偏向を打ち消すことがで
きないことがあるためである。
【0137】前記偏向量を打ち消すことが可能な目標舵
角が存在するならば、ステップ242にて「YES」と
判定して、ステップ244にて、前記ステップ112の
処理と同様に、失陥していない操舵アクチュエータを駆
動制御して、同操舵アクチュエータに対応した車輪を前
記計算した目標舵角に操舵する。これにより、車両は、
左右に偏向することなく、直進することが可能となる。
【0138】そして、前記ステップ244の処理後、前
述した図5のステップ230,232の処理により、運
転者に車両を強制的に停止させることを知らせるととも
に、車両を強制的に停止させて、ステップ234にてこ
のアクチュエータ異常処理ルーチンの実行を終了する。
これにより、操舵不能となった車両を直進させながら、
徐々に停止させることができる。
【0139】また、四つの操舵アクチュエータに異常が
発生している場合には、ステップ236にて「NO」と
判定して、プログラムをステップ246に進める。ステ
ップ246においては、失陥した四つの操舵アクチュエ
ータに対応した4車輪分(全車輪Wf1,Wf2,Wr1,W
r2)の各実舵角に基づいて、車両の偏向量を計算する。
次に、ステップ248にて、各車輪Wf1,Wf2,Wr1,
Wr2の各目標制動力であって、車輪を停止させるととも
に前記計算した偏向量を打ち消すための各目標制動力を
計算する。例えば、車両が左方向に偏向していれば、右
前輪Wf2及び右後輪Wr2の各目標制動力を左前輪Wf1及
び左後輪Wr1の各目標制動力よりも大きく設定するとと
もに、各目標制動力の和が車両を徐々に停止させるよう
な値に設定する。また、車両が右方向に偏向していれ
ば、左前輪Wf1及び左後輪Wr1の各目標制動力を右前輪
Wf2及び右後輪Wr2の各目標制動力よりも大きく設定す
るとともに、各目標制動力の和が車両を徐々に停止させ
るような値に設定する。
【0140】前記ステップ248の処理後、ステップ2
50にて、前記ステップ122,230と同様な処理に
より、運転者に車両を強制的に停止させることを知らせ
る。そして、ステップ252にて、前記計算した各目標
制動力に応じて制動力油圧制御装置を制御し、ブレーキ
ペダル23の踏み込み操作とは無関係に、ホイールシリ
ンダ21a〜21dに各車輪Wf1,Wf2,Wr1,Wr2に
前記各目標制動力がそれぞれ付与されるように、ブレー
キ油の給排を制御する。その結果、車両は左右に偏向す
ることなく直進して徐々に停止するので、車両の最低限
の安全性が確保される。
【0141】また、前記ステップ242にて「NO」す
なわち前記ステップ240の処理によって三つの失陥輪
による車両の偏向量を打ち消すための同失陥輪を除く一
つの車輪の目標舵角が存在しないと判定された場合に
も、ステップ248〜252の処理が実行される。ただ
し、この場合には、前記ステップ248にて、前記ステ
ップ238の処理によって計算された車両の偏向量を打
ち消すための各車輪Wf1,Wf2,Wr1,Wr2の目標制動
力が計算される。
【0142】また、上記操舵制御プログラムの所定時間
毎の実行による操舵アクチュエータ15a〜15dの制
御中は、マイクロコンピュータ47は、同操舵制御プロ
グラムと並行して制動制御プログラムを所定の短時間毎
に実行する。この制動制御プログラムは、図7のステッ
プ300にて開始され、ステップ302にてブレーキス
イッチ46からの検出信号に基づいてブレーキペダル2
3が踏み込み操作されているか否かを判定する。
【0143】ブレーキペダル23が踏み込み操作されて
いなければ、ステップ302にて「NO」と判定して、
ステップ316にてこの制動制御プログラムの実行を一
旦終了する。一方、ブレーキペダル23が踏み込み操作
されていれば、ステップ302にて「YES」と判定
し、ステップ304にて操舵アクチュエータ15a〜1
5dのうちの一つの操舵アクチュエータのみに異常が発
生している状態かを判定するとともに、ステップ306
にて左右前輪Wf1,Wf2又は左右後輪Wr1,Wr2に対応
した二つの操舵アクチュエータに異常が発生している状
態かを判定する。いずれの状態でもなければ、ステップ
304,306における共に「NO」と判定して、ステ
ップ316にて制動制御プログラムの実行を一旦終了す
る。
【0144】操舵アクチュエータ15a〜15dのうち
の一つの操舵アクチュエータのみに異常が発生している
場合、ステップ304にて「YES」と判定し、ステッ
プ308にて2輪操舵に移行中であるか否かを判定す
る。前述のように、操舵アクチュエータ15a〜15d
のうちのいずれか一つの操舵アクチュエータに異常が発
生した場合には、図5のステップ206,210の処理
により失陥輪と左右反対側の車輪を失陥輪の実舵角の逆
相値に操舵制御して失陥輪による操舵の影響を打ち消し
た後、ステップ208,210の処理により失陥輪と前
後反対側の左右2輪(左右前輪Wf1,Wf2又は左右後輪
Wr1,Wr2)を操舵ハンドル31の回動操作に応じて操
舵する。
【0145】したがって、前記ステップ206,210
の処理による失陥輪の操舵の影響を打ち消すための失陥
輪と左右反対側の車輪の操舵制御中であれば、前記ステ
ップ308にて「YES」すなわち2輪操舵に移行中で
あると判定して、プログラムをステップ310に進め
る。ステップ310においては、制動力油圧制御装置2
2を制御して失陥輪の制動力配分を下げるとともに、前
記失陥輪の制動力配分を下げた分だけ残りの3輪に対す
る制動力配分を上げる。すなわち、通常時には、制動力
油圧制御装置22は、ブレーキペダル23の踏み込み操
作量に応じてホイールシリンダ21a〜21dに対して
ブレーキ油を給排して各車輪Wf1,Wf2,Wr1,Wr2に
所定の制動力を付与する。しかし、この場合には、制動
力油圧制御装置22が、ホイールシリンダ21a〜21
dのうちで失陥輪に対応したホイールシリンダに対する
ブレーキ油圧を前記通常時よりも所定量だけ下げ、前記
下げたブレーキ油圧分を残りの3車輪に分配して、同残
りの3車輪に対応したホイールシリンダに対するブレー
キ油圧を上げる。
【0146】これにより、失陥輪による車両制動機能が
減少し、残りの3車輪による車両制動機能が増加する。
したがって、操舵アクチュエータの異常により失陥輪の
舵角がいかなる状態にあろうとも、全車輪Wf1,Wf2,
Wr1,Wr2による車両の制動力を低下させることなく、
失陥輪の制動力によって車両の挙動が不安定になること
を防止できる。
【0147】また、前記のような2輪操舵への移行が終
了して、前記ステップ208,210の処理により失陥
輪と前後反対側の左右2輪(左右前輪Wf1,Wf2又は左
右後輪Wr1,Wr2)が操舵ハンドル31の回動操作に応
じて操舵される状態に移行した後には、ステップ308
にて「NO」と判定してプログラムをステップ312に
進める。ステップ312においては、制動力油圧制御装
置22を制御して失陥輪とその左右反対側の車輪の制動
力配分を下げるとともに、前記制動力配分を下げた分だ
け失陥輪と前後反対の残りの2輪に対する制動力配分を
上げる。すなわち、この場合には、制動力油圧制御装置
22が、ホイールシリンダ21a〜21dのうちで失陥
輪及びその左右反対側の車輪に対応したホイールシリン
ダに対するブレーキ油圧を前記通常時よりも所定量だけ
それぞれ下げ、前記下げたブレーキ油圧分を残りの2車
輪に分配して、同残りの2車輪に対応したホイールシリ
ンダに対するブレーキ油圧を上げる。
【0148】これにより、失陥輪及びその左右反対側の
車輪による車両制動機能が減少し、失陥輪と前後反対側
の残りの2車輪による車両制動機能が増加する。したが
って、この場合も、操舵アクチュエータの異常により失
陥輪の舵角がいかなる状態にあろうとも、全車輪Wf1,
Wf2,Wr1,Wr2による車両の制動力を低下させること
なく、失陥輪の制動力によって車両の挙動が不安定にな
ることを防止できる。
【0149】また、操舵アクチュエータ15a〜15d
のうちの二つの操舵アクチュエータに異常が発生してい
る場合、ステップ304にて「NO」と判定して、ステ
ップ306にて左右2輪(左右前輪Wf1,Wf2又は左右
後輪Wr1,Wr2)に対応した二つの操舵アクチュエータ
に異常が発生しているか否かを判定、すなわち失陥2輪
が左右前輪Wf1,Wf2又は左右後輪Wr1,Wr2であるか
を判定する。いま、失陥2輪が左右前輪Wf1,Wf2又は
左右後輪Wr1,Wr2でないとき、すなわち失陥2輪が前
後輪にわたるとき、ステップ306にて「NO」と判定
し、ステップ316にてこの制動制御プログラムの実行
を終了する。これは、この場合には、前述した図5のス
テップ232の処理により、車両が強制的に徐々に停止
制御されるからである。
【0150】一方、失陥2輪が左右前輪Wf1,Wf2又は
左右後輪Wr1,Wr2である場合には、ステップ306に
て「YES」と判定して、プログラムをステップ314
に進める。ステップ314においては、失陥2輪の舵角
に応じて4輪の制動力配分を失陥2輪の舵角に応じて最
適に制御する。この失陥輪が左右前輪Wf1,Wf2又は左
右後輪Wr1,Wr2である状態は、図5のステップ218
〜226により、失陥2輪と前後反対側の左右2輪の中
立舵角を変更して同失陥2輪の舵角による影響を打ち消
すとともに、失陥2輪と前後反対側の左右2輪(左右前
輪Wf1,Wf2又は左右後輪Wr1,Wr2)の舵角を操舵ハ
ンドル31の回動操作に応じて制御している状態であ
る。
【0151】そして、この状態では、失陥2輪の舵角の
絶対値が大きい場合には、同失陥2輪の制動力を大きく
すると、車両の挙動が異常になる可能性が生じる。した
がって、基本的には、失陥していない車輪の制動力を失
陥輪の制動力に比べて大きく制御する。例えば、失陥2
輪の各舵角の平均値又は同各舵角の絶対値の和が大きく
なるにしたがって、失陥2輪の制動力配分を小さくする
とともに、失陥していない左右2輪の制動力配分を大き
くする。また、失陥2輪の各舵角の平均値又は同各舵角
の絶対値の和が極めて大きい場合には、失陥2輪の制動
力を「0」にして失陥していない左右2輪にのみ制動力
を付与するようにしてもよい。具体的には、制動力油圧
制御装置22を制御して、失陥2輪の各ホイールシリン
ダに供給されるブレーキ油圧を前記決定した制動力配分
に応じて低くし、失陥していない各ホイールシリンダに
供給されるブレーキ油圧を前記決定した制動力配分に応
じて高くする。
【0152】これにより、失陥2輪による車両制動機能
が減少し、残りの左右2輪による車両制動機能が増加す
る。したがって、操舵アクチュエータの異常により失陥
2輪の舵角がいかなる状態にあろうとも、全車輪Wf1,
Wf2,Wr1,Wr2による車両の制動力を低下させること
なく、失陥輪の制動力によって車両の挙動が不安定にな
ることを防止できる。
【0153】a.第1変形例 上記実施形態においては、車輪舵角センサ42a〜42
dのうちの一つの車輪舵角センサのみに異常が発生した
場合、同異常が発生した舵角センサによって検出される
べき舵角を推定して、同推定舵角と残りの検出した三つ
の舵角に応じて各車輪Wf1,Wf2,Wr1,Wr2を操舵制
御するようにした。しかし、これに代えて、異常が発生
した舵角センサに対応した車輪及びその左右反対側の車
輪を基準舵角(舵角「0」)に設定するとともに、これ
らの左右2輪の前後反対側の左右2輪を操舵ハンドル3
1の回動操作に応じて操舵するようにしてもよい。
【0154】この場合、上記図4のステップ118にて
「YES」と判定された後、図8に示すようなステップ
140,120,142〜146の処理を実行して、ス
テップ114にて操舵制御プログラムの実行を一旦終了
するようにすればよい。すなわち、車輪舵角センサ42
a〜42dのうちの一つの車輪舵角センサのみに異常が
発生したとき、ステップ140にて前記異常の発生した
車輪舵角センサに対応した車輪及びその左右反対側の車
輪の基準舵角(舵角「0」)への復帰操舵が終了したか
否かを判定する。そして、復帰操舵が終了していなけれ
ば、ステップ140にて「NO」と判定して、上述した
ステップ120の車輪舵角推定ルーチンの実行により、
異常の発生した車輪舵角センサに対応した車輪の舵角を
推定する。
【0155】前記ステップ120の処理後、ステップ1
42にて、前記異常の発生した車輪舵角センサに対応し
た車輪及びその左右反対側の車輪の目標舵角を基準舵角
(例えば、「0」)に設定する。次に、ステップ144
にて、前記異常の発生した車輪舵角センサに対応した車
輪の前後反対側の左右2輪の目標舵角を、ハンドル舵角
θh及び車速Vに応じて計算する。例えば、左右後輪W
r1,Wr2に対応した車輪舵角センサ42c,42dのい
ずれか一方に異常が発生した場合には、上記図5のステ
ップ222の処理と同様に、図2(C)に示す特性のテー
ブルを参照して左右前輪Wf1,Wf2の目標舵角θf1*,
θf2*をハンドル舵角θh及び車速Vに応じて決定す
る。また、左右前輪Wf1,Wf2に対応した車輪舵角セン
サ42a,42bのいずれか一方に異常が発生した場合
には、上記図5のステップ222の処理と同様に、図2
(D)に示す特性のテーブルを参照して左右後輪Wr1,W
r2の目標舵角θr1*,θr2*をハンドル舵角θh及び車速
Vに応じて決定する。
【0156】前記ステップ144の処理後、ステップ1
46にて、上記図4のステップ112の処理と同様に、
操舵アクチュエータ15a〜15dを制御して各車輪W
f1,Wf2,Wr1,Wr2を前記設定した目標舵角に操舵す
る。この場合、異常の発生した車輪舵角センサに対応し
た車輪の操舵にあっては、前記ステップ120の処理に
より推定された車輪舵角が利用される。そして、異常の
発生した車輪舵角センサに対応した車輪及びその左右反
対側の車輪の実舵角が基準舵角(舵角「0」)に設定さ
れると、その後のステップ140においては「NO」と判
定されてプログラムはステップ144に進められるの
で、ステップ120の車輪舵角推定ルーチンは実行され
なくなる。また、この状態では、ステップ146におい
ても、異常の発生した車輪舵角センサに対応した車輪と
前後反対側の左右輪(左右前輪Wf1,Wf2又は左右後輪
Wr1,Wr2)のみが操舵制御される。
【0157】その結果、この第1変形例によれば、異常
の発生した車輪舵角センサに対応した車輪及びその左右
反対側の車輪の実舵角が基準舵角に保たれたまま、左右
前輪Wf1,Wf2又は左右後輪Wr1,Wr2が操舵ハンドル
31の回動操作により操舵されるようになる。
【0158】b.第2変形例 次に、上記実施形態の第2変形例について説明する。こ
の第2変形例においては、図1に破線で示すように、操
舵軸32の下端に、操舵ハンドル31及び同操舵軸32
を軸線回りに回転駆動するための電動モータなどにより
構成されたハンドルアクチュエータ51が組み付けられ
ている。この場合、操舵軸32には、弾性体(例えば、
トーションバー)が介装されており、同弾性体により、
操舵ハンドル31の回動操作時に前記弾性体の上下で若
干の回転角のずれが生じるようになっている。また、操
舵軸32には、操舵ハンドル31に付与される操舵トル
クを検出するための操舵トルクセンサ52も組み付けら
れている。操舵トルクセンサ52は、例えば前記弾性体
の両端の若干の回転角のずれを検出することにより、前
記操舵トルクを検出する。
【0159】これらのハンドルアクチュエータ51及び
操舵トルクセンサ52もマイクロコンピュータ47に接
続されており、同コンピュータ47は操舵トルクセンサ
52の出力に応じてハンドルアクチュエータ51を駆動
制御するようになっている。
【0160】一方、この第2変形例においては、図4の
操舵制御プログラムのステップ102〜104の処理が
図9のように変形されるとともに、図5のアクチュエー
タ異常処理ルーチンのステップ204〜210の処理が
図10のように変形されている。他の部分に関しては、
上記実施形態と同じである。
【0161】上記実施形態と異なる部分の動作について
のみ説明すると、操舵ハンドル31が回動操作される
と、操舵軸32の下端はハンドルアクチュエータ51に
組み付けられているので、操舵軸32に介装された弾性
体に捩れが生じ、操舵トルクセンサ32は操舵ハンドル
31に付与されている操舵トルク(操舵反力)を表す検
出信号を出力する。
【0162】マイクロコンピュータ47は、ステップ1
02aにて、上記実施形態の場合と同様に各センサ4
1,42a〜42d,43,44,45による検出値を
入力するのに加えて、操舵トルクセンサ52から操舵ト
ルクを入力する。そして、ステップ103にて、前記入
力した操舵トルクに応じてハンドルアクチュエータ51
を駆動制御して、操舵軸32を操舵ハンドル31の回動
方向に回動して前記操舵トルクが「0」になるようにす
る。したがって、操舵軸32は、操舵ハンドル31の回
動に応じて回動制御されて、操舵ハンドル31とほぼ一
体的に回動する。これにより、操舵ハンドル31の回転
角が、上記実施形態と同様にハンドル舵角センサ41に
よって検出され、各車輪Wf1,Wf2,Wr1,Wr2は、後
述する場合を除いて上記実施形態と同様に、操舵ハンド
ル31の回動操作にしたがって操舵される。
【0163】一方、この第2変形例においては、操舵ア
クチュエータ15a〜15dのうちの一つのみに異常が
発生した場合の処理が上記実施形態とは異なる。すなわ
ち、前記変更されたアクチュエータ異常処理ルーチンに
おいては、ステップ204にて「YES」すなわち操舵ア
クチュエータ15a〜15dのうちの一つの操舵アクチ
ュエータの異常が新たなものであると判定されたとき、
ステップ310にて失陥輪の左右反対側の車輪に対応し
た操舵アクチュエータを駆動制御して、同車輪を失陥輪
の実舵角まで操舵する。
【0164】次に、ステップ312にて、失陥輪と前後
反対側の左右車輪の中立舵角(初期において「0」に設
定されている)を失陥輪の実舵角に変更する。そして、
ステップ314にて、前記失陥輪と前後反対側の左右2
輪に対応した操舵アクチュエータを駆動制御して、同左
右2輪を前記中立舵角まで操舵する。その結果、この場
合には、操舵ハンドル31が回動操作されない状態で車
両は直進するが、その進行方向は車体の前後方向とは一
致しなくなる。
【0165】前記ステップ314の処理後、ステップ3
16にて、車両の進行方向が車体の前後方向に対して偏
向される方向に対応した操舵ハンドル31の回転角(以
下、ハンドル回転角という)を計算する。そして、ステ
ップ318にて、ハンドルアクチュエータ51を駆動制
御して、運転者による操舵ハンドル31の回動操作とは
無関係に、操舵ハンドル31及び操舵軸32を前記計算
した回転角だけ回動させる。その結果、操舵ハンドル3
1は、車体の前後方向に対する車両の進行方向のずれ分
だけ回動されることになる。したがって、車両の進行方
向が操舵ハンドル31の回転位置に対応するので、操舵
ハンドル31の回転位置に対する車両の進行方向とのず
れによる運転者の違和感を軽減できる。なお、前記操舵
アクチュエータの異常が新たなものでなくなれば、ステ
ップ204の「NO」との判定処理により、前記ステップ
310〜318の処理は実行されない。
【0166】また、前記ステップ204又はステップ3
18の処理後、ステップ320,322の処理により、
上述した図5のステップ222,224の処理と同様
に、失陥輪と前後反対側の左右2輪の中立舵角に対する
目標舵角をハンドル舵角θh、車速Vなどの車両の走行
状態に応じてそれぞれ計算し、前記計算した目標舵角を
前記変更した中立舵角だけ補正する。そして、ステップ
324にて、失陥輪と前後反対側の左右2輪に対応した
操舵アクチュエータを駆動制御して、同左右2輪を前記
目標舵角にそれぞれ操舵制御する。
【0167】これによっても、失陥輪の車両の操舵に与
える影響を打ち消した状態で、失陥輪を含まない左右前
輪Wf1,Wf2又は左右後輪Wr1,Wr2が操舵ハンドル3
1の回動操作に応じて操舵されて、車両は操舵ハンドル
31の回動操作による方向に進行できるようになる。
【0168】また、この第2変形例においても、上記実
施形態の図7の制動制御プログラムが実行される。これ
により、失陥輪以外の3輪を操舵して失陥輪が車両の操
舵に与える影響を打ち消している最中には、ブレーキペ
ダル23の踏み込み操作に伴う制動力の付与に関し、失
陥輪に対する制動力の配分を失陥輪以外の3輪に対する
制動力の配分よりも小さくして、車両の挙動異常を回避
する。また、失陥輪を含まない左右2輪が操舵ハンドル
31の回動操作に応じて操舵されている状態では、同操
舵されている左右2輪に対する前記制動力の配分を、失
陥輪を含む左右2輪に対する前記制動力の配分よりも大
きくして車両の走行安定性を向上させる。
【0169】なお、この第2変形例においては、操舵ア
クチュエータ15a〜15dの一つのみに異常が発生し
た場合についてのみ操舵ハンドル31をハンドルアクチ
ュエータ51により回動するようにした。しかし、これ
を、左右2輪に対応した二つの操舵アクチュエータに異
常が発生した場合、すなわち左右前輪Wf1,Wf2に対応
した二つの操舵アクチュエータ15a,15b又は左右
後輪Wr1,Wr2に対応した二つの操舵アクチュエータ1
5c,15dに異常が発生した場合にも適用できる。
【0170】すなわち、左右2輪に対応した二つの操舵
アクチュエータに異常が発生した場合には、図5のアク
チュエータ異常ルーチンのステップ220〜226の処
理により、失陥2輪と前後反対側の左右2輪の中立舵角
が失陥2輪の実舵角の平均値に変更されて、同左右2輪
はこの変更された中立舵角を中心に操舵ハンドル31の
回動操作に応じて左右に操舵される。したがって、この
場合にも、前記のように操舵軸32の下端に設けたハン
ドルアクチュエータ51を駆動制御して、操舵ハンドル
31を前記左右2輪の中立舵角に対応したハンドル舵角
まで回動するようにすればよい。これにより、この場合
も、操舵ハンドル31の回転位置に対する車両の進行方
向とのずれによる運転者の違和感を軽減できる。
【0171】c.第3変形例 次に、上記実施形態の第3変形例について説明する。こ
の第3変形例は、左右2輪に対応した二つの操舵アクチ
ュエータに異常が発生した場合に、異常の発生していな
い二つの操舵アクチュエータに対応した左右2輪すなわ
ち失陥輪以外の左右2輪の操舵範囲を制限するものであ
る。
【0172】この第3変形例においては、図1に破線で
示すように、操舵軸32にリミッタ機構53が組み付け
られているとともに、各操舵アクチュエータ15a〜1
5d内にもリミッタ機構15a4〜15d4がそれぞれ
組み込まれている。リミッタ機構53は、マイクロコン
ピュータ47に制御されるもので、非作動状態では操舵
軸32の中立位置からの大きな回転を許容し、作動状態
では操舵軸32の中立位置の回転角を所定の範囲内に制
限する。リミッタ機構15a4〜15d4も、マイクロ
コンピュータ47により制御されるもので、非作動状態
では各ピン15a1〜15d1の各中立位置からの大き
な変位をそれぞれ許容し、作動状態では各ピン15a1
〜15d1の各中立位置からの変位量を所定の範囲内に
制限する。
【0173】また、この第3変形例においては、図5の
アクチュエータ異常ルーチンに代えて、図9に示すよう
にステップ220,222間にステップ330,332
の処理を挿入したアクチュエータ異常ルーチンが実行さ
れる。
【0174】したがって、この第3変形例においては、
左右2輪が失陥輪でない場合には、上記実施形態と同様
に動作する。しかし、左右2輪が失陥輪である場合に
は、ステップ220の処理後、ステップ330,332
の処理が実行される。ステップ330においては、リミ
ッタ機構53が作動制御されて、操舵ハンドル31及び
操舵軸32の中立位置から回転角が所定の小さな範囲に
制限される。ステップ332においては、リミッタ機構
15a4〜15d4のうちで失陥輪でない左右2輪(正
常2輪)に対応した二つのリミッタ機構が作動制御され
て、ピン15a1〜15d1のうちの前記二つのリミッ
タ機構の中立位置からの変位が所定の小さな範囲に制限
される。すなわち、正常2輪の操舵角が、中立舵角から
所定の小さな範囲内に制限される。なお、この中立位置
とは、ステップ220の処理による変更前の中立舵角に
対応するものである。
【0175】この場合、上述したステップ220〜22
6の処理により、失陥輪でない左右2輪の中立舵角が変
更された後、同左右2輪は変更された中立舵角に対して
左右に操舵される。したがって、前記中立舵角の変更量
が大きな場合、上記実施形態の制御では前記左右2輪が
元の(変更前の)中立舵角から極めて大きく操舵されて
しまう可能性があり、車両の挙動が異常になる可能性も
発生する。これに対して、この第3変形例の制御によれ
ば、失陥輪でない左右2輪の操舵範囲が所定範囲に制限
されるので、車両の挙動が異常になることはなく、車両
の走行安定性が良好になる。
【0176】なお、この第3変形例によれば、安全性を
確保するために、リミッタ機構53,15a4〜15d
4を設けて、操舵ハンドル31の回転量及び各車輪Wf
1,Wf2,Wr1,Wr2の操舵量の両方を制限するように
したが、一方を制限するだけでも各車輪Wf1,Wf2,W
r1,Wr2の操舵量は制限される。したがって、構成を簡
単にするために、リミッタ機構53及びリミッタ機構1
5a4〜15d4のいずれか一方のみを設けるようにし
てもよい。
【0177】また、前記リミッタ機構53,15a4〜
15d4による各車輪Wf1,Wf2,Wr1,Wr2の操舵量
の制限に代え又は加えて、各車輪Wf1,Wf2,Wr1,W
r2の操舵量を電気的に制限するようにしてもよい。すな
わち、ステップ224の処理によって補正された目標操
舵角の絶対値が小さければ、各車輪Wf1,Wf2,Wr1,
Wr2の操舵量が大きくなることはない。したがって、こ
の場合には、ステップ222の処理によって計算される
目標操舵角の絶対値又はステップ224の処理によって
計算される目標操舵角の絶対値を、所定の範囲内に制限
するような処理を設ければよい。
【0178】また、この第3変形例においても、前記第
2変形例のように操舵ハンドル31及び操舵軸32をハ
ンドルアクチュエータ51により回転駆動するようにす
るとよい。この場合にも、失陥2輪と前後反対側の左右
2輪の中立舵角を失陥2輪の実舵角の平均値に設定する
際に、操舵ハンドル31及び操舵軸32を前記中立舵角
に対応したハンドル回転角だけ回転しておく。これによ
り、運転者は、車両の進行方向と操舵ハンドル31の回
転位置のずれに対する違和感を感じなくてもすむように
なる。
【0179】さらに、前記のように失陥輪でない左右2
輪の中立舵角を補正した後に同左右2輪を操舵ハンドル
31の回動操作に応じて操舵することは、前記第2変形
例の場合も同じである。したがって、前記第2変形例の
場合にも、前記のように、操舵ハンドル31の回転量及
び各車輪Wf1,Wf2,Wr1,Wr2の操舵量の両方又は一
方を、機械的又は電気的に所定の範囲内に制限するよう
にすれば、前記のような車両の走行安定性が確保され
る。具体的には、図10のステップ320の処理の前
に、前記ステップ330,332の処理を実行して、前
記リミッタ機構53,15a4〜15d4を作動させる
ようにすればよい。
【0180】d.第4変形例 次に、上記実施形態の第4変形例について説明する。こ
の第4変形例は、図1に破線で示すように、本発明に係
る4輪独立操舵装置を、各車輪Wf1,Wf2,Wr1,Wr2
のタイヤ空気圧を調整可能な車両に適用したものであ
る。この車両は、各車輪Wf1,Wf2,Wr1,Wr2のタイ
ヤ空気圧を独立にそれぞれ調整可能な空気圧調整装置6
1a〜61dを備えており、各空気圧調整装置61a〜
61dはマイクロコンピュータ47によって制御される
ようになっている。マイクロコンピュータ47は、図5
のアクチュエータ異常処理ルーチンの一部を図12に示
すように変形したアクチュエータ異常処理ルーチンを実
行する。
【0181】この場合、アクチュエータ異常処理ルーチ
ンにおいては、操舵アクチュエータ15a〜15dのう
ちの一つのみに異常が発生して、すなわちステップ20
2にて「YES」と判定されたとき、ステップ340に
て各車輪Wf1,Wf2,Wr1,Wr2のグリップ力が制御可
能であるか否かを判定する。なお、この場合におけるグ
リップ力が制御可能であるか否かの判定は、タイヤ空気
圧の調整機能を有する車両であるか否かを判定すること
を意味している。この第4変形例のように、各車輪Wf
1,Wf2,Wr1,Wr2に対応した空気圧調整装置61a
〜61dを備えていれば、ステップ340にて「YE
S」すなわちグリップ力が制御可能であると判定してプ
ログラムをステップ342に進める。また、グリップ力
が制御可能でなければ、ステップ340にて「NO」と
判定して、上記実施形態と同様なステップ204〜21
0の処理を実行する。
【0182】ステップ342においては、異常の発生し
た操舵アクチュエータに対応した車輪すなわち失陥輪に
対応した空気圧調整装置を制御して、同失陥輪のタイヤ
空気圧を所定量だけ上昇させて、同失陥輪のタイヤ空気
圧を残りの正常な三つ操舵アクチュエータに対応した3
車輪よりも高くする。
【0183】これにより、失陥輪に対応したタイヤ空気
圧が上昇されて、同失陥輪における路面との接地面積が
小さくなる。この結果、この失陥輪のタイヤ摩擦力が小
さくなり、同失陥輪のグリップ力が小さくなるので、同
失陥輪による車両の操舵に対する影響が低くなり、車両
を操舵ハンドル31の回動操作に応じて誘導し易くな
る。
【0184】また、この第4変形例においては、失陥輪
の左右反対側の車輪の修正操舵について示さなかった
が、上記実施形態及び第1変形例のように、失陥輪の左
右反対側の車輪を失陥輪の実操舵角の逆相値に操舵した
り、失陥輪及びその左右反対側の車輪の操舵角を「0」
にしたりする4輪独立操舵車両に適用できるものであ
る。これによっても、失陥輪の接地面積を小さくでき
て、同失陥輪のグリップ力が低下するので、同失陥輪の
車両の操舵に対する影響が低くなり、車両を操舵ハンド
ル31の回動操作に応じて誘導し易くなる。
【0185】e.第5変形例 次に、上記実施形態の第5変形例について説明する。こ
の第5変形例は、前記第4変形例に代えて、図1に破線
で示すように、各車輪Wf1,Wf2,Wr1,Wr2の車高を
調整可能な車両に適用したものである。なお、この場合
の車高とは、車体(車体の重心)と車軸との垂直距離を
示している。この車両は、各車輪Wf1,Wf2,Wr1,W
r2の車高を独立にそれぞれ調整可能な車高調整装置62
a〜62dを備えており、各車高調整装置62a〜62
dはマイクロコンピュータ47によって制御されるよう
になっている。マイクロコンピュータ47は、図13の
アクチュエータ異常処理ルーチンの一部を図13に示す
ように変形したアクチュエータ異常処理ルーチンを実行
する。
【0186】この図13のアクチュエータ異常処理ルー
チンにおいては、図12のステップ342の処理がステ
ップ344の処理に変更されている。なお、この場合に
は、グリップ力が制御可能であるかは、車高調整機能を
有する車両であるか否かを意味している。したがって、
操舵アクチュエータ15a〜15dのうちの一つのみに
異常が発生して、各車輪Wf1,Wf2,Wr1,Wr2のグリ
ップ力が制御可能であれば、ステップ202,340に
おける「YES」との判定処理後、ステップ344にお
いては、異常の発生した操舵アクチュエータに対応した
車輪以外の3車輪すなわち失陥輪を除く3車輪に対応し
た車高調整装置をそれぞれ制御して、同失陥輪を除く3
車輪の各車高を失陥輪の車高よりもそれぞれ所定量だけ
高くする。
【0187】これにより、失陥輪の接地荷重が他の車輪
の接地荷重に比べて小さくなるので、失陥輪のタイヤ摩
擦力が小さくなって、同失陥輪のグリップ力が小さくな
る。したがって、失陥輪の車両の操舵に対する影響が低
くなり、車両を操舵ハンドル31の回動操作に応じて誘
導し易くなる。
【0188】また、この第5変形例においても、上記実
施形態及び第1変形例のように、失陥輪の左右反対側の
車輪を失陥輪の実操舵角の逆相値に操舵したり、失陥輪
及びその左右反対側の車輪の操舵角を「0」にしたりす
る4輪独立操舵車両に適用できるものである。これによ
っても、失陥輪の接地荷重を小さくできて、同失陥輪の
グリップ力が低下するので、同失陥輪の車両の操舵に対
する影響が低くなり、車両を操舵ハンドル31の回動操
作に応じて誘導し易くなる。
【0189】さらに、上記実施形態及び各種変形例にお
いては、4輪を独立に操舵可能な四輪独立操舵車両に本
発明を適用した例について説明したが、上記実施形態及
び各種変形例に示した技術に関しては、6輪、8輪など
の多数の車輪を独立に操舵可能な車両にも適用できるも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る四輪独立操舵車両
の概略図である。
【図2】 (A)〜(D)はハンドル舵角と車速に応じて変
化する旋回内側の前後輪の目標舵角の特性グラフであ
る。
【図3】 図1の各輪の操舵状態の一例を示す概略図で
ある。
【図4】 図1のマイクロコンピュータにて実行される
操舵制御プログラムを表すフローチャートである。
【図5】 図4のアクチュエータ異常処理ルーチンの一
部を詳細に示すフローチャートである。
【図6】 図3のアクチュエータ異常処理ルーチンの他
の一部を詳細に示すフローチャートである。
【図7】 図1のマイクロコンピュータにて実行される
制動制御プログラムのフローチャートである。
【図8】 上記実施形態の第1変形例に係る操舵制御プ
ログラムの一部を示すフローチャートである。
【図9】 上記実施形態の第2変形例に係る操舵制御プ
ログラムの一部を示すフローチャートである。
【図10】 上記実施形態の第2変形例に係るアクチュ
エータ異常処理ルーチンの一部を示すフローチャートで
ある。
【図11】 上記実施形態の第3変形例に係るアクチュ
エータ異常処理ルーチンの一部を示すフローチャートで
ある。
【図12】 上記実施形態の第4変形例に係るアクチュ
エータ異常処理ルーチンの一部を示すフローチャートで
ある。
【図13】 上記実施形態の第5変形例に係るアクチュ
エータ異常処理ルーチンの一部を示すフローチャートで
ある。
【符号の説明】
Wf1,Wf2,Wr1,Wr2…車輪、10A,10B,10
C,10D…操舵機構、15a〜15d…操舵アクチュ
エータ、15a4〜15d4…リミッタ機構、21a〜
21d…ホイールシリンダ、22…制動力油圧制御装
置、23…ブレーキペダル、31…操舵ハンドル、40
…電気制御装置、41…ハンドル舵角センサ、42a〜
42d…車輪舵角センサ、43…車速センサ、44…ヨ
ーレートセンサ、45…横加速度センサ、46…ブレー
キスイッチ、47…マイクロコンピュータ、51…ハン
ドルアクチュエータ、52…操舵トルクセンサ、53…
リミッタ機構、61a〜61d…空気圧調整装置、62
a〜62d…車高調整装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原 克哉 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 武田 修 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 古平 貴大 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3D032 CC33 CC34 CC37 CC39 CC40 DA02 DA06 DA29 DA33 DA93 DB11 DC08 DD02 DE20 EA04 EA09 EB04 EC01 EC40 FF01 GG01 3D034 CA10 CC03 CC08 CD06 CD07 CD12 CD13 CD16 CD20 CE05 CE13

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両における複数の車輪にそれぞれ対応し
    て設けられて前記複数の車輪を独立して操舵可能な複数
    の操舵機構と、 前記複数の車輪の舵角をそれぞれ検出する複数の舵角検
    出手段と、 操舵ハンドルの回動操作に応答し、前記複数の舵角検出
    手段によりそれぞれ検出された各舵角を用いて複数の操
    舵機構をそれぞれ制御することにより同複数の車輪を独
    立して操舵する操舵制御手段とを備えた車両の複数輪独
    立操舵装置において、 前記複数の舵角検出手段の異常を検出する異常検出手段
    と、 前記異常検出手段により前記複数の舵角検出手段のうち
    のいずれかの舵角検出手段の異常が検出されたとき、同
    異常の検出された舵角検出手段に対応した車輪の舵角
    を、同異常の検出された舵角検出手段以外の舵角検出手
    段によって検出された舵角及び車両の運動状態に基づい
    て推定する舵角推定手段とを設け、前記推定した舵角を
    前記操舵制御手段による車輪の操舵制御に用いることを
    特徴とする車両の複数輪独立操舵装置。
  2. 【請求項2】前記請求項1に記載した車両は左右前後の
    4輪を独立に操舵可能な車両であるとともに、前記操舵
    機構及び舵角検出手段をそれぞれ四つずつ設けており、 前記舵角推定手段は、前記四つの舵角検出手段のうちの
    いずれか一つの舵角検出手段の異常が検出されたとき同
    異常の検出された舵角検出手段に対応した車輪の舵角を
    推定するものである車両の複数輪独立操舵装置。
  3. 【請求項3】左右前後の4輪にそれぞれ対応して設けら
    れて同4輪を独立して操舵可能な四つの操舵機構と、 前記4輪の舵角をそれぞれ検出する四つの舵角検出手段
    と、 操舵ハンドルの回動操作に応答し、前記四つの舵角検出
    手段によりそれぞれ検出された各舵角を用いて前記四つ
    の操舵機構をそれぞれ制御することにより前記4輪を独
    立して操舵する操舵制御手段とを備えた車両の複数輪独
    立操舵装置において、 前記四つの舵角検出手段の異常を検出する異常検出手段
    と、 前記異常検出手段によって前記四つの舵角検出手段のう
    ちのいずれか一つの舵角検出手段の異常が検出されたと
    き、同一つの舵角検出手段に対応した車輪及び同車輪の
    左右反対側の車輪を中立位置に復帰させる中立復帰制御
    手段とを設けたことを特徴とする車両の複数輪独立操舵
    装置。
  4. 【請求項4】前記請求項3に記載した複数輪独立操舵装
    置において、 前記異常検出手段によって前記四つの舵角検出手段のう
    ちのいずれか一つの舵角検出手段の異常が検出されたと
    き、操舵ハンドルの回動操作に応答し、前記異常の検出
    された一つの舵角検出手段に対応した車輪と前後反対側
    の左右2輪を、同前後反対側の左右2輪に対応した舵角
    検出手段によって検出された舵角を用いて操舵制御する
    2輪操舵制御手段を設けたことを特徴とする車両の複数
    輪独立操舵装置。
  5. 【請求項5】車両における複数の車輪にそれぞれ対応し
    て設けられて前記複数の車輪を独立して操舵可能な複数
    の操舵機構と、 前記複数の車輪の舵角をそれぞれ検出する複数の舵角検
    出手段と、 操舵ハンドルの回動操作に応答し、前記複数の舵角検出
    手段によりそれぞれ検出された各舵角を用いて複数の操
    舵機構をそれぞれ制御することにより同複数の車輪を独
    立して操舵する操舵制御手段とを備えた車両の複数輪独
    立操舵装置において、 前記複数の舵角検出手段の異常を検出する異常検出手段
    と、 前記異常検出手段により前記複数の舵角検出手段のうち
    のいずれか二つ以上の舵角検出手段の異常が検出された
    とき、車両を停止制御する停止制御手段とを設けたこと
    を特徴とする車両の複数輪独立操舵装置。
  6. 【請求項6】前記請求項5に記載した車両は左右前後の
    4輪を独立に操舵可能な車両であり、前記操舵機構及び
    舵角検出手段をそれぞれ四つずつ設けた車両の複数輪独
    立操舵装置。
  7. 【請求項7】車両における複数の車輪にそれぞれ対応し
    て設けられて前記複数の車輪を独立して操舵可能な複数
    の操舵機構と、 操舵ハンドルの回動操作に応答して複数の操舵機構をそ
    れぞれ制御することにより同複数の車輪を独立して操舵
    する操舵制御手段とを備えた車両の複数輪独立操舵装置
    において、 前記複数の操舵機構の異常を検出する異常検出手段と、 前記異常検出手段により前記複数の操舵機構のうちのい
    ずれかの操舵機構の異常が検出されたとき、同異常の検
    出された操舵機構以外の操舵機構を制御して、前記操舵
    機構の異常による車両の偏向を修正する偏向修正手段と
    を設けたことを特徴とする車両の複数輪独立操舵装置。
  8. 【請求項8】前記請求項7に記載した車両は左右前後の
    4輪を独立に操舵可能な車両であり、前記操舵機構を四
    つ設けた車両の複数輪独立操舵装置。
  9. 【請求項9】前記請求項8に記載した車両の複数輪独立
    操舵装置において、 前記偏向修正手段は、前記異常検出手段により前記複数
    の操舵機構のうちの一つの操舵機構の異常が検出された
    とき、同異常の検出された操舵機構に対応した車輪の左
    右反対側の車輪に対応した操舵機構を制御して、同左右
    反対側の車輪を前記異常の検出された操舵機構に対応し
    た車輪と左右反対方向に修正操舵するものである車両の
    複数輪独立操舵装置。
  10. 【請求項10】前記請求項9に記載した車両の複数輪独
    立操舵装置において、 前記異常検出手段によって複数の操舵機構のうちの一つ
    の操舵機構の異常が検出されたとき、同異常の検出され
    た操舵機構に対応した車輪と前後反対側の左右2輪を操
    舵ハンドルの回動操作に応じて操舵制御する2輪操舵制
    御手段を設けたことを特徴とする車両の複数輪独立操舵
    装置。
  11. 【請求項11】前記請求項8に記載した車両の複数輪独
    立操舵装置において、 前記偏向修正手段は、前記異常検出手段により前記複数
    の操舵機構のうちの一つの操舵機構の異常が検出された
    とき、同異常の検出された操舵機構以外の操舵機構を制
    御して、同異常の検出された操舵機構以外の操舵機構に
    対応した各車輪を前記異常の検出された操舵機構に対応
    した車輪と同一方向に修正操舵するものである車両の複
    数輪独立操舵装置。
  12. 【請求項12】前記請求項9又は11に記載した車両の
    複数輪独立操舵装置において、 前記偏向修正手段による車輪の修正操舵制御中には、前
    記異常の検出された操舵機構に対応した車輪に対するブ
    レーキ操作に伴う制動力の配分に比べて、同車輪以外に
    対するブレーキ操作に伴う制動力の配分を大きくする第
    1制動力制御手段を設けたことを特徴とする車両の複数
    輪独立操舵装置。
  13. 【請求項13】前記請求項8に記載した車両の複数輪独
    立操舵装置において、 前記偏向修正手段は、前記異常検出手段により前記複数
    の操舵機構のうちの左右2輪に対応した二つの操舵機構
    の異常が検出されたとき、同異常の検出された操舵機構
    に対応した車輪と前後反対側の左右2輪に対応した各操
    舵機構を制御して、同前後反対側の左右2輪を前記異常
    の検出された二つの操舵機構に対応した左右2輪の操舵
    角の平均値に修正操舵するものである車両の複数輪独立
    操舵装置。
  14. 【請求項14】前記請求項11又は13に記載した車両
    の複数輪独立操舵装置において、 前記異常検出手段によって複数の操舵機構のうちのいず
    れかの操舵機構の異常が検出されたとき、前記異常の検
    出された操舵機構に対応した車輪と前後反対側の左右2
    輪を操舵ハンドルの回動操作に応じて操舵制御する2輪
    操舵制御手段を設けたことを特徴とする車両の複数輪独
    立操舵装置。
  15. 【請求項15】前記請求項14に記載した車両の複数輪
    独立操舵装置において、 操舵ハンドルを回転駆動するハンドルアクチュエータ
    と、 前記ハンドルアクチュエータを駆動制御して操舵ハンド
    ルの中立位置を前記異常の検出された操舵機構に対応し
    た車輪の舵角方向に修正するハンドル中立位置補正手段
    とを設けたことを特徴とする車両の複数輪独立操舵装
    置。
  16. 【請求項16】前記請求項14又は15に記載した車両
    の複数輪独立操舵装置において、 操舵ハンドルの回動可能な角度を所定の範囲内に制限す
    るハンドル操作制限手段を設けたことを特徴とする車両
    の複数輪独立操舵装置。
  17. 【請求項17】前記請求項14又は15に記載した車両
    の複数輪独立操舵装置において、 前記2輪操舵制御手段による左右2輪の操舵量を所定の
    範囲内に制限する操舵量制限手段を設けたことを特徴と
    する車両の複数輪独立操舵装置。
  18. 【請求項18】前記請求項10,14〜17のいずれか
    一つに記載した車両の複数輪独立操舵装置において、 前記2輪操舵制御手段による車輪の操舵制御中には、ハ
    ンドルの回動操作に応じて操舵される左右2輪に対する
    ブレーキ操作に伴う制動力の配分を、同左右2輪と前後
    反対側の左右2輪に対するブレーキ操作に伴う制動力の
    配分に比べて大きくする第2制動力制御手段を設けたこ
    とを特徴とする車両の複数輪独立操舵装置。
  19. 【請求項19】前記請求項8に記載した車両の複数輪独
    立操舵装置において、 前記偏向修正手段は、前記異常検出手段により前記複数
    の操舵機構のうちの前後2輪に対応した二つの操舵機構
    の異常が検出されたとき、同異常の検出された操舵機構
    に対応した各車輪と左右反対側の前後2輪に対応した各
    操舵機構を制御して、同左右反対側の前後2輪を前記異
    常の検出された二つの操舵機構に対応した前後2輪と左
    右反対方向に操舵するものである車両の複数輪独立操舵
    装置。
  20. 【請求項20】前記請求項8に記載した車両の複数輪独
    立操舵装置において、 前記偏向修正手段は、前記異常検出手段により前記複数
    の操舵機構のうちの前後2輪に対応した二つの操舵機構
    の異常が検出されたとき、同異常の検出された操舵機構
    に対応した各車輪と左右反対側の前後2輪に対応した各
    操舵機構を制御して、同左右反対側の前後2輪を前記異
    常の検出された二つの操舵機構に対応した前後2輪の各
    舵角の平均値にそれぞれ操舵するものである車両の複数
    輪独立操舵装置。
  21. 【請求項21】前記請求項8に記載した車両の複数輪独
    立操舵装置において、 前記偏向修正手段は、前記異常検出手段により前記複数
    の操舵機構のうちの三つの操舵機構の異常が検出された
    とき、同異常の検出された三つの操舵機構以外の操舵機
    構を制御して、同三つの操舵機構以外の操舵機構に対応
    した車輪を前記三つの操舵機構に対応した車輪による車
    両の偏向量を打ち消す方向に操舵するものである車両の
    複数輪独立操舵装置。
  22. 【請求項22】前記請求項8に記載した車両の複数輪独
    立操舵装置において、 前記異常検出手段により前記複数の操舵機構のうちのい
    ずれか三つ以上の操舵機構又は前後2輪に対応した二つ
    の操舵機構の異常が検出されたとき、車両を停止制御す
    る停止制御手段を備えたことを特徴とする車両の複数輪
    独立操舵装置。
  23. 【請求項23】左右前後の4輪にそれぞれ対応して設け
    られて同4輪を独立して操舵可能な四つの操舵機構と、 操舵ハンドルの回動操作に応答して前記四つの操舵機構
    をそれぞれ制御することにより前記4輪を独立して操舵
    する操舵制御手段とを備えた車両の複数輪独立操舵装置
    において、 前記四つの操舵機構の異常を検出する異常検出手段と、 前記4輪に独立して制動力を付与することが可能な制動
    力付与手段と、 前記異常検出手段によって前記四つの操舵機構のうちの
    いずかの異常が検出されたとき、前記制動力付与手段を
    制御して前記4輪に対する制動力の付与を調整すること
    により、前記操舵機構の異常による車両の偏向を修正す
    る偏向修正手段とを設けたことを特徴とする車両の複数
    輪独立操舵装置。
  24. 【請求項24】車両における複数の車輪にそれぞれ対応
    して設けられて前記複数の車輪を独立して操舵可能な複
    数の操舵機構を備えた車両の複数輪独立操舵装置におい
    て、 前記複数の操舵機構の異常をそれぞれ検出する異常検出
    手段と、 前記異常検出手段により異常の検出された操舵機構に対
    応した車輪のタイヤ摩擦力を減少させる摩擦力制御手段
    とを設けたことを特徴とする車両の複数輪独立操舵装
    置。
  25. 【請求項25】前記請求項24に記載した車両の複数輪
    独立操舵装置において、 前記摩擦力制御手段を、前記異常検出手段により異常の
    検出された操舵機構に対応した車輪のタイヤ空気圧を他
    の車輪のタイヤ空気圧よりも高めるタイヤ空気圧制御手
    段で構成した車両の複数輪独立操舵装置。
  26. 【請求項26】前記請求項24に記載した車両の複数輪
    独立操舵装置において、 前記摩擦力制御手段を、前記異常検出手段により異常の
    検出された操舵機構に対応した車輪位置の車高に対して
    他の車輪位置の車高を高める車高制御手段で構成した車
    両の複数輪独立操舵装置。
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