JP2013198174A - 車両の駆動力制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】旋回時の車両の操作性の向上に役立つ駆動力制御装置を提供する。
【解決手段】車両の駆動力制御装置は、運転者のための操作部と、操作部への入力に基づいて車両の駆動力を制御するための制御部と、転舵輪の転舵角を検出するための検出部と、を備える。制御部は、検出された転舵角に応じて、例えば車両の鉛直方向周りの回転運動の自由度についての転舵輪の転がり抵抗に起因する減速度を小さくするよう駆動力を補正する。制御部は、車両の信地旋回又は超信地旋回に相当する転舵角で駆動力の補正をしてもよい。
【選択図】図4
【解決手段】車両の駆動力制御装置は、運転者のための操作部と、操作部への入力に基づいて車両の駆動力を制御するための制御部と、転舵輪の転舵角を検出するための検出部と、を備える。制御部は、検出された転舵角に応じて、例えば車両の鉛直方向周りの回転運動の自由度についての転舵輪の転がり抵抗に起因する減速度を小さくするよう駆動力を補正する。制御部は、車両の信地旋回又は超信地旋回に相当する転舵角で駆動力の補正をしてもよい。
【選択図】図4
Description
本発明は、車両の駆動力制御装置に関する。
特許文献1には、車両の駆動力源からタイヤにトルクを伝達するにあたり、タイヤと路面との間の摩擦係数を制御することの可能な駆動力制御装置が開示されている。この装置は、タイヤに伝達する要求トルクを基準として交番的に変化する振動トルクによってタイヤと路面との間における摩擦係数を制御する。この制御においては、車両の旋回走行時の要求トルクは、コーナリング抵抗力に対応させて、直進走行時の要求トルクよりも高く設定されている。
通常に比べて大きな舵角の旋回のための駆動力制御について考察を進めた例は稀である。特許文献1においても、大舵角に特有の状況までは考慮されていない。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、旋回時の車両の操作性の向上に役立つ駆動力制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両の駆動力制御装置は、運転者のための操作部と、前記操作部への入力に基づいて車両の駆動力を制御するための制御部と、転舵輪の転舵角を検出するための検出部と、を備える。前記制御部は、検出された転舵角に応じて、車両の旋回運動に関連する自由度についての前記転舵輪の転がり抵抗に起因する減速度を小さくするよう前記駆動力を補正する。
この態様によると、車輪の転がり抵抗に着目した駆動力の補正が提供される。車両が直進するとき転がり抵抗は車両進行方向に作用するのに対し、車両が旋回するとき転がり抵抗は車両進行方向から外れて車輪の転舵方向に向けられる。転舵角が大きいほど転がり抵抗の向きの変化量も大きくなる。転がり抵抗の向きが変わることで、転がり抵抗は、車両進行方向のみならず、それとは別の運動自由度における走行抵抗としても働くようになる。その結果、車両の旋回運動に関連する自由度に、転がり抵抗に起因する車両減速度が現れ得る。
すなわち、転舵輪の転がり抵抗はその転舵角に応じて、車両旋回運動に関連する自由度における走行抵抗に寄与する。そうした寄与分は当該自由度についての減速度を増加させる。減速度の大きさは、通常の小舵角のとき実際上無視できる程度に小さいかもしれないが、通常を超える大舵角のとき運転者に感知される程度に大きくなり得る。
そこで、車両の旋回運動に関連する自由度についての転舵輪の転がり抵抗に起因する減速度を小さくするように、転舵角に応じて駆動力が補正される。言い換えれば、転がり抵抗が車輪の転舵方向に向くことで当該自由度に出現する走行抵抗の増分の少なくとも一部を相殺するように、転舵角に応じて駆動力が補正される。このようにして、車輪の転舵角に応じた力学的なバランスの変化に順応することができる。旋回のたびに転舵角に応じて運転者が手動で駆動力を調整する度合いを小さくすることができるので、運転者にとって操作性が向上する。例えば、大舵角のときにも通常の小舵角に近い感覚で運転者は操作することができる。
なおここで、車両の旋回運動に関連する自由度は、車両の前後方向の直線運動方向(例えば、X軸方向)、車幅方向に平行な直線運動方向(例えば、Y軸方向)、及び、車両の前後方向及び車幅方向に垂直な軸まわりの回転運動方向(例えば、Z軸まわりの回転)のうち少なくとも1つであってもよい。
前記制御部は、前記転舵角が所定の転舵角範囲にあるときに前記駆動力の補正をするよう構成されていてもよい。当該所定の転舵角範囲は、車両の信地旋回に相当する転舵角以上の転舵角範囲を含んでもよい。
車両が大きな舵角で小回りをするとき、車両の運動は信地旋回、更には超信地旋回になることがある。こうした大舵角に特有の状況では、直進時と比べて力学的なバランスが特に大きく変わる。車両の信地旋回に相当する転舵角以上の転舵角を含む範囲で駆動力を補正することにより、通常旋回から信地旋回に移行する際の変化を補償することができる。通常旋回から信地旋回への車両状態の切り替わりを特別に意識することを要しないスムーズな操作を運転者に提供することが可能となる。
前記自由度は、車両の鉛直方向周りの回転運動の自由度を含んでもよい。
転がり抵抗が車両進行方向から逸れて車輪の転舵方向に向けられるとき、影響が比較的大きく現れるのは、車両の鉛直方向周りの回転運動である。転がり抵抗による車両重心周りのモーメントが転舵角に応じて変わる。そこで、車両の鉛直方向周りの回転の自由度について優先的に駆動力を補正することが、転舵角に応じた力学的バランスの変化に順応するうえで効率的である。
前記操作部への入力に基づき、前記転舵角から独立に初期指令値を決定するための初期演算部を備えてもよい。前記制御部は、前記自由度に関して走行抵抗と駆動力とのつりあいを保つように、前記転舵角に応じて前記初期指令値を補正するための補正演算部を備えてもよい。
このようにすれば、初期指令値が運転者の操作部への入力から決定され、走行抵抗と駆動力とのつりあいを保つように初期指令値が補正される。運転者が転舵角に依存させて駆動力の操作を調整しなくても、走行抵抗と駆動力とのつりあいが自動的に保たれる。転舵角に依らずに同様の感覚で操作することができるので、運転者にとって操作性がいっそう向上する。
前記制御部は、車両の旋回のために車輪がねじられることで生じる抵抗力の少なくとも一部を相殺するように前記駆動力を増加させる第2の補正を実行してもよい。
このようにすれば、車輪のねじりが大きくなる場合にも適切な駆動力を得ることが可能となる。例えば、信地旋回のとき旋回中心にあたる車輪は大きくねじられて、走行抵抗が大きくなる。この場合、他の車輪に与える駆動力を大きくすることで、運転者の追加の操作を待たずに信地旋回をスムーズに継続することができる。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システム、プログラムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、旋回時の車両の操作性の向上に役立つ駆動力制御装置が提供される。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
図1は、本発明のある実施の形態に係る駆動力制御装置に適する車両を示す図である。図2は、図1に示す車両の運動制御のための構成の概略を示す図である。図1及び図2に示されるように、本車両は、車体10と、平面視で車体10に菱形に配置された4つの車輪と、を備える。これら4つの車輪は、前輪12Fr、後輪12Rr、左輪14L、及び右輪14Rからなる。
前輪12Frは車体10の前部に設けられ、後輪12Rrは車体10の後部に設けられている。前輪12Fr及び後輪12Rrは、車幅方向における中央に配設されている。左輪14Lは車体10の左部に設けられ、右輪14Rは車体10の右部に設けられている。左輪14L及び右輪14Rは、車両の前後方向における中央に配設されている。よって、左輪14L及び右輪14Rは、車両の前後方向において前輪12Frと後輪12Rrとの中間に設けられている。左輪14L及び右輪14Rは、中輪と呼ぶこともできる。
本車両においては、前輪12Fr及び後輪12Rrがそれぞれ転舵輪として構成されている。また、左輪14L及び右輪14Rがそれぞれ駆動輪として構成されている。言い換えれば、前輪12Fr及び後輪12Rrは従動輪であり、左輪14L及び右輪14Rは非操舵輪である。以下では説明の便宜上、前輪12Fr及び後輪12Rrを転舵輪12と総称し、左輪14L及び右輪14Rを駆動輪14と総称することがある。すべての車輪を総称するために車輪12、14と表記することがある。また、各車輪に関連する構成要素についても同様の添字及び総称を用いることがある。
本車両には、運転者の操作を受け付けるために、3つの操作部材が設けられている。運転者が車両の操舵をするためのステアリングホイール20と、運転者が車両を加速させるためのアクセルペダル22と、運転者が車両を減速させるためのブレーキペダル24である。本車両には、操作部材に運転者が入力する操作量を検出するためのセンサが設けられている。ステアリングホイール20には操舵角θを検出するためのステアリングセンサ21が設けられている。アクセルペダル22にはアクセル操作量a0を検出するためのアクセルセンサ23が設けられ、ブレーキペダル24にはブレーキ操作量b0を検出するためのブレーキセンサ25が設けられている。
本車両の車輪12、14は、ホイール本体26と、その外周を取り巻くタイヤ28と、を備える。タイヤ28が路面に接地する。
転舵輪12は、いわゆるステアバイワイヤにより転舵される。図2に示されるように、転舵輪12を所望の転舵角で転舵するための転舵装置30が設けられている。転舵装置30は例えば、転舵輪12の転舵動作のための転舵アクチュエータを備える。転舵装置30は、操作入力に基づいて生成される制御信号によって転舵輪12に転舵動作を与える。また、転舵装置30は、転舵角の上限δmaxを機械的に定めるためのストッパ機構を備えてもよい。転舵角の上限δmaxは例えば、右旋回及び左旋回ともに90度であってもよい。
前輪12Frには前輪転舵装置30Frが設けられ、後輪12Rrには後輪転舵装置30Rrが設けられている。前輪転舵装置30Frは前輪転舵角δFrを制御し、後輪転舵装置30Rrは後輪転舵角δRrを制御する。本車両は、前輪転舵角δFrを検出するための前輪転舵角センサ32Frと、後輪転舵角δRrを検出するための後輪転舵角センサ32Rrと、を備える。前輪転舵角δFrと後輪転舵角δRrとは独立に制御されることが可能であるが、通常は所与の旋回を実現するために、前輪転舵角δFrに後輪転舵角δRrを関係づけるように前輪転舵装置30Fr及び後輪転舵装置30Rrは制御される。
一方、駆動輪14に所望の駆動力を与えるための駆動装置34が設けられている。駆動装置34は例えば、ホイール本体26の内部に仕込まれたインホイールモータを備える。左輪14Lには左輪駆動装置34Lが設けられ、右輪14Rには右輪駆動装置34Rが設けられている。左輪駆動装置34Lが左輪14Lに与える駆動力と、右輪駆動装置34Rが右輪14Rに与える駆動力とは独立に制御することができる。駆動装置34は駆動輪14を正転させ又は逆転させられるように構成されている。よって駆動装置34は、車両の超信地旋回のために、左輪14L及び右輪14Rの一方を正転させ他方を逆転させることも可能である。
また、駆動輪14を制動するための制動装置36も設けられている。左輪14Lには左輪制動装置36Lが設けられ、右輪14Rには右輪制動装置36Rが設けられている。
本車両には上記のセンサに加えて、車両の走行状態を検出するための種々のセンサが設けられている。例えば、車両の走行速度vを検出するための車速センサ38、車両に生じている横加速度Gyを検出するための横加速度センサ40、車両のヨーレートγを検出するためのヨーレートセンサ42がある。
本車両の運動は、制御ユニット50を中核とする車両運動制御システムによって制御される。制御ユニット50は、少なくとも1つの電子制御ユニット(以下では単にECUという)を備える。ECUは例えば、コンピュータ、各種モータ及び各種アクチュエータ等のドライバ等からなる。制御ユニット50は、上記の各種センサからの入力に基づいて、転舵装置30、駆動装置34、及び制動装置36を制御するよう構成されている。
例えば車両の旋回運動については、制御ユニット50は、ステアリングホイール20の操舵角θに基づいて目標横加速度を決定する。制御ユニット50は、目標横加速度と現在横加速度との偏差から、前輪転舵装置30Frのための目標前輪転舵角と、後輪転舵装置30Rrのための目標後輪転舵角と、を決定する。目標後輪転舵角については、制御ユニット50は、目標ヨーレートと現在ヨーレートとの偏差を加味して決定してもよい。制御ユニット50は、目標前輪転舵角を実現するよう前輪転舵装置30Frを制御し、目標後輪転舵角を実現するよう後輪転舵装置30Rrを制御する。このようにして、ステアリングホイール20への運転者の操作に応じて転舵輪12の転舵角が制御される。車両の旋回制御は任意の公知の方式であってもよい。
なお、本明細書では車両の旋回に関して、通常旋回、信地旋回、及び超信地旋回との用語を使用することがある。これらの用語は、旋回の状態を主として車両の旋回中心の位置によって区分している。旋回中心が旋回内輪よりも車両の外側にある場合を通常旋回と呼ぶ。旋回中心が旋回内輪にあたる場合を信地旋回と呼ぶ。旋回中心が旋回内輪よりも車両の内側にある場合を超信地旋回と呼ぶ。通常旋回、信地旋回、超信地旋回の順に転舵角(又は操舵角)が大きくなる。信地旋回はある特定の角度で生じ、その角度は通常旋回の角度範囲と超信地旋回の角度範囲との境界となる。
制御ユニット50は、車両の駆動力を制御するための駆動力ECU100を備える。駆動力ECU100は、アクセル操作量a0から総駆動力指令値を生成する。総駆動力指令値は例えば、アクセル操作量a0に比例する値である。駆動力ECU100は、総駆動力指令値を左輪初期指令値と右輪初期指令値とに配分する。総駆動力指令値は例えば、左輪初期指令値と右輪初期指令値とに均等に配分される。駆動力ECU100は、左輪初期指令値を目標値として左輪駆動装置34Lを制御し、右輪初期指令値を目標値として右輪駆動装置34Rを制御する。例えば車両が直進するときには、このようにして運転者のアクセル操作に応じて駆動輪14が制御される。
駆動力ECU100は、必要に応じて、これらの初期指令値を補正する。補正処理を通じて、左輪初期指令値は左補正済指令値へと調整され、右輪初期指令値は右補正済指令値へと調整される。この補正処理は、本実施の形態に係る補正を含み、更に任意の公知の補正を含んでもよい。駆動力ECU100は、左補正済指令値を目標値として左輪駆動装置34Lを制御し、右補正済指令値を目標値として右輪駆動装置34Rを制御する。例えば車両が旋回するときには、このようにして運転者のアクセル操作に応じた車両の駆動力制御が提供されてもよい。
制動力制御についても同様である。制御ユニット50は、ブレーキ操作量b0から、左輪制動装置36Lのための左目標減速度と、右輪制動装置36Rのための右目標減速度と、を決定する。制御ユニット50は、左目標減速度を実現するよう左輪制動装置36Lを制御し、右目標減速度を実現するよう右輪制動装置36Rを制御する。このようにして、運転者のブレーキ操作に応じて駆動輪14に制動力が与えられる。
図3は、本発明のある実施の形態に係る駆動力制御装置の構成を説明するための制御ブロック図である。本実施の形態に係る駆動力制御装置は、駆動力ECU100と、操作部102と、検出部104と、駆動力生成部106と、を備える。
運転者のための操作部102は、駆動力についての運転者の操作を受け付けて、その操作量を駆動力ECU100に出力するよう構成されている。操作部102は、アクセルペダル22と、アクセルセンサ23と、を備える。操作部102から駆動力ECU100への出力は、アクセルセンサ23の測定値であるアクセル操作量a0を含む。
検出部104は、転舵輪12の転舵角を検出するよう構成されている。検出部104は、検出された転舵角を駆動力ECU100に出力するよう構成されている。検出部104は、前輪転舵角センサ32Frと、後輪転舵角センサ32Rrと、を備える。検出部104から駆動力ECU100への出力は、前輪転舵角センサ32Frの測定値である前輪転舵角δFrと、後輪転舵角センサ32Rrの測定値である後輪転舵角δRrと、を含む。
駆動力生成部106は、駆動力の目標値に基づいて車両に駆動力を与えるよう構成されている。駆動力の目標値は上述のように、駆動力ECU100により設定され、駆動力ECU100から駆動力生成部106に与えられる。駆動力生成部106は、左輪駆動装置34Lと、右輪駆動装置34Rと、を備える。
駆動力ECU100は、操作部102への運転者の入力に基づいて駆動力の指令値を生成するよう構成されている。駆動力ECU100は、初期演算部108と、補正演算部110と、を備える。初期演算部108は、操作部102への運転者の入力に基づいて駆動力の初期指令値を決定する。初期演算部108は、例えば上述のように、左輪初期指令値及び右輪初期指令値を決定する。駆動力ECU100は、後述の補正処理をすることなく、初期指令値を駆動力生成部106に出力することができる。
補正演算部110は、初期指令値の補正処理のために設けられている。補正演算部110は、それぞれ異なる補正処理を実行するための1つ又は複数の補正部を備える。駆動力ECU100は、複数の補正処理のうち少なくとも1つを初期指令値に適用し、補正済指令値を駆動力生成部106に出力する。補正演算部110は、例えば上述のように、左補正済指令値及び右補正済指令値を駆動力生成部106に出力する。
補正演算部110は例えば、第1補正処理のための第1補正部112と、第2補正処理のための第2補正部114と、を備える。詳しくは後述するように、第1補正処理は転舵輪の転がり抵抗の車両旋回による向きの変化に着目した駆動力の補正である(例えば図4を参照)。第2補正処理は信地旋回中に旋回中心となる駆動輪14のタイヤ28が大きくねじられることに着目した駆動力の補正である(図9参照)。
なお、図2及び図3に示す駆動力ECU100は、本実施の形態に係る駆動力制御装置を統括的に制御するもので、ハードウエアとしては、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現され、ソフトウエアとしてはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
図4は、本発明のある実施の形態に係る駆動力の指令値生成処理を説明するためのフローチャートである。この指令値生成処理は、上述の車両運動制御の、特に駆動力制御の一部を構成しており、上述の第1補正処理を含む。駆動力ECU100は例えば所定の制御周期で本生成処理を実行する。
処理が開始されると、駆動力ECU100は、操作部102及び検出部104から入力を受ける(S10)。操作部102から駆動力ECU100へとアクセル操作量a0が入力される。検出部104から駆動力ECU100へと前輪転舵角δFr及び後輪転舵角δRrが入力される。駆動力ECU100の初期演算部108は、アクセル操作量a0に応じた駆動力指令値Faccelを演算する(S12)。駆動力指令値Faccelは、左輪14Lと右輪14Rとで共通に使用される未補正の値であり、前輪転舵角δFr及び後輪転舵角δRrから独立に決定される。
駆動力ECU100は、補正要否判定を実行する(S14)。駆動力ECU100は、補正許可条件が成立しているか否かを判定する。補正許可条件は複数の条件を含んでもよく、それら複数条件の少なくとも1つが成立したときに、駆動力ECU100は、補正処理を許可してもよい。あるいは、すべての条件が成立したときに、駆動力ECU100は、補正処理を許可してもよい。
補正許可条件は例えば、補正処理のための所定の転舵角範囲に前輪転舵角δFrがあることを含んでもよい。同様に、補正許可条件は例えば、補正処理のための所定の転舵角範囲に後輪転舵角δRrがあることを含んでもよい。
補正が許可される転舵角範囲は例えば、車両の信地旋回に相当する転舵角δx以上の転舵角範囲(つまり、車両の信地旋回及び超信地旋回に相当する転舵角範囲)である。車両が通常旋回から信地旋回に切り替わる際に走行抵抗が大きく変わる。逆に信地旋回から通常旋回に戻るときも同様である。そうした切り替わりに際して、補正された駆動力が走行抵抗の変化を少なくとも部分的に補償することができる。
こうした利点を同様に得るために、補正が許可される転舵角範囲は例えば、車両の信地旋回に相当する転舵角δxを含む範囲であってもよい。補正が許可される転舵角範囲の上限は例えば、転舵装置30が定める転舵角の上限δmaxである。補正が許可される転舵角範囲の下限は例えば、車両の信地旋回に相当する転舵角δxから所定の余裕αを差し引いて得られる値δx−αであってもよい。
車両の信地旋回に相当する転舵角δxは例えば、制御ユニット50による車両の旋回制御により定まる。転舵輪12の転舵角δとステアリングホイール20の操舵角θとは対応関係をもつから、ある操舵角θxが車両の信地旋回に相当する転舵角δxに対応すると実際上みなすことができる場合もある。よって、補正許可条件は、転舵角範囲に代えて、操舵角範囲で同様に規定されてもよい。例えば、駆動力ECU100は、運転者の操作による操舵角が所定の範囲にあるときに駆動力の補正をするよう構成されており、当該範囲は、車両の信地旋回に相当する操舵角θx以上の操舵角範囲を含んでもよい。
また、補正許可条件は、車両が旋回中であること(つまり、直進中でないこと)を含んでもよい。車両が直進中である場合には、車両の旋回中に生じ得る走行抵抗変化に関連する補正は不要である。よって、駆動力ECU100は、車両が旋回中である場合に補正処理をするようにしてもよい。この場合、駆動力ECU100は、車両の旋回中に任意の転舵角で(転舵角の大小を問わず)補正処理を実行してもよい。
補正許可条件が成立している場合には(S14のY)、駆動力ECU100の第1補正部112は、第1補正処理を実行する(S16)。第1補正処理は、補正のための係数を演算する処理(S17)と、演算された補正係数を使用して駆動力指令値Faccelを補正する処理(S18)と、を含む。
補正係数は、左輪14Lのための左係数fL(δ)と、右輪14Rのための右係数fR(δ)と、を含む。これらの補正係数fL(δ)、fR(δ)はそれぞれ、前輪転舵角δFr及び後輪転舵角δRrに応じた値をとる。第1補正部112は、予め定められたアルゴリズムに従って、前輪転舵角δFr、後輪転舵角δRr、及びその他の必要パラメタから、補正係数fL(δ)、fR(δ)を都度演算してもよい。あるいは、第1補正部112は、予め作成されているマップを使用して、前輪転舵角δFr及び後輪転舵角δRrに対応する補正係数fL(δ)、fR(δ)を選択してもよい。
第1補正部112は、左輪14Lのための補正された駆動力指令値FLを、未補正の駆動力指令値Faccelと左係数fL(δ)との積で与える。同様に、第1補正部112は、右輪14Rのための補正された駆動力指令値FRを、未補正の駆動力指令値Faccelと右係数fR(δ)との積で与える。すなわち、
FL=Faccel×fL(δ),FR=Faccel×fR(δ)
である。このようにして、補正係数fL(δ)、fR(δ)により、左右の駆動力指令値FL、FRが初期値Faccelから補正される。
FL=Faccel×fL(δ),FR=Faccel×fR(δ)
である。このようにして、補正係数fL(δ)、fR(δ)により、左右の駆動力指令値FL、FRが初期値Faccelから補正される。
補正係数決定のための基本コンセプトは、車輪の転舵角に応じた力学的なバランスの変化に駆動力を順応させる点にある。走行抵抗のうち転がり抵抗については、転舵角に応じて作用する向きが変わる。直進時に転がり抵抗の向きは車両進行方向に一致するが、転舵によりその向きから逸れる。そのため、車両進行方向の転がり抵抗成分は減る。その代わりに別の運動自由度に転がり抵抗の影響が現れる。そうした変化に順応するように、補正係数fL(δ)、fR(δ)が調整される。
そこで、第1補正部112は、転舵角δFr、δRrによって変化する走行抵抗が、車両進行方向の合力と車両重心周りの合モーメントとのそれぞれについて駆動力とつりあうように、補正係数fL(δ)、fR(δ)を決定する。このようにすれば、転がり抵抗の作用方向変化によって車両進行方向の合力と車両重心周りの合モーメントとのそれぞれに現れる走行抵抗変化を打ち消すように駆動力を補正することができる。
駆動力ECU100は、補正された駆動力指令値FL、FRを駆動力生成部106に出力する(S20)。補正された駆動力指令値FL、FRを駆動力生成部106に出力すると、駆動力ECU100は、本指令値生成処理を終了する。左輪駆動装置34L及び右輪駆動装置34Rはそれぞれ、駆動力指令値FL、FRを目標値として左輪14L及び右輪14Rの駆動力を制御する。
一方、補正許可条件が成立していない場合には(S14のN)、第1補正処理は実行されない。この場合、駆動力ECU100は、未補正の駆動力指令値Faccelを駆動力生成部106に出力する(S20)。駆動力指令値Faccelを駆動力生成部106に出力すると、駆動力ECU100は、本指令値生成処理を終了する。左輪駆動装置34L及び右輪駆動装置34Rはそれぞれ、駆動力指令値Faccelを目標値として左輪14L及び右輪14Rの駆動力を制御する。
第1補正処理のための補正係数fL(δ)、fR(δ)を下記に例示する。図5は、本発明のある実施の形態に係る車両に作用する力を概略的に示す図である。図5において、x軸は車両の進行方向を表し、y軸は車両の横方向を表し、z軸は車両の上下方向を表す。また、図5には車両の左旋回の場合を例示する。図5には、車輪12、14に作用する転がり抵抗と駆動力とを示し、その他の力については図示を省略している。
前輪12Frには転がり抵抗RFrが進行方向と逆向きに前輪転舵角δFrの方向に作用し、後輪12Rrには転がり抵抗RRrが進行方向と逆向きに後輪転舵角δRrの方向に作用する。左輪14Lには、進行方向に駆動力FLが作用し、進行方向と逆向きに転がり抵抗RLが作用する。右輪14Rには、進行方向に駆動力FRが作用し、進行方向と逆向きに転がり抵抗RRが作用する。
ここで、車両重心から前輪12Frまでの距離をlFr、車両重心から後輪12Rrまでの距離をlRrと表す。また、車両重心から左輪14Lまでの距離をdL、車両重心から右輪14Rまでの距離をdRと表す。
この場合、転がり抵抗の進行方向(x軸方向)の合力Rxと重心周り(z軸周り)の合モーメントRzとは、次式(1)ないし(4)で表される。このうち、式(1)及び(2)は直進、通常旋回、及び信地旋回の場合であり、式(3)及び(4)は信地旋回及び超信地旋回の場合である。
・直進ないし信地旋回の場合:
・信地旋回ないし超信地旋回の場合:
・直進ないし信地旋回の場合:
式(1)と(3)、あるいは式(2)と(4)の違いは、左輪14Lの項の符号である。左旋回の場合、信地旋回を境に左輪14Lの進行方向が前進から後退に切り替わるからである。よって右旋回の場合には右輪14Rの項の符号が切り替わる。
転がり抵抗は、転がり抵抗係数、質量、及び重力加速度の積の形式で表すことができる。よって、各車輪の転がり抵抗係数をμFr、μL、μR、μRr、各車輪の分担する質量をmFr、mL、mR、mRr、重力加速度をgと表すと、各車輪の転がり抵抗RFr、RL、RR、RRrはそれぞれ次式(5)で表すことができる。
式(1)ないし(4)のそれぞれに式(5)を代入することにより、次式(6)ないし(9)が得られる。ここで、簡単のために、各車輪の転がり抵抗係数が共通の値μrに等しいと仮定した。すなわち、μr=μFr=μL=μR=μRrである。また、車両の質量をmと表している。m=mFr+mL+mR+mRrである。
・直進ないし信地旋回の場合:
・信地旋回ないし超信地旋回の場合:
・直進ないし信地旋回の場合:
転がり抵抗のx軸方向の合力Rx及びz軸周りの合モーメントRzについて、式(6)ないし(9)に基づく計算例を図6、図7に示す。計算のためには、前輪転舵角δFrと後輪転舵角δRrとの関係を定める必要がある。ここでは、簡単な一例として、幾何学的に定まる旋回中心が前輪12Frと後輪12Rrとで一致するものとした。つまり、前輪車軸及び左右輪車軸の延長線の交点と後輪車軸及び左右輪車軸の延長線の交点とが一致するものとした。また、車両重心が左右輪車軸の上にあるとも仮定した。すなわち、
とした。また、各パラメタmFr、mL、mR、mRr、lFr、lRr、dL、dRに適当な値を仮定して代入している。転がり抵抗係数μrについては、μr=0.1、0.2、0.3の3通りを計算した。
図6及び図7は、前輪転舵角δFrに対する合力Rx及び合モーメントRzを表す。図からわかるように、信地旋回に相当する前輪転舵角δFrは約60度である。信地旋回を境に大きく特性が変わる。これは、旋回内輪の進行方向が切り替わるためであり、このとき、
の関係が成り立つ。
また、図6及び図7から、前輪転舵角δFrが大きくなるにつれて、x軸方向の合力が減少する一方、z軸周りの合モーメントRzが増加する傾向にあることがわかる。つまり、転舵角が小さいときは概ね車両進行方向に向けられていた転がり抵抗が、転舵角の増加につれてz軸周りの走行抵抗に振り向けられていくことが示されている。
式(6)ないし(9)と式(16)及び(17)とを対比すると、補正係数fL(δ)、fR(δ)を次式(18)ないし(21)を満たすように設定してもよいことがわかる。
・直進ないし信地旋回の場合:
・信地旋回ないし超信地旋回の場合:
・直進ないし信地旋回の場合:
このとき、駆動力指令値の初期値Faccelについては、転がり抵抗μrmgを打ち消すように設定されればよい。転がり抵抗μrmgは転舵角に依存しないから、初期値Faccelについては、転舵角に応じて調整する必要がない。初期値Faccelは単に、運転者のアクセル操作量に応じて設定すればよい。転舵角に応じた補正は補正係数fL(δ)、fR(δ)が担う。したがって、補正された駆動力FL、FRによれば、運転者は転舵角に依らず同じようなアクセル操作量で運転することができる。
なお、図6及び図7と同様の条件での補正係数fL(δ)、fR(δ)の計算例を図8に示す。
図9は、本発明のある実施の形態に係る駆動力の指令値生成処理を説明するためのフローチャートである。図9に示す処理は、図4に示す処理に上述の第2補正処理を付加したものである。図9において図4と共通する部分については重畳を避けるため説明を適宜省略する。
第2補正処理は、信地旋回のためにタイヤ28がねじられることで生じる走行抵抗を相殺するために駆動力を補正する処理である。信地旋回の際には車両の旋回中心となる旋回内輪側のタイヤ28は転動せずにその場で大きくねじられることになる。これは車両の旋回にあたって大きな抵抗となる。そこで、第2補正処理においては、信地旋回でタイヤ28がねじられることで発生する抵抗力を補償するように、旋回外輪側の駆動力が増加される。よって、左旋回の場合には右輪14Rの駆動力が増加され、右旋回の場合には左輪14Lの駆動力が増加される。
図9に示されるように、第1補正処理(S16)に続いて、第2補正処理(S22)が実行される。第2補正処理は、信地旋回判定(S23)と、駆動力かさ上げ処理(S24)と、を含む。第2補正処理は上述のように第2補正部114(図3参照)が担う。
第2補正処理において、第2補正部114は、信地旋回をしているか否かを判定する(S23)。第2補正部114は例えば、転舵輪12の転舵角が信地旋回相当の転舵角δxに一致すると判定されるとき、車両が信地旋回中であると決定する。検出される転舵角が信地旋回相当の転舵角δxまたはその近傍にあるとき、転舵輪12の転舵角が信地旋回相当の転舵角δxに一致するとみなすことができる。第2補正部114は、ステアリングホイール20の操舵角が信地旋回相当の操舵角θxに一致すると判定されるとき、車両が信地旋回中であると決定してもよい。
信地旋回中である場合には(S23のY)、第2補正部114は、駆動力かさ上げ処理を実行する(S24)。第2補正部114は、旋回内輪側のタイヤ28に発生する抵抗を相殺するための駆動力かさ上げ量を旋回外輪側の駆動力指令値に加える。この駆動力指令値は第1補正処理で補正された値である。第2補正部114は、駆動力かさ上げ量を、例えば予め作成されているマップを使用して求める。このようにして第1補正処理の駆動力指令値にかさ上げ量を加算した値が、駆動力ECU100から駆動力生成部106に出力される(S20)。
一方、信地旋回中でない場合には(S23のN)、第2補正部114は、駆動力かさ上げ処理を実行しない。この場合、第1補正処理によって補正された駆動力指令値が、駆動力ECU100から駆動力生成部106に出力される(S20)。
第2補正処理によれば信地旋回の際に、制御により駆動力がかさ上げされる。よって、運転者が信地旋回のためにアクセル操作量を大きく増やす必要がなく、運転者にとって信地旋回時の車両の操作性が向上される。
なお、図9に示す指令値生成処理は、第1補正処理と第2補正処理の両方を含む。しかし、ある実施の形態においては、駆動力の指令値生成処理は、第1補正処理を含まずに第2補正処理を含んでもよい。駆動力ECU100は、第1補正処理を実行せずに第2補正処理を実行してもよい。この場合、初期指令値Faccelが第2補正処理により補正される。
以上の構成を備える本実施の形態に係る駆動力制御装置の動作を説明する。車両が直進しているときは、運転者のアクセル操作量に応じて左右の駆動輪14に均等に駆動力を発生させる通常の駆動力制御が行われている。運転者の操舵により車両が旋回するとき、上述の補正処理によって左右の駆動力が個別に補正される。転舵輪12の転舵角が小さいときには駆動力の補正量も小さいか、または補正がなされない。転舵輪12の転舵角が大きいときには、補正量も大きくなる。特に、信地旋回や超信地旋回のような大舵角での小回りのときには、駆動力が顕著に補正される。しかし、駆動力は走行抵抗の変化に順応するよう補正されるので、運転者は駆動力補正を感知しない。
以上説明したように、本実施の形態によれば、運転者は旋回時にアクセル操作量を直進時と比べて大きく変えることなく車両を運転することができる。車両を大舵角で小回りさせるときでさえ、アクセル操作量を大幅に増やすことなく運転することができる。
以上、本発明を上述の各実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の各実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて各実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を各実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
上述の実施の形態に係る駆動力補正は、車輪が菱形に配置された車両以外の車両に適用することもできる。例えば、前輪12Frまたは後輪12Rrのいずれかを有しない3輪の車両にも適用することができる。また、方形に4輪が配置される通常型の車両にも適用可能である。こうした車両は信地旋回をしないよう構成されていてもよい。駆動力ECU100は、信地旋回に相当する転舵角δx未満の角度範囲のうち大舵角の部分において駆動力補正をするようにしてもよい。
駆動輪14は必ずしも2つでなくてもよい。駆動輪は1つであってもよいし、2つより多くてもよい。駆動輪が例えば1つである場合、導入される補正係数も1つとなる。この場合、上述の重心周りのモーメントについてのつりあいを保つように補正係数を決定することができる。あるいは、進行方向と重心周りの両方について完全にはつりあいが保たれないが、無補正よりは改善されるように補正係数を決定することが可能であるかもしれない。同様にして、駆動輪が2以上である場合に、導入される補正係数が駆動輪数より少数であってもよい。なお転舵輪12についても同様に、必ずしも2つでなくてもよい。
上述の車両のように、すべての車輪が転舵輪12と駆動輪14に区分されなくてもよい。例えば、転舵輪でありかつ駆動輪である車輪が車両に設けられていてもよい。この場合にも上述の実施の形態と同様にして、いくつかの運動自由度について走行抵抗と駆動力とのつりあいを考慮し、転がり抵抗の影響を軽減するよう駆動力の補正係数を決定することができる。この場合、駆動力の向きを変えることができるので、車両の横方向の運動自由度についてもつりあいを保つように駆動力を補正することができるかもしれない。なお転舵輪でも駆動輪でもない車輪(即ち、従動輪であり非操舵輪である車輪)が車両に設けられていてもよい。
上述の実施の形態においては、ある運動自由度について走行抵抗と駆動力とのつりあいを保つように補正係数を決定しているが、それに本発明は限定されない。ある運動自由度について走行抵抗と駆動力との差を小さくするように駆動力を補正すれば、操作性の向上という効果はある程度得られる。これは、走行抵抗に起因する減速度を小さくするように駆動力を補正することに他ならない。
上述の実施の形態においては、未補正の指令値と補正係数との積という形式で補正済の指令値を与えているが、それに本発明は限定されず、補正は任意の形式で行うことができる。例えば、補正済の指令値は、未補正の指令値と補正量との和で与えられてもよい。また、未補正の指令値と補正量とを個別に演算することに代えて、運転者の操作量から一度に補正済の指令値を演算するようにしてもよい。
12 転舵輪、 14 駆動輪、 32Fr 前輪転舵角センサ、 32Rr 後輪転舵角センサ、 34L 左輪駆動装置、 34R 右輪駆動装置、 100 駆動力ECU、 102 操作部、 104 検出部、 106 駆動力生成部、 108 初期演算部、 110 補正演算部、 112 第1補正部、 114 第2補正部。
Claims (5)
- 車両の駆動力制御装置であって、
運転者のための操作部と、
前記操作部への入力に基づいて車両の駆動力を制御するための制御部と、
転舵輪の転舵角を検出するための検出部と、を備え、
前記制御部は、検出された転舵角に応じて、車両の旋回運動に関連する自由度についての前記転舵輪の転がり抵抗に起因する減速度を小さくするよう前記駆動力を補正することを特徴とする駆動力制御装置。 - 前記制御部は、前記転舵角が所定の転舵角範囲にあるときに前記駆動力の補正をするよう構成されており、
当該所定の転舵角範囲は、車両の信地旋回に相当する転舵角以上の転舵角範囲を含むことを特徴とする請求項1に記載の駆動力制御装置。 - 前記自由度は、車両の鉛直方向周りの回転運動の自由度を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の駆動力制御装置。
- 前記制御部は、
前記操作部への入力に基づき、前記転舵角から独立に前記駆動力の初期指令値を決定するための初期演算部と、
前記自由度に関して走行抵抗と駆動力とのつりあいを保つように、前記転舵角に応じて前記初期指令値を補正するための補正演算部と、を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の駆動力制御装置。 - 前記制御部は、車両の旋回のために車輪がねじられることで生じる抵抗力の少なくとも一部を相殺するように前記駆動力を増加させる第2の補正を実行することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の駆動力制御装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2012-03-15 JP JP2012059126A patent/JP2013198174A/ja active Pending
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