JP2011207310A - 操舵制御装置 - Google Patents

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Yoshitaka Fujita
好隆 藤田
Mitsutaka Tanimoto
充隆 谷本
Theerawat Limpibunterng
ティーラワット リムピバンテン
Yoshiaki Tsuchiya
義明 土屋
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Abstract

【課題】操舵制御装置において、車両挙動の安定化させつつ、車両の前後輪の操舵をより適切に制御することを可能とする。
【解決手段】操舵制御装置100は、所定の走行軌跡を走行するように操舵輪の舵角を変更可能な操舵機構200を備えた車両10の操舵制御装置であって、車両を所定の走行軌跡に追従させるための操舵輪の目標舵角を特定する特定手段240と、特定された目標舵角を、前記車両の加速度に基づいて補正する第1の補正手段100と、操舵輪の舵角が前記補正された目標舵角になるように前記操舵機構を制御する制御手段100とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば前後輪を操舵可能な四輪操舵(4 Wheel Steering:4WS)機構、EPS(Electronic controlled Power Steering:電子制御式パワーステアリング装置)、VGRS(Variable Gear Ratio Steering:可変ギア比ステアリング装置)、ARS(Active Rear Steering:後輪操舵装置)、SBW(Steer By Wire:電子制御舵角可変装置)、又はLKA(Lane Keeping Assist:レーンキープアシスト)の走行支援装置等の各種操舵機構を備えた車両において、前後輪の操舵を制御する操舵制御装置の技術分野に関する。
この種の操舵制御装置として、例えば、特許文献1等では、前方障害物との衝突可能性を判断して、回避スペースまでの回避軌跡を演算して車両の前輪舵角と後輪舵角を制御する技術が開示されている。
また、この種の操舵制御装置として、例えば、特許文献2等では、車両の傾斜を検出して傾斜量に基づいて後輪の舵角を制御する技術が開示されている。
特開平5−238403号公報 特開平5−16552号公報
しかしながら、上述した特許文献1等に開示されている技術では、所定の目標軌跡を実現するよう車両を制御する際、例えば、加速走行や減速走行、又は勾配を有する路面の走行等の車両の走行状態によっては、軌跡のトレース性能が低くなる可能性が高いという技術的な問題点が生じる。
そこで、本発明は、例えば上述した従来の問題点に鑑みなされたものであり、例えば車両挙動の安定化させつつ、車両の前後輪の操舵をより適切に制御することが可能な操舵制御装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る第1の操舵制御装置は、所定の走行軌跡を走行するように操舵輪の舵角を変更可能な操舵機構を備えた車両の操舵制御装置であって、前記車両を前記所定の走行軌跡に追従させるための前記操舵輪の目標舵角を特定する特定手段と、前記特定された目標舵角を、前記車両の加速度に基づいて補正する第1の補正手段と、前記操舵輪の舵角が前記補正された目標舵角になるように前記操舵機構を制御する制御手段とを備える。
ここに、本発明に係る操舵機構とは、例えば前輪又は後輪等の操舵輪の舵角を変更可能な機構を意味し、典型的には、操舵機構とは、少なくとも前輪を操舵可能な例えばEPSやVGRS機構等の操舵機構であってよいし、或いは、前輪及び後輪を独立に操舵可能な例えば四輪操舵(4WS)機構等の操舵機構であってよい。
本発明に係る第1の操舵制御装置によれば、例えばメモリやプロセッサ等によって構成可能な特定手段によって、車両を所定の走行軌跡に追従させるための操舵輪の目標舵角が特定される。
例えばメモリやプロセッサ等によって構成可能な第1の補正手段によって、特定された目標舵角が、車両の加速度に基づいて補正される。ここに、本発明に係る「車両の加速度」とは、車両の進行方向に沿って生じる当該車両に作用する加速度を意味する。典型的には、車両の加速度は、車両の速度が増速する方向の加速度、或いは、車両の速度が減速する方向の加速度を意味する。また、ここに、本発明に係る「目標舵角を、車両の加速度に基づいて補正する」とは、典型的には、車両の加速度の大きさに応じて、車両に所定の走行軌跡を追従させるための目標舵角を補正することを意味する。
例えばメモリやプロセッサ等によって構成可能な制御手段は、操舵輪の舵角が補正された目標舵角になるように操舵機構を制御する。
仮に、目標舵角を、車両の加速度に基づいて補正しない場合、典型的には、目標舵角を、車両の走行状態が一定の速度で走行する等速走行状態、即ち、加速度がゼロである走行状態であるという条件の下で設定した場合、車両の加速度の変化により操舵輪と路面との間で実際に発生する横力やヨーモーメントが変化してしまうため、所定の軌跡を走行する際の追従精度が低下してしまうという技術的な問題が生じる。
これに対して、本発明によれば、制御手段は、操舵輪の舵角が、車両の加速度に基づいて補正された目標舵角になるように操舵機構を制御する。
この結果、車両の加速度の変化に起因して操舵輪と路面との間で発生する横力やヨーモーメントが変化することの影響を殆ど又は完全に無くすことができるので、所定の走行軌跡を走行させる横力やヨーモーメントを高精度に発生させることが可能である。以上の結果、車両に所定の走行軌跡を走行させる際の追従精度を顕著に向上させることが可能となる。
上記課題を解決するために、本発明に係る第2の操舵制御装置は、所定の走行軌跡を走行するように操舵輪の舵角を変更可能な操舵機構を備えた車両の操舵制御装置であって、前記車両を前記所定の走行軌跡に追従させるための前記操舵輪の目標舵角を特定する特定手段と、前記特定された目標舵角を、前記車両が走行する走行路面の路面勾配に基づいて補正する第2の補正手段と、前記操舵輪の舵角が前記補正された目標舵角になるように前記操舵機構を制御する制御手段とを備える。
本発明に係る第2の操舵制御装置によれば、上述した第1の操舵制御装置と概ね同様にして、例えばメモリやプロセッサ等によって構成可能な特定手段によって、車両を所定の走行軌跡に追従させるための操舵輪の目標舵角が特定される。
例えばメモリやプロセッサ等によって構成可能な第2の補正手段によって、特定された目標舵角が、車両が走行する走行路面の路面勾配に基づいて補正される。ここに、本発明に係る「路面勾配」とは、車両が走行する走行路面における水平からの傾きを意味する。典型的には、車両が走行する走行路面の水平からの傾斜角度を意味する。また、ここに、本発明に係る「目標舵角が、車両が走行する走行路面の路面勾配に基づいて補正する」とは、典型的には、走行路面の路面勾配の大きさに応じて、車両に所定の走行軌跡を追従させるための目標舵角を補正することを意味する。尚、第2の補正手段は、車両が走行する走行路面の路面勾配に関する定量的な又は定性的な情報を取得する取得手段を有してよい。
例えばメモリやプロセッサ等によって構成可能な制御手段は、操舵輪の舵角が補正された目標舵角になるように操舵機構を制御する。
仮に、目標舵角を、車両が走行する走行路面の路面勾配に基づいて補正しない場合、典型的には、目標舵角を、車両が水平路面を走行するという条件の下で設定した場合、路面勾配の変化により操舵輪と路面との間で実際に発生する横力やヨーモーメントが変化してしまうため、所定の軌跡を走行する際の追従精度が低下してしまうという技術的な問題が生じる。
これに対して、本発明によれば、制御手段は、操舵輪の舵角が、路面勾配に基づいて補正された目標舵角になるように操舵機構を制御する。
この結果、路面勾配の変化に起因して操舵輪と路面との間で発生する横力やヨーモーメントが変化することの影響を殆ど又は完全に無くすことができるので、所定の走行軌跡を走行させる横力やヨーモーメントを高精度に発生させることが可能である。以上の結果、車両に所定の走行軌跡を走行させる際の追従精度を顕著に向上させることが可能となる。
本発明に係る第2の操舵制御装置の一の態様では、前記第2の補正手段は、前記特定された目標舵角を、前記路面勾配に加えて前記車両の加速度に基づいて補正する。
この態様によれば、路面勾配の変化に起因して操舵輪と路面との間で発生する横力やヨーモーメントが変化することの影響を殆ど又は完全に無くすことができる。加えて、車両の加速度の変化に起因して操舵輪と路面との間で発生する横力やヨーモーメントが変化することの影響を殆ど又は完全に無くすことができる。これにより、所定の走行軌跡を走行させる横力やヨーモーメントを、路面勾配の変化及び車両の加速度の変化を考慮して、より高精度に発生させることが可能である。以上の結果、車両に所定の走行軌跡を走行させる際の追従精度をより顕著に向上させることが可能となる。
上述した第2の補正手段に係る態様では、前記第2の補正手段は、前記特定された目標舵角を前記路面勾配に基づいて補正する場合の第1補正量、及び、前記特定された目標舵角を前記加速度に基づいて補正する場合の第2補正量のうちいずれか大きい方の補正量によって、前記特定された目標舵角を補正するようにしてよい。
このように構成すれば、路面勾配の変化に起因して操舵輪と路面との間で発生する横力やヨーモーメントの変化、及び、車両の加速度の変化に起因して操舵輪と路面との間で発生する横力やヨーモーメントの変化のうち、走行軌跡への影響の度合いがより大きい方に応じて、特定された目標舵角を補正することができる。典型的には、車両が平坦路面を走行する走行状態から、所定の勾配を有する坂道路面を走行する走行状態に遷移することが予め予測できる場合、車両の走行路面が平坦路面から坂道路面へ実際に遷移した以降は、所謂、フィードフォワード制御の手法により第1補正量を用いて目標舵角を予め補正した後、第2補正量を用いて、第1補正量だけ補正された目標舵角に近付けるように目標舵角を補正してよい。
これにより、所定の走行軌跡を走行させる横力やヨーモーメントを、路面勾配の変化及び車両の加速度の変化を考慮して、より高精度に発生させることが可能である。以上の結果、車両に所定の走行軌跡を走行させる際の追従精度をより顕著に向上させることが可能となる。
本発明に係る第1の操舵制御装置の一の態様では、操舵ハンドルを介して操舵入力軸に付与される操舵トルクを変更可能な操舵トルク変更手段と、前記操舵輪としての前輪の舵角と、前記操舵入力軸の回転角たる操舵角との関係を変化可能な舵角可変手段と、前記前輪の舵角を前記補正又は特定された目標舵角に近付ける前記舵角可変手段の制御に伴って前記操舵ハンドルに掛かる反力トルクを低減するための目標補助トルクを算出する算出手段と、前記算出された目標補助トルクを前記車両の加速度に基づいて補正する第3の補正手段とを更に備え、前記制御手段は、前記前輪の舵角を前記補正又は特定された目標舵角に近付けるように前記舵角可変手段に制御し、且つ、前記補正された目標補助トルクに基づいて、前記操舵トルクを変更するように前記操舵トルク変更手段を制御する。
この態様によれば、操舵トルク変更手段によって、操舵ハンドルを介して操舵入力軸に付与される操舵トルクが変更可能である。ここに、本発明に係る「操舵トルク変更手段」とは、操舵ハンドル、典型的にはステアリングホイルやハンドルに直接的に又は間接的に連結される操舵入力軸に対しドライバから付与される人為的な操舵入力に相当するドライバ操舵トルクを変更可能な手段を包括する概念である。この際、操舵トルク変更手段におけるドライバ操舵トルクの変更態様は、直接的及び間接的の別を問わず、また少なくとも設置スペース、コスト、耐久性或いは信頼性等に基づいた実質的な制約(そのような制約が存在するとして)の範囲内において自由であってよい趣旨である。即ち、操舵トルク変更手段は、操舵入力軸に対して、操舵トルクに加えて補助トルクを直接的に付与する構成を採ってもよいし、操舵トルクと補助トルクとの差に相当するトルクを直接的に付与する構成を採ってもよい。或いは、操舵トルク変更手段は、操舵入力軸に直接的に又は間接的に連結される操舵出力軸に対して、操舵トルクに加えて補助トルクを直接的に付与する構成を採ってもよいし、操舵トルクと補助トルクとの差に相当するトルクを直接的に付与する構成を採ってもよい。或いは、操舵トルク変更手段は、操舵系がラック&ピニオン式の操舵伝達機構を採用する場合において、ラックバーと噛合するピニオンギアの回転を補助する補助トルクを操舵トルクに加えて付与可能な構成を有してもよいし、或いはラックバーに対し当該ラックバーの往復運動を補助する駆動力を操舵トルクに加えて付与可能に構成されてもよい。操舵トルク変更手段によれば、各種伝達機構及び各種軸体等を含む物理的或いは機械的な伝達経路を経由して、最終的には操舵入力軸に対し操舵トルクが付与される形となるため、ドライバの操舵負担を軽減することも、またドライバに代わってステアリングホイルを保舵することも、或いはドライバの操舵操作とは無関係に操舵入力軸を回転させることも可能である。
舵角可変手段によって、操舵輪としての前輪の舵角と、操舵入力軸の回転角たる操舵角との関係を変化可能である。ここに、本発明に係る「舵角可変手段」は、操舵入力軸の回転角たる操舵角と操舵輪としての前輪の回転角たる舵角との関係を、段階的に又は連続的に可変とし得る物理的、機械的、電気的又は磁気的な各種装置を包括する概念である。即ち、舵角可変手段によれば、操舵角と舵角との関係が一義的に規定されず、例えば操舵角と舵角との比を変化させることが可能となる。或いは、操舵角に無関係に舵角を変化させることが可能となる。舵角可変手段は、例えば、好適な一形態としてVGRS或いはSBW等として構成されてもよい。
典型的には、車両を所定の走行軌跡に追従させるための操舵輪の目標舵角が設定され、係る設定された目標舵角に基づいて舵角可変手段が、上述した操舵トルク変更手段の動作と比較して優先的に制御される。
例えばメモリやプロセッサ等によって構成可能な算出手段によって、前輪の舵角を補正又は特定された目標舵角に近付ける舵角可変手段の制御に伴って操舵ハンドルに掛かる反力トルクを低減するための目標補助トルクが算出される。
例えばメモリやプロセッサ等によって構成可能な第3の補正手段によって、算出された目標補助トルクが車両の加速度に基づいて補正される。
例えばメモリやプロセッサ等によって構成可能な制御手段は、前輪の舵角を補正又は特定された目標舵角に近付けるように舵角可変手段に制御し、且つ、補正された目標補助トルクに基づいて、操舵トルクを変更するように操舵トルク変更手段を制御する。
詳細には、舵角可変手段により舵角を変化させる場合、直接的にせよ間接的にせよ操舵輪としての前輪に連結され得る操舵入力軸には、然るべき反力トルクが加わる。操舵入力軸側でこの反力トルクが負担されない場合、ステアリングホイルと比較すれば明らかに慣性重量及びフリクション等が大きい操舵系を支点として、ステアリングホイルがこの反力トルクにより逆方向に回転駆動される。この際、ドライバがステアリングホイルを保舵していれば、舵角可変手段の動作としては問題ないものの、ドライバは、車両の旋回方向と逆方向へ作用する反力トルクの影響により、例えば、左にハンドルを切っているにもかかわらず車両が右旋回している等といった、極めて不自然な操舵感を覚えることになる。
そこで、この態様によれば、制御手段の制御下で、操舵トルク変更手段は、このステアリングホイルに加わる反力トルクを低減するための目標補助トルクに基づいて、操舵トルクを変更する。典型的には、操舵トルク変更手段は、ドライバが自身の意思でステアリングホイルを操作することにより生じる操舵トルクに目標補助トルクを加算して、或いは、操舵トルクから目標補助トルクを差し引いて、或いは、目標補助トルクの大きさに応じて操舵トルクの大きさを変化させるようにして、操舵トルクを変更する。このように、目標補助トルクは、あくまで車両に所定の走行軌跡を走行させるに際して生じる反力トルクを軽減するのであり、ドライバが自身の意思でステアリングホイルを操作することにより生じる操舵トルクには何らの影響も及ばない。従って、操舵フィールの低下が生じることも無いことも付記しておく。
特に、上述したように、この態様によれば、目標補助トルクが車両の加速度に基づいて補正される。これにより、前輪の舵角を目標舵角に近付ける舵角可変手段の制御に伴って操舵ハンドルに掛かる反力トルクを効果的に打ち消すことが可能である。特に、反力トルクのうち、前輪の軸力に起因する反力トルク成分は、車両の加速度の変化に起因して操舵輪と路面との間で発生する横力やヨーモーメントが変化することによって大きくなるので、この前輪の軸力に起因する反力トルク成分を効果的に低減可能であることは、実践上、大変有益である。
この結果、目標補助トルクを車両の加速度に基づいて補正しない場合と比較して、前輪の軸力に起因する反力トルク成分を含む反力トルクを効果的に低減することが可能である。典型的には、ドライバがステアリングホイルを保舵した際における、車両の加速度の変化に起因した違和感を効果的に軽減することが可能である。或いは、典型的には、ドライバが全く保舵を行わない、所謂、手放し状態である場合においても、前輪の舵角を補正された目標舵角に近付ける舵角可変手段の制御が実行されるので、車両に所定の走行軌跡を走行させる際の追従精度をより顕著に向上させることが可能となる。
本発明に係る第1の操舵制御装置の他の態様では、前記第3の補正手段は、前記算出された目標補助トルクに対して前記車両の加速度の大きさに基づいた補正係数を乗算することによって前記算出された目標補助トルクを補正し、且つ、前記前輪に掛かる荷重が大きくなるに従って前記前輪で発生する横力が線形的に大きくなる線形領域と、前記前輪に掛かる荷重が大きくなるに従って前記前輪で発生する横力が非線形的に大きくなる非線形領域とで、前記補正係数を異ならせる。
この態様によれば、例えばタイヤ等の操舵輪で実際に発生する横力において、操舵輪に掛かる荷重に応じた横力の変化量を考慮することが可能であり、前輪用の目標補助トルクを、より適切に補正することが可能である。これにより、前輪の軸力に起因する反力トルク成分を含む反力トルクをより効果的に低減することが可能である。
本発明に係る第1及び第2の操舵制御装置の他の態様では、前記制御手段は、前記車両に所定レベルのモーメントが所定時間を超えて発生した場合、前記操舵輪の舵角が前記特定された目標舵角になるように前記操舵機構を制御する。
この態様によれば、補正された目標舵角に起因して予想していない不適切なモーメントが発生している場合、或いは、例えばスリップ走行等の外界環境に起因した突発的な走行状態に起因して予想していない不適切なモーメントが発生している場合においても、制御手段は、操舵輪の舵角が補正前の目標舵角になるように操舵機構を制御することができる。
以上の結果、車両に所定の走行軌跡を走行させる際の安全性を向上させることが可能となる。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
第1実施形態に係る車両の構成を概念的に示すブロック図である。 第1実施形態に係る目標前輪舵角βf及び目標後輪舵角βrを説明するための模式図である。 第1実施形態に係る操舵制御装置を統括制御するECU100における制御処理の流れを示したフローチャートである。 第1実施形態に係る路面勾配θの路面を走行している車両10に掛かる重量の方向を示した模式図である。 第2実施形態に係る車両10の基本的な構成を概念的に表してなる概略構成図である。 第2実施形態に係るLKA制御のフローチャートである。 第2実施形態に係るEPS制御のフローチャートである。 第2実施形態に係るVGRS制御のフローチャートである。 第2実施形態に係る前輪用の軸力補正トルクT4とLKA用の前輪目標舵角の補正値βf1との定量的及び定性的な関係を示すグラフである。 第3実施形態に係る車両30の基本的な構成を概念的に表してなる概略構成図である。 第3実施形態に係るLKA制御のフローチャートである。 第3実施形態に係る後輪用の軸力補正トルクT5とLKA用の後輪目標舵角の補正値βr1との定量的及び定性的な関係を示すグラフである。 第4実施形態に係る、LKA用の前輪目標舵角の補正値βf1から前輪用の軸力補正トルクT6を算出する際の情報の流れを概念的に示したデータフロー図(図13(a))及びLKA用の後輪目標舵角の補正値βr1から後輪用の軸力補正トルクT7を算出する際の情報の流れを概念的に示したデータフロー図(図13(b))である。 第4実施形態に係る、フロント荷重重量Mf1と乗算係数KFRとの関係を示したグラフ(図14(a))、リア荷重重量Mr1と乗算係数KRRとの関係を示したグラフ(図14(b))、及び、同一の舵角の操舵輪、即ち車輪において発生する力と、車輪に掛かる荷重との関係を示したグラフ(図14(c))である。 第5実施形態に係る前輪用の軸力補正トルクT8とLKA用の前輪目標舵角の補正値βf1との定量的及び定性的な関係を示すグラフである。 第5実施形態に係る後輪用の軸力補正トルクT9とLKA用の後輪目標舵角の補正値βr1との定量的及び定性的な関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
(第1実施形態の基本構成)
先ず、第1実施形態に係る操舵制御装置が適用された車両の構成について、図1を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係る車両の構成を概念的に示すブロック図である。尚、図1では、本実施形態に係る車両における、本実施形態に係る操舵制御装置に関連する部分の構成を主に示している。
図1において、本実施形態に係る車両10は、左前輪Fl及び右前輪Fr(以下、これらを適宜「前輪F」と略称する)と、左後輪Rl及び右後輪Rr(以下、これらを適宜「後輪R」と略称する)と、四輪操舵機構200と、ECU100とを備えている。
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備え、車両10の動作全体を制御することが可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「操舵制御装置」の一例として機能する。尚、ECU100は、本発明に係る「制御手段」、「特定手段」、「第1の補正手段」及び「第2の補正手段」の各々の一例として機能する一体の電子制御ユニットであるが、本発明に係るこれら各手段の物理的、機械的及び電気的な構成は、これに限定されるものではなく、例えば複数のECU、各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成されていてもよい。
四輪操舵機構200は、本発明に係る「操舵機構」の一例であり、ステアリングホイール210と、ステアリングシャフト220と、操舵角センサ240と、前輪用アクチュエータ250と、前輪用操舵シャフト260と、後輪用アクチュエータ270と、後輪用操舵シャフト280とを備えており、前輪F及び後輪Rを独立に操舵可能に構成されている。
ステアリングホイール210は、ドライバによる操舵入力が可能に構成された物理的な操作手段である。
ステアリングシャフト220は、一端部がステアリングホイール210に連結され、ステアリングホイール210の回転に連動して回転可能に構成された軸体である。
操舵角センサ240は、ステアリングホイール210のステアリング量たる操舵角を検出することが可能に構成されたセンサである。操舵角センサ240は、ECU100と電気的に接続されており、検出された操舵角は、一定又は不定の周期でECU100により把握される構成となっている。
前輪用アクチュエータ250は、左前輪Fl及び右前輪Frを相互に連結する前輪用操舵シャフト260を図中左右方向に運動させることにより、前輪Fを操舵することが可能に構成されている。前輪用アクチュエータ250は、ECU100と電気的に接続されており、前輪Fの舵角は、ECU100により制御される構成となっている。尚、補足すると、前輪用アクチュエータ250は、ECU100による制御下で、前輪用操舵シャフト260に対し図中左右方向に駆動力を付与する。前輪用操舵シャフト260が左右方向に変位した場合、タイロッド及びナックル等を介して前輪用操舵シャフト260に連結された左前輪Fl及び右前輪Frは、同一方向に回頭する。
後輪用アクチュエータ270は、左後輪Rl及び右後輪Rrを相互に連結する後輪用操舵シャフト280を図中左右方向に運動させることにより、後輪Rを操舵することが可能に構成されている。後輪用アクチュエータ270は、ECU100と電気的に接続されており、後輪Rの舵角は、ECU100により制御される構成となっている。尚、補足すると、後輪用アクチュエータ270は、ECU100による制御下で、後輪用操舵シャフト280に対し図中左右方向に駆動力を付与する。後輪用操舵シャフト280が左右方向に変位した場合、タイロッド及びナックル等を介して後輪用操舵シャフト280に連結された左前輪Fl及び右前輪Frは、同一方向に回頭する。
(第1実施形態の基本概念)
ここで、本実施形態に係る補正処理が施される前後における目標前輪舵角及び目標後輪舵角の基本概念について説明する。
先ず、図2を参照して、本実施形態に係る補正処理が施される前の目標前輪舵角βf及び目標後輪舵角βrについて説明する。ここに、図2は、第1実施形態に係る目標前輪舵角βf及び目標後輪舵角βrを説明するための模式図である。
図2において、ECU100は、車両10のヨー方向に発生するモーメントMz(以下、適宜、「ヨーモーメントMz」と称す)を発生させず、即ち、モーメントMzをゼロとし、且つ、車両10に横力Ftが発生するように、目標前輪舵角βf及び目標後輪舵角βrを特定する。
具体的には、目標前輪舵角βf及び目標後輪舵角βrは、以下の式(1a)、式(1b)及び(1c)から特定され、式(2f)及び(2r)で表すことができる。
Mz=2×Kf×βf×Lf−2×Kr×βr×Lr …(1a)
Ft=Kf×βf+Kr×βr …(1b)
Mz=0 …(1c)
βf={Lr/(Kf×L)}×Ft …(2f)
βr={Lf/(Kr×L)}×Ft …(2r)
ここで、Kfは、前輪Fのコーナーリングパワーであり、Krは、後輪Rのコーナーリングパワーであり、Lfは、前輪用操舵シャフト260と重心Gとの距離であり、Lrは、後輪用操舵シャフト280と重心Gとの距離であり、Lは、前輪用操舵シャフト260と後輪用操舵シャフト280との距離、所謂、ホイールベースである。尚、式L=Lf+Lrが成立する。特に、車両の重心Gの位置は、車両本体の重心に加えて、車両に乗車している乗員の配置、搭載荷物の重量若しくは配置に応じて、特定してよい。典型的には、車両の前方部に乗員や搭載荷物が多い場合、車両の重心Gの位置は前方側に補正されてよい。他方、車両の後方部に乗員や搭載荷物が多い場合、車両の重心Gの位置は後方側に補正されてよい。上述したECU100は、例えば各座席や荷台に設置されたセンサー等からの各種の信号に応じて、車両のフロント重量Mf、及びリア重量Mrを計測又は推定可能なように構成されてよい。
上記式(1a)は、前輪F及び後輪Rがそれぞれ目標前輪舵角βf及び目標後輪舵角βrとなることにより発生するモーメントが、車両10のヨー方向に発生するモーメントMzと釣り合うことを示す運動方程式である。また、上記式(1b)は、前輪F及び後輪Rがそれぞれ目標前輪舵角βf及び目標後輪舵角βrとなることにより車両10に発生する横力(或いはコーナーリングフォース)が、横力Ftであることを示す運動方程式である。また、上記式(1c)は、ECU100は、目標前輪舵角βf及び目標後輪舵角βrを特定する際に、車両10のヨー方向に発生するモーメントMzを発生させず、即ち、モーメントMzをゼロとすることを示す運動方程式である。
特に、本実施形態では車両10の荷重配分に着目する。即ち、車両10の荷重配分において、車両重量M、車両の前輪用操舵シャフト260に掛かる荷重、所謂、前軸重Mf(以下、適宜「フロント重量Mf」と称す)、及び車両の後輪用操舵シャフト280に掛かる荷重、所謂、後軸重Mr(以下、適宜「リア重量Mr」と称す)を用いて、前輪用操舵シャフト260と重心Gとの距離Lf、及び、後輪用操舵シャフト280と重心Gとの距離Lrは、次のように表すことができる。
Lf=(Mr/M)×L …(3f)
Lr=(Mf/M)×L …(3r)
これは、荷重配分において、リア重量Mrは次の式(3f’)が成立するためである。
(リア重量Mr)=
(車両重量M)×(前輪用操舵シャフト260と重心Gとの距離Lf)/(ホイールベースL)
即ち、
Mr = (M×Lf) / L …(3f’)
概ね同様にして、荷重配分において、フロント重量Mfは次の式(3r’)が成立するためである。
(フロント重量Mf)=
(車両重量M)×(後輪用操舵シャフト280と重心Gとの距離Lr)/(ホイールベースL)
即ち、
Mf = (M×Lr) / L …(3r’)
このように、接地荷重において、フロント重量Mf及びリア重量Mrが静的な値と異なる場合、接地荷重を考慮した前輪用操舵シャフト260と重心Gとの距離Lf及び接地荷重を考慮した後輪用操舵シャフト280と重心Gとの距離Lrの値も変化するので、ECU100によって目標前輪舵角βf及び目標後輪舵角βrが補正される。
本実施形態では、ECU100は、接地荷重の変化に伴う目標前輪舵角βf及び目標後輪舵角βrの補正処理として、次の4種類の補正処理を行う。これの4種類の補正処理とは、(i)進行方向を基準にして前後方向に発生する加速度(以下、適宜「前後方向の加速度」と称す)に基づく第1の補正処理、(ii)推定された車両重量に基づく第2の補正処理、(iii)路面勾配に基づく第3の補正処理、及び(iv)進行方向を基準にして前後方向に発生する加速度及び路面勾配に基づく第4の補正処理である。加えて、(v)これらの4種類の補正処理を禁止する禁止条件について説明する。
(第1実施形態の動作原理)
次に、図3を参照して、第1実施形態に係る操舵制御装置の動作原理について説明する。ここに、図3は、第1実施形態に係る操舵制御装置を統括制御するECU100における制御処理の流れを示したフローチャートである。尚、図3で示された制御処理は、ECU100によって、所定周期で繰り返し実行される。
先ず、図3に示されるように、ECU100の制御下で、本実施形態に係る補正処理が施される前の上述した目標前輪舵角βf及び目標後輪舵角βrが演算される(ステップS101)。
次に、ECU100の制御下で、進行方向を基準にして前後方向に発生する加速度に基づく第1の補正処理が施された目標前輪舵角βf1及び目標後輪舵角βr1が演算される(ステップS102)。尚、これらの目標前輪舵角βf1及び目標後輪舵角βr1の詳細については後述される。
次に、ECU100の制御下で、推定された車両重量に基づく第2の補正処理が施された目標前輪舵角βf2及び目標後輪舵角βr2が演算される(ステップS103)。尚、これらの目標前輪舵角βf2及び目標後輪舵角βr2の詳細については後述される。
次に、ECU100の制御下で、例えば地図情報などのカーナビゲーション用の各種の情報を利用することで路面勾配に関する情報を存在するか否かが判定される(ステップS104)。ここで、路面勾配に関する情報を存在すると判定される場合(ステップS104:Yes)、ECU100の制御下で、路面勾配に基づく第3の補正処理が施された目標前輪舵角βf3及び目標後輪舵角βr3が演算される(ステップS105)。尚、これらの目標前輪舵角βf3及び目標後輪舵角βr3の詳細については後述される。
次に、ECU100の制御下で、第1の補正処理に係る前後方向の加速度と、第3の補正処理に係る路面勾配とに基づく第4の補正処理が施された目標前輪舵角βf4及び目標後輪舵角βr4が演算される(ステップS106)。尚、これらの目標前輪舵角βf4及び目標後輪舵角βr4の詳細については後述される。
次に、ECU100の制御下で、補正処理を禁止する禁止条件が真であるか否かが判定される(ステップS107)。尚、この補正処理を禁止する禁止条件の詳細について後述される。ここで、補正処理を禁止する禁止条件が偽であると判定される場合(ステップS107:No)、ECU100の制御下で、第1乃至第4の補正処理が施された目標前輪舵角βf4及び目標後輪舵角βr4に基づいて、車両10の操舵が実行される(ステップS108)。
他方、上述したステップS107の判定の結果、補正処理を禁止する禁止条件が真であると判定される場合(ステップS107:Yes)、ECU100の制御下で、本実施形態に係る補正処理が施される前の上述した目標前輪舵角βf及び目標後輪舵角βrに基づいて、車両10の操舵が実行される(ステップS109)。
(i)進行方向を基準にして前後方向に発生する加速度に基づく第1の補正処理
本願発明者らによる研究によれば、進行方向を基準にして前後方向に発生する加速度(以下、適宜「前後方向の加速度」と称す)に基づくフロント重量Mf1(以下、適宜、「フロント荷重重量Mf1」と称す)及びリア重量Mr1(以下、適宜、「リア荷重重量Mr1」と称す)は、次の式(4f)及び式(4r)によって夫々表される。
Mf1= Mf ± {(GH/L)× M × Gx} …(4f)
Mr1= Mr ± {(GH/L)× M × Gx} …(4r)
但し、GHは、車両の重心の接地面からの高さを表す。Gxは、進行方向を基準にして前後方向に発生する加速度を表す。特に、この進行方向を基準にして前後方向に発生する加速度Gxは、運転者によるアクセルペダルの操作量、及び車両の現在の速度に応じて、測定又は予測されてよい。
上述の式(4r)のMr1を上述した式(3f)のMrに代入し、進行方向を基準にして前後方向に発生する加速度に基づくリア重量Mr1を考慮した前輪用操舵シャフト260と重心Gとの距離をLf1とした場合、距離Lf1は次の式(5f)によって表される。
概ね同様にして、上述の式(4f)を上述した式(3r)に代入し、進行方向を基準にして前後方向に発生する加速度に基づくフロント重量Mf1を考慮した後輪用操舵シャフト280と重心Gとの距離Lr1とした場合、距離Lr1は次の式(5r)によって表される。
Lf1={[Mr±(GH/L)×M×Gx]/M}×L …(5f)
Lr1={[Mf±(GH/L)×M×Gx]/M}×L …(5r)
続いて、式(5r)のLr1を、上述した式(2f)のLrとして代入することにより、前後方向の加速度に基づく補正処理が施された目標前輪舵角βf1は、次の式(21f)として表される。
βf1
={{[Mf±(GH/L)×M×Gx]/M}×L/(Kf・L)}×Ft
…(21f)
概ね同様にして、式(5f)のLf1を、上述した式(2r)のLfとして代入することにより、前後方向の加速度に基づく補正処理が施された目標後輪舵角βr1は、次の式(21r)として表される。
βr1
={{[Mr±(GH/L)×M×Gx]/M}×L/(Kr・L)}×Ft
…(21r)
このように、前後方向の加速度に基づく補正処理が施された目標前輪舵角βf1及び目標後輪舵角βr1は、前後方向の加速度Gxを変数として一義的に定義可能である。
(ii)推定された車両重量に基づく第2の補正処理
本願発明者らによる研究によれば、車両重量がMである車両10に発生している制駆動力、所謂、ブレーキ力に基づいて推定される前後方向の加速度Gx_estは、次の式(6)によって表される。
Gx_est = Fx/M …(6)
但し、Fxは、車両10に発生している制駆動力の大きさを示す。
ここで、仮に、例えば乗員や荷物等の車両に積載されている人や物の重量に起因して、車両10の重量が車両重量Mと異なるM’が車両10に実際に作用している場合、実際に車両10の進行方向を基準にして前後方向に発生している加速度Gxは、次の式(7)によって表される。
Gx = Fx/M’ …(7)
但し、M’は、例えば乗員や荷物等の車両に積載されている人や物の重量を含む車両10の実際の重量を示す。
続いて、上述の式(6)及び式(7)に「M×M’」を夫々積算すると、次の式(6’)及び式(7’)が夫々得られる。
(M’×M)×Gx_est = (M’×M)×Fx/M …(6’)
(M’×M)×Gx = (M’×M)×Fx/M’ …(7’)
続いて上述の式(6’)及び式(7’)を夫々整理すると、次の式(6’’)及び式(7’’)が夫々得られる。
M’×M×Gx_est = M’×Fx …(6’’)
M’×M×Gx = M×Fx …(7’’)
続いて、この式(6’’)から式(7’’)を差し引くと次の式(8)が得られる。
M’・M・(Gx_est−Gx)=M’×Fx−M×Fx …(8)
続いて、M’でまとめると次の式(8’)が得られる。
−M’・Fx+M’・M・(Gx_est−Gx)=−M・Fx …(8’)
続いて、M’で整理すると、次の式(8’’)が得られる。
M’{M・(Gx_est−Gx)−Fx}=−M・Fx …(8’’)
更に続いて、M’で整理すると、次の式(8’’’)が得られる。
M’=−M・Fx/{M・(Gx_est−Gx)−Fx}
・・・・(8’’’)
更に続いて、整理すると、次の式(8’’’’)が得られる。
M’=M・Fx/{Fx−M・(Gx_est−Gx)}
・・・・(8’’’’)
続いて、上述の式(8’’’’)を、式(5f)中のM及び式(5r)中のMへ夫々代入することにより、次の式(52f)及び式(52r)が夫々得られる。
Lf2={[Mr±(GH/L)×M’×Gx]/M’}×L …(52f)
Lr2={[Mf±(GH/L)×M’×Gx]/M’}×L …(52r)
但し、M’=M・Fx/{Fx−M・(Gx_est−Gx)}
続いて、式(52r)のLr2を、上述した式(2f)のLrとして代入することにより、推定された車両重量に基づく補正処理が施された目標前輪舵角βf2は、次の式(22f)として表される。
βf2
={{[Mf±(GH/L)×M’×Gx]/M’}×L /(Kf×L)}×Ft
…(22f)
但し、M’=M・Fx/{Fx−M・(Gx_est−Gx)}
概ね同様にして、式(52f)のLf2を、上述した式(2r)のLfとして代入することにより、推定された車両重量に基づく補正処理が施された目標後輪舵角βr2は、次の式(22r)として表される。
βr2
={{[Mr±(GH/L)×M’×Gx]/M’}×L/(Kr・L)}×Ft
…(22r)
但し、M’=M・Fx/{Fx−M・(Gx_est−Gx)}
このように、推定された車両重量に基づく補正処理が施された目標前輪舵角βf2及び目標後輪舵角βr2は、推定された前後方向の加速度Gx_estを変数として一義的に定義可能である。
(iii)路面勾配に基づく第3の補正処理
本願発明者らによる研究によれば、図4に示される路面勾配θの路面を走行している車両10に作用しているフロント重量Mf3及びリア重量Mr3、次の式(9f)、式(9r)及び式(9s)によって表される。ここに、図4は、第1実施形態に係る路面勾配θの路面を走行している車両10に掛かる重量の方向を示した模式図である。
Mf3=Mf×cosθ±(GH/L)×M×M×sinθ …(9f)
Mr3=Mr×cosθ±(GH/L)×M×M×sinθ …(9r)
但し、Mf×sinθ+Mr×sinθ=M×sinθ …(9s)
特に、車両10に作用する進行方向を基準にして前後方向に発生する力は、上述の式(9s)によって表される。これにより、車両10の荷重の移動は式(9s)中のMsinθの値から求めることが可能である。
上述の式(9r)によって表されるMr3を、上述の式(5f)中のMrへ代入することにより、次の式(53f)によって、路面勾配に基づく補正処理が施された前輪用操舵シャフト260と重心Gとの距離Lf3が表される。
概ね同様にして、上述の式(9f)によって表されるMf3を、上述の式(5r)中のMfへ代入することにより、次の式(53r)によって、路面勾配に基づく補正処理が施された後輪用操舵シャフト280と重心Gとの距離Lr3が表される。
Lf3={[Mr3±(GH/L)×M×Gx]/M}×L
但し、Mr3=Mr×cosθ±(GH/L)×M×M×sinθ
…(53f)
Lr3={[Mf3±(GH/L)×M×Gx]/M}×L
但し、Mf3=Mf×cosθ±(GH/L)×M×M×sinθ
…(53r)
続いて、式(53r)のLr3を、上述した式(2f)のLrとして代入することにより、路面勾配に基づく補正処理が施された目標前輪舵角βf3は、次の式(23f)として表される。
βf3
={{[Mf3±(GH/L)×M×Gx]/M}×L /(Kf×L)}×Ft
但し、Mf3=Mf×cosθ±(GH/L)×M×M×sinθ
…(23f)
概ね同様にして、式(53f)のLf3を、上述した式(2r)のLfとして代入することにより、路面勾配に基づく補正処理が施された目標後輪舵角βr3は、次の式(23r)として表される。
βr3
={{[Mr3±(GH/L)×M×Gx]/M}×L/(Kr・L)}×Ft
但し、Mr3=Mr・cosθ±(GH/L)×M×M×sinθ
…(23r)
このように、路面勾配に基づく補正処理が施された目標前輪舵角βf3及び目標後輪舵角βr3は、路面勾配θを変数として一義的に定義可能である。
(iv)前後方向の加速度及び路面勾配に基づく第4の補正処理
本願発明者らによる研究によれば、次の式(10f)によって、前後方向の加速度及び路面勾配に基づく補正処理が施された前輪用操舵シャフト260と重心Gとの距離Lf4が表される。即ち、この距離Lf4は、上述した前後方向の加速度に基づく前輪用操舵シャフト260と重心Gとの距離をLf1、及び、路面勾配に基づく補正処理が施された前輪用操舵シャフト260と重心Gとの距離Lf3のうちいずれか大きい方として表される。
また、次の式(10r)によって、前後方向の加速度及び路面勾配に基づく補正処理が施された後輪用操舵シャフト280と重心Gとの距離Lr4が表される。即ち、この距離Lr4は、上述のホイールベースLから上述の距離Lf4を差し引くことにより得られる。
Lf4=MAX(Lf1、Lf3) …(10f)
Lr4=L−MAX(Lf1、Lf3) …(10r)
但し、「MAX(a、b)」は「a」及び「b」のうちいずれか大きい方を選択する関数を意味する。
続いて、式(10r)のLr4を、上述した式(2f)のLrとして代入することにより、前後方向の加速度及び路面勾配に基づく補正処理が施された目標前輪舵角βf4は、次の式(24f)として表される。
βf4={(L−MAX(Lf1、Lf3))/(Kf×L)}×Ft
…(24f)
概ね同様にして、式(10f)のLf4を、上述した式(2r)のLfとして代入することにより、前後方向の加速度及び路面勾配に基づく補正処理が施された目標後輪舵角βr4は、次の式(24r)として表される。
βr4={(MAX(Lf1、Lf3))/(Kr×L)}×Ft
…(24r)
但し、Lf1={[Mr±(GH/L)×M×Gx]/M}×L
Lf3={[Mr3±(GH/L)×M×Gx]/M}×L
Mr3=Mr×cosθ±(GH/L)×M×M×sinθ
このように、前後方向の加速度及び路面勾配に基づく補正処理が施された目標前輪舵角βf4及び目標後輪舵角βr4は、前後方向に発生する加速度Gx及び路面勾配θを変数として一義的に定義可能である。
(v)補正処理を禁止する禁止条件
本願発明者らによる研究によれば、次の条件式(11a)及び(11b)が成立する場合、即ち、真である場合、上述した目標前輪舵角βf4及び目標後輪舵角βr4の補正処理を禁止する。
(ヨーモーメントMz) ≧ Mz_th …(11a)
且つ
(モーメント発生時間L) ≧ Time_th …(11b)
但し、Mz_thはモーメントの所定閾値を意味する。Mz_thは、典型的には、車両10が右旋回若しくは左旋回している場合に発生するヨーモーメントの大きさを意味してよい。
また、Time_thは時間の所定閾値を意味する。Time_thは、典型的には、車両10が右旋回若しくは左旋回している場合にヨーモーメントが発生した時間の長さを意味してよい。
このように、上述した目標前輪舵角βf4及び目標後輪舵角βr4の補正処理を実施した後で、ヨーモーメントMzがモーメント発生時間Lの期間、発生した場合、この発生したヨーモーメントMzと上述したMz_thとを比較すると共に、モーメント発生時間Lと上述したTime_thとを比較する。これにより、ヨーモーメントMzが発生した原因が、車両10の運転状態に突発的に発生した外乱に起因するのか、或いは、目標前輪舵角βf4及び目標後輪舵角βr4の補正処理の際の補正量が適切でなかったのかを的確に判断することが可能である。典型的には、ヨーモーメントMzが上述したMz_thを超え、且つ、ヨーモーメントMzのモーメント発生時間Lが上述したTime_thを超えている場合、車両10が右旋回若しくは左旋回していると判定することが可能である。他方、ヨーモーメントMzが上述したMz_thを下回る、又は、ヨーモーメントMzのモーメント発生時間Lが上述したTime_thを下回る場合、このヨーモメントMzの発生は、目標前輪舵角βf4及び目標後輪舵角βr4の補正処理に起因していると判定することが可能である。
(第2実施形態)
(第2実施形態の基本構成)
始めに、図5を参照して、本発明の第2実施形態に係る車両10の構成について説明する。ここに、図5は、第2実施形態に係る車両10の基本的な構成を概念的に表してなる概略構成図である。
図5において、車両10は、操舵輪として左右一対の前輪FL及びFRを備え、これら前輪が転舵することにより所望の方向に進行可能に構成されている。車両10は、ECU100、VGRSアクチュエータ20、VGRS駆動装置300、EPSアクチュエータ400及びEPS駆動装置500を備える。
ECU100は、夫々不図示のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備え、車両10の動作全体を制御可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「車両の走行支援装置」の一例である。ECU100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、後述するLKA制御、EPS制御及びVGRS制御を夫々実行可能に構成されている。
尚、ECU100は、本発明に係る「第1設定手段」、「第1制御手段」、「第2設定手段」及び「第2制御手段」の夫々一例として機能するように構成された一体の電子制御ユニットであり、これら各手段に係る動作は、全てECU100によって実行されるように構成されている。但し、本発明に係るこれら各手段の物理的、機械的及び電気的な構成はこれに限定されるものではなく、例えばこれら各手段は、複数のECU、各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成されていてもよい。
車両10では、ステアリングホイール11を介してドライバより与えられる操舵入力が、ステアリングホイール11と同軸回転可能に連結され、ステアリングホイール11と同一方向に回転可能な軸体たるアッパーステアリングシャフト12に伝達される。アッパーステアリングシャフト12は、本発明に係る「操舵入力軸」の一例である。アッパーステアリングシャフト12は、その下流側の端部においてVGRSアクチュエータ20に連結されている。
VGRSアクチュエータ20は、ハウジング21、VGRSモータ22及び減速機構23を備えた、本発明に係る「舵角可変手段」の一例である。
ハウジング21は、VGRSモータ22及び減速機構23を収容してなるVGRSアクチュエータ20の筐体である。ハウジング21には、前述したアッパーステアリングシャフト12の下流側の端部が固定されており、ハウジング21は、アッパーステアリングシャフト12と一体に回転可能となっている。
VGRSモータ22は、回転子たるロータ22a、固定子たるステータ22b及び駆動力の出力軸たる回転軸22cを有するDCブラシレスモータである。ステータ22bは、ハウジング21内部に固定されており、ロータ22aは、ハウジング21内部で回転可能に保持されている。回転軸22cは、ロータ22aと同軸回転可能に固定されており、その下流側の端部が減速機構23に連結されている。
減速機構23は、差動回転可能な複数の回転要素(サンギア、キャリア及びリングギア)を有する遊星歯車機構である。この複数の回転要素のうち、第1の回転要素たるサンギアは、VGRSモータ22の回転軸22cに連結されており、また、第2の回転要素たるキャリアは、ハウジング21に連結されている。そして第3の回転要素たるリングギアが、本発明に係る「操舵出力軸」の一例たるロアステアリングシャフト13に連結されている。
このような構成を有する減速機構23によれば、ステアリングホイール11の操作量に応じたアッパーステアリングシャフト12の回転速度(即ち、キャリアに連結されたハウジング21の回転速度)と、VGRSモータ22の回転速度(即ち、サンギアに連結された回転軸22cの回転速度)とにより、残余の一回転要素たるリングギアに連結されたロアステアリングシャフト13の回転速度が一義的に決定される。この際、回転要素相互間の差動作用により、VGRSモータ22の回転速度を増減制御することによって、ロアステアリングシャフト13の回転速度を増減制御することが可能となる。即ち、VGRSモータ22及び減速機構23の作用により、アッパーステアリングシャフト12とロアステアリングシャフト13とは相対回転可能である。また、減速機構23における各回転要素の構成上、VGRSモータ22の回転速度は、各回転要素相互間のギア比に応じて定まる所定の減速比に従って減速された状態でロアステアリングシャフト13に伝達される。
このように、車両10では、アッパーステアリングシャフト12とロアステアリングシャフト13とが相対回転可能であることによって、アッパーステアリングシャフト12の回転量たる操舵角MAと、ロアステアリングシャフト13の回転量に応じて一義的に定まる(後述するラックアンドピニオン機構のギア比も関係する)操舵輪たる前輪の舵角θstとの比たる操舵伝達比が、予め定められた範囲で連続的に可変となる。
尚、減速機構24は、ここに例示した遊星歯車機構のみならず、他の態様(例えば、アッパーステアリングシャフト12及びロアステアリングシャフト13に夫々歯数の異なるギアを連結し、各ギアと一部分で接する可撓性のギアを設置すると共に、係る可撓性ギアを、波動発生器を介して伝達されるモータトルクにより回転させることによって、アッパーステアリングシャフト12とロアステアリングシャフト13とを相対回転させる態様等)を有していてもよいし、遊星歯車機構であれ上記と異なる物理的、機械的、又は機構的態様を有していてよい。
VGRS駆動装置300は、VGRSモータ22のステータ22bに対し通電可能に構成された、PWM回路、トランジスタ回路及びインバータ等を含む電気駆動回路である。VGRS駆動装置300は、図示せぬバッテリと電気的に接続されており、当該バッテリから供給される電力によりVGRSモータ22に駆動電圧を供給することが可能に構成されている。また、VGRS駆動装置300は、ECU100と電気的に接続されており、その動作はECU100により制御される構成となっている。尚、VGRS駆動装置300は、VGRSアクチュエータ20と共に、本発明に係る「舵角可変手段」の一例を構成している。
ロアステアリングシャフト13の回転は、ラックアンドピニオン機構に伝達される。ラックアンドピニオン機構は、ロアステアリングシャフト13の下流側端部に接続されたピニオンギア14及び当該ピニオンギアのギア歯と噛合するギア歯が形成されたラックバー15を含む操舵力伝達機構であり、ピニオンギア14の回転がラックバー15の図中左右方向の運動に変換されることにより、ラックバー15の両端部に連結されたタイロッド及びナックル(符号省略)を介して操舵力が各操舵輪に伝達される構成となっている。即ち、車両10では所謂ラックアンドピニオン式の操舵方式が実現されている。
EPSアクチュエータ400は、永久磁石が付設されてなる回転子たる不図示のロータと、当該ロータを取り囲む固定子であるステータとを含むDCブラシレスモータとしてのEPSモータを備えた、本発明に係る「操舵トルク補助手段」の一例である。このEPSモータは、EPS駆動装置500を介した当該ステータへの通電によりEPSモータ内に形成される回転磁界の作用によってロータが回転することにより、その回転方向にアシストトルクTAを発生可能に構成されている。
一方、EPSモータの回転軸たるモータ軸には、不図示の減速ギアが固定されており、この減速ギアはまた、ピニオンギア14と噛合している。このため、EPSモータから発せられるアシストトルクTAは、ピニオンギア14の回転をアシストするアシストトルクとして機能する。ピニオンギア14は、先に述べたようにロアステアリングシャフト13に連結されており、ロアステアリングシャフト13は、VGRSアクチュエータ20を介してアッパーステアリングシャフト12に連結されている。従って、アッパーステアリングシャフト12に加えられるドライバ操舵トルクMTは、アシストトルクTAにより適宜アシストされた形でラックバー15に伝達され、ドライバの操舵負担が軽減される構成となっている。
EPS駆動装置500は、EPSモータのステータに対し通電可能に構成された、PWM回路、トランジスタ回路及びインバータ等を含む電気駆動回路である。EPS駆動装置500は、図示せぬバッテリと電気的に接続されており、当該バッテリから供給される電力によりEPSモータに駆動電圧を供給することが可能に構成されている。また、EPS駆動装置500は、ECU100と電気的に接続されており、その動作はECU100により制御される構成となっている。尚、EPS駆動装置500は、EPSアクチュエータ400と共に、本発明に係る「操舵トルク補助手段」の一例を構成している。
尚、本発明に係る「操舵力付与手段」の態様は、ここに例示するものに限定されず、例えば、EPSモータから出力されるアシストトルクTAは、不図示の減速ギアによる回転速度の減速を伴って、直接ロアステアリングシャフト13に伝達されてもよいし、ラックバー16aの往復運動をアシストする力として付与されてもよい。即ち、EPSモータ400から出力されるアシストトルクTAが、最終的に各操舵輪を操舵させる操舵力の少なくとも一部として供され得る限りにおいて、本発明に係る操舵トルク補助手段の具体的構成は何ら限定されない趣旨である。
一方、車両10には、操舵トルクセンサ16、操舵角センサ17及び回転センサ18を含む各種センサが備わっている。
操舵トルクセンサ16は、ドライバからステアリングホイール11を介して与えられるドライバ操舵トルクMTを検出可能に構成されたセンサである。より具体的に説明すると、アッパーステアリングシャフト12は、上流部と下流部とに分割されており、図示せぬトーションバーにより相互に連結された構成を有している。係るトーションバーの上流側及び下流側の両端部には、回転位相差検出用のリングが固定されている。このトーションバーは、車両10のドライバがステアリングホイール11を操作した際にアッパーステアリングシャフト12の上流部を介して伝達される操舵トルク(即ち、ドライバ操舵トルクMT)に応じてその回転方向に捩れる構成となっており、係る捩れを生じさせつつ下流部に操舵トルクを伝達可能に構成されている。従って、操舵トルクの伝達に際して、先に述べた回転位相差検出用のリング相互間には回転位相差が発生する。操舵トルクセンサ16は、係る回転位相差を検出すると共に、係る回転位相差を操舵トルクに換算して操舵トルクMTに対応する電気信号として出力可能に構成されている。また、操舵トルクセンサ16は、ECU100と電気的に接続されており、検出された操舵トルクMTは、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
操舵角センサ17は、アッパーステアリングシャフト12の回転量を表す操舵角MAを検出可能に構成された角度センサである。操舵角センサ17は、ECU100と電気的に接続されており、検出された操舵角MAは、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
回転センサ18は、VGRSアクチュエータ20におけるハウジング21(即ち、回転角で言うならばアッパーステアリングシャフト12と同等である)とロアステアリングシャフト13との回転位相差Δθを検出可能に構成されたロータリーエンコーダである。回転センサ18は、ECU100と電気的に接続されており、検出された回転位相差Δθは、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
車速センサ19は、車両10の速度たる車速Vを検出可能に構成されたセンサである。車速センサ19は、ECU100と電気的に接続されており、検出された車速Vは、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
車載カメラ2は、車両10のフロントノーズに設置され、車両10の前方における所定領域を撮像可能に構成された撮像装置である。車載カメラ2は、ECU100と電気的に接続されており、撮像された前方領域は、画像データとしてECU100に一定又は不定の周期で送出される構成となっている。ECU100は、この画像データを解析し、後述するLKA制御に必要な各種データを取得することが可能である。
(第2実施形態の動作原理)
以下、適宜図面を参照し、第2実施形態の動作について説明する。
始めに、図6を参照し、ECU100により実行されるLKA制御の詳細について説明する。ここに、図6は、第2実施形態に係るLKA制御のフローチャートである。尚、LKA制御は、車両10を目標走行路(レーン)に追従させる制御であり、車両10が有する走行支援システムの一部を実現する制御である。
図6において、ECU100は、車両10に備わる各種スイッチ類の操作信号、各種フラグ及び上記各種センサに係るセンサ信号等を含む各種信号を読み込む(ステップS101)と共に、予め車両10の車室内に設置されたLKA制御発動用の操作ボタンがドライバにより操作される等した結果としてLKAモードが選択されているか否かを判別する(ステップS102)。LKAモードが選択されていない場合(ステップS102:NO)、ECU100は、処理をステップS101に戻す。
LKAモードが選択されている場合(ステップS102:YES)、ECU100は、車載カメラ20から送出される画像データに基づいて、LKAの目標走行路を規定する白線(白色である必要はない)が検出されているか否かを判別する(ステップS103)白線が検出されていない場合(ステップS103:NO)、目標走行路が規定され得ないため、ECU100は、処理をステップS101に戻す。一方、白線が検出されている場合(ステップS103:YES)、ECU100は、車両10を目標走行路に追従させるに際して必要となる各種路面情報を算出する(ステップS104)。
ステップS104においては、目標走行路の曲率R(即ち、半径の逆数である)、白線と車両10との横方向の偏差Y及び白線と車両10とのヨー角偏差φが算出される。尚、この種の目標走行路への追従制御に要する情報の算出態様は、公知の画像認識アルゴリズムを含む各種態様を適用可能であり、また発明の本質部分との相関も薄いため、ここでは触れないこととする。
これら各種路面情報が算出されると、ECU100は、車両10を目標走行路へ追従させるために必要となる目標横加速度GYTGを算出する(ステップS105)。尚、目標横加速度GYTGも、公知の各種アルゴリズム或いは演算式に従って算出可能である。或いは、ECU100は、予めROM等の然るべき記憶手段に、上記曲率R、横方向偏差Y及びヨー角偏差φをパラメータとする目標横加速度マップを保持し、適宜該当する値を選択することにより目標横加速度GYTGを算出(この種の選択もまた算出の一態様である)してもよい。
ECU100は、この算出された目標横加速度GYTGに基づいて、LKA用前輪目標舵角θLKA_FRを算出する(ステップS401)。
尚、ECU100のROMには、予め、目標横加速度GYTGと、LKA用前輪目標舵角θLKA_FRとの関係を数値化してなるLKA用前輪目標舵角マップが格納されており、ステップS401においては、係るLKA用前輪目標角マップから該当する値が選択される。
次に、ECU100は、この算出されたLKA用前輪目標舵角θLKA_FRに対して、上述した前後方向の加速度に基づく荷重重量の変化を考慮した第1補正処理を施し、LKA用の前輪目標舵角の補正値βf1を算出する(ステップS402)。尚、第2実施形態では、LKA用の前輪目標舵角の補正値を算出する際に、第1補正処理を施したがこの限りでない。即ち、LKA用の前輪目標舵角の補正値を算出する際に、上述した第1乃至第4補正処理のうちのいずれか一つの補正処理を施してよい。
次に、LKA用の前輪目標舵角の補正値βf1が算出されると、ECU100は、算出されたLKA用の前輪目標舵角の補正値βf1を然るべき記憶手段に記憶させる(ステップS403)。
LKA用の前輪目標舵角の補正値βf1が算出されると、ECU100は、この種の反力トルクのうち慣性補正トルクT1、粘性補正トルクT2、及び摩擦補正トルクT3を夫々算出する(ステップS404)。慣性補正トルクT1は、ロアステアリングシャフト13及びEPSアクチュエータ400の慣性に起因する成分を補正する補正トルクを意味する。粘性補正トルクT2は、ロアステアリングシャフト13及びEPSアクチュエータ400の粘性に起因する成分を補正する補正トルクを意味する。摩擦補正トルクT3は、ロアステアリングシャフト13及びEPSアクチュエータ400の摩擦に起因する成分を補正する補正トルクを意味する。
尚、慣性補正トルクT1は、操舵輪の角加速度に基づいて設定される。尚、操舵輪の角加速度とは、即ち操舵角の二回微分値であり、この場合の操舵角とは、VGRS制御により実現されたLKA用前輪目標舵角θLKA_FRである。
また、粘性補正トルクT2、及び、摩擦補正トルクT3は、操舵輪の角速度に基づいて設定される。尚、操舵輪の角速度とは、即ち、VGRS制御により実現されたLKA用前輪目標舵角θLKA_FRの微分値である。
ECU100は更に、これら補正トルクの算出と並行して、この種の反力トルクのうち、操舵輪たる前輪からの軸力に起因する成分を補正する軸力補正トルクT4を算出する(ステップS405)。
ステップS404、及びS405を経ると、ECU100は、下記(5)式に従ってLKA目標アシストトルクTLKを算出する(ステップS406)。尚、第2実施形態に係るLKA目標アシストトルクTLKは「目標補助トルク」の一例である。
TLK=T1+T2+T3+T4・・・(5) 。
(第2実施形態のEPS制御)
次に、図7を参照し、上述したLKA目標アシストトルクTLKを用いたEPS制御の詳細について説明する。ここに、図7は、第2実施形態に係るEPS制御のフローチャートである。尚、同図において、図6と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図7において、ECU100は、各種信号を読み込んだ後(ステップS101)、ドライバ操舵トルクMT及び車速Vを取得する(ステップS201)。続いて、ECU100は、この取得されたドライバ操舵トルクMT及び車速Vに基づいて、EPSアクチュエータ400のEPSモータから出力すべきアシストトルクTAの基本値であるEPS基本目標トルクTBASEを算出する(ステップS202)。尚、ECU100のROMには、予め、EPS基本目標トルクTBASEと、ドライバ操舵トルクMTとの関係を数値化してなるEPS基本目標トルクマップが格納されており、ステップS202においては、係るEPS基本目標トルクマップから該当する値が選択される。
次に、ECU100は、ステップS202において算出されたEPS基本目標トルクTBASEと、先に算出され記憶されているLKA目標アシストトルクTLKとに基づいて、下記(2)式に従ってEPS最終目標トルクTTGを算出する(ステップS203)。
TTG=TBASE+TLK・・・(2)
EPS最終目標トルクTTGが算出されると、ECU100は、この算出されたEPS最終目標トルクTTGに基づいてEPS駆動装置500を制御し、EPSアクチュエータ400のEPSモータから、このEPS最終目標トルクTTGに対応するアシストトルクTAを出力させる(ステップS204)。ステップS204が実行されると、処理はステップS101に戻される。
(第2実施形態のVGRS制御)
次に、図8を参照し、上述した前後方向の加速度に基づく荷重重量の変化を考慮したLKA用の前輪目標舵角の補正値βf1を用いたVGRS制御の詳細について説明する。ここに、図8は、第2実施形態に係るVGRS制御のフローチャートである。尚、同図において、図6と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図8において、各種信号を読み込むと(ステップS101)、ECU100は、車速V及び操舵角MAを取得する(ステップS301)と共に、取得したこれらに基づいて、下記(3)式に従い、アッパーステアリングシャフト12の回転角たる操舵角MAに対するロアステアリングシャフト13の相対回転角の基本値であるVGRS基本目標角θVGを算出する(ステップS302)。
θVG=K1×MA・・・(3)
上記式(3)において、K1は、操舵角MAに対するロアステアリングシャフト13の回転角を規定する操舵伝達比であり車速Vに応じて可変な数値である。
続いて、VGRS基本目標角θVGを算出すると、ECU100は、LKA制御において算出され記憶されたLKA用の前輪目標舵角の補正値βf1に基づいて、LKA補正目標角θLKを算出する(ステップS501)。ここで、本実施形態では、VGRSアクチュエータ200をメインシステムとして車両10を目標走行路へ追従させる構成を採る。従って、操舵輪たる各前輪の操舵角をLKA補正目標角θLKに換算する必要がある。ステップS501に係る処理は、係る換算処理に相当し、ラック&ピニオン機構のギア比に基づいて数値演算処理の結果として算出される。
続いて、ECU100は、先に算出され記憶されているVGRS基本目標角θVGと、LKA用の前輪目標舵角の補正値βf1を用いて算出され記憶されているLKA補正目標角θLKとに基づいて、式(4)に従ってVGRS最終目標角θTGFを算出する(ステップS303)。
θTGF=θVG+θLK・・・(4)
VGRS最終目標角θTGFが算出されると、ECU100は、この算出されたVGRS最終目標角θTGFに基づいてVGRS駆動装置300を制御し、VGRSアクチュエータ200のVGRSモータ202を、このVGRS最終目標角θTGFに対応する分回転させる(ステップS304)。ステップS304が実行されると、処理はステップS101に戻される。
これにより、VGRSアクチュエータ200による舵角制御により車両10を目標走行路に追従させることが可能となる。
一方、VGRSアクチュエータ200は、EPSアクチュエータ400と異なり、アッパーステアリングシャフト12とロアステアリングシャフト13との連結部位に設置されており、車両10に対しては固定された状態にない。従って、ドライバがステアリングホイール11を保舵しない手放し状態において上述したLKA補正目標角θLKに相当する舵角制御を行おうとすると、ロアステアリングシャフト13、EPSアクチュエータ400、或いは操舵輪からの反力トルクによって、操舵輪が回転する代わりに、ステアリングホイール11が、本来目標とする舵角方向とは逆方向に操舵されてしまう。或いは、保舵されているとしたところで、ドライバは、この反力により車両10の旋回方向と逆向きにステアリングホイール11を気っているかの如き違和感を覚えることとなる。そこで、本実施形態では、係る舵角制御による目標走行路への追従に際して生じる反力トルクの影響が、EPS制御によって補償される。
(第2実施形態の軸力補正トルク)
ここで、図9を参照し、前輪用の軸力補正トルクT4とLKA用の前輪目標舵角の補正値βf1との定量的及び定性的な関係について説明する。ここに、図9は、第2実施形態に係る前輪用の軸力補正トルクT4とLKA用の前輪目標舵角の補正値βf1との定量的及び定性的な関係を示すグラフである。尚、図9において、縦軸には軸力補正トルクT4が示され、横軸にはLKA用の目標舵角の補正値βf1が示される。
図9に示されるように、前輪の軸力補正トルクT4は、右旋回時と左旋回時とで対象な特性を有し、不感帯領域と、飽和領域とを除けば、LKA用の前輪目標舵角の補正値βf1に対し線形的に増加する特性を有する。ここに、不感帯領域とは、LKA用の目標舵角の補正値がゼロであり且つ軸力補正トルクがゼロである領域を意味する。また、飽和領域とは、LKA用の目標舵角の補正値が大きくなった場合においても軸力補正トルクが変化しない領域を意味する。尚、軸力補正トルクは、本発明に係る「目標補助トルク」の一例に相当しており、操舵輪の目標角度の補正値、即ち目標舵角の補正値に基づいて設定されてよい。
また、図9には、一例として、上述したフロント荷重重量Mf1の変化に対応して軸力補正トルクT4が変化する補正特性が示されている。具体的には、小レベル、中レベル、大レベルのフロント荷重重量Mf1の大きさに夫々対応した前輪の軸力補正トルクT4が図9中の実線、破線及び鎖線として夫々示されている。特に、中レベルは、車両が静止している場合のフロント荷重重量Mf1の大きさを示す。この図9に示されるように、軸力補正トルクT4は、LKA用の前輪目標舵角の補正値βf1を一定とした場合に、フロント荷重重量Mf1が大きくなるに従って、大きく設定される。これは、舵角を一定とすれば、前後方向の加速度に基づく荷重重量が大きくなるに従って、横加速度が増大し、この増大した横加速度に応じてより大きな軸力補正トルクが必要になるためである。
この軸力補正トルクT4をLKA目標アシストトルクTLKに含めることにより、目標走行路への追従に際して生じる反力トルクのうち軸力に起因した成分を、前後方向の加速度に基づく荷重重量の変化を考慮して、より高精度に軽減することができる。
この結果、ドライバがステアリングホイールを保舵した際の違和感が軽減され、理想的には、ドライバが全く保舵を行わない、所謂、手放し状態であっても車両を目標走行路へ追従させることが可能となる。加えて、LKA目標アシストトルクTLKは、あくまで目標走行路への追従に際して生じる反力トルクを軽減するのであり、ドライバが自身の意思でステアリングホイールを操作することにより生じる操舵トルクには何らの影響も及ばない。従って、操舵フィールの低下が生じることも無い。
詳細には、操舵輪からの軸力は、上記慣性、粘性及び摩擦に対応する各項とは異なり、車両10の構成上、操舵輪が操舵された時点よりも遅れてステアリングホイール11に到達する。従って、この種の車両運動を考慮して軸力補正トルクを決定しないと、軸力補正トルクは、相殺すべき軸力成分に対し過剰又は不足し、反力トルクを必ずしも十分に軽減することができない。そこで、ECU100は、軸力補正トルクを算出するにあたっては、係る時間応答を考慮したフィルタ処理を実行してよい。尚、このフィルタ処理については、後述の第6実施形態にて説明される。
尚、ECU100のROMには、予め、上述した図9に示す関係を数値化してなる軸力補正トルクマップが格納されており、上述した前輪のLKA制御に係る図6中のステップS405においては、係る軸力補正トルクマップから該当する値が選択される。
(第3実施形態)
(第3実施形態の基本構成)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。始めに、図10を参照し、本実施形態に係る車両30の構成について説明する。ここに、図10は、第3実施形態に係る車両30の基本的な構成を概念的に表してなる概略構成図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図10において、車両30は、ステアリングホイール11の操舵角MAと前輪の舵角との関係を可変とするVGRSアクチュエータ200及びその関連装置を有さず、その代わりに後輪RL及びRRの操舵を可能とするARS600を備える点において、第1及び第2実施形態に係る車両10と相違する構成となっている。即ち、本実施形態においては、後輪が本発明に係る「操舵輪」として機能する。但し、前輪は、当然ながらステアリングホイール11に連結されており、通常の意味合いとしては無論操舵輪である。
ARS600は、図示せぬパワーシリンダと、パワーシリンダに図示左右方向の往復駆動力を付与するアクチュエータを備え、このアクチュエータから付与される駆動力によって、当該パワーシリンダの両端に連結されたリアステアロッド31を左右方向に所定量駆動させることにより、後輪の舵角を変化させることが可能である。尚、後輪の操舵を可能とする車両構成は、図示のものに限定されず公知の各種態様を採ってよい。
車両30においては、ECU100によりLKA制御が実行される。
(第3実施形態のLKA制御)
ここで、図11を参照し、第3実施形態に係るLKA制御の詳細について説明する。ここに、図11は、第3実施形態に係るLKA制御のフローチャートである。尚、同図において、図6と重複する箇所には、同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図11において、目標横加速度GYTGを算出すると、ECU100は、この算出された目標横加速度GYTGに基づいてLKA用後輪目標舵角θLKA_RRを算出する(ステップS601)。
ECU100は、この算出された目標横加速度GYTGに基づいてLKA用後輪目標舵角θLKA_RRを算出し(ステップS601)する。
次に、ECU100は、この算出されたLKA用後輪目標舵角θLKA_RRに対して、上述した前後方向の加速度に基づく荷重重量の変化を考慮した補正処理を施し、LKA用の後輪目標舵角の補正値βr1を算出する(ステップS602)。
次に、LKA用の後輪目標舵角の補正値βr1が算出されると、ECU100は、算出されたLKA用の後輪目標舵角の補正値βr1を然るべき記憶手段に記憶させる(ステップS603)。
次に、ECU100は、このLKA用の後輪目標舵角の補正値βr1に基づいて、後輪からの軸力に起因する反力トルクを補正する軸力補正トルクT5を算出し(ステップS604)、この軸力補正トルクT5をLKA目標アシストトルクTLKとして設定する(ステップS605)。尚、後輪からの軸力も、前輪と同様に車両10の構成上、操舵された時点よりも遅れてステアリングホイール11に到達する。従って、この種の車両運動を考慮して軸力補正トルクT5を決定しないと、軸力補正トルクT5は、相殺すべき軸力成分に対し過剰又は不足し、反力トルクを必ずしも十分に軽減することができない。そこで、ECU100は、軸力補正トルクT5を算出するにあたっては、係る時間応答を考慮したフィルタ処理を実行し、軸力補正トルクT5を算出してよい。
尚、第3実施形態に係る後輪のEPS制御では、後輪のLKA目標アシストトルクTLKが、第2実施形態に係る前輪のLKA目標アシストトルクTLKがと異なるのみであるため、図示は省略する。
(第3実施形態の軸力補正トルク)
ここで、図12を参照し、後輪用の軸力補正トルクT5とLKA用の後輪目標舵角の補正値βr1との定量的及び定性的な関係について説明する。ここに、図12は、第3実施形態に係る後輪用の軸力補正トルクT5とLKA用の後輪目標舵角の補正値βr1との定量的及び定性的な関係を示すグラフである。尚、図12において、縦軸には後輪用の軸力補正トルクT5が示され、横軸にはLKA用の目標舵角の補正値βr1が示される。後輪用の軸力補正トルクは、本発明に係る「目標補助トルク」の一例に相当しており、後述される操舵輪の目標角度の補正値、即ち目標舵角の補正値に基づいて設定される。
図12に示されるように、前輪の軸力補正トルクT5fは、右旋回時と左旋回時とで対称な特性を有し、不感帯領域と、飽和領域とを除けば、LKA用の前輪目標舵角の補正値βf1に対し線形的に増加する特性を有する。ここに、不感帯領域とは、LKA用の目標舵角の補正値がゼロであり且つ軸力補正トルクがゼロである領域を意味する。また、飽和領域とは、LKA用の目標舵角の補正値が大きくなった場合においても軸力補正トルクが変化しない領域を意味する。
後輪の操舵方向を、車両の旋回方向と逆にした場合、後輪用の軸力補正トルクT5もまた、図12に示されるように前輪用の軸力補正トルクT4と対称な特性となる。尚、本実施形態では、車速が基準値より低く、車両が旋回する際の半径を小さくするために、後輪の操舵方向を、車両の旋回方向と逆にし、前輪用の軸力補正トルクT4と対称な特性とした。しかしながら、本発明は、この限りではなく、車速が基準値を超えた高い際、例えば、レーンチェンジの際には、後輪の操舵方向を、車両の旋回方向と同じ、即ち、同相な特性にしてよい。この同相な特性によって車両を平行移動させることが可能である。
上述した図12には、一例として、上述したリア荷重重量Mr1の変化に対応して軸力補正トルクT5が変化する補正特性が示されている。具体的には、小レベル、中レベル、大レベルのリア荷重重量Mr1の大きさに夫々対応した後輪の軸力補正トルクT5が図12中の実線、破線及び鎖線として夫々示されている。特に、中レベルは、車両が静止している場合のリア荷重重量Mr1の大きさを示す。この図12に示されるように、後輪用の軸力補正トルクT5は、LKA用の後輪目標舵角の補正値βr1を一定とした場合に、リア荷重重量Mr1が大きくなるに従って、大きく設定される。これは、舵角を一定とすれば、前後方向の加速度に基づく荷重重量が大きくなるに従って、横加速度が増大し、この増大した横加速度に応じてより大きな軸力補正トルクが必要になるためである。
尚、ECU100のROMには、予め図12に示す関係を数値化してなる軸力補正トルクマップが格納されており、上述した図11中のステップS604においては、係る軸力補正トルクマップから該当する値が選択される。
尚、上述した第3実施形態では、LKA用の前輪目標舵角の補正値βf1を用いたが本発明はこの限りでない。即ち、LKA用の前輪目標舵角の補正値βf1、βf2、βf3、及びβf4のうちいずれか一つを用いてよい。概ね同様にして、上述した第3実施形態では、LKA用の後輪目標舵角の補正値βr1を用いたが本発明はこの限りでない。即ち、LKA用の後輪目標舵角の補正値βr1、βr2、βr3、及びβr4のうちいずれか一つを用いてよい。また、上述した第3実施形態では、前輪と後輪において、逆位相の特性にしたがこの限りでなく、同位相の特性であってよい。
(第4実施形態)
次に、図13及び図14を参照して、第4実施形態に係る前輪用の軸力補正トルクT6とLKA用の前輪目標舵角の補正値βf1との定量的及び定性的な関係、並びに、第4実施形態に係る後輪用の軸力補正トルクT7とLKA用の後輪目標舵角の補正値βr1との定量的及び定性的な関係について説明する。ここに、図13は、第4実施形態に係る、LKA用の前輪目標舵角の補正値βf1から前輪用の軸力補正トルクT6を算出する際の情報の流れを概念的に示したデータフロー図(図13(a))及びLKA用の後輪目標舵角の補正値βr1から後輪用の軸力補正トルクT7を算出する際の情報の流れを概念的に示したデータフロー図(図13(b))である。
また、図14は、第4実施形態に係る、フロント荷重重量Mf1と乗算係数KFRとの関係を示したグラフ(図14(a))、リア荷重重量Mr1と乗算係数KRRとの関係を示したグラフ(図14(b))、及び、同一の舵角の操舵輪、即ち車輪において発生する力と、車輪に掛かる接地荷重との関係を示したグラフ(図14(c))である。
図13(a)に示されるように、ECU100の一部である前輪用の演算部101は、入力されたLKA用の前輪目標舵角の補正値βf1に所定の演算を施すことにより、前輪用の軸力補正トルクT6を出力する。
この前輪用の演算部101は、前段部101a及び後段部101bを備えて構成される。前段部101aは、入力されたLKA用の前輪目標舵角の補正値βf1に基づいて、基準となる前輪用の軸力補正トルクT6bを出力する。ここに、第4実施形態に係る「基準となる前輪用の軸力補正トルクT6b」とは、典型的には、車両が静止している際のフロント重量Mfに対応した前輪用の軸力補正トルクを意味する。
後段部101bは、入力された基準となる前輪用の軸力補正トルクT6bに乗算係数KFRを乗算することにより、前輪用の軸力補正トルクT6を出力する。ここに、第4実施形態に係る乗算係数KFRとは、フロント荷重重量Mf1に応じて変化する係数を意味する。乗算係数KFRは、典型的には、図14(a)に示されるように、フロント荷重重量Mf1が車両の静止時のフロント重量Mfである場合、「1」となる。加えて、乗算係数KFRは、フロント荷重重量Mf1が車両の静止時のフロント重量Mfより小さい場合、「1」より小さくなり、フロント荷重重量Mf1が車両の静止時のフロント重量Mfより大きい場合、「1」より大きくなる。
より典型的には、乗算係数KFRは、図14(a)の第1領域に示されるように、例えばタイヤ等の車輪の接地荷重特性が線形的に変化する第1領域においては、乗算係数KFRは1より大きく、且つ、フロント荷重重量Mf1が大きくなるに従って線形的に増大する。即ち、乗算係数KFRとフロント荷重重量Mf1とは比例する。ここに、本実施形態に係る車輪の「接地荷重特性」とは、例えばタイヤ等の車輪に掛かる接地荷重と、この車輪において発生する力(例えば横力)との相関関係を意味する。本願発明者らによる研究によれば、例えばタイヤ等の車輪の接地荷重特性は、図14(c)に示されるように、(i)同一の舵角の操舵輪、即ち、車輪において発生する力(例えば横力)が、車輪に掛かる接地荷重が大きくなるに従って線形的に大きくなる線形領域と、(ii)この車輪において発生する力が、車輪に掛かる接地荷重が大きくなるに従って非線形的に大きくなる非線形領域とを有することが判明している。
上述した乗算係数KFRは、図14(a)の第2領域に示されるように、例えばタイヤ等の車輪の接地荷重特性が非線形的に変化する第2領域においては、乗算係数KFRはK(但しK>1)より大きく、且つ、フロント荷重重量Mf1が大きくなるに従って、乗算係数KFR自身も非線形的に増大する。即ち、乗算係数KFRとフロント荷重重量Mf1とは比例しなくなる。
上述した乗算係数KFRは、図14(a)の第3領域に示されるように、例えばタイヤ等の車輪の接地荷重特性が線形的に変化する第3領域においては、乗算係数KFRは1より小さく、且つ、フロント荷重重量Mf1が1より小さくなるに従って線形的に減少する。即ち、乗算係数KFRとフロント荷重重量Mf1とは比例する。
上述した乗算係数KFRは、図14(a)の第4領域に示されるように、例えばタイヤ等の車輪の接地荷重がゼロ又は負の値である第4領域においては、乗算係数KFRはゼロである。即ち、乗算係数KFRとフロント荷重重量Mf1とは比例する。尚、車輪の接地荷重が負の値である場合は、車輪が路面から離れ浮いている状態である。
他方、概ね同様にして、図13(b)に示されるように、ECU100の一部である後輪用の演算部102は、入力されたLKA用の後輪目標舵角の補正値βr1に所定の演算を施すことにより、後輪用の軸力補正トルクT7を出力する。
この後輪用の演算部102は、前段部102a及び後段部102bを備えて構成される。前段部102aは、入力されたLKA用の後輪目標舵角の補正値βr1に基づいて、基準となる後輪用の軸力補正トルクT7bを出力する。ここに、第4実施形態に係る「基準となる後輪用の軸力補正トルクT7b」とは、典型的には、車両が静止している際のリア重量Mrに対応した後輪用の軸力補正トルクを意味する。尚、後輪の操舵方向を、車両の旋回方向と逆にした場合、基準となる後輪用の軸力補正トルクT7bもまた、図13(b)に示されるように、基準となる前輪用の軸力補正トルクT6bと対称な特性となる。
後段部102bは、入力された基準となる後輪用の軸力補正トルクT7bに乗算係数KRRを乗算することにより、後輪用の軸力補正トルクT7を出力する。ここに、第4実施形態に係る乗算係数KRRとは、リア荷重重量Mr1に応じて変化する係数を意味する。尚、乗算係数KRRは、フロント荷重重量Mf1に代えてリア荷重重量Mr1に応じて変化する事を除けば、上述した乗算係数KFRと概ね同様であるので説明を省略する。
以上により、例えばタイヤ等の車輪で実際に発生する力において、車輪に掛かる接地荷重の変化に応じた横力の変化量を考慮することが可能であり、前輪用の軸力補正トルクT6又は後輪用の軸力補正トルクT7を、より適切に算出することが可能である。これら軸力補正トルクT6及びT7を軸力補正トルクとしてLKA目標アシストトルクTLKに含めることにより、目標走行路への追従に際して生じる反力トルクのうち軸力に起因した成分を、車輪に掛かる接地荷重の変化に応じた横力の変化量を考慮して、より高精度に軽減することができる。これにより、前輪又は後輪の軸力に起因する反力トルク成分を含む反力トルクをより効果的に低減することが可能である。
この結果、ドライバがステアリングホイルを保舵した際の違和感が軽減され、理想的には、ドライバが全く保舵を行わない、所謂、手放し状態であっても車両を目標走行路へ追従させることが可能となる。加えて、LKA目標アシストトルクTLKは、あくまで目標走行路への追従に際して生じる反力トルクを軽減するのであり、ドライバが自身の意思でステアリングホイルを操作することにより生じる操舵トルクには何らの影響も及ばない。従って、操舵フィールの低下が生じることも無い。
仮に、上述した車輪の接地荷重特性を考慮しない場合、車輪の舵角が同一であったとしても、車輪の接地荷重に応じて異なる横力が発生してしまい、軸力補正トルクが実際に発生する横力を適切に反映すること困難になってしまうという技術的な問題点が生じる。
尚、上述した第4実施形態では、LKA用の前輪目標舵角の補正値βf1を用いたが本発明はこの限りでない。即ち、LKA用の前輪目標舵角の補正値βf1、βf2、βf3、及びβf4のうちいずれか一つを用いてよい。概ね同様にして、上述した第4実施形態では、LKA用の後輪目標舵角の補正値βr1を用いたが本発明はこの限りでない。即ち、LKA用の後輪目標舵角の補正値βr1、βr2、βr3、及びβr4のうちいずれか一つを用いてよい。
(第5実施形態)
次に、図15及び図16を参照して、第5実施形態に係る前輪用の軸力補正トルクT8とLKA用の前輪目標舵角の補正値βf1との定量的及び定性的な関係、並びに、第5実施形態に係る後輪用の軸力補正トルクT9とLKA用の後輪目標舵角の補正値βr1との定量的及び定性的な関係について説明する。
ここに、図15は、第5実施形態に係る前輪用の軸力補正トルクT8とLKA用の前輪目標舵角の補正値βf1との定量的及び定性的な関係を示すグラフである。尚、図15において、縦軸には軸力補正トルクT8が示され、横軸にはLKA用の前輪目標舵角の補正値βf1が示される。また、図16は、第5実施形態に係る後輪用の軸力補正トルクT9とLKA用の後輪目標舵角の補正値βr1との定量的及び定性的な関係を示すグラフである。尚、図16において、縦軸には軸力補正トルクT9が示され、横軸にはLKA用の後輪目標舵角の補正値βr1が示される。
図15に示されるように、第5実施形態に係る前輪の軸力補正トルクT8は、右旋回時と左旋回時とで対象な特性を有し、不感帯領域と、飽和領域とを除けば、LKA用の前輪目標舵角の補正値βf1に対し線形的に増加する特性を有する。軸力補正トルクは、本発明に係る「目標補助トルク」の一例に相当しており、操舵輪の目標角度、即ち目標舵角に基づいて設定される。或いは、軸力補正トルクは、操舵輪の測定角度、即ち測定舵角に基づいて設定されてよい。
特に第5実施形態では、図15に示されるように、一例として、上述したフロント重量Mfの変化に対応して軸力補正トルクT8が変化する補正特性が示されている。具体的には、小レベル、中レベル、大レベルのフロント重量Mfの大きさに夫々対応した前輪の軸力補正トルクT8が図15中の実線、破線及び鎖線として夫々示されている。この図15に示されるように、軸力補正トルクT8は、LKA用の前輪目標舵角の補正値βf1を一定とした場合に、フロント重量Mfが大きくなるに従って、大きく設定される。これは、舵角を一定とすれば、重量が大きくなるに従って、横加速度が増大し、この増大した横加速度に応じてより大きな軸力補正トルクが必要になるためである。
概ね同様にして、図16に示されるように、第5実施形態に係る後輪用の軸力補正トルクT9は、右旋回時と左旋回時とで対象な特性を有し、不感帯領域と、飽和領域とを除けば、LKA用の後輪目標舵角の補正値βr1に対し線形的に増加する特性を有する。尚、後輪の操舵方向を、車両の旋回方向と逆にした場合、基準となる後輪用の軸力補正トルクT9もまた、図16に示されるように、前輪用の軸力補正トルクT8と対称な特性となる。
典型的には、図16に示されるように、一例として、上述したリア重量Mrの変化に対応して軸力補正トルクT9が変化する補正特性が示されている。具体的には、小レベル、中レベル、大レベルのリア重量Mrの大きさに夫々対応した前輪の軸力補正トルクT9が図16中の実線、破線及び鎖線として夫々示されている。この図16に示されるように、軸力補正トルクT9は、LKA用の後輪目標舵角の補正値βr1を一定とした場合に、リア重量Mrが大きくなるに従って、大きく設定される。これは、舵角を一定とすれば、重量が大きくなるに従って、横加速度が増大し、この増大した横加速度に応じてより大きな軸力補正トルクが必要になるためである。
以上により、例えばタイヤ等の車輪で実際に発生する横力において、車両の乗員数の増減や、車両に搭載された荷物の重量の増減に応じた横力の変化量を考慮することが可能であり、前輪用の軸力補正トルクT8又は後輪用の軸力補正トルクT9を、より適切に算出することが可能である。
これら軸力補正トルクT8又はT9を軸力補正トルクとしてLKA目標アシストトルクTLKに含めることにより、目標走行路への追従に際して生じる反力トルクのうち軸力に起因した成分を、車輪に掛かる重量の変化に応じた横力の変化量を考慮して、より高精度に軽減することができる。これにより、前輪又は後輪の軸力に起因する反力トルク成分を含む反力トルクをより効果的に低減することが可能である。
この結果、ドライバがステアリングホイルを保舵した際の違和感が軽減され、理想的には、ドライバが全く保舵を行わない、所謂、手放し状態であっても車両を目標走行路へ追従させることが可能となる。加えて、LKA目標アシストトルクTLKは、あくまで目標走行路への追従に際して生じる反力トルクを軽減するのであり、ドライバが自身の意思でステアリングホイルを操作することにより生じる操舵トルクには何らの影響も及ばない。従って、操舵フィールの低下が生じることも無い。
尚、上述した第5実施形態では、LKA用の前輪目標舵角の補正値βf1を用いたが本発明はこの限りでない。即ち、LKA用の前輪目標舵角の補正値βf1、βf2、βf3、及びβf4のうちいずれか一つを用いてよい。概ね同様にして、上述した第5実施形態では、LKA用の後輪目標舵角の補正値βr1を用いたが本発明はこの限りでない。即ち、LKA用の後輪目標舵角の補正値βr1、βr2、βr3、及びβr4のうちいずれか一つを用いてよい。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態に係る、接地荷重の変化に応じた関数に基づいて決定される前輪用の軸力補正トルクT10について説明する。
前輪舵角δfから第6実施形態に係る軸力補正トルクT10への伝達関数は、次の式(61)によって定義可能である。
……… (61)
但し、Tsat:軸力補正トルクT10
δf:前輪舵角
s:ラプラス演算子
m:車両重量
V:車速
I:ヨー角慣性モーメント
Kf:前輪Fのコーナーリングパワー
Kr:後輪Rのコーナーリングパワー
lf:前輪用操舵シャフト260と重心Gとの距離
lr:後輪用操舵シャフト280と重心Gとの距離
である。
この式(61)から次の式(62)が導出される。
……… (62)
この式(62)から更に次の式(63)が導出される。
……… (63)
但し、次の式(64)、式(65)、式(66)、式(67)、及び式(68)が成り立つ。
……… (64)
特に、この式(64)で表される変数GSAT_fは、上述した前輪用の軸力補正トルクT4、T6及びT8のうちいずれか一つでよい。
……… (65)
特に、この式(65)で表される変数a2において、後輪RのコーナーリングパワーKr、及び後輪用操舵シャフト280と重心Gとの距離lrは、各車輪に掛かる接地荷重に応じて変化するので、実験的、理論的、経験的、又はシミュレーション等に得られた所定関数や所定マップから個別具体的に求めてよい。
……… (66)
特に、この式(66)で表される変数a1において、後輪用操舵シャフト280と重心Gとの距離lrは、各車輪に掛かる接地荷重に応じて変化するので、実験的、理論的、経験的、又はシミュレーション等に得られた所定関数や所定マップから個別具体的に求めてよい。
……… (67)
特に、この式(67)で表される変数b2において、前輪FのコーナーリングパワーKf、後輪RのコーナーリングパワーKr、前輪用操舵シャフト260と重心Gとの距離lf、及び、後輪用操舵シャフト280と重心Gとの距離lrは、各車輪に掛かる接地荷重に応じて変化するので、実験的、理論的、経験的、又はシミュレーション等に得られた所定関数や所定マップから個別具体的に求めてよい。
……… (68)
特に、この式(68)で表される変数b1において、前輪FのコーナーリングパワーKf、後輪RのコーナーリングパワーKr、前輪用操舵シャフト260と重心Gとの距離lf、及び、後輪用操舵シャフト280と重心Gとの距離lrは、各車輪に掛かる接地荷重に応じて変化するので、実験的、理論的、経験的、又はシミュレーション等に得られた所定関数や所定マップから個別具体的に求めてよい。
以上により、例えばタイヤ等の車輪に掛かる接地荷重の変化に応じて、運転者の実際の操舵動作から前輪用の軸力補正トルクへの伝達特性が変化する際の変化量を定量的及び定性的に考慮することができる。この結果、前輪の軸力に起因する反力トルク成分を含む反力トルクをより効果的に低減することが可能である。
一般的に、車輪の軸力が実際にステアリングホイルに反力トルクの一成分として伝達されるまでには、車両の走行条件や車両構造等に応じて定まり得る時間的な応答遅延が存在する。特に、第6実施形態では、各車輪に掛かる接地荷重を考慮した応答遅延に基づいて反力トルクを相殺し得る軸力補正トルクを高精度に決定することが可能となるので、実践上、大変有益である。
尚、上述した第1、第2、第3、第4、第5及び第6実施形態に係る構成は、相容れないものではない。例えば、第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせ、前後輪の舵角制御により目標走行路への追従が図られてもよい。即ち、この場合、軸力補正トルクT4及びT5の双方をLKA目標アシストトルクTLKに反映させればよい。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う操舵制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明は、前後輪を操舵可能な四輪操舵機構を備えた車両において、前後輪の操舵を制御する操舵制御装置に利用することができる。或いは、本発明は、例えば、車両を目標走行路に追従させる操舵制御装置に利用可能である。
10 車両
11 ステアリングホイール
12 アッパーステアリングシャフト
13 ロアステアリングシャフト
14 ピニオンギア
16 操舵トルクセンサ
17 操舵角センサ
18 回転角センサ
20 VGRSアクチュエータ
100 ECU
200 四輪操舵機構
210 ステアリングホイール
220 ステアリングシャフト
240 操舵角センサ
250 前輪用アクチュエータ
260 前輪用操舵シャフト
270 後輪用アクチュエータ
280 後輪用操舵シャフト
300 VGRS駆動装置
400 EPSアクチュエータ
500 EPS駆動装置
Fl 左前輪
Fr 右前輪
Rl 左後輪
Rr 右後輪

Claims (7)

  1. 所定の走行軌跡を走行するように操舵輪の舵角を変更可能な操舵機構を備えた車両の操舵制御装置であって、
    前記車両を前記所定の走行軌跡に追従させるための前記操舵輪の目標舵角を特定する特定手段と、
    前記特定された目標舵角を、前記車両の加速度に基づいて補正する第1の補正手段と、
    前記操舵輪の舵角が前記補正された目標舵角になるように前記操舵機構を制御する制御手段と
    を備えることを特徴とする操舵制御装置。
  2. 所定の走行軌跡を走行するように操舵輪の舵角を変更可能な操舵機構を備えた車両の操舵制御装置であって、
    前記車両を前記所定の走行軌跡に追従させるための前記操舵輪の目標舵角を特定する特定手段と、
    前記特定された目標舵角を、前記車両が走行する走行路面の路面勾配に基づいて補正する第2の補正手段と、
    前記操舵輪の舵角が前記補正された目標舵角になるように前記操舵機構を制御する制御手段と
    を備えることを特徴とする操舵制御装置。
  3. 前記第2の補正手段は、前記特定された目標舵角を、前記路面勾配に加えて前記車両の加速度に基づいて補正することを特徴とする請求項2に記載の操舵制御装置。
  4. 前記第2の補正手段は、前記特定された目標舵角を前記路面勾配に基づいて補正する場合の第1補正量、及び、前記特定された目標舵角を前記加速度に基づいて補正する場合の第2補正量のうちいずれか大きい方の補正量によって、前記特定された目標舵角を補正することを特徴とする請求項3に記載の操舵制御装置。
  5. 操舵ハンドルを介して操舵入力軸に付与される操舵トルクを変更可能な操舵トルク変更手段と、
    前記操舵輪としての前輪の舵角と、前記操舵入力軸の回転角たる操舵角との関係を変化可能な舵角可変手段と、
    前記前輪の舵角を前記補正又は特定された目標舵角に近付ける前記舵角可変手段の制御に伴って前記操舵ハンドルに掛かる反力トルクを低減するための目標補助トルクを算出する算出手段と、
    前記算出された目標補助トルクを前記車両の加速度に基づいて補正する第3の補正手段と
    を更に備え、
    前記制御手段は、前記前輪の舵角を前記補正又は特定された目標舵角に近付けるように前記舵角可変手段に制御し、且つ、前記補正された目標補助トルクに基づいて、前記操舵トルクを変更するように前記操舵トルク変更手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の操舵制御装置。
  6. 前記第3の補正手段は、前記算出された目標補助トルクに対して前記車両の加速度の大きさに基づいた補正係数を乗算することによって前記算出された目標補助トルクを補正し、且つ、前記前輪に掛かる荷重が大きくなるに従って前記前輪で発生する横力が線形的に大きくなる線形領域と、前記前輪に掛かる荷重が大きくなるに従って前記前輪で発生する横力が非線形的に大きくなる非線形領域とで、前記補正係数を異ならせることを特徴とする請求項5に記載の操舵制御装置。
  7. 前記制御手段は、前記車両に所定レベルのモーメントが所定時間を超えて発生した場合、前記操舵輪の舵角が前記特定された目標舵角になるように前記操舵機構を制御することを特徴とする請求項2から4のうちいずれか一項に記載の操舵制御装置。
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