JP2003306092A - 車両状態量の推定方法 - Google Patents

車両状態量の推定方法

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JP2003306092A
JP2003306092A JP2002113715A JP2002113715A JP2003306092A JP 2003306092 A JP2003306092 A JP 2003306092A JP 2002113715 A JP2002113715 A JP 2002113715A JP 2002113715 A JP2002113715 A JP 2002113715A JP 2003306092 A JP2003306092 A JP 2003306092A
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wheel
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vehicle state
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Atsushi Mori
淳 森
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Honda Motor Co Ltd
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Honda Motor Co Ltd
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    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01LMEASURING FORCE, STRESS, TORQUE, WORK, MECHANICAL POWER, MECHANICAL EFFICIENCY, OR FLUID PRESSURE
    • G01L5/00Apparatus for, or methods of, measuring force, work, mechanical power, or torque, specially adapted for specific purposes
    • G01L5/20Apparatus for, or methods of, measuring force, work, mechanical power, or torque, specially adapted for specific purposes for measuring wheel side-thrust
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01MTESTING STATIC OR DYNAMIC BALANCE OF MACHINES OR STRUCTURES; TESTING OF STRUCTURES OR APPARATUS, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G01M17/00Testing of vehicles
    • G01M17/007Wheeled or endless-tracked vehicles

Abstract

(57)【要約】 【課題】 単純かつ安価な方法によって、車両の速度、
車輪のスリップ率、車輪の接地面の速度、車輪の前後
力、車体横滑り角等の車両状態量、あるいは、これらの
車両状態量に関連する値の推定精度を向上させる。 【解決手段】 タイヤ前後力演算部81は、所定のタイ
ヤ力学モデルに係る数式に、前後加速度Gxの検出値と
推定前後加速度Gxeとの偏差をゼロとするように調整し
た摩擦係数μと、推定車速Ve及び各センサー11,3
1の検出値に基づき算出した各車輪のスリップ率S1
…,S4と、各センサー12,61の検出値に基づき算
出した各車輪の荷重W1,…,W4及び横力Y1,…,Y4
とを代入し、各車輪の前後力F1,…,F4を算出する。
前後加速度推定部82は、前後力F1,…,F4及び所定
の運動方程式に基づき推定前後加速度Gxeを算出する。
積分器43は推定前後加速度Gxeを時間積分して推定車
速Veを算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば車両の速
度、車輪のスリップ率、車輪の接地面の速度、車輪に作
用する前後力、車体横滑り角等の車両状態量の推定方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車両の旋回運動等の運動状態を制
御する際に、例えば車体横滑り角β(つまり、車両の進
行方向と車両の前後軸とのなす角)等の車両状態量を利
用して車両の運動性能を向上させる制御が知られてい
る。このような制御において、例えば車体横滑り角βを
利用する場合には、ヨーレートセンサーにより検出され
るヨーレートr(つまり、車両重心の上下方向軸回りの
回転角速度)と、横加速度センサーにより検出される横
加速度Gy(つまり、車両の横方向に加わる加速度ある
いは減速度)と、車速センサーにより検出される車両の
速度V(車速)とを、車両運動の状態量の物理的関係式
から導かれる下記数式(1)に代入し、時間積分を行う
ことによって、車体横滑り角βを推定する方法が知られ
ている。しかしながら、このように各センサーからの検
出結果を時間積分する方法では、例えば各センサーにお
ける雑音の影響や、検出結果に含まれる誤差や、各セン
サーの較正のずれ等が累積されることで、車体横滑り角
βに対する推定精度が低下してしまう虞がある。
【0003】
【数1】
【0004】このような問題に対して、例えば特開平1
1−78933号公報に記載された車両の車体横滑り角
推定方法及び推定装置のように、適宜の複数の車両のモ
デルを導入し、例えば路面の摩擦係数が変化した場合
や、例えば車両の運動限界付近(つまり、何らの制御も
加えないと車両の運動状態が不安定になる可能性がある
限界領域)での走行時等の各状況に応じて、車両のモデ
ルを切り替えて車体横滑り角βを推定する方法が知られ
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来技術の一例に係る車両の車体横滑り角推定
方法及び推定装置においては、車体横滑り角βの演算処
理が複雑化し、演算負荷が増大してしまうという問題が
生じる。しかも、複数の車両のモデルを切り替えるタイ
ミングによっては、車体横滑り角βの推定値が急激に変
化してしまう場合があり、ドライバビリティが低下して
しまう虞がある。
【0006】また、車速センサーによって車速Vを検出
する際に、例えば各車輪の回転速度を検出する車輪速セ
ンサーからの信号に基づいて車速Vを算出する場合に
は、各車輪のスリップ率が増大すると、車速Vを正確に
算出することが困難になるという問題が生じる。このよ
うな問題に対して、例えば車両の加速度を検出する加速
度センサーからの出力を時間積分して車速Vを算出する
と、検出時の雑音や検出誤差や加速度センサーの較正の
ずれ等が累積されてしまうという問題が生じる。例えば
車速Vに基づいて車両の走行状態を制御する場合等にお
いて、特に、長時間に亘って加速度センサーからの出力
を時間積分すると、車速Vの誤差が過剰に増大してしま
い、適切な制御が困難になる虞がある。
【0007】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、単純かつ安価な方法によって、例えば車両の速度、
車輪のスリップ率、車輪の接地面の速度、車輪の前後
力、車体横滑り角等の車両状態量、あるいは、これらの
車両状態量に関連する値の推定精度を向上させることが
可能な車両状態量の推定方法を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決して係る
目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の車両
状態量の推定方法は、車両特性に関連する特性値(例え
ば、後述する実施の形態における摩擦係数μ、前輪コー
ナリングパワーKf、後輪コーナリングパワーKr)に初
期値を設定するステップ(例えば、後述する実施の形態
におけるステップS01、ステップS11)と、前記初
期値を所定の運動方程式(例えば、後述する実施の形態
における数式(5)〜(10)および数式(13)およ
び数式(17)〜数式(18)、数式(20)〜数式
(24))に適用して所望の車両状態量(例えば、後述
する実施の形態における推定車速Ve、スリップ率S1
…,S4、接地面速度Ve1,…,Ve4、前後力F1,…,
4、車体横滑り角β)または該所望の車両状態量に関
連する値を算出するステップ(例えば、後述する実施の
形態におけるステップS03およびステップS04、ス
テップS15およびステップS16およびステップS1
9)と、前記運動方程式により算出した前記所望の車両
状態量または前記該所望の車両状態量に関連する値を、
計測可能な車両状態量(例えば、後述する実施の形態に
おける横加速度Gy、前後加速度Gx)により検証するス
テップ(例えば、後述する実施の形態におけるステップ
S07、ステップS18)と、前記検証の結果に応じて
前記初期値を補正するステップ(例えば、後述する実施
の形態におけるステップS08、ステップS20)とを
含むことを特徴としている。
【0009】上記のような車両状態量の推定方法によれ
ば、所定の運動方程式によって所望の車両状態量または
該所望の車両状態量に関連する値を算出する際に、先
ず、運動方程式において未知なる変数に適宜の初期値を
代入する。そして、算出した所望の車両状態量または該
所望の車両状態量に関連する値に基づいて、計測可能な
車両状態量を記述する。そして、記述した車両状態量
と、実際に計測した車両状態量とを比較して、例えば両
者の間の偏差がゼロとなるように、適宜の初期値を補正
する。そして、補正された初期値を所定の運動方程式に
代入して、上述した処理を繰り返す。これにより、所定
の運動方程式によって算出する所望の車両状態量または
該所望の車両状態量に関連する値が、計測可能な車両状
態量とは異なる場合であっても、運動方程式に代入する
初期値の補正を繰り返すことによって、算出する所望の
車両状態量または該所望の車両状態量に関連する値の精
度を向上させることができる。
【0010】また、請求項2に記載の本発明の車両状態
量の推定方法は、車両特性に関連する特性値(例えば、
後述する実施の形態における摩擦係数μ、前輪コーナリ
ングパワーKf、後輪コーナリングパワーKr)に初期値
を設定するステップ(例えば、後述する実施の形態にお
けるステップS01、ステップS11)と、前記初期値
を所定の運動方程式(例えば、後述する実施の形態にお
ける数式(5)〜(10)および数式(13)および数
式(17)〜数式(18)、数式(20)〜数式(2
4))に適用して、所望の車両状態量(例えば、後述す
る実施の形態における推定車速Ve、スリップ率S1
…,S4、接地面速度Ve1,…,Ve4、前後力F1,…,
4、車体横滑り角β)の微分値(例えば、後述する実
施の形態における車体横滑り角微分値β’、推定前後加
速度Gxe)または該所望の車両状態量に関連する値の微
分値(例えば、後述する実施の形態における微分値
y’)を算出するステップ(例えば、後述する実施の
形態におけるステップS03、ステップS15およびス
テップS16)と、前記運動方程式により算出した前記
所望の車両状態量の微分値または前記該所望の車両状態
量に関連する値の微分値を、計測可能な車両状態量(例
えば、後述する実施の形態における横加速度Gy、前後
加速度Gx)により検証するステップ(例えば、後述す
る実施の形態におけるステップS07、ステップS1
8)と、前記検証の結果に応じて前記初期値を補正する
ステップ(例えば、後述する実施の形態におけるステッ
プS08、ステップS20)と、前記運動方程式により
算出した前記所望の車両状態量の微分値または前記該所
望の車両状態量に関連する値の微分値を積分して、前記
所望の車両状態量または前記該所望の車両状態量に関連
する値を算出するステップ(例えば、後述する実施の形
態におけるステップS04、ステップS19)と、算出
した前記所望の車両状態量または前記該所望の車両状態
量に関連する値を、次回の処理における前記所望の車両
状態量の微分値または前記該所望の車両状態量に関連す
る値の微分値の算出に利用するステップ(例えば、後述
する実施の形態においてはステップS03、ステップS
20が兼ねる)とを含むことを特徴としている。
【0011】上記のような車両状態量の推定方法によれ
ば、所定の運動方程式に基づいて所望の車両状態量また
は該所望の車両状態量に関連する値を算出する際に、先
ず、運動方程式において未知なる変数に適宜の初期値を
代入し、所望の車両状態量の微分値または該所望の車両
状態量に関連する値の微分値を算出する。そして、算出
した所望の車両状態量の微分値または該所望の車両状態
量に関連する値の微分値に基づいて、計測可能な車両状
態量を記述する。そして、記述した車両状態量と、実際
に計測した車両状態量とを比較して、例えば両者の間の
偏差がゼロとなるように、適宜の初期値を補正する。そ
して、補正された初期値と共に、算出した所望の車両状
態量の微分値または該所望の車両状態量に関連する値の
微分値を積分して得た所望の車両状態量または該所望の
車両状態量に関連する値を、所定の運動方程式に代入し
て、上述した処理を繰り返す。
【0012】これにより、所定の運動方程式によって算
出する所望の車両状態量の微分値または該所望の車両状
態量に関連する値の微分値が、計測可能な車両状態量と
は異なる場合であっても、運動方程式に代入する初期値
の補正を繰り返すことによって、算出する所望の車両状
態量または該所望の車両状態量に関連する値の精度を向
上させることができる。さらに、所望の車両状態量の微
分値または該所望の車両状態量に関連する値の微分値に
基づいて検証を行うため、例えばこれらの微分値を積分
して得た値に基づいて検証を行う場合に比べて、積分演
算によって誤差が累積されることを防止することがで
き、精度の良い検証を行うことができる。
【0013】しかも、所望の車両状態量の微分値または
該所望の車両状態量に関連する値の微分値を算出する際
に、前回の処理にて算出した所望の車両状態量または該
所望の車両状態量に関連する値を利用することで、回帰
的な算出処理を行うため、積分演算により算出する所望
の車両状態量または該所望の車両状態量に関連する値が
発散してしまうことを防止することができる。すなわ
ち、回帰的な算出処理を繰り返すことで、所望の車両状
態量または該所望の車両状態量に関連する値は収束する
方向に向かうので、これらの値が大きく変化することが
防止され、これらの値に基づく車両の走行挙動制御の安
定性を確保することができる。
【0014】さらに、請求項3に記載の本発明の車両状
態量の推定方法では、前記所望の車両状態量は、少なく
とも車両の速度(例えば、後述する実施の形態における
推定車速Ve)および車輪のスリップ率(例えば、後述
する実施の形態におけるスリップ率S1,…,S4)およ
び車輪の接地面の速度(例えば、後述する実施の形態に
おける接地面速度Ve1,…,Ve4)および車輪の前後力
(例えば、後述する実施の形態における前後力F1
…,F4)の何れかであり、前記車両特性に関連する特
性値は、タイヤ特性に関連する特性値(例えば、後述す
る実施の形態における摩擦係数μ)であり、前記計測可
能な車両状態量は、前後加速度(例えば、後述する実施
の形態における前後加速度Gx)であることを特徴とし
ている。
【0015】上記のような車両状態量の推定方法によれ
ば、先ず、運動方程式において未知なる変数として、タ
イヤ特性に関連する特性値に適宜の初期値を代入する。
そして、少なくとも車両の速度および車輪のスリップ率
および車輪の接地面の速度および車輪の前後力の何れか
からなる所望の車両状態量または該所望の車両状態量の
微分値に基づいて、計測可能な車両状態量として前後加
速度(つまり、車両の前後方向に加わる加速度あるいは
減速度)を推定する。そして、推定した前後加速度と、
実際に計測した前後加速度とを比較して、例えば両者の
間の偏差がゼロとなるように、タイヤ特性に関連する特
性値の初期値を補正する。そして、補正された初期値を
所定の運動方程式に代入して、上述した処理を繰り返
す。これにより、運動方程式に代入する初期値の補正を
繰り返すことによって、例えば路面変化等に応じて、タ
イヤ特性に関連する特性値が大きく変化するような場合
であっても、算出する所望の車両状態量または該所望の
車両状態量に関連する値の精度を向上させることができ
る。
【0016】さらに、請求項4に記載の本発明の車両状
態量の推定方法は、少なくとも前記車両の速度(例え
ば、後述する実施の形態における推定車速Ve)および
前記車輪のスリップ率(例えば、後述する実施の形態に
おけるスリップ率S1,…,S4)および前記車輪の接地
面の速度(例えば、後述する実施の形態における接地面
速度Ve1,…,Ve4)および前記車輪の前後力(例え
ば、後述する実施の形態における前後力F1,…,F4
の何れかの算出結果に基づいて、車両の駆動力または制
動力を制御するステップ(例えば、後述する実施の形態
においてはステップS20が兼ねる)を含むことを特徴
としている。
【0017】上記のような車両状態量の推定方法によれ
ば、車両の走行挙動を制御する際に、所望の駆動力また
は制動力を確保することができると共に、例えば駆動力
発生装置や制動力発生装置の個体差による出力特性のば
らつきや、経年変化等を補正することができる。
【0018】さらに、請求項5に記載の本発明の車両状
態量の推定方法は、少なくとも前記車両の速度(例え
ば、後述する実施の形態における推定車速Ve)および
前記車輪のスリップ率(例えば、後述する実施の形態に
おけるスリップ率S1,…,S4)および前記車輪の接地
面の速度(例えば、後述する実施の形態における接地面
速度Ve1,…,Ve4)および前記車輪の前後力(例え
ば、後述する実施の形態における前後力F1,…,F4
の何れかの算出結果に基づいて、操舵輪の舵角または操
舵力を制御するステップ(例えば、後述する実施の形態
においてはステップS20が兼ねる)を含むことを特徴
としている。
【0019】上記のような車両状態量の推定方法によれ
ば、前輪および後輪の舵角に応じて車両の走行挙動が変
化する場合であっても、所望の走行挙動を確保すること
ができると共に、例えば運転者の操舵を補助する操舵力
を、車両の走行挙動に応じて適切に発生させることがで
きる。
【0020】さらに、請求項6に記載の本発明の車両状
態量の推定方法では、前記所望の車両状態量は、車体の
横滑り角(例えば、後述する実施の形態における車体横
滑り角β)であり、前記車両特性に関連する特性値は、
タイヤ特性に関連する特性値(例えば、後述する実施の
形態における前輪コーナリングパワーKfまたは後輪コ
ーナリングパワーKrまたは摩擦係数μ)であり、前記
計測可能な車両状態量は、横加速度(例えば、後述する
実施の形態における横加速度Gy)であることを特徴と
している。
【0021】上記のような車両状態量の推定方法によれ
ば、先ず、運動方程式において未知なる変数として、タ
イヤ特性に関連する特性値に適宜の初期値を代入する。
そして、車体の横滑り角あるいは車体の横滑り角に関連
する値またはこれらの値の微分値に基づいて、計測可能
な車両状態量として横加速度を推定する。そして、推定
した横加速度と、実際に計測した横加速度とを比較し
て、例えば両者の間の偏差がゼロとなるように、タイヤ
特性に関連する特性値の初期値を補正する。そして、補
正された初期値を所定の運動方程式に代入して、上述し
た処理を繰り返す。これにより、運動方程式に代入する
初期値の補正を繰り返すことによって、例えば路面変化
等に応じて、タイヤ特性に関連する特性値が大きく変化
するような場合であっても、算出する車体の横滑り角あ
るいは車体の横滑り角に関連する値またはこれらの値の
微分値の精度を向上させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施形態に
係る車両状態量の推定方法について添付図面を参照しな
がら説明する。図1および図2は本発明の第1の実施形
態に係る車両状態量の推定方法を実現する車両制御シス
テム10の構成図であり、図3は二輪モデルにおける二
輪図を示す模式図であり、図4は図1および図2に示す
車体横滑り角推定装置20における処理の流れの一例を
示す機能ブロック図である。本実施の形態に係る車両制
御システム10は、例えば図1および図2に示すよう
に、ヨーレートセンサー11と、横加速度センサー12
と、車速センサー13と、前輪舵角センサー14と、ヨ
ーレート微分値算出部15と、車体横滑り角推定装置2
0と、目標配分トルク設定装置21と、目標配分トルク
制御装置22と、エンジンECU23とを備えて構成さ
れている。
【0023】ヨーレートセンサー11は、例えば水平面
内での車両の向きや鉛直方向に対する傾斜角度の角度変
化量等を検出する圧電素子やジャイロセンサー等からな
り、ヨーレートr(つまり、車両重心の上下方向軸回り
の回転角速度)の検出結果の大きさに応じた電圧レベル
の信号を、ヨーレート微分値算出部15および車体横滑
り角推定装置20へ出力する。横加速度センサー12
は、車両の横方向に加わる加速度(或いは減速度)であ
る横加速度Gyを検出し、この検出結果の大きさに応じ
た電圧レベルの信号を車体横滑り角推定装置20へ出力
する。
【0024】車速センサー13は、例えば各車輪WFR
FL,WRR,WRLに設けられた複数の車輪速センサ3
1,…,31にて検知された各車輪速(つまり各車輪の
回転速度)から車両の速度V(車速V)を検出し、この
検出結果の大きさに応じた電圧レベルの信号を車体横滑
り角推定装置20へ出力する。前輪舵角センサー14
は、例えばステアリング軸に設けられたロータリエンコ
ーダ等を備え、運転者が入力した操舵角度の方向と大き
さからなる操舵角を、前輪操舵系のステアリングギア比
により除算することによって、前輪舵角δ(つまり、車
両の前後軸Pと前輪の前後方向QFとのなす角δ)を検
出し、この検出結果の大きさに応じた電圧レベルの信号
を車体横滑り角推定装置20へ出力する。
【0025】車体横滑り角推定装置20は、後述するよ
うに、所定の車両の運動モデル(例えば、二輪モデル)
に係る下記数式(2)〜(4)に基づいて、車両状態量
として車体横滑り角β(つまり、車両の進行方向(例え
ば、車速Vの方向)と車両の前後軸Pとのなす角)を推
定し、推定した車体横滑り角βを目標配分トルク設定装
置21へと出力する。なお、目標配分トルク設定装置2
1は、例えば、車体横滑り角推定装置20にて推定され
た車体横滑り角βと、ヨーレートセンサー11にて検出
された車両のヨーレートrと、横加速度センサー12に
て検出された車両の横加速度Gyと、車速センサー13
にて検出された車速Vと、エンジンECU23にて算出
される駆動トルクとに基づいて、車両の前後の左右輪に
配分される配分トルクの目標値を設定し、算出した右輪
トルクおよび左輪トルクを目標配分トルク制御装置22
へと出力する。そして、目標配分トルク制御装置22
は、車両の運転状態に応じて、例えば各車輪WFR
FL,WRR,WRLに適宜の駆動力または制動力を作用さ
せて車両に所望のヨーイングモーメントMを付加する。
例えば、目標配分トルク制御装置22は、各車輪WFR
FL,WRR,WRLに設けられた複数のブレーキデバイス
32,…,32等を駆動して、左右輪の各トルクの実際
の値が右輪トルクおよび左輪トルクの各目標値に等しく
なるように制御する。
【0026】
【数2】
【0027】
【数3】
【0028】
【数4】
【0029】ここで、車両のヨー運動、つまり車両重心
の上下方向軸R周りの回転運動を記述する車両の運動モ
デルのうち、例えば図3に示すように、車両の輪距を無
視して前後の左右輪が等価的に車両の前後軸Pと各車軸
との交点にそれぞれ集中していると仮定する二輪モデル
では、前輪WFおよび後輪WRにおいて、横力とコーナ
リングフォースが等しいと近似し、コーナリングフォー
スは各タイヤの横滑り角βf,βrに比例すると近似し、
さらに、車体横滑り角βが十分に小さい(例えば、si
nβ=β,cosβ=1)と近似することによって、車
両横方向の力の釣り合い式として上記数式(2)および
車両上下軸(車両重心の上下方向軸R)周りのモーメン
トの釣り合い式として上記数式(3)が導かれる。ま
た、車両運動の状態量(例えば、車両の推定横加速度G
ye)の物理的関係式として、上記数式(4)が導かれ
る。
【0030】ここで、上記数式(2),(3)におい
て、直接に検出可能な物理量は、車速Vと、ヨーレート
rおよびヨーレート微分値dr/dt(つまり、ヨーレ
ートrの時間微分値:r’)と、前輪舵角δとであり、
車両に固有の物理量は、車両の全質量mと、車両重心か
ら前輪側車軸までの距離Lfと、車両重心から後輪側車
軸までの距離Lrと、ヨーイング慣性モーメントIとで
ある。これらの値と既知であるヨーイングモーメントM
とを定数として扱うと、上記数式(2)〜(4)は、車
体横滑り角βと、前輪コーナリングパワーKfと、後輪
コーナリングパワーKrとの3変数の連立微分方程式と
なる。すなわち、各タイヤの横滑り角βf,βrに対する
コーナリングフォースの割合である各コーナリングパワ
ーKf,Krは、車両の旋回運動の状態や路面状態(例え
ば、乾燥したアスファルト面や積雪面等)に応じて変化
するため、変数として扱う必要がある。
【0031】このため、車体横滑り角推定装置20に
は、例えば、ヨーレートセンサー11にて検出された車
両のヨーレートrと、ヨーレート微分値算出部15にて
算出されたヨーレート微分値r’と、横加速度センサー
12にて検出された車両の横加速度Gyと、車速センサ
ー13にて検出された車速Vと、前輪舵角センサー14
にて検出された前輪舵角δとの各検出信号が入力されて
いる。
【0032】このとき、車体横滑り角推定装置20は、
例えば上記従来技術の一例のように、上記数式(4)の
車体横滑り角微分値dβ/dt(つまり、車体横滑り角
βの時間微分値:β’)を時間積分して車体横滑り角β
を算出するのではなく、後述するように、上記数式
(2)の車体横滑り角微分値β’を時間積分して車体横
滑り角βを算出する。
【0033】車体横滑り角推定装置20は、例えば図4
に示すように、コーナリングパワー初期値入力部41
と、横滑り角微分値演算部42と、積分器43と、横加
速度推定部44と、減算器45と、PID調整器46
と、加算器47とを備えて構成されている。
【0034】コーナリングパワー初期値入力部41は、
後述する横滑り角微分値演算部42での演算処理に応じ
て、前輪コーナリングパワーKfまたは後輪コーナリン
グパワーKrの何れか一方に対する所定の初期値(例え
ば、図4に示す後輪コーナリングパワーKrの初期値)
を、加算器47を介して横滑り角微分値演算部42へと
供給する。横滑り角微分値演算部42は、コーナリング
パワー初期値入力部41から入力される前輪コーナリン
グパワーKfまたは後輪コーナリングパワーKrの何れか
一方に対する所定の初期値と、上記数式(2),(3)
とに基づいて、車体横滑り角微分値β’を算出する。
【0035】ここで、横滑り角微分値演算部42は、例
えば、上記数式(3)を前輪コーナリングパワーKf
ついて解いた下記数式(5)に、コーナリングパワー初
期値入力部41から入力される後輪コーナリングパワー
rの初期値と後述するPID調整器46から出力され
る調整値とによって決定される後輪コーナリングパワー
rと、定数として扱う車速Vおよびヨーレートrおよ
びヨーレート微分値r’および前輪舵角δおよび車両重
心から前輪側車軸までの距離Lfおよび車両重心から後
輪側車軸までの距離Lrおよびヨーイング慣性モーメン
トIおよびヨーイングモーメントMと、後述する積分器
43から入力される車体横滑り角βとを代入して前輪コ
ーナリングパワーKfを算出する。なお、初回の演算に
おいては、車体横滑り角βの値はゼロである。
【0036】
【数5】
【0037】そして、横滑り角微分値演算部42は、例
えば、上記数式(2)を車体横滑り角微分値β’につい
て解いた下記数式(6)に、上記数式(5)にて算出し
た前輪コーナリングパワーKfと、決定された後輪コー
ナリングパワーKrと、定数として扱う車速Vおよびヨ
ーレートrおよび前輪舵角δおよび車両重心から前輪側
車軸までの距離Lfおよび車両重心から後輪側車軸まで
の距離Lrおよび車両の全質量mと、後述する積分器4
3から入力される車体横滑り角βとを代入して車体横滑
り角微分値β’を算出する。ここで算出された車体横滑
り角微分値β’は、積分器43および横加速度推定部4
4へと入力される。
【0038】
【数6】
【0039】積分器43は、横滑り角微分値演算部42
から入力された車体横滑り角微分値β’を時間積分して
車体横滑り角βを算出し、目標配分トルク設定装置21
および横滑り角微分値演算部42へ入力する。すなわ
ち、ここで算出された車体横滑り角βは、横滑り角微分
値演算部42での次回の演算処理における前輪コーナリ
ングパワーKfおよび車体横滑り角微分値β’の算出に
利用される。
【0040】横加速度推定部44は、上記数式(4)
に、横滑り角微分値演算部42から入力された車体横滑
り角微分値β’と、扱う定数として扱う車速Vおよびヨ
ーレートrとを代入することによって、車両の推定横加
速度Gyeを算出し、減算器45へ入力する。減算器45
は、横加速度センサー12から入力される横加速度Gy
と、横加速度推定部44から入力される車両の推定横加
速度Gyeとの偏差を算出し、PID調整器46へ出力す
る。
【0041】PID調整器46は、比例・積分・微分
(PID)動作によって、横加速度G yと車両の推定横
加速度Gyeとの偏差がゼロとなるような調整値、つまり
コーナリングパワー初期値入力部41から出力されて横
滑り角微分値演算部42へ入力される前輪コーナリング
パワーKfまたは後輪コーナリングパワーKrの何れか一
方に対する所定の初期値を調整するための調整値を算出
し、加算器47へ入力する。つまり、横滑り角微分値演
算部42へ入力される前輪コーナリングパワーKfまた
は後輪コーナリングパワーKrの何れか一方に対する所
定の初期値が適切な値であれば、横加速度Gyと車両の
推定横加速度Gyeとの偏差がゼロとなる。
【0042】このため、例えば車両の推定横加速度Gye
が、検出される横加速度Gyよりも大きい場合には、横
滑り角微分値演算部42へ入力される前輪コーナリング
パワーKfまたは後輪コーナリングパワーKrを小さくす
るような調整値が設定される。一方、例えば車両の推定
横加速度Gyeが、検出される横加速度Gyよりも小さい
場合には、横滑り角微分値演算部42へ入力される前輪
コーナリングパワーK fまたは後輪コーナリングパワー
rを大きくするような調整値が設定される。
【0043】本実施の形態に係る車両制御システム10
は上記構成を備えており、次に、この車両制御システム
10の動作、特に車両状態量としての車体横滑り角βを
推定する処理について説明する。
【0044】先ず、ステップS01においては、コーナ
リングパワー初期値入力部41から入力される後輪コー
ナリングパワーKrの所定の初期値と、PID調整器4
6から入力される調整値とによって、横滑り角微分値演
算部42へ入力する後輪コーナリングパワーKrを算出
する。なお、初回の演算においては、調整値はゼロであ
る。次に、ステップS02においては、各センサー1
1,13,14から出力される検出結果や予め設定され
た物理量等に基づき、上記数式(5)によって前輪コー
ナリングパワーKfを算出する。次に、ステップS03
においては、上記数式(6)によって車体横滑り角微分
値β’を算出する。
【0045】そして、ステップS04においては、車体
横滑り角微分値β’を時間積分して車体横滑り角βを算
出し、この車体横滑り角βを、次回の一連の演算処理に
おける上記ステップS02での前輪コーナリングパワー
fの算出および上記ステップS03での車体横滑り角
微分値β’の算出に利用するように設定する。そして、
ステップS05においては、車体横滑り角微分値β’
と、ヨーレートセンサー11にて検出された車両のヨー
レートrと、車速センサー13にて検出された車速Vと
に基づいて、上記数式(4)によって車両の推定横加速
度Gyeを算出する。
【0046】次に、ステップS06においては、横加速
度センサー12から入力される横加速度Gyと、横加速
度推定部44から入力される車両の推定横加速度Gye
の偏差を算出する。そして、ステップS07において
は、比例・積分・微分(PID)動作によって、横加速
度Gyと車両の推定横加速度Gyeとの偏差がゼロとなる
ような、後輪コーナリングパワーKrの所定の初期値に
対する調整値を設定する。そして、ステップS08にお
いては、ステップS07にて算出した調整値と、コーナ
リングパワー初期値入力部41から入力される後輪コー
ナリングパワーK rの所定の初期値とによって、横滑り
角微分値演算部42へ入力する後輪コーナリングパワー
rを更新し、上記ステップS02へ戻り、例えば所定
時間後にステップS02以下の処理を実行する。
【0047】すなわち、上記数式(4)〜(6)に基づ
いて、上述した一連の処理を所定時間毎に実行すること
によって、横加速度Gyと車両の推定横加速度Gyeとの
偏差がゼロ近傍の値に収束し、車体横滑り角βと共に、
前輪コーナリングパワーKfおよび後輪コーナリングパ
ワーKrを精度良く推定することができる。なお、この
実施の形態においては、図4に示す処理の流れに限定さ
れず、その他の方法であってもよく、要するに、上記数
式(4)〜(6)を同時に満たす車体横滑り角βおよび
前輪コーナリングパワーKfおよび後輪コーナリングパ
ワーKrを算出するものであればよい。
【0048】上述したように、第1の実施形態による車
両状態量の推定方法によれば、車両横方向の力の釣り合
い式である数式(2)と、車両上下軸周りのモーメント
の釣り合い式である数式(3)と、車両運動の状態量の
物理的関係式である数式(4)との3式によって、車体
横滑り角βおよび前輪コーナリングパワーKfおよび後
輪コーナリングパワーKrの3つの未知数から車体横滑
り角βを算出するようにしたことで、演算負荷の増大を
抑制した単純な方法でありながら精度良く車体横滑り角
βを推定することができる。すなわち、上述した従来技
術の一例のように、例えば横加速度センサー12から出
力される横加速度Gy等の誤差を含む検出結果を直接に
積分する場合に比べて、累積される誤差の増大を抑制す
ることができる。また、車体横滑り角βを推定する過程
において、前輪および後輪タイヤの特性を決める変数と
して前輪コーナリングパワーKfおよび後輪コーナリン
グパワーKrを精度良く推定することができ、例えば走
行時における路面変化等に応じて各タイヤの特性が変化
した場合であっても、車体横滑り角βの推定精度が低下
することを防止することができる。
【0049】ここで、車体横滑り角微分値β’を算出す
る際に、前回の処理にて算出した車体横滑り角βを利用
することで、回帰的な算出処理を行うため、車体横滑り
角微分値β’を時間積分して得た車体横滑り角βが発散
してしまうことを防止することができる。すなわち、回
帰的な算出処理を繰り返すことで、車体横滑り角βは収
束する方向に向かうので、車体横滑り角βの推定値が大
きく変化することが防止され、車両挙動制御の安定性を
確保することができる。
【0050】さらに、例えば路面変化等に応じて、前輪
コーナリングパワーKfまたは後輪コーナリングパワー
rが大きく変化するような場合であっても、車体横滑
り角βの推定の過程で得られた物理量、つまり車両の推
定横加速度Gyeと実際に検出された横加速度Gyとの偏
差がゼロとなるような調整値を、前輪コーナリングパワ
ーKfまたは後輪コーナリングパワーKrに対して設定す
ることで、適切な車体横滑り角βを算出することができ
る。しかも、検出された横加速度Gyと比較される推定
横加速度Gyeは、車体横滑り角微分値β’に基づいて算
出されるため、例えば車体横滑り角微分値β’を時間積
分して得た車体横滑り角βに基づいて算出された物理量
を利用する場合に比べて、検証の対象となる変数におい
て積分演算により誤差が累積されることを防止すること
ができ、精度の良い検証を実行することができる。
【0051】次に、上述した第1の実施形態の第1変形
例に係る車両状態量の推定方法について添付図面を参照
しながら説明する。図5は図1および図2に示す車体横
滑り角推定装置20の第1変形例に係る処理の流れを示
す機能ブロック図である。なお、以下において上述した
実施の形態と同一部分については説明を簡略または省略
する。この第1変形例において、上述した第1の実施形
態と異なる主要な点は、横滑り角微分値演算部42での
演算処理の内容であり、ここでは、車体横滑り角βを算
出する際に前輪舵角δが不要であって、前輪舵角センサ
ー14を省略することができる。
【0052】すなわち、この第1変形例に係る横滑り角
微分値演算部42は、上記数式(2),(3)から前輪
コーナリングパワーKfを消去して得た式を車体横滑り
角微分値β’について解いた下記数式(7)に、コーナ
リングパワー初期値入力部41から入力される後輪コー
ナリングパワーKrの初期値とPID調整器46から出
力される調整値とによって決定される後輪コーナリング
パワーKrと、定数として扱う車速Vおよびヨーレート
rおよびヨーレート微分値r’および車両重心から前輪
側車軸までの距離Lfおよび車両重心から後輪側車軸ま
での距離Lrおよびヨーイング慣性モーメントIおよび
ヨーイングモーメントMおよび車両の全質量mと、積分
器43から入力される車体横滑り角βとを代入して車体
横滑り角微分値β’を算出する。
【0053】
【数7】
【0054】このため、この第1変形例においては、上
述した第1の実施形態におけるステップS01〜ステッ
プS08の一連の処理において、ステップS02を省略
すると共に、ステップS03においては、上記数式
(7)によって車体横滑り角微分値β’を算出する。す
なわち、この第1変形例においては、上記数式(4),
(7)に基づいて、横加速度Gyと車両の推定横加速度
yeとの偏差をゼロ近傍の値に収束させることで、車体
横滑り角βと共に、後輪コーナリングパワーKrを精度
良く推定することができる。なお、この第1変形例にお
いては、図5に示す処理の流れに限定されず、その他の
方法であってもよく、要するに、上記数式(4),
(7)を同時に満たす車体横滑り角βおよび後輪コーナ
リングパワーKrを算出するものであればよい。
【0055】上述したように、第1の実施形態の第1変
形例に係る車両状態量の推定方法によれば、前輪舵角δ
が不要であって、前輪舵角センサー14を省略すること
ができ、車体横滑り角βの推定精度を低減させること無
しに、車両制御システム10の構成および演算処理を、
より一層、簡略化することができる。
【0056】次に、上述した第1の実施形態の第2変形
例に係る車両状態量の推定方法について添付図面を参照
しながら説明する。図6は図1および図2に示す車体横
滑り角推定装置20の第2変形例に係る処理の流れを示
す機能ブロック図である。なお、以下において上述した
実施の形態と同一部分については説明を簡略または省略
する。この第2変形例において、上述した第1の実施形
態と異なる主要な点は、横滑り角微分値演算部42での
演算処理の内容であり、ここでは、車体横滑り角βを算
出する際に、後輪コーナリングパワーKrの代わりに、
コーナリングパワー初期値入力部41から入力される前
輪コーナリングパワーKfの初期値とPID調整器46
から出力される調整値とによって決定される前輪コーナ
リングパワーK fに基づいて、車体横滑り角微分値β’
を算出する。
【0057】すなわち、この第2変形例に係る横滑り角
微分値演算部42は、上記数式(2),(3)から後輪
コーナリングパワーKrを消去して得た式を車体横滑り
角微分値β’について解いた下記数式(8)に、決定し
た前輪コーナリングパワーK fと、定数として扱う車速
Vおよびヨーレートrおよびヨーレート微分値r’ お
よび前輪舵角δおよび車両重心から前輪側車軸までの距
離Lfおよび車両重心から後輪側車軸までの距離Lrおよ
びヨーイング慣性モーメントIおよびヨーイングモーメ
ントMおよび車両の全質量mと、積分器43から入力さ
れる車体横滑り角βとを代入して車体横滑り角微分値
β’を算出する。
【0058】
【数8】
【0059】このため、この第2変形例においては、上
述した第1の実施形態におけるステップS01〜ステッ
プS08の一連の処理において、ステップS01では、
コーナリングパワー初期値入力部41から入力される前
輪コーナリングパワーKfの所定の初期値と、PID調
整器46から入力される調整値とによって、横滑り角微
分値演算部42へ入力する前輪コーナリングパワーKf
を算出する。さらに、ステップS02を省略すると共
に、ステップS03においては、上記数式(8)によっ
て車体横滑り角微分値β’を算出する。また、ステップ
S07においては、比例・積分・微分(PID)動作に
よって、横加速度Gyと車両の推定横加速度Gyeとの偏
差がゼロとなるような、前輪コーナリングパワーKf
所定の初期値に対する調整値を設定する。そして、ステ
ップS08においては、横滑り角微分値演算部42へ入
力する前輪コーナリングパワーKfを更新し、上記ステ
ップS03へ戻り、例えば所定時間後にステップS03
以下の処理を実行する。
【0060】すなわち、この第2変形例においては、上
記数式(4),(8)に基づいて、横加速度Gyと車両
の推定横加速度Gyeとの偏差をゼロ近傍の値に収束させ
ることで、車体横滑り角βと共に、前輪コーナリングパ
ワーKfを精度良く推定することができる。なお、この
第2変形例においては、図6に示す処理の流れに限定さ
れず、その他の方法であってもよく、要するに、上記数
式(4),(8)を同時に満たす車体横滑り角βおよび
前輪コーナリングパワーKfを算出するものであればよ
い。
【0061】次に、上述した第1の実施形態の第3変形
例に係る車両状態量の推定方法について添付図面を参照
しながら説明する。図7は図1および図2に示す車体横
滑り角推定装置20の第3変形例に係る処理の流れを示
す機能ブロック図である。なお、以下において上述した
実施の形態と同一部分については説明を簡略または省略
する。この第3変形例においては、車両横方向の力の釣
り合い式および車両上下軸周りのモーメントの釣り合い
式を、前輪WF(つまり、各車輪WFR,WFL)に作用す
る横力Yfおよび後輪WR(つまり、各車輪WRR
RL)に作用する横力Yrに基づいて記述する。そし
て、後述する所定のタイヤ力学モデルによって、前輪タ
イヤおよび後輪タイヤの特性を決める変数(例えば、各
タイヤと路面間の摩擦係数μ)に関する数式に基づき横
力Yf,Yrを記述する。すなわち、上述した第1の実施
形態と異なる主要な点は、各コーナリングパワーKf
rを変数とする代わりに、例えば各タイヤと路面間の
摩擦係数μを変数として、車体横滑り角微分値β’を算
出する点である。なお、以下において、前輪WF(ある
いは前輪タイヤ)に作用する横力Yfは、例えば前輪の
左右輪(車輪WFR,WFL)に作用する横力の平均値であ
り、後輪WR(あるいは後輪タイヤ)に作用する横力Y
rは、例えば後輪の左右輪(車輪WRR,WRL)に作用す
る横力の平均値である。
【0062】この第3変形例に係る車体横滑り角推定装
置20は、横滑り角微分値演算部42と、積分器43
と、横加速度推定部44と、減算器45と、PID調整
器46と、加算器47と、タイヤ特性変数入力部48
と、タイヤ横力演算部49とを備えて構成されている。
すなわち、上述した第1の実施形態でのコーナリングパ
ワー初期値入力部41の代わりに備えられたタイヤ特性
変数入力部48は、前輪タイヤおよび後輪タイヤの特性
を決める変数(例えば、各タイヤと路面間の摩擦係数
μ)の初期値を加算器47へ入力する。
【0063】一方、PID調整器46は、比例・積分・
微分(PID)動作によって、横加速度Gyと車両の推
定横加速度Gyeとの偏差がゼロとなるような、摩擦係数
μの初期値を調整するための調整値を算出し、加算器4
7へ入力する。加算器47は、タイヤ特性変数入力部4
8から入力される摩擦係数μの所定の初期値と、PID
調整器46から入力される調整値とによって、タイヤ横
力演算部49へ入力する摩擦係数μを算出する。
【0064】タイヤ横力演算部49は、例えば所定のタ
イヤ力学モデルから導かれる下記数式(9),(10)
に基づいて、後輪タイヤに作用する横力Yrを算出し、
横滑り角微分値演算部42へ入力する。
【0065】
【数9】
【0066】
【数10】
【0067】ここで、上記数式(9),(10)におい
て、接地荷重Wは、例えば車両荷重の測定値を前後およ
び横加速度で補正した値あるいは懸架装置に設けたロー
ドセルの出力から求めた値であり、コーナリングパワー
Kは、予め設定された所定のマップ、例えば摩擦係数μ
および接地荷重Wに応じて変化するコーナリングパワー
Kのマップ等から求めた値である。さらに、前後力X
は、例えば加速度(あるいは、減速度)から推定、ある
いは、例えば制動液圧またはエンジン出力から求めた値
である。また、車体横滑り角βは積分器43から入力さ
れる値であって、初回の演算においてはゼロであり、こ
の車体横滑り角βの値に応じて、上記数式(9)または
数式(10)の何れか一方によって後輪タイヤに作用す
る横力Yrが算出される。
【0068】この第3変形例に係る横滑り角微分値演算
部42は、車両横方向の力の釣り合い式および車両上下
軸周りのモーメントの釣り合い式を、前輪タイヤに作用
する横力Yfおよび後輪タイヤに作用する横力Yrに基づ
いて記述した際に得られる下記数式(11),(12)
から、例えば前輪WFに作用する横力Yfを消去して得
た式を車体横滑り角微分値β’について解いた下記数式
(13)によって車体横滑り角微分値β’を算出する。
すなわち、下記数式(13)において、直接に検出可能
な物理量は、車速Vと、ヨーレートrおよびヨーレート
微分値r’とであり、車両に固有の物理量は、車両の全
質量mと、車両重心から前輪側車軸までの距離Lfと、
車両重心から後輪側車軸までの距離Lrと、ヨーイング
慣性モーメントIとである。これらの値と既知であるヨ
ーイングモーメントMとを定数として扱い、タイヤ横力
演算部49から入力される横力Yrを利用して車体横滑
り角微分値β’が算出される。
【0069】
【数11】
【0070】
【数12】
【0071】
【数13】
【0072】このため、この第3変形例においては、上
述した第1の実施形態におけるステップS01〜ステッ
プS08の一連の処理において、ステップS01では、
タイヤ特性変数入力部48から入力される摩擦係数μの
所定の初期値(例えば、1近傍の値等)と、PID調整
器46から入力される調整値とによって、タイヤ横力演
算部49へ入力する摩擦係数μを算出する。そして、ス
テップS02においては、上記数式(9)または数式
(10)によって後輪WRに作用する横力Yrを算出す
る。次に、ステップS03においては、上記数式(1
3)によって車体横滑り角微分値β’を算出する。
【0073】次に、ステップS04においては、車体横
滑り角微分値β’を時間積分して車体横滑り角βを算出
し、この車体横滑り角βを、次回の一連の演算処理にお
ける上記ステップS02での後輪WRに作用する横力Y
rの算出に利用するように設定する。また、ステップS
07においては、比例・積分・微分(PID)動作によ
って、横加速度Gyと車両の推定横加速度Gyeとの偏差
がゼロとなるような、摩擦係数μの所定の初期値に対す
る調整値を設定する。そして、ステップS08において
は、タイヤ横力演算部49へ入力する摩擦係数μを更新
し、上記ステップS02へ戻り、例えば所定時間後にス
テップS02以下の処理を実行する。
【0074】すなわち、この第3変形例においては、上
記数式(4),(13)に基づいて、横加速度Gyと車
両の推定横加速度Gyeとの偏差をゼロ近傍の値に収束さ
せることで、車体横滑り角βと共に、摩擦係数μを精度
良く推定することができる。なお、この第3変形例にお
いては、図7に示す処理の流れに限定されず、その他の
方法であってもよく、要するに、上記数式(4),(1
3)を同時に満たす車体横滑り角βおよび摩擦係数μを
算出するものであればよい。また、この第3変形例にお
いては、接地荷重Wや前後力Xを変数とせずに横力
f,Yrを記述する他のタイヤ力学モデルを適用しても
よい。
【0075】また、この第3変形例に係る横滑り角微分
値演算部42において、例えば上述した第1の実施形態
の数式(5)と同様に、車両上下軸周りのモーメントの
釣り合い式である上記数式(12)を前輪WFに作用す
る横力Yfについて解いた式に、タイヤ力学モデルから
導かれる上記数式(9),(10)に基づいて後輪タイ
ヤに作用する横力Yrを代入し、前輪WFに作用する横
力Yfを算出する。そして、上述した第1の実施形態の
数式(6)と同様に、車両横方向の力の釣り合い式であ
る上記数式(11)を車体横滑り角微分値β’について
解いた式に、各横力Yr,Yfを代入して車体横滑り角微
分値β’を算出してもよい。
【0076】また、この第3変形例においては、タイヤ
横力演算部49にて後輪タイヤに作用する横力Yrを算
出し、横滑り角微分値演算部42にて後輪タイヤに作用
する横力Yrに基づいて車体横滑り角微分値β’を算出
したが、これに限定されず、例えば、タイヤ横力演算部
49にて前輪タイヤに作用する横力Yfを算出し、横滑
り角微分値演算部42にて、上記数式(11),(1
2)から後輪タイヤに作用する横力Yrを消去して得た
式を車体横滑り角微分値β’について解いた数式によっ
て車体横滑り角微分値β’を算出してもよい。
【0077】上述したように、第1の実施形態の第3変
形例に係る車両状態量の推定方法によれば、前輪および
後輪タイヤの特性を決める変数は、前輪コーナリングパ
ワーKfおよび後輪コーナリングパワーKrに限定され
ず、車両の制御内容に応じて、例えば各タイヤと路面間
の摩擦係数μ等のように適宜の変数を利用することがで
き、車両の制御様式を容易に多様化することができる。
しかも、後輪タイヤまたは前輪タイヤの何れか一方に係
るタイヤ力学モデルを導入するだけでよく、例えば後輪
タイヤおよび前輪タイヤの両方に対してタイヤ力学モデ
ルを導入する場合に比べて、モデル化に起因する推定精
度の低下を抑制することができる。
【0078】なお、上述した第1の実施形態および第1
〜第3変形例においては、車体横滑り角βを、例えば下
記数式(14)に示すように、車速Vの前後軸P方向の
成分Vxと、これに直交する横方向の成分Vyとによって
記述し、さらに、車体横滑り角βが十分に小さい(例え
ば、V=Vx)と近似することによって、上記数式
(2),(3)を下記数式(15),(16)に変更し
てもよい。これにより、車両状態量として、車体横滑り
角βの代わりに車速Vの横方向の成分Vyを推定するこ
ととなる。なお、この場合には、二輪モデルにおける後
輪WRの車輪速を、車速Vの前後軸P方向の成分Vx
近似してもよい。
【0079】
【数14】
【0080】
【数15】
【0081】
【数16】
【0082】例えば上述した第1の実施形態の第4変形
例に係る車体横滑り角推定装置20において、図8に示
すように、横滑り角微分値演算部42の代わりに微分値
演算部51を備え、この微分値演算部51にて、先ず、
上記数式(16)を前輪コーナリングパワーKfについ
て解いた下記数式(17)に基づいて前輪コーナリング
パワーKfを算出する。そして、上記数式(15)を車
速Vの横方向の成分Vyの微分値dVy/dt(つまり、
横方向の成分Vyの時間微分値:Vy’)について解いた
下記数式(18)に基づいて微分値Vy’を推定し、積
分器43および横加速度推定部44へと入力するように
設定する。
【0083】
【数17】
【0084】
【数18】
【0085】ここで、積分器43は、微分値Vy’を時
間積分して横方向の成分Vyを算出すると共に、ここで
算出した横方向の成分Vyを、微分値演算部51の次回
の演算処理における微分値Vy’の算出に利用するよう
に設定する。また、車体横滑り角推定装置20に備えた
車体横滑り角算出部52は、積分器43にて算出された
横方向の成分Vyに基づき、上記数式(14)によっ
て、車体横滑り角βを算出する。
【0086】また、横加速度推定部44は、下記数式
(19)に、微分値演算部から入力された微分値Vy
と、定数として扱う車速Vの前後軸P方向の成分Vx
よびヨーレートrとを代入することによって、車両の推
定横加速度Gyeを算出し、減算器45へ入力する。
【0087】
【数19】
【0088】このため、この第4変形例においては、上
述した第1の実施形態におけるステップS01〜ステッ
プS08の一連の処理において、ステップS01では微
分値演算部51へ入力する後輪コーナリングパワーKr
を算出する。次に、ステップS02においては、上記数
式(17)によって前輪コーナリングパワーKfを算出
する。次に、ステップS03においては、上記数式(1
8)によって微分値Vy’を算出する。
【0089】そして、ステップS04においては、微分
値Vy’を時間積分して横方向の成分Vyを算出し、この
横方向の成分Vyを、次回の一連の演算処理における上
記ステップS02での前輪コーナリングパワーKfの算
出および上記ステップS03での微分値Vy’の算出に
利用するように設定すると共に、上記数式(14)によ
って、車体横滑り角βを算出する。そして、ステップS
05においては、上記数式(19)によって車両の推定
横加速度Gyeを算出する。
【0090】また、ステップS08においては、ステッ
プS07にて算出した調整値と、コーナリングパワー初
期値入力部41から入力される後輪コーナリングパワー
rの所定の初期値とによって、微分値演算部51へ入
力する後輪コーナリングパワーKrを更新し、上記ステ
ップS02へ戻り、例えば所定時間後にステップS02
以下の処理を実行する。
【0091】なお、上述した第1の実施形態および第1
〜第4変形例においては、各車輪W FR,WFL,WRR,W
RLに適宜の駆動力または制動力を作用させて車両に所望
のヨーイングモーメントMを付加するとしたが、これに
限定されず、例えばヨーイングモーメントMを省略して
もよい。
【0092】また、上述した第1の実施形態および第1
〜第4変形例においては、例えば図3に示すように、後
輪WRの舵角をゼロとし、前方の車輪WFR,WFLのみを
操舵する車両を対象としたが、これに限定されず、例え
ば後輪舵角(つまり、車両の前後軸Pと後輪の前後方向
QRとのなす角)を検出する後輪舵角センサーを備え、
この後輪舵角を含む車両横方向の力の釣り合い式および
車両上下軸周りのモーメントの釣り合い式に基づいて車
体横滑り角βを算出してもよい。この場合には、4輪操
舵車両を対象とすることができる。
【0093】また、上述した第1の実施形態および第
2,第4変形例においては、前輪舵角センサー14は、
運転者が入力した操舵角度の方向と大きさからなる操舵
角を、前輪操舵系のステアリングギア比により除算する
ことによって、前輪舵角δを検出するとしたが、これに
限定されず、例えば直接に前輪舵角δを検出するもので
あってもよい。
【0094】また、上述した第1の実施形態および第1
〜第4変形例において、PID調整器46は、車両運動
の状態量として、横加速度Gyと車両の推定横加速度G
yeとの偏差をゼロとするように調整値を設定したが、こ
れに限定されず、例えば横加速度Gyと車両の推定横加
速度Gyeとの比を「1」とするように調整値を設定して
もよい。要するに、横加速度Gyと車両の推定横加速度
yeとが等しくなるように調整値を設定すればよい。さ
らに、横加速度Gyと車両の推定横加速度Gyeとを比較
する代わりに、例えば上記数式(4)を満たす他の車両
運動の状態量を比較してもよい。
【0095】また、上述した第1の実施形態および第1
〜第4変形例においては、比例・積分・微分(PID)
動作によって、横加速度Gyと車両の推定横加速度Gye
との偏差がゼロに収束するようなフィードバック制御を
行ったが、これに限定されず、例えば偏差がゼロに収束
するような適応制御等を行うようにしてもよい。また、
例えば、車両の旋回運動の状態等に応じて横加速度Gy
と車両の推定横加速度Gyeとの偏差を擬似積分器に入力
して擬似積分を行うことによって、誤差が蓄積されるこ
とを防止するようにしてもよい。
【0096】以下、本発明の第2の実施形態に係る車両
状態量の推定方法について添付図面を参照しながら説明
する。なお、以下において、上述した第1の実施形態と
同一部分については説明を簡略または省略する。
【0097】図9および図10は本発明の第2の実施形
態に係る車両状態量の推定方法を実現する車両制御シス
テム60の構成図であり、図11は図9および図10に
示す車体速度推定装置70における処理の流れの一例を
示す機能ブロック図であり、図12は図11に示す各輪
荷重算出部85における処理の流れの一例を示す機能ブ
ロック図であり、図13は図11に示す舵角補正部86
における処理を説明する模式図である。第2の実施形態
に係る車両制御システム60は、例えば四輪駆動車両に
搭載され、図9および図10に示すように、ヨーレート
センサー11と、ヨーレート微分値算出部15と、横加
速度センサー12と、前後加速度センサー61と、各車
輪WFR,WFL,WRR,WRLに設けられた4つの車輪速セ
ンサ31,…,31と、前輪舵角センサー14と、車体
速度推定装置70と、目標後輪トルク設定装置71と、
目標後輪トルク発生装置72とを備えて構成されてい
る。
【0098】ヨーレートセンサー11は、ヨーレートr
の検出結果の大きさに応じた電圧レベルの信号を、車体
速度推定装置70へ出力する。ヨーレート微分値算出部
15は、ヨーレート微分値dr/dt(つまり、ヨーレ
ートrの時間微分値:r’)を算出し、車体速度推定装
置70へ出力する。横加速度センサー12は、車両の横
方向に加わる加速度(或いは減速度)である横加速度G
yを検出し、この検出結果の大きさに応じた電圧レベル
の信号を車体速度推定装置70へ出力する。前後加速度
センサー61は、車両の前後方向に加わる加速度(或い
は減速度)である前後加速度Gxを検出し、この検出結
果の大きさに応じた電圧レベルの信号を車体速度推定装
置70へ出力する。
【0099】複数の車輪速センサ31,…,31は、例
えば各車輪WFR,WFL,WRR,WRLの各車輪速(つまり
各車輪の回転速度)V1,…,V4を検出し、この検出結
果の大きさに応じた電圧レベルの信号を車体速度推定装
置70へ出力する。前輪舵角センサー14は、前輪舵角
δ(つまり、車両の前後軸Pと前輪の前後方向QFとの
なす角δ)を検出し、この検出結果の大きさに応じた電
圧レベルの信号を車体速度推定装置70へ出力する。
【0100】車体速度推定装置70は、後述するよう
に、所定のタイヤ力学モデルによって、各車輪WFR,W
FL,WRR,WRLのタイヤの特性を決める変数(例えば、
各タイヤと路面間の摩擦係数μ)に関する下記数式(2
0),(21)に基づき各車輪WFR,WFL,WRR,WRL
に作用する前後力F1,…,F4を記述する。そして、各
前後力F1,…,F4に関する所定の運動方程式に係る下
記数式(22)に基づき、車両状態量として車体速度の
推定値(推定車速)Veを算出し、この推定車速Veを目
標後輪トルク設定装置71へと出力する。なお、以下に
おいて、推定車速Veの方向は、例えば車両の前後軸P
方向である。目標後輪トルク設定装置71は、例えば、
車体速度推定装置70にて推定された推定車速Veと、
各車輪WFR,WFL,WRR,WRLのスリップ率S1,…,
4と、各車輪WFR,WFL,WRR,WRLに作用する前後
力F1,…,F4とに基づいて、車両の後輪トルクの目標
値として後輪トルク指令値を設定し、設定した後輪トル
ク指令値を目標後輪トルク発生装置72へと出力する。
【0101】
【数20】
【0102】
【数21】
【0103】
【数22】
【0104】そして、目標後輪トルク発生装置72は、
車両の運転状態に応じて、後輪WR(例えば、各車輪W
RR,WRL)に適宜の駆動力または制動力を作用させる。
例えば、目標後輪トルク発生装置72は、各車輪WFR
FL,WRR,WRLに設けられた複数のブレーキデバイス
32,…,32を駆動したり、例えば電子制御等により
後輪WRの各車輪WRR,WRL間で駆動力を配分するリア
ディファレンシャル73を駆動して、後輪トルクを制御
する。
【0105】例えば、目標後輪トルク設定装置71は、
後輪トルク指令値を設定する際に、前輪WF(例えば、
各車輪WFR,WFL)および後輪WR(例えば、各車輪W
RR,WRL)の各スリップ率を比較し、スリップ率の大き
い方の駆動力を低減して前輪WFおよび後輪WRのスリ
ップ率の差が小さくなるように後輪トルクの目標値を設
定する。ここで、目標後輪トルク設定装置71は、各車
輪WFR,WFL,WRR,WRLに作用する前後力F1,…,
4に基づき後輪トルクの推定値を算出し、算出した後
輪トルクの推定値と、前回の処理にて設定した後輪トル
ク指令値とを比較する。そして、後輪トルクの推定値と
前回の処理での後輪トルク指令値との差分がゼロとなる
ような、後輪トルク指令値に対する補正値を設定し、こ
の補正値によって後輪トルク指令値を補正する。これに
より、例えば目標後輪トルク発生装置72の個体差によ
る出力特性のばらつきや、経年変化等を補正することが
できる。
【0106】車体速度推定装置70は、例えば上記従来
技術の一例のように、前後加速度センサー61にて検出
された車両の前後加速度Gxを時間積分して推定車速Ve
を算出するのではなく、後述するように、上記数式(2
2)の推定前後加速度Gxeを時間積分して推定車速Ve
を算出する。このため、車体速度推定装置70には、例
えば、ヨーレートセンサー11にて検出された車両のヨ
ーレートrと、ヨーレート微分値算出部15にて算出さ
れたヨーレート微分値r’と、横加速度センサー12に
て検出された車両の横加速度Gyと、前後加速度センサ
ー61にて検出された車両の前後加速度Gxと、各車輪
速センサ31,…,31により検出された各車輪速
1,…,V4と、前輪舵角センサー14にて検出された
前輪舵角δとの各検出信号が入力されている。
【0107】車体速度推定装置70は、例えば図11に
示すように、タイヤ特性変数入力部48と、タイヤ前後
力演算部81と、前後加速度推定部82と、減算器45
と、PID調整器46と、加算器47と、積分器43
と、各輪接地面速度算出部83と、各輪スリップ率算出
部84と、各輪荷重算出部85と、舵角補正部86とを
備えて構成されている。
【0108】タイヤ特性変数入力部48は、各車輪
FR,WFL,WRR,WRLのタイヤの特性を決める変数
(例えば、各タイヤと路面間の摩擦係数μ)の初期値
を、加算器47を介してタイヤ前後力演算部81へと供
給する。タイヤ前後力演算部81は、加算器47を介し
て入力される摩擦係数μと、後述する各輪スリップ率算
出部84から入力される各車輪WFR,WFL,WRR,WRL
のスリップ率S1,…,S4と、後述する各輪荷重算出部
85から入力される各車輪WFR,WFL,WRR,WRLの荷
重W1,…,W4および横力Y1,…,Y4と、上記数式
(20),(21)とに基づいて、各車輪WFR,WFL
RR,WRLに作用する前後力F1,…,F4を算出する。
【0109】そして、タイヤ前後力演算部81は、算出
した各車輪WFR,WFL,WRR,WRLの前後力F1,…,
4を、後述する舵角補正部86を介して前後加速度推
定部82へ入力する。ここで、上記数式(20),(2
1)において、kは1〜4の任意の自然数であり、所定
の定数Aは、実際のタイヤの特性を記述するように設定
した係数である。なお、簡易なモデルにおいては、各車
輪WFR,WFL,WRR,WRLに作用する横力Y1,…,Y4
にゼロを設定してもよい。
【0110】前後加速度推定部82は、上記数式(2
2)に、舵角補正部86を介してタイヤ前後力演算部8
1から入力された各車輪WFR,WFL,WRR,WRLの前後
力F1,…,F4と、車両に固有の物理量である車両の全
質量mとを代入することによって、車両の推定前後加速
度Gxeを算出し、減算器45および積分器43へ入力す
る。減算器45は、前後加速度センサー61から入力さ
れる前後加速度Gxと、前後加速度推定部82から入力
される車両の推定前後加速度Gxeとの偏差を算出し、P
ID調整器46へ出力する。
【0111】PID調整器46は、比例・積分・微分
(PID)動作によって、前後加速度Gxと車両の推定
前後加速度Gxeとの偏差がゼロとなるような調整値、つ
まりタイヤ特性変数入力部48から出力される摩擦係数
μの所定の初期値を調整するための調整値を算出し、加
算器47へ入力する。ここでは、タイヤ前後力演算部8
1へ入力される摩擦係数μが適切な値であれば、前後加
速度Gxと車両の推定前後加速度Gxeとの偏差がゼロと
なる。
【0112】このため、例えば車両の推定前後加速度G
xeが、検出される前後加速度Gxよりも大きい場合に
は、タイヤ前後力演算部81にて算出される前後力
1,…,F4を小さくするような摩擦係数μの調整値が
設定される。一方、例えば車両の推定前後加速度G
xeが、検出される前後加速度Gxよりも小さい場合に
は、前後力F1,…,F4を大きくするような摩擦係数μ
の調整値が設定される。
【0113】また、積分器43は、前後加速度推定部8
2から入力される車両の推定前後加速度Gxeを時間積分
し、推定車速Veを算出する。そして、算出した推定車
速Veを目標後輪トルク設定装置71および各輪接地面
速度算出部83へ出力する。各輪接地面速度算出部83
は、積分器43から入力される推定車速Veと、ヨーレ
ートセンサー11にて検出された車両のヨーレートr
と、車両に固有の物理量である輪距(トレッド)Tr
を、下記数式(23)に代入して、各車輪WFR,WFL
RR,WRLの接地面の速度(接地面速度)Ve1,…,V
e4を算出し、各輪スリップ率算出部84へ入力する。な
お、下記数式(23)において、例えば、ヨーレートr
の正方向を反時計回りに設定した場合には、左側の車輪
(例えば、各車輪WFL,WRL)に対しては「−」の符号
を選択し、右側の車輪(例えば、各車輪WFR,WRR)に
対しては「+」の符号を選択する。また、各輪接地面速
度算出部83は、積分器43からの出力が発生していな
い初回の演算においては、推定車速Veとして適宜の初
期値を設定し、各接地面速度Ve1,…,Ve4を算出す
る。
【0114】
【数23】
【0115】各輪スリップ率算出部84は、各輪接地面
速度算出部83から入力される各車輪WFR,WFL
RR,WRLの接地面速度Ve1,…,Ve4と、車輪速セン
サ31,…,31から入力される各車輪WFR,WFL,W
RR,WRLの各車輪速V1,…,V4とを、下記数式(2
4)に代入して、各車輪WFR,WFL,WRR,WRLのスリ
ップ率S1,…,S4を算出し、タイヤ前後力演算部81
へ入力する。
【0116】
【数24】
【0117】また、各車輪WFR,WFL,WRR,WRLの荷
重W1,…,W4および横力Y1,…,Y4を算出し、タイ
ヤ前後力演算部81へ入力する各輪荷重算出部85は、
例えば図12に示すように、前輪横力推定部91と、前
輪横力算出部92と、後輪横力算出部93と、接地荷重
算出部94とを備えて構成されている。ここで、前輪横
力推定部91および後輪横力算出部93には、上述した
第1の実施形態の第3変形例に係る車体滑り角推定装置
20にて算出される後輪タイヤの横力Yrが入力されて
いる。すなわち、上述した第1の実施形態の第3変形例
に係る車体滑り角推定装置20のタイヤ横力演算部49
において、例えば所定のタイヤ力学モデルから導かれる
上記数式(9),(10)に基づいて算出される後輪タ
イヤの横力Yrは、車体滑り角推定装置20の横滑り角
微分値演算部42と、前輪横力推定部91および後輪横
力算出部93とへ入力されている。
【0118】前輪横力推定部91は、車両上下軸周りの
モーメントの釣り合い式を、前輪タイヤに作用する横力
fおよび後輪タイヤに作用する横力Yrに基づいて記述
した際に得られる下記数式(25)によって、前輪タイ
ヤに作用する横力Yfを算出する。すなわち、下記数式
(25)において、直接に検出可能な物理量はヨーレー
ト微分値r’であり、車両に固有の物理量は、車両重心
から前輪側車軸までの距離Lfと、車両重心から後輪側
車軸までの距離Lrと、ヨーイング慣性モーメントIと
である。これらの値と、上述した第1の実施形態の第3
変形例に係る車体滑り角推定装置20のタイヤ横力演算
部49から入力される後輪タイヤの横力Yrとを利用し
て前輪タイヤに作用する横力Yfが算出される。
【0119】
【数25】
【0120】前輪横力算出部92は、後述する接地荷重
算出部94から入力される前内輪荷重WFin(つまり、
車両旋回時の内輪側の前輪に作用する荷重)および前外
輪荷重WFout(つまり、車両旋回時の外輪側の前輪に作
用する荷重)と、前輪横力推定部91から入力される前
輪タイヤの横力Yfとを、下記数式(26),(27)
に代入して、前内輪タイヤの横力Yfinおよび前外輪タ
イヤの横力Yfoutを算出する。そして、前内輪タイヤの
横力Yfinおよび前外輪タイヤの横力Yfoutを、各車輪
FR,WFLの横力Y1,Y2の何れか一方および他方に対
応付けて設定する。
【0121】
【数26】
【0122】
【数27】
【0123】後輪横力算出部93は、後述する接地荷重
算出部94から入力される後内輪荷重WRin(つまり、
車両旋回時の内輪側の後輪に作用する荷重)および後外
輪荷重WRoutと(つまり、車両旋回時の外輪側の後輪に
作用する荷重)と、上述した第1の実施形態の第3変形
例に係る車体滑り角推定装置20のタイヤ横力演算部4
9から入力される後輪タイヤの横力Yrとを、下記数式
(28),(29)に代入して、後内輪タイヤの横力Y
rinおよび後外輪タイヤの横力Yroutを算出する。そし
て、後内輪タイヤの横力Yrinおよび後外輪タイヤの横
力Yroutを、各車輪WRR,WRLの横力Y3,Y4の何れか
一方および他方に対応付けて設定する。
【0124】
【数28】
【0125】
【数29】
【0126】接地荷重算出部94は、前後方向の荷重移
動量(前後荷重移動量)dWxと、前輪WFでの左右方
向の荷重移動量(前輪左右荷重移動量)dWyFと、後輪
WRでの左右方向の荷重移動量(後輪左右荷重移動量)
dWyRとを、各下記数式(30),(31),(32)
に基づいて算出する。ここで、下記数式(30)〜(3
2)において、直接に検出可能な物理量は前後加速度G
xと、横加速度Gyとであり、車両に固有の物理量は、車
両の全質量mと、鉛直方向における車両の重心位置の高
さhgと、軸距(ホイールベース)Lと、フロントロー
ル剛性Gfと、リアロール剛性Grと、輪距(トレッド)
rとである。
【0127】
【数30】
【0128】
【数31】
【0129】
【数32】
【0130】さらに、接地荷重算出部94は、算出した
前後荷重移動量dWxおよび前輪左右荷重移動量dWyF
および後輪左右荷重移動量dWyRと、下記数式(33)
〜(36)に基づいて、前内輪荷重WFinおよび前外輪
荷重WFoutと、後内輪荷重WR inおよび後外輪荷重W
Routとを算出する。ここで、下記数式(33)〜(3
6)において、車両に固有の物理量は、車両の静止時に
おける前輪側車軸に対する荷重Wfおよび後輪側車軸に
対する荷重Wrである。
【0131】
【数33】
【0132】
【数34】
【0133】
【数35】
【0134】
【数36】
【0135】また、舵角補正部86は、タイヤ前後力演
算部81から出力される各車輪WFR,WFL,WRR,WRL
の前後力F1,…,F4および横力Y1,…,Y4に対し
て、舵角(つまり、車両の前後軸Pと前輪または後輪の
前後方向とのなす角)の補正を行う。例えば図13に示
すように、前輪舵角δ(つまり、車両の前後軸Pと前輪
の前後方向QFとのなす角δ)の補正を行う場合、舵角
補正部86は、下記数式(37)により、舵角補正後の
各車輪WFR,WFLの前後力F1C,F2Cおよび横力Y1C
2Cを算出し、これらの前後力F1C,F2Cおよび横力Y
1C,Y2Cを、新たに各車輪WFR,WFLの前後力F1,F2
および横力Y1,Y2として出力する。
【0136】
【数37】
【0137】本実施の形態に係る車両制御システム60
は上記構成を備えており、次に、この車両制御システム
60の動作、特に車両状態量としての車体速度を推定す
る処理について説明する。
【0138】先ず、ステップS11においては、タイヤ
特性変数入力部48から摩擦係数μの所定の初期値(例
えば、1近傍の値等)を、加算部47を介してタイヤ前
後力演算部81へ入力する。なお、この初回の演算にお
いて、PID調整器46から加算部47へ入力する調整
値はゼロとする。さらに、各輪接地面速度算出部83に
おいて、推定車速Veに対して適宜の初期値を設定す
る。次に、ステップS12においては、ヨーレートセン
サー11から出力される検出結果と、車両に固有の物理
量と、推定車速Veとに基づき、上記数式(23)によ
って各車輪WFR,WFL,WRR,WRLの接地面速度Ve1
…,Ve4を算出する。
【0139】次に、ステップS13においては、車輪速
センサ31,…,31から入力される各車輪WFR
FL,WRR,WRLの各車輪速V1,…,V4と、各接地面
速度Ve1,…,Ve4とに基づき、上記数式(24)によ
って各車輪WFR,WFL,WRR,W RLのスリップ率S1
…,S4を算出する。そして、ステップS14において
は、各加速度センサー12,61から出力される検出値
等に基づき、各車輪WFR,WFL,WRR,WRLに作用する
荷重W1,…,W4を算出する。
【0140】そして、ステップS15においては、摩擦
係数μおよび各車輪WFR,WFL,W RR,WRLのスリップ
率S1,…,S4および荷重W1,…,W4等に基づき、上
記数式(20),(21)によって各車輪WFR,WFL
RR,WRLに作用する前後力F1,…,F4を算出する。
そして、ステップS16においては、各車輪WFR
FL,WRR,WRLの前後力F1,…,F4と、車両に固有
の物理量である車両の全質量mとに基づき、上記数式
(22)によって車両の推定前後加速度Gxeを算出す
る。
【0141】次に、ステップS17においては、前後加
速度センサー61から入力される前後加速度Gxと、前
後加速度推定部82から入力される車両の推定前後加速
度Gx eとの偏差を算出する。そして、ステップS18に
おいては、比例・積分・微分(PID)動作によって、
前後加速度Gxと車両の推定前後加速度Gxeとの偏差が
ゼロとなるような、摩擦係数μの所定の初期値に対する
調整値を設定する。そして、ステップS19において
は、車両の推定前後加速度Gxeを時間積分し、推定車速
eを算出する。
【0142】そして、ステップS20においては、ステ
ップS18にて算出した調整値と、タイヤ特性変数入力
部48から入力される摩擦係数μの所定の初期値とによ
って、タイヤ前後力演算部81へ入力する摩擦係数μを
更新すると共に、算出した推定車速Veを各輪接地面速
度算出部83に入力し、上記ステップS12へ戻り、例
えば所定時間後にステップS12以下の処理を実行す
る。さらに、このステップS20においては、推定車速
eと、各車輪WFR,WFL,WRR,WRLのスリップ率
1,…,S4および前後力F1,…,F4とに基づいて、
車両の後輪トルクを制御する。
【0143】上述したように、第2の実施形態による車
両状態量の推定方法によれば、例えば各タイヤの横滑り
角βf,βrや各車輪WFR,WFL,WRR,WRLのスリップ
率S 1,…,S4等が増大した場合であっても、車体速度
を精度良く推定することができる。これにより、例えば
推定車速Veに基づいて車両の走行制御を行う場合であ
っても、適切かつ安定に制御を行うことができる。ま
た、例えば各タイヤの横滑り角βf,βrや各車輪WFR
FL,WRR,WRLのスリップ率S1,…,S4等の過剰な
増大を瞬時に検知することが可能となり、車両の走行安
定性を向上させることが可能となる。
【0144】また、推定車速Veを算出する過程におい
て、各車輪WFR,WFL,WRR,WRLの前後力F1,…,
4、および、前輪および後輪タイヤの特性を決める変
数として摩擦係数μを精度良く推定することができ、例
えば走行時における路面変化等に応じて各タイヤの特性
が変化した場合であっても、推定車速Veの推定精度が
低下することを防止することができる。
【0145】ここで、推定前後加速度Gxeを算出する際
に、前回の処理にて算出した推定車速Veを利用するこ
とで、回帰的な算出処理を行うため、推定前後加速度G
xeを時間積分して得た推定車速Veが発散してしまうこ
とを防止することができる。すなわち、回帰的な算出処
理を繰り返すことで、推定車速Veは収束する方向に向
かうので、推定車速Veの値が大きく変化することが防
止され、車両挙動制御の安定性を確保することができ
る。
【0146】さらに、例えば路面変化等に応じて、前輪
および後輪タイヤの特性を決める変数である摩擦係数μ
が大きく変化するような場合であっても、推定車速Ve
の算出過程で得られた物理量、つまり車両の推定前後加
速度Gxeと実際に検出された前後加速度Gxとの偏差が
ゼロとなるような調整値を、摩擦係数μに対して設定す
ることで、適切な推定車速Veを算出することができ
る。しかも、算出した推定車速Veを検証する際に、検
出された前後加速度Gxと推定前後加速度Gxeとを比較
することにより、例えば推定前後加速度Gxeを時間積分
して得た推定車速Ve自体を利用して検証を行う場合に
比べて、検証の対象となる変数において積分演算により
誤差が累積されることを防止することができ、精度の良
い検証を実行することができる。
【0147】なお、上述した第2の実施形態において、
PID調整器46は、車両運動の状態量として、前後加
速度Gxと車両の推定前後加速度Gxeとの偏差をゼロと
するように調整値を設定したが、これに限定されず、例
えば前後加速度Gxと車両の推定前後加速度Gxeとの比
を「1」とするように調整値を設定してもよい。要する
に、前後加速度Gxと車両の推定前後加速度Gxeとが等
しくなるように調整値を設定すればよい。
【0148】また、上述した第2の実施形態において
は、比例・積分・微分(PID)動作によって、前後加
速度Gxと車両の推定前後加速度Gxeとの偏差がゼロに
収束するようなフィードバック制御を行ったが、これに
限定されず、例えば偏差がゼロに収束するような適応制
御等を行うようにしてもよい。また、例えば、車両の旋
回運動の状態等に応じて前後加速度Gxと車両の推定横
加速度Gxeとの偏差を擬似積分器に入力して擬似積分を
行うことによって、誤差が蓄積されることを防止するよ
うにしてもよい。
【0149】また、上述した第2の実施形態において
は、車体速度推定装置70にて推定された推定車速Ve
と、各車輪WFR,WFL,WRR,WRLのスリップ率S1
…,S4および前後力F1,…,F4とに基づいて、車両
の後輪トルクを制御するとしたが、これに限定されず、
車両の前輪トルクを制御してもよい。この場合には、例
えば電子制御等により前輪WFの各車輪WFR,WFL間で
駆動力を配分するフロントディファレンシャル74等を
駆動すればよい。
【0150】次に、上述した第2の実施形態の第1の変
形例に係る車両状態量の推定方法について添付図面を参
照しながら説明する。図14は図10に示す車両制御シ
ステム60の第1の変形例に係る処理の流れを示す機能
ブロック図であり、図15は各車輪WFR,WFL,WRR
RLのスリップ率S1,…,S4と前後力F1,…,F4
の関係を示すグラフ図である。なお、以下において上述
した実施の形態と同一部分については説明を簡略または
省略する。この第1の変形例において、上述した第2の
実施形態と異なる主要な点は、目標後輪トルク設定装置
71および目標後輪トルク発生装置72の代わりに、目
標制動力制御装置95および目標制動力発生装置96を
備えた点である。これに伴い、上述したステップS20
においては、推定車速Veと、各車輪WF R,WFL
RR,WRLのスリップ率S1,…,S4および前後力
1,…,F4とに基づいて、車両の制動力を制御する。
【0151】すなわち、目標制動力制御装置95は、例
えば、車体速度推定装置70にて推定された推定車速V
eと、各車輪WFR,WFL,WRR,WRLのスリップ率S1
…,S4と、各車輪WFR,WFL,WRR,WRLに作用する
前後力F1,…,F4とに基づいて、各車輪WFR,WFL
RR,WRLに対する制動力の目標値として各輪制動力指
令値を設定し、設定した各輪制動力指令値を目標制動力
発生装置96へと出力する。目標制動力発生装置96
は、例えば各車輪WFR,WFL,WRR,WRLに設けられた
複数のブレーキデバイス32,…,32等を駆動して、
各車輪WFR,WFL,W RR,WRLに対する制動力を制御す
る。
【0152】例えば、目標制動力制御装置95は、各車
輪WFR,WFL,WRR,WRLのスリップ率S1,…,S4
所定のスリップ率を超えているか否かを判定し、この判
定結果が「YES」の場合には、該当する車輪に対する
制動力の目標値を低下させる。これに伴い、該当する車
輪に対する前後力(つまり、制動力)が低下した場合に
は、該当する車輪に対する制動力の目標値を増大させ
る。このような処理を繰り返すことにより、例えば図1
5に示すように、各車輪WFR,WFL,WRR,WRLのスリ
ップ率S1,…,S4を、各車輪WFR,WFL,WRR,WRL
に作用する前後力F1,…,F4が最大の値#Fとなるよ
うな、所定のスリップ率#S近傍の値に収束させること
が可能となる。これにより、例えば車両の制動動作を制
御する場合であっても、各車輪WFR,WFL,WRR,WRL
のスリップ率S1,…,S4が過剰に増大することを防止
し、所望の制動力を確保して制動に要する距離を短縮さ
せることが可能となる。
【0153】さらに、目標制動力制御装置95は、各車
輪WFR,WFL,WRR,WRLに作用する前後力F1,…,
4に基づき制動力の推定値を算出し、算出した制動力
の推定値と、前回の処理にて設定した各輪制動力指令値
とを比較する。そして、制動力の推定値と前回の処理で
の各輪制動力指令値との差分がゼロとなるような、各輪
制動力指令値に対する補正値を設定し、この補正値によ
って各輪制動力指令値を補正する。これにより、例えば
目標制動力発生装置96の個体差による出力特性のばら
つきや、経年変化等を補正することができる。
【0154】次に、上述した第2の実施形態の第2の変
形例に係る車両状態量の推定方法について添付図面を参
照しながら説明する。図16は図10に示す車両制御シ
ステム60の第2の変形例に係る処理の流れを示す機能
ブロック図である。なお、以下において上述した実施の
形態と同一部分については説明を簡略または省略する。
この第2の変形例において、上述した第2の実施形態と
異なる主要な点は、目標後輪トルク設定装置71および
目標後輪トルク発生装置72の代わりに、目標舵角制御
装置97および目標舵角発生装置98を備えた点であ
る。これに伴い、上述したステップS20においては、
推定車速Veと、各車輪WF R,WFL,WRR,WRLのスリ
ップ率S1,…,S4および前後力F1,…,F4とに基づ
いて、前輪WFおよび後輪WRの舵角を制御する。
【0155】すなわち、目標舵角制御装置97は、例え
ば、車体速度推定装置70にて推定された推定車速Ve
と、各車輪WFR,WFL,WRR,WRLのスリップ率S1
…,S 4と、各車輪WFR,WFL,WRR,WRLに作用する
前後力F1,…,F4と、ヨーレートセンサー11や横加
速度センサー12等から出力される各検出値とに基づい
て、例えば所定の摩擦円によって記述される所望の走行
挙動等を実現するために、前輪WFおよび後輪WRの舵
角に対する目標値として舵角指令値を設定し、目標舵角
発生装置98へ出力する。目標舵角発生装置98は、例
えば車体速度等に応じて、ステアリングホイールの操舵
角に対する操舵輪の転舵角である舵角比を可変とする可
変舵角比操舵装置や運転者の操舵に応じて舵角を電子制
御する操舵制御装置等を駆動して、前輪WFおよび後輪
WRの舵角を制御する。これにより、例えば各タイヤの
横滑り角βf,βrや各車輪WFR,WFL,WRR,WRLのス
リップ率S1,…,S4等が過剰に増大した場合であって
も、推定車速V eの推定精度が低下してしまうことを防
止して、推定車速Veに応じた制御量である舵角を、適
切かつ安定に制御することができる。
【0156】なお、この第2の変形例においては、目標
舵角制御装置97および目標舵角発生装置98の代わり
に、例えば目標操舵力制御装置97および目標操舵力発
生装置98を備え、例えば車体速度等に応じて運転者の
操舵を補助する電動パワーステアリング装置等を駆動
し、前輪WFおよび後輪WRの舵角の代わりに、前輪W
Fおよび後輪WRの操舵力を制御してもよい。
【0157】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載の
本発明の車両状態量の推定方法によれば、計測可能な車
両状態量による検証に基づいて運動方程式に代入する初
期値の補正を繰り返すことによって、算出する所望の車
両状態量または該所望の車両状態量に関連する値の精度
を向上させることができる。
【0158】また、請求項2に記載の本発明の車両状態
量の推定方法によれば、所望の車両状態量の微分値また
は該所望の車両状態量に関連する値の微分値に基づいて
検証を行うため、例えばこれらの微分値を積分して得た
値に基づいて検証を行う場合に比べて、積分演算によっ
て誤差が累積されることを防止することができ、精度の
良い検証を行うことができる。しかも、前回の処理にて
算出した所望の車両状態量または該所望の車両状態量に
関連する値を利用して回帰的な算出処理を繰り返すこと
で、算出結果が大きく変化することが防止され、これら
の値に基づく車両の走行挙動制御の安定性を確保するこ
とができる。
【0159】さらに、請求項3に記載の本発明の車両状
態量の推定方法によれば、運動方程式に代入する初期値
の補正を繰り返すことによって、例えば路面変化等に応
じて、タイヤ特性に関連する特性値が大きく変化するよ
うな場合であっても、算出する所望の車両状態量または
該所望の車両状態量に関連する値の精度を向上させるこ
とができる。
【0160】さらに、請求項4に記載の本発明の車両状
態量の推定方法によれば、車両の走行挙動を制御する際
に、所望の駆動力または制動力を確保することができる
と共に、例えば駆動力発生装置や制動力発生装置の個体
差による出力特性のばらつきや、経年変化等を補正する
ことができる。さらに、請求項5に記載の本発明の車両
状態量の推定方法によれば、前輪および後輪の舵角に応
じて車両の走行挙動が変化する場合であっても、所望の
走行挙動を確保することができると共に、例えば運転者
の操舵を補助する操舵力を、車両の走行挙動に応じて適
切に発生させることができる。
【0161】さらに、請求項6に記載の本発明の車両状
態量の推定方法によれば、運動方程式に代入する初期値
の補正を繰り返すことによって、例えば路面変化等に応
じて、タイヤ特性に関連する特性値が大きく変化するよ
うな場合であっても、算出する車体の横滑り角または車
体の横滑り角の微分値の精度を向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る車両状態量の
推定方法を実現する車両制御システムの構成図である。
【図2】 本発明の第1の実施形態に係る車両状態量の
推定方法を実現する車両制御システムの構成図である。
【図3】 二輪モデルにおける二輪図を示す模式図であ
る。
【図4】 図1および図2に示す車体横滑り角推定装置
における処理の流れの一例を示す機能ブロック図であ
る。
【図5】 図1および図2に示す車体横滑り角推定装置
の第1変形例に係る処理の流れを示す機能ブロック図で
ある。
【図6】 図1および図2に示す車体横滑り角推定装置
の第2変形例に係る処理の流れを示す機能ブロック図で
ある。
【図7】 図1および図2に示す車体横滑り角推定装置
の第3変形例に係る処理の流れを示す機能ブロック図で
ある。
【図8】 図1および図2に示す車体横滑り角推定装置
の第4変形例に係る処理の流れを示す機能ブロック図で
ある。
【図9】 本発明の第2の実施形態に係る車両状態量の
推定方法を実現する車両制御システムの構成図である。
【図10】 本発明の第2の実施形態に係る車両状態量
の推定方法を実現する車両制御システムの構成図であ
る。
【図11】 図9および図10に示す車体速度推定装置
における処理の流れの一例を示す機能ブロック図であ
る。
【図12】 図11に示す各輪荷重算出部における処理
の流れの一例を示す機能ブロック図である。
【図13】 図11に示す舵角補正部における処理を説
明する模式図である。
【図14】 図10に示す本発明の第2の実施形態に係
る車両制御システムの第1の変形例に係る処理の流れを
示す機能ブロック図である。
【図15】 各車輪WFR,WFL,WRR,WRLのスリップ
率S1,…,S4と前後力F1,…,F4との関係を示すグ
ラフ図である。
【図16】 図10に示す本発明の第2の実施形態に係
る車両制御システムの第2の変形例に係る処理の流れを
示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
10、60 車両制御システム 11 ヨーレートセンサー 12 横加速度センサー 13 車速センサー 20 車体横滑り角推定装置 41 コーナリングパワー初期値入力部 42 横滑り角微分値演算部 43 積分器 44 横加速度推定部 45 減算器 46 PID調整器 47 加算器 48 タイヤ特性変数入力部 49 タイヤ横力演算部 51 微分値演算部 52 車体横滑り角算出部 61 前後加速度センサー 70 車体速度推定装置 71 目標後輪トルク設定装置 72 目標後輪トルク発生装置 81 タイヤ前後力演算部 82 前後加速度推定部 83 各輪接地面速度算出部 84 各輪スリップ率算出部 85 各輪荷重算出部 86 舵角補正部 95 目標制動力制御装置 96 目標制動力発生装置 97 目標舵角(操舵力)制御装置 98 目標舵角(操舵力)発生装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B62D 137:00 B62D 137:00 Fターム(参考) 3D032 CC30 DA04 DA23 DA24 DA25 DA29 DA33 DA82 DC01 DC02 DC03 DD02 DE00 EA04 EB04 FF01 FF08 GG01 3D046 BB21 GG10 HH08 HH21 HH22 HH25 HH26 KK07 KK08

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両特性に関連する特性値に初期値を設
    定するステップと、 前記初期値を所定の運動方程式に適用して所望の車両状
    態量または該所望の車両状態量に関連する値を算出する
    ステップと、 前記運動方程式により算出した前記所望の車両状態量ま
    たは前記該所望の車両状態量に関連する値を、計測可能
    な車両状態量により検証するステップと、 前記検証の結果に応じて前記初期値を補正するステップ
    とを含むことを特徴とする車両状態量の推定方法。
  2. 【請求項2】 車両特性に関連する特性値に初期値を設
    定するステップと、 前記初期値を所定の運動方程式に適用して、所望の車両
    状態量の微分値または該所望の車両状態量に関連する値
    の微分値を算出するステップと、 前記運動方程式により算出した前記所望の車両状態量の
    微分値または前記該所望の車両状態量に関連する値の微
    分値を、計測可能な車両状態量により検証するステップ
    と、 前記検証の結果に応じて前記初期値を補正するステップ
    と、 前記運動方程式により算出した前記所望の車両状態量の
    微分値または前記該所望の車両状態量に関連する値の微
    分値を積分して、前記所望の車両状態量または前記該所
    望の車両状態量に関連する値を算出するステップと、 算出した前記所望の車両状態量または前記該所望の車両
    状態量に関連する値を、次回の処理における前記所望の
    車両状態量の微分値または前記該所望の車両状態量に関
    連する値の微分値の算出に利用するステップとを含むこ
    とを特徴とする車両状態量の推定方法。
  3. 【請求項3】 前記所望の車両状態量は、少なくとも車
    両の速度および車輪のスリップ率および車輪の接地面の
    速度および車輪の前後力の何れかであり、 前記車両特性に関連する特性値は、タイヤ特性に関連す
    る特性値であり、 前記計測可能な車両状態量は、前後加速度であることを
    特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の車
    両状態量の推定方法。
  4. 【請求項4】 少なくとも前記車両の速度および前記車
    輪のスリップ率および前記車輪の接地面の速度および前
    記車輪の前後力の何れかの算出結果に基づいて、車両の
    駆動力または制動力を制御するステップを含むことを特
    徴とする請求項3に記載の車両状態量の推定方法。
  5. 【請求項5】 少なくとも前記車両の速度および前記車
    輪のスリップ率および前記車輪の接地面の速度および前
    記車輪の前後力の何れかの算出結果に基づいて、操舵輪
    の舵角または操舵力を制御するステップを含むことを特
    徴とする請求項3に記載の車両状態量の推定方法。
  6. 【請求項6】 前記所望の車両状態量は、車体の横滑り
    角であり、 前記車両特性に関連する特性値は、タイヤ特性に関連す
    る特性値であり、 前記計測可能な車両状態量は、横加速度であることを特
    徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の車両
    状態量の推定方法。
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