JPH1178933A - 車両の車体横滑り角推定方法及び推定装置 - Google Patents

車両の車体横滑り角推定方法及び推定装置

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JPH1178933A
JPH1178933A JP24267797A JP24267797A JPH1178933A JP H1178933 A JPH1178933 A JP H1178933A JP 24267797 A JP24267797 A JP 24267797A JP 24267797 A JP24267797 A JP 24267797A JP H1178933 A JPH1178933 A JP H1178933A
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JP
Japan
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slip angle
tire
relationship
vehicle body
side slip
Prior art date
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Application number
JP24267797A
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English (en)
Inventor
Masasugi Kaminaga
眞杉 神永
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)
  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】コントローラの演算負荷を極力軽減でき、しか
も車体横滑り角の推定精度を向上したい。 【解決手段】 ステップ102〜104の処理によっ
て、前輪のタイヤ横滑り角及びコーナリングフォースの
関係が線形域にあるか、或いは、後輪の同関係が線形域
にあるかを判断し、その判断結果に応じて、上記関係が
線形域にある車輪のタイヤ特性を利用した推定式を選択
し、その選択された推定式を用いて車体の横滑り角βを
推定する。これにより、単純に前輪及び後輪の両方のタ
イヤ特性を含んだ推定式を用いて横滑り角βを推定する
のに比べて、より高精度の推定が行われる。しかも、ス
テップ104の判定結果に基づいて予め設定しておいた
式のうちから推定式を選択するだけであるから、演算負
荷を大幅に増大させるようなこともない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両の車体横滑
り角推定方法及び推定装置に関し、特に、車体横滑り角
の推定精度の向上を図ったものである。
【0002】
【従来の技術】この種の従来の技術としては、例えば特
開平8−268306号公報に開示されたものが知られ
ている。
【0003】かかる公報に開示された従来の方法にあっ
ては、オブザーバーの状態方程式に基づいて計算した推
定横滑り角及び推定ヨーレートと検出前後速度とにより
推定横滑り角を計算する一方で、検出横加速度と前記計
算した推定横加速度との比を補正係数として計算し、そ
の補正係数をオブザーバーの状態方程式におけるコーナ
リングパワーに関する因子に乗算するようになってい
て、これにより、オブザーバーの状態方程式に基づいて
横滑り角を推定すると、コーナリングパワーが的確に補
正されているので、横滑り角の推定精度が良好になる、
というものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ここで、一般的にタイ
ヤの横力やコーナリングフォースは、タイヤスリップ角
が大きな領域では非線形な特性を有するため、タイヤモ
デルに基づいた推定式を用いて車両の車体横滑り角を推
定する場合に、タイヤ特性(タイヤ横滑り角とコーナリ
ングフォースとの関係)が非線形な領域では車体横滑り
角の推定精度が低下することが判っている。
【0005】そのため、例えば上記公報に開示される従
来の方法のように、検出横加速度と推定横加速度との比
に応じた補正係数を用いる等して推定式に含まれるコー
ナリングパワーを補正することにより、車体横滑り角の
推定精度が低下しないようにすることが考えられる。し
かし、このような補正係数を用いる方法であっても、実
際には格別に高精度の推定が行える訳ではなく、しかも
構造が複雑でコントローラの演算負荷が大きいという問
題点がある。
【0006】本発明は、このような従来の技術が有する
未解決の課題に着目してなされたものであって、コント
ローラの演算負荷を極力軽減でき、しかも車体横滑り角
の推定精度を向上できる推定方法及び推定装置を提供す
ることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明である車両の車体横滑り角推定
方法は、前輪のタイヤ横滑り角及びコーナリングフォー
スの関係と、後輪のタイヤ横滑り角及びコーナリングフ
ォースの関係とについて、それが線形域にあるか否かを
判断し、前記関係が線形域にある車輪のタイヤ特性を利
用して車体横滑り角を推定する。
【0008】上記目的を達成するために、請求項2に係
る発明である車両の車体横滑り角推定方法は、前輪のタ
イヤ横滑り角及びコーナリングフォースの関係と、後輪
のタイヤ横滑り角及びコーナリングフォースの関係とに
ついて、いずれの方が線形域にある可能性が高いかを判
断し、前記関係が線形域にある可能性が高い方の車輪の
タイヤ特性を利用して、車体横滑り角を推定する。
【0009】上記目的を達成するために、請求項3に係
る発明である車両の車体横滑り角推定方法は、前輪のタ
イヤ横滑り角及びコーナリングフォースの関係と、後輪
のタイヤ横滑り角及びコーナリングフォースの関係とに
ついて、線形性を評価し、前輪のタイヤ特性を利用して
推定した車体横滑り角候補と、後輪のタイヤ特性を利用
して推定した車体横滑り角候補とを、前記線形性の評価
結果に基づいて比例配分して加算することにより車体横
滑り角を推定する。
【0010】上記目的を達成するために、請求項4に係
る発明である車両の車体横滑り角推定方法は、後輪のタ
イヤ横滑り角及びコーナリングフォースの関係が線形域
にあるか否かを判断し、前記関係が線形域にあると判断
された場合には、後輪のタイヤ特性を利用して車体横滑
り角を推定する一方、前記関係が線形域にあると判断さ
れなかった場合には、前輪のタイヤ特性と後輪のタイヤ
特性とを利用して車体横滑り角を推定する。
【0011】上記目的を達成するために、請求項5に係
る発明である車両の車体横滑り角推定方法は、前輪のタ
イヤ横滑り角及びコーナリングフォースの関係が線形域
にあるか否かを判断し、前記関係が線形域にあると判断
された場合には、前輪のタイヤ特性を利用して車体横滑
り角を推定する一方、前記関係が線形域にあると判断さ
れなかった場合には、前輪のタイヤ特性と後輪のタイヤ
特性とを利用して車体横滑り角を推定する。
【0012】また、請求項6に係る発明は、上記請求項
1〜5に係る発明である車両の車体横滑り角推定方法に
おいて、車両の運転状況に基づいてヨーレートの目標値
を設定するとともに、実際のヨーレートを検出し、前記
ヨーレートの目標値と前記実際のヨーレートとを比較し
た結果に基づいて、前記タイヤ横滑り角及びコーナリン
グフォースの関係を判断する。
【0013】そして、上記目的を達成するために、請求
項7に係る発明である車両の車体横滑り角推定装置は、
車両の運転状況に基づいてヨーレートの目標値を求める
目標ヨーレート演算手段と、実際のヨーレートを検出す
るヨーレート検出手段と、前記ヨーレートの目標値と前
記実際のヨーレートとの比較結果に基づき車体横滑り角
の推定式を選択する推定式選択手段と、を備え、前記選
択された推定式に従って車体横滑り角を推定するように
なっている。
【0014】ここで、一般的な車両は定常的な特性とし
て弱アンダーステア特性を有し、横加速度に対しては、
図2(a)に示すようなタイヤ横滑り角特性を有してい
る。即ち、実際のタイヤ横力は、横加速度とタイヤに対
する垂直荷重との積と略同一と考えることができるが、
横加速度が大きくなると、後輪のコーナリングフォース
は線形特性を維持していても、前輪のコーナリングフォ
ースは非線形特性となってしまう。
【0015】その一方で、走行路面の摩擦係数が低い状
態のときに、後輪駆動車が急発進したとき等に車両にス
ピンモーメントが発生すると、図2(b)に示すような
タイヤ横滑り角特性を有するようになる。かかる場合に
は、横加速度がある程度大きくなると、前輪のタイヤ横
滑り角及びコーナリングフォースの関係は、後輪の同関
係に比べてより線形であると考えることができる。
【0016】つまり、前輪のタイヤ横滑り角及びコーナ
リングフォースの関係と、後輪のタイヤ横滑り角及びコ
ーナリングフォースの関係とのそれぞれは、車両の運動
状態に応じて個別に線形関係になったり非線形関係にな
ったりするのである。
【0017】そして、車体横滑り角は、前輪及び後輪の
両方のタイヤ特性を利用して推定することができるが、
前輪又は後輪の一方のタイヤ特性を利用するだけでも推
定可能である。
【0018】そこで、請求項1に係る発明にあっては、
前輪及び後輪のそれぞれについて、タイヤ横滑り角及び
コーナリングフォースの関係が線形域にあるか否かが判
断され、その関係が線形域にある車輪のタイヤ特性が利
用されて車体横滑り角が推定される。このため、常に前
輪及び後輪の両方のタイヤ特性を利用して車体横滑り角
を推定する方法とは異なり、非線形域にある車輪のタイ
ヤ特性を利用することなく車体横滑り角を推定すること
ができる。
【0019】また、請求項2に係る発明にあっては、タ
イヤ横滑り角及びコーナリングフォースの関係が、前輪
の方が線形域にある可能性が高いか、若しくは、後輪の
方が線形域にある可能性が高いかが判断され、線形域に
ある可能性が高い方の車輪のタイヤ特性が利用されて車
体横滑り角が推定される。このため、車体横滑り角の推
定に、非線形域にある車輪のタイヤ特性が利用される可
能性が低くなる。
【0020】そして、請求項3に係る発明にあっては、
前輪及び後輪のタイヤ横滑り角及びコーナリングフォー
スの関係の線形性が評価され、その判断された線形性の
評価結果に基づいて、前輪のタイヤ特性を利用して推定
した車体横滑り角候補と、後輪のタイヤ特性を利用して
推定した車体横滑り角候補とが比例配分されて加算され
ることにより、車体横滑り角が推定される。このため、
最終的に推定された車体横滑り角には、タイヤ横滑り角
及びコーナリングフォースの関係の線形性の強い方のタ
イヤ特性が弱い方のタイヤ特性よりも大きく影響するよ
うになる。
【0021】さらに、請求項4に係る発明にあっては、
後輪のタイヤ横滑り角及びコーナリングフォースの関係
が線形域にあるか否かが判断され、その関係が線形域に
あると判断された場合には、前輪のタイヤ横滑り角及び
コーナリングフォースの関係が線形域にあろうがなかろ
うが、後輪のタイヤ特性が利用されて車体横滑り角が推
定される。一方、後輪のタイヤ横滑り角及びコーナリン
グフォースの関係が線形域にあると判断されなかった場
合には、前輪及び後輪の両方のタイヤ特性が利用されて
車体横滑り角が推定されるから、タイヤ横滑り角及びコ
ーナリングフォースの関係が非線形域にある一方の車輪
のタイヤ特性のみが利用されて車体横滑り角が推定され
ることは、少なくとも回避できる。
【0022】即ち、車体横滑り角の推定には、前輪及び
後輪の両方のタイヤ特性を利用するケース、前輪のタイ
ヤ特性だけを利用するケース、後輪のタイヤ特性だけを
利用するケースの三つが考えられるが、前輪及び後輪の
両方のタイヤ特性を利用して推定された車体横滑り角の
精度は、前輪のタイヤ特性だけを利用して推定された車
体横滑り角の精度と、後輪のタイヤ特性だけを利用して
推定された車体横滑り角の精度との平均値となるから、
この請求項4に係る発明であれば、後輪のタイヤ横滑り
角及びコーナリングフォースの関係が線形域にあると判
断されなかった場合に、最も精度の悪い車体横滑り角の
推定が行われることだけは回避されるのである。なお、
この請求項4に係る発明は、後輪のタイヤ横滑り角及び
コーナリングフォースの関係が線形域にある可能性が、
前輪の同関係が線形域にある可能性よりも高い車両に好
適である。
【0023】これに対し、請求項5に係る発明にあって
は、前輪のタイヤ横滑り角及びコーナリングフォースの
関係が線形域にあるか否かが判断され、その関係が線形
域にあると判断された場合には、後輪のタイヤ横滑り角
及びコーナリングフォースの関係が線形域にあろうがな
かろうが、前輪のタイヤ特性が利用されて車体横滑り角
が推定される。一方、前輪のタイヤ横滑り角及びコーナ
リングフォースの関係が線形域にあると判断されなかっ
た場合には、前輪及び後輪の両方のタイヤ特性が利用さ
れて車体横滑り角が推定されるから、タイヤ横滑り角及
びコーナリングフォースの関係が非線形域にある一方の
車輪のタイヤ特性のみが利用されて車体横滑り角が推定
されることは、少なくとも回避できる。
【0024】即ち、この請求項5に係る発明にあって
も、前輪のタイヤ横滑り角及びコーナリングフォースの
関係が線形域にあると判断されなかった場合に、最も精
度の悪い車体横滑り角の推定が行われることだけは回避
されるのである。なお、この請求項5に係る発明は、後
輪のタイヤ横滑り角及びコーナリングフォースの関係が
線形域にある可能性が、前輪の同関係が線形域にある可
能性よりも高い車両に好適である。
【0025】そして、請求項6に係る発明にあっては、
車両の運転状況に基づいてヨーレートの目標値が設定さ
れるが、かかるヨーレートの目標値(目標ヨーレート)
は、前輪及び後輪の両方のタイヤ横滑り角及びコーナリ
ングフォースの関係が線形域にあれば、当然に発生して
いる理想的なヨーレートの値である。一方、実際のヨー
レートも検出されるが、かかる実際のヨーレート(実ヨ
ーレート)は、車両の運転状況や、前輪及び後輪のタイ
ヤ横滑り角及びコーナリングフォースの関係等に応じて
決まってくる値である。すると、目標ヨーレートと実ヨ
ーレートとの差は、主として、前輪及び後輪のタイヤ横
滑り角及びコーナリングフォースの関係で決まるもので
あるから、その目標ヨーレートと実ヨーレートとの差に
基づけば、前輪及び後輪のタイヤ横滑り角及びコーナリ
ングフォースの関係を判断することができるのである。
【0026】例えば、車両が左旋回(ステアリングホイ
ールを左切り)している場合に発生するヨーレートの極
性を正、逆に右旋回(ステアリングホイールを右切り)
している場合に発生するヨーレートの極性を負とすれ
ば、左旋回している場合には、目標ヨーレートrd と実
ヨーレートrとの差(rd −r)が正(又は所定のしき
い値よりも大)であれば、車両はアンダーステア傾向に
あるから、前輪のタイヤ横滑り角及びコーナリングフォ
ースの関係は非線形域にあり(若しくは、その傾向が強
い)、後輪のタイヤ横滑り角及びコーナリングフォース
の関係は線形域にある(若しくは、その傾向が強い)、
と判断できる。逆に上記差(rd −r)が負(若しく
は、所定のしきい値よりも小)であれば、車両はオーバ
ーステア傾向にあるから、前輪のタイヤ横滑り角及びコ
ーナリングフォースの関係は線形域にあり(若しくは、
その傾向が強い)、後輪のタイヤ横滑り角及びコーナリ
ングフォースの関係は非線形域にある(若しくは、その
傾向が強い)、と判断できる。さらに、上記差(rd
r)が実質的に0(若しくは、実質的に所定のしきい
値)であれば、車両はニュートラルステア傾向にあるか
ら、前輪及び後輪の両方のタイヤ横滑り角及びコーナリ
ングフォースの関係は線形域にある(若しくは、その傾
向が強い)と判断できる。なお、右旋回の場合にも、同
様の考えが適用できる。
【0027】そして、請求項7に係る発明にあっては、
目標ヨーレート演算手段が求めた目標ヨーレートと、ヨ
ーレート検出手段が検出した実ヨーレートとの比較結果
に基づき、推定式選択手段が、車体横滑り角の推定式を
選択する。すると、目標ヨーレートと実ヨーレートとを
比較すれば上述のように前輪及び後輪のタイヤ横滑り角
及びコーナリングフォースの関係をある程度判断できる
から、その結果に応じて、例えば、非線形域にある車輪
のタイヤ特性を含む推定式は選択しないように推定式の
選択を行う、或いは、より線形域にある可能性の高い車
輪のタイヤ特性を含む推定式を選択するように推定式の
選択を行えば、精度の高い車体横滑り角の推定が行え
る。
【0028】
【発明の効果】本発明の請求項1乃至請求項6に係る発
明によれば、前輪のタイヤ横滑り角及びコーナリングフ
ォースの関係及び後輪のタイヤ横滑り角及びコーナリン
グフォースの関係に基づいて、車体横滑り角の推定に用
いる車輪のタイヤ特性を選択する、或いは、車体横滑り
角の推定に上記関係の線形性の強い方のタイヤ特性が弱
い方のタイヤ特性よりも大きく影響するようにしたた
め、コントローラの演算負荷の大幅な増大等を招くこと
なく、車体横滑り角の推定精度を高めることができると
いう効果がある。
【0029】また、請求項6に係る発明によれば、上記
関係を比較的簡易に且つ高精度に判断することができる
という効果がある。そして、請求項7に係る発明によれ
ば、目標ヨーレートと実ヨーレートとを比較するだけで
車体横滑り角の的確な推定式を選択できるから、コント
ローラの演算負荷の大幅な増大等を招くことなく、車体
横滑り角の推定精度を高めることができるという効果が
ある。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1は本発明の第1の実施の形態
の全体構成を示すブロック図であり、本実施の形態にお
ける車両は、車体横滑り角推定装置10と、目標制動力
設定装置20と、制動力制御装置30と、を備えて構成
されている。なお、目標制動力設定装置20は、車体横
滑り角推定装置10から供給される各値等に基づいて適
切な制動力を設定するための装置であって、その具体的
構成は、実行される制御(例えば、VDC,ABS,T
CS等のように車両に適用可能な制御)に応じて適宜決
定されるものであるが、その内容は本発明の本質ではな
いため、その具体的な説明は省略する。また、制動力制
御装置30も、実行される制御に応じて適宜公知の構成
が採用可能であるから、その具体的な説明も省略する。
【0031】そして、車体横滑り角推定装置10は、実
際にはマイクロコンピュータや必要なインタフェース回
路等によって構成され、車両に発生しているヨーレート
を検出するヨーレートセンサ11から供給される実ヨー
レートrと、実ヨーレートrを微分する微分器12の出
力であるヨー角加速度r' と、車両に発生している横加
速度を検出する横加速度センサ13から供給される横加
速度αと、車速を検出する車速センサ14から供給され
る車速Vと、前輪及び後輪のそれぞれの操舵角を検出す
る操舵角センサ15から供給される前輪舵角δf ,δr
とに基づいて、所定の演算処理を実行して、車体の横滑
り角βを推定するようになっている。
【0032】ここで、一般的な4輪車両をモデルで表す
と、下記の(1)〜(4)式のようになる。 Ir' =2aYf −2bYr ……(1) Mα =2Yf +2Yr ……(2) Yf =CPf (β−ar/V+δf ) ……(3) Yr =CPr (β+br/V+δr ) ……(4) 但し、上記各式中、Mは車両の質量、Iはヨー慣性、β
は車体の横滑り角、rはヨーレート、αは横加速度、a
は車両重心から前輪側車軸までの水平距離、bは車両重
心から後輪側車軸までの水平距離、Vは車速、δf は前
輪舵角、δr は後輪舵角、Yf は前輪のタイヤ横力、Y
r は後輪のタイヤ横力、CPf は前輪のコーナリングパ
ワー、CPr は後輪のコーナリングパワーであり、これ
らを図に表すと、図3のようになる。なお、図3中、1
は前輪、2は後輪である。また、前輪舵角δf は、運転
者によるステアリングホイールの操舵角と、前輪操舵系
のステアリングギア比とから求めることもできる。
【0033】そして、上記(1),(2)式から後輪の
タイヤ横力Yr を消去し、前輪のタイヤ横力Yf に上記
(4)式を代入すると、下記(5)式のように前輪のタ
イヤ特性である前輪のコーナリングパワーCPf を利用
した横滑り角βの推定式が得られる。逆に、上記
(1),(2)式から前輪のタイヤ横力Yf を消去し、
前輪のタイヤ横力Yr に上記(3)式を代入すると、下
記(6)式のように後輪のタイヤ特性である後輪のコー
ナリングパワーCPr を利用した横滑り角βの推定式が
得られる。
【0034】 β=(Ir' +bMα)/(2(a+b)CPf )+ar/V−δf ……(5) β=ー(Ir' −bMα)/(2(a+b)CPr )−br/V−δr ……(6) 本実施の形態の車体横滑り角推定装置10は、上記
(5)式と(6)式とを状況に応じて使い分けて、横滑
り角βを推定するようになっている。
【0035】車体横滑り角推定装置10における演算処
理は、所定時間毎の割り込み処理として実行されるよう
になっていて、その演算処理のフローチャートである図
4に示すように、先ず、ステップ101において各セン
サ等から供給される値を読み込み、次いで、ステップ1
02に移行し、車両の運転状況としての前輪舵角δf
び車速Vに基づいて目標ヨーレートrd を演算し、次い
で、ステップ103に移行し、下記の(7)式に従っ
て、判定用の値Aを求める。なお、sign(δf )は、前
輪舵角δf の極性を求める関数である。
【0036】 A=(rd −r)・sign(δf ) ……(7) なお、ステップ102における目標ヨーレートrd の演
算は、下記の(8)式を解くことで求めることができ
る。但し、G,Tは定数である。
【0037】 rd ' =(Gδf −rd )/T ……(8) また、本実施の形態では、前輪舵角δf の極性は、左旋
回方向への操舵を正、右旋回方向への操舵を負としてお
り、同じく、ヨーレートrの極性は、左旋回時に発生す
るヨーレートを正、右旋回時に発生するヨーレートを負
としている。このため、ステップ103において、左旋
回時には、 A=(rd −r) となり、右旋回時には、 A=−(rd −r) となる。
【0038】ここで、例えば目標ヨーレートrd と実ヨ
ーレートrとが等しい場合をニュートラルステアとすれ
ば、値Aが正の場合はアンダーステア傾向、値Aが負の
場合はオーバーステア傾向と考えることができる。実際
の車両では、実ヨーレートrが目標ヨーレートrd より
も若干大きい場合又は若干小さい場合にニュートラルス
テアであると判断するのが妥当な場合も考えられるか
ら、本実施の形態では、ステップ104において、値A
と所定のしきい値η1 (正又は負の極小さい値)とを比
較して、車両のアンダーステア傾向(A>η1 )及びオ
ーバーステア傾向(A≦η1 )を判断するようになって
いる。
【0039】そして、ステップ104の判定が「YE
S」(アンダーステア傾向)の場合には、後輪のタイヤ
横滑り角及びコーナリングフォースの関係は線形域にあ
る(又は、前輪の同関係に比べて線形域にある可能性が
高い)と判断できるから、ステップ105に移行する。
ステップ105では、上述した後輪のタイヤ特性を利用
した上記(6)式に従って横滑り角βを推定する。
【0040】一方、ステップ104の判定が「NO」
(オーバーステア傾向)の場合には、前輪のタイヤ横滑
り角及びコーナリングフォースの関係は線形域にある
(又は、後輪の同関係に比べて線形域にある可能性が高
い)と判断できるから、ステップ106に移行する。ス
テップ106では、上述した前輪のタイヤ特性を利用し
た上記(5)式に従って横滑り角βを推定する。
【0041】ステップ105又は106の処理を終えた
ら、今回の車体横滑り角推定装置における処理を終了
し、次回の割り込みタイミングになったらステップ10
2以降の処理を再度実行する。
【0042】このように、本実施の形態にあっては、ス
テップ102〜104の処理によって、前輪のタイヤ横
滑り角及びコーナリングフォースの関係が線形域にある
か、或いは、後輪の同関係が線形域にあるかを判断し、
その判断結果に応じて、上記関係が線形域にある車輪の
タイヤ特性を利用した推定式を選択し、その選択された
推定式を用いて車体の横滑り角βを推定するため、単純
に前輪及び後輪の両方のタイヤ特性を含んだ推定式を用
いて横滑り角βを推定するのに比べて、より高精度の推
定を行うことができる。しかも、ステップ104の判定
結果に基づいて予め設定しておいた(5),(6)式の
うちから推定式を選択するだけであるから、車体横滑り
角推定装置10における演算負荷を大幅に増大させるよ
うなこともない。
【0043】ここで、本実施の形態にあっては、ステッ
プ102の処理が目標ヨーレート演算手段に対応し、ヨ
ーレートセンサ11がヨーレート検出手段に対応し、ス
テップ103,104の処理が推定式選択手段に対応す
る。
【0044】図5は本発明の第2の実施の形態を示す図
であって、図1に示した車体横滑り角推定装置10にお
ける演算処理の概要を示すフローチャートである。な
お、全体的な構成は上記第1の実施の形態と同様である
ため、その図示及び説明は省略する。
【0045】即ち、本実施の形態にあっては、車体横滑
り角推定装置10は、上記(5)式に従って演算される
横滑り角候補β1 と、上記(6)式に従って演算される
横滑り角候補β2 とを求める一方、前輪及び後輪のタイ
ヤ横滑り角及びコーナリングフォースの関係の線形性を
評価し、その評価結果に基づいて横滑り角候補β1 及び
β2 を比例配分して加算することにより、最終的な横滑
り角βを推定するようになっている。
【0046】具体的には、図5に示すように、ステップ
201においてセンサ等から供給される各値を読み込ん
だら、ステップ202に移行し、前輪のタイヤ特性を利
用した上記(5)式に従って横滑り角候補β1 を演算
し、次いで、ステップ203に移行し、後輪のタイヤ特
性を利用した上記(6)式に従って横滑り角候補β2
演算する。
【0047】そして、ステップ204に移行し、図4の
ステップ102と同様の処理を行って目標ヨーレートr
d を演算する。目標ヨーレートrd が求められたら、ス
テップ205に移行し、下記の(9)式に基づいて、割
合調整変数ψを求める。この割合調整変数ψは、最終的
な横滑り角βを推定する場合における横滑り角候補β1
及びβ2 の比例配分率を調整するための変数である。ま
た、下記(9)式中の定数kは、ヨーレートの偏差(目
標ヨーレートrd と実ヨーレートrとの偏差)に対す
る、横滑り角候補β1 及びβ2 の比例配分率の変化を調
整するための定数である。
【0048】 ψ=0.5 +k((rd −r)・sign(δf )) ……(9) この(9)式の右辺第2項の括弧内は、上記(7)式の
右辺と同一である。従って、上記(9)式で求められる
割合調整変数ψは、0.5 を中心として、車両のアンダー
ステア傾向が強くなるに従って大きな値になり、逆に、
車両のオーバーステア傾向が強くなるに従って小さな値
になる。そして、車両がニュートラルステアの状態であ
れば、上記(9)式の右辺第2項の値は0になるから、
割合調整変数ψは0.5 になる。
【0049】ステップ205の演算に次いで、ステップ
206に移行し、ステップ205で求めた割合調整変数
ψをローパスフィルタ処理して割合調整変数ψ* を求め
る。ここでローパスフィルタ処理を行うのは、操舵角δ
f の極性が反転した時点を境に上記(9)式の値は不連
続になるため、(9)式の結果をそのまま後述の配分調
整の式に用いると横滑り角βも不連続になる不具合があ
るからである。ローパスフィルタ処理に必要な時定数等
は、適宜シミュレーション等を行って最適な値を見つけ
て使用すればよい。
【0050】次いで、ステップ207に移行し、割合調
整変数ψ* が1を超えているか否かを判定し、超えてい
ると判定された場合には、ステップ208に移行して割
合調整変数ψ* を1に設定する。一方、ステップ207
の判定がの「NO」の場合には、ステップ209に移行
し、割合調整変数ψ* が0を下回っているか否かを判定
し、下回っていると判定された場合には、ステップ21
0に移行して割合調整変数ψ* を0に設定する。これら
ステップ207〜210の処理は、割合調整変数ψ*
最小値を0、最大値を1にするための処理である。
【0051】そして、ステップ208,209又は21
0からステップ211に移行し、下記の(10)に従い、
割合調整変数ψ* に応じて横滑り角候補β1 及びβ2
比例配分して、横滑り角βを推定する。
【0052】 β=(1−ψ* )×β1 +ψ* ×β2 ……(10) ここで、割合調整変数ψ* は、上述したように、0.5 を
中心に、車両のアンダーステア傾向が強くなるに従って
大きく、車両のオーバーステア傾向が強くなるに従って
小さくなる値であるから、車両のアンダーステア傾向が
強くなれば、上記(10)式の右辺第1項は小さく、右辺
第2項の値は大きくなり、逆に、車両のオーバーステア
傾向が強くなれば、上記(10)式の右辺第1項は大き
く、右辺第2項は小さくなる。
【0053】従って、上記(10)式で推定される横滑り
角βは、車両のアンダーステア傾向が強くなれば、後輪
のタイヤ特性を利用して演算された横滑り角候補β2
影響が強くなり、逆に、車両のオーバーステア傾向が強
くなれば、前輪のタイヤ特性を利用して演算された横滑
り角候補β1 の影響が強くなる。つまり、タイヤ横滑り
角及びコーナリングフォースの関係は、アンダーステア
傾向が強い場合には前輪よりも後輪の方が線形性が強い
と評価でき、オーバーステア傾向が強い場合には後輪よ
りも前輪の方が線形性が強いと評価できる。しかも、そ
の評価の程度を表す割合調整変数ψ* は、上記(9)式
からも判るように、線形性の程度に応じて連続的に変化
するものであるから、上記(10)式で推定される横滑り
角βに対する横滑り角候補β1 及びβ2 の影響も、線形
性の程度に応じて連続的に変化することになり、その結
果、横滑り角βは、タイヤ横滑り角及びコーナリングフ
ォースの関係がより線形性にある車輪のタイヤ特性がよ
り強く影響して推定されるようになる。
【0054】このように、本実施の形態にあっては、ス
テップ204〜206の処理によって前輪及び後輪のタ
イヤ横滑り角及びコーナリングフォースの関係の線形性
を評価し、その評価結果を表す割合調整変数ψ* に基づ
き横滑り角候補β1 及びβ2を比例配分して加算するこ
とにより横滑り角βを推定するようになっているため、
上記第1の実施の形態と同様に、単純に前輪及び後輪の
両方のタイヤ特性を含んだ推定式を用いて横滑り角βを
推定するのに比べて、より高精度の推定を行うことがで
きるし、車体横滑り角推定装置10における演算負荷を
大幅に増大させるようなこともない。
【0055】図6は本発明の第3の実施の形態を示す図
であって、図1に示した車体横滑り角推定装置10にお
ける演算処理の概要を示すフローチャートである。な
お、全体的な構成は上記第1の実施の形態と同様である
ため、その図示及び説明は省略する。また、上記各実施
の形態と同様の処理を実行するステップには、同じ番号
を付し、その重複する説明は省略する。
【0056】即ち、本実施の形態にあっては、上記第1
の実施の形態と同様にステップ101〜103の処理を
実行した後に、ステップ301に移行し、値Aが所定の
しきい値η2 よりも小さいか否かを判定する。しきい値
η2 は、値Aに基づいて車両がオーバーステア傾向にあ
るか否かを判定するための値であって、0又は極小さな
値が選択される。
【0057】このステップ301の判定が「YES」の
場合には、車両はオーバーステア傾向にあり、前輪のタ
イヤ横滑り角及びコーナリングフォースの関係は線形域
にあると判断し、ステップ106に移行して上記(5)
式を用いて横滑り角βを推定する。
【0058】これに対し、ステップ301の判定が「N
O」の場合には、少なくとも前輪のタイヤ横滑り角及び
コーナリングフォースの関係が線形域にあるとは判断で
きない。そこで、ステップ302に移行し、前輪のタイ
ヤ特性と後輪のタイヤ特性との両方を利用した下記(1
1)式に従って、横滑り角βを推定する。
【0059】 β=(Mα+2r(aCPf −bCPr )/V −2CPf δf −2CPr δr )/2(CPf +CPr ) ……(11) なお、この(11)式は、上記(2)式に上記(3)及び
(4)式を代入することにより求められる。
【0060】つまり、本実施の形態にあっては、前輪の
タイヤ横滑り角及びコーナリングフォースの関係が線形
域にある場合には、前輪のタイヤ特性を利用した横滑り
角βの推定式を選択する一方、同関係が線形域にあると
判断できなかった場合には、前後輪の両方のタイヤ特性
を利用した横滑り角βの推定式を選択するようになって
いる。
【0061】このような構成であれば、前輪のタイヤ横
滑り角及びコーナリングフォースの関係が線形域にあれ
ば、その線形域にある前輪のタイヤ特性を利用した式に
従って横滑り角βが推定されるから、高精度の推定が行
える。そして、同関係が線形域にあると判定できなかっ
た場合には、前輪及び後輪の両方のタイヤ特性を利用し
た式に従って横滑り角βが推定されるから、タイヤ横滑
り角及びコーナリングフォースの関係が非線形域にある
一方の車輪のタイヤ特性のみが利用されて車体横滑り角
が推定されることは、少なくとも回避できる。これによ
り、前輪のタイヤ特性及びコーナリングフォースの関係
が線形域にあると判断できなかった場合に、最も精度の
悪い車体横滑り角の推定が行われることだけは回避でき
る。
【0062】また、特に複雑な処理を必要としないか
ら、車体横滑り角推定装置10における演算負荷を大幅
に増大させるようなこともない。そして、本実施の形態
は、前輪のタイヤ横滑り角及びコーナリングフォースの
関係が線形域にある可能性が、後輪の同関係が線形域に
ある可能性よりも高い車両に好適であり、そのような車
両としては、一般的にはFR車(前側エンジン・後輪駆
動車)が該当することが多いが、車両諸元等によっては
FR車であっても該当しない場合やFF車(前側エンジ
ン・前輪駆動車)であっても該当する場合があるから、
一概には言えるものではなく、各車両毎にシミュレーシ
ョン等を行って判断されるものである。
【0063】ここで、本実施の形態にあっては、ステッ
プ103,301の処理が推定式選択手段に対応する。
図7は本発明の第4の実施の形態を示す図であって、図
1に示した車体横滑り角推定装置10における演算処理
の概要を示すフローチャートである。なお、全体的な構
成は上記第1の実施の形態と同様であるため、その図示
及び説明は省略する。また、上記各実施の形態と同様の
処理を実行するステップには、同じ番号を付し、その重
複する説明は省略する。
【0064】即ち、本実施の形態にあっては、ステップ
103に次いでステップ401に移行し、そのステップ
401において、値Aが所定のしきい値η3 よりも大き
いか否かを判定する。しきい値η3 は、値Aに基づいて
車両がアンダーステア傾向にあるか否かを判定するため
の値であって、0又は極小さな値が選択される。
【0065】このステップ401の判定が「YES」の
場合には、車両はアンダーステア傾向にあり、後輪のタ
イヤ横滑り角及びコーナリングフォースの関係は線形域
にあると判断し、ステップ105に移行して上記(6)
式を用いて横滑り角βを推定する。
【0066】これに対し、ステップ401の判定が「N
O」の場合には、少なくとも後輪のタイヤ横滑り角及び
コーナリングフォースの関係が線形域にあるとは判断で
きない。そこで、ステップ402に移行し、前輪のタイ
ヤ特性と後輪のタイヤ特性との両方を利用した下記(1
2)式に従って、横滑り角βを推定する。
【0067】 β=(Ir' +2r(a2 CPf +b2 CPr )/V +2aCPf δf −2bCPr δr )/2(aCPf −bCPr ) ……(12) なお、この(12)式は、上記(1)式に上記(3)及び
(4)式を代入することにより求められる。
【0068】つまり、本実施の形態にあっては、後輪の
タイヤ横滑り角及びコーナリングフォースの関係が線形
域にある場合には、後輪のタイヤ特性を利用した横滑り
角βの推定式を選択する一方、同関係が線形域にあると
判断できなかった場合には、前後輪の両方のタイヤ特性
を利用した横滑り角βの推定式を選択するようになって
いる。
【0069】このような構成であれば、後輪のタイヤ横
滑り角及びコーナリングフォースの関係が線形域にあれ
ば、その線形域にある後輪のタイヤ特性を利用した式に
従って横滑り角βが推定されるから、高精度の推定が行
える。そして、同関係が線形域にあると判定できなかっ
た場合には、前輪及び後輪の両方のタイヤ特性を利用し
た式に従って横滑り角βが推定されるから、タイヤ横滑
り角及びコーナリングフォースの関係が非線形域にある
一方の車輪のタイヤ特性のみが利用されて車体横滑り角
が推定されることは、少なくとも回避できる。これによ
り、後輪のタイヤ特性及びコーナリングフォースの関係
が線形域にあると判断できなかった場合に、最も精度の
悪い車体横滑り角の推定が行われることだけは回避でき
る。
【0070】また、特に複雑な処理を必要としないか
ら、車体横滑り角推定装置10における演算負荷を大幅
に増大させるようなこともない。そして、本実施の形態
は、上記第3の実施の形態の場合とは逆に、後輪のタイ
ヤ横滑り角及びコーナリングフォースの関係が線形域に
ある可能性が、前輪の同関係が線形域にある可能性より
も高い車両に好適であり、そのような車両としては、一
般的にはFF車が該当することが多いが、車両諸元等に
よってはFF車であっても該当しない場合やFR車であ
っても該当する場合があるから、一概には言えるもので
はなく、各車両毎にシミュレーション等を行って判断さ
れるものである。
【0071】ここで、本実施の形態にあっては、ステッ
プ103,401の処理が推定式選択手段に対応する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の全体構成を示すブ
ロック図である。
【図2】タイヤ横滑り角と横加速度との関係を示すグラ
フである。
【図3】4輪車両を2輪モデルで表した図である。
【図4】第1の実施の形態における演算処理の概要を示
すフローチャートである。
【図5】第2の実施の形態における演算処理の概要を示
すフローチャートである。
【図6】第3の実施の形態における演算処理の概要を示
すフローチャートである。
【図7】第4の実施の形態における演算処理の概要を示
すフローチャートである。
【符号の説明】
10 車体横滑り角推定装置 11 ヨーレートセンサ 12 微分器 13 横加速度センサ 14 車速センサ 15 操舵角センサ 20 目標制動力設定装置 30 制動力制御装置

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前輪のタイヤ横滑り角及びコーナリング
    フォースの関係と、後輪のタイヤ横滑り角及びコーナリ
    ングフォースの関係とについて、それが線形域にあるか
    否かを判断し、前記関係が線形域にある車輪のタイヤ特
    性を利用して車体横滑り角を推定することを特徴とする
    車両の車体横滑り角推定方法。
  2. 【請求項2】 前輪のタイヤ横滑り角及びコーナリング
    フォースの関係と、後輪のタイヤ横滑り角及びコーナリ
    ングフォースの関係とについて、いずれの方が線形域に
    ある可能性が高いかを判断し、前記関係が線形域にある
    可能性が高い方の車輪のタイヤ特性を利用して、車体横
    滑り角を推定することを特徴とする車両の車体横滑り角
    推定方法。
  3. 【請求項3】 前輪のタイヤ横滑り角及びコーナリング
    フォースの関係と、後輪のタイヤ横滑り角及びコーナリ
    ングフォースの関係とについて、線形性を評価し、前輪
    のタイヤ特性を利用して推定した車体横滑り角候補と、
    後輪のタイヤ特性を利用して推定した車体横滑り角候補
    とを、前記線形性の評価結果に基づいて比例配分して加
    算することにより車体横滑り角を推定することを特徴と
    する車両の車体横滑り角推定方法。
  4. 【請求項4】 後輪のタイヤ横滑り角及びコーナリング
    フォースの関係が線形域にあるか否かを判断し、前記関
    係が線形域にあると判断された場合には、後輪のタイヤ
    特性を利用して車体横滑り角を推定する一方、前記関係
    が線形域にあると判断されなかった場合には、前輪のタ
    イヤ特性と後輪のタイヤ特性とを利用して車体横滑り角
    を推定することを特徴とする車両の車体横滑り角推定方
    法。
  5. 【請求項5】 前輪のタイヤ横滑り角及びコーナリング
    フォースの関係が線形域にあるか否かを判断し、前記関
    係が線形域にあると判断された場合には、前輪のタイヤ
    特性を利用して車体横滑り角を推定する一方、前記関係
    が線形域にあると判断されなかった場合には、前輪のタ
    イヤ特性と後輪のタイヤ特性とを利用して車体横滑り角
    を推定することを特徴とする車両の車体横滑り角推定方
    法。
  6. 【請求項6】 車両の運転状況に基づいてヨーレートの
    目標値を設定するとともに、実際のヨーレートを検出
    し、前記ヨーレートの目標値と前記実際のヨーレートと
    を比較した結果に基づいて、前記タイヤ横滑り角及びコ
    ーナリングフォースの関係を判断する請求項1乃至請求
    項5のいずれかに記載の車両の車体横滑り角推定方法。
  7. 【請求項7】 車両の運転状況に基づいてヨーレートの
    目標値を求める目標ヨーレート演算手段と、実際のヨー
    レートを検出するヨーレート検出手段と、前記ヨーレー
    トの目標値と前記実際のヨーレートとの比較結果に基づ
    き車体横滑り角の推定式を選択する推定式選択手段と、
    を備え、前記選択された推定式に従って車体横滑り角を
    推定するようになっていることを特徴とする車両の車体
    横滑り角推定装置。
JP24267797A 1997-09-08 1997-09-08 車両の車体横滑り角推定方法及び推定装置 Pending JPH1178933A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6853886B2 (en) 2001-11-15 2005-02-08 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha Method of estimating quantities that represent state of vehicle
KR100773717B1 (ko) * 2006-08-31 2007-11-06 충청남도 버섯균사체가 함유된 두부 및 그 제조방법
JP2009173112A (ja) * 2008-01-23 2009-08-06 Mitsubishi Electric Corp 車両状態量推定装置
JP2012171418A (ja) * 2011-02-18 2012-09-10 Jtekt Corp 車体すべり角推定装置および車両姿勢制御装置
JP7262684B1 (ja) * 2022-05-10 2023-04-21 三菱電機株式会社 移動体測位装置

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KR100773717B1 (ko) * 2006-08-31 2007-11-06 충청남도 버섯균사체가 함유된 두부 및 그 제조방법
JP2009173112A (ja) * 2008-01-23 2009-08-06 Mitsubishi Electric Corp 車両状態量推定装置
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