JP5206491B2 - 車両接地面摩擦状態推定装置及びその方法 - Google Patents
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Description
本発明の課題は、スリップが発生する前に走行路面の路面μを推定することである。
タイヤ特性相関関係マップは、基準路面摩擦係数の基準路面で得られる車輪の制駆動力、車輪の横力及び車輪のスリップ度の相関関係で成立する3次元曲面を表すタイヤ特性をモデル化したものであり、基準路面での制駆動力と横力との合力とスリップ度との比と基準路面摩擦係数とは異なる路面摩擦係数の路面での制駆動力と横力との合力とスリップ度との比が同一であれば、基準路面での制駆動力と横力との合力と、基準路面摩擦係数とは異なる路面摩擦係数の路面での制駆動力と横力との合力との比、又は基準路面でのスリップ度と、基準路面摩擦係数とは異なる路面摩擦係数の路面でのスリップ度との比が、基準路面摩擦係数と、基準路面摩擦係数とは異なる路面摩擦係数との比を示す特性を有する。
これにより、スリップが発生する前に現在の路面の路面摩擦係数を推定できる。
(実施形態の前提となる技術)
先ず、本実施形態の前提となる技術を説明する。
(1)車輪のスリップ率と車輪の制駆動力との関係
図1はタイヤ特性曲線を示す。このタイヤ特性曲線は、駆動輪のスリップ率λと駆動輪の制駆動力(又は前後力)Fxとの間に成立する一般的な相関関係を示す。例えば、マジックフォーミュラ(MagicFormula)といったタイヤモデルからタイヤ特性曲線を得る。ここで、制駆動力Fxは、タイヤから地面に作用する力である。また、制駆動力Fxが接地面において車輪に作用する車輪力に相当する。車輪のスリップ率λが車輪のスリップ度に相当する。
ここで、図1に示すように、タイヤ特性曲線の原点を通る任意の直線a,b,c,d,…を描く。すると、タイヤ特性曲線に対して交わる任意の直線a,b,c,d,…との交点(同図中に○印で示す交点)でタイヤ特性曲線の接線の傾きを得ることができる。そして、タイヤ特性曲線の接線の傾きは各交点で異なるものとなる。このようなタイヤ特性曲線の接線の傾きに着目することで、スリップ率λと制駆動力Fxとの間にある関係や線形関係から非線形関係への遷移の状態を知ることができる。
そして、各タイヤ特性曲線で制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)が同一となる値(λ,Fx)に関し、異なるタイヤ特性曲線間で得られる制駆動力Fx同士の比又はスリップ率λ同士の比は、路面μの比と等しくなる。
図5に示すように、制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)が同一となる値(λ,Fx)(同図中に■印、●印でそれぞれ示す値)でそれぞれ得られる制駆動力a2と制駆動力b2との比(a2/b2)と、路面Aの路面μ値μAと路面Bの路面μ値μBとの比(μA/μB)とは同一値になる。
このようなことから、制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)が同一となる値(λ,Fx)と原点(0,0)とをそれぞれ結んで得られる線長a1と線長b1との比(a1/b1)と、路面Aの路面μ値μAと路面Bの路面μ値μBとの比(μA/μB)とは同一値になる。このことは、幾何学的に次のように証明できる。
以上のように制駆動力Fx同士の比、スリップ率λ同士の比又は前記線長同士の比を知ることができれば、路面μの比を知ることができる。
図6に示すように、先ずステップS1及びステップS2において、ある走行路面Bでの制駆動力Fxb及びスリップ率λbを検出する。続いてステップS3において、路面μ値μAの路面Aのタイヤ特性曲線の原点(0,0)と実測点(λb,Fxb)とを通る直線が、そのタイヤ特性曲線と交わる点の値(λa,Fxa)を特定する。
図8に示すように、路面μが異なる各路面におけるタイヤ特性曲線(細線の点線)が、制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)を維持しながらも、路面μが小さくなるほど、制駆動力Fx及びスリップ率λが小さくなる。さらに、ノーマルタイヤのタイヤ特性曲線(太線の点線)の制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)と、スタッドレスタイヤのタイヤ特性曲線(細線の点線)の制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)とが、同一値となっている。すなわち、ノーマルタイヤのタイヤ特性曲線とスタッドレスタイヤのタイヤ特性曲線とは相似形状となる。つまり、スタッドレスタイヤのようにグリップ力やタイヤの表面形状等が異なる場合でも、ノーマルタイヤのタイヤ特性曲線の制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)と同一値となる。
すなわち、乾燥アスファルト路面や凍結路面等、路面μが異なる路面であっても、この特性曲線は成立する。或いは、この特性曲線は、高摩擦係数を有する高摩擦路面用の高摩擦タイヤ特性曲線及び高摩擦係数より低い低摩擦係数を有する低摩擦路面用の低摩擦タイヤ特性曲線を含んでいると言える。このように図10に示す特性曲線は、図1と同様に、タイヤ特性曲線を示している。図1と区別して、図10の特性曲線を例えばグリップ特性曲線と呼ぶこともできる。
具体的には、タイヤ特性曲線の接線の傾きが正値の場合、スリップ率λを増やすことでさらに大きい制駆動力Fxを発生させることができることを示す。そして、タイヤ特性曲線の接線の傾きが零又は負値の場合、スリップ率λを増加させても制駆動力Fxが増えることはなく、逆に低下する恐れがあることを示す。
なお、タイヤ特性曲線(図1)に対して偏微分計算を行い、連続的に描画することでグリップ特性曲線(図10)を得ることができる。
これにより、制駆動力Fx同士の比、スリップ率λ同士の比、又は線長同士の比がわかれば、路面μの比を知ることができる。
図11はタイヤ特性曲線を示す。このタイヤ特性曲線は、車輪のスリップ角βtと車輪の横力Fyとの間に成立する一般的な相関関係を示す。例えば、タイヤモデルを実験データを基にチューニングすることで、前後輪それぞれで二輪分の等価特性図(タイヤ特性曲線)を得る。ここで、例えば、マジックフォーミュラ(MagicFormula)を基にタイヤモデルを構築している。横力Fyは、コーナリングフォースやサイドフォースに代表される値である。ここで、横力Fyは、タイヤから地面に作用する力である。また、横力Fyが接地面において車輪に作用する車輪力に相当する。車輪のスリップ角βtが車輪のスリップ度に相当する。
ここで、図11に示すように、タイヤ特性曲線の原点を通る任意の直線a,b,c,…を描く。すると、タイヤ特性曲線に対して交わる任意の直線a,b,c,…との交点(図11中に○印で示す交点)でタイヤ特性曲線の接線の傾きを得ることができる。そして、タイヤ特性曲線の接線の傾きは各交点で異なるものとなる。このようなタイヤ特性曲線の接線の傾きに着目することで、スリップ角βtと横力Fyとの間にある関係や線形関係から非線形関係への遷移の状態を知ることができる。
そして、各タイヤ特性曲線で横力Fyとスリップ角βtとの比(Fy/βt)が同一となる値(βt,Fy)に関し、異なるタイヤ特性曲線で得られる横力Fy同士の比又はスリップ角βt同士の比は、路面μの比と等しくなる。
図15に示すように、横力Fyとスリップ角βtとの比(Fy/βt)が同一となる値(βt,Fy)(同図中に■印、●印でそれぞれ示す値)でそれぞれ得られる横力a2と横力b2との比(a2/b2)と、路面Aの路面μ値μAと路面Bの路面μ値μBとの比(μA/μB)とは同一値になる。
このようなことから、路面Aで得られるタイヤ特性曲線と路面Bで得られるタイヤ特性曲線とで、横力Fyとスリップ角βtとの比(Fy/βt)が同一となる値(βt,Fy)と原点(0,0)とをそれぞれ結んで得られる線長a1と線長b1との比(a1/b1)と、路面Aの路面μ値μAと路面Bの路面μ値μBとの比(μA/μB)とは同一値になる。このことは、幾何学的に次のように証明できる。
図16に示すように、先ずステップS11及びステップS12において、ある走行路面Bでの横力Fyb及びスリップ角βtbを検出する。続いてステップS13において、路面μ値μAの路面Aのタイヤ特性曲線の原点(0,0)と実測点(βtb,Fyb)とを通る直線が、そのタイヤ特性曲線と交わる点の値(βta,Fya)を特定する。
ここで、制駆動力Fx及び横力Fyは、それら値を含む概念のタイヤ力(車輪力)Fとして観念でき、スリップ率λ及びスリップ角βtは、それら値を含む概念のスリップ度Sとして観念できる。また、例えば、制駆動力Fxと横力Fyとの合力も、タイヤ力Fとして観念できる。
よって、図17に示すように、路面μが異なる各タイヤ特性曲線について、タイヤ力F同士の比(a2/b2)、スリップ度S同士の比(a3/b3)又は線長の比(a1/b1)と、その路面μの比(μA/μB)とが等しくなる。
本願発明者は、以上に述べたように、各路面μのタイヤ特性曲線について、そのタイヤ特性曲線の原点を通る任意の一の直線とタイヤ特性曲線との交点で、接線の傾きが同一となる点を発見した。すなわち、各路面μのタイヤ特性曲線について、横力Fyとスリップ角βtとの比(Fy/βt)が同一になる値(βt,Fy)で接線の傾きが同一となる点を発見した。
これにより、横力Fy同士の比、スリップ角βt同士の比、又は線長同士の比がわかれば、路面μの比を知ることができる。
図19は、前後方向のグリップ力に基づく制駆動力FxをX軸、横方向のグリップ力に基づく横力FyをY軸上で表現する直交座標面上にタイヤ摩擦円を表現したものである。
ここで、タイヤ摩擦円は、タイヤが接地面において摩擦状態を維持できる摩擦限界を示す。
すなわち、タイヤ摩擦円に対して、制駆動動力Fxや横力Fy、又は制駆動動力Fxと横力Fyとの合力の値が、タイヤ摩擦円の内側にある場合、摩擦限界に達しておらず摩擦状態を保っている状態を示す。
また、タイヤ接地面においてタイヤに加わる外力が、タイヤ摩擦円よりも大きい場合、タイヤが接地面との間で摩擦状態を保っていない状態、つまり、タイヤと地面との相対変位が大きくなり、いわゆるスリップ状態であることを示す。これは、タイヤ摩擦円と前後方向及び横方向のグリップ力との関係が、前後方向と横方向とにそれぞれ同時に最大グリップ力を発揮することができないことを意味する。
以下の説明では、制駆動動力Fx、横力Fy、及び制駆動動力Fxと横力Fyとの合力を総称して車輪力又はタイヤ力と称する。
前述のようなタイヤ摩擦円と車輪力との関係、さらには車輪力と車輪スリップ度(スリップ率λ、スリップ角βt)との関係を基に、3次元座標を用いて車輪の車輪力、スリップ度、及びタイヤ摩擦円の関係を得ることができる。以下に、その関係を示す3次元座標の特性曲線を得る手順を説明する。
図20は、制駆動力Fxとスリップ率λとの関係(2次元座標系)を3次元座標系に変換する手順を示す。図20(a)(前記図1のタイヤ特性曲線(Fx−λ特性曲線)に相当)に示すように、制駆動力Fxが最大値を示すスリップ率λをλpeakと定義する。すなわち、制駆動力Fxはスリップ率λの増加に伴い増加していくが、スリップ率λがある程度大きくなると制駆動力Fxは飽和し、それ以降、逆に低下していく。この制駆動力Fxが飽和するスリップ率λの点(飽和点)をλpeakと定義する。
よって、3次元曲面は、スリップ度と車輪力(タイヤ力)との相関関係を表すものとなる。また、この3次元曲面は、制駆動力Fxと横力Fyとの合力Fと、合力Fに起因して発生するスリップ度Zとの関係線の集合から構成されるものとなる。
図23は、前記図22が、制駆動力Fxと横力Fyとの合力Fと、合力Fに起因して発生するスリップ度Zとの関係線(2次元特性曲線)の集合から構成されることを説明する図である。3次元座標系における合力Fの大きさ・向きは、制駆動力Fxのスカラ量・向きと横力Fyのスカラ量・向きとの異なる組み合わせにより、無数に存在する。この実施形態では、車輪力(F)は、Z軸回り360度全周の何れの方向でも良く、図示の実施形態では全方向に対応している。これにより、図23(a)に示す3次元座標系における、合力Fと該合力Fに起因して発生するスリップ度Zとの関係は、Z軸と合力Fとを含む平面に表された2次元特性の集合からなると言える。つまり、図23(b)に示すように、合力Fと該合力Fに起因して発生するスリップ度Zとの関係を2次元特性曲線として得ることができる。すなわち、Z軸と合力Fとを含む平面は、合力の方向に応じて、Z軸のまわりに無数に存在し、それら無数の平面は、Z軸を軸として平面束(asheaf of planes)を成している。そして、その平面の各々に図23(b)のような2次元特性曲線が存在する。
図26を用いて、路面μが異なる各タイヤ特性曲線について、合力F同士の比又はスリップ度Z同士の比と、その路面μの比との関係を説明する。
このようなことから、路面Aで得られるタイヤ特性曲線と路面Bで得られるタイヤ特性曲線とで、合力Fとスリップ度Zとの比(F/Z)が同一となる値(Z,F)と原点(0,0)とをそれぞれ結んで得られる線長a1と線長b1との比(a1/b1)と、路面Aの路面μ値μAと路面Bの路面μ値μBとの比(μA/μB)とは同一値になる。このことは、幾何学的に次のように証明できる。
図27に示すように、先ずステップS21及びステップS22において、ある走行路面Bでの合力Fb及びスリップ度Zbを検出する。続いてステップS23において、路面μ値μAの路面Aのタイヤ特性曲線の原点(0,0)と実測点(Zb,Fb)とを通る直線が、そのタイヤ特性曲線と交わる点の値(Za,Fa)を特定する。
合力Fとスリップ度Zとの比(F/Z)とタイヤ特性曲線の接線の傾き(μ勾配)との関係を、最大摩擦力に依存しない形で整理できる。
図28は、合力Fとスリップ度Zとの比(F/Z)と、タイヤ特性曲線の接線の傾きとの関係を示す。図28に示すように、合力Fとスリップ度Zとの比(F/Z)とタイヤ特性曲線の接線の傾きとの関係を整理することで、最大摩擦力に依存しない一つの特性(2次元特性曲線)に集約することができる。よって、図28に示すような特性データを予め準備しておく。例えば特性マップとして準備しておく。そして、合力Fとスリップ度Zとがわかれば、特性データを用いることで、タイヤ特性曲線の接線の傾きの値を知ることができ、摩擦限界に対する余裕度を判定できる。すなわち、最大摩擦力の情報を得ることなく(最大摩擦力を推定することなく)、摩擦限界に対する余裕度を判定できる。
以上のように、車輪の車輪力、スリップ度、及びタイヤ摩擦円の関係を3次元座標系の特性として得ることができる。さらに、合力Fとスリップ度Zとの比(F/Z)とタイヤ特性曲線の接線の傾き(μ勾配)との関係を2次元座標系の特性(μ勾配特性)として得ることができる。
以上の技術の採用により実現した実施形態を次に説明する。
(構成)
本実施形態は、本発明を適用した車両である。図29は、車両の概略構成を示す。図29に示すように、車両は、操舵角センサ1、ヨーレイトセンサ2、横加速度センサ3、前後加速度センサ4、車輪速センサ5、EPSECU(ElectricPower Steering Electronic Control Unit)6、EPS(Electric Power Steering)モータ7及び車両走行状態推定装置8を備える。さらに、車両は、各車輪11FL〜11RRに直結した制駆動モータ21FL〜21RR、制駆動モータECU(ElectronicControl Unit)22を有する。
制駆動モータECU22は、ブレーキペダル15及びアクセルペダル16からのドライバ入力、並びに車両走行状態推定装置8からの情報を基に、制駆動モータ21FL〜21RRを制御する。
車体速度演算部41は、車輪速センサ5が検出した車輪速及び前後加速度センサ4が検出した前後加速度を基に、車体速度を推定する。具体的には、車体速度演算部41は、従動輪11RL,11RRの車輪速の平均値、又は各車輪11FL〜11RRの車輪速の平均値を算出して、その算出値を車体速度の基本値としている。車体速度演算部41は、その基本値を前後加速度により補正する。具体的には、その基本値から急加速時のタイヤ空転や急制動時のタイヤロックによる誤差の影響を除くように補正をする。車体速度演算部41は、その補正した値を車体速度の推定結果とする。車体速度演算部41は、その推定結果を車体スリップ角推定部42に出力する。
図31は、車体スリップ角推定部42の構成例を示す。図31に示すように、車体スリップ角推定部42は、車両の状態量(車両の横滑り角β、スリップ角β)を推定する線形2入力オブザーバ51を備える。これにより、車体スリップ角推定部42は、車両の横滑り角(スリップ角)βを推定する。ここで、車両の2輪モデルを基に線形2入力オブザーバ51を構築している。その車両の2輪モデルを、車両の横方向の力とモーメントの釣り合いより、下記(1)式で表すことができる。
また、線形2入力オブザーバ51は、積分器52の入力を補正するβ推定補償器53を備える。これにより、線形2入力オブザーバ51は、限界領域においても推定精度を確保することができる。すなわち、β推定補償器53を備えることで、車両の2輪モデルの設計時に想定した路面状況で且つタイヤの横滑り角が非線形特性とはならない線形域だけでなく、路面μ変化時や限界走行時にあっても横滑り角βを精度よく推定できる。
図34の制御マップでは、車両の横方向加速度Gyの絶対値(|Gy|)が第1しきい値以下である場合、補償ゲインK2が零となる。また、車両の横方向加速度Gyの絶対値が第1しきい値よりも大きい第2しきい値以上の場合、補償ゲインK2が比較的大きい一定値となる。また、車両の横方向加速度Gyの絶対値が第1しきい値と第2しきい値との間にある場合、横方向加速度Gyの絶対値が大きくなるほど、補償ゲインK2が大きくなる。
スリップ率演算部44は、車輪速センサ5が検出した各車輪11FL〜11RRの車輪速及び車体速度演算部41が算出した車体速度を基に、前後輪(前輪2輪分と後輪2輪分)のスリップ率λf,λrを算出する。スリップ率演算部44は、算出した結果をスリップ率λf,λrを路面μ推定値演算部45に出力する。
路面μ推定値演算部45は、タイヤスリップ角演算部43が算出した前後輪のスリップ角βtf,βtr、スリップ率演算部44が算出した前後輪のスリップ率λf,λr、及びタイヤ力センサ46が検出した前後輪のタイヤ力Ff,Frを基に、路面μを推定する。
路面μ推定値演算部45は、以上のような3D特性マップ45aを参照して路面μを推定する。図37は、3D特性マップ45aを参照して路面μを得る関係を、3D特性マップ45aに対する入力と出力との関係として示す。
このとき、路面μ推定値演算部45は、前輪のスリップ率λfとスリップ角βtfとを合成し変換してスリップ度Zを得ている。具体的には、路面μ推定値演算部45は、下記(6)式によりスリップ度Zを算出している。
Z=S/SPeak=√((λ/λPeak)2+(βt/βtPeak)2) ・・・(6)
そして、路面μ推定値演算部45は、前輪に対応する3D特性マップ45aを参照して、前輪のタイヤ力ベクトルFfとスリップ度Zを基に、路面μを算出する。具体的には、路面μ推定値演算部45は、前記図27に示す演算手順に従い、路面μを算出する。
ここで、実測点(Zb,Fb)は、3D特性マップ45aが示されるFx−Fy−Z空間においてスリップ度Zb(実測のスリップ度Z)とタイヤ力ベクトルFb(Ff)とで特定される座標(プロット点)である。すなわち、Fx−Fy平面上でタイヤ力ベクトルFbにより特定し、Z軸方向をスリップ度Zbで特定できる座標である。
すなわち、先ず、路面μ推定値演算部45は、前記実測点(Zb,Fb)と3D特性マップ45aの原点とを結ぶ直線の線長b(=√(Zb2+Fb2))を得る。つまり、車輪の制駆動力、車輪の横力及び車輪のスリップ度を座標軸とする3次元空間における、該制動力、横力及びスリップ度が零である原点から、現在の検出タイヤ力Ffの方向でかつ現在の検出スリップ度Zまで延びる直線に該現在のタイヤ力Ffの大きさを投影して得た距離bを得る。
さらに、線長bと線長aとの比(b/a)を算出する。そして、路面μ推定値演算部45は、その算出した比(b/a)と、3D特性マップ45aを得た路面の路面μ値μAとを乗算し、その乗算値を現在の走行路面の路面μ値μBとして得る(μB=μA・b/a)。
図38を用いて説明する。
先ず、車体走行状態推定装置8では、車体速度演算部41が車体速度を算出する(ステップS31)。車体走行状態推定装置8では、スリップ率演算部44がその車体速度を基に、前後輪それぞれのスリップ率λf,λrを算出する(ステップS32)。さらに、車体走行状態推定装置8では、タイヤスリップ角演算部43が前後輪それぞれのスリップ角βtf,βtrを算出する(ステップS33)。一方、タイヤ力センサ46が前後輪のタイヤ力ベクトルFf,Frを検出する(ステップS34)。
EPSECU6は、路面μ推定値を基に、操舵アシスト指令によりEPSモータ7を制御する。具体的には、EPSECU6は、路面μ推定値が小さくなるほど、EPSモータ7の出力を低減される制御を行う。
(1)この実施形態では、タイヤ特性相関関係マップが、車輪の制駆動力、車輪の横力及び車輪のスリップ度を座標軸とする3次元空間に存在するものとして、連続した3次元曲面として表現された3D特性マップである。これに対して、3D特性マップ(タイヤ特性相関関係マップ)を、車輪の制駆動力、車輪の横力及び車輪のスリップ度を変数として数式表現されたものとすることもできる。
(5)この実施形態では、前輪操舵車両を例に挙げている。これに対して、後輪操舵車両とすることもできる。
(7)この実施形態では、路面μを基に操舵制御するEPSECU6と、路面μを基に制駆動力制御する制駆動モータECU22とを備えている。これに対して、EPSECU6及び制駆動モータECU22の何れか一方だけを備えることもできる。すなわち、路面μを基に、制駆動力制御及び操舵制御の何れか一方だけを実施することもできる。
ここで、基準路面摩擦係数とは異なる路面摩擦係数とは、基準路面摩擦係数以外の任意の路面摩擦係数である。
(1)基準路面摩擦係数の基準路面での制駆動力と横力との合力とスリップ度との比と基準路面摩擦係数とは異なる路面摩擦係数の路面での制駆動力と横力との合力とスリップ度との比が同一であれば、基準路面での制駆動力と横力との合力と、基準路面摩擦係数とは異なる路面摩擦係数の路面での制駆動力と横力との合力との比、又は基準路面でのスリップ度と、基準路面摩擦係数とは異なる路面摩擦係数の路面でのスリップ度との比が、基準路面摩擦係数とこの基準路面摩擦係数とは異なる路面摩擦係数との比を示す特性を有する。
これにより、車輪のタイヤ力の方向と大きさ、及びスリップ度を検出して、現在の路面の路面摩擦係数を算出できる。
この結果、スリップが発生する前に現在の路面の路面摩擦係数を推定できる。
これにより、タイヤ力の方向と大きさを同時に検出できる。
(3)タイヤ特性相関関係マップは、車輪の制駆動力、車輪の横力及び車輪のスリップ度を座標軸とする3次元空間に存在するものとして、連続した3次元曲面として表現されたものである。
これにより、高い精度でかつ簡単に現在の路面の路面摩擦係数を推定できる。
これにより、高い精度でかつ簡単に現在の路面の路面摩擦係数を推定できる。
(5)スリップ度は、車輪のスリップ率と車輪のスリップ角とを成分とした値である。
これにより、車輪のスリップ率と車輪のスリップ角とに対応して現在の路面の路面摩擦係数を推定できる。
(6)スリップ度は、車輪のスリップ率及び車輪のスリップ角それぞれの無次元値を合成した値である。
無次元化したことで一般化したスリップ度を基に、現在の路面の路面摩擦係数を推定できる。
無次元化したことで一般化したスリップ度を基に、現在の路面の路面摩擦係数を推定できる。
(8)車輪のスリップ角を基準路面で車輪の横力が飽和する車輪のスリップ角で除すことで、車輪のスリップ角の無次元値を得ている。
無次元化したことで一般化したスリップ度を基に、現在の路面の路面摩擦係数を推定できる。
Claims (9)
- 車両の車輪の接地面グリップ特性を推定するための車両接地面摩擦状態推定装置において、
車輪の制駆動力及び横力を成分に含む車輪のタイヤ力の方向及び大きさを検出するタイヤ力検出手段と、
前記車輪のスリップ度を検出するスリップ度検出手段と、
基準路面摩擦係数の基準路面で得られる車輪の制駆動力、車輪の横力及び車輪のスリップ度の相関関係で成立する3次元曲面を表すタイヤ特性をモデル化したタイヤ特性相関関係マップと、
前記タイヤ力検出手段が検出した現在のタイヤ力、前記スリップ度検出手段が検出した現在のスリップ度及びタイヤ特性相関関係マップを基に、現在の路面の路面摩擦係数を算出する路面摩擦係数算出手段と、を備え、
前記タイヤ特性相関関係マップは、前記基準路面での制駆動力と横力との合力とスリップ度との比と基準路面摩擦係数とは異なる路面摩擦係数の路面での制駆動力と横力との合力とスリップ度との比が同一であれば、前記基準路面での制駆動力と横力との合力と、基準路面摩擦係数とは異なる路面摩擦係数の路面での制駆動力と横力との合力との比、又は前記基準路面でのスリップ度と、基準路面摩擦係数とは異なる路面摩擦係数の路面でのスリップ度との比が、基準路面摩擦係数と、基準路面摩擦係数とは異なる路面摩擦係数との比を示す特性を有し、
前記路面摩擦係数算出手段は、前記車輪の制駆動力、車輪の横力及び車輪のスリップ度を座標軸とする3次元空間における、該制動力、横力及びスリップ度が零である原点から前記タイヤ力ベクトル検出手段が検出した現在のタイヤ力の方向でかつ前記スリップ度検出手段が検出した現在のスリップ度まで延びる直線に該現在のタイヤ力の大きさを投影して得た距離と、前記直線を延長して前記タイヤ特性相関関係マップと交じわる交点と前記原点との間の距離との比を基に、現在の路面の路面摩擦係数を算出することを特徴とする車両接地面摩擦状態推定装置。 - 前記タイヤ力検出手段は、前記タイヤ力のベクトルを検出することを特徴とする請求項1に記載の車両接地面摩擦状態推定装置。
- 前記タイヤ特性相関関係マップは、前記車輪の制駆動力、車輪の横力及び車輪のスリップ度を座標軸とする3次元空間に存在するものとして、連続した3次元曲面として表現されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両接地面摩擦状態推定装置。
- 前記タイヤ特性相関関係マップは、前記車輪の制駆動力、車輪の横力及び車輪のスリップ度を変数として数式表現されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両接地面摩擦状態推定装置。
- 前記スリップ度は、車輪のスリップ率と車輪のスリップ角とを成分とした値であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車両接地面摩擦状態推定装置。
- 前記スリップ度は、車輪のスリップ率及び車輪のスリップ角それぞれの無次元値を成分とした値であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の車両接地面摩擦状態推定装置。
- 前記車輪のスリップ率を前記基準路面で車輪の制駆動力が飽和する車輪のスリップ率で除すことで、前記車輪のスリップ率の無次元値を得ていることを特徴とする請求項6に記載の車両接地面摩擦状態推定装置。
- 前記車輪のスリップ角を前記基準路面で車輪の横力が飽和する車輪のスリップ角で除すことで、前記車輪のスリップ角の無次元値を得ていることを特徴とする請求項6又は7に記載の車両接地面摩擦状態推定装置。
- 車両の車輪の接地面グリップ特性を推定するための車両接地面摩擦状態推定方法において、
車輪の制駆動力及び横力を成分に含む車輪のタイヤ力のベクトル及び車輪のスリップ度を検出する検出ステップと、
前記検出ステップで検出した現在のタイヤ力ベクトル、現在のスリップ度及びタイヤ特性相関関係マップを基に、現在の路面の路面摩擦係数を算出する路面摩擦係数算出ステップと、を有し、
前記タイヤ特性相関関係マップは、基準路面摩擦係数の基準路面で得られる車輪の制駆動力、車輪の横力及び車輪のスリップ度の相関関係で成立する3次元曲面を表すタイヤ特性をモデル化したものであり、前記基準路面での制駆動力と横力との合力とスリップ度との比と基準路面摩擦係数とは異なる路面摩擦係数の路面での制駆動力と横力との合力とスリップ度との比が同一であれば、前記基準路面での制駆動力と横力との合力と、基準路面摩擦係数とは異なる路面摩擦係数の路面での制駆動力と横力との合力との比、又は前記基準路面でのスリップ度と、基準路面摩擦係数とは異なる路面摩擦係数の路面でのスリップ度との比が、基準路面摩擦係数と、基準路面摩擦係数とは異なる路面摩擦係数との比を示す特性を有し、
前記路面摩擦係数算出ステップは、前記車輪の制駆動力、車輪の横力及び車輪のスリップ度を座標軸とする3次元空間における、該制動力、横力及びスリップ度が零である原点から前記検出ステップで検出した現在のタイヤ力の方向でかつ前記検出ステップで検出した現在のスリップ度まで延びる直線に該現在のタイヤ力の大きさを投影して得た距離と、前記直線を延長して前記タイヤ特性相関関係マップと交じわる交点と前記原点との間の距離との比を基に、現在の路面の路面摩擦係数を算出することを特徴とする車両接地面摩擦状態推定方法。
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