JP5428390B2 - 車両接地面摩擦状態推定装置及びその方法 - Google Patents

車両接地面摩擦状態推定装置及びその方法 Download PDF

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Description

本発明は、車輪接地面の摩擦状態或いは車輪の路面グリップ状態を推定する技術に関する。
従来、この種の技術としては、横軸が車輪のスリップ率に対応し且つ縦軸が路面の摩擦係数に対応する2次元マップに実際の車輪のスリップ率と路面の摩擦係数とに対応する点をプロットし、プロットした点と原点とを通る直線の傾きからタイヤ摩擦状態を推定するものがある(特許文献1参照)。この推定したタイヤ摩擦状態に基づいて、車輪の制駆動力を制御している。
特開2006−34012号公報
しかしながら、特許文献1の従来の技術にあっては、タイヤの摩擦限界又はタイヤ摩擦限界までの余裕度といったようなタイヤのグリップ特性がわからない。
本発明の課題は、タイヤのグリップ特性を適切に推定することである。
前記課題を解決するために、本発明は、基準タイヤにより基準路面で得られる車輪のタイヤ力と車輪のスリップ度との比である基準値比と、該タイヤ力と該スリップ度との相関関係が成立する連続した特性線の前記基準値比における接線の傾きとの相関関係を曲線で想定してモデル化した接線勾配相関関係マップを備える。
また、本発明は、検出した現在のタイヤ力と現在のスリップ度との検出値比を基準値比とし、該基準値比に対応する前記接線の傾きを、想定した接線勾配相関関係マップを参照して得て、その得た接線の傾きを車輪のグリップ特性を示すグリップ特性パラメータとして出力する。
そして、本発明は、検出したタイヤ力と検出したスリップ度との相関関係が直線関係となる領域での検出値比と、想定した接線勾配相関関係マップのタイヤ力とスリップ度との相関関係が直線関係となる領域における該タイヤ力と該スリップ度との基準値比との比を補正係数とし、補正係数を基に接線勾配相関関係マップを補正する。
ここで、タイヤ特性が異なる場合に、タイヤ力とスリップ度との比と、該タイヤ力と該スリップ度との相関関係が成立する連続した特性線の該比における接線の傾きとの相関関係が異なることがある。このとき、タイヤ力とスリップ度との相関関係が直線関係となる領域の該タイヤ力と該スリップ度との比も異なるものとなる。
このような場合に、前記比と前記接線の傾きとの相関関係の変化と、タイヤ力とスリップ度との相関関係が直線関係となる領域の該タイヤ力と該スリップ度との比の変化との間には、ある相関がある。
本発明によれば、グリップ特性パラメータとして出力される接線勾配相関関係マップの接線の傾きは、タイヤの摩擦限界又はタイヤ摩擦限界までの余裕度といったようなタイヤのグリップ特性を示すものとなる。
これにより、タイヤのグリップ特性を適切に推定することが可能となる。
前提となる技術を説明するために使用した図であり、車輪のスリップ率λと車輪の制駆動力Fxとの間に成立するタイヤ特性曲線(Fx−λ特性曲線)を示す特性図である。 前提となる技術を説明するために使用した図であり、各路面μのタイヤ特性曲線(Fx−λ特性曲線)及び摩擦円を示す特性図である。 前提となる技術を説明するために使用した図であり、各路面μのタイヤ特性曲線(Fx−λ特性曲線)について、該タイヤ特性曲線の原点を通る直線との交点での接線の傾きを示す特性図である。 前提となる技術を説明するために使用した図であり、各路面μのタイヤ特性曲線(Fx−λ特性曲線)について、該タイヤ特性曲線の原点を通る直線との交点での接線の傾きを示す他の特性図である。 前提となる技術を説明するために使用した図であり、路面μが異なるタイヤ特性曲線について得られる制駆動力Fx同士の比、スリップ率λ同士の比、又は線長同士の比と、路面μの比とが等しくなることを示す特性図である。 前提となる技術を説明するために使用した図であり、路面μが異なる路面で得た制駆動力Fxとスリップ率λとの関係を示す特性図である。 前提となる技術を説明するために使用した図であり、スタッドレスタイヤについて、路面μが異なる路面で得た制駆動力Fxとスリップ率λとの関係を示す特性図である。 前提となる技術を説明するために使用した図であり、タイヤ特性曲線(Fx−λ特性曲線)の任意点の制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)と、その任意点でのタイヤ特性曲線の接線の傾き(μ勾配)とのプロット点の集合からなる特性図である。 前提となる技術を説明するために使用した図であり、図8のプロット点から得た特性曲線(グリップ特性曲線)を示す特性図である。 車輪のスリップ角βtと車輪の横力Fyとの間に成立するタイヤ特性曲線(Fy−βt特性曲線)を示す特性図である。 前提となる技術を説明するために使用した図であり、各路面μのタイヤ特性曲線(Fy−βt特性曲線)及び摩擦円を示す特性図である。 前提となる技術を説明するために使用した図であり、各路面μのタイヤ特性曲線(Fy−βt特性曲線)について、該タイヤ特性曲線の原点を通る直線との交点での接線の傾きを示す特性図である。 前提となる技術を説明するために使用した図であり、各路面μのタイヤ特性曲線(Fy−βt特性曲線)について、該タイヤ特性曲線の原点を通る直線との交点での接線の傾きを示す他の特性図である。 前提となる技術を説明するために使用した図であり、路面μが異なるタイヤ特性曲線について得られる横力Fy同士の比、スリップ角βt同士の比、又は線長同士の比と、路面μの比とが等しくなることを示す特性図である。 前提となる技術を説明するために使用した図であり、路面μが異なるタイヤ特性曲線について得られるタイヤ力F同士の比、スリップ度S同士の比、又は線長同士の比と、路面μの比とが等しくなることを示す特性図である。 前提となる技術を説明するために使用した図であり、タイヤ特性曲線(Fy−βt特性曲線)の任意点の横力Fyとスリップ角βtとの比(Fy/βt)と、その任意点でのタイヤ特性曲線の接線の傾き(μ勾配)との関係(グリップ特性曲線)を示す特性図である。 本実施形態の車両の概略構成を示す図である。 車両走行状態推定装置の構成を示すブロック図である。 車体スリップ角推定部の構成を示すブロック図である。 旋回中の車体に働く場の力を説明するために使用した図である。 旋回中の車体に働く場の力を説明するために使用した図である。 補償ゲインを設定するための制御マップを説明するために使用した特性図である。 車両の線形2輪モデルを説明するために使用した図である。 旋回特性演算部の処理手順を示すフローチャートである。 旋回アシスト指令値演算部の処理手順を示すフローチャートである。 線形域Cp値推定部の処理手順を示すフローチャートである。 線形域Cp値推定部による判定処理の処理手順を示すフローチャートである。 μ勾配特性マップの補正を説明するために使用した図である。 動作の説明に使用した図である。 タイヤ特性が異なる2つのタイヤ特性曲線を示す特性図である。 タイヤ特性が異なる2つのグリップ特性曲線を示す特性図である。 補正比Rに基づくμ勾配特性マップの補正を説明するために使用した図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態の前提となる技術)
先ず、本実施形態の前提となる技術を説明する。
(1)車輪のスリップ率と車輪の制駆動力との関係
図1はタイヤ特性曲線を示す。このタイヤ特性曲線は、駆動輪のスリップ率λと駆動輪の制駆動力(又は前後力)Fxとの間に成立する一般的な相関関係を示す。例えば、マジックフォーミュラ(MagicFormula)といったタイヤモデルからタイヤ特性曲線を得る。ここで、制駆動力Fxは、タイヤから地面に作用する力である。また、制駆動力Fxが接地面において車輪に作用する車輪力に相当する。車輪のスリップ率λが車輪のスリップ度に相当する。
図1に示すように、タイヤ特性曲線では、スリップ率λと制駆動力Fxとの関係が、スリップ率λの絶対値が増加するに従い線形(直線関係)から非線形(曲線関係)に遷移する。すなわち、タイヤ特性曲線では、スリップ率λが零から所定の範囲内にある場合には、スリップ率λと制駆動力Fxとの間に線形関係が成り立つ。そして、タイヤ特性曲線では、スリップ率λ(絶対値)がある程度大きくなると(前記所定の範囲を超えると)、スリップ率λと制駆動力Fxとの関係が非線形関係になる。このように、タイヤ特性曲線は、線形部分と非線形部分とを有する。
このようなスリップ率λと制駆動力Fxとの間にある関係や線形関係から非線形関係への遷移は、タイヤ特性曲線の接線の傾きに着目すれば一目瞭然である。ここでいうタイヤ特性曲線の接線の傾きとは、スリップ率λの変化量と制駆動力Fxの変化量との比、すなわち、制駆動力Fxのスリップ率λに関する偏微分係数で示される値である。
ここで、図1に示すように、タイヤ特性曲線の原点を通る任意の直線a,b,c,d,…を描く。すると、タイヤ特性曲線に対して交わる任意の直線a,b,c,d,…との交点(同図中に○印で示す交点)でタイヤ特性曲線の接線の傾きを得ることができる。そして、タイヤ特性曲線の接線の傾きは各交点で異なるものとなる。このようなタイヤ特性曲線の接線の傾きに着目することで、スリップ率λと制駆動力Fxとの間にある関係や線形関係から非線形関係への遷移の状態を知ることができる。
これにより、タイヤの摩擦状態の推定も可能になる。例えば、図1に示すように、タイヤ特性曲線上で、非線形域でも線形域に近い位置x0にあれば、タイヤの摩擦状態が安定状態にあると推定できる。そして、タイヤの摩擦状態が安定状態にあれば、例えばタイヤがその能力を発揮できるレベルにあると推定できる。又は車両が安定状態にあると推定できる。
図2は、各種路面μのタイヤ特性曲線と摩擦円を示す。図2(a)は、各種路面μのタイヤ特性曲線を示す。図2(b)〜(d)は、各路面μの摩擦円を示す。路面μは例えば0.2、0.5、1.0である。図2(a)に示すように、タイヤ特性曲線は、各路面μで定性的に同様な傾向を示す。また、図2(b)〜(d)に示すように、路面μが小さくなるほど摩擦円が小さくなる。すなわち、路面μが小さくなるほどタイヤが許容できる制駆動力が小さくなる。このように、タイヤ特性は、路面摩擦係数(路面μ)をパラメータとした特性となる。このようなことから、図2に示すように、路面摩擦係数の値に応じて、低摩擦の場合のタイヤ特性曲線、中摩擦の場合のタイヤ特性曲線、及び高摩擦の場合のタイヤ特性曲線等を得ることができる。
図3は、各種路面μのタイヤ特性曲線と該タイヤ特性曲線の原点を通る任意の直線b,c,dとの関係を示す。図3に示すように、前記図1と同様に、各種路面μのタイヤ特性曲線について、任意の直線b,c,dとの交点で接線の傾きを得る。すなわち、各種路面μでのタイヤ特性曲線について、直線bとの交点で接線の傾きをそれぞれ得る。各種路面μでのタイヤ特性曲線について、直線cとの交点で接線の傾きをそれぞれ得る。各種路面μでのタイヤ特性曲線について、直線dとの交点で接線の傾きをそれぞれ得る。その結果、同一直線との交点で得られる各種路面μのタイヤ特性曲線の接線の傾きが同一となる結果を得ることができる。
例えば、図4では、前記図3に示した直線cに着目している。図4に示すように、直線cとの交点での接線の傾きは各種路面μのタイヤ特性曲線で同一となる。すなわち、路面μがμ=0.2のタイヤ特性曲線との交点x1を示す制駆動力Fx1とスリップ率λ1との比(Fx1/λ1)を得る。また、路面μがμ=0.5のタイヤ特性曲線との交点x2を示す制駆動力Fx2とスリップ率λ2との比(Fx2/λ2)を得る。また、路面μがμ=1.0のタイヤ特性曲線との交点x3を示す制駆動力Fx3とスリップ率λ3との比(Fx3/λ3)を得る。そのようにして得た各値は同一値となる。そして、それら各交点x1,x2,x3での接線の傾きが同一値となる。
このように、路面μが異なっても、各タイヤ特性曲線について、制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)が同一になる値(λ,Fx)で接線の傾きが同一となる。
そして、各タイヤ特性曲線で制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)が同一となる値(λ,Fx)に関し、異なるタイヤ特性曲線間で得られる制駆動力Fx同士の比又はスリップ率λ同士の比は、路面μの比と等しくなる。
図5を用いて、路面μが異なる各タイヤ特性曲線について、制駆動力Fx同士の比又はスリップ率λ同士の比と、その路面μの比との関係を説明する。図5には、路面μが異なる路面A(路面μ=μ)及び路面B(路面μ=μ)それぞれで得られるタイヤ特性曲線を示す。
図5に示すように、制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)が同一となる値(λ,Fx)(同図中に■印、●印でそれぞれ示す値)でそれぞれ得られる制駆動力a2と制駆動力b2との比(a2/b2)と、路面Aの路面μ値μと路面Bの路面μ値μとの比(μ/μ)とは同一値になる。
また、同じく、制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)が同一となる値(λ,Fx)でそれぞれ得られるスリップ率a3とスリップ率b3との比(a3/b3)と、路面Aの路面μ値μと路面Bの路面μ値μとの比(μ/μ)とは同一値になる。
このようなことから、制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)が同一となる値(λ,Fx)と原点(0,0)とをそれぞれ結んで得られる線長a1と線長b1との比(a1/b1)と、路面Aの路面μ値μと路面Bの路面μ値μとの比(μ/μ)とは同一値になる。このことは、幾何学的に次のように証明できる。
路面Aのタイヤ特性曲線を用いて描ける三角形(a1,a2,a3を辺とする三角形)と路面Bのタイヤ特性曲線を用いて描ける三角形(b1,b2,b3を辺とする三角形)とは相似の三角形となる。このことから、a1とb1との比と、a2とb2との比と、a3とb3との比とは、それぞれ同一値になる(a1:b1=a2:b2=a3:b3)。そして、制駆動力Fxについてのa2とb2との比(a2/b2)及びスリップ率λについてのa3とb3との比(a3/b3)は、路面Aの路面μ値μと路面Bの路面μ値μとの比(μ/μ)と同一値になる。よって、線長a1と線長b1との比(a1/b1)と、路面Aの路面μ値μと路面Bの路面μ値μとの比(μ/μ)とは同一値となる結論を得ることができる。
以上のように制駆動力Fx同士の比、スリップ率λ同士の比又は前記線長同士の比を知ることができれば、路面μの比を知ることができる。
図6は、路面μが異なる路面で得た制駆動力Fxとスリップ率λとの関係を示す。図6中、振動波形は、Dry路、Wet路及び低μ路で得た実測値を示す。また、点線は、それぞれの路面におけるタイヤ(ノーマルタイヤ)の特性曲線を示す。図6に示すように、路面μが異なる各路面におけるタイヤ特性曲線が、制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)を維持しながらも、路面μが小さくなるほど制駆動力Fx及びスリップ率λが小さくなる。
図7は、スタッドレスタイヤについて、路面μが異なる路面で得た制駆動力Fxとスリップ率λとの関係を示す。図7中、振動波形は、Dry路、Wet路及び低μ路で得た実測値を示す。また、点線は、それぞれの路面におけるタイヤ特性曲線を示す。また、太線の点線は、ノーマルタイヤのタイヤ特性曲線を示す。
図7に示すように、路面μが異なる各路面におけるタイヤ特性曲線(細線の点線)が、制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)を維持しながらも、路面μが小さくなるほど、制駆動力Fx及びスリップ率λが小さくなる。さらに、ノーマルタイヤのタイヤ特性曲線(太線の点線)の制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)と、スタッドレスタイヤのタイヤ特性曲線(細線の点線)の制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)とが、同一値となっている。すなわち、ノーマルタイヤのタイヤ特性曲線とスタッドレスタイヤのタイヤ特性曲線とは相似形状となる。つまり、スタッドレスタイヤのようにグリップ力やタイヤの表面形状等が異なる場合でも、ノーマルタイヤのタイヤ特性曲線の制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)と同一値となる。
図8は、タイヤ特性曲線の任意点の制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)と、その任意点でのタイヤ特性曲線の接線の傾き(∂制駆動力/∂スリップ率)との関係を示す。図8では、各路面μ(例えばμ=0.2、0.5、1.0)で得た値をプロットしている。図8に示すように、路面μにかかわらず、制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)とタイヤ特性曲線の接線の傾きとが一定の関係を示している。
図9は、前記図8のプロット点を基に得た特性曲線を示す。図9に示すように、この特性曲線は、路面μにかかわらず、制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)とタイヤ特性曲線の接線の傾きとが常に一定の関係があることを示すものとなる。
すなわち、乾燥アスファルト路面や凍結路面等、路面μが異なる路面であっても、この特性曲線は成立する。或いは、この特性曲線は、高摩擦係数を有する高摩擦路面用の高摩擦タイヤ特性曲線及び高摩擦係数より低い低摩擦係数を有する低摩擦路面用の低摩擦タイヤ特性曲線を含んでいると言える。このように図9に示す特性曲線は、図1と同様に、タイヤ特性曲線を示していると言える。しかし、図1と区別して、図9の特性曲線を例えばグリップ特性曲線と呼ぶこともできる。
この図9に示すように、制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)が小さい領域(小レシオ領域)では、タイヤ特性曲線の接線の傾きが負値となる。そして、この領域では、その比(Fx/λ)が大きくなるに従い、タイヤ特性曲線の接線の傾きが一旦減少してから増加に転じる。ここで、タイヤ特性曲線の接線の傾きが負値であることは、制駆動力のスリップ率に関する偏微分係数が負値であることを示す。
また、図9に示すように、制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)が大きい領域(大レシオ領域)では、グリップ特性曲線の接線の傾きが正値になる。そして、この領域では、その比(Fx/λ)が大きくなると、タイヤ特性曲線の接線の傾きが増加する。すなわち、制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)が大きい領域では、グリップ特性曲線は単調増加関数の形をしている。
ここで、タイヤ特性曲線の接線の傾きが正値であることは、制駆動力のスリップ率に関する偏微分係数が正値であることを示す。また、タイヤ特性曲線の接線の傾きが最大であることは、該接線の傾きがタイヤ特性曲線の線形領域のものあることを示す。なお、線形領域では、タイヤ特性曲線の接線の傾きは、制駆動力Fxとスリップ率λとの比にかかわらず、常に一定の値を示す。
このようにして得ることができるタイヤ特性曲線の接線の傾き(μ勾配、以下、Cp値ともいう。)は、グリップ特性パラメータ、タイヤのグリップ状態を表す変数又はタイヤが横方向に出せる力の飽和状態を表すパラメータとなる。具体的には、タイヤ特性曲線の接線の傾きが正値の場合、スリップ率λを増やすことでさらに大きい制駆動力Fxを発生させることができることを示す。そして、タイヤ特性曲線の接線の傾きが零又は負値の場合、スリップ率λを増加させても制駆動力Fxが増えることはなく、逆に低下する恐れがあることを示す。このように、タイヤ特性曲線の接線の傾きからタイヤのグリップ力が限界領域であることを知ることができる。これにより、例えば、車輪のグリップ力が限界領域にあるときにも、タイヤのグリップ力の摩擦限界に対する余裕度を適切に推定できる。
なお、タイヤ特性曲線(図1)に対して偏微分計算を行い、連続的に描画することでグリップ特性曲線(図9)を得ることができる。
本願発明者は、以上に述べたように、各路面μのタイヤ特性曲線について、そのタイヤ特性曲線の原点を通る任意の一の直線とタイヤ特性曲線との交点で、接線の傾きが同一となる点を発見した。すなわち、各路面μのタイヤ特性曲線について、制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)が同一になる値(λ,Fx)で接線の傾きが同一となる点を発見した。
これにより、本願発明者は、路面μにかかわらず、制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)とタイヤ特性曲線の接線の傾きとの関係がある特性曲線(グリップ特性曲線)として表せる結果を得た(図9)。この結果を利用することで、制駆動力Fxとスリップ率λとがわかれば、特性曲線(グリップ特性曲線)を基に、路面μの情報を必要とすることなく、タイヤの摩擦状態の情報を得ることができる。
また、本願発明者は、路面μが異なるタイヤ特性曲線で、制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)が同一となる値(λ,Fx)での制駆動力Fx同士の比、スリップ率λ同士の比又は前記線長同士の比が、路面μの比と等しくなる点を発見した。
これにより、制駆動力Fx同士の比、スリップ率λ同士の比、又は線長同士の比がわかれば、路面μの比を知ることができる。
(2)車輪のスリップ角と車輪の横力との関係
図10はタイヤ特性曲線を示す。このタイヤ特性曲線は、車輪のスリップ角βtと車輪の横力Fyとの間に成立する一般的な相関関係を示す。例えば、タイヤモデルを実験データを基にチューニングすることで、前後輪それぞれで二輪分の等価特性図(タイヤ特性曲線)を得る。ここで、例えば、マジックフォーミュラ(MagicFormula)を基にタイヤモデルを構築している。横力Fyは、コーナリングフォースやサイドフォースに代表される値である。ここで、横力Fyは、タイヤから地面に作用する力である。また、横力Fyが接地面において車輪に作用する車輪力に相当する。車輪のスリップ角βtが車輪のスリップ度に相当する。
図10に示すように、タイヤ特性曲線では、スリップ角βtと横力Fyとの関係が、スリップ角βtの絶対値が増加するに従い線形から非線形に遷移する。すなわち、タイヤ特性曲線では、スリップ角βtが零から所定の範囲内にある場合には、スリップ角βtと横力Fyとの間に線形関係が成り立つ。そして、タイヤ特性曲線では、スリップ角βt(絶対値)がある程度大きくなると(前記所定の範囲を超えると)、スリップ角βtと横力Fyとの関係が非線形関係になる。このように、タイヤ特性曲線は、線形部分と非線形部分とを有する。
このようなスリップ角βtと横力Fyとの間にある関係や線形関係から非線形関係への遷移は、タイヤ特性曲線の接線の傾き(勾配)に着目すれば一目瞭然である。ここでいうタイヤ特性曲線の接線の傾きとは、スリップ角βtの変化量と横力Fyの変化量との比、すなわち、横力Fyのスリップ角βtに関する偏微分係数で示される値である。
ここで、図10に示すように、タイヤ特性曲線の原点を通る任意の直線a,b,c,…を描く。すると、タイヤ特性曲線に対して交わる任意の直線a,b,c,…との交点(図10中に○印で示す交点)でタイヤ特性曲線の接線の傾きを得ることができる。そして、タイヤ特性曲線の接線の傾きは各交点で異なるものとなる。このようなタイヤ特性曲線の接線の傾きに着目することで、スリップ角βtと横力Fyとの間にある関係や線形関係から非線形関係への遷移の状態を知ることができる。
これにより、タイヤの摩擦状態の推定も可能になる。例えば、図10に示すように、タイヤ特性曲線上で、非線形域でも線形域に近い位置x0にあれば、タイヤの摩擦状態が安定状態にあると推定できる。そして、タイヤの摩擦状態が安定状態であれば、例えばタイヤがその能力を発揮できるレベルにあると推定できる。又は車両が安定状態にあると推定できる。
図11は、各種路面μのタイヤ特性曲線と摩擦円を示す。図11(a)は、各種路面μのタイヤ特性曲線を示す。図11(b)〜(d)は、各路面μの摩擦円を示す。路面μは例えば0.2、0.5、1.0である。図11(a)に示すように、タイヤ特性曲線は、各路面μで定性的に同様な傾向を示す。また、図11(b)〜(d)に示すように、路面μが小さくなるほど摩擦円が小さくなる。すなわち、路面μが小さくなるほどタイヤが許容できる横力が小さくなる。このように、タイヤ特性は、路面摩擦係数(路面μ)をパラメータとした特性となる。よって、図11に示すように、路面摩擦係数の値に応じて、低摩擦の場合のタイヤ特性曲線、中摩擦の場合のタイヤ特性曲線、及び高摩擦の場合のタイヤ特性曲線等を得ることができる。
図12は、各種路面μのタイヤ特性曲線と原点を通る任意の直線a,b,cとの関係を示す。図12に示すように、前記図12と同様に、各種路面μのタイヤ特性曲線について、任意の直線a,b,cとの交点で接線の傾きを得る。すなわち、各種路面μでのタイヤ特性曲線について、直線aとの交点で接線の傾きをそれぞれ得る。各種路面μでのタイヤ特性曲線について、直線bとの交点で接線の傾きをそれぞれ得る。各種路面μでのタイヤ特性曲線について、直線cとの交点で接線の傾きをそれぞれ得る。その結果、同一直線との交点で得られる各種路面μのタイヤ特性曲線の接線の傾きが同一となる結果を得ることができる。
例えば、図13では、前記図12に示した直線cに着目している。図13に示すように、直線cとの交点での接線の傾きは各種路面μのタイヤ特性曲線で同一となる。すなわち、路面μがμ=0.2のタイヤ特性曲線との交点x1を示す横力Fy1とスリップ角βt1との比(Fy1/βt1)を得る。また、路面μがμ=0.5のタイヤ特性曲線との交点x2を示す横力Fy2とスリップ角βt2との比(Fy2/βt2)を得る。また、路面μがμ=1.0のタイヤ特性曲線との交点x3を示す横力Fy3とスリップ角βt3との比(Fy3/βt3)を得る。そのようにして得た各値は同一値となる。そして、各交点x1,x2,x3での接線の傾きが同一値となる。
このように、路面μが異なっても、各タイヤ特性曲線について、横力Fyとスリップ角βtとの比(Fy/βt)が同一になる値(βt,Fy)において接線の傾きが同一となる。
そして、各タイヤ特性曲線で横力Fyとスリップ角βtとの比(Fy/βt)が同一となる値(βt,Fy)に関し、異なるタイヤ特性曲線で得られる横力Fy同士の比又はスリップ角βt同士の比は、路面μの比と等しくなる。
図14を用いて、路面μが異なる各タイヤ特性曲線について、横力Fy同士の比又はスリップ角βt同士の比と、その路面μの比とが等しくなることを説明する。図14には、路面μが異なる路面A(路面μ=μ)及び路面B(路面μ=μ)それぞれで得られるタイヤ特性曲線を示す。
図14に示すように、横力Fyとスリップ角βtとの比(Fy/βt)が同一となる値(βt,Fy)(同図中に■印、●印でそれぞれ示す値)でそれぞれ得られる横力a2と横力b2との比(a2/b2)と、路面Aの路面μ値μと路面Bの路面μ値μとの比(μ/μ)とは同一値になる。
また、同じく、横力Fyとスリップ角βtとの比(Fy/βt)が同一となる値(βt,Fy)でそれぞれ得られるスリップ率a3とスリップ率b3との比(a3/b3)と、路面Aの路面μ値μと路面Bの路面μ値μとの比(μ/μ)とは同一値になる。
このようなことから、路面Aで得られるタイヤ特性曲線と路面Bで得られるタイヤ特性曲線とで、横力Fyとスリップ角βtとの比(Fy/βt)が同一となる値(βt,Fy)と原点(0,0)とをそれぞれ結んで得られる線長a1と線長b1との比(a1/b1)と、路面Aの路面μ値μと路面Bの路面μ値μとの比(μ/μ)とは同一値になる。このことは、幾何学的に次のように証明できる。
路面Aのタイヤ特性曲線を用いて得られる三角形(a1,a2,a3を辺とする三角形)と路面Bのタイヤ特性曲線を用いて得られる三角形(b1,b2,b3を辺とする三角形)とは相似の三角形となる。このことから、a1とb1との比と、a2とb2との比と、a3とb3との比とは、それぞれ同一値になる(a1:b1=a2:b2=a3:b3)。そして、横力Fyについてのa2とb2との比及びスリップ角βtについてのa3とb3との比は、路面Aの路面μ値μと路面Bの路面μ値μとの比(μ/μ)と同一値になる。よって、線長a1と線長b1との比(a1/b1)と、路面Aの路面μ値μと路面Bの路面μ値μとの比(μ/μ)とは同一値となる結論を得ることができる。
図15は、横軸にスリップ度Sをとり、縦軸にタイヤ力Fをとっている。
ここで、制駆動力Fx及び横力Fyはタイヤ力Fとして観念でき、スリップ率λ及びスリップ角βtはスリップ度Sとして観念できる。また、例えば、制駆動力Fxと横力Fyとの合力も、タイヤ力Fとして観念できる。
このように制駆動力Fx及び横力Fyがタイヤ力Fとして観念でき、スリップ率λ及びスリップ角βtがスリップ度Sとして観念できることから、タイヤ力F及びスリップ度Sについても、前記図5や図14に示したような関係を得ることができる。
よって、図15に示すように、路面μが異なる各タイヤ特性曲線について、タイヤ力F同士の比(a2/b2)、スリップ度S同士の比(a3/b3)又は線長の比(a1/b1)と、その路面μの比(μ/μ)とが等しくなる。
図16は、タイヤ特性曲線の任意点の横力Fyとスリップ角βtとの比(Fy/βt)と、その任意点でのタイヤ特性曲線の接線の傾き(∂Fy/∂βt)との関係を示す。図16に示すように、どの各路面μ(例えばμ=0.2、0.5、1.0)でも、横力Fyとスリップ角βtとの比(Fy/βt)とタイヤ特性曲線の接線の傾きとが一定の関係を示している。
すなわち、乾燥アスファルト路面や凍結路面等、路面μが異なる路面であっても、この特性曲線は成立する。或いは、この特性曲線は、高摩擦係数を有する高摩擦路面用の高摩擦タイヤ特性曲線及び高摩擦係数より低い低摩擦係数を有する低摩擦路面用の低摩擦タイヤ特性曲線を含んでいると言える。ここで、このように図16に示す特性曲線は、図10と同様に、タイヤ特性曲線を示している。図10と区別して、図16の特性曲線を例えばグリップ特性曲線と呼ぶこともできる。
この図16に示すように、横力Fyとスリップ角βtとの比(Fy/βt)が小さい領域(小レシオ領域)では、タイヤ特性曲線の接線の傾きが負値となる。そして、この領域では、その比(Fy/βt)が大きくなるに従い、タイヤ特性曲線の接線の傾きが一旦減少してから増加に転じる。ここで、タイヤ特性曲線の接線の傾きが負値であることは、横力のスリップ角に関する偏微分係数が負値であることを示す。
また、図16に示すように、横力Fyとスリップ角βtとの比(Fy/βt)が大きい領域(大レシオ領域)では、タイヤ特性曲線の接線の傾きが正値になる。そして、この領域では、その比(Fy/βt)が大きくなると、タイヤ特性曲線の接線の傾きが増加する。すなわち、横力Fyとスリップ角βtとの比(Fy/βt)が大きい領域では、グリップ特性曲線は単調増加関数の形をしている。
ここで、タイヤ特性曲線の接線の傾きが正値であることは、横力のスリップ角に関する偏微分係数が正値であることを示す。また、タイヤ特性曲線の接線の傾きが最大であることは、該接線の傾きがタイヤ特性曲線の線形領域のものであることを示す。なお、線形領域では、タイヤ特性曲線の接線の傾きは、横力Fyとスリップ角βtとの比にかかわらず、常に一定の値を示す。
このようにして得ることができるタイヤ特性曲線の接線の傾き(μ勾配)は、グリップ特性パラメータ、タイヤのグリップ状態を表す変数又はタイヤが横方向に出せる力の飽和状態を表すパラメータとなる。具体的には、タイヤ特性曲線の接線の傾きが正値の場合、スリップ角βtを増やすことでさらに強い横力Fy(コーナリングフォース等)を発生させることができることを示す。そして、タイヤ特性曲線の接線の傾きが零又は負値の場合、スリップ角βtを増加させても横力Fy(コーナリングフォース等)が増えることはなく、逆に低下する恐れがあることを示す。このように、タイヤ特性曲線の接線の傾きからタイヤのグリップ力が限界領域であることを知ることができる。これにより、例えば、車輪のグリップ力が限界領域にあるときにも、タイヤのグリップ力の摩擦限界に対する余裕度を適切に推定できる。
なお、タイヤ特性曲線(図10)に対して偏微分計算を行い、連続的に描画することでグリップ特性曲線(図16)を得ることができる。
本願発明者は、以上に述べたように、各路面μのタイヤ特性曲線について、そのタイヤ特性曲線の原点を通る任意の一の直線とタイヤ特性曲線との交点で、接線の傾きが同一となる点を発見した。すなわち、各路面μのタイヤ特性曲線について、横力Fyとスリップ角βtとの比(Fy/βt)が同一になる値(βt,Fy)で接線の傾きが同一となる点を発見した。
これにより、本願発明者は、路面μにかかわらず、横力Fyとスリップ角βtとの比(Fy/βt)とタイヤ特性曲線の接線の傾きとの関係がある特性曲線(グリップ特性曲線)として表せる結果を得た(図16)。この結果を利用することで、横力Fyとスリップ角βtとがわかれば、特性曲線(グリップ特性曲線)を基に、路面μの情報を必要とすることなく、タイヤの摩擦状態の情報を得ることができる。
また、本願発明者は、路面μが異なるタイヤ特性曲線で、横力Fyとスリップ角βtとの比(Fy/βt)が同一となる値(βt,Fy)での横力Fy同士の比、スリップ角βt同士の比、又は前記線長同士の比が、路面μの比と等しくなる点を発見した。
これにより、横力Fy同士の比、スリップ角βt同士の比、又は線長同士の比がわかれば、路面μの比を知ることができる。
(実施形態)
以上の技術の採用により実現した実施形態を次に説明する。
(構成)
本実施形態は、本発明を適用した車両である。図17は、車両の概略構成を示す。図17に示すように、車両は、操舵角センサ21、ヨーレイトセンサ22、横加速度センサ23、前後加速度センサ24、車輪速センサ25、EPSECU(ElectricPower Steering Electronic Control Unit)26、EPS(Electric Power Steering)モータ27及び車両走行状態推定装置28を備える。
操舵角センサ21は、ステアリングホイール29と一体に回転するステアリングシャフト30の回転角を検出する。操舵角センサ21は、その検出結果(操舵角)を車両走行状態推定装置28に出力する。ヨーレイトセンサ22は、車両のヨーレイトを検出する。ヨーレイトセンサ22は、その検出結果を車両走行状態推定装置28に出力する。横加速度センサ23は、車両の横加速度を検出する。横加速度センサ23は、その検出結果を車両走行状態推定装置28に出力する。前後加速度センサ24は、車両の前後加速度を検出する。前後加速度センサ24は、その検出結果を車両走行状態推定装置28に出力する。車輪速センサ25は、車体の各車輪31FL〜31RRの車輪速を検出する。車輪速センサ25は、その検出結果を車両走行状態推定装置28に出力する。
EPSECU26は、操舵角センサ21が検出した操舵角を基に、操舵アシスト指令をEPSモータ27に出力する。ここでいう操舵アシスト指令は、操舵力アシストを行うための指令信号である。また、EPSECU26は、車両走行状態推定装置28が出力する旋回アシスト指令値(μ勾配判定結果)を基に、操舵アシスト指令をEPSモータ27に出力する。
EPSモータ27は、EPSECU26が出力する操舵アシスト指令を基に、ステアリングシャフト30に回転トルクを付与する。これにより、EPSモータ27は、ステアリングシャフト30に連結されているラック・アンド・ピニオン機構(ピニオン32、ラック33)、タイロッド14及びナックルアーム15を介して左右の前輪31FL,31FRの転舵を補助する。
車両走行状態推定装置28は、操舵角センサ21、ヨーレイトセンサ22、横加速度センサ23、前後加速度センサ24及び車輪速センサ25の検出結果を基に、走行路面の路面状態(路面μ)を推定する。車両走行状態推定装置28は、その推定結果をEPSECU26に出力する。
図18は、車両走行状態推定装置28の構成を示す。図18に示すように、車両走行状態推定装置28は、車体速度演算部41、車体スリップ角推定部42、タイヤスリップ角演算部43、タイヤ横力演算部44、Fy/βt演算部45、タイヤグリップ状態演算部(グリップ特性演算部、μ勾配演算部)46、旋回特性演算部47、旋回アシスト指令値演算部48、線形域Cp値推定部(線形域μ勾配推定部)49及びマップ補正部50を有する。
車体速度演算部41は、車輪速センサ25が検出した車輪速及び前後加速度センサ24が検出した前後加速度を基に、車体速度を推定する。具体的には、車体速度演算部41は、従動輪31RL,31RRの車輪速の平均値、又は各車輪31FL〜31RRの車輪速の平均値を算出して、その算出値を車体速度の基本値としている。車体速度演算部41は、その基本値を前後加速度により補正する。具体的には、その基本値から急加速時のタイヤ空転や急制動時のタイヤロックによる誤差の影響を除くように補正をする。車体速度演算部41は、その補正した値を車体速度の推定結果とする。車体速度演算部41は、その推定結果を車体スリップ角推定部42及びタイヤ横力演算部44に出力する。
車体スリップ角推定部42は、操舵角センサ21が検出した操舵角、ヨーレイトセンサ22が検出したヨーレイト、横加速度センサ23が検出した横加速度、前後加速度センサ24が検出した前後加速度及び車体速度演算部41が算出した車体速度を基に、車両の横滑り角(スリップ角)を推定する。
図19は、車体スリップ角推定部42の構成例を示す。図19に示すように、車体スリップ角推定部42は、車両の状態量(車両の横滑り角β、スリップ角β)を推定する線形2入力オブザーバ51を備える。これにより、車体スリップ角推定部42は、車両の横滑り角(スリップ角)βを推定する。ここで、車両の2輪モデルを基に線形2入力オブザーバ51を構築している。その車両の2輪モデルを、車両の横方向の力とモーメントの釣り合いより、下記(1)式で表すことができる。
Figure 0005428390
ここで、A,B,C,Dは車両の線形2輪モデルによって決まる行列である。また、タイヤ舵角を入力uとし、ヨーレイトと横加速度とを出力yとすると、前記(1)式の状態方程式(出力方程式)は、下記(2)式のようになる。
Figure 0005428390
ここで、mは車両質量である。Iはヨー慣性モーメントである。lは車両重心点と前車軸間の距離である。lは車両重心点と後車軸間の距離である。Cpは前輪コーナリングパワー(左右輪合計値)である。Cpは後輪コーナリングパワー(左右輪合計値)である。Vは車体速度である。βは車両の横滑り角である。γはヨーレイトである。Gは横加速度である。a11,a12,bは行列A、Bの各要素である。
そして、この状態方程式を基に、ヨーレイトと横加速度とを入力とし、オブザーバゲインK1として、線形2入力オブザーバ51を作成する。ここで、オブザーバゲインK1は、モデル化誤差の影響を受けにくく且つ安定した推定を行えるように設定した値である。
また、線形2入力オブザーバ51は、積分器52の入力を補正するβ推定補償器53を備える。これにより、線形2入力オブザーバ51は、限界領域においても推定精度を確保することができる。すなわち、β推定補償器53を備えることで、車両の2輪モデルの設計時に想定した路面状況で且つタイヤの横滑り角が非線形特性とはならない線形域だけでなく、路面μ変化時や限界走行時にあっても横滑り角βを精度よく推定できる。
図20は、車体横滑り角βで走行している旋回中の車両を示す。図20に示すように、車体に働く場の力、つまり旋回中心から外側に向かって働く遠心力も、車幅方向から横滑り角β分ずれた方向に発生する。そのため、β推定補償器53は、下記(3)式に従って場の力のずれ分βを算出する。このずれ分βは、線形2入力オブザーバ51が推定した車両の横滑り角βに補正をかけるときの基準値(目標値)Gとなる。
Figure 0005428390
ここで、Gは前後加速度である。また、図21に示すように、速度変化による力の釣り合いも考慮する。これにより、旋回によるもののみを抽出すると、前記(3)式を、下記(4)式として表すことができる。
Figure 0005428390
そして、β推定補償器53は、その目標値βを線形2入力オブザーバ51が推定した横滑り角βから減算する。さらに、β推定補償器53は、その減算結果に、図22の制御マップによって設定した補償ゲインK2を乗算する。そして、β推定補償器53は、その乗算結果を積分器52の入力としている。
図22の制御マップでは、車両の横方向加速度Gの絶対値(|G|)が第1しきい値以下である場合、補償ゲインK2が零となる。また、車両の横方向加速度Gの絶対値が第1しきい値よりも大きい第2しきい値以上の場合、補償ゲインK2が比較的大きい一定値となる。また、車両の横方向加速度Gの絶対値が第1しきい値と第2しきい値との間にある場合、横方向加速度Gの絶対値が大きくなるほど、補償ゲインK2が大きくなる。
このように、図22の制御マップでは、横方向加速度Gの絶対値が第1しきい値以下で零近傍の値となる場合、補償ゲインK2を零としている。これにより、直進時のように旋回Gが発生しない状況下では補正をする必要がないことから、誤って補正が行われないようにしている。また、図22の制御マップでは、横方向加速度Gの絶対値が増加して第1しきい値より大きくなると(例えば、0.1Gより大きくなると)、横方向加速度Gの絶対値に比例してフィードバックゲイン(補償ゲイン)K2を増大させていく。また、図22の制御マップでは、横方向加速度Gの絶対値が第2しきい値以上になると(例えば0.5G以上になると)、補償ゲインK2を制御の安定する一定値としている。このようにすることで、横滑り角βの推定精度を向上させている。
タイヤスリップ角演算部43は、操舵角センサ21が検出した操舵角(タイヤ舵角δ)、ヨーレイトセンサ22が検出したヨーレイトγ、車体速度演算部41が算出した車体速度V、及び車体スリップ角推定部42が算出した車両の横滑り角(車両のスリップ角)βを基に、下記(5)式に従って前後輪それぞれのスリップ角β,β(車輪のスリップ角βt)を算出する。
Figure 0005428390
タイヤスリップ角演算部43は、算出した前後輪それぞれのスリップ角β,βをタイヤグリップ状態演算部46及び線形域Cp値推定部49に出力する。
タイヤ横力演算部44は、ヨーレイトセンサ22が検出したヨーレイトγ及び横加速度センサ23が検出した横加速度Gを基に、下記(6)式に従って前後輪それぞれの横力Fy,Fyを算出する。
Figure 0005428390
ここで、ヨーレイトγ及び横加速度Gは、図23に示すような値である。タイヤ横力演算部44は、算出した横力Fy,Fyをタイヤグリップ状態演算部46及び線形域Cp値推定部49に出力する。
Fy/βt演算部45は、タイヤスリップ角演算部43及びタイヤ横力演算部44が算出した前後輪のスリップ角β,β及び横力Fy,Fyを基に、横力Fy,Fyとスリップ角βt,βtとの比(Fy/βt,Fy/βt)を算出する。Fy/βt演算部45は、その算出結果をタイヤグリップ状態演算部46に出力する。
タイヤグリップ状態演算部46は、Fy/βt演算部45が算出した横力Fy,Fyとスリップ角βt,βtとの比(Fy/βt,Fy/βt)を基に、前後輪のグリップ状態(μ勾配)を推定する。そのため、タイヤグリップ状態演算部46は、前記図16に示したグリップ特性曲線をμ勾配特性マップとして有する。μ勾配特性マップは、横軸が横力Fyとスリップ角βtとの比(Fy/βt)となり、縦軸がタイヤ特性曲線の傾きであるμ勾配となる、2次元マップである。また、タイヤグリップ状態演算部46は、そのようなμ勾配特性マップを前後輪それぞれに対応させて有する。すなわち、前輪2輪についての特性マップ及び後輪2輪についての特性マップを用意している。例えば、メモリ等の記憶媒体にμ勾配特性マップを記憶し、保持している。
ここで、ある基準路面にて事前に旋回走行実験を行い、そのときのデータを基にμ勾配特性マップを作成する。具体的には、基準路面にて実車での旋回実験(旋回半径一定の加速円旋回が良い)により、横力(コーナリングフォース)−タイヤスリップ角特性曲線の実計測を行う。その実計測結果を基に、基準路面のグリップ特性曲線を得てμ勾配特性マップを作成する。また、走行実験ではなくシミュレーション等による演算によりμ勾配特性マップの特性マップを得ることもできる。
タイヤグリップ状態演算部46は、このようなμ勾配特性マップを参照して、前後輪の横力Fy,Fyとスリップ角βt,βtとの比に対応するμ勾配を前後輪それぞれについて得る。タイヤグリップ状態演算部46は、算出した前後輪のμ勾配を旋回特性演算部47に出力する。
旋回特性演算部47は、前後輪のμ勾配を基に、旋回状態(車両挙動)を判定する。図24は、その判定処理の処理手順を示す。図24に示すように、先ずステップS11において、旋回特性演算部47は、車両挙動の指標となるスタティックマージンSMを算出する。具体的には、旋回特性演算部47は、前後輪のμ勾配K,Kを基に、下記(7)式に従ってスタティックマージンSMを算出する。
Figure 0005428390
スタティックマージンSMは、ドリフトアウトやスピンの発生し易さを示す値となる。また、スタティックマージンSMは、タイヤ横力の飽和状態を示す値となる。例えば、スタティックマージンSMは、前輪31FL,31FRのグリップ状態が限界に達し(タイヤ横力が飽和し)、前輪のμ勾配Kが零又は負値になると小さくなる。つまり、前輪でスリップ度が大きくなっても車輪力が増大しない状態(車輪力が飽和した状態)になり、ドリフトアウトが発生し易い状態となると、スタティックマージンSMは小さくなる。
続いてステップS12において、旋回特性演算部47は、前記ステップS11で算出したスタティックマージンSMが零か否かを判定する。旋回特性演算部47は、スタティックマージンSMが零の場合(SM=0)、ステップS13に進む。また、旋回特性演算部47は、スタティックマージンSMが零でない場合(SM≠0)、ステップS14に進む。なお、スタティックマージンSMが零を含む所定の範囲内にある場合に(ほぼ零と認められる場合にも)、スタティックマージンSMが零であると判定することもできる。
ステップS14では、旋回特性演算部47は、スタティックマージンSMが正値か否かを判定する。旋回特性演算部47は、スタティックマージンSMが正値の場合(SM>0)、ステップS15に進む。また、旋回特性演算部47は、そうでない場合(SM<0)、ステップS16に進む。
ステップS13では、旋回特性演算部47は、車両の旋回特性がニュートラルステア傾向にある(ニュートラルステアである可能性が高い)と判定する。また、ステップS15では、旋回特性演算部47は、車両の旋回特性がアンダーステア傾向にある(アンダーステアになる可能性が高い)と判定する。さらに、ステップS16では、旋回特性演算部47は、車両の旋回特性がオーバステア傾向にある(オーバステアになる可能性が高い)と判定する。旋回特性演算部47は、その判定結果を、旋回アシスト指令値演算部48に出力する。
以上のような処理手順により、旋回特性演算部47が前後輪のμ勾配に基づく処理を行っている。
旋回アシスト指令値演算部48は、旋回特性演算部47の判定結果を基に、旋回アシスト指令値を算出する。図25は、その処理手順を示す。図25に示すように、先ずステップS21において、旋回アシスト指令値演算部48は、旋回特性がニュートラルステア傾向(SM=0)であるか否かを判定する。旋回アシスト指令値演算部48は、旋回特性がニュートラルステア傾向の場合、該図25の示す処理を終了する。また、旋回アシスト指令値演算部48は、そうでない場合(SM≠0、アンダーステア傾向又はオーバステア傾向)、ステップS22に進む。
ステップS22では、旋回アシスト指令値演算部48は、旋回特性がアンダーステア傾向(SM>0)であるか否かを判定する。旋回アシスト指令値演算部48は、旋回特性がアンダーステア傾向の場合(アンダーステアになる可能性が高い場合)、ステップS23に進む。また、旋回アシスト指令値演算部48は、そうでない場合(SM≦0、オーバステア傾向)、ステップS25に進む。
ステップS23では、旋回アシスト指令値演算部48は、前輪のμ勾配(横方向グリップ)が所定のしきい値Ky1未満か否かを判定する。所定のしきい値Ky1は、実験値、経験値又は理論値等である。例えば、所定のしきい値Ky1は零近傍の値である。
旋回アシスト指令値演算部48は、前輪のμ勾配が所定のしきい値Ky1未満の場合(μ勾配<Ky1)、ステップS24に進む。また、旋回アシスト指令値演算部48は、前輪のμ勾配が所定のしきい値Ky1以上の場合(μ勾配≧Ky1)、該図25の示す処理を終了する。
ステップS24では、旋回アシスト指令値演算部48は、車両がドリフトアウトする可能性が高いと判断し、EPSの操舵反力制御を実施する。具体的には、旋回アシスト指令値演算部48は、旋回アシスト指令値をEPSECU26に出力する。この旋回アシスト指令値は、運転者による操舵の切り増しを抑制する方向に操舵反力を付加するための指令値になる。そして、旋回アシスト指令値演算部48は、該図25の示す処理を終了する。
ステップS25では、旋回アシスト指令値演算部48は、前輪のμ勾配が所定のしきい値Ky2未満か否かを判定する。所定のしきい値Ky2は、実験値、経験値又は理論値等である。この所定のしきい値Ky2を、前記所定のしきい値Ky1と同じ値とすることもでき、異なる値とすることもできる。例えば、所定のしきい値Ky2は零近傍の値である。
ここで、旋回アシスト指令値演算部48は、前輪のμ勾配が所定のしきい値Ky2未満の場合(μ勾配<Ky2)、ステップS26に進む。また、旋回アシスト指令値演算部48は、前輪のμ勾配が所定のしきい値Ky2以上の場合(μ勾配≧Ky2)、該図25の示す処理を終了する。
ステップS26では、旋回アシスト指令値演算部48は、車両がスピンする可能性が高いと判断し、EPSの操舵反力制御を実施する。具体的には、旋回アシスト指令値演算部48は、旋回アシスト指令値をEPSECU26に出力する。この旋回アシスト指令値は、運転者に操舵の切り戻しを促す方向に操舵反力を付加するための指令値になる。これにより、カウンタステア(復帰操舵)を補助するようにトルクを付加する。そして、旋回アシスト指令値演算部48は、該図25の示す処理を終了する。
以上のような処理手順により、旋回アシスト指令値演算部48が旋回特性演算部47の判定結果に基づく処理を行っている。
線形域Cp値推定部49は、線形域のCp値(μ勾配)を推定し、推定したCp値を基に、マップ補正のための補正値(補正比)を算出する。
図26は、線形域Cp値推定部49における処理手順を示す。図26に示すように、先ずステップS31において、線形域Cp値推定部49は、各種データを取得する。具体的には、線形域Cp値推定部49は、車体速度演算部41が算出した車体速度、タイヤスリップ角演算部43が算出した前後輪のスリップ角β,β、及びタイヤ横力演算部44が算出した前後輪の横力Fy,Fyを取得する。さらに、線形域Cp値推定部49は、ヨーレイトセンサ22が検出したヨーレイトγ、及び前後加速度センサ24が検出した前後加速度Gを取得する。
続いてステップS32において、線形域Cp値推定部49は、車体速度Vが所定のしきい値Vthよりも大きいか否かを判定する。所定のしきい値Vthは、実験値、経験値又は理論値等である。例えば、所定のしきい値Vthは15(km/h)である。線形域Cp値推定部49は、車体速度Vが所定のしきい値Vthよりも大きい場合(V>Vth)、ステップS33に進む。また、線形域Cp値推定部49は、車体速度Vが所定のしきい値Vth以下の場合(V≦Vth)、該図26に示す処理を終了する(前記ステップS31から再び処理を開始する)。
ステップS33では、線形域Cp値推定部49は、タイヤ特性曲線の線形域で自車両が旋回走行中か否かを判定する。タイヤ特性曲線の線形域とは、横力Fyとスリップ角βtとの相関関係(タイヤ特性曲線)が直線関係となる領域である。線形域Cp値推定部49は、タイヤ特性曲線の線形域で自車両が旋回走行中の場合、ステップS14に進む。また、線形域Cp値推定部49は、そうでない場合、例えばタイヤ特性曲線の非線形域(曲線域)で自車両が旋回走行中の場合、該図26に示す処理を終了する(前記ステップS31から再び処理を開始する)。
図27は、前記ステップS33の具体的な判定手順を示す。図27に示すように、先ずステップS41において、線形域Cp値推定部49は、前記ステップS41で取得したヨーレイトγが所定範囲にあるか否かを判定する。具体的には、線形域Cp値推定部49は、ヨーレイトγの絶対値|γ|が所定の下限値γth1よりも大きく、かつ所定の上限値γth2(γth1<γth2)未満か否かを判定する。例えば、所定の下限値γth1は2(deg/s)である。また、所定の上限値γth2は20(deg/s)である。線形域Cp値推定部49は、ヨーレイトγが所定範囲にある場合(下限値γth1<|γ|<γth2)、ステップS42に進む。また、線形域Cp値推定部49は、そうでない場合、ステップS45に進み、タイヤ特性曲線の線形域で自車両が旋回走行していないとの判定をする。
ステップS42では、線形域Cp値推定部49は、前記ステップS31で取得した前後加速度Gが所定範囲にあるか否かを判定する。具体的には、線形域Cp値推定部49は、前後加速度Gの絶対値|G|が所定のしきい値Gth未満か否かを判定する。例えば、所定のしきい値Gthは0.2(G)である。線形域Cp値推定部49は、前後加速度Gが所定範囲にある場合(|G|<Gth)、ステップS43に進む。また、線形域Cp値推定部49は、そうでない場合、前記ステップS45に進む。
ステップS43では、線形域Cp値推定部49は、前記ステップS31で取得したスリップ角βtが所定範囲にあるか否かを判定する。具体的には、線形域Cp値推定部49は、スリップ角βtの絶対値|βt|が所定のしきい値βtth未満か否かを判定する。例えば、所定のしきい値βtthは5(deg)である。また、ここでいうスリップ角βtは、前後輪のスリップ角β,βの何れかの値である。又は、スリップ角βtは、前後輪のスリップ角β,βの平均値((β+β)/2)である。
線形域Cp値推定部49は、スリップ角βtが所定範囲にある場合(|βt|<βtth)、ステップS44に進み、タイヤ特性曲線の線形域で自車両が旋回走行しているとの判定をする。また、線形域Cp値推定部49は、そうでない場合、前記ステップS45に進む。
以上のような処理手順により判定を行う。
続いてステップS34において、線形域Cp値推定部49は、前記ステップS31で取得した横力Fy及びスリップ角βtを基に、横力Fyとスリップ角βtとの比(Fy/βt)、すなわちCp値又はμ勾配を算出する。例えば、ここでいう横力Fyは、前後輪の横角Fy,Fyの何れかの値である。又は、横力Fyは、前後輪の横角Fy,Fyの平均値((Fy+Fy)/2)である。また、スリップ角βtは、前後輪のスリップ角β,βの何れかの値である。又は、スリップ角βtは、前後輪のスリップ角β,βの平均値((β+β)/2)である。
続いてステップS35において、線形域Cp値推定部49は、前記ステップS34で算出した横力Fyとスリップ角βtとの比(Fy/βt)を履歴情報として記憶する。
続いてステップS36において、線形域Cp値推定部49は、前記ステップS35にて履歴情報として記憶されている、複数の横力Fyとスリップ角βtとの比(Fy/βt)を統計演算する。具体的には、線形域Cp値推定部49は、履歴情報となる複数の横力Fyとスリップ角βtとの比(Fy/βt)の平均値を算出する(((Fy/βt)+(Fy/βt)+・・・+(Fy/βt))/N)。
続いてステップS37において、線形域Cp値推定部49は、前記ステップS35で記憶した履歴データ数(N)が所定のしきい値Nthよりも大きいか否かを判定する。線形域Cp値推定部49は、履歴データ数(N)が所定のしきい値Nthよりも大きい場合(N>Nth)、ステップS38に進む。また、線形域Cp値推定部49は、そうでない場合(N≦Nth)、該図26に示す処理を終了する(前記ステップS31から再び処理を開始する)。
続いてステップS38において、線形域Cp値推定部49は、補正値となる補正比を算出する。具体的には、線形域Cp値推定部49は、基準Cp値Cp0と実測Cp値Cp0’との比を補正比R(=Cp0’/Cp0)を算出する。
ここで、実測Cp値Cp0’は、前記ステップS36で得た平均値である。この実測Cp値Cp0’は、実測のCp値からなり、前述のようにタイヤ特性曲線の線形域で自車両が旋回走行中であると判定したときに得た値となる。また、実測Cp値Cp0’は、車両が実装するタイヤのタイヤ特性曲線の線形域におけるCp値に相当する。また、実測Cp値Cp0’は、実装するタイヤのタイヤ特性曲線の線形域での横力Fyとスリップ角βtとの比(Fy/βt)でもある。また、基準Cp値Cp0は、基準路面のタイヤ特性曲線の線形域におけるCp値に相当する。また、基準Cp値Cp0は、基準路面のタイヤ特性曲線において横力Fyとスリップ角βtとの間に線形関係が成立する領域での該横力Fyと該スリップ角βtとの比(Fy/βt)でもある。
以上のような処理手順により、線形域Cp値推定部49は最終的に補正比Rを算出する。線形域Cp値推定部49は、算出した補正比Rをマップ補正部50に出力する。
補正比Rは、基準Cp値Cp0(基準路面での線形域のμ勾配)よりも実測Cp値Cp0’(実際のタイヤで得られる線形域のμ勾配)の方が大きい場合には、1よりも小さくなる。すなわち、補正比Rは、実際のタイヤで得られるタイヤ特性曲線の線形域のμ勾配の方が立っている場合には、1よりも小さくなる。また、補正比Rは、その反対に、基準Cp値Cp0よりも実測Cp値Cp0’の方が小さい場合には、1よりも大きくなる。すなわち、補正比Rは、実際のタイヤで得られるタイヤ特性曲線の線形域のμ勾配の方が寝ている場合には、1よりも大きくなる。
マップ補正部50は、補正比Rにより、タイヤグリップ状態演算部46が有する基準路面のグリップ特性曲線からなるμ勾配特性マップを補正する。具体的には、マップ補正部50は、グリップ特性曲線の値(Fy/βt,μ勾配)に補正比Rを掛け算する。
図28(a)は、基準路面のグリップ特性曲線からなるμ勾配特性マップ46a(データ)の一例を示す。このμ勾配特性マップ46aは、x軸をFy/βtとし、y軸をμ勾配とした2次元平面で、基準路面のグリップ特性曲線を描く各座標値(x,y),(x,y),・・・,(x,y)(ここで、nは任意の整数)からなる。
マップ補正部50は、このようなμ勾配特性マップ46aの各座標値(x,y)(i=0〜n)に対して補正比Rを掛け算して、図28(b)に示すような補正後のμ勾配特性マップ46a(R・x,R・y)を作成する。
(動作及び作用)
(μ勾配に基づく車両制御)
図29を用いて説明する。
自車両の走行中、車体走行状態推定装置28では、車体速度演算部41が車体速度を算出する(ステップS51)。車体走行状態推定装置28では、タイヤスリップ角推定部44が前後輪のスリップ角βt,βtを算出する(ステップS52)。また、車体走行状態推定装置28では、タイヤ横力演算部44が前後輪の横力Fy,Fyを算出する(ステップS53)。そして、車体走行状態推定装置28では、Fy/βt演算部45が前後輪それぞれについて、横力Fy,Fyとスリップ角βt,βtとの比(Fy/βt,Fy/βt)を算出する(ステップS54)。
続いて、車体走行状態推定装置28では、タイヤグリップ状態演算部46が、前後輪のμ勾配特性マップを基に、前後輪のμ勾配を推定する(ステップS55)。そして、車体走行状態推定装置28では、旋回特性演算部47が、前後輪のμ勾配を基に、旋回状態(車両挙動)を判定する(ステップS56)。旋回アシスト指令値演算部48は、その判定結果を基に、操舵反力を付加する制御(EPS制御)のための旋回アシスト指令値を算出する(ステップS56)。
ここで、車体走行状態推定装置28は、μ勾配を基に、スタティックマージンSMを算出している(前記ステップS11)。そして、車体走行状態推定装置28は、算出したスタティックマージンSMを基に、旋回状態(車両挙動)を判定し、その判定結果に基いて操舵制御を実施している。
すなわち、車体走行状態推定装置28は、スタティックマージンSMが正値の場合(SM>0)、旋回特性がアンダーステア傾向であると判定する(前記ステップS15)。このとき、車体走行状態推定装置28は、前輪のμ勾配が所定のしきい値Ky1未満であることを条件に、運転者による操舵の切り増しを抑制する方向に操舵反力を付加する制御を実施する(前記ステップS21→ステップS22→ステップS23→ステップS24)。これにより、車両がドリフトアウトしてしまうのを防止している。
また、車体走行状態推定装置28は、スタティックマージンSMが負値の場合(SM<0)、旋回特性がオーバステア傾向であると判定する(前記ステップS16)。このとき、車体走行状態推定装置28は、前輪のμ勾配横方向成分が所定のしきい値Ky2未満であることを条件に、運転者に操舵の切り戻しを促す方向に操舵反力を付加する制御を実施する(前記ステップS21→ステップS22→ステップS25→ステップS26)。これにより、カウンタステア(復帰操舵)を補助するようにトルクを付加している。これにより、車両がスピンしてしまうのを防止している。
以上のように、μ勾配を所定のしきい値Ky1,Ky2と比較するだけで車輪のグリップ状態を判定している。そして、車輪のグリップ力が限界領域(飽和状態又はその近傍の状態)にあるときに、その摩擦限界に対する余裕度を適切に推定して、その余裕度に合致した操舵反力付加制御を実施している。
(マップ補正)
線形域Cp値推定部49は、車体速度Vが所定のしきい値Vthよりも大きく、かつタイヤ特性曲線の線形域で自車両が旋回していると判断できる場合、その旋回走行中に算出(検出される)される横力Fy及びスリップ角βtの比(Fy/βt)を履歴情報として記憶していく。さらに、線形域Cp値推定部49は、平均値を算出していく(前記ステップS31〜ステップS36)。そして、線形域Cp値推定部49は、その履歴データ数(N)が所定のしきい値Nthよりも大きくなったとき、補正比R(=Cp0’/Cp0)を算出する(前記ステップS37〜ステップS38)。
マップ補正部50は、補正比Rにより、タイヤグリップ状態演算部46が有する基準路面のグリップ特性曲線からなるμ勾配特性マップを補正する(前記図28)。
ここで、一般の生産車にあっては、販売後にユーザがタイヤを出荷時と異なるものに交換することが容易に想定される。この場合、車両のタイヤ特性も変化し、システム内で持っていたμ勾配特性マップ(グリップ特性曲線)が成立しなくなる恐れがある。これは次のような理由からである。
例えば、外周は等しく扁平率の異なる15インチタイヤ及び18インチタイヤを履かせて同一車両でそれぞれのタイヤ特性曲線(Fy−βt特性曲線)を得る。また、このとき、同一の路面μ値(例えば路面μ値=1.0)としてそれぞれのタイヤ特性曲線(Fy−βt特性曲線)を得る。図30は、15インチタイヤ及び18インチタイヤそれぞれのタイヤ特性曲線(Fy−βt特性曲線)を示す。
図30に示す結果では、15インチタイヤのタイヤ特性曲線と18インチタイヤのタイヤ特性曲線とが不一致となる。具体的には、18インチタイヤのタイヤ特性曲線に対して、15インチタイヤのタイヤ特性曲線が全体的にスリップ角βtが大きくなる方向にシフトしている。すなわち、15インチタイヤのタイヤ特性曲線がスリップ角βt軸方向に拡大している。詳しくは、スリップ角βtが小さい領域(相関関係が線形関係となる領域)では、15インチタイヤの方が、タイヤ特性曲線の接線の傾き、すなわちμ勾配が小さくなる。ここで、タイヤ特性曲線の接線の傾きは、該タイヤ特性曲線の線形域での値が最大値を示すものであり、15インチタイヤになることで、その最大値が小さくなっているとも言える。その一方で、スリップ角βtが大きい領域(例えばμ勾配が零以下の領域)では、15インチタイヤ及び18インチタイヤに関係なく、横力Fyが同一又はほぼ同一の値を示す。
図31は、グリップ特性曲線上で対比した結果を示す。図31に示すように、グリップ特性曲線でも、15インチタイヤと18インチタイヤとの間には誤差がある。具体的には、グリップ特性曲線のμ勾配の最大値が、図31に示す特性図の原点を通る直線(説明のために記載したに過ぎない仮想的な線)上を移動するようになる。そして、図30と同様な結果として、15インチタイヤになると、μ勾配の最大値が小さくなる。
さらに、図31に示すように、グリップ特性曲線は、その形を維持して大きさが異なるものとなる。すなわち、グリップ特性曲線は、相似形で大きさが異なるものとなる。本例では、15インチタイヤになると、グリップ特性曲線の形状が縮小する。これは、15インチタイヤになると、そのタイヤ特性曲線(図30)がスリップ角βt軸方向に拡大することを指し示す。すなわち、このようなグリップ特性曲線の変化は、図30に示すように、タイヤ特性曲線の原点を通る任意の直線aとの交点(同図中に○印で示す交点)で得られるタイヤ特性曲線(非線形域)の接線の傾き、すなわちμ勾配が、15インチタイヤの方が小さくなることで現れる。
ここで、例えば、18インチタイヤから得たμ勾配特性マップをタイヤグリップ状態演算部46が有しているような場合を考える。このような場合に実際には15インチタイヤを車両に履かせたとする。この場合、タイヤグリップ状態演算部46は、18インチタイヤを基に得たμ勾配特性マップを参照して、実測の横力Fy及びスリップ角βtに基づいて(その比Fy/βtに基づいて)、μ勾配を算出することになる。
しかし、前述のように、15インチタイヤのグリップ特性曲線と18インチタイヤのグリップ特性曲線との間に誤差があるため、算出したμ勾配は、その誤差を含み、推定精度が低下したものとなる。すなわち、図31に示すように、本来であれば実装する15インチタイヤのグリップ特性曲線から実測点に対応するμ勾配を得なければならない。しかしながら、そのまま18インチタイヤのグリップ特性曲線から実測点に対応するμ勾配を得ているため、その得たμ勾配が誤差を含むことになる。例えば、μ勾配を大きく見積もってしまう。
これに対して、本実施形態では、マップ補正部50は、補正比Rにより、タイヤグリップ状態演算部46が有するμ勾配特性マップを補正している。具体的には、マップ補正部50は、μ勾配特性マップの値(Fy/βt,μ勾配)に補正比Rを掛け算してμ勾配特性マップを補正している。
図32は、補正後のμ勾配特性マップの形状を示す。図32に示すように、μ勾配特性マップをなすグリップ特性曲線は、R倍されることで、原点を固定して、Fy/βt軸(x軸)方向及びμ勾配軸(y軸)方向でR倍変化する。これにより、グリップ特性曲線の形状は拡大又は縮小する。この結果、μ勾配特性マップは、基準路面で得たグリップ特性曲線から実装するタイヤのグリップ特性曲線に変更されたものとなる。
前述の例に当てはめると、基準Cp値Cp0は、18インチタイヤ(基準タイヤ)のタイヤ特性曲線の線形域のCp値になる。また、実測Cp値Cp0’は、車両が実装する15インチタイヤのタイヤ特性曲線の線形域のCp値になる。
マップ補正部50は、このような基準Cp値Cp0と実測Cp値Cp0’との比である補正比R(=Cp0’/Cp0)をμ勾配特性マップ(18インチタイヤのグリップ特性曲線)をなす各値に掛け算する。これにより、μ勾配特性マップは、Fy/βt軸方向及びμ勾配軸方向でR倍変化する。すなわち、図31に示すように、μ勾配特性マップの形状は、原点を固定して、Fy/βt軸方向及びμ勾配軸方向でR倍だけ縮小する。この結果、μ勾配特性マップは、18インチタイヤのグリップ特性曲線から実装する15インチタイヤのグリップ特性曲線に変更されたものとなる。
そして、タイヤグリップ状態演算部46は、補正したμ勾配特性マップを基に、μ勾配を算出するようになる。これにより、算出されたμ勾配は、高い精度で推定されたものとなる。そして、車体走行状態推定装置28は、旋回状態(車両挙動)を判定する。EPSECU26は、その判定結果を基に、操舵アシスト指令によりEPSモータ27を制御する。
(実施形態の変形例)
(1)この実施形態では、タイヤ特性曲線の線形域で自車両が旋回走行していると判断できる場合、その旋回走行中の横力Fy及びスリップ角βtを記憶し、平均値として実測Cp値Cp0’を算出している。しかし、本実施形態はこれに限定されない。すなわち、システムのメモリや処理能力に余裕があれば、旋回中の有無にかかわらず、走行中(旋回の他、直進も含む走行中)に横力Fy及びスリップ角βtを計測して、近似曲線としてタイヤ特性曲線を得る。そして、近似曲線として得たタイヤ特性曲線の原点近傍、すなわちタイヤ特性曲線の線形域から実測Cp値Cp0’を算出することもできる。
(2)この実施形態では、接線勾配相関関係マップであるμ勾配特性マップが、横力Fyとスリップ角βtとの比(Fy/βt)及びμ勾配を座標軸とする2次元平面に存在するものとして、連続した特性線からなる2次元曲線として表現されたものである。しかし、本実施形態はこれに限定されない。すなわち、接線勾配相関関係マップを、横力Fy、スリップ角βt及びμ勾配を変数として数式表現(関数表現)y=f(x)(xはFy/βtに対応、yはμ勾配に対応)されたものとすることもできる。この場合、補正比Rによる補正後は、数式y/R=f(x/R)となる。
(3)この実施形態では、横力Fyとスリップ角βtとの関係から、種々の演算を行っている。これに対して、制駆動力Fxとスリップ率λとの関係、又はタイヤ力Fとスリップ度Sとの関係に置き換えて、種々の演算を行うこともできる。すなわち例えば、制駆動力Fxとスリップ率λとの比(Fx/λ)を基に、グリップ特性曲線(μ勾配特性マップ)を参照してμ勾配を得ることもできる(前記図9参照)。また、タイヤ力Fとスリップ度Sとの比(F/S)を基に、グリップ特性曲線(μ勾配マップ)を参照してμ勾配を得ることもできる(前記図15参照)。
(4)この実施形態では、統計演算により平均値を算出している(前記ステップS36)。これに対して、他の統計演算、例えば最頻値等により値を算出することもできる。
(5)自車両の走行中に検出したタイヤ力とスリップ度とを基に算出した検出値比が、ドライ路面で得られるタイヤ力とスリップ度との相関関係が直線関係となる領域における該タイヤ力と該スリップ度との比以下となるとき、該検出値比を接線勾配相関関係マップの補正に用いることもできる。すなわち、ドライ路面を基準に検出値比を選定することもできる。
(6)各輪それぞれについて基準路面のグリップ特性曲線を備え、各輪についてμ勾配を算出し、算出した各輪のμ勾配を基に走行制御することもできる。また、また、全輪について、ある一つのμ勾配を算出することもできる。
(7)スリップ度は、地面に対するスリップ力の方向で車輪接地面の相対速度ベクトルを表す値でもある。
なお、この実施形態では、車両の車輪の接地面グリップ特性を推定するための車両接地面摩擦状態推定装置を実現する。また、タイヤ横力演算部44は、車輪のタイヤ力を検出するタイヤ力検出手段を実現する。また、タイヤスリップ角演算部43は、前記車輪のスリップ度を検出するスリップ度検出手段を実現する。また、タイヤグリップ状態演算部46は、前記タイヤ力検出手段が検出したタイヤ力と前記スリップ度検出手段が検出したスリップ度との比である検出値比を算出する比算出手段を実現する。また、μ勾配特性マップ46aは、基準タイヤにより基準路面で得られる車輪のタイヤ力と車輪のスリップ度との比である基準値比と、該タイヤ力と該スリップ度との相関関係が成立する連続した特性線の前記基準値比における接線の傾きとの相関関係を曲線で想定してモデル化した接線勾配相関関係マップを実現する。
ここで、基準値比とは、基準タイヤにより基準路面(例えば路面μ値μ=1)で得られる制駆動力や横力を示すタイヤ力とスリップ率やスリップ角を示すスリップ度との比となる。また、タイヤ力とスリップ度との相関関係が成立する連続した特性線とは、2次平面に存在するものとして表現できる線(曲線を含む)である。その2次元マップは、縦軸及び横軸の何れか一方がタイヤ力及びスリップの何れか一方となり、縦軸及び横軸の何れか他方がタイヤ力及びスリップの何れか他方となる。この実施形態では、例えば、特性線は、図14に示すように、横軸がスリップ角βtとなり縦軸が横力Fyとなる座標上のFy−βt特性曲線となる。
そして、前記基準値比における接線の傾きとは、タイヤ力とスリップ度との相関関係が成立する連続した特性線で基準値比で特定できる点の接線の傾きとなる。接線勾配相関関係マップは、このような基準値比と接線の傾きとの相関関係を曲線で想定してモデル化したものとなる。
また、タイヤグリップ状態演算部46は、前記タイヤ力検出手段が検出した現在のタイヤ力と前記スリップ度検出手段が検出した現在のスリップ度とを基に前記比算出手段が算出した検出値比を前記基準値比とし、該基準値比に対応する前記接線の傾きを前記接線勾配相関関係マップを参照して得て、前記接線の傾きを車輪のグリップ特性を示すグリップ特性パラメータとして出力するグリップ特性出力手段を実現する。また、線形域Cp値推定部49及びマップ補正部50は、前記タイヤ力検出手段が検出したタイヤ力と前記スリップ度検出手段が検出したスリップ度との相関関係が直線関係となる領域で前記比算出手段が算出した検出値比と、前記接線勾配相関関係マップのタイヤ力とスリップ度との相関関係が直線関係となる領域における該タイヤ力と該スリップ度との基準値比との比を補正係数とし、前記補正係数を基に前記接線勾配相関関係マップを補正する補正手段を実現する。
また、この実施形態では、車両の車輪の接地面グリップ特性を推定するための車両接地面摩擦状態推定方法において、基準タイヤにより基準路面で得られる車輪のタイヤ力と車輪のスリップ度との比である基準値比と、該タイヤ力と該スリップ度との相関関係が成立する連続した特性線の基準値比における接線の傾きとの相関関係を曲線でモデル化した接線勾配相関関係マップを用い、検出タイヤ力と検出スリップ度との相関関係が直線関係となる領域における該検出タイヤ力と検出スリップ度との比である検出値比と、前記接線勾配相関関係マップのタイヤ力とスリップ度との相関関係が直線関係となる領域における該タイヤ力と該スリップ度との基準値比との比を補正係数とし、前記補正係数を基に前記接線勾配相関関係マップを補正する補正ステップと、現在の検出タイヤ力と現在の検出スリップ度との比である検出値比を前記基準値比とし、該基準値比に対応する前記接線の傾きを前記接線勾配相関関係マップを参照して得て、前記接線の傾きを車輪のグリップ特性を示すグリップ特性パラメータとして出力する出力ステップと、を有する車両接地面摩擦状態推定方法を実現する。
(実施形態の効果)
(1)車両走行状態推定装置28は、基準路面で得られる車輪のタイヤ力と車輪のスリップ度との比である基準値比と、該タイヤ力と該スリップ度との相関関係(タイヤ特性曲線)が成立する連続した特性線の前記基準値比における接線の傾きとの相関関係を曲線(グリップ特性曲線)でモデル化した接線勾配相関関係マップを備える。
また、車両走行状態推定装置28は、検出した現在のタイヤ力と現在のスリップ度との検出値比を基準値比とし、該基準値比に対応する前記接線の傾きを接線勾配相関関係マップを参照して得て、前記接線の傾きを車輪のグリップ特性を示すグリップ特性パラメータとして出力する。
そして、車両走行状態推定装置28は、検出したタイヤ力と検出したスリップ度との相関関係が直線関係となる領域での検出値比と、接線勾配相関関係マップのタイヤ力とスリップ度との相関関係が直線関係となる領域における該タイヤ力と該スリップ度との基準値比との比を補正係数とし、補正係数を基に接線勾配相関関係マップを補正する。
ここで、タイヤ特性が異なる場合に、タイヤ力とスリップ度との比と、該タイヤ力と該スリップ度との相関関係(タイヤ特性曲線)が成立する連続した特性線の該比における接線の傾きとの相関関係(グリップ特性曲線)が異なることがある。このとき、タイヤ力とスリップ度との相関関係(タイヤ特性曲線)が直線関係となる領域の該タイヤ力と該スリップ度との比も異なるものとなる。
このような場合に、前記比と前記接線の傾きとの相関関係(グリップ特性曲線)の変化と、タイヤ力とスリップ度との相関関係(タイヤ特性曲線)が直線関係となる領域の該タイヤ力と該スリップ度との比の変化との間には、ある相関がある。
以上のような構成において、グリップ特性パラメータとして出力される接線勾配相関関係マップの接線の傾きは、タイヤの摩擦限界又はタイヤ摩擦限界までの余裕度といったようなタイヤのグリップ特性を示すものとなる。
これにより、タイヤのグリップ特性を適切に推定することが可能となる。
また、相関関係(タイヤ特性曲線)が直線関係となる領域の検出値比と相関関係(タイヤ特性曲線)が直線関係となる領域の基準値比とを基に接線勾配相関関係マップ(グリップ特性曲線)を補正することで、接線勾配相関関係マップを該検出値比が得られるタイヤ特性のものに合致させることができる。
これにより、タイヤを履き替えた場合でも、その実装するタイヤのグリップ特性を適切に推定できる。
(2)接線勾配相関関係マップは、基準値比及び接線の傾きを座標軸とする2次元平面に存在するものとして、連続した特性線からなる2次元曲線として表現されたものである。
この場合、補正手段は、相関関係(タイヤ特性曲線)が直線関係となる領域の検出値比を相関関係(タイヤ特性曲線)が直線関係となる領域の基準値比で除して得た補正係数を、接線勾配相関関係マップの基準値比と接線の傾きとにそれぞれ掛け算して該接線勾配相関関係マップの補正をする。
これにより、タイヤを履き替えた場合に接線勾配相関関係マップに生じる誤差と、検出値比を基準値比で除した値との間の相関関係を利用して、接線勾配相関関係マップを適切に補正できる。
(3)接線勾配相関関係マップは、前記基準値比を変数xとし、前記接線の傾きを変数yとした場合、
y=f(x)
として関数表現されたものである。
この場合、補正手段は、検出値比を基準値比で除して得た補正係数Rを基に、
y/R=f(x/R)
として接線勾配相関関係マップの補正をする。
これにより、タイヤを履き替えた場合に接線勾配相関関係マップに生じる誤差と、検出値比を基準値比で除した値との間の相関関係を利用して、接線勾配相関関係マップを適切に補正できる。
(4)補正手段は、自車両の走行中に検出したタイヤ力とスリップ度とを基に算出した複数の検出値比を統計演算し、その統計演算結果を接線勾配相関関係マップの補正に用いる。
これにより、適切な検出値比により接線勾配相関関係マップを補正できる。
(5)補正手段は、自車両の走行中に検出したタイヤ力とスリップ度とを基に算出した検出値比が、ドライ路面で得られる車輪のタイヤ力と車輪のスリップ度との相関関係(タイヤ特性曲線)が直線関係となる領域における該タイヤ力と該スリップ度との比以下となるとき、該検出値比を接線勾配相関関係マップの補正に用いる。
これにより、ドライ路面を基準にして検出値比を選定することができ、結果として、適切な検出値比により接線勾配相関関係マップを補正できる。
(6)自車両の走行中に検出したタイヤ力とスリップ度との相関関係(タイヤ特性曲線)が直線関係となるか否かを判定する判定手段を備える(前記ステップS33)。
この場合、補正手段は、判定手段が相関関係(タイヤ特性曲線)が直線関係となると判定した場合、タイヤ特性相関関係マップの補正を行う。
これにより、相関関係(タイヤ特性曲線)が直線関係となるときの検出値比を適切に検出できる。
(7)判定手段は、車両走行状態を基に、相関関係(タイヤ特性曲線)が直線関係となるか否かを判定する(前記図27)。
タイヤ力とスリップ度との相関関係(タイヤ特性曲線)が、車両走行状態に応じて線形域と非線形域とで変化するため、車両走行状態を参照することで、相関関係(タイヤ特性曲線)が直線関係となる領域を適切に検出できる。
(8)判定手段は、自車両の車両加速度、ヨーレイト及びスリップ度の少なくとも何れかの大きさが、零の含む所定値範囲内になる場合、相関関係が直線関係となると判定する(前記図27)。
タイヤ力とスリップ度との相関関係(タイヤ特性曲線)が、自車両の車両加速度、ヨーレイト及びスリップ度に応じて線形域と非線形域とで変化するため、自車両の車両加速度、ヨーレイト及びスリップ度を参照することで、相関関係(タイヤ特性曲線)が直線関係となる領域を適切に検出できる。
(9)接線勾配相関関係マップは、タイヤ力をスリップ度で除して得た基準値比が増加すると、接線の傾きが零から最大値まで増加するものである(前記図16)。ここで、前記最大値は、前記接線勾配相関関係マップのタイヤ力とスリップ度との相関関係が直線関係となる領域における該タイヤ力と該スリップ度との基準値比である。
この接線勾配相関関係マップは、基準値比と相関関係(タイヤ特性曲線)の接線の傾きとの相関関係を適切に表現している。
これにより、タイヤのグリップ特性を適切に推定することが可能となる。
(10)タイヤ力はタイヤの横力であり、スリップ度はタイヤのスリップ角である。
これにより、タイヤの横力及びスリップ角に関するグリップ特性を適切に推定することが可能となる。
(11)タイヤ力はタイヤの制駆動力であり、スリップ度はタイヤのスリップ率である。
これにより、タイヤの制駆動力及びスリップ率に関するグリップ特性を適切に推定することが可能となる。
43 タイヤスリップ角演算部、44 タイヤ横力演算部、45 Fy/βt演算部、46 タイヤグリップ状態演算部、46a μ勾配特性マップ、49 線形域Cp値推定部、50 マップ補正部

Claims (12)

  1. 車両の車輪の接地面グリップ特性を推定するための車両接地面摩擦状態推定装置において、
    車輪のタイヤ力を検出するタイヤ力検出手段と、
    前記車輪のスリップ度を検出するスリップ度検出手段と、
    前記タイヤ力検出手段が検出したタイヤ力と前記スリップ度検出手段が検出したスリップ度との比である検出値比を算出する比算出手段と、
    基準タイヤにより基準路面で得られる車輪のタイヤ力と車輪のスリップ度との比である基準値比と、該タイヤ力と該スリップ度との相関関係が成立する連続した特性線の前記基準値比における接線の傾きとの相関関係を曲線で想定してモデル化した接線勾配相関関係マップと、
    前記タイヤ力検出手段が検出した現在のタイヤ力と前記スリップ度検出手段が検出した現在のスリップ度とを基に前記比算出手段が算出した検出値比を前記基準値比とし、該基準値比に対応する前記接線の傾きを前記想定した接線勾配相関関係マップを参照して得て、その得た接線の傾きを車輪のグリップ特性を示すグリップ特性パラメータとして出力するグリップ特性出力手段と、
    前記タイヤ力検出手段が検出したタイヤ力と前記スリップ度検出手段が検出したスリップ度との相関関係が直線関係となる領域で前記比算出手段が算出した検出値比と、前記想定した接線勾配相関関係マップのタイヤ力とスリップ度との相関関係が直線関係となる領域における該タイヤ力と該スリップ度との基準値比との比を補正係数とし、前記補正係数を基に前記接線勾配相関関係マップを補正する補正手段と、
    を備えることを特徴とする車両接地面摩擦状態推定装置。
  2. 前記接線勾配相関関係マップは、前記基準値比及び前記接線の傾きを座標軸とする2次元平面に存在するものとして、連続した特性線からなる2次元曲線として表現されたものであり、
    前記補正手段は、前記検出値比を前記基準値比で除して得た補正係数を、前記基準値比と前記接線の傾きとにそれぞれ掛け算して前記接線勾配相関関係マップの補正をすることを特徴とする請求項1に記載の車両接地面摩擦状態推定装置。
  3. 前記接線勾配相関関係マップは、前記基準値比を変数xとし、前記接線の傾きを変数yとした場合、
    y=f(x)
    として関数表現されたものであり、
    前記補正手段は、前記検出値比を前記基準値比で除して得た補正係数Rを基に、
    y/R=f(x/R)
    として前記接線勾配相関関係マップの補正をすることを特徴とする請求項2に記載の車両接地面摩擦状態推定装置。
  4. 前記補正手段は、自車両の走行中に前記タイヤ力検出手段が検出したタイヤ力と前記スリップ度検出手段が検出したスリップ度とを基に前記比算出手段が算出した複数の検出値比を統計演算し、その統計演算結果を前記接線勾配相関関係マップの補正に用いることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両接地面摩擦状態推定装置。
  5. 前記補正手段は、自車両の走行中に前記タイヤ力検出手段が検出したタイヤ力と前記スリップ度検出手段が検出したスリップ度とを基に前記比算出手段が算出した検出値比が、ドライ路面で得られる車輪のタイヤ力と車輪のスリップ度との相関関係が直線関係となる領域における該タイヤ力と該スリップ度との比以下となるとき、該検出値比を前記接線勾配相関関係マップの補正に用いることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車両接地面摩擦状態推定装置。
  6. 自車両の走行中に前記タイヤ力検出手段が検出したタイヤ力と前記スリップ度検出手段が検出したスリップ度との相関関係が直線関係となるか否かを判定する判定手段を備え、
    前記補正手段は、前記判定手段が前記相関関係が直線関係となると判定した場合、前記タイヤ特性相関関係マップの補正を行うことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の車両接地面摩擦状態推定装置。
  7. 前記判定手段は、車両走行状態を基に、前記相関関係が直線関係となるか否かを判定することを特徴とする請求項6に記載の車両接地面摩擦状態推定装置。
  8. 前記判定手段は、自車両の車両加速度、ヨーレイト及びスリップ度の少なくとも何れかの大きさが、零の含む所定値範囲内にある場合、前記相関関係が直線関係となると判定することを特徴とする請求項6又は7に記載の車両接地面摩擦状態推定装置。
  9. 前記接線勾配相関関係マップは、前記タイヤ力を前記スリップ度で除して得た基準値比が増加すると、前記接線の傾きが零から最大値まで増加するものであり、
    前記最大値は、前記接線勾配相関関係マップのタイヤ力とスリップ度との相関関係が直線関係となる領域における該タイヤ力と該スリップ度との基準値比であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の車両接地面摩擦状態推定装置。
  10. 前記タイヤ力はタイヤの横力であり、前記スリップ度はタイヤのスリップ角であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の車両接地面摩擦状態推定装置。
  11. 前記タイヤ力はタイヤの制駆動力であり、前記スリップ度はタイヤのスリップ率であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の車両接地面摩擦状態推定装置。
  12. 車両の車輪の接地面グリップ特性を推定するための車両接地面摩擦状態推定方法において、
    基準タイヤにより基準路面で得られる車輪のタイヤ力と車輪のスリップ度との比である基準値比と、該タイヤ力と該スリップ度との相関関係が成立する連続した特性線の基準値比における接線の傾きとの相関関係を曲線で想定してモデル化した接線勾配相関関係マップを用い、
    検出タイヤ力と検出スリップ度との相関関係が直線関係となる領域における該検出タイヤ力と検出スリップ度との比である検出値比と、前記想定した接線勾配相関関係マップのタイヤ力とスリップ度との相関関係が直線関係となる領域における該タイヤ力と該スリップ度との基準値比との比を補正係数とし、前記補正係数を基に前記接線勾配相関関係マップを補正する補正ステップと、
    現在の検出タイヤ力と現在の検出スリップ度との比である検出値比を前記基準値比とし、該基準値比に対応する前記接線の傾きを前記想定した接線勾配相関関係マップを参照して得て、その得た接線の傾きを車輪のグリップ特性を示すグリップ特性パラメータとして出力する出力ステップと、
    を有することを特徴とする車両接地面摩擦状態推定方法。
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