JP3426569B2 - ホイールの回転位置検出装置,ホイール作用力検出装置,車両制御装置 - Google Patents

ホイールの回転位置検出装置,ホイール作用力検出装置,車両制御装置

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JP3426569B2
JP3426569B2 JP2000224339A JP2000224339A JP3426569B2 JP 3426569 B2 JP3426569 B2 JP 3426569B2 JP 2000224339 A JP2000224339 A JP 2000224339A JP 2000224339 A JP2000224339 A JP 2000224339A JP 3426569 B2 JP3426569 B2 JP 3426569B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、タイヤを保持する
ホイールリムとハブへの取付部としてのホイールディス
クとを含むホイールの回転位置を検出する回転位置検出
装置,ホイールに作用する作用力を検出する作用力検出
装置,作用力に基づいて車両を制御する車両制御装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】ホイールの回転位置を検出するホイール
回転位置検出装置の一例が、特開平7−286919号
公報に記載されている。この公報に記載の回転位置検出
装置は、ホイールディスクの外側に設けられていた。そ
のため、見栄えが悪いという問題があった。また、車両
の幅が大きくなるため、公道を走行することが不可能に
なる場合もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効
果】そこで、本発明の課題は、車両に取り付けた場合
に、見栄えが悪くなることと、公道の走行が不可能にな
ることとの少なくとも一方を回避し得るホイール回転位
置検出装置を得ることにある。上記課題は、ホイール回
転位置検出装置を下記各態様の構造のものとすることに
よって解決される。各態様は、請求項と同様に、項に区
分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を
引用する形式で記載する。これは、本明細書に記載の発
明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技
術的特徴およびそれらの組合わせが以下の各項に限定さ
れると解釈されるべきではない。また、1つの項に複数
の事項が記載されている場合、常に、すべての事項を一
緒に採用しなければならないものではなく、一部の事項
のみを取り出して採用することも可能である。 (1)タイヤを保持するホイールリムとハブへの取付部
であるホイールディスクとを含むホイールの回転位置を
検出する回転位置検出装置であって、前記ホイールと共
に回転する回転部と回転しない非回転部との一方に設け
られた検出部と、それら回転部と非回転部との他方に設
けられて前記検出部により検出される被検出部とを含む
回転検出部が、前記ホイールディスクの内側に配設され
たことを特徴とするホイール回転位置検出装置本項に
記載のホイール回転位置検出装置においては、回転検出
部がホイールディスクの内側に設けられる。その結果、
車両の見栄えが悪くなったり、公道の走行が不可能にな
ったりすることを良好に回避することができる。被検出
部,検出部は,回転部,非回転部のいずれに設けてもよ
いが、被検出部を回転部に設け、検出部を非回転部に設
けることが望ましい。検出部を非回転部に設ければ、例
えば、検出部によって検出された回転位置を、ホイール
を回転可能に保持する保持部材側に設けられたコンピュ
ータを含む制御装置等に供給するのが容易になる。 (2)前記回転検出部が、前記ホイールディスクより車
両中央側に設けられた(1) 項に記載のホイール回転位置
検出装置。 (3)前記回転検出部が、前記ホイールディスクとホイ
ールリムとによって囲まれた空間内に設けられた(1) 項
または(2) 項に記載のホイール回転位置検出装置。 (4)前記非回転部を相対回転可能に支持する支持部材
と前記回転部との少なくとも一方が、前記ハブとホイー
ルディスクとの間に支持された(1) 項ないし(3)項のい
ずれか1つに記載のホイール回転位置検出装置{(1)項
に従属する部分により請求項1}。ホイールは、ホイー
ルディスクとホイールリムとによって囲まれた空間の軸
方向の寸法が多少大きめに製造されることがある。そし
て、実際に、ブレーキ等を取り付けた状態で、ホイール
ディスクとハブとの間に隙間が生じる場合には、スペー
サが配設されていた。そこで、回転部と非回転部との少
なくとも一方を、そのスペーサの代わりに、または、ス
ペーサを利用して設ければ、回転位置検出装置を設けた
ことに起因して、車両が幅方向に大きくなることを回避
することができ、あるいは、幅方向に大きくなっても、
その増加量を抑制することができる。また、ホイールデ
ィスクとホイールリムとによって囲まれた空間の軸方向
の寸法に余裕がない場合には、ホイールディスクの厚み
(車両の幅方向の大きさ)を小さくし、それによって回
転部と非回転部との少なくとも一方を配設するためのス
ペースを得ることができる。この場合にも、回転位置検
出装置を設けたことに起因して、車両が幅方向に大きく
なることを良好に回避することができる。 (5)前記回転部と非回転部とが、ホイールの回転軸線
と平行な方向に関して互いにほぼ重なって内周側と外周
側とに設けられた(1) 項ないし(4) 項のいずれか1つに
記載のホイールの回転位置検出装置。回転部と非回転部
とをホイールの回転軸線と平行な方向に関して互いにほ
ぼ重なった状態に設ければ、回転位置検出装置を設ける
ための軸方向のスペースが小さくて済む。 (6)前記非回転部が、回転伝達遮断装置を介して前記
回転部に支持されて、前記回転部の外周側に設けられた
(5) 項に記載のホイール回転位置検出装置(請求項
5)。回転部と非回転部との間に軸受等の回転伝達遮断
装置を介在させれば、これらを同心状に配設することが
容易となる。なお、回転伝達遮断装置は、相対回転許容
装置と考えることができる。 (7)前記回転部と非回転部とが、軸方向に並んで設け
られた(1) 項ないし(4)項のいずれか1つに記載のホイ
ール回転位置検出装置。これらを軸方向に並べて設けれ
ば、これらの間に回転伝達遮断装置を設ける必要がなく
なる。この場合には、(8) 項, (9) 項に記載のように、
回転部と非回転部との少なくとも一方を、ハブやホイー
ルディスクを利用して設けることができる。 (8)前記回転部が、前記ホイールディスクとハブとの
いずれか一方に相対回転不能に設けられた(1) 項ないし
(7) 項のいずれか1つに記載のホイール回転位置検出装
置。回転部を、ホイールディスクやハブに相対回転不能
に設ければ、回転部を支持するための専用の支持部材や
支持装置が不要となる。従来のホイール回転位置検出装
置を車両に取り付ける場合に必要であった専用の支持ア
ーム等が不要となり、取り付け作業が容易になる。な
お、ホイールディスクやハブ自体を回転部と見なすこと
ができ、これらに、直接、被検出部あるいは検出部を設
けることもできる。回転位置検出装置を試験のためでは
なく、市販車に恒久的に設ける場合には直接設けること
によって、回転位置検出装置の部品点数を減らすことが
特に望ましい。本項に記載のホイール回転位置検出装置
のうち非回転部を相対回転可能に支持する支持部材がホ
イールディスクとハブとの間に支持された場合の態様
{(4)項に従属する部分}が請求項4に対応する。 (9)前記非回転部が、前記ホイールディスクとハブと
いずれか一方に相対回転可能に設けられた(1) 項ないし
(8) 項のいずれか1つに記載のホイール回転位置検出装
置。非回転部を、ホイールディスクとハブとのいずれか
一方に回転伝達遮断装置(例えば、ベアリング)を介し
て設ける態様が該当する。ハブに相対回転可能に支持さ
れるようにすれば、非回転部を支持する専用の支持部材
や支持装置が不要になる。本項に記載のホイール回転位
置検出装置のうち回転部がホイールディスクとハブとの
間に支持された場合の態様{(4)項に従属する部分}が
請求項3に対応する。また、ハブに相対回転可能な非回
転部とハブに相対回転不能な回転部との少なくとも一方
がハブに支持されるようにすることもできる。この態様
が請求項6に対応する。さらに、ホイールに相対回転可
能な非回転部とホイールに相対回転不能な回転部との少
なくとも一方がホイールディスクに、それの内側におい
て支持されるようにすることもできる。この態様が請求
項7に対応する。 (10)前記非回転部が、前記ホイールを回転可能に保
持する保持部材としてのサスペンション部材にブレーキ
キャリパを取り付けるマウンティングブラケットに結合
された(1) 項ないし(9) 項のいずれか1つに記載のホイ
ール回転位置検出装置。非回転部をブレーキのマウンテ
ィングブラケットに結合すれば、非回転部の回転を阻止
することができる。しかも、マウンティングブラケット
はホイールディスクとホイールリムとによって囲まれた
空間の内部にあり、回転を阻止するための部材として適
している。なお、非回転部はサスペンション部材に結合
されるようにすることもできる。 (11)前記被検出部が、前記検出部より内周側に設け
られた(1) 項ないし(10)項のいずれか1つに記載のホイ
ール回転位置検出装置。 (12)前記回転検出部が、前記ホイールが基準回転位
置にあることを検出する基準回転位置検出部と、前記ホ
イールの回転位置を、前記基準回転位置検出部によって
検出された基準回転位置からの回転角度として検出する
絶対回転角度検出部とを含む(1) 項ないし(11)項のいず
れか1つに記載のホイール回転位置検出装置。ホイール
の回転位置が、ホイールの基準回転位置からの回転角度
として検出される。基準回転位置からの回転角度は絶対
回転角度であり、絶対回転角度が回転位置を表すことに
なる。 (13)前記被検出部が、互いに異なる複数種類の被検
出部を含む(1) 項ないし(12)項のいずれか1つに記載の
ホイール回転位置検出装置。被検出部が複数種類あれ
ば、基準回転位置を検出したり、回転角度を検出したり
するのに便利である。例えば、〔発明の実施の形態〕に
おいて説明するように、被検出部が、基準回転位置用の
被検出部と回転角度用の被検出部とを含むものとする。
この場合には、検出部によって基準回転位置検出用の被
検出部が検出された場合に、ホイールが基準回転位置に
あるとすることができる。また、被検出部の各々が、互
いに異なる識別情報を有するものとすることができる。
この場合には、検出部によって読み取られた識別情報に
基づいてホイールの回転位置が検出される。識別情報に
は、基準回転位置にあることを表す情報が含まれる。 (14)前記被検出部が、第1被検出部と第2被検出部
とを含む(1) 項ないし(13)項のいずれか1つに記載のホ
イール回転位置検出装置。検出部によって第1被検出部
が検出されることによって回転角度が検出され、第2被
検出部が検出されることによって基準回転位置が検出さ
れる[(12)項に従属する部分により請求項2}。被検出
部は、例えば、一円周上に設けられた第1被検出部と、
その第1被検出部の半径方向内周側と外周側との少なく
とも一方の側の、前記ホイールの基準位置に対応する位
置に設けられた1つ以上の第2被検出部とを含むものと
することができる。この場合には、検出部は、半径方向
に2個設けられることになる。第1被検出部は、回転体
の外周縁に設けられた多数個の凹凸を有するものとした
り、端面に設けられた多数個のスリットを有するものと
したり、端面に立設された多数個のピンを有するものと
したりすることができる。いずれにしても、凹凸,スリ
ット,ピン等は、一定のピッチで形成される。第2被検
出部についても同様に、凹凸,スリット,ピン等によっ
て形成することができる。 (15)前記被検出部が、前記回転部の一円周に沿っ
て、一部に欠損部を含む状態で設けられた(1) 項ないし
(14)項のいずれか1つに記載のホイール回転位置検出装
置。例えば、欠損部が第2被検出部に相当し、それ以外
の部分が第1被検出部に相当すると考えることができ
る。検出部によって欠損部が検出された場合に、ホイー
ルが基準回転位置にあるとするのである。検出部は、欠
損部であることを確実に検出し得るものとすることが望
ましく、例えば、周方向に並んで設けられた複数の検出
部を含むものとすることができる。複数の検出部を設け
れば、欠損状態にあることと回転部が静止状態にあるこ
ととを容易に区別することができる。 (16)前記検出部が、概してコの字形を成したもので
あり、そのコの字形の一対のアーム部間における被検出
部の有無を検出するものである(1) 項ないし(15)項のい
ずれか1つに記載のホイール回転位置検出装置。本項に
記載のホイール回転位置検出装置の回転検出部は電磁誘
導式のものではなく、コの字形の検出部の一対のアーム
部間の物体の有無を磁気的あるいは光学的に検出するも
のである。そのため、回転部の回転速度が小さくても、
誘導電流が弱くなることがないのであり、回転速度が小
さくても、回転部の回転角度を確実に検出することがで
きる。 (17)(1) 項ないし(16)項のいずれかに記載のホイー
ル回転位置検出装置と、前記ホイールの一部に設けら
れ、その一部に作用する力を検出する作用力検出部と、
その作用力検出部と前記ホイール回転位置検出装置とに
より、同時期に検出された作用力とホイール回転位置と
に基づいて、ホイールに作用する6分力の少なくとも一
つを演算する演算部とを含むホイール作用力検出装置
(請求項)。ホイールに作用する6分力は、ホイール
の回転軸線と平行な第一軸と、その第一軸と直交すると
ともに互いに直交する予め定められた第二軸および第三
軸とのそれぞれに平行な3つの力と、第一,第二,第三
軸の各々のまわりの3つの回転モーメントとである。第
二,第三軸は、回転軸線と直交する車輪中心面内に設け
られることが望ましい。ホイールの回転軸線,車輪中心
面は、車両の走行状態に伴って変化する。そのため、ホ
イールに作用する6分力を、回転軸線と車輪中心面とに
よって規定される直交座標系(以下、車輪固定座標系と
称する)ではなく、車体に固定の直交座標系(以下、車
体固定座標系と称する)において求めることも可能であ
る。この場合には、車輪固定座標系を車体固定座標系に
変換することによって、車体固定直交座標系における6
分力を求めることができる。車体固定座標系は、車体の
横方向,前後方向,上下方向を三軸とする直交座標系と
するのが便利である。第一軸(回転軸線と平行な軸)が
水平かつ車体横方向に平行である場合には、第二軸は車
体前後方向に平行に、第三軸は垂直にそれぞれ選定され
る。ここでは、車輪固定座標系と車体固定座標系とが一
致する。それに対して、第一軸が車体横方向に対して水
平面内において傾斜している場合には、第二軸が水平面
内において車体前後方向に対して同角度傾斜させられ、
第一軸が車体横方向に対して垂直面内において傾斜して
いる場合には、第三軸が垂直面内において垂直方向に対
して同角度傾斜させられる。さらに、第一軸が車体横方
向に対して水平面内および垂直面内の両方において傾斜
している場合には、第三軸が、車輪中心面との交点とホ
イールの最下点とを結ぶ直線とされ、第二軸は車輪中心
面内において第三軸とそれと直交する直線とされる。上
記6分力のすべてが求まれば、三次元空間における任意
の方向の力および任意の直線まわりの回転モーメントを
求めることができる。例えば、タイヤの地面との接触点
である接地点における車体前後方向と車体横方向と垂直
方向とにそれぞれ平行なX軸,Y軸およびZ軸方向の力
とそれら3軸のまわりの回転モーメントとに換算するこ
とができるのであり、この換算結果は車両の挙動制御に
使用し易いものである。 (18)前記作用力検出部が、少なくとも前記ホイール
の回転軸線と交差する方向の力を検出する(17)項に記載
のホイール作用力検出装置。 (19)前記作用力検出部が、前記ホイールの半径方向
に平行な方向の力を検出する(17)項または(18)項に記載
のホイール作用力検出装置。 (20)前記作用力検出部が、前記ホイールの回転軸線
と平行な方向の力と、回転軸線に直交し、かつ、互いに
直交する2軸方向のそれぞれの力とを検出する3軸力検
出部を含む(17)項ないし(19)項のいずれか1つに記載の
ホイール作用力検出装置。 (21)前記作用力検出部が、前記ホイールディスクに
設けられ、前記ホイールに作用する力に起因するホイー
ルディスクの歪みを検出する歪み検出部を含む(17)項な
いし(20)項のいずれか1つに記載のホイール作用力検出
装置。ホイールディスクは概して円盤状を成したもので
あり、タイヤ等を支持するものではない。ホイールディ
スクは、ホイールに加えられる力に起因して変形しやす
いものなのであり、ホイールディスクの歪みに基づいて
ホイールに作用する力を検出することは妥当なことであ
る。 (22)前記作用力検出部が、互いに直交する3軸の周
りの回転モーメントの少なくとも1つに起因する前記ホ
イールディスクの歪みを検出するモーメント検出部を含
む(17)項ないし(21)項に記載のホイール作用力検出装
置。 (23)前記作用力検出部によって検出された力を表す
信号を送信する送信機と、前記ホイールを回転可能に保
持する保持部材に設けられ、前記送信機から送信された
信号を受信して、前記演算部に供給する受信機とを前記
ホイールディスクの内側に備えた(17)項ないし(22)項の
いずれか1つに記載のホイール作用力検出装置(請求項
)。作用力検出部によって検出された作用力と、ホイ
ールの回転位置とに基づけば、ホイールの6分力の少な
くとも1つを求めることができる。本態様においては、
ホイール回転位置検出装置の回転検出部と、作用力検出
部とのみならず、送信機および受信機もホイールディス
クの内側に設けられるため、車両の見栄えが悪くなった
り、公道の走行が不可能になったりすることがない。 (24)前記送信機および受信機によってテレメータシ
ステムが構成される(23)項に記載のホイール作用力検出
装置。送信機と受信機との間の通信は無線によって行わ
れる。テレメータシステムには、FMテレメータシステ
ムやPCM多重テレメータシステムがある。 (25)前記回転部に前記被検出部が設けられるととも
に、前記送信機の送信アンテナが設けられ、前記非回転
部に前記検出部が設けられるとともに、前記受信機の受
信アンテナが設けられる(17)項ないし(24)項のいずれか
1つに記載のホイール作用力検出装置。作用力検出部が
ホイールディスクに設けられ、回転部がホイールディス
クに設けられる場合には、回転部に送信アンテナを予め
設けておけば、ホイール作用力検出装置の取付けが容易
になる。送信アンテナに、ホイールディスクに設けられ
た作用力検出部の出力信号を処理する送信機の信号処理
部を接続すればよいからである。 (26)(17)項ないし(25)項のいずれかに記載のホイー
ル作用力検出装置と、そのホイール作用力検出装置によ
って検出された6分力の少なくとも1つに基づいて車両
の挙動を制御する挙動制御装置とを含むことを特徴とす
る車両制御装置(請求項10)。例えば、6分力に基づ
いて、ホイール各々についてタイヤの路面との接触状態
である接地状態(例えば、摩擦力,路面から受ける荷
重,横力,コーナリングフォース,セルフアライニング
トルク等)が検出され、その接地状態に基づいて車両の
挙動が制御されるようにすることができる。6分力に基
づけば、車両の挙動制御を適切に行うことができるので
ある。挙動制御の具体的な態様については、次項におい
て説明する。また、ホイールの各々について、タイヤの
接地状態を検出することができるため、ホイール毎に制
御が必要か否かがわかるのであり、必要なホイールにつ
いてのみに制御が行われるようにすることができる。な
お、ホイール作用力検出装置は、車両に含まれるすべて
のホイールに設けることが望ましいが、少なくとも1つ
のホイールに設ければよい。1つのホイールに加えられ
る6分力の少なくとも1つに基づいて、そのホイールに
ついての制御が行われたり、車両全体の制御が行われた
りするようにすることができる。複数のホイールに設け
られた場合には、複数のホイールに加えられる6分力の
うちの少なくとも1つに基づいて、それぞれ別個独立に
制御することができるが、相対的に制御することも可能
である。前者の一例として、すべてのホイールに加わる
横力がそれぞれ理論値に等しくなるように、ホイール毎
に行われる制御が該当し、後者の一例として、6分力の
うちの少なくとも1つを比較することによって、タイヤ
が限界状態に最も近いホイールを検出し、そのホイール
のタイヤが限界状態に至らないように1つ以上のホイー
ルに行われる制御あるいは車両全体に行われる制御が該
当する。また、挙動制御装置においては、ホイール毎に
制御が行われるようにすることが望ましい場合が多い
が、それに限らない。1つ以上のホイールの6分力の少
なくとも1つに基づいて車両の走行状態が車両全体とし
て制御(例えば、後輪舵角の制御,駆動装置の制御等)
されるようにすることもできる。 (27)前記挙動制御装置が、前記ホイールに加えられ
る制動トルクと駆動トルクとの少なくとも一方を制御す
る制動・駆動トルク制御装置と、前記ホイールが搭載さ
れた車両の旋回状態を制御する旋回制御装置と、前記ホ
イールが搭載された車両の姿勢を制御する姿勢制御装置
との少なくとも一つを含む(26)項に記載の車両制御装
置。6分力の少なくとも1つに基づけば、タイヤの接地
面に作用する前後力,横力, 上下力等を検出することが
でき、車輪のスリップ状態や車両の旋回状態や車両の姿
勢等を検出することができる。制動・駆動トルク制御装
置は、例えば、タイヤと路面との間の摩擦力を最大限に
利用し得るように制動トルクや駆動トルクを制御する装
置であり、制動トルクを、摩擦力が路面とタイヤとの最
大摩擦力近傍の大きさに保たれるように制御するアンチ
ロック制御部を含むものとしたり、駆動トルクを、摩擦
力が最大摩擦力近傍の大きさに保たれるように制御する
トラクション制御部を含むものとしたり、横力が限界状
態に達しないように横力を制御する(例えば、制動トル
クや駆動トルクを制御することによって前後力を制御
し、結果として横力を制御する)横力制御部を含むもの
としたりすることができる。旋回制御装置は、例えば、
タイヤに余裕がある場合には、車両の回頭性を向上さ
せ、余裕がない場合には安定性を向上させるように、後
輪舵角を制御する装置とすることができる。少なくとも
1つのホイールに加わる横力が限界値に達する以前は、
後輪を逆相側に転舵させ、限界値に達した場合は、同相
側に転舵させるのである。横力の限界値は、例えば、ス
テアリングホイールの操舵角の増加に伴って横力が増加
しなくなり、かつ、セルフアライニングトルクMz の値
が0になった場合の値とすることができる。この制御
は、ホイールに加わる6分力の少なくとも1つに基づい
て車両全体として行われる制御の一例である。姿勢制御
装置は、例えば、車両の姿勢がほぼ水平方向に保たれる
ように、各ホイールに対応して設けられたショックアブ
ソーバの減衰特性を制御する装置とすることができる。
前後左右それぞれに位置するホイールの上下力や上下力
の変化状態に基づいて車両の姿勢(例えば、ローリング
状態,ピッチング状態)を検出し、それに基づいて、車
両の姿勢がほぼ水平な状態に保たれるように減衰特性を
制御(アンチロール制御,アンチスクワット制御と称す
ることがある)するのである。減衰特性の制御は、各車
輪に加えられる荷重の制御に対応すると考えることもで
きる。なお、車両がハウンシング状態にあると検出され
た場合には、車両の上下方向の振動が抑制されるように
減衰特性を制御する乗り心地制御が行われるようにする
こともできる。その他、前記車両の駆動伝達装置(例え
ば、トランスミッション,差動制限装置等が該当する)
を制御する駆動伝達制御装置等を含むものとすることも
できる。 (28)前記制動・駆動トルク制御装置が、前記ホイー
ル作用力検出装置によって検出された6分力のうちの少
なくとも1つに基づいて、前記ホイールに取り付けられ
たタイヤと路面との間の摩擦力を検出する摩擦力検出部
を含み、その摩擦力検出部によって検出された摩擦力に
基づいて前記制動トルクと駆動トルクとの少なくとも一
方を制御するものである(27)項に記載の車両制御装置。 (29)(17)項ないし(25)項のいずれかに記載のホイー
ル作用力検出装置と、そのホイール作用力検出装置によ
って検出された6分力のうちの少なくとも1つに基づい
て、前記ホイールに取り付けられたタイヤと路面との間
の摩擦係数を検出する摩擦係数検出部とを含む摩擦係数
検出装置。路面とタイヤとの摩擦力と、上下力とに基づ
けば、タイヤと路面との摩擦係数μの値を求めることが
できる。アンチロック制御開始時,トラクション制御開
始時の摩擦力と上下力とによれば、最大摩擦力に対応す
る摩擦係数を検出することができる。 (30)(17)項ないし(25)項のいずれかに記載のホイー
ル作用力検出装置と、そのホイール作用力検出装置によ
って検出された6分力のうちの少なくとも1つに基づい
て、路面の凹凸を検出する路面状態検出部と、その路面
状態検出部によって検出された路面の凹凸の程度に基づ
いて悪路か否かを検出する悪路検出部とを含む悪路検出
装置。上下力の変化状態に基づけば、車輪の路面からの
荷重の変化を検出することができるのであり、路面の凹
凸状態を検出することができる。例えば、走行速度に基
づいて決まる設定時間内における上下力の振幅が設定値
以上である場合等には、悪路であるとすることができ
る。 (31)(17)項ないし(25)項のいずれかに記載のホイー
ル作用力検出装置と、そのホイール作用力検出装置によ
って検出された6分力のうちの少なくとも1つに基づい
て、タイヤが限界状態にあることを検出する限界検出部
と、その限界検出部によってタイヤが限界状態にあると
検出された場合に、警報装置を作動させる警報装置作動
部とを含む警報装置。タイヤが限界状態に達したことが
運転者に知らせることができれば有効である。運転者
は、それによって、操舵を修正することができる。タイ
ヤが限界状態にあることは、例えば、実際の横力がステ
アリングホイールの操舵角と車速とに基づいて決まる横
力の理論値より小さい場合に限界状態に達したとするこ
とができる。また、実際の横力が、ステアリングホイー
ルの操舵角の増加に伴って増加しなくなった場合に限界
状態に達したとしたり、セルフアライニングトルクMz
が0になった場合に達したとすることができる。また、
コーナリングフォースに基づいてタイヤが限界状態に達
したことを検出することも可能である。なお、タイヤが
限界状態に達する可能性が高いこと、換言すれば、タイ
ヤが限界状態に近い状態にあることが検出された場合に
警報装置が作動させられるようにすることもできる。 (32)タイヤを保持するホイールリムとハブへの取付
部であるホイールディスクとを含むホイールの回転位置
を検出するホイール回転位置検出装置と、前記ホイール
に設けられ、そのホイールに加わる6分力のうちの少な
くとも1つを検出するホイール作用力検出装置と、その
ホイール作用力検出装置によって検出された力と、前記
ホイール回転位置検出装置によって検出された回転位置
とに基づいて、市販車両の挙動を制御する車両挙動制御
装置とを含み、市販車両を制御することを特徴とする市
販車両制御装置。本項に記載の市販車両制御装置には、
(1) 項ないし(31)項のいずれかに記載のホイール回転位
置検出装置, ホイール作用力検出装置, 車両制御装置に
ついての技術的特徴を採用することができる。 (33)タイヤを保持するホイールリムとハブへの取付
部であるホイールディスクとを含むホイールの回転位置
を検出する回転位置検出装置であって、前記ホイールデ
ィスクの内側に設けられ、前記ホイールと共に回転する
回転部に設けられた被検出部と、回転しない非回転部に
設けられ、前記被検出部を検出する検出部とを含む回転
検出部と、前記回転部に設けられた送信アンテナと前記
非回転部に設けられた受信アンテナとを含む一対のアン
テナ部とを含むアンテナ付きホイール回転位置検出装
置。回転部に送信アンテナが設けられ、非回転部に受信
アンテナが設けられれば、ホイール側(回転側)の情報
を非回転部に供給することができる。送信アンテナに、
ホイール側に設けられた検出装置による出力信号を通信
用に処理する信号処理部を接続すれば、その検出装置に
よる検出値を表す信号を非回転部に送信することができ
る。特に、ホイールに設けられた作用力検出装置による
検出値を非回転部に供給することは有効である。非回転
部(ホイールを回転可能に保持する保持部材側)におい
て、作用力とホイールの回転位置とに基づいて6分力の
少なくとも1つを検出することが可能となる。6分力の
少なくとも1つを演算により求める演算部は非回転部に
設けられることが多い。本項に記載のアンテナ付きホイ
ール回転位置検出装置には、(1) 項ないし(32)項の技術
的特徴を採用することができる。 (34)タイヤを保持するホイールリムとハブへの取付
部であるホイールディスクとを含むホイールの回転角度
を検出する回転角度検出装置であって、前記ホイールと
共に回転する回転部と回転しない非回転部との一方に設
けられた検出部と、それら回転部と非回転部との他方に
設けられて前記検出部により検出される被検出部とを含
む回転検出部を含むホイール回転角度検出装置。本項に
記載のホイール回転角度検出装置は、ホイールの回転位
置を検出するものには限らない。回転角度を相対的に検
出するものであってよいのであり、車輪の回転速度を検
出する車輪速度センサとして使用することもできる。本
項に記載のホイール回転角度検出装置には、(1) 項ない
し(33)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用すること
ができる。 (35)前記回転部と非回転部との少なくとも一方が、
前記ハブとホイールディスクとの間に設けられた(34)項
に記載のホイール回転角度検出装置。 (36)前記非回転部が、前記ハブに相対回転可能に支
持された(34)項または(35)項に記載のホイール回転角度
検出装置。 (37)前記回転部が、ホイールディスクに相対回転不
能に支持された(34)項ないし(36)項のいずれか1つに記
載の回転角度検出装置。 (38)タイヤを保持するホイールリムとハブへの取付
部であるホイールディスクとを含むホイールの回転位置
を検出する回転位置検出方法であって、前記ホイールデ
ィスクの内側であって、前記ホイールと共に回転する回
転部と回転しない非回転部との一方に設けられた検出部
が、それら回転部と非回転部との他方に設けられた被検
出部を検出することによって、前記ホイールの回転位置
を検出することを特徴とする回転位置検出方法。
【0004】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態である
車両制御装置について説明する。この車両制御装置に
は、本発明の一実施形態であるホイール作用力検出装
置,ホイール回転位置検出装置が含まれる。本車両制御
装置は、図8に示すように、駆動輪としての左右前輪4
と従動輪としての左右後輪6とを含む前輪駆動車に搭載
されたものである。以下、各々の車輪について説明する
が、図1に示すタイヤ付きホイールは従動輪(以下、タ
イヤ付きホイールを特に区別する必要がない場合には車
輪と略称する)である。駆動輪については駆動伝達機構
が異なるが、回転位置検出装置や作用力検出装置につい
ては、従動輪と同様であるため、図示および説明を省略
する。
【0005】図1において、10はホイールである。ホ
イール10は、タイヤ12を保持するホイールリム14
と、ハブ16への取付部としてのホイールディスク18
とを含む。ホイールディスク18は、ホイールリム14
にアッチメント20を介して固定されている。ホイール
ディスク18は、一対のハブボルト21,ハブナット2
2によってハブ16に固定される。ハブ16には、ブレ
ーキディスク26が相対回転不能に固定されている。ま
た、ブレーキアクチュエータ27(図8参照)を保持す
るキャリパ28は、保持部材としてのサスペンション部
材30にマウンティングブラケット32を介して保持さ
れている。
【0006】ホイールディスク18の内側、すなわち、
車両中央側には、ホイール10の回転位置を検出する回
転位置検出装置36が設けられている。回転位置検出装
置36は、回転部38に設けられた被検出部40,41
と、非回転部42に設けられた検出部44,45とを含
む。回転部38は、ホイールディスク18の内側面に相
対回転不能に設けられ、非回転部42は、回転部38に
軸方向に対向する状態で、ハブ16とホイールディスク
18との間に設けられる。これらハブ16とホイールデ
ィスク18との間の隙間には、ホイールディスク18,
ハブ16と一体的に回転可能にスペーサ46が配設され
ているのであるが、そのスペーサ46の外周側に、非回
転部42がベアリング48を介して設けられるのであ
る。非回転部42はベアリング48により、スペーサ4
6に対して相対回転可能とされるのであり、スペーサ4
6の回転に伴って回転しないようにされている。ベアリ
ング48はスペーサ46の回転の非回転部42への伝達
を阻止する回転伝達遮断装置としての機能を有する。非
回転部42は、マウンティングブラケット30に結合さ
れている。それによって、非回転部42の回転が阻止さ
れる。非回転部42は、概してC字形を成したものであ
るが、その開口部がキャリパ28に対応する状態で設け
られる。
【0007】回転部38には、被検出部40,41が設
けられている。被検出部40は、全周に、均一の間隔で
設けられた多数個のピンを含む。回転位置検出装置36
の分解能は、ピンの本数等によって決まるのであり、本
実施形態においては、360本のピンが設けられている
ため、分解能は0.5°になる。それに対して、被検出
部41は1つのピンを含むものであり、被検出部40の
内周側に設けられている。この被検出部41が検出部に
よって検出される位置がホイール10の基準回転位置で
ある。非回転部42には、2つの検出部44,45が半
径方向に並んで設けられている。検出部44は、半径方
向の被検出部40に対応する位置に設けられ、検出部4
5は、被検出部41に対応する位置に設けられる。検出
部44,45は、概してコの字形を成したものであり、
コの字形の一対のアームの間のピンの有無を磁気的ある
いは光学的に検出する。
【0008】本ホイール回転位置検出装置36におい
て、検出部45によって被検出部41が検出された位置
がホイールの基準回転位置であり、その位置からのホイ
ール10の回転角度が、ホイール10の絶対回転角度で
あり、ホイール10の回転位置(位相)である。回転角
度は、検出部44によって検出される。このように、本
実施形態においては、ホイール回転位置検出装置36
が、ホイールディスク18の内側に設けられるため、車
両の見栄えが悪くなったり、公道を走行不能になったり
することを回避することができる。また、被検出部4
0,41、検出部44,45が、それぞれ回転部38,
非回転部42に設けられるため、回転位置検出装置36
の取り付けが容易になる。ディスクホイールの外側に設
ける場合には、回転位置検出装置を支持する支持アーム
を車体に固定する作業等が必要になり面倒なのである。
なお、2つの検出部44,45が半径方向に並んで配設
されることは不可欠ではなく、周方向に異なる位置(非
回転部42の互いに異なる位相)に設けてもよい。この
場合においても、検出部45によって被検出部41が検
出されてからの、ホイール10の回転角度を検出するこ
とができる。
【0009】ホイールディスク18には、作用力検出装
置としての歪み検出装置56が設けられている。歪み検
出装置56は複数個の歪みセンサを含むものであり、複
数の歪みセンサの出力信号に基づいて後述する6分力が
検出される。ホイールディスク18は、図2に示すよう
に、半径方向に延びる4本のスポーク60,62,6
4,66を有するものであり、スポーク60,62,6
4,66の各々には歪みセンサ70,72,74,76
が設けられている。これら歪みセンサ70〜76の各々
は複数の検出部を含むものであり、それぞれのスポーク
60〜66の予め定められた複数の位置に同様に取り付
けられている。以下、スポーク60に設けられた歪みセ
ンサ70について説明し、他の歪みセンサ72〜76に
ついての説明は省略する。スポーク60において、図3
に示すように、外面80と内面82とには、それぞれ、
半径方向の歪みを検出する歪みセンサ70a,70bが
設けられ、側面84には、半径方向に対して傾斜した方
向の歪みを検出する2つの歪みセンサ70c,dが設け
られ、側面86にも同様に2つの歪みセンサ70e,f
が設けられる。側面84,86には、半径方向の歪みを
検出する歪みセンサ70g,歪みセンサ70hも設けら
れる。また、内面82の外縁部付近には、半径方向にほ
ぼ直交する方向(回転軸線Lと平行な方向)の歪みを検
出する歪みセンサ70kが設けられる。
【0010】図15に示すように、車両の横方向の水平
方向がY軸方向とされ、Y軸に垂直な面の水平方向がX
軸方向,垂直方向がZ軸方向とされた直交座標系を考え
る。本実施形態においては、簡単のため、回転軸線Lが
Y軸方向(横方向)と一致する方向とされる。車輪中心
面Pが垂直な面となり、車輪中心面P内にX軸,Z軸が
設けられることになる。ホイール10の回転に伴って車
輪中心面Pが回転軸線Lを中心として回転させられる
が、本実施形態におけるXYZ直交座標系においては、
Y軸を中心としてXZ平面が回転させられることにな
る。
【0011】まず、ホイール10が基準回転位置から絶
対回転角度θの位置にある場合において、力が作用する
場合について考える。力のX軸成分,Z軸成分を、それ
ぞれ、力Fx ,Fz とする。図4,5に示すように、ス
ポーク60に作用する力は、力(Fz cos θ−Fx sin
θ)であり、歪みセンサ70a,70bによって、力
(Fz cos θ−Fx sin θ)に起因して生じる歪みε70
ab(=ε70a +ε70b )が検出される。スポーク64に
ついても同様であるが、スポーク64に作用する力は、
大きさは同じであるが、向きが逆になり、歪みセンサ7
4a,74bによっては、力(Fx sin θ−Fz cos
θ)に起因して生じる歪みε74ab(=ε74a+ε74b
が検出される。また、スポーク62には、力(−Fz si
n θ−Fx cos θ)が作用し、歪みセンサ72a,72
bは、力(−Fz sin θ−Fx cos θ)に起因して生じ
る歪みε72ab(=ε72a +ε72b )を検出する。スポー
ク66には、スポーク62とは逆向きの力が作用するた
め、歪みセンサ76aは、力(Fz sin θ+Fx cos
θ)に起因して生じる歪みε76ab(=ε76a +ε76b
を検出する。
【0012】歪みセンサ70a,70bによって検出さ
れた歪みε70abと、歪みセンサ74a,74bによって
検出されたε74abの間には、式 k1 ・(ε70ab−ε74ab)=Fz cos θ−Fx sin θ・・・(1) で表される関係が成立する。ここで、k1 は係数であ
る。以下、同様に、k2 〜k6 も係数である。これら係
数は、ホイールディスク18の形状,材質等によって決
まり、予め定められている。また、歪みセンサ72a,
72bと歪みセンサ76a,76bによって検出された
歪みε72ab, ε76abの間には、式 k3 ・(ε76ab−ε72ab)=Fz sin θ+Fx cos θ・・・(2) で表される関係が成立する。これら(1) 式、(2) 式から
Z軸方向力Fz ,X軸方向力Fx を、それぞれ式 Fx =k3 (ε76ab−ε72ab)cos θ−k1 (ε70ab−ε74ab)sin θ・・(3) Fz =k1 (ε70ab−ε74ab)cos θ+k3 (ε76ab−ε72ab)sin θ・・(4) に従って求めることができる。また、Y軸方向力Fy
は、回転位置θの影響を受けることなく、各スポーク6
0〜66の歪みセンサ70k〜76kの出力値に基づい
て式 Fy =k2 (ε70k +ε72k +ε74k +ε76k )・・・(5) に従って求められる。
【0013】次に、X,Y,Z軸周りにモーメントが生
じた場合について説明する。各々の軸の周りにモーメン
トが生じると、図6(a) 〜(c) に示すように、スポーク
60〜66が撓められる。Y軸周りにモーメントMy が
生じると、図6の(a) に示すように、スポーク60に
は、歪みセンサ70gによって検出される歪みε70g
絶対値と歪みセンサ70hによって検出される歪みε70
h の絶対値との和に応じた歪みが生じる(ε70g +ε70
h =ε70gh)。モーメントMy に起因する歪みは、各々
のスポークについて同様に生じるため、モーメントMy
は、これらの和に基づいて、式 My =k4 (ε70gh+ε72gh+ε74gh+ε76gh)・・・(6) に従って求めることができる。
【0014】X軸周りにモーメントMx が生じると、ス
ポーク64,60がX軸周りに撓められる。このモーメ
ントMx に起因して生じるスポーク64についての歪み
は、歪みセンサ74c,d,e,fによって検出された
歪みの絶対値の和(ε74c +ε74d +ε74e +ε74f
ε72cdef)となる。この歪みは、スポーク60について
も同様に生じるが、撓みの方向が逆になる。また、Z軸
周りのモーメントMzが生じると、スポーク66,62
がZ軸周りに撓められ、このモーメントMz に起因して
生じるスポーク66についての歪みは、歪みセンサ76
c,d,e,fによって検出された歪みの絶対値の和
(ε76 c +ε76d +ε76e +ε76f =ε76cdef)とな
る。この歪みは、スポーク62についても同様に生じる
が、撓みの向きが逆になる。さらに、モーメントMx ,
Mzには、図6(d)に示す関係が成立する。したがっ
て、これらを考慮すれば、X軸周りのモーメントMx ,
Z軸周りのモーメントMzは、それぞれ、式 Mx =k5 (ε74cdef−ε70cdef)cos θ−k6 (ε76cdef−ε72cdef)sin θ ・・(7) Mz =k5 (ε74cdef−ε70cdef)sin θ+k6 (ε76cdef−ε72cdef)cos θ ・・(8) に従って求めることができる。これらの演算は、保持部
材側(車体側部材)に設けられた制御装置88において
行われる。制御装置88については後述する。
【0015】歪みセンサ70〜76には、図7に示すよ
うに、それぞれ信号処理部90A〜90Fが接続されて
いる。なお、図2の符号91A,Bは、電池である。信
号処理部90Aには、歪みセンサ70a,70b,74
a,74bが接続される。その結果、信号処理部90A
から出力される信号は、スポーク60,64に作用する
力によって生じる歪みを表すことになる。歪みセンサ7
0a,70b,74a,74b各々の出力がまとめら
れ、すなわち、ブリッジ回路等を利用して所望の歪みが
得られるようにするのである。信号処理部90Bには、
歪みセンサ76a,76b,72a,72bが接続さ
れ、信号処理部90Bの出力信号によって、スポーク6
2,66に作用する力によって生じる歪みが表される。
信号処理部90Cには、歪みセンサ70k,72k,7
4k,76kが接続され、それの出力信号によってY軸
方向に作用する力によって生じる歪みが表される。ま
た、信号処理部90Dには、歪みセンサ70c,70
d,70e,70fおよび歪みセンサ74c,74d,
74e,74fが接続され、信号処理部90Eには、歪
みセンサ72c,72d,72e,72fおよび歪みセ
ンサ76c,76d,76e,76fが接続される。そ
れぞれ、信号処理部90D,90Eから、スポーク6
0,64に作用するモーメントに起因して生じる歪みを
表す信号、スポーク62,66に作用するモーメントに
起因して生じる歪みを表す信号が出力される。信号処理
部90Fには、歪みセンサ70g,70h,72g,7
2h,74g,74h,76g,76hが接続され、Y
軸廻りに作用するモーメントに起因して生じる歪みを表
す信号が出力されることになる。
【0016】信号処理部90A〜Fは、図示しないが、
振幅変調回路,増幅回路,周波数変調回路等を含む。歪
みセンサの出力信号で、副搬送波発振回路において発生
させられる副搬送波が振幅変調された後、増幅される。
その増幅された歪みセンサの出力信号で、主搬送波発振
回路において発生させられる主搬送波が周波数変調(F
M)されて送信アンテナに出力される。送信アンテナ9
4は、ホイールディスク16の裏面82に固定された回
転部38に設けられるが、本実施形態においては、信号
処理部90A〜Fに共通とされている。信号処理部90
A〜Fおよび送信アンテナ94によって送信機95が構
成される。
【0017】それに対して、受信アンテナ96は非回転
体42に設けられる。受信アンテナ96において受信し
た信号は、信号処理部97を介して制御装置88に供給
される。信号処理部97は、高周波増幅回路,中間周波
数変換回路,FM復調回路,AM復調回路,コンディシ
ョナ回路等を含む。受信した高周波の信号が増幅され、
高周波の信号がフィルタで除去される。周波数変調され
た信号が振幅変調された信号に変調され、歪みを表す信
号に復調され、増幅された後、制御装置88に出力され
る。信号処理部97および受信アンテナ96によって受
信機98が構成され、受信機98および送信機95によ
ってテレメータシステム99が構成される。本実施形態
に係るホイール作用力検出装置は、通信装置付き作用力
検出装置なのである。また、送信アンテナ94,受信ア
ンテナ96は回転位置検出装置の構成部材に取り付けら
れているため、回転位置検出装置36は、アンテナ付き
回転位置検出装置なのである。
【0018】なお、本実施形態においては、歪みセンサ
70〜76の出力を、FMテレメータシステム99を介
して制御装置88にアナログデータで伝送されるように
されているが、歪み検出装置56の信号処理部90A〜
Fにおいて、ディジタルデータに変換して、例えば、P
CM多重テレメータシステムにより伝送することもでき
る。この場合には、送信機95,受信機98は、それぞ
れ、PCM多重テレメータシステム用のものに置き換え
られる。また、回転位置検出装置36の検出部44,4
5を回転部38に、被検出部40,41を非回転部42
に設け、信号処理部90A〜Fを統合するもできる。こ
の場合には、統合された1つの信号処理部において、回
転位置θの検出処理と歪みセンサ70〜76による出力
値(ディジタルデータ)に基づく6分力の演算とが行わ
れるようにして、その結果を表す6分力データがPCM
多重テレメータシステムを介して制御装置88に伝送さ
れるようにする。
【0019】制御装置88は、図8に示すように、コン
ピュータを主体とするものであり、CPU102,RO
M104,RAM106,入力部108,出力部110
等を含む。入力部108には、前述の回転位置検出装置
36,図示しないステアリングホイールの操舵角を検出
する操舵角センサ112,各車輪に設けられた受信機9
8等が接続され、出力部110には、制動トルク制御ア
クチュエータ120,駆動トルク制御アクチュエータ1
22等が接続されている。また、ROM104には、図
9のフローチャートで表される6分力演算プログラム、
図10のフローチャートで表される回転位置検出プログ
ラム,図11のフローチャートで表される挙動制御プロ
グラム,図13のフローチャートで表されるアンチロッ
ク制御プログラム等種々のプログラムやテーブルが格納
されている。
【0020】制動トルク制御アクチュエータ120は、
左右前輪4,左右後輪6の各々について設けられたもの
であり、各車輪4,6に加えられる制動トルクが別個独
立に制御される。本実施形態においては、図1に示すよ
うに、ブレーキが、キャリパ28に保持されたブレーキ
アクチュエータ27の作動により摩擦パッドがブレーキ
ディスク26に押し付けられてブレーキ力を発生させる
摩擦ブレーキであり、ブレーキアクチュエータ27は、
液圧により作動させられるブレーキシリンダであり、そ
のブレーキシリンダ27の液圧を図示しない動力式液圧
源の作動液を利用して制御する液圧制御装置が制動トル
ク制御アクチュエータ120に該当する。なお、制動ト
ルク制御アクチュエータ27は電動モータとすることも
できる。電動モータの作動により摩擦パッドがブレーキ
ディスク26に押し付けられるのであるが、押付力は電
動モータへの供給電流の制御により制御される。
【0021】駆動トルク制御アクチュエータ122は、
車両の駆動装置124を制御することによって、左右前
輪4に加えられる駆動トルクを制御するものである。駆
動装置124がエンジンを含む場合には、エンジンの燃
焼室への燃料供給量を制御する装置や燃焼室への空気供
給量を制御する装置等のエンジン制御装置が該当する。
なお、駆動装置124は電動モータを含むものとするこ
ともできる。この場合には、電動モータを流れる電流を
制御することによって、駆動トルクが制御される。
【0022】制御装置88においては、供給された各歪
みεと、ホイール10の絶対角度θ(以下、回転位置θ
W と称する)とに基づいて、前述のように、ホイール1
0に加えられる6分力が求められる。図9に示すよう
に、ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップ
についても同様とする)において、歪みεが読み込ま
れ、S2において、回転位置θWが読み込まれる。そし
て、S3において、前述のように、歪みεと回転位置θ
Wとに基づいて6分力がそれぞれ演算により求められ
る。回転位置θW は、図10のフローチャートで表され
る回転位置検出プログラムの実行に従って検出される。
S11において、検出部44によって回転角度が検出さ
れる。検出部44によってピンが検出されない場合に
は、カウント値は変わらないが、検出された場合には、
ホイール10の回転方向により、カウント値が1増加あ
るいは減少させられるのである。S12において、検出
部45によって被検出部41が検出されたか否かが検出
され、被検出部41が検出された場合には、ホイール1
0が基準回転位置にあるとされて、S13において、検
出部44による被検出部40のカウント値がクリアされ
る。被検出部41が検出されない場合には、S14にお
いて、回転位置θW が検出部44によるカウント値に対
応する大きさとされる。ホイール10の回転方向は、図
示しないシフトレバー位置等に基づいて検出することが
できる。なお、この回転位置θW の検出は、制御装置8
8において行われても、回転位置検出装置36に設けら
れた演算回路等において行われてもよい。
【0023】また、6分力の少なくとも1つに基づいて
車両の挙動が制御される。本実施形態においては、ステ
アリングホイールの操舵角,車速等によって決まる各ホ
イール10の目標横力から実際の横力を引いた値が設定
値より小さい場合に、そのホイール10のタイヤ12が
限界状態にあるとして、そのことに起因する車両の挙動
の変化を抑制する制御が行われる。制御の概要について
図12に基づいて説明する。実際の横力が目標値より設
定値以上小さい場合には、原則として、その車輪の前後
力の絶対値が小さくされる。すなわち、駆動トルクが加
えられている場合には、その車輪の駆動トルク自体を小
さくしたり、制動トルクを加えることによって前後力の
絶対値を小さくしたりする。制動トルクが加えられてい
る場合には、その制動トルクを小さくする。それに対し
て、その車輪の前後力の絶対値を小さくすることができ
ない場合(例えば、その車輪が従動輪である場合におい
て制動中でない場合等前後力が殆ど0である場合等)に
は、車両の走行速度を小さくして、走行安定性の低下が
抑制される。また、この挙動制御は、制御対象輪につい
てアンチロック制御やトラクション制御が行われている
場合は行われない。挙動制御中にアンチロック制御やト
ラクション制御の開始条件が満たされた場合には、アン
チロック制御やトラクション制御が開始される。アンチ
ロック制御やトラクション制御が挙動制御より優先して
行われるのである。
【0024】図11のフローチャートで表される車両挙
動制御プログラムは各車輪毎に実行される。S21,2
2において、車両が直進かつ定速走行中であるか否かが
判定される。直進かつ定速走行中である場合には、S2
3において、各車輪4,6の各々の上下力Fz が読み取
られる。直進かつ定速走行状態における上下力に基づい
て車両の積載状態等が検出されるのである。本実施形態
においては、ステアリングホイールの操舵角θS の絶対
値が設定値以下であり、走行速度の変化量の絶対値が設
定値以下である場合に、直進かつ定速走行中であるとさ
れる。走行速度は、各車輪の回転速度に基づいて求めら
れる。スリップ率を求める場合も同様である。S24に
おいて、ステアリングホイールの操舵角θS ,車速が読
み込まれ、S25において、これら操舵角θS および車
速,上述の上下力Fz 等に基づいて、各車輪の横力の目
標値(以下、目標横力と称する)Fy * が求められる。
S26において、実際の横力Fy が読み込まれ、S27
において、目標横力Fy * から実際の横力Fy を引いた
偏差ΔFy が求められる。そして、S28において、偏
差ΔFy が設定値γより小さいか否かが判定される。
【0025】偏差ΔFy が設定値γ以上である場合に
は、S29において、図12のテーブルに従って制御対
象輪および制御内容が決定される。S30において、そ
の制御対象輪についてアンチロック制御フラグあるい
は,トラクション制御フラグがセットされているか否か
が判定され、セットされていない場合には、S31にお
いて上述の制御が行われる。セットされている場合に
は、制御が行われることはない。偏差ΔFy が設定値γ
より小さく、実際の横力Fy がほぼ目標横力Fy * と同
じ大きさである場合にも制御が行われることはない。本
車両挙動制御においては、実際の横力が操舵角に応じて
決まる目標横力に近づくように車両の挙動が制御される
ため、運転者の意図する状態で車両を旋回させることが
可能となる。
【0026】アンチロック制御は、各車輪各々について
別個独立に行われる。各車輪の摩擦力が、制動スリップ
状態の増加に伴って増加しなくなり、摩擦力の変化量の
制動スリップ率の変化量に対する比率ΔFμ/ΔSが負
の設定値A以下になった場合に、アンチロック開始条件
が満たされて、タイヤ12と路面との間の摩擦力が、図
14のグラフで表される目標摩擦力(ピーク値)近傍の
値に保たれるように、制動トルクが制御される。各車輪
の回転速度は、検出部44による被検出部40の検出に
よって求められ、これら各車輪の回転速度に基づいて推
定車体速度が求められ、各車輪のスリップ率が求められ
る。
【0027】図13に示すS41において、アンチロッ
ク制御中であるか否かが判定され、アンチロック制御中
でない場合には、S42において、開始条件が満たされ
るか否かが判定される。開始条件が満たされた場合に
は、S43において、アンチロック制御中フラグがセッ
トされ、S44において、制御モードが決定される。図
14に示すように、スリップ率と摩擦力とが領域Aに属
する場合には増加モードが設定され、領域Bに属する場
合には保持モードが設定され、領域Cにある場合には減
圧モードが設定される。すなわち、スリップ率の増加に
伴って摩擦力が増加する場合,スリップ率の減少に伴っ
て摩擦力が減少する場合(ΔFμ/ΔS>B1 :B1 は
正の値)には増圧モードが設定され、スリップ率の増加
に伴って摩擦力が減少する場合,スリップ率の減少に伴
って摩擦力が増加する場合(ΔFμ/ΔS<B2 :B2
は負の値)は減圧モードが設定され、それ以外の場合、
スリップ率の変化に伴う摩擦力の変化が小さい場合(B
1 <ΔFμ/ΔS<B2 )には、保持モードが設定され
る。
【0028】アンチロック制御中に、S45において、
スリップ率が終了時しきい値以下になったこと、ブレー
キ操作が解除されたこと等の終了条件が満たされたか否
かが判定され、終了条件が満たされない間は、S44が
実行される。上述の制御が繰り返し行われるのであり、
それによって、摩擦力Fμをピーク値近傍の値に保つこ
とができる。終了条件が満たされた場合には、S46に
おいてアンチロック制御中フラグがリセットされ、アン
チロック制御が終了させられる。
【0029】また、同様に、トラクション制御も行われ
る。駆動スリップの増加に伴って摩擦力が増加しなくな
り、僅かに減少に転じた場合には、トラクション制御の
開始条件が満たされたとされて、駆動トルクの制御が開
始される。本実施形態においては、制動トルクを加える
ことによって駆動トルクの制御が行われるのであるが、
トラクション制御が左右前輪4について共通に行われる
場合には、駆動トルク制御アクチュエータ122の制御
により制御することができる。
【0030】一方、6分力は、図15に示すように、回
転軸線Lが、水平でない場合においても求めることがで
きる。例えば、回転軸線Lが、水平線に対して傾いて設
けられる場合、すなわち、車輪中心面Pが、垂直面に対
してキャンバ角δだけ傾いて設けられる場合がある。こ
の場合には、直交座標系X′Y′Z′から直交座標系X
YZへの座標変換が行われることになる。これらの間の
座標変換は、よく知られた座標変換マトリックスに従っ
て行えばよい。また、直交座標系は、図15に示すよう
に、路面との関係で設定することも可能であるが、車両
に固定された座標系とすることもできる。この場合に
は、車両の前後方向,横方向,上下方向をそれぞれX,
Y,Z軸とすることができる。直交座標系は、制御の目
的に応じて適宜設定することができるのである。
【0031】以上のように、本実施形態においては、制
御装置88の図9のフローチャートの6分力演算プログ
ラムを記憶する部分,実行する部分等により、演算部が
構成される。また、図11のフローチャートで表される
挙動制御プログラム,図13のフローチャートで表され
るアンチロック制御プログラムを記憶する部分,実行す
る部分等により挙動制御部が構成される。
【0032】なお、回転位置検出装置は、上記実施形態
におけるそれに限らない。例えば、回転角度検出用の被
検出部40に含まれるピンの1本ずつが、それぞれ異な
る識別情報を有するものとすることができる。多数個の
ピンのうちの1つの識別情報が基準回転位置であること
を表す情報に該当する。この場合には、各々のピンの識
別情報が検出部44によって読み取られれば、ホイール
10の回転位置を検出することができる。本実施形態に
おいては、基準回転位置用の被検出部41および検出部
45が不要となる。また、上記実施形態においては、非
回転部42がスペーサ46に支持されていたが、ハブ1
4に支持されるようにすることができる。ハブ14の外
周側にベアリング等の回転伝達遮断装置を介して設ける
のである。ハブ14に支持されるようにすれば、ホイー
ル10の寸法上スペーサ46が不要な場合に有効であ
る。
【0033】回転位置検出装置は、図16〜19に示す
ように、回転部と非回転部とが回転軸線Lと平行な方向
に関してほぼ重なって内周側と外周側とに設けられたも
のとすることができる。本実施形態においては、回転部
と非回転部とが同心状に設けられるのであり、回転位置
検出装置150がスペーサ46の代わりに設けられる。
回転位置検出装置150は、ハブボルトによってハブ1
6とホイールディスク18との間に固定された回転部1
52と、その回転部152の外周側にベアリング154
を介して設けられた非回転部156とを含む。回転部1
52には、ハブボルト貫通用の穴157a,157bが
形成されている。穴157aは、90°ピッチで設けら
れたものであり、穴157bは72°ピッチで設けられ
たものである。回転部152は、ハブボルトのピッチが
異なる車両にも使用することができるものなのである。
回転部152には、図18に示す角度検出用プレート1
58がピン159によって相対回転不能に取り付けられ
ている。角度検出用プレート158には、多数個のスリ
ットを含む被検出部160が設けられている。被検出部
160は、角度検出用のスリット160aと基準回転位
置検出用のスリット160bとを含む。
【0034】それに対して、非回転部156には検出部
162と受信アンテナ用支持板164とが相対回転不能
に取り付けられている。検出部162はコの字形を成し
たものであり、角度検出用プレート158の外周縁を挟
む状態で設けられている。検出部162は、スリット検
出部を2対含むものであり、それぞれのスリット検出部
によって、スリット160a,bが光学的に検出され
る。受信アンテナ用支持板164は概してC字形を成し
たものであるが、上記実施形態における場合と同様に、
開口部にはキャリバ28が位置することになる。非回転
部156は、マウンティングブラケット32に回転を阻
止する状態で結合されている。本実施形態においては、
上記実施形態における場合と同様に、検出部162によ
ってスリット160bが検出された位置が基準回転位置
とされる。
【0035】なお、上記実施形態においては、被検出部
160が複数個のスリットを有するものであり、検出部
162が光学的にスリットを検出するものであったが、
被検出部160を、角度検出用プレート158の外周縁
に形成された複数の凹凸を含むものとすることができ
る。角度検出用プレートを歯車状のものとするのであ
る。そして、その歯の一つ一つに識別情報を記憶させて
おけば、基準位置用被検出部がなくても、ホイール10
の回転位置を検出することができる。この場合には、検
出部162を磁気的に被検出部を検出するものとする。
また、被検出部160を、ホイール10の基準回転位置
に対応する部分にはスリットが設けられていない欠損部
分が設けられたものとすることができる。この場合に
は、検出部162を周方向に複数個設けることが望まし
い。複数の検出部162の検出結果に基づけば、スリッ
トがない状態と、回転が止まっている状態とを区別して
検出することが可能となる。
【0036】さらに、回転位置検出装置150は、単な
る回転角度センサとして利用することもできる。本実施
形態においては、回転位置検出装置150がハブ16と
ホイールディスク18との間のスペーサ46の代わりに
設けられるため、無駄なスペースを有効に利用し得ると
いう利点がある。また、車輪の回転速度が非常に小さい
場合であっても、回転角度を検出することができるとい
う利点もある。通常アンチロック制御等に使用される電
磁誘導式のセンサにおいては、回転角度が小さい場合に
は、誘導電流が小さくなり、検出値が0となってしまう
のである。
【0037】また、非回転部は、マウンティングブラケ
ットではなく、サスペンションアーム等に直接結合させ
ることもできる。さらに、6分力(X軸方向の力、Z軸
方向の力)を演算する方法は上記実施形態におけるそれ
に限らない。上記実施形態においては、各スポークに加
えられる半径方向の歪み(引張/圧縮)に基づいて求め
られていたが、90°回転した位置のスポークに加えら
れる曲げあるいは剪断に基づいて求められるようにする
こともできる。また、対地車速センサを設け、対地車速
センサによって車両の走行速度が検出されるようにする
ことができる。対地車速センサとしては、例えば、ドッ
プラ効果を利用したものがある。さらに、上記実施形態
における車両制御装置は、車両の駆動装置が電動モータ
を含むものに搭載することもできる。その他、本発明
は、〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段およ
び効果〕に記載された態様を始めとして、当業者の知識
に基づいて種々の改良,変形を施した態様で実施するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である車両制御装置に含ま
れるホイールとしてのタイヤ付きホイールの一部断面図
である。このタイヤ付きホイールには、ホイール回転位
置検出装置の検出部,ホイール作用力検出装置の検出部
が設けられている。
【図2】上記ホイールの斜視図である。
【図3】上記ホイールのスポークの一部を示す図であ
る。
【図4】上記ホイールのホイールディスクを概念的に示
す図である。
【図5】上記ホイールディスクに作用する力の状態を概
念的に示す図である。
【図6】上記ホイールディスクに作用するモーメントの
状態を概念的に示す図である。
【図7】上記車両制御装置に含まれるテレメータシステ
ムを示す図である。
【図8】上記車両制御装置に含まれるコンピュータを主
体とする制御装置の周辺を示す図である。
【図9】上記コンピュータのROMに格納された6分力
演算プログラムを表すフローチャートである。
【図10】上記コンピュータのROMに格納された回転
位置検出プログラムを表すフローチャートである。
【図11】上記コンピュータのROMに格納された車両
挙動制御プログラムを表すフローチャートである。
【図12】上記コンピュータのROMに格納された車両
挙動制御テーブルを表すマップである。
【図13】上記コンピュータのROMに格納されたアン
チロック制御プログラムを表すフローチャートである。
【図14】摩擦力とスリップ率との関係を示す図であ
る。
【図15】車輪中心面と回転軸線との関係を概念的に示
す図である。
【図16】本発明の別の一実施形態であるホイール回転
位置検出装置の正面図である。
【図17】上記ホイール回転位置検出装置の要部を示す
断面図である。
【図18】上記ホイール回転位置検出装置の平面図であ
る。
【図19】上記ホイール回転位置検出装置の角度検出用
プレートの平面図である。
【符号の説明】
10 ホイール 14 ホイールリム 16 ハブ 18 ホイールディスク 32 マウンティングブラケット 36,150 回転位置検出装置 38,152 回転部 40,41,160 被検出部 42,156 非回転部 44,45,162 検出部 46 スペーサ 56 歪み検出装置 70〜76 歪みセンサ 88 制御装置 95 送信機 98 受信機 99 テレメータシステム
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−292294(JP,A) 実開 平2−97668(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01P 3/44 B60B 35/00 G01B 21/22 G01L 5/16

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タイヤを保持するホイールリムとハブへの
    取付部であるホイールディスクとを含むホイールの回転
    位置を検出する回転位置検出装置であって、 前記ホイールと共に回転する回転部と回転しない非回転
    部との一方に設けられた検出部と、それら回転部と非回
    転部との他方に設けられて前記検出部により検出される
    被検出部とを含む回転検出部が、前記ホイールディスク
    の内側に配設されるとともに、前記非回転部を相対回転
    可能に支持する支持部材と前記回転部との少なくとも一
    方が、前記ホイールディスクと前記ハブとの間に支持さ
    れたことを特徴とするホイール回転位置検出装置。
  2. 【請求項2】タイヤを保持するホイールリムとハブへの
    取付部であるホイールディスクとを含むホイールの回転
    位置を検出する回転位置検出装置であって、 前記ホイールと共に回転する回転部と回転しない非回転
    部との一方に設けられた検出部と、それら回転部と非回
    転部との他方に設けられて前記検出部により検出される
    被検出部とを含む回転検出部が前記ホイールディスクの
    内側に配設されるとともに、 前記被検出部が、少なくとも、互いに異なる第1被検出
    部と第2被検出部とを含むとともに、前記検出部が、前
    記第1被検出部を検出することによって前記ホイールの
    回転角度を検出し、前記第2被検出部を検出することに
    よって前記ホイールの基準回転位置を検出するものであ
    り、かつ、前記回転検出部が、前記基準回転位置と前記
    回転角度とに基づいて、前記ホイールの基準回転位置か
    らの回転角度である絶対回転角度を検出する絶対回転角
    度検出部を含むことを特徴とするホイール回転位置検出
    装置。
  3. 【請求項3】前記回転部が前記ホイールディスクと前記
    ハブとの間に支持され、前記非回転部が前記ホイールデ
    ィスクと前記ハブとのいずれか一方に相対回転可能に支
    持された請求項1または2に記載のホイール回転位置検
    出装置。
  4. 【請求項4】前記非回転部を相対回転可能に支持する支
    持部材が前記ホイールディスクと前記ハブとの間に支持
    され、前記回転部が前記ホイールディスク と前記ハブと
    のいずれか一方に相対回転不能に設けられた請求項1ま
    たは2に記載のホイール回転位置検出装置。
  5. 【請求項5】前記回転部が前記ホイールディスクと前記
    ハブとの間に支持され、前記非回転部が回転伝達遮断装
    置を介して前記回転部に支持されて、前記回転部の外周
    側に設けられた請求項1または2に記載のホイール回転
    位置検出装置。
  6. 【請求項6】タイヤを保持するホイールリムとハブへの
    取付部であるホイールディスクとを含むホイールの回転
    位置を検出する回転位置検出装置であって、 前記ホイールと共に回転する回転部と回転しない非回転
    部との一方に設けられた検出部と、それら回転部と非回
    転部との他方に設けられて前記検出部により検出される
    被検出部とを含む回転検出部が、前記ホイールディスク
    の内側に配設されるとともに、前記ハブと相対回転可能
    な非回転部と前記ハブと相対回転不能な回転部との少な
    くとも一方が前記ハブに支持されたことを特徴とするホ
    イール回転位置検出装置。
  7. 【請求項7】タイヤを保持するホイールリムとハブへの
    取付部であるホイールディスクとを含むホイールの回転
    位置を検出する回転位置検出装置であって、 前記ホイールと共に回転する回転部と回転しない非回転
    部との一方に設けられた検出部と、それら回転部と非回
    転部との他方に設けられて前記検出部により検出される
    被検出部とを含む回転検出部を含むとともに、前記ホイ
    ールと相対回転可能な非回転部と前記ホイールと相対回
    転不能な回転部との少なくとも一方が、前記ホイールデ
    ィスクに、それの内側において支持されたことを特徴と
    するホイール回転位置検出装置。
  8. 【請求項8】請求項1ないし7のいずれか1つに記載の
    ホイール回転位置検出装置と、 前記ホイールの一部に設けられ、その一部に作用する力
    を検出する作用力検出部と、 その作用力検出部と前記ホイール回転位置検出装置とに
    より、同時期に検出された作用力とホイール回転位置と
    に基づいて、ホイールに作用する6分力の少なくとも一
    つを演算する演算部とを含むホイール作用力検出装置。
  9. 【請求項9】前記作用力検出部によって検出された力を
    表す信号を送信する送信機と、 前記ホイールを回転可能に保持する保持部材に設けら
    れ、前記送信機から送信された信号を受信して、前記演
    算部に供給する受信機とを前記ホイールディスクの内側
    に備えた請求項に記載のホイール作用力検出装置。
  10. 【請求項10】請求項8または9に記載のホイール作用
    力検出装置と、 そのホイール作用力検出装置によって検出された6分力
    の少なくとも1つに基づいて車両の挙動を制御する挙動
    制御装置とを含むことを特徴とする車両制御装置。
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