JP2004326075A - フルカラー画像形成用カラートナー - Google Patents

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Abstract

【課題】 トナー粒子中の着色剤分散性を良化し、色再現性の優れたフルカラー画像形成用カラートナーを提供することにある。
【解決手段】 フルカラー画像形成用カラートナーにおいて、該トナーが少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤を含有し、該結着樹脂が少なくともポリエステルユニットを有する樹脂であり、該ポリエステルユニットを有する樹脂が下記式(1)で表される錫化合物を触媒として合成されていることを特徴とする。
式(1) (RCOO)Sn
(式中Rは、炭素数5〜15のアルキル基を示す)
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法、及びトナージェット法の如き画像形成方法に用いられるトナー、特にオイルレス定着に適したフルカラー画像形成用のトナーに関するものである。
近年、複写装置やプリンターは、省スペース、省エネなどへの要求から、より小型化、軽量化、高速化、高信頼性が求められている。その結果、ハード構成は種々の点でシンプルな要素で構成されるようになっており、トナーに要求される性能はより高度になっている。つまり、トナー性能の向上が達成できなければ優れたハードウェアを提供できなくなりつつある。なかでも特に、カラートナー性能に求められるのが色再現性である。
フルカラー画像用複写機やプリンターにおいては、例えば、複数の感光体を用い、各感光体上にそれぞれ形成された静電荷像をシアントナー,マゼンタトナー,イエロートナー及びブラックトナーを用い現像後、感光体とベルト転写体間に転写材を搬送しストレートパス間で転写後、フルカラー画像を形成せしめる方法や、感光体に対向せしめた転写体表面に静電気力やグリッパーの如き機械的作用により転写材を巻き付け、現像−転写工程を4回実施することでフルカラー画像を得る方法が一般的に利用されている。
これらフルカラー画像形成用トナーとしては、色再現性の向上やオーバーヘッドプロジェクター(OHP)画像の透明性を損なうことなく加熱加圧定着工程で各トナーが十分混色され転写材に熱定着されることが必要である。
一方、トナー中に含有される結着樹脂としてはスチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられるが、シャープメルト性及び低温定着性の観点からポリエステル樹脂が好ましく用いられる。また最近では、定着領域の拡大のために軟化点の異なる2種類以上のポリエステル樹脂を混合して使用する方法なども検討されている。このように複数の樹脂を使用した場合には、トナー製造時の熱溶融混練工程において着色剤を均一に分散させることがさらに厳しくなってくる。
このような問題に対し、着色剤の分散性向上のためにいくつかの検討がなされている。顔料を予め結着樹脂に高濃度で練りこんだマスターバッチを作製し、同じ結着樹脂、荷電制御剤等を加えて希釈混練をする方法(例えば特許文献1)や、特定のポリエステル樹脂と特定の顔料を組み合わせることで分散性を向上させる試み(例えば特許文献2)がなされている。
しかしながら、この様な技術はある特定の縮重合触媒で合成されたポリエステルを結着樹脂とし、且つ離型剤を含むカラートナーについては言及されていない。
特開平08−15909号公報 特開平07−295293号公報
本発明の目的は、上記の如き問題点を解決したトナーを提供することにあり、トナー粒子中の着色剤分散性を良化し、混色性や透明性等の色再現性の優れたフルカラー画像形成用カラートナーを提供することにある。
さらに、本発明の目的は、環境に因らず安定した画像が得られるフルカラー画像形成用カラートナーを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ある特定の縮重合触媒で合成されたポリエステルユニットを有する結着樹脂を用いることにより、上記要求を満足できることを見出し本発明に至った。すなわち、上記目的は以下のトナーを用いることにより達成できる。
(1)少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤を含有するカラートナーにおいて、該結着樹脂が少なくともポリエステルユニットを有する樹脂であり、該ポリエステルユニットを有する樹脂が下記式(1)で表される錫化合物を触媒として合成されていることを特徴とするカラートナー。
式(1) (RCOO)Sn
(式中Rは、炭素数5〜15のアルキル基を示す。)
(2)前記トナーの45体積%メタノール水溶液での透過率が10〜70%であることを特徴とする(1)に記載のカラートナー。
(3)該トナーの示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲に1個又は複数の吸熱ピークを有し、該吸熱ピーク中の最大吸熱ピーク温度が60〜130℃であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のカラートナー。
本発明によると、定着性、耐高温オフセット性に優れており、またトナー粒子中における着色剤の分散が優れているため、混色性や透明性等の色再現性に優れたトナーを得ることができる。更に、帯電立ち上がり特性が優れ、初期より高画質な画像を得ることができるトナーを得ることができる。
本発明における結着樹脂では、下記式(1)で表される錫化合物が触媒として使用される。この化合物はエステル化反応及びエステル交換反応において好適な触媒であり、樹脂の軟化点や物性調整などが行い易い。例えば、縮合時間は長めになるが、低分子量成分を少なくすることができる。また縮重合後の結着樹脂中に存在すると、トナー製造時の熱溶融混練工程において以下に述べる効果により、樹脂と顔料との分散性及び密着性を向上させるものと考えられる。
式(1) (RCOO)Sn
(式中Rは、炭素数5〜15のアルキル基を示す)
一つには、低分子量成分を抑え、熱溶融混練時における結着樹脂の粘度を安定させることで顔料が均一に分散しやすくなる。
さらに該錫化合物が結着樹脂中に存在することで、顔料粒子の凝集性が低減し、樹脂中での顔料粒子他の微分散性が良化するものと考えられる。
ここで本発明において、式(1)で表される錫化合物の式中Rは、5以上15以下のアルキル基であることが、エステル化反応の触媒効果を有する物として最適なものである。
また上記アルキルカルボン酸錫化合物の添加量としては、結着樹脂100質量部に対して0.01質量部以上2質量部以下、好ましくは0.05質量部以上1質量部以下がよい。0.01質量部未満となると、ポリエステル重合時の反応時間が長くなるとともに、顔料の分散性を向上させる効果が得られなくなる。また2質量部超含有すると、トナーの帯電特性に影響を及ぼすようになり、環境による帯電量の変動が大きくなりやすい。
本発明において好ましく使用される式(1)で表される錫化合物としては以下のものが挙げられる。
Figure 2004326075
本発明に用いられる結着樹脂としては、ポリエステルユニットを有する樹脂であり、(a)ポリエステル樹脂、又は(b)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂、又は(c)ハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物、又は(d)ハイブリッド樹脂とポリエステル樹脂との混合物、(e)もしくはポリエステル樹脂とビニル系重合体との混合物、(f)ポリエステル樹脂とハイブリット樹脂及ビニル系重合体との混合物のいずれかから選択される樹脂が好ましい。また、結着樹脂中に含まれるポリエステルユニットを有する樹脂の割合は、全結着樹脂に対して30質量%以上であることが本発明の効果を実現さするために好ましい。
(a)ポリエステル樹脂を用いる場合は、アルコールとカルボン酸、もしくはカルボン酸無水物、カルボン酸エステル等が原料モノマーとして使用できる。具体的には、例えば2価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
3価以上のアルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸の如き芳香族カルボン酸類又はその無水物;琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜12のアルキル基又はアルケニル基で置換された琥珀酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
それらの中でも、特に、下記一般式(2)で代表されるビスフェノール誘導体をジオール成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸成分として、これらを縮重合したポリエステル樹脂が、カラートナーとして、良好な帯電特性を有するので好ましい。
Figure 2004326075
(b)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂におけるハイブリッド樹脂を用いる場合、さらに良好なワックス分散性と、低温定着性,耐オフセット性の向上が期待できる。本発明に用いられる「ハイブリッド樹脂成分」とは、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合された樹脂を意味する。具体的には、ポリエステルユニットと(メタ)アクリル酸エステルの如きカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合したビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応によって形成されるものであり、好ましくはビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(あるいはブロック共重合体)を形成するものである。
なお、本発明において「ポリエステルユニット」とはポリエステルに由来する部分を示し、「ビニル系重合体ユニット」とはビニル系重合体に由来する部分を示す。ポリエステルユニットを構成するポリエステル系モノマーとしては、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分であり、ビニル系重合体ユニットとは、ビニル基を有するモノマー成分である。
本発明におけるビニル系重合体ユニット又はビニル系重合体を生成するためのビニル系モノマーとしては、次のようなものが挙げられる。スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
本発明におけるビニル系重合体又はビニル系重合体ユニットは、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよいが、この場合に用いられる架橋剤は、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
本発明ではビニル系重合体又はユニット及び/又はポリエステル樹脂又はユニット中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂又はユニットを構成するモノマーのうちビニル系重合体又はユニットと反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。ビニル系重合体又はユニットを構成するモノマーのうちポリエステル樹脂又はユニットと反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
ビニル系重合体とポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、先に挙げたビニル系重合体及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含む重合体又は樹脂が存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の重合体又は樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
本発明のビニル系重合体、又はビニル系重合体ユニットを製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート,ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートがあげられる。
本発明のフルカラートナーに用いられるハイブリッド樹脂を調製できる製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(6)に示す製造方法を挙げることができる。
(1)ビニル系重合体、ポリエステル樹脂をそれぞれ製造後にブレンドする方法であり、ブレンドは有機溶剤(例えば、キシレン)に溶解・膨潤した後に有機溶剤を留去して製造される。尚、ハイブリッド樹脂成分は、ビニル系重合体とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行なって合成されたポリエステルユニットとビニル系重合体を有するハイブリッド樹脂を得ることが出来る。
(2)ビニル系重合体製造後に、この存在下にポリエステル樹脂を生成し反応させ、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はビニル系重合体(必要に応じてビニル系モノマーも添加できる)とポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)及び/またはポリエステル樹脂との反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(3)ポリエステル樹脂製造後に、この存在下にビニル系重合体を生成し、反応させポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はポリエステル樹脂(必要に応じてポリエステルモノマーも添加できる)とビニル系モノマー及び/またはビニル系重合体との反応により製造される。
(4)ビニル系重合体及びポリエステル樹脂製造後に、これらの重合体ユニット存在下にビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加することによりハイブリッド樹脂成分が製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(5)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂成分を製造後、ビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加して付加重合及び/又は縮重合反応を行うことによりビニル系重合体及/又はポリエステル樹脂、又は更にハイブリッド樹脂成分が製造される。この場合、該ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂成分は上記(2)乃至(4)の製造方法により製造されるものを使用することもでき、必要に応じて公知の製造方法により製造されたものを使用することもできる。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
(6)ビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸等)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系重合体、ポリエステル樹脂及びポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂成分が製造される。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
上記(1)〜(6)の製造方法において、ビニル系重合体ユニット及び/またはポリエステルユニットは複数の異なる分子量、架橋度を有する重合体ユニットを使用することができる。
本発明において、ビニル系重合体又はビニル系重合体ユニットは、ビニル系単重合体若しくはビニル系共重合体又はビニル系単重合体ユニット又はビニル系共重合体ユニットを意味するものである。
なお、本発明のトナーに含有される結着樹脂は、上記ポリエステルとビニル系共重合体との混合物、上記ハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物、上記ポリエステル樹脂と上記ハイブリッド樹脂に加えてビニル系重合体の混合物を使用しても良い。
さらに、本発明の結着樹脂成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布が、メインピークを分子量3,500乃至10,000の領域に有しており、好ましくは、分子量4,000乃至9,000の領域に有しており、Mw/Mnが3.0以上であることが好ましい。メインピークが分子量3,500未満の領域にある場合には、トナーの耐ホットオフセット性が不十分である。一方、メインピークが分子量10,000超の領域にある場合には、十分なトナーの低温定着性が得られないうえ、OHPの透過性が不十分となるため好ましくない。また、Mw/Mnが3.0未満である場合には良好な耐オフセット性を得ることが困難になる。
また、本結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は40〜90℃、軟化温度(Tm)は80〜150℃であることが、保存性、着色剤の分散性、定着性を両立させる上で好ましい。
本結着樹脂樹脂の酸価は2〜50mgKOH/g未満であることが好ましい。酸価が2mgKOH/g未満ではポリエステル本来の負帯電性の優位性が十分得られず、定着性や耐オフセット性に劣ることがある。一方、50mgKOH/g超では、高温高湿環境下での耐水性に劣り、カブリやトナー飛散といった問題を引き起こす要因に繋がることもある。
本発明のトナーは45体積%のメタノール水溶液中でのトナーの透過率が10〜70%であることが好ましい。上述したように、トナー表面近傍の離型剤の量を測定する簡易且つ精度の高い方法として、45体積%のメタノール(MeOH)水溶液におけるトナーの透過率を測定する方法がある。このような透過率を測定することにより、トナー粒子全体についてトナー表面近傍に存在する離型剤の量を把握することができる。この測定方法は、トナーを一度混合溶媒中で強制分散させて、トナー粒子一粒一粒の表面離型剤量の特徴を出やすくした上で、一定時間後の透過率を測定することで、トナー表面の離型剤量を正確に把握できるものである。つまり、疎水性である離型剤がトナー粒子表面に多く存在すると、溶媒に分散トナーが液面に浮き上がるため、透過率が70%のような高い値になる。逆に、トナー粒子表面に存在する離型剤の量が少ないと、親水性である結着樹脂のポリエステルユニットが多く存在するため、溶媒中で均一分散し透過率が10%のような小さな値になる。
上記透過率は好ましくは10〜60%であり、より好ましくは15〜50%である。透過率が10%より少なすぎるとトナー粒子表面に存在する離型剤が少なく定着時に離型効果が現れにくいため、省エネの観点から望まれる低温定着の効果が減少し、また定着手段の構成においても圧力を要するため負荷が大きくなる。また、逆に透過率が70%より大きすぎるとトナー粒子表面に存在する離型剤の量が多くなり、帯電付与部材が離型剤により汚染されたり、例えば現像スリーブ上にトナーが融着することにより該現像スリーブが高抵抗化することで、現像スリーブにかかる実際の現像バイアスの効力が下がり、しいては画像濃度の低下に繋がることもある。
本発明に係る化合物を触媒として合成された結着樹脂を用いることで、溶融混練時のシェアが安定し、離型剤の分散を均一にできるので上記透過率を10〜70%に制御し易くなる。
また、本発明のトナーは、円相当径3μm以上の粒子の平均円形度が0.922〜0.955であることが好ましい。さらに好ましくは0.925〜0.945である。トナーの平均円形度が0.922より小さすぎると、トナー同士、またトナーキャリア間の接触面積が大きくなりトナー離れを阻害し転写能が低下する。逆に平均円形度が0.955より大きすぎると、形状が球形すぎるため、転写残トナーがクリーニングブレードをすり抜けてしまうなどのクリーニング不良が起き易くなる。
本発明に係る錫化合物を触媒として合成された結着樹脂を用いることは、溶融混練時のシェアが安定し、離型剤を微分散できるので透過率を10〜70%に制御したまま、トナーの円形度を上げることが可能になる。
本発明において、45体積%のメタノール水溶液中における透過率、及びトナーの円形度を上記範囲に調整するには、以下の方法が好ましく挙げられる。本発明者等による検討の結果、トナー粒子製造の際に発生する微粉を系外に排出しながら機械的衝撃力を与えることにより、所望の円形度を有し、離型剤のトナー中での存在状態が良好な(すなわち所望の透過率を有する)トナーが得られることが見いだされた。つまり、トナー粒子の製造工程において、通常の粉砕工程と球形化工程を単独でまたは同時に行う場合において、発生する微粉を系外に排出しながら行わなければ、粉砕時に生じるかなり小さな微粉が再度凝集することでトナー粒子の形状を凹凸にするため、所望の球形度を有する本発明のトナーを得るには必要以上に機械的衝撃力を与えることが必要となり、その結果余分な熱量をトナーに与えトナー表面の離型剤量が多くなってしまうという弊害が生じる。
ここで従来のトナーの45体積%のメタノール水溶液中における透過率について述べる。離型剤を含有しないトナーの場合、トナー表面にも当然疎水性の離型剤が存在しないため、球形度に関わらずその透過率は10%未満になる。一方、本発明と同様に離型剤を含有する従来のトナーにおいては、エアージェット式を用いて粉砕を行った場合は、透過率を所望の10〜70%とすることができるが、平均円形度が上記本発明の範囲には至らず0.942未満と不十分なものになってしまう。そこでトナーを球形化する手段として奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステムなどを行うこともできるが、粉砕時に生じるかなり小さな微粉を取り除くことができないため、必要以上に回転数をアップしたり、または滞留時間を多くする必要があり、結果としてトナーに熱量を多く与えすぎてしまうため、トナー表面に存在する離型剤の量が70%を超えるものとなってしまう。また粉砕と球形化を同時に行うものとして、川崎重工業社製のクリプトロンシステム、日清エンジニアリング社製のスーパーローター等も、上記と同様粉砕時に生じるかなり小さな微粉を取り除けないためトナーに熱量を多く与えすぎてしまい、トナー表面の離型剤量が70%を超えてしまう。
また上記粉砕時に生じる小さな微粉は、トナーを二成分現像に用いた場合のキャリアへのスペントを悪化させる大きな要因の一つであるが、上述の微粉を系外に排出しながら機械的衝撃力を与える方法によると、機械的衝撃力を加えている同一気流を止めることなく分級できるため、発生した微粉を再凝集させることなく効率良く系外に排出することができる。以上のことから所望のトナー形状と微粉量、そして離型剤のトナー粒子表面における存在量をコントロールできることを見いだした。また単にトナーを球形化するのではなく、その度合いと表面の適正な離型剤存在量とをバランス良く組み合わせることにより、はじめて上述してきた問題点を解決するに至ったものである。
つまり本発明は、平均円形度を0.922〜0.955に制御しトナー離れを向上したこと、更に通常のトナー製造方法では達成できなかった表面離型剤量をも制御し、離型剤による帯電付与部材の汚染を抑えたことではじめて、トナーキャリア間の流動性が向上し、帯電立ち上がり特性を良化させることが可能になった。
次に本発明に用いられる離型剤について説明する。
本発明に用いられる離型剤の一例としては、次のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量オレフィン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、また酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック共重合物;ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリルなどのエステルワックス、カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
本発明のトナーは、一種または二種以上のワックスを含有していることが望ましい。さらに、本発明のトナーは、低温定着性と耐ブロッキング性を両立するという観点から、示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲に1個又は複数の吸熱ピークを有し、該吸熱ピーク中の最大吸熱ピークのピーク温度が60〜130℃の範囲にあることが望ましい。より好ましくは65〜110℃の範囲に吸熱曲線の最大ピークがあることが望ましい。最大吸熱ピークのピーク温度が60℃未満である場合はトナーの耐ブロッキング性が悪くなり、逆に最大吸熱ピークのピーク温度が130℃超の場合は定着性が低下してしまう。
離型剤は結着樹脂100質量部あたり0.5〜10質量部、好ましくは2〜8質量部使用するのが良い。
次に、本発明のトナーに含有される着色剤としては公知の顔料または染料を用いることができ、特に限定されないが、顔料の種類としては例えば次の様なものが挙げられる。マゼンタ用着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、88、90、112、122、123、163、202、206、207、209、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35等が挙げられる。
かかる顔料を単独で使用しても構わないが、染料と顔料と併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,81,82,83,84,100,109,121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28等の塩基性染料が挙げられる。
その他の着色顔料として、シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2,3,15,16,17、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45又はフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料等である。
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,15,16,17,23,65,73,74,83,147,155,180、C.I.バットイエロー1,3,20等が挙げられる。
黒色着色剤としてはカーボンブラック、上記に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用いて黒色に調色されたものが利用できる。
尚、着色剤の使用量は結着樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部であることが好ましく、0.5〜15質量部であることがより好ましい。
また、トナー粒子には必要に応じて荷電制御剤を添加することができる。荷電制御剤としては、公知のものを使用できるが、芳香族カルボン酸誘導体、該芳香族カルボン酸金属化合物が挙げられる。例えば、該芳香族カルボン酸金属化合物の金属としては、2価以上の金属原子が好ましい。2価の金属としてMg2+,Ca2+,Sr2+,Pb2+,Fe2+,Co2+,Ni2+,Zn2+,Cu2+,が挙げられる。2価の金属としては、Zn2+,Ca2+,Mg2+,Sr2+が好ましい。3価以上の金属としてはAl3+,Cr3+,Fe3+,Ni3+,Ti4+,Zr4+,Siがあげられる。これらの金属の中で好ましいのはAl3+,Cr3+であり、特に好ましいのはAl3+である。本発明においては、荷電制御剤として、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物が特に好ましい。
荷電制御剤は、トナーの質量基準で0.1〜10質量%使用すると、トナーの帯電量の初期変動が少なく、現像時に必要な絶対帯電量が得られやすく、結果的に「カブリ」や画像濃度ダウンの如き画像品質の低下がなく好ましい。
さらに、本発明のトナー粒子には、流動性向上剤が外添されていることが画質向上、高温環境下での保存性の点で好ましい。流動性向上剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機微粉体が好ましい。該無機微粉体は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
疎水化剤としては、シラン化合物、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ジルコアルミネートカツプリング剤の如きカップリング剤が挙げられる。
具体的に例えばシラン化合物としては、一般式
RmSiYn
〔式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、フェニル基、メタアクリル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基又はこれらの誘導体を示し、nは1〜3の整数を示す。〕
で表されるものが好ましい。例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
その処理量は、無機微粉体100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部、より好ましくは3〜50質量部である。
本発明において特に好適なのは、一般式(3)で示される化合物であり、
式(3)
Figure 2004326075
〔式中、nは4〜12の整数を示し、mは1〜3の整数を示す。〕
で示されるアルキルアルコキシシランである。該アルキルアルコキシシランにおいて、nが4より小さいと、処理は容易となるが疎水化度が低めになる。nが12より大きいと、疎水性が十分になるが、無機微粒子同士の合一が多くなり、流動性付与能が低下しやすい。mは3より大きいと、該アルキルアルコキシシランカップリング剤の反応性が低下して疎水化を良好に行いにくくなる。より好ましくはアルキルアルコキシシランカップリング剤はnが4〜8であり、mが1〜2であるのが良い。
アルキルアルコキシシランカップリング剤の処理量も、無機微粉体100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部、より好ましくは3〜50質量部が良い。
疎水化処理は1種類の疎水化剤単独で行っても良いし、2種類以上の疎水化剤を使用しても良い。例えば1種類の疎水化剤単独で疎水化処理を行っても良いし、2種類の疎水化剤で同時に、または一種の疎水化剤で疎水化処理を行った後、別の疎水化剤で更に疎水化処理を行っても良い。
流動化剤は、トナー粒子100質量部に対して0.01〜5質量部添加することが好ましく、0.05〜3質量部添加することがより好ましい。
本発明のトナーは、一成分系現像剤及び二成分系現像剤に適用できるものであり、特に何らこれを限定するものではないが、本発明のトナーを二成分系現像剤に用いる場合に、併用されるキャリアとしては、例えば表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及びそれらの合金または酸化物及びフェライトなどが使用できる。
特に、マンガン、マグネシウム及び鉄成分を主成分として形成されるMn−Mg−Feの3元素の磁性フェライト粒子がキャリア粒子として好ましい。磁性キャリア粒子は、樹脂で被覆されていることが好ましく、樹脂としてはシリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂が挙げられるが、特にシリコーン樹脂が好ましい。そのなかでも、含窒素シリコーン樹脂または、含窒素シランカップリング剤とシリコーン樹脂とが反応することにより生成した変性シリコーン樹脂が、本発明トナーへのマイナスの摩擦電荷の付与性、環境安定性、キャリアの表面の汚染に対する抑制の点で好ましい。
被覆方法としては、樹脂の如き被覆材を溶剤中に溶解もしくは懸濁せしめて調製した塗布液を磁性キャリアコア粒子表面に付着せしめる方法、磁性キャリアコア粒子と被覆材とを粉体で混合する方法等、従来公知の方法が適用できる。
磁性キャリアは、平均粒径が15乃至60μm(より好ましくは、25乃至50μm)がトナーの重量平均粒径との関係で好ましい。磁性粒子を上記の平均粒径及び特定の粒度分布を有するように調整する方法としては、例えば、篩を用いることによる分級によって行うことが可能である。特に、精度良く分級を行うために、適当な目開きの篩を用いて複数回くり返してふるうことが好ましい。また、メッシュの開口の形状をメッキ等によって制御したものを使うことも有効な手段である。
二成分現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2〜15質量%、好ましくは4〜13質量%にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2%未満では画像濃度が低くなりやすく、15質量%を超える場合ではカブリや機内飛散が増加しやすい。
次に、トナーを製造する手順について説明する。
まず、原料混合工程では、トナー内添剤として、少なくとも樹脂、着色剤を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等がある。更に、上記で配合し、混合したトナー原料を溶融混練して、樹脂類を溶融し、その中に着色剤等を分散させる。その溶融混練工程では、例えば、加圧ニーダー、バンバリィミキサー等のバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。近年では、連続生産できる等の優位性から、1軸または2軸押出機が主流となっており、例えば、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出機、東芝機械社製TEM型2軸押出機、ケイ・シー・ケイ社製2軸押出機、ブス社製コ・ニーダー等が一般的に使用される。更に、トナー原料を溶融混練することによって得られる着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する冷却工程を経て冷却される。
そして一般的には上記で得られた着色樹脂組成物の冷却物は、次いで、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、まず、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル等で粗粉砕され、更に、川崎重工業社製のクリプトロンシステム、日清エンジニアリング社製のスーパーローター等で粉砕される。その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)等の分級機等の篩分機を用いて分級し、重量平均粒子径3乃至11μmの分級品を得る。
必要に応じて、表面改質工程で表面改質=球形化処理、例えば奈良機械製作所製のハイブリタイゼーションシステム、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムを行い、分級品とすることもできる。
本発明においては、粉砕工程で機械式粉砕を用いず、エアージェット式粉砕機にて粉砕した後、図1及び図2に示す分級と機械式衝撃力を用いる表面改質処理を同時に行う装置を用いて重量平均粒子径3乃至11μmの分級品を得ることが好ましい。必要に応じて風力式篩のハイボルター(新東京機械社製)等の篩分機を用いても良い。更に、外添剤を外添処理する方法としては、分級されたトナーと公知の各種外添剤を所定量配合し、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の粉体にせん断力を与える高速撹拌機を外添機として用いて、撹拌・混合することによりトナーを得ることができる。
ここで本発明に好ましく用いられる装置に対して詳しく述べると、図1及び図2に示すように表面改質装置では、ケーシング30、冷却水或いは不凍液を通水できるジャケット(図示しない)、表面改質手段である、ケーシング30内にあって中心回転軸に取りつけられた、上面に角型のディスク或いは円筒型のピン40を複数個有し、高速で回転する円盤上の回転体である分散ローター36、分散ローター36の外周に一定間隔を保持して配置されている表面に多数の溝が設けられているライナー34(尚、ライナー表面上の溝はなくても構わない)、更に、表面改質された原料を所定粒径に分級するための手段である分級ローター31、更に、冷風を導入するための冷風導入口35、被処理原料を導入するための原料供給口33、更に、表面改質時間を自在に調整可能となるように、開閉可能なように設置された排出弁38、処理後の粉体を排出するための粉体排出口37、更に、分級手段である分級ローター31と表面改質手段である分散ローター36−ライナー34との間の空間を、分級手段へ導入される前の第一の空間41と、分級手段により微粉を分級除去された粒子を表面処理手段へ導入するための第二の空間42に仕切る案内手段である円筒形のガイドリング39とから構成されている。分散ローター36とライナー34との間隙部分が表面改質ゾーンであり、分級ローター4及びローター周辺部分が分級ゾーンである。
以上のように構成してなる表面改質装置では、排出弁38を閉とした状態で原料供給口33から微粉砕品を投入すると、投入された微粉砕品は、まずブロワー(図示しない)により吸引され、分級ローター31で分級される。その際、分級された所定粒径以下の微粉は装置外へ連続的に排出除去され、所定粒径以上の粗粉は遠心力によりガイドリング39の内周(第二の空間42)に沿いながら分散ローター36により発生する循環流にのり表面改質ゾーンへ導かれる。表面改質ゾーンに導かれた原料は分散ローター36とライナー34間で機械式衝撃力を受け、表面改質処理される。表面改質された表面改質粒子は、機内を通過する冷風にのって、ガイドリング39の外周(第一の空間41)に沿いながら分級ゾーンに導かれ、分級ローター4により、再度微粉は機外へ排出され、粗粉は、循環流にのり、再度表面改質ゾーンに戻され、繰り返し表面改質作用を受ける。一定時間経過後、排出弁38を開とし、排出口37より表面改質粒子を回収する。
本発明者らが検討した結果、排出弁開放までの時間(サイクルタイム)と分散ローターの回転数が、球形度と表面離型剤量をコントロールする上で重要なことが分かった。球形度を上げるには、サイクルタイムを長くするか、分散ローターの周速を上げるのが効果的である。また表面離型剤量を低く抑えようとするなら、逆にサイクルタイムを短くするか、周速を下げることが有効である。その中でも特に分散ローターの周速がある一定以上にならないと効率的に球形化できないため、サイクルタイムを長くして球形化しなければならず、必要以上に表面離型剤量を多くしてしまうものであった。その周速とは1.2×10mm/sec以上であり、サイクルタイムは15〜60秒が有効であった。
次に本発明における測定方法について説明する。
1)メタノール45体積%水溶液における透過率
1.トナー分散液の調製
メタノール:水の体積混合比が45:55の水溶液を作製する。この水溶液10mlを30mlのサンプルビン(日電理化硝子:SV−30)に入れ、トナー20mgを液面上に侵しビンのフタをする。その後、ヤヨイ式振とう器(モデル:YS−LD)により150S−1で5秒間振とうさせる。この時、振とうする角度は、振とう器の真上(垂直)を0度とすると、前方に15度、後方に20度、振とうする支柱が動くようにする。サンプルビンは支柱の先に取りつけた固定用ホルダー(サンプルビンの蓋が支柱中心の延長上に固定されたもの)に固定する。サンプルビンを取り出した後、30秒後の分散液を測定用分散液とする。
2.透過率測定
1.で得た分散液を1cm角の石英セルに入れて分光光度計MPS2000(島津製作所社製)を用いて、10分後の分散液の波長600nmにおける透過率B(%)(次式参照)を測定する。
透過率B(%)=I/I×100 (I:入射光束、I:透過光束)
2)帯電安定性の評価方法
図3は摩擦帯電量を測定する装置の説明図である。底に30μm開口(500メッシュ)のスクリーン53のある金属製の測定容器52に、複写機又はプリンターの現像スリーブ上から採取した二成分系現像剤を約0.5〜1.5g入れ金属製のフタ54をする。この時の測定容器52全体の質量を秤りW1(g)とする。次に吸引機51(測定容器52と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口57から吸引し風量調節弁56を調整して真空計55の圧力を250mmAqとする。この状態で充分、好ましくは2分間吸引を行いトナーを吸引除去する。この時の電位計59の電位をV(ボルト)とする。ここで58はコンデンサーであり容量をC(mF)とする。また、吸引後の測定容器全体の質量を秤りW2(g)とする。この試料の摩擦帯電量(mC/kg)は下式の如く算出される。
試料の摩擦帯電量(mC/kg)=C×V/(W1−W2)
(但し、測定条件は23℃,50〜60%RHとする)
3)離型剤及びトナーの極大吸熱ピークの測定
温度曲線:昇温I(30℃〜200℃、昇温速度10℃/min)
降温I(200℃〜30℃、降温速度10℃/min)
昇温II(30℃〜200℃、昇温速度10℃/min)
トナーの最大吸熱ピークは、示差走査熱量計(DSC測定装置)、DCS−7(パーキンエルマー社製)やDSC2920(TAインスツルメンツジャパン社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。それをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定範囲30〜200℃、昇温速度10℃/min、常温常湿下で測定を行う。トナーの最大吸熱ピークは、昇温IIの過程で、樹脂Tgの吸熱ピーク以上領域のベースラインからの高さが一番高いものを、若しくは樹脂Tgの吸熱ピークが別の吸熱ピークと重なり判別し難い場合、その重なるピークの極大ピークから高さが一番高いものを本発明のトナーの最大吸熱ピークとする。
4)トナー円形度
本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明ではシスメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA−2100を用いて測定を行い、測定された粒子の円形度を下式(1)により求め、更に下式(2)で示すように測定された全粒子の円形度の総和を全粒子数で除した値を平均円形度と定義する。
円形度a=L/L (1)
〔式中、Lは粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長を示し、Lは512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理した時の粒子像の周囲長を示す。〕
Figure 2004326075
Figure 2004326075
本発明に用いている円形度はトナー粒子の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。また、本発明における円形度分布のSDは、バラツキの指標であり、数値が小さいほどトナー形状のバラツキが小さいことを表す。
なお、本発明で用いている測定装置である「FPIA−2100」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度及び円形度標準偏差の算出に当たって、得られた円形度によって、粒子を円形度0.4〜1.0を61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度及び円形度標準偏差の算出を行う算出法を用いている。しかしながら、この算出法で算出される平均円形度及び円形度標準偏差の各値と、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式によって算出される平均円形度及び円形度標準偏差の誤差は、非常に少なく、実質的には無視できる程度であり、本発明においては、算出時間の短縮化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出法を用いても良い。さらに本発明で用いている測定装置である「FPIA−2100」は、従来よりトナーの形状を算出するために用いられていた「FPIA1000」と比較して、シースフローの薄層化(7μm→4μm)及び処理粒子画像の倍率の向上、さらに取り込んだ画像の処理解像度を向上(256×256→512×512)によりトナーの形状測定の精度が上がっており、それにより微粒子のより確実な補足を達成している装置である。従って、本発明のように、より正確に形状を測定する必要がある場合には、より正確に形状に関する情報が得られるFPIA2100の方が有用である。
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02g加え、均一に分散させる。分散させる手段としては、超音波分散機「Tetora150型」(日科機バイオス社製)を用い、2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。
カラートナー粒子の形状測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のカラートナー粒子濃度が3000〜1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、カラートナー粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、3μm以下のデータをカットして、カラートナー粒子の平均円形度を求める。
5)GPC測定による分子量分布
結着樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を約50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数(リテンションタイム)との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば東ソー社製或いはPressure Chemical Co.製の分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
カラムとしては、10〜2×10の分子量領域を的確に測定するために、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807の組み合わせや、Waters社製のμ−styragel 500、10、10、10の組み合わせを挙げることができる。
6)酸価の測定
基本操作はJIS K−0070に準ずる。
(1)試料の粉砕品0.5〜2.0(g)を精秤し、試料の重さをW(g)とする。
(2)300(ml)のビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(4/1)の混合液150(ml)を加え溶解する。
(3)0.1mol/lのKOHのエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する。
(例えば、京都電子株式会社製の電位差滴定装置AT−400(win workstation)
とABP−410電動ビュレットを用いての自動滴定が利用できる。)
(4)この時のKOH溶液の使用量をS(ml)とし、同時にブランクを測定し、この時のKOH溶液の使用量をB(ml)とする。
(5)次式により酸価を計算する。fはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)={(S−B)×f×5.61}/W
7)樹脂のガラス転移温度の測定
樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC測定装置)、DCS−7(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。それをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。この昇温過程で、温度40℃〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、本発明の樹脂のガラス転移温度Tgとする。
8)樹脂の軟化点測定方法
JIS K 7210にのっとり、高化式フローテスターにより測定されるものを指す。具体的な測定方法を以下に示す。高化式フローテスター(島津製作所製)を用いて1cmの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1960N/m(20kg/cm)の荷重を与え、直径1mm,長さ1mmのノズルを押し出すようにし、これにより、プランジャー降下量(流れ値)−温度曲線を描き、そのS字曲線の高さをhとするとき、h/2に対応する温度(樹脂の半分が流出した温度)を樹脂の軟化点(Tm)とする。
9)トナー粒度分布の測定
本発明において、トナーの平均粒径及び粒度分布はコールターカウンターTA−II型(コールター社製)を用いて行うが、コールターマルチサイザー(コールター社製)を用いることも可能である。電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。例えば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置によりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2.00μm以上のトナーの体積,個数を測定して体積分布と個数分布とを算出した。それから本発明に係る体積分布から求めた重量平均粒径(D4)(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求めた。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μm;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μm;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μm;10.08〜12.70μm;12.70〜16.00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜25.40μm;25.40〜32.00μm;32.00〜40.30μmの13チャンネルを用いる。
(実施例)
以下、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(ポリエステルユニットを有する樹脂製造例1)
ビニル系共重合体として、スチレン1.9mol、2−エチルヘキシルアクリレート0.21mol、フマル酸0.15mol、α−メチルスチレンの2量体0.03mol、ジクミルパーオキサイド0.05molを滴下ロートに入れる。また、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン7.0mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.0mol、テレフタル酸3.0mol、無水トリメリット酸2.0mol、フマル酸5.0mol及び2−エチルヘキサン酸錫0.2gを、ガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計,撹拌棒,コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、145℃の温度で撹拌しつつ、先の滴下ロートよりビニル系樹脂の単量体、架橋剤及び重合開始剤を4時間かけて滴下した。次いで200℃に昇温を行い、4時間反応せしめてポリエステル成分を有する結着樹脂1を得た。該樹脂中のポリエステルユニット成分は90質量%である。諸物性の結果を表2に示す。
(ポリエステルユニット成分を有する樹脂製造例2〜5)
製造例1において、モノマー及びアルキルカルボン酸の錫化合物の量及び種類を表2に示すように変更し、製造例1と同様の方法を用いて、表2に示す結着樹脂2〜5を得た。諸物性の結果を表2に示す。
(ポリエステルユニット成分を有する樹脂製造例6)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.6mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.6mol、テレフタル酸1.8mol、ドデセニルコハク酸2.5mol、無水トリメット酸0.5mol及び2−エチルヘキサン酸錫0.1gを、ガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計,撹拌棒,コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。窒素雰囲気下で、245℃で5時間反応させ、ポリエステルユニット成分を有する結着樹脂6を得た。該樹脂中のポリエステルユニット成分は100質量%である。諸物性の結果を表2に示す。
(ポリエステルユニット成分を有する樹脂製造例7)
製造例1において、モノマー及びアルキルカルボン酸の錫化合物の量及び種類を表2に示すように変更し、製造例1と同様の方法を用いて、表2に示す結着樹脂7を得た。諸物性の結果を表2に示す。
(比較例用ポリエステルユニット成分を有する樹脂製造例8〜10)
製造例1において、アルキルカルボン酸の錫化合物の量及び種類を表2に示すように変更し、製造例1と同様の方法を用いて、表2に示す結着樹脂8〜10を得た。諸物性の結果を表2に示す。
Figure 2004326075
本発明に用いたワックスを表3に示す。
Figure 2004326075
(実施例1)
以下の方法でシアントナー1を調製した。
(第一の混練工程)
・ポリエステルユニットを有する結着樹脂(1) 70質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3を含有する顔料スラリーから水をある程度除去し、ただの一度も乾燥工程を経ずに得た固形分30質量%の
第1のペースト状顔料(残りの70質量%は水) 100質量部
上記の原材料を上記の処方でまずニーダー型ミキサーに仕込み、混合しながら非加圧下で昇温させる。最高温度(ペースト中の溶媒の沸点により必然的に決定される。この場合は90〜100℃程度)に達した時点で水相中の顔料が、溶融樹脂相に分配もしくは移行し、これを確認した後、さらに30分間加熱溶融混練させ、ペースト中の顔料を充分に移行させる。その後、一旦、ミキサーを停止させ、熱水を排出した後、さらに130℃まで昇温させ、約30分間加熱溶融混練を行い、顔料を分散させるとともに水分を留去し、該工程を終了した後、冷却させ、混練物を取り出し第1の混練物を得た。この第1の混練物の含水量は0.5質量%程度であった。
(第二の混練工程)
・上記第1の混練物(顔料粒子の含有量30質量%) 10.0質量部
・ポリエステルユニットを有する結着樹脂1 100.0質量部
・ワックス(A) 5.0質量部
・3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物(荷電制御剤)
1.0質量部
上記の処方で十分ヘンシェルミキサーにより予備混合を行い、二軸押出し混練機で温度を100℃に設定し溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度に粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で20μm以下の粒径に微粉砕した。さらに得られた微粉砕物を分級と機械式衝撃力を用いる表面改質処理を同時に行う装置にて分級および球形化し、粒度分布における体積平均径が7.2μmのシアン系樹脂粒子(分級品)を得た。
その後、イソブチルトリメトキシシランで表面処理した一次粒子径50nmの酸価チタンを上記シアン系樹脂粒子100質量部に対して、1.5質量部を合せてシアントナー1とした。さらに、シアントナー1と、シリコーン樹脂で表面被覆した磁性フェライトキャリア粒子(平均粒径45μm)とを、トナー濃度が7質量%になるように混合し、二成分系シアン現像剤1とし、以下の評価を行った。
〔帯電立ち上がり特性評価〕
このシアン現像剤1で、カラー複写機CLC−1000(キヤノン製)の現像機を用いて空回転機試験を行った。スリーブ周速を200mm/secに固定し、10秒後、30秒後、60秒後、120秒後、300秒後、600秒後それぞれのスリーブ上トリボを以下の基準に基づいて評価した。評価結果は表4に示す。
(評価基準)
A:30秒後にはトリボがサチュレートする。
B:60秒後にはトリボがサチュレートする。
C:120秒後にはトリボがサチュレートする。
D:600秒後でもトリボがサチュレートしない。
〔OHP透明性の評価〕
OHP透明性の測定は、島津自記分光光度計UV2200(島津製作所社製)を使用し、OHPフィルム単独の透過率を100%とし、マゼンタトナーの場合:650nm、シアントナーの場合:500nm、イエロートナーの場合:600nmでの最大吸収波長における透過率を測定する。評価結果は表4に示す。
A:85%以上
B:75〜85%
C:65〜75%
D:65%未満
〔転写効率〕
転写効率については、常温低湿環境下(23℃/5%)の5万枚耐刷後、以下の評価方法、評価基準に基づいて評価した。
カラー複写機CLC−1000(キヤノン社製)を使用し、感光体上に現像剤の載り量が0.6mg/cmになるように感光体の電位コントラストを調整し、転写紙上に転写した画像と、感光体上の転写残画像の画像濃度を濃度計(X−rite 社製、X−rite 500Series)を用いて測定した。測定に際しては、転写紙上の画像及び感光体の転写残の画像部分の現像剤をテーピングにより採取し、このテープを紙上に貼付したものの画像濃度を測定した。得られた画像濃度から転写紙及び感光体上の現像剤の載り量を換算し転写紙上への転写効率を求めた。なお、転写電流は転写効率が最高になるように調整した値を用いた。感光体の転写残部分をテーピングし紙上に貼って得られた画像濃度をD1とし、紙上に転写された現像剤上にテーピングし紙上に貼って得られた画像濃度をD2とし、下記式により転写効率を算出した。
転写効率(%)=D2/(D1+D2)×100
得られた転写効率を、以下の評価基準に基づいて評価した。評価結果を表4に示す。
(評価基準)
A:5万枚耐刷後の転写効率が92%以上。
B:5万枚耐刷後の転写効率が87〜92%。
C:5万枚耐刷後の転写効率が80〜87%。
D:5万枚耐刷後の転写効率が80%未満。
〔定着特性の評価〕
定着温度領域はカラー複写機CLC1000(キヤノン製)のオイル塗布機構を取り外し、さらに定着温度を自由に設定できるように改造して定着試験をおこなった。画像は単色モードで常温常湿度環境下(23℃/50%)において、紙上のトナー載り量を1.2mg/cmになるよう現像コントラストを調整し、未定着画像を作成した。A4(CLC推奨紙であるSK80)上に画像面積比率25%で画像を形成する。常温常湿度環境下(23℃/50%)において120℃から順に10℃づつ上げ、オフセットや巻きつきが生じない温度幅を定着可能領域とした。評価結果は表4に示す。
(実施例2)
実施例1において、結着樹脂に、ポリエステルユニットを有する結着樹脂2を用いたこと以外は同様にし、シアントナー2を作製し、二成分系シアン現像剤2を得た。評価結果を表4に示す。
(実施例3)
実施例1において、結着樹脂に、ポリエステルユニットを有する結着樹脂3を用いたこと以外は同様にし、シアントナー3を作製し、二成分系シアン現像剤3を得た。評価結果を表4に示す。
(実施例4)
実施例1において、結着樹脂に、ポリエステルユニットを有する結着樹脂4を用い、ワックスにワックス(B)を用いたこと以外は同様にし、シアントナー4を作製し、二成分系シアン現像剤4を得た。評価結果を表4に示す。
(実施例5)
実施例1において、結着樹脂に、ポリエステルユニットを有する結着樹脂5を用い、ワックスにワックス(C)を用いたこと以外は同様にし、シアントナー5を作製し、二成分系シアン現像剤5を得た。評価結果を表4に示す。
(実施例6)
実施例1において、結着樹脂に、ポリエステルユニットを有する結着樹脂6を用い、ワックスにワックス(B)を用いたこと以外は同様にし、シアントナー6を作製し、二成分系シアン現像剤6を得た。評価結果を表4に示す。
(実施例7)
実施例1において、結着樹脂に、ポリエステルユニットを有する結着樹脂7を用い、ワックスにワックス(C)を用いたこと以外は同様にし、シアントナー7を作製し、二成分系シアン現像剤7を得た。評価結果を表4に示す。
(実施例8)
実施例1において、着色剤をC.I.ピグメントブルー15:3に変えC.I.ピグメントレッド122を使用したこと以外は同様にし、マゼンタトナー1を作製し、二成分系マゼンタ現像剤1を得た。評価結果を表4に示す。
(実施例9)
実施例1において、着色剤をC.I.ピグメントブルー15:3に変えC.I.ピグメントイエロー74を使用したこと以外は同様にし、イエロートナー1を作製し、二成分系イエロー現像剤1を得た。評価結果を表4に示す。
(実施例10)
実施例1において、着色剤をC.I.ピグメントブルー15:3に変えカーボンブラックを使用したこと以外は同様にし、ブラックトナー1を作製し、二成分系ブラック現像剤1を得た。評価結果を表4に示す。
(実施例11)
シアントナー1、マゼンタトナー1、イエロートナー1及びブラックトナー1を用いてフルカラーの画像を形成したところ、紙上及びOHP上ともに色再現に優れた画像が得られた。
(比較例1)
実施例6において、結着樹脂に、ポリエステルユニットを有する結着樹脂8を使用したこと以外は同様にし、シアントナー8を作製し、二成分系シアン現像剤8を得た。評価結果を表4に示す。
(比較例2)
実施例6において、結着樹脂に、ポリエステルユニットを有する結着樹脂9を使用したこと以外は同様にし、シアントナー9を作製し、二成分系シアン現像剤9を得た。評価結果を表4に示す。
(比較例3)
実施例7において、結着樹脂に、ポリエステルユニットを有する結着樹脂10を使用したこと以外は同様にし、シアントナー10を作製し、二成分系シアン現像剤10を得た。評価結果を表4に示す。
Figure 2004326075
表面改質処理装置の説明図である。 図1の装置の部分拡大図である。 摩擦帯電量の測定に用いる装置の説明図である。
符号の説明
30 ケーシング
31 分級ローター
32 微粉回収
33 原料供給口
34 ライナー
35 冷風導入口
36 分散ローター
37 製品排出口
38 排出弁
39 ガイドリング
40 角型ディスク
41 第一の空間
42 第二の空間

Claims (4)

  1. 少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤を含有するカラートナーにおいて、該結着樹脂が少なくともポリエステルユニットを有する樹脂であり、該ポリエステルユニットを有する樹脂が下記式(1)で表される錫化合物を触媒として合成されていることを特徴とするフルカラー画像形成用カラートナー。
    式(1) (RCOO)Sn
    (式中Rは、炭素数5〜15のアルキル基を示す。)
  2. 該トナーの45体積%メタノール水溶液での透過率が10〜70%であることを特徴とする請求項1に記載のフルカラー画像形成用カラートナー。
  3. 該トナーの示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲に1個又は複数の吸熱ピークを有し、該吸熱ピーク中の最大吸熱ピーク温度が60〜130℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフルカラー画像形成用カラートナー。
  4. 該カラートナーの円相当径3μm以上の粒子において、平均円形度が0.922乃至0.955であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のフルカラー画像形成用カラートナー。
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