JP2004271850A - トナー - Google Patents
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Abstract
【課題】長時間にわたる耐久的な使用においても、優れた転写能及び環境安定性を有し、高画質な画像を安定して形成することができるトナーを提供する。
【解決手段】結着樹脂と着色剤と離型剤とを少なくとも含有するトナー粒子と、無機微粒子を含有するトナーであって、前記無機微粒子として、短軸径が30〜60nmであり、長軸径が50〜150nmであり、アスペクト比が1.2〜4.0である無機微粒子を少なくとも含み、前記トナーの粒径が3μm以上の粒子の円形度が0.915〜0.960であり、45体積%のメタノール水溶液中での前記トナーの透過率が10〜70%であることを特徴とするトナーを用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】結着樹脂と着色剤と離型剤とを少なくとも含有するトナー粒子と、無機微粒子を含有するトナーであって、前記無機微粒子として、短軸径が30〜60nmであり、長軸径が50〜150nmであり、アスペクト比が1.2〜4.0である無機微粒子を少なくとも含み、前記トナーの粒径が3μm以上の粒子の円形度が0.915〜0.960であり、45体積%のメタノール水溶液中での前記トナーの透過率が10〜70%であることを特徴とするトナーを用いる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法、及びトナージェット法などの画像形成方法に用いられるトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、複写装置やプリンターは、省スペース、省エネなどへの要求から、より小型化、軽量化、高速化、高信頼性が求められている。その結果、ハード構成は種々の点でシンプルな要素で構成されるようになっており、トナーに要求される性能はより高度になっている。つまり、トナー性能の向上が達成できなければ優れたハードウェアを提供できなくなりつつある。特に、トナー性能に求められるのが転写能である。この転写能を向上させることで、トナー消費量の低減、高画質化、トナー回収システムの簡素化といったメリットが得られる。
【0003】
そこで、転写能を向上させる手法の一つとして、トナー形状を球形に近づけることが近年行われてきている。例えば、懸濁重合や乳化重合などにより重合トナーを製造すること、粉砕トナーを溶液中で球形化すること、またトナーを熱風により球形化すること、又は機械的衝撃力で球形化すること等が挙げられる(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。これらの技術は、転写能向上には非常に有効な手段ではあるが、以下の問題点を有している。例えば、重合トナーにおいては離型剤が内包化されるため、定着時に圧力をかけない場合にはどうしても離型剤がトナー表面に出にくくなり定着能が劣るものになる。また、機械的衝撃力や熱風によりトナーを球形化しようとする場合、球形化を進めれば進めるほど、熱により離型剤がトナー表面に溶出しやすく、電子写真特性に悪影響が及ぼされてしまう。
【0004】
離型剤がトナー表面に溶出することで、トナーの流動性が悪化することは大いに予想される。また、トナー同士、トナーとキャリアとの付着性が高まることで粉離れが悪化し、転写能を損なってしまう。そこで、離型剤が内添されたトナーでは、転写性と流動性とが両立される様にトナーを構成することが重要になる。
【0005】
上記の様な事情から、球形度を向上させた、離型剤内添トナーを使いこなす為、無機微粒子の形状や組成を調整する必要性が出てきている。トナーに含まれる無機微粒子を調整する技術として、無機微粒子のアスペクト比を規定することにより、トナー粒子への無機微粒子の付着具合を操作し、転写能、帯電能をコントロールすることが提案されている(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。しかし、このような技術は、球形化度を上げた離型剤を含むトナーには言及されていない。
【0006】
以上のことから、離型剤を含むトナーにおいて、球形化度を向上させながらもトナー表面の離型剤溶出を抑え、優れた転写能、耐久性、帯電特性を得るトナーが求められていた。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−029241号公報
【特許文献2】
特開平7−181732号公報
【特許文献3】
特開平6−332232号公報
【特許文献4】
特開2000−267346号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、長時間にわたる耐久的な使用においても高画質(特に高い転写能)を維持した画像を得ることを課題とする。より具体的には、本発明は優れた転写能及び耐久性を有し、帯電特性の環境依存性が安定したトナーを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、外添剤としてトナーに含有される無機微粒子の物性、トナーの円形度及びトナーの表面に存在する離型剤量に着目し、これらを特定のものとすることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明のトナーは、結着樹脂と着色剤と離型剤とを少なくとも含有するトナー粒子と、無機微粒子を含有し、前記無機微粒子として、短軸径が30〜60nmであり、長軸径が50〜150nmであり、アスペクト比が1.2〜4.0である無機微粒子を少なくとも含み、トナーの円相当径3μm以上の平均円形度が0.915〜0.960であり、45体積%のメタノール水溶液中でのトナーの透過率が10〜70%であることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。本発明のトナーは、結着樹脂と着色剤と離型剤とを少なくとも含有するトナー粒子と、無機微粒子を含有し、前記無機微粒子として、短軸径が30〜60nmであり、長軸径が50〜150nmであり、アスペクト比が1.2〜4.0である無機微粒子を少なくとも含み、トナーの円相当径3μm以上の平均円形度が0.915〜0.960であり、45体積%のメタノール水溶液中でのトナーの透過率が10〜70%であることを特徴とする。トナーの45体積%のメタノール水溶液中での透過率とは、トナー粒子表面近傍に存在する離型剤の量を定量的に表す指標である。すなわち、トナーに含有される無機微粒子の形状、トナーの円形度、及びトナー粒子近傍に存在する離型剤の量を上記範囲に調整することにより、優れた帯電特性及び転写能を有し、長期にわたる耐久的な使用においても高画質な画像を形成することができる。
【0012】
まず、本発明のトナーは、円相当径3μm以上の平均円形度が0.915〜0.960である。この円形度は、0.918〜0.946であることが好ましく、0.918〜0.942であることがより好ましい。トナーの円形度が0.915より小さすぎると、トナー同士、またトナーキャリア間の接触面積が大きくなりトナー離れを阻害し転写能悪化に繋がる。逆に円形度が0.960より大きすぎると、形状が球形すぎるため、転写残トナーがクリーニングブレードをすり抜けてしまうなどのクリーニング不良が起こったり、トナー同士またはトナーとキャリアとの摩擦帯電が困難となり、非画像部へのカブリ、飛び散りの多い不鮮明な画像となる。
【0013】
また、本発明のトナーは45体積%のメタノール水溶液中でのトナーの透過率が10〜70%であることを特徴とする。上述したように、トナー表面近傍の離型剤の量を測定する簡易且つ精度の高い方法として、45体積%のメタノール(MeOH)水溶液におけるトナーの透過率を測定する方法がある。このような透過率を測定することにより、トナー粒子全体についてトナー表面近傍に存在する離型剤の量を把握することができる。この測定方法は、トナーを一度混合溶媒中で強制分散させて、トナー粒子一粒一粒の表面離型剤量の特徴を出やすくした上で、一定時間後の透過率を測定することで、トナー表面の離型剤量を正確に把握できるものである。つまり、疎水性である離型剤がトナー粒子表面に多く存在すると、溶媒に分散しにくくトナーが液面に浮き上がるため、透過率が70%のような高い値になる。逆に、トナー粒子表面に存在する離型剤の量が少ないと、親水性である結着樹脂のポリエステルユニットが多く存在するため、溶媒中で均一分散し透過率が10%のような小さな値になる。
【0014】
上記透過率は好ましくは10〜60%であり、より好ましくは15〜50%である。透過率が10%より少なすぎるとトナー粒子表面に存在する離型剤が少なく定着時に離型効果が現れにくいため、省エネの観点から望まれる低温定着を行うことができず、また定着手段の構成においてもかなりの圧力を要するため負荷が大きくなる。また、逆に透過率が70%より大きすぎるとトナー粒子表面に存在する離型剤の量が多すぎ、帯電付与部材が離型剤により汚染されたり、例えば現像スリーブ上にトナーが融着することにより該現像スリーブが高抵抗化することで、現像スリーブにかかる実際の現像バイアスの効力が下がり、しいては画像濃度の低下に繋がるものである。
【0015】
本発明において、トナーの円形度および45体積%のメタノール水溶液中における透過率を上記範囲に調整するには、以下の方法が好ましく挙げられる。本発明者等による検討の結果、トナー粒子製造の際に発生する微粉を系外に排出しながら機械的衝撃力を与えることにより、所望の円形度を有し、離型剤のトナー中での存在状態が良好な(すなわち所望の透過率を有する)トナーが得られることが見いだされた。つまり、トナー粒子の製造工程において、通常の粉砕工程と球形化工程を単独でまたは同時に行う場合において、発生する微粉を系外に排出しながら行わなければ、粉砕時に生じるかなり小さな微粉が再度凝集することでトナー粒子の形状を凹凸にするため、所望の球形度を有する本発明のトナーを得るには必要以上に機械的衝撃力を与えることが必要となり、その結果余分な熱量をトナーに与えトナー表面の離型剤量が多くなってしまうという弊害が生じる。
【0016】
また上記粉砕時に生じる小さな微粉は、トナーを二成分現像に用いた場合のキャリアへのスペントを悪化させる大きな要因の一つであるが、上述の微粉を系外に排出しながら機械的衝撃力を与える方法によると、機械的衝撃力を加えている同一気流を止めることなく分級できるため、発生した微粉を再凝集させることなく効率良く系外に排出することができる。以上のことから所望のトナー形状と微粉量、そして離型剤のトナー粒子表面における存在量をコントロールできることを見いだした。また単にトナーを球形化するのではなく、その度合いと表面の適正な離型剤存在量とをバランス良く組み合わせることにより、はじめて上述してきた問題点を解決するに至ったものである。
【0017】
ここで従来のトナーの45体積%のメタノール水溶液中における透過率について述べる。離型剤を含有しない非磁性トナーの場合、トナー表面にも当然疎水性の離型剤が存在しないため、球形度に関わらずその透過率は10%未満になる。一方、本発明と同様に離型剤を含有する従来の非磁性トナーにおいては、エアージェット式を用いて粉砕を行った場合は、透過率を所望の10〜70%とすることができるが、平均円形度が上記本発明の範囲には至らず0.915未満と不十分なものになってしまう。そこでトナーを球形化する手段として奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステムなどを行うこともできるが、粉砕時に生じるかなり小さな微粉を取り除くことができないため、必要以上に回転数をアップしたり、または滞留時間を多くする必要があり、結果としてトナーに熱量を多く与えすぎてしまうため、トナー表面に存在する離型剤の量が70%を超えるものとなってしまう。
【0018】
また粉砕と球形化を同時に行うものとして、川崎重工業社製のクリプトロンシステム、日清エンジニアリング社製のスーパーローター等も、上記と同様粉砕時に生じるかなり小さな微粉を取り除けないためトナーに熱量を多く与えすぎてしまい、トナー表面の離型剤量が70%を超えてしまう。
【0019】
また、本発明のトナーは、短軸径が30〜60nmであり、長軸径が50〜150nmであり、アスペクト比が1.2〜4.0である無機微粒子(これを無機微粒子(A)とする)を含有することを特徴とする。このような形状特性を有する無機微粒子を本発明のトナーに含有させることにより、トナー粒子への無機微粒子の付着の度合いを適度なものとすることができるため、転写能に優れ、長期にわたって良好な画像を形成することができるトナーを提供できる。無機微粒子(A)の短軸径は30〜55nmであることが好ましく、35〜50nmであることがより好ましい。また、無機微粒子(A)の長軸径は70〜120nmであることが好ましく、75〜105nmであることがより好ましい。更に、無機微粒子(A)のアスペクト比は1.5〜3.5であることが好ましく、1.8〜3.0であることがより好ましい。
【0020】
無機微粒子(A)の長軸及び短軸径の長さが前記範囲より大きすぎると、外添時におけるトナー粒子との付着が十分でなく脱離してしまう。その結果、トナー粒子とキャリアやスリーブ等とのスペーサー効果を発揮できず転写能低下や、ブロッチ等の原因となる。また無機微粒子(A)の長軸及び短軸径が前記範囲より小さくなると、長時間耐久時に該無機微粒子(A)がトナー粒子へ埋め込まれ、結果良好な転写能を発揮できなくなる。また、無機微粒子(A)のアスペクト比が1.2未満の場合や、4.0より大きい針状あるいは薄片状のものである場合も同様に、スペーサー効果を損ない転写能を低下させてしまう。
【0021】
また、上記無機微粒子(A)は、酸化チタンであることが好ましい。酸化チタンはトナー粒子表面への付着性が良好であり且つトナー粒子から脱離し難いため、酸化チタン自身の持つ帯電特性、流動性付与能、またはスペーサー効果を十分に発揮することができる。
【0022】
また本発明のトナーは、上記した短軸径が30〜60nm、長軸径が50〜150nm、アスペクト比が1.2〜4.0である無機微粒子(A)以外に、以下に述べるような無機微粒子(これを「無機微粒子(B)」とする)が無機微粒子として上記トナー粒子に外部添加されていても良い。
【0023】
本発明のトナーは、疎水性シリカ、アルミナ、酸化チタンから選ばれる無機微粒子(B)をトナー粒子に外部添加して有することが、トナーの流動性及び転写能を更に向上させるうえで好ましい。このような無機微粒子(B)は、トナー表面上での個数平均粒径が5〜50nmであることが好ましく、より好ましくは5〜45nmである。個数平均径が5nm未満では無機微粒子(B)がトナー粒子中に埋め込まれてしまい流動性付与能を発揮できないことがある。また個数平均径が50nmより大きくなると、無機微粒子(B)とトナー粒子との付着が十分でなく脱離してしまうことがある。
【0024】
本発明においては、実際のトナー粒子表面上における微粒子の粒径の関係が、効果・作用に大きく影響する。ゆえに、本発明においては比表面積での評価は行わないが、おおよその目安として無機微粒子(A)は5〜100m2/gが好ましく、より好ましくは20〜800m2/gである。無機微粒子(A)の比表面積が5m2/g未満の場合、粒径が大きくなり過ぎ、トナー粒子上に上手く付着しない。また、上記比表面積が100m2/gを超える場合、大粒径微粒子の持つスペーサー効果が得られない。
【0025】
無機微粒子(B)が疎水性シリカの場合、その比表面積は50〜150m2/gが好ましく、より好ましくは60〜130m2/gである。比表面積が、50m2/g未満の場合、静電的付着力が大きくなり、つまり転写電界の静電気力よりも静電画像担持体への付着が強くなる為、転写画像において中抜けが発生する。また、上記比表面積が150m2/gを超える場合、トナーの流動性が悪くなるため好ましくない。
【0026】
無機微粒子(B)が酸化チタン、アルミナの場合、その比表面積は60〜350m2/gが好ましく、より好ましくは80〜300m2/gである。比表面積が60m2/g未満の場合、粒径が大きくなり過ぎ、トナーの流動性を損なってしまう。また、上記比表面積が350m2/gを超える場合、トナーの流動性は上がるものの帯電性が非常に高くなり、制御できない。
【0027】
なお、比表面積の測定はBET法にしたがって、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて算出する。
【0028】
本発明において上記疎水性シリカとしては、例えばケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものを用いることができる。このような乾式法シリカは従来公知の技術によって製造されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
【0029】
【化1】
SiCl2+2H2+O2 → SiO2+4HCl
【0030】
また、この製造工程において、例えば塩化アルミニウム又は塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、それらも包含する。その粒径は、平均の一次粒径として、0.001〜2μmの範囲内であることが望ましく、特に好ましくは、0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。
【0031】
シリカの疎水化方法としては、無機微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的、または物理的に処理する方法が挙げられる。
【0032】
好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。そのような有機ケイ素化合物の例は、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当たり2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
【0033】
また、無機微粒子(A)又は(B)に用いられる酸化チタンとしては、硫酸法、塩素法、揮発性チタン化合物(例えばチタンアルコキシド、チタンハライド、チタンアセチルアセトネート等)の低温酸化(熱分解、加水分解)により得られる酸化チタン微粒子が用いられる。結晶系としてはアナターゼ型、ルチル型、これらの混晶型、アモルファスのいずれのものも用いることができる。
【0034】
無機微粒子(B)に用いられるアルミナとしては、バイヤー法、改良バイヤー法、エチレンクロルヒドリン法、水中火花放電法、有機アルミニウム加水分解法、アルミニウムミョウバン熱分解法、アンモニウムアルミニウム炭酸塩熱分解法、塩化アルミニウムの火焔分解法により得られるアルミナ微粉体が用いられる。結晶系としてはα、β、γ、δ、ξ、η、θ、κ、χ、ρ型、これらの混晶型、アモルファスのいずれのものも用いられ、α、δ、γ、θ、混晶型、アモルファスのものが好ましく用いられる。
【0035】
また、該無機微粒子(A)及び(B)は、シランカップリング剤、シリコーンオイル又はそれらの混合物などの疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。疎水化剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ジルコアルミネートカツプリング剤の如きカップリング剤が挙げられる。
【0036】
具体的に例えばシランカップリング剤としては、下記一般式(1)
【0037】
【化2】
一般式(1)
RmSiYn
〔式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、フェニル基、メタアクリル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基又はこれらの誘導体を示し、nは1〜3の整数を示す。〕
【0038】
で表されるものが好ましい。例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0039】
その処理量は、無機微粒子100質量部に対して好ましくは1〜60質量部、より好ましくは3〜50質量部である。
【0040】
本発明において上記シランカップリング剤として特に好適なのは、下記一般式(2)
【0041】
【化3】
一般式(2)
CnH2n+1−Si−(OCmH2m+1)3
〔式中、nは4〜12の整数を示し、mは1〜3の整数を示す。〕
【0042】
で示されるアルキルアルコキシシランカップリング剤である。該アルキルアルコキシシランカップリング剤において、nが4より小さいと、処理は容易となるが疎水化度が低く、好ましくない。nが12より大きいと、疎水性が十分になるが、無機微粒子同士の合一が多くなり、流動性付与能が低下しやすい。また、mが3より大きいと、該アルキルアルコキシシランカップリング剤の反応性が低下して疎水化を良好に行いにくくなる。上記アルキルアルコキシシランカップリング剤として好ましいものは上記一般式においてはnが4〜8であり、mが1〜2であるものである。
【0043】
アルキルアルコキシシランカップリング剤の処理量も、無機微粒子100質量部に対して好ましくは1〜60質量部、より好ましくは3〜50質量部である。
【0044】
上記無機微粒子の疎水化処理は1種類の疎水化剤単独で行っても良いし、2種類以上の疎水化剤を併用しても良い。例えば1種類のカップリング剤単独で疎水化処理を行っても良いし、2種類のカップリング剤で同時に、またはカップリング剤での疎水化処理を行った後、別のカップリング剤で更に疎水化処理を行っても良い。
【0045】
また、本発明において、無機微粒子(A)の疎水化度は好ましくは20〜98%、より好ましくは30〜90%、さらに好ましくは40〜80%である。無機微粒子(A)の疎水化度が20%より小さいと、高湿下での長期放置による帯電量低下が大きく、ハード側での帯電促進の機構が必要となるため装置の複雑化を招き、また疎水化度が98%を超えると、無機微粒子(A)自身の帯電コントロールが難しくなり、結果として低湿下でトナーがチャージアップしてしまう。
【0046】
また、無機微粒子(B)が疎水化シリカである場合、疎水化度は好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。疎水化度が80%よりも小さい疎水化シリカを用いた場合は、該シリカが湿度の影響を受けやすく環境依存性が大きいため好ましくない。
【0047】
無機微粒子(B)が酸化チタン又はアルミナである場合、疎水化度は好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは45%以上である。疎水化度が30%よりも小さい無機微粒子(B)を用いた場合は、湿度の影響により、特に高湿下における流動性の悪化が大きいため好ましくない。
【0048】
本発明における疎水化度とは、以下に示す”メタノール滴定試験”によって規定される。無機微粒子0.2gを容量250mlの三角フラスコ中の水50mlに添加する。メタノールをビューレットから滴下することにより、無機微粒子の全量が湿潤されるまで滴定する。この際フラスコ内の溶液はマグネチックスターラーで常時撹拌する。その終点は無機微粒子の全量が液体中に懸濁されることによって観察され、疎水化度は終点に達した際の、メタノールおよび水の液状混合物中のメタノールの百分率として表わされる。
【0049】
上述した無機微粒子(A)、及び酸化チタン、アルミナ、疎水化シリカ等の無機微粒子(B)は、トナー粒子100質量部に対して0.01〜5質量部添加されることが好ましく、0.05〜3量部添加されることがより好ましい。
【0050】
本発明に用いられる無機微粒子(A)の短軸、長軸径及びアスペクト比、および他の無機微粒子(B)の粒径は、トナーのFE−SEMから画像解析により求めることが出来る。なお、測定方法の詳細については後述する。
【0051】
以上、本発明ではトナー粒子表面における離型剤の量をコントロールしつつ、トナー粒子の円形度を向上させることにより、定着能を損なわず転写能を高めることができる。また、トナー粒子表面の離型剤量を抑制することはトナー粒子の流動性向上、及び静電画像担持体との付着力低減につながり、更に転写能を向上できる。また、表面形状をコントロールしていないトナー粒子に比べ、表面の凹凸が少ないことから、添加される無機微粒子が凹部に入り込むことなく、本発明の効果を最大限発揮させることが出来る。つまり、表面形状及び表面離型剤量をコントロールしたトナー粒子に無機微粒子(A)を外部添加することによってはじめて得られる相乗効果により、長時間にわたる耐久的な使用においても無機微粒子のトナー粒子への埋め込みによる劣化の少ない、すなわち高い転写能、帯電安定性を維持するトナーを得ることが出来るのである。
【0052】
本発明のトナーに用いられる結着樹脂としては、従来よりトナーに用いられる任意の公知の樹脂を用いることができ、特に限定されないが、(a)ポリエステル樹脂、(b)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットとを有するハイブリッド樹脂、(c)ハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物、(d)ハイブリッド樹脂とポリエステル樹脂との混合物、(e)ポリエステル樹脂とビニル系重合体との混合物、又は(f)ポリエステル樹脂とハイブリット樹脂とビニル系重合体との混合物から選択される樹脂を主成分樹脂として用いることが好ましい。また、結着樹脂中のポリエステル樹脂又はハイブリッド樹脂成分の割合(両方を含む場合はその合計の割合)が50%以上であることが更に好ましい。
【0053】
(a)ポリエステル樹脂を用いる場合は、2価以上のアルコール成分と2価以上のカルボン酸、カルボン酸無水物、又はカルボン酸エステル等の酸成分とが原料モノマーとして使用できる。具体的には、例えば2価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0054】
3価以上のアルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0055】
酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜12のアルキル基で置換された琥珀酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
【0056】
それらの中でも、特に、下記一般式(3)で代表されるビスフェノール誘導体をジオール成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸成分とし、これらを縮重合したポリエステル樹脂が良好な帯電特性を有するので好ましい。
【0057】
【化4】
(式中、Rはエチレン基又はプロピレン基を示し、x、yはそれぞれ1以上の整数であり、且つx+yの平均値は2〜10である。)
【0058】
(b)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットとを有するハイブリッド樹脂を結着樹脂として用いる場合、トナー中でのさらに良好なワックス分散性と、低温定着性、耐オフセット性の向上が期待できる。本発明に用いられる「ハイブリッド樹脂成分」とは、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合された樹脂を意味する。具体的には、ポリエステルユニットと(メタ)アクリル酸エステルの如きカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合したビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応によって形成されるものであり、好ましくはビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(あるいはブロック共重合体)を形成するものである。
【0059】
なお、本発明において「ポリエステルユニット」とはポリエステルに由来する部分を示し、「ビニル系重合体ユニット」とはビニル系重合体に由来する部分を示す。ポリエステルユニットを構成するポリエステル系モノマーとしては、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分であり、ビニル系重合体ユニットとは、ビニル基を有するモノマー成分を構成成分とするものである。多価カルボン酸成分とビニル基の両方を有するモノマー、又は多価アルコール成分とビニル基の両方を有するモノマーを構成成分として有するユニットについては「ポリエステルユニット」成分として定義する。
【0060】
本発明におけるビニル系重合体ユニット又はビニル系重合体を生成するためのビニル系モノマーとしては、次のようなものが挙げられる。スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンなどのスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンなどの不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
【0061】
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸などの不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物などの不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルなどの不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸などの不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸などのα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物などのα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルなどのカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
【0062】
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンなどのヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
【0063】
本発明におけるビニル系重合体又はビニル系重合体ユニットは、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよいが、この場合に用いられる架橋剤は、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
【0064】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0065】
本発明ではビニル系重合体又はユニット及び/又はポリエステル樹脂又はユニット中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂又はユニットを構成するモノマーのうちビニル系重合体又はユニットと反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。ビニル系重合体又はユニットを構成するモノマーのうちポリエステル樹脂又はユニットと反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
【0066】
ビニル系重合体とポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、先に挙げたビニル系重合体及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含む重合体又は樹脂が存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の重合体又は樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
【0067】
本発明のビニル系重合体、又はビニル系重合体ユニットを製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートが挙げられる。
【0068】
本発明のトナーに用いられるハイブリッド樹脂が調製できる製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(6)に示す製造方法を挙げることができる。
【0069】
(1)ビニル系重合体、ポリエステル樹脂をそれぞれ製造後にブレンドする方法であり、ブレンドは有機溶剤(例えば、キシレン)に溶解・膨潤した後に有機溶剤を留去して製造される。ビニル系重合体とポリエステル樹脂とを別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行って合成することにより、ポリエステルユニットとビニル系重合体とを有するハイブリッド樹脂を得ることができる。
【0070】
(2)ビニル系重合体製造後に、この存在下にポリエステル樹脂を生成し反応させ、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂を製造する方法である。ハイブリッド樹脂はビニル系重合体(必要に応じてビニル系モノマーも添加できる)とポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)及び/またはポリエステル樹脂との反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0071】
(3)ポリエステル樹脂製造後に、この存在下にビニル系重合体を生成し、反応させポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂を製造する方法である。ハイブリッド樹脂はポリエステル樹脂(必要に応じてポリエステルモノマーも添加できる)とビニル系モノマー及び/またはビニル系重合体との反応により製造される。
【0072】
(4)ビニル系重合体及びポリエステル樹脂製造後に、これらの重合体ユニット存在下にビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加することによりハイブリッド樹脂を製造する方法である。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0073】
(5)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットとを有するハイブリッド樹脂を製造後、ビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を更に添加して付加重合及び/又は縮重合反応を行うことによりビニル系重合体、ポリエステル樹脂、及びハイブリッド樹脂を製造する方法である。この場合、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂成分は上記(2)〜(4)の製造方法により製造されるものを使用することもでき、必要に応じて公知の製造方法により製造されたものを使用することもできる。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0074】
(6)ビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸等)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系重合体、ポリエステル樹脂及びポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットとを有するハイブリッド樹脂を製造する方法である。この場合も、適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0075】
上記(1)〜(6)の製造方法において、ビニル系重合体ユニット及び/またはポリエステルユニットは複数の異なる分子量、架橋度を有する重合体ユニットを使用することができる。
【0076】
本発明において、ビニル系重合体は、ビニル系単重合体またはビニル系共重合体を意味し、ビニル系重合体ユニットは、ビニル系単重合体ユニット又はビニル系共重合体ユニットを意味するものである。
【0077】
なお、本発明のトナーに含有される結着樹脂として、(c)上記ハイブリッド樹脂とビニル系共重合体との混合物、(d)上記ハイブリッド樹脂とポリエステル樹脂との混合物、(e)上記ポリエステルと上記ビニル系重合体との混合物、又は(f)ポリエステル樹脂とハイブリット樹脂とビニル系重合体との混合物を使用しても良い。
【0078】
本発明のトナーに含有される着色剤としては公知の顔料または染料を用いることができ、特に限定されないが、顔料の種類としては例えば次の様なものが挙げられる。マゼンタ用着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、88、90、112、122、123、163、202、206、207、209、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35等が挙げられる。
【0079】
かかる顔料を単独で使用しても構わないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,81,82,83,84,100,109,121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28等の塩基性染料が挙げられる。
【0080】
その他の着色顔料として、シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2,3,15,16,17、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45又はフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。
【0081】
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,15,16,17,23,65,73,74,83,147,155,180、C.I.バットイエロー1,3,20等が挙げられる。
【0082】
黒色着色剤としてはカーボンブラック、磁性体、及び上記に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用いて黒色に調色されたものが利用できる。
【0083】
尚、着色剤の使用量は結着樹脂100質量部に対して0.1〜60質量部であることが好ましく、0.5〜50質量部であることがより好ましい。
【0084】
次に本発明に用いられる離型剤について説明する。本発明に用いられる離型剤の一例としては、次のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、また酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0085】
本発明のトナーは、一種または二種以上のワックスを含有していることが望ましい。さらに、本発明のトナーは、低温定着性と耐ブロッキング性とを両立するという観点から、示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲に1個又は複数の吸熱ピークを有し、該吸熱ピーク中の最大吸熱ピークのピーク温度が60〜110℃の範囲にあることが望ましい。より好ましくは65〜100℃の範囲に吸熱曲線の最大ピークがあることが望ましい。最大吸熱ピークのピーク温度が60℃未満である場合はトナーの耐ブロッキング性が悪くなり、逆に最大吸熱ピークのピーク温度が110℃を超える場合は定着性が低下してしまう。
【0086】
離型剤は結着樹脂100質量部あたり0.5〜10質量部、好ましくは2〜8質量部使用するのが良い。
【0087】
トナー粒子には必要に応じて荷電制御剤を添加することができる。荷電制御剤としては、公知のものを使用できるが、芳香族カルボン酸誘導体、該芳香族カルボン酸金属化合物が挙げられる。例えば、該芳香族カルボン酸金属化合物の金属としては、2価以上の金属原子が好ましい。
【0088】
2価の金属としてMg2+、Ca2+、Sr2+、Pb2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Zn2+、Cu2+が挙げられる。このような2価の金属としては、Zn2+、Ca2+、Mg2+、Sr2+が好ましい。3価以上の金属としてはAl3+、Cr3+、Fe3+、Ni3+、Ti4+、Zr4+、Si4+が挙げられる。これらの金属の中で好ましいのはAl3+、Cr3+であり、特に好ましいのはAl3+である。本発明においては、荷電制御剤として、ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物が特に好ましく用いられる。
【0089】
荷電制御剤は、トナーの質量基準で0.1〜10質量%使用すると、トナーの帯電量の初期変動が少なく、現像時に必要な絶対帯電量が得られやすく、結果的に「カブリ」や画像濃度ダウンなどの画像品質の低下がなく好ましい。
【0090】
次に、本発明のトナーを製造する方法について説明する。まず、原料混合工程では、トナー粒子を構成するトナー内添剤として、少なくとも結着樹脂、着色剤及び離型剤を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等がある。
【0091】
次に、上記配合し、混合したトナー粒子原料を溶融混練して、樹脂類を溶融し、その中に着色剤等を分散させる。その溶融混練工程では、例えば、加圧ニーダー、バンバリィミキサー等のバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。近年では、連続生産できる等の優位性から、1軸または2軸押出機が主流となっており、例えば、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出機、東芝機械社製TEM型2軸押出機、ケイ・シー・ケイ社製2軸押出機、ブス社製コ・ニーダー等が一般的に使用される。更に、トナー粒子原料を溶融混練することによって得られる着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する冷却工程を経て冷却される。
【0092】
そして一般的には上記で得られた着色樹脂組成物の冷却物は、次いで、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、まず、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル等で粗粉砕され、更に、川崎重工業社製のクリプトロンシステム、日清エンジニアリング社製のスーパーローター等で粉砕される。その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)等の分級機等の篩分機を用いて分級し、重量平均粒子径が3〜11μmの分級品をトナー粒子として得る。
【0093】
必要に応じて、表面改質工程で球形化処理等の表面改質を、例えば奈良機械製作所製のハイブリタイゼーションシステム、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムを用いて行い、分級品とすることもできる。
【0094】
本発明においては、粉砕工程で機械式粉砕を用いず、エアージェット式粉砕機にて粉砕した後、図1及び図2に示す様な、分級と機械式衝撃力を用いる表面改質処理とを同時に行う装置を用いて重量平均粒子径が3〜11μmの分級品を得る。また、必要に応じて風力式篩のハイボルター(新東京機械社製)等の篩分機を用いても良い。
【0095】
次に、得られたトナー粒子に無機微粒子及び必要に応じて他の外添剤を外添する。外添処理する方法としては、分級されたトナー粒子と上述の無機微粒子(A)並びに必要に応じて無機微粒子(B)及び他の公知の各種外添剤を所定量配合し、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の、粉体にせん断力を与える高速撹拌機を外添機として用いて、撹拌・混合することにより本発明のトナーを得ることができる。
【0096】
以下、本発明のトナーの製造に用いられる装置に対して詳しく述べる。上述したように、トナーの円形度及びメタノール水溶液中における透過率を上記範囲に調整するには、トナー粒子の粉砕工程及び/又は球形化処理等の表面改質工程を該工程中に発生する微粉を系外に排出しながら処理を行うことが好ましい。図1は、本発明のトナーの製造に好ましく用いられる表面改質装置の一例の工程を示す模式的断面図であり、図2は図1の分散ローターの構成を示す模式的平面図である。図1の表面改質装置は、ケーシング30、冷却水或いは不凍液を通水できるジャケット(図示しない)、ケーシング30内において中心回転軸に取り付けられた、上面に角型のディスク或いは円筒型のピン40を複数個有し、高速で回転する円盤状の回転体である表面改質手段としての分散ローター36、分散ローター36の外周に一定間隔を保持して配置された、表面に多数の溝が設けられているライナー34(尚、ライナー表面上の溝はなくても構わない)、表面改質された原料を所定粒径に分級するための手段である分級ローター31、冷風を導入するための冷風導入口35、被処理原料を導入するための原料供給口33、表面改質時間を自在に調整可能となるように、開閉可能なように設置された排出弁38、処理後の粉体を排出するための粉体排出口37、分級ローター31と分散ローター36−ライナー34との間の空間を、分級ローター31へ導入される前の第一の空間41と、分級手段により微粉を分級除去された粒子を表面処理手段へ導入するための第二の空間42に仕切る案内手段である円筒形のガイドリング39、から構成されている。分散ローター36とライナー34との間隙部分が表面改質ゾーンであり、分級ローター31及びその周辺部分が分級ゾーンである。
【0097】
以上のように構成してなる表面改質装置では、排出弁38を閉じた状態で原料供給口33から微粉砕品を投入すると、投入された微粉砕品は、まずブロワー(図示しない)により吸引され、分級ローター31で分級される。その際、分級された所定粒径以下の微粉は装置外へ連続的に排出除去され、所定粒径以上の粗粉は遠心力によりガイドリング39の内周(第二の空間42)に沿いながら分散ローター36により発生する循環流にのり表面改質ゾーンへ導かれる。
【0098】
表面改質ゾーンに導かれた原料は分散ローター36とライナー34間で機械式衝撃力を受け、表面改質処理される。表面改質された表面改質粒子は、機内を通過する冷風にのって、ガイドリング39の外周(第一の空間41)に沿いながら分級ゾーンに導かれる。この時発生した微粉は、分級ローター31により再度機外へ排出され、粗粉は循環流にのって再度表面改質ゾーンに戻され、繰り返し表面改質作用を受ける。一定時間経過後、排出弁38を開き、排出口37より表面改質粒子を回収する。
【0099】
本発明者らが検討した結果、上記表面改質装置を用いた表面改質工程において、原料供給口33からの微粉砕品の投入から排出弁開放までの時間(サイクルタイム)と分散ローターの回転数が、トナーの球形度とトナー粒子表面の離型剤量(すなわち、トナーの透過率)をコントロールする上で重要なことが分かった。
【0100】
球形度を上げるには、サイクルタイムを長くするか、分散ローターの周速を上げるのが効果的である。またトナー粒子表面の離型剤量を低く抑えようとするなら、逆にサイクルタイムを短くするか、周速を下げることが有効である。その中でも特に分散ローターの周速がある一定以上にならないとトナーを効率的に球形化できないため、サイクルタイムを長くして球形化しなければならず、必要以上に表面離型剤量を多くしてしまうことがある。トナー粒子表面の離型剤量を所定以下に抑えつつトナーの円形度を向上させて、トナーの円形度及び透過度を上記範囲とするためには、分散ローラーの周速を1.2×105mm/secとし、サイクルタイムを15〜60秒とすることが有効である。
【0101】
本発明のトナーは、トナーのみからなる(キャリアを含まない)一成分系現像剤及びトナーとキャリアとからなる二成分系現像剤のいずれにも適用できるものであり、何ら限定されないが、本発明のトナーを二成分系現像剤に用いる場合に、併用されるキャリアとしては、例えば表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及びそれらの合金または酸化物及びフェライトなどが使用できる。
【0102】
特に、マンガン、マグネシウム及び鉄成分を主成分として形成されるMn−Mg−Feの3元素の磁性フェライト粒子がキャリアとして好ましい。このような磁性キャリアは、樹脂で被覆されていることが好ましく、樹脂としてはシリコーン樹脂が好ましい。特に、含窒素シリコーン樹脂または、含窒素シランカップリング剤とシリコーン樹脂とが反応することにより生成した変性シリコーン樹脂が、本発明トナーへのマイナスの摩擦電荷の付与性、環境安定性、キャリアの表面の汚染に対する抑制の点で好ましい。
【0103】
磁性キャリアは、平均粒径が15〜60μm(より好ましくは、25〜50μm)がトナーの重量平均粒径との関係で好ましい。磁性キャリアを構成する磁性粒子を上記の平均粒径を有するように調製する方法としては、例えば、篩を用いることによる分級によって行うことが可能である。特に、精度良く分級を行うために、適当な目開きの篩を用いて複数回くり返してふるうことが好ましい。また、メッシュの開口の形状をメッキ等によって制御したものを使うことも有効な手段である。
【0104】
二成分現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2〜15質量%、好ましくは4〜13質量%にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2%未満では画像濃度が低くなりやすく、15質量%を超える場合ではカブリや機内飛散が増加しやすい。
【0105】
次に本発明で用いる測定方法について説明する。
【0106】
1)トナー円形度
本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明ではシスメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA−2100を用いて測定を行い、測定された粒子の円形度を下記式(1)により求め、更に下記式(2)で示すように測定された全粒子の円形度の総和を全粒子数で除した値を平均円形度と定義する。
【0107】
【数1】
円形度a=L0/L (1)
〔式中、L0は粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長を示し、Lは512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理した時の粒子像の周囲長を示す。〕
【0108】
【数2】
【0109】
円形度標準偏差SDは、上記式(1)及び(2)より得られた平均円形度をac、各粒子における円形度をai、測定粒子数をmとすると、下記式(3)より算出される。
【0110】
【数3】
【0111】
本発明に用いている円形度はトナー粒子の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。また、本発明における円形度分布のSDは、バラツキの指標であり、数値が小さいほどトナー形状のバラツキが小さいことを表す。
【0112】
なお、本発明で用いる測定装置である「FPIA−2100」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度及び円形度標準偏差の算出に当たって、得られた円形度によって、粒子を円形度0.4から1.0まで61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度及び円形度標準偏差の算出を行う算出法を用いている。しかしながら、この算出法で算出される平均円形度及び円形度標準偏差の各値と、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式によって算出される平均円形度及び円形度標準偏差の誤差は、非常に少なく、実質的には無視できる程度であり、本発明においては、算出時間の短縮化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出法を用いても良い。さらに本発明で用いる測定装置である「FPIA−2100」は、従来よりトナーの形状を算出するために用いられていた「FPIA1000」と比較して、シースフローの薄層化(7μm→4μmに)及び処理粒子画像の倍率の向上、さらに取り込んだ画像の処理解像度を向上(256×256→512×512)によりトナーの形状測定の精度が上がっており、それにより微粒子のより確実な補足を達成している装置である。従って、本発明のように、より正確に形状を測定する必要がある場合には、より正確に形状に関する情報が得られるFPIA2100の方が有用である。
【0113】
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02g加え、均一に分散させる。分散させる手段としては、超音波分散機「Tetora150型」(日科機バイオス社製)を用い、2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。
【0114】
カラートナー粒子の形状測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のカラートナー粒子濃度が3000〜1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、カラートナー粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、3μm以下のデータをカットして、カラートナー粒子の平均円形度を求める。
【0115】
2)45体積%メタノール水溶液におけるトナーの透過率
(i)トナー分散液の調整
メタノール:水の体積混合比が45:55の水溶液を作製する。この水溶液10mlを30mlのサンプルビン(日電理化硝子:SV−30)に入れ、トナー20mgを液面上に浸しビンのフタをする。その後、ヤヨイ式振とう器(モデル:YS−LD)により150rpmで5秒間振とうさせる。この時、振とうする角度は、振とう器の真上(垂直)を0度とすると、前方に15度、後方に20度、振とうする支柱が動くようにする。サンプルビンは支柱の先に取り付けた固定用ホルダー(サンプルビンの蓋が支柱中心の延長上に固定されたもの)に固定する。サンプルビンを取り出してから30秒間静置後の分散液を測定用分散液とする。
【0116】
(ii)透過率測定
(i)で得た分散液を1cm角の石英セルに入れて分光光度計MPS2000(島津製作所社製)を用いて、10分後の分散液の波長600nmにおける透過率B(%)(下記式参照)を測定する。
【0117】
【数4】
透過率B(%)=I/I0×100
(I・・・透過光束、I0・・・入射光束)
【0118】
3)トナーの摩擦帯電量
図3は摩擦帯電量を測定する装置の説明図である。底に500メッシュのスクリーン53のある金属製の測定容器52に、複写機又はプリンターの現像スリーブ上から採取した二成分現像剤を約0.5〜1.5g入れ金属製のフタ54をする。この時の測定容器52全体の重量を秤りW1(g)とする。次に吸引機51(測定容器52と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口57から吸引し風量調節弁56を調整して真空計55の圧力を250mmAqとする。この状態で充分、好ましくは2分間吸引を行いトナーを吸引除去する。この時の電位計59の電位をV(ボルト)とする。ここで58はコンデンサーであり容量をC(mF)とする。また、吸引後の測定容器全体の重量を秤りW2(g)とする。この試料の摩擦帯電量(mC/kg)は下式より算出される。
【0119】
【数5】
試料の摩擦帯電量(mC/kg) = C×V/(W1−W2)
(但し、測定条件は23℃、60%RHとする)
【0120】
4)トナーの最大吸熱ピークの測定
トナーの最大吸熱ピークは、示差走査熱量計(DSC測定装置)、DCS−7(パーキンエルマー社製)やDSC2920(TAインスツルメンツジャパン社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
【0121】
測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。それをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定範囲30〜200℃の間で、下記の温度履歴に従って昇温速度10℃/minで昇温及び降温を行い常温常湿下で測定を行う。トナーの最大吸熱ピークは、昇温IIの過程で、樹脂Tgの吸熱ピーク以上の領域のベースラインからの高さが一番高いものを、若しくは樹脂Tgの吸熱ピークが別の吸熱ピークと重なり判別し難い場合、その重なるピークの極大ピークから高さが一番高いものを本発明のトナーの最大吸熱ピークとする。
【0122】
【0123】
5)無機微粒子(A)及び(B)の、短軸径長軸径、アスペクト比及び個数平均粒径測定方法
測定は走査型電子顕微鏡S−4700(日立製作所製)を用いて行う。撮影倍率は10万倍とし、さらに撮影された写真を2倍に引き伸ばした後、この写真像から無作為に50〜100サンプル抽出する。球状粒子に関してはその直径、楕円形球状粒子に関してはある一方向の長さをもって当該粒子の粒径とし、その平均の値を求め個数平均粒径Dを算出する。さらにこの際、楕円形球状粒子に関しては長軸と短軸とを測定し、平均した値から長軸径/短軸径の比(アスペクト比)を算出する。
【0124】
本発明の実施形態の例を以下に列挙する。
【0125】
(1)結着樹脂と着色剤と離型剤とを少なくとも含有するトナー粒子と、無機微粒子を含有するトナーであって、
前記無機微粒子として、短軸径が30〜60nmであり、長軸径が50〜150nmであり、アスペクト比が1.2〜4.0である無機微粒子を少なくとも含み、
前記トナーの円相当径3μm以上の平均円形度が0.915〜0.960であり、
45体積%のメタノール水溶液中での前記トナーの透過率が10〜70%であることを特徴とするトナー。
【0126】
(2)前記無機微粒子として、個数平均径が5〜50nmの、疎水化シリカ、アルミナ、酸化チタンから選ばれる無機微粒子(B)を更に含有することを特徴とする(1)のトナー。
【0127】
(3)前記結着樹脂が、(a)ポリエステル樹脂、(b)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットとを有するハイブリッド樹脂、(c)前記ハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物、(d)前記ハイブリッド樹脂とポリエステル樹脂との混合物、(e)ポリエステル樹脂とビニル系重合体との混合物、又は(f)ポリエステル樹脂とハイブリット樹脂及ビニル系重合体との混合物のいずれかから選択される樹脂を含有することを特徴とする(1)又は(2)のトナー。
【0128】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0129】
(ハイブリッド樹脂製造例)
ビニル系重合体として、スチレン1.9mol、2−エチルヘキシルアクリレート0.21mol、フマル酸0.15mol、α−メチルスチレンの2量体0.03mol、ジクミルパーオキサイド0.05molを滴下ロートに入れた。また、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン7.0mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.0mol、テレフタル酸3.0mol、無水トリメリット酸2.0mol、フマル酸5.0mol及び酸化ジブチル錫0.2gをガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、145℃の温度で撹拌しつつ、先の滴下ロートよりビニル系樹脂の単量体、架橋剤及び重合開始剤を4時間かけて滴下した。次いで200℃に昇温を行い、4時間反応させてハイブリッド樹脂を得た。GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量測定の結果を表1に示す。なお、表1において、Mwは重量平均分子量であり、Mnは数平均分子量であり、Mpはピーク分子量である。
【0130】
(ポリエステル樹脂製造例)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.6mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.6mol、テレフタル酸1.7mol、無水トリメリット酸1.1mol、フマル酸2.4mol及び酸化ジブチル錫0.1gをガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。窒素雰囲気下で、215℃で5時間反応させ、ポリエステル樹脂を得た。GPCによる分子量測定の結果を表1に示す。
【0131】
(スチレン−アクリル樹脂製造例)
・スチレン 69.8質量部
・アクリル酸n−ブチル 24質量部
・マレイン酸モノブチル 6質量部
・ジビニルベンゼン 0.2質量部
・ジーt−ブチルパーオキサイド 1質量部
【0132】
4つ口フラスコ内でキシレン200質量部を撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換し120℃に昇温させた後、上記各成分を3.5時間かけて滴下した。更にキシレン還流後下で重合を完了し、減圧下で溶媒を蒸留除去し、スチレン−アクリル樹脂を得た。GPCによる分子量測定の結果を表1に示す。
【0133】
【表1】
【0134】
〈実施例1〉
以下の方法でシアントナー1を調製した。
(第一の混練工程)
上記の原材料を上記の処方でまずニーダー型ミキサーに仕込み、混合しながら非加圧下で昇温させた。最高温度(ペースト中の溶媒の沸点により必然的に決定される。この場合は90〜100℃程度)に達した時点で水相中の顔料が、溶融樹脂相に分配もしくは移行し、これを確認した後、さらに30分間加熱溶融混練させ、ペースト中の顔料を充分に溶融樹脂相に移行させた。その後、一旦ミキサーを停止させ、熱水を排出した。さらに130℃まで昇温させ、約30分間加熱溶融混練を行い、顔料を分散させるとともに水分を留去した。該工程を終了した後冷却し、混練物を取り出し第1の混練物を得た。この第1の混練物の含水量は0.5質量%程度であった。
【0135】
(第二の混練工程)
上記の処方で十分ヘンシェルミキサーにより予備混合を行い、二軸押出し混練機で温度を100℃に設定して溶融混練した。冷却後ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度の粒径に粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で20μm以下の粒径に微粉砕した。さらに得られた微粉砕物を分級と機械式衝撃力を用いる表面改質処理を同時に行う装置にて分級および球形化し、粒度分布における体積平均径が7.2μmのトナー粒子としてのシアン系樹脂粒子(分級品)を得た。
【0136】
実施例において使用した無機微粒子(A)を表2に、無機微粒子(B)を表3にそれぞれ示す。上記シアン系樹脂粒子100質量部に対して表2に示すTiO2▲1▼を1.0質量部外添し、シアントナー1とした。さらに、シアントナー1と、シリコーン樹脂で表面被覆した磁性フェライトキャリア粒子(平均粒径50μm)とを、トナー濃度が7質量%になるように混合し、これを二成分系シアン現像剤1とした。
【0137】
【表2】
【0138】
【表3】
【0139】
このシアン現像剤1と、カラー複写機CLC−1000(キヤノン製)の定着ユニットのオイル塗布機構を取り外した改造機とを用い、単色モードで高温高湿環境下(30℃/80%RH)、常温低湿環境下(23℃/5%RH)、及び常温常湿環境下(23℃/50%RH)において、画像面積比率7%のオリジナル原稿を用いて5万枚の耐刷試験を行い、以下の評価を行った。
【0140】
(1)帯電安定性
上記耐刷試験において、高温高湿環境下(30℃/80%)、常温低湿環境下(23℃/5%)、及び常温常湿環境下(23℃/50%)それぞれの初期及び5万枚耐刷後のスリーブ上トリボを測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0141】
(評価基準)
A:初期と5万枚耐久後のトリボ差がΔ5以内。(優)
B:初期と5万枚耐久後のトリボ差がΔ5〜10だが、実用上問題ない。(良)
C:初期と5万枚耐久後のトリボ差がΔ10〜15で帯電安定性やや難だが、実用上問題ない。(可)
D:初期と5万枚耐久後のトリボ差がΔ15以上で帯電安定性に問題。(不可)
【0142】
(2)転写効率
転写効率については、常温低湿環境下(23℃/5%)の5万枚耐刷後、以下の評価方法、評価基準に基づいて評価した。
【0143】
カラー複写機CLC−1000(キヤノン社製)を使用し、感光体上に現像剤の載り量が0.6mg/cm2になるように感光体の電位コントラストを調整し、転写紙上に転写した画像と、感光体上の転写残の画像の画像濃度を濃度計(X−rite 社製、X−rite 500Series)を用いて測定した。測定に際しては、転写紙上の画像及び感光体の転写残の画像部分の現像剤をテーピングにより採取し、このテープを紙上に貼付したものの画像濃度を測定した。得られた画像濃度から転写紙及び感光体上の現像剤の載り量を換算し転写紙上への転写効率を求めた。なお、転写電流は転写効率が最高になるように調整した値を用いた。感光体の転写残部分をテーピングし紙上に貼って得られた画像濃度をD1とし、紙上に転写された現像剤上にテーピングし紙上に貼って得られた画像濃度をD2とし、下記式により転写効率を算出した。
【0144】
【数6】
転写効率(%) = D2/(D1+D2)×100
【0145】
得られた転写効率を、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0146】
(評価基準)
A:5万枚耐刷後の転写効率が92%以上。(優)
B:5万枚耐刷後の転写効率が87〜92%。(良)
C:5万枚耐刷後の転写効率が80〜87%。(可)
D:5万枚耐刷後の転写効率が80%未満。(不可)
【0147】
(3)定着温度領域
定着温度領域はカラー複写機CLC1000(キヤノン製)のオイル塗布機構を取り外し、さらに定着温度を自由に設定できるように改造して定着試験を行った。単色モードで常温常湿度環境下(23℃/60%)において、紙上のトナー載り量を1.2mg/cm2になるよう現像コントラストを調整し、A4紙(CLC推奨紙であるSK80)上に画像面積比率25%で未定着画像を作成した。定着温度を120℃から順に10℃ずつ上げて上記未定着画像の定着を行い、オフセットや巻きつきが生じない温度幅を定着可能領域とした。
【0148】
実施例1で得られた画像は転写性に優れるとともに、定着特性、耐久安定性も良好であった。トナーの材料及び物性を表4に、評価結果を表5にそれぞれ示す。
【0149】
〈実施例2〉
実施例1において、結着樹脂としてポリエステル樹脂を使用し、無機微粒子(A)としてTiO2▲2▼1.0質量部を、無機微粒子(B)としてSiO2▲1▼0.8質量部を使用した以外は上記実施例1とほぼ同様にしてシアントナー2を作製し、実施例1と同様にキャリアを混合することによりシアン現像剤2を得た。実施例1と同様に各種の評価を行ったところ、表4及び表5に示すように実施例1と同等の良好な結果を得た。
【0150】
〈実施例3〉
実施例1において、無機微粒子(A)としてTiO2▲2▼1.0質量部を、無機微粒子(B)としてTiO2▲8▼0.8質量部を使用し、着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:3の代わりにC.I.ピグメントレッド122を使用した以外は、上記実施例1とほぼ同様にしてマゼンタトナー1を作製し、実施例1と同様にキャリアを混合することによりマゼンタ現像剤1を得た。実施例1と同様に各種の評価を行ったところ、表4及び表5に示すように実施例1と同等の良好な結果を得た。
【0151】
〈実施例4〉
実施例1において、無機微粒子(A)としてTiO2▲2▼1.0質量部を、無機微粒子(B)としてAl2O3▲1▼0.8質量部を使用し、着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:3の代わりにC.I.ピグメントイエロー74を使用した以外は、上記実施例1とほぼ同様にしてイエロートナー1を作製し、実施例1と同様にキャリアを混合することによりイエロー現像剤1を得た。実施例1と同様に各種の評価を行ったところ、表4及び表5に示すように実施例1と同等の良好な結果を得た。
【0152】
〈実施例5〉
実施例1において、無機微粒子(A)としてTiO2▲2▼1.0質量部を、無機微粒子(B)としてSiO2▲2▼0.8質量部を使用し、着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:3の代わりにカーボンブラックを使用した以外は、上記実施例1とほぼ同様にしてブラックトナー1を作製し、実施例1と同様にキャリアを混合することによりブラック現像剤1を得た。実施例1と同様に各種の評価を行ったところ、表4及び表5に示すように実施例1と同等の良好な結果を得た。
【0153】
〈実施例6〉
実施例1において結着樹脂としてポリエステル樹脂とハイブリッド樹脂のブレンド品(ブレンド比=50部/50部)を使用し、無機微粒子(A)としてTiO2▲3▼を使用した以外は上記実施例1とほぼ同様にしてシアントナー3を作製し、実施例1と同様にキャリアを混合することによりシアン現像剤3を得た。実施例1と同様に各種の評価を行ったところ、表4及び表5に示すように転写効率が若干劣るものの実用レベルであった。
【0154】
〈実施例7〉
実施例1において結着樹脂にポリエステル樹脂を使用し、無機微粒子(A)としてTiO2▲4▼を使用した以外は上記実施例1とほぼ同様にしてシアントナー4を作製し、実施例1と同様にキャリアを混合することによりシアン現像剤4を得た。実施例1と同様に各種の評価を行ったところ、表4及び表5に示すように帯電安定性、転写効率が若干劣るものの実用レベルであった。
【0155】
〈実施例8〉
実施例1において結着樹脂にポリエステル樹脂を使用し、無機微粒子(A)としてTiO2▲5▼を使用した以外は上記実施例1とほぼ同様にしてシアントナー5を作製し、実施例1と同様にキャリアを混合することによりシアン現像剤5を得た。実施例1と同様に各種の評価を行ったところ、表4及び表5に示すように帯電安定性、転写効率が若干劣るものの実用レベルであった。
【0156】
〈実施例9〉
実施例1において、結着樹脂としてポリエステル樹脂とスチレン−アクリル樹脂のブレンド品(ブレンド比=50部/50部)を使用し、無機微粒子(A)としてTiO2▲4▼を使用した以外は上記実施例1とほぼ同様にしてシアントナー6を作製し、実施例1と同様にキャリアを混合することによりシアン現像剤6を得た。実施例1と同様に各種の評価を行ったところ、表4及び表5に示すように、帯電安定性、転写効率、及び定着能が劣るものの実用レベルであった。
【0157】
〈実施例10〉
実施例1において、結着樹脂としてハイブリッド樹脂とスチレン−アクリル樹脂のブレンド品(ブレンド比=50部/50部)を使用し、無機微粒子(A)としてTiO2▲5▼を使用した以外は上記実施例1とほぼ同様にしてシアントナー7を作製し、実施例1と同様にキャリアを混合することによりシアン現像剤7を得た。実施例1と同様に各種の評価を行ったところ、表4及び表5に示すように帯電安定性、転写効率、及び定着能が劣るものの実用レベルであった。
【0158】
〈比較例1〉
実施例1において結着樹脂にハイブリッド樹脂とスチレン−アクリル樹脂のブレンド品(ブレンド比=50部/50部)を使用し、無機微粒子(A)としてTiO2▲6▼を使用した以外は上記実施例1とほぼ同様にしてシアントナー8を作製し、実施例1と同様にキャリアを混合することによりシアン現像剤8を得た。実施例1と同様に各種の評価を行ったところ、TiO2▲6▼はトナー粒子への付着が十分でなく、特に帯電安定性において実用レベルではなかった。評価結果を表4及び表5に示す。
【0159】
〈比較例2〉
実施例1において結着樹脂にハイブリッド樹脂とスチレン−アクリル樹脂のブレンド品(ブレンド比=50部/50部)を使用し、無機微粒子(A)としてTiO2▲7▼を使用した以外は上記実施例1とほぼ同様にしてシアントナー9を作製し、実施例1と同様にキャリアを混合することによりシアン現像剤9を得た。実施例1と同様に各種の評価を行ったところ、TiO2▲7▼は細か過ぎて、耐刷試験を進めるにつれトナー粒子中に埋め込まれたため、無機微粒子としての機能を発揮できず帯電安定性、転写性共に実用レベルではなかった。評価結果を表4及び表5に示す。
【0160】
【表4】
【0161】
【表5】
【0162】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた転写性能、耐久安定性、環境安定性を有するトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトナーの製造に好ましく用いられる表面改質装置の一例の工程を示す模式的断面図
【図2】図1の分散ローターの構成を示す模式的平面図
【図3】トナーの摩擦帯電量を測定する装置の説明図
【符号の説明】
31 分級ローター
32 微粉回収口
33 原料供給口
34 ライナー
35 冷風導入口
36 分散ローター
37 製品排出口
38 排出弁
39 ガイドリング
40 角型ディスク
41 第一の空間
42 第二の空間
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法、及びトナージェット法などの画像形成方法に用いられるトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、複写装置やプリンターは、省スペース、省エネなどへの要求から、より小型化、軽量化、高速化、高信頼性が求められている。その結果、ハード構成は種々の点でシンプルな要素で構成されるようになっており、トナーに要求される性能はより高度になっている。つまり、トナー性能の向上が達成できなければ優れたハードウェアを提供できなくなりつつある。特に、トナー性能に求められるのが転写能である。この転写能を向上させることで、トナー消費量の低減、高画質化、トナー回収システムの簡素化といったメリットが得られる。
【0003】
そこで、転写能を向上させる手法の一つとして、トナー形状を球形に近づけることが近年行われてきている。例えば、懸濁重合や乳化重合などにより重合トナーを製造すること、粉砕トナーを溶液中で球形化すること、またトナーを熱風により球形化すること、又は機械的衝撃力で球形化すること等が挙げられる(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。これらの技術は、転写能向上には非常に有効な手段ではあるが、以下の問題点を有している。例えば、重合トナーにおいては離型剤が内包化されるため、定着時に圧力をかけない場合にはどうしても離型剤がトナー表面に出にくくなり定着能が劣るものになる。また、機械的衝撃力や熱風によりトナーを球形化しようとする場合、球形化を進めれば進めるほど、熱により離型剤がトナー表面に溶出しやすく、電子写真特性に悪影響が及ぼされてしまう。
【0004】
離型剤がトナー表面に溶出することで、トナーの流動性が悪化することは大いに予想される。また、トナー同士、トナーとキャリアとの付着性が高まることで粉離れが悪化し、転写能を損なってしまう。そこで、離型剤が内添されたトナーでは、転写性と流動性とが両立される様にトナーを構成することが重要になる。
【0005】
上記の様な事情から、球形度を向上させた、離型剤内添トナーを使いこなす為、無機微粒子の形状や組成を調整する必要性が出てきている。トナーに含まれる無機微粒子を調整する技術として、無機微粒子のアスペクト比を規定することにより、トナー粒子への無機微粒子の付着具合を操作し、転写能、帯電能をコントロールすることが提案されている(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。しかし、このような技術は、球形化度を上げた離型剤を含むトナーには言及されていない。
【0006】
以上のことから、離型剤を含むトナーにおいて、球形化度を向上させながらもトナー表面の離型剤溶出を抑え、優れた転写能、耐久性、帯電特性を得るトナーが求められていた。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−029241号公報
【特許文献2】
特開平7−181732号公報
【特許文献3】
特開平6−332232号公報
【特許文献4】
特開2000−267346号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、長時間にわたる耐久的な使用においても高画質(特に高い転写能)を維持した画像を得ることを課題とする。より具体的には、本発明は優れた転写能及び耐久性を有し、帯電特性の環境依存性が安定したトナーを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、外添剤としてトナーに含有される無機微粒子の物性、トナーの円形度及びトナーの表面に存在する離型剤量に着目し、これらを特定のものとすることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明のトナーは、結着樹脂と着色剤と離型剤とを少なくとも含有するトナー粒子と、無機微粒子を含有し、前記無機微粒子として、短軸径が30〜60nmであり、長軸径が50〜150nmであり、アスペクト比が1.2〜4.0である無機微粒子を少なくとも含み、トナーの円相当径3μm以上の平均円形度が0.915〜0.960であり、45体積%のメタノール水溶液中でのトナーの透過率が10〜70%であることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。本発明のトナーは、結着樹脂と着色剤と離型剤とを少なくとも含有するトナー粒子と、無機微粒子を含有し、前記無機微粒子として、短軸径が30〜60nmであり、長軸径が50〜150nmであり、アスペクト比が1.2〜4.0である無機微粒子を少なくとも含み、トナーの円相当径3μm以上の平均円形度が0.915〜0.960であり、45体積%のメタノール水溶液中でのトナーの透過率が10〜70%であることを特徴とする。トナーの45体積%のメタノール水溶液中での透過率とは、トナー粒子表面近傍に存在する離型剤の量を定量的に表す指標である。すなわち、トナーに含有される無機微粒子の形状、トナーの円形度、及びトナー粒子近傍に存在する離型剤の量を上記範囲に調整することにより、優れた帯電特性及び転写能を有し、長期にわたる耐久的な使用においても高画質な画像を形成することができる。
【0012】
まず、本発明のトナーは、円相当径3μm以上の平均円形度が0.915〜0.960である。この円形度は、0.918〜0.946であることが好ましく、0.918〜0.942であることがより好ましい。トナーの円形度が0.915より小さすぎると、トナー同士、またトナーキャリア間の接触面積が大きくなりトナー離れを阻害し転写能悪化に繋がる。逆に円形度が0.960より大きすぎると、形状が球形すぎるため、転写残トナーがクリーニングブレードをすり抜けてしまうなどのクリーニング不良が起こったり、トナー同士またはトナーとキャリアとの摩擦帯電が困難となり、非画像部へのカブリ、飛び散りの多い不鮮明な画像となる。
【0013】
また、本発明のトナーは45体積%のメタノール水溶液中でのトナーの透過率が10〜70%であることを特徴とする。上述したように、トナー表面近傍の離型剤の量を測定する簡易且つ精度の高い方法として、45体積%のメタノール(MeOH)水溶液におけるトナーの透過率を測定する方法がある。このような透過率を測定することにより、トナー粒子全体についてトナー表面近傍に存在する離型剤の量を把握することができる。この測定方法は、トナーを一度混合溶媒中で強制分散させて、トナー粒子一粒一粒の表面離型剤量の特徴を出やすくした上で、一定時間後の透過率を測定することで、トナー表面の離型剤量を正確に把握できるものである。つまり、疎水性である離型剤がトナー粒子表面に多く存在すると、溶媒に分散しにくくトナーが液面に浮き上がるため、透過率が70%のような高い値になる。逆に、トナー粒子表面に存在する離型剤の量が少ないと、親水性である結着樹脂のポリエステルユニットが多く存在するため、溶媒中で均一分散し透過率が10%のような小さな値になる。
【0014】
上記透過率は好ましくは10〜60%であり、より好ましくは15〜50%である。透過率が10%より少なすぎるとトナー粒子表面に存在する離型剤が少なく定着時に離型効果が現れにくいため、省エネの観点から望まれる低温定着を行うことができず、また定着手段の構成においてもかなりの圧力を要するため負荷が大きくなる。また、逆に透過率が70%より大きすぎるとトナー粒子表面に存在する離型剤の量が多すぎ、帯電付与部材が離型剤により汚染されたり、例えば現像スリーブ上にトナーが融着することにより該現像スリーブが高抵抗化することで、現像スリーブにかかる実際の現像バイアスの効力が下がり、しいては画像濃度の低下に繋がるものである。
【0015】
本発明において、トナーの円形度および45体積%のメタノール水溶液中における透過率を上記範囲に調整するには、以下の方法が好ましく挙げられる。本発明者等による検討の結果、トナー粒子製造の際に発生する微粉を系外に排出しながら機械的衝撃力を与えることにより、所望の円形度を有し、離型剤のトナー中での存在状態が良好な(すなわち所望の透過率を有する)トナーが得られることが見いだされた。つまり、トナー粒子の製造工程において、通常の粉砕工程と球形化工程を単独でまたは同時に行う場合において、発生する微粉を系外に排出しながら行わなければ、粉砕時に生じるかなり小さな微粉が再度凝集することでトナー粒子の形状を凹凸にするため、所望の球形度を有する本発明のトナーを得るには必要以上に機械的衝撃力を与えることが必要となり、その結果余分な熱量をトナーに与えトナー表面の離型剤量が多くなってしまうという弊害が生じる。
【0016】
また上記粉砕時に生じる小さな微粉は、トナーを二成分現像に用いた場合のキャリアへのスペントを悪化させる大きな要因の一つであるが、上述の微粉を系外に排出しながら機械的衝撃力を与える方法によると、機械的衝撃力を加えている同一気流を止めることなく分級できるため、発生した微粉を再凝集させることなく効率良く系外に排出することができる。以上のことから所望のトナー形状と微粉量、そして離型剤のトナー粒子表面における存在量をコントロールできることを見いだした。また単にトナーを球形化するのではなく、その度合いと表面の適正な離型剤存在量とをバランス良く組み合わせることにより、はじめて上述してきた問題点を解決するに至ったものである。
【0017】
ここで従来のトナーの45体積%のメタノール水溶液中における透過率について述べる。離型剤を含有しない非磁性トナーの場合、トナー表面にも当然疎水性の離型剤が存在しないため、球形度に関わらずその透過率は10%未満になる。一方、本発明と同様に離型剤を含有する従来の非磁性トナーにおいては、エアージェット式を用いて粉砕を行った場合は、透過率を所望の10〜70%とすることができるが、平均円形度が上記本発明の範囲には至らず0.915未満と不十分なものになってしまう。そこでトナーを球形化する手段として奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステムなどを行うこともできるが、粉砕時に生じるかなり小さな微粉を取り除くことができないため、必要以上に回転数をアップしたり、または滞留時間を多くする必要があり、結果としてトナーに熱量を多く与えすぎてしまうため、トナー表面に存在する離型剤の量が70%を超えるものとなってしまう。
【0018】
また粉砕と球形化を同時に行うものとして、川崎重工業社製のクリプトロンシステム、日清エンジニアリング社製のスーパーローター等も、上記と同様粉砕時に生じるかなり小さな微粉を取り除けないためトナーに熱量を多く与えすぎてしまい、トナー表面の離型剤量が70%を超えてしまう。
【0019】
また、本発明のトナーは、短軸径が30〜60nmであり、長軸径が50〜150nmであり、アスペクト比が1.2〜4.0である無機微粒子(これを無機微粒子(A)とする)を含有することを特徴とする。このような形状特性を有する無機微粒子を本発明のトナーに含有させることにより、トナー粒子への無機微粒子の付着の度合いを適度なものとすることができるため、転写能に優れ、長期にわたって良好な画像を形成することができるトナーを提供できる。無機微粒子(A)の短軸径は30〜55nmであることが好ましく、35〜50nmであることがより好ましい。また、無機微粒子(A)の長軸径は70〜120nmであることが好ましく、75〜105nmであることがより好ましい。更に、無機微粒子(A)のアスペクト比は1.5〜3.5であることが好ましく、1.8〜3.0であることがより好ましい。
【0020】
無機微粒子(A)の長軸及び短軸径の長さが前記範囲より大きすぎると、外添時におけるトナー粒子との付着が十分でなく脱離してしまう。その結果、トナー粒子とキャリアやスリーブ等とのスペーサー効果を発揮できず転写能低下や、ブロッチ等の原因となる。また無機微粒子(A)の長軸及び短軸径が前記範囲より小さくなると、長時間耐久時に該無機微粒子(A)がトナー粒子へ埋め込まれ、結果良好な転写能を発揮できなくなる。また、無機微粒子(A)のアスペクト比が1.2未満の場合や、4.0より大きい針状あるいは薄片状のものである場合も同様に、スペーサー効果を損ない転写能を低下させてしまう。
【0021】
また、上記無機微粒子(A)は、酸化チタンであることが好ましい。酸化チタンはトナー粒子表面への付着性が良好であり且つトナー粒子から脱離し難いため、酸化チタン自身の持つ帯電特性、流動性付与能、またはスペーサー効果を十分に発揮することができる。
【0022】
また本発明のトナーは、上記した短軸径が30〜60nm、長軸径が50〜150nm、アスペクト比が1.2〜4.0である無機微粒子(A)以外に、以下に述べるような無機微粒子(これを「無機微粒子(B)」とする)が無機微粒子として上記トナー粒子に外部添加されていても良い。
【0023】
本発明のトナーは、疎水性シリカ、アルミナ、酸化チタンから選ばれる無機微粒子(B)をトナー粒子に外部添加して有することが、トナーの流動性及び転写能を更に向上させるうえで好ましい。このような無機微粒子(B)は、トナー表面上での個数平均粒径が5〜50nmであることが好ましく、より好ましくは5〜45nmである。個数平均径が5nm未満では無機微粒子(B)がトナー粒子中に埋め込まれてしまい流動性付与能を発揮できないことがある。また個数平均径が50nmより大きくなると、無機微粒子(B)とトナー粒子との付着が十分でなく脱離してしまうことがある。
【0024】
本発明においては、実際のトナー粒子表面上における微粒子の粒径の関係が、効果・作用に大きく影響する。ゆえに、本発明においては比表面積での評価は行わないが、おおよその目安として無機微粒子(A)は5〜100m2/gが好ましく、より好ましくは20〜800m2/gである。無機微粒子(A)の比表面積が5m2/g未満の場合、粒径が大きくなり過ぎ、トナー粒子上に上手く付着しない。また、上記比表面積が100m2/gを超える場合、大粒径微粒子の持つスペーサー効果が得られない。
【0025】
無機微粒子(B)が疎水性シリカの場合、その比表面積は50〜150m2/gが好ましく、より好ましくは60〜130m2/gである。比表面積が、50m2/g未満の場合、静電的付着力が大きくなり、つまり転写電界の静電気力よりも静電画像担持体への付着が強くなる為、転写画像において中抜けが発生する。また、上記比表面積が150m2/gを超える場合、トナーの流動性が悪くなるため好ましくない。
【0026】
無機微粒子(B)が酸化チタン、アルミナの場合、その比表面積は60〜350m2/gが好ましく、より好ましくは80〜300m2/gである。比表面積が60m2/g未満の場合、粒径が大きくなり過ぎ、トナーの流動性を損なってしまう。また、上記比表面積が350m2/gを超える場合、トナーの流動性は上がるものの帯電性が非常に高くなり、制御できない。
【0027】
なお、比表面積の測定はBET法にしたがって、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて算出する。
【0028】
本発明において上記疎水性シリカとしては、例えばケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものを用いることができる。このような乾式法シリカは従来公知の技術によって製造されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
【0029】
【化1】
SiCl2+2H2+O2 → SiO2+4HCl
【0030】
また、この製造工程において、例えば塩化アルミニウム又は塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、それらも包含する。その粒径は、平均の一次粒径として、0.001〜2μmの範囲内であることが望ましく、特に好ましくは、0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。
【0031】
シリカの疎水化方法としては、無機微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的、または物理的に処理する方法が挙げられる。
【0032】
好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。そのような有機ケイ素化合物の例は、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当たり2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
【0033】
また、無機微粒子(A)又は(B)に用いられる酸化チタンとしては、硫酸法、塩素法、揮発性チタン化合物(例えばチタンアルコキシド、チタンハライド、チタンアセチルアセトネート等)の低温酸化(熱分解、加水分解)により得られる酸化チタン微粒子が用いられる。結晶系としてはアナターゼ型、ルチル型、これらの混晶型、アモルファスのいずれのものも用いることができる。
【0034】
無機微粒子(B)に用いられるアルミナとしては、バイヤー法、改良バイヤー法、エチレンクロルヒドリン法、水中火花放電法、有機アルミニウム加水分解法、アルミニウムミョウバン熱分解法、アンモニウムアルミニウム炭酸塩熱分解法、塩化アルミニウムの火焔分解法により得られるアルミナ微粉体が用いられる。結晶系としてはα、β、γ、δ、ξ、η、θ、κ、χ、ρ型、これらの混晶型、アモルファスのいずれのものも用いられ、α、δ、γ、θ、混晶型、アモルファスのものが好ましく用いられる。
【0035】
また、該無機微粒子(A)及び(B)は、シランカップリング剤、シリコーンオイル又はそれらの混合物などの疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。疎水化剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ジルコアルミネートカツプリング剤の如きカップリング剤が挙げられる。
【0036】
具体的に例えばシランカップリング剤としては、下記一般式(1)
【0037】
【化2】
一般式(1)
RmSiYn
〔式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、フェニル基、メタアクリル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基又はこれらの誘導体を示し、nは1〜3の整数を示す。〕
【0038】
で表されるものが好ましい。例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0039】
その処理量は、無機微粒子100質量部に対して好ましくは1〜60質量部、より好ましくは3〜50質量部である。
【0040】
本発明において上記シランカップリング剤として特に好適なのは、下記一般式(2)
【0041】
【化3】
一般式(2)
CnH2n+1−Si−(OCmH2m+1)3
〔式中、nは4〜12の整数を示し、mは1〜3の整数を示す。〕
【0042】
で示されるアルキルアルコキシシランカップリング剤である。該アルキルアルコキシシランカップリング剤において、nが4より小さいと、処理は容易となるが疎水化度が低く、好ましくない。nが12より大きいと、疎水性が十分になるが、無機微粒子同士の合一が多くなり、流動性付与能が低下しやすい。また、mが3より大きいと、該アルキルアルコキシシランカップリング剤の反応性が低下して疎水化を良好に行いにくくなる。上記アルキルアルコキシシランカップリング剤として好ましいものは上記一般式においてはnが4〜8であり、mが1〜2であるものである。
【0043】
アルキルアルコキシシランカップリング剤の処理量も、無機微粒子100質量部に対して好ましくは1〜60質量部、より好ましくは3〜50質量部である。
【0044】
上記無機微粒子の疎水化処理は1種類の疎水化剤単独で行っても良いし、2種類以上の疎水化剤を併用しても良い。例えば1種類のカップリング剤単独で疎水化処理を行っても良いし、2種類のカップリング剤で同時に、またはカップリング剤での疎水化処理を行った後、別のカップリング剤で更に疎水化処理を行っても良い。
【0045】
また、本発明において、無機微粒子(A)の疎水化度は好ましくは20〜98%、より好ましくは30〜90%、さらに好ましくは40〜80%である。無機微粒子(A)の疎水化度が20%より小さいと、高湿下での長期放置による帯電量低下が大きく、ハード側での帯電促進の機構が必要となるため装置の複雑化を招き、また疎水化度が98%を超えると、無機微粒子(A)自身の帯電コントロールが難しくなり、結果として低湿下でトナーがチャージアップしてしまう。
【0046】
また、無機微粒子(B)が疎水化シリカである場合、疎水化度は好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。疎水化度が80%よりも小さい疎水化シリカを用いた場合は、該シリカが湿度の影響を受けやすく環境依存性が大きいため好ましくない。
【0047】
無機微粒子(B)が酸化チタン又はアルミナである場合、疎水化度は好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは45%以上である。疎水化度が30%よりも小さい無機微粒子(B)を用いた場合は、湿度の影響により、特に高湿下における流動性の悪化が大きいため好ましくない。
【0048】
本発明における疎水化度とは、以下に示す”メタノール滴定試験”によって規定される。無機微粒子0.2gを容量250mlの三角フラスコ中の水50mlに添加する。メタノールをビューレットから滴下することにより、無機微粒子の全量が湿潤されるまで滴定する。この際フラスコ内の溶液はマグネチックスターラーで常時撹拌する。その終点は無機微粒子の全量が液体中に懸濁されることによって観察され、疎水化度は終点に達した際の、メタノールおよび水の液状混合物中のメタノールの百分率として表わされる。
【0049】
上述した無機微粒子(A)、及び酸化チタン、アルミナ、疎水化シリカ等の無機微粒子(B)は、トナー粒子100質量部に対して0.01〜5質量部添加されることが好ましく、0.05〜3量部添加されることがより好ましい。
【0050】
本発明に用いられる無機微粒子(A)の短軸、長軸径及びアスペクト比、および他の無機微粒子(B)の粒径は、トナーのFE−SEMから画像解析により求めることが出来る。なお、測定方法の詳細については後述する。
【0051】
以上、本発明ではトナー粒子表面における離型剤の量をコントロールしつつ、トナー粒子の円形度を向上させることにより、定着能を損なわず転写能を高めることができる。また、トナー粒子表面の離型剤量を抑制することはトナー粒子の流動性向上、及び静電画像担持体との付着力低減につながり、更に転写能を向上できる。また、表面形状をコントロールしていないトナー粒子に比べ、表面の凹凸が少ないことから、添加される無機微粒子が凹部に入り込むことなく、本発明の効果を最大限発揮させることが出来る。つまり、表面形状及び表面離型剤量をコントロールしたトナー粒子に無機微粒子(A)を外部添加することによってはじめて得られる相乗効果により、長時間にわたる耐久的な使用においても無機微粒子のトナー粒子への埋め込みによる劣化の少ない、すなわち高い転写能、帯電安定性を維持するトナーを得ることが出来るのである。
【0052】
本発明のトナーに用いられる結着樹脂としては、従来よりトナーに用いられる任意の公知の樹脂を用いることができ、特に限定されないが、(a)ポリエステル樹脂、(b)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットとを有するハイブリッド樹脂、(c)ハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物、(d)ハイブリッド樹脂とポリエステル樹脂との混合物、(e)ポリエステル樹脂とビニル系重合体との混合物、又は(f)ポリエステル樹脂とハイブリット樹脂とビニル系重合体との混合物から選択される樹脂を主成分樹脂として用いることが好ましい。また、結着樹脂中のポリエステル樹脂又はハイブリッド樹脂成分の割合(両方を含む場合はその合計の割合)が50%以上であることが更に好ましい。
【0053】
(a)ポリエステル樹脂を用いる場合は、2価以上のアルコール成分と2価以上のカルボン酸、カルボン酸無水物、又はカルボン酸エステル等の酸成分とが原料モノマーとして使用できる。具体的には、例えば2価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0054】
3価以上のアルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0055】
酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜12のアルキル基で置換された琥珀酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
【0056】
それらの中でも、特に、下記一般式(3)で代表されるビスフェノール誘導体をジオール成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸成分とし、これらを縮重合したポリエステル樹脂が良好な帯電特性を有するので好ましい。
【0057】
【化4】
(式中、Rはエチレン基又はプロピレン基を示し、x、yはそれぞれ1以上の整数であり、且つx+yの平均値は2〜10である。)
【0058】
(b)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットとを有するハイブリッド樹脂を結着樹脂として用いる場合、トナー中でのさらに良好なワックス分散性と、低温定着性、耐オフセット性の向上が期待できる。本発明に用いられる「ハイブリッド樹脂成分」とは、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合された樹脂を意味する。具体的には、ポリエステルユニットと(メタ)アクリル酸エステルの如きカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合したビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応によって形成されるものであり、好ましくはビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(あるいはブロック共重合体)を形成するものである。
【0059】
なお、本発明において「ポリエステルユニット」とはポリエステルに由来する部分を示し、「ビニル系重合体ユニット」とはビニル系重合体に由来する部分を示す。ポリエステルユニットを構成するポリエステル系モノマーとしては、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分であり、ビニル系重合体ユニットとは、ビニル基を有するモノマー成分を構成成分とするものである。多価カルボン酸成分とビニル基の両方を有するモノマー、又は多価アルコール成分とビニル基の両方を有するモノマーを構成成分として有するユニットについては「ポリエステルユニット」成分として定義する。
【0060】
本発明におけるビニル系重合体ユニット又はビニル系重合体を生成するためのビニル系モノマーとしては、次のようなものが挙げられる。スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンなどのスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンなどの不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
【0061】
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸などの不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物などの不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルなどの不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸などの不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸などのα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物などのα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルなどのカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
【0062】
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンなどのヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
【0063】
本発明におけるビニル系重合体又はビニル系重合体ユニットは、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよいが、この場合に用いられる架橋剤は、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
【0064】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0065】
本発明ではビニル系重合体又はユニット及び/又はポリエステル樹脂又はユニット中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂又はユニットを構成するモノマーのうちビニル系重合体又はユニットと反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。ビニル系重合体又はユニットを構成するモノマーのうちポリエステル樹脂又はユニットと反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
【0066】
ビニル系重合体とポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、先に挙げたビニル系重合体及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含む重合体又は樹脂が存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の重合体又は樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
【0067】
本発明のビニル系重合体、又はビニル系重合体ユニットを製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートが挙げられる。
【0068】
本発明のトナーに用いられるハイブリッド樹脂が調製できる製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(6)に示す製造方法を挙げることができる。
【0069】
(1)ビニル系重合体、ポリエステル樹脂をそれぞれ製造後にブレンドする方法であり、ブレンドは有機溶剤(例えば、キシレン)に溶解・膨潤した後に有機溶剤を留去して製造される。ビニル系重合体とポリエステル樹脂とを別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行って合成することにより、ポリエステルユニットとビニル系重合体とを有するハイブリッド樹脂を得ることができる。
【0070】
(2)ビニル系重合体製造後に、この存在下にポリエステル樹脂を生成し反応させ、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂を製造する方法である。ハイブリッド樹脂はビニル系重合体(必要に応じてビニル系モノマーも添加できる)とポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)及び/またはポリエステル樹脂との反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0071】
(3)ポリエステル樹脂製造後に、この存在下にビニル系重合体を生成し、反応させポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂を製造する方法である。ハイブリッド樹脂はポリエステル樹脂(必要に応じてポリエステルモノマーも添加できる)とビニル系モノマー及び/またはビニル系重合体との反応により製造される。
【0072】
(4)ビニル系重合体及びポリエステル樹脂製造後に、これらの重合体ユニット存在下にビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加することによりハイブリッド樹脂を製造する方法である。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0073】
(5)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットとを有するハイブリッド樹脂を製造後、ビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を更に添加して付加重合及び/又は縮重合反応を行うことによりビニル系重合体、ポリエステル樹脂、及びハイブリッド樹脂を製造する方法である。この場合、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂成分は上記(2)〜(4)の製造方法により製造されるものを使用することもでき、必要に応じて公知の製造方法により製造されたものを使用することもできる。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0074】
(6)ビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸等)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系重合体、ポリエステル樹脂及びポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットとを有するハイブリッド樹脂を製造する方法である。この場合も、適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0075】
上記(1)〜(6)の製造方法において、ビニル系重合体ユニット及び/またはポリエステルユニットは複数の異なる分子量、架橋度を有する重合体ユニットを使用することができる。
【0076】
本発明において、ビニル系重合体は、ビニル系単重合体またはビニル系共重合体を意味し、ビニル系重合体ユニットは、ビニル系単重合体ユニット又はビニル系共重合体ユニットを意味するものである。
【0077】
なお、本発明のトナーに含有される結着樹脂として、(c)上記ハイブリッド樹脂とビニル系共重合体との混合物、(d)上記ハイブリッド樹脂とポリエステル樹脂との混合物、(e)上記ポリエステルと上記ビニル系重合体との混合物、又は(f)ポリエステル樹脂とハイブリット樹脂とビニル系重合体との混合物を使用しても良い。
【0078】
本発明のトナーに含有される着色剤としては公知の顔料または染料を用いることができ、特に限定されないが、顔料の種類としては例えば次の様なものが挙げられる。マゼンタ用着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、88、90、112、122、123、163、202、206、207、209、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35等が挙げられる。
【0079】
かかる顔料を単独で使用しても構わないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,81,82,83,84,100,109,121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28等の塩基性染料が挙げられる。
【0080】
その他の着色顔料として、シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2,3,15,16,17、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45又はフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。
【0081】
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,15,16,17,23,65,73,74,83,147,155,180、C.I.バットイエロー1,3,20等が挙げられる。
【0082】
黒色着色剤としてはカーボンブラック、磁性体、及び上記に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用いて黒色に調色されたものが利用できる。
【0083】
尚、着色剤の使用量は結着樹脂100質量部に対して0.1〜60質量部であることが好ましく、0.5〜50質量部であることがより好ましい。
【0084】
次に本発明に用いられる離型剤について説明する。本発明に用いられる離型剤の一例としては、次のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、また酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0085】
本発明のトナーは、一種または二種以上のワックスを含有していることが望ましい。さらに、本発明のトナーは、低温定着性と耐ブロッキング性とを両立するという観点から、示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲に1個又は複数の吸熱ピークを有し、該吸熱ピーク中の最大吸熱ピークのピーク温度が60〜110℃の範囲にあることが望ましい。より好ましくは65〜100℃の範囲に吸熱曲線の最大ピークがあることが望ましい。最大吸熱ピークのピーク温度が60℃未満である場合はトナーの耐ブロッキング性が悪くなり、逆に最大吸熱ピークのピーク温度が110℃を超える場合は定着性が低下してしまう。
【0086】
離型剤は結着樹脂100質量部あたり0.5〜10質量部、好ましくは2〜8質量部使用するのが良い。
【0087】
トナー粒子には必要に応じて荷電制御剤を添加することができる。荷電制御剤としては、公知のものを使用できるが、芳香族カルボン酸誘導体、該芳香族カルボン酸金属化合物が挙げられる。例えば、該芳香族カルボン酸金属化合物の金属としては、2価以上の金属原子が好ましい。
【0088】
2価の金属としてMg2+、Ca2+、Sr2+、Pb2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Zn2+、Cu2+が挙げられる。このような2価の金属としては、Zn2+、Ca2+、Mg2+、Sr2+が好ましい。3価以上の金属としてはAl3+、Cr3+、Fe3+、Ni3+、Ti4+、Zr4+、Si4+が挙げられる。これらの金属の中で好ましいのはAl3+、Cr3+であり、特に好ましいのはAl3+である。本発明においては、荷電制御剤として、ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物が特に好ましく用いられる。
【0089】
荷電制御剤は、トナーの質量基準で0.1〜10質量%使用すると、トナーの帯電量の初期変動が少なく、現像時に必要な絶対帯電量が得られやすく、結果的に「カブリ」や画像濃度ダウンなどの画像品質の低下がなく好ましい。
【0090】
次に、本発明のトナーを製造する方法について説明する。まず、原料混合工程では、トナー粒子を構成するトナー内添剤として、少なくとも結着樹脂、着色剤及び離型剤を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等がある。
【0091】
次に、上記配合し、混合したトナー粒子原料を溶融混練して、樹脂類を溶融し、その中に着色剤等を分散させる。その溶融混練工程では、例えば、加圧ニーダー、バンバリィミキサー等のバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。近年では、連続生産できる等の優位性から、1軸または2軸押出機が主流となっており、例えば、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出機、東芝機械社製TEM型2軸押出機、ケイ・シー・ケイ社製2軸押出機、ブス社製コ・ニーダー等が一般的に使用される。更に、トナー粒子原料を溶融混練することによって得られる着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する冷却工程を経て冷却される。
【0092】
そして一般的には上記で得られた着色樹脂組成物の冷却物は、次いで、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、まず、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル等で粗粉砕され、更に、川崎重工業社製のクリプトロンシステム、日清エンジニアリング社製のスーパーローター等で粉砕される。その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)等の分級機等の篩分機を用いて分級し、重量平均粒子径が3〜11μmの分級品をトナー粒子として得る。
【0093】
必要に応じて、表面改質工程で球形化処理等の表面改質を、例えば奈良機械製作所製のハイブリタイゼーションシステム、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムを用いて行い、分級品とすることもできる。
【0094】
本発明においては、粉砕工程で機械式粉砕を用いず、エアージェット式粉砕機にて粉砕した後、図1及び図2に示す様な、分級と機械式衝撃力を用いる表面改質処理とを同時に行う装置を用いて重量平均粒子径が3〜11μmの分級品を得る。また、必要に応じて風力式篩のハイボルター(新東京機械社製)等の篩分機を用いても良い。
【0095】
次に、得られたトナー粒子に無機微粒子及び必要に応じて他の外添剤を外添する。外添処理する方法としては、分級されたトナー粒子と上述の無機微粒子(A)並びに必要に応じて無機微粒子(B)及び他の公知の各種外添剤を所定量配合し、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の、粉体にせん断力を与える高速撹拌機を外添機として用いて、撹拌・混合することにより本発明のトナーを得ることができる。
【0096】
以下、本発明のトナーの製造に用いられる装置に対して詳しく述べる。上述したように、トナーの円形度及びメタノール水溶液中における透過率を上記範囲に調整するには、トナー粒子の粉砕工程及び/又は球形化処理等の表面改質工程を該工程中に発生する微粉を系外に排出しながら処理を行うことが好ましい。図1は、本発明のトナーの製造に好ましく用いられる表面改質装置の一例の工程を示す模式的断面図であり、図2は図1の分散ローターの構成を示す模式的平面図である。図1の表面改質装置は、ケーシング30、冷却水或いは不凍液を通水できるジャケット(図示しない)、ケーシング30内において中心回転軸に取り付けられた、上面に角型のディスク或いは円筒型のピン40を複数個有し、高速で回転する円盤状の回転体である表面改質手段としての分散ローター36、分散ローター36の外周に一定間隔を保持して配置された、表面に多数の溝が設けられているライナー34(尚、ライナー表面上の溝はなくても構わない)、表面改質された原料を所定粒径に分級するための手段である分級ローター31、冷風を導入するための冷風導入口35、被処理原料を導入するための原料供給口33、表面改質時間を自在に調整可能となるように、開閉可能なように設置された排出弁38、処理後の粉体を排出するための粉体排出口37、分級ローター31と分散ローター36−ライナー34との間の空間を、分級ローター31へ導入される前の第一の空間41と、分級手段により微粉を分級除去された粒子を表面処理手段へ導入するための第二の空間42に仕切る案内手段である円筒形のガイドリング39、から構成されている。分散ローター36とライナー34との間隙部分が表面改質ゾーンであり、分級ローター31及びその周辺部分が分級ゾーンである。
【0097】
以上のように構成してなる表面改質装置では、排出弁38を閉じた状態で原料供給口33から微粉砕品を投入すると、投入された微粉砕品は、まずブロワー(図示しない)により吸引され、分級ローター31で分級される。その際、分級された所定粒径以下の微粉は装置外へ連続的に排出除去され、所定粒径以上の粗粉は遠心力によりガイドリング39の内周(第二の空間42)に沿いながら分散ローター36により発生する循環流にのり表面改質ゾーンへ導かれる。
【0098】
表面改質ゾーンに導かれた原料は分散ローター36とライナー34間で機械式衝撃力を受け、表面改質処理される。表面改質された表面改質粒子は、機内を通過する冷風にのって、ガイドリング39の外周(第一の空間41)に沿いながら分級ゾーンに導かれる。この時発生した微粉は、分級ローター31により再度機外へ排出され、粗粉は循環流にのって再度表面改質ゾーンに戻され、繰り返し表面改質作用を受ける。一定時間経過後、排出弁38を開き、排出口37より表面改質粒子を回収する。
【0099】
本発明者らが検討した結果、上記表面改質装置を用いた表面改質工程において、原料供給口33からの微粉砕品の投入から排出弁開放までの時間(サイクルタイム)と分散ローターの回転数が、トナーの球形度とトナー粒子表面の離型剤量(すなわち、トナーの透過率)をコントロールする上で重要なことが分かった。
【0100】
球形度を上げるには、サイクルタイムを長くするか、分散ローターの周速を上げるのが効果的である。またトナー粒子表面の離型剤量を低く抑えようとするなら、逆にサイクルタイムを短くするか、周速を下げることが有効である。その中でも特に分散ローターの周速がある一定以上にならないとトナーを効率的に球形化できないため、サイクルタイムを長くして球形化しなければならず、必要以上に表面離型剤量を多くしてしまうことがある。トナー粒子表面の離型剤量を所定以下に抑えつつトナーの円形度を向上させて、トナーの円形度及び透過度を上記範囲とするためには、分散ローラーの周速を1.2×105mm/secとし、サイクルタイムを15〜60秒とすることが有効である。
【0101】
本発明のトナーは、トナーのみからなる(キャリアを含まない)一成分系現像剤及びトナーとキャリアとからなる二成分系現像剤のいずれにも適用できるものであり、何ら限定されないが、本発明のトナーを二成分系現像剤に用いる場合に、併用されるキャリアとしては、例えば表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及びそれらの合金または酸化物及びフェライトなどが使用できる。
【0102】
特に、マンガン、マグネシウム及び鉄成分を主成分として形成されるMn−Mg−Feの3元素の磁性フェライト粒子がキャリアとして好ましい。このような磁性キャリアは、樹脂で被覆されていることが好ましく、樹脂としてはシリコーン樹脂が好ましい。特に、含窒素シリコーン樹脂または、含窒素シランカップリング剤とシリコーン樹脂とが反応することにより生成した変性シリコーン樹脂が、本発明トナーへのマイナスの摩擦電荷の付与性、環境安定性、キャリアの表面の汚染に対する抑制の点で好ましい。
【0103】
磁性キャリアは、平均粒径が15〜60μm(より好ましくは、25〜50μm)がトナーの重量平均粒径との関係で好ましい。磁性キャリアを構成する磁性粒子を上記の平均粒径を有するように調製する方法としては、例えば、篩を用いることによる分級によって行うことが可能である。特に、精度良く分級を行うために、適当な目開きの篩を用いて複数回くり返してふるうことが好ましい。また、メッシュの開口の形状をメッキ等によって制御したものを使うことも有効な手段である。
【0104】
二成分現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2〜15質量%、好ましくは4〜13質量%にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2%未満では画像濃度が低くなりやすく、15質量%を超える場合ではカブリや機内飛散が増加しやすい。
【0105】
次に本発明で用いる測定方法について説明する。
【0106】
1)トナー円形度
本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明ではシスメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA−2100を用いて測定を行い、測定された粒子の円形度を下記式(1)により求め、更に下記式(2)で示すように測定された全粒子の円形度の総和を全粒子数で除した値を平均円形度と定義する。
【0107】
【数1】
円形度a=L0/L (1)
〔式中、L0は粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長を示し、Lは512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理した時の粒子像の周囲長を示す。〕
【0108】
【数2】
【0109】
円形度標準偏差SDは、上記式(1)及び(2)より得られた平均円形度をac、各粒子における円形度をai、測定粒子数をmとすると、下記式(3)より算出される。
【0110】
【数3】
【0111】
本発明に用いている円形度はトナー粒子の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。また、本発明における円形度分布のSDは、バラツキの指標であり、数値が小さいほどトナー形状のバラツキが小さいことを表す。
【0112】
なお、本発明で用いる測定装置である「FPIA−2100」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度及び円形度標準偏差の算出に当たって、得られた円形度によって、粒子を円形度0.4から1.0まで61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度及び円形度標準偏差の算出を行う算出法を用いている。しかしながら、この算出法で算出される平均円形度及び円形度標準偏差の各値と、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式によって算出される平均円形度及び円形度標準偏差の誤差は、非常に少なく、実質的には無視できる程度であり、本発明においては、算出時間の短縮化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出法を用いても良い。さらに本発明で用いる測定装置である「FPIA−2100」は、従来よりトナーの形状を算出するために用いられていた「FPIA1000」と比較して、シースフローの薄層化(7μm→4μmに)及び処理粒子画像の倍率の向上、さらに取り込んだ画像の処理解像度を向上(256×256→512×512)によりトナーの形状測定の精度が上がっており、それにより微粒子のより確実な補足を達成している装置である。従って、本発明のように、より正確に形状を測定する必要がある場合には、より正確に形状に関する情報が得られるFPIA2100の方が有用である。
【0113】
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02g加え、均一に分散させる。分散させる手段としては、超音波分散機「Tetora150型」(日科機バイオス社製)を用い、2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。
【0114】
カラートナー粒子の形状測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のカラートナー粒子濃度が3000〜1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、カラートナー粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、3μm以下のデータをカットして、カラートナー粒子の平均円形度を求める。
【0115】
2)45体積%メタノール水溶液におけるトナーの透過率
(i)トナー分散液の調整
メタノール:水の体積混合比が45:55の水溶液を作製する。この水溶液10mlを30mlのサンプルビン(日電理化硝子:SV−30)に入れ、トナー20mgを液面上に浸しビンのフタをする。その後、ヤヨイ式振とう器(モデル:YS−LD)により150rpmで5秒間振とうさせる。この時、振とうする角度は、振とう器の真上(垂直)を0度とすると、前方に15度、後方に20度、振とうする支柱が動くようにする。サンプルビンは支柱の先に取り付けた固定用ホルダー(サンプルビンの蓋が支柱中心の延長上に固定されたもの)に固定する。サンプルビンを取り出してから30秒間静置後の分散液を測定用分散液とする。
【0116】
(ii)透過率測定
(i)で得た分散液を1cm角の石英セルに入れて分光光度計MPS2000(島津製作所社製)を用いて、10分後の分散液の波長600nmにおける透過率B(%)(下記式参照)を測定する。
【0117】
【数4】
透過率B(%)=I/I0×100
(I・・・透過光束、I0・・・入射光束)
【0118】
3)トナーの摩擦帯電量
図3は摩擦帯電量を測定する装置の説明図である。底に500メッシュのスクリーン53のある金属製の測定容器52に、複写機又はプリンターの現像スリーブ上から採取した二成分現像剤を約0.5〜1.5g入れ金属製のフタ54をする。この時の測定容器52全体の重量を秤りW1(g)とする。次に吸引機51(測定容器52と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口57から吸引し風量調節弁56を調整して真空計55の圧力を250mmAqとする。この状態で充分、好ましくは2分間吸引を行いトナーを吸引除去する。この時の電位計59の電位をV(ボルト)とする。ここで58はコンデンサーであり容量をC(mF)とする。また、吸引後の測定容器全体の重量を秤りW2(g)とする。この試料の摩擦帯電量(mC/kg)は下式より算出される。
【0119】
【数5】
試料の摩擦帯電量(mC/kg) = C×V/(W1−W2)
(但し、測定条件は23℃、60%RHとする)
【0120】
4)トナーの最大吸熱ピークの測定
トナーの最大吸熱ピークは、示差走査熱量計(DSC測定装置)、DCS−7(パーキンエルマー社製)やDSC2920(TAインスツルメンツジャパン社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
【0121】
測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。それをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定範囲30〜200℃の間で、下記の温度履歴に従って昇温速度10℃/minで昇温及び降温を行い常温常湿下で測定を行う。トナーの最大吸熱ピークは、昇温IIの過程で、樹脂Tgの吸熱ピーク以上の領域のベースラインからの高さが一番高いものを、若しくは樹脂Tgの吸熱ピークが別の吸熱ピークと重なり判別し難い場合、その重なるピークの極大ピークから高さが一番高いものを本発明のトナーの最大吸熱ピークとする。
【0122】
【0123】
5)無機微粒子(A)及び(B)の、短軸径長軸径、アスペクト比及び個数平均粒径測定方法
測定は走査型電子顕微鏡S−4700(日立製作所製)を用いて行う。撮影倍率は10万倍とし、さらに撮影された写真を2倍に引き伸ばした後、この写真像から無作為に50〜100サンプル抽出する。球状粒子に関してはその直径、楕円形球状粒子に関してはある一方向の長さをもって当該粒子の粒径とし、その平均の値を求め個数平均粒径Dを算出する。さらにこの際、楕円形球状粒子に関しては長軸と短軸とを測定し、平均した値から長軸径/短軸径の比(アスペクト比)を算出する。
【0124】
本発明の実施形態の例を以下に列挙する。
【0125】
(1)結着樹脂と着色剤と離型剤とを少なくとも含有するトナー粒子と、無機微粒子を含有するトナーであって、
前記無機微粒子として、短軸径が30〜60nmであり、長軸径が50〜150nmであり、アスペクト比が1.2〜4.0である無機微粒子を少なくとも含み、
前記トナーの円相当径3μm以上の平均円形度が0.915〜0.960であり、
45体積%のメタノール水溶液中での前記トナーの透過率が10〜70%であることを特徴とするトナー。
【0126】
(2)前記無機微粒子として、個数平均径が5〜50nmの、疎水化シリカ、アルミナ、酸化チタンから選ばれる無機微粒子(B)を更に含有することを特徴とする(1)のトナー。
【0127】
(3)前記結着樹脂が、(a)ポリエステル樹脂、(b)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットとを有するハイブリッド樹脂、(c)前記ハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物、(d)前記ハイブリッド樹脂とポリエステル樹脂との混合物、(e)ポリエステル樹脂とビニル系重合体との混合物、又は(f)ポリエステル樹脂とハイブリット樹脂及ビニル系重合体との混合物のいずれかから選択される樹脂を含有することを特徴とする(1)又は(2)のトナー。
【0128】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0129】
(ハイブリッド樹脂製造例)
ビニル系重合体として、スチレン1.9mol、2−エチルヘキシルアクリレート0.21mol、フマル酸0.15mol、α−メチルスチレンの2量体0.03mol、ジクミルパーオキサイド0.05molを滴下ロートに入れた。また、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン7.0mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.0mol、テレフタル酸3.0mol、無水トリメリット酸2.0mol、フマル酸5.0mol及び酸化ジブチル錫0.2gをガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、145℃の温度で撹拌しつつ、先の滴下ロートよりビニル系樹脂の単量体、架橋剤及び重合開始剤を4時間かけて滴下した。次いで200℃に昇温を行い、4時間反応させてハイブリッド樹脂を得た。GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量測定の結果を表1に示す。なお、表1において、Mwは重量平均分子量であり、Mnは数平均分子量であり、Mpはピーク分子量である。
【0130】
(ポリエステル樹脂製造例)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.6mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.6mol、テレフタル酸1.7mol、無水トリメリット酸1.1mol、フマル酸2.4mol及び酸化ジブチル錫0.1gをガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。窒素雰囲気下で、215℃で5時間反応させ、ポリエステル樹脂を得た。GPCによる分子量測定の結果を表1に示す。
【0131】
(スチレン−アクリル樹脂製造例)
・スチレン 69.8質量部
・アクリル酸n−ブチル 24質量部
・マレイン酸モノブチル 6質量部
・ジビニルベンゼン 0.2質量部
・ジーt−ブチルパーオキサイド 1質量部
【0132】
4つ口フラスコ内でキシレン200質量部を撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換し120℃に昇温させた後、上記各成分を3.5時間かけて滴下した。更にキシレン還流後下で重合を完了し、減圧下で溶媒を蒸留除去し、スチレン−アクリル樹脂を得た。GPCによる分子量測定の結果を表1に示す。
【0133】
【表1】
【0134】
〈実施例1〉
以下の方法でシアントナー1を調製した。
(第一の混練工程)
上記の原材料を上記の処方でまずニーダー型ミキサーに仕込み、混合しながら非加圧下で昇温させた。最高温度(ペースト中の溶媒の沸点により必然的に決定される。この場合は90〜100℃程度)に達した時点で水相中の顔料が、溶融樹脂相に分配もしくは移行し、これを確認した後、さらに30分間加熱溶融混練させ、ペースト中の顔料を充分に溶融樹脂相に移行させた。その後、一旦ミキサーを停止させ、熱水を排出した。さらに130℃まで昇温させ、約30分間加熱溶融混練を行い、顔料を分散させるとともに水分を留去した。該工程を終了した後冷却し、混練物を取り出し第1の混練物を得た。この第1の混練物の含水量は0.5質量%程度であった。
【0135】
(第二の混練工程)
上記の処方で十分ヘンシェルミキサーにより予備混合を行い、二軸押出し混練機で温度を100℃に設定して溶融混練した。冷却後ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度の粒径に粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で20μm以下の粒径に微粉砕した。さらに得られた微粉砕物を分級と機械式衝撃力を用いる表面改質処理を同時に行う装置にて分級および球形化し、粒度分布における体積平均径が7.2μmのトナー粒子としてのシアン系樹脂粒子(分級品)を得た。
【0136】
実施例において使用した無機微粒子(A)を表2に、無機微粒子(B)を表3にそれぞれ示す。上記シアン系樹脂粒子100質量部に対して表2に示すTiO2▲1▼を1.0質量部外添し、シアントナー1とした。さらに、シアントナー1と、シリコーン樹脂で表面被覆した磁性フェライトキャリア粒子(平均粒径50μm)とを、トナー濃度が7質量%になるように混合し、これを二成分系シアン現像剤1とした。
【0137】
【表2】
【0138】
【表3】
【0139】
このシアン現像剤1と、カラー複写機CLC−1000(キヤノン製)の定着ユニットのオイル塗布機構を取り外した改造機とを用い、単色モードで高温高湿環境下(30℃/80%RH)、常温低湿環境下(23℃/5%RH)、及び常温常湿環境下(23℃/50%RH)において、画像面積比率7%のオリジナル原稿を用いて5万枚の耐刷試験を行い、以下の評価を行った。
【0140】
(1)帯電安定性
上記耐刷試験において、高温高湿環境下(30℃/80%)、常温低湿環境下(23℃/5%)、及び常温常湿環境下(23℃/50%)それぞれの初期及び5万枚耐刷後のスリーブ上トリボを測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0141】
(評価基準)
A:初期と5万枚耐久後のトリボ差がΔ5以内。(優)
B:初期と5万枚耐久後のトリボ差がΔ5〜10だが、実用上問題ない。(良)
C:初期と5万枚耐久後のトリボ差がΔ10〜15で帯電安定性やや難だが、実用上問題ない。(可)
D:初期と5万枚耐久後のトリボ差がΔ15以上で帯電安定性に問題。(不可)
【0142】
(2)転写効率
転写効率については、常温低湿環境下(23℃/5%)の5万枚耐刷後、以下の評価方法、評価基準に基づいて評価した。
【0143】
カラー複写機CLC−1000(キヤノン社製)を使用し、感光体上に現像剤の載り量が0.6mg/cm2になるように感光体の電位コントラストを調整し、転写紙上に転写した画像と、感光体上の転写残の画像の画像濃度を濃度計(X−rite 社製、X−rite 500Series)を用いて測定した。測定に際しては、転写紙上の画像及び感光体の転写残の画像部分の現像剤をテーピングにより採取し、このテープを紙上に貼付したものの画像濃度を測定した。得られた画像濃度から転写紙及び感光体上の現像剤の載り量を換算し転写紙上への転写効率を求めた。なお、転写電流は転写効率が最高になるように調整した値を用いた。感光体の転写残部分をテーピングし紙上に貼って得られた画像濃度をD1とし、紙上に転写された現像剤上にテーピングし紙上に貼って得られた画像濃度をD2とし、下記式により転写効率を算出した。
【0144】
【数6】
転写効率(%) = D2/(D1+D2)×100
【0145】
得られた転写効率を、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0146】
(評価基準)
A:5万枚耐刷後の転写効率が92%以上。(優)
B:5万枚耐刷後の転写効率が87〜92%。(良)
C:5万枚耐刷後の転写効率が80〜87%。(可)
D:5万枚耐刷後の転写効率が80%未満。(不可)
【0147】
(3)定着温度領域
定着温度領域はカラー複写機CLC1000(キヤノン製)のオイル塗布機構を取り外し、さらに定着温度を自由に設定できるように改造して定着試験を行った。単色モードで常温常湿度環境下(23℃/60%)において、紙上のトナー載り量を1.2mg/cm2になるよう現像コントラストを調整し、A4紙(CLC推奨紙であるSK80)上に画像面積比率25%で未定着画像を作成した。定着温度を120℃から順に10℃ずつ上げて上記未定着画像の定着を行い、オフセットや巻きつきが生じない温度幅を定着可能領域とした。
【0148】
実施例1で得られた画像は転写性に優れるとともに、定着特性、耐久安定性も良好であった。トナーの材料及び物性を表4に、評価結果を表5にそれぞれ示す。
【0149】
〈実施例2〉
実施例1において、結着樹脂としてポリエステル樹脂を使用し、無機微粒子(A)としてTiO2▲2▼1.0質量部を、無機微粒子(B)としてSiO2▲1▼0.8質量部を使用した以外は上記実施例1とほぼ同様にしてシアントナー2を作製し、実施例1と同様にキャリアを混合することによりシアン現像剤2を得た。実施例1と同様に各種の評価を行ったところ、表4及び表5に示すように実施例1と同等の良好な結果を得た。
【0150】
〈実施例3〉
実施例1において、無機微粒子(A)としてTiO2▲2▼1.0質量部を、無機微粒子(B)としてTiO2▲8▼0.8質量部を使用し、着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:3の代わりにC.I.ピグメントレッド122を使用した以外は、上記実施例1とほぼ同様にしてマゼンタトナー1を作製し、実施例1と同様にキャリアを混合することによりマゼンタ現像剤1を得た。実施例1と同様に各種の評価を行ったところ、表4及び表5に示すように実施例1と同等の良好な結果を得た。
【0151】
〈実施例4〉
実施例1において、無機微粒子(A)としてTiO2▲2▼1.0質量部を、無機微粒子(B)としてAl2O3▲1▼0.8質量部を使用し、着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:3の代わりにC.I.ピグメントイエロー74を使用した以外は、上記実施例1とほぼ同様にしてイエロートナー1を作製し、実施例1と同様にキャリアを混合することによりイエロー現像剤1を得た。実施例1と同様に各種の評価を行ったところ、表4及び表5に示すように実施例1と同等の良好な結果を得た。
【0152】
〈実施例5〉
実施例1において、無機微粒子(A)としてTiO2▲2▼1.0質量部を、無機微粒子(B)としてSiO2▲2▼0.8質量部を使用し、着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:3の代わりにカーボンブラックを使用した以外は、上記実施例1とほぼ同様にしてブラックトナー1を作製し、実施例1と同様にキャリアを混合することによりブラック現像剤1を得た。実施例1と同様に各種の評価を行ったところ、表4及び表5に示すように実施例1と同等の良好な結果を得た。
【0153】
〈実施例6〉
実施例1において結着樹脂としてポリエステル樹脂とハイブリッド樹脂のブレンド品(ブレンド比=50部/50部)を使用し、無機微粒子(A)としてTiO2▲3▼を使用した以外は上記実施例1とほぼ同様にしてシアントナー3を作製し、実施例1と同様にキャリアを混合することによりシアン現像剤3を得た。実施例1と同様に各種の評価を行ったところ、表4及び表5に示すように転写効率が若干劣るものの実用レベルであった。
【0154】
〈実施例7〉
実施例1において結着樹脂にポリエステル樹脂を使用し、無機微粒子(A)としてTiO2▲4▼を使用した以外は上記実施例1とほぼ同様にしてシアントナー4を作製し、実施例1と同様にキャリアを混合することによりシアン現像剤4を得た。実施例1と同様に各種の評価を行ったところ、表4及び表5に示すように帯電安定性、転写効率が若干劣るものの実用レベルであった。
【0155】
〈実施例8〉
実施例1において結着樹脂にポリエステル樹脂を使用し、無機微粒子(A)としてTiO2▲5▼を使用した以外は上記実施例1とほぼ同様にしてシアントナー5を作製し、実施例1と同様にキャリアを混合することによりシアン現像剤5を得た。実施例1と同様に各種の評価を行ったところ、表4及び表5に示すように帯電安定性、転写効率が若干劣るものの実用レベルであった。
【0156】
〈実施例9〉
実施例1において、結着樹脂としてポリエステル樹脂とスチレン−アクリル樹脂のブレンド品(ブレンド比=50部/50部)を使用し、無機微粒子(A)としてTiO2▲4▼を使用した以外は上記実施例1とほぼ同様にしてシアントナー6を作製し、実施例1と同様にキャリアを混合することによりシアン現像剤6を得た。実施例1と同様に各種の評価を行ったところ、表4及び表5に示すように、帯電安定性、転写効率、及び定着能が劣るものの実用レベルであった。
【0157】
〈実施例10〉
実施例1において、結着樹脂としてハイブリッド樹脂とスチレン−アクリル樹脂のブレンド品(ブレンド比=50部/50部)を使用し、無機微粒子(A)としてTiO2▲5▼を使用した以外は上記実施例1とほぼ同様にしてシアントナー7を作製し、実施例1と同様にキャリアを混合することによりシアン現像剤7を得た。実施例1と同様に各種の評価を行ったところ、表4及び表5に示すように帯電安定性、転写効率、及び定着能が劣るものの実用レベルであった。
【0158】
〈比較例1〉
実施例1において結着樹脂にハイブリッド樹脂とスチレン−アクリル樹脂のブレンド品(ブレンド比=50部/50部)を使用し、無機微粒子(A)としてTiO2▲6▼を使用した以外は上記実施例1とほぼ同様にしてシアントナー8を作製し、実施例1と同様にキャリアを混合することによりシアン現像剤8を得た。実施例1と同様に各種の評価を行ったところ、TiO2▲6▼はトナー粒子への付着が十分でなく、特に帯電安定性において実用レベルではなかった。評価結果を表4及び表5に示す。
【0159】
〈比較例2〉
実施例1において結着樹脂にハイブリッド樹脂とスチレン−アクリル樹脂のブレンド品(ブレンド比=50部/50部)を使用し、無機微粒子(A)としてTiO2▲7▼を使用した以外は上記実施例1とほぼ同様にしてシアントナー9を作製し、実施例1と同様にキャリアを混合することによりシアン現像剤9を得た。実施例1と同様に各種の評価を行ったところ、TiO2▲7▼は細か過ぎて、耐刷試験を進めるにつれトナー粒子中に埋め込まれたため、無機微粒子としての機能を発揮できず帯電安定性、転写性共に実用レベルではなかった。評価結果を表4及び表5に示す。
【0160】
【表4】
【0161】
【表5】
【0162】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた転写性能、耐久安定性、環境安定性を有するトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトナーの製造に好ましく用いられる表面改質装置の一例の工程を示す模式的断面図
【図2】図1の分散ローターの構成を示す模式的平面図
【図3】トナーの摩擦帯電量を測定する装置の説明図
【符号の説明】
31 分級ローター
32 微粉回収口
33 原料供給口
34 ライナー
35 冷風導入口
36 分散ローター
37 製品排出口
38 排出弁
39 ガイドリング
40 角型ディスク
41 第一の空間
42 第二の空間
Claims (1)
- 結着樹脂と着色剤と離型剤とを少なくとも含有するトナー粒子と、無機微粒子を含有するトナーであって、
前記無機微粒子として、短軸径が30〜60nmであり、長軸径が50〜150nmであり、アスペクト比が1.2〜4.0である無機微粒子を少なくとも含み、
前記トナーの円相当径3μm以上の平均円形度が0.915〜0.960であり、
45体積%のメタノール水溶液中での前記トナーの透過率が10〜70%であることを特徴とするトナー。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007114618A (ja) * | 2005-10-21 | 2007-05-10 | Fuji Xerox Co Ltd | 静電潜像現像用トナー及び静電潜像現像用現像剤 |
JP2015210410A (ja) * | 2014-04-28 | 2015-11-24 | コニカミノルタ株式会社 | 静電荷像現像用トナー |
JP2018162346A (ja) * | 2017-03-24 | 2018-10-18 | 富士ゼロックス株式会社 | 粉体塗料及び静電粉体塗装方法 |
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-
2003
- 2003-03-07 JP JP2003061821A patent/JP2004271850A/ja active Pending
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