JP4468232B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法、トナージェット記録法、磁気記録法に用いられるトナーに関する。
電子写真式カラー画像形成装置が広く普及するに従い、その用途も多種多様に広がり、その画像品質への要求も厳しくなってきている。一般の写真、カタログ、地図のような画像の複写では、微細な部分に至るまで極めて微細且つ忠実に再現することが求められており、それに伴い、色の鮮やかさに対する要求も高まっており、色再現範囲を拡張することが望まれている。特に、印刷分野への進出が著しい昨今、電子写真方式においても印刷の品質と同等以上の高精彩、高精細、粒状性等が要求されるようになっている。
近年、提案されているフルカラー画像用複写機においては、例えば、複数の感光体を用い、各感光体上にそれぞれ形成された静電荷像をシアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー及びブラックトナーを用いて現像後、感光体とベルト転写体間に転写材を搬送しストレートパス間で転写後、フルカラー画像を形成する方法や、感光体に対向させた転写体表面に静電気力やグリッパーの如き機械的作用により転写材を巻き付け、現像−転写工程を4回実施することでフルカラー画像を得る方法が一般的に利用されている。
これらフルカラー画像用複写機に搭載されるトナーとしては、色再現性を向上させたり、オーバーヘッドプロジェクター(OHP)画像の透明性を損なわないために、加熱加圧定着工程で各トナーが十分混色され、転写材に熱定着されることが必要である。このような要求を満足するためには、よりシャープメルト性を有する樹脂を用いることが好ましく、近年、シャープメルト性樹脂として、ポリエステル樹脂が用いられたりしている。トナー用ポリエステル樹脂を製造するための重合触媒としては、ジブチルスズオキサイド等のスズ系触媒や三酸化アンチモン等のアンチモン系触媒が一般に用いられてきた。今後フルカラー画像用複写機で求められている高速、高画質、高精細といった機能を満たすためには、トナーの性能として、低温定着性、耐高温オフセット性といった定着性、混色性や透明性等の色再現性が重要であるが、上記したような触媒を用いて得られるポリエステル樹脂は、これらのトナー性能を満足させるにはまだ十分ではない。
そこで、芳香族ジオールのチタン酸エステルや固形状チタン化合物を重合触媒として用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1又は2参照)。また、ポリエステル樹脂の縮重合触媒として、チタニウムテトラアルコキシドを有機モノカルボン酸で処理したものを用いる技術も提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、これらの技術はフルカラー画像用トナーに適用した場合、定着性、色再現性、現像性にまだ問題があり、更なる改良が必要である。
また、通常、シャープメルト性樹脂を用いると、加熱加圧定着工程でトナーが溶融した際、結着樹脂の自己凝集力が低いため耐高温オフセット性に問題を生じ易い。そのため、定着時の耐高温オフセット性を向上させるためポリエチレンワックスやポリプロピレンワックスに代表される比較的高結晶性のワックスが離型剤として用いられている。しかし、フルカラー画像用トナーにおいては、この離型剤自身の高結晶性やOHP用シートの材質との屈折率の違いのため、OHPで投影した際に透明性が阻害され、投影像の彩度や明度が低くなる場合がある。
そこで、これらの問題を解決するため、造核材をワックスと併用することでワックスの結晶性を低下させる方法が提案されている(例えば、特許文献4又は5参照)。また、さらに結晶化度の低いワックスを用いる方法も提案されている(例えば、特許文献6及び7参照)。更に、その他のワックスとして、比較的透明性が良く融点の低いワックスとしてモンタン系ワックスを使用することも提案されている(例えば、特許文献8又は9参照)。しかしながらこれらのワックスは、OHP用シートでのトナーの透明性並びに加熱加圧定着時の低温定着性及び耐高温オフセット性の全てが十分満足されるものではない。
特開2002−148867号公報 特開2001−64378号公報 特開平5−279465号公報 特開平4−149559号公報 特開平4−107467号公報 特開平4−301853号公報 特開平5−61238号公報 特開平1−185660号公報 特開平1−238672号公報
本発明は、上述したような従来技術の問題を解決するものであり、定着性、耐高温オフセット性に優れたトナーを提供することを課題とする。また、本発明は、着色剤のトナー粒子中における分散性を改善し、混色性や透明性等の色再現性の優れたトナーを提供することを課題とする。
また、本発明は、帯電性の耐久安定性に優れ、高画質を維持した画像を形成することができるトナーを提供することを課題とする。更に、本発明は、感光体から紙及び転写ベルト等の転写材への転写効率、又は転写ベルトから紙への転写効率の高いトナーを提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ある特定の重合触媒で合成されたポリエステル系の樹脂に着目し、このような樹脂を結着樹脂として用いることにより、トナー粒子中の着色剤及びワックスの分散状態を所望のものにでき、帯電安定性に優れたトナーを得られることができることを見いだし、本発明を完成させた。即ち、上記課題は以下のトナーを用いることにより解決できる。
少なくとも、結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するトナー粒子と無機微粒子とを有するトナーであって
該トナーは、メタノール45体積%水溶液における透過率(%)が10〜70%の範囲にあり、
前記結着樹脂が、芳香族カルボン酸チタン化合物を触媒として用いて合成されたポリエステルユニットを有する樹脂を含有し、
前記無機微粒子が酸化チタン微粒子を含有することを特徴とするフルカラー画像形成用トナー。
本発明によれば、定着性、耐高温オフセット性に優れ、着色剤のトナー粒子中における分散性を良化することができるため混色性や透明性等の色再現性に優れたトナーを提供することができる。また、本発明のトナーは帯電性の耐久安定性に優れることにより、高画質を維持した画像を得ることができる。更に、本発明のトナーは、感光体から紙及び転写ベルト等の転写材への転写効率、又は転写ベルトから紙への転写効率に優れる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のトナーは、フルカラー画像形成方法に用いられ、少なくとも結着樹脂、着色剤、無機微粒子及びワックスを含有するトナーである。また、本発明のトナーに含有される結着樹脂が少なくとも、芳香族カルボン酸チタン化合物を触媒として用いて合成された、ポリエステルユニットを有する樹脂を含有することを特徴とする。
本発明において「ポリエステルユニット」とは、酸とアルコールとの反応によって形成されたエステル結合を有する重合体部分を意味する。また、本発明における「ポリエステルユニットを有する樹脂」とは、このようなポリエステルユニットを有する樹脂、即ち少なくともエステル結合を有する繰り返し単位を含む樹脂を意味する。このようなポリエステルユニットは、具体的には、2価以上のアルコールモノマー成分と、2価以上のカルボン酸、2価以上のカルボン酸無水物及び2価以上のカルボン酸エステル等の酸モノマー成分とから構成されるものである。本発明のトナーは、上記ポリエステルユニットを構成するアルコールモノマー成分及び酸モノマー成分を原料の一部とし、縮重合された部分を有する樹脂(例えば、ポリエステル樹脂、ハイブリッド樹脂)を結着樹脂として用いることを特徴とする。
本発明で用いられる結着樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂、又は上記ハイブリッド樹脂とビニル系重合体の混合物、又は上記ハイブリッド樹脂とポリエステル樹脂の混合物、又はポリエステル樹脂とハイブリッド樹脂とビニル系重合体の混合物、又はポリエステル樹脂とビニル系重合体の混合物、のいずれかから選択される樹脂が好ましい。なお、本発明において、「ビニル系重合体ユニット」とは、ビニル系モノマーが重合することによって形成された重合体部分を示し、「ビニル系重合体ユニットを有する樹脂」とは、ビニル系モノマーがビニル重合された部分を有する樹脂を示す。
ハイブリッド樹脂は、ポリエステルユニット成分と(メタ)アクリル酸エステルなどのカルボン酸エステル基を有するモノマー成分を重合して得られるビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応によって形成されるものであり、好ましくはビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(あるいはブロック共重合体)を形成するものである。
ポリエステルユニット成分を構成する2価以上のアルコールモノマー成分として、具体的には以下のようなものがある。2価アルコールモノマー成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
3価以上のアルコールモノマー成分としては、例えばソルビット、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
本発明におけるポリエステルユニットを構成する酸モノマー成分のうち、2価のカルボン酸モノマー成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸又はその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
3価以上のカルボン酸モノマー成分としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸等が挙げられる。また、その他のモノマーとしては、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル等の多価アルコール類等が挙げられる。
上記各モノマー成分の中でも、特に、下記一般式(2)で表されるビスフェノール誘導体を2価アルコールモノマー成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸モノマー成分として、これらのポリエステルユニット成分で縮重合した樹脂が良好な帯電特性を有するので好ましい。
Figure 0004468232
(式中、Rはエチレン又はプロピレン基を示し、x及びyはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。)
なお、本発明のトナーに含有される結着樹脂は、少なくともポリエステルユニットを有する樹脂であればよく、好ましくは全結着樹脂中に含まれるポリエステルユニットが全結着樹脂に対して30質量%以上であることが、本発明の効果を発現させるために好ましい。より好ましくは40質量%以上であり、特に好ましくは50質量%以上である。
全結着樹脂中に含まれるポリエステルユニット成分が全結着樹脂に対して30質量%以上である場合、トナー粒子中における着色剤の分散性が良化し、定着画像におけるトナー混色性や透明性等の色再現性に優れる。また、転写材上でのカバーリングパワーが大きいトナーを得ることができる。特に、着色剤の含有量が多い着色剤マスターバッチを用いたトナーである場合に、上記効果がより発揮される。
ハイブリッド樹脂に用いられるビニル系重合体ユニット又はビニル系重合体を生成するためのビニル系モノマーとしては、次のようなものが挙げられる。スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンなどのスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンなどの不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸又はメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
更に、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸などの不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物などの不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルなどの不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸などの不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸などのα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物などのα,β−不飽和酸無水物及び該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルなどのカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
更に、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンなどのヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
ハイブリッド樹脂で用いられるビニル系重合体又はビニル系重合体ユニットは、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよいが、この場合に用いられる架橋剤は、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
また、多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
本発明で用いられるハイブリッド樹脂は、ビニル系重合体若しくはビニル系重合体ユニット及び/又はポリエステル樹脂若しくはポリエステルユニット中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂又はポリエステルユニットを構成するモノマーのうちビニル系重合体又はビニル系重合体ユニットと反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。ビニル系重合体又はビニル系重合体ユニットを構成するモノマーのうちポリエステル樹脂又はポリエステルユニットと反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸又はメタクリル酸エステル類が挙げられる。
ビニル系重合体とポリエステル樹脂の反応生成物であるハイブリッド樹脂を得る方法としては、先に挙げたビニル系重合体及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含む重合体又は樹脂が存在しているところで、どちらか一方又は両方の、重合体又は樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
本発明におけるビニル系重合体又はビニル系重合体ユニットを製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン);メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;2,2’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート,ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートが挙げられる。
本発明で用いられるハイブリッド樹脂が得られる製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(5)に示す製造方法を挙げることができる。
(1)ビニル系重合体とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行って合成されるポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂を得ることができる。
(2)ビニル系重合体製造後に、この存在下にポリエステル樹脂を生成し反応させ、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂を製造する方法である。ハイブリッド樹脂はビニル系重合体(必要に応じてビニル系モノマーも添加できる)とポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)及び/又はポリエステル樹脂との反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(3)ポリエステル樹脂製造後に、この存在下にビニル系重合体を生成し反応させ、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂を製造する方法である。ハイブリッド樹脂はポリエステル樹脂(必要に応じてポリエステルモノマーも添加できる)とビニル系モノマー及び/又はビニル系重合体との反応により製造される。
(4)ビニル系重合体及びポリエステル樹脂製造後に、これらの重合体ユニット存在下にビニル系モノマー及び/又はポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加することによりハイブリッド樹脂成分が製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(5)ビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸等)を混合し、付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系重合体、ポリエステル樹脂及びポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂の混合物が製造される。また、適宜、有機溶剤を使用することができる。
上記(1)〜(5)の製造方法において、ビニル系共重合体ユニット及び/又はポリエステルユニットには複数の異なる分子量、架橋度を有する重合体ユニットを使用することができる。
また、上記(2)〜(4)の製造方法によりハイブリッド樹脂成分を製造後、ビニル系モノマー及び/又はポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加して付加重合及び/又は縮重合反応を行うことにより、ビニル系重合体及び/又はポリエステル樹脂とハイブリッド樹脂との混合物が製造される。この場合、該ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂成分として製造されるハイブリッド樹脂を使用することもできる。
本発明において、ビニル系重合体又はビニル系重合体ユニットは、ビニル系単重合体若しくはビニル系共重合体又はビニル系単重合体ユニット若しくはビニル系共重合体ユニットを意味するものである。
本発明のトナーは、結着樹脂に含有される、ポリエステルユニットを有する樹脂が、少なくとも、芳香族カルボン酸チタン化合物を触媒として用いて合成されたものであることを特徴とする。このような、ポリエステルユニットを有する樹脂を用いることにより、トナー粒子中における着色剤の分散性が良化し、定着画像におけるトナー混色性や透明性等の色再現性に優れ、また、転写材上でのカバーリングパワーが大きいトナーを得ることができる。特に、着色剤の含有量が多い着色剤マスターバッチを用いたトナーである場合に、上記効果がより発揮される。
このような本発明の特有の効果は、本発明で用いられるポリエステルユニットを有する樹脂が、芳香族カルボン酸チタン化合物を触媒として用いて合成されることにより発現することができる。本発明では、ポリエステルユニットを有する樹脂を製造する際に芳香族カルボン酸チタン化合物を触媒として用いるため、製造後の樹脂にこの芳香族カルボン酸チタン化合物が必ず存在することとなる。その含有量は樹脂製造時の芳香族カルボン酸チタン化合物の使用量とほぼ等しいと考えられる。このように芳香族カルボン酸チタン化合物由来のチタン原子がポリエステル樹脂中に取り込まれてなるポリエステルユニットがトナー中に存在することにより、結着樹脂と着色剤との親和性が増し、樹脂に対しての着色剤の分散性の良化効果を発現するためと考えられる。なお、結着樹脂中に上記芳香族カルボン酸チタン化合物由来のチタン原子を含有することは、蛍光X線分析等の公知の方法により確認することができる。
また、上記ポリエステルユニットを有する特定の樹脂を用いた本発明のトナーは、帯電性の耐久安定性に優れるため、速い印字速度での耐久帯電性変動が少なく、耐久的使用を通じて高画質を維持することができる。更に、感光体上に現像されたトナーを紙及び転写ドラム等の転写材へ転写させる工程、また、転写ベルトから紙へトナーを転写させる工程において、高い転写効率を得ることができる。
これらはいずれも、トナー粒子の帯電性が安定なために発現する効果であり、顔料等の分散性良化効果による帯電付与能安定性と、該芳香族カルボン酸チタン化合物を触媒として用いたポリエステル樹脂を用いることにより、トナー粒子が適度の帯電緩和性を有しているためと考えられる。
本発明で用いられる芳香族カルボン酸チタン化合物は、芳香族カルボン酸とチタンアルコキシドとが反応することにより得られるものであることが好ましい。また、芳香族カルボン酸としては、2価以上の芳香族カルボン酸(即ち、2つ以上のカルボキシル基を有する芳香族カルボン酸)及び/又は芳香族オキシカルボン酸であることが好ましい。
上記の2価以上の芳香族カルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などのジカルボン酸類又はその無水物、トリメリット酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸などの多価カルボン酸類又はその無水物、エステル化物等が挙げられる。また、上記芳香族オキシカルボン酸としては、サリチル酸、m−オキシ安息香酸、p−オキシカルボン酸、没食子酸、マンデル酸、トロパ酸等が挙げられる。
これらの中でも、芳香族カルボン酸としては2価以上のカルボン酸を用いることがより好ましく、特にイソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ナフタレンジカルボン酸を用いることが好ましい。
また、上記芳香族カルボン酸チタン化合物を構成するチタンアルコキシドとしては、下記一般式(1)で示されるものが好ましく用いられる。
Figure 0004468232
上記一般式(1)において、R、R、R及びRは、炭素数1〜20のアルキル基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、また置換基を有していてもよい。nは1〜10の整数を示す。
上記R、R、R及びRは、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましい。このような構造を有するチタンアルコキシドとしては、具体的に、チタンテトラメトキサイド、チタンテトラエトキサイド、チタンテトラ−iso−プロポキサイド、チタンテトラ−n−プロポキサイド、チタンテトラ−iso−ブトキサイド、チタンテトラ−n−ブトキサイド、チタンテトラ−t−ブトキサイド、チタンテトラペンチルオキサイド、チタンテトラヘキシルオキサイド、チタンテトラヘプチルオキサイド、チタンテトラオクチルオキサイド、チタンテトラノニルオキサイド、チタンテトラデシルオキサイドが例示される。
また、本発明で用いるチタンアルコキシドは、上記一般式(1)においてnが2〜10であるポリチタン酸エステルであることが好ましい。具体的には、テトラ−n−ブチルポリチタネート、テトラ−n−ヘキシルポリチタネート、テトラ−n−オクチルポリチタネートが好ましく例示される。本発明で用いる芳香族カルボン酸チタン化合物は、上記芳香族カルボン酸と上記チタンアルコキシドとを反応させることにより得ることができる。具体的には、エチレングリコール等のアルコール溶媒中で、チタンアルコキシドを加水分解し、芳香族カルボン酸と反応させることにより、上記芳香族カルボン酸チタン化合物を生成することができる。
上記芳香族カルボン酸チタン化合物を触媒として製造されたポリエステル樹脂を用いることにより、トナー粒子中における着色剤の分散性が良化し、定着画像におけるトナー混色性や透明性等の色再現性に優れ、また、転写材上でのカバーリングパワーが大きいトナーを得ることができる。特に、着色剤の含有量が多い着色剤マスターバッチを用いたトナーである場合に、上記効果がより発揮される。このような本願特有の効果は、該芳香族カルボン酸チタン化合物由来のチタン原子がポリエステル樹脂中に取り込まれてなるポリエステルユニットがトナー中に存在することにより、結着樹脂と着色剤との親和性が増し、樹脂に対しての着色剤の分散性良化効果を発現すると考えられる。
更に、上記本発明のトナーを用いることにより、感光体上に現像されたトナーを紙及び転写ドラム等の転写材へ転写させる工程、また、転写ベルトから紙へトナーを転写させる工程において、高い転写効率を得ることができる。
これらは、該芳香族カルボン酸チタン化合物を触媒として製造されたポリエステルユニットを有する樹脂を用いることにより、トナー粒子の帯電性が安定になることによる顔料等の分散性良化効果による帯電付与能安定性と、トナー粒子の適度の帯電緩和性とを発現する。よって、帯電性の耐久安定性が優れ、高画質維持した画像を顕在化できるトナーを得ることができる。
また該芳香族カルボン酸チタン化合物の樹脂への添加量としては、総ポリエステルユニット成分量に対して0.001質量%以上2.0質量%以下であることが好ましく、0.005質量%以上1.0質量%以下であることがより好ましい。芳香族カルボン酸チタン化合物の添加量が0.001質量%未満となると、ポリエステル重合時の反応時間が長くなるとともに、着色剤の分散性を向上させる効果が得られにくくなる。また、添加量が2.0質量%を超えると、トナーの帯電特性に影響を及ぼすようになり、環境による帯電量の変動が大きくなりやすい。上記芳香族カルボン酸チタン化合物は、ポリエステルユニットを有する樹脂の製造において、該樹脂を構成する重合性モノマーを混合した際に存在するように添加して用いられる。
また、本発明のトナーに含有されるポリエステルユニットを有する樹脂の製造において、芳香族カルボン酸チタン化合物の他に、必要に応じて以下に挙げるものを助触媒として用いても良い。
助触媒として、他の種類のチタン化合物を添加してもよく、また、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、コバルト、亜鉛、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、リン、スズ等の元素の化合物も好ましく用いられる。これらの元素の化合物例としては、上記各元素の酢酸塩等の脂肪酸塩、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、アルコキシド、また、塩化物などのハロゲン化物、アセチルアセナート塩、酸化物等が好ましく用いられる。また、ジカルボン酸、ジアルコール及びオキシカルボン酸等とのキレート化合物、芳香族ジオールとアルコシキドが反応したもの、有機モノカルボン酸とアルコキシドが反応したものも好ましく用いられる。
これらの中で好ましく用いられるものは、酢酸塩、炭酸塩、アルコキシド、アルコシキドハロゲン化物、アセチルアセナート塩が好ましく、これらの中でも、チタンアルコキシド、四塩化チタン、ジルコニウムアルコキシド、炭酸マグネシウム、ジカルボン酸チタンキレート化合物、酢酸マグネシウムが特に好ましい。
これらの助触媒を上記芳香族カルボン酸チタン化合物と共存させることにより、ポリエステルユニットを有する樹脂の重縮合反応が速やかに進行させることができるので、好ましい。なお、これらの助触媒は、用いる助触媒の種類に応じて、該芳香族カルボン酸チタン化合物に対し0.01〜200質量%の範囲で用いられる。
本発明に用いる芳香族カルボン酸チタン化合物を構成する、芳香族カルボン酸とチタンアルコキシドの好ましい組み合わせの具体例を下記表1に列挙する。
Figure 0004468232
更に、本発明で用いられるポリエステルユニットを有する樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布において、メインピークを分子量3,500〜15,000の領域に有することが好ましい。より好ましくは、メインピークを分子量4,000〜13,000の領域に有することである。また、上記分子量分布において、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが3.0以上であることが好ましく、5.0以上であることがより好ましい。メインピークが分子量3,500未満の領域にある場合には、トナーの耐高温オフセット性が減少することがある。一方、メインピークが分子量15000超の領域にある場合には、十分なトナーの低温定着性及びOHPの透過性が得られないことがある。また、Mw/Mnが3.0未満である場合には耐オフセット性が低下することがある。
また、本発明で用いるポリエステルユニットを有する樹脂のガラス転移温度(Tg)は40〜90℃であることが好ましく、軟化温度(Tm)は80〜150℃であることが保存性、低温定着性、耐高温オフセット性、着色剤の分散性を両立させる上で好ましい。また、該樹脂の酸価は、50mgKOH/g未満であることが現像耐久安定性や着色剤の分散性を良化させる点で好ましい。
本発明のトナーは、上記ポリエステルユニットを有する樹脂以外にも、従来トナーに用いられている公知の結着樹脂を含有していてもよい。
本発明のトナーは、ワックスを含有していることを特徴とする。
本発明において、芳香族カルボン酸チタン化合物を触媒として用いて合成されたポリエステルユニットを有する樹脂とワックスとを併用することにより、転写材上における色再現性を良化させることができ、特に、OHP画像における透明性を悪化させることなく、明度、彩度の高い画像を得ることができる。また、トナーの低温定着性及び耐オフセット性を両立させることができる。これは、トナー粒子中において、芳香族カルボン酸チタン化合物を触媒として用いて合成されるポリエステルユニットを有する樹脂の存在下で、ワックスを溶融混練等で分散させた場合、芳香族カルボン酸チタン化合物由来のチタンが樹脂中に均一に分散しているため、このチタンがワックスの造核剤として働き、トナー中におけるワックスの分散性を良化させるためと考えられる。その結果、トナー粒子中において、ワックスの微分散性が達成でき、OHP画像における透明性を悪化させることなく、明度、彩度の高い画像を得ることができる。
また、トナー粒子中にワックスをより均一に近い状態で分散できるため、帯電性の耐久安定性が優れ、高画質を維持した画像を得ることができる。更に、感光体上に現像されたトナーを紙及び転写ドラム等の転写材へ転写させる工程や転写ベルトから紙へトナーを転写させる工程において、高い転写効率を得ることができる。
また、トナー粒子中にワックスが均一に分散されているだけでなく、トナー粒子中における微分散が達成されており、その結果、トナー粒子表面におけるワックスの存在量を減少させることができ、トナーの帯電安定性が発現される。
本発明に用いられるワックスの一例としては、次のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、また酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、ベヘン酸ベヘニルエステルワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したものなどが挙げられる。更に、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸等の脂肪酸類とステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール等のアルコール類のエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
本発明において特に好ましく用いられるワックスとしては、脂肪族炭化水素系ワックス及び脂肪酸とアルコールのエステルであるエステル化物が挙げられる。例えば、アルキレンを高圧下でラジカル重合又は低圧下でチーグラー触媒又はメタロセン触媒で重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素ワックスがよい。更にプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行ったものが、より好ましく用いられる。母体としての炭化水素は、金属酸化物系触媒(多くは2種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの[例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物];ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレンなどのアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素が、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であるので好ましい。特にアルキレンの重合によらない方法により合成されたワックスがその分子量分布からも好ましいものである。また、パラフィンワックスも好ましく用いられる。
また、本発明に用いられるワックスは、示差走査熱量分析(DSC)測定における吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲における最大吸熱ピークを示す温度が60〜130℃の範囲にあることが好ましい。より好ましくは最大吸熱ピークを示す温度が65〜125℃の範囲であり、更に好ましくは65〜110℃の範囲である。
ワックスの最大吸熱ピーク温度が60〜130℃の範囲の場合、トナー粒子中でのワックスの適度な微分散性が達成でき、本発明の効果を発現させるために好ましい。一方、最大吸熱ピーク温度が60℃未満の範囲にある場合、トナーの耐ブロッキング性が低下し、逆に最大吸熱ピーク温度が130℃を超える範囲にある場合、定着性が低下する傾向にある。
また、本発明のトナーは、メタノール45体積%水溶液における透過率が、10〜70%の範囲にあることが好ましい。好ましくは10〜60%の範囲であり、より好ましくは15〜50%の範囲にあることである。
本発明のトナーは、トナー粒子中にワックスを含有しているため、トナー粒子表面にも少なくともワックスが存在している。トナー粒子表面のワックスが少なすぎる場合、定着時における離型効果が現れにくく、省エネの観点から望まれる低温定着性の効果が減少する。一方、トナー粒子表面に存在するワックスの量が多すぎる場合、帯電付与部材がトナーにより汚染する。すると、例えば現像スリーブ上にトナーが融着することで高抵抗化し、現像スリーブに実際にかかる現像バイアスの効力が下がり、ひいては画像濃度が低下し現像耐久性が悪化する場合がある。このように、トナー中にワックスを含有させる場合、トナー粒子表面のワックス量をコントロールすることが重要である。
そこで、本発明では、芳香族カルボン酸チタン化合物を触媒として用いて合成された、ポリエステルユニットを有する樹脂とワックスを併用することにより、トナー粒子中においてワックスを微分散することができ、ワックスのトナーへの添加量が多い時でも、トナー粒子表面のワックス量を適度にコントロールすることが可能となった。
なお、上記した、トナーのメタノール45体積%水溶液における透過率(%)は、トナー粒子表面のワックス量を簡易且つ精度高く測定することができる指標として用いられている。
上記透過率の測定方法は、トナー粒子を一度メタノール−水混合溶媒中で強制分散させてトナー粒子一粒一粒の表面ワックス量の特徴を出やすくした上で、一定時間後の透過率を測定することにより、トナー粒子表面のワックス量を正確に把握できるものである。
つまり、疎水性のワックスがトナー粒子表面に多く存在すると、分散されたトナーが溶媒に対して濡れにくく、沈降しないため、透過率が高くなる。逆に、トナー粒子表面におけるワックスの存在量が少ないと、本発明で用いられるポリエステルユニットが多く存在するような樹脂は極性が強い為に親水性を示し、上記混合溶媒中で均一に近い状態で分散することにより、透過率が低くなる。
また、本発明のトナーが、示差走査熱量分析(DSC)により得られる吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲における最大吸熱ピークを示す温度が60〜130℃の範囲にあることが好ましい。より好ましくは65〜125℃の範囲にあり、更に好ましくは65〜110℃の範囲にあることである。なお、上述したような、DSC測定における吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲における最大吸熱ピークを示す温度が60〜130℃であるようなワックスを適宜選択してトナーに含有させることにより、温度30〜200℃の範囲における最大吸熱ピークが上記範囲にある本発明のトナーを得ることができる。
本発明の芳香族カルボン酸チタン化合物を触媒として用いて合成されたポリエステルユニットを有する樹脂を用いた場合、トナーの上記最大吸熱ピーク温度が60〜130℃の範囲であると、トナー粒子中でのワックスの適度な微分散性を達成でき、本発明の効果をより発揮させるために好ましい。一方、最大吸熱ピークが60℃未満の場合、トナーの耐ブロッキング性が低下し、逆に最大吸熱ピークが130℃を超える場合、定着性が低下する傾向にある。
ワックスは結着樹脂100質量部あたり0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部使用するのが良い。
更に、本発明のトナーは樹脂成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布において、メインピークを分子量3,500〜15,000の領域に有することが好ましい。より好ましくは、メインピークを分子量4,000〜13,000の領域に有することである。また、上記分子量分布において、Mw/Mnが3.0以上であることが好ましく、5.0以上であることがより好ましい。メインピークが分子量3,500未満の領域にある場合には、トナーの耐高温オフセット性が減少することがある。一方、メインピークが分子量15000超の領域にある場合には、十分なトナーの低温定着性及び、OHPの透過性が得られないことがある。また、Mw/Mnが3.0未満である場合には良好な耐オフセット性が減少することがある。なお、上記のような分子量分布を有する結着樹脂を適宜選択してトナーに含有させることにより、所望の分子量分布を有する本発明のトナーを得ることができる。
本発明のトナーは、更に着色剤を含有する。本発明のトナーに用いられる着色剤としては、公知の染料又は/及び顔料が使用される。顔料の単独使用でも構わないが、染料と顔料と併用してその鮮明度を向上させた方が、フルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用着色顔料しては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペルリン化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、150、163、166、169、177、184、185、202、206、207、209、220、221、254、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35などが挙げられる。
マゼンタトナー用染料としては、C.Iソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27、C.I.ディスパーバイオレット1などの油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28などの塩基性染料が挙げられる。
シアントナー用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、7、15:2、15:3、15:4、16、17、60、62、66;C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45又は下記式で示される構造を有するフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料などが挙げられる。
Figure 0004468232
〔式中、nは1〜5の整数を示す。〕
イエロー用着色顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属化合物、メチン化合物、アリルアミド化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74,83、93、95、97,109、110、111、120、127、128、129、147、155、168、174、180、181、185、191、C.I.バットイエロー1、3、20などである。また、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、ソルベントイエロー162などの染料も使用することができる。
本発明に用いられる黒色着色剤としてはカーボンブラック、酸化鉄、上記に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用いて黒色に調色されたものが利用できる。
また、本発明では、結着樹脂に予め着色剤を混合し、マスターバッチ化させたものを用いることが好ましい。そして、この着色剤マスターバッチとその他の原材料(他の結着樹脂及びワックス等)を溶融混練させることにより、トナー中に着色剤を良好に分散させることができる。
本発明における上記ポリエステルユニットを有する樹脂を用いて着色剤をマスターバッチ化させると、多量の着色剤を用いた場合においてもマスターバッチ中での着色剤の分散性を悪化させず、また、トナー粒子中における着色剤の分散性を良化させることができ、従って混色性や透明性等の色再現性に優れたトナーを得ることができる。また、転写材上でのカバーリングパワーが大きいトナーを得ることができる。また、着色剤の分散性が良化することにより、トナー帯電性の耐久安定性が優れ、高画質を維持した画像を得ることができる。
トナー中における着色剤の使用量は、トナーの色再現性、現像性の観点から、結着樹脂100質量部に対して好ましくは0.1〜15質量部、より好ましくは0.5〜12質量部、特に好ましくは2〜10質量部である。
本発明のトナーには、その帯電性を安定化させるために公知の荷電制御剤を用いることができる。荷電制御剤は、荷電制御剤の種類や他のトナー粒子構成材料の物性等によっても異なるが、一般に、トナー粒子中に結着樹脂100質量部当たり0.1〜10質量部含まれることが好ましく、0.1〜5質量部含まれることがより好ましい。このような荷電制御剤としては、トナーを負帯電性に制御するものと、正帯電性に制御するものとが知られており、トナーの種類や用途に応じて種々のものを1種又は2種以上用いることができる。
負帯電性荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ダイカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が利用できる。正帯電性荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物等が利用できる。荷電制御剤はトナー粒子中に内添しても良いし、トナー粒子に外添しても良い。特に、本発明のトナーはフルカラー画像形成に用いられるため、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる芳香族カルボン酸金属化合物を用いることが好ましい。
本発明のトナーは、更に、少なくとも酸化チタン微粒子を含有する無機微粒子が外部添加されていることを特徴とする。本発明に用いられる酸化チタン微粒子は、硫酸法、塩素法、又は揮発性チタン化合物(例えばチタンアルコキシド、チタンハライド、チタンアセチルアセトネート)の低温酸化(熱分解、加水分解)により得られる酸化チタン微粒子が好ましく用いられる。また、酸化チタン微粒子の結晶系としてはアナターゼ型、ルチル型、これらの混晶型、アモルファスのいずれのものも用いることができる。
本発明者らは、本発明の芳香族カルボン酸チタン化合物を触媒として用いて合成された、ポリエステルユニットを有する樹脂を含有するトナー粒子に、更に酸化チタン微粒子を外部添加することが、耐久使用時における帯電安定化、特に低湿環境下での帯電安定化に極めて有効であることを見出した。その理由は、上記芳香族カルボン酸チタン化合物を触媒として用いて合成された、ポリエステルユニットを有する樹脂と酸化チタン微粒子を併せてトナーに含有させたとき、酸化チタン微粒子はほぼ中性の帯電性を示し、これにより特に低湿環境下におけるチャージアップ抑制効果を発現するためである。
また、本発明のトナーは、帯電量調整の観点から、更にシリカ微粒子を外添されていることが好ましい。本発明のトナーに好ましく用いられるシリカ微粒子としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNaO、SO 等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また、乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含する。
いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカは、従来公知の技術によって製造されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
SiCl+2H+O→SiO+4HCl
また、これらの酸化チタン微粒子及びシリカ微粒子は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物のような疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。疎水化剤としては、シラン化合物、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ジルコアルミネートカツプリング剤などのカップリング剤が挙げられる。
具体的に例えばシラン化合物としては、下記一般式で表されるものが好ましい。
SiY
〔式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1〜3の整数を示す。Yはアルキル基、ビニル基、フェニル基、メタアクリル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基又はこれらの誘導体を示し、nは1〜3の整数を示す。〕
上記一般式で表されるシラン化合物として、例えばヘキサメチルジシラザン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらシラン化合物の処理量は、無機微粒子100質量部に対して好ましくは1〜60質量部、より好ましくは3〜50質量部である。
本発明において特に好適なのは、下記一般式で表されるアルキルアルコキシシラン化合物である。
Figure 0004468232
〔式中、nは1〜12の整数を示し、mは1〜3の整数を示す。〕
上記アルキルアルコキシシラン化合物においてnが12より大きいと、疎水性は十分になるが、無機微粒子同士の合一が多くなり、流動性付与能が低下しやすい。mは3より大きいと、上記アルキルアルコキシシラン化合物の反応性が低下して疎水化処理を良好に行いにくくなる。より好ましくは、上記一般式において、nが1〜8であり、mが1〜2であるアルキルアルコキシシラン化合物である。
アルキルアルコキシシラン化合物の処理量も、無機微粒子100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部、より好ましくは3〜50質量部である。
疎水化処理は1種類の疎水化剤単独で行っても良いし、2種類以上の疎水化剤を使用しても良い。例えば1種類の疎水化剤単独で疎水化処理を行っても良いし、2種類の疎水化剤を同時に用いて、又は1種の疎水化剤を用いて疎水化処理を行った後、別の疎水化剤で更に疎水化処理を行っても良い。
上記酸化チタン微粒子及び/又はシリカ微粒子は、トナー粒子100質量部に対してそれぞれ0.01〜5質量部添加することが好ましく、0.05〜3質量部添加することがより好ましい。
本発明のトナーは、重量平均粒子径(D4)が3.0〜11.0μmであることが好ましい。より好ましくは、4.0〜8.5μmである。上記の範囲内である場合には、高精細な画像が得られやすくなる。
本発明のトナーは、一成分系現像剤又は二成分系現像剤のいずれとしても用いることができる。二成分系現像剤に用いる場合は、トナーは磁性キャリアと混合して使用される。磁性キャリアとしては、磁性体粒子そのもの、磁性体粒子を樹脂で被覆した被覆キャリア、磁性体粒子を樹脂粒子中に分散させた磁性体分散型樹脂キャリア等の公知の磁性キャリアを用いることができる。磁性体粒子としては、例えば表面酸化又は未酸化の鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類元素などの金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子及び上記各元素を含んだフェライト等が使用できる。
上記磁性体粒子の表面を樹脂で被覆した被覆キャリアは、現像スリーブに交流バイアスを印加する現像法において特に好ましい。被覆方法としては、樹脂などの被覆材を溶剤中に溶解又は懸濁させて調製した塗布液を磁性体粒子表面に付着させる方法、磁性体粒子と被覆材とを粉体で混合する方法等、従来公知の方法が適用できる。
上記被覆キャリアにおける磁性体粒子表面への被覆材料としては、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂、フッ素系樹脂が挙げられる。これらは単独で又は複数で用いる。上記被覆材料の処理量は、磁性体粒子に対して0.1〜30質量%(より好ましくは0.5〜20質量%)であることが好ましい。これら磁性体粒子の個数平均粒径は10〜100μm、好ましくは20〜70μmを有することが好ましい。
磁性体粒子の個数平均粒径は、走査電子顕微鏡(100〜5000倍)により得られた像から粒径0.1μm以上のキャリア粒子をランダムに300個以上抽出し、デジタイザーにより水平方向フェレ径をもってキャリア粒径として測定し、キャリアの個数平均粒径を算出するものとする。
本発明のトナーと磁性キャリアとを混合して二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度が2〜15質量%、好ましくは4〜13質量%となるようにすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満では画像濃度が低下しやすく、15質量%を超えるとカブリや機内飛散が発生しやすい。
次に、本発明のトナーを製造する手順について説明する。本発明のトナーは、結着樹脂、着色剤、ワックス及び他の任意の材料を溶融混練し、これを冷却して粉砕し、必要に応じて粉砕物の球形化処理や分級処理を行い、酸化チタン微粒子、更に必要に応じてシリカ微粒子を含む無機微粒子を混合することによって製造することが可能である。
まず、原料混合工程では、トナー粒子への内添剤として、少なくとも樹脂、着色剤を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等が挙げられる。
更に、上記で配合し、混合したトナー原料を溶融混練して、樹脂類を溶融し、その中に着色剤等を分散させる。その溶融混練工程では、例えば、加圧ニーダー、バンバリィミキサー等のバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。近年では、連続生産できる等の優位性から、一軸又は二軸押出機が主流となっており、例えば、神戸製鋼所社製KTK型二軸押出機、東芝機械社製TEM型二軸押出機、ケイ・シー・ケイ社製二軸押出機、ブス社製コ・ニーダー等が一般的に使用される。更に、トナー原料を溶融混練することによって得られる着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する冷却工程を経て冷却される。
そして一般的には上記で得られた着色樹脂組成物の冷却物は、次いで、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程ではまず、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル等で粗粉砕され、更に、川崎重工業社製のクリプトロンシステム、日清エンジニアリング社製のスーパーローター等で粉砕される。その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)等の分級機等の篩分機を用いて分級し、重量平均粒子径(D4)が3〜11μmの分級品を得る。
得られた分級品は、必要に応じて、例えば奈良機械製作所製のハイブリタイゼーションシステム、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムを用いて表面改質及び球形化処理を行ってもよい。このような場合では必要に応じて風力式篩のハイボルター(新東京機械社製)等の篩分機を用いても良い。これにより、本発明のトナーを構成するトナー粒子が得られる。更に、無機微粒子などの外添剤を上記トナー粒子に外添することにより本発明のトナーを得ることができる。外添剤をトナー粒子に外添処理する方法としては、分級されたトナーと公知の各種外添剤を所定量配合し、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の、粉体にせん断力を与える高速撹拌機を外添機として用いて、撹拌・混合する方法が挙げられる。
本発明における、トナーの物性値の測定方法は次の通りである。
1)メタノール45体積%水溶液における透過率
(i)トナー分散液の調製
メタノール:水の体積混合比が45:55の水溶液を作製する。この水溶液10mlを30mlのサンプルビン(日電理化硝子:SV−30)に入れ、トナー20mgを液面上に浸しビンのフタをする。その後、上記サンプルビンをヤヨイ式振とう器(モデル:YS−LD)により2.5s−1で5秒間振とうさせる。この時、振とうする角度は、振とう器の真上(垂直)を0度とすると、前方に15度、後方に20度、振とうする支柱が動くようにする。サンプルビンは支柱の先に取りつけた固定用ホルダー(サンプルビンの蓋が支柱中心の延長上に固定されたもの)に固定する。サンプルビンを取り出した後、30秒後の分散液を測定用分散液とする。
(ii)透過率測定
(i)で得た分散液を1cm角の石英セルに入れて分光光度計MPS2000(島津製作所社製)を用いて、10分後の分散液の波長600nmにおける透過率(%)を測定する。セルへの入射光束及び透過光束の透過率(%)は入射光強度をIとし、透過光強度をIとしたとき、下記式で表される。
透過率(%)=(I/I)×100
2)トナー及びワックスにおける最大吸熱ピークの温度の測定
温度曲線:昇温I(30℃〜200℃、昇温速度10℃/min)
降温I(200℃〜30℃、降温速度10℃/min)
昇温II(30℃〜200℃、昇温速度10℃/min)
トナー及びワックスの最大吸熱ピークは、示差走査熱量計(DSC測定装置)、DCS−7(パーキンエルマー社製)やDSC2920(TAインスツルメンツジャパン社製)を用いて測定することができる。測定方法は、ASTM D3418−82に準ずる。
測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。それをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定範囲を30〜200℃、昇温速度を10℃/minとし、常温常湿下で測定を行う。トナー及びワックスの最大吸熱ピークは、昇温IIの過程で、樹脂のTgの吸熱ピーク以上の領域のベースラインからの高さが一番高いものを、また樹脂のTgの吸熱ピークが別の吸熱ピークと重なり判別し難い場合、その重なるピークの一番高いものを最大吸熱ピークとする。
3)GPC測定による分子量分布
結着樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度を0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を約50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数(リテンションタイム)との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば東ソー社製或いはPressure Chemical Co.製の分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
カラムとしては、10〜2×10の分子量領域を的確に測定するために、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807の組み合わせや、Waters社製のμ−styragel 500、10、10、10の組み合わせを挙げることができる。
4)トナーの粒度分布の測定
本発明において、トナーの平均粒径及び粒度分布はコールターカウンターTA−II型(コールター社製)を用いて行うが、コールターマルチサイザー(コールター社製)を用いることも可能である。電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製したものを用いる。例えば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置によりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2.00μm以上のトナーの体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。それから本発明に係る重量平均粒径(D4)(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求める。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μm;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μm;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μm;10.08〜12.70μm;12.70〜16.00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜25.40μm;25.40〜32.00μm;32.00〜40.30μmの13チャンネルを用いる。
5)樹脂の酸価の測定
基本操作はJIS K−0070に準ずる。
(1)試料の粉砕品0.5〜2.0(g)を精秤し、試料の質量をW(g)とする。
(2)300(ml)のビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(4/1)の混合液150(ml)を加え溶解する。
(3)0.1mol/lのKOHのエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する。(例えば、京都電子株式会社製の電位差滴定装置AT−400(win workstation)とABP−410電動ビュレットを用いた自動滴定が利用できる。)
(4)この時のKOH溶液の使用量をS(ml)とし、同時にブランクを測定し、この時のKOH溶液の使用量をB(ml)とする。
(5)次式により酸価を計算する。fはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)={(S−B)×f×5.61}/W
6)樹脂のガラス転移温度の測定
樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC測定装置)、DCS−7(パーキンエルマー社製)、DSC2920(TAインスツルメンツジャパン社製)等を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。それをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下にて測定を行う。この昇温過程で、温度40℃〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、本発明の樹脂のガラス転移温度Tgとする。
7)樹脂の軟化点測定方法
JIS K 7210に則り、高化式フローテスターにより測定されるものを指す。具体的な測定方法を以下に示す。高化式フローテスター(島津製作所製)を用いて1cmの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1960N/m(20kg/cm)の荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルを押し出すようにし、これにより、プランジャー降下量(流れ値)−温度曲線を描き、そのS字曲線の高さをhとするとき、h/2に対応する温度(樹脂の半分が流出した温度)を樹脂の軟化点(Tm)とする。
以下、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
〈芳香族カルボン酸チタン化合物の製造例1〉
温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけてマントルヒーター内においたガラス製4リットルの4つ口フラスコに、イソフタル酸66.4質量部、エチレングリコール20質量部を混合し、温度100℃で溶解し、減圧、脱水を行った。その後50℃に冷却後、窒素雰囲気下で、チタンテトラメトキサイド17.2質量部を加えた。その後、減圧し、反応生成物であるメタノールを留出し、反応させることにより、芳香族カルボン酸チタン化合物1を得た。
〈芳香族カルボン酸チタン化合物の製造例2〉
芳香族カルボン酸チタン化合物の製造例1において、チタンテトラメトキサイド17.2質量部をチタンテトラ−n−ブトキサイド34.0質量部に変更した以外は上記製造例1と同様の方法を用いた。生成したブタノールを留出し、反応させることにより、芳香族カルボン酸チタン化合物2を得た。
〈芳香族カルボン酸チタン化合物の製造例3〉
芳香族カルボン酸チタン化合物の製造例1において、イソフタル酸をテレフタル酸に変更した以外は上記製造例1と同様の方法を用いて、芳香族カルボン酸チタン化合物3を得た。
〈芳香族カルボン酸チタン化合物の製造例4〉
芳香族カルボン酸チタン化合物の製造例1において、イソフタル酸66.4質量部をテレフタル酸166.6質量部に、エチレングリコール20質量部を10質量部に、チタンテトラメトキサイド17.2質量部をチタンテトラエトキサイド22.8質量部にそれぞれ変更した以外は上記製造例1と同様の方法を用いて、芳香族カルボン酸チタン化合物4を得た。
〈芳香族カルボン酸チタン化合物の製造例5〉
芳香族カルボン酸チタン化合物の製造例3において、チタンテトラメトキサイド17.2質量部をチタンテトラ−n−プロポキサイド28.4質量部に変更した以外は上記製造例3と同様の方法を用いた。生成したプロパノールを留出し、反応させることにより、芳香族カルボン酸チタン化合物5を得た。
〈芳香族カルボン酸チタン化合物の製造例6〉
芳香族カルボン酸チタン化合物の製造例3において、チタンテトラメトキサイド17.2質量部をチタンテトラ−n−ブトキサイド34.0質量部に変更した以外は上記製造例3と同様の方法を用いた。生成したブタノールを留出し、反応させることにより、芳香族カルボン酸チタン化合物6を得た。
〈芳香族カルボン酸チタン化合物の製造例7〉
芳香族カルボン酸チタン化合物の製造例3において、エチレングリコール20質量部を40質量部に、チタンテトラメトキサイド17.2質量部をテトラ−n−ブチルポリチタネート75.9質量部にそれぞれ変更した以外は上記製造例3と同様の方法を用いた。生成したブタノールを留出し、反応させることにより、芳香族カルボン酸チタン化合物7を得た。
〈芳香族カルボン酸チタン化合物の製造例8〉
芳香族カルボン酸チタン化合物の製造例1において、イソフタル酸66.4質量部をトリメリット酸105.0質量部に、エチレングリコール20質量部を25質量部に、チタンテトラメトキサイド17.2質量部をチタンテトラ−n−プロポキサイド28.4質量部に、それぞれ変更した以外は上記製造例1と同様の方法を用いた。生成したプロパノールを留出し、反応させることにより、芳香族カルボン酸チタン化合物8を得た。
〈芳香族カルボン酸チタン化合物の製造例9〉
芳香族カルボン酸チタン化合物の製造例1において、イソフタル酸66.4質量部をm−オキシ安息香酸110.4質量部に、エチレングリコール20質量部を40質量部に、チタンテトラメトキサイド17.2質量部をチタンテトラ−n−ブトキサイド34.0質量部に、それぞれ変更した以外は上記製造例1と同様の方法を用いた。生成したブタノールを留出し、反応させることにより、芳香族カルボン酸チタン化合物9を得た。
〈芳香族カルボン酸チタン化合物の製造例10〉
芳香族カルボン酸チタン化合物の製造例1において、イソフタル酸66.4質量部をp−オキシ安息香酸69.0質量部に、エチレングリコール20質量部を30質量部に、チタンテトラメトキサイド17.2質量部をチタンテトラ−n−プロポキサイド28.4質量部に、それぞれ変更した以外は上記製造例1と同様の方法を用いた。生成したプロパノールを留出し、反応させることにより、芳香族カルボン酸チタン化合物10を得た。
〈芳香族ジオールチタン化合物の製造例1〉
温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においたガラス製4リットルの4つ口フラスコに、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物70.0質量部、エチレングリコール20質量部を混合し、温度100℃で溶解し、減圧、脱水を行った。その後50℃に冷却後、窒素雰囲気下で、チタンテトラメトキサイド17.2質量部を加えた。その後、減圧し、反応生成物であるメタノールを留出し、反応させることにより、芳香族ジオールチタン化合物1を得た。
〈ポリエステルユニットを有する樹脂の製造例1〉
ポリエステルユニットを生成するための成分として、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン5.2mol、テレフタル酸1.8mol、ドデセニルコハク酸2.5mol及び無水トリメット酸0.5molと、触媒として芳香族カルボン酸チタン化合物3を1.0g、シュウ酸チタニルカリウム0.1gをガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけ、マントルヒーター内においた。窒素雰囲気下で、230℃で4時間反応させ、ポリエステルユニットを有する樹脂1を得た。該樹脂1中のポリエステルユニット成分は100質量%であった。ポリエステルユニットを有する樹脂1の物性を表2に示す。
〈ポリエステルユニットを有する樹脂の製造例2〉
ビニル系重合体ユニットを生成するための成分として、スチレン1.1mol、2−エチルヘキシルアクリレート0.14mol、アクリル酸0.1mol、ジクミルパーオキサイド0.05molを滴下ロートに入れた。また、ポリエステルユニットを生成するための成分として、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン2.0mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン0.8mol、テレフタル酸0.8mol、無水トリメリット酸0.6mol及びフマル酸1.5molと、触媒として芳香族カルボン酸チタン化合物4を1.5g及び芳香族カルボン酸チタン化合物1を0.4gをガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけ、マントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、150℃の温度で撹拌しつつ、先の滴下ロートよりビニル系樹脂を生成するための単量体、架橋剤及び重合開始剤を4時間かけて滴下した。次いで230℃まで昇温し、4時間反応させてポリエステルユニットを有する樹脂2を得た。該樹脂2中のポリエステルユニット成分は90質量%であった。ポリエステルユニットを有する樹脂2の物性を表2に示す。
〈ポリエステルユニットを有する樹脂の製造例3〉
ポリエステルユニットを生成するための成分として、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン5.2mol、テレフタル酸1.8mol、ドデセニルコハク酸2.5mol及び無水トリメット酸0.5molと、触媒として芳香族カルボン酸チタン化合物3を1.0gガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけ、マントルヒーター内においた。窒素雰囲気下、230℃で6時間反応させることによりポリエステルユニットを有する樹脂3を得た。該樹脂3中のポリエステルユニット成分は100質量%であった。ポリエステルユニットを有する樹脂3の物性を表2に示す。
〈ポリエステルユニットを有する樹脂の製造例4〉
樹脂の製造例3において、芳香族カルボン酸チタン化合物3を1.0gの代わりに、芳香族カルボン酸チタン化合物10を0.1g使用した以外は上記製造例3と同様の方法を用いて、ポリエステルユニットを有する樹脂4を得た。該樹脂4中のポリエステルユニット成分は100質量%であった。ポリエステルユニットを有する樹脂4の物性を表2に示す。
〈ポリエステルユニットを有する樹脂の製造例5〉
樹脂の製造例3において、芳香族カルボン酸チタン化合物3を1.0gの代わりに、芳香族カルボン酸チタン化合物2を0.5g使用した以外は上記製造例3と同様の方法を用いて、ポリエステルユニットを有する樹脂5を得た。該樹脂5中のポリエステルユニット成分は100質量%であった。ポリエステルユニットを有する樹脂5の物性を表2に示す。
〈ポリエステルユニットを有する樹脂の製造例6〉
樹脂の製造例3において、芳香族カルボン酸チタン化合物3を1.0gの代わりに、芳香族カルボン酸チタン化合物5を0.6gとチタンテトラメトキサイドを1.0gを使用した以外は上記製造例3と同様の方法を用いて、ポリエステルユニットを有する樹脂6を得た。該樹脂6中のポリエステルユニット成分は100質量%であった。ポリエステルユニットを有する樹脂6の物性を表2に示す。
〈ポリエステルユニットを有する樹脂の製造例7〉
樹脂の製造例3において、芳香族カルボン酸チタン化合物3を1.0gの代わりに、芳香族カルボン酸チタン化合物6を0.2gと芳香族ジオールチタン化合物例1を0.4g使用した以外は上記製造例3と同様の方法を用いて、ポリエステルユニットを有する樹脂7を得た。該樹脂7中のポリエステルユニット成分は100質量%であった。ポリエステルユニットを有する樹脂7の物性を表2に示す。
〈ポリエステルユニットを有する樹脂の製造例8〉
樹脂の製造例3において、芳香族カルボン酸チタン化合物3を1.0gの代わりに、芳香族カルボン酸チタン化合物7を1.0g、芳香族カルボン酸チタン化合物6を0.1g、及び、炭酸マグネシウムを0.1g使用した以外は上記製造例3と同様の方法を用いて、ポリエステルユニットを有する樹脂8を得た。該樹脂8中のポリエステルユニット成分は100質量%であった。ポリエステルユニットを有する樹脂8の物性を表2に示す。
〈ポリエステルユニットを有する樹脂の製造例9〉
樹脂の製造例3において、芳香族カルボン酸チタン化合物3を1.0gの代わりに、芳香族カルボン酸チタン化合物8を0.5g使用した以外は上記製造例3と同様の方法を用いて、ポリエステルユニットを有する樹脂9を得た。該樹脂9中のポリエステルユニット成分は100質量%であった。ポリエステルユニットを有する樹脂9の物性を表2に示す。
〈ポリエステルユニットを有する樹脂の製造例10〉
樹脂の製造例3において、芳香族カルボン酸チタン化合物3を1.0gの代わりに、芳香族カルボン酸チタン化合物9を0.4gを使用した以外は上記製造例3と同様の方法を用いて、ポリエステルユニットを有する樹脂10を得た。該樹脂10中のポリエステルユニット成分は100質量%であった。ポリエステルユニットを有する樹脂10の物性を表2に示す。
〈ポリエステルユニットを有する樹脂の比較製造例1〉
樹脂の製造例3において、芳香族カルボン酸チタン化合物3の代わりにテトラメチルチタネートを使用した以外は上記製造例3と同様の方法を用いて、ポリエステルユニットを有する樹脂11を得た。該樹脂11中のポリエステルユニット成分は100質量%であった。ポリエステルユニットを有する樹脂11の物性を表2に示す。
〈ポリエステルユニットを有する樹脂の比較製造例2〉
樹脂の製造例3において、芳香族カルボン酸チタン化合物3の代わりにジオクチルスズオキサイドを使用した以外は上記製造例3と同様の方法を用いて、ポリエステルユニットを有する樹脂12を得た。該樹脂12中のポリエステルユニット成分は100質量%であった。ポリエステルユニットを有する樹脂12の物性を表2に示す。
〈ビニル系ユニットを有する樹脂の製造例1〉
スチレン 78.9質量部
n−ブチルアクリレート 19.7質量部
モノブチルマレート 1.4質量部
ジ−tert−ブチルパーオキサイド 1.0質量部
芳香族カルボン酸チタン化合物1 1.0質量部
上記原料を、加熱したキシレン200質量部中に4時間かけて滴下した。更に、キシレン環流下で重合を完了し、減圧下で溶媒を蒸留除去した。こうして得られた樹脂を、ビニルユニットを有する樹脂1とする。該樹脂1中のポリエステルユニット成分は0質量%である。ビニル系ユニットを有する樹脂1の物性を表2に示す。
Figure 0004468232
〈実施例1〉
以下の方法によりマゼンタトナー1を製造した。
(第1の混練工程)
・ポリエステルユニットを有する樹脂1 50質量部
・C.I.ピグメントバイオレット19(粉状体) 50質量部
・蒸留水 50質量部
上記の原材料をまずニーダー型ミキサーに仕込み、混合しながら非加圧下で昇温させた。最高温度(ペースト中の溶媒の沸点により必然的に決定される。この場合は90〜100℃程度)に達した時点で水相中の顔料が溶融樹脂相に分配又は移行し、これを確認した後、更に30分間加熱溶融混練してペースト中の顔料を充分に移行させた。その後、一旦ミキサーを停止させ、熱水を排出した後、更に110℃まで昇温させ、約30分間加熱溶融混練を行い、顔料を分散させるとともに水分を留去した。この工程の終了後、冷却し、混練物を取り出し第1の混練物を得た。
(第2の混練工程)
・上記第1の混練物(顔料粒子の含有量50質量%) 10質量部
・ポリエステルユニットを有する樹脂1 100質量部
・パラフィンワックス(最大吸熱ピーク75.7℃、Mw500、Mn380、メインピーク分子量450) 3.0質量部
・3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1.0質量部
上記の処方を、ヘンシェルミキサーにより十分予備混合を行い、二軸押出し混練機で温度を150℃に設定し溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて粒径が約1〜2mm程度となるように粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で20μm以下の粒径に微粉砕した。更に得られた微粉砕物を分級し、チラーユニット等の冷却機構を具備したメカノフージョンシステムを用い球形化し、粒度分布における重量平均粒径(D4)が7.2μmのマゼンタ系樹脂粒子(トナー粒子)を得た。その後、無機微粒子として、イソブチルトリメトキシシランで表面処理した一次平均粒子径50nmの酸化チタン微粒子をトナー粒子に対して0.8質量%及び、乾式法で製造されたシリカ微粒子(BET比表面積200m/g)100質量部あたり、5質量部のジメチルジクロロシラン処理した後、15質量部のヘキサメチレンジシラザン処理し、更に10質量部でジメチルシリコーンオイル処理を行った疎水性シリカ0.6質量部を加え、外添混合することによりマゼンタトナー1を得た。マゼンタトナー1のトナー物性を表3に示す。
更にマゼンタトナー1と、シリコーン樹脂で表面被覆した磁性フェライトキャリア粒子(個数平均粒径50μm)とを、トナー濃度が6質量%になるように混合し、二成分系マゼンタ現像剤1とした。なお、マゼンタトナー1の全結着樹脂成分中のポリエステルユニット成分量は100質量%であった。得られた二成分系マゼンタ現像剤1について、以下の評価を行った。
<耐久帯電安定性評価>
フルカラー複写機CLC−5000(キヤノン社製)の定着ユニットのオイル塗布機構を取り外した改造機の現像器に二成分マゼンタ現像剤1を充填し、単色モードで、高温高湿環境下(H/H;温度30℃/湿度80%)、常温低湿環境下(N/L;温度23℃/湿度5%)、常温常湿環境下(N/N;温度23℃/湿度60%)のそれぞれの環境において、画像面積比率7%のオリジナル原稿を用い、5万枚の耐刷試験を行った。各環境における初期(INI)及び5万枚耐刷後の現像スリーブ上での現像剤の摩擦帯電量値(mC/kg)を測定した。スリーブ上での現像剤の摩擦帯電量値の測定法を、以下に図面を用いて詳述する。
図1は二成分現像剤の摩擦帯電量を測定する装置の説明図である。まず、底に目開き30μmのスクリーン1を有する金属製の測定容器2に、スリーブ上から採取した二成分現像剤0.5〜1.5gを入れ金属製の蓋3をする。このときの測定容器2全体の質量を秤りW1(g)とする。次に、吸引機4(測定容器2と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口5から吸引を行い風量調節弁6を調整して真空計7の圧力を4kPaとする。この状態で充分、好ましくは約2分間吸引を行ってトナーを吸引除去する。このときの電位計8の電位をV(ボルト)とする。ここで9はコンデンサーであり容量をC(μF)とする。また、吸引後の測定容器全体の質量を秤りW2(g)とする。このトナーの摩擦帯電量(mC/kg)は下記式の通り計算される。
二成分現像剤摩擦帯電量(mC/kg)=C×V/(W1−W2)
得られた摩擦帯電量値より、下記の評価基準に基づいて二成分系マゼンタ現像剤1の帯電安定性を評価した。評価結果を表4に示す。
(評価基準)
A:初期と5万枚耐久後のトリボ差が△5(mC/kg)未満。
B:初期と5万枚耐久後のトリボ差が△5〜10未満(mC/kg)だが、実用上問題ない。
C:初期と5万枚耐久後のトリボ差が△10〜15未満(mC/kg)で帯電安定性にやや難があるが、実用上は問題ない。
D:初期と5万枚耐久後のトリボ差が△15(mC/kg)以上。
<OHP透明性の評価>
OHP透明性の測定は、島津自記分光光度計UV2200(島津製作所社製)を使用し、OHPフィルム単独の透過率を100%とし、マゼンタトナーの場合:650nm、シアントナーの場合:500nm、イエロートナーの場合:600nmでの最大吸収波長における透過率を測定し、下記の評価基準に従い評価した。評価結果を表4に示す。
A:85%以上
B:75〜85%未満
C:65〜75%未満
D:65%未満
<定着特性の評価>
カラー複写機CLC5000(キヤノン製)のオイル塗布機構を取り外し、更に定着温度を自由に設定できるように改造して定着温度領域の試験を行った。画像は単色モードで常温常湿度環境下(23℃/50〜60%)において、紙上のトナー載り量が1.2mg/cm2になるよう現像コントラストを調整し、未定着画像を作成した。A4(CLC推奨紙であるSK80)上に画像面積比率25%で画像を形成した。その後、常温常湿度環境下(23℃/50〜60%)において定着温度を120℃から5℃ずつ上げ、オフセットや巻きつきが生じない温度幅を定着可能領域とした。評価結果を表4に示す。
<転写効率の評価>
転写効率の評価は以下の通り行った。市販のカラー複写機CLC−5000(キヤノン製)の現像器内に感光ドラムのクリーナーをつけた改造機を使用し、丸又は帯の画像を複数個形成できるチャートを用いて画像形成を行い、ドラム上の転写残部分をテーピングし紙上に貼った濃度をD1、紙上に転写されたトナー画像上にテーピングした部分の濃度をD2とし、下記式により転写効率を算出した。転写効率は常温常湿度(N/N)環境下(23℃/50%)にて初期及び5万枚耐刷後についてそれぞれ測定した。
転写効率(%)=D2/(D1+D2)×100
得られた転写効率を下記の評価基準に従い評価した。
A:初期と5万枚目の転写効率の差が△5%未満
B:初期と5万枚目の転写効率の差が△5%以上10%未満
C:初期と5万枚目の転写効率の差が△10%以上15%未満
D:初期と5万枚目の転写効率の差が△15%以上
〈実施例2〉
実施例1において、結着樹脂としてポリエステルユニットを有する樹脂1の代わりにポリエステルユニットを有する樹脂2を用い、ワックスとしてパラフィンワックスの代わりにベヘン酸ベヘニル(最大吸熱ピーク71.4℃)を用い、荷電制御剤として3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物の代わりにサリチル酸ジルコニウム化合物(TN−105(保土ヶ谷化学社製))を1.0質量部用いた以外は実施例1と同様の方法を用いてマゼンタトナー2を作製し、更に二成分系マゼンタ現像剤2を得た。マゼンタトナー2の全結着樹脂成分中のポリエステルユニット成分量は90質量%であった。マゼンタトナー2の物性を表3に示す。上記二成分系マゼンタ現像剤2について、実施例1と同様に耐久帯電安定性、OHP透明性、定着特性及び転写効率の評価を行った。評価結果を表4に示す。
〈実施例3〉
実施例1において、結着樹脂としてポリエステルユニットを有する樹脂3を用い、ワックスとして末端アルコールポリエチレンワックス(最大吸熱ピーク108.9℃、Mw830、Mn470、メインピーク分子量780)を用いるように変更した以外は実施例1と同様の方法を用いてマゼンタトナー3を作製し、更に二成分系マゼンタ現像剤3を得た。マゼンタトナー3の全結着樹脂成分中のポリエステルユニット成分量は100質量%であった。マゼンタトナー3の物性を表3に示す。上記二成分系マゼンタ現像剤3について、実施例1と同様に耐久帯電安定性、OHP透明性、定着特性及び転写効率の評価を行った。評価結果を表4に示す。
〈実施例4〉
実施例1において、結着樹脂としてポリエステルユニットを有する樹脂4を用い、ワックスとしてフィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピーク77.5℃、Mw520、Mn450、メインピーク分子量490)を用いるように変更した以外は実施例1と同様の方法を用いてマゼンタトナー4を作製し、更に二成分系マゼンタ現像剤4を得た。マゼンタトナー4の全結着樹脂成分中のポリエステルユニット成分量は100質量%であった。マゼンタトナー4の物性を表3に示す。上記二成分系マゼンタ現像剤3について、実施例1と同様に耐久帯電安定性、OHP透明性、定着特性及び転写効率の評価を行った。評価結果を表4に示す。
〈実施例5〉
実施例1において、結着樹脂としてポリエステルユニットを有する樹脂5を用いるように変更した以外は実施例1と同様の方法を用いてマゼンタトナー5を作製し、更に二成分系マゼンタ現像剤5を得た。マゼンタトナー5の全結着樹脂成分中のポリエステルユニット成分量は100質量%であった。マゼンタトナー5の物性を表3に示す。上記二成分系マゼンタ現像剤5について、実施例1と同様に耐久帯電安定性、OHP透明性、定着特性及び転写効率の評価を行った。評価結果を表4に示す。
〈実施例6〉
実施例1において、結着樹脂としてポリエステルユニットを有する樹脂6を90質量部及びビニル系ユニットを有する樹脂1を10質量部用いるように変更した以外は実施例1と同様の方法を用いてマゼンタトナー6を作製し、更に二成分系マゼンタ現像剤6を得た。マゼンタトナー6の全結着樹脂成分中のポリエステルユニット成分量は90質量%であった。マゼンタトナー6の物性を表3に示す。上記二成分系マゼンタ現像剤6について、実施例1と同様に耐久帯電安定性、OHP透明性、定着特性及び転写効率の評価を行った。評価結果を表4に示す。
〈実施例7〉
実施例1において、結着樹脂としてポリエステルユニットを有する樹脂7を90質量部及びビニル系ユニットを有する樹脂1を10質量部用い、ワックスとしてポリエチレンワックス(最大吸熱ピーク126℃、Mw2450、Mn1600、メインピーク分子量2200)を用いるように変更した以外は実施例1と同様の方法を用いてマゼンタトナー7を作製し、更に二成分系マゼンタ現像剤7を得た。マゼンタトナー7の全結着樹脂成分中のポリエステルユニット成分量は90質量%であった。マゼンタトナー7の物性を表3に示す。上記二成分系マゼンタ現像剤7について、実施例1と同様に耐久帯電安定性、OHP透明性、定着特性及び転写効率の評価を行った。評価結果を表4に示す。
〈実施例8〉
実施例1において、結着樹脂としてポリエステルユニットを有する樹脂8を90質量部及びビニル系ユニットを有する樹脂1を10質量部用い、ワックスとしてポリエチレンワックス(最大吸熱ピーク126℃、Mw2450、Mn1600、メインピーク分子量2200)を用いるように変更した以外は実施例1と同様の方法を用いてマゼンタトナー8を作製し、更に二成分系マゼンタ現像剤8を得た。マゼンタトナー8の全結着樹脂成分中のポリエステルユニット成分量は90質量%であった。マゼンタトナー8の物性を表3に示す。上記二成分系マゼンタ現像剤8について、実施例1と同様に耐久帯電安定性、OHP透明性、定着特性及び転写効率の評価を行った。評価結果を表4に示す。
〈実施例9〉
実施例1において、結着樹脂としてポリエステルユニットを有する樹脂9を90質量部及びビニル系ユニットを有する樹脂1を10質量部用い、ワックスとしてポリエチレンワックス(最大吸熱ピーク126℃、Mw2450、Mn1600、メインピーク分子量2200)を用いるように変更した以外は実施例1と同様の方法を用いてマゼンタトナー9を作製し、更に二成分系マゼンタ現像剤9を得た。マゼンタトナー9の全結着樹脂成分中のポリエステルユニット成分量は90質量%であった。マゼンタトナー9の物性を表3に示す。上記二成分系マゼンタ現像剤9について、実施例1と同様に耐久帯電安定性、OHP透明性、定着特性及び転写効率の評価を行った。評価結果を表4に示す。
〈実施例10〉
実施例1において、結着樹脂としてポリエステルユニットを有する樹脂10を90質量部及びビニル系ユニットを有する樹脂1を10質量部用い、ワックスとしてポリエチレンワックス(最大吸熱ピーク126℃、Mw2450、Mn1600、メインピーク分子量2200)を用いるように変更した以外は実施例1と同様の方法を用いてマゼンタトナー10を作製し、更に二成分系マゼンタ現像剤10を得た。マゼンタトナー10の全結着樹脂成分中のポリエステルユニット成分量は90質量%であった。マゼンタトナー10の物性を表3に示す。上記二成分系マゼンタ現像剤10について、実施例1と同様に耐久帯電安定性、OHP透明性、定着特性及び転写効率の評価を行った。評価結果を表4に示す。
〈比較例1〉
実施例10において、結着樹脂としてポリエステルユニットを有する樹脂11を90質量部及びビニル系ユニットを有する樹脂1を10質量部用いるように変更した以外は実施例10と同様の方法を用いてマゼンタトナー11を作製し、更に二成分系マゼンタ現像剤11を得た。マゼンタトナー11の全結着樹脂成分中のポリエステルユニット成分量は90質量%であった。マゼンタトナー11の物性を表3に示す。上記二成分系マゼンタ現像剤11について、実施例1と同様に耐久帯電安定性、OHP透明性、定着特性及び転写効率の評価を行った。評価結果は表3に示す。
〈比較例2〉
実施例10において、結着樹脂としてポリエステルユニットを有する樹脂12を90質量部及びビニル系ユニットを有する樹脂1を10質量部用いるように変更した以外は実施例10と同様の方法を用いてマゼンタトナー12を作製し、更に二成分系マゼンタ現像剤12を得た。マゼンタトナー12の全結着樹脂成分中のポリエステルユニット成分量は90質量%であった。マゼンタトナー12の物性を表3に示す。上記二成分系マゼンタ現像剤12について、実施例1と同様に耐久帯電安定性、OHP透明性、定着特性及び転写効率の評価を行った。評価結果を表4に示す。
〈比較例3〉
実施例10において、結着樹脂としてビニル系ユニットを有する樹脂1を100質量部用いるように変更した以外は実施例10と同様の方法を用いてマゼンタトナー13を作製し、更に二成分系マゼンタ現像剤13を得た。マゼンタトナー13は、ポリエステルユニット成分を含有していなかった。マゼンタトナー13の物性を表3に示す。上記二成分系マゼンタ現像剤13について、実施例1と同様に耐久帯電安定性、OHP透明性、定着特性及び転写効率の評価を行った。評価結果を表4に示す。
〈実施例11〉
実施例1において、C.I.ピグメントバイオレット19に代えてC.I.ピグメントブルー15:3を用いた以外は実施例1と同様の方法を用いてシアントナー1を作製し、更に二成分系シアン現像剤1を得た。シアントナー1の全結着樹脂成分中のポリエステルユニット成分量は100質量%であった。シアントナー1の物性を表3に示す。上記二成分系シアン現像剤1について、実施例1と同様に耐久帯電安定性、OHP透明性、定着特性及び転写効率の評価を行った。評価結果を表4に示す。
〈実施例12〉
実施例1において、C.I.ピグメントバイオレット19に代えてC.I.ピグメントイエロー180を用いた以外は実施例1と同様の方法を用いてイエロートナー1を作製し、更に二成分系イエロー現像剤1を得た。イエロートナー1の全結着樹脂成分中のポリエステルユニット成分量は100質量%であった。イエロートナー1の物性を表3に示す。上記二成分系イエロー現像剤1について、実施例1と同様に耐久帯電安定性、OHP透明性、定着特性及び転写効率の評価を行った。評価結果を表4に示す。
〈実施例13〉
実施例1において、C.I.ピグメントバイオレット19に代えてカーボンブラック(一次平均粒径31nm、pH9.5、DBP吸油量42ml/100g)を用いた以外は実施例1と同様の方法を用いてブラックトナー1を作製し、更に二成分系ブラック現像剤1を得た。ブラックトナー1の全結着樹脂成分中のポリエステルユニット成分量は100質量%であった。ブラックトナー1の物性を表3に示す。上記二成分系ブラック現像剤1について、実施例1と同様に耐久帯電安定性、OHP透明性、定着特性及び転写効率の評価を行った。評価結果を表4に示す。
〈実施例14〉
実施例1で作製したマゼンタトナー1を一成分系現像剤として用い、一成分現像方式によりが像形成を行った際の耐久帯電安定性評価を以下の通り行った。
<耐久帯電安定性評価>
市販のカラーレーザープリンターLBP2300(キヤノン社製)を用いて評価した。上記プリンターのマゼンタカートリッジにマゼンタトナー1を300g充填し、単色モードで、高温高湿環境、常温低湿環境、及び常温常湿環境のそれぞれの環境下において、印字比率5%で5000枚の連続プリントを行った。各環境における初期及び5000枚耐刷後の現像スリーブ上での摩擦帯電量値を測定した。スリーブ上での摩擦帯電量値の測定法を、以下に図面を用いて詳述する。
図2は一成分現像剤の摩擦帯電量を測定する装置の説明図である。一成分現像剤の摩擦帯電量は、例えばこの図2に示すようなファラデー・ケージ(Faraday−Cage)によって測定することができる。ファラデー・ケージとは、同軸の2重筒のことで内筒と外筒は絶縁されている。この内筒の中に電荷量Qの帯電体を入れたとすると、静電誘導によりあたかも電気量Qの金属円筒が存在するのと同様の状態となる。この誘起された電荷量をKEITHLEY 616 DIGITAL ELECTROMETERで測定し、下記式に示すように、内筒中のトナー質量Mで電荷量Qを割ったもの(Q/M)を帯電量とする。現像剤は現像剤担持体より直接、エアー吸引によりフィルター中にとり入れる。
一成分現像剤の摩擦帯電量(mC/kg)=Q/M
得られた摩擦帯電量値より、下記の評価基準に基づいて一成分系現像剤としてのマゼンタトナー1の帯電安定性を評価した。評価結果を表4に示す。
(評価基準)
A:初期と5000枚耐久後のトリボ差が△5(mC/kg)未満。
B:初期と5000枚耐久後のトリボ差が△5〜10未満(mC/kg)だが、実用上問題ない。
C:初期と5000枚耐久後のトリボ差が△10〜15未満(mC/kg)で帯電安定性にやや難があるが、実用上問題ない。
D:初期と5000枚耐久後のトリボ差が△15(mC/kg)以上。
Figure 0004468232
Figure 0004468232
〈実施例15〉
実施例1で作製した二成分系マゼンタ現像剤1、実施例11で作製した二成分系シアン現像剤1、実施例12で作製した二成分系イエロー現像剤1及び実施例13で作製した二成分系ブラック現像剤1を用い、フルカラー複写機CLC−5000(キヤノン社製)の定着ユニットのオイル塗布機構を取り外した改造機を用い、フルカラーモードで、高温高湿環境、常温低湿環境、常温常湿環境の各環境下において、画像面積比率28%のオリジナル原稿を用い、5万枚の耐刷試験を行った。その結果、各環境において耐刷試験中の帯電性安定性も良く、良好な画像が得られた。
二成分現像剤の摩擦帯電量を測定する装置の説明図である。 一成分現像剤の摩擦帯電量を測定する装置の説明図である。
符号の説明
1 導電性スクリーン
2 測定容器
3 金属製の蓋
4 吸引機
5 吸引口
6 風量調節弁
7 真空計
8 電位計
9 コンデンサー

Claims (6)

  1. 少なくとも、結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するトナー粒子と無機微粒子とを有するトナーであって
    該トナーは、メタノール45体積%水溶液における透過率(%)が10〜70%の範囲にあり、
    前記結着樹脂が、芳香族カルボン酸チタン化合物を触媒として用いて合成されたポリエステルユニットを有する樹脂を含有し、
    前記無機微粒子が酸化チタン微粒子を含有することを特徴とするフルカラー画像形成用トナー。
  2. 前記無機微粒子が、更にシリカ微粒子を含有することを特徴とする請求項1記載のトナー。
  3. 示差走査熱量分析(DSC)測定における吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲における最大吸熱ピークを示す温度が60〜130℃の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記芳香族カルボン酸チタン化合物は、芳香族カルボン酸とチタンアルコキシドとが反応することにより得られるものであることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のトナー。
  5. 前記芳香族カルボン酸は、2価以上の芳香族カルボン酸及び/又は芳香族オキシカルボン酸であることを特徴とする請求項記載のトナー。
  6. 上記チタンアルコキシドは下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項記載のトナー。
    Figure 0004468232

    (一般式(1)において、R、R、R及びRは、炭素数1〜20のアルキル基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、また置換基を有していてもよい。nは1〜10の整数を示す。)
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