本発明者らは、テトラヒドロフランの可溶分の固有粘度0.025dl/g以下の割合が40〜70%(好ましくは50〜70%)であり、テトラヒドロフランに不溶な樹脂成分(ゲル成分)を3〜50質量%含有するトナーが、低温定着性と耐高温オフセット性に優れていることを知見した。該トナーは、トナー粒子の製造時において粉砕性が良くて、生産性が良いトナーが得られることを見出した。
トナーのテトラヒドロフランの可溶分のGPC−RALLS−粘度計の分析により測定される、固有粘度0.025dl/g以下の成分は熱により溶融しやすく、かつ、溶融粘度が低いので、トナー粒子中に存在することで低温定着性が大幅に向上する。また、固有粘度0.025dl/g以下の成分は、ゲル成分のような固有粘度の高い成分の分子間に入り込むことができるため、分子鎖の広がりの大きい、軟らかいゲル成分を形成できる。その結果、トナー粒子を製造する際の溶融混練物の粉砕性を大幅に改良することができる。
固有粘度0.025dl/g以下の割合が40%未満であると定着性の改良効果が小さい。さらに、固いゲル成分が出来やすくなり、トナー粒子を製造する際の溶融混練物の粉砕性が悪化しやすい。
固有粘度0.025dl/g以下の割合が70%より多いと定着時にトナーの粘度が低くなりすぎて耐高温オフセット性が低下したり、トナーの強度が低くなって長期使用によるトナーの劣化が起こりやすくなる。また、溶融混練物の粉砕工程で微粉の量が多く生成する過粉砕が起こりやすい為、トナー粒子の収率が低くなり、トナー粒子の生産性が低下することがある。
本発明のトナーは、テトラヒドロフランに不溶な樹脂成分(ゲル成分)を3〜50質量%(好ましくは3〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは10〜30質量%)含有していることを特徴の一つとする。テトラヒドロフラン不溶分が3質量%未満であると、耐高温オフセット性が低下したり、溶融混練物の粉砕工程で過粉砕が起こりやすくなったりする。テトラヒドロフラン不溶分が50質量%より多いと、着色剤をトナー粒子中に均一に分散させることが難しくなり、トナーの摩擦帯電性が低下し、カブリや画像濃度の低下が生じやすく、低温定着性が低下したり、溶融混練物の粉砕性が低下したりする。
さらに、本発明のトナーは、固有粘度0.025〜0.050dl/gの割合が20〜50%であることが好ましい。
磁性酸化鉄を含有する磁性トナー粒子を有する磁性トナーにおいては、磁性酸化鉄と結着樹脂との密着性が低下すると、磁性トナー粒子の表面に存在する磁性酸化鉄が磁性トナー粒子の表面から外れて遊離し、帯電ローラーを汚染する問題がある。特に、テトラヒドロフランに不溶な樹脂成分を含有する磁性トナーでは、磁性酸化鉄を磁性トナー粒子中に均一に分散させにくく、均一に分散していても、結着樹脂と磁性酸化鉄の密着性が低くて遊離の磁性酸化鉄が発生してしまう場合もある。
固有粘度0.025〜0.050dl/gの成分は粘度が低く、磁性トナー粒子の製造の混練時に磁性酸化鉄の表面の微小な凹凸に結着樹脂が入り込むことが出来る為に、結着樹脂と磁性酸化鉄との親和性を高めることができ、磁性トナー粒子表面から遊離する磁性酸化鉄を非常に少なくすることができる。その結果、帯電ローラーが汚染されることによる帯電不良が発生しにくくなる。固有粘度0.025dl/g未満の成分はより粘度が低く、磁性酸化鉄の表面の凹凸には結着樹脂は入り込みやすいが、粘度が低過ぎて結着樹脂との密着性を高めるには強度が不足しやすい。固有粘度0.050dl/gより大きい成分は、結着樹脂と磁性酸化鉄との密着性を高める為の強度はあるが、粘度が高くなるので磁性酸化鉄の表面の凹凸に結着樹脂が入り込みにくくなり、結着樹脂と磁性酸化鉄との親和性を高めることが難しくなる。
固有粘度0.025〜0.050dl/gの割合が20%未満であると、遊離の磁性酸化鉄が増えて帯電不良が起こりやすい。固有粘度0.025〜0.050dl/gの割合が50%より多いと、磁性トナーの強度が低下して磁性トナーの劣化が起こりやすくなったり、耐高温オフセット性が低下し易い。
本発明に用いられるトナーに含まれる結着樹脂は、良好な低温定着性を確保する為に、少なくともポリエステルユニットを50質量%以上含有することが好ましい。ポリエステルユニットの含有量が50質量%未満であると、充分な低温定着性が得られにくい。本発明におけるポリエステルユニットの含有量とは、ポリエステル樹脂として存在するものと、ハイブリッド樹脂の中においてポリエステル系樹脂成分として存在する成分とを合わせたものである。
さらに本発明に用いられるトナーに含まれる結着樹脂は、ビニル系重合体ユニットを結着樹脂中に50質量%以下(好ましくは10〜50質量%)含有していることが、良好な耐高温オフセット性を得ることができるという点で好ましい。
本発明では、結着樹脂としてハイブリッド樹脂を含有することが好ましく、特に、ゲル成分中にハイブリッド樹脂を含有していることがより好ましい。ハイブリッド樹脂は同一分子内にポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットの両方を有しているために、ポリエステル成分に混ざり易い原材料(親水性の高い成分、例えば磁性体の如き着色剤)とビニル系樹脂に混ざり易い原材料(極性の低い成分、例えばワックス成分)の両方の成分の分散性を同時に向上させることができる。
特に、テトラヒドロフラン不溶分(ゲル成分)中にハイブリッド樹脂を含有させることで、トナー粒子中においてワックス成分や磁性体の如き着色剤がゲル成分の近傍に存在しやすくなったり、ゲル成分中に入り込みやすくなる。ワックスがゲル成分の近傍に存在する場合には、定着時にワックス成分が溶融することでゲル成分も軟化しやすくなり、トナーのシャープメルト性が高くなり、低温定着性が大幅に向上する。さらに、ゲル成分中には入り込みにくい磁性体の如き着色剤がゲル成分中に取り込まれると、材料の均一分散性が向上してトナーの摩擦帯電性が安定する為、現像性や画質が向上する。
本発明で用いられる結着樹脂は、ハイブリッド樹脂単独で用いることも可能であるが、他の樹脂成分を含有する混合物であっても良い。
例えば、ハイブリッド樹脂とビニル系樹脂との混合物、又はハイブリッド樹脂とポリエステル樹脂との混合物、又はポリエステル樹脂とハイブリッド樹脂とビニル系樹脂の混合物が挙げられる。
ハイブリッド樹脂としては、以下のものが挙げられる。(i)アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの如きカルボン酸エステル基を有するモノマー成分を重合したビニル系樹脂成分とポリエステル系樹脂成分との間でエステル交換反応を行うことによって形成されるもの;(ii)アクリル酸やメタクリル酸の如きカルボン酸基を有するモノマー成分を重合したビニル系樹脂成分とポリエステル成分との間でエステル化反応が生じることによって形成されるもの;(iii)フマル酸のような不飽和結合を持つモノマーを用いて重合された不飽和ポリエステル樹脂成分の存在下でビニル系モノマーを重合して形成されるもの。
ハイブリッド樹脂は、上記の(i)及び(ii)のように、ビニル系樹脂成分及び/又はポリエステル樹脂成分中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含有させ、それらを反応させることによって得ることができる。ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうち、ビニル系樹脂成分と反応し得るものとしては、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物が挙げられる。ビニル系樹脂成分を構成するモノマーのうち、ポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、アクリル酸やメタクリル酸の如きカルボキシル基を有するビニルモノマーやヒドロキシ基を有するビニルモノマーが挙げられる。
本発明で用いられるハイブリッド樹脂を調製できる製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(5)に示す製造方法を挙げることができる。
(1)ビニル系樹脂とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行って、ポリエステル樹脂成分とビニル系樹脂成分を有するハイブリッド樹脂を得る。
(2)ビニル系樹脂製造後に、この存在下にポリエステル樹脂成分を生成し、ポリエステル樹脂成分とビニル系樹脂成分を有するハイブリッド樹脂を製造する。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(3)ポリエステル樹脂製造後に、この存在下にビニル系樹脂成分を生成し、反応させポリエステル樹脂成分とビニル系樹脂成分を有するハイブリッド樹脂を製造する。
(4)ビニル系樹脂及びポリエステル樹脂製造後に、これらの重合体成分存在下にビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加することによりハイブリッド樹脂を製造する。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(5)ビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸等)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりポリエステル樹脂成分とビニル系樹脂成分を有するハイブリッド樹脂を製造する。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
上記(1)〜(5)の製造方法において、ビニル系樹脂成分及び/またはポリエステル樹脂成分は複数の異なる分子量であり、異なる架橋度を有する重合体成分を使用することができる。
本発明で特に好ましく用いられる製造方法としては(3)が挙げられる。なかでも、ビニル系モノマーと反応可能な不飽和ポリエステル樹脂をビニル系モノマーに溶解し、このポリエステル樹脂とビニル系モノマーの混合物を塊状重合法により重合して得られたハイブリッド樹脂が好ましい。
塊状重合法では、ビニル系樹脂成分の分子量を大きくすることができ、ゲル成分中に含まれるビニル系樹脂成分のメインピーク分子量を大きくすることが可能になるため、本発明で好ましく用いられる。
また、塊状重合法は、溶液重合法と比較して溶媒の留去の工程が必要ないため、低コストで結着樹脂を得ることができる。更に、塊状重合法で製造された結着樹脂は、懸濁重合法で製造された結着樹脂と比較して、分散剤の如き不純物が少ない為、トナーの摩擦帯電性への影響が少なく、トナーの結着樹脂として非常に好ましい。
特に、本発明で用いる結着樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂を有する低分子量ポリエステル樹脂の存在下でビニル系モノマーを、低分子量ポリエステル樹脂:ビニル系モノマー=50:50〜90:10(好ましくは60:40〜80:20)の質量比で塊状重合することにより得られるハイブリッド樹脂であることが好ましい。低分子量ポリエステル樹脂の質量比が50:50よりも少ないと低温定着性が低下しやすく、90:10よりも多いと耐高温オフセット性が低下しやすい。
不飽和ポリエステル樹脂成分(特に好ましくは不飽和線状ポリエステル樹脂成分)の存在下でビニル系モノマーを塊状重合することで、分子量が大きくて直鎖性の高いビニル系樹脂成分を主鎖として、低分子量ポリエステル樹脂成分がビニル系樹脂成分から分岐した形の分子構造を持つ、ハイブリッド樹脂成分を得ることが出来る。更に、この分岐構造を持つハイブリッド樹脂成分中の酸基や水酸基が、分子間でエステル化結合することによりゲル成分を形成する。
こうして得られたゲル成分は、構成単位であるハイブリッド樹脂成分の分子構造が規則的であるために、ゲル成分の分子構造も規則的に構成されやすく、熱によるシャープメルト性に優れ、低温定着性を低下させない。さらには、ビニル系モノマーの塊状重合により、ゲル成分の構成単位であるハイブリッド樹脂成分中のビニル系重合体ユニットの分子量を大きくできるのでゲル成分の分子量も大きくなり、高温でも高い粘度を維持でき、耐高温オフセット性を高めることができる。
さらに本発明では、テトラヒドロフラン可溶分の固有粘度0.025dl/g以下の割合が40〜70%となるように、低分子量ポリエステル樹脂として前記不飽和ポリエステル樹脂のほかに、低粘度の飽和ポリエステル樹脂を添加することが好ましい。特に、不飽和ポリエステル樹脂と低粘度飽和ポリエステル樹脂の存在下でビニル系モノマーを塊状重合することが好ましい。飽和ポリエステル樹脂はビニル系モノマーとは反応しないためハイブリッド樹脂の重合反応には関与しないが、重合時に存在させることで、ハイブリッド樹脂で構成されるゲル成分中に分子レベルで入り込むことができる。このように低粘度の成分がゲル成分の分子構造中に入り込むことで、ゲル成分の分子鎖が広がった状態を維持でき、軟らかいゲルを形成することができ、溶融混練物の粉砕性を改良できる。また、ゲル成分の分子中に入り込んでいる成分は低粘度のポリエステル樹脂なので、熱により軟化し易いゲル成分となり、低温定着性を改良することも可能になる。
低粘度の飽和ポリエステル樹脂としては、ガラス転移温度が30〜70℃のものが好ましく、特に不飽和ポリエステルよりもガラス転移温度が10℃以上低いものが好ましい。
低粘度の飽和ポリエステルは不飽和ポリエステル100質量部に対し、5〜50質量部の割合で混合することが良い。5質量部より少ないと効果が得られにくく、50質量部より多いと結着樹脂の粘度が低くなりすぎて、耐高温オフセットが低下しやすい。
また、テトラヒドロフラン可溶分の固有粘度0.025dl/g以下の割合を40〜70%とする手段として、前記不飽和ポリエステル樹脂や飽和ポリエステル樹脂のモノマーとして、アルケニルコハク酸の様なソフトモノマーを多量に用いて低Tgの不飽和ポリエステル樹脂や飽和ポリエステル樹脂を重合した後に、無水トリメリット酸で前記低Tgの不飽和ポリエステル樹脂の分子末端をキャップし、Tgを調整する手法が好ましい。
また、本発明のトナーは、テトラヒドロフランに不溶な樹脂成分を加水分解し、その後、濾過して濾別される成分(以下、「残留物」と称す場合もある。)のテトラヒドロフラン可溶分が、GPCによって測定される分子量分布において、分子量10,000〜1,000,000(好ましくは分子量30,000〜500,000、より好ましくは分子量50,000〜300,000)の範囲にメインピークを有することが好ましい。テトラヒドロフランに不溶な樹脂成分を加水分解した際、分解される成分はエステル結合によってポリマー化されているポリエステルユニットであり、ビニル系重合体ユニットは分解されずに重合体の状態で残存する。そのため、加水分解後の残留物は、主にビニル系重合体ユニットからなるものであり、残留物のテトラヒドロフラン可溶分とはビニル系重合体ユニットのテトラヒドロフラン可溶分のことである。
また、ポリエステル樹脂と分子量10,000〜1,000,000にメインピークを有するようなビニル系樹脂を単に混合して結着樹脂を製造した場合には、そのようなビニル系樹脂はテトラヒドロフラン可溶分になってしまうため、最初の段階でテトラヒドロフラン不溶分中に含まれなくなり、本発明の好ましい構成とはならない。また、ポリエステル樹脂とテトラヒドロフラン不溶分を含有するビニル系樹脂を単に混合して結着樹脂を製造した場合には、ビニル系樹脂がテトラヒドロフラン不溶分中には残るものの、加水分解後もテトラヒドロフラン不溶分のままであるため、やはり本発明の好ましい構成とはならない。
本発明の好ましい構成を満たすような樹脂成分は、例えば、ポリエステル系樹脂と分子量10,000〜1,000,000の範囲にメインピークを有するビニル系樹脂とをハイブリッド化し、ハイブリッド化されることによってテトラヒドロフラン不溶分になった場合に得られるものである。
よって、残留物のテトラヒドロフラン可溶分が分子量10,000〜1,000,000にメインピークを有するということは、分子量の大きい(即ち、分子量10,000〜1,000,000の領域にメインピークを有する)ビニル系重合体ユニットとポリエステル系ユニットとがハイブリッド化されているということを表す。
即ち、樹脂成分に由来するテトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、残留物のテトラヒドロフラン可溶分が、GPCによって測定される分子量分布において、分子量10,000〜1,000,000にメインピークを有するような結着樹脂は、分子量が大きく、架橋点間分子量の大きいゲル構造を有しているものである。架橋点間分子量は、樹脂分子が分岐して架橋構造を形成する際の、分岐点間の分子量である。架橋点間分子量が大きいと分岐点間の距離が長くなる為、分子が網目状にお互いを縛り合う力が弱くなる。その結果、加熱により分子運動しやすい、軟らかいゲル成分を得ることができる。そのため、トナーの結着樹脂として用いた場合には、溶融混練を経てトナー粒子を製造した場合であってもゲル分の切断が生じにくく、良好な耐高温オフセット性が得られるようになる。
このようなテトラヒドロフラン不溶分を含有するトナーは、定着時に少ない熱量でもゲル成分であるテトラヒドロフラン不溶分が分子運動をしやすくなり、架橋点間分子量が小さいゲル成分を含有する場合と比較して結着樹脂が熱で軟化しやすくなるため、低温定着性が向上する。さらに、このようなゲル成分は、高温でも高い粘度を維持することが可能になり、耐高温オフセット性を向上させることができる。また、少量のゲル成分でも耐高温オフセット性を維持できる為に、低分子量成分を多く含有させることが出来、更に低温定着性を改良することも可能となる。
テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、その残留物のテトラヒドロフラン可溶分のメインピーク分子量が10,000未満であると、ゲル成分が硬くなりやすく、低温定着性が低下する。また、架橋点間分子量が小さくなるので、ゲル成分に柔軟性がなくなり、トナー粒子の製造時の混練工程での剪断力によりゲル成分が切れやすくなり、耐高温オフセット性が低下する。メインピーク分子量が1,000,000より大きいと、ゲル成分をトナー粒子中に均一に分散させることが難しくなり、結果、トナー粒子に含有される他の成分の均一な分散性が阻害され、トナーとしての摩擦帯電性が低下する。
テトラヒドロフラン不溶分中に含まれるポリエステルユニットを加水分解し、残留物のテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布は、以下のような手順で測定できる。
まず、トナーから結着樹脂由来のテトラヒドロフラン不溶分を取り出し、このテトラヒドロフラン不溶分をアルカリ性水溶液中で加熱し、ポリエステル系樹脂ユニットを加水分解して取り除く。ビニル系樹脂成分は加水分解されずに樹脂成分として残留するため、残留物を抽出してGPCにより分子量分布を測定する。具体的な測定法を以下に示す。
(1)テトラヒドロフラン不溶分の分離
トナーを秤量し、円筒ろ紙(例えばNo.86Rサイズ28mm(高さ)×10mm(直径) 東洋ろ紙社製)に入れてソックスレー抽出器にかける。溶媒としてテトラヒドロフラン200mlを用いて、テトラヒドロフラン可溶分を16時間抽出する。このとき、テトラヒドロフランの抽出サイクルが約4〜5分に1回になるような還流速度で抽出を行う。抽出終了後、円筒ろ紙を取り出し、円筒ろ紙上のトナーのテトラヒドロフラン不溶分を採取する。
トナーが磁性体を含有する磁性トナーの場合、この採取したテトラヒドロフラン不溶分をビーカーに入れ、テトラヒドロフランを加えてに充分に分散させた後、ビーカー底部に磁石を近づけて磁性体をビーカー底部に沈殿、固定させる。この状態でテトラヒドロフランとテトラヒドロフランに分散されたゲル成分を別の容器に移し替えることで磁性体を取り除き、テトラヒドロフランをエバポレートすることで、結着樹脂由来のテトラヒドロフラン不溶分を分離する。
(2)加水分解による残留物の分離
得られた結着樹脂由来のテトラヒドロフラン不溶分を2mol/リットルのNaOH水溶液に1質量%の濃度で分散させ、耐圧容器を用いて、温度150℃、24時間の条件で加水分解する。この加水分解液から以下のいずれかの手順で加水分解後の残留物を濾別する。
i)テトラヒドロフラン不溶分がエステル構造を有する成分を含有していない場合:
加水分解液をメンブランフィルターを用いて吸引ろ過して残留物を分離する。これにより、ポリエステル系樹脂ユニットの分解物であるモノマー成分はろ液中に除去される。
ii)テトラヒドロフラン不溶分が、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステル等のエステル構造を有する成分を含有している場合:
加水分解液中に存在する残留物は、ナトリウム塩(−COO-Na+)となっているため、残留物を濾別した後、残留物を水中に再度分散し、分散後、塩酸を加えて水をpH=2に調整して、残留物の有する−COO-基を−COOHとした。その後、メンブランフィルターでろ過分離した。
(3)上記(2)で分離された成分のGPC測定
上記(2)で分離された成分をテトラヒドロフランに溶解し、GPCにより分子量分布の測定を実施する。
また、テトラヒドロフラン不溶分としては、ビニル系重合体ユニットを20〜80質量%(好ましくは30〜70質量%、より好ましくは40〜60質量%)含有していることが好ましい。テトラヒドロフラン不溶分中のビニル系重合体ユニットの含有量は以下のようにして測定することができる。
まず、ハイブリッド樹脂の重合に用いたポリエステル系樹脂成分のモノマー組成と同一のモノマー組成でポリエステル樹脂を重合する。また、同様に、ハイブリッド樹脂の重合に用いたビニル系重合体成分のモノマー組成と同一のモノマー組成でビニル系重合体を重合する。このようにして得られたポリエステル樹脂とビニル系重合体を充分に混合したものを検量線サンプルとする。ポリエステル系樹脂とビニル系重合体を任意の比率で変化させた混合サンプルを数点作製し、IR測定により検量線を作成し、この検量線を用いてテトラヒドロフラン不溶分中のビニル系重合体ユニットの含有量を算出する。
例えば、後述する実施例のハイブリッド樹脂製造例1では、ポリエステルのピークとして、フタル酸ユニットのベンゼン環由来のピーク(約730cm-1)とビスフェノール誘導体ユニットのベンゼン環由来のピーク(約830cm-1)の面積の和をポリエステル樹脂部とし、ビニル系重合体のピークとして、スチレンユニットのベンゼン環由来のピーク(約700cm-1)の面積をビニル系重合体部として、検量線を元にビニル系重合体ユニットの含有量を算出した。
本発明の塊状重合法で得られるハイブリッド樹脂に用いられる不飽和ポリエステル樹脂としては、テトラヒドロフラン可溶分のGPC分子量分布において、分子量2,000〜30,000(好ましくは分子量3,000〜20,000、より好ましくは分子量5,000〜15,000)の範囲にメインピークを有するような低分子量の不飽和ポリエステル樹脂であることが好ましい。さらには、ゲル成分を含まない線状の不飽和ポリエステル樹脂であることが特に好ましい。メインピーク分子量が2,000より小さいと現像性が低下しやすく、30,000より大きいと低温定着性が低下しやすい。
また、本発明で用いられる不飽和ポリエステル樹脂は、酸価が0.1〜30mgKOH/g(好ましくは1〜20mgKOH/g、より好ましくは1〜10mgKOH/g)であることが好ましく、水酸基価が10〜60mgKOH/g(好ましくは20〜60mgKOH/g、より好ましくは30〜50mgKOH/g)であることが、トナーに良好な摩擦帯電性を付与できるため好ましい。
本発明で用いられる低粘度の飽和ポリエステル樹脂は、分子量や酸価、水酸基価については不飽和ポリエステル樹脂と同じ範囲が好ましい。両者の分子量や酸価、水酸基価を近い値にすることで、より均一に混合されやすくなり、低粘度の飽和ポリエステル樹脂を添加する効果がより発現しやすくなるとともに、分散不良によるトナーの摩擦帯電量の低下を抑制することが可能になる。
ポリエステルユニットを形成する際に用いることのできるモノマーを以下に例示する。
2価のアルコール成分としては、以下のものが挙げられる。エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また(A)式で表わされるビスフェノール及びその誘導体;
(式中Rは、エチレンまたはプロピレン基であり、x,yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0〜10である。)
また(B)式で示されるジオール類;
2価の酸成分としては、以下のものが挙げられる。フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸類又はその無水物、又はその低級アルキルエステル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類又はその無水物、又はその低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸の如きアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類、又はその無水物、又はその低級アルキルエステル。
特に、低粘度の飽和ポリエステル樹脂には、アルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類、又はその無水物、又はその低級アルキルエステルの如きジカルボン酸類及びその誘導体を酸モノマーとして用いることが好ましい。これら酸モノマーは、低粘度の飽和ポリエステル樹脂をハイブリッド樹脂になじみやすくする為、ハイブリッド樹脂で構成されるゲル成分中に低粘度の飽和ポリエステル樹脂が入り込みやすくなる。
また、不飽和ポリエステル樹脂を得る為の不飽和結合を持つ酸成分としては、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物、又はその低級アルキルエステルが好ましく用いられる。
これら不飽和ジカルボン酸は、ポリエステルモノマーの全酸成分に対して、0.1〜10mol%(好ましくは0.3〜5mol%、より好ましくは0.5〜3mol%)の割合で用いることが好ましい。この範囲で不飽和ジカルボン酸を添加した場合に、低分子量ポリエステル分子中に占める不飽和結合濃度が適当となり、適度な架橋点間距離を有してポリエステル樹脂とビニル系樹脂とのハイブリッド化が生じる。
また必要に応じて3価以上のアルコール成分や3価以上の酸成分を使用することも可能である。
3価以上の多価アルコール成分としては、以下のものが挙げられる。ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン。
3価以上の多価カルボン酸成分としては、以下のものが挙げられる。ピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物、及びこれらの低級アルキルエステル;次式
(式中Xは炭素数3以上の側鎖を1個以上有する炭素数5〜30のアルキレン基又はアルケニレン基)
で表わされるテトラカルボン酸、及びこれらの無水物、及びこれらの低級アルキルエステルの如き多価カルボン酸類及びその誘導体。なかでも、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸およびこれらの無水物、低級アルキルエステルが好ましい。
ポリエステル系樹脂においては、アルコール成分が40〜60mol%(より好ましくは45〜55mol%)であり、酸成分が60〜40mol%(より好ましくは55〜45mol%)であることが好ましい。また三価以上の多価の成分は、全成分中の0.1〜60mol%(より好ましくは0.1〜20mol%)であることが好ましい。
ポリエステル系樹脂は通常一般に知られている縮重合によって得られる。ポリエステル樹脂の重合反応は通常触媒の存在下温度150〜300℃、好ましくは温度170〜280℃の温度条件下で行われる。また反応は常圧下、減圧下、もしくは加圧下のいずれでも行うことができるが、所定の反応率(例えば30〜90%程度)に到達後は反応系を200mmHg以下、好ましくは25mmHg以下、更に好ましくは10mmHg以下に減圧し、反応を行うのが好ましい。
上記触媒としては、ポリエステル化に用いられる以下の触媒が挙げられる。スズ、チタン、アンチモン、マンガン、ニッケル、亜鉛、鉛、鉄、マグネシウム、カルシウム、ゲルマニウムの如き金属;これら金属を含有する化合物(ジブチルスズオキサイド、オルソジブチルチタネート、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酢酸コバルト、酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン)。
本発明では、重合反応の制御のしやすさや、ビニル系モノマーとの反応性の高さからチタン化合物が好ましく用いられる。特に好ましいものとしてテトライソプロピルチタネート、シュウ酸チタニル二カリウムが挙げられる。この際、結着樹脂の着色防止として酸化防止剤(特にリン系酸化防止剤)や、反応促進剤として助触媒(マグネシウム化合物が好ましく、特に酢酸マグネシウムが好ましい)を添加することが特に好ましい。
反応物の性質(例えば酸価、軟化点等)が所定の値に到達した時点、あるいは反応機の攪拌トルクまたは攪拌動力が所定の値に到達した時点で反応を停止させることによって本発明のポリエステル系樹脂を得ることができる。
本発明において、ビニル系重合体とは、ビニル系ホモポリマーもしくはビニル系コポリマーを意味するものである。
ビニル系樹脂を得る為のモノマーとしては、次のようなものが挙げられる。
スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの如きスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン,イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、臭化ビニル、沸化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸誘導体もしくはメタクリル酸誘導体。これらのビニルモノマーは単独もしくは2つ以上のモノマーを混合して用いられる。
これらの中でもスチレン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体となるようなモノマーの組み合せが好ましい。
さらに、結着樹脂の酸価を調整するモノマーとして、以下のものが挙げられる。アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸の如きアクリル酸及びそのα−或いはβ−アルキル誘導体;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸及びそのモノエステル誘導体又は無水マレイン酸。このようなモノマーを単独、或いは混合して、他のモノマーと共重合させることにより所望の結着樹脂を作ることができる。この中でも、特に不飽和ジカルボン酸のモノエステル誘導体を用いることが酸価をコントロールする上で好ましい。
より具体的には、例えば、以下のものが挙げられる。マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノアリル、マレイン酸モノフェニル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノフェニルの如きα,β−不飽和ジカルボン酸のモノエステル類;n−ブテニルコハク酸モノブチル、n−オクテニルコハク酸モノメチル、n−ブテニルマロン酸モノエチル、n−ドデセニルグルタル酸モノメチル、n−ブテニルアジピン酸モノブチルの如きアルケニルジカルボン酸のモノエステル類;フタル酸モノメチルエステル、フタル酸モノエチルエステル、フタル酸モノブチルエステルの如き芳香族ジカルボン酸のモノエステル類。
以上のようなカルボキシル基含有モノマーは、ビニル系重合体ユニットを合成する際に用いられる全モノマーに対し0.1〜30質量%用いるのが好ましい。
本発明のゲル成分中に含まれるビニル系重合体ユニットは、直鎖性が高いものが好ましい為、架橋性モノマーは含有しないものがより好ましい。本発明の目的を達成する為に、以下に例示する様な架橋性モノマーを添加しても良い。
架橋性モノマーとしては主として2個以上の重合可能な二重結合を有するモノマーが用いられる。芳香族ジビニル化合物(例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン);アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグルコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングルコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び、以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);ポリエステル型ジアクリレート化合物類(例えば、商品名MANDA(日本化薬))。多官能の架橋剤としては、以下のものが挙げられる。ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート。
これらの架橋剤は、他のビニル系モノマー成分100質量部に対して、0.001〜1質量部で用いることが好ましく、より好ましくは0.001〜0.05質量部の範囲で用いられる。
ビニル系樹脂は、以下に例示する様な多官能性重合開始剤を単独で、あるいは多官能性重合開始剤と単官能性重合開始剤とを併用して生成することが好ましい。
多官能構造を有する多官能性重合開始剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ヘキシルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−アミルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−2−メチルシクロヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,3−ビス−(ネオデカノールパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(2−エチルヘキサノールパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(m−トルオールパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、トリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ヘキシルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−アミルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロドデカン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレリックアシッド−n−ブチルエステル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロイソフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート、ジーt−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−t−ブチルパーオキシオクタン及び各種ポリマーオキサイドの1分子内に2つ以上のパーオキサイド基の如き重合開始機能を有する官能基を有する多官能性重合開始剤、及びジアリルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート及びt−ブチルパーオキシイソプロピルフマレートの如き、1分子内に、パーオキサイド基の如き重合開始機能を有する官能基と重合性不飽和基の両方を有する多官能性重合開始剤。
これらの内、より好ましいものとしては、以下のものが挙げられる。1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、及び2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン。
これらの多官能性重合開始剤は、効率の点からモノマー100質量部に対し0.01〜10質量部用いるのが好ましい。
さらに、これらの多官能性重合開始剤を単官能性重合開始剤と併用する場合には、半減期が10時間となる温度(10時間半減期温度)が該多官能性重合開始剤よりも低い単官能性重合開始剤と併用することが好ましい。
具体的には、以下のものが挙げられる。ベンゾイルパーオキシド、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキシド、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシクメン、ジーt−ブチルパーオキシドの如き有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾアミノアゾベンゼンの如きアゾおよびジアゾ化合物。
これらの単官能性重合開始剤は、前記多官能性重合開始剤と同時にモノマー中に添加しても良いが、該多官能性重合開始剤の効率を適正に保つ為には、重合工程においてビニル系モノマーの重合添加率が50%以上に達した後に添加するのが好ましい。
本発明に係わる結着樹脂は、上述した如く、前記のような不飽和ポリエステル樹脂存在下で、溶媒を使わずにビニル系モノマーを重合する、塊状重合法によりハイブリッド樹脂を得ることが好ましい。特に、重合開始剤として、10時間半減期温度が100〜150℃のものを用い、重合開始剤の10時間半減期温度よりも30℃低い温度から、10時間半減期温度よりも10℃高い温度の範囲で、ビニル系モノマーの重合転化率が60%、好ましくは80%に達するまで重合反応を行い、塊状重合により生成するビニル系重合体ユニットの分子量を大きくすることが好ましい。さらに、重合転化率が60%(好ましくは80%)に達した後に、10時間半減期温度よりも10℃以上高い温度で重合反応を行い、反応を終了させることが良い。
このようにして得られた結着樹脂は酸価が0.1〜50mgKOH/g(好ましくは1〜40mgKOH/g、より好ましくは1〜30mgKOH/g)、水酸基価が5〜80mgKOH/g(好ましくは5〜60mgKOH/g、より好ましくは10〜50mgKOH/g)の範囲であることが、トナーの摩擦帯電性を安定させる点で好ましい。
さらに、本発明に用いられる結着樹脂は、テトラヒドロフラン不溶分を5〜50質量%(好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%)含有することが、トナーの現像性、耐高温オフセット性を高めるうえで好ましい。
本発明に用いられる結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50〜75℃であることが好ましい。結着樹脂のガラス転移温度が50℃未満であると、トナーの保存安定性が不十分となることがあり、75℃よりも大きいとトナーの低温定着性が不十分となることがある。
本発明のトナーは、離型剤としてワックスを含有してもよい。
本発明に用いられるワックスには次のようなものがある。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又は、それらのブロック共重合物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろうの如き植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろうの如き動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラタムの如き鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの如き脂肪族エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪族エステルを一部又は全部を脱酸化したワックス。
更に、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、或いは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カウナビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、或いは更に長鎖のアルキル基を有するアルキルアルコールの如き飽和アルコール;ソルビトールの如き多価アルコール;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪族アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪族ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は融液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものや低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好ましく用いられる。
ワックスの具体的な例としては、以下のものが挙げられる。ビスコール(登録商標)330−P、550−P、660−P、TS−200(三洋化成工業社)、ハイワックス400P、200P、100P、410P、420P、320P、220P、210P、110P(三井化学社)、サゾールH1、H2、C80、C105、C77(シューマン・サゾール社)、HNP−1、HNP−3、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12(日本精鑞株式会社)、ユニリン(登録商標)350、425、550、700、ユニシッド(登録商標)、ユニシッド(登録商標)350、425、550、700(東洋ペトロライト社)、木ろう、蜜ろう、ライスワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス(株式会社セラリカNODAにて入手可能)。これらワックスは必要に応じて樹脂製造時に添加し、更に分散性を改良することも好ましい形態である。
本発明のトナーは更に磁性体(例えば磁性酸化鉄)を含有させ磁性トナーとしても使用しうる。この場合、磁性体は着色剤の役割をかねることもできる。
本発明において、磁性トナー中に含まれる磁性体としては、以下のものが挙げられる。マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルの如き金属或はこれらの金属と、アルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムの如き金属の合金及びその混合物。
これらの磁性体は個数平均粒子径が2.0μm以下、好ましくは0.05〜0.5μmのものが好ましい。トナー中に含有させる量としては結着樹脂100質量部に対し20〜200質量部であることが好ましく、特に好ましくは樹脂成分100質量部に対し40〜150質量部である。
本発明に用いられる着色剤は、黒色着色剤としてカーボンブラック,グラフト化カーボンや以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用可能である。
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物,ジケトピロロピロール化合物,アントラキノン,キナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合物,ペリレン化合物が用いられる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体,アントラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物等が利用できる。これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。
非磁性の着色剤は、色相角,彩度,明度,耐候性,OHP透明性,トナー中への分散性の点から選択される。非磁性の着色剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対し1〜20質量部添加して用いられる。
本発明のトナーには、荷電制御剤を含有させることが好ましい。トナーを負荷電性に制御するものとして下記物質がある。
有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属化合物。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類がある。
また、負帯電性の荷電制御剤としては、次に示した一般式(1)で表されるアゾ系金属化合物、一般式(2)で表されるオキシカルボン酸金属化合物が好ましい。
〔式中、Mは配位中心金属を表し、Sc、Ti、V、Cr、Co、Ni、Mn、又はFeを示す。Arはアリール基であり、フェニレン基、ナフチレン基を示し、置換基を有してもよい。この場合の置換基としては、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アニリド基および炭素数1〜18のアルキル基、またはアルコキシ基である。X,X’、Y,及びY’は−O−、−CO−、−NH−、−NR−(Rは炭素数1〜4のアルキル基)である。A
+は水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、脂肪族アンモニウムイオン、それらの混合物を表すが、A
+は存在しない場合もある。〕
特に、中心金属としてはFeが好ましく、置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アニリド基が好ましい。
特に、中心金属としてはFe,Si,Zn,Zr,又はAlが好ましく、置換基としてはアルキル基、アニリド基、アリール基、ハロゲンが好ましく、カウンターイオンは水素イオン、アンモニウムイオン、脂肪族アンモニウムイオンが好ましい。
そのうちでも、式(1)で表されるアゾ系金属化合物がより好ましく、とりわけ、下記式(3)で表されるアゾ系鉄化合物が最も好ましい。
次に、該化合物の具体例を示す。
正荷電性の荷電制御剤としては下記の物質が例示される。ニグロシン及び脂肪酸金属塩による変成物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き四級アンモニウム塩、ホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物);高級脂肪酸の金属塩;グアニジン化合物、イミダゾール化合物。これらを単独で或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、トリフェニルメタン化合物、カウンターイオンがハロゲンでない四級アンモニウム塩が好ましく用いられる。
また、一般式(4)
〔式中、R
1はH又はCH
3を示し、R
2及びR
3は置換または未置換のアルキル基(好ましくは、C1〜C4)を示す〕
で表されるモノマーの単重合体;前述したスチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの如き重合性モノマーとの共重合体を正荷電性制御剤として用いることができる。この場合これらの荷電制御剤は、結着樹脂(の全部または一部)としての作用をも有する。
特に下記一般式(5)で表される化合物が本発明の構成においては好ましい。
〔式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は、各々互いに同一でも異なっていてもよい水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基または、置換もしくは未置換のアリール基を表し、R
7、R
8及びR
9は、各々互いに同一でも異なっていてもよい水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基を表し、A
-は、硫酸イオン、硝酸イオン、ほう酸イオン、りん酸イオン、水酸イオン、有機硫酸イオン、有機スルホン酸イオン、有機りん酸イオン、カルボン酸イオン、有機ほう酸イオン又はテトラフルオロボレートから選択される陰イオンを示す。〕
負帯電用として好ましい制御剤として、以下のものが挙げられる。Spilon Black TRH、T−77、T−95(保土谷化学工業(株))、BONTRON(登録商標)S−34、S−44、S−54、E−84、E−88、E−89 (オリエント化学工業(株))。正帯電用として好ましい制御剤として以下のものが挙げられる。TP−302、TP−415 (保土谷化学工業(株))、BONTRON(登録商標) N−01、N−04、N−07、P−51(オリエント化学工業(株))、コピーブルーPR(クラリアント社)。
荷電制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー粒子内部に添加する方法と外添する方法がある。これらの電荷制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではない。好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。
本発明のトナーには、流動性向上剤を添加しても良い。流動性向上剤は、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものである。このような流動性向上剤としては、以下のものが挙げられる。フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフウルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシラン化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理微粉末;酸化亜鉛、酸化スズの如き酸化物;チタン酸ストロンチウムやチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウムやジルコン酸カルシウムの如き複酸化物;炭酸カルシウム及び、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩化合物等。
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉末であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次のようなものである。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタン等の他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、シリカとしてはそれらも包含する。その粒径は、平均の一次粒径として、0.001〜2μmの範囲内であることが好ましく、特に0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用することが好ましい。
ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、以下のものが挙げられる。AEROSIL(日本アエロジル社)130、200、300、380、TT600、MOX170、MOX80、COK84、Ca−O−SiL(CABOT Co.社)M−5、MS−7、MS−75、HS−5、EH−5、Wacker HDK N 20(WACKER−CHEMIE GMBH社)V15、N20E、T30、T40、D−C Fine Silica(ダウコーニングCo.社)、Fransol(Fransil社)、本発明ではこれらも好適に用いることができる。
更には、本発明に用いられる流動性向上剤としては、前記ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。前記処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30〜80の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。
疎水化処理の方法としては、シリカ微粉体と反応或いは物理吸着する有機ケイ素化合物で化学的に処理する方法が挙げられる。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。
前記有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン。さらに、ジメチルシリコーンオイルの如きシリコーンオイルが挙げられる。これらは一種或いは二種以上の混合物で用いられる。
前記流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが好ましい。外添前のトナー粒子100質量部に対して流動性向上剤を総量で0.01〜8質量部、好ましくは0.1〜4質量部使用することが良い。
本発明のトナーは、前記流動性向上剤以外にも、必要に応じてさらに他の外添剤(例えば荷電制御剤等)を添加して用いることができる。
また、本発明のトナーは、一成分現像剤、或いは、キャリアと併用して二成分現像剤として用いることができる。二成分現像剤に用いる場合のキャリアとしては、従来知られているものがすべて使用可能であるが、具体的には、表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及びそれらの合金又は酸化物等の、平均粒径20〜300μmの粒子が好ましくは使用される。
また、それらキャリア粒子の表面に、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル樹脂の如き樹脂を付着又は被覆させたもの等が好ましく使用される。
本発明では、コールターカウンターにより測定されるトナー粒子の重量平均粒子径(D4)が3.5μm以上6.5μm以下であることが好ましい。トナー粒子の重量平均粒子径がこの範囲であると、ドット再現性やハーフトーンのガサツキ等の画質が向上する。
また、トナー粒子の個数分布における粒径2.00μm以上4.00μm以下の粒子の含有量が1個数%以上30個数%以下(好ましくは25個数%以下)であることが好ましい。さらには、トナー粒子の個数分布における粒径2.00μm以上3.17μm以下の粒子の含有量が1個数%以上15個数%以下(好ましくは10個数%以下、より好ましくは5個数%以下)であることが好ましい。粒径2.00μm以上4.00μm以下、もしくは粒径2.00μm以上3.17μm以下のトナー粒子の割合がこの範囲にあることで、カブリや高温高湿環境での画像濃度薄を抑制することができる。
トナー粒子の重量平均粒子径(D4)やトナー粒子の個数分布における粒径2.00μm以上4.00μm以下の粒子の含有量、粒径2.00μm以上3.17μm以下の粒子の含有量は、粒径測定機であるコールターマルチサイザーII(コールター社製、商品名)を用い測定することができる。例えば、コールターマルチサイザーIIに個数分布、体積分布を出力するインターフェース(日科機製)及びパーソナルコンピューターを接続して測定することができる。
被検試料の調製に使用する電解液としては、試薬1級塩化ナトリウムを水に溶解した1%NaCl水溶液を用いることができる。その他、前記電解液としては、例えば、ISOTONR−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製、商品名)を使用することができる。
トナー粒子は、前記電解液100ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1ml加え、更にトナーを10mg加え、超音波分散器で約1分間分散処理を行い調製することができる。前記コールターマルチサイザーによる重量平均粒子径(D4)の測定においては、アパーチャーとして、100μmアパーチャーを用いることができる。
本発明における重量平均粒子径(D4)は、2μm以上の粒子径を有するトナーの粒子群について、個々の粒子の体積、個数を測定し、体積分布と個数分布を算出し、体積分布から求めた重量基準(各チャンネルの代表値をチャンネル毎の代表値とする)の重量平均粒子径(D4)として求めることができる。
さらに、トナー粒子は、画像処理解像度512×512画素(1画素あたり0.19μm×0.19μm)のフロー式粒子像測定装置において、測定される円相当径0.25μm以上30.0μm未満の粒子数に対する、円相当径0.25μm以上1.98μm未満の粒子の数の割合が、1%以上15%以下(好ましくは1%以上10%以下、より好ましくは1%以上7%以下)の範囲であることが好ましい。円相当径0.25μm以上1.98μm未満の粒子(以下トナー微粒子と称す)は粒径が小さく付着力が強い為に、クリーニングブレードで掻き取りにくく、感光体上に残りやすい。特に、低温環境ではクリーニングブレードの弾性が高くなり、クリーニングブレードと感光体との摩擦係数が低くなるので、クリーニングブレードと感光体の当接部からトナー微粒子がすり抜けやすくなり、クリーニング不良が発生しやすくなる。そのため、トナー微粒子が15%より多いとクリーニング不良が発生し易い。しかし、トナー微粒子は、トナーの表面に存在することで感光体とトナーの付着力を軽減し、感光体からトナーを掻き取りやすくする働きもする為、トナー微粒子の割合が1%未満であるとやはりクリーニング不良が発生しやすくなる。さらに本発明では、トナー粒子の個数分布における粒径2.00μm以上3.17μm以下の粒子の含有量とトナー粒子の円相当径0.25μm以上1.98μm未満の粒子の数の割合の和が2%以上20%以下(好ましくは2%以上15%以下、より好ましくは2%以上12%以下)の範囲であることが好ましい。この範囲である時に、画質、カブリ、画像濃度、クリーニングブレードめくれを高いレベルで満足することが可能になる。本発明のトナーは粉砕性に優れ、過粉砕が起こりにくいので、このようなトナー微粉やトナー微粒子が発生しにくく、分級工程でこれらの含有量を調整することが容易である。
本発明の円相当径0.25μm以上1.98μm未満の粒子の数の割合は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シスメックス社製)で測定した。フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512の画像処理解像度(一画素あたり0.19×0.19μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積や周囲長等が計測される。
次に、各粒子像の投影面積Sと周囲長Lを求める。上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円形当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度は、円形当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
C=2×√(π×S)/L
粒子像が円形の時に円形度は1になり、粒子像の外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.2〜1.0の範囲を800分割し、測定粒子数を用いて平均円形度の算出を行う。
本発明のトナーを製造するには、結着樹脂及び着色剤、必要に応じて磁性体やワックス、荷電制御剤、その他の添加剤をヘンシェルミキサー又はボールミルの如き混合機により十分混合してから、ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融、捏和及び混練して、結着樹脂中にワックスや磁性体を分散せしめ、冷却固化後、粉砕及び分級を行ってトナーを得ることができる。
本発明のトナーは、公知の製造装置を用いて製造することができ、例えば、以下の製造装置を用いることができる。
混合機としては、以下のものが挙げられる。ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)。
混練機としては、以下のものが挙げられる。KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)。
粉砕機としては、以下のものが挙げられる。カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)。
分級機としては、以下のものが挙げられる。クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラッシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボジェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)。
粗粒子をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、以下のものが挙げられる。ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い。
本発明のトナーに係る各種物性の測定について以下に説明する。本発明では、トナー、及び結着樹脂のテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布、テトラヒドロフラン不溶分の含有量は、以下に示す方法によって測定することができる。
(1)テトラヒドロフラン可溶分の分子量の測定
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(テトラヒドロフラン)を毎分1mlの流速で流す。カラムとしては、103〜2×106の分子量領域を適確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合せや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKgurd columnの組み合せを挙げることができるが、特に昭和電工社製のshodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連カラムの組み合せが好ましい。
一方で、トナー、結着樹脂、或いはトナーのテトラヒドロフラン不溶分中に含まれるポリエステル系樹脂成分を加水分解し、残留物として得られるビニル系樹脂成分をテトラヒドロフランに分散し溶解後、1晩静置した後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ約0.5μm、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー社製)など使用できる。)で濾過し、その濾液を試料として用いる。試料濃度として樹脂成分が5mg/mlとなるように調整したトナーのテトラヒドロフラン溶液を100μl注入して測定する。なお、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.製あるいは、東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。
(2)テトラヒドロフラン不溶分量
結着樹脂又はトナーを秤量し、円筒ろ紙(例えばNo.86Rサイズ28mm×10mm 東洋ろ紙社製)に入れてソックスレー抽出器にかける。溶媒としてテトラヒドロフラン200mlを用いて、16時間抽出する。このとき、テトラヒドロフランの抽出サイクルが約5分に1回になるような還流速度で抽出を行う。抽出終了後、円筒ろ紙を取り出し、秤量することによって結着樹脂又はトナーの不溶分を得る。
トナーが樹脂成分以外のテトラヒドロフラン不溶分(例えば、磁性体、顔料、ワックス、荷電制御剤)を含有している場合、円筒ろ紙に入れたトナーの質量をW1gとし、抽出されたTHF可溶樹脂成分の質量をW2gとし、トナーに含まれている樹脂成分以外のテトラヒドロフラン不溶成分の質量をW3gとすると、トナー中の樹脂成分のテトラヒドロフラン不溶分の含有量は下記式から求められる。
テトラヒドロフラン不溶分(質量%)=[{W1−(W3+W2)}/(W1−W3)]×100
(3)樹脂の酸価の測定法
本発明における結着樹脂の酸価の測定は、下記のように実施することができる。基本操作はJIS K0070に準ずる。
1)結着樹脂の粉砕品0.5乃至2.0(g)を精秤し、結着樹脂の重さW(g)とする。
2)300(ml)のビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(4/1)の混合液150(ml)を加え溶解する。
3)0.1mol/リットルのKOHのメタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する(例えば、京都電子株式会社製の電位差滴定装置AT−400(win workstation)とABP−410電動ビュレットとを用いての自動滴定が利用できる。)。
4)この時のKOH溶液の使用量S(ml)とし、同時にブランクを測定しこの時のKOH溶液の使用量をB(ml)とする。
5)次式により結着樹脂の酸価を計算する。fはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)=((S−B)×f×5.61)/W
(4)樹脂の水酸基価の測定法
本発明における結着樹脂の水酸基価の測定は、下記のように実施することができる。
(A)試薬
(a)アセチル化試薬:無水酢酸25gをメスフラスコ100mlに入れ、ピリジンを加えて全量を100mlにし、十分に振りまぜる。アセチル化試薬は、湿気、炭酸ガス及び酸の蒸気に触れないようにし、褐色びんに保存する。
(b)フェノールフタレイン溶液:フェノールフタレイン1gをエチルアルコール(95vol%)100mlに溶かす。
(c)0.5mol/リットル−水酸化カリウムエチルアルコール溶液:水酸化カリウム35gをできるだけ少量の水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて1リットルとし、2〜3日間放置後ろ過する。標定はJIS K8006によって行う。
(B)操作
試料0.5gを丸底フラスコに正しくはかりとり、これにアセチル化試薬5mlを正しく加える。フラスコの口に小さな漏斗をかけ、95〜100℃のグリセリン浴中に底部約1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首が浴の熱を受けて温度の上がるのを防ぐために、中に丸い穴をあけた厚紙の円盤をフラスコの首の付根にかぶせる。1時間後フラスコを浴から取り出し、放冷後漏斗から水1mlを加えて振り動かして無水酢酸を分解する。さらに分解を完全にするため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱し、放冷後エチルアルコール5mlで漏斗及びフラスコの壁を洗い、フェノールフタレイン溶液を指示薬として0.5mol/リットル−水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときを終点とする。なお、本試験と並行して空試験を行う。
(C)計算式
次式によって結着樹脂の水酸基価を算出する。
A=[{(B+C)×f×28.05}/S]+D
但し、
A:樹脂の水酸基価
B:空試験の0.5mol/リットル−水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量 (ml)
C:本試験の0.5mol/リットル−水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量 (ml)
f:0.5mol/リットル−水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター
S:試料の質量(g)
D:樹脂の酸価
(5)GPC−RALLS−粘度計分析
(i)前処理
トナー0.1gを、テトラヒドロフラン 10mlとともに20ml試験管に入れる。これを25℃で24時間溶解させる。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2〜0.5μm、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー社製)が使用できる。)を通過させたものをGPCの試料とする。
(ii)分析条件
装置:HLC−8120GPC 東ソー(株)社製
DAWN EOS(Wyatt Technology社製)
高温差圧粘度検出器(Viscotek社製)
カラム:KF−807,806M,805,803(昭和電工社製)の4連カラムの組合せ
検出器1:多角度光散乱検出器 Wyatt DAWN EOS
検出器2:高温差圧粘度検出器
検出器3:ブライス型示差屈折計
温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0ml/min
注入量:400μl
本測定においては、絶対分子量に基く分子量分布及び慣性二乗半径、固有粘度が、直接出力されるが、その測定理論は以下の通りである。
[測定理論]
M90=R(θ90)/KC・・・レイリー方程式
M90:90°における分子量
R(θ90):散乱角90°でのレイリー比
K:光学定数(=2π2n2/λ 0 4N A ・(dn/dc)2)
C:溶液濃度
Rg=(1/6)1/2([η]M90/Φ)1/3・・・Flory Fox式
Rg:慣性半径
η:固有粘度
Φ:形状要素
絶対分子量:M=R(θ0)/KC
R(θ0)= R(θ90)/P(θ90)
P(θ90)=2/X2・(e−X −(1−X)) (X=4πn/λ・Rg)
λ:波長
(dn/dc):ポリエステル樹脂のみ含有トナーは0.078ml/g、直鎖ポリスチレンは0.185ml/g、ハイブリッド樹脂を含有トナーは、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂(直鎖ポリスチレンの値を使用)の比率から算出する。例えば、後述の結着樹脂1はポリエステル樹脂成分とビニル系樹脂成分の質量比が75:25なので、下記式によりdn/dc=0.105と算出した。
0.078×0.75+0.185×0.25=0.105
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、これは本発明を何ら限定するものではない。
[結着樹脂製造例]
(ポリエステル樹脂製造例1)
ポリエステルを形成する為のモノマーを下記比率で混合した。
・前記式(A)で表されるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基,x+yの平均値:2.2)
1.150mol
・テレフタル酸 0.400mol
・イソフタル酸 0.588mol
・フマル酸 0.012mol
上記材料に触媒としてテトラブチルチタネート0.1質量%を添加し、温度220℃で縮合重合して、不飽和ポリエステル樹脂P−1(Tg=62℃、メインピーク分子量=8700、数平均分子量(Mn)=4100、Mw/Mn=2.2、酸価=4.3mgKOH/g、水酸基価=37mgKOH/g)を得た。
(ポリエステル樹脂製造例2)
ポリエステルを形成する為のモノマーを下記比率で混合する以外は、ポリエステル樹脂製造例1と同様にして、Tg=38℃の低粘度飽和ポリエステル樹脂を得た。
・前記式(A)で表されるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基2.2モル付加)
1.150mol
・テレフタル酸 0.300mol
・イソフタル酸 0.100mol
・ドデセニル無水琥珀酸 0.600mol
この低粘度飽和ポリエステル樹脂を加熱溶融した状態で、無水トリメリット酸0.200molを添加して、分子末端がトリメリット酸でキャップされた低粘度飽和ポリエステル樹脂P−2(Tg=47℃、メインピーク分子量=8500、数平均分子量(Mn)=3700、Mw/Mn=2.4、酸価=27mgKOH/g、水酸基価=32mgKOH/g)を得た。
(ポリエステル樹脂製造例3)
ポリエステルを形成する為のモノマーを下記比率で混合する以外は、ポリエステル樹脂製造例1と同様にして、不飽和ポリエステル樹脂P−3(Tg=58℃、メインピーク分子量=6500、数平均分子量(Mn)=3400、Mw/Mn=2.6、酸価=14mgKOH/g、水酸基価=57mgKOH/g)を得た。
・前記式(A)で表されるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基,x+yの平均値:2.2)
1.150mol
・テレフタル酸 0.400mol
・イソフタル酸 0.490mol
・ドデセニル無水琥珀酸 0.100mol
・フマル酸 0.010mol
(ポリエステル樹脂製造例4)
ポリエステルを形成する為のモノマーを下記比率で混合する以外は、ポリエステル樹脂製造例1と同様にして、低粘度飽和ポリエステル樹脂P−4(Tg=52℃、メインピーク分子量=4500、数平均分子量(Mn)=2900、Mw/Mn=5.4、酸価=27mgKOH/g、水酸基価=69mgKOH/g)を得た。
・前記式(A)で表されるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基2.2モル付加)
1.150mol
・テレフタル酸 0.400mol
・イソフタル酸 0.300mol
・ドデセニル無水琥珀酸 0.300mol
(ポリエステル樹脂製造例5)
ポリエステルを形成する為のモノマーを下記比率で混合する以外は、ポリエステル樹脂製造例1と同様にして、Tg=40℃の不飽和ポリエステル樹脂を得た。
・前記式(A)で表されるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基2.2モル付加)
1.150mol
・テレフタル酸 0.390mol
・ドデセニル無水琥珀酸 0.600mol
・フマル酸 0.010mol
この不飽和ポリエステル樹脂を加熱溶融した状態で、無水トリメリット酸0.400molを添加して、分子末端がトリメリット酸でキャップされた不飽和ポリエステル樹脂P−5(Tg=58℃、メインピーク分子量=7200、数平均分子量(Mn)=3100、Mw/Mn=3.3、酸価=51mgKOH/g、水酸基価=9mgKOH/g)を得た。
(ポリエステル樹脂製造例6)
ポリエステルを形成する為のモノマーを下記比率で混合する以外は、ポリエステル樹脂製造例1と同様にして、不飽和ポリエステル樹脂P−6(Tg=60℃、メインピーク分子量=8200、数平均分子量(Mn)=3800、Mw/Mn=2.5、酸価=6mgKOH/g、水酸基価=39mgKOH/g)を得た。
・前記式(A)で表されるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基,x+yの平均値:2.2)
1.150mol
・テレフタル酸 0.400mol
・イソフタル酸 0.588mol
(ハイブリッド樹脂製造例1)
不飽和ポリエステル樹脂P−1:50質量部と、低粘度飽和ポリエステル樹脂P−2:25質量部と、ビニル系モノマーとして、スチレン:18質量部と、アクリル酸n−ブチル:6.5質量部と、マレイン酸モノn−ブチル:0.5質量部と、重合開始剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキシン−3(10時間半減期温度128℃):0.08質量部とを混合した。このビニル系モノマー/ポリエステル樹脂混合物を温度120℃で20時間かけてビニル系モノマーの重合転化率が97%になるまで重合後、さらに150℃に温度を上げて5時間保持して未反応のビニル系モノマーを重合させ、ハイブリッド樹脂を得た。これを結着樹脂1とする。
得られた結着樹脂1は、THF可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が8,800であり、テトラヒドロフラン不溶分を26質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分のテトラヒドロフラン可溶分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。一般的には、ハイブリッド樹脂が含有されていない場合には、加水分解してもTHF可溶分が生じない。このことより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(ハイブリッド樹脂製造例2)
不飽和ポリエステル樹脂P−1:45質量部と、低粘度飽和ポリエステル樹脂P−4:30質量部と、ビニル系モノマーとして、スチレン:18質量部と、アクリル酸n−ブチル:6.5質量部と、マレイン酸モノn−ブチル:0.5質量部と、重合開始剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキシン−3(10時間半減期温度128℃):0.08質量部とを混合した。このビニル系モノマー/ポリエステル樹脂混合物を温度115℃で15時間かけてビニル系モノマーの重合転化率が86%になるまで重合後、さらに150℃に温度を上げて5時間保持して未反応のビニル系モノマーを重合させ、ハイブリッド樹脂を得た。これを結着樹脂2とする。
得られた結着樹脂2は、THF可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が6,600であり、テトラヒドロフラン不溶分を26質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。これにより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(ハイブリッド樹脂製造例3)
不飽和ポリエステル樹脂P−3:45質量部と、低粘度飽和ポリエステル樹脂P−4:30質量部と、ビニル系モノマーとして、スチレン:18質量部と、アクリル酸n−ブチル:6.5質量部と、マレイン酸モノn−ブチル:0.5質量部と、重合開始剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキシン−3(10時間半減期温度128℃):0.08質量部とを混合した。このビニル系モノマー/ポリエステル樹脂混合物を温度115℃で15時間かけてビニル系モノマーの重合転化率が81%になるまで重合後、さらに150℃に温度を上げて5時間保持して未反応のビニル系モノマーを重合させ、ハイブリッド樹脂を得た。これを結着樹脂3とする。
得られた結着樹脂3は、THF可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が5,400であり、テトラヒドロフラン不溶分を18質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。これにより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(ハイブリッド樹脂製造例4)
不飽和ポリエステル樹脂P−5:70質量部と、ビニル系モノマーとして、スチレン:23質量部と、アクリル酸n−ブチル:6.5質量部と、マレイン酸モノn−ブチル:0.5質量部と、重合開始剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキシン−3:0.15質量部とを混合した。このビニル系モノマー/ポリエステル樹脂混合物を温度110℃で15時間かけてビニル系モノマーの重合転化率が72%になるまで重合後、さらに160℃に温度を上げて5時間保持して未反応のビニル系モノマーを重合させ、ハイブリッド樹脂を得た。これを結着樹脂4とする。
得られた結着樹脂4は、THF可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が6,700であり、テトラヒドロフラン不溶分を13質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。これにより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(ハイブリッド樹脂製造例5)
不飽和ポリエステル樹脂P−5:50質量部と、ビニル系モノマーとして、スチレン:18質量部と、アクリル酸n−ブチル:6.5質量部と、マレイン酸モノn−ブチル:0.5質量部と、重合開始剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキシン−3(10時間半減期温度128℃):0.08質量部とを混合した。このビニル系モノマー/ポリエステル樹脂混合物を温度110℃で12時間かけてビニル系モノマーの重合転化率が77%になるまで重合後、さらに150℃に温度を上げて5時間保持して未反応のビニル系モノマーを重合させ、ハイブリッド樹脂を得た。これを結着樹脂5とする。
得られた結着樹脂5は、THF可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が8,500であり、テトラヒドロフラン不溶分を46質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分のテトラヒドロフラン可溶分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。これにより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(ハイブリッド樹脂製造例6)
キシレン300質量部に、不飽和ポリエステル樹脂P−5:60質量部を加えて昇温して還流させた。この還流下で、スチレン:30質量部、アクリル酸n−ブチル:9.5質量部、マレイン酸モノn−ブチル:0.5質量部、及び、ジ−tert−ブチルパーオキサイド:2質量部の混合液を4時間かけて滴下後、2時間保持し重合を完了した。その後、有機溶剤を留去し、ハイブリッド樹脂を得た。これを結着樹脂6とする。
この樹脂は、THF可溶分のGPC分子量分布において、メインピーク分子量が4,900であり、テトラヒドロフラン不溶分を17質量%含有していた。
(比較用樹脂製造例1)
飽和ポリエステル樹脂P−6:75質量部と、ビニル系モノマーとして、スチレン:18質量部と、アクリル酸n−ブチル:7質量部と、重合開始剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3:0.08質量部とを混合した。このビニル系モノマー/ポリエステル樹脂混合物を温度120℃で20時間かけてビニル系モノマーの重合転化率が94%になるまで重合後、さらに150℃に温度を上げて5時間保持して未反応のビニル系モノマーを重合させ、比較用結着樹脂1を得た。
得られた比較用結着樹脂1は、THF可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が7,500であり、テトラヒドロフラン不溶分を含有していなかった。
(比較用樹脂製造例2)
ビニル系モノマーとして、スチレン270質量部、2−エチルヘキシルアクリレート60質量部、アクリル酸20質量部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル13質量部を滴下ロートに入れた。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン780質量部、イソドデセニル無水コハク酸76質量部、テレフタル酸180質量部、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸30質量部及びジブチル錫オキシド2質量部をフラスコに入れ、135℃の温度で攪拌しつつ、滴下ロートよりビニル系モノマー及び重合開始剤を3時間かけて滴下し、ビニル系樹脂成分の重合を行った。温度135℃に保持したまま5時間熟成した後、230℃に昇温してポリエステル系樹脂成分の重合を行い、ハイブリッド樹脂を得た。これを比較用結着樹脂2とする。
得られた比較用結着樹脂2は、THF可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が6,400であり、テトラヒドロフラン不溶分を14質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。これにより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(比較用樹脂製造例3)
不飽和ポリエステル樹脂P−1:40質量部と、ビニル系モノマーとして、スチレン:35質量部と、アクリル酸n−ブチル:20質量部と、マレイン酸モノn−ブチル:5質量部と、重合開始剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3:0.2質量部とを混合した。このビニル系モノマー/ポリエステル樹脂混合物を温度120℃で6時間かけてビニル系モノマーの重合転化率が78%になるまで重合後、さらに150℃に温度を上げて5時間保持して未反応のビニル系モノマーを重合させ、比較用結着樹脂3を得た。
得られた比較用結着樹脂3は、THF可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が9,100であり、テトラヒドロフラン不溶分を61質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。これにより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(比較用樹脂製造例4)
不飽和ポリエステル樹脂P−3:20質量部と、低粘度飽和ポリエステル樹脂P−2:60質量部と、ビニル系モノマーとして、スチレン:15質量部と、アクリル酸n−ブチル:4.5質量部と、マレイン酸モノn−ブチル:0.5質量部と、重合開始剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3:0.08質量部とを混合した。このビニル系モノマー/ポリエステル樹脂混合物を温度140℃で10時間かけてビニル系モノマーの重合転化率が94%になるまで重合後、さらに150℃に温度を上げて5時間保持して未反応のビニル系モノマーを重合させ、比較用結着樹脂4を得た。
得られた比較用結着樹脂4は、THF可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が7,200であり、テトラヒドロフラン不溶分を2質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。これにより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(実施例1)
・結着樹脂1 100質量部
・マグネタイト(個数平均粒径0.18μm) 100質量部
・前記アゾ系鉄化合物(1)(カウンターイオンはNH4 +) 2質量部
・フィッシャートロプシュワックス(Mn790、Mw1170、メインピーク分子量960、DSCピーク温度103℃)
4質量部
上記原材料をヘンシェルミキサーで予備混合した後、温度130℃、回転数200rpmに設定した二軸混練押し出し機(PCM−30:池貝鉄工所社製)によって混練した。得られた溶融混練物を冷却し、冷却された溶融混練物をカッターミルで粗粉砕した後、得られた粗粉砕物を、ターボミルT−250(ターボ工業社製)を用いて、排気温度が45℃になるようエアー温度を調整して微粉砕し、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、分級粉を得た。その後、さらに分級機(TSPセパレータ;ホソカワミクロン社製)を用いて分級粉を精密分級して磁性トナー粒子1を得た。
磁性トナー粒子1は、重量平均粒子径(D4)が5.5μm、個数分布における粒径2.00μm以上3.17μm以下の粒子の含有量が2.2個数%、円相当径0.25μm以上30.0μm未満の粒子数に対する、円相当径0.25μm以上1.98μm未満の粒子の数の割合が、1.8%であった。さらに、この磁性トナー粒子1の100質量部と、疎水性シリカ微粉体(乾式シリカ(BET:200m2/g)100質量部をヘキサメチルジシラザン10質量部で表面処理し、次いでこの処理シリカ100質量部にジメチルシリコーンオイル10質量部で処理を行ったもの)1.2質量部とを、ヘンシェルミキサーで混合して磁性トナー1を調製した。
この磁性トナーは、テトラヒドロフランに不溶な樹脂成分を18質量%含有していた。また、テトラヒドロフラン可溶分をGPC−RALLS−粘度計により分析したところ、固有粘度0.025dl/g以下の割合が31%、固有粘度0.025〜0.050dl/gの割合が41%であった。磁性トナー1の物性を表1に示す。この磁性トナーを以下の項目について評価した。評価結果を表2に示す。
[粉砕性試験]
粗粉砕物を30kg/hの割合で、粉砕機(ターボミルT−250;ターボ工業社製)に供給し、排気温度が45℃になるようにエアー温度を調整しながら微粉砕した。微粉砕物の重量平均粒径(D4)が5.5μmになるように粉砕ローターの周速を調整し、その時の粉砕ローターの周速で実施例のトナーの粉砕性を以下の基準で判断した。より低い周速で微粉砕物の重量平均粒径(D4)が5.5μmになるものほど、粉砕性が良い。
A:粉砕ローター周速91.7m/s未満
B:粉砕ローター周速91.7m/s以上104.8m/s未満
C:粉砕ローター周速104.8m/s以上117.9m/s未満
D:粉砕ローター周速117.9m/s以上131.0m/s未満
E:粉砕ローター周速131.0m/s以上
[分級収率]
粉砕性試験で得られた微粉砕物を、分級機(エルボージェット分級機EJ−LABO;日鉄鉱業社製)を用いて重量平均粒径(D4)が5.5μm、個数分布における粒径2.00μm以上3.17μm以下の粒子の含有量が5個数%のトナー粒子になるように分級を行ない、供給した微粉砕物の量と得られたトナー粒子の量から分級収率を算出した。分級収率が高いほど、微粉砕物の粉砕粒径の分布がシャープであり、生産性が高いことを示し、以下の基準で判断した。
分級収率(%)=トナー粒子収量(kg)/微粉砕物供給量(kg)×100
A:分級収率90%以上
B:分級収率80%以上90%未満
C:分級収率70%以上80%未満
D:分級収率70%未満
[定着試験]
ヒューレットパッカード社製レーザービームプリンタ:LaserJet4350の定着器を取り出し、定着装置の定着温度を任意に設定できるようにし、かつプロセススピードを400mm/secとなるようにした外部定着器を用いた。この外部定着器を温度140〜220℃の範囲で温度140℃から温度5℃おきに温調し、普通紙(75g/m2)紙に現像したベタ黒未定着画像(紙上トナー量を0.6mg/cm2に設定)の定着を行った。得られた定着画像を4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率が10%以下になる点を定着温度とした。この温度が低いほど低温定着性に優れたトナーである。
また、プロセススピードを100mm/secにし、温度150〜240℃の範囲で温度150℃から温度5℃おきに温調し、未定着画像の定着を行った。定着画像上のオフセット現象による汚れを目視で確認し、発生した温度を耐高温オフセット性とした。この温度が高いほど耐高温オフセット性に優れたトナーである。
[現像試験]
市販のレーザービームプリンタLaserJet 4350(ヒューレットパッカード社製)を65枚機に改造して、常温常湿(23℃、60%RH)環境にて、A4サイズの75g/m2の転写紙を用いて画出し試験を行った。画像データとしては、画像面積率が2%の原稿データを用いた。この条件で、1,000枚及び20,000枚通紙時のベタ黒画像濃度とカブリの測定を行った。
画像濃度の測定は、マクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して反射濃度を測定することにより行い、5点平均で算出した。
カブリの測定は、リフレクトメーター(東京電色(株)製)により測定した転写紙の白色度と、ベタ白をプリントした後の転写紙の白色度との差からカブリを算出した。
[帯電ローラー汚染]
上記現像試験で用いた改造機を使用し、低温低湿(15℃、10%RH)環境にて、A4サイズの75g/m2の転写紙を用いて画出し試験を行った。画像データとしては、画像面積率が2%の原稿データを用いた。この条件で、20,000枚の通紙を行ない、以下の基準で帯電ローラーの汚染を評価した。
A:帯電ローラーに汚れが見られない
B:帯電ローラーに汚れはあるが、画像には影響が見られない
C:帯電ローラー汚れによる帯電不良が画像に軽微に見られる
D:帯電ローラー汚れによる帯電不良が画像にはっきりと見られる
[クリーニング不良]
上記現像試験で用いた改造機を使用し、温度0℃の低温環境にて、A4サイズの75g/m2の転写紙を用いて、1,000枚の印字試験を行ない、以下の基準でクリーニング不良を評価した。
A:発生なし
B:トナーがクリーニングブレードをすり抜けたことによる軽微なスジが画像上に見られ る
C:スジが画像上にはっきりと見られる
D:画像全面にスジが発生し、印字に影響する
[保存性試験]
トナー10gを直径3cmの円筒状のポリプロピレンのカップに量りとり、表面を平らにならした後、薬包紙を敷き、その上に10gの鉄粉キャリアをのせ、温度50℃で5日間放置し、トナーのブロッキング状態を評価した。
A:カップを傾けるとトナーがさらさらと流れる。
B:カップを回していると、トナー表面が少しずつ崩れだし、さらさらの粉になる。
C:カップを回しながら外から力を加えるとトナー表面が崩れ、そのうちさらさらと流れ だす。
D:ブロッキング塊が発生。先のとがったものでつつくと崩れる。
E:ブロッキング塊が発生。つついても崩れにくい。
(実施例2及び3)
結着樹脂1の代わりに結着樹脂2及び3を用いる以外は実施例1と同様にして磁性トナー2及び3を得た。磁性トナー2及び3の物性を表1に示す。また、実施例1と同様に評価試験を行い、その結果を表2に示す。
(実施例4)
下記原材料を用いる以外は実施例1と同様にして磁性トナー4を得た。磁性トナー4の物性を表1に示す。また、実施例1と同様に評価試験を行い、その結果を表2に示す。
・結着樹脂4 75質量部
・低粘度飽和ポリエステル樹脂P−2 25質量部
・マグネタイト(個数平均粒径0.18μm) 100質量部
・前記アゾ系鉄化合物(1)(カウンターイオンはNH4 +) 2質量部
・フィッシャートロプシュワックス(Mn790、Mw1170、メインピーク分子量960、DSCピーク温度103℃)
4質量部
下記原材料を用いる以外は実施例1と同様にして磁性トナー5を得た。磁性トナー5の物性を表1に示す。また、実施例1と同様に評価試験を行い、その結果を表2に示す。
・結着樹脂4 90質量部
・低粘度飽和ポリエステル樹脂P−2 10質量部
・マグネタイト(個数平均粒径0.18μm) 100質量部
・前記アゾ系鉄化合物(1)(カウンターイオンはNH4 +) 2質量部
・フィッシャートロプシュワックス(Mn790、Mw1170、メインピーク分子量9 60、DSCピーク温度103℃)
4質量部
(実施例6及び7)
分級機(TSPセパレータ;ホソカワミクロン社製)による精密分級を行なわないこと以外は実施例5と同様にし、微粉砕粒径や分級粒径を調整して、磁性トナー粒子の重量平均粒子径(D4)、個数分布における粒径2.00μm以上3.17μm以下の粒子の含有量、円相当径0.25μm以上30.0μm未満の粒子数に対する、円相当径0.25μm以上1.98μm未満の粒子の数の割合を変化させた磁性トナー6及び7を得た。磁性トナー6及び7の物性を表1に示す。また、実施例1と同様に評価試験を行い、その結果を表2に示す。
(実施例8)
下記原材料を用いる以外は実施例1と同様にして磁性トナー8を得た。磁性トナー8の物性を表1に示す。また、実施例1と同様に評価試験を行い、その結果を表2に示す。
・結着樹脂5 90質量部
・低粘度飽和ポリエステル樹脂P−2 10質量部
・マグネタイト(個数平均粒径0.18μm) 100質量部
・前記アゾ系鉄化合物(1)(カウンターイオンはNH4 +) 2質量部
・フィッシャートロプシュワックス(Mn790、Mw1170、メインピーク分子量9 60、DSCピーク温度103℃) 4質量部
(比較例1〜4)
結着樹脂1の代わりに比較用結着樹脂1〜4を用いる以外は実施例1と同様にし、比較用磁性トナー1〜4を得た。比較用磁性トナー1〜4の物性を表1に示す。また、実施例1と同様に評価試験を行い、その結果を表2に示す。