JP4673248B2 - トナー - Google Patents

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本発明は、電子写真法、静電印刷法、及びトナージェット法の如き画像形成方法に用いられるトナーに関する。
従来、トナー用結着樹脂としてはポリエステル樹脂等の縮重合樹脂、及びスチレン系樹脂などのビニル系樹脂が主に使用されている。ポリエステル樹脂は定着性に優れた性能を有しているが、高分子量化が難しく、高温でのオフセット現象を発生しやすいという欠点を併せ持っている。
この欠点を補うために、ポリエステル樹脂に架橋成分を含有させて樹脂の溶融粘度を上げ、高温オフセットの改良を行おうとすると、定着性を損なうばかりでなく、トナー製造時の粉砕性も悪化してしまう。
一方、スチレン系樹脂などのビニル系樹脂は、トナー製造時の粉砕性に優れており、高分子量化が容易なため、高温オフセット性には優れているが、定着性を向上させるために低分子量化や低Tg化を行うと、ブロッキング性や現像性が悪化する傾向がある。
これら2種類の樹脂の長所を有効に生かし、欠点を補うためにこれらの樹脂を混合して使用する方法もいくつか検討されている。
特許文献1には、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂を混合した樹脂を含有してなるトナーが開示されている。しかしながら、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂は本質的に相溶性が悪く、トナーに添加される着色剤やワックスなどの分散性が不十分なものとなるため、現像性に問題を生じやすくなる。
特許文献2には、反応性ポリエステル樹脂の存在下でビニル系単量体を重合して得られる重合体を含有することを特徴とするトナーが開示されているが、ビニル系単量体に対してポリエステル樹脂の含有量が少なく、定着性改良の効果が小さい。
特許文献3には、飽和ポリエステル樹脂の存在下でスチレンアクリル系単量体を重合して得られる重合体を含有することを特徴とするトナーが開示されている。しかし、より優れた定着性、高温オフセット性を得るには、結着樹脂の分子量分布を制御することが不可欠であり、ポリエステル樹脂の存在下でスチレンアクリル系単量体を重合するだけでは不十分である。
特許文献4には、不飽和ポリエステル樹脂の存在下でスチレンアクリル系単量体を重合して得られる重合体を含有することを特徴とするトナーが開示されている。しかし、ビニル系単量体に対してポリエステル樹脂の使用量が99.5:0.5〜91:9と少なく、定着性改良の効果が小さい。
特許文献5には、不飽和ポリエステル樹脂にビニル系モノマーをグラフト重合して得られる、重量平均分子量が8000〜20000、100℃における溶融粘度が10〜10ポイズ、ガラス転移温度が50〜75℃であるグラフトポリマーを結着樹脂として用いるトナーについて開示されている。しかし、更なる定着性、高温オフセット性の向上には、トナーの分子量分布をより精密に制御する必要がある。
特許文献6には、酸基を有するスチレン系樹脂とポリエステル樹脂をエステル化した重合体を含むことを特徴とするトナーが開示されている。これらの方法では、ポリエステル樹脂とビニル系共重合体の相溶性は向上するものの、ゲル成分の含有量や、ゲル成分中に含まれるビニル系樹脂成分の分子量を制御していない為、定着性と高温オフセット性をより高度なレベルで満足させるには問題がある。
特許文献7には、重量平均分子量(Mw)が5000〜200000、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比が3〜50である非線状ポリエステルと、ビニル系ポリマーとを反応させることで得られる電子写真用トナーバインダーが開示されている。この方法では、ビニル系ポリマーとポリエステルポリマーをエステル反応によってハイブリッド化するため、ハイブリッド化率を高める為には高い温度で反応を行う必要があり、ビニル系ポリマーが熱で分解してしまう可能性がある。ビニル系ポリマーが分解しない温度ではエステル反応が充分に進まない為、ハイブリッド化が充分に行われにくく、定着性、耐高温オフセット性、現像性を満足させることが出来ない。
また、トナーのTHF可溶分の分子量分布に言及した提案も多くなされている。
特許文献8では、トナー結着樹脂のTHF可溶分におけるGPCの分子量分布における5万以下を示す成分の光散乱法により測定される重量平均分子量とGPCにより測定される重量平均分子量の関係が開示されている。しかし、このように低分子側の分子量を規定するだけでは、低分子量成分と高分子量成分の混合性については考慮されていない。低温定着性と耐オフセット性とは相反する一面を有するために、高温オフセット性能を維持しながらの低温定着性の改良はまだまだ充分とは言えないレベルである。
特許文献9では、分子量2000〜100000の領域のトナー結着樹脂における光散乱法により測定される重量平均分子量と慣性半径の関係が開示されている。更に、特許文献10では、GPCの分子量2000〜50000の領域と100000以上の領域の成分の光散乱法により測定される重量平均分子量と慣性半径との関係を規定している。しかし、近年の高速化したマシンにおいてはこれらの分岐度は最適とは言えず、より幅広い温度領域での定着性能を達成できる分岐構造の提案が必要である。また、トナー製造時における、結着樹脂と着色剤や離型剤など他の材料との分散性を考慮すると、より高分子領域の成分についての分岐構造についても議論の余地がある。
このように、トナーには更なる定着性、高温オフセット性、現像性の向上が求められており、より優れたトナーの開発が切望されている。
特開昭54−114245号公報 特開昭56−116043号公報 特開昭58−159546号公報 特開昭58−102246号公報 特開平1−156759号公報 特開平2−881号公報 特開平11−153885号公報 特開平9−6050号公報 特開平9−146305号公報 特開平9−106102号公報
本発明の目的は、定着性、高温オフセット性及びブロッキング性に優れたトナーを提供することにある。
更に、本発明の目的は、現像性に優れたトナーを提供することにある。
即ち、本発明は、少なくとも、結着樹脂及び着色剤を含有するトナーであり、
該結着樹脂は、ポリエステル系樹脂ユニットを50質量%以上含有し、且つ、ポリエステル系樹脂成分とビニル系樹脂成分とが化学的に結合したハイブリッド樹脂を含有しており、
該トナーは、結着樹脂由来のテトラヒドロフラン不溶分を3質量%以上50質量%以下含有し、
該テトラヒドロフラン不溶分は、ハイブリッド樹脂を含有し、
該テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、その後、濾過して濾別される成分のTHF可溶分が、GPCで測定される分子量分布において、分子量5万以上50万以下の範囲にメインピークを有することを特徴とするトナーに関する。
前記した構成を有する本発明のトナーは、優れた定着性、高温オフセット性及びブロッキング性並びに現像性を示す。
本発明者らは、ポリエステル樹脂成分とビニル系樹脂成分とが化学的に結合しているハイブリッド樹脂を結着樹脂として用いた際に、テトラヒドロフラン不溶分(ゲル成分)中に含まれるビニル系樹脂成分の分子量分布を制御することで、ポリエステル樹脂成分に由来する定着性とビニル系樹脂成分に由来する耐高温オフセット性とを良好に両立できる構成を見出した。
本発明に用いられるトナーに含まれる結着樹脂は、良好な定着性を確保する為に、少なくともポリエステル系樹脂成分を50質量%以上含有する必要がある。ポリエステル系樹脂ユニットの含有量が50質量%未満であると、充分な定着性が得られにくい。本発明におけるポリエステル系樹脂ユニットの含有量とは、ポリエステル樹脂として存在するものと、ハイブリッド樹脂等の中においてポリエステル系樹脂成分として存在する成分とを合わせたものである。一方のビニル系樹脂成分は、結着樹脂中に50質量%以下で含有され、好ましくは10質量%以上50質量%以下で含有されていることが、良好な耐オフセット性を得ることができるという点で好ましい。
また、本発明のトナーは、結着樹脂由来のテトラヒドロフラン不溶分(ゲル成分)を3質量%以上50質量%以下(好ましくは5質量%以上40質量%以下、より好ましくは5質量%以上30質量%以下、特に好ましくは10質量%以上30質量%以下)含有し、さらにこのようなゲル成分中にハイブリッド樹脂を含有している。テトラヒドロフラン不溶分が3質量%未満であると、良好な高温オフセット性を得にくい。テトラヒドロフラン不溶分が50質量%より多いと、着色剤などの材料をトナー中に均一に分散させることが難しくなり、トナーの帯電性が悪化し、カブリや画像濃度の低下が生じやすい。
ハイブリッド樹脂は同一分子内にポリエステル系樹脂成分とビニル系樹脂成分の両方を有しているために、ポリエステル成分に混ざり易い原材料(親水性の高い成分、例えば磁性体などの着色剤)とビニル系樹脂に混ざり易い原材料(極性の低い成分、例えばワックス成分)の両方の成分の分散性を同時に向上させることができる。
特に、テトラヒドロフラン不溶分(ゲル成分)中にハイブリッド樹脂を含有させることで、トナー中においてワックス成分や磁性体等の着色剤がゲル成分の近傍に存在しやすくなったり、ゲル成分中に入り込むようになったりする。ワックスがゲル成分の近傍に存在する場合には、定着時にワックス成分が溶融することでゲル成分も軟化しやすくなり、トナーのシャープメルト性が高くなり、定着性が大幅に向上する。さらに、本来ゲル成分中には入り込みにくい磁性体などの着色剤がゲル成分中に取り込まれた場合には、材料の均一分散性が向上してトナーの帯電性が安定する為、現像性や画質が向上する。
また、本発明のトナーは、樹脂成分に由来するテトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、その後、濾過して濾別される成分(以下、「残留物」と称す場合もある。)のTHF可溶分が、GPCによって測定される分子量分布において、分子量5万以上50万以下(好ましくは5万以上30万以下、より好ましくは5万以上20万以下)の範囲にメインピークを有する。樹脂成分に由来するテトラヒドロフラン不溶分を加水分解した際、分解される成分はエステル結合によってポリマー化されているポリエステル系樹脂ユニットであり、ビニル系樹脂成分は分解されずに重合体の状態で残存する。そのため、加水分解後の残留物は、主にビニル系樹脂成分からなるものであり、残留物のTHF可溶分とはビニル系樹脂成分のTHF可溶分のことである。
また、ポリエステル樹脂と分子量5万以上50万以下にメインピークを有するようなビニル系樹脂を単に混合して結着樹脂を製造した場合には、そのようなビニル系樹脂はTHF可溶分になってしまうため、最初の段階でテトラヒドロフラン不溶分中に含まれなくなり、本発明の構成を満たさない。また、ポリエステル樹脂とTHF不溶分を含有するビニル系樹脂を単に混合して結着樹脂を製造した場合には、ビニル系樹脂がTHF不溶分中には残るものの、加水分解後もTHF不溶分のままであるため、やはり本発明の構成を満たさない。
本発明の構成を満たすような樹脂成分は、例えば、ポリエステル系樹脂と分子量5万以上50万以下の範囲にメインピークを有するビニル系樹脂とをハイブリッド化し、ハイブリッド化されることによってTHF不溶分になった場合に得られるものである。
よって、残留物のTHF可溶分が分子量5万以上50万以下にメインピークを有するということは、分子量の大きい(即ち、分子量5万以上50万以下の領域にメインピークを有する)ビニル系樹脂成分とポリエステル系樹脂成分とがハイブリッド化されているということを表すことになる。
即ち、樹脂成分に由来するテトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、残留物のTHF可溶分が、GPCによって測定される分子量分布において、分子量5万以上50万以下にメインピークを有するような結着樹脂は、分子量が大きく、架橋点間分子量の大きいゲル構造を有しているものである。そのため、トナーの結着樹脂として用いた場合には、溶融混練等を経てトナーを製造した場合であってもゲル分の切断が生じにくく、改めてゲル分が生じるような処置(例えば、金属架橋)を施さなくても、良好な耐オフセット性が得られるようになる。
このようなテトラヒドロフラン不溶分を含有するトナーは、定着時に少ない熱量でもゲル成分であるテトラヒドロフラン不溶分が分子運動をしやすくなり、架橋点間分子量が小さいゲル成分を含有する場合と比較して結着樹脂が熱で軟化しやすくなるため、定着性が向上する。さらに、このようなゲル成分は、高温でも高い粘度を維持することが可能になり、高温オフセット性を改良することができる。また、少量のゲル成分でも高温オフセット性を維持できる為に、低分子量成分を多く含有させることができ、更に定着性を改良することも可能となる。
テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、その残留物のTHF可溶分のメインピーク分子量が5万未満であると、ゲル成分が硬くなりやすく、定着性が低下する。また、架橋点間分子量が小さくなるので、ゲル成分に柔軟性がなくなり、トナー化の混練時の剪断力でゲル成分が切れやすくなり、高温オフセット性が低下する。メインピーク分子量が50万より大きいと、ゲル成分をトナー中に均一に分散させることが難しくなり、結果、トナーに含有される他の成分の均一な分散性が阻害され、トナーとしての帯電現像性が低下する。テトラヒドロフラン不溶分中に含まれるポリエステル系樹脂成分を加水分解し、残留物のTHF可溶分の分子量分布は、以下のような手順で測定できる。
まず、トナーから結着樹脂由来のテトラヒドロフラン不溶分を取り出し、このテトラヒドロフラン不溶分をアルカリ性水溶液中で加熱し、ポリエステル系樹脂ユニットを加水分解して取り除く。ビニル系樹脂成分は加水分解されずに樹脂成分として残留するため、残留物を抽出してGPCにより分子量分布を測定する。具体的な測定法を以下に示す。
(1)テトラヒドロフラン不溶分の分離
トナーを秤量し、円筒ろ紙(例えばNo.86Rサイズ28mm(高さ)×10mm(直径) 東洋ろ紙社製)に入れてソックスレー抽出器にかける。溶媒としてテトラヒドロフラン200mlを用いて、テトラヒドロフラン可溶分を16時間抽出する。このとき、テトラヒドロフランの抽出サイクルが約4乃至5分に1回になるような還流速度で抽出を行う。抽出終了後、円筒ろ紙を取り出し、円筒ろ紙上のトナーのテトラヒドロフラン不溶分を採取する。
トナーが磁性体を含有する磁性トナーの場合、この採取したテトラヒドロフラン不溶分をビーカーに入れ、テトラヒドロフランを加えてに充分に分散させた後、ビーカー底部に磁石を近づけて磁性体をビーカー底部に沈殿、固定させる。この状態でテトラヒドロフランとテトラヒドロフランに分散されたゲル成分を別の容器に移し替えることで磁性体を取り除き、テトラヒドロフランをエバポレートすることで、結着樹脂由来のテトラヒドロフラン不溶分を分離する。
(2)加水分解による残留物の分離
得られた結着樹脂由来のテトラヒドロフラン不溶分を2mol/リットルのNaOH水溶液に1質量%の濃度で分散させ、耐圧容器を用いて、150℃、24時間の条件で加水分解する。この加水分解液から以下のいずれかの手順で加水分解後の残留物を濾別する。
i)THF不溶分がエステル構造を有する成分を含有していない場合
加水分解液をメンブランフィルターを用いて吸引ろ過して残留物を分離する。これにより、ポリエステル系樹脂ユニットの分解物であるモノマー成分はろ液中に除去される。
ii)THF不溶分が、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステル等のエステル構造を有する成分を含有している場合
加水分解液中に存在する残留物は、ナトリウム塩(−COONa)となっているため、残留物を濾別した後、残留物を水中に再度分散し、分散後、塩酸を加えて水をpH=2に調整して、残留物の有する−COO基を−COOHとした。その後、メンブランフィルターでろ過分離した。
(3)上記(2)で分離された成分のGPC測定
上記(2)で分離された成分をテトラヒドロフランに溶解し、GPCにより分子量分布の測定を実施する。
また、テトラヒドロフラン不溶分としては、ビニル系樹脂成分を30質量%以上80質量%以下含有していることが好ましい。テトラヒドロフラン不溶分中のビニル系樹脂成分の含有量は以下のようにして測定することができる。
まず、ハイブリッド樹脂の重合に用いたポリエステル系樹脂成分のモノマー組成と同一のモノマー組成でポリエステル樹脂を重合する。また、同様に、ハイブリッド樹脂の重合に用いたビニル系樹脂成分のモノマー組成と同一のモノマー組成でビニル系樹脂を重合する。このようにして得られたポリエステル樹脂とビニル系樹脂を充分に混合したものを検量線サンプルとする。ポリエステル系樹脂とビニル系樹脂を任意の比率で変化させた混合サンプルを数点(好ましくは3乃至7点)作製し、IR測定により検量線を作成し、この検量線を用いてテトラヒドロフラン不溶分中のビニル系樹脂成分の含有量を算出する。例えば、後述する実施例のハイブリッド樹脂製造例1では、ポリエステルのピークとして、フタル酸のベンゼン環由来のピーク(約730cm-1)とビスフェノール誘導体のベンゼン環由来のピーク(約830cm-1)の面積の和をポリエステル樹脂部とし、ビニル系樹脂のピークとして、スチレンのベンゼン環由来のピーク(約700cm-1)の面積をビニル系樹脂部として、検量線を元にビニル系樹脂成分の含有量を算出した。
また、本発明のトナーは、トナーのTHF可溶分が、GPCにより測定される分子量分布において、分子量2千以上3万以下(好ましくは3千以上2万以下、より好ましくは5千以上1万以下)の範囲にメインピークを有することが好ましく、また、分子量4万以上100万以下の範囲の成分を3質量%以上30質量%以下(好ましくは5質量%以上25質量%以下、より好ましくは5質量%以上20質量%以下)含有していることが好ましい。
トナーのTHF可溶分の分子量分布において、低分子量域にメインピークを有し、高分子量域の成分を一定量含有し、さらには前述したようなゲル成分を持たせることで、高いレベルの定着性と高温オフセット性を維持しながら、長期の使用にわたり安定した現像性(高耐久性)を与えることが可能になる。
本発明の特徴である、架橋点間分子量の大きいハイブリッド樹脂は、2千以上3万以下にピーク分子量を持つような低分子量成分を架橋構造内に取り込みやすいため、ゲル成分が熱による溶融をしやすくなり、定着性が向上する。また、分子量4万以上100万以下の範囲の高分子量成分が、低分子量成分とゲル成分の混合性を高める為、高温オフセット性を向上させる。また、ゲル成分がトナー中に均一に混合されることでトナー製造時の粉砕性が向上し、粉砕時に発生する超微粉や粗大粉が大幅に少なくなる。その結果、トナーの帯電を阻害する因子が減少し、優れた現像耐久性を持たせることが可能になる。
トナーのTHF可溶分のメインピーク分子量が2千未満であると、トナーの保存性や現像性が低下しやすく、逆に、3万より大きいと、定着性が低下しやすい。
トナーのTHF可溶分において、分子量4万以上100万以下の範囲の成分の含有量が3質量%未満であると、ゲル成分の均一混合性が低下しやすく、高温オフセット性の改良効果が十分に得られにくく、また、粉砕時に超微粉や粗大粉が発生しやすくなり、現像耐久性が低下する傾向にある。分子量4万以上100万以下の範囲の成分の含有量が30質量%より多いと、トナー粘度が高くなりすぎて定着性が低下する傾向にある。
また、本発明のトナーは、25℃で24時間テトラヒドロフランに溶解させたときの、該トナーのTHF可溶分のGPC−RALLS−粘度計分析における絶対分子量Mwが5.0×10である成分の慣性二乗半径Rtが6.0nm以上20.0nm以下であり、絶対分子量が1.0×10である成分の慣性二乗半径Rtが50.0nm以上100.0nm以下であることがより好ましい。
このような慣性二乗半径に係る特徴を満たすトナーは、適度な広がりをもった分岐構造の成分を有するものであり、ゲル成分と高分子量成分と低分子量成分との親和性が高まり、さらに優れた低温定着性と耐高温オフセット性、耐ブロッキング性(保存性)を達成することができる。
GPC−RALLS−粘度計分析装置は屈折検出器、光散乱検出器及び粘度検出器の3つの異なる検出器を有し、ポリマーの分子サイズ(慣性二乗半径)と、ポリマー種に由来しない絶対分子量が測定できる装置である。よって、トナーの絶対分子量及び分子サイズ(慣性二乗半径)、さらにトナーの分岐状態まで観察することができる。
絶対分子量が5.0×10である成分の慣性二乗半径が6.0nm以上20.0nm以下(好ましくは8.0nm以上20.0nm以下、より好ましくは10.0nm以上18.0nm以下)の範囲にある場合には、大きな主鎖から分岐した枝をもったような広がりある分子が存在していることを意味する。このような分子の存在により、高分子量成分と低分子量成分との混ざりがよくなり、低温定着性が改善されるものと考えられる。
また、絶対分子量が1.0×10である成分の慣性二乗半径Rtが50.0nm以上100.0nm以下(好ましくは50.0nm以上90.0nm以下、より好ましくは50.0nm以上80.0nm以下)の範囲にあるような場合には、ゲル成分に近い分岐構造を有する可溶成分が存在することを意味する。このような成分の存在は、ゲル成分がトナー中に分散する際のつなぎのような役目を果たし、耐高温オフセット性が改善されるものと考えられる。
更に本発明のより好ましい形態としては、トナーを25℃で24時間THF溶媒に溶解させたときの、該トナーのTHF可溶分のGPC−RALLS−粘度計分析における、トナーの絶対分子量が2.0×10である成分の慣性二乗半径Rtが16.0nm以上60.0nm以下(好ましくは20.0nm以上60.0nm以下、より好ましくは50.0nm以上60.0nm以下)であることが好ましい。この場合には、各成分の混合性がさらに改善される。
また、慣性二乗半径Rtの常用対数(log[Rt])を絶対分子量Mwの常用対数(log[Mw])に対してプロットした際に、絶対分子量5.0×10と2.0×10との間の傾き(k)と絶対分子量2.0×10と1.0×10との間の傾き(k)が下記式を満足することが好ましい。
0.8≦k/k ≦1.2 (但し、0<k ,0<k
上記式を満たすということは、低分子から高分子にかけて分岐の度合が比較的に規則正しく増加していることを意味しており、このような場合、分子どうしのからまりあいが好適な状態となり、より顕著な定着性の改善効果が得られる。
本発明で用いられる結着樹脂は、ハイブリッド樹脂単独で用いることも可能であるが、少なくともハイブリッド樹脂を含有していれば、他の樹脂成分を含有する混合物であっても良い。
例えば、ハイブリッド樹脂とビニル系樹脂との混合物、又はハイブリッド樹脂とポリエステル樹脂との混合物、又はポリエステル樹脂とハイブリッド樹脂とビニル系樹脂の混合物などが挙げられる。
ハイブリッド樹脂としては、(i)アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの如きカルボン酸エステル基を有するモノマー成分を重合したビニル系樹脂成分とポリエステル系樹脂成分との間でエステル交換反応を行うことによって形成されるもの、(ii)アクリル酸やメタクリル酸の如きカルボン酸基を有するモノマー成分を重合したビニル系樹脂成分とポリエステル成分との間でエステル化反応が生じることによって形成されるもの、(iii)フマル酸のような不飽和結合を持つモノマーを用いて重合された不飽和ポリエステル樹脂成分の存在下でビニル系モノマーを重合して形成されるもの、などが挙げられる。
ハイブリッド樹脂は、上記の(i)、(ii)のように、ビニル系樹脂成分及び/又はポリエステル樹脂成分中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含有させ、それらを反応させることによって得ることができる。ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうち、ビニル系樹脂成分と反応し得るものとしては、例えば、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。ビニル系樹脂成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、アクリル酸やメタクリル酸の如きカルボキシル基を有するビニルモノマーやヒドロキシ基を有するビニルモノマーが挙げられる。
本発明で用いられるハイブリッド樹脂を調製できる製造方法としては、例えば、以下の(1)乃至(5)に示す製造方法を挙げることができる。
(1)ビニル系樹脂とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行って、ポリエステル樹脂成分とビニル系樹脂成分を有するハイブリッド樹脂を得る。
(2)ビニル系樹脂製造後に、この存在下にポリエステル樹脂成分を生成し、ポリエステル樹脂成分とビニル系樹脂成分を有するハイブリッド樹脂を製造する。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(3)ポリエステル樹脂製造後に、この存在下にビニル系樹脂成分を生成し、反応させポリエステル樹脂成分とビニル系樹脂成分を有するハイブリッド樹脂を製造する。
(4)ビニル系樹脂及びポリエステル樹脂製造後に、これらの重合体成分存在下にビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加することによりハイブリッド樹脂を製造する。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(5)ビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸等)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりポリエステル樹脂成分とビニル系樹脂成分を有するハイブリッド樹脂を製造する。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
上記(1)乃至(5)の製造方法において、ビニル系樹脂成分及び/またはポリエステル樹脂成分は複数の異なる分子量、架橋度を有する重合体成分を使用することができる。
本発明で特に好ましく用いられる製造方法としては(3)が挙げられ、なかでも、ビニル系モノマーと反応可能な不飽和ポリエステル樹脂をビニル系モノマーに溶解し、このポリエステル樹脂とビニル系モノマーの混合物を塊状重合法により重合して得られたハイブリッド樹脂が好ましい。
塊状重合法では、ビニル系樹脂成分の分子量を大きくすることができ、ゲル成分中に含まれるビニル系樹脂成分のメインピーク分子量を大きくすることが可能になるため、本発明で好ましく用いられる。
また、塊状重合法は、溶液重合法と比較して溶媒の留去などの工程が必要ないため低コストで結着樹脂を得ることができる。更に、塊状重合法で製造された結着樹脂は、懸濁重合法で製造された結着樹脂と比較して、分散剤等の不純物が少ない為、トナーの帯電性などへの影響が少なく、トナー用結着樹脂として非常に好ましい。
特に、本発明で用いる結着樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂の存在下でビニル系モノマーを、不飽和ポリエステル樹脂:ビニル系モノマー=50:50乃至90:10(好ましくは60:40乃至80:20)の質量比で塊状重合することにより得られるハイブリッド樹脂であることが好ましい。不飽和ポリエステル樹脂の質量比が50:50よりも少ないと定着性が低下しやすく、90:10よりも多いと高温オフセット性が低下しやすい。
本発明の塊状重合法で得られるハイブリッド樹脂に用いられる不飽和ポリエステル樹脂としては、THF可溶分が、GPCで測定される分子量分布において、分子量2千以上3万以下(好ましくは3千以上2万以下、より好ましくは5千以上1万以下)の範囲にメインピークを有するような低分子量の不飽和ポリエステル樹脂であることが好ましい。さらには、ゲル成分を含まない線状の不飽和ポリエステル樹脂であることが特に好ましい。メインピーク分子量が2千より小さいと現像性が低下しやすく、3万より大きいと定着性が低下しやすい。
さらに、本発明で用いられる不飽和ポリエステル樹脂としては、THF可溶分の数平均分子量(Mn)が2千以上2万以下(より好ましくは3千以上1万以下)であるものが好ましい。数平均分子量(Mn)が2千より小さいと、ハイブリッド樹脂にゲル成分が生成しにくく、高温オフセット性や現像耐久性が低下しやすい。数平均分子量(Mn)が2万よりも大きいと、不飽和ポリエステル樹脂のビニル系モノマーへの溶解性が低くなって塊状重合によりハイブリッド樹脂を得ることが難しくなり、ポリエステル系樹脂とビニル系樹脂が分離したり、トナーの帯電性が低下したりする場合がある。
また、本発明で用いる不飽和ポリエステル樹脂は、定着時のシャープメルト性の観点から、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.0以上5.0以下(より好ましくは1.0以上3.0以下)であるものが好ましい。
また、本発明で用いられる不飽和ポリエステル樹脂は、酸価が0.1mgKOH/g以上30mgKOH/g以下(好ましくは1mgKOH/g以上20mgKOH/g以下、より好ましくは1mgKOH/g以上10mgKOH/g以下)であることが好ましく、水酸基価が10mgKOH/g以上60mgKOH/g以下(好ましくは20mgKOH/g以上60mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以上50mgKOH/g以下)であることが、トナーに良好な帯電性を付与できるため好ましい。
このような不飽和線状ポリエステル樹脂の存在下でビニル系モノマーを塊状重合することで、分子量が大きくて直鎖性の高いビニル系樹脂成分を主鎖として、低分子量ポリエステル樹脂成分がビニル系樹脂成分から分岐した形の分子構造を有するハイブリッド樹脂を得ることができる。更に、この分岐構造を持つハイブリッド樹脂中の酸基や水酸基が、分子間でエステル結合を形成することによりゲル化が促される。
こうして得られたハイブリッド樹脂により形成されるゲル成分は、架橋点間分子量が大きく、熱により軟化しやすい。また、分子構造にポリエステル系樹脂成分を多量に含むため、ハイブリッド化していない低分子量ポリエステル系樹脂成分をゲル構造内に多量に取り込むことができる。その結果、軟化点の低い低分子量ポリエステル系樹脂成分を多量に添加しても、トナーの機械的強度を維持することが可能となり、優れた定着性と現像耐久性を両立させることが可能になる。さらに、架橋点間分子量が大きく、直鎖性の高いゲル成分は、分子構造に柔軟性があるため剪断力に強く、トナー化の混練工程でゲル成分の分子切断が起こりにくい。そのため、混練条件によらず一定のゲル成分をトナーに含有させることが可能となり、優れた高温オフセット性をトナーに安定して与えることが出来る。
ポリエステル系樹脂ユニットを形成する際に用いることのできるモノマーを以下に例示する。
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また(A)式で表わされるビスフェノール及びその誘導体;
Figure 0004673248
(式中Rは、エチレンまたはプロピレン基であり、x,yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0〜10である。)
また(B)式で示されるジオール類;
Figure 0004673248
2価の酸成分としては、例えばフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベンゼンジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸などのアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類、又はその無水物、低級アルキルエステル;等のジカルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
また、不飽和ポリエステル樹脂を得る為の不飽和結合を持つ酸成分としては、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル等が好ましく用いられる。
これら不飽和ジカルボン酸は、ポリエステルモノマーの全酸成分に対して、0.1mol%以上10mol%以下(好ましくは0.3mol%以上5mol%以下、より好ましくは0.5mol%以上3mol%以下)の割合で用いることが好ましい。この範囲で不飽和ジカルボン酸を添加した場合に、低分子量ポリエステル分子中に占める不飽和結合濃度が適当となり、適度な架橋点間距離を有してポリエステル樹脂とビニル系樹脂とのハイブリッド化が生じる。
また必要に応じて3価以上のアルコール成分や3価以上の酸成分を使用することも可能である。
3価以上の多価アルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えばピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル;次式
Figure 0004673248
(式中Xは炭素数3以上の側鎖を1個以上有する炭素数5〜30のアルキレン基又はアルケニレン基)
で表わされるテトラカルボン酸等、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル等の多価カルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。なかでも、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸およびこれらの無水物、低級アルキルエステルが好ましい。
ポリエステル系樹脂ユニットにおいては、アルコール成分が40mol%以上60mol%以下(より好ましくは45mol%以上55mol%以下)であり、酸成分が60mol%以上40mol%以下(より好ましくは55mol%以上45mol%以下)であることが好ましい。また三価以上の多価の成分は、全成分中の0.1mol%以上60mol%以下(より好ましくは0.1mol%以上20mol%以下)であることが好ましい。
ポリエステル系樹脂は通常一般に知られている縮重合によって得られる。ポリエステル樹脂の重合反応は通常触媒の存在下150℃乃至300℃、好ましくは170℃乃至280℃程度の温度条件下で行われる。また反応は常圧下、減圧下、もしくは加圧下のいずれでも行うことができるが、所定の反応率(例えば30%乃至90%程度)に到達後は反応系を200mmHg以下、好ましくは25mmHg以下、更に好ましくは10mmHg以下に減圧し、反応を行うのが望ましい。
上記触媒としては、通常ポリエステル化に用いられる触媒、例えばスズ、チタン、アンチモン、マンガン、ニッケル、亜鉛、鉛、鉄、マグネシウム、カルシウム、ゲルマニウム等の金属;およびこれら金属含有化合物(ジブチルスズオキサイド、オルソジブチルチタネート、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酢酸コバルト、酢酸ナトリウム、三酸化アンチモンなど)が挙げられる。
本発明では、重合反応の制御のしやすさや、ビニル系モノマーとの反応性の高さからチタン化合物が好ましく用いられ、特に好ましいものとしてテトライソプロピルチタネート、シュウ酸チタン酸二カリウム、テレフタル酸チタン酸カリウムが挙げられる。この際、結着樹脂の着色防止として酸化防止剤(特にリン系酸化防止剤)や、反応促進剤として助触媒(マグネシウム化合物が好ましく、特に酢酸マグネシウムが好ましい)を添加することが特に好ましい。
反応物の性質(例えば酸価、軟化点等)が所定の値に到達した時点、あるいは反応機の攪拌トルクまたは攪拌動力が所定の値に到達した時点で反応を停止させることによって本発明のポリエステル系樹脂を得ることができる。
本発明において、ビニル系樹脂とは、ビニル系ホモポリマーもしくはビニル系コポリマーを意味するものである。
ビニル系樹脂を得る為のモノマーとしては、次のようなものが挙げられる。
例えばスチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの如きスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン,イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、臭化ビニル、沸化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸誘導体もしくはメタクリル酸誘導体が挙げられる。これらのビニルモノマーは単独もしくは2つ以上のモノマーを混合して用いられる。
これらの中でもスチレン系共重合体、スチレンアクリル系共重合体となるようなモノマーの組み合せが好ましい。
さらに、結着樹脂の酸価を調整するモノマーとして、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸などのアクリル酸及びそのα−或いはβ−アルキル誘導体、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸及びそのモノエステル誘導体又は無水マレイン酸などがあり、このようなモノマーを単独、或いは混合して、他のモノマーと共重合させることにより所望の結着樹脂を作ることができる。この中でも、特に不飽和ジカルボン酸のモノエステル誘導体を用いることが酸価をコントロールする上で好ましい。
より具体的には、例えば、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノアリル、マレイン酸モノフェニル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノフェニルなどのようなα,β−不飽和ジカルボン酸のモノエステル類;n−ブテニルコハク酸モノブチル、n−オクテニルコハク酸モノメチル、n−ブテニルマロン酸モノエチル、n−ドデセニルグルタル酸モノメチル、n−ブテニルアジピン酸モノブチルなどのようなアルケニルジカルボン酸のモノエステル類;フタル酸モノメチルエステル、フタル酸モノエチルエステル、フタル酸モノブチルエステルなどのような芳香族ジカルボン酸のモノエステル類;などが挙げられる。
以上のようなカルボキシル基含有モノマーは、ビニル系樹脂を合成する際に用いられる全モノマーに対し0.1質量%以上30質量%以下用いればよい。
本発明のゲル成分中に含まれるビニル系樹脂成分は、直鎖性が高いものが好ましい為、架橋性モノマーは含有しないものがより好ましいが、本発明の目的を達成する為に、以下に例示する様な架橋性モノマーを添加することも可能である。
架橋性モノマーとしては主として2個以上の重合可能な二重結合を有するモノマーが用いられる。芳香族ジビニル化合物(例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等);アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグルコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングルコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び、以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);ポリエステル型ジアクリレート化合物類(例えば、商品名MANDA(日本化薬))が挙げられる。多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート等が挙げられる。
これらの架橋剤は、他のビニル系モノマー成分100質量部に対して、0.001質量部以上1質量部以下で用いることが好ましく、より好ましくは0.001質量部以上0.05質量部以下の範囲で用いられる。
ビニル系樹脂は、以下に例示する様な多官能性重合開始剤を単独で、あるいは多官能性重合開始剤と単官能性重合開始剤とを併用して生成することが好ましい。
多官能構造を有する多官能性重合開始剤の具体例としては、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ヘキシルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−アミルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−2−メチルシクロヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,3−ビス−(ネオデカノールパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(2−エチルヘキサノールパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(m−トルオールパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、トリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ヘキシルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−アミルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロドデカン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレリックアシッド−n−ブチルエステル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロイソフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート、ジーt−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−t−ブチルパーオキシオクタン及び各種ポリマーオキサイド等の1分子内に2つ以上のパーオキサイド基などの重合開始機能を有する官能基を有する多官能性重合開始剤、及びジアリルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート及びt−ブチルパーオキシイソプロピルフマレート等の1分子内に、パーオキサイド基などの重合開始機能を有する官能基と重合性不飽和基の両方を有する多官能性重合開始剤が挙げられる。
これらの内、より好ましいものは、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、及び2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンである。
これらの多官能性重合開始剤は、効率の点からモノマー100質量部に対し0.01質量部以上10質量部以下用いるのが好ましい。
さらに、これらの多官能性重合開始剤を単官能性重合開始剤と併用する場合には、半減期が10時間となる温度(10時間半減期温度)が該多官能性重合開始剤よりも低い単官能性重合開始剤と併用することが好ましい。
具体的には、ベンゾイルパーオキシド、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキシド、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシクメン、ジーt−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾアミノアゾベンゼン等のアゾおよびジアゾ化合物等が挙げられる。
これらの単官能性重合開始剤は、前記多官能性重合開始剤と同時にモノマー中に添加しても良いが、該多官能性重合開始剤の効率を適正に保つ為には、重合工程においてビニル系モノマーの重合添加率が50%以上に達した後に添加するのが好ましい。
本発明の結着樹脂は、上述した如く、前記のような不飽和ポリエステル樹脂成分存在下で、溶媒などを使わずにビニル系モノマーを重合する、塊状重合法によりハイブリッド樹脂を得ることが好ましい。特に、重合開始剤として、10時間半減期温度が100℃以上150℃以下のものを用い、重合開始剤の10時間半減期温度よりも30℃低い温度から、10時間半減期温度よりも10℃高い温度の範囲で、ビニル系モノマーの重合転化率が60%、好ましくは80%に達するまで重合反応を行い、塊状重合により生成するビニル系樹脂成分の分子量を大きくすることが好ましい。さらに、重合転化率が60%(好ましくは80%)に達した後に、10時間半減期温度よりも10℃以上高い温度で重合反応を行い、反応を終了させることが良い。このようにして得られた結着樹脂は酸価が0.1mgKOH/g以上50mgKOH/g以下(好ましくは1mgKOH/g以上40mgKOH/g以下、より好ましくは1mgKOH/g以上30mgKOH/g以下)、水酸基価が5mgKOH/g以上80mgKOH/g以下(好ましくは5mgKOH/g以上60mgKOH/g以下、より好ましくは10mgKOH/g以上50mgKOH/g以下)の範囲であることが、トナーの帯電性を安定させる点で好ましい。
さらに、本発明に用いられる結着樹脂は、テトラヒドロフラン不溶分を10質量%以上30質量%以下含有することが、トナーの現像性、高温オフセット性を高めるうえで好ましい。
本発明に用いられる結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上75℃以下であることが好ましい。結着樹脂のガラス転移温度が50℃未満であると、トナーの保存安定性が不十分となることがあり、75℃よりも大きいとトナーの定着性が不十分となることがある。
本発明のトナーは、離型剤としてワックスを含有してもよい。
本発明に用いられるワックスには次のようなものがある。例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;又は、それらのブロック共重合物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろうの如き植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろうの如き動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラタムの如き鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの如き脂肪族エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪族エステルを一部又は全部を脱酸化したものが挙げられる。更に、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、或いは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸の如き不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カウナビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、或いは更に長鎖のアルキル基を有するアルキルアルコールの如き飽和アルコール;ソルビトールの如き多価アルコール;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪族アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪族ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は融液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものや低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好ましく用いられる。
ワックスの具体的な例としては、ビスコール(登録商標)330−P、550−P、660−P、TS−200(三洋化成工業社)、ハイワックス400P、200P、100P、410P、420P、320P、220P、210P、110P(三井化学社)、サゾールH1、H2、C80、C105、C77(シューマン・サゾール社)、HNP−1、HNP−3、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12(日本精鑞株式会社)、ユニリン(登録商標)350、425、550、700、ユニシッド(登録商標)、ユニシッド(登録商標)350、425、550、700(東洋ペトロライト社)、木ろう、蜜ろう、ライスワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス(株式会社セラリカNODAにて入手可能)等があげられる。これらワックスは必要に応じて樹脂製造時に添加し、更に分散性を改良することも好ましい形態である。
本発明のトナーは更に磁性材料を含有させ磁性トナーとしても使用しうる。この場合、磁性材料は着色剤の役割をかねることもできる。
本発明において、磁性トナー中に含まれる磁性材料としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属或はこれらの金属と、アルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金及びその混合物等が挙げられる。
これらの磁性材料は個数平均粒子径が2.0μm以下、好ましくは0.05μm以上0.5μm以下のものが好ましい。トナー中に含有させる量としては結着樹脂100質量部に対し20質量部以上200質量部以下であることが好ましく、特に好ましくは樹脂成分100質量部に対し40質量部以上150質量部以下である。
本発明に用いられる着色剤は、黒色着色剤としてカーボンブラック,グラフト化カーボンや以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用可能である。
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代表される化合物等が用いられる。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物,ジケトピロロピロール化合物,アントラキノン,キナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合物,ペリレン化合物等が用いられる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体,アントラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物等が利用できる。これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。
本発明の着色剤は、色相角,彩度,明度,耐候性,OHP透明性,トナー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対し1質量部以上20質量部以下添加して用いられる。
本発明のトナーには、荷電制御剤を含有させることが好ましい。トナーを負荷電性に制御するものとして下記物質がある。
例えば有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属化合物がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。
また、負帯電性の荷電制御剤としては、次に示した一般式(1)で表されるアゾ系金属化合物、一般式(2)で表されるオキシカルボン酸金属化合物が好ましい。
Figure 0004673248
〔式中、Mは配位中心金属を表し、Sc、Ti、V、Cr、Co、Ni、Mn、Fe等があげられる。Arはアリール基であり、フェニレン基、ナフチレン基などがあげられ、置換基を有してもよい。この場合の置換基としては、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アニリド基および炭素数1〜18のアルキル基、アルコキシ基などがある。X,X’、Y,Y’は−O−、−CO−、−NH−、−NR−(Rは炭素数1〜4のアルキル基)である。Aは水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、脂肪族アンモニウムイオン、それらの混合物を表すが、Aは存在しない場合もある。〕
特に、中心金属としてはFe又はCrが好ましく、置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アニリド基が好ましい。
Figure 0004673248
特に、中心金属としてはFe,Cr,Si,Zn,Zr,Alが好ましく、置換基としてはアルキル基、アニリド基、アリール基、ハロゲンが好ましく、カウンターイオンは水素イオン、アンモニウムイオン、脂肪族アンモニウムイオンが好ましい。
そのうちでも、式(1)で表されるアゾ系金属化合物がより好ましく、とりわけ、下記式(3)で表されるアゾ系鉄化合物が最も好ましい。
Figure 0004673248
次に、該化合物の具体例を示す。
Figure 0004673248
Figure 0004673248
正荷電性の荷電制御剤としては下記の物質が例示される。ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変成物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾール化合物。これらを単独で或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、トリフェニルメタン化合物、カウンターイオンがハロゲンでない四級アンモニウム塩が好ましく用いられる。
また、一般式(4)
Figure 0004673248
〔式中、RはH又はCHを示し、R及びRは置換または未置換のアルキル基(好ましくは、C1〜C4)を示す〕
で表されるモノマーの単重合体;前述したスチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの如き重合性モノマーとの共重合体を正荷電性制御剤として用いることができる。この場合これらの荷電制御剤は、結着樹脂(の全部または一部)としての作用をも有する。
特に下記一般式(5)で表される化合物が本発明の構成においては好ましい。
Figure 0004673248
〔式中、R、R、R、R、R及びRは、各々互いに同一でも異なっていてもよい水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基または、置換もしくは未置換のアリール基を表し、R、R及びRは、各々互いに同一でも異なっていてもよい水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基を表し、Aは、硫酸イオン、硝酸イオン、ほう酸イオン、りん酸イオン、水酸イオン、有機硫酸イオン、有機スルホン酸イオン、有機りん酸イオン、カルボン酸イオン、有機ほう酸イオン又はテトラフルオロボレートから選択される陰イオンを示す。〕
負帯電用として好ましいものは、例えばSpilon Black TRH、T−77、T−95(保土谷化学工業(株))、BONTRON(登録商標)S−34、S−44、S−54、E−84、E−88、E−89 (オリエント化学工業(株))があげられ、正帯電用としては好ましいものとしては、例えばTP−302、TP−415 (保土谷化学工業(株))、BONTRON(登録商標) N−01、N−04、N−07、P−51(オリエント化学工業(株))、コピーブルーPR(クラリアント社)が例示できる。
荷電制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー内部に添加する方法と外添する方法がある。これらの電荷制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上5質量部以下の範囲で用いられる。
本発明のトナーには、流動性向上剤を添加しても良い。流動性向上剤は、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものである。このような流動性向上剤としては、例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフウルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシラン化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理微粉末;酸化亜鉛、酸化スズの如き酸化物;チタン酸ストロンチウムやチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウムやジルコン酸カルシウムの如き複酸化物;炭酸カルシウム及び、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩化合物等が挙げられる。
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉末であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次のようなものである。
SiCl+2H+O→SiO+4HCl
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタン等の他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、シリカとしてはそれらも包含する。その粒径は、平均の一次粒径として、0.001μm以上2μm以下の範囲内であることが好ましく、特に0.002μm以上0.2μm以下の範囲内のシリカ微粉体を使用することが好ましい。
ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えばAEROSIL(日本アエロジル社)130、200、300、380、TT600、MOX170、MOX80、COK84、Ca−O−SiL(CABOT Co.社)M−5、MS−7、MS−75、HS−5、EH−5、Wacker HDK N 20(WACKER−CHEMIE GMBH社)V15、N20E、T30、T40、D−C Fine Silica(ダウコーニングCo.社)、Fransol(Fransil社)等の商品名で市販されているものがあり、本発明ではこれらも好適に用いることができる。
更には、本発明に用いられる流動性向上剤としては、前記ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。前記処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30以上80以下の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。
疎水化処理の方法としては、シリカ微粉体と反応或いは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的に処理する方法が挙げられる。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。
前記有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルフェニルジクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ブロモメトリジメチルクロロシラン、α−クロロエチルトリクロロシラン、β−クロロエチルトリクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び1分子当たり2〜12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。さらに、ジメチルシリコーンオイルの如きシリコーンオイルが挙げられる。これらは一種或いは二種以上の混合物で用いられる。
前記流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m/g以上、好ましくは50m/g以上のものが好ましい。外添前のトナー粒子100質量部に対して流動性向上剤を総量で0.01質量部以上8質量部以下、好ましくは0.1質量部以上4質量部以下使用することが良い。
本発明のトナーは、前記流動性向上剤以外にも、必要に応じてさらに他の外添剤(例えば荷電制御剤等)を添加して用いることができる。
また、本発明のトナーは、一成分現像剤、或いは、キャリアと併用して二成分現像剤として用いることができる。二成分現像剤に用いる場合のキャリアとしては、従来知られているものがすべて使用可能であるが、具体的には、表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及びそれらの合金又は酸化物等の、平均粒径20μm以上300μm以下の粒子が好ましく使用される。
また、それらキャリア粒子の表面に、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂を付着又は被覆させたもの等が好ましく使用される。
本発明のトナーを製造するには、結着樹脂及び着色剤、必要に応じて磁性体やワックス、荷電制御剤、その他の添加剤等をヘンシェルミキサー又はボールミルの如き混合機により十分混合してから、ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融、捏和及び混練して、結着樹脂中にワックスや磁性体を分散せしめ、冷却固化後、粉砕及び分級を行ってトナーを得ることができる。
本発明のトナーは、公知の製造装置を用いて製造することができ、例えば、以下の製造装置を用いることができる。
トナー製造装置としては、例えば混合機としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)等が挙げられる。
混練機としては、例えばKRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)等が挙げられる。
粉砕機としては、例えばカウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)等が挙げられる。
分級機としては、例えばクラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラッシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボジェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)等が挙げられる。
粗粒等をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、例えばウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い等が挙げられる。
本発明のトナーに係る各種物性の測定について以下に説明する。本発明では、トナー、及び結着樹脂のTHF可溶分の分子量分布、テトラヒドロフラン不溶分の含有量は、以下に示す方法によって測定することができる。
(1)THF可溶分の分子量の測定
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流す。カラムとしては、10以上2×10以下の分子量領域を適確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合せや、東ソー(株)製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSK gaurd columnの組み合せを挙げることができるが、特に昭和電工社製のshodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連カラムの組み合せが好ましい。
一方で、トナー、樹脂或いはトナーのテトラヒドロフラン不溶分中に含まれるポリエステル系樹脂成分を加水分解し、残留物として得られるビニル系樹脂成分をテトラヒドロフランに分散し溶解後、24時間静置した後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2μm以上0.5μm以下、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー(株)製)などが使用できる。)で濾過し、その濾液を試料として用いる。試料濃度として樹脂成分が0.5mg/ml以上5mg/ml以下となるように調整したトナーのTHF溶液を50μl以上200μl以下注入して測定する。なお、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.製あるいは、東洋ソーダ工業社製の分子量が6.0×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2.0×10、4.48×10のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。
(2)テトラヒドロフラン不溶分量
結着樹脂又はトナーを秤量し、円筒ろ紙(例えばNo.86Rサイズ28mm×10mm 東洋ろ紙社製)に入れてソックスレー抽出器にかける。溶媒としてテトラヒドロフラン200mlを用いて、16時間抽出する。このとき、テトラヒドロフランの抽出サイクルが約4乃至5分に1回になるような還流速度で抽出を行う。抽出終了後、円筒ろ紙を取り出し、秤量することによって結着樹脂又はトナーの不溶分を得る。
トナーが樹脂成分以外のテトラヒドロフラン不溶分(例えば、磁性体、顔料、ワックス、荷電制御剤)を含有している場合、円筒ろ紙に入れたトナーの質量をWgとし、抽出されたTHF可溶樹脂成分の質量をWgとし、トナーに含まれている樹脂成分以外のテトラヒドロフラン不溶成分の質量をWgとすると、トナー中の樹脂成分のテトラヒドロフラン不溶分の含有量は下記式から求められる。
テトラヒドロフラン不溶分(質量%)=[{W−(W+W)}/(W−W)]×100
(3)樹脂の酸価の測定法
本発明における結着樹脂の酸価の測定は、下記のように実施することができる。基本操作はJIS K0070に準ずる。
1)結着樹脂の粉砕品0.5乃至2.0(g)を精秤し、結着樹脂の重さW(g)とする。
2)300(ml)のビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(4/1)の混合液150(ml)を加え溶解する。
3)0.1mol/リットルのKOHのメタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する(例えば、京都電子株式会社製の電位差滴定装置AT−400(win workstation)とABP−410電動ビュレットとを用いての自動滴定が利用できる。)。
4)この時のKOH溶液の使用量S(ml)とし、同時にブランクを測定しこの時のKOH溶液の使用量をB(ml)とする。
5)次式により結着樹脂の酸価を計算する。fはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)=((S−B)×f×5.61)/W
(4)樹脂の水酸基価の測定法
本発明における結着樹脂の水酸基価の測定は、下記のように実施することができる。
(A)試薬
(a)アセチル化試薬:無水酢酸25gをメスフラスコ100mlに入れ、ピリジンを加えて全量を100mlにし、十分に振りまぜる。アセチル化試薬は、湿気、炭酸ガス及び酸の蒸気に触れないようにし、褐色びんに保存する。
(b)フェノールフタレイン溶液:フェノールフタレイン1gをエチルアルコール(95vol%)100mlに溶かす。
(c)0.5mol/リットル−水酸化カリウムエチルアルコール溶液:水酸化カリウム35gをできるだけ少量の水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて1リットルとし、2乃至3日間放置後ろ過する。標定はJIS K8006によって行う。
(B)操作
試料0.5g以上2.0g以下を丸底フラスコに正しくはかりとり、これにアセチル化試薬5mlを正しく加える。フラスコの口に小さな漏斗をかけ、95℃以上100℃以下のグリセリン浴中に底部約1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首が浴の熱を受けて温度の上がるのを防ぐために、中に丸い穴をあけた厚紙の円盤をフラスコの首の付根にかぶせる。1時間後フラスコを浴から取り出し、放冷後漏斗から水1mlを加えて振り動かして無水酢酸を分解する。さらに分解を完全にするため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱し、放冷後エチルアルコール5mlで漏斗及びフラスコの壁を洗い、フェノールフタレイン溶液を指示薬として0.5mol/リットル−水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときを終点とする。なお、本試験と並行して空試験を行う。
(C)計算式
次式によって結着樹脂の水酸基価を算出する。
A=[{(B+C)×f×28.05}/S]+D
但し、
A:樹脂の水酸基価
B:空試験の0.5mol/リットル−水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
C:本試験の0.5mol/リットル−水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
f:0.5mol/リットル−水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター
S:試料の質量(g)
D:樹脂の酸価
(5)GPC−RALLS−粘度計分析
(i)前処理
トナー0.1gを、THF 10mlとともに20ml試験管に入れる。これを25℃で24時間溶解させる。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2μm以上0.5μm以下、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー社製)などが使用できる。)を通過させたものをGPCの試料とする。
(ii)分析条件
装置:HLC−8120GPC 東ソー(株)社製
DAWN EOS(Wyatt Technology社製)
高温差圧粘度検出器(Viscotek社製)
カラム:KF-807,806M,805,803(昭和電工社製)の4連カラムの組合せ
検出器1:多角度光散乱検出器 Wyatt DAWN EOS
検出器2:高温差圧粘度検出器
検出器3:ブライス型示差屈折計
温度:40℃
溶媒:THF
流速:1.0ml/min
注入量:400μl
本測定においては、絶対分子量に基く分子量分布及び慣性二乗半径、固有粘度が、直接出力されるが、その測定理論は以下の通りである。
[測定理論]
M90=R(θ90)/KC・・・レイリー方程式
M90:90°における分子量
R(θ90):散乱角90°でのレイリー比
K:光学定数(=2π/λ ・(dn/dc)
C:溶液濃度
Rg=(1/6)1/2([η]M90/Φ)1/3・・・Flory Fox式
Rg:慣性半径
η:固有粘度
Φ:形状要素
絶対分子量:M=R(θ0)/KC
R(θ0)= R(θ90)/P(θ90)
P(θ90)=2/X・(e-X −(1−X)) (X=4πn/λ・Rg)
λ:波長
(dn/dc):ハイブリット樹脂を含有トナーは0.089ml/g、ポリエステル樹脂のみ含有トナーは0.078ml/g、直鎖ポリスチレンは0.185ml/g
(実施例)
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、これは本発明を何ら限定するものではない。
[結着樹脂製造例]
(ポリエステル樹脂製造例1)
ポリエステルモノマーを下記比率で混合する。
・前記式(A)で表されるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基,x+yの平均値:2.2)
1.150mol
・テレフタル酸 0.430mol
・イソフタル酸 0.390mol
・フマル酸 0.010mol
・ドデセニル無水琥珀酸 0.170mol
これらに触媒としてテトラブチルチタネート0.1質量%を添加し、220℃で縮合重合して、不飽和ポリエステル樹脂P−1(Tg=58℃、メインピーク分子量=7800、数平均分子量(Mn)=4600、Mw/Mn=2.1、酸価=5mgKOH/g、水酸基価=37mgKOH/g)を得た。
(ポリエステル樹脂製造例2)
ポリエステルモノマーを下記比率で混合する以外は、ポリエステル樹脂製造例1と同様にして、不飽和ポリエステル樹脂P−2(Tg=59℃、メインピーク分子量=6400、数平均分子量(Mn)=3900、Mw/Mn=2.8、酸価=11mgKOH/g、水酸基価=56mgKOH/g)を得た。
・前記式(A)で表されるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基、x+yの平均値:2.2)
1.150mol
・テレフタル酸 0.430mol
・イソフタル酸 0.370mol
・フマル酸 0.040mol
・ドデセニル無水琥珀酸 0.160mol
(ポリエステル樹脂製造例3)
ポリエステルモノマーを下記比率で混合する以外は、ポリエステル樹脂製造例1と同様にして、不飽和ポリエステル樹脂P−3(Tg=55℃、メインピーク分子量=4900、数平均分子量(Mn)=3100、Mw/Mn=3.7、酸価=17mgKOH/g、水酸基価=57mgKOH/g)を得た。
・前記式(A)で表されるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基、x+yの平均値:2.2)
1.100mol
・テレフタル酸 0.420mol
・イソフタル酸 0.380mol
・フマル酸 0.040mol
・ドデセニル無水琥珀酸 0.160mol
(ポリエステル樹脂製造例4)
ポリエステルモノマーを下記比率で混合する以外は、ポリエステル樹脂製造例1と同様にして、不飽和ポリエステル樹脂P−4(Tg=60℃、メインピーク分子量=4500、数平均分子量(Mn)=2900、Mw/Mn=5.4、酸価=27mgKOH/g、水酸基価=69mgKOH/g)を得た。
・前記式(A)で表されるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基、x+yの平均値:2.2)
1.150mol
・テレフタル酸 0.370mol
・イソフタル酸 0.290mol
・フマル酸 0.080mol
・ドデセニル無水琥珀酸 0.200mol
・トリメリット酸 0.060mol
(ポリエステル樹脂製造例5)
ポリエステルモノマーを下記比率で混合する以外は、ポリエステル樹脂製造例1と同様にして、飽和ポリエステル樹脂P−5(Tg=56℃、メインピーク分子量=7500、数平均分子量(Mn)=5100、Mw/Mn=2.4、酸価=5mgKOH/g、水酸基価=41mgKOH/g)を得た。
・前記式(A)で表されるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基、x+yの平均値:2.2)
1.150mol
・テレフタル酸 0.430mol
・イソフタル酸 0.400mol
・ドデセニル無水琥珀酸 0.170mol
(ポリエステル樹脂製造例6)
ポリエステルモノマーを下記比率で混合する以外は、ポリエステル樹脂製造例1と同様にして、飽和ポリエステル樹脂P−6(Tg=56℃、メインピーク分子量=6800、数平均分子量(Mn)=3800、Mw/Mn=18.4、酸価=2mgKOH/g、水酸基価=25mgKOH/g)を得た。
・前記式(A)で表されるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基、x+yの平均値:2.2)
1.200mol
・テレフタル酸 0.400mol
・イソフタル酸 0.100mol
・ドデセニル無水琥珀酸 0.500mol
・無水トリメリット酸 0.100mol
(ハイブリッド樹脂製造例1)
不飽和ポリエステル樹脂P−1:75質量部と、ビニル系モノマーとして、スチレン:18質量部、アクリル酸n−ブチル:6.5質量部、マレイン酸モノn−ブチル:0.5質量部、開始剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキシン−3(10時間半減期温度128℃):0.08質量部を混合した。このビニル系モノマー/ポリエステル樹脂混合物を120℃で20時間かけてビニル系モノマーの重合転化率が97%になるまで重合後、さらに150℃に温度を上げて5時間保持して未反応のビニル系モノマーを重合させ、ハイブリッド樹脂を得た。これを結着樹脂1とする。得られた結着樹脂1は、THF可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が7200であり、分子量4万以上100万以下の範囲の成分を8質量%含有し、テトラヒドロフラン不溶分を21質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分のテトラヒドロフラン可溶分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。一般的には、ハイブリッド樹脂が含有されていない場合には、加水分解してもTHF可溶分が生じない。このことより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(ハイブリッド樹脂製造例2)
不飽和ポリエステル樹脂P−2:70質量部と、ビニル系モノマーとして、スチレン:23質量部、アクリル酸n−ブチル:6.0質量部、マレイン酸モノn−ブチル:1.0質量部、開始剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキシン−3:0.08質量部を混合した。このビニル系モノマー/ポリエステル樹脂混合物を115℃で15時間かけてビニル系モノマーの重合転化率が84%になるまで重合後、さらに150℃に温度を上げて5時間保持して未反応のビニル系モノマーを重合させ、ハイブリッド樹脂を得た。これを結着樹脂2とする。得られた結着樹脂2は、THF可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が6600であり、分子量4万以上100万以下の範囲の成分を22質量%含有し、テトラヒドロフラン不溶分を26質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。これにより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(ハイブリッド樹脂製造例3)
不飽和ポリエステル樹脂P−2:70質量部と、ビニル系モノマーとして、スチレン:23質量部、アクリル酸n−ブチル:6.0質量部、マレイン酸モノn−ブチル:1.0質量部、開始剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキシン−3:0.15質量部を混合した。このビニル系モノマー/ポリエステル樹脂混合物を110℃で15時間かけてビニル系モノマーの重合転化率が71%になるまで重合後、さらに160℃に温度を上げて5時間保持して未反応のビニル系モノマーを重合させ、ハイブリッド樹脂を得た。これを結着樹脂3とする。得られた結着樹脂3は、THF可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が6700であり、分子量4万以上100万以下の範囲の成分を23質量%含有し、テトラヒドロフラン不溶分を13質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。これにより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(ハイブリッド樹脂製造例4)
不飽和ポリエステル樹脂P−3:80質量部と、ビニル系モノマーとして、スチレン:14質量部、アクリル酸n−ブチル:6.0質量部、開始剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3:0.05質量部を混合した。このビニル系モノマー/ポリエステル樹脂混合物を110℃で10時間かけてビニル系モノマーの重合転化率が63%になるまで重合後、さらに150℃に温度を上げて10時間保持して未反応のビニル系モノマーを重合させ、ハイブリッド樹脂を得た。これを結着樹脂4とする。得られた結着樹脂4は、THF可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が4800であり、分子量4万以上100万以下の範囲の成分を26質量%含有し、テトラヒドロフラン不溶分を8質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。これにより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(ハイブリッド樹脂製造例5)
不飽和ポリエステル樹脂P−4:55質量部と、ビニル系モノマーとして、スチレン:30質量部、アクリル酸n−ブチル:15質量部、開始剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3:0.15質量部を混合した。このビニル系モノマー/ポリエステル樹脂混合物を110℃で10時間かけてビニル系モノマーの重合転化率が57%になるまで重合後、さらに150℃に温度を上げて10時間保持して未反応のビニル系モノマーを重合させ、ハイブリッド樹脂を得た。これを結着樹脂5とする。得られた結着樹脂5は、THF可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が4300であり、分子量4万以上100万以下の範囲の成分を37質量%含有し、テトラヒドロフラン不溶分を41質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。これにより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(ハイブリッド樹脂製造例6)
不飽和ポリエステル樹脂P−4:55質量部と、ビニル系モノマーとして、スチレン:30質量部、アクリル酸n−ブチル:14.9質量部、ジビニルベンゼン:0.1質量部、開始剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3:0.15質量部を混合した。このビニル系モノマー/ポリエステル樹脂混合物を110℃で10時間かけてビニル系モノマーの重合転化率が53%になるまで重合後、さらに150℃に温度を上げて10時間保持して未反応のビニル系モノマーを重合させ、ハイブリッド樹脂を得た。これを結着樹脂6とする。得られた結着樹脂6は、THF可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が4200であり、分子量4万以上100万以下の範囲の成分を44質量%含有し、テトラヒドロフラン不溶分を47質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。これにより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(比較用樹脂製造例1)
飽和ポリエステル樹脂P−5:75質量部と、ビニル系モノマーとして、スチレン:18質量部、アクリル酸n−ブチル:7質量部、開始剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3:0.08質量部を混合した。このビニル系モノマー/ポリエステル樹脂混合物を120℃で20時間かけてビニル系モノマーの重合転化率が94%になるまで重合後、さらに150℃に温度を上げて5時間保持して未反応のビニル系モノマーを重合させ、比較用結着樹脂1を得た。得られた比較用結着樹脂1は、THF可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が7500であり、分子量4万以上100万以下の範囲の成分を28質量%含有し、テトラヒドロフラン不溶分を含有していなかった。
(比較用ハイブリッド樹脂製造例2)
ビニル系モノマーとして、スチレン270g、2−エチルヘキシルアクリレート60g、アクリル酸20g、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル13gを滴下ロートに入れる。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン780g(2.23mol)、イソドデセニル無水コハク酸76g(0.28mol)、テレフタル酸180g(1.09mol)、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸30g(0.16mol)及びジブチル錫オキシド2g(8.0mmol)をフラスコに入れ、135℃の温度で攪拌しつつ、滴下ロートよりビニル系モノマー及び重合開始剤を3時間かけて滴下し、ビニル系樹脂成分の重合を行った。135℃に保持したまま5時間熟成した後、230℃に昇温してポリエステル系樹脂成分の重合を行い、ハイブリッド樹脂を得た。これを比較用結着樹脂2とする。得られた比較用結着樹脂2は、THF可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が6400であり、分子量4万以上100万以下の範囲の成分を24質量%含有し、テトラヒドロフラン不溶分を14質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。これにより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(比較用ハイブリッド樹脂製造例3)
キシレン300質量部を昇温して還流させ、この還流下で、スチレン70質量部、アクリル酸n−ブチル21質量部、マレイン酸モノn−ブチル7質量部及び、ジ−tert−ブチルパーオキサイド3質量部の混合液を4時間かけて滴下後、2時間保持し重合を完了した。キシレンを留去し、ビニル系樹脂V−1(Tg=58℃、メインピーク分子量=12400、数平均分子量(Mn)=6200、Mw/Mn=3.4、酸価=21mgKOH/g)を得た。
飽和ポリエステル樹脂P−6:80質量部と、ビニル系樹脂V−1:20質量部を反応槽に仕込み、窒素気流下、190℃でポリエステル樹脂とビニル系樹脂の溶融混合を行い、充分に混合された後、減圧下でエステル化反応を行ってハイブリッド樹脂を得た。これを比較用結着樹脂3とする。得られた比較用結着樹脂3は、THF可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が7000であり、分子量4万以上100万以下の範囲の成分を36質量%含有し、テトラヒドロフラン不溶分を44質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。これにより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(実施例1)
・結着樹脂1 100質量部
・マグネタイト(個数平均粒径0.18μm) 100質量部
・前記アゾ系鉄錯体化合物(1)(カウンターイオンはNH ) 2質量部
・フィッシャートロプシュワックス(Mn790、Mw1170、メインピーク分子量960、DSCピーク温度103℃)
4質量部
上記原材料をヘンシェルミキサーで予備混合した後、130℃、200rpmに設定した二軸混練押し出し機(PCM−30:池貝鉄工所社製)によって混練した。得られた混練物を冷却しカッターミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用いた粉砕機を用いて微粉砕し、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)6.0μmの負帯電性の磁性体含有樹脂粒子を得た。この樹脂粒子100質量部に、ヘキサメチルジシラザンで処理した負帯電性疎水性シリカ(BET比表面積120m/g)1.0質量部をヘンシェルミキサーで外添混合しトナー1を得た。トナー1の物性を表1に示す。このトナーを以下の項目について評価した。評価結果を表2に示す。
[定着試験]
ヒューレットパッカード社製レーザービームプリンタ:LaserJet4350の定着器を取り出し、定着装置の定着温度を任意に設定できるようにし、かつプロセススピードを400mm/secとなるようにした外部定着器を用いた。この外部定着器を140〜220℃の範囲で140℃から5℃おきに温調し、普通紙(75g/m)紙に現像したベタ黒未定着画像(紙上トナー量を0.6mg/cmに設定)の定着を行った。得られた定着画像を4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率が10%以下になる点を定着温度とした。この温度が低いほど低温定着性に優れたトナーである。
また、プロセススピードを100mm/secにし、200℃以上240℃以下の範囲で200℃から5℃おきに温調し、未定着画像の定着を行った。定着画像上のオフセット現象による汚れを目視で確認し、発生した温度を高温オフセット性とした。この温度が高いほど高温オフセット性に優れたトナーである。
[現像試験]
市販のレーザービームプリンタLaserJet 4350(ヒューレットパッカード社製)を65枚機に改造して、常温常湿(23℃、60%RH)環境にて、A4サイズの75g/mの転写紙を用いて画出し試験を行った。画像データとしては、画像面積率が2%の原稿データを用いた。この条件で、1,000枚及び20,000枚通紙時のベタ黒画像濃度とカブリの測定を行った。
画像濃度の測定は、マクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して反射濃度を測定することにより行い、5点平均で算出した。
カブリの測定は、リフレクトメーター(東京電色(株)製)により測定した転写紙の白色度と、ベタ白をプリントした後の転写紙の白色度との差からカブリを算出した。
[保存性試験]
トナー10gを直径3cmの円筒状のポリプロピレンのカップに量りとり、表面を平らにならした後、薬包紙を敷き、その上に10gの鉄粉キャリアをのせ、50℃で5日間放置し、トナーのブロッキング状態を評価した。
A:カップを傾けるとトナーがさらさらと流れる。
B:カップを回していると、トナー表面が少しずつ崩れだし、さらさらの粉になる。
C:カップを回しながら外から力を加えるとトナー表面が崩れ、そのうちさらさらと流れだす。
D:ブロッキング塊が発生。先のとがったものでつつくと崩れる。
E:ブロッキング塊が発生。つついても崩れにくい。
(実施例2乃至6及び比較例1乃至3)
結着樹脂1の代わりに結着樹脂2乃至6或いは比較用結着樹脂1乃至3を用いる以外は実施例1と同様にしてトナー2乃至9を得た。トナー2乃至9の物性を表1に示す。また、実施例1と同様に評価試験を行い、その結果を表2に示す。
Figure 0004673248
Figure 0004673248

Claims (7)

  1. 少なくとも、結着樹脂及び着色剤を含有するトナーであり、
    該結着樹脂は、ポリエステル系樹脂ユニットを50質量%以上含有し、且つ、ポリエステル系樹脂成分とビニル系樹脂成分とが化学的に結合したハイブリッド樹脂を含有しており、
    該トナーは、結着樹脂由来のテトラヒドロフラン不溶分を3質量%以上50質量%以下含有し、
    該テトラヒドロフラン不溶分は、ハイブリッド樹脂を含有し、
    該テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、その後、濾過して濾別される成分のTHF可溶分が、GPCで測定される分子量分布において、分子量5万以上50万以下の範囲にメインピークを有することを特徴とするトナー。
  2. 前記トナーのTHF可溶分が、GPCで測定される分子量分布において、分子量2千以上3万以下の範囲にメインピークを有し、分子量4万以上100万以下の範囲の成分を3質量%以上30質量%以下含有していることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 前記結着樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂の存在下でビニル系モノマーを塊状重合することにより得られたハイブリッド樹脂を含有しており、該塊状重合が、不飽和ポリエステル樹脂:ビニル系モノマー=50:50乃至90:10の質量比で行われたものであることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記テトラヒドロフラン不溶分が、ビニル系樹脂成分を30質量%以上80質量%以下含有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー。
  5. 前記トナーを25℃で24時間テトラヒドロフラン(THF)溶媒に溶解させたときの、前記トナーのTHF可溶分のGPC−RALLS−粘度計分析における絶対分子量が5.0×10である成分の慣性二乗半径が6.0nm以上20.0nm以下であり、絶対分子量が1.0×10である成分の慣性二乗半径が50.0nm以上100.0nm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー。
  6. 前記トナーを25℃で24時間THF溶媒に溶解させたときの、前記トナーのTHF可溶分のGPC−RALLS−粘度計分析における、絶対分子量が2.0×10である成分の慣性二乗半径が16.0nm以上60.0nm以下であることを特徴とする請求項5に記載のトナー。
  7. 前記トナーを25℃で24時間THF溶媒に溶解させたときの、該トナーのTHF可溶分のGPC−RALLS−粘度計分析における、慣性二乗半径Rtの常用対数(log[Rt])を絶対分子量Mの常用対数(log[M])に対してプロットした際に、絶対分子量5.0×10と絶対分子量2.0×10との間の傾き(k)と、絶対分子量2.0×10と絶対分子量1.0×10との間の傾き(k)とが下記式(1)乃至(3):
    0.8≦k/k ≦1.2 式(1)
    0<k 式(2)
    0<k 式(3)
    を満足することを特徴とする請求項5又は6に記載のトナー。
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