JP4898383B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電印刷法、及びトナージェット法の如き画像形成方法に用いられるトナーに関するものである。
従来、トナー用結着樹脂としてはポリエステル樹脂等の縮重合樹脂、及びスチレン系樹脂などのビニル系樹脂が主に使用されている。ポリエステル樹脂は定着性に優れた性能を有しているが、高分子量化が難しく、高温でのオフセット現象を発生しやすいという欠点を併せ持っている。
この欠点を補うために、ポリエステル樹脂に架橋成分を含有させて樹脂の溶融粘度を上げ、高温オフセットの改良を行おうとすると、定着性を損なうばかりでなく、トナー製造時の粉砕性も悪化してしまう。
一方、スチレン系樹脂などのビニル系樹脂は、トナー製造時の粉砕性に優れており、高分子量化が容易なため、耐高温オフセット性には優れているが、定着性を向上させるために低分子量化や低Tg化を行うと、耐ブロッキング性や現像性が悪化する傾向がある。
これら2種類の樹脂の長所を有効に生かし、欠点を補うためにこれらの樹脂を混合して使用する方法もいくつか検討されている。
特許文献1には、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂を混合した樹脂を含有してなるトナーが開示されている。しかしながら、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂は本質的に相溶性が悪く、トナーに添加される着色剤やワックスなどの分散性が不十分なものとなるため、現像性に問題を生じやすくなる。
特許文献2には、反応性ポリエステル樹脂の存在下でビニル系単量体を重合して得られる重合体を含有することを特徴とするトナーが開示されているが、ビニル系単量体に対してポリエステル樹脂の含有量が少なく、定着性改良の効果が小さい。
特許文献3には、飽和ポリエステル樹脂の存在下でスチレンアクリル系単量体を重合して得られる重合体を含有することを特徴とするトナーが開示されている。しかし、より優れた定着性、耐高温オフセット性を得るには、結着樹脂の分子量分布を制御することが不可欠であり、ポリエステル樹脂の存在下でスチレンアクリル系単量体を重合するだけでは不十分である。
特許文献4には、不飽和ポリエステル樹脂の存在下でスチレンアクリル系単量体を重合して得られる重合体を含有することを特徴とするトナーが開示されている。しかし、ビニル系単量体に対してポリエステル樹脂の使用量が99.5:0.5〜91:9と少なく、定着性改良の効果が小さい。
特許文献5には、不飽和ポリエステル樹脂にビニル系モノマーをグラフト重合して得られる、重量平均分子量が8000〜20000、100℃における溶融粘度が104〜106ポイズ、ガラス転移温度が50〜75℃であるグラフトポリマーを結着樹脂として用いるトナーについて開示されている。しかし、更なる定着性、耐高温オフセット性の向上には、トナーの分子量分布をより精密に制御する必要がある。
特許文献6には、酸基を有するスチレン系樹脂とポリエステル樹脂をエステル化した重合体を含むことを特徴とするトナーが開示されている。これらの方法では、ポリエステル樹脂とビニル系共重合体の相溶性は向上するものの、ゲル成分の含有量や、ゲル成分中に含まれるビニル系樹脂成分の分子量を制御していない為、定着性と耐高温オフセット性をより高度なレベルで満足させるには問題がある。
特許文献7には、重量平均分子量(Mw)が5000〜200000、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比が3〜50である非線状ポリエステルと、ビニル系ポリマーとを反応させることで得られる電子写真用トナーバインダーが開示されている。この方法では、ビニル系ポリマーとポリエステルポリマーをエステル反応によってハイブリッド化するため、ハイブリッド化率を高める為には高い温度で反応を行う必要があり、ビニル系ポリマーが熱で分解してしまう可能性がある。ビニル系ポリマーが分解しない温度ではエステル反応が充分に進まない為、ハイブリッド化が充分に行われにくく、定着性、耐高温オフセット性、現像性を満足させることが出来ない。
また、トナーのテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布に言及した提案も多くなされている。
特許文献8では、トナー結着樹脂のテトラヒドロフラン可溶分におけるGPCの分子量分布における5万以下を示す成分の光散乱法により測定される重量平均分子量とGPCにより測定される重量平均分子量の関係が開示されている。しかし、このように低分子側の分子量を規定するだけでは、低分子量成分と高分子量成分の混合性については考慮されていない。低温定着性と耐オフセット性とは相反する一面を有するために、耐高温オフセット性能を維持しながらの低温定着性の改良はまだまだ充分とは言えないレベルである。
特許文献9では、分子量2000〜100000の領域のトナー結着樹脂における光散乱法により測定される重量平均分子量と慣性半径の関係が開示されている。更に、特許文献10では、GPCの分子量2000〜50000の領域と100000以上の領域の成分の光散乱法により測定される重量平均分子量と慣性半径との関係を規定している。しかし、近年の高速化したマシンにおいてはこれらの分岐度は最適とは言えず、より幅広い温度領域での定着性能を達成できる分岐構造の提案が必要である。また、トナー製造時における、結着樹脂と着色剤や離型剤など他の材料との分散性を考慮すると、より高分子領域の成分についての分岐構造についても議論の余地がある。
一方、従来からトナーの低温定着化を達成するために、トナーに結晶性ポリエステルを含有させる試みが多くなされている(例えば、特許文献11参照)。また、結晶性ポリエステルと非晶質樹脂とを有するトナーにおいて、結晶性ポリエステルの分散ドメイン径を調整することで、優れた低温定着性を有すると共に保存性が良好で、高品位な画像を得られるトナーが提案されている(例えば、特許文献12参照)。さらに、数平均分子量が5,000〜10,000、重量平均分子量が150,000〜8,000,000、融解熱の最大ピーク温度が60〜150℃、軟化点と融解熱の最大ピーク温度の比(軟化点/ピーク温度)が0.6〜1.3である結晶性ポリエステル及び前記結晶性ポリエステルを結着樹脂として含有してなるトナーが検討されている(例えば、特許文献13参照)。
さらに、結晶性ポリエステルと非晶質ハイブリッド樹脂を混合し、定着性と現像性などとの両立を図ったトナーが提案されている(例えば、特許文献14〜16参照)。
しかしながら、これらの従来のトナーはいずれも、長期使用における耐久性と低温定着性との両立が十分に達成されておらず、さらには保存安定性についてもまだまだ改良の余地があった。
特に画像形成プロセススピードが高い場合には、定着時におけるトナーと定着器が接する時間が非常に短くなるため、トナーが受け取る熱量も限られる。よって、高速度プリンターに用いられるトナーには、より一層の迅速な低温定着性が求められている。さらに、画像形成スピードに対して、トナーの迅速定着性が十分でないと、定着画像尾引きや、ドットが散ってしまうことによるガサツキを生じるなどの問題が起こりやすく、これらを兼ね備えたトナーの開発が望まれていた。
特開昭54−114245号公報 特開昭56−116043号公報 特開昭58−159546号公報 特開昭58−102246号公報 特開平1−156759号公報 特開平2−881号公報 特開平11−153885号公報 特開平9−6050号公報 特開平9−146305号公報 特開平9−106102号公報 特開平4−184358号公報 特開2002−287426公報 特開2004―061875号公報 特開2002―072557号公報 特開2003―173047号公報 特開2004―191516号公報
本発明の目的は、上述のごとき問題点を解決したトナーを提供することにある。
本発明の目的は、定着性、耐高温オフセット性及び耐ブロッキング性に優れたトナーを提供することにある。
更に、本発明の目的は、現像性に優れたトナーを提供することにある。
更に、本発明の目的は、画像形成スピードの速いマシンに適用された場合においても、定着画像尾引きの抑制、ハーフトーン画像のガサツキの低減が可能なトナーを提供することにある。
本発明は、少なくとも、結着樹脂、着色剤及び結晶性ポリエステルを含有するトナー粒子を有するトナーであり、
該結着樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂の存在下で、ビニル系モノマーを塊状重合することにより得られるハイブリッド樹脂を含有し、
該トナーは、結着樹脂由来のテトラヒドロフラン不溶分を3〜50質量%含有し、
該テトラヒドロフラン不溶分は、ハイブリッド樹脂を含有し、
該テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、その後、濾過して濾別される成分のテトラヒドロフラン可溶分が、GPCで測定される分子量分布において、分子量10000〜1000000の範囲にメインピークを有し、
該結晶性ポリエステルは、示差走査熱量計(DSC)により測定されるDSC曲線において、50℃以上130℃以下に最大吸熱ピークを有することを特徴とするトナーに関する。
本発明によれば、定着性、耐高温オフセット性、現像性及び耐ブロッキング性に優れたトナーを提供することが可能である。
更に、本発明によれば、画像形成スピードの速いマシンに適用された場合においても、定着画像尾引きの抑制、ハーフトーン画像のガサツキの低減が可能なトナーを提供することが可能である。
本発明者らは、少なくとも、結着樹脂、着色剤及び結晶性ポリエステルを含有するトナー粒子を有するトナーであり、該トナーは、結着樹脂由来のテトラヒドロフラン不溶分を3〜50質量%含有し、該テトラヒドロフラン不溶分は、ハイブリッド樹脂を含有し、該テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、その後、濾過して濾別される成分のテトラヒドロフラン可溶分が、GPCで測定される分子量分布において、分子量10000〜1000000の範囲にメインピークを有し、該結晶性ポリエステルは、示差走査熱量計(DSC)により測定されるDSC曲線において、50℃以上130℃以下に、最大吸熱ピークを有することを特徴とするトナーによれば、本発明の目的を達成しうることを見出した。
本発明においては、該結着樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂の存在下で、ビニル系モノマーを塊状重合することにより得られるハイブリッド樹脂成分を含有することが好ましい。
本発明者らは、不飽和ポリエステル樹脂の存在下で、ビニル系モノマーを塊状重合することにより、テトラヒドロフラン不溶分(ゲル成分)中に含まれるビニル系樹脂成分の分子量分布を制御することで、ポリエステル樹脂成分に由来する定着性とビニル系樹脂成分に由来する耐高温オフセット性とを良好に両立できる構成を見出した。
塊状重合法では、テトラヒドロフラン不溶分(ゲル成分)中に含まれるビニル系樹脂成分の分子量分布を制御し、ゲル成分中に含まれるビニル系樹脂成分のメインピーク分子量を大きくすることが可能になる。
また、塊状重合法は、溶液重合法と比較して溶媒の留去などの工程が必要ないため低コストで結着樹脂を得ることができる。更に、塊状重合法で製造された結着樹脂は、懸濁重合法で製造された結着樹脂と比較して、分散剤等の不純物が少ない為、トナーの帯電性などへの影響が少なく、トナー用結着樹脂として非常に好ましい。
このような不飽和線状ポリエステル樹脂の存在下でビニル系モノマーを塊状重合することで、分子量が大きくて直鎖性の高いビニル系樹脂成分を主鎖として、低分子量ポリエステル樹脂成分がビニル系樹脂成分から分岐した形の分子構造を有するハイブリッド樹脂を得ることができる。更に、この分岐構造を持つハイブリッド樹脂中の酸基や水酸基が、分子間でエステル結合を形成することによりゲル化が促される。
こうして得られたハイブリッド樹脂により形成されるゲル成分は、架橋点間分子量が大きく、熱により軟化しやすい。また、分子構造にポリエステル系樹脂成分を多量に含むため、ハイブリッド化していない結晶性ポリエステルや低分子量ポリエステル系樹脂成分、またはワックス成分をゲル成分内部に多量に取り込むことができる。その結果、軟化点の低い低分子量ポリエステル系樹脂成分を多量に添加しても、トナーの機械的強度を維持することが可能となり、優れた定着性と現像耐久性を両立させることが可能になる。
特に、本発明者らは特定の結晶性ポリエステルをゲル成分内部に取り込ませることにより、後述する理由で優れた迅速定着性を達成することが可能になることを見出した。また同時に、結晶性ポリエステルはトナー製造条件によっては、結着樹脂に相溶しやすく、保存性や粉砕性を低下させる場合があったり、意図する効果が得られにくい場合があったが、本発明におけるゲル成分内部に取り込ませることにより、相溶化を抑制することが可能であることを見出した。
さらに、架橋点間分子量が大きく、直鎖性の高いゲル成分は、分子構造に柔軟性があるため剪断力に強く、トナー化の混練工程でゲル成分の分子切断が起こりにくい。そのため、混練条件によらず一定のゲル成分をトナーに含有させることが可能となり、すなわち結晶性ポリエステルやワックス成分を保持したゲル成分を維持するため、本発明の目的とする効果が得られやすい。
特に、プロセススピードが速かったり、低温環境において使用する紙が冷えている場合には、定着時にトナーが散りやすかった。上述のように、特定の結晶性ポリエステルを特定のゲル成分内部に取り込ませることにより、トナーの迅速定着性が向上する。このため、プロセススピードの速いマシンにおいても定着時のトナーの散りが抑制され、定着画像尾引きやハーフトーン画像ガサツキの少ない画像を得ることが可能になった。
本発明に用いられるトナーに含まれる結着樹脂は、良好な定着性を確保する為に、少なくともポリエステル系樹脂成分を30質量%以上含有することが好ましい。ポリエステル系樹脂ユニットの含有量が30質量%未満であると、充分な定着性が得られにくい。本発明におけるポリエステル系樹脂ユニットの含有量とは、ポリエステル樹脂として存在するものと、ハイブリッド樹脂等の中においてポリエステル系樹脂成分として存在する成分とを合わせたものである。一方のビニル系樹脂成分は、結着樹脂中に70質量%以下で含有され、好ましくは10〜70質量%で含有されていることが、良好な耐オフセット性を得ることができるという点で好ましい。
また、本発明のトナーは、結着樹脂由来のテトラヒドロフラン不溶分(ゲル成分)を3〜50質量%することが重要である。より好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは10〜30質量%含有することが好ましい。さらに本発明のトナーはこのようなゲル成分中にハイブリッド樹脂を含有していることが重要である。テトラヒドロフラン不溶分が3質量%未満であると、良好な耐高温オフセット性を得にくい。テトラヒドロフラン不溶分が50質量%より多いと、着色剤などの材料をトナー中に均一に分散させることが難しくなり、トナーの帯電性が悪化し、カブリや画像濃度の低下が生じやすい。
ハイブリッド樹脂は同一分子内にポリエステル系樹脂成分とビニル系樹脂成分の両方を有しているために、ポリエステル成分に混ざり易い原材料(親水性の高い成分、例えば磁性体などの着色剤)とビニル系樹脂に混ざり易い原材料(極性の低い成分、例えばワックス成分)の両方の成分の分散性を同時に向上させることができる。
特に、テトラヒドロフラン不溶分(ゲル成分)中にハイブリッド樹脂を含有させることで、トナー中においてワックス成分や磁性体等の着色剤がゲル成分の近傍に存在しやすくなったり、ゲル成分中に入り込むようになったりする。ワックスがゲル成分の近傍に存在する場合には、定着時にワックス成分が溶融することでゲル成分も軟化しやすくなり、トナーのシャープメルト性が高くなり、定着性が大幅に向上する。特に、本発明における特定の結晶性ポリエステルを併用すると、さらに定着性が向上することが判明した。この理由は定かではないがゲル成分内に取り込まれた結晶性ポリエステルが、外部からの熱的な刺激に応答し、より迅速にゲル成分内に取り込まれていたポリエステル成分やワックス成分をゲル成分外に押出すためと考えられる。特に、ゲル成分外にワックス成分を押出すことで、ワックスを効率よく機能させることと、結晶性ポリエステルがゲル成分内部に入ることにより、ゲル構造が広がり、ゲルの柔軟性が増すため定着性が大幅に向上すると考えられる。同時に、この結晶性ポリエステルによるワックスの押出し効果により、トナーの離型性も向上し、耐高温オフセット性も向上する。
さらに、本来ゲル成分中には入り込みにくい磁性体などの着色剤がゲル成分中に取り込まれた場合には、材料の均一分散性が向上してトナーの帯電性が安定する為、現像性や画質が向上する。
また、本発明のトナーは、樹脂成分に由来するテトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、その後、濾過して濾別される成分(以下、「残留物」と称す場合もある。)のテトラヒドロフラン可溶分が、GPCによって測定される分子量分布において、分子量10000〜1000000(好ましくは20000〜500000、より好ましくは50000〜200000)の範囲にメインピークを有する。さらには、重量平均分子量が10000〜5000000(好ましくは10000〜1000000、より好ましくは30000〜500000)の範囲であることが好ましい。
樹脂成分に由来するテトラヒドロフラン不溶分を加水分解した際、分解される成分はエステル結合によってポリマー化されているポリエステル系樹脂ユニットであり、ビニル系樹脂成分は分解されずに重合体の状態で残存する。そのため、加水分解後の残留物は、主にビニル系樹脂成分からなるものであり、残留物のテトラヒドロフラン可溶分とはビニル系樹脂成分のテトラヒドロフラン可溶分のことである。
また、ポリエステル樹脂と分子量10000〜1000000にメインピークを有するようなビニル系樹脂を単に混合して結着樹脂を製造した場合には、そのようなビニル系樹脂はテトラヒドロフラン可溶分になってしまうため、最初の段階でテトラヒドロフラン不溶分中に含まれなくなり、本発明の構成を満たさない。また、ポリエステル樹脂とテトラヒドロフラン不溶分を含有するビニル系樹脂を単に混合して結着樹脂を製造した場合には、ビニル系樹脂がテトラヒドロフラン不溶分中には残るものの、加水分解後もテトラヒドロフラン不溶分のままであるため、やはり本発明の構成を満たさない。
本発明の構成を満たすような樹脂成分は、例えば、ポリエステル系樹脂と分子量10000〜1000000の範囲にメインピークを有するビニル系樹脂とをハイブリッド化し、ハイブリッド化されることによってテトラヒドロフラン不溶分になった場合に得られるものである。
よって、残留物のテトラヒドロフラン可溶分が分子量10000〜1000000にメインピークを有するということは、分子量の大きい(即ち、分子量10000〜1000000の領域にメインピークを有する)ビニル系樹脂成分とポリエステル系樹脂成分とがハイブリッド化されているということを表す。
即ち、樹脂成分に由来するテトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、残留物のテトラヒドロフラン可溶分が、GPCによって測定される分子量分布において、分子量10000〜1000000にメインピークを有するような結着樹脂は、分子量が大きく、架橋点間分子量の大きいゲル構造を有している。そのため、トナーの結着樹脂として用いた場合には、溶融混練等を経てトナーを製造した場合であってもゲル分の切断が生じにくく、改めてゲル分が生じるような処置(例えば、金属架橋)を施さなくても、本発明の目的とする効果を得られやすい。
このようなテトラヒドロフラン不溶分を含有するトナーは、定着時に少ない熱量でもゲル成分であるテトラヒドロフラン不溶分が分子運動をしやすくなり、架橋点間分子量が小さいゲル成分を含有する場合と比較して結着樹脂が熱で軟化しやすくなるため、定着性が向上する。さらに、このようなゲル成分は、高温でも高い粘度を維持することが可能になり、耐高温オフセット性を改良することができる。また、少量のゲル成分でも耐高温オフセット性を維持できる為に、低分子量成分を多く含有させることが出来、更に定着性を改良することも可能となる。
テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、その残留物のテトラヒドロフラン可溶分のメインピーク分子量が10000未満であると、ゲル成分が硬くなりやすく、定着性が低下する。また、架橋点間分子量が小さくなるので、ゲル成分に柔軟性がなくなり、トナー化の混練時の剪断力でゲル成分が切れやすくなり、耐高温オフセット性が低下する。また、結晶性ポリエステルやワックスをゲル成分内部に取り込みにくくなり、保存性が低下したり、迅速な定着性が低下する場合がある。メインピーク分子量が1000000より大きいと、ゲル成分をトナー中に均一に分散させることが難しくなり、結果、トナーに含有される他の成分の均一な分散性が阻害され、トナーとしての帯電性が低下する。また、結晶性ポリエステルがゲル成分内部に留まりにくくなり、ワックスの押出し効果など目的とする効果が得られにくくなる。テトラヒドロフラン不溶分中に含まれるポリエステル系樹脂成分を加水分解し、残留物のテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布は、以下のような手順で測定できる。
まず、トナーから結着樹脂由来のテトラヒドロフラン不溶分を取り出し、このテトラヒドロフラン不溶分をアルカリ性水溶液中で加熱し、ポリエステル系樹脂ユニットを加水分解して取り除く。ビニル系樹脂成分は加水分解されずに樹脂成分として残留するため、残留物を抽出してGPCにより分子量分布を測定する。具体的な測定法を以下に示す。
(1)テトラヒドロフラン不溶分の分離
トナーを秤量し、円筒ろ紙(例えばNo.86Rサイズ28mm(高さ)×10mm(直径) 東洋ろ紙社製)に入れてソックスレー抽出器にかける。溶媒としてテトラヒドロフラン200mlを用いて、テトラヒドロフラン可溶分を16時間抽出する。このとき、テトラヒドロフランの抽出サイクルが約5分に1回になるような還流速度で抽出を行う。抽出終了後、円筒ろ紙を取り出し、円筒ろ紙上のトナーのテトラヒドロフラン不溶分を採取する。
トナーが磁性体を含有する磁性トナーの場合、この採取したテトラヒドロフラン不溶分をビーカーに入れ、テトラヒドロフランを加えてに充分に分散させた後、ビーカー底部に磁石を近づけて磁性体をビーカー底部に沈殿、固定させる。この状態でテトラヒドロフランとテトラヒドロフランに分散されたゲル成分を別の容器に移し替えることで磁性体を取り除き、テトラヒドロフランをエバポレートすることで、結着樹脂由来のテトラヒドロフラン不溶分を分離する。
(2)加水分解による残留物の分離
得られた結着樹脂由来のテトラヒドロフラン不溶分を2mol/リットルのNaOH水溶液に1質量%の濃度で分散させ、耐圧容器を用いて、150℃、24時間の条件で加水分解する。この加水分解液から以下のいずれかの手順で加水分解後の残留物を濾別する。
i)テトラヒドロフラン不溶分がエステル構造を有する成分を含有していない場合
加水分解液をメンブランフィルターを用いて吸引ろ過して残留物を分離する。これにより、ポリエステル系樹脂ユニットの分解物であるモノマー成分はろ液中に除去される。
ii)テトラヒドロフラン不溶分が、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステル等のエステル構造を有する成分を含有している場合
加水分解液中に存在する残留物は、ナトリウム塩(−COO-Na+)となっているため、残留物を濾別した後、残留物を水中に再度分散し、分散後、塩酸を加えて水をpH=2に調整して、残留物の有する−COO-基を−COOHとした。その後、メンブランフィルターでろ過分離した。
(3)上記(2)で分離された成分のGPC測定
上記(2)で分離された成分をテトラヒドロフランに溶解し、GPCにより分子量分布の測定を実施する。
また、テトラヒドロフラン不溶分としては、ビニル系樹脂成分を30〜90%含有していることが好ましい。テトラヒドロフラン不溶分中のビニル系樹脂成分の含有量は以下のようにして測定することができる。
まず、ハイブリッド樹脂の重合に用いたポリエステル系樹脂成分のモノマー組成と同一のモノマー組成でポリエステル樹脂を重合する。また、同様に、ハイブリッド樹脂の重合に用いたビニル系樹脂成分のモノマー組成と同一のモノマー組成でビニル系樹脂を重合する。このようにして得られたポリエステル樹脂とビニル系樹脂を充分に混合したものを検量線サンプルとする。ポリエステル系樹脂とビニル系樹脂を任意の比率で変化させた混合サンプルを数点作製し、IR測定により検量線を作成し、この検量線を用いてテトラヒドロフラン不溶分中のビニル系樹脂成分の含有量を算出する。
例えば、後述する実施例のハイブリッド樹脂製造例1では、ポリエステルのピークとして、フタル酸のベンゼン環由来のピーク(約730cm-1)とビスフェノール誘導体のベンゼン環由来のピーク(約830cm-1)の面積の和をポリエステル樹脂部とし、ビニル系樹脂のピークとして、スチレンのベンゼン環由来のピーク(約700cm-1)の面積をビニル系樹脂部として、検量線を元にビニル系樹脂成分の含有量を算出した。
また、本発明のトナーは、トナーのテトラヒドロフラン可溶分が、GPCにより測定される分子量分布において、分子量2000〜30000(好ましくは3000〜20000、より好ましくは5000〜10000)の範囲にメインピークを有することが好ましく、また、分子量40000〜1000000の範囲の成分を3〜50質量%(好ましくは3〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%)含有していることが好ましい。
トナーのテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布において、低分子量域にメインピークを有し、高分子量域の成分を一定量含有し、さらには前述したようなゲル成分を持たせることで、高いレベルの定着性と耐高温オフセット性を維持しながら、長期の使用にわたり安定した現像性(高耐久性)を与えることが可能になる。
本発明の特徴である、架橋点間分子量の大きいハイブリッド樹脂は、2000〜30000にピーク分子量を持つような低分子量成分を架橋構造内に取り込みやすいため、ゲル成分が熱による溶融をしやすくなり、定着性が向上する。また、分子量40000〜1000000の範囲の高分子量成分が、低分子量成分とゲル成分の混合性を高める為、高温オフセット性を向上させる。また、ゲル成分がトナー中に均一に混合されることでトナー製造時の粉砕性が向上し、粉砕時に発生する超微粉や粗大粉が大幅に少なくなる。その結果、トナーの帯電を阻害する因子が減少し、優れた現像耐久性を持たせることが可能になる。
トナーのテトラヒドロフラン可溶分のメインピーク分子量が2000未満であると、トナーの保存性や現像性が低下しやすく、逆に、30000より大きいと、定着性が低下しやすい。
トナーのテトラヒドロフラン可溶分において、分子量40000〜1000000の範囲の成分の含有量が3質量%未満であると、ゲル成分の均一混合性が低下しやすく、耐高温オフセット性の改良効果が十分に得られにくい。また、粉砕時に超微粉や粗大粉が発生しやすくなり、現像耐久性が低下する傾向にある。分子量40000〜1000000の範囲の成分の含有量が50質量%より多いと、本発明のトナーを用いても、トナー粘度が高くなりすぎて定着性が低下する傾向にある。
本発明における結着樹脂は、本発明のハイブリッド樹脂単独で用いることも可能であるが、他の樹脂成分を含有する混合物であっても良い。例えば、ハイブリッド樹脂とビニル系樹脂との混合物、又はハイブリッド樹脂とポリエステル樹脂との混合物、又はポリエステル樹脂とハイブリッド樹脂とビニル系樹脂の混合物などが挙げられる。
ハイブリッド樹脂としては、(i)アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの如きカルボン酸エステル基を有するモノマー成分を重合したビニル系樹脂成分とポリエステル系樹脂成分との間でエステル交換反応を行うことによって形成されるもの、(ii)アクリル酸やメタクリル酸の如きカルボン酸基を有するモノマー成分を重合したビニル系樹脂成分とポリエステル成分との間でエステル化反応が生じることによって形成されるもの、(iii)フマル酸のような不飽和結合を持つモノマーを用いて重合された不飽和ポリエステル樹脂成分の存在下でビニル系モノマーを重合して形成されるもの、などが挙げられる。
ハイブリッド樹脂は、上記の(i)、(ii)のように、ビニル系樹脂成分及び/又はポリエステル樹脂成分中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含有させ、それらを反応させることによって得ることができる。ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうち、ビニル系樹脂成分と反応し得るものとしては、例えば、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。ビニル系樹脂成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、アクリル酸やメタクリル酸の如きカルボキシル基を有するビニルモノマーやヒドロキシ基を有するビニルモノマーが挙げられる。
特に、本発明で用いる結着樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂の存在下でビニル系モノマーを、不飽和ポリエステル樹脂:ビニル系モノマー=30:70〜90:10(好ましくは、50:50〜90:10、より好ましくは60:40〜80:20)の質量比で塊状重合することにより得られるハイブリッド樹脂であることが好ましい。不飽和ポリエステル樹脂の質量比が30:70よりも少ないと本発明のトナー構成においても、定着性が低下しやすく、90:10よりも多いと耐高温オフセット性が低下しやすい。
本発明の塊状重合法で得られるハイブリッド樹脂に用いられる不飽和ポリエステル樹脂としては、テトラヒドロフラン可溶分が、GPCで測定される分子量分布において、分子量2000〜30000(好ましくは3000〜20000、より好ましくは5000〜10000)の範囲にメインピークを有するような低分子量の不飽和ポリエステル樹脂であることが好ましい。さらには、ゲル成分を含まない線状の不飽和ポリエステル樹脂であることが特に好ましい。メインピーク分子量が2000より小さいと現像性が低下しやすく、30000より大きいと定着性が低下しやすい。
さらに、本発明で用いられる不飽和ポリエステル樹脂としては、テトラヒドロフラン可溶分の数平均分子量(Mn)が2000〜20000(より好ましくは3000〜10000)であるものが好ましい。数平均分子量(Mn)が2000より小さいと、ハイブリッド樹脂にゲル成分が生成しにくく、耐高温オフセット性や現像耐久性が低下しやすい。数平均分子量(Mn)が20000よりも大きいと、不飽和ポリエステル樹脂のビニル系モノマーへの溶解性が低くなって塊状重合によりハイブリッド樹脂を得ることが難しくなり、ポリエステル系樹脂とビニル系樹脂が分離したり、トナーの帯電性が低下したりする場合がある。
また、本発明で用いる不飽和ポリエステル樹脂は、定着時のシャープメルト性の観点から、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.0〜5.0(より好ましくは1.0〜3.0)であるものが好ましい。
また、本発明で用いられる不飽和ポリエステル樹脂は、酸価が0.1〜30.0mgKOH/g(好ましくは1.0〜20.0mgKOH/g、より好ましくは1.0〜10.0mgKOH/g)であることが好ましく、水酸基価が10.0〜60.0mgKOH/g(好ましくは20.0〜60.0mgKOH/g、より好ましくは30.0〜50.0mgKOH/g)であることが、トナーに良好な帯電性を付与できるため好ましい。
ポリエステル系樹脂ユニットを形成する際に用いることのできるモノマーを以下に例示する。
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また(A)式で表わされるビスフェノール及びその誘導体;
Figure 0004898383
(式中Rは、エチレンまたはプロピレン基であり、x,yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0〜10である。)
また(B)式で示されるジオール類;
Figure 0004898383
2価の酸成分としては、例えばフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベンゼンジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸などのアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類、又はその無水物、低級アルキルエステル;等のジカルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
また、不飽和ポリエステル樹脂を得る為の不飽和結合を持つ酸成分としては、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル等が好ましく用いられる。
これら不飽和ジカルボン酸は、ポリエステルモノマーの全酸成分に対して、0.1〜10mol%(好ましくは0.3〜5mol%、より好ましくは0.5〜3mol%)の割合で用いることが好ましい。この範囲で不飽和ジカルボン酸を添加した場合に、低分子量ポリエステル分子中に占める不飽和結合濃度が適当となり、適度な架橋点間距離を有してポリエステル樹脂とビニル系樹脂とのハイブリッド化が生じる。
また必要に応じて3価以上のアルコール成分や3価以上の酸成分を使用することも可能である。
3価以上の多価アルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えばピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル;次式
Figure 0004898383
(式中Xは炭素数3以上の側鎖を1個以上有する炭素数5〜30のアルキレン基又はアルケニレン基)
で表わされるテトラカルボン酸等、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル等の多価カルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。なかでも、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸およびこれらの無水物、低級アルキルエステルが好ましい。
ポリエステル系樹脂ユニットにおいては、アルコール成分が40〜60mol%(より好ましくは45〜55mol%)であり、酸成分が60〜40mol%(より好ましくは55〜45mol%)であることが好ましい。また三価以上の多価の成分は、全成分中の0.1〜60mol%(より好ましくは0.1〜20mol%)であることが好ましい。
ポリエステル系樹脂は通常一般に知られている縮重合によって得られる。ポリエステル樹脂の重合反応は通常触媒の存在下150〜300℃、好ましくは170〜280℃程度の温度条件下で行われる。また反応は常圧下、減圧下、もしくは加圧下のいずれでも行うことができるが、所定の反応率(例えば30〜90%程度)に到達後は反応系を200mmHg以下、好ましくは25mmHg以下、更に好ましくは10mmHg以下に減圧し、反応を行うのが望ましい。
上記触媒としては、通常ポリエステル化に用いられる触媒、例えばスズ、チタン、アンチモン、マンガン、ニッケル、亜鉛、鉛、鉄、マグネシウム、カルシウム、ゲルマニウム等の金属;およびこれら金属含有化合物(ジブチルスズオキサイド、オルソジブチルチタネート、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酢酸コバルト、酢酸ナトリウム、三酸化アンチモンなど)が挙げられる。
本発明では、重合反応の制御のしやすさや、ビニル系モノマーとの反応性の高さからチタン化合物が好ましく用いられ、特に好ましいものとしてテトライソプロピルチタネート、シュウ酸チタン酸二カリウム、テレフタル酸チタン酸カリウムが挙げられる。この際、結着樹脂の着色防止として酸化防止剤(特にリン系酸化防止剤)や、反応促進剤として助触媒(マグネシウム化合物が好ましく、特に酢酸マグネシウムが好ましい)を添加することが特に好ましい。
反応物の性質(例えば酸価、軟化点等)が所定の値に到達した時点、あるいは反応機の攪拌トルクまたは攪拌動力が所定の値に到達した時点で反応を停止させることによって本発明のポリエステル系樹脂を得ることができる。
本発明において、ビニル系樹脂とは、ビニル系ホモポリマーもしくはビニル系コポリマーを意味するものである。
ビニル系樹脂を得る為のモノマーとしては、次のようなものが挙げられる。
例えばスチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの如きスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン,イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸誘導体もしくはメタクリル酸誘導体が挙げられる。これらのビニルモノマーは単独もしくは2つ以上のモノマーを混合して用いられる。
これらの中でもスチレン系共重合体、スチレンアクリル系共重合体となるようなモノマーの組み合せが好ましい。
さらに、結着樹脂の酸価を調整するモノマーとして、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸などのアクリル酸及びそのα−或いはβ−アルキル誘導体、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸及びそのモノエステル誘導体又は無水マレイン酸などがあり、このようなモノマーを単独、或いは混合して、他のモノマーと共重合させることにより所望の結着樹脂を作ることができる。この中でも、特に不飽和ジカルボン酸のモノエステル誘導体を用いることが酸価をコントロールする上で好ましい。
より具体的には、例えば、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノアリル、マレイン酸モノフェニル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノフェニルなどのようなα,β−不飽和ジカルボン酸のモノエステル類;n−ブテニルコハク酸モノブチル、n−オクテニルコハク酸モノメチル、n−ブテニルマロン酸モノエチル、n−ドデセニルグルタル酸モノメチル、n−ブテニルアジピン酸モノブチルなどのようなアルケニルジカルボン酸のモノエステル類;フタル酸モノメチルエステル、フタル酸モノエチルエステル、フタル酸モノブチルエステルなどのような芳香族ジカルボン酸のモノエステル類;などが挙げられる。
以上のようなカルボキシル基含有モノマーは、ビニル系樹脂を合成する際に用いられる全モノマーに対し0.1〜30質量%用いればよい。
本発明のゲル成分中に含まれるビニル系樹脂成分は、直鎖性が高いものが好ましい為、架橋性モノマーは含有しないものがより好ましいが、本発明の目的を達成する為に、以下に例示する様な架橋性モノマーを添加することも可能である。
架橋性モノマーとしては主として2個以上の重合可能な二重結合を有するモノマーが用いられる。芳香族ジビニル化合物(例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等);アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグルコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングルコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び、以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);ポリエステル型ジアクリレート化合物類(例えば、商品名MANDA(日本化薬))が挙げられる。多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート等が挙げられる。
これらの架橋剤は、他のビニル系モノマー成分100質量部に対して、0.001〜1質量部で用いることが好ましく、より好ましくは0.001〜0.05質量部の範囲で用いられる。
ビニル系樹脂は、以下に例示する様な多官能性重合開始剤を単独で、あるいは多官能性重合開始剤と単官能性重合開始剤とを併用して生成することが好ましい。
多官能構造を有する多官能性重合開始剤の具体例としては、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ヘキシルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−アミルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−2−メチルシクロヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,3−ビス−(ネオデカノールパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(2−エチルヘキサノールパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(m−トルオールパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、トリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ヘキシルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−アミルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロドデカン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレリックアシッド−n−ブチルエステル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロイソフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート、ジーt−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−t−ブチルパーオキシオクタン及び各種ポリマーオキサイド等の1分子内に2つ以上のパーオキサイド基などの重合開始機能を有する官能基を有する多官能性重合開始剤、及びジアリルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート及びt−ブチルパーオキシイソプロピルフマレート等の1分子内に、パーオキサイド基などの重合開始機能を有する官能基と重合性不飽和基の両方を有する多官能性重合開始剤が挙げられる。
これらの内、より好ましいものは、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、及び2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンである。
これらの多官能性重合開始剤は、効率の点からモノマー100質量部に対し0.01〜10質量部用いるのが好ましい。
さらに、これらの多官能性重合開始剤を単官能性重合開始剤と併用する場合には、半減期が10時間となる温度(10時間半減期温度)が該多官能性重合開始剤よりも低い単官能性重合開始剤と併用することが好ましい。
具体的には、ベンゾイルパーオキシド、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキシド、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシクメン、ジーt−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾアミノアゾベンゼン等のアゾおよびジアゾ化合物等が挙げられる。
これらの単官能性重合開始剤は、前記多官能性重合開始剤と同時にモノマー中に添加しても良いが、該多官能性重合開始剤の効率を適正に保つ為には、重合工程においてビニル系モノマーの重合添加率が50%以上に達した後に添加するのが好ましい。
本発明の結着樹脂は、上述した如く、前記のような不飽和ポリエステル樹脂成分存在下で、溶媒などを使わずにビニル系モノマーを重合する、塊状重合法によりハイブリッド樹脂を得ることが好ましい。特に、重合開始剤として、10時間半減期温度が100〜150℃のものを用い、重合開始剤の10時間半減期温度よりも30℃低い温度から、10時間半減期温度よりも10℃高い温度の範囲で、ビニル系モノマーの重合転化率が60%、好ましくは80%に達するまで重合反応を行い、塊状重合により生成するビニル系樹脂成分の分子量を大きくすることが好ましい。さらに、重合転化率が60%(好ましくは80%)に達した後に、10時間半減期温度よりも10℃以上高い温度で重合反応を行い、反応を終了させることが良い。このようにして得られた結着樹脂は酸価が0.1〜50mgKOH/g(好ましくは1〜40mgKOH/g、より好ましくは1〜30mgKOH/g)、水酸基価が5〜80mgKOH/g(好ましくは5〜60mgKOH/g、より好ましくは10〜50mgKOH/g)の範囲であることが、トナーの帯電性を安定させる点で好ましい。
上述した塊状重合において、ビニル系樹脂成分及び/またはポリエステル樹脂成分は複数の異なる分子量、架橋度を有する重合体成分を使用することができる。
本発明に用いられる結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50〜75℃であることが好ましい。結着樹脂のガラス転移温度が50℃未満であるとトナーの保存安定性が不十分となることがあり、75℃よりも大きいとトナーの定着性が不十分となることがある。結着樹脂のガラス転移温度は、一般的には出版物ポリマーハンドブック第2版III−p139〜192(John Wiley&Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度が45〜80℃を示すように、結着樹脂の構成物質(重合性単量体)を選択することにより調整することができる。また結着樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量計、例えばパーキンエルマー社製のDSC−7やTAインスツルメンツジャパン社製のDSC2920を用いて、ASTM D3418−82に準じて測定することができる。
本発明におけるトナーは、上述したポリエステル成分の他に、さらに結晶性ポリエステル成分を含有することが重要である。ここで結晶性ポリエステルとは、示差走査熱量(DSC)測定において昇温時に吸熱ピークがあり、かつ降温時に発熱ピークがあるポリエステルをいう。ここでDSC測定は「ASTM D 3417−99」に準じて行う。
本発明では、示差走査熱量計(DSC)測定より得られる吸熱曲線において、結晶性ポリエステルは50〜130℃の範囲に吸熱ピークのピークトップを有することが重要である。より好ましくは55〜120℃、さらに好ましくは、60℃〜110℃である。結晶性ポリエステルの融点が50℃未満であると、トナーの保存安定性が劣る傾向にある。一方、結晶性ポリエステルの融点が130℃よりも高いと迅速な定着性が低下する傾向があり好ましくないだけでなく、トナーの粉砕性が悪化する傾向がある。
結晶性ポリエステルの示差走査熱量(DSC)測定における最大吸熱ピークのピークトップの温度は、例えば用いるモノマーの種類や分子量を適宜選択することにより調整することができる。
前記DSC測定は、ASTM D 3417−99に準じて行うことができる。例えばパーキンエルマー社製DSC−7、TAインストルメント社製DSC2920、TAインストルメント社製Q1000を用いて測定される。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプル(ポリエステル)はアルミニウム製のパンに入れられて測定され、対照として空のパンをセットして測定する。
本発明のトナーに含まれる結晶性ポリエステルは、加熱されると結着樹脂と相溶することがある。通常のDSCの測定モードでは、昇温、降温、昇温の過程を含み、2回目の昇温時におけるDSC曲線からピークトップ温度を求める。その際、一回目の昇温の段階で180℃までゆっくりと加熱すると、結晶性ポリエステルの一部が結着樹脂と相溶することがある。そのため、本発明のトナーに含まれる結晶性ポリエステルのDSC測定を、通常の測定モードで行うことは好ましくない。
従って、本発明のトナーに含まれる結晶性ポリエステルのDSC測定は、以下に示すモジュレーティッドモードを用いて測定される。得られた昇温時におけるDSC曲線から、最大吸熱ピークのピークトップの温度を求める。
<モジュレーティッドモード測定条件>
・20℃で1分間平衡を保つ。
・振幅1.5℃、周波数1/minのモジュレーションをかけながら、180℃まで2 ℃/分で昇温。
・180℃で10分間平衡に保つ。
・振幅1.5℃、周波数1/minのモジュレーションをかけながら、2℃/分で20 ℃まで降温。
本発明のトナーは、結着樹脂に対して結晶性ポリエステルを2〜30質量%含有することが好ましく、3〜25質量%含有することがより好ましい。結晶性ポリエステルの含有量が2質量%未満では上述した本発明の効果が十分に得られ難い。また、結晶性ポリエステルは吸湿し易いため、その含有量が結着樹脂に対して30質量%よりも多いとトナーの帯電の均一性が損なわれ易く、カブリの増加等を招く傾向があるために好ましくないだけでなく、理由は定かではないが、トナーの粉砕性が低下する傾向があり好ましくない。
上記結晶性ポリエステルは2価以上の多価カルボン酸とジオールの反応により得ることができる。その中でも、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を主成分とするポリエステルが、結晶化度が高く好ましい。
特に、本発明においては、炭素数2〜22の脂肪族ジオールと、炭素数2〜22の脂肪族ジカルボン酸とを主成分として含むポリエステルが好ましい。ここで「主成分として含む」とは、単量体組成物の50モル%以上(好ましくは70モル%以上)が上記脂肪族ジカルボン酸あるいは脂肪族ジオールであることを意味する。理由は定かではないが、おそらく、単量体組成物の主成分を、炭素数2〜22の脂肪族ジオールと、炭素数2〜22の脂肪族ジカルボン酸の組み合わせとすることにより、得られる結晶性ポリエステルの分子配列の秩序を高めることができ、したがって結晶化度を高めることができると考えられる。
前記単量体組成物の酸成分とアルコール成分の比率(モル基準)は、酸成分:アルコール成分=60:40〜40:60であることが好ましい。
炭素数2〜22(より好ましくは炭素数2〜12)の脂肪族ジオールとしては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジオールであることが好ましい。鎖状の脂肪族ジオールの例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブタジエングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ノナメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどが含まれる。これらの中でも、特にエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオールの如き直鎖脂肪族α,ω−ジオールが好ましく例示される。
アルコール成分のうち、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上が、炭素数2〜22の脂肪族ジオールから選ばれるアルコールである。
本発明における結晶性ポリエステルの特性を損なわない程度に、上記脂肪族ジオール以外の多価アルコール単量体を用いることもできる。該多価アルコール単量体のうち2価アルコール単量体の例には、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等の芳香族アルコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等が含まれる。また、該多価アルコール単量体のうち3価以上の多価アルコール単量体の例には、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の芳香族アルコール;ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の脂肪族アルコール等が含まれる。
さらに、本発明における結晶性ポリエステルの特性を損なわない程度に1価のアルコ−ルを用いてもよい。該1価のアルコールの例には、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、ラウリルアルコール、2−エチルヘキサノール、デカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ドデシルアルコール等の1官能性モノマーなどが含まれる。
一方、炭素数2〜22(より好ましくは炭素数4〜14)の脂肪族ジカルボン酸としては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。脂肪族ジカルボン酸の具体的な例には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、およびイタコン酸、ならびにこれらの酸無水物が含まれる。
さらに、低級アルキルエステルを加水分解させて前記脂肪族ジカルボン酸として用いることもできる。
カルボン酸成分のうち、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上が、炭素数2〜22の脂肪族ジカルボン酸から選ばれるカルボン酸である。
炭素数2〜22の脂肪族ジカルボン酸以外の多価カルボン酸を含んでいても良い。その他の多価カルボン酸単量体のうち2価のカルボン酸の例には、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族カルボン酸;n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸の脂肪族カルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸が含まれ、これらの酸無水物も含まれる。さらに、低級アルキルエステルを加水分解させて2価のカルボン酸として用いてもよい。
また、その他のカルボン酸単量体のうち、3価以上の多価カルボン酸の例には、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、等の脂肪族カルボン酸が含まれ、これらの酸無水物も含まれる。さらに、低級アルキルエステルを加水分解させて多価カルボン酸として用いてもよい。
さらに、本発明における結晶性ポリエステルの特性を損なわない程度に1価のカルボン酸を含有していてもよい。1価のカルボン酸の例には、安息香酸、ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、フェノキシ酢酸、ビフェニルカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸などのモノカルボン酸が含まれる。
本発明における結晶性ポリエステルは、通常のポリエステル合成法に従って製造することができる。例えば、前記したカルボン酸単量体とアルコ−ル単量体とをエステル化反応、またはエステル交換反応せしめた後、減圧下または窒素ガスを導入して常法に従って重縮合反応させることで所望の結晶性ポリエステルを得ることができる。
前記エステル化またはエステル交換反応は、必要に応じて硫酸、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウムなどの通常のエステル化触媒またはエステル交換触媒を用いて行うことができる。
また前記重縮合反応は、通常の重合触媒、例えばチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムなど公知の触媒を使用して行うことができる。重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、適宜に決めればよい。
エステル化もしくはエステル交換反応または重縮合反応において、得られるポリエステル成分の強度を上げるために全単量体を一括に仕込むこと;または、得られるポリエステル成分の低分子量成分を少なくするために2価の単量体を先ず反応させた後、3価以上の単量体を添加して反応させること;などができる。
本発明のトナーに用いる結晶性ポリエステルの数平均分子量は2,000〜10,000であることが好ましく、より好ましくは2,000〜6,000である。結晶性ポリエステルの数平均分子量が2,000未満の場合、トナー製造時に結着樹脂への相溶を生じ易く、本発明の目的とする効果が得られにくいだけでなく、トナーの保存安定性や耐久性を悪化させやすい。
一方、結晶性ポリエステルの数平均分子量が10,000よりも大きいと良好な分散性が得られ難く、更には熱に対する応答性が低下(溶融するまでに時間がかかる等)してしまいやすく、低温定着性が低下する傾向があるだけでなく、トナーの粉砕性を低下させる傾向がある。
結晶性ポリエステルの数平均分子量はGPC法により求められる。具体的な測定手順としては、測定対象であるポリエステル0.03gをo−ジクロロベンゼン10mlに分散して溶解させる;得られた溶液を135℃において24時間振投機で振投する;浸透された溶液を0.2μmフィルターで濾過する;得られた濾液を試料として、以下の分析条件にて測定する。
[分析条件]
分離カラム:Shodex (TSK GMHHR−H HT20)×2
カラム温度:135℃
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
移動相流速:1.0ml/min.
試料濃度 :約0.3%
注入量 :300μl
検出器 :示差屈折率検出器 Shodex RI−71
また、試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂により作成した分子量校正曲線を使用する。標準ポリスチレン樹脂の例には、東ソー社製TSK スタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500が含まれる。
結晶性ポリエステルと後述するワックスは、トナー製造時に結着樹脂、着色剤、必要に応じて荷電制御剤等とともに混合してもよいが、結着樹脂製造時に添加すると、本発明の目的を達成するうえでより好ましい。
結着樹脂製造時にワックス及び/又は結晶性ポリエステルを添加する方法としては、結着樹脂の重合終了前のいずれかのタイミングで添加する方法、または、重合完了後、溶融状態の結着樹脂に添加する方法、または結着樹脂と混合し、溶融混練する方法などが挙げられる。ゲル成分中に、結晶性ポリエステルやワックスを取り込ませるためには、結着樹脂の重合終了前のいずれかのタイミングで添加する方法が好ましい。ワックス/又は結晶性ポリエステルの一部を、結着樹脂の重合終了前のタイミングで添加し、トナー製造時に、さらにワックス/又は結晶性ポリエステルを添加してもよい。
特に、本発明では、不飽和ポリエステル樹脂の存在下で、ビニル系モノマーを塊状重合することが特徴であるが、さらに、ワックス及び/又は結晶性ポリエステル存在下で、ビニル系モノマーを塊状重合することにより、ゲル成分の形成とゲル成分内部への結晶性ポリエステルやワックスの取り込みが並行して行われるために、より効率的にゲル成分内部に取り込まれやすい。
ワックスと結晶性ポリエステルの添加のタイミングは異なっていても良く、例えば樹脂製造時にワックスもしくは、結晶性ポリエステルのどちらか一方を添加して、トナー製造時に残る一方を添加する方法でもよい。ワックスは、樹脂へのワックス分散の点で、結晶性ポリエステルはゲル成分内部への取り込みの点で、少なくとも一部は樹脂製造時、とくにビニル系モノマーの塊状重合前に添加することが好ましい。ワックスの分散が十分でないと、カブリなどの問題を起こしやすい。
一般的に塊状重合の重合温度は、ポリエステルの重合温度よりも低い設定であるために、結晶性ポリエステルの分解などが起こりにくい点でも、結着樹脂に結晶性ポリエステルを含有させるうえでは、塊状重合により結着樹脂を重合することは非常に有効である。
本発明のトナーはワックスを含有するが、1種又は2種以上のワックスを併用してもよい。ワックスの添加効果とトナーの長期保存性とを両立の観点から、その含有量は結着樹脂に対し2〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜10質量%である。ワックスの含有量が2質量%未満では上述したようなワックスの添加効果が十分に得られない。一方、20質量%を超えてしまうと長期間の保存性が悪化すると共に、ワックスや着色剤、荷電制御剤等のトナー材料の分散性が悪化する傾向があり、カブリの増大につながりやすい。
本発明においては、上記のように複数のワックスをトナーに含有させてもよいが、少なくとも1種のワックスが下記式を満たすことが好ましい。すなわち、ワックスの示差走査熱量(DSC)測定における最大吸熱ピークのピークトップの温度を、Tm1、結晶性ポリエステルの示差走査熱量(DSC)測定における最大吸熱ピークのピークトップの温度を、Tm2としたときに以下の式を満たすことが好ましい。
Tm1≦Tm2+10[℃]
ここで、トナー定着時におけるワックスと結晶性ポリエステルの挙動を詳細に検討したところ、ワックスは溶融すると結着樹脂への染み込みが起こり、トナー外部へ染み出すことによりワックスによる定着助剤効果、離型効果を発揮する。
一方、結晶性ポリエステルは融点付近の温度領域ではワックス、結着樹脂のいずれとも相溶せず、定着時に熱を受けた結晶性ポリエステルは溶融してドメインとして存在すると考えられる。
また、一般的に結晶性の物質は溶融すると体積膨張することが知られており、ワックス、結晶性ポリエステルも同様であった。このことから、トナーが含有する少なくとも1種のワックスの融点(Tm1)が結晶性ポリエステルの融点(Tm2)+10℃以下、即ち、Tm1≦Tm2+10℃であると、熱で溶融したワックスを結晶性ポリエステルがゲル成分内部及びトナー粒子内から押し出すようになり、トナー表面へのワックスの染み出しを促進し、良好な定着性、離型性を得られるようになると考えられる。
一方、Tm1がTm2+10℃よりも高いと、結晶性ポリエステルによるワックスの押し出し効果が薄れる傾向があり、低温定着性が低下しやすい。
ワックスの融点(Tm1)は、定着性と保存性の観点から、好ましくは、50℃〜100℃、より好ましくは、60℃〜90℃である。Tm1が50℃よりも低いと、トナーの保存性が悪化する傾向があり、Tm1が100℃を超える場合には、迅速な定着性に劣る傾向があり、それぞれ好ましくない。
本発明に使用できるワックスは、特に限定されないが、具体的には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス及びその誘導体;モンタンワックス及びその誘導体;フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体;カルナバワックス、キャンデリラワックス等天然ワックス及びその誘導体などである。ここで、誘導体は酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。更には、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸及びその化合物;酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体;植物系ワックス;動物性ワックスなども使用できる。
本発明のトナーは更に磁性材料を含有させ磁性トナーとしても使用しうる。この場合、磁性材料は着色剤の役割をかねることもできる。
本発明において、磁性トナー中に含まれる磁性材料としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属或はこれらの金属と、アルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金及びその混合物等が挙げられる。
これらの磁性材料は個数平均粒子径が2.0μm以下、好ましくは0.05〜0.5μmのものが好ましい。トナー中に含有させる量としては結着樹脂100質量部に対し20〜200質量部であることが好ましく、特に好ましくは樹脂成分100質量部に対し40〜150質量部である。
本発明に用いられる着色剤は、黒色着色剤としてカーボンブラック,グラフト化カーボンや以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用可能である。
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代表される化合物等が用いられる。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物,ジケトピロロピロール化合物,アントラキノン,キナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合物,ペリレン化合物等が用いられる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体,アントラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物等が利用できる。これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。
本発明の着色剤は、色相角,彩度,明度,耐候性,OHP透明性,トナー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対し1〜20質量部添加して用いられる。
本発明のトナーには、荷電制御剤を含有させることが好ましい。トナーを負荷電性に制御するものとして下記物質がある。
例えば有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属化合物がある。他には、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体でもよい。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。
また、負帯電性の荷電制御剤としては、次に示した一般式(1)で表されるアゾ系金属化合物、一般式(2)で表されるオキシカルボン酸金属化合物が好ましい。
Figure 0004898383
〔式中、Mは配位中心金属を表し、Sc、Ti、V、Cr、Co、Ni、Mn、Fe等があげられる。Arはアリール基であり、フェニレン基、ナフチレン基などがあげられ、置換基を有してもよい。この場合の置換基としては、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アニリド基および炭素数1〜18のアルキル基、アルコキシ基などがある。X,X’、Y,Y’は−O−、−CO−、−NH−、−NR−(Rは炭素数1〜4のアルキル基)である。A+は水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、脂肪族アンモニウムイオン、それらの混合物を表すが、A+は存在しない場合もある。〕
特に、中心金属としてはFe又はCrが好ましく、置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アニリド基が好ましい。
Figure 0004898383
特に、中心金属としてはFe,Cr,Si,Zn,Zr,Alが好ましく、置換基としてはアルキル基、アニリド基、アリール基、ハロゲンが好ましく、カウンターイオンは水素イオン、アンモニウムイオン、脂肪族アンモニウムイオンが好ましい。
そのうちでも、式(1)で表されるアゾ系金属化合物がより好ましく、とりわけ、下記式(3)で表されるアゾ系鉄化合物が最も好ましい。
Figure 0004898383
次に、該化合物の具体例を示す。
Figure 0004898383
Figure 0004898383
正荷電性の荷電制御剤としては下記の物質が例示される。ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変成物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾール化合物。これらを単独で或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、トリフェニルメタン化合物、カウンターイオンがハロゲンでない四級アンモニウム塩が好ましく用いられる。
また、一般式(4)
Figure 0004898383
〔式中、R1はH又はCH3を示し、R2及びR3は置換または未置換のアルキル基(好ましくは、C〜C)を示す〕
で表されるモノマーの単重合体;前述したスチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの如き重合性モノマーとの共重合体を正荷電性制御剤として用いることができる。この場合これらの荷電制御剤は、結着樹脂(の全部または一部)としての作用をも有する。
特に下記一般式(5)で表される化合物が本発明の構成においては好ましい。
Figure 0004898383
〔式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、各々互いに同一でも異なっていてもよい水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基または、置換もしくは未置換のアリール基を表し、R7、R8及びR9は、各々互いに同一でも異なっていてもよい水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基を表し、A-は、硫酸イオン、硝酸イオン、ほう酸イオン、りん酸イオン、水酸イオン、有機硫酸イオン、有機スルホン酸イオン、有機りん酸イオン、カルボン酸イオン、有機ほう酸イオン又はテトラフルオロボレートから選択される陰イオンを示す。〕
また、四級アンモニウム塩基を有する重合体又は共重合体を用いることも可能である。
負帯電用として好ましいものは、例えばSpilon Black TRH、T−77、T−95(保土谷化学工業(株))、BONTRON(登録商標)S−34、S−44、S−54、E−84、E−88、E−89 (オリエント化学工業(株))があげられ、正帯電用としては好ましいものとしては、例えばTP−302、TP−415 (保土谷化学工業(株))、BONTRON(登録商標) N−01、N−04、N−07、P−51(オリエント化学工業(株))、コピーブルーPR(クラリアント社)が例示できる。
荷電制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー内部に添加する方法と外添する方法がある。これらの電荷制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。
本発明のトナーには、流動性向上剤を添加しても良い。流動性向上剤は、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものである。このような流動性向上剤としては、例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフウルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシラン化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理微粉末;酸化亜鉛、酸化スズの如き酸化物;チタン酸ストロンチウムやチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウムやジルコン酸カルシウムの如き複酸化物;炭酸カルシウム及び、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩化合物等が挙げられる。
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉末であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次のようなものである。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタン等の他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、シリカとしてはそれらも包含する。その粒径は、平均の一次粒径として、0.001〜2μmの範囲内であることが好ましく、特に0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用することが好ましい。
ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えばAEROSIL(日本アエロジル社)130、200、300、380、TT600、MOX170、MOX80、COK84、Ca−O−SiL(CABOT Co.社)M−5、MS−7、MS−75、HS−5、EH−5、Wacker HDK N 20(WACKER−CHEMIE GMBH社)V15、N20E、T30、T40、D−C Fine Silica(ダウコーニングCo.社)、Fransol(Fransil社)等の商品名で市販されているものがあり、本発明ではこれらも好適に用いることができる。
更には、本発明に用いられる流動性向上剤としては、前記ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。前記処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30〜80の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。
疎水化処理の方法としては、シリカ微粉体と反応或いは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的に処理する方法が挙げられる。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。
前記有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルフェニルジクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ブロモメトリジメチルクロロシラン、α−クロロエチルトリクロロシラン、β−クロロエチルトリクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び1分子当たり2〜12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。さらに、ジメチルシリコーンオイルの如きシリコーンオイルが挙げられる。これらは一種或いは二種以上の混合物で用いられる。
前記流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが好ましい。外添前のトナー粒子100質量部に対して流動性向上剤を総量で0.01〜8質量部、好ましくは0.1〜4質量部使用することが良い。
本発明のトナーは、前記流動性向上剤以外にも、必要に応じてさらに他の外添剤(例えば荷電制御剤等)を添加して用いることができる。
また、本発明のトナーは、一成分現像剤、或いは、キャリアと併用して二成分現像剤として用いることができる。二成分現像剤に用いる場合のキャリアとしては、従来知られているものがすべて使用可能であるが、具体的には、表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及びそれらの合金又は酸化物等の、平均粒径20〜300μmの粒子が好ましくは使用される。
また、それらキャリア粒子の表面に、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂を付着又は被覆させたもの等が好ましく使用される。
本発明のトナーを製造するには、結着樹脂及び着色剤、必要に応じて磁性体やワックス、荷電制御剤、その他の添加剤等をヘンシェルミキサー又はボールミルの如き混合機により十分混合してから、ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融、捏和及び混練して、結着樹脂中にワックスや磁性体を分散せしめ、冷却固化後、粉砕及び分級を行ってトナーを得ることができる。
本発明のトナーは、公知の製造装置を用いて製造することができ、例えば、以下の製造装置を用いることができる。
トナー製造装置としては、例えば混合機としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)等が挙げられる。
混練機としては、例えばKRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)等が挙げられる。
粉砕機としては、例えばカウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)等が挙げられる。
分級機としては、例えばクラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラッシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボジェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)等が挙げられる。
粗粒等をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、例えばウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い等が挙げられる。
本発明のトナーに係る各種物性の測定について以下に説明する。本発明では、トナー、及び結着樹脂のテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布、テトラヒドロフラン不溶分の含有量は、以下に示す方法によって測定することができる。
(1)テトラヒドロフラン可溶分の分子量の測定
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(テトラヒドロフラン)を毎分1mlの流速で流す。カラムとしては、103〜2×106の分子量領域を適確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合せや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKgurd columnの組み合せを挙げることができるが、特に昭和電工社製のshodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連カラムの組み合せが好ましい。
一方で、トナー、結着樹脂、或いはトナーのテトラヒドロフラン不溶分中に含まれるポリエステル系樹脂成分を加水分解し、残留物として得られるビニル系樹脂成分をテトラヒドロフランに分散し溶解後、1晩静置した後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ約0.5μm、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー社製)など使用できる。)で濾過し、その濾液を試料として用いる。試料濃度として樹脂成分が5mg/mlとなるように調整したトナーのテトラヒドロフラン溶液を100μl注入して測定する。なお、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.製あるいは、東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。
(2)テトラヒドロフラン不溶分量
結着樹脂又はトナーを秤量し、円筒ろ紙(例えばNo.86Rサイズ28mm×10mm 東洋ろ紙社製)に入れてソックスレー抽出器にかける。溶媒としてテトラヒドロフラン200mlを用いて、16時間抽出する。このとき、テトラヒドロフランの抽出サイクルが約5分に1回になるような還流速度で抽出を行う。抽出終了後、円筒ろ紙を取り出し、秤量することによって結着樹脂又はトナーの不溶分を得る。
トナーが樹脂成分以外のテトラヒドロフラン不溶分(例えば、磁性体、顔料、ワックス、荷電制御剤)を含有している場合、円筒ろ紙に入れたトナーの質量をW1gとし、抽出されたテトラヒドロフラン可溶樹脂成分の質量をW2gとし、トナーに含まれている樹脂成分以外のテトラヒドロフラン不溶成分の質量をW3gとすると、トナー中の樹脂成分のテトラヒドロフラン不溶分の含有量は下記式から求められる。
テトラヒドロフラン不溶分(質量%)=[{W1−(W3+W2)}/(W1−W3)] ×100
(3)樹脂の酸価の測定法
本発明における結着樹脂の酸価の測定は、下記のように実施することができる。基本操作はJIS K0070に準ずる。
1)結着樹脂の粉砕品0.5乃至2.0(g)を精秤し、結着樹脂の重さW(g)とする。
2)300(ml)のビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(4/1)の混合液150(ml)を加え溶解する。
3)0.1mol/リットルのKOHのメタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する(例えば、京都電子株式会社製の電位差滴定装置AT−400(win workstation)とABP−410電動ビュレットとを用いての自動滴定が利用できる。)。
4)この時のKOH溶液の使用量S(ml)とし、同時にブランクを測定しこの時のKOH溶液の使用量をB(ml)とする。
5)次式により結着樹脂の酸価を計算する。fはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)=((S−B)×f×5.61)/W
(4)樹脂の水酸基価の測定法
本発明における結着樹脂の水酸基価の測定は、下記のように実施することができる。
(A)試薬
(a)アセチル化試薬:無水酢酸25gをメスフラスコ100mlに入れ、ピリジンを加えて全量を100mlにし、十分に振りまぜる。アセチル化試薬は、湿気、炭酸ガス及び酸の蒸気に触れないようにし、褐色びんに保存する。
(b)フェノールフタレイン溶液:フェノールフタレイン1gをエチルアルコール(95vol%)100mlに溶かす。
(c)0.5mol/リットル−水酸化カリウムエチルアルコール溶液:水酸化カリウム35gをできるだけ少量の水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて1リットルとし、2〜3日間放置後ろ過する。標定はJIS K8006によって行う。
(B)操作
試料0.5〜2.0gを丸底フラスコに正しくはかりとり、これにアセチル化試薬5mlを正しく加える。フラスコの口に小さな漏斗をかけ、95〜100℃のグリセリン浴中に底部約1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首が浴の熱を受けて温度の上がるのを防ぐために、中に丸い穴をあけた厚紙の円盤をフラスコの首の付根にかぶせる。1時間後フラスコを浴から取り出し、放冷後漏斗から水1mlを加えて振り動かして無水酢酸を分解する。さらに分解を完全にするため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱し、放冷後エチルアルコール5mlで漏斗及びフラスコの壁を洗い、フェノールフタレイン溶液を指示薬として0.5mol/リットル−水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときを終点とする。なお、本試験と並行して空試験を行う。
(C)計算式
次式によって結着樹脂の水酸基価を算出する。
A=[{(B+C)×f×28.05}/S]+D
但し、
A:樹脂の水酸基価
B:空試験の0.5mol/リットル−水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量 (ml)
C:本試験の0.5mol/リットル−水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量 (ml)
f:0.5mol/リットル−水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター
S:試料の質量(g)
D:樹脂の酸価
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、これは本発明を何ら限定するものではない。
〈結晶性ポリエステル1の製造例〉
攪拌器、温度計、流出用冷却機を備えた反応装置に、1,10−デカンジカルボン酸230.3質量部(1.0モル部)と、ジエチレングリコール106.1質量部(1.0モル部)、テトラブチルチタネート0.50質量部を入れ、190℃でエステル化反応を行った。その後、220℃に昇温すると共に系内を徐々に減圧し、150Paで重縮合反応を行い、結晶性ポリエステル1を得た。結晶性ポリエステル1の融点は80.3℃、数平均分子量は3,600であった。
〈結晶性ポリエステル2の製造例〉
結晶性ポリエステル1の製造において、テトラブチルチタネートの添加量を0.68質量部に変更し、重縮合反応の時間を短くしたこと以外は、上記結晶性ポリエステル1の製造と同様にして結晶性ポリエステル2を得た。結晶性ポリエステル2の融点は79.5℃、数平均分子量は1,950であった。
〈結晶性ポリエステル3の製造例〉
結晶性ポリエステル1の製造において、テトラブチルチタネートの添加量を0.42質量部に変更し、重縮合反応の時間を長くしたこと以外は、上記結晶性ポリエステル1の製造と同様にして結晶性ポリエステル3を得た。結晶性ポリエステル3の融点は83.3℃、数平均分子量は6,300であった。
〈結晶性ポリエステル4の製造例〉
結晶性ポリエステル1の製造において、テトラブチルチタネートの添加量を0.33質量部に変更し、重縮合反応の時間を長くしたこと以外は、上記結晶性ポリエステル1の製造と同様にして結晶性ポリエステル4を得た。結晶性ポリエステル4の融点は81.5℃、数平均分子量は10,850であった。
〈結晶性ポリエステル5の製造例〉
攪拌器、温度計、流出用冷却機を備えた反応装置に、アジピン酸146.1質量部(1.0モル部)、ジエチレングリコール106.1質量部(1.0モル部)、及びテトラブチルチタネート0.50質量部を入れ、結晶性ポリエステル1の製造と同様に重縮合反応を行うことにより結晶性ポリエステル5を得た。結晶性ポリエステル5の融点は57.2℃、数平均分子量は3,720であった。
〈結晶性ポリエステル6の製造例〉
攪拌器、温度計、流出用冷却機を備えた反応装置に、コハク酸118.1質量部(1.0モル部)、エチレングリコール68.3質量部(1.1モル部)、及びテトラブチルチタネート0.50質量部を入れ、結晶性ポリエステル1の製造と同様に重縮合反応を行うことにより結晶性ポリエステル6を得た。結晶性ポリエステル6の融点は92.6℃、数平均分子量は4,080であった。
〈結晶性ポリエステル7の製造例〉
攪拌器、温度計、流出用冷却機を備えた反応装置に、コハク酸118.1質量部(1.0モル部)、1、6−ヘキサンジオール118.2質量部(1.0モル部)、及びテトラブチルチタネート0.50質量部を入れ、結晶性ポリエステル1の製造と同様に重縮合反応を行うことにより結晶性ポリエステル7を得た。結晶性ポリエステル7の融点は112.2℃、数平均分子量は4,050であった。
[結着樹脂製造例]
(ポリエステル樹脂製造例1)
ポリエステルモノマーを下記比率で混合する。
・前記式(A)で表されるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基,x+yの平均値: 2.2) 1.150mol
・テレフタル酸 0.430mol
・イソフタル酸 0.390mol
・フマル酸 0.010mol
・ドデセニル無水琥珀酸 0.170mol
これらに触媒としてテトラブチルチタネート0.1質量%を添加し、220℃で縮合重合して、不飽和ポリエステル樹脂P−1(Tg=58.2℃、メインピーク分子量=7750、数平均分子量(Mn)=4580、Mw/Mn=2.0、酸価=5.1mgKOH/g、水酸基価=37.2mgKOH/g)を得た。
(ポリエステル樹脂製造例2)
ポリエステルモノマーを下記比率で混合する以外は、ポリエステル樹脂製造例1と同様にして、不飽和ポリエステル樹脂P−2(Tg=59.5℃、メインピーク分子量=6500、数平均分子量(Mn)=3800、Mw/Mn=2.9、酸価=10.9mgKOH/g、水酸基価=55.5mgKOH/g)を得た。
・前記式(A)で表されるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基2.2モル付加)
1.150mol
・テレフタル酸 0.430mol
・イソフタル酸 0.370mol
・フマル酸 0.040mol
・ドデセニル無水琥珀酸 0.160mol
(ポリエステル樹脂製造例3)
ポリエステルモノマーを下記比率で混合する以外は、ポリエステル樹脂製造例1と同様にして、不飽和ポリエステル樹脂P−3(Tg=54.8℃、メインピーク分子量=4950、数平均分子量(Mn)=3080、Mw/Mn=3.4、酸価=16.8mgKOH/g、水酸基価=55.8mgKOH/g)を得た。
・前記式(A)で表されるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基2.2モル付加)
1.100mol
・テレフタル酸 0.420mol
・イソフタル酸 0.380mol
・フマル酸 0.040mol
・ドデセニル無水琥珀酸 0.160mol
(ポリエステル樹脂製造例4)
ポリエステルモノマーを下記比率で混合する以外は、ポリエステル樹脂製造例1と同様にして、不飽和ポリエステル樹脂P−4(Tg=59.7℃、メインピーク分子量=4600、数平均分子量(Mn)=2950、Mw/Mn=5.3、酸価=26.8mgKOH/g、水酸基価=68.2mgKOH/g)を得た。
・前記式(A)で表されるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基2.2モル付加)
1.150mol
・テレフタル酸 0.370mol
・イソフタル酸 0.290mol
・フマル酸 0.080mol
・ドデセニル無水琥珀酸 0.200mol
・トリメリット酸 0.060mol
(ポリエステル樹脂製造例5)
ポリエステルモノマーを下記比率で混合する以外は、ポリエステル樹脂製造例1と同様にして、飽和ポリエステル樹脂P−5(Tg=55.8℃、メインピーク分子量=7400、数平均分子量(Mn)=5050、Mw/Mn=2.6、酸価=5.3mgKOH/g、水酸基価=40.7mgKOH/g)を得た。
・前記式(A)で表されるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基2.2モル付加)
1.150mol
・テレフタル酸 0.430mol
・イソフタル酸 0.400mol
・ドデセニル無水琥珀酸 0.170mol
(ポリエステル樹脂製造例6)
ポリエステルモノマーを下記比率で混合する以外は、ポリエステル樹脂製造例1と同様にして、飽和ポリエステル樹脂P−6(Tg=56.5℃、メインピーク分子量=6900、数平均分子量(Mn)=3900、Mw/Mn=18.3、酸価=2.2mgKOH/g、水酸基価=25.5mgKOH/g)を得た。
・前記式(A)で表されるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基2.2モル付加)
1.200mol
・テレフタル酸 0.400mol
・イソフタル酸 0.100mol
・ドデセニル無水琥珀酸 0.500mol
・無水トリメリット酸 0.100mol
(ハイブリッド樹脂製造例1)
不飽和ポリエステル樹脂P−1:75質量部と、ビニル系モノマーとして、スチレン:18質量部、アクリル酸n−ブチル:6.5質量部、マレイン酸モノn−ブチル:0.5質量部、結晶性ポリエステル1:7質量部、パラフィンワックス(Mn450、Mw520、メインピーク分子量500、DSCピーク温度75.0℃):2質量部、開始剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキシン−3(10時間半減期温度128℃):0.08質量部を混合した。このビニル系モノマー/ポリエステル樹脂混合物を120℃で20時間かけてビニル系モノマーの重合転化率が96%になるまで重合後、さらに150℃に温度を上げて5時間保持して未反応のビニル系モノマーを重合させ、ハイブリッド樹脂を得た。これを結着樹脂1とする。
得られた結着樹脂1は、テトラヒドロフラン可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が7050であり、分子量40000〜1000000の範囲の成分を7.5質量%含有し、テトラヒドロフラン不溶分を20質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分のテトラヒドロフラン可溶分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。一般的には、ハイブリッド樹脂が含有されていない場合には、加水分解してもテトラヒドロフラン可溶分が生じない。このことより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(ハイブリッド樹脂製造例2)
ハイブリッド樹脂製造例1において、結晶性ポリエステル1を使用しない以外は、ハイブリッド樹脂製造例1と同様にして、ハイブリッド樹脂を得た。これを結着樹脂2とする。
得られた結着樹脂2は、テトラヒドロフラン可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が7080であり、分子量40000〜1000000の範囲の成分を7.7質量%含有し、テトラヒドロフラン不溶分を21質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分のテトラヒドロフラン可溶分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。一般的には、ハイブリッド樹脂が含有されていない場合には、加水分解してもテトラヒドロフラン可溶分が生じない。このことより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(ハイブリッド樹脂製造例3)
ハイブリッド樹脂製造例2において、ワックスを使用しない以外は、ハイブリッド樹脂製造例2と同様にして、ハイブリッド樹脂を得た。これを結着樹脂3とする。
得られた結着樹脂3は、テトラヒドロフラン可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が7100であり、分子量40000〜1000000の範囲の成分を7.8質量%含有し、テトラヒドロフラン不溶分を22.2質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分のテトラヒドロフラン可溶分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。一般的には、ハイブリッド樹脂が含有されていない場合には、加水分解してもテトラヒドロフラン可溶分が生じない。このことより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(ハイブリッド樹脂製造例4)
ハイブリッド樹脂製造例2において、パラフィンワックスのかわりに、フィッシャートロプシュワックス(Mn790、Mw1170、メインピーク分子量960、DSCピーク温度103.0℃)を2質量部使用した以外は、ハイブリッド樹脂製造例2と同様にして、ハイブリッド樹脂を得た。これを結着樹脂4とする。
得られた結着樹脂4は、テトラヒドロフラン可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が7050であり、分子量40000〜1000000の範囲の成分を7.6質量%含有し、テトラヒドロフラン不溶分を20.9質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分のテトラヒドロフラン可溶分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。一般的には、ハイブリッド樹脂が含有されていない場合には、加水分解してもテトラヒドロフラン可溶分が生じない。このことより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(ハイブリッド樹脂製造例5)
不飽和ポリエステル樹脂P−2:70質量部と、ビニル系モノマーとして、スチレン:23質量部、アクリル酸n−ブチル:6.0質量部、マレイン酸モノn−ブチル:1.0質量部、結晶性ポリエステル3:15質量部、ハイブリッド樹脂製造例1で使用したパラフィンワックス:2質量部、開始剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキシン−3:0.08質量部を混合した。このビニル系モノマー/ポリエステル樹脂混合物を115℃で15時間かけてビニル系モノマーの重合転化率が85%になるまで重合後、さらに150℃に温度を上げて5時間保持して未反応のビニル系モノマーを重合させ、ハイブリッド樹脂を得た。これを結着樹脂5とする。
得られた結着樹脂5は、テトラヒドロフラン可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が6480であり、分子量40000〜1000000の範囲の成分を20.2質量%含有し、テトラヒドロフラン不溶分を25.4質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。これにより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(ハイブリッド樹脂製造例6)
不飽和ポリエステル樹脂P−2:70質量部と、ビニル系モノマーとして、スチレン:23質量部、アクリル酸n−ブチル:6.0質量部、マレイン酸モノn−ブチル:1.0質量部、結晶性ポリエステル4:15質量部、ポリエチレンワックス(Mn1000、Mw2000、メインピーク分子量1600、DSCピーク温度95.2℃):2質量部、開始剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキシン−3:0.15質量部を混合した。このビニル系モノマー/ポリエステル樹脂混合物を110℃で15時間かけてビニル系モノマーの重合転化率が70%になるまで重合後、さらに160℃に温度を上げて5時間保持して未反応のビニル系モノマーを重合させ、ハイブリッド樹脂を得た。これを結着樹脂6とする。
得られた結着樹脂6は、テトラヒドロフラン可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が6650であり、分子量40000〜1000000の範囲の成分を22.5質量%含有し、テトラヒドロフラン不溶分を11.9質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。これにより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(ハイブリッド樹脂製造例7)
不飽和ポリエステル樹脂P−3:80質量部と、ビニル系モノマーとして、スチレン:14質量部、アクリル酸n−ブチル:6.0質量部、結晶性ポリエステル4:15質量部、開始剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3:0.05質量部を混合した。このビニル系モノマー/ポリエステル樹脂混合物を110℃で10時間かけてビニル系モノマーの重合転化率が58%になるまで重合後、さらに150℃に温度を上げて10時間保持して未反応のビニル系モノマーを重合させ、ハイブリッド樹脂を得た。これを結着樹脂7とする。
得られた結着樹脂7は、テトラヒドロフラン可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が4550であり、分子量40000〜1000000の範囲の成分を26質量%含有し、テトラヒドロフラン不溶分を7質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。これにより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(ハイブリッド樹脂製造例8)
不飽和ポリエステル樹脂P−4:55質量部と、ビニル系モノマーとして、スチレン:30質量部、アクリル酸n−ブチル:15質量部、ハイブリッド樹脂製造例4で使用したフィッシャートロプシュワックス:2質量部、開始剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3:0.15質量部を混合した。このビニル系モノマー/ポリエステル樹脂混合物を110℃で10時間かけてビニル系モノマーの重合転化率が57%になるまで重合後、さらに150℃に温度を上げて10時間保持して未反応のビニル系モノマーを重合させ、ハイブリッド樹脂を得た。これを結着樹脂8とする。
得られた結着樹脂8は、テトラヒドロフラン可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が4200であり、分子量40000〜1000000の範囲の成分を36質量%含有し、テトラヒドロフラン不溶分を41質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。これにより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(ハイブリッド樹脂製造例9)
不飽和ポリエステル樹脂P−4:55質量部と、ビニル系モノマーとして、スチレン:30質量部、アクリル酸n−ブチル:14.9質量部、ジビニルベンゼン:0.1質量部、開始剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3:0.15質量部を混合した。このビニル系モノマー/ポリエステル樹脂混合物を110℃で10時間かけてビニル系モノマーの重合転化率が55%になるまで重合後、さらに150℃に温度を上げて10時間保持して未反応のビニル系モノマーを重合させ、ハイブリッド樹脂を得た。これを結着樹脂9とする。
得られた結着樹脂9は、テトラヒドロフラン可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が4300であり、分子量40000〜1000000の範囲の成分を45質量%含有し、テトラヒドロフラン不溶分を48質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。これにより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(ハイブリッド樹脂製造例10)
不飽和ポリエステル樹脂P−3:90質量部と、ビニル系モノマーとして、スチレン:7質量部、アクリル酸n−ブチル:3.0質量部、結晶性ポリエステル4:15質量部、開始剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3:0.15質量部を混合した。このビニル系モノマー/ポリエステル樹脂混合物を110℃で10時間かけてビニル系モノマーの重合転化率が55%になるまで重合後、さらに150℃に温度を上げて10時間保持して未反応のビニル系モノマーを重合させ、ハイブリッド樹脂を得た。これを結着樹脂10とする。
得られた結着樹脂10は、テトラヒドロフラン可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が4500であり、分子量40000〜1000000の範囲の成分を18質量%含有し、テトラヒドロフラン不溶分を5質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。これにより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(ハイブリッド樹脂製造例11)
不飽和ポリエステル樹脂P−3:90質量部と、ビニル系モノマーとして、スチレン:7質量部、アクリル酸n−ブチル:3.0質量部、結晶性ポリエステル4:15質量部、開始剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3:0.18質量部を混合した。このビニル系モノマー/ポリエステル樹脂混合物を110℃で10時間かけてビニル系モノマーの重合転化率が50%になるまで重合後、さらに150℃に温度を上げて10時間保持して未反応のビニル系モノマーを重合させ、ハイブリッド樹脂を得た。これを結着樹脂11とする。
得られた結着樹脂11は、テトラヒドロフラン可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が4550であり、分子量40000〜1000000の範囲の成分を15質量%含有し、テトラヒドロフラン不溶分を3質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。これにより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(比較用樹脂製造例1)
飽和ポリエステル樹脂P−5:75質量部と、ビニル系モノマーとして、スチレン:18質量部、アクリル酸n−ブチル:7質量部、開始剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3:0.08質量部を混合した。このビニル系モノマー/ポリエステル樹脂混合物を120℃で20時間かけてビニル系モノマーの重合転化率が93%になるまで重合後、さらに150℃に温度を上げて5時間保持して未反応のビニル系モノマーを重合させ、比較結着樹脂1を得た。
得られた比較結着樹脂1は、テトラヒドロフラン可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が7450であり、分子量40000〜1000000の範囲の成分を27.3質量%含有し、テトラヒドロフラン不溶分を含有していなかった。
(比較用ハイブリッド樹脂製造例2)
ビニル系モノマーとして、スチレン270g、2−エチルヘキシルアクリレート60g、アクリル酸20g、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル13gを滴下ロートに入れる。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン780g(2.23mol)、イソドデセニル無水コハク酸76g(0.28mol)、テレフタル酸180g(1.09mol)、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸30g(0.16mol)及びジブチル錫オキシド2g(8.0mmol)をフラスコに入れ、135℃の温度で攪拌しつつ、滴下ロートよりビニル系モノマー及び重合開始剤を3時間かけて滴下し、ビニル系樹脂成分の重合を行った。135℃に保持したまま5時間熟成した後、230℃に昇温してポリエステル系樹脂成分の重合を行い、ハイブリッド樹脂を得た。これを比較結着樹脂2とする。
得られた比較結着樹脂2は、テトラヒドロフラン可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が6200であり、分子量40000〜1000000の範囲の成分を22質量%含有し、テトラヒドロフラン不溶分を15質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。これにより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(比較用ハイブリッド樹脂製造例3)
キシレン300質量部を昇温して還流させ、この還流下で、スチレン70質量部、アクリル酸n−ブチル21質量部、マレイン酸モノn−ブチル7質量部及び、ジ−tert−ブチルパーオキサイド3質量部の混合液を4時間かけて滴下後、2時間保持し重合を完了した。キシレンを留去し、ビニル系樹脂V−1(Tg=58℃、メインピーク分子量=12400、数平均分子量(Mn)=6200、Mw/Mn=3.4、酸価=21mgKOH/g)を得た。
飽和ポリエステル樹脂P−6:90質量部と、ビニル系樹脂V−1:10質量部を反応槽に仕込み、窒素気流下、190℃でポリエステル樹脂とビニル系樹脂の溶融混合を行い、充分に混合された後、減圧下でエステル化反応を行ってハイブリッド樹脂を得た。これを比較結着樹脂3とする。
得られた比較結着樹脂3は、テトラヒドロフラン可溶分に関して、GPCで測定される分子量分布において、メインピーク分子量が6800であり、分子量40000〜1000000の範囲の成分を18質量%含有し、テトラヒドロフラン不溶分を20質量%含有していた。テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、濾過し、濾別される成分を分析したところ、ビニル系樹脂を含むものであった。これにより、テトラヒドロフラン不溶分中にハイブリッド樹脂が含有されていたことが確認された。
(実施例1)
・結着樹脂1 100質量部
・磁性酸化鉄: 95質量部
(組成:Fe、形状:球状、平均粒子径0.21μm、795.8kA/mにおける磁気特性;Hc=5.4kA/m、σs=83.8Am2/kg、σr=7.0Am2/kg)
・前記アゾ系鉄錯体化合物(1)(カウンターイオンはNH4 +) 2質量部
・ハイブリッド樹脂製造例1で使用したパラフィンワックス 2質量部
上記原材料をヘンシェルミキサーで予備混合した後、130℃、200rpmに設定した二軸混練押し出し機(PCM−30:池貝鉄工所社製)によって混練した。得られた混練物を冷却しカッターミルで粗粉砕した後、得られた粗粉砕物を、ターボミルT−250(ターボ工業社製)を用いて微粉砕し、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)6.0μmの負帯電性のトナー粒子を得た。
このトナー粒子100質量部に、ヘキサメチルジシラザンで処理した負帯電性疎水性シリカ(BET比表面積120m2/g)1.2質量部をヘンシェルミキサーで外添混合しトナー1を得た。トナー1の物性を表1に示す。このトナーを以下の項目について評価した。評価結果を表2に示す。
[評価1:定着試験]
ヒューレットパッカード社製レーザービームプリンタ:LaserJet4350の定着器を取り出し、定着装置の定着温度を任意に設定できるようにし、かつプロセススピードを410mm/secとなるようにした外部定着器を用いた。この外部定着器を140〜220℃の範囲で5℃おきに温調し、FOX RIVER BOND紙(90g/m2)紙に現像したハーフトーン(画像濃度が0.8〜0.85に設定)未定着画像の定着を行い、得られた画像を4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率が、5点平均値で15%以下になる点を定着温度とした。この温度が低いほど低温定着性に優れたトナーである。
低温定着性の判断基準を以下に示す。
A:145℃で濃度低下率が15%以下。
B:155℃で濃度低下率が15%以下。
C:165℃で濃度低下率が15%以下。
D:165℃で濃度低下率が15%より大きい。
耐高温オフセット性については、プロセススピードを100mm/secにし、200〜240℃の範囲で5℃おきに温調し、未定着画像の定着を行い、画像上のオフセット現象による汚れを目視で確認し、発生した温度を耐高温オフセット性とした。この温度が高いほど耐高温オフセット性に優れたトナーである。評価紙は普通紙(64g/m2)を使用した。
耐高温オフセット性の判断基準を以下に示す。
A:240℃で汚れが全くない。
B:240℃でやや汚れるが、230℃で汚れが全くない。
C:230℃でやや汚れるが、225℃で汚れが全くない。
D:225℃で汚れが目立つ。
[評価2:高温高湿環境評価]
市販のLBPプリンタ(Laser Jet 4300、HP社製)を改造して、A4サイズ65枚/分とした。この改造機に対して、トナー製造例1で得た磁性トナー1を充填し、トナー担持体として、内部に現像極の磁極が750ガウスのマグネットを有し、表面粗さRaが1.0μmで、直径がΦ20のスリーブを組み込み、また、現像ブレードの当接圧を50%アップさせた。トナー充填部の容量を2倍とした改造プロセスカートリッジを搭載させた。
これを画出し試験機として、32.5℃、80%RHの高温高湿環境に一晩放置後、印字率3%となる横線パターンを2枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンがいったん停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、A4普通紙(75g/m2)を使用して3万枚のプリント耐久試験を行った。
このプリント耐久試験中もしくは3万枚の耐久試験後に、以下の評価を行った。
画像濃度は、反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、5mm角のベタ黒画像の反射濃度を測定することにより測定し評価した。
画像濃度の評価基準を以下に示す。低下率は、1000枚耐久後に対する3万枚耐久後の反射濃度の低下率を算出したものである。
A:低下率が3%未満。
B:低下率が3%以上5%未満。
C:低下率が5%以上10%未満。
D:低下率が10%以上。
[評価3:低温低湿環境評価]
評価2で使用したLBPプリンタと改造プロセスカートリッジを使用して、これを画出し試験機として、15℃、10%RHの低温低湿環境に一晩放置後、以下の項目について、評価を行った。
(1)定着画像尾引き
一晩放置後、マシンの電源を入れた直後に、FOX RIVER BOND紙(90g/m2)紙に、幅4ドットのヨコ線画像を1枚プリントし、ヨコ線の定着画像尾引きを評価した。ヨコ線を光学顕微鏡で観察し、以下の基準で判定した。
A:尾引きは未発生。
B:わずかに尾引きは発生しているものの、良好な画像。
C:尾引きは発生しているものの、実用的には問題のない画質。
D:尾引きがひどく、実用上好ましくない画像。
(2)ハーフトーンのガサツキ
(1)の定着画像尾引きの評価に引き続いて、孤立ドットパターン(直径50μmのドットが、200μm離れて均等に配置されたパターン)を出力して、プリント画像を目視、または定着画像のドットを顕微鏡で観察することによって、ガサツキを評価し、以下の評価基準に基づいて評価した。
A:非常に良好(欠損2個以下/100個)
B:良好(欠損3〜5個/100個)
C:普通(欠損6〜10個/100個)
D:悪い(欠損11個以上/100個)
(3)カブリ
(1)と(2)の評価に引き続いて、印字率3%となる横線パターンを2枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンがいったん停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、A4普通紙(75g/m2)を使用して1000枚のプリント耐久試験を行った。その後、べた白を2枚プリントし、2枚目のカブリを以下の方法により測定した。
反射濃度計(リフレクトメーター モデル TC−6DS 東京電色社製)を用いて画像形成前後の転写材を測定し、画像形成後の反射濃度最悪値をDs、画像形成前の転写材の反射平均濃度をDrとし、Ds−Drを求め、これをカブリ量として評価した。数値の少ない方がカブリが少ないことを示す。
カブリの評価基準(紙面内のカブリ最悪値に関して)を以下に示す。
A:0.8未満。
B:0.8以上1.5未満。
C:1.5以上3.0未満。
D:3.0以上。
[保存性試験]
トナー10gを、50℃で5日間放置し、トナーのブロッキング状態を評価した。
A:流動性に優れている。
B:凝集塊があるが、すぐにほぐれる。
C:凝集塊があるが、ややほぐれにくい。
D:ブロッキングしている。実用上好ましくない。
(実施例2)
・結着樹脂2 100質量部
・実施例1で使用した磁性酸化鉄 95質量部
・実施例1で使用したアゾ系鉄錯体化合物 2質量部
・ハイブリッド樹脂製造例1で使用したパラフィンワックス 2質量部
・結晶性ポリエステル2 10質量部
上記原材料を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、トナー2を得た。トナー2の物性を表1に示す。また、実施例1と同様に評価試験を行い、その結果を表2に示す。
(実施例3)
・結着樹脂3 100質量部
・実施例1で使用した磁性酸化鉄 95質量部
・実施例1で使用したアゾ系鉄錯体化合物 2質量部
・ハイブリッド樹脂製造例1で使用したパラフィンワックス 4質量部
・結晶性ポリエステル3 7質量部
上記原材料を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、トナー3を得た。トナー3の物性を表1に示す。また、実施例1と同様に評価試験を行い、その結果を表2に示す。
(実施例4〜5)
実施例3において、結晶性ポリエステル3:7質量部のかわりに、結晶性ポリエステル4:7質量部、結晶性ポリエステル5:4質量部使用したこと以外は、実施例3と同様にして、トナー4、5を得た。トナー4、5の物性を表1に示す。また、実施例1と同様に評価試験を行い、その結果を表2に示す。
(実施例6)
・結着樹脂4 100質量部
・実施例1で使用した磁性酸化鉄 95質量部
・実施例1で使用したアゾ系鉄錯体化合物 2質量部
・ハイブリッド樹脂製造例4で使用したフィッシャートロプシュワックス 2質量部
・結晶性ポリエステル6 4質量部
上記原材料を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、トナー6を得た。トナー6の物性を表1に示す。また、実施例1と同様に評価試験を行い、その結果を表2に示す。
(実施例7)
実施例6において、結晶性ポリエステル6:4質量部のかわりに、結晶性ポリエステル7:7質量部使用したこと以外は、実施例6と同様にして、トナー7を得た。結晶性ポリエステル7を使用したため、やや粉砕性が低下したが、実生産上は問題ないレベルであった。トナー7の物性を表1に示す。また、実施例1と同様に評価試験を行い、その結果を表2に示す。
(実施例8)
・結着樹脂5 100質量部
・実施例1で使用した磁性酸化鉄 95質量部
・実施例1で使用したアゾ系鉄錯体化合物 2質量部
・ハイブリッド樹脂製造例1で使用したパラフィンワックス 2質量部
上記原材料を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、トナー8を得た。トナー8の物性を表1に示す。また、実施例1と同様に評価試験を行い、その結果を表2に示す。
(実施例9)
・結着樹脂6 100質量部
・実施例1で使用した磁性酸化鉄 95質量部
・実施例1で使用したアゾ系鉄錯体化合物 2質量部
・ハイブリッド樹脂製造例6で使用したポリエチレンワックス 2質量部
上記原材料を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、トナー8を得た。結晶性ポリエステル4を使用しているため、やや粉砕性が低下した。以降の実施例及び比較例においても、結晶性ポリエステル4を使用しているトナーについては、同様に粉砕性がやや低下したが、いずれも実生産上は問題のないレベルであった。結晶性トナー8の物性を表1に示す。また、実施例1と同様に評価試験を行い、その結果を表2に示す。
(実施例10)
実施例9において、結着樹脂6のかわりに、結着樹脂7を使用し、ポリエチレンワックスを4質量部添加したこと以外は同様にして、トナー10を得た。トナー10の物性を表1に示す。また、実施例1と同様に評価試験を行い、その結果を表2に示す。
(実施例11)
・結着樹脂8 100質量部
・実施例1で使用した磁性酸化鉄 95質量部
・実施例1で使用したアゾ系鉄錯体化合物 2質量部
・ハイブリッド樹脂製造例4で使用したフィッシャートロプシュワックス 2質量部
・結晶性ポリエステル3 2質量部
上記原材料を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、トナー11を得た。トナー11の物性を表1に示す。また、実施例1と同様に評価試験を行い、その結果を表2に示す。
(実施例12)
・結着樹脂9 100質量部
・実施例1で使用した磁性酸化鉄 95質量部
・実施例1で使用したアゾ系鉄錯体化合物 2質量部
・ハイブリッド樹脂製造例4で使用したフィッシャートロプシュワックス 4質量部
・結晶性ポリエステル3 5質量部
上記原材料を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、トナー12を得た。トナー12の物性を表1に示す。また、実施例1と同様に評価試験を行い、その結果を表2に示す。
(実施例13)
・結着樹脂10 100質量部
・実施例1で使用した磁性酸化鉄 95質量部
・実施例1で使用したアゾ系鉄錯体化合物 2質量部
・ハイブリッド樹脂製造例6で使用したポリエチレンワックス 4質量部
上記原材料を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、トナー13を得た。トナー13の物性を表1に示す。また、実施例1と同様に評価試験を行い、その結果を表2に示す。
(比較例1)
実施例13において、結着樹脂10のかわりに、結着樹脂11を使用したこと以外は同様にして、比較トナー1を得た。比較トナー1の物性を表1に示す。また、実施例1と同様に評価試験を行い、その結果を表2に示す。
(比較例2)
・比較結着樹脂1 100質量部
・実施例1で使用した磁性酸化鉄 95質量部
・実施例1で使用したアゾ系鉄錯体化合物 2質量部
・ハイブリッド樹脂製造例1で使用したパラフィンワックス 2質量部
上記原材料を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、比較トナー2得た。比較トナー2の物性を表1に示す。また、実施例1と同様に評価試験を行い、その結果を表2に示す。
(比較例3)
・比較結着樹脂2 100質量部
・実施例1で使用した磁性酸化鉄 95質量部
・実施例1で使用したアゾ系鉄錯体化合物 2質量部
・ハイブリッド樹脂製造例1で使用したパラフィンワックス 4質量部
・結晶性ポリエステル3 4質量部
上記原材料を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、比較トナー3を得た。比較トナー3の物性を表1に示す。また、実施例1と同様に評価試験を行い、その結果を表2に示す。
(比較例4)
・比較結着樹脂3 100質量部
・実施例1で使用した磁性酸化鉄 95質量部
・実施例1で使用したアゾ系鉄錯体化合物 2質量部
・ハイブリッド樹脂製造例6で使用したポリエチレンワックス 4質量部
・結晶性ポリエステル4 15質量部
上記原材料を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、比較トナー4を得た。比較トナー4の物性を表1に示す。また、実施例1と同様に評価試験を行い、その結果を表2に示す。
(比較例5)
・結着樹脂8 100質量部
・実施例1で使用した磁性酸化鉄 95質量部
・実施例1で使用したアゾ系鉄錯体化合物 2質量部
・ハイブリッド樹脂製造例4で使用したフィッシャートロプシュワックス 2質量部
上記原材料を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、比較トナー5を得た。比較トナー5の物性を表1に示す。また、実施例1と同様に評価試験を行い、その結果を表2に示す。
Figure 0004898383
Figure 0004898383

Claims (5)

  1. 少なくとも、結着樹脂、着色剤及び結晶性ポリエステルを含有するトナー粒子を有するトナーであり、
    該結着樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂の存在下で、ビニル系モノマーを塊状重合することにより得られるハイブリッド樹脂を含有し、
    該トナーは、結着樹脂由来のテトラヒドロフラン不溶分を3〜50質量%含有し、
    該テトラヒドロフラン不溶分は、ハイブリッド樹脂を含有し、
    該テトラヒドロフラン不溶分を加水分解し、その後、濾過して濾別される成分のテトラヒドロフラン可溶分が、GPCで測定される分子量分布において、分子量10000〜1000000の範囲にメインピークを有し、
    該結晶性ポリエステルは、示差走査熱量計(DSC)により測定されるDSC曲線において、50℃以上130℃以下に最大吸熱ピークを有することを特徴とするトナー。
  2. 該トナーのテトラヒドロフラン可溶分が、GPCで測定される分子量分布において、分子量2000〜30000の範囲にメインピークを有し、分子量40000〜1000000の範囲の成分を3〜50質量%含有していることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 該結晶性ポリエステルの数平均分子量が、2000〜10000であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 該結晶性ポリエステルは、少なくとも炭素数2〜22の脂肪族ジオールから選ばれるアルコールおよび炭素数2〜22の脂肪族ジカルボン酸から選ばれるカルボン酸を主成分として含む単量体組成物を重縮合反応させて得られる結晶性ポリエステルであることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のトナー。
  5. 該トナーが、ワックスを含有し、該ワックスの示差走査熱量計(DSC)により測定されるDSC曲線において、50℃以上100℃以下に最大吸熱ピークを有することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のトナー。
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