JP2004250894A - 吐水装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プッシュボタンのプッシュ操作によって吐水状態が切り替わるようになした吐水装置において、プッシュボタン68に表示窓136を設けるとともに、表示窓136の裏側且つ表示窓に臨む位置に表示部134a,134bを位置させるようにし、表示窓136を通じて現在の吐水状態を表示するようにする。その際、プッシュボタン68のプッシュ操作により表示リング130を回転させ、異なった吐水状態を表示する表示部134a,134bの位置をプッシュボタン68のプッシュ操作に連動して変化させ、それぞれを交互に表示窓136に現れるようにする。
【選択図】 図8
Description
【発明の属する技術分野】
この発明はプッシュボタンのプッシュ操作により吐水状態を切り替えることのできる吐水装置に関し、詳しくは現在の吐水状態を表示する表示手段に特徴を有するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、吐水口からの吐水を、例えば原水(水道水)を1本の整流束でストレート吐水するストレート吐水から、シャワー状に吐水するシャワー吐水に若しくはその逆に切り替えたり、或いは原水の吐水と浄水の吐水とを切り替えたりする吐水装置においては、現在の吐水状態を使用者に認識させるために、現在の吐水状態を表示する何らかの表示手段が設けてあるのが普通である。
【0003】
例えば下記特許文献1には、水栓の吐水ヘッドに一体に構成した吐水装置に、吐水切替えのための操作部としてプッシュボタンを設け、そのプッシュボタンのプッシュ操作により、原水吐水と浄水吐水とを切り替えるようになすとともに、そのプッシュボタンの上側の位置に、吐水の状態を表す表示部を設けた点が開示されている。
【0004】
この吐水装置では、吐水ヘッドの前面から突き出したプッシュボタンをプッシュ操作(押込操作)してこれを押込位置に位置させると、吐水状態が原水吐水から浄水吐水に切り替わり、また押込位置にあるプッシュボタンをプッシュ操作してこれを元の突出し位置に戻すと、吐水状態が浄水吐水から原水吐水に切り替わるもので、その上側に設けた表示部は、プッシュボタンの吐水ヘッドからの突出し量を図示するとともに、その突出し量が大きいときには原水吐水であり、突出し量が少ないときには、つまりプッシュボタンが押込位置にあるときには浄水吐水である旨を表示するものとなっている。
【0005】
一方下記特許文献2には、水栓の吐水管に後付けで取り付けられる浄水装置(吐水装置)が示されており、そこにおいて操作部としてのレバーを回転操作することによって、そのレバーとは異なった位置の表示部に現在の吐水状態、詳しくは原水のストレート吐水,シャワー吐水,浄水吐水の表示が現れるようになした点が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−106006号公報
【特許文献2】
特開2001−162272号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこの特許文献1の吐水装置では、結局のところプッシュボタンが現在突出し状態にあるのか、押込状態であるのかを使用者が見分けなければ、現在の吐水状態を認識することはできない。
しかしながらプッシュボタンが現在大きく突き出した状態にあるのか或いは押込状態にあるのかは一目見ただけではなかなか分り辛く、従ってこの吐水装置の場合、現在の吐水状態がどのような吐水状態であるのか使用者にとって分り辛いものとなっていた。
【0008】
一方特許文献2に開示の吐水装置では、レバーを回転操作して吐水状態を切り替えると、これに対応してレバーとは別の箇所に設けてある表示窓に現れる表示が切り替わるようになしてあり、特許文献1に開示の上記吐水装置に比べて使用者は吐水状態を認識し易い。
しかしながらこの吐水装置は操作部がレバー式のものであり、この場合レバーが外部に大きく突き出した状態となって、吐水装置周りの外観が煩雑化し、美観の点で問題がある。
【0009】
本来、吐水状態の表示は操作部自体に設けてあると、操作部を操作する際に表示が見易く好ましいものであるが、この特許文献2の吐水装置では、操作部と表示部とが別々の箇所にあるため、使用者は吐水の切替えに当って操作部と表示部との2箇所を目で確認する必要がある問題がある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の吐水装置はこのような課題を解決するために案出されたものである。
而して請求項1のものは、プッシュボタンのプッシュ操作によって吐水状態が切り替わるようになした吐水装置において、前記プッシュボタンに表示窓を設けるとともに、該表示窓の裏側且つ該表示窓に臨む位置に表示部を位置させるようにし、該表示窓を通じて現在の吐水状態を表示するようになしたことを特徴とする。
【0011】
請求項2のものは、請求項1において、前記プッシュボタンをプッシュ操作することによって吐水状態が切り替わるようになしてあるとともに前記表示窓を通じての表示が吐水状態に応じて切り替わるようになしてあることを特徴とする。
【0012】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記プッシュボタンのプッシュ操作により回転部材が回転するようになしてあるとともに、該回転部材には異なった吐水状態を表示する複数の表示部が設けてあり、該プッシュボタンのプッシュ操作により吐水状態が切り替わるとともに、該回転部材の回転に伴って異なった表示部が前記表示窓に現れるようになしてあることを特徴とする。
【0013】
請求項4のものは、請求項3において、前記吐水装置が、前記プッシュボタンを1回プッシュ操作するごとに異なった吐水状態を保持するスラストロック機構を有しており、該スラストロック機構に前記回転部材が備えてあることを特徴とする。
【0014】
請求項5のものは、請求項4において、前記異なった吐水状態の一方が原水吐水状態であり、他方が浄水吐水状態であることを特徴とする。
【0015】
請求項6のものは、請求項1〜5の何れかにおいて、前記吐水装置が水栓における吐水ヘッドに一体に構成してあり、前記プッシュボタンが該吐水ヘッドの前端面に且つ軸方向に押込可能に設けてあることを特徴とする。
【0016】
【作用及び発明の効果】
以上のように本発明の吐水装置は、プッシュボタンのプッシュ操作により吐水状態が切り替わるようになし、且つそのプッシュボタンに表示窓を設けて、その表示窓の裏側且つ表示窓に臨む位置に表示部を位置させるようにし、表示窓を通じて現在の吐水状態を表示するようになしたもので、本発明では操作部がプッシュボタンとされていることから、吐水装置の外形形状を煩雑感のないすっきりとしたものとして、吐水装置の美観を良好となすことができる。
【0017】
また操作部としてのプッシュボタン自体に、現在の吐水状態を表示する表示部が現れるようになしてあるため、使用者にとって吐水状態切替えのための操作性が良好であるとともに、切替操作に際してプッシュボタン1箇所のみを確認するだけで良く、吐水装置の使い勝手が良好となる。
尚本発明における吐水状態とは、吐水が大量である状態,少量である状態、更には吐水がゼロの状態即ち止水状態等をも含む概念である。
【0018】
本発明においては、プッシュボタンをプッシュ操作することで吐水状態が切り替わるとともに表示窓を通じての表示が吐水状態に応じて切り替わるようになしておくことができる(請求項2)。
このようにした場合、使用者は現在の吐水状態をより簡単且つ明確に認識することができる。
【0019】
本発明においては、プッシュボタンのプッシュ操作により、異なった吐水状態を表示する複数の表示部を設けた回転部材を回転させ、そしてプッシュボタンのプッシュ操作で吐水状態が切り替わったときに回転部材の回転に伴い、異なった表示部を表示窓に現れるようになしておくことができる(請求項3)。
このようになすことで、吐水状態の切替えに対応した表示の切替えを容易に実現することができる。
【0020】
この場合において、プッシュボタンをプッシュ操作するごとに回転部材を回転させて、切替後の吐水状態を保持するスラストロック機構を吐水装置に備えておき、その回転部材に異なった吐水状態を表示する複数の表示部を設けておくことができる(請求項4)。
【0021】
更にこの場合において、異なった吐水状態の一方を原水吐水状態とし、他方を浄水吐水状態となしておくことができる(請求項5)。
【0022】
次に請求項6は、水栓の吐水ヘッドに吐水装置を一体に構成し、且つプッシュボタンを吐水ヘッドの前端面に且つ軸方向に押込可能に設けたもので、このようにしておけば、プッシュボタンに対する視認性,操作性が良好となり、また併せて表示部もより見易くなる。
【0023】
【実施例】
次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10はキッチン水栓等として用いられるシングルレバー式の水栓(混合水栓)で、12は吐止水及び吐水の水量調節と温度調節とを行うための主弁を内蔵した水栓本体で、14はその上部に回動可能に設けられたレバー式の主弁操作部である。
この水栓10では、主弁操作部14を左右回動操作することで吐水の温度調節が行われ、また上下に回動操作することで吐止水及び吐水の水量調節が行われる。
【0024】
16は水栓本体12から延び出した吐水管で、水栓本体12に固定の吐水管本体18と、その先端側の吐水ヘッド20とを有している。
ここで吐水ヘッド20は、可撓性のホース22とともに吐水管本体18から引出可能且つ引出状態において3次元に位置移動可能とされている。
【0025】
吐水ヘッド20は、図2及び図3にも示しているようにグリップ部24と、その先端側の頭部26とを有しており、そのグリップ部24の基端部にホース22がシール部材28によるシールの下に水密に接続固定されている。
ここでホース22は、吐水管本体18の中心部に形成されたホース挿通孔内部に軸方向に摺動可能に挿通されている。
【0026】
グリップ部24の基端部には差込凹部30が形成されており、この差込凹部30に吐水管本体18側の差込凸部32(図1参照)を差し込むようにして、吐水ヘッド20が吐水管本体18の先端部に嵌められ且つ保持されるようになっている。
【0027】
グリップ部24は、内筒部34を有するグリップ本体36と、外筒38との2重筒構造をなしており、その内部に原水(水道水)を通過させることによってこれを浄化する浄化フィルタ40が収容されている。
【0028】
浄化フィルタ40は、全体として円筒形状をなす部材であって、中心部の円筒形状の多孔質のセラミックフィルタ42を有しており、これを支持体としてその外面に珪藻土44の層が、更にその外面に活性炭46の層が積層形成され、その外周面に不織布48が巻き付けられている。
【0029】
この浄化フィルタ40は前後端に非通水性のエンドキャップ50を有している。
これらエンドキャップ50はそれぞれ透光性の部材にて構成されており、これらエンドキャップ50を通じて浄化フィルタ40の端面、具体的にはセラミックフィルタ42,珪藻土44の層,活性炭46の層,不織布48の層の端面を外部から目視観察できるようになっている。
即ちこれらエンドキャップ50を通じて、浄化フィルタ40の各層の汚れ具合を目視観察できるようになっている。
【0030】
これらエンドキャップ50の外周面には周方向に所定間隔でリブ52が形成されており、これらリブ52の外周端が内筒部34の内周面に当接している。
即ちこれらリブ52によって浄化フィルタ40の外周側、詳しくは浄化フィルタ40の外周面とグリップ部24における内筒部34の内周面との間に原水通路54Aが形成されている。
また浄化フィルタ40におけるセラミックフィルタ42の内側に浄水通路56Aが形成されている。
【0031】
上記頭部26には、本例の吐水装置58が一体に構成されている。
この吐水装置58は、頭部26の下部且つ下向きに原水シャワー吐水口59と、浄水ストレート吐水口60とを有しており、更に上記の浄化フィルタ40の外周側の原水通路54Aと原水シャワー吐水口59とを連通させて、原水通路54Aからの原水を原水シャワー吐水口59に導く原水通路54B,浄化フィルタ40の中心部の浄水通路56Aと浄水ストレート吐水口60とを連通させて、浄水通路56Aからの浄水を浄水ストレート吐水口60に導く浄水通路56B,原水ストレート吐水口59からの原水シャワー吐水と浄水ストレート吐水口60からの浄水ストレート吐水とを切り替える吐水切替機構62とを有している。
【0032】
この吐水切替機構62は、原水通路54Bを開閉する原水弁部64と、浄水通路56Bを開閉する浄水弁部66と、操作部としてのプッシュボタン68と、プッシュボタン68に加えられた操作力によって軸方向に進退し、原水弁部64及び浄水弁部66を開閉駆動する駆動軸70と、駆動軸70を前進位置と後退位置とにそれぞれ位置保持し且つプッシュボタン68がプッシュ操作される度に駆動軸70を前進位置保持から後退位置保持に、更に後退位置保持から前進位置保持に切り替える、ロック機構としてのスラストロック機構72とを備えている。
【0033】
図4及び図5に上記吐水装置58の構成が吐水切替機構62の構成とともに詳しく示してある。ここで図4及び図5は原水弁部が開いた状態を表している。
これらの図に示しているように、原水弁部64はパイロット式の弁部として構成されている。
【0034】
図中74はダイヤフラム弁から成る主弁で、この主弁74が弁座76に着座することによって原水通路54Bが遮断され、また主弁74が弁座76から図中左向きに離間することによって原水通路54Bが開放される。
【0035】
主弁74の背面(図中左側の面)には背圧室78が形成されており、主弁74はこの背圧室78の圧力によって図中右向きに押され、弁座76に着座させられる。
即ち主弁74が背圧室78の圧力によって閉弁させられる。
【0036】
80はこの主弁74を開閉制御するためのパイロット弁であって、シリンダ82内部に図中左右方向、即ち軸方向に摺動可能に嵌合されている。
【0037】
背圧室78は、シリンダ82底部に設けられた貫通の小孔84によってシリンダ82内部に連通するようになっており、更にシリンダ82内部は、図5に示しているようにシリンダ82内部から延び出して原水通路54Bの下流部に到る水抜通路86を通じて原水通路54Bの下流部と連通するようになっている。
【0038】
本例において、これら小孔84,シリンダ82内部、更に水抜通路86によってパイロット水路が構成されており、このパイロット水路がパイロット弁80により開放されることで、背圧室78内部の水が原水通路54Bへと流れ出して、背圧室78の圧力が消失し、ここにおいて主弁74が原水通路54Bにおける弁座76よりも上流部の水圧によって開弁し、原水通路54Bが開放される。そして原水通路54Bからの原水が上記の原水シャワー吐水口59からシャワー吐水される。
【0039】
一方パイロット弁80が図中右向きに押されてパイロット水路を閉鎖すると、ここにおいて原水通路54Bの弁座76よりも上流部の水が、図5に示しているように主弁74を貫通して形成された小孔87を通じて背圧室78内に流入することで背圧室78の圧力が上昇し、主弁74を閉弁させる(図6,図7参照)。
【0040】
上記駆動軸70は、浄水弁部66駆動用の第1駆動軸88と、原水弁部64駆動用の第2駆動軸90とに軸方向の前,後に分けて且つ同軸上に構成・配置してある。
そしてその第2駆動軸90に上記パイロット弁80が固設されていて、かかるパイロット弁体80が第2駆動軸90と一体に図中左右方向に進退移動するようになっている。
【0041】
ここで第1駆動軸88と第2駆動軸90との間には圧縮コイルスプリングから成るばね92が介在させてあり、かかるばね92によって第1駆動軸88と第2駆動軸90とが互いに軸方向に離れる向きに付勢されている。
【0042】
上記浄水弁部66は、原水弁部64に対し軸方向に位置を隔てて配置してある。
この浄水弁部66は、浄水弁94と弁座96とを有している。
浄水弁94は、第1駆動軸88に一体的に設けられており、かかる第1駆動軸88と一体に図4中左右方向に移動する。
【0043】
而して図4及び図5に示しているように浄水弁94の着座部98が弁座96に着座した状態で浄水通路56Bを遮断し、また浄水弁94の着座部98が弁座96から離間することによって浄水通路56Bを開放し(図6,図7参照)、浄水ストレート吐水口60から浄水をストレート吐水させる。
【0044】
尚この着座部98は、図5の部分拡大図に示しているように鍔状に径方向外方に大きく延出するフランジ部100を設けておき、そのフランジ部100の外周端縁を弁座96に着座させるようになすことができる。
この場合、フランジ部100の背面が受圧面102となってそこに浄水通路56Bの水圧が作用し、浄水弁94が弁座96に押し付けられて閉弁状態に良好に保持される効果が得られる。
【0045】
上記第1駆動軸88と第2駆動軸90との間には、円筒形状をなす弁ホルダ104が設けてあり、この弁ホルダ104によって第2駆動軸90が図中左右方向に移動可能に保持されている。
この弁ホルダ104には、圧縮コイルスプリングから成るばね106の一端が当接させてあり、このばね106によって、弁ホルダ104を介し第1駆動軸88と第2駆動軸90とを有する駆動軸70全体が図中左向き、即ちプッシュボタン68を図中左方向に押し戻す向きに付勢されている。
【0046】
この駆動軸70は、図6及び図7に示しているように図中右方向の前進位置において、パイロット弁80の閉弁により原水弁部64を閉弁する一方、浄水弁部66を開弁させ、また図4及び図5に示すように後退位置において浄水弁部66を閉弁させ、原水弁部64を開弁させる。
【0047】
その際上記スラストロック機構72は、駆動軸70を前進位置と後退位置とにそれぞれ位置保持し、そしてプッシュボタン68が1回プッシュ操作されるごとに、駆動軸70に対する保持を前進位置保持から後退位置保持に、または後退位置保持から前進位置保持に切り替える。
尚、第1駆動軸88には空気孔71が形成されている。この空気孔71は第1駆動軸88の進退時にばね室73及び75の空気を出し入れするためのものである。
【0048】
このスラストロック機構72は、ハウジング108と、プッシュボタン68がプッシュ操作されるごとに軸回りに所定角度ずつ回転する回転子(回転部材)110と、プッシュボタン68に加えられた操作力を回転子110に伝える伝達部材112とを有している。
【0049】
ハウジング108は、図8及び図10に示しているように内周側に段付部を有しており、その段付面に沿ってカム面114が形成されている。
また周方向に所定間隔で落し込用の溝116が形成されている。
【0050】
一方回転子110は、図8及び図9に示しているように軸方向の端部に大径部118を有しており、その大径部118の段付面に沿ってカム面120が形成されている。
また大径部118には、周方向に所定間隔で半径方向の突出部122が形成されている。
尚この回転子110には、周方向に所定間隔で軸方向に延びる突条124が複数形成されている。
【0051】
他方伝達部材112は、図8及び図11に示しているように全体として円筒形状をなす部材で、弾性爪126を有しており、その弾性爪126においてプッシュボタン68に非回転状態に取り付けられている。
この伝達部材112には、その先端面にカム面128が形成されており、このカム面の作用で回転子110を所定角度ごと回転させるようになっている。
【0052】
このスラストロック機構72の場合、プッシュボタン68を図中右向きにプッシュ操作すると、伝達部材112が先端のカム面128を回転子110のカム面120に当接させながら回転子110を図8中右向きに押して、回転子110のカム面120をハウジング108のカム面114から図8中右向きに離間させ、これと同時に回転子110をカム面128,120のカム作用で所定角度回転させる。
【0053】
この回転子110に対しては上記ばね106の付勢力が駆動軸70を介して図中左向きに加えられており、そこでプッシュボタン68から手を放すと、回転子110がばね106の付勢力によって図中左向きに後退するとともに突出部122をハウジング108の溝116に落し込み、ハウジング108に対する軸方向の位置を、当初の前進位置から図中左方向の後退位置に変化させる。
【0054】
そしてその状態からプッシュボタン68をもう1回プッシュ操作すると、伝達部材112によって回転子110が図8中右向きに押されて、その突出部122がハウジング108の溝116から離脱するとともに、伝達部材112のカム面128と回転子110のカム面120とのカム作用で、更に所定角度回転子110が回転させられる。
【0055】
その後プッシュボタン68から手を放すと、ばね106の付勢力で回転子110が再び図8中左向きに押されるが、このとき突出部122はハウジング108のカム面114上に乗り上がった状態となって、それ以上の図8中左向きの後退が阻止される。
【0056】
このようにして回転子110は、プッシュボタン68をプッシュ操作するごとに、ハウジング108に対する軸方向の位置を前進位置から後退位置に、更には後退位置から前進位置に位置変化させる。
【0057】
これに伴ってスラストロック機構72による駆動軸70の保持位置が、前進位置から後退位置に、更には後退位置から前進位置に位置変化させられる。
そしてこれに伴って原水弁部64の開動作及び浄水弁部66の閉動作と、原水弁部64の閉動作及び浄水弁部66の開動作が行われることとなる。
【0058】
上記スラストロック機構72は、図8及び図12に示す表示リング(回転部材)130を有しており、この表示リング130が回転子110に一体回転状態に組み付けられている。
表示リング130は、図12にも示しているように全体として円筒形状をなしており、その周壁部には回転子110における上記突条124に対応したピッチで溝132が形成されており、この溝132に突条124を挿入させる状態で、表示リング130が回転子110に対し外嵌状態に嵌合されている。
【0059】
この表示リング130には表示板134が設けられていて、その表示板134に現在の吐水状態、即ち浄水ストレート吐水状態を表す表示部134aと、原水シャワー吐水状態を表示する表示部134bとが周方向に交互に設けられている。
即ちプッシュボタン68を1回プッシュ操作するごとの回転子110の回転角度に対応した間隔で、表示部134aと134bとが周方向に交互に設けられている。
【0060】
一方、プッシュボタン68には透明な表示窓136が設けられており、この表示窓136を通じて表示部134a又は134bが外部に現われるようになっている。
即ち回転子110の表示部134a又は134bが、プッシュボタン68の裏側において表示窓136に臨むように配置されており、そして表示リング130が回転子110とともに所定角度回転するごとに、表示窓136を通じて表示部134a又は134bが交互に外部に現われるようになっている。
ここで表示窓136は、プッシュボタン68に形成した開口部に透明の樹脂を埋めて構成してある。
【0061】
次に本例の吐水装置58の作用を以下に説明する。
先ず図6,図7及び図14(I)は、駆動軸70が前進位置に保持された状態にあって、原水弁部64が閉弁状態、浄水弁部66が開弁状態に保持された状態にあり、このとき浄化フィルタ40の中心部の浄水通路56Aからの浄水は、図6,図7及び図13(A)に示す頭部26内部の浄水通路56Bを流通した後、浄水弁部66を通過し、更に図13(B)に示す浄水通路56Bを経て、図2及び図7の浄水ストレート吐水口60に到り、そこから外部にストレート吐水される。
【0062】
この状態でプッシュボタン68を図中右向きに1回プッシュ操作すると、スラストロック機構72によるロック位置の変更によって駆動軸70が後退位置となり、ここにおいて図4,図5及び図14(III)に示しているように、浄水弁部66が閉弁状態、原水弁部64が開弁状態となる。
【0063】
ここにおいて浄化フィルタ40の外周側の原水通路54Aからの原水が、図4,図5に示す頭部26内の原水通路54Bに流れ込み、更に原水弁部64を通過して、原水弁部64の下流側の原水通路54Bに到り、更に図5に示す原水通路54Bを流通して原水シャワー吐水口58へと到り、そこから外部にシャワー吐水される。
【0064】
尚、図14(II)は原水弁部64におけるパイロット弁80が開弁した状態を、図14(III)はこのパイロット弁80の開弁により主弁74が開弁した状態をそれぞれ表している。
【0065】
このように本例では、プッシュボタン68を1回プッシュ操作するごとに、浄水ストレート吐水と原水シャワー吐水とが切り替えられる。
またその切替えの都度、スラストロック機構72における表示リング130が回転子110と一体に所定角度ずつ回転して、表示部134a,134bをプッシュボタン68の表示窓136に臨ませ、現在の吐水状態が浄水ストレート吐水であるのか、原水シャワー吐水であるのかを表示する。
【0066】
以上のように本例の吐水装置では、操作部がプッシュボタン68とされていることから、吐水装置58の外形形状を煩雑感のないすっきりとしたものとして吐水装置58の美観を良好となすことができるとともに、操作部としてのプッシュボタン68自体に現在の吐水状態を表示する表示部134a,134bが現れるため、使用者にとって吐水状態切替えのための操作性が良好であるとともに、切替操作に際してプッシュボタン1箇所のみを確認するだけで良く、吐水装置58の使い勝手が良好となる。
【0067】
またプッシュ操作により吐水状態が切り替わるとともに表示窓136を通じての表示が切り替わるため、現在の吐水状態をより明確に使用者に対し認識させることができ、使用者にとっては現在の吐水状態がより分り易くなる。
【0068】
また複数の表示部134a,134bを設けた表示リング130を吐水状態の切替えと連動して回転させ、異なった表示部134a,134bを表示窓136に交互に現出させることで、吐水状態の切替えに対応した表示の切替えを容易に実現できる。
【0069】
以上本発明の実施例を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば上例では吐水を原水シャワー吐水と浄水ストレート吐水との間で切り替えるようにしているが、本発明は原水ストレート吐水と浄水ストレート吐水との間での切替えは勿論、原水のストレート吐水とシャワー吐水との切替えを行うようになした吐水装置、或いはプッシュボタンのプッシュ操作により吐水の有る状態と無い状態とを切り替えるに際して本発明を適用することも可能であり、更にまた本発明は、水栓とは別体に構成され、水栓に取り付けられて使用される吐水装置等各種の吐水装置に適用することが可能であるなど、その趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である吐水装置を有する水栓全体の側面図である。
【図2】図1の吐水装置を含む水栓の吐水ヘッドの内部構造を示す図である。
【図3】図2に示す構造を各部材に分解した状態で示す図である。
【図4】同実施例の吐水装置の平面断面図である。
【図5】同実施例の吐水装置の構造を拡大して示す側面断面図である。
【図6】同実施例の吐水装置の図4とは異なる作用状態で示す平面断面図である。
【図7】同実施例の吐水装置を図5とは異なる作用状態で示す側面断面図である。
【図8】同実施例の吐水装置におけるスラストロック機構を周辺部材とともに各部材に分解して示す図である。
【図9】図8における回転子の図である。
【図10】図8におけるハウジングの図である。
【図11】図8における伝達部材の図である。
【図12】図8における表示リングの図である。
【図13】(A):図7におけるア−ア断面図である。
(B):図7におけるイ−イ断面図である。
【図14】同実施例の吐水装置の作用説明図である。
【符号の説明】
10 水栓
20 吐水ヘッド
58 吐水装置
68 プッシュボタン
72 スラストロック機構
110 回転子
130 表示リング(回転部材)
134 表示板
134a,134b 表示部
136 表示窓
Claims (6)
- プッシュボタンのプッシュ操作によって吐水状態が切り替わるようになした吐水装置において、
前記プッシュボタンに表示窓を設けるとともに、該表示窓の裏側且つ該表示窓に臨む位置に表示部を位置させるようにし、該表示窓を通じて現在の吐水状態を表示するようになしたことを特徴とする吐水装置。 - 請求項1において、前記プッシュボタンをプッシュ操作することによって吐水状態が切り替わるようになしてあるとともに前記表示窓を通じての表示が吐水状態に応じて切り替わるようになしてあることを特徴とする吐水装置。
- 請求項1,2の何れかにおいて、前記プッシュボタンのプッシュ操作により回転部材が回転するようになしてあるとともに、該回転部材には異なった吐水状態を表示する複数の表示部が設けてあり、該プッシュボタンのプッシュ操作により吐水状態が切り替わるとともに、該回転部材の回転に伴って異なった表示部が前記表示窓に現れるようになしてあることを特徴とする吐水装置。
- 請求項3において、前記吐水装置が、前記プッシュボタンを1回プッシュ操作するごとに異なった吐水状態を保持するスラストロック機構を有しており、該スラストロック機構に前記回転部材が備えてあることを特徴とする吐水装置。
- 請求項4において、前記異なった吐水状態の一方が原水吐水状態であり、他方が浄水吐水状態であることを特徴とする吐水装置。
- 請求項1〜5の何れかにおいて、前記吐水装置が水栓における吐水ヘッドに一体に構成してあり、前記プッシュボタンが該吐水ヘッドの前端面に且つ軸方向に押込可能に設けてあることを特徴とする吐水装置。
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