JP2004244441A - 熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤および(C)分子内にエポキシ基を0.15〜2meq/gの範囲で含有し、かつ数平均分子量が20000〜200000の範囲であるエポキシ化ポリブタジエンを含有する熱硬化性樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
【産業上の利用分野】
本発明は熱硬化性樹脂組成物に関する。本発明で得られる熱硬化性樹脂組成物は、耐熱性に優れかつ内部応力の緩和を実現し、半導体封止材料に代表される電子部品材料、接着剤用途などに好適に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂を主成分とする組成物から得られる硬化物は接着性、耐熱性、電気特性などに優れており、半導体封止材料などの電気・電子部品、接着剤、塗料など多岐の用途に使用されている。しかしながら、かかる硬化物は本質的に可とう性に乏しくまた脆性も大きいため、硬化時に内部応力が蓄積されるのを避けられず、その結果、電子部品などの注型物ではクラックの発生、接着剤では接着不良、塗料では亀裂や剥離を引き起こすなどの問題を有していた。一方、電子部品や接着剤分野で要求される特性は近年ますます厳しくなってきており、耐熱性を維持したまま、強度の向上や低弾性率化などの物性改良が求められている。
これらの問題点を解決し、硬化時の内部応力を緩和し得る手法として、例えば、多官能エポキシ化合物、フェノール系化合物とホルムアルデヒドとの反応縮合物および1分子中に少なくとも1個以上のカルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、エポキシ基、チオール基、イソシアネート基を有するポリブタジエン誘導体を必須成分として配合した熱硬化性樹脂組成物(特許文献1参照);末端または分子内にエポキシ基を含有する合成ゴムを0.1〜5質量%含有するエポキシ樹脂組成物(特許文献2参照)が提案されている。また、硬化性芳香族及び/又は硬化性脂環式エポキシ樹脂、硬化剤、および特定のエポキシ含量を有する好ましくは特定構造のエポキシ化低粘度ポリジエンポリマーを含有する靱性付与されたエポキシ樹脂組成物(特許文献3参照)、かかる組成物にさらに水酸基含有物質を含むエポキシ樹脂組成物(特許文献4)が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開昭57−180626号公報
【特許文献2】
特開昭61−62511号公報
【特許文献3】
特表平9−512039号公報
【特許文献4】
特表平10−502696号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1〜特許文献4の組成物は、いずれも、内部可塑化により可とう性を付与させるという技術思想に基づくものである。
特許文献1で実質的に有用として開示されている「1分子中に少なくとも1個以上のカルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、エポキシ基、チオール基、イソシアネート基を有するポリブタジエン誘導体」は末端に官能基を有する低分子量のポリブタジエン(実施例で用いられているのは2800、4600および4800)であり、また特許文献2で実質的に有用として開示されている「末端または分子内にエポキシ基を含有する合成ゴム」の特に好ましい分子量は700〜3000(実施例で用いられているのも数平均分子量700〜3000)と低く、分子内にエポキシ基を含有する合成ゴムのエポキシ当量も190〜220(エポキシ価として5.3〜4.5meq/g)とエポキシ基含有量が高い。このような低分子量でかつ多くの官能基で変性されたポリブタジエンを配合した組成物の場合、耐熱性を低下させてしまうという問題点がある。また、末端にエポキシ基を含有する合成ゴムは一般的にエピクロロヒドリンとの反応により製造されるが、かかる合成ゴムは製造工程で副生する塩素イオンなどの不純物を多く含有するため、エポキシ樹脂組成物の耐湿性を低下させてしまうほか、金属部品用途などに用いる場合には腐食性を有するという問題点がある。
【0005】
さらに、特許文献3および特許文献4のエポキシ樹脂組成物は、靱性を付与することを特徴として謳っているが、実質的に有用として開示されている「エポキシ化低粘度ポリジエンポリマー」はビニル芳香族炭化水素を含む低分子量のブロックポリマー(実施例で用いられているのは4960、5680、6000、および6750)であり、特に好ましいエポキシ価は(1)ビニル芳香族炭化水素の含有量が5%未満の場合は3.5〜6meq/g;(2)ビニル芳香族炭化水素の含有量が5〜20%の場合は3〜6meq/g;(3)ビニル芳香族炭化水素の含有量が20%以上の場合は1.5〜6meq/g(実施例で用いられているのも2.2〜5.2meq/g)であり、ビニル芳香族含有量とエポキシ基含有量を調節することでエポキシ樹脂との相容性を向上させたものである。このようなエポキシ化低粘度ポリジエンポリマーを配合した組成物の場合、内部可塑化により可とう性は付与されるが、耐熱性の維持に関してはなお改良の余地がある。
しかして、本発明の目的は、耐熱性に優れ、かつ内部応力の緩和を実現し、内部応力によるクラック発生や接着、塗装界面の剥離等の問題点を解決するため十分な可とう性を付与した熱硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記の目的は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤および(C)分子内にエポキシ基を0.15〜2meq/gの範囲で含有し、かつ数平均分子量が20000〜200000の範囲であるエポキシ化ポリブタジエン(以下、エポキシ化ポリブタジエン(C)と略称する)を含有する熱硬化性樹脂組成物を提供することにより達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の熱硬化性樹脂組成物を構成するエポキシ樹脂(A)としては、硬化剤(B)により硬化可能なものであれば特に制限は無く、例えば1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂が好適に使用できる。具体的にはビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ジフェニルチオエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0008】
本発明の熱硬化性樹脂組成物を構成する硬化剤(B)としては、例えば1分子中にフェノール性水酸基を2個以上有するフェノール樹脂が好適に使用できる。具体的には、フェノールノボラック樹脂、レゾール型フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、トリフェノールアルカン樹脂、及びその重合体、ナフタレン環含有フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂などが挙げられる。硬化剤(B)の配合量はエポキシ樹脂(A)100質量部に対して20〜250質量部であることが好ましく、20〜125質量部の範囲であることがより好ましい。硬化剤(B)の配合量がエポキシ樹脂(A)100質量部に対して20質量部以下の場合には、熱硬化性樹脂組成物を硬化させた際のエポキシ樹脂(A)の未反応分が多くなる傾向にあり、一方250質量部以上の場合には、硬化剤(B)の未反応分が多くなる傾向にある。
【0009】
本発明の熱硬化性樹脂組成物を構成するエポキシ化ポリブタジエン(C)は、分子内にエポキシ基を0.15〜2meq/gの範囲で含有し、かつ数平均分子量が20000〜200000の範囲にあることを特徴とする。エポキシ化ポリブタジエン(C)のエポキシ基含有量が0.15meq/g未満ではエポキシ樹脂(A)との相容性が低くなり、熱硬化性樹脂組成物を硬化させた際の硬化物において、エポキシ化ポリブタジエン(C)のブリードアウトが顕著になる。一方、2meq/gを越えると、硬化物において、エポキシ化ポリブタジエン(C)の架橋点距離が短くなるためゴム弾性が失われる傾向となり、脆性が大きくなってしまう。
また、数平均分子量が20000以下では、熱硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物において、エポキシ化ポリブタジエン(C)のブリードアウトが顕著になり、一方、200000以上ではエポキシ化ポリブタジエン(C)の粘度が高くなり、熱硬化性樹脂組成物を調製する際の作業性が悪化する。
なお、本明細書における数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量を意味する。
【0010】
エポキシ化ポリブタジエン(C)の配合量はエポキシ樹脂(A)100質量部に対し1〜40質量部であることが好ましく、5〜25質量部の範囲であることがより好ましい。エポキシ化ポリブタジエン(C)の配合量がエポキシ樹脂(A)100質量部に対して1質量部以下の場合には、本発明の熱硬化性樹脂組成物を硬化させた際の硬化物において、十分な可とう性を付与することができない傾向にあり、一方、40質量部以上の場合には熱硬化性樹脂組成物を硬化させた際の硬化物において、エポキシ化ポリブタジエン(C)のブリードアウトが生じる傾向にある。
【0011】
エポキシ化ポリブタジエン(C)の原料となるポリブタジエンの製造方法は特に限定されず、例えばアニオン重合法、チーグラー触媒法などを採用することができる。アニオン重合法の場合、アルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気下で、例えばヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの重合反応に不活性な溶媒中で、金属ナトリウム、金属リチウムなどのアルカリ金属;メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウムなどのアルキルリチウム化合物などを開始剤として用いて、通常、重合温度−100〜100℃の範囲、重合時間0.01〜200時間の範囲で重合させる方法で行うことができる。
【0012】
次いで、得られたポリブタジエン中の炭素−炭素二重結合をエポキシ化して、エポキシ化ポリブタジエン(C)を得る。エポキシ化の方法は特に限定されず、例えば(i)過酢酸などの過酸で処理する方法(特開平8−134135号公報参照)、(ii)モリブデン錯体とt−ブチルヒドロペルオキシドで処理する方法(ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサエティ、ケミカル・コミュニケーションズ(J.Chem.Soc.,Chem.Commun.),1686頁(1989年)参照)、(iii)タングステン酸触媒と過酸化水素で処理する方法(ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス、C(J.Polym.Sci.,C),28巻,285頁(1990年)参照)、(iv)タングステン酸アンモニウムまたはリンタングステン酸から選ばれるタングステン化合物、第4級アンモニウム塩、リン酸及び過酸化水素水溶液で処理する方法(特開2002−249516号公報参照)などが挙げられる。
【0013】
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、本発明の目的および効果を損なわない限り、硬化促進剤および/または無機充填剤をさらに添加してもよい。
【0014】
硬化促進剤としては、例えばトリフェニルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン、ジブチルフェニルホスフィンなどのホスフィン類;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどのアミン類などが挙げられる。これらの硬化促進剤を添加する場合、その添加量は硬化促進効果が達成される量であれば特に制限はないが、本発明の熱硬化性樹脂組成物を構成する成分であるエポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)およびエポキシ化ポリブタジエン(C)の合計質量に対して0.005〜2質量%の範囲であることが好ましい。
【0015】
無機充填剤としては、例えば溶融シリカ、結晶シリカ、ガラス、アルミナなどが挙げられる。これらの無機充填剤を添加すると、本発明の熱硬化性樹脂組成物の吸湿性および熱伝導性、力学的強度の向上を図ることができる。また、無機充填剤の添加により、金属よりも高いエポキシ樹脂の線膨張係数を低減し、例えば半導体封止用途に使用する際、成形時の温度変化によるクラックや剥離などの低減を図ることができる。無機充填剤を配合する場合、その量に厳密な意味での制限はなく、用途によってその配合量は変化し得るが、例えば本発明の熱硬化性樹脂組成物を半導体封止用途として用いる際に無機充填剤を添加する場合、その添加量は、熱硬化性樹脂組成物を構成するエポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、エポキシ化ポリブタジエン(C)、硬化促進剤および無機充填剤を加えた全配合成分の合計質量に対して70〜90質量%の範囲であることが好ましい。
【0016】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、エポキシ化ポリブタジエン(C)、さらに必要に応じて硬化促進剤、無機充填剤などを均一に分散混合できれば、どのような手法を用いて調製してもよい。例えば、所定の配合量の上記した材料をミキサーなどで十分混合し、次いでミキシングロール、押出し機等によって溶融混練したあと、冷却、粉砕する方法などが挙げられる。また、本発明に係る熱硬化性樹脂組成物を熱により硬化させて成形物を作成する際の成形方法はトランスファー成形法が一般的であるが、インジェクション成形法、圧縮成形法などを用いてもよい。
【0017】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、耐熱性に優れ、かつ内部応力の緩和を実現し、例えば曲げ強度を保ちながら低弾性率である材料であるので、半導体封止材料に代表される電子部品材料、接着剤用途などに好適に用いることができる。
【0018】
【実施例】
以下に実施例をもって本発明を詳細に説明するが、本発明はかかる実施例に何ら限定されるものではない。なお、各実施例および比較例における熱硬化性樹脂組成物の物性評価は以下のようにして行った。
【0019】
(a)破断曲げ強度、曲げ弾性率
下記の実施例および比較例で得られた熱硬化性樹脂組成物より縦100mm×横10mm×厚さ3mmの試験片を作成し、JIS K 6911に従って室温で測定した。
【0020】
(b)動的粘弾性
下記の実施例および比較例で得られた熱硬化性樹脂組成物より縦50mm×横5mm×厚さ0.5mmの試験片を作成し、RHEOVIBRON−DD5−III((株)オリエンテック製)を用いて、FREQUENCY 11Hz、測定温度範囲30〜250℃の測定条件で、貯蔵弾性率(E’)の温度依存性を測定した。
【0021】
以下に、実施例および比較例で用いた各成分の詳細を記す。
エポキシ樹脂(A)
EPICLON N−665(商品名):クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、エポキシ価4.7〜5.0meq/g、軟化点64〜72℃)
【0022】
硬化剤(B)
フェノライト TD−2131(商品名):フェノールノボラック樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、水酸基価9.7meq/g、軟化点80±2℃)
【0023】
エポキシ化ポリブタジエン(C)
参考例1
〈1〉窒素置換を行った容量5リットルのオートクレーブ中に、ヘキサン2000gおよびn−ブチルリチウム2.5gを仕込んだ後、50℃まで昇温し、ブタジエン660gを添加し、3時間重合を行った。反応液の一部をサンプリングし、GPCで生成物を分析したところ、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)=35000、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)=1.02のポリブタジエンが生成していた。
〈2〉上記〈1〉で得られた重合反応溶液300gを水洗した後、容量1リットルのオートクレーブ中に仕込み、リンタングステン酸0.03g、リン酸0.03g、35質量%過酸化水素水溶液1.4g、水90gおよびトリオクチルメチルアンモニウムクロライド0.06gを添加し、80℃で3時間反応させた。得られた反応液をメタノール中に注いで重合体を再沈させて濾別し、80℃で7時間真空乾燥することにより70gのエポキシ化ポリブタジエン(以下、e−BR−1と略称する)を得た。得られたe−BR−1をGPCで分析したところ(Mn)=35000、(Mw/Mn)=1.02であった。また、e−BR−1約0.5gを精秤してテトラヒドロフラン(THF)10mlに25℃で溶解させ、この溶液に0.2N塩酸THF溶液10mlを加えて30分撹拌し、e−BR−1中のエポキシ基と反応させた後、過剰分の塩酸を0.1N水酸化カリウムエタノール溶液で滴定することによりエポキシ価を測定した(以下、この方法を塩酸逆滴定法と称する)ところ、0.16meq/gであった。
【0024】
参考例2
参考例1の〈1〉と同様の操作で得られたポリブタジエンの重合反応溶液300gを水洗した後、容量1リットルのオートクレーブ中に仕込み、リンタングステン酸0.11g、リン酸0.11g、35質量%過酸化水素水溶液4.6g、水90gおよびトリオクチルメチルアンモニウムクロライド0.19gを添加し、80℃で3時間反応させた。得られた反応液をメタノール中に注いで重合体を再沈させて濾別し、80℃で7時間真空乾燥することにより70gのエポキシ化ポリブタジエン(以下、e−BR−2と略称する)を得た。得られたe−BR−2をGPCで分析したところ(Mn)=35300、(Mw/Mn)=1.02であった。また、e−BR−2のエポキシ価を参考例1の〈2〉と同様に塩酸逆滴定法により測定したところ、0.52meq/gであった。
【0025】
実施例1
加熱装置、攪拌装置および温度計を備えた金属製容器にエポキシ樹脂(A)60質量部、硬化剤(B)30質量部、参考例1で得られたe−BR−1を9質量部、および硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン1質量部を入れ、110℃で15分溶融混練し、熱硬化性樹脂組成物を得た。次に得られた熱硬化性樹脂組成物を金型に充填し180℃で2分間圧縮成形を行なって硬化させ、物性評価用試験片を作製し上記の方法により物性評価を行った。破断曲げ強度および曲げ弾性率を表1に示す。
【0026】
実施例2
実施例1において、e−BR−1の代わりに参考例2で得られたe−BR−2を9質量部用いた以外は実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物を得、その物性評価を行った。結果を表1に示す。
【0027】
比較例1
実施例1において、e−BR−1を添加しなかった以外は実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物を得、その物性評価を行った。結果を表1に示す。
【0028】
比較例2
実施例1において、e−BR−1の代わりに参考例1〈1〉で得られた数平均分子量(Mn)=35000のポリブタジエンを9質量部用いた以外は実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物を得、その物性評価を行った。結果を表1に示す。
【0029】
比較例3
実施例1において、e−BR−1の代わりに、末端カルボキシル変性ニトリルゴム:商品名「HYCAR CTポリマー CTBN1300×13」(宇部興産株式会社製、Mn=7700、Mw=15600)を9質量部用いた以外は実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物を得、その物性評価を行った。結果を表1に示す。
【0030】
比較例4
実施例1において、e−BR−1の代わりにエポキシ化ポリブタジエン:商品名「E−1000−8.0」(日本石油株式会社製、Mn=40、Mw=4200、エポキシ価5.0meq/g)を9質量部用いた以外は実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物を得、その物性評価を行った。結果を表1に示す。
【0031】
比較例5
実施例1において、e−BR−1の代わりにエポキシ化ポリブタジエン:商品名「E−1800−6.5」(日本石油株式会社製、Mn=120、Mw=9200、エポキシ価4.1meq/g)を9質量部用いた以外は実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物を得、その物性評価を行った。結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
次に、動的粘弾性の測定により得られたE’の測定曲線を示す。図1は実施例1、実施例2および比較例1の3種の熱硬化性樹脂組成物より得られた硬化物のE’を、図2は実施例1、比較例1および比較例2の3種の熱硬化性樹脂組成物より得られた硬化物のE’を、図3は実施例1、比較例1、比較例3および比較例4の4種の熱硬化性樹脂組成物より得られた硬化物のE’を、図4は実施例1、比較例1および比較例5の3種の熱硬化性樹脂組成物より得られた硬化物のE’をまとめて示したものである。
【0034】
【図1】
【0035】
【図2】
【0036】
【図3】
【0037】
【図4】
【0038】
表1より、特定範囲のエポキシ価を有するエポキシ化ポリブタジエン(C)を配合した本発明の熱硬化性樹脂組成物より得られた硬化物(実施例1、2)は、破断曲げ強度の向上と低弾性率化を同時に達成している。すなわち、十分な可とう性が付与され、高い強度を有する熱硬化性樹脂組成物が得られている。
【0039】
一方、エポキシ化ポリブタジエン(C)を配合しない比較例1の熱硬化性樹脂組成物より得られた硬化物は破断曲げ強度が低く、曲げ弾性率が高い。これは比較例1の熱硬化性樹脂組成物より得られた硬化物が可とう性に乏しく、脆いことを意味する。また、未変性のポリブタジエンを配合した場合(比較例2)は低弾性率化の達成はできるが、破断曲げ強度の向上は十分でない。また、末端カルボキシル変性ニトリルゴム(CTBN)を配合した場合(比較例3)、破断曲げ強度は向上するが低弾性率化が十分でない。そして、本発明の範囲外のエポキシ価を有するエポキシ化ポリブタジエンを配合した場合(比較例4、5)では、破断曲げ強度、曲げ弾性率のいずれも満足する物性が得られない。
【0040】
一方、図1〜図4において、E’が急激に低下しはじめる温度をそれぞれの実施例および比較例の熱硬化性樹脂組成物より得られた硬化物の軟化開始温度、すなわち耐熱性の指標とすることができる。
図1より、特定範囲のエポキシ価を有するエポキシ化ポリブタジエン(C)を配合した本発明の熱硬化性樹脂組成物より得られた硬化物(実施例1、2)は、エポキシ化ポリブタジエン(C)を配合しない比較例1の熱硬化性樹脂組成物より得られた硬化物と同様に150℃付近までE’が維持されることから、耐熱性が損なわれていないことがわかる。
【0041】
図2からは、未変性のポリブタジエンを配合した場合(比較例2)でも同様に150℃付近までE’が維持されていることがわかるが、この組成物より得られた硬化物は、上記したとおり、低弾性率化の達成はできるが、破断曲げ強度の向上は十分でないという欠点をもつ。
【0042】
これに対して、図3および図4より、CTBN(比較例3)や本発明で規定した範囲外のエポキシ価を有するエポキシ化ポリブタジエン(比較例4、5)を配合した熱硬化性樹脂組成物より得られた硬化物の場合は、実施例1の熱硬化性樹脂組成物よりも低い温度でE’の低下が始まっており、これらが耐熱性に劣ることがわかる。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば耐熱性を低下させずに内部応力を緩和することができ、十分な可とう性が付与された熱硬化性樹脂組成物を得ることができる。
Claims (1)
- (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤および(C)分子内にエポキシ基を0.15〜2meq/gの範囲で含有し、かつ数平均分子量が20000〜200000の範囲であるエポキシ化ポリブタジエンを含有する熱硬化性樹脂組成物。
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