JP2004204228A - 硬化性エポキシ樹脂組成物および硬化物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 下記式(1)
【化1】
(式中でR1〜R18は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。これらは、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでよい炭化水素基、又は置換基を有してよいアルコキシ基である。)
で表される脂環式エポキシ化合物(A)、熱カチオン(b1)もしくは光カチオン(b2)重合開始剤(B)または酸無水物(C)、および必要に応じて加えられる他のエポキシ樹脂(D)とからなることを特徴とする硬化性エポキシ樹脂組成物および硬化物。
【選択図】 なし
Description
中でも、例えばビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等に代表されるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂である汎用型芳香族エポキシ樹脂は、硬化剤と、場合によっては硬化促進剤を添加して、更に必要により、タルク、チタン、シリカなどの充填剤をも添加して、種々の硬化条件で硬化させて硬化物として用いられている。
しかしながら、上記のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂である汎用型芳香族エポキシ樹脂からなる硬化物は、芳香核構造を有するために屋外における耐候性に劣る。また、上述したようなグリシジルエーテル型エポキシ樹脂の粘度をE型回転粘度計(例えば、東京計器製)を使用して25℃で測定すると、ビスフェノールA型で4000〜20000mPa・s、ビスフェノールF型で1500〜4500mPa・sであるなど一般にグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂の流動性は低いため、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等に代表される溶剤に溶解し使用されることが多く、作業性、環境安全性に問題がある。
希釈剤を使用しなくても十分に粘度の低いエポキシ樹脂としては、シクロヘキセンオキシド骨格(脂環骨格)を持つものが知られている。脂環骨格を有するエポキシ化合物はグリシジルエーテル型エポキシ化合物と同程度の反応性を有することを特徴として、現在さまざまな種類のものが市販されている。例えば分子内に脂環骨格を持つ単官能エポキシ化合物としてモノエポキシ化4−ビニルシクロヘキセン、二官能エポキシ化合物として4−ビニルシクロヘキセンジエポキシドやリモネンジエポキシド等が挙げられる。
これら脂環骨格を有するエポキシ化合物またはそれを含む樹脂組成物はコーティング、接着剤、インキ、シーラントの成分、各種熱可塑性樹脂の安定剤または医薬品および医療用品を含む種々の最終用途に用いられており、さらに有用な他の化合物を製造するための中間体としても有用であることが知られている。
これらの脂環骨格を有するエポキシ化合物は上記用途での使用にあたって十分な性能を有するが若干反応性が低く、硬化物の物性や反応性の低下が起こることがあった。そこで、反応性の高い脂環エポキシ化合物が望まれている。しかしながら、先に挙げたモノエポキシ化4−ビニルシクロヘキセンやリモネンジエポキシドは室温で揮発するため作業環境上に問題があった。
また、特開平4−69360号公報および特開平4−170411号公報に開示されているエポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス−3−シクロヘキセニルメチルエステルおよびそのε−カプロラクトン付加物(ダイセル化学工業製エポリード「GT401」等GT400シリーズ)も複数個の脂環式エポキシ基を有する硬化性エポキシ化合物として市販されている。
しかしながら、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートやビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペートおよびそのラクトン付加物、エポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス−3−シクロヘキセニルメチルエステルおよびそのε−カプロラクトン付加物等は分子内にエステル基を持つため加水分解を生じることがある。
そのため、上記のように、高温高湿下での使用や強酸が発生する条件等を用いた場合、硬化物の物性低下が起こることがあった。
また、後記本発明に係る式(1)で表される脂環式ジエポキシ化合物と類似の脂環式ジエポキシ化合物として、2つの脂環構造がメチレン基等で連結されている脂環式ジエポキシ化合物がある(例えば、特願2002−275169号公報、特開昭58−172387号公報、特公昭50−10636号公報)。
さらに、近年、オキセタン化合物とカチオン重合開始剤、および脂環式エポキシ化合物を配合または変性した硬化性樹脂組成物が提案(例えば、特開2002−53659号公報や特開2002−82527号公報等)されているが、これらの脂環式ジエポキシ化合物を含む硬化性樹脂組成物は何れもまだ満足できる性能を発揮するに至ってはいない。
で表される脂環式エポキシ化合物(A)、熱カチオン(b1)もしくは光カチオン(b2)重合開始剤(B)または酸無水物(C)、および必要に応じて加えられる他のエポキシ樹脂(D)とからなることを特徴とする硬化性エポキシ樹脂組成物を提供する。また、本発明の第2は、式(1)で表される脂環式エポキシ化合物(A)がビシクロヘキシル−3,3’−ジエポキシドである前記発明に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物を提供する。また、本発明の第3は、光カチオン重合開始剤(b1)がスルホニウム塩系の光カチオン重合開始剤であるに前記発明に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物を提供する。また、本発明の第4は、酸無水物(C)がメチルヘキサヒドロ無水フタル酸である前記発明に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物を提供する。また、本発明の第5は、前記発明に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物を提供する。
本発明の低粘度で扱い容易な脂環式エポキシ化合物を必須成分とする硬化性エポキシ樹脂組成物は各種硬化剤に対する反応性が高く低粘度で加工性に優れている。また、作業環境への影響も少ない点でも優れている。
この硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させて得られた硬化物は従来のエポキシ樹脂を用いて硬化させて得られた硬化物の場合と比較すると、透明性、耐熱性、耐アルカリ性、吸水率、吸水膨張率、寸法精度などの点で非常に良い性能を示す。また、その硬化物はコーティング、インキ、接着剤、シーラント、封止材、光学的立体造形用などの用途を含むさまざまな方面で有用な物性を示すものである。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における必須の樹脂成分である下記式(1)
で表される脂環式エポキシ化合物(A)は、公知であり、例えば、前記特願2002−260490号明細書やロシア文献(Neftekhimiya,1972,12,353)に記載されている方法で製造することができる。特に前者に記載されているように水分含有率の低い過酸を用いて対応するジオレフィン化合物のエポキシ化により製造されたものがジエポキシ化合物の含有率が高く好ましい。上記式(1)で表される脂環式エポキシ化合物(A)の具体的なものとしては、R1〜R18がいずれも水素原子であるビシクロヘキシル−3,3’−ジエポキシドがあり、好ましく用いられる。
光カチオン重合開始剤(b1)としてはスルホニウム塩系、ヨードニウム塩系、ジアゾニウム塩系、アレン−イオン錯体系等の化合物が使用できる。例えばスルホニウム塩系のUVACURE1590、UVACURE1591(以上、ダイセルUCB社製)、DAICAT11(ダイセル化学社製)、CD−1011(サートマー社製)、SI−60L、SI−80L、SI−100L(以上、三新化学社製)等;ヨードニウム塩系のDAICAT12(ダイセル化学社製)、CD−1012(サートマー社製);ジアゾニウム塩系のSP−150,SP−170(旭電化工業社製)などが挙げられる。光カチオン重合開始剤の中でも、上記SI−60L、SI−80L、SI−100Lは加熱によりカチオンを発生させることもできる。
さらに、熱カチオン重合開始剤(b2)としてはトリフェニルシラノールなどのシラノール系のカチオン触媒やアルミニウムトリス(アセチルアセトン)などのアルミキレート系触媒も使用することができる。
本発明において、上記カチオン重合開始剤は脂環式エポキシおよび必要に応じて加えられる後記する他のエポキシ樹脂の合計100重量部に対し、0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.1から3重量部程度配合することが適当である。0.01重量部以下では熱硬化性が著しく低下し、20重量部を超えて配合した場合には、増量効果が認められず不経済であるとともに、硬化物の物性低下を来すので好ましくない。
この場合、酸無水物としては、カルボキシル基(COOH基)を有する化合物の含有量が0.5重量%以下(即ち、0〜0.5重量%)、特に0.4重量%以下(即ち、0〜0.4重量%)のものを使用する。カルボキシル基含有量が0.5重量%より多いと結晶化するおそれがあり、好ましくない。この場合、カルボキシル基(COOH基)の含有量としては、酸無水物硬化剤に対して0.3重量%以下(即ち、0〜0.3重量%)、特に0.25重量%以下(即ち、0〜0.25重量%)のものが同様の理由により好ましい。
なお、酸無水物の配合量は、エポキシ樹脂中のエポキシ基1モルに対し、硬化剤中の酸無水物基の比を0.3〜0.7モルの範囲とすることが望ましい。0.3モル未満では硬化性が不十分であり、0.7モルを超えると、未反応の酸無水物が残存し、ガラス転移温度の低下となるおそれがある。より望ましくは0.4〜0.6モルの範囲である。
上記以外にもフェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールADノボラック型エポキシ樹脂等のノボラックエポキシ樹脂、トリシクロデセンオキサイド基を有するエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂のエポキシ化物等の環式脂肪族エポキシ樹脂、ナフタレン型フェノール樹脂のエポキシ化物等の芳香族エポキシ樹脂、ダイマー酸グリシジルエステル、トリグリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジルp−アミノフェノール、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂、フロログリシノールトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシビフェニルトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシフェニルメタントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]−2−プロパノール等の3官能型エポキシ樹脂、テトラヒドロキシフェニルエタンテトラグリシジルエーテル、テトラグリシジルベンゾフェノン、ビスレゾルシノールテトラグリシジルエーテル、テトラグリシドキシビフェニル等の4官能型エポキシ樹脂、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3‘,4’−エポキシシクロヘキセニルカルボキシレート(ダイセル化学工業製セロキサイド2021)、リモネンジエポキシド(ダイセル化学工業製セロキサイド3000)、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3‘,4’−エポキシシクロヘキセニルカルボキシレート(ダイセル化学工業製セロキサイド2081)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート(例えば、ユニオンカーバイド製ERL4227等)、エポキシ化3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス3−シクロヘキセニルメチルエステルおよびそのε−カプロラクトン付加物(ダイセル化学工業製「エポリードGT301」等GT300シリーズ)、およびエポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス−3−シクロヘキセニルメチルエステルおよびそのε−カプロラクトン付加物(ダイセル化学工業製エポリード「GT401」等GT400シリーズ)などの脂環式エポキシ樹脂が挙げられる。必要に応じて加えられるエポキシ樹脂の添加量は式(1)で表される脂環式エポキシ化合物100重量部に対して1〜10000重量部、好ましくは、100〜8000重量部、さらに好ましくは、1000〜5000重量部である。1重量部より少ない場合は、必要に応じて加えられるエポキシ樹脂を添加する意味がなく、逆に10000重量部より多い場合は硬化物において、式(1)で表される脂環式エポキシ化合物による優れた特性が出ない。
本発明に使用するラジカル重合性有機化合物(E)とは、活性エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤の存在下、活性エネルギー線照射により高分子量化または架橋反応するラジカル重合性有機化合物で、好ましくは1分子中に少なくとも1個以上の不飽和二重結合を有する化合物である。
このような化合物としては、例えばアクリレート化合物、メタクリレート化合物、アリルウレタン化合物、不飽和ポリエステル化合物、スチレン系化合物等が挙げられる。
このようなラジカル重合性有機化合物(E)の中でも(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、合成、入手が容易であり、また取り扱いも容易であり、好ましい。例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、アルコール類の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
ここで、エポキシ(メタ)アクリレートとは、例えば、従来公知の芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂などと、(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるアクリレートである。これらのエポキシアクリレートのうち、特に好ましいものは、芳香族エポキシ樹脂のアクリレートであり、少なくとも1個の芳香核を有する多価フェノールまたはそのアルキレンオキサイド付加体のポリグリシジルエーテルを、(メタ)アクリル酸と反応させて得られる(メタ)アクリレートである。例えば、ビスフェノールA、またはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロロヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテルを、(メタ)アクリル酸と反応させて得られる(メタ)アクリレート、エポキシノボラック樹脂と(メタ)アクリル酸を反応して得られる(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートとして好ましいものは、1種または2種以上の水酸基含有ポリエステルや水酸基含有ポリエーテルに水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとイソシアネート類を反応させて得られる(メタ)アクリレートや、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとイソシアネート類を反応させて得られる(メタ)アクリレート等である。
ここで使用する水酸基含有ポリエステルとして好ましいものは、1種または2種以上の多価アルコールと、1種または2種以上の多塩基酸或いは1種または2種以上のラクトン類との反応によって得られる水酸基含有ポリエステルであって、多価アルコールとしては、例えば、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどが挙げられる。多塩基酸としては、例えば、アジピン酸、テレフタル酸、無水フタル酸、トリメリット酸などが挙げられる。ラクトン類としては、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトンなどが挙げられる。
水酸基含有ポリエーテルとして好ましいものは、多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られる水酸基含有ポリエーテルであって、多価アルコールとしては、前述した化合物と同様のものが例示できる。アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとして好ましいものは、多価アルコールと(メタ)アクリル酸のエステル化反応によって得られる水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルであって、多価アルコールとしては、前述した化合物と同様のものが例示できる。
このような水酸基含有(メタ)アクリル酸のうち、二価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応によって得られる水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルは特に好ましく、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
イソシアネート類としては、分子中に少なくとも1個以上のイソシアネート基を持つ化合物が好ましく、トリレンジイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの2価のイソシアネート化合物が特に好ましい。
ポリエステル(メタ)アクリレートとして好ましいものは、水酸基含有ポリエステルと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレートである。ここで使用する水酸基含有ポリエステルとして好ましいものは、1種または2種以上の多価アルコールと、1種または2種以上の1塩基酸、多塩基酸とのエステル化反応によって得られる水酸基含有ポリエステルであって、多価アルコールとしては、前述した化合物と同様のものが例示できる。1塩基酸としては、例えばギ酸、酢酸、酪酸、安息香酸が挙げられる。多塩基酸としては、例えばアジピン酸、テレフタル酸、無水フタル酸、トリメリット酸が挙げられる。
ポリエーテル(メタ)アクリレートとして好ましいものは、水酸基含有ポリエーテルと、メタ(アクリル)酸とを反応させて得られるポリエーテル(メタ)アクリレートである。ここで使用する水酸基含有ポリエーテルとして好ましいものは、多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られる水酸基含有ポリエーテルであって、多価アルコールとしては、前述した化合物と同様のものが例示できる。アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられる。
アルコール類の(メタ)アクリル酸エステルとして好ましいものは、分子中に少なくとも1個の水酸基を持つ芳香族または脂肪族アルコール、及びそのアルキレンオキサイド付加体と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートであり、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
本発明においては、上記ラジカル重合性有機化合物(E)100重量部のうち50重量部以上が、分子中に(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることが好ましい。その理由は、(メタ)アクリロイル基以外の不飽和基を有する化合物の割合が多くなると活性エネルギー線による硬化性が低下する場合があるからである。(メタ)アクリロイル基を有する化合物の中でも、(メタ)アクリロイル基を2個以上有するポリ(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
本発明に使用するラジカル重合性有機化合物(E)の配合量は、上記一般式(I)で表わされる脂環式エポキシ化合物または脂環式エポキシ化合物(A)とそれ以外の他のエポキシ樹脂(D)との混合物100重量部に対して200重量部以下であることが好ましく、100重量部以下であることが特に好ましい。ラジカル重合性有機化合物(E)の配合量が200重量部を超えると脂環式エポキシ化合物(A)による優れた耐吸湿性が減殺される。
アセトフェノン系化合物としては、例えばジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ターシャリブチルジクロロアセトフェノン、p−ターシャリブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
ベンジル系化合物としては、ベンジル、アニシル等が挙げられる。
ベンゾフェノン系化合物としては、例えばベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィドなどが挙げられる。
チオキサントン系化合物としては、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。
その他の光ラジカル重合開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)]チタニウムなどが挙げられる。
これらの光ラジカル重合開始剤は1種あるいは2種以上のものを所望の性能に応じて配合して使用することができる。
光ラジカル重合開始剤の配合量はラジカル重合性有機化合物100重量部に対して0.05〜30重量部、好ましくは、0.5〜10重量部である。配合量が0.05重量部未満では硬化不良を生じることがあり、逆に30重量部を超えると硬化物が着色したり、硬化物の機械的物性の低下が生じることがある。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物にはポリブタジエン、ポリブタジエンポリスチレン共重合体ポリマーなどの合成ゴム、エラストマーを用いることもできる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物には6,6−ナイロン等のポリアミド樹脂やポリイミド樹脂等の含窒素化合物を用いることができる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物にはフェノール樹脂を含むこともできる。例えば、ノボラックフェノール樹脂、ジシクロペンタジエン共重合型ノボラックフェノール樹脂、ナフタレン共重合型ノボラックフェノール樹脂、ビフェニル去重合型ノボラックフェノール樹脂、キシレン共重合型ノボラックフェノール樹脂、クレゾールノボラックフェノール樹脂、ジシクロペンタジエン共重合型クレゾールノボラックフェノール樹脂、ナフタレン共重合型クレゾールノボラックフェノール樹脂、ビフェニル共重合型クレゾールノボラックフェノール樹脂、ナフタレン共重合型クレゾールノボラックフェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン共重合型レゾール樹脂、ナフタレン共重合型レゾール樹脂、ビフェニル共重合型レゾール樹脂、キシレン共重合型レゾール樹脂等が挙げられる。
必要に応じて加えられるポリエチレン等やフェノール樹脂の添加量は式(1)で表される脂環式エポキシ化合物100重量部に対して1〜10000重量部、好ましくは、100〜8000重量部、さらに好ましくは、1000〜5000重量部である。1重量部より少ない場合は、ポリエチレン等を添加する意味がなく、逆に10000重量部より多い場合は硬化物において、式(1)で表される脂環式エポキシ化合物による優れた特性が出ない。
有機充填剤の例としては、アクリル樹脂のような窒素原子含有熱可塑性樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂のような熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。無機充填剤の例としては、アルミナ、タルク、ガラス粉末、セラミック粉末、結晶性シリカ、溶融シリカなどが挙げられる。また、充填剤の含有量は、本発明の効果に悪影響を及ぼさない限り、特に限定されるものではない。
さらに、本発明に用い得る添加剤としては、窒素原子含有熱硬化性樹脂、有機合成ゴム等の低応力化剤、カルナバワックス、高級脂肪酸、合成ワックス等のワックス類、カーボンブラック等の着色剤、ハロゲントラップ剤、レベリング剤、硬化促進剤等が挙げられる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、温度30〜240℃、好ましくは、35〜180℃、さらに好ましくは、35〜60℃で、硬化時間30〜300分、好ましくは、45〜240分、さらに好ましくは、60〜120分で硬化させる。
硬化温度と硬化時間が上記範囲下限値より低い場合は、硬化が不十分となり、逆に上記範囲上限値より高い場合、樹脂成分の分解が起きる場合があるので、何れも好ましくない。硬化条件は種々の条件に依存するが、硬化温度が高い場合は硬化時間は短く、硬化温度が低い場合は硬化時間は長く、適宜調整することができる。通常は、一次硬化(硬化温度30〜240℃、好ましくは35〜180℃、さらに好ましくは35〜60℃、硬化時間30〜300分、好ましくは45〜240分、さらに好ましくは60〜120分)させた後、引き続き二次硬化(硬化温度60〜240℃、好ましくは90〜200℃、さらに好ましくは120〜200℃、硬化時間30〜180分、好ましくは45〜150分、さらに好ましくは60〜120分)を行って硬化不足が起きないようにするのが好ましい。
例えば、紫外線照射を行う時の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯などが用いられる。照射時間は、光源の種類、光源と塗布面との距離、その他の条件により異なるが、長くとも数十秒であり、通常は数秒である。紫外線照射後は、必要に応じて加熱を行って硬化の完全を図ることもできる。電子線照射の場合は、50〜1,000KeVの範囲のエネルギーを持つ電子線を用い、2〜5Mradの照射量とすることが好ましい。通常、ランプ出力80〜300W/cm程度の照射源が用いられる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物中の必須の樹脂成分である脂環骨格を有するエポキシ化合物は低粘度であるため、その硬化性組成物も低粘度であり加工性に優れた特徴を有する。また、100℃に満たない温度領域では揮発しないため、作業環境への影響もない。
以下の実施例は、本発明を例示するためのものであり、その範囲を何ら限定するものではない。
原料の脂環式オレフィン化合物であるビシクロヘキシル−3,3’−ジエンを406g、酢酸エチル1217gを仕込み、窒素を気相部に吹き込みながら、かつ、反応系内の温度を37.5℃になるようにコントロールしながら約3時間かけて30重量%過酢酸の酢酸エチル溶液(水分率0.41重量%)457gを滴下した。過酢酸溶液滴下終了後、40℃で1時間熟成し反応を終了した。さらに30℃で反応終了時の粗液を水洗し、70℃/20mmHgで低沸点化合物の除去を行い、エポキシ化合物415gを得た。このときの収率は85%であった。
得られたエポキシ化合物のオキシラン酸素濃度は14.7重量%(理論値:16.5重量%)であった。
また1HNMRの測定では、δ4.5〜5ppm付近の内部二重結合に由来するピークが消失し、δ2.9〜3.1ppm付近にエポキシ基に由来するプロトンのピークの生成が確認され、前記一般式(I)で表される脂環式エポキシ化合物(A)であることが確認された。
(A)成分として、ビシクロヘキシル−3,3‘−ジエポキシド100重量部に(B)成分として、三新化学製「サンエイドSI−60L」(スルホニウム塩系の光カチオン重合開始剤)0.6重量部を配合した組成物の粘度を東京計器社製E型回転粘度計を用いて25℃で測定したところ50mPa・sであった。
上記樹脂組成物をTG/DTA装置(セイコーインスツルメンツ社製 EXSTAR6000 TG/DTA 6200、以下同じ)を用いて毎分200mlの空気雰囲気下、40℃から200℃まで毎分10℃の速度で昇温し、加熱によって樹脂組成物が揮発するか樹脂硬化物が分解することによって重量減を示す温度を測定した。100℃での重量減は0.5%未満であり、元の重量に比べて5%重量減を示した温度は150.0℃であった。
3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3‘,4’−エポキシシクロヘキセニルカルボキシレート[ダイセル化学工業製「セロキサイド2021P(表中では、CEL 2021Pと表示する)」]100重量部および「サンエイドSI−60L」0.6重量部を配合した組成物の粘度を東京計器社製E型回転粘度計を用いて25℃で測定したところ240mPa・sであった。
上記樹脂組成物をTG/DTA装置を用いて毎分200mlの空気雰囲気下、40℃から250℃まで毎分10℃の速度で昇温し、加熱によって樹脂組成物が揮発するか樹脂硬化物が分解することによって重量減を示す温度を測定した。100℃での重量減は0.5%未満であり、元の重量に比べて5%重量減を示した温度は210.8℃であった。
ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3‘,4’−エポキシシクロヘキセニルカルボキシレート[ダイセル化学工業製「セロキサイド2081(表中では、CEL 2081と表示する)」]100重量部および「サンエイドSI−60L」0.6重量部を配合した組成物の粘度を東京計器社製E型回転粘度計を用いて45℃で測定したところ90mPa・sであった。
上記樹脂組成物をTG/DTA装置を用いて毎分200mlの空気雰囲気下、40℃から250℃まで毎分10℃の速度で昇温し、加熱によって樹脂組成物が揮発しするとともに樹脂硬化物が分解することによって重量減を示す温度を測定した。100℃での重量減は0.5%未満であり、元の重量に比べて5%重量減を示した温度は233.4℃であった。
リモネンジエポキシド[ダイセル化学工業製「セロキサイド3000(表中では、CEL 3000と表示する)」]100重量部に三新化学製サンエイドSI−60Lを0.6重量部配合した組成物の粘度を東京計器社製E型回転粘度計を用いて25℃で測定したところ20mPa・sであった。
上記樹脂組成物をTG/DTA装置を用いて毎分200mlの空気雰囲気下、40℃から120℃まで毎分10℃の速度で昇温し、加熱によって樹脂組成物が揮発するか樹脂硬化物が分解することによって重量減を示す温度を測定した。100℃での重量減は8.3%であり、元の重量に比べて5%重量減を示した温度は96.2℃であった。
ε−カプロラクトン変性エポキシ化3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス3−シクロヘキセニルメチルエステル(ダイセル化学工業製「エポリードGT301」)100重量部に三新化学製サンエイドSI−60Lを0.6重量部配合した組成物の粘度を東京計器社製E型回転粘度計を用いて75℃で測定したところ300mPa・sであった。
上記樹脂組成物をTG/DTA装置を用いて毎分200mlの空気雰囲気下、40℃から280℃まで毎分10℃の速度で昇温し、加熱によって樹脂組成物が揮発するか樹脂硬化物が分解することによって重量減を示す温度を測定した。100℃での重量減は0.5%未満であり、元の重量に比べて5%重量減を示した温度は247.9℃であった。
ε−カプロラクトン変性エポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス−3−シクロヘキセニルメチルエステル(ダイセル化学工業製「エポリードGT403」)100重量部に三新化学製サンエイドSI−60Lを0.6重量部配合した組成物の粘度を東京計器社製E型回転粘度計を用いて75℃で測定したところ800mPa・sであった。
上記樹脂組成物をTG/DTA装置を用いて毎分200mlの空気雰囲気下、40℃から280℃まで毎分10℃の速度で昇温し、加熱によって樹脂組成物が揮発するか樹脂硬化物が分解することによって重量減を示す温度を測定した。100℃での重量減は0.5%未満であり、元の重量に比べて5%重量減を示した温度は253.7℃であった。
上記表−1から明らかなように、実施例1における樹脂組成物の粘度は低く、作業性において極めて優れていることがわかる。比較例3の樹脂組成物の粘度は低いものの、加熱した場合の重量減少が大で、かつ、熱分解温度が96.2℃と低く耐熱性の点で充分ではないことがわかる。また、比較例4および5の樹脂組成物の熱分解温度は高く耐熱性に優れているように見えるが、75℃に加熱した時でさえ、粘度が高すぎて成形性の点で充分ではないことがわかる。
(A)成分として、ビシクロヘキシル−3,3’−ジエポキシド100重量部に対し(B)成分として、サンエイドSI−60L(三新化学製)0.3重量部を配合し樹脂組成物とした。樹脂組成物の反応性を測定するためにRAPRA社製走査型振動針式硬化試験機SVNC(走査VNC)を用いて測定した。主な測定条件は装置の初期設定(Dwell=250ms、Frequency Filter=50Hz、Amplitude Filter=250、Stop Time=1:0 hrs:mins)を使用し80℃で測定した。測定温度まで約3分かけて昇温させ、80℃になった時点から測定を開始した。測定当初の共振周波数は約66Hzであったが、樹脂組成物の硬化に伴って共振周波数が変化し約100Hzになった時点を記録した。その結果、22分51秒であった。
ダイセル化学製セロキサイド2021P(表中では、CEL 2021Pと表示する)100重量部に対しSI−100L(三新化学製のスルホニウム塩系のカチオン重合開始剤)0.3重量部を配合し樹脂組成物とした。樹脂組成物の反応性を測定するためにRAPRA社製走査型振動針式硬化試験機SVNC(走査VNC)を用いて測定した。主な測定条件は装置の初期設定を使用した(Dwell=250ms、Frequency Filter=50Hz、Amplitude Filter=250、Stop Time=1:0 hrs:mins)。測定温度の80℃まで約3分で昇温させ、80℃になった時点から測定を開始した。測定当初の共振周波数が約66Hzであったが、樹脂組成物の硬化に伴って共振周波数が変化し約100Hzになった時点を記録した。その結果、50分49秒であった。
実施例2および比較例6における各成分の配合組成および得られた結果を下記表−2に示す。
(A)成分として、ビシクロヘキシル−3,3’−ジエポキシド100重量部に対し(B)成分として、サンエイドSI−60L(三新化学製)0.6重量部を配合し、樹脂組成物とした。組成物の粘度を東京計器社製E型回転粘度計を用いて25℃で測定したところ50mPa・sであった。樹脂組成物を直径54mm、深さ15mmのアルミ製容器に約10g注ぎ、一次硬化(硬化温度35℃、硬化時間5時間)させた後、引き続き二次硬化(硬化温度150℃、硬化時間1時間)させ無色透明な樹脂硬化物を得た。
樹脂硬化物の線膨張率をJIS K 7197に従って測定し、線膨張率の変位が認められた点を外挿してガラス転移温度とした。同一の注型物より切り出した2個のサンプルについて40℃から400℃の範囲でガラス転移点を測定したが線膨張率の変化は認められず、ガラス転移温度が非常に高く、確認することができなかった。
樹脂硬化物をTG/DTA装置を用いて毎分200mlの空気雰囲気下、40℃から400℃まで毎分10℃の速度で昇温し、加熱によって樹脂硬化物が分解し重量減を示す温度を測定した。元の重量に比べて3%重量減を示した温度は272.6℃、5%重量減を示した温度は288.1℃であった。
(A)成分として、ビシクロヘキシル−3,3’−ジエポキシド100重量部に対し(C)成分として、としてメチルヘキサヒドロ無水フタル酸(新日本理化製リカシッドMH−700)139.1重量部と開始剤としてエチレングリコール1重量部、硬化促進剤としてDBU(1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン)0.5重量部を配合し樹脂組成物とした。組成物の粘度を東京計器社製E型回転粘度計を用いて25℃で測定したところ60mPa・sであった。樹脂組成物を直径54mm、深さ15mmのアルミ製容器に約10g注ぎ、一次硬化(硬化温度110℃、硬化時間2時間)させた後、引き続き二次硬化(硬化温度150℃、硬化時間1時間)させ無色透明な樹脂硬化物を得た。
樹脂硬化物の線膨張率をJIS K 7197に従って測定し、線膨張率の変化が認められた点を外挿してガラス転移温度とした。同一の注型物より切り出した2個のサンプルについて40℃から400℃の範囲でガラス転移温度を測定したところ、120.4℃であった。
樹脂硬化物をTG/DTA装置を用いて毎分200mlの空気雰囲気下、40℃から400℃まで毎分10℃の速度で昇温し、加熱によって樹脂硬化物が分解し重量減を示す温度を測定した。
元の重量に比べて3%重量減を示した温度は197.9℃、5%重量減を示した温度は231.7℃であった。
(A)成分として、ビシクロヘキシル−3,3’−ジエンジエポキシド100重量部に対し(C)成分として、新日本理化製リカシッドMH−700 139.1重量部と開始剤としてエチレングリコール1重量部、硬化促進剤としてDBU(1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン)0.5重量部を配合し樹脂組成物とした。組成物の粘度を東京計器社製E型回転粘度計を用いて25℃で測定したところ60mPa・sであった。樹脂組成物を直径54mm、深さ15mmのアルミ製容器に約10g注ぎ、一次硬化(硬化温度110℃、硬化時間2時間)させた後、引き続き二次硬化(硬化温度180℃、硬化時間1時間)させ無色透明な樹脂硬化物を得た。
樹脂硬化物の線膨張率をJIS K 7197に従って測定し、線膨張率の変化が認められた点を外挿してガラス転移温度とした。同一の注型物より切り出した2個のサンプルについて40℃から400℃の範囲でガラス転移温度を測定したところ、121.0℃であった。
樹脂硬化物をTG/DTA装置を用いて毎分200mlの空気雰囲気下、40℃から400℃まで毎分10℃の速度で昇温し、加熱によって樹脂硬化物が分解し重量減を示す温度を測定した。
元の重量に比べて3%重量減を示した温度は223.0℃、5%重量減を示した温度は253.9℃であった。
(A)成分として、ビシクロヘキシル−3,3’−ジエポキシド100重量部に対し(C)成分として、新日本理化製リカシッドMH−700 139.1重量部と開始剤としてエチレングリコール1重量部、DBU(1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン)0.5重量部を配合し樹脂組成物とした。組成物の粘度を東京計器社製E型回転粘度計を用いて25℃で測定したところ60mPa・sであった。樹脂組成物を直径54mm、深さ15mmのアルミ製容器に約10g注ぎ、一次硬化(硬化温度120℃、硬化時間1時間)させた後、引き続き二次硬化(硬化温度180℃、硬化時間2時間)させ無色透明な樹脂硬化物を得た。
樹脂硬化物の線膨張率をJIS K 7197に従って測定し、線膨張率の変化が認められた点を外挿してガラス転移温度とした。同一の注型物より切り出した2個のサンプルについて40℃から400℃の範囲でガラス転移温度を測定したところ、205.4℃であった。
樹脂硬化物をTG/DTA装置を用いて毎分200mlの空気雰囲気下、40℃から400℃まで毎分10℃の速度で昇温し、加熱によって樹脂硬化物が分解し重量減を示す温度を測定した。
元の重量に比べて3%重量減を示した温度は233.6℃、5%重量減を示した温度は270.8℃であった。
ダイセル化学製セロキサイド2021P(表中では、CEL 2021Pと表示する)100重量部に対しSI−100L(三新化学製)0.6重量部を配合し樹脂組成物とした。組成物の粘度を東京計器社製E型回転粘度計を用いて25℃で測定したところ240mPa・sであった。樹脂組成物を直径54mm、深さ15mmのアルミ製容器に約10g注ぎ、一次硬化(60℃以下の温度では硬化しなかったので硬化温度は65℃とした。硬化時間2時間)させた後、引き続き二次硬化(硬化温度150℃、硬化時間1時間)させ透明な樹脂硬化物を得た。
樹脂硬化物の線膨張率をJIS K 7197に従って測定し、線膨張率の変化が認められた点を外挿してガラス転移温度とした。同一の注型物より切り出した2個のサンプルについて40℃から400℃の範囲でガラス転移温度を測定したところ、159.8℃であった。
樹脂硬化物をTG/DTA装置を用いて毎分200mlの空気雰囲気下、40℃から400℃まで毎分10℃の速度で昇温し、加熱によって樹脂硬化物が分解し重量減を示す温度を測定した。
元の重量に比べて3%重量減を示した温度は217.5℃、5%重量減を示した温度は257.5℃であった。
ダイセル化学製セロキサイド2021P(表中では、CEL 2021Pと表示する)100重量部に対し新日本理化製リカシッドMH−700 139.1重量部とエチレングリコール1重量部、DBU(1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン)0.5重量部を配合し樹脂組成物とした。組成物の粘度を東京計器社製E型回転粘度計を用いて25℃で測定したところ110mPa・sであった。
樹脂組成物を直径54mm、深さ15mmのアルミ製容器に約10g注ぎ、一次硬化(硬化温度120℃、硬化時間1時間)させた後、引き続き二次硬化(硬化温度180℃、硬化時間2時間)させ無色透明な樹脂硬化物を得た。
樹脂硬化物の線膨張率をJIS K 7197に従って測定し、線膨張率の変化が認められた点を外挿してガラス転移温度とした。同一の注型物より切り出した2サンプルについて40℃から400℃の範囲でガラス転移温度を測定したところ、221.5℃であった。
樹脂硬化物をTG/DTA装置を用いて毎分200mlの空気雰囲気下、40℃から400℃まで毎分10℃の速度で昇温し、加熱によって樹脂硬化物が分解し重量減を示す温度を測定した。
元の重量に比べて3%重量減を示した温度は294.9℃、5%重量減を示した温度は304.8℃であった。
実施例3〜6および比較例7〜8における各成分の配合組成および得られた結果を下記表−3に示す。
下記の表−4および表−5に示す配合組成(数値は重量部である)に従ってエポキシ樹脂を配合し、均一に混合することにより硬化性エポキシ樹脂組成物を調製した。
なお、各表中の実施例および比較例で用いたカチオン重合性のエポキシ樹脂および光カチオン重合開始剤は夫々下記の通りである。
エポキシ樹脂A:上記合成例1で合成されたビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)
エポキシ樹脂B:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
エポキシ樹脂C:ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート
エポキシ樹脂D:1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル
開始剤2:ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート
開始剤3:4−[4’−(ベンゾイル)フェニルチオ]フェニル−ジ−(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート
開始剤4:4,4’ビス−(ジフェニルスルホニオ)フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート
開始剤5:4,4’−ビス−[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート
[透明性]
硬化性エポキシ樹脂組成物の透明性を目視判定した。○:完全に透明である、△:わずかに濁りあり、×:白濁している。
[指触乾燥性]
硬化性エポキシ樹脂組成物をアルミテストパネル上に5ミクロンに塗布し、80W/cmの高圧水銀灯で10cmの距離から紫外線を照射し、硬化させたときの塗膜表面が指触乾燥するまでの照射量(mJ/cm2)を測定した。
○:50mJ/cm2未満、△:50mJ/cm2以上100mJ/cm2未満、×:100mJ/cm2以上
[光沢]
指触乾燥するまで紫外線を照射した後、硬化塗膜の表面を目視判定した。
○:光沢が良好である、△:ややくもりがある、×:光沢が全くない
[耐アルカリ性]
ボンデ処理鋼板に硬化性エポキシ樹脂組成物を20μmの厚さで塗布し、80W/cmの高圧水銀灯で100mJ/cm2照射して得られた硬化塗膜を作り、1規定NaOH溶液を数滴垂らし、液が膜上を移動しないように水平に固定し、水分の蒸発防止のためにシャーレでふたをして24時間放置後、流水で洗浄し、硬化膜の変化を目視で判定した。
○:変化なし、△:塗膜白化、×:塗膜消失
[吸水率]
厚さ3mmのスペーサーを挟むんだ2枚のガラス板の間に硬化性エポキシ樹脂組成物を注入し、紫外線を照射して30mm×30mm×3mmの大きさの試験片を作製し、JIS K6911に従い測定した。紫外線は80W/cmの高圧水銀灯下で2000mJ/cm2照射した。
以下では光学的立体造形を行った。
下記の表−6に示す配合組成(数値は重量部である)に従って、各部材を充分に混合して光学的立体造形用の硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。得られた硬化性エポキシ樹脂組成物は淡黄色透明の液体であった。
下記の表−6に示す配合組成(数値は重量部である。)に従って、各種硬化性エポキシ樹脂組成物を調製し、実施例19〜21と同様の操作にて試験を行った。各試験結果を実施例19〜21と併せて表−6に示す。なお、上記以外の、試験に用いた化合物は以下の通りである。
ラジカル重合性有機化合物(以下「ラジカル樹脂」と略す)としては、下記のラジカル樹脂1〜3を用いた。
ラジカル樹脂1:ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート
ラジカル樹脂2:トリメチロールプロパントリアクリレート
ラジカル樹脂3:ジペンタエリスルトールヘキサアクリレート
ラジカル開始剤1:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
ラジカル開始剤2:2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルメタン−1−オン
Claims (5)
- 下記式(1)
で表される脂環式エポキシ化合物(A)、熱カチオン(b1)もしくは光カチオン(b2)重合開始剤(B)または酸無水物(C)、および必要に応じて加えられる他のエポキシ樹脂(D)とからなることを特徴とする硬化性エポキシ樹脂組成物。 - 式(1)で表される脂環式エポキシ化合物がビシクロヘキシル−3,3’−ジエポキシドである請求項1に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
- 光カチオン重合開始剤がスルホニウム塩系の光カチオン重合開始剤である請求項1または2に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
- 酸無水物がメチルヘキサヒドロ無水フタル酸である請求項1または2に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
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