JPWO2006115011A1 - エポキシ化合物の製造方法および硬化性エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

エポキシ化合物の製造方法および硬化性エポキシ樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

下記式(1)【化9】で表されるオレフィン化合物を、過カルボン酸を25〜35重量%含む有機溶剤溶液を添加してエポキシ化することを特徴とする下記式(2)【化10】で表されるエポキシ化合物の製造方法、および同製造方法によって得られたエポキシ化合物および硬化剤または硬化触媒からなる硬化性エポキシ樹脂組成物。上記エポキシ化合物の製造方法によれば、収率および純度の大幅な向上が達成されるとともに、硬化物物性において優れる硬化性エポキシ樹脂組成物を得ることができる。

Description

本発明は、エポキシ化合物の製造方法および硬化性エポキシ樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、収率および純度の大幅な向上がなされたエポキシ化合物の製造方法および硬化物物性において優れる硬化性エポキシ樹脂組成物に関する。
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートのような脂環式エポキシ化合物は、通常、遊離の塩素を含んでいないためグリシジルエーテル型のエポキシに比べて耐腐蝕性に優れ、電気絶縁性が良く、耐熱性があり、透明性に優れた硬化物を作ることができるので透明封止材料、UVカチオンコーティング剤の樹脂成分などに使用されている。
一方、欠点としては、硬化物が硬く、靭性にやや劣るため密着性など機械物性の改良が望まれている。これらを改良するため代表的な脂環式エポキシ化合物である3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートにカプロラクトンユニットを挿入したもの[ダイセル化学工業(株)製、セロキサイド2080シリーズ(特開平4−36263号公報等)]
Figure 2006115011
及びアジピン酸成分を含むビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート[ユニオンカーバイド(株)製、ERL4227]
Figure 2006115011
、エポキシ化3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス3−シクロヘキセニルメチルエステルおよびそのε−カプロラクトン付加物[ダイセル化学工業(株)製「エポリードGT301」等GT300シリーズ(特開平4−69360号公報等)]、およびエポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス−3−シクロヘキセニルメチルエステルおよびそのε−カプロラクトン付加物[ダイセル化学工業(株)製エポリード「GT401」等GT400シリーズ]などの脂環式エポキシ化合物がある。
しかしながら、これらの脂環式エポキシ化合物を含む組成物を硬化させた硬化物においては、ガラス転移点が大きく低下したり、吸水率が高かったり、あるいはエステル結合を有していたりするため加水分解し易いという問題があり、十分な特性を有する硬化物は得られていない。
一方、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートのような上記各種の脂環式エポキシ化合物にポリエステル樹脂等の可とう性付与剤を添加する方法(特開平2004−210932号公報等)もあるが、脂環式エポキシ化合物の特長を生かしたまま機械物性を改良する手法としては十分ではない。
上記問題点を解決するため脂環式エポキシ化合物の架橋点間を延長しつつガラス転移点の低下を抑さえ、かつ、エステル結合を有していない脂環式エポキシ化合物として、下記式(2)で表されるカーボネート結合を有する脂環式エポキシ化合物が期待されている(たとえば、米国特許第3,275,661号明細書)。
Figure 2006115011
米国特許第3,275,661号明細書には、本発明で使用される下記式(1)で表される脂環式オレフィン化合物(以下、単に「オレフィン化合物」という)を42%の過酢酸を含むベンゼン溶液でエポキシ化して、上記式(2)で表される脂環式エポキシ化合物を製造することが記載されている。しかしながら、この米国特許第3,275,661号明細書の方法では、目的とするジエポキシ化合物の収率が低く、オキシラン酸素濃度の高いものが得られない。
Figure 2006115011
特開平4−36263号公報等(特許請求の範囲) 特開平4−69360号公報等(特許請求の範囲) 特開平2004−210932号公報(実施例) 米国特許第3,275,661号明細書(実施例)
本発明の課題は、収率および純度の大幅な向上がなされた特定の構造を有するエポキシ化合物の製造方法、および硬化物物性において優れる硬化性エポキシ樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、エポキシ化反応において、添加する過カルボン酸を含む有機溶剤溶液の濃度を調整することにより、上記課題を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1は下記式(1)
Figure 2006115011
で表されるオレフィン化合物を、過カルボン酸を25〜35重量%含む有機溶剤溶液を添加してエポキシ化することを特徴とする下記式(2)
Figure 2006115011
で表されるエポキシ化合物の製造方法を提供する。
本発明の第2は過カルボン酸が対応するアルデヒドの酸化により得られたものである上記発明1に記載のエポキシ化合物の製造方法を提供する。本発明の第3は過カルボン酸を含む有機溶剤溶液中の水分が0.8重量%以下である上記発明1または2に記載のエポキシ化合物の製造方法を提供する。本発明の第4は過カルボン酸が過酢酸である上記発明1〜3のいずれかに記載のエポキシ化合物の製造方法を提供する。本発明の第5は有機溶剤が酢酸エチルである上記発明1〜4のいずれかに記載のエポキシ化合物の製造方法を提供する。本発明の第6はエポキシ化が70℃未満で行われる上記発明1〜5のいずれかに記載のエポキシ化合物の製造方法を提供する。本発明の第7は上記発明1〜6のいずれかに記載のエポキシ化合物の製造方法で得られたエポキシ化合物および硬化剤または硬化触媒からなる硬化性エポキシ樹脂組成物を提供する。
本発明の製造方法によりエポキシ化合物の収率および純度の大幅な向上が達成され、硬化物物性において優れる硬化性エポキシ樹脂組成物が得られる。
本発明のエポキシ化合物の製造方法における出発原料となる上記式(1)で表されるオレフィン化合物はテトラヒドロベンジルアルコールとジメチルカーボネートのようなジアルキルカーボネートとのエステル交換反応や米国特許第3,275,661号明細書の実施例に記載されているフォスゲン法等の公知の技術によって得ることができる。
エポキシ化剤として使用できる過カルボン酸は、水分を実質的に含まないものを使用するのが好ましい。水存在下でのエポキシ化反応は、エポキシ基の開環反応が進み、目的とする上記式(2)で表されるジエポキシ化合物の収率が低下するためである。
本発明でいう実質的に水分を含まない過カルボン酸としては、例えば、アセトアルデヒドの空気酸化により製造される過酢酸のことである。このような過カルボン酸の製造方法としては、例えば、ドイツ公開特許公報1418465号や特開昭54−3006号公報に記載されている方法が挙げられる。本発明で使用される過カルボン酸を含む有機溶剤溶液中の水分含有量としては、好ましくは0.8重量%以下(例えば、0.8〜0.1重量%)、さらに好ましくは0.6重量%以下(例えば、0.6〜0.3重量%)である。
このアセトアルデヒドの空気酸化により製造される過カルボン酸は、特開昭62−33166号公報に開示されているような、過酸化水素から過カルボン酸を合成し溶媒に抽出し過カルボン酸を作る場合に比べて、連続して低い水分含量の過カルボン酸を大量に高濃度で合成できるため、実質的に安価なプロセスを作ることができる。
過カルボン酸類としては過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、トリフルオロ過酢酸等を用いることができる。このうち特に過酢酸は工業的に安価に製造可能で、かつ安定度も高く、好ましい。
上記式(1)で表されるオレフィン化合物に対する過カルボン酸類の使用量に厳密な制限はなく、過カルボン酸類の種類、目的化合物である上記式(2)で表されるジエポキシ化合物において所望されるエポキシ化度(オキシラン酸素濃度)等によって適宜選定される。通常、過カルボン酸は不飽和基に対して等モルかそれ以上加えるのが好ましい。ただし、経済性及び副反応の問題から2倍モルを越えることは通常不利であり、過酢酸の場合、不飽和基に対して1〜1.5倍モルが好ましい。
ただし、本発明の製造方法においては、添加するための過カルボン酸類を含む有機溶剤溶液の濃度は25〜35重量%であることが必須であり、好ましくは、27〜33重量%、さらに好ましくは、29〜31重量%である。
添加する過カルボン酸類の濃度が35重量%を超えると副反応が生じて得られるエポキシ化合物が着色したり、一旦エポキシ化されても生じた酸と反応してエポキシ基が開環したりするためオキシラン酸素濃度が上昇せず、結果として、エポキシ化合物の収率および/または転化率が低くなるので好ましくない。逆に25重量%未満では未反応のオレフィン化合物の残存量が増加したり、モノエポキシ化物の生成量が増加するので好ましくない。
エポキシ化反応は、反応容器に出発原料である式(1)で表されるオレフィン化合物を仕込み、通常はオレフィン化合物の仕込量に対して、0.5〜3.3倍量(重量比)、好ましくは0.8〜3倍量(重量比)、さらに好ましくは1〜1.5倍量(重量比)の不活性な有機溶剤を添加し、次いで過カルボン酸類の濃度が25〜35重量%になるように調整された過カルボン酸類の有機溶剤溶液を添加して行う。最初に仕込まれているオレフィン化合物に対して大量の有機溶剤を加えると、基質濃度の低下による反応速度の低下、未反応のオレフィン化合物の残存量の増加、モノエポキシ化合物の生成量が増加するので、好ましくない。
不活性な有機溶剤としては、過カルボン酸類の希釈による安定化などの目的で使用することができ、過酢酸の場合であれば芳香族化合物、エーテル類、エステル類などを用いることができる。特に好ましい溶剤は、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン、酢酸エチルであるが、酢酸エチルが特に好ましい。反応容器に最初に仕込む不活性な有機溶剤と添加するための過カルボン酸類に加える有機溶剤は同一でも異なっていても好いが、同一のものを使用するのが好ましい。添加するための過カルボン酸類の濃度が25〜35重量%の範囲であれば有機溶剤の種類に特に制限はない。
用いる過カルボン酸類の反応性によって、使用できる反応温度域は定まる。好ましい過カルボン酸である過酢酸についていえば20〜70℃が好ましい。20℃以下では反応が遅く、70℃以上では過酢酸の分解が起きる。
本発明ではエポキシ化反応において特別な操作は必要なく、例えば過カルボン酸の有機溶剤溶液を添加終了後、反応粗液を1〜5時間攪拌して熟成させればよい。得られた反応粗液からのエポキシ化合物の単離は、適当な方法、例えば、貧溶媒などで沈殿させる方法、直接脱溶媒法などで行うことができる。
反応終了後、洗浄は低温で水洗または中和洗浄を行うのが好ましい。中和剤には弱塩基性塩が望ましい。例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素カリウムなどが挙げられる。また、pH7〜11に調整した低濃度の苛性ソーダ水溶液にて中和洗浄を行うことも望ましい。pH11を超えるアルカリで中和すると、エポキシ基の開環が起こりうるため収率低下の原因となる。
例えば、炭酸水素ナトリウムを用いると有機酸と中和反応を起こし、酢酸ソーダが生成し、酢酸ソーダが緩衝材的に作用する他、無機層側の比重を上げることで比重差が大きくなり、分液性が良くなる。また、中和はエポキシ化合物の着色を抑えるためにも効果がある。この中和洗浄を行った後、生成した中和塩を水にて洗い出し、溶媒を蒸留留去することが望ましい。中和処理しなければ多量の水を消費することになり、コストの面からも環境負荷の点からも望ましくない。
本発明の製造方法では、過酸化水素を用いる場合のように各種金属触媒などの併用を必要としない。
中和剤としては弱塩基性塩が望ましい。例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウムなどである。水酸化ナトリウムのような強塩基性塩による中和は、エポキシ基の開環の原因となり、極端な収率低下を招く点から望ましくない。中和後の有機層から低沸点化合物を蒸留操作により除去すればよい。
上記のような本発明の製造方法によって得られる脂環式エポキシ化合物におけるオキシラン酸素濃度は、通常、理論値の90%以上となる。また、用途によっては、一方の不飽和結合がエポキシ化されていないモノエポキシ化合物が少量混じっていても差し支えはない。
本発明の製造方法で製造される脂環式エポキシ化合物は、各種硬化剤または硬化触媒と配合して耐腐蝕性に優れ、電気絶縁性が良く、耐熱性があり、透明性に優れた硬化物を与える硬化性エポキシ樹脂組成物となる。
次に、本発明における硬化剤について述べる。本発明において硬化剤としては特に限定されないが、酸無水物が好ましく例示される。硬化剤として使用する酸無水物としては、一般にエポキシ樹脂用硬化剤として慣用されているものの中から任意に選択して使用することができる。本発明において使用する酸無水物としては、常温で液状のものが好ましく、具体的には、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等を挙げることができる。また、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物の含浸性に悪影響を与えない範囲で、常温で固体の酸無水物、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物等を使用することができる。常温で固体の酸無水物を使用する場合には、常温で液状の酸無水物に溶解させ、常温で液状の混合物として使用することが好ましい。
硬化剤の配合量は前記式(2)で表されるエポキシ化合物および後で述べる必要に応じて使用されるエポキシ化合物の合計量100重量部に対して、50〜150重量部、好ましくは、52〜145重量部、さらに好ましくは、55〜140重量部である。より詳しくは、硬化剤としての効果を発揮し得る有効量、すなわち、通常、前記式(2)で表されるエポキシ化合物および必要に応じて添加されるその他のエポキシ化合物におけるエポキシ基1当量当たり、0.5〜1.5の酸無水物当量になるような割合で使用することが好ましい。
必要に応じて添加されるその他のエポキシ化合物としては、背景技術欄に記載した各種の脂環式エポキシ化合物およびグリシジルエーテル型またはグリシジルエステル型の各種エピビス型エポキシ化合物が挙げられる。他のエポキシ化合物の添加量は、前記式(2)で表されるエポキシ化合物100重量部に対して、10〜70重量部、好ましくは、25〜45重量部である。10重量部より少ないと、添加する意味が薄れ、70重量部を超える量使用すると硬化物において前記式(2)で表されるエポキシ化合物による特徴が減殺されるので、好ましくない。
次に、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物においては上記硬化剤と共に硬化促進剤を用いてもよい。硬化促進剤としては、一般に使用されるものであれば特に制限はないが ジアザビシクロウンデセン系硬化促進剤が好ましく、これを単独で用いてもよいし、また、50重量%までの他のエポキシ樹脂用硬化促進剤、例えば、リン酸エステル、ホスフィン類、3級もしくは4級アミンとの混合物でもよい。このジアザビシクロウンデセン系硬化促進剤が硬化促進剤の全量中少なくとも50重量%を占めていることが好ましい。このジアザビシクロウンデセン系硬化促進剤の割合が50重量%よりも少ないと、硬化物の色相悪くなる場合があり、良好な色相を保つには、70重量%以上にすることが好ましい。
このようなジアザビシクロウンデセン系硬化促進剤としては、例えば、1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン‐7(DBU)及びその塩を挙げることができるが、特に1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン‐7のオクチル酸塩、スルホン酸塩が好ましい。硬化促進剤は、このジアザビシクロウンデセン系硬化促進剤単独でもよいし、また50重量%までの他のエポキシ樹脂用硬化促進剤、例えば、慣用されている第三級アミン系硬化促進剤やトリフェニルホスフィンなどのリン系のとの混合物でもよい。これらの硬化促進剤は、エポキシ化合物100重量部当り、0.1〜3重量部、好ましくは、0.2〜3重量部、さらに好ましくは、0.25〜2.5重量部の割合で用いられる。この量が0.1重量部未満では硬化促進効果が不十分であるし、また3重量部以上では、硬化物における色相が悪化する。これらの硬化促進剤は、エポキシ化合物が酸無水物により硬化する際、硬化反応を促進する機能を有する化合物である。
本発明において使用する他の硬化促進剤としては、例えば、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン化合物、三級アミン塩、四級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、オクチル酸スズ等の金属塩等の公知の化合物を挙げることができる。さらに、必要に応じて水酸基を有する化合物を添加することで反応を緩やかに進行させることができる。水酸基を有する化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
次に、本発明における硬化触媒について述べる。本発明において硬化触媒としては特に限定されないが、カチオン重合開始剤が好ましく例示される。カチオン重合開始剤としては熱カチオン重合開始剤が好ましい。熱カチオン重合開始剤は加熱によりカチオン重合を開始させる物質を放出する開始剤であり、エポキシ化合物および上記必要に応じて添加されるエポキシ化合物の合計量100重量部に対して0.01〜12重量部、好ましくは、0.05〜10重量部、さらに好ましくは、0.1〜10重量部の範囲で配合される。この範囲で配合することにより、耐熱性、透明性、耐候性等の良好な硬化物を得ることができる。このようなカチオン重合開始剤としては、例えば、アリールジアゾニウム塩[例えば、PP−33(旭電化工業(株)製)]、アリールヨードニウム塩、アリールスルホニウム塩[例えば、FC−509(スリーエム社製)、UVE1014(G.E.社製)、CP−66、CP−77(旭電化工業(株)製)、SI−60L、SI−80L、SI−100L、SI−110L(三新化学工業(株)製)]、アレン−イオン錯体[例えば、CG−24−61(チバガイギー社製)]が挙げられる。さらに、アルミニウムやチタンなど金属とアセト酢酸エステルまたはジケトン類とのキレート化合物とシラノールまたはフェノール類との系も含む。キレート化合物としては、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスアセト酢酸エチル等がある。シラノールまたはフェノール類としては、トリフェニルシラノールやビスフェノールS等が挙げられる。
本発明においては、硬化触媒として、紫外線又は電子線の照射によりカチオン重合を起こす光カチオン重合開始剤を用いてもよい。光カチオン重合開始剤として、例えば、ヘキサフルオロアンチモネート塩、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネート塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアルゼネート塩等が挙げられる。このようなカチオン重合開始剤として市販品を使用することもできる。市販品としては、例えば、UVACURE1591[ダイセル・サイテック(株)製]、イルガキュア264(チバガイギー社製)、CIT−1682[日本曹達(株)製]、サイラキュアUVI−6970、同UVI−6974、同UVI−6990(以上いずれも米国ユニオンカーバイド社製)、SI−60L、SI−100L[以上いずれも三新化学工業(株)製]、アデカオプトマー SP−150、SP−170、SP−152、SP−172[以上いずれも旭電化工業(株)製]、R−gen−BF1172(カイテックテクノロジー社製)、イルガキュア250(チバスペシャリティケミカル社製)、UV1240、UV1241、UV2257(ドイトロン社製)などを挙げることができる。光カチオン重合開始剤の使用量は前記熱カチオン重合開始剤と同様である。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物には、粘度や透明性等に悪影響を与えない範囲で各種の添加剤を配合することができる。そのような添加剤としては、例えば、シリコーン系やフッ素系の消泡剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等を挙げることができる。これら各種の添加剤の配合量は硬化性エポキシ樹脂組成物に対して重量基準で5%以下である。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、透明性が高く機械的特性に優れ、光半導体用等の樹脂組成物として好適である。そのほか、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物、特に光半導体封止用の硬化性エポキシ樹脂組成物には、所望の性能を損なわない範囲で充填剤、難燃剤、着色剤、シランカップリング剤などのこれまで光半導体封止用硬化性エポキシ樹脂組成物に慣用されている各種の添加剤を配合することができる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物を製造するには、公知の方法を用いることができる。例えば、所定量の各成分および任意に使用される添加剤等を配合して、真空加熱下で気泡を排除しつつ攪拌・混合することにより調製される。攪拌・混合する際の温度は、通常、10〜60℃に設定されることが好ましい。調製時の設定温度が10℃未満では、粘度が高すぎて均一な撹拌・混合作業が困難になり、逆に、調製時の温度が60℃を超えると、硬化反応が起き、正常な硬化性エポキシ樹脂組成物が得られないので、好ましくない。攪拌・混合する際には、減圧装置を備えた1軸または多軸エクストルーダー、ニーダー、ディソルバーのような汎用の機器を使用し、例えば10分間程度攪拌・混合することにより調製してもよい。
この調製された硬化性エポキシ樹脂組成物は、所定の成形型内に注入され、所定の条件で硬化されて光半導体封止などを行う。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、温度100〜200℃、好ましくは、100〜190℃、さらに好ましくは、100〜180℃で、硬化時間30〜600分、好ましくは、45〜540分、さらに好ましくは、60〜480分で硬化させることができる。硬化温度と硬化時間が上記範囲下限値より低い場合は、硬化が不十分となり、逆に上記範囲上限値より高い場合、樹脂成分の分解が起きる場合があるので、何れも好ましくない。硬化条件は種々の条件に依存するが、硬化温度が高い場合は硬化時間は短く、硬化温度が低い場合は硬化時間は長く、適宜調整することができる。
本発明の製造方法で得られる前記式(2)で表されるエポキシ化合物は単独重合、共重合又はさらに他の化合物と反応させることによってさまざまなコーティング、インキ、接着剤、シーラント又はこれらを用いた他の用途のための中間体を生成することができる。
以下に、本発明の実施例および比較例を挙げるが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。「%」は、特に断りのない限り、重量基準である。
(実施例−1)
出発原料である前記式(1)のオレフィン化合物200g、酢酸エチル200g、を仕込み、窒素を気相部に吹き込みながら、反応系内の温度を40℃になるように3.5時間かけて実質的に無水の過酢酸の酢酸エチル溶液573g(過酢酸濃度;29.7重量%)を滴下した。過酢酸滴下終了後、40℃で3時間熟成し反応を終了した。さらに40℃で反応終了後の液を水洗し、表1に示す性状を有したエポキシ化合物を185g得た。
得られたエポキシ化合物はGC−MSにて前記式(2)で表される化合物であることが確認された。
(比較例−1)
出発原料である前記式(1)のオレフィン化合物200g、酢酸エチル200g、を仕込み、窒素を気相部に吹き込みながら、反応系内の温度を40℃になるように3.5時間かけて実質的に無水の過酢酸の酢酸エチル溶液570g(過酢酸濃度;42重量%)を滴下した。過酢酸滴下終了後、40℃で3時間熟成し反応を終了した。さらに40℃で反応終了後の液を水洗し、表1に示す性状を有したエポキシ化合物を226g得た。
(比較例−2)
出発原料である前記式(1)のオレフィン化合物200g、酢酸エチル1000g、を仕込み、窒素を気相部に吹き込みながら、反応系内の温度を40℃になるように3.5時間かけて実質的に無水の過酢酸の酢酸エチル溶液415g(過酢酸濃度;重量42%)を滴下した。過酢酸滴下終了後、40℃で3時間熟成し反応を終了した。さらに40℃で反応終了後の液を水洗し、表1に示す性状を有するエポキシ化合物を140g得た。
Figure 2006115011
表1において、( )内は理論値である。Oxはオキシラン酸素濃度、Eeqはエポキシ当量である。
表1におけるGPC(面積%)およびGC−MS(面積%)は得られたエポキシ化合物の収率またはオレフィン化合物からエポキシ化合物への転化率の指標を示す。使用したGPCは東ソー社製のHLC−8820、GC−MSはヒューレットパッカード社製のGC6890/MSD5973である。
前記比較例−1(および比較例−2)においては、エポキシ化合物が実施例−1より多く得られている。しかしながら、表1の分析結果では、オキシラン酸素濃度やエポキシ当量の数値を見ると実施例−1におけるものより比較例−1および2におけるエポキシ化率の方が低い。このことは、比較例で得られたエポキシ化合物がモノエポキシ化合物を多く含んでいるか、エポキシ基が開環してエステル基が生じていることを示している。
<硬化物の評価>
エポキシ樹脂組成物;
実施例−1で得られた前記式(2)で表されるエポキシ化合物または比較例−1若しくは2で得られた比較のためのエポキシ化合物(それぞれ100重量部)と、UVACURE1591[光カチオン重合開始剤;ダイセル・サイテック(株)製](3重量部)とを室温下で混合して硬化性エポキシ樹脂組成物とした。これらの硬化性エポキシ樹脂組成物について下記の試験評価を行った。表2に各硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物の物性を示す(表2において、実施例−1のエポキシ化合物から調製したエポキシ樹脂組成物の硬化物をエポキシ樹脂組成物−1の硬化物、比較例−1のエポキシ化合物から調製したエポキシ樹脂組成物の硬化物をエポキシ樹脂組成物−2の硬化物、比較例−2のエポキシ化合物から調製したエポキシ樹脂組成物の硬化物をエポキシ樹脂組成物−3の硬化物と表示する)。
試験塗装板の作製;
上記実施例−1及び比較例−1ならびに比較例−2で得た各エポキシ化合物を主成分とする硬化性エポキシ樹脂組成物を、厚さ0.20mmのティンフリースチール板に厚さ12μmのホモPET(ポリエチレンテレフタレート)シートを熱圧着したPET鋼板に、乾燥膜厚が5μmとなるように塗装し、紫外線照射を高圧水銀灯(160W/cm)を用い、塗膜との距離15cmから、エネルギー線量が80mJ/cm2となるように行ない塗膜を硬化させて試験塗装板とした。得られた各試験塗装板について、下記の試験方法に基づいて試験を行なった。なお、試験はすべて20℃において行なった。
Figure 2006115011
1)エポキシ樹脂組成物を使用して、110℃で2時間+180℃で2時間で硬化させて厚み3mmの硬化物を成形し、これについて、波長400nm及び550nmにおける光透過率を分光光度計を用いて測定した。
2)JIS K 5400 8.1に準じて、心棒の直径が2mmとして、試験塗装板を折り曲げたときの塗膜外観を目視で観察し、以下の基準によって評価した。
○:割れ・はがれを認められない。
×:割れ・はがれが認められる。
3)試験塗装板の塗膜に、JIS K−5400 8.4.2(1990)に規定する鉛筆引っかき試験で行った。評価はやぶれ法で行った。

Claims (7)

  1. 下記式(1)
    Figure 2006115011
    で表されるオレフィン化合物を、過カルボン酸を25〜35重量%含む有機溶剤溶液を添加してエポキシ化することを特徴とする下記式(2)
    Figure 2006115011
    で表されるエポキシ化合物の製造方法。
  2. 過カルボン酸が対応するアルデヒドの酸化により得られたものである請求の範囲第1項に記載のエポキシ化合物の製造方法。
  3. 過カルボン酸を含む有機溶剤溶液中の水分が0.8重量%以下である請求の範囲第1項又は第2項に記載のエポキシ化合物の製造方法。
  4. 過カルボン酸が過酢酸である請求の範囲第1項〜第3項のいずれかに記載のエポキシ化合物の製造方法。
  5. 有機溶剤が酢酸エチルである請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに記載のエポキシ化合物の製造方法。
  6. エポキシ化が70℃未満で行われる請求の範囲第1項〜第5項のいずれかに記載のエポキシ化合物の製造方法。
  7. 請求の範囲第1項〜第6項のいずれかに記載のエポキシ化合物の製造方法で得られたエポキシ化合物および硬化剤または硬化触媒からなる硬化性エポキシ樹脂組成物。
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