JP2016176030A - 硬化性組成物及びその硬化物 - Google Patents

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Hiroko Inoue
寛子 井上
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Abstract

【課題】優れた機械特性(特に、高い弾性率)及び耐熱性を有する硬化物を形成できる硬化性組成物の提供。
【解決手段】式(1)で表されるエポキシ化合物(A)と、硬化剤(B)又は硬化触媒(C)とを含む硬化性組成物。
Figure 2016176030

[R1〜R10は各々独立にH、ハロゲン原子、O若しくはハロゲン原子を有し得る炭化水素基、置換基を有し得るアルコキシ基、又はエポキシ基等;R〜R10の内の少なくとも一つはエポキシ基]
【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性組成物及び該硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物に関する。
エポキシ化合物(エポキシ樹脂)を含む硬化性組成物を硬化させることにより、電気特性、耐湿性、耐熱性、強靱性等に優れた硬化物が得られることが知られている。上記硬化性組成物は、例えば、機械部品材料、電気・電子部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料、コーティング材料、接着剤、封止材等に広く用いられている。
エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のようなグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂が広く知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平58−71917号公報
しかしながら、上述のグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂を含む硬化性組成物の硬化物は、弾性率及び強度が低い等、十分な機械特性を有するものとは言えないため、適用可能な用途が限られ、特に優れた機械強度が求められる用途(例えば、構造材等)への展開が困難であった。また、上記硬化物は耐熱性も不十分であった。近年、エポキシ化合物を含む硬化性組成物の硬化物については、さまざまな用途への展開のため過酷な環境下で用いられることも多く、高い耐熱性を有していることも求められている。
従って、本発明の目的は、優れた機械特性(特に、高い弾性率)及び高い耐熱性を有する硬化物を形成できる硬化性組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、優れた機械特性(特に、高い弾性率)及び高い耐熱性を有する硬化物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定のエポキシ化合物と硬化剤又は硬化触媒とを必須成分として含む硬化性組成物によると、優れた機械特性(特に、高い弾性率)を維持しつつ、耐熱性を向上させることができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記式(1)
Figure 2016176030
[式中、R1〜R10は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子若しくはハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は下記式(2)
Figure 2016176030
で表される基を示す。但し、R1〜R5のうちの1つが式(2)で表される基であり、かつR6〜R10のうちの1つが式(2)で表される基である。]
で表されるエポキシ化合物(A)と、硬化剤(B)又は硬化触媒(C)とを含むことを特徴とする硬化性組成物を提供する。
さらに、式(1)中のR3及びR8が式(2)で表される基である前記の硬化性組成物を提供する。
さらに、硬化促進剤(D)をさらに含む前記の硬化性組成物を提供する。
また、本発明は、前記の硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物を提供する。
本発明の硬化性組成物は上記構成を有するため、該硬化性組成物を硬化させることにより、優れた機械強度(高い弾性率)を維持しつつ、耐熱性に優れた硬化物が得られる。従って、本発明の硬化性組成物は、優れた機械特性を維持しつつ、高い耐熱性が求められる用途(特に構造材、例えば、航空機材料等のコンポジット等)等への展開が可能である。
<硬化性組成物>
本発明の硬化性組成物は、下記式(1)で表されるエポキシ化合物(A)(単に「エポキシ化合物(A)」と称する場合がある)と、硬化剤(B)又は硬化触媒(C)とを必須成分として含む組成物(硬化性エポキシ樹脂組成物)である。本発明の硬化性組成物は、上記必須成分以外にも必要に応じて、その他の成分を含んでいてもよい。
Figure 2016176030
[エポキシ化合物(A)]
本発明の硬化性組成物におけるエポキシ化合物(A)は、上記式(1)で表される化合物である。式(1)中、R1〜R10は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子若しくはハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は下記式(2)で表される基(エポキシ基)を示す。
Figure 2016176030
エポキシ化合物(A)は、式(1)中のR1〜R5のうちの1つが式(2)で表される基であり、かつR6〜R10のうちの1つが式(2)で表される基である化合物である。即ち、エポキシ化合物(A)は、分子内に2つの式(2)で表される基を有する化合物である。エポキシ化合物(A)における式(2)で表される基の位置は、特に限定されないが、硬化性組成物の硬化性及び硬化物の機械特性の観点で、R2〜R4のうちの1つ、及びR7〜R9のうちの1つが式(2)で表される基であることが好ましく、R3及びR8が式(2)で表される基であることが特に好ましい。
1〜R10としてのハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。R1〜R10としての「酸素原子若しくはハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基」における炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらが2以上結合した基が挙げられる。上記脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基(例えば、炭素数1〜10(好ましくは炭素数1〜5)程度のアルキル基);ビニル基、アリル基等のアルケニル基(例えば、炭素数2〜10(好ましくは炭素数2〜5)程度のアルケニル基);エチニル基等のアルキニル基(例えば、炭素数2〜10(好ましくは炭素数2〜5)程度のアルキニル基)等が挙げられる。上記脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;シクロアルケニル基;橋架け環式基等が挙げられる。上記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。R1〜R10としての酸素原子を有する炭化水素基としては、例えば、炭化水素基の炭素鎖中に酸素原子が介在している基(例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基等のアルコキシアルキル基等)等が挙げられる。R1〜R10としてのハロゲン原子を有する炭化水素基としては、例えば、クロロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロフェニル基等の上記炭化水素基の有する水素原子の1又は2以上がハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)により置換された基が挙げられる。R1〜R10としての「置換基を有していてもよいアルコキシ基」におけるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基等の炭素数1〜10(好ましくは炭素数1〜5)程度のアルコキシ基等が挙げられる。アルコキシ基の置換基としては、例えば、上記ハロゲン原子等が挙げられる。
中でも、エポキシ化合物(A)としては、オキシラン酸素濃度が高く架橋点間分子量が小さいために、より架橋密度が高い硬化物を形成することができる点で、R1〜R10のうち式(2)で表される基以外の基が、同一又は異なって水素原子又はメチル基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
本発明の硬化性組成物においてエポキシ化合物(A)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。また、エポキシ化合物(A)は公知乃至慣用の製造方法により製造することができ、特に限定されないが、上記製造方法としては、例えば、対応する不飽和化合物(式(1)における2つの式(2)で表される基の代わりにビニル基を有する化合物)を酸化剤により酸化(エポキシ化)する方法等が挙げられる。より具体的には、例えば、Helvetica Chimica Acta (1959), 42, 2457-67に開示された方法等によって、エポキシ化合物(A)を製造することができる。
本発明の硬化性組成物におけるエポキシ化合物(A)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性組成物の全量(100重量%)に対して、5〜99重量%が好ましく、より好ましくは20〜98重量%、さらに好ましくは30〜97重量%である。エポキシ化合物(A)の含有量を5重量%以上とすることにより、硬化物の強度及び弾性率がより高くなる傾向がある。また、硬化物の耐熱性がより向上する傾向もある。一方、エポキシ化合物(A)の含有量を99重量%以下とすることにより、相対的に硬化物(B)や硬化触媒(C)の増量が可能であり、硬化性組成物を十分に硬化させることができるため、硬化物の強度及び弾性率がより向上する傾向がある。
本発明の硬化性組成物は、エポキシ化合物(A)以外のエポキシ基を有する化合物(「その他のエポキシ化合物」と称する)を含んでいてもよい。その他のエポキシ化合物としては、公知乃至慣用のエポキシ化合物を使用することができ、特に限定されないが、例えば、脂環式エポキシ化合物、エポキシ化合物(A)以外の芳香族エポキシ化合物(例えば、芳香族グリシジルエーテル型エポキシ化合物等)、脂肪族エポキシ化合物(例えば、脂肪族多価アルコールポリグリシジルエーテル型エポキシ化合物等)等が挙げられる。その他のエポキシ化合物として、より具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂及びこれらのハロゲン化物から選ばれる2官能エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールADノボラック型エポキシ樹脂等のノボラックエポキシ樹脂;トリシクロデセンオキサイド基を有するエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂のエポキシ化物等の環式脂肪族エポキシ樹脂;ナフタレン型フェノール樹脂のエポキシ化物等の芳香族エポキシ樹脂;ダイマー酸グリシジルエステル、トリグリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジルp−アミノフェノール、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂;フロログリシノールトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシビフェニルトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシフェニルメタントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]−2−プロパノール等の3官能型エポキシ樹脂;テトラヒドロキシフェニルエタンテトラグリシジルエーテル、テトラグリシジルベンゾフェノン、ビスレゾルシノールテトラグリシジルエーテル、テトラグリシドキシビフェニル等の4官能型エポキシ樹脂;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート(例えば、(株)ダイセル製の商品名「セロキサイド2021」等)、リモネンジエポキシド(例えば、(株)ダイセル製の商品名「セロキサイド3000」等)、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート(例えば、(株)ダイセル製の商品名「セロキサイド2081」等)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート(例えば、ユニオンカーバイド製の商品名「ERL4227」等)、エポキシ化3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス3−シクロヘキセニルメチルエステル及びそのε−カプロラクトン付加物(例えば、(株)ダイセルの商品名「エポリードGT301」等のGT300シリーズ等)、及びエポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス−3−シクロヘキセニルメチルエステル及びそのε−カプロラクトン付加物(例えば、(株)ダイセル製の商品名「エポリードGT401」等のGT400シリーズ等)等の脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。本発明の硬化性組成物においてその他のエポキシ化合物は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の硬化性組成物に含まれるエポキシ化合物の全量(100重量%)に対するエポキシ化合物(A)の割合は、特に限定されないが、70重量%以上(例えば、70〜100重量%)が好ましく、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上である。エポキシ化合物(A)の割合を70重量%以上とすることにより、硬化物の強度及び弾性率がいっそう高くなる傾向がある。
[硬化剤(B)]
本発明の硬化性組成物における硬化剤(B)は、エポキシ化合物(A)等のエポキシ化合物と反応することによって硬化性組成物を硬化させる働きを有する化合物である。硬化剤(B)としては、特に限定されず、エポキシ樹脂用硬化剤として周知慣用のものを使用することができ、例えば、酸無水物類(酸無水物系硬化剤)、アミン類(アミン系硬化剤)、ポリアミド樹脂、イミダゾール類(イミダゾール系硬化剤)、ポリメルカプタン類(ポリメルカプタン系硬化剤)、フェノール類(フェノール系硬化剤)、ポリカルボン酸類、ジシアンジアミド類、有機酸ヒドラジド等が挙げられる。
硬化剤(B)としての酸無水物類(酸無水物系硬化剤)としては、公知乃至慣用の酸無水物系硬化剤を使用でき、特に限定されないが、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(4−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3−メチルテトラヒドロ無水フタル酸等)、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等)、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、水素化メチルナジック酸無水物、4−(4−メチル−3−ペンテニル)テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水アジピン酸、無水セバシン酸、無水ドデカン二酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、ビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、アルキルスチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、取り扱い性の観点で、25℃で液状の酸無水物[例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等]が好ましい。一方、25℃で固体状の酸無水物については、例えば、25℃で液状の酸無水物に溶解させて液状の混合物とすることで、本発明の硬化性組成物における硬化剤(B)としての取り扱い性が向上する傾向がある。酸無水物系硬化剤としては、硬化物の耐熱性、透明性の観点で、飽和単環炭化水素ジカルボン酸の無水物(環にアルキル基等の置換基が結合したものも含む)が好ましい。
硬化剤(B)としてのアミン類(アミン系硬化剤)としては、公知乃至慣用のアミン系硬化剤を使用でき、特に限定されないが、例えば、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン、変性ポリアミン、第二級アミン、第三級アミン等が挙げられる。上記脂肪族ポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン、1,3−ペンタンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ジプロピレンジアミン、m−キシリレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン等が挙げられる。上記脂環式ポリアミンとしては、例えば、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンビスシクロヘキシル、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、ラロミンC−260等が挙げられる。上記芳香族ポリアミンとしては、例えば、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン(例えば、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン等)、m−キシリレンジアミン、4,4’−メチレンジアニリン、4,4’−メチレンビス(2−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−イソプロピルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−クロロアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−イソプロピル−6−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−エチル−6−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−ブロモ−6−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(N−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(N−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(N−sec−ブチルアニリン)、4,4’−シクロヘキシリデンジアニリン、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジアニリン、4,4’−(9−フルオレニリデン)ビス(N−メチルアニリン)、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−オキシジアニリン、2,4−ビス(4−アミノフェニルメチル)アニリン、4−メチル−m−フェニレンジアミン、2−メチル−m−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、2−クロロ−p−フェニレンジアミン、2,4,6−トリメチル−m−フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン[2,4−ジエチル−6−メチル−m−フェニレンジアミンと4,6−ジエチル−2−メチル−m−フェニレンジアミンの混合物等]、ビス(メチルチオ)トルエンジアミン[6−メチル−2,4−ビス(メチルチオ)−m−フェニレンジアミンと2−メチル−4,6−ビス(メチルチオ)−m−フェニレンジアミンの混合物等]、4,6−ジメチル−m−フェニレンジアミン、トリメチレンビス(4−アミノベンゾエート)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、α,α−ビス(4−アミノフェイル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(m−アミノフェニル)ベンゼン等が挙げられる。
上記変性ポリアミンとしては、例えば、カルボン酸による変性アミン(ポリアミノアミド、アミノアミド)、エポキシ化合物による変性アミン(アミン−エポキシアダクト)、マイケル反応による変性アミン(マイケル付加ポリアミン)、マンニッヒ反応による変性アミン、尿素又はチオ尿素との反応による変性アミン、ケトンとの反応による変性アミン(ケチミン、シッフ塩基)、エピクロルヒドリンとの反応による変性アミン、ベンジルクロライドとの反応による変性アミン、リン化合物との反応による変性アミン、ベンゾキノンとの反応による変性アミン、トリアルキルシリル化アミン、アミノ基とイソシアネート化合物との反応による変性アミン、水酸基を有するアミン化合物とイソシアネート化合物との反応による変性アミン、カーボネートとの反応による変性アミン等が挙げられる。
その他、ポリオキシプロピレンジアミン(例えば、ジェファーミンD230等)、ポリオキシプロピレントリアミン(例えば、ジェファーミンT403等)、ポリシクロヘキシルポリアミン混合物、N−アミノエチルピペラジン等を用いてもよい。
上記第二級アミン又は第三級アミンとしては、例えば、イミダゾール類[例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2−メチルイミダゾリウムイソシアヌレート、2−フェニルイミダゾリウムイソシアヌレート、2,4−ジアミノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2−エチル−4−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−s−トリアジン等]、ピペリジン、モルホリン、N−メチルピペラジン、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド、N,N’−ジメチル尿素誘導体、テトラメチルエチレンジアミン等の直鎖状ジアミン、ジメチルエチルアミン等の直鎖第三級アミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン等のエタノールアミン、トリエチルアミン等のアルキルtertモノアミン、ベンジルジメチルアミン等の脂肪族第三級アミンや2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP−30)等のフェノール性水酸基を少なくとも1つ持つ芳香環を有する脂肪族第三級アミン、N,N’−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザジシクロ[2.2.2]オクタン、トリエチレンジアミン(TEDA)、ピリジン、ピコリン、1.8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)等の複素環式第三級アミン等が挙げられる。
中でも、硬化剤(B)としてのアミン化合物としては、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、及び下記式(3)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1つが好ましい。
Figure 2016176030
式(3)中、R11及びR13は、同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数6〜12のアリーレン基を示す。R11及びR13としての炭素数1〜4のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。また、R11及びR13としての炭素数6〜12のアリーレン基としては、例えば、構造式上、芳香族炭化水素から2個の水素原子(芳香環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子)を除いて形成される基が挙げられる。上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、9−フェニルアントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、ナフタセン、ピレン、ペリレン、ビフェニル、ビナフチル、ビアンスリル、これらの誘導体(例えば、上記芳香族炭化水素の芳香環に1以上の置換基(例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルキレン基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基等)が置換した芳香族炭化水素等)等が挙げられる。
式(3)中、sは、0又は1を示す。
式(3)中、R12は、式中に示されるシクロヘキサン環上の置換基を示し、一価の有機基、一価の酸素原子含有基、一価の硫黄原子含有基、一価の窒素原子含有基、又はハロゲン原子を示す。R12としては、具体的には、例えば、アルキル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)、水酸基、カルボキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アミノ基、ニトロ基、モノ又はジアルキルアミノ基、アシルアミノ基、エポキシ基、グリシジル基、アシル基、シアノ基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、カルバモイル基、スルホ基等が挙げられる。また、式(3)中、tは、式中に示されるシクロヘキサン環上の置換基(R12)の数を示し、0〜10の整数を示す。式(3)におけるtが2以上の整数である場合、それぞれのR12は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
より詳しくは、式(3)で表される構造式から両末端の2個のアミノ基を除いて形成される基としては、例えば、1,2−シクロヘキシレン−メチレン基、1,3−シクロヘキシレン−メチレン基、1,4−シクロヘキシレン−メチレン基、シクロヘキシリデン−メチレン基、1,2−シクロヘキシレン−エチレン基、1,3−シクロヘキシレン−エチレン基、1,4−シクロヘキシレン−エチレン基、シクロヘキシリデン−エチレン基、3,5,5−トリメチル−1,3−シクロヘキシレン−メチレン基(イソホロンジアミンから2つのアミノ基を除いて形成される二価の基)等のシクロヘキシレン−アルキレン基;1,2−シクロヘキシレン−フェニレン基、1,3−シクロヘキシレン−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン−フェニレン基等のシクロヘキシレン−アリーレン基;メチレン−1,2−シクロヘキシレン−メチレン基、メチレン−1,3−シクロヘキシレン−メチレン基、メチレン−1,4−シクロヘキシレン−メチレン基等のアルキレン−シクロヘキシレン−アルキレン基;メチレン−1,2−シクロヘキシレン−フェニレン基、メチレン−1,3−シクロヘキシレン−フェニレン基、メチレン−1,4−シクロヘキシレン−フェニレン基等のアルキレン−シクロヘキシレン−アリーレン基;フェニレン−1,2−シクロヘキシレン−フェニレン基、フェニレン−1,3−シクロヘキシレン−フェニレン基、フェニレン−1,4−シクロヘキシレン−フェニレン基等のアリーレン−シクロヘキシレン−アリーレン基等が挙げられる。
中でも、式(3)で表される化合物としては、硬化物の耐熱性及び機械特性の観点で、式(3)中のR11がアルキル基、tが1〜10の整数、かつR13が炭素数1〜4のアルキレン基である化合物が好ましく、より好ましくは式(3)中のsが0、R11が炭素数1〜3のアルキル基、tが1〜5の整数、かつR13が炭素数1〜3のアルキレン基である化合物、さらに好ましくはイソホロンジアミンである。
硬化剤(B)としてのフェノール類(フェノール系硬化剤)としては、公知乃至慣用のフェノール系硬化剤を使用でき、特に限定されないが、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、ノボラック型クレゾール樹脂、パラキシリレン変性フェノール樹脂、パラキシリレン・メタキシリレン変性フェノール樹脂等のアラルキル樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、トリフェノールプロパン等が挙げられる。
硬化剤(B)としてのポリアミド樹脂としては、例えば、分子内に第一級アミノ基及び第二級アミノ基のいずれか一方又は両方を有するポリアミド樹脂等が挙げられる。
硬化剤(B)としてのポリメルカプタン類(ポリメルカプタン系硬化剤)としては、例えば、液状のポリメルカプタン、ポリスルフィド樹脂等が挙げられる。
硬化剤(B)としてのポリカルボン酸類としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、トリメリット酸、カルボキシ基含有ポリエステル等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物において硬化剤(B)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。また、硬化剤(B)は、公知乃至慣用の方法により製造して使用することもできるし、例えば、商品名「ベスタミンIPD」(エボニックデグサジャパン(株)製)等の市販品を入手して使用することもできる。
本発明の硬化性組成物における硬化剤(B)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性組成物に含まれるエポキシ化合物の全量100重量部(又はエポキシ化合物(A)100重量部)に対して、20〜200重量部が好ましく、より好ましくは25〜150重量部、さらに好ましくは30〜120重量部である。特に、硬化剤(B)は、本発明の硬化性組成物に含まれるエポキシ化合物のエポキシ基1当量あたり、0.5〜1.5の当量比で使用することが好ましい。硬化剤(B)の含有量を20重量部以上とすることにより、より効率的に硬化性組成物の硬化反応を進行させることができ、硬化物の弾性率及び強度がより高くなる傾向がある。また、硬化物の耐熱性がより向上する傾向がある。一方、硬化剤(B)の含有量を200重量部以下とすることにより、硬化物の着色がより抑制され、より色相に優れたものとなる傾向がある。
本発明の硬化性組成物は、硬化剤(B)として比較的反応性の低いアミン系硬化剤(例えば、ジアミノジフェニルスルホン等)を使用した場合であっても、優れた硬化性を発揮し、例えば、後述の硬化促進剤(D)を使用しないかその使用量を低減させた場合であっても、優れた速度で硬化させることができる。このため、本発明の硬化性組成物を用いると、経済的に極めて有利に硬化物又は該硬化物を利用した物品を製造することができる。本発明の硬化性組成物が奏するこのような効果は、エポキシ化合物として特定のエポキシ化合物(A)を用いることによるものと推測される。
[硬化触媒(C)]
本発明の硬化性組成物における硬化触媒(C)は、エポキシ化合物等のカチオン重合性化合物の硬化反応(重合反応)を開始及び/又は促進させることにより、硬化性組成物を硬化させる働きを有する化合物である。硬化触媒(C)としては、カチオン重合性化合物の硬化触媒として公知乃至慣用の化合物を使用でき、特に限定されないが、例えば、光カチオン重合開始剤、熱カチオン重合開始剤、ルイス酸・アミン錯体、ブレンステッド酸塩類、イミダゾール類等が挙げられる。
硬化触媒(C)としての光カチオン重合開始剤としては、例えば、ヘキサフルオロアンチモネート塩、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネート塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアルセネート塩等が挙げられ、より具体的には、例えば、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート(例えば、p−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等)、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のスルホニウム塩(特に、トリアリールスルホニウム塩);ジアリールヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ヨードニウム[4−(4−メチルフェニル−2−メチルプロピル)フェニル]ヘキサフルオロホスフェート等のヨードニウム塩;テトラフルオロホスホニウムヘキサフルオロホスフェート等のホスホニウム塩;N−ヘキシルピリジニウムテトラフルオロボレート等のピリジニウム塩等が挙げられる。また、光カチオン重合開始剤としては、例えば、商品名「UVACURE1590」(ダイセル・オルネクス(株)製);商品名「CD−1010」、「CD−1011」、「CD−1012」(以上、米国サートマー製);商品名「イルガキュア264」(BASF製);商品名「CIT−1682」(日本曹達(株)製)等の市販品を好ましく使用することもできる。
硬化触媒(C)としての熱カチオン重合開始剤としては、例えば、アリールジアゾニウム塩、アリールヨードニウム塩、アリールスルホニウム塩、アレン−イオン錯体等が挙げられ、商品名「PP−33」、「CP−66」、「CP−77」(以上(株)ADEKA製);商品名「FC−509」(スリーエム製);商品名「UVE1014」(G.E.製);商品名「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−80L」、「サンエイドSI−100L」、「サンエイドSI−110L」、「サンエイドSI−150L」(以上、三新化学工業(株)製);商品名「CG−24−61」(BASF製)等の市販品を好ましく使用することができる。さらに、熱カチオン重合開始剤としては、アルミニウムやチタン等の金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とトリフェニルシラノール等のシラノールとの化合物、又は、アルミニウムやチタン等の金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とビスフェノールS等のフェノール類との化合物等も挙げられる。
硬化触媒(C)としてのルイス酸・アミン錯体としては、公知乃至慣用のルイス酸・アミン錯体系硬化触媒を使用することができ、特に限定されないが、例えば、BF3・n−ヘキシルアミン、BF3・モノエチルアミン、BF3・ベンジルアミン、BF3・ジエチルアミン、BF3・ピペリジン、BF3・トリエチルアミン、BF3・アニリン、BF4・n−ヘキシルアミン、BF4・モノエチルアミン、BF4・ベンジルアミン、BF4・ジエチルアミン、BF4・ピペリジン、BF4・トリエチルアミン、BF4・アニリン、PF5・エチルアミン、PF5・イソプロピルアミン、PF5・ブチルアミン、PF5・ラウリルアミン、PF5・ベンジルアミン、AsF5・ラウリルアミン等が挙げられる。
硬化触媒(C)としてのブレンステッド酸塩類としては、公知乃至慣用のブレンステッド酸塩類を使用することができ、特に限定されないが、例えば、脂肪族スルホニウム塩、芳香族スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩等が挙げられる。
硬化触媒(C)としてのイミダゾール類としては、公知乃至慣用のイミダゾール類を使用することができ、特に限定されないが、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2−メチルイミダゾリウムイソシアヌレート、2−フェニルイミダゾリウムイソシアヌレート、2,4−ジアミノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2−エチル−4−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−s−トリアジン等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物において硬化触媒(C)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。また、硬化触媒(C)は、公知乃至慣用の方法により製造して使用することもできるし、市販品を入手して使用することもできる。
本発明の硬化性組成物における硬化触媒(C)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性組成物に含まれるエポキシ化合物の全量100重量部(又はエポキシ化合物(A)100重量部)に対して、0.01〜15重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜12重量部、さらに好ましくは0.05〜10重量部である。硬化触媒(C)の含有量を0.01重量部以上とすることにより、より効率的に硬化性組成物の硬化反応を進行させることができ、硬化物の弾性率及び強度がより高くなる傾向がある。また、硬化物の耐熱性がより向上する傾向がある。一方、硬化触媒(C)の含有量を15重量部以下とすることにより、硬化物の着色がより抑制され、より色相に優れたものとなる傾向がある。
[硬化促進剤(D)]
本発明の硬化性組成物は、硬化促進剤(D)をさらに含んでいてもよい。本発明の硬化性組成物が特に硬化剤(B)を含むものである場合には、硬化促進剤(D)を含むことが好ましい。硬化促進剤(D)は、エポキシ化合物の反応(特に、エポキシ化合物(A)と硬化剤(B)との反応)を促進する機能を有する化合物である。
硬化促進剤(D)としては、公知乃至慣用の硬化促進剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、第三級アミン[例えば、ラウリルジメチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)等];第三級アミン塩[例えば、上記第三級アミンのカルボン酸塩、スルホン酸塩、無機酸塩等];イミダゾール類[例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール等];有機リン系化合物[例えば、トリフェニルホスフィン、亜リン酸トリフェニル等];第四級アンモニウム塩[例えば、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド等]、第四級ホスホニウム塩[例えば、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、テトラブチルホスホニウムラウリン酸塩、テトラブチルホスホニウムミリスチン酸塩、テトラブチルホスホニウムパルミチン酸塩、テトラブチルホスホニウムカチオンとビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸及び/又はメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸のアニオンとの塩、テトラブチルホスホニウムカチオンと1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸のアニオンとの塩等]、第四級アルソニウム塩、第三級スルホニウム塩、第三級セレノニウム塩、第二級ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩等のオニウム塩;強酸エステル[例えば、硫酸エステル、スルホン酸エステル、りん酸エステル、ホスフィン酸エステル、ホスホン酸エステル等];ルイス酸と塩基との錯体[例えば、三フッ化ホウ素・アニリン錯体、三フッ化ホウ素・p−クロロアニリン錯体、三フッ化ホウ素・モノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素・イソプロピルアミン錯体、三フッ化ホウ素・ベンジルアミン錯体、三フッ化ホウ素・ジメチルアミン錯体、三フッ化ホウ素・ジエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素・ジブチルアミン錯体、三フッ化ホウ素・ピペリジン錯体、三フッ化ホウ素・ジベンジルアミン錯体、三塩化ホウ素・ジメチルオクチルアミン錯体等];有機金属塩[オクチル酸スズ、オクチル酸亜鉛、ジラウリン酸ジブチルスズ、アルミニウムアセチルアセトン錯体等]等が挙げられる。
中でも、硬化促進剤(D)としては、硬化物の耐熱性及び機械特性の観点で、ルイス酸と塩基との錯体が好ましい。
なお、本発明の硬化性組成物において硬化促進剤(D)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。また、硬化促進剤(D)としては、商品名「U−CAT SA 506」、「U−CAT SA 102」、「U−CAT 5003」、「U−CAT 18X」、「U−CAT 12XD」(開発品)(以上、サンアプロ(株)製);商品名「TPP−K」、「TPP−MK」(以上、北興化学工業(株)製);商品名「PX−4ET」(日本化学工業(株)製);商品名「三フッ化ホウ素モノエチルアミン」(ステラケミファ(株)製)等の市販品を使用することもできる。
本発明の硬化性組成物における硬化促進剤(D)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性組成物に含まれるエポキシ化合物の全量100重量部(又はエポキシ化合物(A)100重量部)に対して、0.01〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.03〜5重量部、さらに好ましくは0.03〜3重量部である。硬化促進剤(D)の含有量を0.01重量部以上とすることにより、より効率的に硬化性組成物の硬化反応を進行させることができ、硬化物の弾性率及び強度がより高くなる傾向がある。また、硬化物の耐熱性がより向上する傾向がある。一方、硬化促進剤(D)の含有量を10重量部以下とすることにより、より着色が抑制され、色相に優れた硬化物が得られる傾向がある。
[ラジカル重合性有機化合物(E)]
本発明の硬化性組成物は、ラジカル重合性有機化合物(E)を含んでいてもよい。通常、ラジカル重合性有機化合物(E)を含む場合には、後述の光ラジカル重合開始剤(F)を併用する。本発明の硬化性組成物におけるラジカル重合性有機化合物(E)とは、活性エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤の存在下、活性エネルギー線照射により高分子量化又は架橋反応するラジカル重合性有機化合物であり、好ましくは分子内に少なくとも1個の不飽和二重結合を有する化合物である。ラジカル重合性有機化合物(E)としては、例えば、アクリレート化合物、メタクリレート化合物、アリルウレタン化合物、不飽和ポリエステル化合物、スチレン系化合物等が挙げられる。中でも、合成や入手が容易であり、また、取り扱い性も容易である点で、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、アルコール類の(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。なお、本明細書において「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及び/又はメタクリロイル(アクリロイル及びメタクリロイルのいずれか一方又は両方)を意味し、「(メタ)アクリレート」や「(メタ)アクリル」についても同様である。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとは、例えば、従来公知の芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と、(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。これらのエポキシ(メタ)アクリレートのうち、特に好ましいものは、芳香族エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートであり、少なくとも1個の芳香核を有する多価フェノール又はそのアルキレンオキサイド付加体のポリグリシジルエーテルを、(メタ)アクリル酸と反応させて得られる(メタ)アクリレートである。このような(メタ)アクリレートとしては、例えば、ビスフェノールA、又はそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロロヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテルを、(メタ)アクリル酸と反応させて得られる(メタ)アクリレート、エポキシノボラック樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ウレタン(メタ)アクリレートとして好ましいものは、一種又は二種以上の水酸基含有ポリエステルや水酸基含有ポリエーテルに水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとイソシアネート類とを反応させて得られる(メタ)アクリレートや、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとイソシアネート類を反応させて得られる(メタ)アクリレート等である。ここで使用する水酸基含有ポリエステルとして好ましいものは、一種又は二種以上の多価アルコールと、一種又は二種以上の多塩基酸或いは一種又は二種以上のラクトン類との反応によって得られる水酸基含有ポリエステルである。上記多価アルコールとしては、例えば、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。上記多塩基酸としては、例えば、アジピン酸、テレフタル酸、無水フタル酸、トリメリット酸等が挙げられる。上記ラクトン類としては、例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。また、上記水酸基含有ポリエーテルとして好ましいものは、多価アルコールに一種又は二種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られる水酸基含有ポリエーテルであって、多価アルコールとしては、上述した化合物と同様のものが例示できる。上記アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられる。また、上記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとして好ましいものは、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応によって得られる水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルであって、多価アルコールとしては、上述した化合物と同様のものが例示できる。このような水酸基含有(メタ)アクリル酸のうち、二価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応によって得られる水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルは特に好ましく、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記イソシアネート類としては、分子中に少なくとも1個以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましく、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の二価のイソシアネート化合物が特に好ましい。
上記ポリエステル(メタ)アクリレートとして好ましいものは、水酸基含有ポリエステルと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレートである。ここで使用する水酸基含有ポリエステルとして好ましいものは、一種又は二種以上の多価アルコールと、一種又は二種以上の1塩基酸、多塩基酸とのエステル化反応によって得られる水酸基含有ポリエステルであって、多価アルコールとしては、上述した化合物と同様のものが例示できる。1塩基酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、酪酸、安息香酸等が挙げられる。多塩基酸としては、例えば、アジピン酸、テレフタル酸、無水フタル酸、トリメリット酸等が挙げられる。
上記ポリエーテル(メタ)アクリレートとして好ましいものは、水酸基含有ポリエーテルと、(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるポリエーテル(メタ)アクリレートである。ここで使用する水酸基含有ポリエーテルとして好ましいものは、多価アルコールに一種又は二種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られる水酸基含有ポリエーテルであって、多価アルコールとしては、上述した化合物と同様のものが例示できる。アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられる。
上述のアルコール類の(メタ)アクリル酸エステルとして好ましいものは、分子内に少なくとも1個の水酸基を有する芳香族又は脂肪族アルコール、及びそのアルキレンオキサイド付加体と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートであり、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物においてラジカル重合性有機化合物(E)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。また、本発明の硬化性組成物においては、ラジカル重合性有機化合物(E)の全量(100重量%)のうち50重量%以上が分子中に(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることが好ましい。その理由は、(メタ)アクリロイル基以外の不飽和基を有する化合物の割合が多くなると活性エネルギー線による硬化性が低下する場合があるからである。(メタ)アクリロイル基を有する化合物の中でも、(メタ)アクリロイル基を2個以上有するポリ(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
本発明の硬化性組成物におけるラジカル重合性有機化合物(E)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性組成物に含まれるエポキシ化合物の全量100重量部(又はエポキシ化合物(A)100重量部)に対して、200重量部以下が好ましく、より好ましくは100重量部以下である。ラジカル重合性有機化合物(E)の含有量が200重量部を超えると、硬化物の耐吸湿性が悪化する傾向がある。
[光ラジカル重合開始剤(F)]
上述の光ラジカル重合開始剤(F)は、活性エネルギー線照射によってラジカル重合を開始させることが可能な化合物であり、アセトフェノン系化合物、ベンジル系化合物、チオキサントン系化合物等のケトン系化合物が好ましい。上記アセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ターシャリブチルジクロロアセトフェノン、p−ターシャリブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。上記ベンジル系化合物としては、例えば、ベンジル、アニシル等が挙げられる。上記ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド等が挙げられる。上記チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。その他の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)フェニル]チタニウム等が挙げられる。本発明の硬化性組成物において光ラジカル重合開始剤(F)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の硬化性組成物における光ラジカル重合開始剤(F)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、ラジカル重合性有機化合物(E)100重量部に対して、0.05〜30重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部である。光ラジカル重合開始剤(F)の含有量が0.05重量部未満であると、硬化不良を生じる場合があり、逆に30重量部を超えると硬化物が着色したり、硬化物の機械物性の低下が生じる場合がある。
[樹脂成分]
本発明の硬化性組成物は、必要に応じて、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリアリレート等の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。また、本発明の硬化性組成物は、ポリブタジエン、ポリブタジエンポリスチレン共重合体ポリマー等の合成ゴム、エラストマーを含んでいてもよい。また、本発明の硬化性組成物は、6,6−ナイロン等のポリアミド樹脂やポリイミド樹脂等の含窒素化合物を含んでいてもよい。さらに、本発明の硬化性組成物は、フェノール樹脂を含んでいてもよい。上記フェノール樹脂としては、例えば、ノボラックフェノール樹脂、ジシクロペンタジエン共重合型ノボラックフェノール樹脂、ナフタレン共重合型ノボラックフェノール樹脂、ビフェニル共重合型ノボラックフェノール樹脂、キシレン共重合型ノボラックフェノール樹脂、クレゾールノボラックフェノール樹脂、ジシクロペンタジエン共重合型クレゾールノボラックフェノール樹脂、ナフタレン共重合型クレゾールノボラックフェノール樹脂、ビフェニル共重合型クレゾールノボラックフェノール樹脂、ナフタレン共重合型クレゾールノボラックフェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン共重合型レゾール樹脂、ナフタレン共重合型レゾール樹脂、ビフェニル共重合型レゾール樹脂、キシレン共重合型レゾール樹脂等が挙げられる。本発明の硬化性組成物において上記樹脂成分は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の硬化性組成物における上記樹脂成分(ポリエチレン等の熱可塑性樹脂やフェノール樹脂等)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性組成物に含まれるエポキシ化合物の全量100重量部(又はエポキシ化合物(A)100重量部)に対して、1〜10000重量部が好ましく、より好ましくは100〜8000重量部、さらに好ましくは1000〜5000重量部である。上記樹脂成分の含有量が1重量部より少ない場合は添加する意味がなく、逆に10000重量部より多い場合は、硬化物においてエポキシ化合物(特に、エポキシ化合物(A))による優れた特性を発揮させることができない場合がある。
[添加剤]
本発明の硬化性組成物は、上記以外にも、本発明の効果を損なわない範囲内で各種添加剤を含んでいてもよい。上記添加剤としては、例えば、水酸基を有する化合物(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、消泡剤(例えば、シリコーン系やフッ素系消泡剤等)、レベリング剤、シランカップリング剤(例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランや3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等)、界面活性剤、無機充填剤(例えば、シリカ、アルミナ等)、難燃剤、着色剤、イオン吸着体、顔料、蛍光体(例えば、YAG系の蛍光体微粒子、シリケート系蛍光体微粒子等の無機蛍光体微粒子等)、離型剤等の慣用の添加剤が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、特に限定されないが、必要に応じて加熱した状態で、上記の各成分を攪拌・混合することにより調製することができる。なお、本発明の硬化性組成物は、各成分があらかじめ混合されたものをそのまま使用する1液系の組成物として使用することもできるし、例えば、別々に保管しておいた2以上の成分(各成分は2以上の成分の混合物であってもよい)を使用前に所定の割合で混合して使用する多液系(例えば、2液系)の組成物として使用することもできる。上記攪拌・混合の方法は、特に限定されず、例えば、ディゾルバー、ホモジナイザー等の各種ミキサー、ニーダー、ロール、ビーズミル、自公転式攪拌装置等の公知乃至慣用の攪拌及び混合手段を使用できる。また、攪拌・混合後、真空下にて脱泡してもよい。
本発明の硬化性組成物の性状は特に限定されず、例えば、常温・常圧において液体であってもよいし、固体であってもよい。
<硬化物>
本発明の硬化性組成物を硬化させることにより、優れた機械特性(特に、高い弾性率)及び耐熱性を有する硬化物(「本発明の硬化物」と称する場合がある)を得ることができる。硬化の際の加熱温度(硬化温度)は、特に限定されないが、50〜220℃が好ましく、より好ましくは60〜210℃、さらに好ましくは80〜200℃である。また、硬化の際に加熱する時間(硬化時間)は、特に限定されないが、30〜600分が好ましく、より好ましくは45〜540分、さらに好ましくは60〜480分である。硬化温度と硬化時間が上記範囲の下限値より低い場合は硬化が不十分となり、逆に上記範囲の上限値より高い場合は構成成分の分解が起きる場合があるので、いずれも好ましくない。硬化条件は種々の条件に依存するが、例えば、硬化温度を高くした場合は硬化時間を短く、硬化温度を低くした場合は硬化時間を長くする等により、適宜調整することができる。なお、硬化は一段階で進行させることもできるし、二段階以上の多段階に分けて進行させることもできる。また、加熱以外の硬化手段を使用又は併用してもよい。
本発明の硬化性組成物の硬化は、常圧下で行ってもよいし、減圧下又は加圧下で行ってもよい。また、硬化させる際の雰囲気は、硬化を阻害するものでない限り特に限定されず、例えば、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等のいずれであってもよい。
本発明の硬化物のTMA(熱機械分析)により測定されるガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、190℃以上が好ましく、より好ましくは200℃以上である。上記ガラス転移温度が190℃以上であることにより、より高温においても使用できる傾向がある。なお、上記ガラス転移温度はJIS K7197に準拠して測定され、より具体的には、実施例に記載の方法により測定される。
本発明の硬化物のガラス転移温度(TMAにより測定されるガラス転移温度)より低温における線膨張係数(α1)は、特に限定されないが、65ppm/℃以下が好ましく、より好ましくは60ppm/℃以下、さらに好ましくは55ppm/℃以下である。線膨張係数(α1)が65ppm/℃以下であることにより、より高温においても使用できる傾向がある。なお、上記線膨張係数はJIS K7197に準拠して測定され、より具体的には、実施例に記載の方法により測定される。
本発明の硬化物は、本発明の硬化性組成物が上記構成を有するために、優れた機械特性、特に、高い弾性率を有する。本発明の硬化物の曲げ弾性率は、特に限定されないが、2.4GPa以上が好ましく、より好ましくは2.5GPa以上である。上記曲げ弾性率は、JIS 7171:2008に準拠して測定され、より具体的には、実施例に記載の方法により測定される。
本発明の硬化性組成物は、上述のように優れた機械特性(特に、高い弾性率)を維持しつつ、高い耐熱性を有する硬化物を形成できるため、例えば、機械部品材料、電気・電子部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料、コーティング材料、繊維強化プラスチック(FRP:fiber reinforced plastics、例えば、GFRP(glass fiber reinforced plastics)、CFRP(carbon fiber reinforced plastics)等)材料、プラスチック形成材料等の各種用途に使用することができ、特に、高い機械特性が要求される用途(特に、構造材、例えば、航空機材料等のコンポジット等)にも適用可能である。また、本発明の硬化性組成物は、粘度を適切に調節することにより、プリプレグシート形成用の樹脂シートに使用することもできる。
また、本発明の硬化物は優れた耐熱性を有するため、鉛フリーはんだ実装にも適用可能である。例えば、本発明の硬化性組成物を用いて半導体素子等を基板上に実装する工程においては、他の電子部品の表面実装と同一のはんだリフロープロセスにて直接実装することができ、極めて効率的な製品の製造が可能となる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、表1における「−」は、当該成分の配合を行わなかったことを意味する。
実施例1
表1に示す配合割合(単位:重量部)で、ビス(4−アミノフェニル)スルホン[商品名「セイカキュアS粉砕品」、和歌山精化工業(株)製]と4,4’−(エポキシエチル)ビフェニルとを、乳鉢で均一に混合し、成型機に入れた。これを、145℃のオーブンで45分間加熱して加熱融解させた後、減圧脱泡を行い、硬化性組成物(硬化性エポキシ樹脂組成物)を製造した。
上記で得られた硬化性組成物を、表1に示す硬化条件[150℃で1時間(1st cure)、続いて、180℃で1時間(2nd cure)、さらに、200℃で1時間(3rd cure)]で加熱することによって硬化させ、硬化物を製造した。
比較例1
表1に示す配合割合(単位:重量部)で、ビスフェノールA型エポキシ樹脂[商品名「YD128」、新日鉄住金化学(株)製]と4,4’−(エポキシエチル)ビフェニルと三フッ化ホウ素・モノエチルアミン錯体[商品名「三フッ化ホウ素モノエチルアミン」、ステラケミファ(株)製]とを、乳鉢で均一に混合し、成型機に入れた。これを、145℃のオーブンで45分間加熱して加熱融解させた後、減圧脱泡を行い、硬化性組成物(硬化性エポキシ樹脂組成物)を製造した。
上記で得られた硬化性組成物を、表1に示す硬化条件[130℃で1.5時間(1st cure)、続いて、200℃で2時間(2nd cure)]で加熱することによって硬化させ、硬化物を製造した。
[評価]
実施例及び比較例で得た硬化物について、以下の評価を実施した。
(1)ガラス転移温度及び線膨張係数の測定(TMA)
TMA測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、商品名「TMA/SS100」)を使用し、JIS K7197に準拠した方法により、窒素雰囲気下、昇温速度:5℃/分、測定温度範囲:30〜250℃の条件で、硬化物の熱機械分析を行った。得られた熱膨張曲線から、硬化物のガラス転移温度(Tg)及び線膨張係数(α1)を求めた。なお、ガラス転移温度(Tg)は、ガラス転移点前後の曲線に接線を引き、これらの接線の交点から求めた。また、上記で求めたガラス転移温度より低温側の直線の勾配を線膨張係数(α1)として求めた。
(2)曲げ弾性率の測定(曲げ試験)
厚さ4mm×幅10mm×長さ80mmの硬化物をサンプルとして、テンシロン万能試験機((株)オリエンテック製)を使用して、エッジスパン:67mm、曲げ速度:2mm/分の条件で、JIS K7171:2008に準拠した3点曲げ試験を行うことにより、硬化物の曲げ弾性率を測定した。
Figure 2016176030
なお、本実施例で使用した成分は、以下の通りである。
(エポキシ化合物)
4,4’−(エポキシエチル)ビフェニル:Helvetica Chimica Acta (1959), 42, 2457-67に記載の方法に準じて合成した。
YD128:商品名「YD128」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学(株)製
(硬化剤)
ビス(4−アミノフェニル)スルホン:商品名「セイカキュアS粉砕品」、和歌山精化工業(株)製
(硬化促進剤)
BF3・MEA:商品名「三フッ化ホウ素モノエチルアミン」(三フッ化ホウ素・モノエチルアミン錯体)、ステラケミファ(株)製
表1に示すように、本発明の硬化性組成物(実施例1)を硬化させて得られる硬化物は、優れた機械特性(特に、高い弾性率)を維持しつつ、高い耐熱性を有することが確認された。なお、上記硬化物は、硬化促進剤を使用することなく製造可能であり、経済的に優れたものであった。

Claims (4)

  1. 下記式(1)
    Figure 2016176030
    [式中、R1〜R10は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子若しくはハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は下記式(2)
    Figure 2016176030
    で表される基を示す。但し、R1〜R5のうちの1つが式(2)で表される基であり、かつR6〜R10のうちの1つが式(2)で表される基である。]
    で表されるエポキシ化合物(A)と、硬化剤(B)又は硬化触媒(C)とを含むことを特徴とする硬化性組成物。
  2. 式(1)中のR3及びR8が式(2)で表される基である請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 硬化促進剤(D)をさらに含む請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018070849A (ja) * 2016-11-04 2018-05-10 アイシーケイ株式会社 2液型環境対応手塗り用ウレタン防水材組成物およびウレタン防水工法
WO2022131132A1 (ja) * 2020-12-18 2022-06-23 Agc株式会社 ジエポキシ化合物、硬化性組成物、硬化物及び光学部材

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