JP4744286B2 - 硬化性樹脂組成物および層間絶縁膜 - Google Patents

硬化性樹脂組成物および層間絶縁膜 Download PDF

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Description

本発明は、硬化性樹脂組成物および同組成物を硬化してなり、LSIや多層プリント配線板に使用できる耐熱性、接着性、可とう性に優れた層間絶縁膜に関するものである。中でも、前駆体であるオレフィンがフォスゲンを使用せずに製造され、それをエポキシ化した脂環式エポキシ化合物を使用した硬化性樹脂組成物の場合、金属に対して腐蝕性を示さない層間絶縁膜を与える。
LSIや多層プリント配線板に用いられる層間絶縁膜は、従来、無機材料を蒸着やスパッタリングなどのPVD法で形成していたが、このようなPVD法による絶縁膜形成方法は多層にすることが困難で、生産性が劣りコストが高い等の問題があった。有機物材料であるポリイミド樹脂を用いた層間絶縁膜も開発されているが、溶剤を使うために膜減りが起こり平坦性が低下することと、基材などとの接着性に劣る等の問題があった(特開平01−278561号公報)。そこで、これらの問題を解決するために脂環式エポキシ樹脂(化合物)を主成分とする熱硬化性樹脂を用いた層間絶縁膜が提案されている(特開平06−085091号公報)。この熱硬化性樹脂を用いた層間絶縁膜は、平坦性がよく耐熱性にも優れるが、基材との接着性、特に導体回路形成用金属めっき層との接着性がまだ不十分で信頼性を高めるまでには至っていない。
一方、耐熱性等に優れたカーボネート結合を有する脂環式エポキシ化合物が米国特許第3275661号明細書に開示されている。
特願平01−278561号公報 特開平06−085091号公報 米国特許第3275661号明細書
本発明によって解決しようとする課題は、硬化時の収縮が小さく基材との接着性に優れた硬化性樹脂組成物、および同組成物を硬化してなり、耐熱性、可とう性に優れた信頼性の高い層間絶縁膜を提供することである。本発明によって解決しようとする他の課題は、腐蝕性を示さない層間絶縁膜を提供することである。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を進めた結果、脂環式エポキシ化合物の中でも特定の構造を有する脂環式エポキシ化合物(の混合物)の硬化物は、硬化収縮が小さく、耐熱性と可とう性が良好で、金属めっき層との接着性にも優れていること、また特に、前駆体であるオレフィンがフォスゲンを使用せずに製造され、それをエポキシ化した脂環式エポキシ化合物の硬化物は、金属に対して腐蝕性を示さないことを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、下記式(1)
Figure 0004744286
[式中、Rはジオール化合物:HO−R−OH (2)の残基を示す。nは0〜5の整数であり分布を有していてもよく、n=2〜5の化合物の何れかを少なくとも含有している。但し、n=0の化合物を含む場合は分布を有する]
で表される脂環式エポキシ化合物とカチオン重合開始剤または硬化剤を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物を提供する。
前記カチオン重合開始剤には熱カチオン重合開始剤、光カチオン重合開始剤が含まれる。硬化剤には多塩基酸無水物が含まれる。
式(1)で表される脂環式エポキシ化合物は、遊離塩素分含有量50重量ppm以下の脂環式エポキシ化合物であるのが好ましい
本発明は、また、前記の硬化性樹脂組成物を硬化させてなる層間絶縁膜を提供する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化収縮が小さく、耐熱性と可とう性、金属めっき層との接着性にも優れる硬化物(層間絶縁膜)を与える。また、遊離塩素分含有量が特定値以下の脂環式エポキシ化合物を含む硬化性樹脂組成物は、金属に対してほとんど腐蝕性を示さない硬化物(層間絶縁膜)を与える。
以下、本発明を詳しく説明する。本発明に用いられる上記式(1)で表される脂環式エポキシ化合物は、ジオール化合物と脂環式エポキシ骨格がカーボネートで結合された構造を有する。式(1)で表される脂環式エポキシ化合物としては、どのような製造法で製造されたものでもよいが、金属の腐蝕を防止するという観点から、該化合物の製造法としては遊離の塩素分が製品中に混入しないような方法が好ましい。
式(1)で表される脂環式エポキシ化合物は、例えば、下記式(3)
Figure 0004744286
[式中、R1およびR1'は、同一又は異なって、炭素数1〜12のアルキル基を示す]
で表されるアルコールの炭酸エステル化合物と、下記式(4)
Figure 0004744286
で表される3−シクロヘキセン−1−メタノール(1,2,5,6−テトラヒドロベンジルアルコール)と、ジオール化合物:HO−R−OH (2)とをエステル交換反応に付して、下記式(5)
Figure 0004744286
[式中、Rはジオール化合物:HO−R−OH (2)の残基を示す。nは0〜5の整数であり分布を有する]
で表される脂環式オレフィン多価カーボネート化合物を得、次いでこの式(5)で表される脂環式オレフィン多価カーボネート化合物をエポキシ化することにより製造することができる。この方法によれば、フォスゲンを使用しないため、遊離の塩素分含有率の極めて低い脂環式エポキシ化合物、例えば、遊離塩素分含有量が50重量ppm以下(特に10重量ppm以下)の脂環式エポキシ化合物を得ることができる。このような脂環式エポキシ化合物は、ほとんど腐蝕性を示さず、特に電子材料分野などでは極めて有用なものとなる。
前記式(3)中、R1、R1'における炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル基などの直鎖状又は分岐鎖状のC1-12アルキル基が挙げられる。使用できる式(3)で表されるアルコールの炭酸エステルとしては、炭素数が4以下の低級アルコールの炭酸エステルが好ましいが、そのなかでも炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジイソプロピルが特に好ましい。なかでも、目的生成物である式(1)で表される脂環式エポキシ化合物中の遊離の塩素濃度がより低くなるという観点から、特にフォスゲンを使用せずに製造された炭酸エステルを使用することが好ましい。フォスゲンを使用せずに炭酸エステルを製造する方法としては、CO法(一酸化炭素とアルコールとの反応)、アルキレンカーボネートを使用する方法(たとえば、プロピレンカーボネートとアルコールとの反応)等がある。
式(2)中、Rはジオール化合物の残基であり、例えば、置換又は無置換のアルキレン基、シクロアルキレン基、シクロアルキリデン基若しくはアリーレン基、又はこれらが2以上直接又は酸素原子等の連結基を介して結合した基などの2価の有機基が挙げられる。使用できるジオール化合物(2)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチルー1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールのような低分子量のジオール化合物、およびビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のようなオリゴマーなどが挙げられる。これらの中でも、特に1,6−ヘキサンジオールや1,10−デカンジオールなどの炭素数2〜16程度の直鎖状又は分岐鎖状のアルカンジオール等の脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのシクロアルカン環等の脂環を含む炭素数5〜16程度の脂環式ジオール(ジオール化合物の残基として脂環のみを有する化合物のほか、脂環とともにアルキレン基を有する化合物も含む)が好ましい。これらのジオール化合物は単独で使用することもできるし、併用することもできる。
式(5)において、Rは前記ジオール化合物の残基を示す。nは0〜5の整数で、各nの数値を有する化合物が分布をもって生成する。したがって、上記のエステル交換法により生成した生成物は、式(5)においてジオール化合物(2)の残基であるRを含まない化合物をかなりの含有率で含み、それとnが1〜5の数値を有する各化合物との混合物として得られる。原料化合物の仕込み比率によっては5を超えるnを有する化合物も微量生成するが、後記の仕込み比率に依れば実質的にはnが5までの化合物の混合物となる。式(5)で表される脂環式オレフィン多価カーボネート化合物において、nが0である化合物の含有量はnが0〜5の化合物の総量に対して、好ましくは70重量%以下(例えば10〜70重量%)、より好ましくは60重量%以下(例えば20〜60重量%)である。また、式(5)で表される脂環式オレフィン多価カーボネート化合物としては、nが2〜5の化合物の何れかを少なくとも含有しているのが好ましく、nが2〜5の化合物の総含有量は、例えば、nが0〜5の化合物の総量に対して、5重量%以上(例えば5〜30重量%程度)、好ましくは10重量%以上(例えば10〜30重量%程度)、さらに好ましくは15重量%以上(例えば15〜30重量%程度)であるのが望ましい。
なお、用いるジオール化合物の一部を、ヘキサメチレンジアミン、キシレンジアミン、イソホロンジアミン、モノエタノールアミンなどのジアミン又はアミノアルコールなどの一種以上と置き換えて使用してもよい。このようなアミンを添加する目的は分子量を調整するためである。
上記エステル交換反応では、反応を促進するため、エステル化反応で通常用いられるエステル化触媒を使用することが好ましい。本発明に用いられるエステル化触媒としては、例えば、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラステアリルチタネート等のチタン系化合物類、オクチル酸第一スズ、ジブチルスズジラウリレート、塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ、ジブチレンジクロライド、ブチルチントリクロライド、ジブチルチンオキサイド等の錫系化合物類、パラトルエンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸金属塩類、メタンスルホン酸等のアルキルスルホン酸類、水酸化コバルト、酢酸マンガン、酸化亜鉛、オクチル酸コバルトなどが挙げられる。本発明で好ましいエステル化触媒は、チタン系化合物類、錫系化合物類である。
エステル化触媒の使用量は、3つの出発原料の合計重量に対して、好ましくは0.01〜10000重量ppm、さらに好ましくは、1〜100重量ppmである。エステル化触媒の使用量が0.01重量ppm未満では反応速度が遅く、逆に10000重量ppmを超えると副反応が生じて目的化合物の収率が低下したり、目的化合物が着色したりするので、いずれも好ましくない。
次にエステル交換反応工程について説明する。第一工程は炭酸エステル化反応工程であり、エステル交換反応で用いられる公知の方法を適用できる。すなわち、通常、原料を反応器に仕込んだ後、加熱、撹拌する。その後、常圧で150〜280℃、好ましくは200〜240℃、より好ましくは、220℃程度まで徐々に加熱する。反応温度が150℃未満では、反応速度が遅く、逆に280℃を超える反応温度では、副反応が生じて目的化合物の収率が低下するので、いずれも好ましくない。このようにして所定の反応率に達するまで炭酸エステル化反応を進行させる。
第二工程はメタノール等のアルコールの除去工程である。炭酸エステル化反応を十分進行させるためには、炭酸エステル化合物から脱離したメタノールのような低級アルコール等を0.1〜600torr(13.3pa〜79.8kPa)、さらに好ましくは、10〜200torr(1.33kPa〜26.6kPa)程度で減圧除去しながら行う。
仕込時におけるアルコールの炭酸エステル化合物(3)とジオール化合物(2)およ
び3−シクロヘキセン−1−メタノール(4)の仕込比は、目標とする脂環式オレフィン多価カーボネート化合物(5)[そして、最終目的物である脂環式エポキシ化合物(1)]の数平均分子量(分子量分布)によって決定される。通常、モル比で、3−シクロヘキセン−1−メタノール(4)/ジオール化合物(2)/アルコールの炭酸エステル化合物(3)=2/(1〜10)/(1〜9)、好ましくは、2/(1〜5)/(1〜7)、さらに好ましくは、2/(1〜3)/(1〜4)である。
すなわち、上記の方法において、アルコールの炭酸エステル化合物(3)の仕込量等を変動させることによって、式(5)で表される脂環式オレフィン多価カーボネート化合物、したがって最終目的物である脂環式エポキシ化合物(1)におけるnの数の分布(分子量分布)を任意に調整することができる。したがって、nの値を実質的に5以下に制御することができる。
アルコールの炭酸エステル化合物(3)の仕込み量が相対的に多すぎると、式(5)におけるnが5を超え、高分子量化に伴い流動性と反応性が低下し、未反応のアルコールの炭酸エステル化合物(3)が残存することになり、3−シクロヘキセン−1−メタノール(4)やジオール化合物(2)の仕込み量が相対的に多すぎると、3−シクロヘキセン−1−メタノール(4)やジオール化合物(2)が未反応のまま残存するので、いずれも好ましくない。ジオール化合物(2)の量が他の2つの化合物に対して相対的に少ないとn=0の化合物の含有率が高くなる。
エステル交換反応の終点は、通常、残存するジオール化合物(2)または炭酸エステル化合物(3)をガスクロマトグラフィー等により定量して確認するのが好ましい。
エステル交換反応終了後、10〜200torr(1.33kPa〜26.6kPa)程度の減圧条件で、メタノールのような低級アルコール等を留出させて、式(5)で表される脂環式オレフィン多価カーボネート化合物を得ることができる。
以上のような反応により、式(5)で表される脂環式オレフィン多価カーボネート化合物[式(5)において、nは0〜5の間で確率的に分布]が有毒なフォスゲンを使用しない安全な方法により製造される。したがって、得られる脂環式オレフィン多価カーボネート化合物は遊離の塩素分含有率が100重量ppm以下、好ましくは50重量ppm以下となる。また、上記方法により、分子量分布を有し、カーボネート結合を3〜6個有するオリゴマーを含有する脂環式オレフィン多価カーボネート化合物が得られる。
こうして得られた式(5)で表される脂環式オレフィン多価カーボネート化合物をエポキシ化することにより、前記式(1)で表される脂環式エポキシ化合物を得ることができる。
エポキシ化に用いるエポキシ化剤としては、特に制限はないが、有機過カルボン酸が好ましく使用される。有機過カルボン酸としては、例えば、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、トリフルオロ過酢酸等を用いることができる。有機過カルボン酸としては、水分を実質的に含まない有機過カルボン酸が好ましい。これは、水存在下でのエポキシ化反応は、エポキシ基の開環反応が進みエポキシ化合物の収率が低下するためである。このうち特に過酢酸は工業的に安価に製造可能で、かつ安定度も高く、好ましい有機過カルボン酸である。
実質的に水分を含まない有機過カルボン酸とは、アセトアルデヒドの空気酸化により製造される過酢酸のような有機過カルボン酸のことである。このような有機過カルボン酸の製造方法としては、例えば特開昭54-3006号公報に記載の方法が挙げられる。有機過カルボン酸の水分含量としては、好ましくは0.8重量%以下(例えば0.05〜0.8重量%)、より好ましくは0.6重量%以下(例えば0.1〜0.6重量%)である。有機過カルボン酸は、好ましくは該有機過カルボン酸を25〜35重量%程度含む有機溶剤溶液として用いられる。アルデヒドの空気酸化により有機過カルボン酸を製造する方法によれば、過酸化水素から有機過カルボン酸を合成し、溶媒に抽出して有機過カルボン酸を得る場合に比べて連続して低い水分含量の有機過カルボン酸を大量に高濃度で合成できるため実質的に安価なプロセスを作ることができる。
有機過カルボン酸の量としては、厳密な制限はなく、それぞれの場合における最適量は、使用する個々の有機過カルボン酸、所望されるエポキシ化度、使用する脂環式オレフィン多価カーボネート化合物の種類等のごとき可変要因によって決まる。
エポキシ化反応は、装置や原料物性に応じて不活性溶媒使用の有無や反応温度を調節して行なう。不活性溶媒としては、原料粘度の低下、有機過カルボン酸の希釈による安定化などの目的で使用することができ、過酢酸の場合であれば芳香族化合物、エーテル類、エステル類などを用いることができる。特に好ましい溶媒は、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン、酢酸エチルである。
使用できる反応温度域は用いるエポキシ化剤(有機過カルボン酸)の反応性によって定まる。反応温度は、好ましい有機過カルボン酸である過酢酸についていえば、20〜70℃が好ましい。20℃以下では反応が遅く、70℃を超えると過酢酸の分解に伴って爆発的に発熱するため危険を伴う。不飽和結合に対する有機過カルボン酸の仕込みモル比は、残存する不飽和結合をできるだけ減らすため、等モルかそれ以上が好ましい。ただし、経済性及び副反応を抑える観点から2倍モルを越えることは通常不利であり、過酢酸の場合、不飽和結合に対して1.1〜1.8倍モルが好ましい。
反応の混合については特別な操作は必要なく、例えば原料の混合物を1 〜 5時間撹拌すればよい。生成した式(1)で表される脂環式エポキシ化合物の単離は適当な方法、例えば貧溶媒で沈殿させる方法、脂環式エポキシ化合物を熱水中に撹拌の下で投入し溶媒を蒸留除去する方法、直接脱溶媒する方法などで行うことができる。
こうして得られる式(1)で表される脂環式エポキシ化合物における遊離の塩素分含有率は、式(5)で表される脂環式オレフィン多価カーボネート化合物における遊離の塩素分含有率よりさらに低くなる。例えば、遊離の塩素分含有率が100重量ppm以下(特に50重量ppm以下)の脂環式オレフィン多価カーボネート化合物を原料として用いることにより、遊離の塩素分含有率が50重量ppm以下(例えば0.5〜50重量ppm、特に10重量ppm以下)の脂環式エポキシ化合物を得ることができる。そして、このような遊離の塩素分含有率が50重量ppm以下(特に10重量ppm以下)の脂環式エポキシ化合物を用いることにより、遊離の塩素分含有率が例えば50重量ppm以下(例えば0.5〜50重量ppm、特に10重量ppm以下)の極めて遊離塩素分の少ない硬化性樹脂組成物を得ることができる。
式(1)で表される脂環式エポキシ化合物において、nが0である化合物の含有量はnが0〜5の化合物の総量に対して、好ましくは70重量%以下(例えば10〜70重量%)、より好ましくは60重量%以下(例えば20〜60重量%)である。また、式(1)で表される脂環式エポキシ化合物としては、nが2〜5の化合物の何れかを少なくとも含有しているのが好ましく、nが2〜5の化合物の総含有量は、例えば、nが0〜5の化合物の総量に対して、5重量%以上(例えば5〜30重量%程度)、好ましくは10重量%以上(例えば10〜30重量%程度)、さらに好ましくは15重量%以上(例えば15〜30重量%程度)であるのが望ましい。このような脂環式エポキシ化合物は、炭酸エステル骨格を有するとともに脂環式エポキシ基の架橋点間の距離が長い化合物を含むため、硬化反応により透明性、機械物性等に優れる硬化物を与える。従って、特に電子材料分野などでは極めて有用である。なお、nに関する分布はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定できる。分析条件としては、後述の実施例に記載の条件を採用できる。
上記エポキシ化反応では、不飽和結合がエポキシ化されるのみで分子量分布は基本的に変化しないから、式(5)で表される脂環式オレフィン多価カーボネート化合物におけるnの分布と、最終生成物である式(1)で表される脂環式エポキシ化合物におけるnの分布は実質的に同じである。したがって、例えば、n=0の化合物の含有量がn=0〜5の化合物の総量に対して70重量%以下である式(1)で表される脂環式エポキシ化合物は、n=0の化合物の含有量がn=0〜5の化合物の総量に対して70重量%以下である式(5)で表される脂環式オレフィン多価カーボネート化合物をエポキシ化することにより得ることができる。また、n=2〜5の化合物の何れかを少なくとも含有している式(1)で表される脂環式エポキシ化合物は、n=2〜5の化合物の何れかを少なくとも含有している式(5)で表される脂環式オレフィン多価カーボネート化合物を有機過カルボン酸でエポキシ化することにより得ることができる。
なお、式(1)で表される脂環式エポキシ化合物のうち、nが分布を有しない(混合物ではない)n=1、2、3、4又はn=5である化合物は、前記式(3)で表されるアルコールの炭酸エステル化合物と、式(4)で表される3−シクロヘキセン−1−メタノール(1,2,5,6−テトラヒドロベンジルアルコール)と、ジオール化合物:HO−R−OH (2)とをエステル交換反応に付して、式(5)で表される脂環式オレフィン多価カーボネート化合物(混合物)を得た後、GPC等の適宜な分離手段により、式(5)においてn=1、2、3、4又はn=5である化合物を単離し、次いで単離した化合物を、前記と同様、エポキシ化することにより製造することができる。また、前記の方法により得られた式(5)で表される脂環式オレフィン多価カーボネート化合物(混合物)をエポキシ化した後、GPC等の適宜な分離手段により、式(1)で表される脂環式エポキシ化合物のうち、nが分布を有しない(混合物ではない)n=1、2、3、4又はn=5である化合物を単離することもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物におけるカチオン重合開始剤としては、光カチオン重合開始剤と熱カチオン重合開始剤があるが、前者は活性エネルギー線によりカチオン種を発生してエポキシ化合物のカチオン重合を開始させる化合物であり、例えば、下記一般式(6)〜(13)で示されるヨードニウム塩、スルホニウム塩、及びその他のカチオン重合開始剤を挙げることができる。
一般式(6):
Figure 0004744286
式中、R2は炭素数1〜15のアルキル基又は炭素数1〜15のアルコキシ基を表し、X-はPF6 -、SbF6 -、AsF6 -又はBF4 -を表す。
一般式(7):
Figure 0004744286
式中、R2は炭素数1〜15のアルキル基又は炭素数1〜15のアルコキシ基を表し、X-は上記と同じ意味を表す。
一般式(8):
Figure 0004744286
一般式(9):
Figure 0004744286
式中、R2は炭素数1〜15のアルキル基又は炭素数1〜15のアルコキシ基を表し、X-は上記と同じ意味を表す。
一般式(10):
Figure 0004744286
式中、R2は炭素数1〜15のアルキル基又は炭素数1〜15のアルコキシ基を表し、X-は上記と同じ意味を表す。
一般式(11):
Figure 0004744286
式中、R2は炭素数1〜15のアルキル基又は炭素数1〜15のアルコキシ基を表し、X-は上記と同じ意味を表す。
一般式(12):
Figure 0004744286
式中、R2は炭素数1〜15のアルキル基又は炭素数1〜15のアルコキシ基を表し、Arはアリール基、例えばフェニル基を表し、X-は上記と同じ意味を表す。
一般式(13):
Figure 0004744286
式中、X-は上記と同じ意味を表す。
本発明の硬化性樹脂組成物における熱カチオン重合開始剤としては、加熱によりカチオン種を発生してエポキシ化合物のカチオン重合を開始させる化合物であり、例えば、下記一般式(14)〜(17)で示されるヘキサフルオロアンチモネート塩、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネート塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、及びその他のカチオン重合性開始剤を挙げることができる。
一般式(14):
Figure 0004744286
式中、R3は水素原子、アセチル基またはメトキシカルボニル基を表す。R4とR5は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子またはC1〜C4のアルキル基を表す。R6は水素原子、メチル基、メトキシ基またはハロゲン原子を表す。R7はC1〜C4のアルキル基を表す。X-は上記と同じ意味を表す。
一般式(15):
Figure 0004744286
式中、R8は水素原子、アセチル基、メトキシカルボニル基、メチル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ベンゾイル基、フェノキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメトキシカルボニルまたはp−メトキシベンジルカルボニル基を表す。R4とR5は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子またはC1〜C4のアルキル基を表す。R6は水素原子、メチル基、メトキシ基またはハロゲン原子を表す。X-は上記と同じ意味を表す。
一般式(16):
Figure 0004744286
式中、R9はエトキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、クロルメチル基、ジクロルメチル基、トリクロルメチル基またはトリフルオロメチル基を表す。R4とR5は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子またはC1〜C4のアルキル基を表す。R6は水素原子、メチル基、メトキシ基またはハロゲン原子を表す。R7はC1〜C4のアルキル基を表す。X-は上記と同じ意味を表す。
一般式(17):
Figure 0004744286
式中、R8は水素原子、アセチル基、メトキシカルボニル基、メチル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ベンゾイル基、フェノキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基またはp−メトキシベンジルカルボニル基を表す。R4とR5は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子またはC1〜C4のアルキル基を表す。R7はC1〜C4のアルキル基を表す。X-は上記と同じ意味を表す。
熱カチオン重合性開始剤としては市販品を使用することもできる。市販品としては、例えば、SI−100L、SI−60L[三新化学工業(株)製]、CP−66[旭電化工業(株)製]などを挙げることができる。
また、これらオニウム塩系の熱カチオン重合触媒以外に、アルミニウム又はチタンとβ−ジケトン類又はβ−ケトエステル類とのキレート化合物とシラノール基を持つ化合物またはビスフェノールSとの組み合わせによりカチオン重合を行う方法も使用できる。アルミニウム又はチタンに配位するβ−ジケトン類又はβ−ケトエステル類としては、例えば、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどが挙げられる。これらキレート化合物の商品名としては、「ALCH−TR」[川研ファインケミカル(株)製]、「DAICAT EX−1」[ダイセル化学工業(株)製]が挙げられる。
熱カチオン重合開始剤、光カチオン重合開始剤は、それぞれ、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。また、熱カチオン重合開始剤の1種又は2種以上と光カチオン重合開始剤の1種又は2種以上とを組み合わせて用いることもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物における硬化剤としては、加熱することによりエポキシ基と反応するものであれば何でもよいが、アミン系硬化剤は硬化後の耐熱性が不良であるため望ましくない。硬化後の耐熱性がよいものとしては、例えば、多塩基酸無水物が挙げられ、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸、4−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸、3−メチル−Δ4 −テトラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、水素化メチルナジック酸無水物、4−(4−メチル−3−ペンテニル)テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水アジピン酸、無水マレイン酸、無水セバシン酸、無水ドデカン二酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、ドデセニル無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、アルキルスチレン無水マレイン酸重合体等がある。また、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2−メチルイミダゾリウムイソシアヌレート、2−フェニルイミダゾリウムイソシアヌレート、2,4−ジアミノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2−エチル−4−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−s−トリアジン等のイミダゾール系硬化剤、BF3−n−ヘキシルアミン、 BF3−モノエチルアミン、BF3−ベンジルアミン、BF3−ジエチルアミン、 BF3−ピペリジン、BF3−トリエチルアミン、BF3−アニリン、BF4−n−ヘキシルアミン、BF4−モノエチルアミン、BF4−ベンジルアミン、BF4−ジエチルアミン、BF4−ピペリジン、BF4−トリエチルアミン、BF4−アニリン、PF5−エチルアミン、PF5−イソプロピルアミン、PF5−ブチルアミン、PF5−ラウリルアミン、PF5−ベンジルアミン、AsF5−ラウリルアミン等のルイス酸−アミン錯体系硬化剤、ジシアンジアミド及びその誘導体、有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリルとその誘導体、アミンイミド等の硬化剤も挙げられる。これらの硬化剤は単独で用いてもよいし、これらの混合物として用いてもよい。
本発明においては、硬化剤とともに硬化促進剤を用いてもよい。硬化促進剤としては、例えば、ベンジルジメチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン等の第3級アミン、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール、トリフェニルホスフィン、トリス(ジメトキシ)ホスフォン等のホスフィン類、アルミニウムアセチルアセトン錯体等の金属キレート、テトラメチルホスホニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等のホスホニウム塩、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の四級アンモニウム塩、オクチル酸錫、オクチル酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等の有機酸金属塩、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7オクチル酸塩等のジアザビシクロアルケン有機酸塩類、三フッ化ホウ素、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等のホウ素化合物などが挙げられる。これらの硬化促進剤は単独でも2種以上を併用してもよい。
また、上記硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、他の各種エポキシ化合物、可塑剤、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、難燃化剤、酸化防止剤、シランカップリング剤、顔料、さらにはポリイミド樹脂などの有機質充填剤、シリカやタルク、アルミナ、クレー、酸化チタンなどの無機質充填剤を配合することができる。しかしながら、層間絶縁膜として使用する場合、絶縁抵抗を低下させるような充填剤を配合することは好ましくない。
光カチオン重合開始剤の使用量は、式(1)で示される脂環式エポキシ化合物100重量部に対して、一般には0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜15重量部、さらに好ましくは1〜10重量部の範囲である。熱カチオン重合開始剤の使用量は、式(1)で示される脂環式エポキシ化合物100重量部に対して、一般には0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。硬化剤の使用量は、式(1)で示される脂環式エポキシ化合物(他のエポキシ化合物を配合する場合は、全エポキシ化合物)のエポキシ基1当量に対して、一般には0.7〜1.3当量、好ましくは0.8〜1.2当量、さらに好ましくは0.9〜1.1当量の範囲である。硬化促進剤の使用量は、硬化剤100重量部に対して、一般には0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部、さらに好ましくは0.3〜3重量部の範囲である。光または熱カチオン重合開始剤、硬化剤、硬化促進剤の使用量が上記各下限値未満では、硬化が不十分であったり、硬化に長時間を要することがあり、逆に各上限値を超える場合は得られる硬化物の物性が低下することがあるので、いずれも好ましくない。
本発明の硬化性樹脂組成物は、以上に述べた各成分を混合し、均一な樹脂組成物となるように撹拌することにより調製することができる。例えば、各成分を混合し、必要に応じて加温(例えば40℃程度)し、ディソルバーなどの攪拌機にて均一になるまで、例えば20分間程度撹拌することにより調製することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、例えば、ロールコート塗装、スプレー塗装、ハケ塗り、バーコート塗装、ローラー塗り、シルクスクリーン印刷、スピンコーティング等の方法で基板、配線板に塗布することができる。組成物が溶剤を含有する場合には、塗布後、加熱などにより溶剤を除去した後、光あるいは熱によって硬化させる。
光カチオン重合開始剤を用いた光カチオン硬化での紫外線のような活性エネルギー線の照射条件は、塗布された樹脂組成物の種類や膜厚等に応じて適宜変えることができる。照射する紫外線の波長としては、通常、200〜600nmの範囲内が適当であり、光カチオン重合開始剤の種類等に応じて、感度の高い波長を有する照射源を適宜選択して使用することができる。
紫外線の照射源としては、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアーク、メタルハタイドランプ、太陽光などを挙げることができる。照射量は、通常、線量が10〜5,000mJ/cm2 、特に50〜2,000mJ/cm2となる範囲内が適している。活性エネルギー線としては、紫外線以外に電子線を使用することもできる。
また、活性エネルギー線照射後、必要に応じて組成物を加熱してもよい。加熱によって樹脂中の未反応物の低減および活性エネルギー線照射による塗膜の硬化性や成形加工によって発生した歪みの緩和を行うことができる。この加熱によって樹脂の硬度や密着性の向上を行うことができる場合がある。上記加熱は、通常、100〜200℃の雰囲気温度で1〜120分間の条件で行うことができる。
熱カチオン重合開始剤を用いた熱カチオン硬化および硬化剤を用いた熱硬化の条件は、一般には40〜250℃、好ましくは45〜220℃の温度下で30分〜12時間程度の加熱で行うことができる。また、同一温度で加熱するだけでなく、2段階、3段階に温度を変化させたり、徐々に温度を上げたりすることができる。
塗布した硬化性樹脂組成物をLSIや多層プリント配線板等に塗布して活性エネルギー線あるいは熱で硬化させると層間絶縁膜として利用できるようになる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」および「ppm」は、いずれも重量基準によるものとする。また、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー;標準ポリスチレン基準)の測定条件は下記の通りである。
測定装置:東ソー株式会社製高速GPC装置「HLC−8220GPC」
移動相流量:0.350ml/分
移動相:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
試料注入量:20μl
試料濃度:1%
層間絶縁膜としての特性は次の方法で評価した。
(ガラス転移温度Tg)
セイコーインスツルメンツ社製DSC(示差走査熱量計)により測定した。
(硬化収縮率)
硬化性樹脂組成物の比重aを比重瓶にて測定し、硬化物の比重bを水中置換法で測定し、次式により硬化収縮率を求めた。
硬化収縮率(%)=[1−(b/a)]×100
(絶縁層とめっき層との接着強度)
硬化性樹脂組成物をコーターを用いて脱脂洗浄した銅張りガラスエポキシ基板の銅(張り)面に約30μmの厚さに塗布した後に、光若しくは熱によって硬化させた絶縁層を形成した。上記絶縁層を形成した基板を膨潤液(シプレイ社製)に50℃で15分、過マンガン酸カリウム/水酸化ナトリウムの混合溶液に70℃で5分間浸漬して絶縁層の表面を粗面化し、その後中和溶液(シプレイ社製)に浸漬して水洗した。
次に、絶縁層の表面が粗面化された基板にパラジウム触媒(シプレイ社製)層を形成し、アクセラレータ(シプレイ社製)により表面を活性化させた後に無電解めっき液(シプレイ社製)に30分間浸漬してさらに電解めっき液(硫酸銅)に1A/dmの電流を流しながら2時間浸漬して厚さ25μmの銅めっきを施し、基板を得た。絶縁層と銅めっき層との接着強度をJIS C 6481に従って測定した。
(耐腐蝕性)
硬化物に電子部品の金属部分が接触するように配置し、50℃で相対湿度95%の環境下で1週間放置した後に、金属部分の腐蝕状態による変色の有無を観察した。
○:変色なし
×:金属腐蝕による変色あり
合成例1
撹拌機、温度計、窒素導入管、理論段数3段相当の充填塔を備えた2リットルの丸底フラスコに、炭酸ジメチル 275.2g(3.06mol)、3−シクロヘキセン−1−メタノール(1,2,5,6−テトラヒドロベンジルアルコール)342.7g(3.06mol)、1,6−ヘキサンジオール 180.5g(1.53mol)、触媒としてテトラブチルチタネート 32mgを仕込み、常圧下で撹拌、加温した。反応器の温度は、徐々に上昇させ、220℃に到達した後8時間220℃で反応させた。反応の途中、サンプリングを行い、残存するジオール成分(ここでは1,6−ヘキサンジオール)をガスクロマトグラフィーにより定量し、エステル交換反応が完結に至ったことを確認して反応を終了させた。
エステル交換反応完結後、100Torr(13.3kPa)に減圧し、生成したメタノールを留出させて得られたカーボネートオリゴマーの性状は、粘度 97mPa・s/25℃、酸価 0.5KOHmg/g、水分 0.01重量%、APHA 70、二重結合当量は158であった。収量は596gであった。
得られたカーボネートオリゴマーの1H−NMRによる分析(図1)で、δ1〜2.5ppm付近にハイドロカーボン鎖上の1Hによるシグナル、δ4ppm付近にエステル結合を構成する酸素原子に隣接する炭素原子上の1Hによるシグナル、δ5.5ppm付近に炭素炭素二重結合上の1Hによるシグナルが観測され、式(5)で表される脂環式オレフィン多価カーボネート化合物であること、GPC分析で得られたチャート(図2)を解析した結果から、式(5)におけるnが0のものが59.8重量%、1のものが24.3重量%、2以上(2〜5)のものが15.8重量%であることが確認された。原子吸光法により分析した遊離の塩素分の含有率は31重量ppmであった。
上記で得られた式(5)で表される脂環式オレフィン多価カーボネート化合物であるカーボネートオリゴマー100g(0.63mol)、酢酸エチル100gをジャケット付き1リットルのフラスコに仕込み、毎時1リットルの流量で気相部に窒素を吹き込みながら反応前粗液温度を30℃になるように加温した。アセトアルデヒドの空気酸化法により得られた実質的に水分を含まない過酢酸の酢酸エチル溶液(過酢酸濃度:29.1%、水分:0.47%)225gを3時間かけて滴下した。過酢酸滴下終了後、40℃を維持したまま3時間撹拌を続け、反応を終了した。反応終了液にイオン交換水400gを加え、過酢酸由来の酢酸を水層に抽出した。WFE型薄膜蒸発器を使用して、酢酸エチルなど、製品よりも低沸点成分を除去して、式(5)で表される脂環式オレフィン多価カーボネート化合物であるカーボネートオリゴマーのエポキシ化物[式(1)で表される脂環式エポキシ化合物]91gを得た。得られたエポキシ化合物の性状は、粘度 1780mPa・s/25℃、酸価 0.5KOHmg/g、水分 0.05重量%、APHA 20、エポキシ当量は197であった。得られたエポキシ化物の1H−NMRスペクトルチャートを図5に示す。得られたエポキシ化合物のnの分布は上記で得られた式(5)で表される脂環式オレフィン多価カーボネート化合物であるカーボネートオリゴマーと同じである。原子吸光法により分析した遊離の塩素分の含有率は25重量ppmであった。
合成例2
撹拌機、温度計、窒素導入管、理論段数3段相当の充填塔を備えた2リットルの丸底フラスコに、炭酸ジメチル 295.4g(3.28mol)、3−シクロヘキセン−1−メタノール(1,2,5,6−テトラヒドロベンジルアルコール)245.2g(2.19mol)、1,6−ヘキサンジオール 258.4g(2.19mol)、触媒としてテトラブチルチタネート 32mgを仕込み、常圧下で撹拌、加温した。反応器の温度は、徐々に上昇させ、220℃に到達した後8時間220℃で反応させた。反応の途中、サンプリングを行い、残存するジオール成分(ここでは1,6−ヘキサンジオール)をガスクロマトグラフィーにより定量し、エステル交換反応が完結に至ったことを確認して反応を終了させた。
エステル交換反応完結後、100Torr(13.3kPa)に減圧し、生成したメタノールを留出させて得られたカーボネートオリゴマーの性状は、粘度 124mPa・s/25℃、酸価 0.03KOHmg/g、水分 0.02重量%、APHA 80、二重結合当量 180であった。収量は580gであった。
得られたカーボネートオリゴマーの1H−NMRによる分析(図3)で、δ1〜2.5ppm付近にハイドロカーボン鎖上の1Hによるシグナル、δ4ppm付近にエステル結合を構成する酸素原子に隣接する炭素原子上の1Hによるシグナル、δ5.5ppm付近に炭素炭素二重結合上の1Hによるシグナルが観測され、式(5)で表される脂環式オレフィン多価カーボネート化合物であること、GPC分析で得られたチャート(図4)を解析した結果から、式(5)におけるnが0のものが47.2重量%、1のものが34.2重量%、2以上(2〜5)のものが18.6重量%であることが確認された。原子吸光法により分析した遊離の塩素分の含有率は24重量ppmであった。
上記で得られた式(5)で表される脂環式オレフィン多価カーボネート化合物であるカーボネートオリゴマー100g(0.56mol)、酢酸エチル100gをジャケット付き1リットルのフラスコに仕込み、毎時1リットルの流量で気相部に窒素を吹き込みながら反応前粗液温度を30℃になるように加温した。アセトアルデヒドの空気酸化法により得られた実質的に水分を含まない過酢酸の酢酸エチル溶液(過酢酸濃度:29.1%、水分:0.47%)225gを3時間かけて滴下した。過酢酸滴下終了後、40℃を維持したまま3時間撹拌を続け、反応を終了した。反応終了液にイオン交換水400gを加え、過酢酸由来の酢酸を水層に抽出した。WFE型薄膜蒸発器を使用して、酢酸エチルなど、製品よりも低沸点成分を除去して、式(5)で表わされる脂環式オレフィン多価カーボネート化合物であるカーボネートオリゴマーのエポキシ化物[式(1)で表される脂環式エポキシ化合物]89gを得た。得られたエポキシ化合物の性状は、粘度 1761mPa・s/25℃、酸価 0.4KOHmg/g、水分 0.07重量%、APHA 30、エポキシ当量は213であった。得られたエポキシ化物の1H−NMRスペクトルチャートを図6に示す。得られたエポキシ化合物のnの分布は上記で得られた式(5)で表される脂環式オレフィン多価カーボネート化合物であるカーボネートオリゴマーと同じである。原子吸光法により分析した遊離の塩素分の含有率は19重量ppmであった。
実施例1
合成例1で得られた脂環式エポキシ化合物100部とダイセル・ユーシービー(株)製光カチオン重合開始剤「UVACURE1591」3部を40℃に保持しながら20分間撹拌して光硬化性樹脂組成物を得た。離型フィルムで覆った基材に、得られた組成物をコーターで約30μmの厚さに塗布し、高圧水銀ランプで250mJ/cm2を照射し、さらに150℃で1時間硬化させた。その後、硬化物を離型フィルムから剥がし、硬化物のガラス転移温度Tg(DSC法)と硬化収縮率を測定した。さらに、得られた組成物をコーターで脱脂洗浄した銅張りガラスエポキシ基板に約30μmの厚さで塗布し、高圧水銀ランプで250mJ/cm2を照射硬化し、さらに150℃で1時間硬化させた。その後、銅メッキを施して硬化絶縁層と銅めっき層との接着強度を測定した。なお、光硬化性樹脂組成物の原子吸光法により分析した遊離の塩素分の含有率は25重量ppmであった。
実施例2
合成例1で得られた脂環式エポキシ化合物100部と三新化学工業(株)製熱カチオン重合開始剤「SI−100L」0.6部を配合し、30℃に保持しながら20分間撹拌して熱硬化性樹脂組成物を得た。離型フィルムで覆った基材に、得られた組成物をコーターで約30μmの厚さに塗布し、65℃で2時間、さらに150℃で1時間加熱し硬化させた。その後、硬化物を離型フィルムから剥がし、硬化物のガラス転移温度Tgと硬化収縮率を測定した。さらに、得られた組成物をコーターで脱脂洗浄した銅張りガラスエポキシ基板に約30μmの厚さで塗布し、65℃で2時間、続いて150℃で1時間加熱し硬化させた。その後、銅メッキを施して硬化絶縁層と銅めっき層との接着強度を測定した。なお、熱硬化性樹脂組成物の原子吸光法により分析した遊離の塩素分の含有率は25重量ppmであった。
実施例3
合成例1で得られた脂環式エポキシ化合物100部と新日本理化(株)製酸無水物「MH−700」を85部、さらにエチレングリコール1部、トリフェニルホスフィン0.5部を配合し、40℃に保持して20分間撹拌して熱硬化性樹脂組成物を得た。離型フィルムで覆った基材に、得られた組成物をコーターで約30μmの厚さに塗布し、110℃で2時間、続いて180℃で2時間加熱し硬化させた。その後、硬化物を離型フィルムから剥がし、硬化物のガラス転移温度Tgと硬化収縮率を測定した。さらに、得られた組成物をコーターで脱脂洗浄した銅張りガラスエポキシ基板に約30μmの厚さで塗布し、110℃で2時間、続いて180℃で2時間加熱し硬化させた。その後、銅メッキを施して硬化絶縁層と銅めっき層の接着強度を測定した。なお、熱硬化性樹脂組成物の原子吸光法により分析した遊離の塩素分の含有率は14重量ppmであった。
実施例4
合成例2で得られた脂環式エポキシ化合物100部とダイセル・ユーシービー(株)製光カチオン重合開始剤「UVACURE1591」3部を40℃に保持しながら20分間撹拌して光硬化性樹脂組成物を得た。離型フィルムで覆った基材に、得られた組成物をコーターで約30μmの厚さに塗布し、高圧水銀ランプで250mJ/cm2を照射し、さらに150℃で1時間硬化させた。その後、硬化物を離型フィルムから剥がし、硬化物のガラス転移温度Tg(DSC法)と硬化収縮率を測定した。さらに、得られた組成物をコーターで脱脂洗浄した銅張りガラスエポキシ基板に約30μmの厚さで塗布し、高圧水銀ランプで250mJ/cm2を照射硬化し、さらに150℃で1時間硬化させた。その後、銅メッキを施して硬化絶縁層と銅めっき層との接着強度を測定した。なお、光硬化性樹脂組成物の原子吸光法により分析した遊離の塩素分の含有率は19重量ppmであった。
比較例1
ダイセル化学工業(株)製脂環式エポキシ「CEL2021 P」(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)を100部とダイセル・ユーシービー(株)製光カチオン重合開始剤「UVACURE591」を3部を40℃に保持して20分間撹拌して光硬化性樹脂組成物を得た。離型フィルムで覆った基材に、得られた組成物をコーターで約30μmの厚さに塗布し、高圧水銀ランプで250mJ/cm2を照射し、さらに150℃で1時間硬化させた。その後、硬化物を離型フィルムから剥がし、硬化物のガラス転移温度Tgと硬化収縮率を測定した。さらに、得られた組成物をコーターで脱脂洗浄した銅張りガラスエポキシ基板に約30μmの厚さで塗布し、高圧水銀ランプで250mJ/cm2を照射し、さらに150℃で1時間硬化させた。その後、銅メッキを施して硬化絶縁層と銅めっき層との接着強度を測定した。
比較例2
ダイセル化学工業(株)製脂環式エポキシ「CEL2021 P」を100部と三新化学工業(株)製熱カチオン重合開始剤「SI−100L」0.6部を配合し、30℃に保持して20分間撹拌して熱硬化性樹脂組成物を得た。離型フィルムで覆った基材に、得られた組成物をコーターで約30μmの厚さに塗布し、65℃で2時間、さらに150℃で1時間加熱し硬化させた。その後、硬化物を離型フィルムから剥がし、硬化物のガラス転移温度Tgと硬化収縮率を測定した。さらに、得られた組成物をコーターで脱脂洗浄した銅張りガラスエポキシ基板に約30μmの厚さで塗布し、65℃で2時間、続いて150℃で1時間加熱し硬化させた。その後、銅メッキを施して硬化絶縁層と銅めっき層の接着強度を測定した。
比較例3
ダイセル化学工業(株)製脂環式エポキシ「CEL2021 P」を100部と新日本理化(株)製酸無水物「MH−700」を128部、さらにエチレングリコール1部、トリフェニルホスフィン0.5部配合し、40℃に保持して20分間撹拌して熱硬化性樹脂組成物を得た。離型フィルムで覆った基材に、得られた組成物をコーターで約30μmの厚さに塗布し、110℃で2時間、続いて180℃で2時間加熱し硬化させた。その後、硬化物を離型フィルムから剥がし、硬化物のガラス転移温度Tgと硬化収縮率を測定した。さらに、得られた組成物をコーターで脱脂洗浄した銅張りガラスエポキシ基板に約30μmの厚さで塗布し、110℃で2時間、続いて180℃で2時間加熱し硬化させた。その後、銅メッキを施して硬化絶縁層と銅めっき層の接着強度を測定した。
比較例4
ダイセル化学工業(株)製脂環式エポキシ「CEL2021 P」を100部とビニルシクロヘキセンを合成例1に準じて過酢酸でエポキシ化した「EVCH」(ビニルシクロヘキセンジオキシド)を20部、さらにダイセル・ユーシービー(株)製光カチオン重合開始剤「UVACURE1591」3部を40℃に保持して20分間撹拌して光硬化性樹脂組成物を得た。離型フィルムで覆った基材に、得られた組成物をコーターで約30μmの厚さに塗布し、高圧水銀ランプで250mJ/cm2を照射し、さらに150℃で1時間硬化させた。その後、硬化物を離型フィルムから剥がし、硬化物のガラス転移温度Tgと硬化収縮率を測定した。さらに、得られた組成物をコーターで脱脂洗浄した銅張りガラスエポキシ基板に約30μmの厚さで塗布し、高圧水銀ランプで250mJ/cm2を照射し、さらに150℃で1時間硬化させた。その後、銅メッキを施して硬化絶縁層と銅めっき層との接着強度を測定した。
比較例5
ダイセル化学工業(株)製脂環式エポキシ「CEL2021 P」 を100部とビニルシクロヘキセンを合成例1に準じて過酢酸でエポキシ化した「EVCH」(ビニルシクロヘキセンジオキシド)を20部、ナガセケムテックス(株)製「デナレックスR−45EPT」(ポリブタジエンジグリシジルエーテル)を20部、さらにダイセル・ユーシービー(株)製光カチオン重合開始剤「UVACURE1591」3部を40℃に保持して20分間撹拌して光硬化性樹脂組成物を得た。離型フィルムで覆った基材に、得られた組成物をコーターで約30μmの厚さに塗布し、高圧水銀ランプで250mJ/cm2を照射し、さらに150℃で1時間硬化させた。その後、硬化物を離型フィルムから剥がし、硬化物のガラス転移温度Tgと硬化収縮率を測定した。さらに、得られた組成物をコーターで脱脂洗浄した銅張りガラスエポキシ基板に約30μmの厚さで塗布し、高圧水銀ランプで250mJ/cm2を照射し、さらに150℃で1時間硬化させた。その後、銅メッキを施して硬化絶縁層と銅めっき層との接着強度を測定した。
表1に硬化物の物性値をまとめて示す。
Figure 0004744286
比較例6〜8
米国特許第3275661号明細書に記載されているようなフォスゲンを使用する製造方法によって得られたカーボネート結合を1つ有する脂環式オレフィン化合物をエポキシ化した下記式(18)
Figure 0004744286
で表される脂環式エポキシ化合物(塩素濃度約500ppm)を用いた以外は、表2に示す配合組成で実施例1〜3と同様に硬化性樹脂組成物を調製して硬化物を作製し、実施例1〜3と同様に各特性を測定した。表2に硬化物の物性値をまとめて示す。
Figure 0004744286
なお、表中の記号は下記のものを表す。
CEL2021 P:ダイセル化学工業(株)製 脂環式エポキシ化合物
EVCH:他のエポキシ化合物(ビニルシクロヘキセンジオキシド)
R−45EPT:他のエポキシ化合物(ナガセケムテックス(株)製、ポリブタジエンジグリシジルエーテル)
UVACURE1591:ダイセル・ユーシービー(株)製の光カチオン重合開始剤
SI−100L:三新化学工業(株)製の熱カチオン重合開始剤
MH−700:新日本理化(株)製のメチルヘキサヒドロ無水フタル酸
1)EG:エチレングリコール
2)TPP:トリフェニルホスフィン
表の結果から、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化収縮が小さく、耐熱性と可とう性、金属めっき層との接着性にも優れる硬化物である層間絶縁膜を与えることが明らかである。また、前駆体であるオレフィン化合物がフォスゲンに由来しない方法で製造された式(1)で表される脂環式エポキシ化合物を含むエポキシ樹脂組成物は、腐蝕性をほとんど示さない硬化物である層間絶縁膜を与えることが明らかである。
合成例1で得られたカーボネートオリゴマーの1H−NMRスペクトルのチャートである。 合成例1で得られたカーボネートオリゴマーのGPC分析のチャートである。 合成例2で得られたカーボネートオリゴマーの1H−NMRスペクトルのチャートである。 合成例2で得られたカーボネートオリゴマーのGPC分析のチャートである。 合成例1で得られた脂環式エポキシ化合物の1H−NMRスペクトルのチャートである。 合成例2で得られた脂環式エポキシ化合物の1H−NMRスペクトルのチャートである。

Claims (6)

  1. 下記式(1)
    Figure 0004744286
    [式中、Rはジオール化合物:HO−R−OH (2)の残基を示す。nは0〜5の整数であり分布を有していてもよく、n=2〜5の化合物の何れかを少なくとも含有している。但し、n=0の化合物を含む場合は分布を有する。]
    で表される脂環式エポキシ化合物とカチオン重合開始剤または硬化剤を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. カチオン重合開始剤が熱カチオン重合開始剤である請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  3. カチオン重合開始剤が光カチオン重合開始剤である請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 硬化剤が多塩基酸無水物である請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 式(1)で表される脂環式エポキシ化合物が遊離塩素分含有量50重量ppm以下の脂環式エポキシ化合物である請求項1〜4のいずれかの項に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜のいずれかの項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化させてなる層間絶縁膜。
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