JP2004143197A - ガスバリア性コーティング組成物及びガスバリア性フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリビニルアルコール本来の透明性と高いガスバリア性を維持し、しかも基材がポリエステルである場合でも、アンカー層を必要とせずに密着性がよく、高いガスバリア性を有し、かつ高湿度下であっても密着性及びガスバリア性を維持できるガスバリア性コーティング組成物を提供する。
【解決手段】下記A,B,C,D成分からなることを特徴とするガスバリア性コーティング組成物。
A:アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールを含有するポリビニルアルコール。
B:下記一般式(1)で示されるアルコキシシラン。
R1 n−Si−(OR2)4−n ・・・(1)
(式中、R1およびR2は炭素数1〜3のアルキル基であり、nは0〜3の自然数である。)
C:酸触媒。
D:水、又は低級アルコールを添加した水。
【選択図】 なし
【解決手段】下記A,B,C,D成分からなることを特徴とするガスバリア性コーティング組成物。
A:アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールを含有するポリビニルアルコール。
B:下記一般式(1)で示されるアルコキシシラン。
R1 n−Si−(OR2)4−n ・・・(1)
(式中、R1およびR2は炭素数1〜3のアルキル基であり、nは0〜3の自然数である。)
C:酸触媒。
D:水、又は低級アルコールを添加した水。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスバリア性に優れた塗膜を形成するガスバリア性コーティング樹脂組成物及びそれを用いてガスバリア層を形成したガスバリア性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、透明なガスバリア性フィルムとしては、ガスバリア性に優れたポリビニルアルコールの溶液をプラスチックフィルムにコートしたフィルムが知られている。ポリビニルアルコールの塗膜は、プラスチックフィルムからなる基材との密着が不十分であるので、通常ポリビニルアルコールと基材との間にアンカー層が設けられて、このアンカー層上にポリビニルアルコールの塗膜がコートされている。また、ポリビニルアルコールは、湿度依存性が高いため、高湿度下においても、基材との密着性、ガスバリア性を保持できるように、種々の提案がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、下記成分A,B,CおよびDからなり、成分Aと成分Bの重量比(A/B)が5/1〜1/2の範囲にあり、25℃におけるpHが7以上、11以下に調整されたコーティング用組成物が開示されている。
成分A.ポリビニルアルコール
成分B.一般式R1 n−Si−(OR2)4−nで示されるアルコキシシランの(部分)加水分解物、その(部分)縮合物またはこれらの混合物(ここで、R1は炭素数1〜4のアルキル基;ビニル基;又はメタクリロキシ基、アミノ基、エポキシ基およびメルカプト基からなる群から選ばれる1以上の基を有する有機基であり、R2は炭素数1〜4のアルキル基であり、nは0〜2の整数である。)
成分C.硬化触媒
成分D.ポリビニルアルコール可溶性溶剤を全溶剤量中、50重量%以上含有する溶剤
【0004】
しかし、特許文献1では、未変性のポリビニルアルコールを使用しているため、高湿度下における基材との密着性が不十分であるという問題があった。
【0005】
また、特許文献2には、ポリビニルアルコール系樹脂、ケイ素アルコキシド、低級アルコール、水、およびケイ素アルコキシド加水分解触媒を、ポリビニルアルコール系樹脂/ケイ素アルコキシドの重量部比が100/300〜100/600となるように混合してケイ素アルコキシドを加水分解した後に、ケイ素アルコキシド加水分解触媒を除去した塗工液を、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面上に塗工し、乾燥するガスバリア性フィルムの製造方法が開示されている。
【0006】
しかし、特許文献2の実施例で使用されているポリビニルアルコール系樹脂は未変性のポリビニルアルコールであるため、高湿度下における基材との密着性が不十分であるという問題があった。また、ケイ素アルコキシド加水分解触媒を除去する必要があるため、工程が繁雑であるという問題もあった。更には、ポリプロピレン等のポリオレフィン基材を対象としているため、ポリエステル基材上での特性までを開示するものではない。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−157580号公報
【特許文献2】
特開2002−60525号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、ポリビニルアルコール本来の透明性と高いガスバリア性を維持し、しかも基材がポリエステルである場合でも、アンカー層を必要とせずに密着性がよく、高いガスバリア性を有し、かつ高湿度下であっても密着性及びガスバリア性を維持できるガスバリア性コーティング組成物及び該組成物の塗膜を有するガスバリア性フィルムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、下記A,B,C,D成分からなることを特徴とするガスバリア性コーティング組成物を提供するものである。
A:アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールを含有するポリビニルアルコール。
B:下記一般式(1)で示されるアルコキシシラン。
R1 n−Si−(OR2)4−n ・・・(1)
(式中、R1およびR2は炭素数1〜4のアルキル基であり、nは0〜3の自然数である。)
C:酸触媒。
D:水、又は低級アルコールを添加した水。
【0010】
また、上記本発明は、A成分とB成分の重量比(A/B)が、1/1〜1/10であること、A成分におけるアセトアセチル基変性ポリビニルアルコールの含有量が10重量%以上であること、A成分が、未変性ポリビニルアルコールを含有することを、その好ましい態様として含むものである。また、B成分が、アルコキシシランと、その(部分)加水分解物及び/又は(部分)縮合物との混合物であってもよい。
【0011】
また、本発明は、上記本発明のガスバリア性コーティング組成物の塗膜を有することを特徴とするガスバリア性フィルムを提供するもので、ガスバリア性コーティング組成物の塗膜がポリエステルの基材上に直接設けられていることをその好ましい態様として含むものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のガスバリア性コーティング組成物は、基本的には下記A,B,C,D成分からなる。
A:アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールを含有するポリビニルアルコール。
B:下記一般式(1)で示されるアルコキシシラン。
R1 n−Si−(OR2)4−n ・・・(1)
(式中、R1およびR2は炭素数1〜4のアルキル基であり、nは0〜3の自然数である。)
C:酸触媒。
D:水、又は低級アルコールを添加した水。
【0013】
A成分としては市販のポリビニルアルコールを用いることができる。A成分として用いるポリビニルアルコールは、従来のガスバリア性コーティング組成物で用いられるポリビニルアルコールと同様に、重合度が100〜5000、ケン化度70%以上のものが好ましい。重合度が低過ぎると基材に対する密着性が低下しやすく、重合度が高過ぎると粘度が高くなり過ぎて塗工性が悪くなりやすい。また、ケン化度が低過ぎるとガスバリア性が不十分となりやすい。
【0014】
A成分はアセトアセチル基変性ポリビニルアルコールを含有する。ここで、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールとは、分子内にアセトアセチル基を有するものをいう。
【0015】
アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールの製造方法は特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコールとジケテンとを公知の方法で反応して製造することができる。具体的には、ポリビニルアルコールを酢酸溶媒中に分散させておき、これにジケテンを添加する方法、ポリビニルアルコールをジメチルホルムアミド、またはジオキサンなどの溶媒にあらかじめ溶解しておき、これにジケテンを添加する方法、ポリビニルアルコールにジケテンガスまたは液状ジケテンを直接接触させる方法、ポリビニルアルコールのアルコール溶剤のケン化スラリーに硫酸などの酸触媒を加えてアセト酢酸エステルをエステル交換させる方法等が挙げられる。
【0016】
アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールの原料となるポリビニルアルコールとしては、ポリ酢酸ビニルなどポリビニルエステルの部分又は完全ケン化物のほか、酢酸ビニルを主体とし、これと他の共重合可能なモノマー、例えば不飽和カルボン酸またはその部分又は完全エステル・塩・無水物・アミド・ニトリル、不飽和スルホン酸又はその塩、炭素数2〜30のα−オレフィン、ビニルエーテルなどとの共重合体をケン化した共重合変性ポリビニルアルコールやポリビニルアルコールをアセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化などした後変性ポリビニルアルコールも用いることができる。
【0017】
原料ポリビニルアルコールの平均ケン化度は、30〜100モル%であることが好ましく、より好ましくは60〜100モル%、更に好ましくは80〜100モル%である。また、平均重合度は、50〜3000であることが好ましく、より好ましくは200〜3000、更に好ましくは400〜2600である。
【0018】
アセトアセチル基変性量は、0.1〜40モル%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜20モル%、更に好ましくは1〜10モル%である。
【0019】
A成分には、組成物の保存性の観点から未変性ポリビニルアルコールを含有することが好ましい。この場合、塗膜と基材との密着性及び高湿度保存性(高湿度保存後の密着性)の観点より、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールの含有量が10重量%以上であることが好ましく、20重量%〜50重量%であることがより好ましい。50重量%含有することで、100重量%のときと同等の高湿度下ガスバリア性、密着性、高湿度下保存性、濡れ性、透明性の効果が得られる。
【0020】
また、例えば、シリル基、アミノ基、疎水基、イソシアネート基、オキサゾリン基、メチロール基、ニトリル基、アセトアセチル基、カチオン基、カルボキシル基、スルホン基、燐酸基等によるアセトアセチル基変性以外の変性ポリビニルアルコールを含有してもよい。この場合も、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールの含有量が上記範囲であることが好ましい。
【0021】
B成分として用いる上記一般式(1)で示されるアルコキシシランとしては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロピロキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランなどを挙げることができる。
【0022】
B成分としては、上記のようなアルコキシシランの1種又は2種以上を用いることができる。B成分として特に好ましいのはテトラアルコキシシランであり、より好ましくはテトラエトキシシランである。
【0023】
本発明においては、溶剤として水を用いていることから、B成分であるアルコキシシランの一部がゆっくりと加水分解してその(部分)加水分解物へと変化する場合があり、この加水分解物が更に(部分)縮合物へと変化する場合もある。このような変化を生じた場合においても本発明の効果は同様に得ることができる。従って、B成分は、アルコキシシランと、その(部分)加水分解物及び/又は(部分)縮合物との混合物であってもよい。
【0024】
C成分として用いる酸触媒としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸、有機リン酸、蟻酸、酢酸、無水酢酸、クロロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、イタコン酸、シュウ酸、粘液酸、尿酸、バルビツル酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸が挙げられる、その酸性度、揮発性からみて酢酸が好ましい。C成分としては、上記のような酸触媒の1種又は2種以上を用いることができる。
【0025】
D成分中の水(蒸留水)は溶剤であり、更にこれに低級アルコールを添加して用いることができ、これにより、塗膜乾燥時のピンホールの発生を防止しやすくなる。水に添加する低級アルコールとしては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどを挙げることができる。低級アルコールと水を混合する場合の配合比率は、重量比(低級アルコール/水)で10/90〜30/70であることが好ましい。低級アルコールの添加量が少な過ぎると塗膜の乾燥時にピンホールが発生しやすくなり、逆に低級アルコールの添加量が多過ぎると塗工性が悪くなりやすくなる。
【0026】
次に、上記A,B,C,D成分の配合比率について説明する。
【0027】
A成分とB成分の重量比(A/B)は、好ましくは1/1〜1/10、より好ましくは1/3〜1/7である。A成分の配合量が多くなり過ぎると(B成分の配合量が少なくなり過ぎると)、高湿度下でのバリア性が低下する可能性がある。逆にA成分の配合量が少なくなり過ぎると(B成分の配合量が多くなり過ぎると)、得られる塗膜の可撓性が不十分となる可能性がある。A成分の配合量が少ない場合、若干の収縮がみられることがあるので、これを避ける場合には1/3〜1/7とすることが好ましい。
【0028】
C成分の配合比率は特に限定されないが、B成分100重量部に対して10〜30重量部が好ましく、より好ましくは15〜25重量部である。C成分の配合量が多くなりすぎると、酸性臭によって塗工作業環境が悪化しやすく、C成分の配合量が少なぎると、基材への濡れ性が悪く、均一な塗膜を形成しにくい。
【0029】
D成分の配合比率は塗工条件などに応じて適宜選択すれば足るが、得られるガスバリア性コーティング組成物の固形分が1〜20重量%となるようにするのが好ましく、この範囲で塗工方法等に合わせて適宜選択することができる。D成分の配合量が多過ぎると必要な厚みの塗膜が得にくくなり、逆にD成分の配合量が少な過ぎると塗工性が悪くなりやすい。
【0030】
本発明に係るガスバリア性コーティング組成物は、基本的には、上述のA,B,C,D成分からなるものであるが、これら成分の合計量100重量部に対して10重量部以下の範囲で、本発明の効果を損わず塗布性を向上させるために、増粘剤、消泡剤、硬化触媒、濡れ性改良剤、可塑剤等を添加して用いることができる。
【0031】
本発明に係るガスバリア性コーティング組成物は、基材に塗布され、ガスバリア性の塗膜を形成するものである。
【0032】
基材への塗布は、例えばディップコート、スプレーコート、フローコート、ロールコート、バーコート、スピンコート、グラビアコートなど、従来行われている手法で行うことができる。塗膜の厚みは、塗工作業を繁雑にすることなく、また基材との密着強度を実用レベルに保ちながら良好なガスバリア性が得られるようにする上で、0.2〜7μm、望ましくは0.3〜1.5μmであることが好ましい。
【0033】
塗布後の塗膜の乾燥硬化は、塗膜の表面温度が50℃以上となる加熱雰囲気下で行うことが好ましい。この乾燥硬化時の雰囲気温度が低すぎると、得られるガスバリア性フィルムを特に高湿度下で保存した場合に、基材と塗膜の密着力が低下しやすくなる。上記乾燥硬化時の塗膜表面の温度の上限は、基材の耐熱性にもよるが、一般的には120℃程度である。
【0034】
基材としては、例えばポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネイトなどの合成樹脂が好ましく、基材上に本発明のガスバリア性コーティング組成物による塗膜を形成したフィルム又はシートや、この塗膜付フィルムやシートにヒートシール層やその他の層を更に積層したフィルム又はシートは、ガスバリア性の包装用に好適に用いることができる。特に本発明に係るガスバリア性コーティング組成物は、包装用途に多用されているポリエステルの基材上に密着性よく塗膜を形成することができ、ガスバリア性包装用途に適したフィルム又はシートが得やすい利点がある。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。評価は、以下の方法で行った。
【0036】
(1)濡れ性
組成物を基材上に塗工した際にその状態を目視で評価した。ハジキが発生していない場合を○、ハジキが発生した場合を×とした。
【0037】
(2)透明性
塗膜形成前の基材と塗膜付基材を肉眼で比較することで評価した。両者の透明度にほとんど差が認められなかった場合を○、塗膜付基材の方がやや透明性が劣っている場合を△とした。
【0038】
(3)ガスバリア性
酸素の透過性を、23℃で、0%RH雰囲気下(条件A)または65%RH雰囲気下(条件B)で酸素透過度測定装置(MOCON社製「OX−TRAN 2/20」)を用いて測定した。
【0039】
(4)密着性
得られた塗膜付基材の塗膜面に、ポリウレタン系接着剤を用いたドライラミネートにより厚み25μmのCPP(未延伸ポリプロピレン)フィルムを貼り合わせ、40℃で養生した後、15mm幅に切断し、CPPフィルムと塗膜付基材のT形剥離により剥離強度を求めた。全てのサンプルで剥離強度が490mN/15mm以下のものを×とし、一部のサンプルで剥離強度が490mN/15mm以下となるものがあったものを△とし、全てのサンプルで基材が破断してしまった又は剥離強度が1960mN/15mm以上となったものを○とした。
【0040】
(5)高湿度保存性
密着性の評価と同様のドライラミネートを施したラミネートフィルムを温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下に1週間放置した後、15mm幅に切断し、CPPフィルムと塗膜付基材のT形剥離により剥離強度を求めた。全てのサンプルで剥離強度が490mN/15mm以下のものを×とし、一部のサンプルで剥離強度が490mN/15mm以下となるものがあったものを△とし、全てのサンプルで基材が破断してしまった又は剥離強度が1960mN/15mm以上となったものを○とした。
【0041】
<実施例1〜3、比較例1〜4>
AA−PVA(A1成分:アセトアセチル基変性PVA:日本合成化学工業(株)製「Z−200」)と、PVA(A2成分:未変性PVA:(株)クラレ製「ポバール103」)と、TEOS(B成分:テトラエトキシシラン:信越化学(株)製「KBE04」)と、酢酸(C成分)と、IPAとH2O(D成分:イソプロピルアルコールと水)を用い、表1に示される配合比率でガスバリア性コーティング樹脂組成物の調製を行った。
【0042】
まず、AA−PVA、PVAを表1の配合割合でIPA/H2O=20/80(重量比)の溶媒に溶解して5重量%溶液とし、このPVA溶液100gに酢酸を表1の配合割合で加えて撹拌後、TEOSを表1の配合割合で加え、2時間撹拌してガスバリア性コーティング組成物を調製した。
【0043】
得られたガスバリア性コーティング組成物を厚み12μmのPET(ポリエステル)フィルム(東洋紡績(株)製「E5100」)の基材上に約1μmの厚みでグラビアコートし、80℃のオーブン中で30秒間乾燥した。
【0044】
評価結果を表1に示す。尚、比較例4は、濡れ性が×であり、塗膜を形成できなかった。また、実施例3においては、目視でようやく観察できる程の塗膜の収縮がみられたが、この収縮はしわが寄ったりする程ではなく、可撓性は充分にあった。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したとおりのものであり、次の効果を奏するものである。
【0047】
(1)ポリエステルの基材に対しても、アンカー層なしで密着性よくガスバリア性塗膜を形成することができる。しかも、この塗膜は、高湿度下であっても密着性を維持できる。ポリエステルは包装材料に多用されていることから、ガスバリア性に富む包装材料が得やすい。
【0048】
(2)良好なガスバリア性を示し、高湿度下であってもそのガスバリア性を維持できる。
【0049】
(3)透明性及び耐湿性に優れる。
【0050】
(4)基材上に乾燥硬化した塗膜を形成する際の乾燥条件を緩やかにした場合にも、高湿度下での保存による基材との密着性の低下を生じにくく、耐熱性に劣る基材へのガスバリア層の形成が容易となり、また乾燥硬化時の温度設定が容易となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスバリア性に優れた塗膜を形成するガスバリア性コーティング樹脂組成物及びそれを用いてガスバリア層を形成したガスバリア性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、透明なガスバリア性フィルムとしては、ガスバリア性に優れたポリビニルアルコールの溶液をプラスチックフィルムにコートしたフィルムが知られている。ポリビニルアルコールの塗膜は、プラスチックフィルムからなる基材との密着が不十分であるので、通常ポリビニルアルコールと基材との間にアンカー層が設けられて、このアンカー層上にポリビニルアルコールの塗膜がコートされている。また、ポリビニルアルコールは、湿度依存性が高いため、高湿度下においても、基材との密着性、ガスバリア性を保持できるように、種々の提案がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、下記成分A,B,CおよびDからなり、成分Aと成分Bの重量比(A/B)が5/1〜1/2の範囲にあり、25℃におけるpHが7以上、11以下に調整されたコーティング用組成物が開示されている。
成分A.ポリビニルアルコール
成分B.一般式R1 n−Si−(OR2)4−nで示されるアルコキシシランの(部分)加水分解物、その(部分)縮合物またはこれらの混合物(ここで、R1は炭素数1〜4のアルキル基;ビニル基;又はメタクリロキシ基、アミノ基、エポキシ基およびメルカプト基からなる群から選ばれる1以上の基を有する有機基であり、R2は炭素数1〜4のアルキル基であり、nは0〜2の整数である。)
成分C.硬化触媒
成分D.ポリビニルアルコール可溶性溶剤を全溶剤量中、50重量%以上含有する溶剤
【0004】
しかし、特許文献1では、未変性のポリビニルアルコールを使用しているため、高湿度下における基材との密着性が不十分であるという問題があった。
【0005】
また、特許文献2には、ポリビニルアルコール系樹脂、ケイ素アルコキシド、低級アルコール、水、およびケイ素アルコキシド加水分解触媒を、ポリビニルアルコール系樹脂/ケイ素アルコキシドの重量部比が100/300〜100/600となるように混合してケイ素アルコキシドを加水分解した後に、ケイ素アルコキシド加水分解触媒を除去した塗工液を、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面上に塗工し、乾燥するガスバリア性フィルムの製造方法が開示されている。
【0006】
しかし、特許文献2の実施例で使用されているポリビニルアルコール系樹脂は未変性のポリビニルアルコールであるため、高湿度下における基材との密着性が不十分であるという問題があった。また、ケイ素アルコキシド加水分解触媒を除去する必要があるため、工程が繁雑であるという問題もあった。更には、ポリプロピレン等のポリオレフィン基材を対象としているため、ポリエステル基材上での特性までを開示するものではない。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−157580号公報
【特許文献2】
特開2002−60525号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、ポリビニルアルコール本来の透明性と高いガスバリア性を維持し、しかも基材がポリエステルである場合でも、アンカー層を必要とせずに密着性がよく、高いガスバリア性を有し、かつ高湿度下であっても密着性及びガスバリア性を維持できるガスバリア性コーティング組成物及び該組成物の塗膜を有するガスバリア性フィルムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、下記A,B,C,D成分からなることを特徴とするガスバリア性コーティング組成物を提供するものである。
A:アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールを含有するポリビニルアルコール。
B:下記一般式(1)で示されるアルコキシシラン。
R1 n−Si−(OR2)4−n ・・・(1)
(式中、R1およびR2は炭素数1〜4のアルキル基であり、nは0〜3の自然数である。)
C:酸触媒。
D:水、又は低級アルコールを添加した水。
【0010】
また、上記本発明は、A成分とB成分の重量比(A/B)が、1/1〜1/10であること、A成分におけるアセトアセチル基変性ポリビニルアルコールの含有量が10重量%以上であること、A成分が、未変性ポリビニルアルコールを含有することを、その好ましい態様として含むものである。また、B成分が、アルコキシシランと、その(部分)加水分解物及び/又は(部分)縮合物との混合物であってもよい。
【0011】
また、本発明は、上記本発明のガスバリア性コーティング組成物の塗膜を有することを特徴とするガスバリア性フィルムを提供するもので、ガスバリア性コーティング組成物の塗膜がポリエステルの基材上に直接設けられていることをその好ましい態様として含むものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のガスバリア性コーティング組成物は、基本的には下記A,B,C,D成分からなる。
A:アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールを含有するポリビニルアルコール。
B:下記一般式(1)で示されるアルコキシシラン。
R1 n−Si−(OR2)4−n ・・・(1)
(式中、R1およびR2は炭素数1〜4のアルキル基であり、nは0〜3の自然数である。)
C:酸触媒。
D:水、又は低級アルコールを添加した水。
【0013】
A成分としては市販のポリビニルアルコールを用いることができる。A成分として用いるポリビニルアルコールは、従来のガスバリア性コーティング組成物で用いられるポリビニルアルコールと同様に、重合度が100〜5000、ケン化度70%以上のものが好ましい。重合度が低過ぎると基材に対する密着性が低下しやすく、重合度が高過ぎると粘度が高くなり過ぎて塗工性が悪くなりやすい。また、ケン化度が低過ぎるとガスバリア性が不十分となりやすい。
【0014】
A成分はアセトアセチル基変性ポリビニルアルコールを含有する。ここで、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールとは、分子内にアセトアセチル基を有するものをいう。
【0015】
アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールの製造方法は特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコールとジケテンとを公知の方法で反応して製造することができる。具体的には、ポリビニルアルコールを酢酸溶媒中に分散させておき、これにジケテンを添加する方法、ポリビニルアルコールをジメチルホルムアミド、またはジオキサンなどの溶媒にあらかじめ溶解しておき、これにジケテンを添加する方法、ポリビニルアルコールにジケテンガスまたは液状ジケテンを直接接触させる方法、ポリビニルアルコールのアルコール溶剤のケン化スラリーに硫酸などの酸触媒を加えてアセト酢酸エステルをエステル交換させる方法等が挙げられる。
【0016】
アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールの原料となるポリビニルアルコールとしては、ポリ酢酸ビニルなどポリビニルエステルの部分又は完全ケン化物のほか、酢酸ビニルを主体とし、これと他の共重合可能なモノマー、例えば不飽和カルボン酸またはその部分又は完全エステル・塩・無水物・アミド・ニトリル、不飽和スルホン酸又はその塩、炭素数2〜30のα−オレフィン、ビニルエーテルなどとの共重合体をケン化した共重合変性ポリビニルアルコールやポリビニルアルコールをアセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化などした後変性ポリビニルアルコールも用いることができる。
【0017】
原料ポリビニルアルコールの平均ケン化度は、30〜100モル%であることが好ましく、より好ましくは60〜100モル%、更に好ましくは80〜100モル%である。また、平均重合度は、50〜3000であることが好ましく、より好ましくは200〜3000、更に好ましくは400〜2600である。
【0018】
アセトアセチル基変性量は、0.1〜40モル%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜20モル%、更に好ましくは1〜10モル%である。
【0019】
A成分には、組成物の保存性の観点から未変性ポリビニルアルコールを含有することが好ましい。この場合、塗膜と基材との密着性及び高湿度保存性(高湿度保存後の密着性)の観点より、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールの含有量が10重量%以上であることが好ましく、20重量%〜50重量%であることがより好ましい。50重量%含有することで、100重量%のときと同等の高湿度下ガスバリア性、密着性、高湿度下保存性、濡れ性、透明性の効果が得られる。
【0020】
また、例えば、シリル基、アミノ基、疎水基、イソシアネート基、オキサゾリン基、メチロール基、ニトリル基、アセトアセチル基、カチオン基、カルボキシル基、スルホン基、燐酸基等によるアセトアセチル基変性以外の変性ポリビニルアルコールを含有してもよい。この場合も、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールの含有量が上記範囲であることが好ましい。
【0021】
B成分として用いる上記一般式(1)で示されるアルコキシシランとしては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロピロキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランなどを挙げることができる。
【0022】
B成分としては、上記のようなアルコキシシランの1種又は2種以上を用いることができる。B成分として特に好ましいのはテトラアルコキシシランであり、より好ましくはテトラエトキシシランである。
【0023】
本発明においては、溶剤として水を用いていることから、B成分であるアルコキシシランの一部がゆっくりと加水分解してその(部分)加水分解物へと変化する場合があり、この加水分解物が更に(部分)縮合物へと変化する場合もある。このような変化を生じた場合においても本発明の効果は同様に得ることができる。従って、B成分は、アルコキシシランと、その(部分)加水分解物及び/又は(部分)縮合物との混合物であってもよい。
【0024】
C成分として用いる酸触媒としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸、有機リン酸、蟻酸、酢酸、無水酢酸、クロロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、イタコン酸、シュウ酸、粘液酸、尿酸、バルビツル酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸が挙げられる、その酸性度、揮発性からみて酢酸が好ましい。C成分としては、上記のような酸触媒の1種又は2種以上を用いることができる。
【0025】
D成分中の水(蒸留水)は溶剤であり、更にこれに低級アルコールを添加して用いることができ、これにより、塗膜乾燥時のピンホールの発生を防止しやすくなる。水に添加する低級アルコールとしては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどを挙げることができる。低級アルコールと水を混合する場合の配合比率は、重量比(低級アルコール/水)で10/90〜30/70であることが好ましい。低級アルコールの添加量が少な過ぎると塗膜の乾燥時にピンホールが発生しやすくなり、逆に低級アルコールの添加量が多過ぎると塗工性が悪くなりやすくなる。
【0026】
次に、上記A,B,C,D成分の配合比率について説明する。
【0027】
A成分とB成分の重量比(A/B)は、好ましくは1/1〜1/10、より好ましくは1/3〜1/7である。A成分の配合量が多くなり過ぎると(B成分の配合量が少なくなり過ぎると)、高湿度下でのバリア性が低下する可能性がある。逆にA成分の配合量が少なくなり過ぎると(B成分の配合量が多くなり過ぎると)、得られる塗膜の可撓性が不十分となる可能性がある。A成分の配合量が少ない場合、若干の収縮がみられることがあるので、これを避ける場合には1/3〜1/7とすることが好ましい。
【0028】
C成分の配合比率は特に限定されないが、B成分100重量部に対して10〜30重量部が好ましく、より好ましくは15〜25重量部である。C成分の配合量が多くなりすぎると、酸性臭によって塗工作業環境が悪化しやすく、C成分の配合量が少なぎると、基材への濡れ性が悪く、均一な塗膜を形成しにくい。
【0029】
D成分の配合比率は塗工条件などに応じて適宜選択すれば足るが、得られるガスバリア性コーティング組成物の固形分が1〜20重量%となるようにするのが好ましく、この範囲で塗工方法等に合わせて適宜選択することができる。D成分の配合量が多過ぎると必要な厚みの塗膜が得にくくなり、逆にD成分の配合量が少な過ぎると塗工性が悪くなりやすい。
【0030】
本発明に係るガスバリア性コーティング組成物は、基本的には、上述のA,B,C,D成分からなるものであるが、これら成分の合計量100重量部に対して10重量部以下の範囲で、本発明の効果を損わず塗布性を向上させるために、増粘剤、消泡剤、硬化触媒、濡れ性改良剤、可塑剤等を添加して用いることができる。
【0031】
本発明に係るガスバリア性コーティング組成物は、基材に塗布され、ガスバリア性の塗膜を形成するものである。
【0032】
基材への塗布は、例えばディップコート、スプレーコート、フローコート、ロールコート、バーコート、スピンコート、グラビアコートなど、従来行われている手法で行うことができる。塗膜の厚みは、塗工作業を繁雑にすることなく、また基材との密着強度を実用レベルに保ちながら良好なガスバリア性が得られるようにする上で、0.2〜7μm、望ましくは0.3〜1.5μmであることが好ましい。
【0033】
塗布後の塗膜の乾燥硬化は、塗膜の表面温度が50℃以上となる加熱雰囲気下で行うことが好ましい。この乾燥硬化時の雰囲気温度が低すぎると、得られるガスバリア性フィルムを特に高湿度下で保存した場合に、基材と塗膜の密着力が低下しやすくなる。上記乾燥硬化時の塗膜表面の温度の上限は、基材の耐熱性にもよるが、一般的には120℃程度である。
【0034】
基材としては、例えばポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネイトなどの合成樹脂が好ましく、基材上に本発明のガスバリア性コーティング組成物による塗膜を形成したフィルム又はシートや、この塗膜付フィルムやシートにヒートシール層やその他の層を更に積層したフィルム又はシートは、ガスバリア性の包装用に好適に用いることができる。特に本発明に係るガスバリア性コーティング組成物は、包装用途に多用されているポリエステルの基材上に密着性よく塗膜を形成することができ、ガスバリア性包装用途に適したフィルム又はシートが得やすい利点がある。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。評価は、以下の方法で行った。
【0036】
(1)濡れ性
組成物を基材上に塗工した際にその状態を目視で評価した。ハジキが発生していない場合を○、ハジキが発生した場合を×とした。
【0037】
(2)透明性
塗膜形成前の基材と塗膜付基材を肉眼で比較することで評価した。両者の透明度にほとんど差が認められなかった場合を○、塗膜付基材の方がやや透明性が劣っている場合を△とした。
【0038】
(3)ガスバリア性
酸素の透過性を、23℃で、0%RH雰囲気下(条件A)または65%RH雰囲気下(条件B)で酸素透過度測定装置(MOCON社製「OX−TRAN 2/20」)を用いて測定した。
【0039】
(4)密着性
得られた塗膜付基材の塗膜面に、ポリウレタン系接着剤を用いたドライラミネートにより厚み25μmのCPP(未延伸ポリプロピレン)フィルムを貼り合わせ、40℃で養生した後、15mm幅に切断し、CPPフィルムと塗膜付基材のT形剥離により剥離強度を求めた。全てのサンプルで剥離強度が490mN/15mm以下のものを×とし、一部のサンプルで剥離強度が490mN/15mm以下となるものがあったものを△とし、全てのサンプルで基材が破断してしまった又は剥離強度が1960mN/15mm以上となったものを○とした。
【0040】
(5)高湿度保存性
密着性の評価と同様のドライラミネートを施したラミネートフィルムを温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下に1週間放置した後、15mm幅に切断し、CPPフィルムと塗膜付基材のT形剥離により剥離強度を求めた。全てのサンプルで剥離強度が490mN/15mm以下のものを×とし、一部のサンプルで剥離強度が490mN/15mm以下となるものがあったものを△とし、全てのサンプルで基材が破断してしまった又は剥離強度が1960mN/15mm以上となったものを○とした。
【0041】
<実施例1〜3、比較例1〜4>
AA−PVA(A1成分:アセトアセチル基変性PVA:日本合成化学工業(株)製「Z−200」)と、PVA(A2成分:未変性PVA:(株)クラレ製「ポバール103」)と、TEOS(B成分:テトラエトキシシラン:信越化学(株)製「KBE04」)と、酢酸(C成分)と、IPAとH2O(D成分:イソプロピルアルコールと水)を用い、表1に示される配合比率でガスバリア性コーティング樹脂組成物の調製を行った。
【0042】
まず、AA−PVA、PVAを表1の配合割合でIPA/H2O=20/80(重量比)の溶媒に溶解して5重量%溶液とし、このPVA溶液100gに酢酸を表1の配合割合で加えて撹拌後、TEOSを表1の配合割合で加え、2時間撹拌してガスバリア性コーティング組成物を調製した。
【0043】
得られたガスバリア性コーティング組成物を厚み12μmのPET(ポリエステル)フィルム(東洋紡績(株)製「E5100」)の基材上に約1μmの厚みでグラビアコートし、80℃のオーブン中で30秒間乾燥した。
【0044】
評価結果を表1に示す。尚、比較例4は、濡れ性が×であり、塗膜を形成できなかった。また、実施例3においては、目視でようやく観察できる程の塗膜の収縮がみられたが、この収縮はしわが寄ったりする程ではなく、可撓性は充分にあった。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したとおりのものであり、次の効果を奏するものである。
【0047】
(1)ポリエステルの基材に対しても、アンカー層なしで密着性よくガスバリア性塗膜を形成することができる。しかも、この塗膜は、高湿度下であっても密着性を維持できる。ポリエステルは包装材料に多用されていることから、ガスバリア性に富む包装材料が得やすい。
【0048】
(2)良好なガスバリア性を示し、高湿度下であってもそのガスバリア性を維持できる。
【0049】
(3)透明性及び耐湿性に優れる。
【0050】
(4)基材上に乾燥硬化した塗膜を形成する際の乾燥条件を緩やかにした場合にも、高湿度下での保存による基材との密着性の低下を生じにくく、耐熱性に劣る基材へのガスバリア層の形成が容易となり、また乾燥硬化時の温度設定が容易となる。
Claims (7)
- 下記A,B,C,D成分からなることを特徴とするガスバリア性コーティング組成物。
A:アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールを含有するポリビニルアルコール。
B:下記一般式(1)で示されるアルコキシシラン。
R1 n−Si−(OR2)4−n ・・・(1)
(式中、R1およびR2は炭素数1〜3のアルキル基であり、nは0〜3の自然数である。)
C:酸触媒。
D:水、又は低級アルコールを添加した水。 - A成分とB成分の重量比(A/B)が、1/1〜1/10であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性コーティング組成物。
- A成分におけるアセトアセチル基変性ポリビニルアルコールの含有量が10重量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリア性コーティング組成物。
- A成分が、未変性ポリビニルアルコールを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア性コーティング組成物。
- B成分が、アルコキシシランと、その(部分)加水分解物及び/又は(部分)縮合物との混合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア性コーティング組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のガスバリア性コーティング組成物の塗膜を有することを特徴とするガスバリア性フィルム。
- ガスバリア性コーティング組成物の塗膜がポリエステルの基材上に直接設けられていることを特徴とする請求項6に記載のガスバリア性フィルム。
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