JP4758544B2 - コーティング組成物及びガスバリア性フィルム - Google Patents

コーティング組成物及びガスバリア性フィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスバリア性に優れた塗膜を形成するガスバリア性コーティング樹脂組成物及びそれを用いてガスバリア層を形成したガスバリア性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、透明なガスバリア性フィルムとしては、ガスバリア性に優れたポリビニルアルコールの溶液をプラスチックフィルムにコートしたフィルムが知られている。ポリビニルアルコールの塗膜は、プラスチックフィルムからなる基材との密着が不十分であるので、通常ポリビニルアルコールと基材との間にアンカー層が設けられて、このアンカー層上にポリビニルアルコールの塗膜がコートされている。また、ポリビニルアルコールは、湿度依存性が高く、通常2層または3層構成のラミネートフィルムとして、ポリビニルアルコールフィルムが湿度の影響を受けないようにしている。
【0003】
例えば、特公平5−19580号公報には、ポリエステル成形物に、ポリビニルアルコール系樹脂の溶液をコートするにあたり、アンカーコート層を形成したガスバリア性成形物が開示されている。
【0004】
しかし、上記技術では、ポリエステル成形物の耐湿性を考慮すると、ポリエステル成形物にアンカーコート層とポリビニルアルコール系樹脂層とが積層され、さらに、耐湿性を改善するために、一層を追加した多層構成とする必要があり、その製造工程が増す欠点がある。
【0005】
一方、アンカーコート層を形成しないガスバリア性フィルムとして、特開平8−245816号公報には、ポリオレフィンフィルムの表面処理にポリビニルアルコールと水性アンカー剤とを所定の割合で混合した水性コーティング剤を塗布して形成したバリア性ポリオレフィンフィルムが開示されており、水性アンカー剤として、水性イソシアネート、ポリエチレンイミンが記載されている。
【0006】
しかし、上記技術は、ポリオレフィンフィルムにおけるガスバリア性に関するものであり、他のプラスチックフィルムに該技術を適用できるか否かは明確にされていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、ポリビニルアルコール本来の透明性と高いガスバリア性を維持し、しかも基材がポリエステルである場合でも、アンカー層を必要とせずに密着性がよく、かつ高湿度下であっても密着性を維持でき、高いガスバリア性を有する塗膜を、乾燥条件に左右されることなく、乾燥後のエージングなしで形成できるようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、下記A,B,C,D成分からなり、A成分とB成分の重量比(A/B)が100/200〜100/3、A成分とC成分の重量比(A/C)が100/8〜100/1であることを特徴とするコーティング組成物を提供するものである。
【0009】
A:ポリビニルアルコール。
B:下記一般式(1)で示されるアミノ基及び/又はイミノ基を有するアルコキシシラン。
【0010】
【化2】
Figure 0004758544
【0011】
(式中、R1は炭素数1〜4のアルキレン基、R2およびR3は炭素数1〜4のアルキル基、Xは水素原子またはアミノアルキル基であり、nは1または0である。)
C:アジリジン化合物。
D:水、又はメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールから選ばれる低級アルコールを添加した水。
【0012】
上記本発明は、A成分が、変性ポリビニルアルコールを含むことと、変性ポリビニルアルコールが分子にシリル基を有するポリビニルアルコールであること、このシリル基の含有量が0.01〜5モル%であること、また、変性ポリビニルアルコールがカルボキシル基変性ポリビニルアルコールであることをその好ましい態様として含むものである。また、上記本発明におけるB成分が、アミノ基及び/又はイミノ基を有するアルコキシシランと、その(部分)加水分解物及び/又は(部分)縮合物との混合物であってもよい。更に、C成分が、多官能アジリジン化合物であることをその好ましい態様として含むものである。
【0013】
また、本発明は、上記本発明のガスバリア性コーティング組成物の塗膜を有することを特徴とするガスバリア性フィルムを提供するもので、ガスバリア性コーティング組成物の塗膜がポリエステルの基材上に設けられていることをその好ましい態様として含むものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のガスバリア性コーティング組成物は、基本的には下記A,B,C,D成分からなる。
【0015】
A:ポリビニルアルコール。
B:下記一般式(1)で示されるアミノ基及び/又はイミノ基を有するアルコキシシラン。
【0016】
【化3】
Figure 0004758544
【0017】
(式中、R1は炭素数1〜4のアルキレン基、R2およびR3は炭素数1〜4のアルキル基、Xは水素原子またはアミノアルキル基であり、nは1または0である。)
C:アジリジン化合物。
D:水、又は低級アルコールを添加した水。
【0018】
本発明におけるA成分としては市販のポリビニルアルコールを用いることができる。A成分として用いるポリビニルアルコールは、従来のガスバリア性コーティング組成物で用いられるポリビニルアルコールと同様に、重合度が100〜5000、ケン化度70%以上のものが好ましい。重合度が低過ぎると基材に対する密着性が低下しやすく、重合度が高過ぎると粘度が高くなり過ぎて塗工性が悪くなりやすい。また、ケン化度が低過ぎるとガスバリア性が不十分となりやすい。
【0019】
A成分としては、変性、未変性のいずれを使用してもよく、変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、カルボキシル基、シリル基、スルホン酸基、アミノ基、リン酸基、イソシアネート基、オキサゾリン基、メチロール基、ニトリル基、アセトアセチル基、カチオン基等による変性ポリビニルアルコール、例えば、アクリル、ウレタン、ポリエステル、エポキシ、ポリエチレン、ポリプロピレンなどで変性したブロック共重合体やグラフト共重合体等が挙げられ、これらの変性ポリビニルアルコール、未変性ポリビニルアルコールを1種または2種以上混合して使用することができる。また、変性ポリビニルアルコールと未変性ポリビニルアルコールを混合して用いるときは、A成分の総量のうち、変性ポリビニルアルコールを10重量%以上混合することが好ましく、20重量%以上がより好ましい。
【0020】
本発明でA成分として用いるポリビニルアルコールとしては、基材上に乾燥硬化した塗膜を形成する際の乾燥条件を緩やかにした場合にも、高湿度下での保存による基材との密着性の低下を生じにくいことから、分子にシリル基を有するポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールが好ましい。
【0021】
ここで、分子にシリル基を有するとは、ポリビニルアルコールの分子鎖の中間部又は末端にシリル基を有することをいい、シリル基が加水分解性でない結合によってポリビニルアルコールと結合していれば、その位置及び分布状態に特に制限はない。また、このシリル基とは、下記(2)式で表される反応性のシリル基をいう。但し、下記(2)式におけるR4は水素、炭素数1〜10のアルキル基、アルカリ金属又はアルカリ土類金属、R5は炭素数1〜10のアルキル基、mは1〜3の整数である。
【0022】
【化4】
Figure 0004758544
【0023】
分子に上記シリル基を有するポリビニルアルコールにおけるシリル基の含有量は、0.01〜5モル%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜1.0モル%で、最適には0.1〜0.6モル%である。シリル基の含有量が5モル%を超えると、得られるガスバリア性コーティング組成物の粘度が高くなり、ゲル化しやすくなり、逆にシリル基の含有量が0.01モル%未満では、基材上へ乾燥硬化した塗膜を形成する際の乾燥条件を緩和した場合に、高湿度下で保存すると基材との密着性の低下を生じやすくなる。
【0024】
また、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールとは、分子内にカルボキシル基を有するものをいい、例えば、酢酸ビニル、蟻酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ピパリン酸ビニルなどのビニルエステル系単量体を、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸と共重合した後、けん化したランダム共重合体を好適に用いることができる。
【0025】
カルボキシル基変性量は、0.1〜50モル%であることが好ましく、更に好ましくは0.5〜10モル%、最適には0.5〜5モル%である。
【0026】
本発明におけるB成分として用いる上記一般式(1)で示されるアミノ基及び/又はイミノ基を有するアルコキシシランとしては、例えばアミノメチルトリエトキシシラン、2−アミノエチルトリメトキシシラン、2−アミノエチルトリエトキシシラン、2−アミノエチルトリプロポキシシラン、2−アミノエチルトリブトキシシラン、1−アミノエチルトリメトキシシラン、1−アミノエチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリプロポキシシラン、3−アミノプロピルトリブトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリプロポキシシラン、2−アミノプロピルトリブトキシシラン、1−アミノプロピルトリメトキシシラン、1−アミノプロピルトリエトキシシラン、1−アミノプロピルトリプロポキシシラン、1−アミノプロピルトリブトキシシラン、N−アミノメチルアミノメチルトリメトキシシラン、N−アミノメチルアミノメチルトリプロポキシシラン、N−アミノメチル−2−アミノエチルトリメトキシシラン、N−アミノメチル−2−アミノエチルトリエトキシシラン、N−アミノメチル−2−アミノエチルトリプロポキシシラン、N−アミノメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノメチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノメチル−3−アミノプロピルトリプロポキシシラン、N−アミノメチル−2−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノメチル−2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノメチル−2−アミノプロピルトリプロポキシシラン、N−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエチルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエチルトリプロポキシシラン、N−(2−アミノエチル)−1−アミノエチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−1−アミノエチルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−1−アミノエチルトリプロポキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリプロポキシシラン、N−(3−アミノプロピル)−2−アミノエチルトリメトキシシラン、N−(3−アミノプロピル)−2−アミノエチルトリエトキシシラン、N−(3−アミノプロピル)−2−アミノエチルトリプロポキシシラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ジエチレントリアミンプロピルトリエトキシシラン、3−〔2−(2−アミノエチルアミノエチルアミノ)プロピル〕トリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミンなどを挙げることができる。
【0027】
B成分としては、上記のようなアミノ基及び/又はイミノ基を有するアルコキシシランの1種又は2種以上を用いることができる。B成分として特に好ましいのはγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシランである。
【0028】
C成分として用いる、アジリジン化合物とは、下記のアジリジン官能基を有する化合物である。
【0029】
【化5】
Figure 0004758544
【0030】
アジリジン化合物としては、多官能アジリジン化合物が好ましく、特に3つ以上のアジリジン官能基を有する多官能アジリジン化合物が、基材との密着性が良好であり、より好ましい。
【0031】
C成分としては、上記のようなアジリジン化合物の1種又は2種以上を用いることができる。C成分として特に好ましいのは、下記式で表される2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]であり、例えば相互薬工(株)製のTAZM、日本触媒(株)製ケミタイトPZ−33等が好適に使用できる。
【0032】
【化6】
Figure 0004758544
【0033】
D成分中の水(蒸留水)は溶剤であり、更にこれに低級アルコールを添加して用いることができ、これにより、塗膜乾燥時のピンホールの発生を防止しやすくなる。水に添加する低級アルコールとしては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどを挙げることができる。低級アルコールと水を混合する場合の配合比率は、重量比(低級アルコール/水)で10/90〜30/70であることが好ましい。低級アルコールの添加量が少な過ぎると塗膜の乾燥時にピンホールが発生しやすくなり、逆に低級アルコールの添加量が多過ぎると塗工性が悪くなりやすくなる。
【0034】
次に、上記A,B,C,D成分の配合比率について説明する。
【0035】
A成分はガスバリア性を得るためのベースとなる成分で、B成分は得られる塗膜と基材との密着性を向上させる成分である。このA成分とB成分の配合比率は、重量比(A/B)で100/200〜100/3であり、好ましくは100/50〜100/5である。A成分の配合量が多くなり過ぎると(B成分の配合量が少なくなり過ぎると)、塗膜の形成時にエージングが必要となり、特に基材がポリエステルである場合、塗膜と基材との密着性が低下する。逆にA成分の配合量が少なくなり過ぎると(B成分の配合量が多くなり過ぎると)、得られる塗膜のガスバリア性が不十分となる。
【0036】
A成分とC成分の配合比率は、重量比(A/C)で100/8〜100/1であり、好ましくは100/5〜100/2である。C成分は、得られる塗膜に耐湿性を付与し、高湿度下においても塗膜と基材の密着性を維持しやすくするためのものであるが、このC成分の配合量が多過ぎると基材の密着性が悪くなる。逆にC成分が少な過ぎると得られる塗膜の耐水性が低下して、高湿度下において塗膜が剥離しやすくなる。
【0037】
D成分の配合比率は塗工条件などに応じて適宜選択すれば足るが、得られるガスバリア性コーティング組成物の固形分が1〜20重量%となるようにするのが好ましく、この範囲で塗工方法等に合わせて適宜選択することができる。D成分の配合量が多過ぎると必要な厚みの塗膜が得にくくなり、逆にD成分の配合量が少な過ぎると塗工性が悪くなりやすい。
【0038】
ところで、本発明においては、溶剤として水を用いていることから、前記B成分であるアミノ基及び/又はイミノ基を有するアルコキシシランの一部がゆっくりと加水分解してその(部分)加水分解物へと変化する場合があり、この加水分解物が更に(部分)縮合物へと変化する場合もある。このような変化を生じた場合においても本発明の効果は同様に得ることができる。従って、本発明におけるB成分は、アミノ基及び/又はイミノ基を有するアルコキシシランと、その(部分)加水分解物及び/又は(部分)縮合物との混合物であってもよい。
【0039】
本発明に係るガスバリア性コーティング組成物は、基本的には上述のA〜D成分からなるものであるが、A〜D成分の合計量100重量部に対して10重量部以下の範囲で、本発明の効果を損わない範囲で塗布性を向上させるために、増粘剤、消泡剤、硬化触媒、濡れ性改良剤、可塑剤等を添加して用いることができる。
【0040】
本発明に係るガスバリア性コーティング組成物は、基材に塗布され、ガスバリア性の塗膜を形成するものである。
【0041】
基材への塗布は、例えばディップコート、スプレーコート、フローコート、ロールコート、バーコート、スピンコート、グラビアコートなど、従来行われている手法で行うことができる。塗膜の厚みは、塗工作業を繁雑にすることなく、また基材との密着強度を実用レベルに保ちながら良好なガスバリア性が得られるようにする上で、0.2〜7μm、望ましくは0.3〜1.5μmであることが好ましい。
【0042】
塗布後の塗膜の乾燥硬化は、未変性のポリビニルアルコールをA成分として用いた本発明のガスバリア性コーティング組成物においては、塗膜の表面温度が60℃を超える加熱雰囲気下で行うことが好ましい。この乾燥硬化時の雰囲気温度が低すぎると、得られるガスバリア性フィルムを特に高湿度下で保存した場合に、基材と塗膜の密着力が低下しやすくなる。上記乾燥硬化時の塗膜表面の温度の上限は、基材の耐熱性にもよるが、一般的には120℃程度である。
【0043】
一方、変性ポリビニルアルコール、特に分子にシリル基を有するポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールをA成分として用いた本発明のガスバリア性コーティング組成物においては、塗膜の表面温度が50℃以上となる加熱雰囲気下で乾燥硬化させれば、上記高湿度下での保存による基材と塗膜の密着力の低下を生じにくい。従って、変性ポリビニルアルコール、特に分子にシリル基を有するポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールをA成分として用いた本発明のガスバリア性コーティング組成物では、塗布後の塗膜の乾燥硬化を、塗膜の表面温度が50℃以上となる加熱雰囲気下で行えば足り、加熱乾燥条件を緩やかにできる利点がある。この時の塗膜表面温度の上限は上記と同様に120℃程度である。
【0044】
基材としては、例えばポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネイトなどの合成樹脂が好ましく、基材上に本発明のガスバリア性コーティング組成物による塗膜を形成したフィルム又はシートや、この塗膜付フィルムやシートにヒートシール層やその他の層を更に積層したフィルム又はシートは、ガスバリア性の包装用に好適に用いることができる。特に本発明に係るガスバリア性コーティング組成物は、包装用途に多用されているポリエステルの基材上に密着性よく塗膜を形成することができ、ガスバリア性包装用途に適したフィルム又はシートが得やすい利点がある。
【0045】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
【0046】
実施例1〜6、比較例1〜11
PVA(A1成分:ポリビニルアルコール:クラレ社製「ポバール105」)と、S−PVA(A2成分:分子にシリル基を有するポリビニルアルコール:クラレ社製「R−2105」)と、C−PVA(A3成分:カルボキシル基変性PVA:クラレ社製「KM−118」)と、APTES(B成分:γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)と、アジリジン化合物(C成分:日本触媒(株)製「ケミタイトPZ−33」)と、IPAとH2O(D成分:イソプロピルアルコールと水)を用い、表1〜表3に示される配合比率でガスバリア性コーティング樹脂組成物の調製を行った。
【0047】
まず、PVA、S−PVA、又はC−PVAをIPA/H2O=20/80(重量比)の溶媒に溶解して5重量%溶液とし、このPVA溶液100gにAPTESを表1の配合割合で混合して撹拌した。更にこの混合物にアジリジン化合物を表1〜表3に示される割合で加え、更に1時間撹拌してガスバリア性コーティング組成物を調製した。
【0048】
得られたガスバリア性コーティング組成物を厚み12μmのPET(ポリエステル)フィルムの基材上に約1μmの厚みでバーコートし、表1〜表3に示す乾燥表面温度で、塗膜を乾燥硬化させた。尚、表1〜表3における、乾燥表面温度約65℃、約55℃の具体的な乾燥条件は、それぞれ、80℃の雰囲気下で1分間保持、温風を1分間吹き付けであり、表面温度は基材の一部に予め貼付しておいたサーモラベルにより測定した。得られた塗膜付基材を用いて以下の評価を行った。
【0049】
結果を表1〜表3に示す。
【0050】
(1)透明性
塗膜形成前の基材と塗膜付基材を肉眼で比較することで評価した。両者の透明度にほとんど差が認められなかった場合を○、塗膜付基材の方がやや透明性が劣っている場合を△とした。
【0051】
(2)ガスバリア性
酸素の透過性を、乾燥した室温雰囲気下で酸素透過度測定装置(MOCON社製「OX−TRANTWIN」)を用いて測定した。
【0052】
(3)密着性
得られた塗膜付基材の塗膜面に、ポリウレタン系接着剤を用いたドライラミネートにより厚み25μmのCPP(未延伸ポリプロピレン)フィルムを貼り合わせ、40℃で48時間エージングした後、15mm幅に切断し、CPPフィルムと塗膜付基材のT形剥離により剥離強度を求めた。剥離強度が490mN/15mm以下のものを×とし、基材が破断してしまったもの及び剥離強度が1960mN/15mm以上となったものを○とした。
【0053】
(4)高湿度保存性
密着性の評価と同様のドライラミネートを施したラミネートフィルムを温度20℃、湿度90%RHの雰囲気下に2週間(条件A)、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下に1ヶ月(条件B)、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下に2ヶ月(条件C)放置した後、15mm幅に切断し、CPPフィルムと塗膜付基材のT形剥離により剥離強度を求めた。剥離強度が490mN/15mm以下のものを×とし、基材が破断してしまったもの及び剥離強度が1960mN/15mm以上となったものを○とした。
【0054】
【表1】
Figure 0004758544
【0055】
【表2】
Figure 0004758544
【0056】
【表3】
Figure 0004758544
【0057】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したとおりのものであり、次の効果を奏するものである。
【0058】
(1)ポリエステルの基材に対しても、アンカー層なしで密着性よくガスバリア性塗膜を形成することができる。ポリエステルは包装材料に多用されていることから、ガスバリア性に富む包装材料が得やすい。
【0059】
(2)透明性及び耐湿性に優れる。
【0060】
(3)A成分として、変性ポリビニルアルコール、特に分子にシリル基を有するポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールを用いた本発明のガスバリア性コーティング組成物は、基材上に乾燥硬化した塗膜を形成する際の乾燥条件を緩やかにした場合にも、高湿度下での保存による基材との密着性の低下を生じにくいことから、耐熱性に劣る基材へのガスバリア層の形成が容易となり、また乾燥硬化時の温度設定が容易となる。
【0061】
(4)乾燥条件に左右されることなく、しかも、乾燥後のエージングなしでガスバリア層を形成できる。

Claims (9)

  1. 下記A,B,C,D成分からなり、A成分とB成分の重量比(A/B)が100/200〜100/3、A成分とC成分の重量比(A/C)が100/8〜100/1であることを特徴とするコーティング組成物。
    A:ポリビニルアルコール。
    B:下記一般式(1)で示されるアミノ基及び/又はイミノ基を有するアルコキシシラン。
    Figure 0004758544
    (式中、R1は炭素数1〜4のアルキレン基、R2およびR3は炭素数1〜4のアルキル基、Xは水素原子またはアミノアルキル基であり、nは1または0である。)
    C:アジリジン化合物。
    D:水、又はメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールから選ばれる低級アルコールを添加した水。
  2. A成分が、変性ポリビニルアルコールを含むことを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
  3. 変性ポリビニルアルコールが、分子にシリル基を有するポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項2に記載のコーティング組成物。
  4. シリル基の含有量が0.01〜5モル%であることを特徴とする請求項3に記載のコーティング組成物。
  5. 変性ポリビニルアルコールが、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項2に記載のコーティング組成物。
  6. B成分が、アミノ基及び/又はイミノ基を有するアルコキシシランと、その(部分)加水分解物及び/又は(部分)縮合物との混合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
  7. C成分が、多官能アジリジン化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーティング組成物の塗膜を有することを特徴とするガスバリア性フィルム。
  9. ーティング組成物の塗膜がポリエステルの基材上に設けられていることを特徴とする請求項8に記載のガスバリア性フィルム。
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