JP2002060577A - ガスバリア性組成物、ガスバリア性フィルム及びその製造方法 - Google Patents
ガスバリア性組成物、ガスバリア性フィルム及びその製造方法Info
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Abstract
スバリア性を維持し、かつアンカー層を設けることな
く、ポリビニルアルコールと基材との密着性が良好であ
り、かつ高湿度下であっても密着性を維持できるガスバ
リア性フィルム、そのガスバリア性組成物、及びガスバ
リア性フィルムの製造方法に提供することを目的とする
ものである。 【解決手段】 アジリジン化合物を添加したポリビニル
アルコールをプラスチックフィルムに塗布してエージン
グしたガスバリア性フィルムであり、アジリジン化合
物、すなわちアジリジン官能基を有するアジリジン化合
物をPVAの架橋剤として添加したPVA塗布剤(ガス
バリア性組成物)をプラスチックフィルムに塗布してエ
ージングしたガスバリア性フィルムである。
Description
薬、化粧品等の包装用フィルムとして好適なガスバリア
性フィルムに関し、かつそのフィルムに塗布されるガス
バリア性組成物と、その組成物によるガスバリア性フィ
ルムの製造方法に関するものである。
ては、ガスバリア性に優れたポリビニルアルコール(以
下、PVAと称する)の溶液をプラスチックフィルムに
コートしたフィルムが知られている。PVA塗膜は、プ
ラスチックフィルムからなる基材との密着が不十分であ
るので、通常PVAと基材との間にアンカー層が設けら
れて、このアンカー層上にPVA塗膜がコートされてい
る。また、PVAは、湿度依存性が高く、通常2層また
は3層構成のラミネートフィルムとして、PVAフィル
ムが湿度の影響を受けないようにしている。
5−19580号公報(以下、従来例1と称する)があ
る。この従来例1では、ポリエステル成形物に、PVA
系樹脂の溶液をコートするにあたり、アンカーコート層
を形成することが開示されている。アンカーコート層と
しては、例えば、酸成分がテレフタル酸および/または
イソフタル酸、脂肪族ジカルボン酸であり、ジオール成
分が鎖状または環状ジオール、分岐状ジオールであり、
これらの組成のポリエステルの溶剤溶液が塗布、乾燥さ
せて形成されている。なお、ポリエステル成形物として
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリカーボネートなどが例示されている。
下、従来例2と称する)は、バリア性ポリオレフィンフ
ィルムに関し、ポリオレフィンフィルムの表面処理面に
ポリビニールアルコールと水性アンカー剤とを所定の割
合で混合した水性コーティング剤を塗布して形成したバ
リア性ポリオレフィンフィルムである。水性アンカー剤
としては、水性イソシアネート、ポリエチレンイミンが
用いられている。
1は、ポリエステル成形物にアンカーコート層を形成
し、その上にPVA系樹脂溶液をコートして、ガス遮断
性の優れたポリエステル成形物を製造している。しか
し、従来例1では、ポリエステル成形物の耐湿性を考慮
すると、ポリエステル成形物にアンカーコート層とPV
A系樹脂層とが積層され、さらに、耐湿性を改善するた
めに、一層を追加した多層構成とする必要があり、その
製造工数が増す欠点がある。
等のフィルムが燃焼の際に塩化水素ガスが発生する欠点
があり、かつPVAによるバリア性フィルムでは、高湿
度雰囲気での酸素ガスバリア性が充分でないことが指摘
されている。従来例2は、これらの課題に鑑みなされ、
ポリオレフィンフィルムがアンカー剤を塗布することな
く、PVA水溶液と水性アンカー剤との混合物を塗布す
ることで、充分なガスバリア性を有するとしている。す
なわち、従来例2には、ポリオレフィンフィルムにおけ
るガスバリア性について、開示されているものの、他の
プラスチックフィルムに適用できるか否かは明確ではな
い。
たものであり、ポリビニルアルコール本来の透明性と高
いガスバリア性を維持し、かつアンカー層を設けること
なく、ポリビニルアルコールと基材との密着性が良好で
あり、かつ高湿度下であっても密着性を維持できるガス
バリア性フィルムを提供するとともに、そのフィルムに
使用するガスバリア性組成物、及びガスバリア性フィル
ムの製造方法を提供することを目的とするものである。
成したものであり、請求項1の発明は、ポリビニールア
ルコール、アジリジン化合物、および水または水とアル
コールとの混合溶媒とを含むことを特徴とするガスバリ
ア性組成物である。
ガスバリア性組成物の溶媒として、水を使用することが
できるが、乾燥性を考慮すると水にアルコールを加えた
混合溶媒が好ましい。なお、アルコール含有量が多すぎ
るとPVAの溶解性が低下するため、水とアルコールの
混合割合としては、水/アルコール=10/90〜30
/70程度とし、特に水/アルコール=20/80程度
の割合で混合した溶媒が好ましい。アルコールとして
は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタ
ノール等が挙げられる。アジリジン化合物としては、多
官能アジリジン化合物が好ましい。
加したポリビニルアルコール塗布剤をプラスチックフィ
ルム上に塗布してエージングしたフィルムであることを
特徴とするガスバリア性フィルムである。
すなわちアジリジン官能基を有するアジリジン化合物
を、PVAの架橋剤として添加したPVA塗布剤を塗布
してエージングしたガスバリア性フィルムであり、プラ
スチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタノー
ル(PET)等のポリエステル、延伸ポリプロピレン
(OPP)、延伸ナイロン(ONy)等が好ましい。
化合物が多官能アジリジン化合物であることを特徴とす
る請求項2に記載のガスバリア性フィルムである。
2つ以下のアジリジン化合物より3つ以上の官能基を有
する多官能アジリジン化合物がPVAに混合している方
が基材との密着性が良好である。多官能アジリジン化合
物としては、例えば相互薬工(株)製のTAZMまたは
日本触媒(株)製ケミタイトPZ−33が好ましい。
との溶媒にポリビニルアルコールを溶解した溶液を調整
する第1の工程と、前記溶液にポリビニルアルコールと
アジリジン化合物との固形分比が100/1乃至100
/8となるようにアジリジン化合物を添加する第2の工
程と、前記第2の工程の組成物をプラスチックフィルム
の基材上に塗布して乾燥された積層体を形成する第3の
工程と、前記積層体をエージングする第4の工程と、を
有することを特徴とするガスバリア性フィルムの製造方
法。
溶媒にPVAを溶解した溶液を調整し、PVAとアジリ
ジン化合物との固形分比(配合比)が100/1乃至1
00/8となるように、この溶液にアジリジン化合物を
添加してPVA塗布液を調整し、このPVA塗布液をプ
ラスチックフィルムに塗布して乾燥後、エージングして
スバリア性フィルムを製造する。
たPVA、例えばカルボン酸変性PVAを含むものであ
る。また、限定するものではないが、溶媒としては、水
が使用できる。溶媒は、乾燥性を考慮すると水とアルコ
ールとの混合溶媒とするのが好ましい。アルコール含有
量が多すぎるとPVAの溶解性が低下するため、水とア
ルコールの混合割合としては、水/アルコール=10/
90〜30/70程度、特に20/80程度の割合で混
合した溶媒が好ましい。アルコールとしては、先に示し
たように、メタノール、エタノール、イソプロパノー
ル、ブタノール等が挙げられる。
溶液に調整される。また、PVAとアジリジン化合物と
の固形分比(配合比)は、PVAとアジリジン化合物と
の配合比が100/8を越えると基材との密着性が悪化
し、100/1よりアジリジン化合物の混合量が少ない
場合、短時間のエージングでは密着性が悪化する。従っ
て、好ましくは、100/1乃至100/5とする。例
えば、100/5が最も好ましく、その場合、PVA6
%溶液100gに、多官能アジリジン化合物を0.3g
添加して調整する。なお、PVAにアジリジン化合物を
添加した塗布剤をプラスチックフィルムに塗布して、架
橋反応を促進させるためのエージング温度は、30〜6
0℃が好ましい。
ア性フィルムの片面または両面に他の基材をラミネート
加工してもよく、ラミネート方法としては、熱可塑性樹
脂を溶融押出しラミネートする方法、他のフィルムまた
はシートを公知の接着剤を用いてドライラミネートする
方法等が挙げられる。ラミネートする相手側樹脂または
フィルムあるいはシートとしては、ヒートシール性を有
するものがよく、例えば、溶融押出しする樹脂として
は、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリ
エチレン(LLDPE)、エチレン酢酸ポリエチレン
(EVA)、アイオノマーが挙げられ、ドライラミネー
トするフィルムまたはシートとしては、無延伸ポリプロ
ピレン(CPP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、
線状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のフィルムま
たはシートが挙げられる。このような本発明のガスバリ
ア性フィルムは、三方袋、ピロー包装、PTP包装等の
各種包装材料に用いることができる。
化合物が多官能アジリジン化合物であることを特徴とす
る請求項4に記載のガスバリア性フィルムの製造方法で
ある。
は、アジリジン官能基が多官能基のものが好ましい。官
能基が2つのアジリジン化合物では、密着性が悪く、ア
ジリジン官能基が3つ以上の多官能アジリジン化合物が
好ましい。
組成物、ガスバリア性フィルム、及びその製造方法の実
施の形態について説明する。本発明のガスバリア性フィ
ルムは、食品、医薬品、農薬、化粧品等を水蒸気や酸素
から遮蔽して、長期保存を目的とする包装用に利用する
ためのものであり、PVA塗布膜によるガスバリア性フ
ィルムは、ガスバリア性に優れているが、高湿度下での
密着性に問題があり、改良を加えたものである。
リア性フィルムの製造方法について説明する。本実施形
態において、ガスバリア性フィルムの基材としては、プ
ラスチックフィルムが用いられる。プラスチックフィル
ムにガスバリア性を付与するための塗布剤は、ガスバリ
ア性を有するPVAを、水または有機溶剤と水との溶媒
に溶解し、このPVA溶液に架橋剤であるアジリジン化
合物を、PVAとアジリジン化合物との固形分比(配合
比)が所定の割合となるように添加して調整する。この
PVA塗布剤を、プラスチックフィルム上に塗布して乾
燥させる。塗布剤が乾燥した状態での層の厚さは、約1
μmである。続いて、塗布剤が乾燥した後、例えば、4
0℃にて所定時間エージングして、ガスバリア性フィル
ムを形成する。なお、アジリジン化合物とは、下記のア
ジリジン官能基を有する化合物である。
記の実験によって、例えば、PVAの透明性を維持した
ままで、ガスバリア性と高湿度下での密着性が維持され
ることが判った。
リア性フィルムの製造方法について説明する。本実施形
態において、ガスバリア性フィルムの基材としては、プ
ラスチックフィルムが飽和ポリエステルであるポリエチ
レンテレフタレート(以下、PETと称する)が用いら
れる。PETにガスバリア性を付与するための塗布液と
して、ガスバリア性の優れたPVAを、イソプロピルア
ルコール(以下、IPAと称する)等の有機溶剤と水と
の溶媒に溶解する。この溶液に、上記のアジリジン官能
基を有するアジリジン化合物を、PVAとアジリジン化
合物との固形分比が配合比で、100/1〜100/8
となるように添加する。なお、アジリジン化合物は、P
VAの架橋剤である。続いて、PVAとアジリジン化合
物との組成物の塗布剤を、PETフィルムに塗布して乾
燥させる。この積層体を40℃にて所定時間エージング
して、PETフィルムによるガスバリア性フィルムを形
成する。
は、変性されていない分子構造のものより、有機酸によ
る変性した変性PVAが好ましい。
リア性フィルムの製造方法について、以下の製造工程で
説明する。 (1)PVAを、IPA等の有機溶剤と水との配合比
が、IPA/水=20/80である溶媒に溶解して、6
%溶液を調整する第1の工程と、(2)PVAと架橋剤
であるアジリジン化合物との固形分の配合比が100/
1乃至100/8となるように、第1の工程で得られた
溶液にアジリジン化合物を添加する第2の工程と、
(3)第2の工程で調整されたPVA塗布液(PVAと
アジリジン化合物の組成物)をプラスチックフィルムの
基材に塗布して乾燥させた積層体を形成する第3の工程
と、(4)前記積層体をエージングする第4の工程と、
を有するガスバリア性フィルムの製造方法である。
性されていない分子構造のものより、有機酸により変性
した変性PVAが好ましい。
リア性フィルムの製造方法について、以下の製造工程で
説明する。 (1)PVA((株)クラレ製、ポバール105)を、
IPA等の有機溶剤と水の配合比が、IPA/水=20
/80である溶媒に溶解して、PVAの6%溶液を調整
する第1の工程と、(2)PVAと架橋剤であるアジリ
ジン化合物との固形分の配合比が100/1乃至100
/8となる前記溶液にアジリジン化合物を添加して、P
VA塗布液を調整する第2の工程と、(3)第2の工程
で調整されたPVA塗布液(PVAとアジリジン化合物
との組成物)を、ポリエステルフィルム(以下、PET
と称する)(東洋紡績(株)製、E5100、厚さが1
2μm)の基材上にワイヤーバーにて塗布し、乾燥状態
で約1μmの厚さの塗膜を形成する第3の工程と、
(4)第3の工程によるPVA塗布液を乾燥させた積層
体を、40℃にてエージングする第4の工程と、を有す
るガスバリア性フィルムの製造方法である。
リア性フィルムの製造方法について、以下の製造工程で
実施することができる。 (1)変性PVA((株)クラレ製、ポバール、KM−
118M)を、IPA等の有機溶剤と水との配合比が、
IPA/水=20/80である溶媒に溶解して、PVA
の6%溶液を調整する第1の工程と、(2)変性PVA
と架橋剤であるアジリジン化合物との固形分の配合比が
100/1乃至100/8となる前記溶液に、アジリジ
ン化合物を添加してPVA塗布液を調整する第2の工程
と、(3)第2の工程のPVA塗布液(変性PVAとア
ジリジン化合物との組成物)をPET(東洋紡績(株)
製、E5100、厚さが12μm)の基材上にワイヤー
バーにて塗布し、乾燥状態で約1μmの厚さの塗膜を形
成する第3の工程と、(4)第3の工程によるPVA塗
布液を乾燥させた積層体を、40℃にてエージングする
第4の工程と、を有するガスバリア性フィルムの製造方
法である。
化合物は、下記に示す多官能アジリジン化合物(相互薬
工(株)製のTAZM、又は日本触媒(株)製ケミタイ
トPZ−33)が好ましい。さらに、PVAは、カルボ
ン酸変性PVA((株)クラレ製、ポバールKM−11
8)が好ましい。
5のガスバリア性フィルムを形成した後、このガスバリ
ア性フィルムの片面または両面に他の基材をラミネート
加工してもよい。このラミネート加工方法としては、熱
可塑性樹脂を溶融押出しラミネートする方法、他のフィ
ルムまたはシートを公知の接着剤を用いてドライラミネ
ートする方法等が挙げられる。ラミネートする相手側の
樹脂またはフィルムあるいはシートとしては、ヒートシ
ール性を有するものがよく、例えば、溶融押出しする樹
脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低
密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン酢酸ポリエ
チレン(EVA)、アイオノマーが挙げられ、ドライラ
ミネートするフィルムまたはシートとしては、無延伸ポ
リプロピレン(CPP)、低密度ポリエチレン(LDP
E)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のフィ
ルムまたはシートが挙げられる。また、本実施形態のガ
スバリア性フィルムは、三方袋、ピロー包装、PTP包
装等の各種包装材料に用いることができる。
物(塗布剤)の実施形態は、上記実施形態から明らかで
あるが、ポリビニールアルコール、アジリジン化合物、
および水または水とアルコールの混合溶媒とを含むガス
バリア性組成物である。PVAを主体とするガスバリア
性組成物は、その溶媒として、水を使用することができ
る。また、この溶媒の乾燥性を向上させるためには、水
にアルコールを加えた混合溶媒とするとよい。なお、ア
ルコール含有量が多すぎるとPVAの溶解性が低下する
ため、水とアルコールとの混合割合としては、水/アル
コール=10/90〜30/70程度とし、特に水/ア
ルコール=20/80程度の割合で混合した溶媒が好ま
しい。アルコールとしては、メタノール、エタノール、
イソプロパノール、ブタノール等が挙げられる。アジリ
ジン化合物としては、上記に示した多官能アジリジン化
合物が好ましい。
ムについて、表1〜4を参照して説明する。本実施例
は、実施形態4,5の製造工程に従って、ガスバリア性
フィルムの製造を行った。先ず、本実施例Aの試料1
は、PVA((株)クラレ製、ポバール105)を、I
PAの有機溶剤と水との配合比が、IPA/水=20/
80である溶媒に溶解して、PVAが6%溶液となるよ
うに調整した。続いて、このPVAが6%の溶液に、室
温(低温)で架橋する架橋剤である多官能アジリジン化
合物(相互薬工(株)製のTAZM)を、PVAと多官
能アジリジン化合物との固形分の配合比が100/5と
なるように、100gの溶液に0.3gの多官能アジリ
ジン化合物を添加して、PVA塗布液を調整した。次
に、このPVA塗布液を、PET(東洋紡績(株)製E
5100 厚さ12μm)の基材上にワイヤーバーにて
塗布して乾燥させた。PVA塗布膜は、乾燥状態で約1
μmの厚さとした。その後、この積層体を40℃にてエ
ージングした。
ン酸変性PVA((株)クラレ製ポバールKM−118
M)を、IPAの有機溶剤と水の配合比が、IPA/水
=20/80である溶媒に溶解して、この溶媒にカルボ
ン酸変性PVAが6%溶液となるように調整した。カル
ボン酸変性PVAが6%の溶液に、それぞれに室温(低
温)で架橋する架橋剤である多官能アジリジン化合物
(相互薬工(株)製のTAZM)を、カルボン酸変性P
VAと多官能アジリジン化合物との固形分の配合比がそ
れぞれ100/1.5、100/3、100/5、10
0/10となるように、多官能アジリジン化合物を添加
して、PVA塗布液を調整した。例えば、配合比が10
0/5の場合、100gの溶液に0.3gの多官能アジ
リジン化合物を添加する。続いて、カルボン酸変性PV
Aと多官能アジリジン化合物との組成物であるPVA塗
布液を、試料1と同様に、PET(東洋紡績(株)製E
5100、厚さ12μm)の基材上にワイヤーバーにて
塗布し、乾燥状態で約1μmの厚さのPVA塗布膜を形
成した。その後、この積層体を40℃にてエージングし
た。
ア性フィルムについて、ガスバリア性試験(酸素の透
過度を測定)、密着性試験、高湿度保存性試験を行
って、それぞれの特性を調べた。表1は、その試験結果
を示している。
ると、ガス(酸素)バリア性は、試料1〜5に対し
て、23℃、0%Rh雰囲気下で酸素透過度測定装置
(OX−TRAN TWIN MOCON社製)を用い
て測定した。この試験では、PET上に、それぞれの塗
布剤を塗布した後、塗布剤を乾燥させて、エージングが
0日で酸素透過度の測定を行った。
対して、先ず、40℃にて表記載の日数でエージングし
た後、セロテープ(登録商標)剥離試験を行った。次
に、同試料のセロテープ剥離試験に用いていない部分を
利用して、剥離試験を行った。剥離試験では、ガスバリ
ア性フィルム塗剤面に、ポリウレタン系接着剤を用い
て、厚さが25μmの未延伸ポリプロピレンフィルム
(以下、CPPと称する)をドライラミネートにより貼
り合わせ、さらに40℃にて表記載の日数エージングし
た後、15mm幅に切断し、CPPと本実施例のフィル
ムのT形剥離により、剥離強度を求めた。以下の表で
は、セロテープ剥離試験において、塗膜が剥離しなかっ
たものを○とし、剥離したものを×とし、さらにT形剥
離試験(剥離試験〜)においては、剥離強度が、5
0gf/15mm(約0.49N/15mm)以下のも
のを×とし、基材破断または剥離強度が200gf/1
5mm(約1.96N/15mm)以下のものを○と
し、中間の剥離強度のものは、△とした。
本実施例の試料1〜5のガスバリア性フィルムを、40
℃にて30日養成した後、室温23℃、90%Rh下、
1週間保存し、15mm幅に切断してCPPと本フィル
ムの剥離強度を求めた。剥離強度の評価基準は、密着性
評価と同様である。
1の試料1の最も右の欄(「エージング40℃日」の
「14」とある欄)を例示して説明する。「エージング
40℃日」の「14」とは、先ず、試料1を作製した後
にガスバリア試験を行って、その後、試料1を40℃に
て14日間エージングしたことを示している。14日間
エージングした後にセロテープ剥離試験が行われ、その
結果が示されている。次に、剥離試験〜(T型剥離
試験)に進んでいる。このT型剥離試験の欄は、セロテ
ープ剥離試験で用いていない試料のガスバリア面にCP
Pフィルムをドライラミネートして、さらに40℃にて
所定日数(剥離強度の場合は3日)エージングを行っ
て試料を作製し、T型剥離試験を行った結果を示してい
る。T型剥離試験を行った試料のトータルのエージング
日数は、セロテープ剥離試験前のエージング日数に剥離
試験前のエージング日数を加えた日数である。すなわ
ち、「エージング40℃日」の欄の「14」の行の剥離
強度では、剥離強度前のエージングに日数14日に、
3日間を加算した17日間がエージングした日数とな
る。因みに、剥離試験の「14」欄では、エージング
日数14日に30日間を加算した44日間が合計のエー
ジング日数となる。
いPVAとカルボン酸変性PVAとの比較をすると、す
なわち、固形分の配合比(100/5)が等しい試料1
と試料4とで比較すると、カルボン酸変性PVAに多官
能アジリジン化合物を添加した塗布液が剥離試験では、
エージング時間が短いものであっても良好な特性を示し
た。一方、変性されていないPVAの場合は、トータル
の養成時間を11日以上、好ましくは17日以上とする
ことで、十分な特性を得ることができ、カルボン酸変性
PVAの場合には、トータルの養成時間を3日以上とす
ることで十分な特性を得ることができた。すなわち、変
性されていないPVAに多官能アジリジン化合物を添加
した塗布液の場合でも、エージング時間を長くすること
によって、十分な特性を得ることができることが明確に
なった。
/1.5(試料2)が表1に示されているが、エージン
グ時間を長くすることによって、100/1でも良好な
特性を示すことが明らかになった。また、配合比が10
0/10では、湿気を吸収して密着性が悪化して好まし
くなく、従って、配合比が100/1〜100/5の範
囲が最も好ましいが、多官能アジリジン化合物の添加量
を増やした場合、100/8(図示なし、)が限界であ
ることが明らかになった。従って、許容できる配合比の
範囲は、100/1〜100/8の範囲である。
架橋剤としての多官能アジリジン化合物の効果を検証す
るために、比較例1,2を作成して、上記〜の試験
を行った。その試験結果は、表2に示した。
ン化合物を添加しなかったPVAと変性PVAの塗布液
で製造した場合、剥離試験において、50gf/15m
m(約0.49N/15mm)以下であり、密着性が極
めて悪いことを示している。PVAとカルボン酸変性P
VAと差異による優位性がないことを示した。すなわ
ち、試料1〜5に示したように、多官能アジリジン化合
物がPVAとカルボン酸変性PVAの架橋剤として有効
であることを示している。
化合物の有効性を検証するために、多官能アジリジン化
合物以外の架橋剤であるポリエチレンイミン(以下、p
eiと称する)を用いた比較試料1〜4の試験結果を表
3,表4に示した。
強度が不十分であることは明確である。また、peiの
分子量(70000)と分子量(10000)との差異
は、明確ではないし、PVAと変性PVAとの塗布液の
差異も明確でなく、peiは、架橋剤として有効性はな
い。従来例2では、ポリオレフィンフィルムの基材に対
してpeiが水性アンカー層として効果的があると記載
されているが、本比較試料1,2では、基材がPETフ
ィルムであり、アンカー剤としての効果はないことが明
らかになった。従って、表1に示した試料1〜4が効果
的であることを示している。
〜5のカルボン酸変性PVA塗布膜の乾燥膜厚、及び比
較例のPVA塗布膜及びカルボン酸変性PVAの乾燥膜
厚が約1μmとし、比較試料1〜4は、PVA塗布膜及
びカルボン酸変性PVAの乾燥膜厚が約3μmとした。
を測定)では、ガスバリア性の酸素透過度は、何れの試
料も1cc/m2 /atm(乾燥雰囲気中、室温23
℃)未満であった。因みに、基材のPETの厚さが12
μmの場合では、酸素透過度が約100cc/m2 /
atm(乾燥雰囲気中、室温23℃ )であった。従っ
て、比較例、比較試料ともに、酸素バリア性は優れてい
た。なお、PET上に、それぞれのPVA塗布剤を塗布
した後、塗布剤を乾燥させて、エージングが0日で酸素
透過度の測定を行った。
では、良好な結果が得られたのに対し、各比較例、各比
較試料ともに劣っていた。
PVAのガスバリア性を維持したまま1液塗布で、基材
(PET)との密着性を向上させることができる効果を
有するとともに、高湿度下(90%Rh)においても基
材(PET)との密着性を維持することができるガスバ
リア性フィルム、そのガスバリア性組成物、ガスバリア
性フィルムの製造方法を提供することができることが明
らかになった。
Claims (5)
- 【請求項1】 ポリビニールアルコール、アジリジン化
合物、および水または水とアルコールとの混合溶媒とを
含むことを特徴とするガスバリア性組成物。 - 【請求項2】 アジリジン化合物を添加したポリビニル
アルコール塗布剤をプラスチックフィルム上に塗布して
エージングしたフィルムであることを特徴とするガスバ
リア性フィルム。 - 【請求項3】 前記アジリジン化合物が多官能アジリジ
ン化合物であることを特徴とする請求項2に記載のガス
バリア性フィルム。 - 【請求項4】 アルコールと水との溶媒にポリビニルア
ルコールを溶解した溶液を調整する第1の工程と、 前記溶液にポリビニルアルコールとアジリジン化合物と
の固形分比が100/1乃至100/8となるようにア
ジリジン化合物を添加する第2の工程と、 前記第2の工程の組成物をプラスチックフィルムの基材
上に塗布して乾燥された積層体を形成する第3の工程
と、 前記積層体をエージングする第4の工程と、 を有することを特徴とするガスバリア性フィルムの製造
方法。 - 【請求項5】 前記アジリジン化合物が多官能アジリジ
ン化合物であることを特徴とする請求項4に記載のガス
バリア性フィルムの製造方法。
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