JP2008265155A - 積層体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、プラスチック基材上に少なくとも接着層とシーラント層がこの順序で設けられてなる積層体であって、特に、優れたラミネート強度を有し、かつ揮発性物質が含まれている各種強浸透性内容物が作用してもプラスチック基材とシーラント層間のラミネート強度が低下せず、さらには一工程で積層体を作製可能であり生産性を向上させた積層体およびその製造方法を提供することにある。
【解決手段】プラスチック基材上に、少なくとも接着層とシーラント層がこの順序で設けられていて、前記接着層が少なくとも尿素結合を有し、その厚みが1μm以下であることを特徴とする積層体およびその製造方法である。
【選択図】図1
【解決手段】プラスチック基材上に、少なくとも接着層とシーラント層がこの順序で設けられていて、前記接着層が少なくとも尿素結合を有し、その厚みが1μm以下であることを特徴とする積層体およびその製造方法である。
【選択図】図1
Description
本発明は、特に、優れたラミネート強度を有し、かつ揮発性物質が含まれている各種強浸透性内容物が作用してもプラスチック基材とシーラント層間のラミネート強度が低下しない積層体およびその製造方法に関するものである。
従来、食品や医薬品などを包装するための包装材料として、例えば、紙層/ポリエチレン層/アルミ箔層/ポリエステル層/シーラント層のような各層が積層されてなる積層体が広く使用されてきた。この積層体のポリエステル層(プラスチック基材)とシーラント層との貼り合わせは、通常はポリエステルフィルムからなるポリエステル層に接着層として二液硬化型ポリウレタン系などのアンカーコート剤を塗布してから、シーラント層を押出ラミネートすることにより行っていた。そして、このような積層体は適度のラミネート強度やガスバリア性などを有しており、食品や医薬品などを包装するための包装材料として広く使用されている。
しかしながら、包装材料により包装される内容物には、例えば酸性物質、アルカリ性物質、香料、界面活性剤、有機溶剤などの揮発性物質が含まれているので、前述した二液硬化型ポリウレタン系などのアンカーコート剤を使用して得られる積層体を包装材料として使用し、これらの内容物を包装した場合、揮発性物質の強い浸透力によってアンカーコート剤が悪影響を受け、プラスチック基材とシーラント層間のラミネート強度が経時的に低下し、その結果デラミネーション(剥離)を引き起こすことがあった。
このようなデラミネーションは、上記した積層体のラミネート加工に際して使用されるアンカーコート剤、例えばポリエステルポリオールなどの主剤とイソシアネート化合物からなる硬化剤を配合した二液硬化型ポリウレタン系からなる接着層に上記強浸透性内容物が悪影響を及ぼし、接着層の主剤樹脂成分の膨潤や分子量低下を招き、接着層の凝集力が低下したような時に起きるものと考えられる。
このような状況の下、プラスチック基材上に少なくとも接着層を介してシーラント層が設けられてなる積層体において、揮発性物質が含まれている各種強浸透性内容物が作用してもプラスチック基材とシーラント層間のラミネート強度が低下しない、包装材用途に好適に使用できる積層体の開発が強く望まれていた。
そこで、ラミネート加工に際して使用される接着層としてのアンカーコート剤の検討が種々行われており、基材上に少なくとも接着層とシーラント層がこの順序で設けられていて、その接着層がアミン含有ポリマーからなる第1接着層とイソシアネート化合物からなる第2接着層とを順設してなる二層構成からなる積層体であり、特に、優れたラミネート強度を有し、かつ揮発性物質が含まれている各種強浸透性内容物が作用しても基材とシーラント層間のラミネート強度が低下しない積層体が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、アミン含有ポリマーとイソシアネート化合物を同時に混合すると、それらの反応性が高いために直後にゲル化してしまい塗工が困難で、接着層を形成する際には必ず別々に層を形成する必要があった。そのため、接着層を形成するのに塗工部が必ず2カ所必要となり、例えば、押出ラミネーターを使用してこの積層体を作製する際は、接着層となるアンカーコート剤塗工部は通常1カ所しか存在しないため、基材に第1接着層であるアミン含有ポリマーを形成するためには、あらかじめロールコーターやグラビアコーターでオフライン塗工し、その後押出ラミネーターで第2接着層のアンカーコート剤であるイソシアネート化合物を塗工しながらシーラントを押出ラミネートしていた。この積層体の作製方法では、二工程必要となり生産性に劣るものであった。
特開2004−249656号公報
本発明は、上記の従来の問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、プラスチック基材上に少なくとも接着層とシーラント層がこの順序で設けられてなる積層体であって、特に、優れたラミネート強度を有し、かつ揮発性物質が含まれている各種強浸透性内容物が作用してもプラスチック基材とシーラント層間のラミネート強度が低下せず、さらには一工程で積層体を作製可能であり生産性を向上させた積層体およびその製造方法を提供することにある。
上記課題の解決手段として、
請求項1に記載の発明は、プラスチック基材上に、少なくとも接着層とシーラント層がこの順序で設けられていて、前記接着層が少なくとも尿素結合を有し、その厚みが1μm以下であることを特徴とする積層体である。
請求項1に記載の発明は、プラスチック基材上に、少なくとも接着層とシーラント層がこの順序で設けられていて、前記接着層が少なくとも尿素結合を有し、その厚みが1μm以下であることを特徴とする積層体である。
また、請求項2に記載の発明は、前記接着層がアミン含有ポリマーとブロックイソシアネートとが反応してなる混合物であることを特徴とする請求項1記載の積層体である。
また、請求項3に記載の発明は、前記アミン含有ポリマー中のアミンとブロックイソシアネート中のイソシアネートの混合当量が、アミン:イソシアネート=1.0:(0.8〜2.0)であることを特徴とする請求項2に記載の積層体である。
また、請求項4に記載の発明は、前記ブロックイソシアネートのブロック化剤が、少なくともオキシム系化合物、アミド系化合物、活性メチレン系化合物、ピラゾール系化合物から選ばれるいずれか1種類以上の化合物からなることを特徴とする請求項2または3に記載の積層体である。
また、請求項5に記載の発明は、前記ブロックイソシアネート中のイソシアネート化合物が、2官能のイソシアネートモノマー、またはアダクト、ビューレット、イソシアヌレートタイプの3官能化させたモノマーの誘導体であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の積層体である。
また、請求項6に記載の発明は、プラスチック基材上にアミン含有ポリマーとブロックイソシアネートとの混合物からなる厚みが乾燥状態で1μm以下の接着層を設け、この接着層上にシーラント層を積層した直後、熱ラミネートにより圧着させることを特徴とする積層体の製造方法である。
本発明の積層体は、プラスチック基材層と接着層とシーラント層の少なくとも三層により構成され、しかもその接着層が強浸透性内容物の影響を受けず、かつ非常に薄くて緻密な層を形成しているため、プラスチック基材に対して優れたラミネート強度を示す。よって、例えば酸性物質、アルカリ性物質、香料、界面活性剤、有機溶剤などの揮発性物質が含まれている各種強浸透性内容物を保存する包装材料として使用してもプラスチック基材とシーラント層間のラミネート強度が低下することがなく、デラミネーションを起こすこ
ともない。また、積層体を一工程で作製可能であり、生産性を向上させることが可能となった。
ともない。また、積層体を一工程で作製可能であり、生産性を向上させることが可能となった。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の積層体のについてその一実施例を示す断面図である。本発明の積層体の一例として、図1で示すように、プラスチック基材1上に、少なくとも接着層2とシーラント層3がこの順序で設けられていて、前記接着層2が少なくとも尿素結合を有し、その厚みが1μm以下である構成の積層体10である。
本発明の積層体を構成するプラスチック基材1としては、ポリエステルフィルムのノーマルタイプ、共重合タイプ、易接着タイプなど、ナイロンフィルムのノーマルタイプ、易接着タイプなど、ポリプロピレンフィルムの未静防タイプ、静防タイプなど、様々なタイプのものが使用可能である。また、脂肪族ポリエステルフィルム、脂肪族芳香族ポリエステルフィルムも使用可能である。その具体的な構成材料としては、乳酸を主成分とするポリマー、例えば、乳酸のみからなるホモポリマーや、乳酸を主成分とし乳酸以外のモノマー、例えばリンゴ酸、グリコール酸などのオキシ酸、3−ヒドロキシブチレート、3−ヒドロキシヴァリレート、カプロラクトン、およびコハク酸、アジピン酸などのジカルボン酸類とエチレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのジオール類などを共重合したコポリマー、あるいはこれらの混合物などが使用可能である。それに加えて、コハク酸、アジピン酸、テレフタル酸などのジカルボン酸類と、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのジオール類との共重合体、例えばテレフタル酸を有するポリエチレンテレフタレート−サクシネート、ポリブチレンアジペート−テレフタレート、ポリテトラメチレンアジペート−テレフタレートなども使用可能である。それらの一方の面にコロナ処理などの表面処理がなされていてそれらの上に接着層2が安定的に形成できるようになっていれば、いずれのタイプのフィルムでも基材として使用可能である。また、その厚みに関しても特に限定されるものではない。
また、前記プラスチック基材1上に無機酸化物からなる蒸着薄膜層を設けたフィルムでも使用可能で、蒸着薄膜層は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化錫あるいはそれらの混合物などの蒸着膜からなり、酸素や水蒸気などのガスバリア性を有するものであればよい。その中でも特に、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、および酸化マグネシウムが酸素透過率および水蒸気透過率に優れるので好ましい。
前記プラスチック基材1上に無機酸化物からなる蒸着薄膜層を設ける際には、蒸着薄膜層との密着性を良くするために前処理としてコロナ処理、低圧プラズマ処理、大気圧プラズマ処理、フレーム処理、イオンボンバード処理などの表面処理を施しておいてもよく、さらに薬品処理、溶剤処理などの表面処理を施してもかまわない。また、必要に応じて無機化合物を有する蒸着用プライマーを各種プラスチック基材1に応じて選定することが可能である。さらに、金属箔並の高度なガスバリア性を付与するために蒸着薄膜層上に無機化合物を有するガスバリア性被膜層を設けてもかまわない。
前記プラスチック基材1上に積層される接着層2は、厚みが1μm以下であって、少なくとも尿素結合を有し、さらにはアミン含有ポリマーとブロックイソシアネートとの反応物からなっている。この接着層2の形成方法としては、プラスチック基材1上に、アミン含有ポリマーとブロックイソシアネートの混合物をその固形分割合を0.05〜5wt%、好ましくは0.1〜2wt%の割合で含む塗工液を塗工して設ければよい。また、この接着層2の厚みは薄い方が好ましく、具体的にはその乾燥時の厚みが1μm以下の薄層となるように設ければよい。1μm以上では、溶媒を飛ばすための乾燥に時間が掛かり乾燥不足で強浸透性内容物耐性の発現が思わしくなくなることがある。
上記の方法でプラスチック基材1上に接着層2を形成し、接着層2上にシーラント層3を形成した後、熱ラミネートを施すことにより強浸透性内容物耐性が発現する。ブロックイソシアネートは、ブロック化剤を用いて不飽和結合を有するイソシアネート化合物のイソシアネート基をブロック化したもので、通常140〜200℃の加熱により活性イソシアネートを再生することが可能である。この熱ラミネート時の加熱により、接着層2で生成した活性イソシアネート基とアミン含有ポリマー中のアミノ基が反応し、尿素結合による三次元的な架橋構造を形成することにより強浸透性内容物耐性が発現する。
前記接着層2としてのアミン含有ポリマーとしては、1級アミン、2級アミン、3級アミンなどアミノ基を有するポリマーであればよく、例えば、ポリエチレンイミン、側鎖にエチレンイミン鎖を有するポリマーなどの水系あるいは溶剤系のいずれのものが使用可能である。それらの中では数平均分子量が10,000〜100,000程度のものが好ましく用いられる。ただし、アミン含有ポリマーとブロックイソシアネートとの相溶性を考慮して、両者ともに水系あるいは溶剤系に統一した方が好ましい。
前記接着層2としてのブロックイソシアネートのブロック化剤としては、オキシム系化合物、アミド系化合物、活性メチレン系化合物、ピラゾール系化合物が挙げられ、それらの例としてアセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、ε−カプロラクタム、マロン酸ジメチル、アセト酢酸メチル、3,5−ジメチルピラゾールなどが挙げられ、これら以外にも、フェノール系、アルコール系、イミダゾール系、尿素系などのブロック化剤を使用することが可能であり、特に制限を受けるものではない。また、これらのブロック化剤は単独で使用しても2種以上の併用でもかまわない。
前記接着層2としてのブロックイソシアネート中のイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびその水素添加体などの各種ジイソシアネート系モノマーが具体的に挙げられる。また、これらのジイソシアネートモノマーを、トリメチロールプロパンやグリセロールなどの3官能の活性水素含有化合物と反応させたアダクトタイプや、水と反応させたビューレットタイプや、イソシアネート基の自己重合を利用したトリマー(イソシアヌレート)タイプなど3官能性の誘導体やそれ以上の多官能性の誘導体を使用してもかまわない。
前記接着層2を構成するアミン含有ポリマー中のアミンとブロックイソシアネート中のイソシアネートの混合当量について、アミン1.0に対して、イソシアネート0.8〜2.0が好ましい。イソシアネートが0.8以下であると、よりアミンリッチな接着層2が得られ水に弱い層となってしまい、結果的に各種強浸透性内容物を保存した際、プラスチック基材1とシーラント層3間のラミネート強度が低下してデラミネーションを起こす。また、イソシアネートが2.0以上であると、アミンとイソシアネートが反応して生成した尿素結合の架橋密度が低くなり、同じく各種強浸透性内容物を保存した際、プラスチック基材1とシーラント層3間のラミネート強度が低下してデラミネーションを起こす。以上のことから、アミン1.0に対して、イソシアネート0.8〜2.0にすることによりプラスチック基材1と接着層2間、および接着層2とシーラント層3間の双方に十分なラミネート強度が得られ、揮発性物質が含まれている各種強浸透性内容物の影響を受けない接着層2が得られる。
前記接着層2上に積層されるシーラント層3としては、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂などからなる層である。具体的には、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体などのエチレン系樹脂や、
ホモ・ブロック・ランダムの各ポリプロピレン樹脂や、プロピレン−αオレフィン共重合体などのプロピレン系樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体やエチレン−メタクリル酸共重合体などのエチレン−α,β不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチルやエチレン−アクリル酸エチルやエチレン−メタクリル酸メチルやエチレン−メタクリル酸エチルなどのエチレン−α,β不飽和カルボン酸共重合体のエステル化物、カルボン酸部位をナトリウムイオン、亜鉛イオンで架橋した、エチレン−α,β不飽和カルボン酸共重合体のイオン架橋物、エチレン−無水マレイン酸グラフト共重合体やエチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸のような三元共重合体に代表される酸無水物変性ポリオレフィン、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体などのエポキシ化合物変性ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体から選ばれる樹脂の単体あるいは2種以上のブレンド物などが具体的に挙げられる。
ホモ・ブロック・ランダムの各ポリプロピレン樹脂や、プロピレン−αオレフィン共重合体などのプロピレン系樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体やエチレン−メタクリル酸共重合体などのエチレン−α,β不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチルやエチレン−アクリル酸エチルやエチレン−メタクリル酸メチルやエチレン−メタクリル酸エチルなどのエチレン−α,β不飽和カルボン酸共重合体のエステル化物、カルボン酸部位をナトリウムイオン、亜鉛イオンで架橋した、エチレン−α,β不飽和カルボン酸共重合体のイオン架橋物、エチレン−無水マレイン酸グラフト共重合体やエチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸のような三元共重合体に代表される酸無水物変性ポリオレフィン、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体などのエポキシ化合物変性ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体から選ばれる樹脂の単体あるいは2種以上のブレンド物などが具体的に挙げられる。
また、脂肪族ポリエステルや脂肪族芳香族ポリエステルも使用可能である。その具体的な構成材料としては、コハク酸、アジピン酸などのジカルボン酸類と、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのジオール類との共重合体(例えば、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート−アジペート)、微生物産生のポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレート−ヴァリレート、ポリヒドロキシブチレート−ヘクサノエート、乳酸、リンゴ酸、グリコール酸などのオキシ酸の重合体またはこれらの共重合体、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクトン−ブチレンサクシネート、アミド結合を有するポリエステル、カーボネート結合を有するポリエステルなどの脂肪族ポリエステル、あるいはテレフタル酸を有するポリエチレンテレフタレート−サクシネート、ポリブチレンアジペート−テレフタレート、ポリテトラメチレンアジペート−テレフタレートなどの脂肪族芳香族ポリエステルから選ばれる樹脂の単体あるいは2種以上のブレンド物などが挙げられる。これらの構成材料には、必要に応じて各種添加剤(酸化防止剤、粘着付与剤、充填剤、各種フィラーなど)を添加しても構わない。
本発明の積層体において、プラスチック基材1およびシーラント層3としてともに脂肪族ポリエステルまたは脂肪族芳香族ポリエステルを使用すると、強浸透性内容物耐性だけでなく、生分解性機能も併せ持つこととなる。このときプラスチック基材1とシーラント層3間に存在する接着層2は生分解性を有していないが、接着層2の厚みが1μm以下の非常に薄い層であるために積層体の生分解性を阻害することはない。
以上、本発明に係る積層体について説明したが、本発明の積層体は上記のような構成のものに限定されるものではなく、包装材料としての用途を考慮し、包装材料として要求される剛性や耐久性などを向上する目的で、他の層を介在させた構成であってもよい。
このような構成の積層体は、例えば次のようにして作製できる。すなわち作製方法の一例としては、前記したプラスチック基材1上に、アミン含有ポリマーとブロックイソシアネートの混合物をその固形分割合を0.05〜5wt%、好ましくは0.1〜2wt%の割合で含む塗工液を、接着層2の厚みが1μm以下となるようにグラビアコーティング、ロールコーティングなどの塗工方法で塗工して接着層2を設けた後、この接着層2上に、ポリエチレンなどからなるシーラント層3を押出ラミネート法により積層した直後に140〜200℃の温度で熱ラミネートを施す方法、あるいはポリエチレンフィルムなどからなるシーラント層3を140〜200℃の温度で熱ラミネート法により積層する方法にて、プラスチック基材1層/接着層2/シーラント層3の積層構成になる積層体を得ることができる。
以上のような作製方法によれば、プラスチック基材1層と接着層2間、および接着層2とシーラント層3間の初期強度が良好で、かつ揮発性物質が含まれている各種強浸透性内容物が作用してもプラスチック基材1層と接着層2間、および接着層2とシーラント層3
間のラミネート強度が低下せず、また、材料を選定することにより生分解性をも有する積層体を作製することができる。さらには、積層体を一工程で作製可能であり、生産性を向上させることが可能となった。以下、本発明の実施例を述べる。
間のラミネート強度が低下せず、また、材料を選定することにより生分解性をも有する積層体を作製することができる。さらには、積層体を一工程で作製可能であり、生産性を向上させることが可能となった。以下、本発明の実施例を述べる。
プラスチック基材として一方の面にコロナ処理を施した厚みが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、このコロナ処理面に接着層として数平均分子量50,000のポリエチレンイミンとメチルエチルケトンオキシムでイソシアネートをブロック化した水系ノニオン型イソシアネートを、混合当量がアミン:イソシアネート=1.0:0.8になるよう調製した固形分割合が2wt%の塗工液を使用して接着層を形成しながら、シーラント層として厚み40μmの低密度ポリエチレンをダイ下温度320℃、加工速度80m/minで押出ラミネート法により押し出して前記接着層とシーラント層を積層させた直後、200℃の温度で熱ラミネートを施し、実施例1に係る積層体を得た。接着層の乾燥後の厚みは0.21μmであった。
プラスチック基材として一方の面にコロナ処理を施した厚みが15μmのナイロンフィルムを使用し、接着層として1級アミングラフトアクリル系ポリマーとメチルエチルケトンオキシムでイソシアネートをブロック化したイソホロンジイソシアネートのアダクトタイプを、混合当量がアミン:イソシアネート=1.0:1.0になるよう調製した塗工液を使用し、シーラント層としてエチレン−メタクリル酸共重合体を使用した以外は実施例1と同様の方法で実施例2に係る積層体を得た。このときのダイ下温度は280℃であった。
プラスチック基材として一方の面にコロナ処理を施した厚みが20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、接着層として1級アミングラフトアクリル系ポリマーとε−カプロラクタムでイソシアネートをブロック化したトリレンジイソシアネートのアダクトタイプを、混合当量がアミン:イソシアネート=1.0:1.3になるよう調製した塗工液を使用し、シーラント層として亜鉛アイオノマーを使用した以外は実施例1と同様の方法で実施例3に係る積層体を得た。このときのダイ下温度は300℃であった。
プラスチック基材として一方の面にコロナ処理を施し、その面に酸化アルミニウム蒸着層を形成させた厚みが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、この蒸着層上に接着層として1級アミングラフトアクリル系ポリマーとマロン酸ジメチルでイソシアネートをブロック化したヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートタイプを、混合当量がアミン:イソシアネート=1.0:1.7になるよう調製した固形分割合が2wt%の塗工液を使用して接着層を形成させた後、この接着層上にシーラント層として厚み40μmのランダムポリプロピレンフィルムを用いて200℃の温度で熱ラミネートを施し、実施例4に係る積層体を得た。接着層の乾燥後の厚みは0.23μmであった。
プラスチック基材として一方の面にコロナ処理を施した厚みが25μmのポリ乳酸フィルムを使用し、接着層として1級アミングラフトアクリル系ポリマーと3,5−ジメチルピラゾールでイソシアネートをブロック化したヘキサメチレンジイソシアネートのビューレットタイプを、混合当量がアミン:イソシアネート=1.0:2.0になるよう調製した塗工液を使用し、シーラント層としてポリブチレンサクシネートフィルムを使用した以外は実施例4と同様の方法で実施例5に係る積層体を得た。
プラスチック基材として一方の面にコロナ処理を施した厚みが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、接着層として1級アミングラフトアクリル系ポリマーとメチルエチルケトンオキシムでイソシアネートをブロック化したキシリレンジイソシアネートのアダクトタイプを、混合当量がアミン:イソシアネート=1.0:0.3になるよう調製した塗工液を使用した以外は実施例1と同様の方法で、比較のための実施例6に係る積層体を得た。
プラスチック基材として一方の面にコロナ処理を施した厚みが15μmのナイロンフィルムを使用し、接着層として1級アミングラフトアクリル系ポリマーとε−カプロラクタムでイソシアネートをブロック化したトリレンジイソシアネートのアダクトタイプを、混合当量がアミン:イソシアネート=1.0:2.5になるよう調製した塗工液を使用し、シーラント層としてランダムポリプロピレンを使用した以外は実施例1と同様の方法で、比較のための実施例7に係る積層体を得た。このときのダイ下温度は275℃であった。
プラスチック基材として一方の面にコロナ処理を施した厚みが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、このコロナ処理面に1級アミングラフトアクリル系ポリマーの固形分割合が1wt%の塗工液をグラビアコーターにより塗工し、十分に乾燥して第1接着層を設けた。
次に、この第1接着層の上に、キシリレンジイソシアネートのアダクトタイプの固形分割合が1wt%の塗工液を使用して第2接着層を形成しながら、シーラント層として厚み40μmの低密度ポリエチレンをダイ下温度320℃、加工速度80m/minで押出ラミネート法により押し出して前記接着層とシーラント層を積層させ、実施例8に係る積層体を得た。合計した接着層の乾燥後の厚みは0.24μmであった。
以上のようにして得られた実施例1〜8のそれぞれの積層体のプラスチック基材、接着層、シーラント層の各々の材料をまとめて表1に示す。これらの積層体を用いて50℃、3日間エージングを行った後にパウチを作製し、内容物として湿布薬(揮発性の強浸透性物質としてサリチル酸メチルやメントールを含有)と、浴用剤(揮発性の強浸透性物質として香料成分を含有)をそれぞれ充填、密封し、40℃の恒温室内に放置した。
6カ月経過後にこれらのパウチを恒温室から取り出し、それぞれのパウチの各種プラスチック基材とシーラント層間のラミネート強度[N/15mm]を測定し、恒温室に入れる前のパウチにおける初期のラミネート強度と比較した。このときのラミネート強度の測定条件は、試料幅15mmのT型剥離で、剥離速度300mm/minとした。恒温室投入前と後におけるラミネート強度の測定結果と加工工程数とをまとめて表2に示す。
表2からも明らかなように、実施例1〜5に係る積層体の各種プラスチック基材とシーラント層間における初期のラミネート強度は、シーラント切れを示すほど強固であった。また、揮発性物質を含む湿布薬や浴用剤を入れて40℃で6ヵ月間保存したパウチにおいてもラミネート強度に変化はなく、初期のラミネート強度を十分に保っていた。さらに、積層体を一工程で作製可能であり、生産性を向上させることができた。
これに対して、実施例6〜7に係る積層体の各種プラスチック基材とシーラント層間における初期のラミネート強度は2〜3[N/15mm]と低く、揮発性物質を含む湿布薬や浴用剤を入れて40℃で6ヵ月間保存したパウチにおいてもラミネート強度に変化はないが、初期のラミネート強度と同様に低すぎるために包装材料の使用には適さないことが判明した。
また、実施例8に係る積層体の各種プラスチック基材とシーラント層間における初期のラミネート強度、および揮発性物質を含む湿布薬や浴用剤を入れて40℃で6ヵ月間保存したパウチにおけるラミネート強度ともにシーラント切れを示すほど強固であったが、積層体を作製するのに必ず二工程必要となり生産性に劣るものであった。
1・・・プラスチック基材
2・・・接着層
3・・・シーラント層
10・・・積層体
2・・・接着層
3・・・シーラント層
10・・・積層体
Claims (6)
- プラスチック基材上に、少なくとも接着層とシーラント層がこの順序で設けられていて、前記接着層が少なくとも尿素結合を有し、その厚みが1μm以下であることを特徴とする積層体。
- 前記接着層がアミン含有ポリマーとブロックイソシアネートとが反応してなる混合物であることを特徴とする請求項1記載の積層体。
- 前記アミン含有ポリマー中のアミンとブロックイソシアネート中のイソシアネートの混合当量が、アミン:イソシアネート=1.0:(0.8〜2.0)であることを特徴とする請求項2に記載の積層体。
- 前記ブロックイソシアネートのブロック化剤が、少なくともオキシム系化合物、アミド系化合物、活性メチレン系化合物、ピラゾール系化合物から選ばれるいずれか1種類以上の化合物からなることを特徴とする請求項2または3に記載の積層体。
- 前記ブロックイソシアネート中のイソシアネート化合物が、2官能のイソシアネートモノマー、またはアダクト、ビューレット、イソシアヌレートタイプの3官能化させたモノマーの誘導体であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の積層体。
- プラスチック基材上にアミン含有ポリマーとブロックイソシアネートとの混合物からなる厚みが乾燥状態で1μm以下の接着層を設け、この接着層上にシーラント層を積層した直後、熱ラミネートにより圧着させることを特徴とする積層体の製造方法。
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JP2012076822A (ja) * | 2010-10-06 | 2012-04-19 | Kyodo Printing Co Ltd | カッター、収納箱及びカートンブランクと、カッター及び収納箱の製造方法 |
JP2012228846A (ja) * | 2011-04-27 | 2012-11-22 | Toppan Printing Co Ltd | 積層体 |
JP2013078919A (ja) * | 2011-10-05 | 2013-05-02 | Hosokawa Yoko Co Ltd | 積層フィルムおよびその製造方法 |
JP2013129442A (ja) * | 2011-12-21 | 2013-07-04 | Toppan Printing Co Ltd | ヘアカラー1剤用のラミネートチューブ |
JP2013173258A (ja) * | 2012-02-24 | 2013-09-05 | Toppan Printing Co Ltd | 積層体、パウチ |
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2007
- 2007-04-20 JP JP2007111713A patent/JP2008265155A/ja active Pending
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