JPH06346031A - 粘着シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、再剥離性の良好な粘着シートの提
供を目的とする。 【構成】 基材／粘着剤層／セパレーターからなる粘着
シートにおいて、粘着剤層が非架橋を含んでもよい架橋
密度の異なる複数層からなり、セパレーター側に最も架
橋密度の高い層を形成してなることを特徴とする粘着シ
ート。 【効果】 本発明により、再剥離性、接着力、被着体汚
染性に優れ、特に接着力が高く被着体間格差の少ない粘
着シートが得られるようになった。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、紙、プラスチックフィ
ルム、布、不織布、金属箔、ゴム、発泡体などを基材と
する粘着シートに関する。さらに詳しくは、再剥離型の
粘着シートに関する。

【従来の技術】

【０００２】従来、粘着シートは、機能面から永久接着
タイプと再剥離タイプに分類されている。前者は被着体
に半永久的に貼っておくタイプであり、接着力は強いほ
ど良いとされている。一方、後者はセパレーターを剥離
して各種被着体に一定期間貼ったのち剥がすタイプであ
り、被着体を汚染しないことや被着体に対する接着力の
経時上昇が少ないことが要求されている。そのため、粘
着剤の組成面からは、再剥離タイプの方が永久接着タイ
プより凝集力を高める設計がなされ、樹脂に架橋剤を配
合し架橋反応させて粘着剤層を形成する方法が一般的で
あった。

【０００３】しかし、このように架橋により凝集力を高
める場合には、被着体汚染は少なくなるが、接着力が小
さくなる欠点が見られた。一方、架橋しない場合には、
接着力は高いものの被着体とシートを貼り合わせて経時
させた時、金属製の被着体では接着力が増大し、再剥離
性の低下や各種被着体への接着力の格差が大きくなるな
どの問題があった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、前記し
た再剥離タイプの粘着シートの欠点を改善すべく鋭意検
討を重ねた結果、セパレーター側の架橋密度が最も高く
なるように複数の架橋密度の異なる粘着剤層を設けるこ
とで再剥離性、接着力、被着体汚染性に優れ、特に接着
力が高く被着体間格差の少ない粘着シートが得られるこ
とを見出し、本発明に至った。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、基材／粘着剤
層／セパレーターからなる粘着シートにおいて、粘着剤
層が非架橋を含んでもよい架橋密度の異なる複数層から
なり、セパレーター側に最も架橋密度の高い層を形成し
てなる粘着シートを提供する。架橋密度の高い層は、被
着体界面層の表面自由エネルギーの変化を抑制するため
接着力が低下するが、接着力の被着体間格差や貼着経時
での上昇を防ぐことができる。したがって、架橋密度の
高い層と、架橋密度の低い層すなわち接着力の高い層と
を組み合わせることで、接着力と貼着経時での接着力の
上昇や被着体間格差の低減に優れた粘着シートを得るこ
とができる。以下、本発明の構成について詳しく説明す
る。

【０００６】本発明の粘着剤層においては、セパレータ
ー側に最も架橋密度の高い層を形成することを特徴とす
るが、この層の架橋密度としてはゲル分率 5〜90％、好
ましくは10〜80％が適当である。ゲル分率が 5％より低
いと接着力が高すぎて再剥離性や被着体汚染性が悪くな
り、90％より高いと接着力の低下が起こり実用性を失
う。また、膜厚は 0.5〜10μm が適当である。 0.5μm
未満では架橋効果が小さいために貼着経時で接着力の上
昇が大きくなるが、10μm を越えると接着力レベルが上
がらない。

【０００７】一方、架橋密度の低い層においては、架橋
密度を変えることにより目的に応じて任意に接着力を調
整することができ、ゲル分率は 0〜70％位が適当であ
る。なお、粘着剤層全体の膜厚は、 5〜30μm が適当で
ある。 5μm 未満では接着力が弱く、また30μm を越え
る場合には、経済性の面で必要性に乏しい。

【０００８】粘着剤としては、従来公知の粘着シートに
使用されている一般のアクリル系、ゴム系の粘着剤、す
なわち、溶剤系、エマルジョン系の架橋反応に関与する
官能基を有する樹脂に架橋剤を配合した粘着剤が使用で
きる。架橋密度の異なる複数の粘着剤層を形成するに
は、少なくとも２種類の架橋密度の異なる粘着剤を用意
するか、あるいは相溶性の異なる樹脂や架橋剤を組み合
わせる必要がある。その際、前記官能基の量が同じ樹脂
を使用して、配合する架橋剤の量を変える場合や架橋剤
量は同じで、樹脂の官能基の量を変えた組成物を組み合
わせる場合がある。

【０００９】架橋反応に関与する官能基を有する樹脂と
しては、例えば、カルボキシル基、水酸基、メチロール
基、アミノ基、アミド基、エポキシ基、燐酸基、スルホ
ン酸基、アジリジン基、ヒドラジン基、カルボニル基、
アセトアセチル基等の官能基を有するポリイソプレンゴ
ム、ポリイソブチレンゴム、スチレンブタジエンゴム、
スチレンイソプレンゴム、ブタジエンアクリロニトリル
等のゴム系樹脂、（メタ）アクリル酸エステル系樹脂、
ポリビニルエーテル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩
化ビニル酢酸ビニル共重合系樹脂、ポリスチレン系樹
脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩素
化オレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポ
リウレタン系樹脂等の任意の粘着性樹脂が挙げられる。

【００１０】配合する架橋剤は、前記樹脂の官能基によ
り異なり、例えば、官能基がカルボキシル基や水酸基の
場合には、従来公知のポリエポキシ化合物、ポリアジリ
ジン化合物、ポリイソシアネート化合物、金属キレート
化合物、ポリカルボジイミド化合物、ポリオキサゾリン
化合物、ポリメラミン化合物を使用することができる。
また、特殊な架橋系として、ヒドラジン／カルボニル系
やアセチルアセトネート／アミン系なども使用できる。

【００１１】粘着剤には、適当な粘着付与剤、例えば、
ロジン、ダンマル、重合ロジン、部分水添ロジン、エス
テルロジン、ポリテルペン系樹脂、テルペン変性体、石
油系樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、フェノール系樹
脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、クマロンインデ
ン系樹脂等を適当量添加することができ、さらに必要に
応じて増粘剤、消泡剤、軟化剤、充填剤、老化防止剤、
染料、金属粉、顔料、シランカップリング剤、防黴剤等
も添加することができる。

【００１２】基材としては、通常の粘着シートに使用で
きるものであればいずれでもよく、例えば、アルミニウ
ム、銅、鉄等の金属箔、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレ
ート／イソフタレート共重合体等のポリエステル樹脂、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等
のポリオレフィン樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化
ビニリデン、ポリ４フッ化エチレン、エチレン−４フッ
化エチレン共重合体等のポリフッ化エチレン系樹脂、ナ
イロン６、ナイロン6,6 等のポリアミド、ポリ塩化ビニ
ル、塩化ビニル／酢酸ビニル共重合体、エチレン／酢酸
ビニル共重合体、エチレン／ビニルアルコール共重合
体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合
体、三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹
脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチ
ル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等の
アクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポ
リアリレート、ポリイミド等の合成樹脂フィルムまたは
シート、上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙等の紙、
硝子繊維、天然繊維、合成繊維等の単層体または複数の
積層体が挙げられる。

【００１３】基材の厚みは特に限定されないが、通常12
〜200 μm 程度のものが用いられる。また、基材と粘着
剤層の投錨性を上げるために必要に応じて、基材の表面
をコロナ放電処理、プラズマ処理、プライマーコート、
脱脂処理、表面粗面化処理等公知の易接着処理を施して
もよい。

【００１４】一方、セパレーターとしては、基材で例示
した合成樹脂シート、紙、布、不織布等を離型処理した
ものを使用することができる。離型処理としては、例え
ばフッ素系樹脂、パラフィンワックス、モンタンワック
ス、合成ワックス等のワックス類や、シリコーン等の離
型剤を公知のベヒクル例えば、アクリル系樹脂、繊維素
系樹脂、ビニル系樹脂等に添加してなる塗料を基材に塗
布して該塗料の塗膜を形成したり、離型性の樹脂例え
ば、フッ素系樹脂、シリコーン、ポリシロキサン、メラ
ミン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、
電離放射線架橋型の多官能アクリレート、ポリエステ
ル、エポキシ、チタンキレート、ポリイミン等の樹脂を
基材に塗布して該樹脂の皮膜を形成したり、前記樹脂を
エクストルージョンコートなどで基材上にラミネートし
て離型層を 0.1〜1 μｍ程度の厚さに形成する方法が挙
げられる。

【００１５】本発明の粘着シートは、粘着剤を基材へ直
接塗工する直接塗工法や、粘着剤をセパレーターへ塗工
したのち基材と貼り合わせる転写塗工法などにより製造
される。得られた粘着シートは、40℃以下の温度でエー
ジング処理し、架橋反応を終了したのち使用することが
できる。直接塗工法においては、基材に架橋密度の低い
粘着剤を塗工した上に、架橋密度の高い粘着剤を塗工
し、次いでセパレーターを貼り合わせる。その際、下層
を乾燥した後に上層を塗工しても良いし、複数の層を塗
工した後に乾燥しても良い。塗工は、ロールコーティン
グ、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマ
コーティング、スクリーン印刷等の慣用の方法により行
われる。

【００１６】一方、転写塗工法においては、架橋密度の
高い粘着剤をセパレーターに塗工した後に架橋密度の低
い組成物を塗工し、次いで基材を貼り合わせる。塗工方
法については、直接塗工と同様の方法が使用できる。ま
た、セパレーターに前記方法にて架橋密度の高い粘着剤
を塗工乾燥したシートと、基材に架橋密度の低い粘着剤
を塗工乾燥したシートとを貼り合わせることによっても
本発明の粘着シートを製造することができる。

【００１７】

【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳しく説明
するが、本発明の技術思想に逸脱しない限り、本発明は
これらの実施例に何ら限定されるものではない。例中、
「部」とは「重量部」を、「％」とは「重量％」をそれ
ぞれ表す。 ＜合成例 １＞攪拌機、温度計、冷却器、滴下ロートお
よび窒素導入管を備えた４口フラスコにアクリル酸2-エ
チルヘキシル64部、アクリル酸n-ブチル90部、酢酸ビニ
ル40部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル 6部、酢酸エ
チル 290部を仕込んだ後、窒素気流下で系内温度75℃と
なるまで昇温した。次いで、あらかじめアゾビスイソブ
チロニトリル 0.4部および酢酸エチル10部を仕込んだ滴
下ロートから約３時間を要して系内に滴下し、更に５時
間同温度に保って重合反応を完結させ、固形分40.1％の
アクリル共重合体(A) の溶液を得た。

【００１８】＜合成例 ２＞合成例１と同様の反応装置
に、水 140部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
4部を仕込み窒素気流下で60℃迄加温攪拌した。次に、
過硫酸アンモニウム1.0部と水30部の水溶液、同じく亜
硫酸水素ナトリウム 0.4部と水30部の水溶液、アクリル
酸2-エチルヘキシル 180部、酢酸ビニル10部およびアク
リル酸10部のモノマー混合液の順にそれぞれ別々の口か
ら滴下し、３時間を要して反応を進行させた。この間温
度は80〜85℃に保ち、滴下終了後さらに２時間同温度で
反応を続け重合を完結させた。30℃以下に冷却してアン
モニア水にてPH７〜８に調整し固形分50.8％の共重合体
(B) のエマルジョンを得た。

【００１９】＜実施例 １＞合成例１で得られたアクリ
ル共重合体(A) 溶液 100部にポリイソシアネート化合物
（日本ポリウレタン工業社製「コロネートＬ」)1.3部を
混合して粘着剤組成物(C) を得た。一方、アクリル共重
合体(A) 溶液 100部に前記ポリイソシアネート化合物
0.7部を混合して粘着剤組成物(D) を得た。粘着剤組成
物(C) を乾燥膜厚が 5μm になるようにアプリケータで
セパレーターに塗布し、80℃で３分間乾燥させた。さら
にその上に乾燥膜厚が20μm になるように粘着剤組成物
(D) をアプリケータで塗布した後、80℃で３分間乾燥さ
せ、上質紙を貼り合わせ粘着シートを作成した。

【００２０】＜実施例 ２＞合成例２で得られた共重合
体(B) のエマルジョン 100部にポリエポキシ化合物（長
瀬化成社製「デナコール EX421」)1.2部を混合し粘着剤
組成物(E) を得た。さらに、共重合体(B) のエマルジョ
ン溶液 100部に前記ポリエポキシ化合物 0.4部を混合し
て粘着剤組成物(F) を得た。粘着剤組成物(E) を乾燥膜
厚が 5μm になるようにアプリケータでセパレーターに
塗布し、 100℃で２分間乾燥させた。また別途グロス紙
に乾燥膜厚が20μmになるようにアプリケータで粘着剤
組成物(F) を塗布した後、 100℃で２分間乾燥させ、前
記粘着剤層を有するセパレータと貼り合わせ粘着シート
を作成した。

【００２１】＜比較例 １＞粘着剤組成物(D) を乾燥膜
厚が 5μm になるようにアプリケータでセパレーターに
塗布し、80℃で３分間乾燥させた。さらにその上に乾燥
膜厚が20μm になるように粘着剤組成物(C) をアプリケ
ータで塗布した後、80℃で３分間乾燥させ、上質紙を貼
り合わせ粘着シートを作成した。

【００２２】＜比較例 ２＞粘着剤組成物(D) を乾燥膜
厚が25μm になるようにアプリケータでセパレーターに
塗布し、80℃で３分間乾燥させた後、上質紙を貼り合わ
せ粘着シートを作成した。 ＜比較例 ３＞粘着剤組成物(E) を乾燥膜厚が25μm に
なるようにアプリケータでセパレーターに塗布し、 100
℃で２分間乾燥させた後、上質紙を貼り合わせ粘着シー
トを作成した。

【００２３】実施例および比較例で得られた粘着シート
を以下に示す試験項目について評価した。結果を表１に
示す。 〔接着力試験〕厚さ0.4mm のステンレス板(SUS304)、硬
質塩化ビニル板、ポリプロピレン板の３種の被着体に、
１インチ幅の粘着シートを23℃で各々貼着し、JIS に準
じてロール圧縮した後、貼着直後、23℃で１日後、１週
間後の経時変化を引張試験機にて剥離強度(180°ピー
ル、引張速度300mm/分）を測定した。

【００２４】〔再剥離性試験〕粘着シートをステンレス
板に貼着した試料を23℃／65%RH で７日間放置した後、
再剥離性（被着体汚染性、浮き現象）を目視評価した。
評価結果は次に示す３段階で表現した。○：良好、△：
シワ、浮き等が部分的に発生している、×：シワや浮き
が著しく、被着体の汚染が見られる。 〔ゲル分率測定〕予め重量を測定しておいた粘着シート
を大量の酢酸エチルに室温で24時間浸けた後、乾燥前後
の重量変化を測定して抽出残存率（ゲル分率）を測定し
た。

【００２５】表１より、本発明の粘着シートは、再剥離
性に優れるだけでなく、高接着力を有し、かつ貼着後の
接着力の経時上昇や被着体間格差が少ないことがわか
る。

【００２６】

【表１】

【００２７】

【発明の効果】本発明の粘着シートは、高接着力を有
し、かつ貼着後の接着力の経時上昇や被着体間格差が少
ない特徴を有する。その結果、表面自由エネルギーの高
い被着体に貼着した場合にも再剥離、殊に時間が経過し
た後における再剥離を容易に行うことができる。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 基材／粘着剤層／セパレーターからなる
   粘着シートにおいて、粘着剤層が非架橋を含んでもよい
   架橋密度の異なる複数層からなり、セパレーター側に最
   も架橋密度の高い層を形成してなることを特徴とする粘
   着シート。
2. 【請求項２】 粘着シートが再剥離型であることを特徴
   とする請求項１記載の粘着シート。