JP2013173922A - 両面粘着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】不織布基材を有する両面粘着シートにおいて、高い粘着特性と良好な再剥離性とを兼ね備え、かつ面積当たりの質量が小さい両面粘着シートを提供する。
【解決手段】両面粘着シート1は、不織布基材10と、その第一面10Aおよび第二面10Bにそれぞれ設けられた粘着剤層21,22と、を備える。該両面粘着シート1は、面積当たりの質量が150g/m以下である。その質量のうち85%以上は、粘着剤層21,22の質量である。不織布基材10は、その構成繊維の25本数%以上の割合で、繊維径6μm以上のマニラ麻繊維を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、両面粘着シートに関し、詳しくは、粘着剤(感圧接着剤ともいう。以下同じ。)が不織布基材に支持された両面粘着シートに関する。
不織布基材の両面に粘着剤層を有する両面接着型の粘着シート(両面粘着シート)は、作業性がよく接着の信頼性の高い接合手段として、家電製品から自動車、OA機器等の各種産業分野において広く利用されている。
近年、省資源等の観点から、製品に使用されているリサイクル可能な部品については、使用済みの製品を分解して該部品またはその構成素材を再利用(リサイクル)することが多くなってきている。両面粘着シートを用いて他部品と接合されたリサイクル対象部品またはその構成素材を再利用する過程では、通常、リサイクル対象部品から両面粘着シートを引き剥がす(再剥離する)ことが求められる。この引き剥がしの際に、両面粘着シートの一部がリサイクル対象部品の表面に残留すると、かかる残渣をリサイクル対象部品から取り除く作業によってリサイクル工程の効率が著しく低下してしまう。上記残渣が発生する状況として、引き剥がしの途中で両面粘着シートが千切れる場合、両面粘着シートが不織布基材の内部で厚み方向に引き裂かれる態様の破壊(層間破壊)を起こす場合、リサイクル対象部品の表面に粘着剤の一部が残留(糊残り)する場合、等が挙げられる。かかる状況の改善(再剥離性の向上)に関する技術文献として、特許文献1〜3が挙げられる。
特開2006−143856号公報 特開2001−152111号公報 特開2000−265140号公報
ところで、上記のように接合手段として用いられる両面粘着シートには、粘着力に加えて、被着体の表面形状(凹凸、曲がり等)に対して良好に追随する性質(曲面接着性または耐反撥性としても把握され得る。)が要求されることが多い。上記追随性が不足すると、例えば、貼付面が非平面形状(曲面形状等)である部品の接合に使用された場合に、接合部の浮き、剥がれ等が生じやすくなるためである。リサイクル対象部品に貼り付けて用いられる両面粘着シートにおいても、リサイクルを行わない場合と同様に、該両面粘着シートの本来の使用目的を果たすに足る粘着性能(粘着力、曲面接着性等)が併せて要求されることは言うまでもない。したがって、かかる態様で使用され得る両面粘着シートには、被着体に対する良好な粘着性能と該被着体からの良好な再剥離性という相反する機能を、高度に両立させることが求められる。
また、いかに再剥離性に優れた両面粘着シートであっても、剥離作業の不手際による剥がし損ね、剥がし忘れ、リサイクル前における両面粘着シートの損傷等の不測の事態により、両面粘着シートまたはその残渣が付着したままのリサイクル対象部品が後続するリサイクル工程に供されることがあり得る。このような場合にリサイクル品質の低下を抑える(不純物含量を減らす)ためには、両面粘着シートの面積当たりの質量を小さくする(すなわち、両面粘着シートを軽量化する)ことが有効である。
そこで本発明は、不織布基材を有する両面粘着シートにおいて、高い粘着特性と良好な再剥離性とを兼ね備え、かつ面積当たりの質量が小さい両面粘着シートを提供することを目的とする。
ここに開示される両面粘着シートは、不織布基材と、該不織布基材の第一面および第二面にそれぞれ設けられた粘着剤層とを備える。この両面粘着シートは、面積当たりの質量が150g/m以下(例えば100〜150g/m)であり、そのうち85%以上(例えば85%〜95%)は前記粘着剤層の質量である。そして、前記不織布基材は、その構成繊維の25本数%以上の割合で、繊維径6μm以上のマニラ麻繊維を含む。
かかる構成の両面粘着シートは、粘着剤の質量割合(含有割合)が高いので、軽量であるにも拘わらず、優れた粘着性能(例えば、高い粘着力および良好な曲面接着性)を発揮することができる。また、両面粘着シートを軽量化し、かつ粘着剤の質量割合を高くするためには、不織布基材の坪量を低く抑える必要があるところ、上記のように比較的太い(具体的には、繊維径6μm以上の)マニラ麻繊維をある程度多く含む不織布基材を採用することにより、該不織布基材の坪量を低くしても再剥離性(リサイクル性)に優れた両面粘着シートを実現することができる。そして、上記両面粘着シートは軽量であるので、仮に両面粘着シートの残渣(剥がし損ね、剥がし忘れ等に起因する残渣であり得る。)がリサイクル工程まで残留しても、リサイクル品質の低下を抑えることができる。
なお、ここでいう「不織布」は、主として粘着テープその他の粘着シート(感圧接着シート)の分野において使用される粘着シート用不織布を指す概念であって、典型的には、一般的な抄紙機を用いて作製されるような不織布(いわゆる「紙」と称されることもある。)をいう。
上記のように軽量な両面粘着シートは、厚みの小さい(薄型化された)ものとなり得る。かかる両面粘着シートによると、該両面粘着シートを用いた接合部の厚みをより小さくすることができる。好ましい一態様に係る両面粘着シートでは、該両面粘着シートの厚みが200μm以下(例えば80μm〜200μm)である。
前記両面粘着シートは、その流れ方向(machine direction;MD)に対する引張強度(MD引張強度)をTMDとし、幅方向(transverse direction;TD、すなわちMDと直交する方向)に対する引張強度(TD引張強度)をTTDとしたとき、TTD/TMD(引張強度の縦横比)の値が0.8以上1.2以下であることが好ましい。このように引張強度の方向依存性が小さい両面粘着シートは、被着体から引き剥がすときに、その引き剥がし方向による再剥離性の違いが生じにくい。したがって、より安定して良好な再剥離性を発揮することができる。換言すれば、両面粘着シートの剥がし損ねをよりよく防止することができる。
前記不織布基材は、そのMDに対する引張強度(MD引張強度)をtMDとし、TDに対する引張強度(TD引張強度)をtTDとしたとき、tTD/tMDの値が0.8以上1.2以下であることが好ましい。かかる不織布基材は、上記TTD/TMDを満たす両面粘着シートの実現に適している。また、このように引張強度の方向依存性が小さい不織布基材は、概して、塗工機を用いた連続生産においてラインスピードを上げやすく、生産性の良いものとなり得るので好ましい。
ここに開示される両面粘着シートは、前記粘着剤層の主成分がアクリル系粘着剤である態様で好ましく実施され得る。一般に、アクリル系粘着剤は透明性に優れるので、両面粘着シートの外観品質(例えば、透明性が高いこと)等の観点において有利である。また、ここに開示される両面粘着シートは、軽く(好ましくは、軽くて薄く)かつ粘着剤の質量割合が高いので、外観品質の向上に適している。したがって、上記アクリル系粘着剤との組合せにより、より外観品質の良い両面粘着シートが実現され得る。
上記不織布基材としては、坪量が15g/m未満(例えば8g/m以上15g/m未満)のものが好ましい。また、上記不織布基材は、MD引張強度(tMD)およびTD引張強度(tTD)がいずれも0.50kgf/15mm以上(例えば0.50〜0.90kgf/15mm)であることが好ましい。繊維径6μm以上のマニラ麻繊維を25本数%以上含む繊維構成によると、このように坪量が低くかつMDおよびTDのいずれに対しても一定以上の引張強度を示す不織布基材が好適に実現され得る。上記好ましい坪量、tMDおよびtTDの全てを満たす不織布基材の使用が特に好ましい。かかる不織布基材によると、より再剥離性の良い(例えば、後述するリサイクル性評価において、各種プラスチック材料から残渣なく剥離することができる)両面粘着シートが実現され得る。
好ましい一態様に係る両面粘着シートでは、前記不織布基材の構成繊維の95質量%以上(例えば95〜100質量%)がマニラ麻繊維である。かかる繊維組成であって、かつ繊維径6μm以上のマニラ麻繊維を25本数%以上含む不織布基材は、軽量かつ高強度のものとなり得るので好ましい。
本発明によると、また、ここに開示されるいずれかの方法により製造された両面粘着シートが提供される。この粘着シートは、上述のように再剥離性に優れることから、リサイクル対象部品に貼り付けられる用途(例えば、リサイクル対象部品に他のリサイクル対象部品または消耗部品を固定する用途)に好適である。
この明細書により開示される事項には、ここに開示されるいずれかの両面粘着シートを用いてリサイクル対象部品を固定する方法が包含される。また、上記両面粘着シートが貼り付けられたリサイクル対象部品が包含される。さらに、上記両面粘着シートによる接合部を有する製品(例えば、家電製品、自動車、OA機器等)が包含される。
両面粘着シートの代表的な構成例を模式的に示す断面図である。 両面粘着シートの他の代表的な構成例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここに開示される両面粘着シート(テープ状等の長尺状の形態であり得る。)は、例えば、図1または図2に示される断面構造を有するものであり得る。
図1に示す両面粘着シート1は、不織布基材10の第一面10Aおよび第二面10Bに、第一粘着剤層21および第二粘着剤層22がそれぞれ設けられた構成を有する。粘着剤層21、22のうちの上方部分(この断面における外側の部分)212、222は、それぞれ、不織布基材10の第一面10Aおよび第二面10Bを覆っている。一方、粘着剤層21、22のうちの下方部分(この断面における内側の部分)214、224は、それぞれ、不織布基材10の内部に含浸している。粘着剤層21、22の表面(第一粘着面21Aおよび第二粘着面22A)は、剥離ライナー31、32によってそれぞれ保護されている。剥離ライナー31、32は、その少なくとも粘着剤層21、22に対向する面(前面)31A、32Aが剥離面(すなわち、粘着面21A、22Aから剥離可能な面)となっている。一方、剥離ライナー31、32の背面(31A、32Aとは反対側の表面)31B、32Bは、剥離面であってもよく、非剥離面であってもよい。
図2に示す両面粘着シート2は、剥離ライナー31の前面31Aおよび背面31Bがいずれも剥離面である点、および剥離ライナー32を有しない点を除いては、図1に示す両面粘着シート1と同様に構成されている。この種の粘着シート2は、該粘着シート2を巻回することにより、第二粘着剤層22の表面(第二粘着面22A)を剥離ライナー31の背面31Bに当接させて、第二粘着面22Aもまた剥離ライナー31によって保護された構成とすることができる。
上記不織布基材は、その構成繊維にマニラ麻繊維を含む。構成繊維が実質的にマニラ麻繊維からなる不織布基材であってもよく、マニラ麻繊維および他の一種または二種以上の繊維からなる不織布基材であってもよい。マニラ麻繊維とともに使用される他の繊維の好適例として、例えば、マニラ麻繊維以外の麻繊維、木材繊維(木材パルプ等)、レーヨン、アセテート等のセルロース系繊維が挙げられる。上記他の繊維は、また、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール(PVA)繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維等の繊維であってもよい。
ここに開示される技術における不織布基材は、その構成繊維全体の25本数%以上(典型的には25〜100本数%)の割合で、繊維径6μm以上のマニラ麻繊維(以下、繊維径を単に「φ」と表すことがある。)を含むことによって特徴づけられる。かかる不織布基材を用いた両面粘着シートは、該不織布基材の坪量が低く(例えば20g/m以下)、かつ被着体に対する粘着力が高くても(例えば、後述する180°引き剥がし粘着力が10N/20mm以上、さらには12N/20mm以上であっても)、該被着体からの再剥離性(例えば、後述するリサイクル性)に優れたものとなり得る。好ましい一態様では、上記構成繊維におけるφ6μm以上のマニラ麻繊維の含有割合が25〜50本数%の範囲にある。かかる不織布基材を用いた両面粘着シートは、軽量でありながら、上記粘着力および再剥離性に加えて、より良好な曲面接着性を示すものとなり得る。φ6μm以上のマニラ麻繊維の含有割合が27〜40本数%(例えば、27〜35本数%)である不織布基材によると、粘着力、再剥離性および曲面接着性を、さらに高度なレベルでバランスさせた両面粘着シートが実現され得る。
上記不織布基材の構成繊維に占めるマニラ麻繊維(繊維径を問わない。)の割合は、30質量%以上(典型的には30〜100質量%)であることが好ましく、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上である。ここに開示される両面粘着シートは、構成繊維が実質的にセルロース系繊維(マニラ麻繊維、あるいはマニラ麻繊維および他のセルロース系繊維)のみからなる不織布基材を備えた態様で好ましく実施され得る。なかでも、構成繊維が実質的にマニラ麻繊維のみからなる(典型的には構成繊維の99〜100質量%、例えば100質量%がマニラ麻繊維である)不織布基材が好ましい。かかる不織布基材では、その構成繊維の25本数%以上がφ6μm以上であれば、該構成繊維の25本数%以上がφ6μm以上のマニラ麻繊維であることになる。
ここで、不織布基材の構成繊維のうち所定の繊維径(例えばφ6μm以上)を有する繊維の割合(本数%)とは、X線コンピュータ断層映像(X線CT)装置により撮影した透過像の断面にあらわれた繊維の断面計測を行い、その測定結果のヒストグラムを元に算出された、全体に占める所定の繊維径の割合をいう。例えば、後述する実施例に記載の繊維径測定方法を適用することにより、φ6μm以上のマニラ麻繊維の含有割合(本数%)を的確に求めることができる。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、上記不織布基材の構成繊維のうち、φ5μm以上のマニラ麻繊維の割合が45本数%以上(典型的には45〜70本数%)である。例えば、上記割合が50〜65本数%(例えば55〜60本数%)である不織布基材を好ましく採用し得る。かかる不織布基材によると、軽量でありながら、粘着性能(例えば、粘着力および曲面接着性)と再剥離性とをさらに高度なレベルでバランスさせた両面粘着シートが実現され得る。
上記不織布基材は、その構成繊維の平均繊維径(上記断面計測結果のヒストグラムにおけるメジアン径をいう。)が5.0μm以上(例えば5.2μm以上)であることが好ましい。かかる平均繊維径を有する構成繊維によると、該構成繊維の25本数%以上がφ6μm以上のマニラ麻繊維である不織布基材が容易に実現され得る。両面粘着シートの表面平滑性(粘着剤層の表面粗さ、すなわち粘着面の表面粗さ)の観点から、通常は、上記平均繊維径が10.0μm以下(より好ましくは8.0μm以下、例えば7.0μm以下)である不織布基材が好ましい。両面粘着シートの表面平滑性が高いことは、該両面粘着シートの粘着力や外観品質の点で有利である。
ここに開示される技術における不織布基材としては、坪量が凡そ20g/m以下(例えば、凡そ10g/m以上20g/m未満)のものを好ましく採用し得る。かかる坪量の不織布基材は、軽量で且つ粘着性能に優れた両面粘着シートを構成するのに適している。両面粘着シートの外観品質(透明性等)の観点からは、坪量が17g/m以下(典型的には10〜17g/m)の不織布基材が好ましく、坪量が15g/m以下(典型的には10〜15g/m、例えば12g/m以上15g/m未満)の不織布基材が特に好ましい。
ここに開示される技術において、上記不織布基材の厚みは、通常、凡そ70μm以下(例えば30μm〜70μm)であることが適当であり、60μm以下(例えば35μm〜60μm)であることが好ましい。好ましい一態様に係る両面粘着シートでは、上記不織布機材の厚みが40μm〜55μm(例えば45μm〜55μm)である。かかる厚みの不織布基材は、両面粘着シートを薄型化するために適している。また、粘着性能と再剥離性とのバランス(より好ましくは、さらに外観品質)に優れた両面粘着シートを実現しやすいので好ましい。
両面粘着シートを再剥離する際に途中で千切れる事象を防止する観点からは、該両面粘着シートの構成要素として、強度の高い不織布基材を用いることが好ましい。例えば、後述する実施例に記載の方法で測定される引張強度が、流れ方向(MD引張強度、tMD;縦方向(TDに直交する方向)としても把握され得る。)および横方向(TD引張強度、tTD)のいずれについても0.45kgf/15mm以上(より好ましくは0.50kgf/15mm以上)であることが好ましい。引張強度の上限は特に制限されないが、コストや軽量化の容易性を考慮すると、通常は、tMDおよびtTDがいずれも凡そ1.0kgf/15mm以下(典型的には0.80kgf/15mm以下、例えば0.70kgf/15mm以下)の不織布基材を好ましく採用し得る。ここに開示される両面粘着シートは、tMDおよびtTDがいずれも0.45〜0.80kgf/15mm(例えば0.50〜0.70kgf/15mm)である不織布基材を備える態様で好ましく実施され得る。かかる両面粘着シートは、軽量でありながら、粘着特性と再剥離性とを高レベルでバランスよく実現するものとなり得る。
上記不織布基材は、上記引張強度tTDのtMDに対する比(縦横比(tTD/tMD))が1から大きく外れないことが好ましい。例えば、tTD/tMDが0.8〜1.2(典型的には0.8〜1.1、例えば0.9〜1.1)の範囲にある不織布基材を好ましく採用し得る。このように引張強度の方向依存性が小さい不織布基材を備える両面粘着シートは、被着体から引き剥がすときに、その引き剥がし方向による再剥離性の違いが生じにくい。したがって、より安定して良好な再剥離性を発揮し、両面粘着シートの剥がし損ねをよりよく防止することができる。
上記不織布基材は、後述する実施例に記載の方法で測定される引裂強度が、縦方向への引裂強度(MD引裂強度)sMDおよび横方向への引裂強度(TD引裂強度)sTDのいずれについても350mN以上であることが好ましく、400mN以上であることがより好ましい。引裂強度の上限は特に制限されないが、コストや軽量化の容易性を考慮すると、通常は、sMDおよびsTDがいずれも凡そ700mN以下(典型的には600mN以下、例えば500mN以下)のものを好ましく採用し得る。ここに開示される両面粘着シートは、sMDおよびsTDがいずれも350〜600mN(例え400〜500mN)である不織布基材を備える態様で好ましく実施され得る。かかる両面粘着シートは、軽量でありながら、粘着特性と再剥離性とを高レベルでバランスよく実現するものとなり得る。
上記不織布基材は、上記引裂強度sTDのsMDに対する比(縦横比(sTD/sMD))が1から大きく外れないことが好ましい。例えば、sTD/sMDが0.8〜1.2の範囲にある不織布基材を好ましく採用し得る。このように引裂強度の方向依存性が小さい不織布基材を備える両面粘着シートは、被着体から引き剥がすときに、その引き剥がし方向による再剥離性の違いが生じにくい。したがって、より安定して良好な再剥離性を発揮し、両面粘着シートの剥がし損ねをよりよく防止することができる。
上記不織布基材の嵩密度(坪量を厚さで除して算出され得る。)は、通常、0.20〜0.50g/cm程度が適当であり、0.25〜0.40g/cm程度であることが好ましい。嵩密度が低すぎると、上述した好ましい引張強度および引裂強度の一方または両方が実現され難くなることがあり得る。一方、嵩密度が高すぎると、粘着剤の不織布基材への含浸性が不足しやすくなり、その結果、再剥離性の低下、外観品質の低下等を招くことがあり得る。かかる観点から、嵩密度0.25〜0.35g/cm(例えば0.25〜0.30g/cm)程度の不織布基材の使用が特に好ましい。
ここに開示される技術における不織布基材としては、該不織布基材を4枚重ねた測定サンプルについて測定された透気抵抗度(ガーレー)Rを、該測定サンプルにおける不織布の積層枚数(すなわち4)で割って求めた透気抵抗度R1/4が、0.02秒〜0.07秒(より好ましくは0.03秒〜0.07秒)であるものを好ましく採用し得る。ここで、上記透気抵抗度(ガーレー)Rは、JIS P8117:1998に規定するガーレー試験機法に準じて、一定量の空気が測定サンプル(ここでは、不織布を4枚重ねてなる測定サンプル)を通り抜けるのに要した時間を、典型的には市販のガーレー試験機(好ましくはB型)を用いて測定し、計算することによって求められる。
このように透気抵抗度の小さい不織布基材は、該不織布基材への粘着剤の含浸性が良好である。したがって、該不織布基材の繊維間の空隙に粘着剤がよりよく充填された(すなわち、残存する空隙の少ない)両面粘着シートが得られやすい。かかる両面粘着シートは、不織布基材内に残存する空隙の多い両面粘着シートに比べて、より再剥離性の良い(例えば、粘着力が高くても層間破壊や千切れが生じにくい)ものとなり得る。また、より曲面接着性の良いものとなり得る。また、より外観品質(例えば透明性)の良いものとなり得る。φ6μm以上のマニラ繊維を25本数%以上(より好ましくは30本数%以上)含み、かつ坪量が20g/m未満(より好ましくは15g/m以下)の不織布基材は、上記透気抵抗度を満たすものとなりやすいので好ましい。
上記不織布基材は、公知の不織布(例えば、セルロース繊維を主成分とする不織布(いわゆる「紙」等))の製造方法に基づいて、あるいは、その製造方法を必要に応じて適宜改変し、または適切な条件や工程を選択することにより製造され得る。好ましい一態様に係る不織布製造方法は、典型的には、液状媒体(典型的には水を主成分とする液状媒体(水性媒体)、例えば水)中に原料繊維を含む分散液を調製することと、この分散液を抄紙することとを包含する。抄紙の前に原料繊維を叩解(beating)してもよく、叩解しなくても(すなわち、未叩解の原料繊維を抄紙しても)よい。
不織布基材の平均繊維径、繊維径の分布(例えば、所定の繊維径を有する繊維の割合)、透気抵抗度等は、例えば、使用する原料繊維の性状や、上記叩解の有無およびその程度等によって調節することができる。ここに開示される技術の好ましい一態様では、未叩解の原料繊維を抄紙して得られた不織布基材を使用する。この方法は、φ6μm以上のマニラ繊維を25本数%以上含む不織布基材の製造に好ましく適用され得る。また、透気抵抗度の低い不織布基材の製造方法として好適である。また、不織布基材の坪量、厚み、密度、引張強度の縦横比(tTD/tMD)、引裂強度の縦横比(sTD/sMD)等は、抄紙条件、その後の乾燥条件、プレス条件、等により調節することができる。
上記不織布基材は、上述のような構成繊維の他に、デンプン(例えば、カチオン化デンプン)、ポリアクリルアミド、ビスコース、ポリビニルアルコール、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン等の樹脂成分を含有し得る。上記樹脂成分は、当該不織布基材の紙力増強剤として機能するものであり得る。かかる樹脂成分を必要に応じて使用することにより、不織布基材の強度(例えば、引張強度および引裂強度の一方または両方)を調整することができる。ここに開示される技術における不織布基材は、その他、歩留まり向上剤、濾水剤、粘度調整剤、分散剤等の、不織布の製造に係る分野において一般的な添加剤を必要に応じて含有し得る。
ここに開示される技術において、粘着剤層に含まれる粘着剤の種類は特に限定されない。例えば、粘着成分として機能し得るアクリル系、ポリエステル系、ウレタン系、ポリエーテル系、ゴム系、シリコーン系、ポリアミド系、フッ素系等の各種ポリマー(粘着性ポリマー)から選択される1種または2種以上をベースポリマーとして含む粘着剤であり得る。好ましい一態様では、上記粘着剤層の主成分がアクリル系粘着剤である。ここに開示される技術は、実質的にアクリル系粘着剤からなる粘着剤層を備えた両面粘着シートの形態で好ましく実施され得る。
ここで「アクリル系粘着剤」とは、アクリル系ポリマーをベースポリマー(ポリマー成分のなかの主成分、すなわち50質量%よりも多くを占める成分)とする粘着剤を指す。「アクリル系ポリマー」とは、一分子中に少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するモノマー(以下、これを「アクリル系モノマー」ということがある。)を主構成単量体成分(モノマーの主成分、すなわちアクリル系ポリマーを構成するモノマーの総量のうち50質量%よりも多くを占める成分)とするポリマーを指す。また、本明細書中において「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基およびメタクリロイル基を包括的に指す意味である。同様に、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートを包括的に指す意味である。
上記アクリル系ポリマーは、典型的には、アルキル(メタ)アクリレートを主構成単量体成分とするポリマーである。上記アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、下記式(1)で表される化合物を好適に用いることができる。
CH=C(R)COOR (1)
ここで、上記式(1)中のRは水素原子またはメチル基である。Rは炭素原子数1〜20のアルキル基である。粘着特性に優れた粘着剤が得られやすいことから、Rが炭素原子数2〜14(以下、このような炭素原子数の範囲をC2−14と表わすことがある。)のアルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。C2−14のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソアミル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、等が挙げられる。
好ましい一態様では、アクリル系ポリマーの合成に使用するモノマーの総量のうち、凡そ50質量%以上(典型的には50〜99.9質量%)、より好ましくは70質量%以上(典型的には70〜99.9質量%)、例えば凡そ85質量%以上(典型的には85〜99.9質量%)が、上記式(1)におけるRがC2−14のアルキル(メタ)アクリレート(より好ましくはC4−10のアルキル(メタ)アクリレート。特に好ましくは、ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートの一方または両方)から選択される一種または二種以上により占められる。このようなモノマー組成から得られたアクリル系ポリマーによると、良好な粘着特性を示す粘着剤が形成されやすいので好ましい。
ここに開示される技術におけるアクリル系ポリマーとしては、水酸基(−OH)を有するアクリル系モノマーが共重合されたものを好ましく用いることができる。水酸基を有するアクリル系モノマーの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシへキシル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシへキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルアクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、等が挙げられる。かかる水酸基含有アクリル系モノマーは、一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
このような水酸基含有アクリル系モノマーが共重合されたアクリル系ポリマーによると、粘着力と凝集力とのバランスに優れ、再剥離性に優れた粘着剤が得られやすいので好ましい。特に好ましい水酸基含有アクリル系モノマーとして、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。例えば、上記ヒドロキシアルキル基におけるアルキル基が炭素原子数2〜4の直鎖状であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを好ましく使用し得る。
このような水酸基含有アクリル系モノマーは、アクリル系ポリマーの合成に使用するモノマーの総量のうち凡そ0.001〜10質量%の範囲で使用されることが好ましい。このことによって、上記粘着力と凝集力とをより高レベルでバランスさせた両面粘着シートが実現され得る。水酸基含有アクリル系モノマーの使用量を凡そ0.01〜5質量%(例えば0.05〜2質量%)とすることにより、さらに良好な結果が達成され得る。
ここに開示される技術におけるアクリル系ポリマーには、本発明の効果を顕著に損なわない範囲で、上記以外のモノマー(その他モノマー)が共重合されていてもよい。かかるモノマーは、例えば、アクリル系ポリマーのTg調整、粘着性能(例えば剥離性)の調整等の目的で使用することができる。例えば、粘着剤の凝集力や耐熱性を向上させ得るモノマーとして、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、ビニルエステル類、芳香族ビニル化合物等が挙げられる。また、アクリル系ポリマーに架橋基点となり得る官能基を導入し、あるいは接着力の向上に寄与し得るモノマーとして、カルボキシル基含有モノマー、酸無水物基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、イミド基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、(メタ)アクリロイルモルホリン、ビニルエーテル類等が挙げられる。
スルホン酸基含有モノマーとしては、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム等が例示される。
リン酸基含有モノマーとしては、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートが例示される。
シアノ基含有モノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が例示される。
ビニルエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル等が例示される。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、その他の置換スチレン等が例示される。
また、カルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等が例示される。
酸無水物基含有モノマーとしては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、上記カルボキシル基含有モノマーの酸無水物体等が挙げられる。
アミド基含有モノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等が例示される。
アミノ基含有モノマーとしては、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が例示される。
イミド基含有モノマーとしては、シクロへキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、N−シクロへキシルマレイミド、イタコンイミド等が例示される。
エポキシ基含有モノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が例示される。
ビニルエーテル類としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等が例示される。
このような「その他モノマー」は、単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよいが、全体としての含有量は、アクリル系ポリマーの合成に使用するモノマーの総量のうち凡そ40質量%以下(典型的には、0.001〜40質量%)とすることが好ましく、凡そ30質量%以下(典型的には0.01〜30質量%、例えば0.1〜10質量%)とすることがより好ましい。上記その他モノマーとしてカルボキシル基含有モノマーを用いる場合、その含有量は、上記モノマー総量のうち例えば0.1〜10質量%とすることができ、通常は0.5〜5質量%とすることが適当である。また、上記その他モノマーとしてビニルエステル類(例えば酢酸ビニル)を用いる場合、その含有量は、上記モノマー総量のうち例えば0.1〜20質量%とすることができ、通常は0.5〜10質量%とすることが適当である。
上記アクリル系ポリマーの共重合組成は、該ポリマーのガラス転移温度(Tg)が−15℃以下(典型的には−70℃〜−15℃)となるように設計されていることが適当であり、好ましくは−25℃以下(例えば−60℃〜−25℃)、より好ましくは−40℃以下(例えば−60℃〜−40℃)である。アクリル系ポリマーのTgが高すぎると、該アクリル系ポリマーをベースポリマーとして含む粘着剤の粘着力(例えば、低温環境下における粘着力、租面に対する粘着力等)が低下しやすくなることがあり得る。アクリル系ポリマーのTgが低すぎると、上記粘着剤の曲面接着性が低下したり、再剥離性が低下(たとえば、糊残りが発生)しやすくなったりすることがあり得る。
アクリル系ポリマーのTgは、モノマー組成(すなわち、該ポリマーの合成に使用するモノマーの種類や使用量比)を適宜変えることにより調整することができる。ここで、アクリル系ポリマーのTgとは、該ポリマーを構成する各モノマーの単独重合体(ホモポリマー)のTgおよび該モノマーの質量分率(質量基準の共重合割合)に基づいてフォックス(Fox)の式から求められる値をいう。ホモポリマーのTgとしては、公知資料に記載の値を採用するものとする。
ここに開示される技術では、上記ホモポリマーのTgとして、具体的には以下の値を用いるものとする。
2−エチルヘキシルアクリレート −70℃
ブチルアクリレート −55℃
エチルアクリレート −22℃
メチルアクリレート 8℃
メチルメタクリレート 105℃
シクロヘキシルメタクリレート 66℃
酢酸ビニル 32℃
スチレン 100℃
アクリル酸 106℃
メタクリル酸 130℃
上記で例示した以外のホモポリマーのTgについては、「Polymer Handbook」(第3版、John Wiley & Sons,Inc、1989年)に記載の数値を用いるものとする。
「Polymer Handbook」(第3版、John Wiley & Sons,Inc、1989年)にも記載されていない場合には、以下の測定方法により得られる値を用いるものとする(特開2007−51271号公報参照)。
具体的には、温度計、攪拌機、窒素導入管及び還流冷却管を備えた反応器に、モノマー100質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部及び重合溶媒として酢酸エチル200質量部を投入し、窒素ガスを流通させながら1時間攪拌する。このようにして重合系内の酸素を除去した後、63℃に昇温し10時間反応させる。次いで、室温まで冷却し、固形分濃度33質量%のホモポリマー溶液を得る。次いで、このホモポリマー溶液を剥離ライナー上に流延塗付し、乾燥して厚さ約2mmの試験サンプル(シート状のホモポリマー)を作製する。この試験サンプルを直径7.9mmの円盤状に打ち抜き、パラレルプレートで挟み込み、粘弾性試験機(レオメトリックス社製、商品名「ARES」)を用いて周波数1Hzのせん断歪みを与えながら、温度領域−70〜150℃、5℃/分の昇温速度でせん断モードにより粘弾性を測定し、tanδ(損失正接)のピークトップ温度をホモポリマーのTgとする。
ここに開示される技術における粘着剤は、そのせん断損失弾性率G”のピークトップ温度が−10℃以下(典型的には−10℃〜−40℃)となるように設計されていることが好ましい。例えば、上記ピークトップ温度が−15℃〜−35℃となるように設計された粘着剤が好ましい。せん断損失弾性率G”のピークトップ温度は、厚さ1mmのシート状の粘着剤を、直径7.9mmの円盤状に打ち抜き、パラレルプレートで挟み込み、上記粘弾性試験機(レオメトリックス社製、商品名「ARES」)を用いて周波数1Hzのせん断歪みを与えながら、温度領域−70〜150℃、5℃/分の昇温速度でせん断モードにより損失弾性率G”の温度依存性を測定し、そのピークトップに相当する温度(G”カーブが極大となる温度)を求めることにより把握することができる。
なお、アクリル系ポリマーのTgは、モノマー組成(すなわち、該ポリマーの合成に使用するモノマーの種類や使用量比)を適宜変えることにより調整することができる。アクリル系ポリマーのせん断損失弾性率G”のピークトップ温度もまた、モノマー組成(すなわち、該ポリマーの合成に使用するモノマーの種類や使用量比)を適宜変えることにより調整することができる。
かかるモノマー組成を有するアクリル系ポリマーを得る方法は特に限定されず、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法等の、アクリル系ポリマーの合成手法として知られている各種の重合方法を適宜採用することができる。例えば、溶液重合法を好ましく用いることができる。溶液重合を行う際のモノマー供給方法としては、全モノマー原料を一度に供給する一括仕込み方式、連続供給(滴下)方式、分割供給(滴下)方式等を適宜採用することができる。重合温度は、使用するモノマーおよび溶媒の種類、重合開始剤の種類等に応じて適宜選択することができ、例えば20℃〜170℃(典型的には40℃〜140℃)程度とすることができる。
溶液重合に用いる溶媒は、公知ないし慣用の有機溶媒から適宜選択することができる。例えば、トルエン、キシレン等の芳香族化合物類(典型的には芳香族炭化水素類);酢酸エチル、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素類;1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化アルカン類;イソプロピルアルコール、1−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等の低級アルコール類(例えば、炭素原子数1〜4の一価アルコール類);tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル類;メチルエチルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;等から選択されるいずれか1種の溶媒、または2種以上の混合溶媒を用いることができる。全圧1気圧における沸点が20〜200℃(より好ましくは、25〜150℃)の範囲にある有機溶媒(混合溶媒であり得る。)の使用が好ましい。
重合に用いる開始剤は、重合方法の種類に応じて、公知ないし慣用の重合開始剤から適宜選択することができる。例えば、アゾ系重合開始剤を好ましく使用し得る。アゾ系重合開始剤の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等が挙げられる。
重合開始剤の他の例としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、過酸化水素等の、過酸化物系開始剤;フェニル置換エタン等の、置換エタン系開始剤;芳香族カルボニル化合物;等が挙げられる。重合開始剤のさらに他の例として、過酸化物と還元剤との組み合わせによるレドックス系開始剤が挙げられる。かかるレドックス系開始剤の例としては、過酸化物とアスコルビン酸との組み合わせ(過酸化水素水とアスコルビン酸との組み合わせ等)、過酸化物と鉄(II)塩との組み合わせ(過酸化水素水と鉄(II)塩との組み合わせ等)、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組み合わせ、等が挙げられる。
このような重合開始剤は、単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。重合開始剤の使用量は、通常の使用量であればよく、例えば、全モノマー成分100質量部に対して0.005〜1質量部(典型的には0.01〜1質量部)程度の範囲から選択することができる。
かかる溶液重合によると、アクリル系ポリマーが有機溶媒に溶解した態様の重合反応液が得られる。ここに開示される技術におけるアクリル系ポリマーとしては、上記重合反応液または該反応液に適当な後処理を施したものを好ましく用いることができる。典型的には、後処理を施した後のアクリル系ポリマー含有溶液を適当な粘度(濃度)に調整して使用する。あるいは、溶液重合方法以外の重合方法(例えば、エマルション重合、光重合、バルク重合等)を利用してアクリル系ポリマーを合成し、該重合体を有機溶媒に溶解させて溶液状に調製したものを用いてもよい。
ここに開示される技術におけるアクリル系ポリマーは、その重量平均分子量(Mw)が小さすぎると、粘着剤の凝集力が不足して被着体表面への糊残りを生じやすくなり、あるいは曲面接着性が低下しやすくなる場合があり得る。一方、Mwが大きすぎると、被着体に対する粘着力が低下しやすくなることがあり得る。粘着性能と再剥離性とを高レベルでバランスさせるためには、Mwが10×10以上500×10以下の範囲にあるアクリル系ポリマーが好ましい。Mwが20×10以上400×10以下(例えば30×10以上300×10以下)のアクリル系ポリマーによると、より良好な結果が実現され得る。ここでMwとは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により得られた標準ポリスチレン換算の値をいう。
ここに開示される技術における粘着剤組成物は、粘着付与樹脂を含む組成であり得る。粘着付与樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ロジン系、テルペン系、炭化水素系、エポキシ系、ポリアミド系、エラストマー系、フェノール系、ケトン系等、の各種粘着付与樹脂を用いることができる。このような粘着付与樹脂は、単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
ロジン系粘着付与樹脂の具体的としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の未変性ロジン(生ロジン);これらの未変性ロジンを水添化、不均化、重合等により変性した変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、その他の化学的に修飾されたロジン等);その他の各種ロジン誘導体;等が挙げられる。上記ロジン誘導体の例としては、未変性ロジンをアルコール類によりエステル化したもの(すなわち、ロジンのエステル化物)、変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等)をアルコール類によりエステル化したもの(すなわち、変性ロジンのエステル化物)等のロジンエステル類;未変性ロジンや変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等)を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジン類;ロジンエステル類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類;未変性ロジン、変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等)、不飽和脂肪酸変性ロジン類または不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類におけるカルボキシル基を還元処理したロジンアルコール類;未変性ロジン、変性ロジン、各種ロジン誘導体等のロジン類(特に、ロジンエステル類)の金属塩;ロジン類(未変性ロジン、変性ロジン、各種ロジン誘導体等)にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合することにより得られるロジンフェノール樹脂;等が挙げられる。
テルペン系粘着付与樹脂の例としては、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン重合体などのテルペン系樹脂;これらのテルペン系樹脂を変性(フェノール変性、芳香族変性、水素添加変性、炭化水素変性等)した変性テルペン系樹脂;等が挙げられる。上記変性テルペン樹脂の例としては、テルペン−フェノール系樹脂、スチレン変性テルペン系樹脂、芳香族変性テルペン系樹脂、水素添加テルペン系樹脂等が挙げられる。
炭化水素系粘着付与樹脂の例としては、脂肪族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系環状炭化水素樹脂、脂肪族・芳香族系石油樹脂(スチレン−オレフィン系共重合体等)、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加炭化水素樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂等の各種の炭化水素系の樹脂が挙げられる。脂肪族系炭化水素樹脂としては、炭素原子数4〜5程度のオレフィンおよびジエンから選択される一種または二種以上の脂肪族炭化水素の重合体等が例示される。上記オレフィンの例としては、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン等が挙げられる。上記ジエンの例としては、ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン等が挙げられる。芳香族系炭化水素樹脂の例としては、炭素原子数8〜10程度のビニル基含有芳香族系炭化水素(スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、インデン、メチルインデン等)の重合体等が挙げられる。脂肪族系環状炭化水素樹脂の例としては、いわゆる「C4石油留分」や「C5石油留分」を環化二量体化した後に重合させた脂環式炭化水素系樹脂;環状ジエン化合物(シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ジペンテン等)の重合体またはその水素添加物;芳香族系炭化水素樹脂または脂肪族・芳香族系石油樹脂の芳香環を水素添加した脂環式炭化水素系樹脂;等が挙げられる。
ここに開示される技術では、軟化点(軟化温度)が凡そ80℃以上(好ましくは凡そ100℃以上)である粘着付与樹脂を好ましく使用し得る。かかる粘着付与樹脂によると、より高性能な(例えば、接着性の高い)粘着シートが実現され得る。粘着付与樹脂の軟化点の上限は特に制限されず、例えば凡そ200℃以下(典型的には凡そ180℃以下)とすることができる。なお、ここでいう粘着付与樹脂の軟化点は、JIS K 5902およびJIS K 2207のいずれかに規定する軟化点試験方法(環球法)によって測定された値として定義される。
粘着付与樹脂の使用量は特に制限されず、目的とする粘着性能(接着力等)に応じて適宜設定することができる。例えば、固形分基準で、アクリル系ポリマー100質量部に対して、粘着付与樹脂を凡そ10〜100質量部(より好ましくは15〜80質量部、さらに好ましくは20〜60質量部)の割合で使用することが好ましい。
上記粘着剤組成物には、必要に応じて架橋剤が用いられていてもよい。架橋剤の種類は特に制限されず、公知ないし慣用の架橋剤(例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、アミン系架橋剤等)から適宜選択して用いることができる。架橋剤は、単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。架橋剤の使用量は特に制限されず、例えば、アクリル系ポリマー100質量部に対して凡そ10質量部以下(例えば凡そ0.005〜10質量部、好ましくは凡そ0.01〜5質量部)程度の範囲から選択することができる。
上記粘着剤組成物は、必要に応じて、レベリング剤、架橋助剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、着色剤(顔料、染料等)、帯電防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等の、粘着剤組成物の分野において一般的な各種の添加剤を含有するものであり得る。このような各種添加剤については、従来公知のものを常法により使用することができ、特に本発明を特徴づけるものではないので、詳細な説明は省略する。
かかる粘着剤組成物から上記両面粘着シートを得る方法としては、従来公知の種々の方法を適用し得る。例えば、不織布基材の各面それぞれに粘着剤組成物を直接付与して乾燥または硬化させることで粘着剤層を形成し、それらの粘着剤層それぞれに剥離ライナーを積層する方法;あらかじめ剥離ライナー上に形成した粘着剤層を、不織布基材の各面それぞれに貼り合わせ、該不織布基材に上記粘着剤層をそれぞれ転写する方法(上記剥離ライナーをそのまま粘着剤層の保護に利用してもよい。);等を採用することができる。また、第一粘着剤層と第二粘着剤層とで異なる方法を採用してもよい。
剥離ライナーとしては、両面粘着シートの分野において周知ないし慣用のものを適宜選択して用いることができる。例えば、基材の表面に剥離処理が施された構成の剥離ライナーを好適に用いることができる。この種の剥離ライナーを構成する基材(剥離処理対象)としては、各種の樹脂フィルム類、紙類、布類、ゴムシート類、発泡体シート類、金属箔、これらの複合体(例えば、紙の両面にオレフィン樹脂がラミネートされた積層構造のシート)等を適宜選択して用いることができる。上記剥離処理は、公知または慣用の剥離処理剤(例えば、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系等の剥離処理剤)を用いて常法により行うことができる。また、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリエチレン/ポリプロピレン混合物)、フッ素系ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン)等の低接着性の基材を、該基材の表面に剥離処理を施すことなく剥離ライナーとして用いてもよい。あるいは、かかる低接着性の基材に剥離処理を施したものを用いてもよい。
粘着剤組成物の塗付は、例えば、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター等の、公知ないし慣用のコーターを用いて行うことができる。特に限定するものではないが、粘着剤組成物の塗付量は、乾燥後において(すなわち固形分基準で)例えば凡そ20μm〜150μmの厚さ(片面当たりの厚さ)の粘着剤層が形成される程度の量とすることができる。両面粘着シートの軽量化および/または薄型化と粘着性能を高レベルでバランスさせる観点からは、上記片面当たりの粘着剤層の厚さを凡そ40μm〜100μmとすることが適当であり、凡そ40μm〜75μm(より好ましくは45μm〜70μm、例えば50μm〜65μm)とすることが好ましい。架橋反応の促進、製造効率向上等の観点から、粘着剤組成物の乾燥は加熱下で行うことが好ましい。通常は、例えば凡そ40℃〜120℃程度の乾燥温度を好ましく採用することができる。
ここに開示される両面粘着シートは、面積当たりの質量が150g/m以下であり、好ましくは140g/m以下、より好ましくは135g/m以下(例えば130g/m以下)である。また、上記両面粘着シートの85質量%以上(好ましくは87質量%以上、例えば87〜92質量%)は粘着剤層の質量である。上記両面粘着シートは、このように粘着剤の含有割合(質量%)が高いので、軽量であっても優れた粘着性能(例えば、高い粘着力および良好な曲面接着性)を発揮することができる。上記両面粘着シートは、φ6μm以上のマニラ麻繊維を25本数%以上(好ましくは30本数%以上、典型的には50本数%以下)の割合で含む不織布基材を備えるので、上記優れた粘着性能と良好な再剥離性(リサイクル性)とを高レベルで両立させることができる。そして、上記両面粘着シートは軽量であるので、仮に両面粘着シートの残渣(剥がし損ね、剥がし忘れ等に起因する残渣であり得る。)がリサイクル工程まで残留しても、リサイクル品質の低下を抑えることができる。
上記両面粘着シートの面積当たり質量の下限は特に制限されないが、通常は、80g/m以上とすることが適当であり、90g/m以上(例えば100g/m以上)とすることが好ましい。かかる両面粘着シートは、より良好な粘着性能(例えば粘着力、特に粗面に対する粘着力)を示すものとなり得る。この両面粘着シートにおける粘着剤の質量割合の上限は特に制限されないが、通常は、97質量%以下とすることが適当であり、95質量%以下(より好ましくは92質量%以下、例えば90質量%以下)とすることが好ましい。かかる両面粘着シートは、より再剥離性に優れたものとなり得る。
なお、上記両面粘着シートの全体質量に占める粘着剤の質量割合は、例えば以下の方法により求めることができる。すなわち、測定対象である両面粘着シートを10cm×10cmの正方形にカットし、その質量Wを測定する。この試験片を、適当な有機溶剤(例えば酢酸エチル)に24時間浸漬した後、上記有機溶剤で膨潤した粘着剤を不織布基材から除去する(掻きとる)。この操作を3回繰り返した後、不織布基材を上記有機溶剤で洗浄し、乾燥させ、該不織布基材の質量Wを測定する。これらの値を次式:(W−W)/W;に代入することにより、粘着剤の質量割合を算出することができる。
ここに開示される両面粘着シートは、該両面粘着シートの厚みH(図1を例として説明すれば、不織布基材10とその両面に設けられた粘着剤層21、22の合計厚み(第一粘着面21Aと第二粘着面22Aとの間の厚み)を指す。すなわち、ここでいう両面粘着シートの厚みには、剥離ライナーの厚みは含めない。)が250μm以下のものであり得る。好ましい一態様に係る両面粘着シートは、上記厚みが200μm以下であり、より好ましくは150μm以下(例えば130μm以下)である。このように厚みの小さい両面粘着シートは、該両面粘着シートを用いた接合部の厚み(換言すれば、該両面粘着シートを介して接合される部材表面間の距離)をより小さくすることができるので好ましい。ここに開示される両面粘着シートは、粘着剤の含有割合(質量%)が高いので、薄くても優れた粘着性能(例えば、高い粘着力および良好な曲面接着性)を発揮することができる。
ここに開示される両面粘着シートは、該両面粘着シートの厚みHに対する不織布基材の厚みhの比(h/H)が50%以下であることが好ましく、45%以下(例えば43%以下)であることがより好ましい。かかる厚み比(h/H)を満たす両面粘着シートは、軽量化または薄型化された態様であっても、図1に示すように、不織布基材10の表面10A、10Bがそれぞれ適切な厚みの粘着剤21、22(より詳しくは、それらの上方部分212、222)で覆われ得る。したがって、より良好な粘着特性(粘着力、曲面接着性等)を発揮する両面粘着シート1が実現され得る。粘着特性と再剥離性とをより高度に両立させるという観点からは、上記厚み比(h/H)を25%以上とすることが適当であり、30%以上(例えば35%以上)とすることが好ましい。
図1に示す例において、粘着剤層21、22のうち不織布基材10の表面10A、10Bを覆う部分の厚み(換言すれば、粘着剤層21、22の上方部分212、222の厚み;以下「基材被覆厚」ともいう。)は、いずれも25μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましい。かかる構成の両面粘着シート1は、より良好な粘着性能を示すものとなり得る。両面粘着シートの軽量化(好ましくは、さらに薄型化)の観点からは、粘着剤層21、22のうち不織布基材10の表面10A、10Bを覆う部分の厚み(基材被覆厚)を45μm以下とすることが適当であり、通常は40μm以下とすることが好ましい。
ここに開示される両面粘着シートは、後述する実施例に記載の方法で測定される引張強度が、流れ方向(MD引張強度、TMD)および横方向(TD引張強度、TTD)のいずれについても10.0N/10mm以上のものであり得る。TMDおよびTTDがいずれも13.0N/10mm以上である両面粘着シートが好ましく、より好ましくは13.5N/10mm以上、さらに好ましくは14.0N/10mm以上である。かかる引張強度を示す両面粘着シートは、より再剥離性に優れた(特に、剥離途中での千切れが生じにくい)ものとなり得る。両面粘着シートの引張強度の上限は特に制限されないが、コストや軽量化の容易性を考慮すると、通常は、TMDおよびTTD の少なくとも一方が20.0N/10mm以下の両面粘着シートが有利である。
上記両面粘着シートは、上記引張強度TTDのTMDに対する比(縦横比(TTD/TMD))が1から大きく外れないことが好ましい。例えば、TTD/TMDが0.8〜1.2(典型的には0.8〜1.1、例えば0.9〜1.1)の範囲にある両面粘着シートを好ましく採用し得る。このように引張強度の方向依存性が小さい両面粘着シートは、被着体から引き剥がすときに、その引き剥がし方向による再剥離性の違いが生じにくい。したがって、より安定して良好な再剥離性を発揮し、両面粘着シートの剥がし損ねをよりよく防止することができる。
ここに開示される技術によると、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリカーボネートとABSとのポリマーアロイ(PCABS)、等のような樹脂材料(被着体)に対する粘着性能が高く、かつ該被着体からの再剥離性に優れた両面粘着シートが提供され得る。
好ましい一態様に係る両面粘着シートは、ABS、HIPSおよびPCABSのうちの少なくとも1種の被着体に対する180°引き剥がし粘着力(後述する実施例に記載の方法で測定される。)が12N/20mm以上(より好ましくは13N/20mm以上、さらに好ましくは14N/20mm以上)である。ABS、HIPSおよびPCABSのうち2種以上(より好ましくは3種)の被着体に対する180°引き剥がし粘着力がいずれも12N/20mm以上(より好ましくは13N/20mm以上、さらに好ましくは14N/20mm以上)である両面粘着シートが特に好ましい。また、両面粘着シートの軽量性および再剥離性の観点から、通常は、ABS、HIPSおよびPCABSのうちの少なくとも1種の被着体に対する180°引き剥がし粘着力が20N/20mm未満(例えば19N/20mm以下)である両面粘着シートが好ましい。
好ましい他の一態様に係る両面粘着シートは、ABSおよびHIPSの少なくとも一方を被着体とする曲面接着性試験(後述する実施例に記載の方法で行われる。)において、その浮き高さが8mm以下である。上記浮き高さが5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは1mm以下、特に好ましくは1mm未満である。ABSおよびHIPSのいずれの被着体に対しても上記浮き高さを満たす曲面接着性を示す両面粘着シートが特に好ましい。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において「部」および「%」は、特に断りがない限り質量基準である。
[不織布基材]
以下の例では、次に示す各不織布を基材に用いて両面粘着シートを作製した。
S1:構成繊維の100%がマニラ麻繊維であり(すなわち、構成繊維がマニラ麻繊維のみからなり)、φ6μm以上の繊維の含有割合が31本数%である不織布。
S2:構成繊維の100%がマニラ麻繊維であり、φ6μm以上の繊維の含有割合が19本数%である不織布。
不織布S1,S2の特性データを表1に示す。なお、各不織布の坪量はJIS P8124に準拠して測定した。各不織布の引張強度、引裂強度および繊維径は、それぞれ以下のようにして測定した。
[引張強度]
不織布の流れ方向(MD)が長手方向と一致するようにして、該不織布を幅15mmの帯状にカットしたものを試験片とした。その試験片を引張試験機にセットし(チャック間距離180mm)、JIS P8113に準じて、引張速度20mm/分の条件で、長手方向への引張り強さ(MD引張強度)tMD(kgf/15mm;ここで、1kgfは約9.8Nである。)を測定した。また、不織布の幅方向(TD)が長手方向と一致するようにして該不織布を幅15mmの帯状にカットした試験片につき、同様にして幅方向の引張り強さ(TD引張強度)tTD(kgf/15mm)を測定した。さらに、tTD/tMDにより、引張強度の縦横比を算出した。
[引裂強度]
エレメンドルフ型試験機を使用し、JIS P8116「紙及び板紙の引裂き強さ試験法」に従って、各不織布の引裂強度を測定した。より詳しくは、各不織布を63mm幅にカットして試験片を作製した。23℃、65%RHの測定条件下において、上記試験片をエレメンドルフ引裂抵抗試験機(テスター産業株式会社製)にセットし、ノッチありで、長手方向(MD)に対する引裂強度(MD引裂強度)および幅方向(TD)に対する引裂強度(TD引裂強度)をそれぞれ測定した。
[繊維径]
各不織布を約2mm幅に切り出して試料台に固定し、X線CT装置により連続透過像を撮影した。撮影は、0°〜180°の範囲に亘って0.2°毎に行った。そして、ピクセルサイズ0.95μm/pixelで規定した1断面毎に、該断面にあらわれる繊維の断面計測を行い、その測定結果のヒストグラムを元に、全体に占める任意の繊維径の割合(本数%)を算出した。なお、測定には、東洋テクニカ製のMicroCT、型式「SKYSCAN 1172」を、管電圧40kV、管電流250μAの条件で使用した。
各例に係る両面粘着シートについての測定または評価は、以下のようにして行った。
[面積当たり質量]
各例に係る両面粘着シートの面積当たり質量(全体質量)は、基材に用いた不織布の坪量と、その両面に設けた粘着剤層の単位面積当たりの質量との合計質量(したがって、剥離ライナーの質量は含めない。)とした。両粘着剤層の面積当たり質量を全体質量で除して、粘着剤層の質量割合を算出した。
[粘着力]
両面粘着シートの一方の粘着面を覆う剥離ライナーを剥がし、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに貼り付けて裏打ちした。この裏打ちされた粘着シートを幅20mm、長さ100mmのサイズにカットして試験片を作製した(試験片の長手方向が不織布基材のMDと一致するようにした。)。該試験片の他方の粘着面を覆う剥離ライナーを剥がし、上記試験片を被着体の表面に、2kgのローラを1往復させて圧着した。これを23℃で30分間放置した後、JIS Z0237に準じて、23℃、50%RHの測定環境下、引張試験機を使用して引張速度300mm/分の条件で180°引き剥がし粘着力(N/20mm幅)を測定した。
ステンレス鋼(SUS)板、ABS板(新神戸電機株式会社製)、HIPS板(日本テストパネル株式会社製)、およびPCABS板、の4種類の被着体について、上記手順に従って粘着力を測定した。
[曲面接着性]
両面粘着シートを幅20mm、長さ180mmのサイズにカットし、その一方の粘着面を覆う剥離ライナーを剥がして、同じサイズにカットしたアルミニウム片(厚さ0.4mm)を貼り合わせて裏打ちすることにより試験片を作製した。このとき、試験片の長手方向が不織布基材のMDと一致するようにした。その試験片の他方の粘着面から剥離ライナーを剥がし、長さ200mmの長方形板状の被着体に、該被着体の長手方向の一端に上記試験片の長手方向の一端を位置合わせして、ラミネータにより圧着した。この試験片付き被着体を23℃、50%RHの環境下に一日放置した後、上記アルミニウム片側を外側として(すなわち、上記被着体の試験片貼付面が凸面となるようにして)、幅(間隙サイズ)190mmの治具に円弧状に撓ませて配置し、70℃に72時間保持した。その後、上記試験片の長手方向の他端(すなわち、上記被着体の長手方向の端部に至っていない側の端部)において、該試験片が上記被着体の表面から浮き上がっているか否かを観察し、浮き上がっていた場合にはその浮き高さを測定した。測定は3つの試験片を用いて行い(すなわちn=3)、それらの平均値を算出した。ABS板(新神戸電機株式会社製)およびHIPS板(日本テストパネル株式会社製)の2種類の被着体について、上記手順に従って曲面接着性を評価した。
[粘着シートの引張強度]
各例に係る両面粘着シートを、その不織布基材の流れ方向(MD)が長手方向と一致するように、幅10mmの帯状にカットして試験片を作製した。その試験片を引張試験機にセットし(チャック間距離50mm)、JIS P8113に準じて、引張速度100mm/分の条件で、長手方向への引張り強さ(MD引張強度)TMD(N/10mm)を測定した。また、各例に係る両面粘着シートを、不織布基材の幅方向(TD)が長手方向と一致するようにして幅10mmの帯状にカットして試験片を作製し、同様にして幅方向への引張り強さ(TD引張強度)TTD(N/10mm)を測定した。さらに、TTD/TMDにより、引張強度の縦横比を算出した。
[リサイクル性]
両面粘着シートの一方の粘着面を覆う剥離ライナーを剥がし、厚さ25μmのPETフィルムに貼り付けて裏打ちした。この裏打ちされた粘着シートを幅20mm、長さ100mmのサイズにカットして試験片を作製した(試験片の長手方向が不織布基材のMDと一致するようにした。)。該試験片の他方の粘着面を覆う剥離ライナーを剥がし、上記試験片を被着体の表面に、2kgのローラを1往復させて圧着した。これを60℃、90%RHの環境下に30日間、次いで23℃、50%RHの環境下に1日間保持した後、180°引き剥がし粘着力測定と同様の条件(すなわち、引張速度300mm/分、180°剥離)で被着体から試験片を引き剥がした。その引き剥がし後の被着体表面を目視で観察し、以下の4水準にてリサイクル性(再剥離性)の善し悪しを判定した。
◎:粘着シートの残渣は認められなかった(再剥離性優)。
○:粘着剤の残渣がわずかに残っていたが、実用上は問題なかった(再剥離性良)。
△:貼付範囲の一部に粘着シートが残っていた(再剥離性不良)。
×:貼付範囲のほぼ全体に粘着シートが残っていた(再剥離不可)。
ABS板(新神戸電機株式会社製)、HIPS板(日本テストパネル株式会社製)およびPCABS板の3種類の被着体について、上記手順に従ってリサイクル性(再剥離性)を評価した。
[外観品質]
両面粘着シートの一方の粘着面を覆う剥離ライナーを剥がし、厚さ50μmのPETフィルムに貼り付けて裏打ちした。この裏打ちされた粘着シートを100mm角の正方形状にカットして試験片を作製した。該試験片の他方の粘着面を覆う剥離ライナーを剥がし、黒色のプラスチック板の表面に、2kgのローラを1往復させて圧着した。これを上記プラスチック板の表面に対して45°の角度から目視して、直径2mm以上の白い円状である不織布地合いがどの程度見えるかを評価した。その結果、地合いの見える量が例2と同等またはそれ以下である場合には○(透明性良好)、例2よりも明らかに地合いが多く見える場合には×(透明性低)と判定した。
各例に係る両面粘着シートの作製に用いた粘着剤組成物は、次のようにして調製した。
[粘着剤組成物の調製]
アクリル酸3部、酢酸ビニル4部、ブチルアクリレート93部、ヒドロキシエチルアクリレート0.1部および重合溶媒としてトルエン200部を、三つ口フラスコに投入した。窒素ガスを導入しながら2時間攪拌して重合系内の酸素を除去した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.15部を加え、70℃に昇温して6時間重合反応を行った。このようにしてポリマー溶液(アクリル系ポリマーのトルエン溶液)を得た。得られたポリマーの重量平均分子量は70×10であった。
前記ポリマー溶液に、その固形分100部に対して40部の粘着付与剤(荒川化学社製の重合ロジン、商品名「ペンセルD125」)と、1.4部のイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業社製、商品名「コロネートL」)と、最終的な固形分が35%となる分量のトルエンとを加え、十分に攪拌して、アクリル系粘着剤組成物A1を調製した。このアクリル系粘着剤組成物の23℃における粘度は10Pa・sであった。該組成物から得られる粘着剤のせん断損失弾性率G”のピークトップ温度は−25℃であった。
なお、粘着剤のせん断損失弾性率G”のピークトップ温度は、粘弾性試験機(レオメトリックス社製、商品名「ARES」)を用いて、以下の方法により求めた。
すなわち、粘着剤組成物A1を上記剥離ライナー上に塗付し、100℃で2分乾燥して、厚み約100μmの粘着剤層を形成した。この粘着剤層を重ね貼りして、厚さ1mmの粘着剤膜(試験サンプル)を形成した。この粘着剤膜を直径7.9mmの円盤状に打ち抜き、パラレルプレートで挟み込み、上記粘弾性試験機により損失弾性率G”の温度依存性を測定し、そのピークトップに相当する温度(G”カーブが極大となる温度)を求めた。測定条件は下記の通りである。
・測定:せん断モード
・温度範囲:−70℃〜150℃
・昇温速度:5℃/分
・周波数:1Hz
<重量平均分子量測定>
重量平均分子量(Mw)は、東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8220GPC)を用いて測定し、標準ポリスチレン換算値にて求めた。測定条件は下記の通りである。
・サンプル濃度:0.2質量%(テトラヒドロフラン(THF)溶液)
・サンプル注入量:10μl
・溶離液:THF
・流速:0.6ml/min
・測定温度:40℃
・カラム:
サンプルカラム;TSKguardcolumn SuperHZ−H(1本)
+TSKgel SuperHZM−H(2本)
リファレンスカラム;TSKgel SuperH−RC(1本)
・検出器:示差屈折計(RI)
これらの不織布および粘着剤組成物を用いて両面粘着シートを作製した。
(例1)
上記粘着組成物A1を、シリコーン系剥離剤による剥離処理層を有する剥離ライナー(王子特殊紙株式会社製、商品名「75EPS(M)クリーム改」)に塗付し、100℃で2分乾燥して厚み約60μmの粘着剤層を形成した。この粘着剤層付き剥離ライナーを2枚用意し、それらの粘着剤層を不織布S1(基材)の両面にそれぞれ貼り合わせて、例1に係る粘着シートを作製した。この粘着シートの両粘着面は、該粘着シートの作製に使用した剥離ライナーによってそのまま保護されている。
(例2)
上記粘着組成物A1を、例1と同じ剥離ライナーに塗付し、100℃で2分乾燥して厚み約80μmの粘着剤層を形成した。この粘着剤層付き剥離ライナーを2枚用意し、それらの粘着剤層を不織布S2(基材)の両面にそれぞれ貼り合わせて、例2に係る粘着シートを作製した。この粘着シートの両粘着面は、該粘着シートの作製に使用した剥離ライナーによってそのまま保護されている。
(例3)
剥離ライナー上に形成される各粘着剤層の厚みを約60μmとした点以外は例2と同様にして、例3に係る両面粘着シートを作製した。
(例4)
剥離ライナー上に形成される各粘着剤層の厚みを約43μmとした点以外は例2と同様にして、例4に係る両面粘着シートを作製した。
各例に係る両面粘着シートを50℃の環境下に3日間保持したものを評価サンプルとして、上記の各評価試験を行った。得られた結果を表2に示す。ここで、表中の総合評価欄の「軽量性」は、両面粘着シートの面積当たりの質量が130g/m以下の場合には◎、130g/mより大かつ150g/m以下の場合には△、150g/mより大の場合には×、として判定したものである。
なお、例1〜4に係る構成の両面粘着シートを塗工機で連続生産する場合、不織布S1を用いた両面粘着シートは、不織布S2を用いた例2に係る両面粘着シートと同等のラインスピードで製造可能であり、生産性に優れることがわかった(生産性優。表中では◎と表記。)。
Figure 2013173922
Figure 2013173922
これらの表からわかるように、不織布S1を基材として備える例1の両面粘着シートは、面積当たりの質量が150g/m以下(より詳しくは130g/m以下)であり、例2に係る両面粘着シートを基準として30%近く軽量化されているにも拘わらず、例2と同等の良好な粘着性能(ここでは、粘着力および曲面接着性)を示した。これは、不織布の坪量を小さくする一方、粘着剤量の大幅な減量を避けることにより、両面粘着シートの軽量化と良好な粘着性能との両立が実現されたものである。例1に係る両面粘着シートの粘着剤の質量割合は85質量%以上(より具体的には、87〜90質量%)であり、例2に係る両面粘着シートと同等か、寧ろ高くなっている。このことも、両面粘着シートの総厚を例2から20%以上(より具体的には20〜30%)小さくしても良好な粘着性能が維持された要因のひとつと考えられる。そして、不織布S1は、繊維径6μm以上のマニラ麻繊維を25本数%以上(より詳しくは30本数%以上)と、S2の1.2倍以上(より詳しくは1.5倍以上)も多く含む。かかる不織布基材の特徴もまた、千切れにくく(粘着力が高くても被着体からの再剥離性がよく)かつ軽い両面粘着シートの実現に寄与している。
これに対して、繊維径6μm以上のマニラ麻繊維の割合が少ない不織布S2を基材に用いた両面粘着シートは、面積当たりの質量が180g/m程度である例2は良好なリサイクル性および外観品質(透明性)を示したが、この不織布S2を用いつつ粘着剤量を減らすことで軽量化を図った例3では、例2に比べて外観品質が低下した。さらに粘着剤量を減らした例4では、外観品質の低下に加えて、粘着力および曲面接着性の大幅な低下がみられた。
不織布の繊維径が両面粘着シートの性能に及ぼす影響をさらに詳細に検討するため、上記繊維径測定において得られた不織布S1、S2の構造に係る情報を表3にまとめた。
また、以下の方法により不織布S1、S2の透気抵抗度R1/4を測定した。すなわち、測定対象の不織布を4枚重ね合わせて、サイズが凡そ50mm×50mmの正方形状の測定サンプルを用意した。この測定サンプルを市販のB型ガーレー試験機(試験面積645mm)にセットし、JIS P 8117:1998に規定するガーレー試験機法に準拠して、上記測定サンプルを100mLの空気が透過するのに要する時間を測定した。各不織布につき5つの測定サンプルを用いて上記測定を行い、それらの平均値を4で割った値を、当該不織布の透気抵抗度R1/4[秒]とした。
Figure 2013173922
この表に示されるように、不織布S2に比べて不織布S1は、φ6μm以上のマニラ麻繊維の割合およびφ5μm以上のマニラ麻繊維の割合がいずれも明らかに多く、平均繊維径も0.5μm以上大きかった。このように、より太い構成繊維を用いることは、通常、より軽い(坪量の小さい)不織布を製造しようとする場合に検討する方向とは逆方向への試みである。その結果、S2に比べてS1は、不織布繊維間の隙間がより多いものとなり、このことが透気抵抗度R1/4の顕著な低下となって表れたものと推察される。そして、この不織布繊維間の隙間に粘着剤が効果的に充填されることで、より粘着剤の充填性の低い不織布を用いた構成に比べて外観品質が向上し、また引張強度の高い両面粘着シートが実現されたものと考えられる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1,2 両面粘着シート
10 不織布基材
10A 第一面
10B 第二面
21 粘着剤層(第一粘着剤層)
21A 粘着面(第一粘着面)
212 上方部分
214 下方部分
22 粘着剤層(第二粘着剤層)
22A 粘着面(第二粘着面)
222 上方部分
224 下方部分
31,32 剥離ライナー

Claims (6)

  1. 不織布基材と、
    該不織布基材の第一面および第二面にそれぞれ設けられた粘着剤層と、
    を備えた両面粘着シートであって、
    前記両面粘着シートは、面積当たりの質量が150g/m以下であり、
    前記両面粘着シートの質量のうち85%以上は前記粘着剤層の質量であり、
    前記不織布基材は、その構成繊維の25本数%以上の割合で、繊維径6μm以上のマニラ麻繊維を含む、両面粘着シート。
  2. 前記両面粘着シートの厚みが200μm以下である、請求項1に記載の両面粘着シート。
  3. 前記両面粘着シートは、その流れ方向に対する引張強度をTMDとし、幅方向に対する引張強度をTTDとしたとき、TTD/TMDの値が0.8以上1.2以下である、請求項1または2に記載の両面粘着シート。
  4. 前記粘着剤層の主成分はアクリル系粘着剤である、請求項1から3のいずれか一項に記載の両面粘着シート。
  5. 前記不織布基材は、その流れ方向に対する引張強度をtMDとし、幅方向に対する引張強度をtTDとしたとき、tTD/tMDの値が0.8以上1.2以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載の両面粘着シート。
  6. 前記不織布基材は、その構成繊維の95質量%以上がマニラ麻繊維である、請求項1から5のいずれか一項に記載の両面粘着シート。
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