JP2004106776A - アクセルペダル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】運転席のフロアに取り付けるストッパ部30と、ストッパ部30に締結され、運転者の踏力によって操作するパッド部20と、パッド部20に係合され、前記踏力を伝えるアーム4と、アーム4に係合され、アーム4を支えるブラケット5とを備えるアクセルペダル100であって、ストッパ部30に、パッド部20を締結するパッド嵌合部17を設け、パッド部20を単一の樹脂材料で一体成形した。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用のアクセルペダルに関し、特に、パッド部が樹脂で一体に成形され、さらにパッド部がストッパ部との間に嵌合構造を有したアクセルペダルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、アクセルペダルは、車両の運転席のフロア全面に敷設されているフロア絨毯の上からボルト等によって固定されており、フロア絨毯の洗浄をしたり、補修や交換をしたりする場合、アクセルペダルのパッド部やアームやブラケット等を取り外した上で、運転席のフロアに固定されているストッパ部を取り外していた。
【0003】
そして、フロア絨毯を取り外し、洗浄をしたり、補修や交換をしたりした後に、ストッパ部をフロアにボルトで固定し、これにパッド部を嵌合し、このパッド部にアームやブラケットを係合させた後、エンジンの回転速度を制御するスロットルを再調整していた。
【0004】
すなわち、アクセルペダルを一旦取り外してしまうと、アームを係合しているブラケットの取り付け位置が変わってしまい、エンジンの回転速度を元通りに制御するためにスロットル等を調整していた。
【0005】
また、アクセルペダルのパッド部に設けられた樹脂製爪を、ストッパ部に設けられた爪の引っ掛け部に引っ掛けて締結する場合、樹脂の柔軟さを利用して締結するスナップフィット(Snap−Fit)構造などを用いる締結手法が知られているが、樹脂爪などをたわませて締結を強固にするためにはボルト、ナット、タッピングスクリューなどを用いて締結せざるをえなかった。
【0006】
そのため、このような、樹脂爪をたわませて、抜け防止を図る樹脂製部品の締結構造は、樹脂〜ゴムの領域に至るような軟らかな樹脂爪ではなく、硬度が高い樹脂爪による締結が用いられていた。
【0007】
このような、車両用アクセルペダルの構造に関し、アクセルペダルパッドとリテーナ相互の回転支軸方向への相対移動を規制する規制部材を設けて、回転支軸方向のがたつき量を最小限に抑制するようにした車両用アクセルペダルが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献】
特開2001−270343号公報(第3〜4頁、図2)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の手法によると、締結時には締結部材を変形させながら、締結部材に嵌め込むフィットイン(fit in)構造によって抜けや、がたを防止している。しかるに、締結側の樹脂爪については、樹脂のたわみ等の変形に対して、変形防止構造とはなっていないため、締結部材の変形如何にかかわらず爪自体が変形して抜けを発生する恐れがあった。
【0010】
また、締結部材に軟質部材を用いた場合、抜けや、がたが発生する恐れがあり、爪のたわみ等の変形を防止し、抜けや、がたを防止する強固な締結構造が望まれていた。
【0011】
また、アクセルペダルは、車両の運転席のフロア全面に敷設されているフロア絨毯の上からボルト等によって固定されており、フロア絨毯の洗浄をしたり、補修や交換をしたりする場合、運転席のフロアに固定されているストッパ部を取り外さなければならない。そのために、アクセルペダルのパッド部やアームやブラケット等を取り外さなくてはならないが、パッド部をストッパ部から容易に取り外すことができないという問題があった。
【0012】
また、これらを一旦取り外してしまうと、エンジンの回転速度を元通りに制御するためには、再調整しなければならないという問題があった。
【0013】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、パッド部とストッパ部との間に抜けや、がたがなく、しかも、ストッパ部からパッド部を容易に取り外すことを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決した本発明のうちの請求項1に記載の発明は、車両の運転席のフロアに取り付けるストッパ部と、前記ストッパ部に嵌合され、運転者の踏力を受けるパッドを有するパッド部と、前記パッド部に係合され、前記踏力を伝えるアームと、前記アームに係合され、前記アームを支えるブラケットとを備えるアクセルペダルであって、前記パッド部に、前記ストッパ部と嵌合するストッパ嵌合部と、前記ストッパ部に、前記ストッパ嵌合部と嵌合するパッド嵌合部と、前記パッドを前記ストッパ嵌合部に連結するヒンジ部とを設け、前記パッド部を樹脂材料で成形したことを特徴とする。
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、パッド部を樹脂材料で成形したため、樹脂材料の持つ柔軟さによって、締結部材をたわませて嵌め合わせることができ、締結した後は、元の形状に復帰するため、抜けや、がたを防止することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記パッド、前記ヒンジ部および前記ストッパ嵌合部が、単一の樹脂材料で一体に成形されていることを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明による効果に加えて、パッド部を単一の樹脂材料で一体成形したため、パッド部内に取り付け部をなくすことができ、抜けや、がたを防止することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記パッド、前記ヒンジ部および前記ストッパ嵌合部が、軟質のポリエステルエラストマからなることを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の発明による効果に加えて、パッド部が、軟質の樹脂で形成されているため、パッド部を手でひねることにより、パッド部をストッパ部から容易に取り外すことができる。これにより、車両のフロアの絨毯を容易に取り外すことができ、洗浄、補修そして交換を容易にすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明に係るアクセルペダルの一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るアクセルペダルが運転席の足元に設けられている様子の概略を示す斜視図である。図1に示すように、アクセルペダル100は、運転者の踏力によって操作するパッド部20と、車両のフロアに敷かれているフロア絨毯の上に取り付けられるストッパ部30と、パッド部20に与えられた踏力を伝えるアーム4と、アーム4を支えるブラケット5とを備えている。パッド部20およびストッパ部30は、手で充分たわませることができる軟質の樹脂で形成されている。このため、パッド2、ヒンジ部10およびストッパ嵌合部1からなるパッド部20は、柔軟性を持たせるためにポリエステルエラストマ(PE)の樹脂で一体に成形されており、ストッパ30は、ポリプロピレン(PP)にタルクを合成した樹脂で一体に成形されている。
【0021】
図2は、本発明の一実施形態に係るアクセルペダルの構成を示す説明図である。(a)は斜視図であり、(b)は(a)のA−A線における縦断面図である。図2に示すように、アクセルペダル100において、ストッパ部30が運転席の不図示のフロア絨毯の上から車体の床面にボルト18、18によって車室内から固定されている。このストッパ部30の下端には、パッド部20の下端が取り付けられている。パッド部20の上端にはアーム4の一端が係合されており、アーム4の他端はブラケット5に係合されている。ブラケット5は、アーム4に係合された状態で車体にボルト18、18で固定されることにより、ブラケット5に備えられた不図示のばねによるばね力によってパッド2が踏み込まれない状態に保持されている。このとき、パッド2が運転者の足で踏み込まれると、アーム4に踏力が伝わり、このアーム4に連結されている不図示のスロットルを動かせて、不図示のエンジンの回転速度を制御する。尚、パッド2は、ストッパ3によって踏み込まれる下限が決められている。
【0022】
図3は、本発明の一実施形態に係るアクセルペダルのパッド20とストッパ30との位置関係を示す説明図である。図3(a)はパッド部の斜視図であり、図3(b)はストッパ部の斜視図である。図3に示すように、パッド部20の爪6a、6bが、ストッパ部30の爪の挿入口13に挿入されることにより、パッド部20はストッパ部30に締結される。図3(a)に示すように、パッド部20の下端にはストッパ部30との係合部を有し、この係合部に第1リリース孔8が設けられている。この第1リリース孔8は、ストッパ部30との係合を解除するために用いられるものであり、後述するバックアップ板を押し下げるための、たとえば鉛筆状の細長い棒などを挿入できるようになっている。尚、符号10は、パッド2とストッパ嵌合部1とを連結しているヒンジ部であり、パッド2およびストッパ嵌合部1と一体に成形されている。
【0023】
図3(b)に示すように、ストッパ部30には、爪の挿入口13が設けられている。この爪の挿入口13に、パッド部20の爪6a、6bおよび爪の支持板11a、11bが挿入され、パッド部20がストッパ部30に締結される。また、ストッパ部30にも、パッド部20と同様に、後述するバックアップ板7を押し下げるための細長い棒などを挿入できる第2リリース孔9が設けられている。
【0024】
次に、以上の構成を備えたアクセルペダルの動作について説明する。図4は、パッド部20が、ストッパ部30に取り付けられて締結する動作を示す工程断面図である。図4に示すように、パッド部20の下端に備えられた爪6a、6bおよび爪の支持板11a、11bが、ストッパ部30の爪の挿入口13から挿入される。図4(a)は、パッド部20の下端の爪6a、6bが、爪の支持板11a、11bと共に、ストッパ部30の爪の受け面12の途中迄挿入された状態を示している。このとき爪6a、6bは爪の支持板11a、11bと共に、内側に押し曲げられて挿入されている。このとき、爪の受け面12、12の内面から受ける押圧力により、内側に押し曲げられた状態で互いに向き合っている。
【0025】
図4(b)は、爪6a、6bおよび爪の支持板11a、11bがストッパ部30の爪の挿入口13へ、さらに、押し進められた状態を示している。このとき、一方の爪6aがバックアップ板7に当接し、バックアップ板7が下方に押し下げられている。尚、このバックアップ板7は、ストッパ部30と一体になっており、また、軟質の樹脂で形成されているので人間の力で容易にたわませることができる。
【0026】
図4(c)は、爪6a、6bおよび爪の支持板11a、11bが、ストッパ部30の爪の挿入口13へ、さらに、押し進められた状態を示している。このとき、一方の爪6aがバックアップ板7に当接し、バックアップ板7が、さらに、下方に押し下げられて、爪6bは、爪の引っ掛け部14に引っ掛かった状態になっている。因みに、この状態では、爪6aは、まだ爪の引っ掛け部14に引っ掛かった状態になっていない。
【0027】
図4(d)は、爪6a、6bおよび爪の支持板11a、11bが、さらに、下方に押し進められた状態を示している。このとき、爪6bは爪の引っ掛け部14に引っ掛かった状態になっているが、爪6aはバックアップ板7に設けられている爪の逃げ孔15に進入して、爪の引っ掛け部14にやや引っ掛かった状態になっている。
【0028】
図4(e)は、爪6a、6bおよび爪の支持板11a、11bが、さらに、下方に押し進められた状態を示している。このとき、爪6a、6bは共に爪の引っ掛け部14、14に引っ掛かった状態になっている。このとき、バックアップ板7は、爪の押し下げ力から解放され、上方へ移動し、元の位置に戻っている。これにより、パッド部20の爪6a、6bは共に爪の引っ掛け部14、14に引っ掛かり、この爪6a、6bをバックアップ板7が上方へ押し上げて、爪6a、6bが、爪の引っ掛け部14、14に確実に引っ掛かり、抜けない状態になって、抜けや、がたを防止することができる。
【0029】
このように、爪6a、6bは、爪の支持板11a、11bが内側に変形して爪の挿入口13から挿入し、爪の受け面12を抜けた後に当初の位置に戻り、パッド部20とストッパ部30との嵌合が成立する。また、爪6a、6bは容易に変形できる構造になっているため、嵌合作業を容易にしている。
【0030】
また、パッド部20は、ストッパ部30に嵌合し、運転者が、アクセルペダル100のパッド2を踏み込み操作すると、パッド2は、パッド2のヒンジ部10を支点として弧状に上下に回動する。これにより、パッド2の上端に係合されたアーム4が押されて、このアーム4に係合された不図示のスロットルを引き寄せて、不図示のエンジンの回転速度を制御することができる。
【0031】
図5は、ストッパ部30からパッド部20を取り外す動作を示す工程断面図である。図5(a)は、爪6a、6bおよび爪の支持板11a、11bが、下方に押し進められて、爪6a、6bは爪の引っ掛け部14、14に引っ掛かった状態を示している。このとき、バックアップ板7は、上方に位置している。これにより、爪6a、6bをバックアップ板7が上方へ押し上げて、爪6a、6bが、爪の引っ掛け部14、14に引っ掛かって抜けない状態になっている。
【0032】
図5(b)は、パッド部20をストッパ部30から取り外すために、パッド部20の第1リリース孔8、ストッパ部30の第2リリース孔9に鉛筆などの細長い棒16を差し込み、バックアップ板7のリリース点Pを押し下げた状態になっている。また、このとき、爪6aは、爪の逃げ孔15から引き抜かれている。このため、爪6a、6bは、バックアップ板7から拘束されていない状態になっている。
【0033】
図5(c)は、バックアップ板7を、例えば、左手で押し下げた状態に維持しながら、一方の、例えば、右手でパッド2を握り、パッド2を矢印のように水平方向に回転させる。このとき、パッド部20の爪の支持板11a、11bは、矢印のように、内側にややたわんだ状態になっている。
【0034】
図5(d)は、パッド2を、さらに、水平方向に回転させ、爪6a、6bが爪の引っ掛け部14、14から外れた状態を示している。
【0035】
図5(e)は、(d)に示した状態を維持しながら、パッド2を持った左手を垂直方向に引き上げ、パッド部20がストッパ部30から外れた状態を示している。このとき、先ほど、鉛筆などの細長い棒16を持っていた左手も下へ押す力を抜いて解放している。
【0036】
このように、爪6a、6bは、軟質な部材で形成されているため、バックアップ板7が外れると、パッド2を真上に引き上げることによって、パッド部20をストッパ部30から容易に取り外すことができる。
【0037】
したがって、パッド2に覆われていて、工具を差し込むスペースがなかったストッパ部30を固定するボルト18、18を車内から容易に外すことができる。
【0038】
これにより、アーム4やブラケット5を取り外す必要がなく、そのため、エンジンの回転速度を制御するスロットルに触れることなく運転席のフロアに敷設されているフロア絨毯を容易に取り外すことができ、作業工数の削減を達成することができる。
【0039】
以上好ましい実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱することのない範囲内において適宜の変更が可能なものである。例えば、実施形態では、パッド部をポリエステルエラストマ(PE)を用いて成形しているが、柔軟性を持つ樹脂であれば他の樹脂材料であっても構わない。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、樹脂材料で成形したため、樹脂材料の持つ柔軟さによって、締結部材をたわませて嵌め合わせることができ、締結した後は、元の形状に復帰するため、抜けや、がたを防止することができる。
【0041】
請求項2に記載の発明によれば、パッド部を単一の樹脂材料で一体成形したため、パッド部内に取り付け部をなくすことができ、抜けや、がたを防止することができる。
【0042】
請求項3に記載の発明によれば、パッド部が、軟質の樹脂で形成されているため、パッド部を手でひねることにより、ストッパ部から容易に取り外すことができる。これにより、車両のフロアの絨毯を容易に取り外すことができ、洗浄、補修そして交換を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るアクセルペダルの概略を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るアクセルペダルの構成を示す説明図である。(a)は斜視図であり、(b)は(a)のA−A線における縦断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るアクセルペダルのパッド部とストッパ部との位置関係を示す説明図である。(a)はパッド部の斜視図であり、(b)はストッパ部の斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るアクセルペダルのパッド部がストッパ部に取り付けられて締結する動作を示す工程断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るアクセルペダルのパッド部がストッパ部から取り外される動作を示す工程断面図である。
【符号の説明】
1 ストッパ嵌合部
2 パッド
3 ストッパ
4 アーム
5 ブラケット
6a、6b 爪
7 バックアップ板
8 第1リリース孔
9 第2リリース孔
10 ヒンジ部
11a、11b 爪の支持板
12 爪の受け面
13 爪の挿入口
14 爪の引っ掛け部
15 爪の逃げ孔
16 細長い棒
17 パッド嵌合部
20 パッド部
30 ストッパ部
100 アクセルペダル
Claims (3)
- 車両の運転席のフロアに取り付けるストッパ部と、
前記ストッパ部に嵌合され、運転者の踏力を受けるパッドを有するパッド部と、
前記パッド部に係合され、前記踏力を伝えるアームと、
前記アームに係合され、前記アームを支えるブラケットと、
を備えるアクセルペダルであって、
前記パッド部に、前記ストッパ部と嵌合するストッパ嵌合部と、
前記ストッパ部に、前記ストッパ嵌合部と嵌合するパッド嵌合部と、
前記パッドを前記ストッパ嵌合部に連結するヒンジ部と、
を設け、前記パッド部を樹脂材料で成形したことを特徴とするアクセルペダル。 - 前記パッド、前記ヒンジ部および前記ストッパ嵌合部が、単一の樹脂材料で一体に成形されていることを特徴とする請求項1に記載のアクセルペダル。
- 前記パッド、前記ヒンジ部および前記ストッパ嵌合部が、軟質のポリエステルエラストマからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアクセルペダル。
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