JP2004012904A - 表示ユニットおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明により、ガラス基板3とカバーガラス2とを接着剤5で接合してセルを形成し表示素子5を封止して成る表示ユニットの製造方法において、カバーガラス2の接合部2aには接着剤塗布手段の最小可能塗布幅よりも狭幅の凸部を形成し、この凸部に接着剤塗布手段により接着剤5を塗布しガラス基板との接合を行なう表示ユニット1の製造方法とすることで現状のスクリーン印刷機などでの限界値以下の塗布幅であっても、安定な接着剤の塗布を可能とすると共に、はみ出し部の発生も少ないものとして小型化を可能とし、課題を解決するものである。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶表示ユニット、有機EL表示ユニットなど、ガラス基板とカバーガラスとでセルが形成され、そのセル中に液晶、有機ELなどの表示素子が封止される構成とされた表示ユニットおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の表示ユニットの構成を、有機EL表示ユニット90の例で示すものが図6および図7であり、先ず、図6に示したものはガラス基板91上に有機EL表示素子92を複数個所として形成しておき、しかる後にそれぞれの有機EL表示素子92を取り囲む枠状のスペーサ93とカバーガラス94とを、例えばエポキシ樹脂の接着剤95で貼り付け、最後にスペーサ93間で切断して個々の有機EL表示ユニット90を得るものとしている。
【0003】
また、図7に示した有機EL表示ユニット80は、ガラス基板81上に形成された有機EL表示素子82を覆い、比較的に厚い板厚のカバーガラス84の前記有機EL表示素子82に対応する部分を刳りぬき素子収納凹部84aとし、その周縁を接合部84bとしたものを上記と同様に接着剤85で貼り付けたものである。そして、前記素子収納凹部84a間で切断することで個別の有機EL表示ユニット80を得るものとしている。
【0004】
尚、近年のこの種の表示ユニットに対し市場からは、小型で且つ表示面積が大きいことが要求されるものとなり、これを図6により説明を行なえば、有機EL表示素子92はスぺーサ93の内壁93aに限りなく近接して配置されることが要求され、加えて、スぺーサ93の内壁93aと外壁93bとの肉厚は可能な限りに薄くする(例えば、100μm)ことが要求されるものとなっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の表示ユニット80、90においては、図6に示したものでは、スペーサ93の上端をカバーガラス94に接着し、下端をガラス基板91に接着するものであるので、スペーサ93の上下の両端に接着剤95のはみ出しを生じやすいものとなり、従って、有機EL表示素子92と内壁93aとを期待されるほど近づけることができず、有機EL表示素子92の大型化が困難でありかつ外観を損なう問題点を生じている。また、図7に示した表示ユニット80においてもガラス基板81とカバーガラス84との接着側で同様な問題を生じるものとなる。
【0006】
上記の問題点は、例えば、スペーサ93、あるいは接合部84bに接着剤95、85をスペーサ93、接合部84bの肉厚(例えば、100μm)よりも狭い幅(例えば、70μm)で塗布すれば、理論的にははみ出しを防ぐことが可能であるが、現実にはこの種の接着剤95の塗布手段として使用されるスクリーン印刷機などの精度の限界が100μm程度であり、これを下回ると膜厚などに精度が低下するものとなって、一層のはみ出しを生じたり、逆に接着不充分な部位を生じるなどして現実的な解決手段とは成らない。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記した従来の課題を解決するための具体的手段として、ガラス基板とカバーガラスとを接着剤で接合してセルを形成し、該セルの内部に表示素子を封止して成る表示ユニットの製造方法において、前記カバーガラスの接合部には接着剤塗布手段の最小可能塗布幅よりも狭幅の凸部を形成し、この凸部に前記接着剤塗布手段により接着剤を塗布し前記ガラス基板との接合を行なうことを特徴とする表示ユニットの製造方法を提供することで課題を解決するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明を図に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。図1に示すものは本発明に係る表示ユニット1の第一実施形態であり、この第一実施形態では、ガラス基板3とでセルを形成するカバーガラス2が接合部2cを有する略浅皿状として形成されスペーサを兼ねるものとされているときの例で説明するが、上記でも説明したように別体のスペーサを使用しガラス基板3と接合しセルを形成するものであっても同様に実施が可能であることは言うまでもない。
【0009】
前記カバーガラス2は前記ガラス基板3上に設けられる有機EL素子あるいは液晶素子などの表示素子4の寸法に合わせた素子収納凹部2aが設けられ、この素子収納凹部2aを囲む略枠状の脚部2bの先端が接合部2cとされるものであり、そして、前記脚部2bとして設定するときの好ましい幅が100μm程度である点は従来例と同様である。
【0010】
ここで、本発明では前記接合部2c、即ち、脚部2bの幅をサンドブラスト法あるいはケミカルエッチング法など適宜な手段により、少なくとも接着剤が塗布される部分を更に狭幅として凸部2dを形成するものであり、例えば、本来の幅が100μmとして設定されているのであれば、400〜3000番の砥粒によるサンドブラスト法など適宜な手段で70μm程度まで幅を狭める。
【0011】
尚、図1では上記説明の状況をより明確に示すために、100μmで形成された接合部2cの一部がサンドブラスト法などにより70μに狭められて凸部2dとされ、脚部2bには段差を生じているものとして図示してあるが、実際の実施に当たっては脚部2b全体を70μmなど狭幅として形成するのは自在である。また、上記サンドブラスト法に換えて、化学薬品によるエッチング法で狭幅の凸部2dを形成するのも自在である。
【0012】
上記説明のようにして形成された凸部2dには、従来例と同様にスクリーン印刷機など適宜な手段で接着剤5を塗布する。そして、このときにスクリーン印刷機側には印刷幅100μmなど、この印刷機として精度が保てる印刷幅が設定されている。よって、接合部2cには印刷幅100μm中の70μmの部分が膜厚などに期待できる精度を保ち塗布されるものとなる。
【0013】
図2は、上記説明の方法により接着剤5が塗布されたカバーガラス2と、ガラス基板3とを接着した状態を示すものであり、加熱され圧接されて接着が行なわれた後には、接着剤5には凸部2dからのはみ出し部5aを生じるものとはなるが、前記接着剤5を塗布するときの膜厚と、脚部2bに対する凸部2dの寸法比を適正化することで、脚部2bの寸法の範囲内に凸部2d、および、はみ出し部5aを加えた寸法を納めることができるものとなる。
【0014】
図3は本発明に係る表示ユニット1の第二実施形態を要部で示すものであり、前の第一実施形態では、接合部2c、即ち、凸部2dの先端はガラス基板3と平行な面として形成されているものとして説明したが、この第二実施形態においては、凸部2dには図示のように適宜な傾斜角αが設けられている。このようにすることでカバーガラス2とガラス基板3との接着を行なう際には、前記接着剤5は接着時の加熱と押圧とにより傾斜が開く側に逃げるものとなり、即ち、凸部2dに対しはみ出し部5aを生じる側を自在に制御できるものとなる。
【0015】
図4は本発明に係る表示ユニット1の第三実施形態を要部で示すものであり、この第三実施形態では接合部2cには、更に1つの凸部2eが設けられ、この2つの凸部2d、2eは一本の凹部2gを挟んで存在するような断面形状とされている。尚、前記凹部2gの形成に当たっては、上記にも説明したようにサンドブラスト法、エッチング法などが用いられる。また、図4では更に1つの凹部2hがカバーガラス2の外径側に形成されている例で示してあるが、この凹部2hは実際の実施に当たって必要に応じ設ければ良いものである。
【0016】
このように形成された接合部2cにおいては、何れか一方の凸部、例えば凸部2eに接着剤5が塗布され、他の一方の凸部2dは凸部2eに塗布された接着剤5がガラス基板3に接着時に表示素子4側にはみ出すときの堰き止め用として機能する。よって、表示素子4側へのはみ出し部5aの発生を皆無にしたいときには、表示素子4から見て外径側となる凸部2eに接着剤5を塗布すれば良く、外観側にはみ出し部5aを生じさせたくないときには凸部2dに接着剤5を塗布すれば良いものとなる。
【0017】
尚、この第三実施形態においては、上記に説明した第二実施形態の構成と組合わせ、接着時の接着剤5に対してはみ出し部5aを生じる方向を制御するものとすることで、前記はみ出し部5aを凸部2dと凸部2eとの間にある凹部2g内に生じるものとして、実質的にはみ出し部5aが全く外面に表われることのないものとすることも可能である。また、同様に表示素子4側へも、外形側へもはみ出し部5aを生じさせないようにするためには、図5に第四実施形態として示すように、接合部2cに2つの凹部2g、2hを設け、よって形成された3つの凸部2d、2e、2fの真ん中の凸部2eに接着剤5を塗布し、そしてガラス基板3と接着を行なうことでも可能である。
【0018】
また、上記のように凸部2d、2e(図4参照)、または、凸部2d、2e、2f(図5参照)のように複数の凸部が設けられたときには、図5に第四実施形態として示すように一部の凸部の先端、例えば、3つの凸部2d、2e、2fが設けられているときの例では、凸部2dと凸部2fとの先端に薄膜6を形成しギャップ調整を行い、はみ出し部5の発生量を減少させるなども自在である。また、この場合、凸部2eに塗布する接着剤5に粒度6000番以上の微粒子7を含有させれば、これら微粒子7が骨材となり凸部2eとガラス基板3とにギャップがある状態においても接着強度の向上が期待できる。
【0019】
また、前記接着剤5に関して説明を行なえば、極度に狭い幅で接着を行うものであるので、接着剤5に透明に近いエポキシ樹脂などを採用するときには、目視など簡易な検査では塗布が完全に行なわれたか否かの判定が行ないがたいものとなる。よって、このような場合の対策として接着剤5に着色を行ない、目視検査などでも良否の判定が容易となるように図るのが好ましい。
【0020】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明により、ガラス基板とカバーガラスとを接着剤で接合してセルを形成し、該セルの内部に表示素子を封止して成る表示ユニットの製造方法において、前記カバーガラスの接合部には接着剤塗布手段の最小可能塗布幅よりも狭幅の凸部を形成し、この凸部に前記接着剤塗布手段により接着剤を塗布し前記ガラス基板との接合を行なう表示ユニットの製造方法および前記製造方法により製造された表示ユニットとしたことで、表示面は大きく外形は小さいことが要求されるが、接着剤のはみ出しなどにより表示素子とにクリアランスを設けざるを得ず、その結果として小型化が困難であった表示ユニットを、現状のスクリーン印刷機などでの限界値以下の塗布幅であっても、安定な接着剤の塗布を可能とすると共に、はみ出し部の発生も少ないものとして表示素子に悪影響を与えることなく高い部留まりで生産可能とするものであり、もって、この種の表示ユニットの小型化、生産性の向上に極めて優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る表示ユニットの第一実施形態を要部で示す断面図である。
【図2】上記第一実施形態のセル完成後の状態を要部で示す断面図である。
【図3】同じく本発明に係る表示ユニットの第二実施形態を要部で示す断面図である。
【図4】同じく第三実施形態を要部で示す断面図である。
【図5】同じく第四実施形態を要部で示す断面図である。
【図6】従来例を示す断面図である。
【図7】別の従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1……表示ユニット
2……カバーガラス
2a……素子収納凹部
2b……脚部
2c……接合部
2d、2e、2f……凸部
2g、2h……凹部
3……ガラス基板
4……表示素子
5……接着剤
5a……はみ出し部
6……薄膜
7……粒子
Claims (8)
- ガラス基板とカバーガラスとを接着剤で接合してセルを形成し、該セルの内部に表示素子を封止して成る表示ユニットの製造方法において、前記カバーガラスの接合部には接着剤塗布手段の最小可能塗布幅よりも狭幅の凸部を形成し、この凸部に前記接着剤塗布手段により接着剤を塗布し前記ガラス基板との接合を行なうことを特徴とする表示ユニットの製造方法。
- 前記接合部には凹部を挟んで少なくとも2本の凸部が形成され、その少なくとも一方に前記接着剤が塗布されることを特徴とする請求項1記載の表示ユニットの製造方法。
- 前記凸部もしくは凹部は400〜3000番の砥粒を使用したサンドブラスト法、または、化学薬液によるエッチング法で形成されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の表示ユニットの製造方法。
- 前記凸部の先端は前記ガラス基板の面に対して適宜な傾斜角が設けられ、これにより接着時の剰余の接着剤の逃げ方向が定められていることを特徴とする請求項1〜請求項3何れかに記載の表示ユニットの製造方法。
- 少なくとも1つの前記凸部の先端にはギャップ調整用の薄膜を形成することを特徴とする請求項1〜4何れかに記載の表示ユニットの製造方法。
- 前記接着剤には着色が行なわれることを特徴とする請求項1〜5何れかに記載の表示ユニットの製造方法。
- 前記接着剤には粒度6000番以上の粒子を含有させることを特徴とする請求項1〜請求項6何れかに記載の表示ユニットの製造方法。
- 請求項1〜請求項7何れかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とする表示ユニット。
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