JP2003336130A - 炭素繊維、それから得られるカーボンナノファイバー及びその炭素繊維の製造方法並びにその前駆体繊維 - Google Patents

炭素繊維、それから得られるカーボンナノファイバー及びその炭素繊維の製造方法並びにその前駆体繊維

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JP2003336130A
JP2003336130A JP2002186613A JP2002186613A JP2003336130A JP 2003336130 A JP2003336130 A JP 2003336130A JP 2002186613 A JP2002186613 A JP 2002186613A JP 2002186613 A JP2002186613 A JP 2002186613A JP 2003336130 A JP2003336130 A JP 2003336130A
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fiber
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carbon
acrylonitrile
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JP2002186613A
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English (en)
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Hiroshi Hosokawa
宏 細川
Toru Manabe
徹 間鍋
Atsunori Koshirai
厚典 小白井
Yasuyuki Fujii
泰行 藤井
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フィラメント状カーボンナノファイバーの集
合体からなる炭素繊維、及び、その炭素繊維から得られ
るカーボンナノファイバーを得ることにあり、この集合
体を工業技術的観点から高い品質と歩留で生産する技術
を提供することにある。 【解決手段】 フィラメント状カーボンナノファイバー
の集合体からなる炭素繊維とそれを粉砕して得られるカ
ーボンナノファイバーである。更に、前記炭素繊維を得
る前駆体繊維である、ポリマーブレンド繊維であって、
この繊維のモルフォロジーが繊維軸方向に沿って筋状相
分離構造を有し且つ繊維軸垂直方向断面がマトリックス
相の中に島状独立相が点在している相分離構造を有し、
前記マトリックス相ポリマーの主成分が熱分解性ポリマ
ーからなり、且つ、前記島状独立相の主成分がアクリロ
ニトリル系ポリマーからなる前駆体繊維である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】フィラメント状カーボンナノ
ファイバーの集合体からなる炭素繊維、及び、その炭素
繊維から得られるカーボンナノファイバー、並びに、前
記炭素繊維の前駆体、及び、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】繊維状炭素のうち直径が100nmのオ
ーダー前後のものをカーボンナノファイバーと呼び、直
径が10nmのオーダー前後にまで小さくなるとカーボ
ンナノチューブと呼ばれる(遠藤守信:炭素,[20
0]202−205(2001))。 カーボンナノフ
ァイバー(本件明細書において、カーボンナノチューブ
も含んで、カーボンナノファイバーという。)は、樹脂
材料に導電性を付与及び/又は機械的性質を向上する目
的で添加するフィラーとして有用な材料であり、最近で
は燃料電池の電極材料やガス吸蔵材料としても期待され
る材料である。
【0003】従来、カーボンナノファイバーは、アーク
放電法、レーザー昇華法、化学的気相分解法に代表され
る気相法により製造されていたが、主として金属触媒の
混入に起因する純度の問題や直径、長さ等の構造の不均
一性が指摘されており、高純度で均一性の高い材料と製
造法が望まれていた。更に、従来の気相法では生成物が
サブミクロンオーダー以下の短繊維状物からなる粉体で
あって、製造工程及び加工工程における取扱い性と安全
衛生の面から改良が望まれていた。加えて、従来の気相
法では生産性が低い為により広く工業材料として使用さ
れる為には抜本的な低コスト化製造技術が望まれてい
た。
【0004】このような課題を解決する技術として、炭
素前駆体樹脂を熱分解消失性樹脂に被覆したコアシェル
ポリマーを熱分解消失性樹脂中に分散し溶融紡糸するこ
とにより前駆体繊維を得た後、該前駆体繊維を加熱炭素
化することによりカーボンナノチューブを得る方法が開
示されている(特開2002−29719号公報)。更
に改良技術として、上記のコアシェルポリマーにおいて
炭素前駆体樹脂としてポリアクリロニトリルを用い熱分
解消失性樹脂としてポリメタクリル酸メチルを用いる方
法が開示されている(大谷朝男:機能材料、21[5]
(2001)41−46)。
【0005】このように紡糸技術により製造されたカー
ボンナノファイバーは、一般に紡糸法カーボンナノファ
イバーと呼ばれている。
【0006】紡糸法カーボンナノファイバーは、金属触
媒を用いないという点で純度が高く、更に製造物がカー
ボンナノファイバーの集合体からなる繊維状物であると
いう点において、加えて前駆体が溶融紡糸された繊維で
あるという点において、純度、構造の均一性、製造・加
工工程通過性、安全衛生、品質、コストの問題を抜本的
に解決できる糸口を与えたという意味で上述の課題を解
決する方向に大きく一歩を踏み出した画期的提案と言え
る。
【0007】しかしながら上記の紡糸法カーボンナノフ
ァイバーは、その製造方法から非常短いものしか得られ
ず、又、ポリアクリロニトリルが元来加熱溶融しない熱
環化反応性ポリマーであるために溶融紡糸には向かず、
本方法により得られた前駆体繊維の炭素化工程の通過性
もまた良好であるとは言えない。従って、上記の紡糸法
カーボンナノファイバーの技術は、工業技術的観点から
改良の余地が十分に残されており、均一な構造を有する
フィラメント状カーボンナノファイバーを得る技術とし
て十分とは言い難い。殊に直径100nm以下のフィラ
メント状カーボンナノファイバーを得るという点では、
更に十分とは言い難い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、フィ
ラメント状カーボンナノファイバーの集合体からなる炭
素繊維、及び、その炭素繊維から得られるカーボンナノ
ファイバーを得ることにあり、この集合体を工業技術的
観点から高い品質と歩留で生産する技術を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の第1
の要旨は、フィラメント状カーボンナノファイバーの集
合体からなる炭素繊維にある。
【0010】
【発明の実施の形態】(前駆体繊維のモルフォロジーに
ついて)本発明においては、ポリマーブレンド繊維であ
る前駆体繊維のモルフォロジー制御が最大の技術のポイ
ントである。すなわち、前駆体繊維のモルフォロジーが
繊維軸方向に沿って筋状相分離構造を有し、且つ、繊維
軸垂直方向断面がマトリックス相の中に島状独立相が点
在している相分離構造を有することが必要である。そし
て、 (1)前記マトリックス相ポリマーの主成分が熱分解性
ポリマーからなり、且つ、前記島状独立相の主成分がア
クリロニトリル系ポリマーからなるか、逆に、
【0011】(2)前記マトリックス相ポリマーの主成
分がアクリロニトリル系ポリマーからなり、且つ、前記
島状独立相の主成分が熱分解性ポリマーからなる、こと
が必要である。又、もう一つのポリマーブレンド繊維で
ある前駆体繊維のモルフォロジー形態として、
【0012】(3)繊維軸方向に沿って引き伸ばされた
三次元網目の共連続相からなる相分離構造を有し、一方
の連続相ポリマーの主成分がアクリロニトリル系ポリマ
ーからなり、且つ、他方の連続相の主成分が熱分解性ポ
リマーからなる、ことが必要である。
【0013】このとき、繊維軸方向と繊維軸垂直方向の
双方において相分離ドメインサイズが一様であり繊維軸
方向に沿って筋状相分離構造が切れ目のない構造である
ことや炭素前駆体樹脂であるアクリロニトリル系ポリマ
ーを主成分とする相の繊維軸垂直方向断面で見た特性距
離が200nm以下であることが好ましい。
【0014】本発明の前駆体繊維のモルフォロジーは、
前述の通り、マトリックス相ポリマーが熱分解性ポリマ
ーである場合とアクリロニトリル系ポリマーである場合
のどちらか、または両ポリマー相が共連続相の場合の3
者が可能であるが、炭素化処理後に得られるカーボンナ
ノファイバーの形態を左右し、製品の目的と用途によっ
て3者のどの形態であっても良い。
【0015】前記前駆体繊維において、炭素前駆体樹脂
であるアクリロニトリル系ポリマーを主成分とする相の
繊維軸垂直方向断面で見た、以下に定義する特性距離が
200nmを超えると炭素化処理後に得られるカーボン
ナノファイバーの直径が100nmを超えてしまう。従
って、カーボンナノファイバーの直径を制御する上で特
性距離が重要な意味をもつ。
【0016】<特性距離の評価法>前駆体繊維の繊維軸
垂直方向断面の相分離サイズに対応する特性距離は走査
型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡により測定し、次
式より算出できる。 (1)相分離構造が海島構造のモルフォロジーを有し、
主成分がアクリロニトリル系ポリマーである相が島を構
成する場合: 特性距離=2[(島部分の面積)/π]1/2
【0017】(2)相分離構造が海島構造のモルフォロ
ジーを有し、主成分がアクリロニトリル系ポリマーであ
る相が海を構成する場合: 特性距離=再隣接する島部分の界面間距離
【0018】また、前駆体繊維の相分離ドメインサイズ
が繊維断面方向において一様でないと炭素化処理後に得
られるカーボンナノファイバーの直径が不均一となるの
で、直径が均一なカーボンナノファイバーを得るために
は相分離ドメインサイズの制御が重要である。
【0019】更に、前駆体繊維のモルフォロジーである
筋状相分離構造が繊維軸方向沿って均一でないと炭素化
処理後に得られるカーボンアノファイバーの直径が均一
で切れ目の無いフィラメント状とならない場合があるの
で、筋状相分離構造が繊維軸方向沿って均一になるよう
制御することが重要である。
【0020】筋状相分離構造が繊維軸方向に沿って均一
で切れ目のない形態を有するためには、前駆体繊維の紡
糸原液の相分離状態制御が重要であり、液液相分離の液
滴サイズが直径10μm以下であることが好ましい。該
液滴サイズが直径10μmを超えると炭素化処理後に得
られるカーボンナノファイバーの直径が100nmを超
える傾向にある。以下で述べる、割繊アクリル繊維の製
造技術と同様、該紡糸原液の相分離液滴サイズを制御す
る技術においては、2相各相の粘度、2相界面の界面張
力、紡糸原液を調製、保存、移液する際のせん断速度が
特に重要である。
【0021】更に、前駆体繊維中に繊維軸方向に沿って
均一な切れ目の無い筋状相分離構造を形成するには、上
述した相分離液滴のサイズを制御する諸因子に加えて、
相分離液滴の粘弾性すなわち緩和時間、紡糸口金の細孔
から紡糸原液が吐出する際に受けるせん断速度が特に重
要である。一般に相分離した高分子ブレンド系において
は、これらの因子が相互に関連した結果として高いせん
断速度場において相分離モルフォロジーが液滴の分散形
態から連続した筋状へトポロジカルな転移が起こること
が知られており(T. Hashimoto, T. Takebe and S. Sue
hiro : J. Chem. Phys. 88(1988)5874)、割繊アクリル
繊維の製造技術と同様、該前駆体繊維の製造技術におい
ても紡糸原液の相分離状態と溶液紡糸の条件を制御した
結果、実現したと推定される。このような連続した筋状
の相分離構造は、液滴分散形態の相分離構造を有する溶
融体を高倍率で延伸して得られる繊維のモルフォロジー
とは本質的に異なるものと言える。
【0022】ところで、本発明の前駆体繊維を得る方法
としては、割繊性アクリル繊維又は超極細アクリル繊維
を得る方法(特開平7−82605号公報、特開平7−
229017号公報、特開平11−131321号公
報、特開平11−222718号公報)を応用すること
ができる。これらの発明においても、均一で超極細のア
クリル繊維からなる集合体を得るには割繊処理前の繊維
が本発明の前駆体繊維と同様、筋状相分離構造をからな
るモルフォロジーを有し、繊維軸方向に沿って筋状相分
離構造が切れ目のない構造であることが肝要であり、こ
のようなモルフォロジーの繊維を得る方法が開示されて
いる。
【0023】本発明のカーボンナノファイバーにおい
て、好ましい形態である直径100nm以下で均一なも
のを得るには、前駆体繊維の紡糸原液の相分離液滴サイ
ズを直径10μm以下に均一に制御することが肝要であ
る。その目的のために、紡糸原液の粘度を100〜10
000ポイズに制御することが望ましい。相分離液滴サ
イズを制御する目的で、ダイナミックミキサー、スタテ
ィックミキサー等を用いてせん断速度を与えても良い。
【0024】(熱分解性ポリマーについて)本発明の前
駆体繊維に用いる熱分解性ポリマーの重量平均分子量は
3万〜300万であることが好ましい。熱分解性ポリマ
ーとしてはメタクリレート系ポリマーが好ましく、例え
ばポリメタクリル酸メチルのホモポリマー及び/又は他
のモノマーとの共重合体を用いることができる。
【0025】熱分解性ポリマーの共重合成分モノマーと
しては、特に制限は無いが、例えばアクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル
酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリ
ル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロ
ピルなどに代表されるアクリル酸エステル類、メタクリ
ル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプ
ロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ヘ
キシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラ
ウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリ
ル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノ
エチルなどの代表されるメタクリル酸エステル類、アク
リル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アク
リルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセト
ンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビ
ニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化
ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどの不
飽和モノマー類であり、さらに染色性改良などの目的に
よっては、p−スルホフェニルメタリルエーテル、メタ
リルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン
酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸及びこれらのアルカリ金属塩などが挙げられる。
【0026】(アクリロニトリル系ポリマー)本発明の
前駆体繊維に用いるアクリロニトリル系ポリマーの重量
平均分子量は3万〜300万であることが好ましい。ア
クリロニトリル系ポリマーとしてはアクリロニトリルの
ホモポリマー及び/又は他のモノマーとの共重合体を用
いることができる。この場合、炭素化を良好に行う目的
で共重合体中のアクリロニトリル組成は90%以上であ
ることが好ましい。本発明では前駆体繊維に重量平均分
子量30万〜300万のアクリロニトリル系ポリマーを
0.1〜10%含むことが、多層ナノチューブを得る上
で更に好ましい。この理由は現在のところ定かでは無い
が、高分子量のアクリロニトリル系ポリマーを含むこと
で前駆対繊維を形成する過程で高分子鎖の配向がより高
くなり、そのことが焼成工程における多層ナノチューブ
の生成に関与しているものと推定される。
【0027】アクリロニトリル系ポリマーの共重合成分
モノマーとしては、特に制限は無いが、例えばアクリル
酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピ
ル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキ
シル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒ
ドロキシプロピルなどに代表されるアクリル酸エステル
類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタク
リル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メ
タクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジ
エチルアミノエチルなどの代表されるメタクリル酸エス
テル類、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタ
コン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミ
ド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトル
エン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化
ビニル、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリ
デンなどの不飽和モノマー類であり、さらに染色性改良
などの目的によっては、p−スルホフェニルメタリルエ
ーテル、メタリルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチ
レンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロ
パンスルホン酸及びこれらのアルカリ金属塩などが挙げ
られる。
【0028】アクリロニトリル系ポリマーの共重合成分
モノマーとして、炭素化工程における環化反応を促進す
る目的でカルボン酸基を有するモノマーやアクリルアミ
ド系モノマーを用いることが好ましい。このようなカル
ボン酸基を有するモノマーとしては、メタクリル酸やイ
タコン酸が好ましい。又、アクリルアミド系モノマーと
してはアクリルアミドが好ましい。
【0029】(紡糸原液中の相分離液滴のサイズの制御
のための第三成分)紡糸原液中の相分離液滴のサイズを
制御し安定化する目的で、界面活性剤、微粒子、グラフ
トポリマー、ブロックポリマー等を添加することにより
相分離液滴界面の界面張力を低下しても良い。
【0030】そのような場合には、アクリロニトリル系
ポリマーと熱分解性ポリマーを成分とするグラフトポリ
マー及び/又はブロックポリマーを添加する方法が好ま
しい。この方法は特に、直径10nm以下の均一なカー
ボンナノチューブを得る際に非常に有効である。
【0031】前駆体繊維の紡糸原液にグラフトポリマー
及び/又はブロックポリマーを添加すると、得られる前
駆体繊維の構造は繊維軸と垂直方向の断面において特性
距離100nm以下の相分離構造となり、炭素化処理に
よりフィラメント状の直径100nm以下のカーボンナ
ノファイバーの集合体からなる炭素繊維が得られる。更
に条件によっては直径10nm以下のカーボンナノチュ
ーブのフィラメント集合体からなる炭素繊維が得られ
る。
【0032】このように紡糸原液中の相分離液滴サイズ
を制御し安定化するためにブロックポリマーを用いるこ
と自体は公知である。特開昭55−62953号公報に
は、アクリル繊維ポリマーとセルロースジアセテートか
ら構成されるポリマーブレンド繊維を製造する際、両ポ
リマーを相溶化するために、ブロックポリマーを使用す
ることが開示されているが、このポリマーブレンド繊維
の構造は当時、均質と認識されていた。
【0033】グラフトポリマー又はブロックポリマーの
特性としては、特に制限は無いが重量平均分子量は10
0万以下、グラフト鎖長またはブロック鎖長は重量平均
分子量で50万以下が好ましい。
【0034】(溶液紡糸の際の溶剤について)本発明の
前駆体繊維は、上述の紡糸原液を公知の溶液紡糸法によ
り得ることができる。溶液紡糸の方法としては、例えば
乾式紡糸法、乾湿式紡糸法、湿式紡糸法が挙げられる。
紡糸原液の溶剤としては熱分解性ポリマーとアクリロニ
トリル系ポリマーの両者を溶解する溶剤であることが要
求される以外には特に制限は無いく、例えばジメチルホ
ルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキ
シドが挙げられる。本発明の前駆体繊維は、このような
溶液紡糸法によって通常のアクリル繊維と同様の紡糸工
程で製造することができる。更に本発明では紡糸原液が
アクリロニトリル系ポリマーの濃厚相と熱分解性ポリマ
ーの濃厚相の2相から成る相分離系であって、アクリロ
ニトリル系ポリマーの濃厚相がゲル状態であることが特
に多層ナノチューブを得る上で更に好ましい。この理由
は現在のところ定かでは無いが、前駆体繊維を形成する
過程で高分子鎖の延伸配向に有利に作用しているものと
推定される。更に本発明では前駆体繊維の製造方法とし
て乾式紡糸または乾湿式紡糸法を用いることが上記の高
分子鎖の延伸配向という点において有利であり、また後
延伸の方法としては加圧水蒸気中での延伸が有利であ
る。
【0035】(前駆体繊維の炭素化について)本発明の
前駆体繊維は、従来の炭素繊維の炭素化と同様に炭素化
することにより、本発明のフィラメント状カーボンナノ
ファイバー集合体からなる炭素繊維が得られる。炭素化
は通常のPAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維の
製造工程で行うことができる。
【0036】(炭素繊維からカーボンナノファイバーを
得る方法)本発明のフィラメント状のカーボンナノファ
イバー集合体からなる炭素繊維を粉砕処理することによ
り、フィラメント状カーボンナノファイバーを得ること
ができる。この粉砕処理を液体中で行うことにより、外
径が100nm以下であるカーボンナノファイバーの分
散液を得ることもきる。このような分散液の分散液調製
時又は調整後にその分散液に樹脂を分散・溶解すること
によりフィラメント状カーボンナノファイバーを含有す
る樹脂コーティング液を得ることができる。本発明では
フィラメント状のカーボンナノファイバー集合体からな
る炭素繊維を粉砕処理する前に連続的に酸化処理または
/および電解処理することができる。これによりカーボ
ンナノファイバーの表層部分が化学変化し各種溶媒への
分散性向上、各種薬剤および各種樹脂材料に対する親和
性向上を図ることができる。
【0037】又、同様の分散液を抄紙することによりフ
ィラメント状カーボンナノファイバーからなる抄紙物を
得ることができる。更に、粉砕処理を樹脂との混合状態
で行うことによりフィラメント状カーボンナノファイバ
ーが分散された樹脂混合物を得ることができる。このよ
うに、分散工程に本発明のフィラメント状カーボンナノ
ファイバー集合体からなる炭素繊維を用いることで、従
来の粉体処理工程で懸念された取扱い性と安全衛生上の
問題を克服したという点で本発明は工業的に有用な技術
を提供するものである。
【0038】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に
説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
又、本実施例において、「質量部」及び「質量%」は、
それぞれ、単に「部」及び「%」を記した。
【0039】
【実施例】1) 原料ポリマー <合成例1>グラフトコポリマーG−1:メチルメタク
リレート単位/アクリロニトリル単位=50/50
(部)の合成 冷却管、熱電対、窒素導入口及び攪拌装置を備えたセパ
ラブルフラスコに、アニオン系乳化剤(花王製ラテムル
ASK、固形分28%)3.0部(固形分)、蒸留水2
90部を仕込み、窒素雰囲気下に温水浴中で60℃まで
加熱した。次いで、硫酸第一鉄0.0004部、エチレ
ンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0012部、ロン
ガリット1.0部を蒸留水5部に溶かして加え、その後
メチルメタクリレート50部、t−ブチルヒドロパーオ
キサイド0.25部、n−オクチルメルカプタン0.5
部からなる単量体混合物1を90分かけて滴下した。そ
の後60分間攪拌し、第一段目の重合を完了した。
【0040】このエマルション中に、硫酸第一鉄0.0
004部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.
0012部、ロンガリット1.0部を、蒸留水5部に溶
かして加え、その後アクリロニトリル46.7部、アク
リルアミド3部、メタクリル酸0.3部、t−ブチルヒ
ドロパーオキサイド0.25部、n−オクチルメルカプ
タン0.5部からなる単量体混合物2を90分かけて滴
下した。その後60分間攪拌し、第二段目の重合を完了
した。
【0041】得られたエマルションの固形分を測定した
ところ24.2%であった。このエマルションを希硫酸
水溶液中に注ぎ、生じた沈殿物を乾燥し、グラフトコポ
リマーG−1を得た。
【0042】<合成例2、3>グラフトコポリマーG−
2:メチルメタクリレート単位/アクリロニトリル単位
=25/75(部)、及び、グラフトコポリマーG−
3:メチルメタクリレート単位/アクリロニトリル単位
=75/25(部)の合成 単量体混合物1、2を表1のように代える以外は、合成
例1と同様にしてグラフトコポリマーG−2及びグラフ
トコポリマーG−3を得た。
【0043】
【表1】
【0044】<合成例4>アクリロニトリル系ポリマー
の合成 過硫酸アンモニウム及び亜硫酸水素アンモニウムからな
るレドックス系開始剤を用い、アクリロニトリル単位9
6.1%、アクリルアミド単位3.2%、メタクリル酸
単位0.7%からなるアクリロニトリル系ポリマーを得
た。このポリマー重量平均分子量は14万であった。 <合成例5>超高分子量アクリロニトリル系ポリマーの
合成 水とジメチルアセトアミドの混合溶媒中で2,2’−ア
ゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)を開始剤とし、アクリロニトリル単位100%から
なる超高分子量アクリロニトリル系ポリマーを得た。こ
のポリマーの重量平均分子量は70万であった。
【0045】2)評価方法 <モルフォロジー観察> (前駆体繊維)前駆体繊維を電子顕微鏡用のエポキシ系
樹脂で包埋硬化して、繊維軸と垂直方向の断面が得られ
るようにトリミング、面出しした後、ダイヤモンドナイ
フを装着したミクロトームにより約70nmの厚さの切
片を切り出した。得られた切片を電子顕微鏡観察用のメ
ッシュに載せ、日立(株)H−7600透過型電子顕微
鏡により、加速電圧120kVの条件で観察した。
【0046】(炭素繊維)炭素繊維を繊維軸方向に引張
破断して走査型電子顕微鏡用試料台に接着した後、イオ
ンスパッター装置によりAuを約5nmの厚さになるよ
うにコーティングし、日本電子(株)JSM−880走
査型電子顕微鏡により、加速電圧5kVの条件で破断面
を観察した。炭素繊維を乳鉢で破砕したものをイソプロ
パノールに分散し、電子顕微鏡観察用のメッシュに載せ
乾燥した後、日立(株)H−7600透過型電子顕微鏡
により、加速電圧120kVの条件で観察した。
【0047】<特性距離の評価法>前駆体繊維の繊維軸
垂直方向断面の相分離サイズに対応する特性距離は走査
型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡により測定し、次
式より算出した。 (1)相分離構造が海島構造のモルフォロジーを有し、
主成分がアクリロニトリル系ポリマーである相が島構造
である場合 特性距離=2[(島部分の面積)/π]1/2
【0048】(2)相分離構造が海島構造のモルフォロ
ジーを有し、主成分がアクリロニトリル系ポリマーであ
る相が海構造である場合 特性距離=再隣接する島部分の界面間距離
【0049】(実施例1〜3)PMMA樹脂(三菱レイ
ヨン株式会社製ダイヤナールBR−88)、アクリロニ
トリル系ポリマー及びグラフトコポリマー(G−1)を
表2の割合で合計15%のジメチルアセトアミド溶液に
なるように、100℃で60分よく撹拌しながら加熱溶
解した。
【0050】得られた紡糸原液(温度60℃)を、直径
0.075mm、孔数1000の口金を用いて、濃度4
0%、温度50℃のジメチルアセトアミド水溶液に吐出
し凝固糸となし、温水中で3倍延伸しながら洗浄・脱溶
剤した後、1%アミノシリコン系油剤溶液中に浸漬し、
加熱ローラーにて乾燥緻密化した。続いて、0.2MP
aの加圧蒸気中で3倍延伸して、単糸繊度が0.2te
x、トータル繊度が200texの前駆体繊維を得た。
この繊維の断面における特性距離を表2に示す。
【0051】紡糸工程通過性は良好であった。得られた
前駆体繊維を、空気中260℃で60分間処理し、引き
続き窒素雰囲気下最高温度2000℃にて60分間処理
しカーボンナノファイバー集合体を得た。得られたカー
ボンナノファイバーの外径は表2の通りであった。
【0052】
【表2】
【0053】(実施例4〜10)アクリロニトリル系ポ
リマー、熱分解性ポリマー及びグラフトコポリマーを表
3の割合で20重量%のジメチルアセトアミド溶液にな
るように、100℃で60分よく撹拌しながら加熱溶解
した。
【0054】得られた紡糸原液(温度60℃)を、直径
0.075mm、孔数1000の口金を用いて、濃度7
0%、温度40℃のジメチルアセトアミド水溶液に吐出
し凝固糸となし、温水中で3倍延伸しながら洗浄・脱溶
剤した後、1%アミノシリコン系油剤溶液中に浸漬し、
175℃の加熱ローラーにて乾燥緻密化した。続いて、
0.2MPaの加圧水蒸気中で4倍延伸して、単糸繊度
が0.1tex、トータル繊度が100texの前駆体
繊維を得た。この繊維の断面における特性距離を表3に
示す。紡糸工程通過性は良好であった。
【0055】得られた前駆体繊維を、伸張率−10%、
空気中230〜260℃で50分間処理し耐炎化繊維と
なし、引き続き該繊維を窒素雰囲気下、最高温度700
℃にて1.5分間処理し引き続き窒素雰囲気下最高温度
1300℃にて1.5分間処理しカーボンナノファイバ
ー集合体を得た。焼成工程通過性は良好であった。得ら
れたカーボンナノファイバーの外径は表3の通りであっ
た。
【0056】
【表3】
【0057】(実施例11)PMMA樹脂(三菱レイヨ
ン株式会社製ダイヤナールBR−85)、アクリロニト
リル系ポリマー及びグラフトコポリマー(G−1)を6
0/30/10の割合で合計22%のジメチルアセトア
ミド溶液になるように、100℃で60分よく撹拌しな
がら加熱溶解した。得られた紡糸原液(温度30℃)
を、直径0.15mm、孔数500の口金を用いて、一
旦空気中に吐出し、約5mmの空間を通して、濃度40
%、温度20℃のジメチルアセトアミド水溶液に吐出
し、紡糸ドラフトが5となるように引き取り凝固糸とな
した。これを温水中で2倍延伸しながら洗浄・脱溶剤し
た後、1%アミノシリコン系油剤溶液中に浸漬し、17
5℃の加熱ローラーにて乾燥緻密化した。続いて、0.
2MPaの加圧水蒸気中で4倍延伸して、単糸繊度が
0.1tex、トータル繊度が50texの前駆体繊維
を得た。得られた前駆体繊維を、空気中260℃で60
分間処理し、引き続き窒素雰囲気下最高温度2000℃
にて60分間処理しカーボンナノファイバー集合体を得
た。得られたカーボンナノファイバーの外径は85nm
であった。このカーボンナノファイバー集合体を引き続
き連続したフィラメント状のまま8%硝酸中を電流が
0.7Aになるように電圧を調整しながら60分かけて
通過させ陽極酸化し、脱イオン水で洗浄後、500℃で
空気酸化し、表層部分に酸化構造を有するカーボンナノ
ファイバーを得た。これは、酸化処理を行う前に比べイ
ソプロピルアルコール中での分散性に優れていた。
【0058】(実施例12)PMMA樹脂(三菱レイヨ
ン株式会社製ダイヤナールBR−85)、アクリロニト
リル系ポリマー、超高分子量アクリロニトリル系ポリマ
ー及びグラフトコポリマー(G−1)を60/28/2
/10の割合で合計22%のジメチルアセトアミド溶液
になるように、100℃で60分よく撹拌しながら加熱
溶解した。得られた紡糸原液(温度30℃)を、直径
0.35mm、孔数50の口金を用いて、一旦空気中に
吐出し、約5mmの空間を通して、濃度40%、温度2
0℃のジメチルアセトアミド水溶液に吐出し、紡糸ドラ
フトが30となるように引き取り凝固糸となした。これ
を温水中で1.5倍延伸しながら洗浄・脱溶剤した後、
1%アミノシリコン系油剤溶液中に浸漬し、175℃の
加熱ローラーにて乾燥緻密化した。続いて、0.2MP
aの加圧水蒸気中で4倍延伸して、単糸繊度が0.1t
ex、トータル繊度が5texの前駆体繊維を得た。得
られた前駆体繊維を、空気中260℃で60分間処理
し、引き続き窒素雰囲気下最高温度2000℃にて60
分間処理しカーボンナノファイバー集合体を得た。得ら
れたカーボンナノファイバーは外径10〜25nm、内
径1nm以下の多層カーボンナノチューブであって表層
に厚さ2〜4nmの乱層構造炭素質の層を有していた。
図1に透過電子顕微鏡写真を示す。このカーボンナノフ
ァイバー集合体を実施例11と同じ条件で酸化処理を行
った。得られたカーボンナノファイバー集合体は酸化処
理を行う前に比べイソプロピルアルコール中での分散性
に優れていた。
【0059】
【発明の効果】本発明は、フィラメント状カーボンナノ
ファイバー集合体からなる高品質な炭素繊維を低コスト
で提供するものである。この炭素繊維を粉砕処理するこ
とにより容易にフィラメント状カーボンナノファイバー
が得られる点で、工業的に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例12で得られたカーボンナノチューブ
の透過型電子顕微鏡写真である。スケールは10nmを
示す。
フロントページの続き (72)発明者 藤井 泰行 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 Fターム(参考) 4G146 AA11 AB06 AC03A AC03B BA13 BA16 BC03 BC12 4L035 BB02 BB04 BB80 FF07 LB01 LB09 4L037 AT02 AT05 CS03 FA01 FA04 FA20 PA55 PA57 PA65 PC10 PC11 PF27 PF45 PS02 PS12

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィラメント状カーボンナノファイバー
    の集合体からなる炭素繊維。
  2. 【請求項2】 フィラメント状カーボンナノファイバー
    の外径が100nm以下である請求項1記載の炭素繊
    維。
  3. 【請求項3】 直径30nm以下且つ内径1nm以下の
    円筒形状を有し、その表層に厚さ1nm以上で5nm以
    下の乱層構造炭素質の層を有するカーボンナノファイバ
    ーを含む請求項1記載の炭素繊維。
  4. 【請求項4】 フィラメント状カーボンナノファイバー
    の表層部分に酸化構造を有する請求項1〜3のいずれか
    1項記載の炭素繊維。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項記載の炭素
    繊維を連続的に酸化処理及び/又は電解処理する請求項
    4記載の炭素繊維の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか1項記載の炭素
    繊維を粉砕して得られるフィラメント状カーボンナノフ
    ァイバー。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4のいずれか1項記載の炭素
    繊維と液体を混合した後、液体中で該炭素繊維を粉砕し
    て得られるフィラメント状カーボンナノファイバー。
  8. 【請求項8】 請求項1〜4のいずれか1項記載の炭素
    繊維と樹脂を混合した後、樹脂中で該炭素繊維を粉砕し
    て得られるフィラメント状カーボンナノファイバー。
  9. 【請求項9】 ポリマーブレンド繊維であって、この繊
    維のモルフォロジーが繊維軸方向に沿って筋状相分離構
    造を有し且つ繊維軸垂直方向断面がマトリックス相の中
    に島状独立相が点在している相分離構造を有し、前記マ
    トリックス相ポリマーの主成分が熱分解性ポリマーから
    なり、且つ、前記島状独立相の主成分がアクリロニトリ
    ル系ポリマーからなる前駆体繊維。
  10. 【請求項10】 ポリマーブレンド繊維であって、この
    繊維のモルフォロジーが繊維軸方向に沿って筋状相分離
    構造を有し、且つ、繊維軸垂直方向断面がマトリックス
    相の中に島状独立相が点在している相分離構造を有し、
    前記マトリックス相ポリマーの主成分がアクリロニトリ
    ル系ポリマーからなり、且つ、前記島状独立相の主成分
    が熱分解性ポリマーからなる前駆体繊維。
  11. 【請求項11】 ポリマーブレンド繊維であって、この
    繊維のモルフォロジーが繊維軸方向に沿って引き伸ばさ
    れた三次元網目の共連続相からなる相分離構造を有し、
    一方の連続相ポリマーの主成分がアクリロニトリル系ポ
    リマーからなり、且つ、他方の連続相の主成分が熱分解
    性ポリマーからなる前駆体繊維。
  12. 【請求項12】 熱分解性ポリマーがメタクリレート系
    ポリマーである、請求項9〜11のいずれか1項記載の
    前駆体繊維。
  13. 【請求項13】 主成分がアクリロニトリル系ポリマー
    からなる相の繊維断面における特性距離が200nm以
    下である、請求項9〜12のいずれか1項記載の前駆体
    繊維。
  14. 【請求項14】 アクリロニトリル系ポリマーと熱分解
    性ポリマーを成分とするグラフトポリマー又は/及びブ
    ロックポリマーを1質量%以上含む請求項9〜13のい
    ずれか1項記載の前駆体繊維。
  15. 【請求項15】 熱分解性ポリマーがメタクリレート系
    ポリマーである請求項9〜14記載の前駆体繊維。
  16. 【請求項16】 アクリロニトリル系ポリマー中のアク
    リロニトリル単位が90質量%以上である請求項9〜1
    5のいずれか1項記載の前駆体繊維。
  17. 【請求項17】 アクリロニトリル系ポリマーがカルボ
    ン酸を含むモノマーを共重合したアクリロニトリル系ポ
    リマーである請求項9〜16のいずれか1項記載の前駆
    体繊維。
  18. 【請求項18】 カルボン酸を含むモノマーがアクリル
    酸、メタクリル酸及びイタコン酸からなる群から選ばれ
    る1種以上のカルボン酸を含むモノマーである請求項1
    7記載の前駆体繊維。
  19. 【請求項19】 アクリロニトリル系ポリマーがアクリ
    ルアミドを共重合したアクリロニトリル系ポリマーであ
    る請求項9〜18記載の前駆体繊維。
  20. 【請求項20】 重量平均分子量が30万以上300万
    以下のアクリロニトリル系ポリマーを0.1〜10質量
    %含む請求項9〜19記載の前駆体繊維。
  21. 【請求項21】 請求項9〜20のいずれか1項記載の
    前駆体繊維を耐炎化及び炭素化処理する炭素繊維の製造
    方法。
  22. 【請求項22】 アクリロニトリル系ポリマーの濃厚相
    と熱分解性ポリマーの濃厚相の2相から成る相分離系で
    あって、アクリロニトリル系ポリマーの濃厚相がゲル状
    態にある紡糸原液を紡糸する前駆体繊維の製造方法。
  23. 【請求項23】 紡糸を乾式又は乾湿式紡糸法により行
    なう請求項22記載の前駆体繊維の製造方法。
  24. 【請求項24】 加圧水蒸気中で延伸する請求項22又
    は23記載の前駆体繊維の製造方法。
  25. 【請求項25】 アクリロニトリル系ポリマー中のアク
    リロニトリル単位が98〜100重量%である請求項2
    2〜24のいずれか1項記載の前駆体繊維の製造方法。
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