JP2006176903A - カーボンナノファイバーおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミニウム、窒化亜鉛、窒化ジルコニウム、炭化珪素、炭化チタン、炭化アルミニウム、炭化亜鉛、炭化ジルコニウムからなる群から選ばれる1種以上の無機微粒子が単層または複数層の形態で物理的または化学的に表面に付着しているカーボンナノファイバーである。
【選択図】 なし
Description
本発明のカーボンナノファイバーは、カーボンナノファイバー表面に酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミニウム、窒化亜鉛、窒化ジルコニウム、炭化珪素、炭化チタン、炭化アルミニウム、炭化亜鉛、炭化ジルコニウムからなる群から選ばれる1種以上の無機微粒子が単層または複数層の形態で物理的または化学的に表面に付着していることが必要である。
無機微粒子の付着量は、カーボンナノファイバーの大きさに比して無機微粒子の大きさが小さい場合は、後述する被覆率という数値で表すことができる。
以下に、本発明のカーボンナノファイバーの製造方法について説明する。
<前駆体繊維>
本発明の製造方法では、前駆体繊維として、繊維軸方向断面では、熱分解性ポリマーからなるマトリックス相中に熱炭化性ポリマーからなる島状独立層が筋状に相分離した構造を有し、繊維軸に垂直方向断面では、マトリックス相の中に直径100nm以下の島状独立相が点在している相分離構造を有する前駆体繊維であって、マトリックス相中に無機微粒子を分散された前駆体繊維を用いる。
本発明においては、ポリマーブレンド繊維である前駆体繊維のモルフォロジー制御が最大の技術のポイントである。すなわち、前駆体繊維のモルフォロジーが繊維軸方向に沿って筋状相分離構造を有し、且つ、繊維軸垂直方向断面にマトリックス相の中に直径100nm以下の島状独立相が点在している相分離構造を有することが必要である。また、島状に分散した筋状構造体は部分的に結節されていてもよいが、筋状部分の長さは10μm以上であることが必要である。
本発明では、熱分解性ポリマーの重量平均分子量は、3万〜300万であることが好ましい。熱分解性ポリマーとしてはメタクリレート系ポリマーのホモポリマーおよび/または共重合体が好ましく、例えばポリメタクリル酸メチルのホモポリマーおよび/または他のモノマーとの共重合体を用いることができる。
本発明に使用する熱炭化性ポリマーは、炭素化されるポリマーであれば特に制限はなくたとえばポリアクリロニトリル、セルロース類、ポリイミド類、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリジビニルベンゼンなどが挙げられるが、中でも重量平均分子量3万〜300万のアクリロニトリル系ポリマーが好ましい。直径100nm以下で長さ10μm以上の筋状構造を形成しやすくするためには、重量平均分子量は10万〜200万の範囲がさらに好ましい。
アクリロニトリル系ポリマーとしてはアクリロニトリルのホモポリマーおよび/または他のモノマーとの共重合体を用いることができる。この場合、炭素化を良好に行う目的で共重合体中のアクリロニトリル単位は、90モル%以上であることが好ましい。
相分離のサイズを制御し安定化する目的で、界面活性剤、微粒子、グラフトポリマー、ブロックポリマー等を添加することにより相分離界面の界面張力を低下しても良い。第三成分を添加することにより、紡糸原液中での炭化性ポリマーの相分離サイズを小さくしかつ安定化できるので、前駆体繊維中で筋状に分散した炭化性ポリマーの直径を小さくするのに有効である。
本発明で使用する前駆体繊維は、溶融紡糸法または溶液紡糸法により得ることができる。溶液紡糸の方法としては、例えば乾式紡糸法、乾湿式紡糸法、湿式紡糸法が挙げられる。紡糸原液の溶剤としては熱分解性ポリマーとアクリロニトリル系ポリマーの両者を溶解する溶剤であることが要求される以外には特に制限は無く、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドが挙げられる。前駆体繊維は、このような溶液紡糸法によって通常のアクリル繊維と同様の紡糸工程で製造することができる。
本発明の製造方法では、前記前駆体繊維を、空気中で200〜300℃の温度で処理して、熱炭化性ポリマーを耐炎化し、さらに不活性雰囲気中で無機微粒子の組成および形態が変化しない温度で熱炭化性ポリマー炭素化する。
本発明のカーボンナノファイバーの存在は、電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて確認できる。無機微粒子の径が10〜20nmである焼成品ならば加速電圧5.0kV、観察倍率100,000倍の条件で観察すれば上記無機微粒子がカーボンナノファイバー表面に存在していることが確認できる。被覆率は、上記と同条件で観察して得た平面画像から、カーボンナノファイバー部の面積とその上に存在している無機微粒子部の面積から求めることができる。
本発明のカーボンナノファイバーから無機微粒子を取り除きカーボンナノファイバーを得るには、カーボンナノファイバーを分解せずに無機微粒子のみを分解させる酸やアルカリで処理すれば得られる。たとえば無機微粒子に酸化珪素を選んだ場合は熱アルカリやフッ化水素で酸化珪素を溶解すればカーボンナノファイバーが取り出せる。
本実施例において、「質量部」及び「質量%」は、それぞれ、単に「部」及び「%」を記した。
<合成例1>グラフトコポリマーの合成
冷却管、熱電対、窒素導入口及び攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、アニオン系乳化剤(花王製ラテムルASK、固形分28%)3.0部(固形分)、蒸留水290部を仕込み、窒素雰囲気下に温水浴中で60℃まで加熱した。次いで、硫酸第一鉄0.0004部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0012部、ロンガリット1.0部を蒸留水5部に溶かして加え、その後メチルメタクリレート50部、t−ブチルヒドロパーオキサイド0.25部、n−オクチルメルカプタン0.5部からなる単量体混合物1を90分かけて滴下した。その後60分間攪拌し、第一段目の重合を完了した。
水とジメチルアセトアミドの混合溶媒中で2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)を開始剤とし、アクリロニトリル単位100%からなる超高分子量アクリロニトリル系ポリマーを得た。このポリマーの重量平均分子量は50万であった。
<モルフォロジー観察>
(前駆体繊維)
前駆体繊維を電子顕微鏡用のエポキシ系樹脂で包埋硬化して、繊維軸と平行または垂直方向の断面が得られるようにトリミング、面出しした後、ダイヤモンドナイフを装着したミクロトームにより約70nmの厚さの切片を切り出した。得られた切片を電子顕微鏡観察用のメッシュに載せ、日立(株)H−7600透過型電子顕微鏡により、加速電圧80kVの条件で観察した。
カーボンナノファイバーを乳鉢で破砕したものを日本電子(株)JSM−7400F電界放出型電子顕微鏡(FE−SEM)で加速電圧5.0kVで観察した。
PMMA樹脂(三菱レイヨン製ダイヤナールBR−85)10部、アクリロニトリル系ポリマー5部、グラフトコポリマー1.5部、及びジメチルアセトアミド分散シリカゾル(日産化学製DMAC−ST 酸化珪素含量20%、酸化珪素粒子径10〜20nm)20部及びジメチルアセトアミド64部を130℃で60分よく撹拌しながら加熱溶解し、続いて、ホモジナイザー(特殊機化工業製T.K.ホモミクサー)で30分処理した。得られた溶液は、固形分20%のジメチルアセトアミド溶液で、固形分の内訳はPMMA樹脂48%、アクリロニトリル系ポリマー24%、グラフトコポリマー8%及び酸化珪素20%である。この溶液を紡糸原液とし(温度30℃)、直径0.35mm、孔数50の口金を用いて、一旦空気中に吐出し、約5mmの空間を通して、濃度40%、温度20℃のジメチルアセトアミド水溶液に吐出し、紡糸ドラフトが10となるように引き取り凝固糸となした。これを温水中で5倍延伸しながら洗浄・脱溶剤した後、1%アミノシリコン系油剤溶液中に浸漬し、175℃の加熱ローラーにて乾燥緻密化した。続いて、0.2MPaの加圧水蒸気中で2倍延伸して、単糸繊度が1.7dtexの前駆体繊維を得た。
実施例1の乾燥物を窒素雰囲気下最高温度1550℃にて60分間処理して焼成品を得た。得られた焼成品を電界放出型電子顕微鏡観察した結果、カーボンナノファイバー表面には径が10〜20nmの微粒子が確認できなかった。
Claims (4)
- 酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミニウム、窒化亜鉛、窒化ジルコニウム、炭化珪素、炭化チタン、炭化アルミニウム、炭化亜鉛、炭化ジルコニウムからなる群から選ばれる1種以上の無機微粒子が単層または複数層の形態で物理的または化学的に表面に付着しているカーボンナノファイバー。
- 無機微粒子の粒子径が100nm以下である、請求項1記載のカーボンナノファイバー。
- 繊維軸方向断面では、熱分解性ポリマーからなるマトリックス相中に熱炭化性ポリマーからなる島状独立層が筋状に相分離した構造を有し、繊維軸に垂直方向断面では、マトリックス相の中に直径100nm以下の島状独立相が点在している相分離構造を有する前駆体繊維であって、マトリックス相中に無機微粒子を分散された前駆体繊維を、空気中で200〜300℃の温度で処理して、熱炭化性ポリマーを耐炎化し、さらに不活性雰囲気中で無機微粒子の組成および形態が変化しない温度で熱炭化性ポリマー炭素化する、カーボンナノファイバーの製造方法。
- 無機微粒子が粒子径100nm以下の酸化珪素であり、前駆体繊維を焼成する雰囲気が窒素であり、さらに焼成温度の上限が1500℃である、請求項3のカーボンナノファイバーの製造方法。
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